説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置において、自車位置から目的地までの経路の様子を運転者に分かりやすく知らせるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置は、目的地32を設定し、自車位置30を検出する。そして、自車位置30から目的地32までの経路を表す要約地図23を作成し、この要約地図23と、通常の地図22と、交差点拡大図21とを表示モニタに同時に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示モニタの画面を左右に分割して、一方の画面領域には通常の地図を表示し、もう一方の画面領域には車両が曲がるべき誘導地点付近の地図を表示するナビゲーション装置が利用されている。このようなナビゲーション装置において、車両が誘導地点に接近するほど、その誘導地点付近の地図を拡大して表示する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−54936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来の技術では、通常の地図と誘導地点付近の地図が同時に表示される。しかし、自車位置から目的地までの経路の地図は表示されない。したがって、自車位置から目的地までの経路の様子を運転者が知りたい場合でも、それを分かりやすく知らせることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるナビゲーション装置は、目的地を設定する目的地設定手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、自車位置から目的地までの経路を表す要約地図を作成する要約地図作成手段と、要約地図が表示された要約地図画面を含む3つ以上の画面を表示モニタに同時に表示する表示制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車位置から目的地までの経路の様子を運転者に分かりやすく知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態によるナビゲーション装置においてルート案内の際に表示される地図画面の一例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態によるナビゲーション装置において地図画面を表示する際に実行される処理のフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態によるナビゲーション装置においてルート案内の際に表示される地図画面の一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態によるナビゲーション装置において地図画面を表示する際に実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
−第1の実施の形態−
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1において示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報受信部15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備えている。
【0009】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、後で説明するような各種の処理を実行する。
【0010】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することで、制御部10において自車両の位置移動量が求められ、それによって自車両の現在位置および自車両の向く方角が検出される。
【0011】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0012】
なお、HDD13に記録された地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状や種別を表す。背景データは、河川や鉄道などの道路以外の地図形状や、各種施設の位置などを表す。なお、地図データにおいて各道路を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクによって構成されている。
【0013】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0014】
VICS情報受信部15は、図示しないVICSセンターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報により、渋滞情報や通行規制情報、駐車場情報などの様々な道路交通情報がナビゲーション装置1に対して送信され、ナビゲーション装置1において取得される。VICS情報受信部15により受信されたVICS情報は、制御部10に出力され、制御部10において推奨経路を探索するときに利用される。また、その内容が表示モニタ16に表示される。
【0015】
なお、VICSセンターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0016】
表示モニタ16は、様々な画像や映像を表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。この表示モニタ16により、自車位置周辺の地図や、次の誘導交差点までの要約地図などが表示される。なお、表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、運転席から見やすい位置に設置されている。スピーカ17は、制御部10の制御により、経路案内用の音声などが出力される。
【0017】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0018】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理によって出発地から目的地までの経路を探索し、これを推奨経路に設定する。こうして推奨経路が設定されると、他の道路とは異なる色を使用するなどの方法により、他の道路とは区別して推奨経路が地図上に表示される。これにより、ユーザは表示モニタ16に表示される地図画面において、推奨経路を容易に認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このようにして、目的地までのルート案内が行われる。
【0019】
上記のルート案内の際に、ナビゲーション装置1は、推奨経路のうち自車位置から目的地までの部分の経路(以下、単に経路と称する)を表すために、道路形状を簡略化した要約地図を作成し、作成した要約地図を通常の地図と共に表示モニタ16に表示する。さらに、自車位置から最も近い誘導地点までの距離を求め、これが所定値未満である場合は、当該誘導地点における自車両の進行方向を示すために、当該誘導地点付近を拡大した交差点拡大図を表示モニタ16に表示する。こうして3つの地図画面を同時に表示する。なお、誘導地点とは、推奨経路にしたがって自車両が走行できるように、ナビゲーション装置1が運転者に対して音声や画面表示などによる方向指示案内を行う対象の地点のことである。具体的には、推奨経路上で自車両の進行方向が変化する地点、たとえば右左折交差点、分岐地点、合流地点などが誘導地点として設定される。
【0020】
以上説明したようにして通常の地図と共に要約地図および交差点拡大図を表示したら、ナビゲーション装置1は、これらの地図の上に、誘導地点において自車両が曲がるべき方向を示すための矢印を重ね合わせて表示する。ルート案内の際には、こうして要約地図と交差点拡大図を表示することで、自車両を目的地まで誘導する。なお、要約地図の具体的な作成方法については、後で説明する。
【0021】
図2は、ルート案内の際に本実施形態のナビゲーション装置1において表示モニタ16に表示される地図画面の一例である。図2に示すように、ナビゲーション装置1は、表示モニタ16の画面を3つの画面領域に分割し、左側の画面領域には交差点拡大図21を表示し、中央の画面領域には通常の地図22を表示し、右側の画面領域には要約地図23を表示する。
【0022】
交差点拡大図21では、自車位置30から最も近い誘導地点34の周囲が拡大表示されている。この交差点拡大図21は、HDD13に記憶されている交差点ごとに対応した画像データを使用してもよいし、通常の地図22と同じ地図データから生成してもよい。誘導地点34には、自車両の進行方向を示す矢印が表示されると共に、目印となる施設を示すアイコン33が表示されている。なお、ここでは道路形状を簡略化した交差点拡大図を例示したが、通常の地図を拡大して表示してもよい。
【0023】
地図22は、HDD13に記録された地図データが表す道路形状の地図であり、自車位置30から所定の範囲内における道路の様子を表している。この地図22では、出発地31から目的地に向かって延びる推奨経路が他の道路と異なる色などによって識別可能に表示されている。推奨経路上には、地図範囲内に存在する誘導地点34、35および36が示されている。また、VICS情報受信部15により受信されたVICS情報に基づいて、道路上の渋滞区間を示す渋滞情報51、52および53が地図22上に表示されている。
【0024】
要約地図23は、自車位置30から目的地32までの経路を表しており、HDD13に記録された地図データに基づいて当該経路を含む道路の形状を簡略化することにより作成された地図である。自車両が目的地32に向かって走行することにより自車位置30が変化すると、それに応じて要約地図23に表示される経路の範囲が連続的に変化する。この変化に応じて、要約地図23の縮尺も連続的に変化する。このような地図縮尺の変化はフリーズームと呼ばれる。
【0025】
要約地図23には、自車位置30から目的地32までの間にある誘導地点34、35、36および37が示されており、このうち誘導地点34には交差点拡大図21と同様に、目印となる施設のアイコン33が表示されている。また、前述の渋滞情報51〜53のうち、要約地図23が表す経路の渋滞区間を示す渋滞情報53も表示されている。
【0026】
なお、要約地図23が表す経路には、道路41と道路42が接続している。この道路41と42は、交差点拡大図21および地図22では両方とも表示されているが、要約地図23では一方の道路41のみが表示されており、道路42は表示されていない。このような表示内容の差は、経路に接続する道路の中から要約対象道路を選択し、選択した要約対象道路の形状と経路の形状を簡略化して要約地図23を作成することによって行われる。具体的な要約対象道路の選択方法については、後で詳しく説明する。
【0027】
以上説明したように、ナビゲーション装置1は、交差点拡大図21、地図22および要約地図23を表示モニタ16に同時に表示する。これにより、自車位置30から目的地32までの経路の様子を運転者に分かりやすく知らせるようにする。
【0028】
なお、図2において、交差点拡大図21、地図22および要約地図23は、予め定められた同一の方角に向けて、たとえば北が画面上側になるようにそれぞれ表示されている。これにより、各地図が互いに同じ方角を向くように表示モニタ16に表示される。あるいは、上記の各地図を自車両が向いている方角に向けてそれぞれ表示し、その方角に合わせて自車位置30の向きを表示することにより、各地図が互いに同じ方角を向くようにしてもよい。このように3つの地図が同じ方角を向いていると、ユーザにとって3つの地図の方角が把握しやすくなる。ただし、ユーザの要求などにより、これらの3つの地図のそれぞれの向きが異なるようにしてもよい。
【0029】
以上説明したような地図画面を表示する際に実行される処理のフローチャートを図3に示す。このフローチャートは制御部10によって実行される。ステップS10において、制御部10は、出発地と目的地を設定する。すなわち、前述のように現在の自車位置を出発地として設定すると共に、ユーザによる入力装置18の操作に応じて自車両の目的地を設定する。これにより、図2の出発地31と目的地32が設定される。ステップS20において、制御部10は、ステップS10で設定した出発地から目的地までの推奨経路を探索する。
【0030】
ステップS30において、制御部10は、ステップS20で探索した推奨経路上に誘導地点を設定する。ここでは、推奨経路において右左折交差点などのように自車両の進行方向が変化する地点を誘導地点に設定する。これにより、図2の誘導地点34〜37が推奨経路上に設定される。
【0031】
ステップS40において、制御部10は自車位置を検出する。ここでは前述のように、振動ジャイロ11、車速センサ12、GPS受信部14などの各種センサから出力される検出結果に基づいて、自車位置を検出する。これにより、図2の自車位置30が検出される。ステップS50において、制御部10は、HDD13に記録された地図データに基づいて、ステップS40で検出した自車位置付近を表した通常の地図を表示モニタ16に表示する。これにより、図2の地図22が表示される。
【0032】
ステップS60において、制御部10は、ステップS40で検出した自車位置からステップS10で設定した目的地までの距離を算出する。このとき、自車位置から目的地までの直線距離を求めてもよいし、あるいは、自車位置から目的地までの経路の道のりを求めてもよい。
【0033】
ステップS70において、制御部10は、要約地図の縮尺を設定する。ここでは、自車位置と目的地が画面内に設定された表示領域に入る範囲でなるべく大きな地図縮尺となるように、要約地図の縮尺を設定する。これにより、自車位置が目的地に近づくにつれて大きい縮尺となるように、要約地図の縮尺が設定される。あるいは、ステップS60で算出した距離に基づいて、その距離が短くなるほど大きい縮尺となるように、要約地図の縮尺を設定することとしてもよい。
【0034】
ステップS80において、制御部10は、要約対象道路を選択する。ここでは、ステップS40で検出した自車位置から目的地までの経路上にある道路と、経路に接続する道路の中からいずれかの道路とを、要約対象道路として選択する。このうち経路に接続する道路については、ステップS30で設定した誘導地点において経路に接続する道路を優先して選択するようにする。これにより、誘導地点での自車両の進行方向を要約地図上で分かるようにする。なお、誘導地点の数が多すぎる場合は、一部の道路を省略してもよい。
【0035】
一方、誘導地点以外で経路に接続する道路については、道路種別に基づいて要約対象道路を選択することができる。すなわち、経路に接続する道路のうちで道路種別のより高い道路を優先的に要約対象道路として選択する。たとえば、国道と一般道が経路に接続している場合は、国道を要約対象道路に選択し、一般道は選択しないようにする。
【0036】
または、経路に接続する道路と自車位置または目的地との距離に基づいて要約対象道路を選択してもよい。たとえば、自車位置により近い位置で経路に接続する道路や、反対に目的地により近い位置で経路に接続する道路を、優先的に要約対象道路として選択する。このとき、経路の中間地点を境界にして選択方法を切り換えることもできる。たとえば、自車位置から経路の中間地点の間では、自車位置により近い位置で経路に接続する道路を優先的に要約対象道路として選択し、経路の中間地点から目的地の間では、目的地により近い位置で経路に接続する道路を優先的に要約対象道路として選択する。
【0037】
なお、以上説明したような要約対象道路の選択は、経路に接続する道路の合計数が所定のしきい値を超えたときに実行するのが好ましい。このしきい値の大きさは、経路の長さに応じて変化させてもよい。さらに、経路に接続する複数の道路が互いに所定距離以内に隣接している場合は、経路に接続する道路の合計数がしきい値を超えているか否かに関わらず、その隣接している複数の道路のうちいずれか1つを要約対象道路として選択することが好ましい。このとき、隣接していると判断する道路間の距離を経路の長さに応じて変化させてもよい。
【0038】
以上説明した要約対象道路の選択方法は一例であるため、他の選択方法を用いてもよい。たとえば、道路の幅や車線数、渋滞状況、過去の走行履歴などに基づいて要約対象道路を選択することもできる。なお、複数の選択方法を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
ステップS90において、制御部10は、HDD13に記録された地図データに基づいて、ステップS80で選択した要約対象道路の形状を簡略化することにより、要約地図の作成を行う。このとき、経路上の道路については、推奨経路を構成する各リンクのうち、自車位置に対応するリンクと、そのリンクから目的地での間に存在するリンクとを要約地図の作成対象とする。また、経路に接続する道路については、経路のリンクに直接つながっているリンクを要約地図の作成対象とする。これらの各リンクをその長さに応じて直線化し、さらに各リンクの交差角度を所定の角度単位、たとえば45°単位で量子化することにより、要約地図を作成する。なお、ここで述べた要約地図の作成方法は一例であるため、他の方法を用いてもよい。すなわち、要約対象道路の形状を簡略化することができれば、どのような要約地図の作成方法であってもよい。
【0040】
ステップS100において、制御部10は、ステップS90で作成した要約地図を表示モニタ16に表示する。これにより、図2の要約地図23が表示される。
【0041】
ステップS110において、制御部10は、ステップS40で検出した自車位置から、ステップS30で設定した誘導地点のうち自車位置に最も近い誘導地点までの距離が、所定値未満であるか否かを判定する。所定値未満である場合、たとえば1km以内である場合には、制御部10は次のステップS120へ進む。ステップS120において、制御部10は、自車位置から最も近い誘導地点の周囲を拡大した交差点拡大図を表示モニタ16に表示する。これにより、自車位置から所定距離内にある最も近い交差点などの誘導地点について、図2の交差点拡大図21が表示される。ステップS120を実行したら、制御部10はステップS130へ進む。
【0042】
一方、ステップS110において自車位置から最も近い誘導地点までの距離が所定値以上であると判定した場合、制御部10はステップS120を実行せずにステップS130へ進む。これにより、自車位置から最も近い誘導地点までの距離が所定値以上である場合は、交差点拡大図21が表示されない。
【0043】
ステップS130において、制御部10は、自車両が目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合は、図3のフローチャートを終了する。一方、まだ目的地に到着していない場合は、ステップS40へ戻って上記の処理を繰り返す。これにより、ステップS40で検出した新たな自車位置に応じて、ステップS50で表示した地図と、ステップS100で表示した要約地図と、ステップS120で表示した交差点拡大図との内容が更新される。
【0044】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、目的地を設定し(ステップS10)、自車位置を検出する(ステップS40)。そして、自車位置から目的地までの経路を表す要約地図を作成し(ステップS90)、この要約地図と、通常の地図と、交差点拡大図とを表示モニタ16に同時に表示する(ステップS100、S50、S120)。このようにしたので、自車位置から目的地までの経路の様子を運転者に分かりやすく知らせることができる。
【0045】
(2)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、経路に接続する道路の中から要約の対象道路を選択する(ステップS80)。ステップS90では、この対象道路と経路の形状を簡略化することにより、要約地図を作成する。このようにしたので、自車位置から目的地までの経路の様子を分かりやすく表した要約地図を作成することができる。
【0046】
(3)制御部10は、ステップS80において、経路に接続する複数の道路が互いに隣接する場合に、その複数の道路のうちいずれか1つを要約の対象道路として選択することができる。このようにすれば、要約地図上で互いに重なってしまうほど隣接する道路があるときに、その一方を表示しないようにして見やすい要約地図を提供することができる。
【0047】
(4)また制御部10は、ステップS80において、経路に接続する道路の種別や、経路に接続する道路と自車位置または目的地との距離に基づいて、要約の対象道路を選択することができる。このようにすれば、自車位置から目的地までの経路の様子を要約地図において分かりやすく表すために適切な道路を要約の対象道路として選択することができる。
【0048】
(5)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、経路上に誘導地点を設定する(ステップS30)。ステップS80では、この誘導地点において経路に接続する道路を優先して要約の対象道路を選択する。このようにしたので、誘導地点での自車両の進行方向を要約地図において分かりやすく表示することができる。
【0049】
なお、以上説明した第1の実施の形態では、自車位置から誘導地点までの距離が所定値未満となったときに交差点拡大図を表示することとしたが、自車位置から誘導地点までの距離に関わらず常に交差点拡大図を表示してもよい。あるいは、ユーザの操作に応じて交差点拡大図の表示を切り換えてもよい。
【0050】
−第2の実施の形態−
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態によるナビゲーション装置は、自車位置から目的地までの複数の経路についてそれぞれ要約地図を作成し、作成した複数の要約地図を同時に表示する。これにより、複数の経路の様子を運転者に分かりやすく知らせるようにしている。なお、本実施の形態によるナビゲーション装置の構成は、図1に示す第1の実施の形態によるナビゲーション装置1の構成と同じである。したがって以下の説明は、このナビゲーション装置1の構成を用いて行うこととする。
【0051】
図4は、ルート案内の際に本実施形態のナビゲーション装置1において表示モニタ16に表示される地図画面の一例である。図4に示すように、ナビゲーション装置1は、表示モニタ16の画面を3つの画面領域に分割し、中央の画面領域には図2と同様に通常の地図22を表示する。また、左側の画面領域と右側の画面領域には、別の経路を表す要約地図23、24をそれぞれ表示する。なお、要約地図23は、図2の地図画面において右側の画面領域に表示したのと同じものである。
【0052】
要約地図23は、自車位置30から、誘導地点34、35、36および37を経由して目的地32へ至る経路を表している。誘導地点34には、目印となる施設を示すアイコン33が表示されている。また、誘導地点36の手前には、渋滞情報53が表示されている。この要約地図23が表す経路は、地図22において実線により示されている。
【0053】
一方、要約地図24は、誘導地点34、38および37を経由して目的地32へ至る経路を表している。誘導地点34には、要約地図23と同様に目印となる施設を示すアイコン33が表示されている。また、誘導地点38の付近には、渋滞情報51と52が表示されている。この要約地図24が表す経路は、地図22において破線により示されている。
【0054】
以上説明したような地図画面を表示する際に実行される処理のフローチャートを図5に示す。このフローチャートは制御部10によって実行される。なお、図5のフローチャートでは、図3に示す第1の実施の形態によるフローチャートと同じ内容の処理ステップに対して、同一のステップ番号を付与している。以下、この同一ステップ番号の部分を省略して図3の説明を行う。
【0055】
ステップS21において、制御部10は、ステップS10で設定した出発地から目的地までの推奨経路を複数探索する。このとき、たとえば複数種類の経路探索条件を設定し、それぞれの条件において最適な推奨経路を求めることで、複数の推奨経路を探索することができる。あるいは、1つの経路探索条件で複数の推奨経路を探索してもよい。
【0056】
ステップS51において、制御部10は、ステップS21で探索した複数の推奨経路の中からいずれかを選択する。こうして選択した推奨経路のうち自車位置から目的地までの経路に対して、制御部10は図3で説明したようなステップS60〜S100の処理を実行することにより、要約地図を作成して表示モニタ16に表示する。
【0057】
ステップS101において、制御部10は、全経路の要約地図を表示したか否かを判定する。全経路の要約地図を表示した場合、すなわちステップS21で探索した全ての推奨経路をステップS51において選択し、その各推奨経路について自車位置から目的地までの経路を現す要約地図を作成して表示モニタ16に表示済みである場合は、ステップS130へ進む。一方、全経路の要約地図を表示済みでない場合は、ステップS51へ戻って新たに推奨経路を選択した後、ステップS60〜S100の処理を繰り返す。これにより、複数の要約地図が作成されて同時に表示モニタ16に表示される。
【0058】
ステップS130において目的地に到着したと判定した場合、制御部10は図5のフローチャートを終了する。一方、まだ目的地に到着していないと判定した場合は、ステップS40へ戻って上記の処理を繰り返す。
【0059】
以上説明した第2の実施の形態によれば、制御部10は、ステップS90において、複数の経路について要約地図を作成することにより要約地図を複数作成する。ステップS100では、こうして作成された複数の要約地図を同時に表示モニタ16に表示する。このようにしたので、複数の経路の様子を運転者に分かりやすく知らせることができる。
【0060】
なお、以上説明した各実施の形態では、自車位置から目的地までの経路を表す要約地図を常に表示することとしたが、当該経路についての渋滞情報が取得されたときに要約地図を表示することとしてもよい。すなわち、VICS情報受信部15によって受信したVICS情報の中に、自車位置から目的地までの経路上のいずれかの地点における渋滞情報が含まれていた場合は、要約地図を表示モニタ16に表示し、その要約地図上に渋滞情報を表示する。しかし、経路上の渋滞情報が含まれていない場合は、要約地図を表示せずに通常の地図のみ、または通常の地図と交差点拡大図のみを表示モニタ16に表示する。このようにすれば、経路上に渋滞が発生しているときに、その渋滞情報を運転者に分かりやすく示すことができる。
【0061】
また、以上説明した各実施の形態では、図2または図4の地図画面に示すように、表示モニタ16の画面を3つの画面領域に分割し、分割した画面領域のそれぞれに前述の3種類の地図、すなわち交差点拡大図21、地図22および要約地図23、または地図22、要約地図23および24をそれぞれ表示する例を説明した。しかし、ナビゲーション装置1に表示モニタ16を3つ搭載し、その3つの表示モニタ16に上記の3種類の地図をそれぞれ表示してもよい。あるいは、表示モニタ16を2つ使用し、そのうち一方の画面を二分割して3種類の地図のうちいずれかを2つを表示し、もう一方に残りの地図を表示してもよい。これ以外にも、3種類の地図を同時に表示できれば、表示モニタ16をどのような形態としてもよい。
【0062】
さらに、上記の各実施の形態では同時に表示する3種類の地図として、通常の地図、交差点拡大図および要約地図を例に説明したが、これ以外の地図を同時に表示してもよい。あるいは、4種類以上の地図を同時に表示してもよい。自車位置から目的地までの経路を表す要約地図を含む3つ以上の地図を同時に表示するものであれば、どのような地図であってもよく、また同時に地図をいくつ表示してもよい。
【0063】
以上説明した各実施の形態では、車両に搭載されて使用されるナビゲーション装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。車両に搭載されて地図を表示する車両用の地図表示装置であれば、様々な装置に対して本発明を適用することができる。
【0064】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0065】
1:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、
13:HDD、14:GPS受信部、15:VICS情報受信部、16:表示モニタ、
17:スピーカ、18:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地を設定する目的地設定手段と、
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
前記自車位置から前記目的地までの経路を表す要約地図を作成する要約地図作成手段と、
前記要約地図を含む3つ以上の地図を表示モニタに同時に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記要約地図作成手段は、前記自車位置から前記目的地までの複数の経路について前記要約地図をそれぞれ作成することにより、前記要約地図を複数作成し、
前記表示制御手段は、前記要約地図作成手段により作成された複数の前記要約地図を同時に前記表示モニタに表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記要約地図作成手段は、予め記録媒体に記録された地図データに基づいて前記経路を含む道路の形状を簡略化することにより前記要約地図を作成し、
前記表示制御手段は、前記要約地図と、前記自車位置から所定距離内にある交差点の拡大図と、前記地図データが表す道路形状の地図とを前記表示モニタに同時に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、前記3つ以上の地図が互いに同じ方角を向くように前記表示モニタに同時に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、予め定められた同一の方角に向けて前記3つ以上の地図をそれぞれ前記表示モニタに表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記自車位置検出手段は、さらに前記自車位置における自車の向く方角を検出し、
前記表示制御手段は、前記自車位置検出手段により検出された方角に向けて前記3つ以上の地図をそれぞれ前記表示モニタに表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記経路に接続する道路の中から対象道路を選択する道路選択手段をさらに備え、
前記要約地図作成手段は、前記経路および前記対象道路の形状を簡略化することにより、前記要約地図を作成することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置において、
前記道路選択手段は、前記経路に接続する複数の道路が互いに隣接する場合に、その複数の道路のうちいずれか1つを前記対象道路として選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載のナビゲーション装置において、
前記道路選択手段は、前記経路に接続する道路の種別に基づいて前記対象道路を選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記道路選択手段は、前記経路に接続する道路と前記自車位置または前記目的地との距離に基づいて前記対象道路を選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記経路上に誘導地点を設定する誘導地点設定手段をさらに備え、
前記道路選択手段は、前記誘導地点において前記経路に接続する道路を優先して前記対象道路を選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記渋滞情報取得手段により前記経路についての渋滞情報が取得されたときに、前記要約地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−181274(P2010−181274A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25048(P2009−25048)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】