説明

ナビゲーション装置

【課題】車両で実際に走行した経路を記憶しておき、後日、それを再利用できるようにしたナビゲーション装置において、今回の目的地点と記憶している目的地点とが類似している場合に、最適経路があれば報知する。
【解決手段】走行経路の情報を記憶する経路情報DBと、実際に走行した経路の情報を抽出し、該抽出した経路を類似経路同士分類して前記経路情報DBに記憶する経路抽出記憶手段15と、分類された類似経路の代表出発地点および代表目的地点を決定する代表決定手段17と、経路探索手段により探索された前記代表出発地点から代表目的地点までの代表経路と、前記分類された類似経路の距離および/または所要時間を比較する経路比較手段18と、を有し、経路比較手段18により、代表経路が類似経路よりも距離および/または所要時間が優位であると判別された場合、代表経路をユーザーに報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等で道路を走行する場合に、目的地点に至るまで現在位置を求め、表示画面上に道路地図とともに現在位置を表示し、ユーザーが道に迷うことなく目的地点に到達できるように誘導する車載用のナビゲーション装置が知られている。
【0003】
そのようなナビゲーション装置においては、現在位置を測定するために、GPS(Global Positioning System)システムが利用されている。これは、地球上空を周回している複数の人工衛星からの電波を受信し、受信データを演算処理することによって現在位置を特定するものである。
【0004】
GPSによって特定された現在位置は、ナビゲーション装置の地図記憶手段等に記憶されている地図データと比較され、例えば現在位置から最も近い道路にマッチング処理を行い、この位置がマッチング処理された現在位置として表示画面に表示される。これにより、GPS測位に僅かな誤差があるような場合でも現在位置を道路上に修正し違和感のない表示を行うことが可能となる。
【0005】
さらに、ナビゲーション装置は、ユーザーによって指定された出発地点から目的地点までの経路探索を行って案内経路を表示画面に表示するとともに、案内経路に従って音声等により案内を行う機能も備えている。
【0006】
ところで、ナビゲーション装置のユーザーは、以前行った所と同じ場所を目的地点として設定して出かけることも多々ある。そのような場合に、再び目的地点を指定して経路探索を行うのは、手間や時間がかかる。そこで、例えば、特許文献1(特開2006−30108号公報)に示されるように、目的地点を指定して経路探索を行った際に、目的地点に至るまでの軌跡に関する情報を記憶しておき、その後、同じ目的地点を指定した際に、記憶しておいた軌跡情報の中から最もよく利用している情報を読み出して案内経路として設定するようにしたナビゲーション装置が提案されている。このようにすれば、以前設定した目的地点への案内経路で、ユーザーのお好みの案内経路を、簡単にかつ迅速に設定することができる。
【0007】
また、特許文献2(特開2008−180624号公報)に示されるように、出発地点と時刻情報と曜日情報が、過去に走行したことのある経路の情報と類似であった場合に、該経路の目的地点を今回の目的地点とし、該目的地点までの経路のナビゲーションを行うよう設定されたナビゲーション装置が提案されている。このようにすれば、以前行ったことのある目的地点への案内経路を、ユーザーが再度地点設定せずとも簡単に表示することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−30108号公報(段落[0008]、段落[0030]、段落[0031])
【特許文献2】特開2008−180624号公報(段落[0012])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献2に開示されている発明では、例えばユーザーの自宅から会社までの通勤経路など、頻繁に利用しており、ナビゲーションされる必要の無い場合にも経路案内が行われ、ユーザーにとっては煩わしいという問題点があった。
【0010】
また、上記特許文献1、2に開示されている発明では、過去に走行したことのある経路しか表示されず、過去の経路よりも時間若しくは距離が短縮される経路がある場合などでも過去の経路を表示し、ナビゲーション装置の本来の目的である、最適経路を案内するという役割を充分に果たしていないという問題点があった。
【0011】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々の検討を重ねた結果、経路案内を利用せずに走行した場合に、出発地点、目的地点、出発時刻、経路などを記憶しておき、ユーザーが車両に乗車した時点の情報である、出発地点、出発時刻などの情報が過去の経路情報と類似していた場合に、代表経路を探索して、記憶しておいた過去の経路と比較し、代表経路が優位(所要時間や距離が短い)である場合に、当該代表経路がある旨の報知を行うよう構成すれば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、ユーザーがよく利用している経路よりも距離、または所要時間が短い経路が存在したときにユーザーに報知することにより、ユーザーがナビゲーションを必要としているときにだけナビゲーションを行うナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、現在位置を検出する現在位置検出手段と、目的地点までの経路を探索する経路探索手段と、経路探索手段で探索された経路に従って経路案内を行う経路案内手段と、を備えたナビゲーション装置であって、
走行経路の情報を記憶する経路情報DBと、実際に走行した経路の情報を抽出し、前記経路情報DBに記憶する経路抽出記憶手段と、前記経路情報DBに記憶された経路の代表出発地点および代表目的地点を決定する代表決定手段と、前記経路探索手段により探索された前記代表出発地点から代表目的地点までの代表経路と、前記経路情報DBに記憶された経路の距離および/または所要時間を比較する経路比較手段と、を有し、
前記経路比較手段により、前記代表経路が前記経路よりも距離および/または所要時間で優位であると判別された場合、前記代表経路をユーザーに報知することを特徴とする。
【0014】
また、前記経路抽出記憶手段は、前記抽出した経路を類似経路同士分類して前記経路情報DBに記憶し、前記代表決定手段は、前記分類された類似経路の代表出発地点および代表目的地点を決定し、前記経路比較手段は、前記経路探索手段により探索された前記代表出発地点から代表目的地点までの代表経路と、前記分類された類似経路の距離および/または所要時間を比較し、
前記経路比較手段により、前記代表経路が前記類似経路よりも距離および/または所要時間で優位であると判別された場合、前記代表経路をユーザーに報知することを特徴とする。
【0015】
また、前記実際に走行した経路の情報には、出発地点の情報と目的地点の情報、さらに出発時刻の情報が含まれており、前記経路抽出記憶手段は、該経路の情報に基づき類似経路の分類を行うことを特徴とする。
【0016】
また、前記経路探索手段により探索される代表経路には前記分類された類似経路の代表出発時刻の情報が含まれており、
前記ナビゲーション装置の電源がONされた時点の現在位置と前記代表経路における代表出発地点が所定距離内にあり、且つ前記ナビゲーション装置の電源がONされた時刻と前記代表経路における代表出発時刻が所定時間内であるとき、前記代表経路をユーザーに報知することを特徴とする。
【0017】
また、前記類似経路は複数の経路で構成されており、前記代表決定手段は、該複数の経路における出発地点および目的地点から類似経路の代表出発地点および代表目的地点を決定することを特徴とする。
【0018】
また、前記代表決定手段は、前記複数の経路における出発地点または目的地点のそれぞれの中央値または最頻値を代表出発地点または代表目的地点とすることを特徴とする。
【0019】
また、前記ナビゲーション装置は、音声出力手段を有し、前記最適経路をユーザーに報知する際、音声によって報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願発明は、走行経路の情報を記憶する経路情報DBと、実際に走行した経路の情報を抽出し、前記経路情報DBに記憶する経路抽出記憶手段と、前記経路情報DBに記憶された経路の代表出発地点および代表目的地点を決定する代表決定手段と、前記経路探索手段により探索された前記代表出発地点から代表目的地点までの代表経路と、前記経路情報DBに記憶された経路の距離および/または所要時間を比較する経路比較手段と、を有し、
前記経路比較手段により、前記代表経路が前記経路よりも距離および/または所要時間で優位であると判別された場合、前記代表経路をユーザーに報知する。
【0021】
かかる構成によれば、ユーザーがよく利用している経路で、該経路が最適経路である場合、案内を行わず、よく利用している経路よりも優位性のある経路が存在する場合にのみ報知し、案内することが出来る
また、前記経路抽出記憶手段は、前記抽出した経路を類似経路同士分類して前記経路情報DBに記憶し、前記代表決定手段は、前記分類された類似経路の代表出発地点および代表目的地点を決定し、前記経路比較手段は、前記経路探索手段により探索された前記代表出発地点から代表目的地点までの代表経路と、前記分類された類似経路の距離および/または所要時間を比較し、
前記経路比較手段により、前記代表経路が前記類似経路よりも距離および/または所要時間で優位であると判別された場合、前記代表経路をユーザーに報知する。
【0022】
かかる構成によれば、ユーザーがよく利用している経路で、該経路が最適経路である場合、案内を行わず、よく利用している経路よりも優位性のある経路が存在する場合にのみ報知し、案内することが出来る。
【0023】
また、前記実際に走行した経路の情報には、出発地点の情報と目的地点の情報、さらに出発時刻の情報が含まれており、前記経路抽出記憶手段は、該経路の情報に基づき類似経路の分類を行う。
【0024】
かかる構成によれば、経路の情報に含まれる出発地点、目的地点、出発時刻すべてが所定距離内または時間内にある経路を類似経路とするので、類似経路を構成する経路すべてが近似の経路とすることができる。
【0025】
また、前記経路探索手段により探索される代表経路には前記分類された類似経路の代表出発時刻の情報が含まれており、
前記ナビゲーション装置の電源がONされた時点の現在位置と前記代表経路における代表出発地点が所定距離内にあり、且つ前記ナビゲーション装置の電源がONされた時刻と前記代表経路における代表出発時刻が所定時間内であるとき、前記代表経路をユーザーに報知する。
【0026】
かかる構成によれば、出発位置と出発時刻とが近似する代表経路が存在した場合、ユーザーに対して代表経路を報知できるので、ユーザーに対し、これから向かうであろう目的地までの最適経路を提供することができる。
【0027】
また、前記類似経路は複数の経路で構成されており、前記代表決定手段は、該複数の経路における出発地点および目的地点から類似経路の代表出発地点および代表目的地点を決定する。また、前記代表決定手段は、前記複数の経路における出発地点または目的地点のそれぞれの中央値または最頻値を代表出発地点または代表目的地点とする。
【0028】
かかる構成によれば、大幅なずれが生じない代表出発地点または代表目的地点を求めることができる。
【0029】
また、前記ナビゲーション装置は、音声出力手段を有し、前記最適経路をユーザーに報知する際、音声によって報知する。
【0030】
かかる構成によれば、比較経路の存在有無を音声によってユーザーは知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における経路情報DB16bに記憶されているデータの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施例かかるナビゲーション装置の走行経路データの記憶手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の経路分類の方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の経路比較の方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の報知方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0033】
図1は本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、自動車等の車両に搭載されることにより車載用として使用されるナビゲーション装置であってもよく、車両から取外されユーザーが携帯し使用できるタイプのものであってもよい。以下の説明においては、これらを総称してナビゲーション装置1という。
【0034】
ナビゲーション装置1は、制御手段10、現在位置検出手段11、経路探索手段12、経路案内手段13、時刻検出手段14、経路抽出記憶手段15、記憶手段16、代表決定手段17、経路比較手段18、表示手段19、入力手段20、音声出力手段21、報知制御手段22などを備えて構成されている。
【0035】
制御手段10は、図示しないCPU、RAM、ROMからなるプロセッサで構成され、RAM、ROMに記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置1の各部の動作を制御する。
【0036】
現在位置検出手段11は、例えばGPS受信機等で構成され、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの時刻情報を含む電波を受信し、それをもとに現在位置情報を算出するものである。
【0037】
さらに、現在位置検出手段11は、操角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなる自立航法手段を併用するようにしてもよい。この場合、車両の走行距離と走行方位とをそれぞれ検出し、これらの値を基準位置に対して積算することによって現在位置を求める。この現在位置検出方法は、GPS受信と組み合わせることで、GPS電波を受信できないトンネル内や、誤差が生じやすい高層ビル街において効果を発揮する。
【0038】
経路探索手段12は、入力手段20の操作により出発地点や目的地点が指定されると、地図情報DB16aに記憶されている道路データを参照し、出発地点から目的地点に至るまでの最適経路を探索し、案内経路データを作成するものである。この最適経路の探索は、現在位置またはユーザーによって指定された出発地点に対応する道路ノードからユーザーによって指定された目的地点に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法などの各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間などを累積し、総リンク長または総所要時間などが最短となる経路を案内経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを案内経路データとして提供するものである。
【0039】
経路探索手段12によって探索された案内経路は、経路案内手段13によって、表示手段19に現在位置周辺の地図画像と共に表示され、目的地点までの案内に用いられる。
【0040】
時刻検出手段14は、ナビゲーション装置1の電源がONまたはOFFされた時点の時刻を検出する。なお、時刻の検出は、上記GPS衛星から送信される電波に含まれる時刻情報から検出できるほか、別途時計部を設けることで検出することもできる。
【0041】
経路抽出記憶手段15は、経路探索および経路案内を受けることなく車両が走行する度に、出発地点から目的地点に至るまでに通過したノードを地図情報DB16aから抽出し、出発地点および目的地点と、時刻検出手段14で検出された出発時刻と共に、走行経路データとして経路情報DB16bに記憶する。このとき、出発地点から目的地点までの所要時間および距離のデータも併せて記憶させておくものとする。所要時間および距離は実際の走行データから得ることができる。また、経路探索手段12による経路探索によっても求めることができる。
【0042】
なお、出発地点とは、ナビゲーション装置1の電源がONされた時点で現在位置検出手段11により検出された地点であり、目的地点とは、ナビゲーション装置1の電源がOFFにされた時点で現在位置検出手段11により検出された地点である。
【0043】
ここで、走行経路データを経路情報DB16bに記憶する方法を説明する。
【0044】
経路抽出記憶手段15は、初めて走行経路データを取得すると、経路情報DB16b内に新しいグループ(グループ1)を作成し、作成したグループ(グループ1)内に、取得した走行経路データを記憶する。
【0045】
そして、次回以降の走行経路データの記憶は、取得した走行経路データに含まれる出発地点・目的地点・出発時刻の3つのデータが、経路情報DB16b内の各グループ内に記憶されている走行経路データに含まれる出発地点・目的地点・出発時刻の3つのデータとそれぞれ類似しているか否かを判別し、類似していると判別した場合、走行経路データを、類似している走行経路データが記憶されているグループ内に記憶する。類似していないと判別した場合は、新たなグループ(グループ2、グループ3・・・グループn)を作成し、作成したグループ内に走行経路データを記憶する。なお、以下、各グループ内に記憶された走行経路データを類似経路データと称し説明を行う。
【0046】
経路抽出記憶手段15によるデータの類似性の判定は、例えば、取得した走行経路データと類似経路データ双方の出発地点の距離差、および目的地点の距離差がそれぞれ所定の距離以下であり、且つ、双方のデータの出発時刻の時間差が所定時間以下である場合に類似と判定する。
【0047】
また、データの類似性を判定する際に用いる類似経路データは、各グループに一番初めに記憶された類似経路データの出発地点、目的地点、出発時刻を用いることができ、また同一のグループに複数の類似経路データが記憶されている場合は、各類似経路データに含まれる出発地点、目的地点、出発時刻の夫々中央値(平均値)を類似性の比較に用いることもできる。
【0048】
次に、図2を用いて経路情報DB16bに記憶されている類似経路データの説明を行う。
【0049】
図2は、経路情報DB16bに記憶されている類似経路データの一例を示す図である。経路探索および経路案内を受けることなく初めて車両で、自宅(緯度、経度:緯○・経○)から会社(緯度、経度:緯×・経×)まで走行した場合、経路抽出記憶手段15は、自宅で車のエンジンを始動させてから、会社に着いて駐車し、エンジンを停止させるまで、現在位置検出手段11により時々刻々検出される現在位置に対応したノードを地図情報DB16aから抽出し、会社に到着してエンジンを切った段階で、経路情報DB16b内に「グループ1」を作成し、出発地点としての自宅の位置情報と、目的地点としての会社の位置情報と、それらの間のノードデータであるノードデータ1と、出発時刻とを、作成した「グループ1」内に「No.1」の類似経路データとして記憶させる。なお、上述したとおり、走行経路データには、出発地点から目的地点までの所要時間(図示せず)と距離のデータ(図示せず)も併せて記憶させておくものとする。
【0050】
次に、会社から自宅まで走行した場合、会社から自宅までの走行経路データを、「No.2」の類似経路データとして記憶させるが、このとき、「No.1」の類似経路データと「No.2」の類似経路データには、出発地点、目的地点、出発時刻のデータに類似性が無いので、経路情報DB16b内に新たな「グループ2」を作成し、「グループ2」内に記憶させておく。以下、同様にして、経路探索および経路案内を受けることなく車両が走行する度に、走行経路データを経路情報DB16bに記憶させていく。図2に示す例では、グループ1〜グループ3まで類似経路データが分類され記憶された例を示している。さらに、図2に示す例では、後述する経路探索によって得られた最適経路に含まれるデータを代表経路データとして「グループ1代表」の項目で記憶されている。なお、代表経路データは、グループ毎に記憶されている。
【0051】
記憶手段16には、地図情報DB16aと、経路情報DB16bとがあり、地図情報DB16aには、各道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとし、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路ノードデータと道路リンクデータを含む道路データが記憶されている。道路ノードデータには、道路ノードの番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれる。また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノードの番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータにはさらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別は、高速道路や有料道路の別および国道や都道府県道などの別を含む情報である。
【0052】
道路データは、高速道路においてはそれぞれの高速道路に設けられたパーキングエリアやサービスエリアなどの特定エリアの位置情報、各特定エリアに該特定エリアへの進入路、該特定エリアからの脱出路の情報が含まれる。また、道路データは、高速道路、国道、県道、市区町村道などの道路種別や道路幅員、車線数などの属性情報を備え、上り、下りの進行方向別に地図データとして記憶される。
【0053】
地図情報DB16aは、さらに海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、施設の位置、形状、名称を含む施設データからなる背景データを記憶している。
【0054】
また、地図情報DB16aには、道路データや背景データの他、地図画像を見やすく表示するためにベクター形式で記憶された地図画像データを含んでいてもよい。
【0055】
これらの道路データと背景データおよび地図画像データは、ナビゲーション装置1を使用する際に、ナビゲーション装置1の現在位置を含む所定範囲の地図が地図情報DB16aから抽出され、現在位置を示す現在位置マークや案内経路の画像が重ね合わされて表示手段19に表示される。
【0056】
経路情報DB16bには、上述した通り、経路抽出記憶手段15によって、走行経路データがグループに分類され、類似経路データとして記憶される。
【0057】
代表決定手段17は、経路情報DB16b内の同一グループ内に記憶されている類似経路データが所定数以上になったときに、該グループの代表出発地点と代表目的地点と代表出発時刻とを決定する。そして、経路探索手段12により代表出発地点から代表目的地点までの最適経路が探索されると、探索された最適経路を仮の代表経路データとしてRAMに一時記憶する。この仮の代表経路データには、代表出発地点、代表目的地点、最適経路間に位置するノードデータ、代表出発時刻のデータが含まれる。
【0058】
なお、最適経路の探索は前述のように経路情報DB16b内における同一グループ内に記憶されている類似経路データの数が所定数に達した時に自動的に行う方法の他、ユーザーが車両に乗車してイグニッションをオンした時に自動的に行う方法等がある。
【0059】
また、最適経路とは、上述したとおり、ユーザーによって指定された出発地点に対応する道路ノードからユーザーによって指定された目的地点に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法などの各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間などを累積し、総リンク長または総所要時間などが最短となる経路である。
【0060】
また、代表出発地点、代表目的地点および代表出発時刻は、同一グループ内に記憶されている各類似経路データの出発地点、目的地点および出発時刻のそれぞれの中央値でもよいし、最頻値をとってもよい。
【0061】
また、最適経路の探索にあたっては、代表出発地点、代表目的地点を経路探索の条件とするだけでなく、代表出発時刻も経路探索の時刻条件として加えることが好ましい。このように時刻条件を加えることで、時間帯別で異なる交通情報(一方通行規制、時間帯別渋滞情報等)に応じた最適経路の探索が可能となる。
【0062】
経路比較手段18は、RAMに一時記憶された仮の代表経路データと、仮の代表経路データと同一グループ内の類似経路データとを比較し、仮の代表経路データ(代表出発地点から代表目的地点までの最適経路)が、同一グループ内の全ての類似経路データの経路よりも所要時間が短い、または距離が短いなどの優位性があった場合、仮の代表経路データをグループ内の代表経路データとしてグループ内に記憶する。なお、仮の代表経路データが、同一グループ内の全ての類似経路データの経路よりも所要時間が短い、または距離が短いなどの優位性がない場合は、仮の代表経路データは消去される。
【0063】
表示手段19は、LCDなどのディスプレイパネルから構成される表示画面を備えた表示ユニットであり、地図画像や探索経路、現在位置検出手段11で決定した現在位置などを表示する。
【0064】
入力手段20は、操作ボタンやタッチパネルなどにより構成され、ナビゲーション装置1の各種機能を操作したり、所要の数値や文字を入力したりするものである。
【0065】
音声出力手段21は、ナビゲーション装置1における各種音声報知を行う。
【0066】
次に、図3〜図6を参照して本発明の実施例におけるナビゲーション装置1の動作を説明する。図3は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置1の走行経路データの記憶手順を示すフローチャート、図4は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置1のグループの分類方法を示すフローチャート、図5は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置1の経路比較の方法を示すフローチャート、図6は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置1の報知方法を示すフローチャートである。
【0067】
まず、図3のフローチャートを用いて、走行経路データの記憶手順を説明する。
【0068】
ナビゲーション装置1の電源がONされたか否かを判別し(ステップS301)、電源がONされると、現在位置検出手段11によって現在位置が検出され(ステップS302)、検出された現在位置が、経路抽出記憶手段15により制御手段10内のRAMに出発地点として一時記憶される(ステップS303)。同様に、時刻検出手段14によって現在時刻が検出され(ステップS304)、経路抽出記憶手段15により制御手段10内のRAMに出発時刻として一時記憶される(ステップS305)。
【0069】
次に、走行が開始されると、経路抽出記憶手段15は、現在位置検出手段11によって時々刻々検出される現在位置に対応したノードを地図情報DB16aから抽出し、通過したノードを制御手段10内のRAMに一時記憶する(ステップS306)。
【0070】
ナビゲーション装置1の電源がOFFされると(ステップS307)、目的地点に到着したと判断し、現在位置検出手段11によって現在位置が検出され(ステップS308)、検出された現在位置が、経路抽出記憶手段15により制御手段10内のRAMに目的地点として一時記憶される(ステップS309)。その後、経路抽出記憶手段15により、ステップS303、S305、S306、S309でRAMに一時記憶した各種データを、走行経路データとして経路情報DB16b内の、何れかのグループに分類して記憶される(ステップS310)。
【0071】
ステップS307の処理において電源がOFFされた場合に備え、別途内部電源を設けておき、内部電源を用いることでステップS307以降の処理を行うことが可能となる。内部電源を設けない場合は、次回電源がONされたときにステップS307以降の処理を行うようにしてもよい。
【0072】
次に、ステップS310での、走行経路データのグループ分けの方法について図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0073】
経路抽出記憶手段15は、まず、経路情報DB16bに類似経路データが記憶されたグループが存在するか否かの判別を行い(ステップS401)、類似経路データが記憶されているグループが全くなければ、ステップS408に進み、新たなグループを作成し、作成したグループ内に一時記憶してある走行経路データを記憶する。ステップS401の処理において、類似経路データが記憶されているグループがあれば、該グループ内の、類似経路データの出発地点と、一時記憶してある走行経路データの出発地点との距離の差Zsを算出し、距離の差Zsと、所定値zsとの比較を行い(ステップS402)、比較の結果がZs<zsであった場合、該グループ内の、該類似経路データの目的地点と、一時記憶してある走行経路データの目的地点との距離の差Zgを算出し、距離の差Zgと、所定値zgとの比較を行い(ステップS403)、比較の結果がZg<zgであった場合、該グループ内の、該類似経路データの出発時刻と、一時記憶してある走行経路データの出発時刻との時間の差Ztを算出し、出発時刻の差Ztと、所定値ztとの比較を行い(ステップS404)、比較の結果がZt<ztであった場合、一時記憶してある走行経路データをグループ内の新たな類似経路データとして記憶する(ステップS405)。
【0074】
ここで、出発地点および目的地点の距離の所定値zsおよび所定値zgは、最適経路を探索する際に、所要時間や距離の誤差が生じない程度の距離範囲とする。
【0075】
ステップS402〜ステップS404において、算出したZs、Zg、Ztの値がそれぞれ所定値zs、zg、zt以上であった場合、全てのグループについて比較を行ったか否かの判別を行う(ステップS406)。まだ比較していないグループが存在すれば、次のグループへと移り(ステップS407)、比較を行う。全てのグループについて比較を行い、一時記憶している走行経路データが、経路情報DB16bに含まれる全てのグループと類似していなかった場合、新たなグループを作成し、作成したグループ内に一時記憶してある走行経路データを記憶し(ステップS408)、処理を終了する。
【0076】
ステップS405の処理の後、該グループ内に類似経路データが所定数以上あるか否かの判別を行う(ステップS409)。所定数以上無い場合、処理を終了し、所定数以上ある場合、代表決定手段17により、該グループ内の各類似経路データの出発地点から代表出発地点が算出される(ステップS410)。
【0077】
そして、ステップS410の処理と同様にして、該グループ内の代表目的地点が算出され(ステップS411)、代表出発時刻も算出される(ステップS412)。代表決定手段17により代表出発地点、代表目的地点、代表出発時刻が算出されると、次に、経路探索手段12によって、代表出発地点から代表目的地点までの最適経路が探索され、探索された最適経路を仮の代表経路データとしてRAMに一時記憶する(ステップS413)。そして、経路比較手段18により、該グループ内の各類似経路データの経路と、RAMに一時記憶された仮の代表経路データとの比較が行われる(ステップS414)。
【0078】
ステップS414での経路比較処理について、図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0079】
経路比較手段18は、まず、ステップS413の処理においてRAMに一時記憶された仮の代表経路データを呼び出し(ステップS501)、次に、同一グループ内の類似経路データの情報を経路情報DB16bから呼び出す(ステップS502)。そして、仮の代表経路データの所要時間Atと、類似経路データの経路の所要時間Btとの比較を行う(ステップS503)。そして比較の結果がAt≧Btであった場合、呼び出した類似経路データの経路の距離Blと、代表経路データの距離Alとの比較を行う(ステップS504)。そして比較の結果がAl≧Blであった場合、経路比較の処理を終了する。
【0080】
比較の結果がAl<Bl、若しくは、At<Btであった場合、同一グループ内の類似経路データ全てについて比較を行ったか否かの判別を行い(ステップS505)、全ての類似経路データの比較が行われていなければ次の類似経路データの情報を呼び出し(ステップS506)、全てのデータについて比較が行われていれば、RAMに一時記憶されていた仮の代表経路データを同一のグループ内の代表経路データとしてグループ内に記憶させる(ステップS507)。
【0081】
なお、図5においては、仮の代表経路データにおける距離と所要時間の何れか一方が、類似経路データにおける距離または所要時間よりも優位性があるか否かを判別する処理として説明したが、実際には距離および所要時間の両方に優位性がある場合もあり、このように両方に優位性がある場合もステップS505以降の処理を行うものとする。
【0082】
次に、ナビゲーション装置1は、電源がONされた時に、代表経路データを報知するか否かの判別を行う。その処理を、図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0083】
電源がONされると(ステップS601)、現在位置検出手段11により現在位置が検出され(ステップS602)、時刻検出手段14により現在時刻が検出される(ステップS603)。報知制御手段22は、代表経路データを記憶しているグループが存在するか否かを判別し(ステップS604)、存在しなかった場合、処理を終了する。S604の処理において、存在した場合、ステップS602により検出された現在位置と、代表経路データの代表出発地点との差D1と所定値d1とを比較し(ステップS605)、比較の結果がD1<d1であれば、ステップS603により検出された現在時刻と、代表経路データの代表出発時刻との差D2と所定値d2とを比較する(ステップS606)。ステップS606の比較の結果がD2<d2であれば、音声出力手段21から、「目的地点が○○であれば、最適経路がありますが、表示しますか。」などの報知を出力し(ステップS607)、本発明の処理を終了する。比較の結果がD1≧d1、若しくは、D2≧d2であれば、代表経路データの存在する全てのグループについて検索したか否かを判別し(ステップS608)、まだ検索していないグループが存在すれば、代表経路データの存在する次のグループに移行し(ステップS609)、全てのグループについて検索が終了していれば、処理を終了する。
【0084】
なお、ステップS607の処理において、ユーザーにより代表経路データの表示指示があった場合は、経路案内手段13により代表経路データが表示手段19に表示され目的地点まで案内される。
【0085】
以上が本発明の実施例におけるナビゲーション装置1の動作を説明であるが、上記実施例の説明において、電源がONされた時に、代表経路データが存在すれば、常に代表経路データを報知するよう構成していたが、ユーザーが代表経路データの有無を知りたい場合にだけ、代表経路データを報知するよう構成してもよい。
【0086】
また、上記実施例の説明においては、走行経路データには出発地点、目的地点、出発時刻、出発地点から目的地点までのノード列からなる経路を含むよう構成していたが、この他に、月や曜日の情報も含むよう構成してもよい。
【0087】
月の情報を含むようにした場合、季節によって走行することが困難な道路、例えば冬に雪が積もって走行が困難な道路、を回避するような経路をユーザーに提供することが可能になる。また、曜日の情報を含むようにした場合、より細かく分類することが可能になる。
【0088】
また、走行経路データに含まれるデータに、目的地点で電源がOFFされた時刻である到着時刻を含むように構成してもよく、到着時刻を類似性の判定や、代表出発時刻と同様に算出した代表到着時刻を最適経路の探索時における時刻条件などに用いてもよい。
【0089】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるナビゲーション装置によれば、ユーザーがよく利用している経路よりも距離、または所要時間が短い経路が存在したときにユーザーに報知することにより、ユーザーがナビゲーションを必要としているときにだけナビゲーションを行うナビゲーション装置を提供することができるようになる。
【符号の説明】
【0090】
1 :ナビゲーション装置
10 :制御手段
11 :現在位置検出手段
12 :経路探索手段
13 :経路案内手段
14 :時刻検出手段
15 :経路抽出記憶手段
16 :記憶手段
16a:地図情報DB
16b:経路情報DB
17 :代表決定手段
18 :経路比較手段
19 :表示手段
20 :入力手段
21 :音声出力手段
22 :報知制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地点までの経路を探索する経路探索手段と、
経路探索手段で探索された経路に従って経路案内を行う経路案内手段と、を備えたナビゲーション装置であって、
走行経路の情報を記憶する経路情報DBと、
実際に走行した経路の情報を抽出し、前記経路情報DBに記憶する経路抽出記憶手段と、
前記経路情報DBに記憶された経路の代表出発地点および代表目的地点を決定する代表決定手段と、
前記経路探索手段により探索された前記代表出発地点から代表目的地点までの代表経路と、前記経路情報DBに記憶された経路の距離および/または所要時間を比較する経路比較手段と、を有し、
前記経路比較手段により、前記代表経路が前記経路よりも距離および/または所要時間で優位であると判別された場合、前記代表経路をユーザーに報知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路抽出記憶手段は、前記抽出した経路を類似経路同士分類して前記経路情報DBに記憶し、前記代表決定手段は、前記分類された類似経路の代表出発地点および代表目的地点を決定し、前記経路比較手段は、前記経路探索手段により探索された前記代表出発地点から代表目的地点までの代表経路と、前記分類された類似経路の距離および/または所要時間を比較し、
前記経路比較手段により、前記代表経路が前記類似経路よりも距離および/または所要時間で優位であると判別された場合、前記代表経路をユーザーに報知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記実際に走行した経路の情報には、出発地点の情報と目的地点の情報、さらに出発時刻の情報が含まれており、前記経路抽出記憶手段は、該経路の情報に基づき類似経路の分類を行うことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路探索手段により探索される代表経路には前記分類された類似経路の代表出発時刻の情報が含まれており、
前記ナビゲーション装置の電源がONされた時点の現在位置と前記代表経路における代表出発地点が所定距離内にあり、且つ前記ナビゲーション装置の電源がONされた時刻と前記代表経路における代表出発時刻が所定時間内であるとき、前記代表経路をユーザーに報知することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記類似経路は複数の経路で構成されており、前記代表決定手段は、該複数の経路における出発地点および目的地点から類似経路の代表出発地点および代表目的地点を決定することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記代表決定手段は、前記複数の経路における出発地点または目的地点のそれぞれの中央値または最頻値を代表出発地点または代表目的地点とすることを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記ナビゲーション装置は、音声出力手段を有し、
前記最適経路をユーザーに報知する際、音声によって報知することを特徴とする請求項1、2、5の何れかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−164319(P2010−164319A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4499(P2009−4499)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】