説明

ナビゲーション装置

【課題】検索条件を簡単に設定できるナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置100は、複数の検索条件パラメータに関する情報を設定するための設定画面を表示させる設定画面表示手段12と、入力部2を介して受け付けた一連の操作入力に基づいて複数の検索条件パラメータのそれぞれの許容範囲を取得するパラメータ取得手段13と、パラメータ取得手段13が取得した複数の検索条件パラメータのそれぞれの許容範囲に基づいて推奨情報を検索する情報検索手段10、11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路情報や施設情報等の各種情報を検索するナビゲーション装置に関し、特に、検索条件を簡単に設定できるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、距離優先や時間優先といった各運転者に最適な経路を検索するための検索条件を柔軟に設定できるようにした車載型ナビゲーションシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この車載型ナビゲーションシステムは、距離優先で経路を検索する場合、各経路を構成する道路セグメントのそれぞれが有する距離データを積算し、積算した距離データの合計が最小となる経路を推奨経路として抽出する。
【0004】
また、この車載型ナビゲーションシステムは、時間優先で経路を検索する場合には、各経路を構成する道路セグメントのそれぞれが有する所要走行時間データを積算し、その合計が最小となる経路を推奨経路として抽出する。
【0005】
さらに、この車載型ナビゲーションシステムは、時間優先又は距離優先を組み合わせ、各積算データの合計を合算しながら、その総合計が最小となる経路を推奨経路として抽出するようにする。
【0006】
具体的には、各検索条件に応じて距離係数(距離データの積算の際に各距離データに乗算される重み付け係数である。)又は時間係数(所要走行時間データの積算の際に各所要走行時間データに乗算される重み付け係数である。)の値を設定しておき、例えば、距離の短さを優先させるが所要走行時間については問わないといった検索条件の場合に、距離係数を増大させ、かつ、時間係数を低減させることで総合計に対する距離係数の影響を相対的に増大させた上で、その総合計が最小となる推奨経路を抽出するようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−138409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の車載型ナビゲーションシステムは、検索条件毎に距離係数の値又は時間係数の値を設定する際にそれら値を個別に数値入力させる必要があり、操作者が推奨経路の検索を開始させるまでの準備が煩雑となってしまい、また、検索条件の頻繁な変更要求にも対応することができない。
【0009】
上述の点に鑑み、本発明は、検索条件を簡単に設定できるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係るナビゲーション装置は、複数の検索条件パラメータに関する情報を設定するための設定画面を表示させる設定画面表示手段と、入力部を介して受け付けた一連の操作入力に基づいて複数の検索条件パラメータのそれぞれの許容範囲を一括して取得するパラメータ取得手段と、前記パラメータ取得手段が取得した複数の検索条件パラメータのそれぞれの許容範囲に基づいて推奨情報を検索する情報検索手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、簡単かつ効率的な操作入力を介して検索条件パラメータを設定させることができ、操作者が早急に推奨情報の検索結果を得たい場合や頻繁に検索条件を変更させたい場合の利便性を向上させることができる。
【0012】
また、第二の発明は、第一の発明に係るナビゲーション装置であって、前記設定画面表示手段は、第一の検索条件パラメータを縦軸に配し、第二の検索条件パラメータを横軸に配した二次元座標からなる設定画面を表示させ、前記パラメータ取得は、前記一連の操作入力により選択が行われた座標位置と該選択が継続された時間とに基づいて複数の検索条件パラメータの許容範囲を一括して取得することを特徴とする。
【0013】
これにより、二つの検索条件パラメータの設定状態を画面上で容易に把握させながら、簡単かつ効率的な操作入力を介して検索条件パラメータを設定させることができ、操作入力ミスの発生率を低減させることができる。
【0014】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係るナビゲーション装置であって、車両に搭載されることを特徴とする。
【0015】
これにより、カーナビゲーションシステムにおける情報検索のための検索条件を設定するために運転者が画面を注視する時間をより低減させることができる。
【0016】
また、第四の発明は、第一乃至第三の何れかの発明に係るナビゲーション装置であって、前記推奨情報は、経路情報であることを特徴とする。
【0017】
また、第五の発明は、第四の発明に係るナビゲーション装置であって、前記検索条件パラメータは、所要時間、走行距離、費用又は走行しやすさを含むことを特徴とする。
【0018】
また、第六の発明は、第一乃至第三の何れかの発明に係るナビゲーション装置であって、前記推奨情報は、施設情報であることを特徴とする。
【0019】
また、第七の発明は、第六の発明に係るナビゲーション装置であって、前記検索条件パラメータは、施設の規模、設立の新旧、利用料金又は人気を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上述の手段により、本発明は、検索条件を簡単に設定できるナビゲーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】ポジショニングマップの表示例を示す図である。
【図3】検索条件パラメータ設定処理の説明図(その1)である。
【図4】検索条件パラメータ設定処理の説明図(その2)である。
【図5】検索条件パラメータの許容範囲を示すサークルをポジショニングマップ上に生成する処理の説明図である。
【図6】検索条件パラメータ設定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0023】
図1は、本発明に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図であり、ナビゲーション装置100は、操作者が設定した検索条件に基づいて経路情報や施設情報等の各種情報を検索し、検索した情報に沿って車両を案内する車載装置であって、制御部1、入力部2、測位部3、記憶部4、表示部5及び音声出力部6から構成される。なお、ナビゲーション装置100は、通信機能を備え、渋滞情報、道路規制情報又は気象情報等を随時取得するようにしてもよい。
【0024】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、経路検索手段10、施設検索手段11、設定画面表示手段12及びパラメータ取得手段13のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0025】
入力部2は、ナビゲーション装置100に各種情報を入力するための装置であり、例えば、タッチパネル、ジョイスティック、リモートコントローラ、エスカッションボタン等であって、経路検索のための目的地や検索条件パラメータ等の設定に利用される。
【0026】
「検索条件パラメータ」とは、後述の経路検索手段10が推奨経路を検索したり、後述の施設検索手段11が推奨施設を検索したりする際に利用するパラメータであって、例えば、目的地までの経路を検索する際に考慮する所要時間の長短、走行距離の長短、費用(燃料費、有料道路料金等を含む。)の大小若しくは走行しやすさ(右左折回数、道路幅の広狭等に基づく。)の度合い、又は、利用しようとする施設を検索する際に考慮する施設の規模の大小、設立の新旧、利用料金の大小若しくは人気の度合い等が含まれる。
【0027】
測位部3は、車両の位置を測定するための装置であり、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号を受信し、受信した信号に基づいて車両位置(緯度、経度、高度)を測定する。測位部3による測定は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。この際、車両位置は、舵角センサ、車速センサ、ジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機又はFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてもよい。
【0028】
記憶部4は、各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスクやDVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体であって、交差点、インターチェンジ等のノード位置、リンク(ノード間を接続する要素)の距離、リンクコスト(リンクを通過するために要する時間、料金等である。)、有料道路の通行料金等を体系的に記憶する地図情報データベースを格納する。
【0029】
また、記憶部4は、宿泊施設、レストラン若しくはアミューズメントパーク等の施設の位置(緯度、経度、高度)、名称、利用料金、人気度(利用者数等である。)、設立年月日又は規模(収容人数、駐車台数、専有面積等である。)等を体系的に記憶する施設情報データベースを格納する。
【0030】
表示部5は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であって、制御部1からの制御信号に基づいて、目的地設定画面、検索条件パラメータを設定するためのポジショニングマップ(後述)、地図データ、又は、後述の経路検索手段10が検索した推奨経路若しくは後述の施設検索手段11が検索した推奨施設等の各種情報等を表示する。
【0031】
音声出力部6は、各種情報を音声出力するための装置であり、例えば、車載スピーカであって、後述の経路検索手段10が検索した推奨経路や後述の施設検索手段11が検索した推奨施設に関する音声案内を出力する。
【0032】
次に、制御部1が有する各種手段について説明する。
【0033】
経路検索手段10は、推奨経路を検索するための手段であり、例えば、測位部3が測定した車両位置(緯度、経度、高度)と入力部2を介して入力された目的地の位置情報(緯度、経度、高度)と記憶部4に記憶された地図情報データベースとに基づいて、所定位置(例えば、車両の現在位置である。)から目的地に至るまでの最適な経路を検索する。
【0034】
経路検索手段10は、例えば、検索条件パラメータによって走行距離の短さを重視するよう設定された場合、経路検索アルゴリズムとしてダイクストラ法を用いながら最短経路を検索する。
【0035】
また、経路検索手段10は、検索条件パラメータによって所要時間の短さを重視するよう設定された場合には、法定速度や渋滞状況等に基づいて、時間的に最も早く目的地に到達できる経路を検索するようにしたり、検索条件パラメータによって費用の低さを重視するよう設定された場合には、有料道路を利用しない経路を検索するようにしたり、或いは、検索条件パラメータによって走行のしやすさを重視するよう設定された場合には、交差点、分合流点若しくは右左折回数の少ない経路や幅員の広い道路から構成される経路を検索するようにしたりする。
【0036】
さらに、経路検索手段10は、走行距離、所要時間、費用又は走行しやすさ等の各検索条件パラメータを組み合わせながら経路を検索する。
【0037】
例えば、検索条件パラメータのそれぞれが五段階のレベルを有し、「走行距離」が第一レベル(最も高いレベルであり、最短距離を検索条件として要求することを意味する。)、「費用」が第三レベル(標準レベルであり、標準的な費用を検索条件として要求することを意味する。)に設定された場合を想定する。
【0038】
この場合、経路検索手段10は、最初に、複数の経路候補(例えば、5通りとする。所定の検索条件に基づいて検索される不自然な右左折等を含まない常識的な経路候補である。)を検索した上で、それら5通りの経路候補を「走行距離」が短い順に並べ、上位20%(第一レベルに相当する。この場合、1通りとなる。)の経路候補を選択する。一方で、経路検索手段10は、上述の5通りの経路候補を「費用」が多い順に並べ、中央の20%(第三レベルに相当する。この場合、1通りとなる。)の経路候補を選択する。そして、経路検索手段10は、「走行距離」に基づいて選択した経路候補と「費用」に基づいて選択した経路候補とにおいて重複する経路候補が存在する場合に、その重複する経路候補を推奨経路として出力する。
【0039】
なお、経路検索手段10は、重複する経路候補が複数存在する場合には、複数の経路候補を推奨経路として表示部5に表示させた上で、それらのうちの何れかを操作者に選択させるようにしてもよく、所定の選択アルゴリズムに基づいて自動的に一つの経路候補を選択するようにしてもよく、また、重複する経路候補がない場合には、「推奨経路なし」のメッセージを表示部5に表示させるようにしてもよい。
【0040】
また、検索条件パラメータは許容範囲を有していてもよく、例えば、「走行距離」が第一レベル(最も高いレベル)〜第三レベルの範囲に幅を持たせて設定され、「費用」が第三レベル(標準レベル)〜第五レベル(最も低いレベル)に幅を持たせて設定された場合を想定する。
【0041】
この場合、経路検索手段10は、最初に、複数の経路候補(例えば、5通りとする。)を検索した上で、それら5通りの経路候補を「走行距離」が短い順に並べ、上位60%(第一レベル〜第三レベルに相当する。この場合、3通り)の経路候補を選択する。一方で、経路検索手段10は、上述の5通りの経路候補を「費用」が多い順に並べ、下位60%(第三レベル〜第五レベルに相当する。この場合、3通り)の経路候補を選択する。そして、経路検索手段10は、「走行距離」に基づいて選択した経路候補と「費用」に基づいて選択した経路候補とにおいて重複する経路候補が存在する場合に、その重複する経路候補を推奨経路として出力する。
【0042】
なお、経路検索手段10は、最終的に選択した推奨経路を他の経路から識別できるよう表示部5の画面上に表示させ、操作者が推奨経路を容易に確認できるようにし、また、推奨経路に沿った音声案内を音声出力部6から出力させ、操作者による運転を支援するようにする。
【0043】
施設検索手段11は、推奨施設を検索するための手段であり、例えば、測位部3が測定した車両位置(緯度、経度、高度)と入力部2を介して入力された検索対象施設の種類(例えば、宿泊施設がある。)と記憶部4に記憶された施設情報データベースとに基づいて、所定位置(例えば、車両の現在位置である。)周辺にある施設を検索する。
【0044】
施設検索手段11は、例えば、検索条件パラメータによって施設の大きさを重視するよう設定された場合には、収容人数が所定数以上の施設を検索するようにし、検索条件パラメータによって施設の新しさを重視するよう設定された場合には、設立後の経過期間が所定期間未満の施設を検索するようにし、検索条件パラメータによって施設利用料金の低さを重視するよう設定された場合には、利用料金が所定料金未満の施設を検索するようにし、或いは、検索条件パラメータによって施設の人気の度合いを重視するよう設定された場合には、施設の利用者数(例えば、月間利用者数である。)が所定人数以上の施設を検索するようにする。
【0045】
さらに、施設検索手段11は、経路検索手段10と同様に、施設の規模、設立の新旧、利用料金又は人気等の各検索条件パラメータを組み合わせながら施設を検索する。
【0046】
例えば、検索条件パラメータのそれぞれが五段階のレベルを有し、「施設の規模」が第一レベル(最も高いレベルであり、最大規模を検索条件として要求することを意味する。)、「設立の新旧」が第三レベル(標準レベルであり、標準的な新しさを検索条件として要求することを意味する。)に設定された場合を想定する。
【0047】
この場合、施設検索手段11は、経路検索手段10と同様、最初に、複数の施設候補(例えば、5通りとする。)を検索した上で、それら5通りの施設候補を規模が大きい順に並べ、上位20%(この場合、1通り)の施設候補を選択する。一方で、施設検索手段11は、上述の5通りの施設候補を設立年月日が新しい順に並べ、中央の20%(この場合、1通り)の施設候補を選択する。そして、施設検索手段11は、「施設の規模」に基づいて選択した施設候補と「設立の新旧」に基づいて選択した施設候補とにおいて重複する施設候補が存在する場合に、その重複する施設候補を推奨施設として出力する。
【0048】
なお、施設検索手段11は、重複する施設候補が複数存在する場合には、複数の施設候補を推奨施設として表示部5に表示させた上で、それらのうちの何れかを操作者に選択させるようにしてもよく、所定の選択アルゴリズムに基づいて自動的に一つの施設候補を選択するようにしてもよく、また、重複する施設候補がない場合には、「推奨施設なし」のメッセージを表示部5に表示させるようにしてもよい。
【0049】
また、検索条件パラメータは許容範囲を有していてもよく、例えば、「施設の規模」が第一レベル(最も高いレベル)〜第三レベルの範囲に幅を持たせて設定され、「設立の新旧」が第三レベル(標準レベル)〜第五レベル(最も低いレベル)に幅を持たせて設定された場合を想定する。
【0050】
この場合、施設検索手段11は、最初に、複数の施設候補(例えば、5通りとする。)を検索した上で、それら5通りの施設候補を規模が大きい順に並べ、上位60%(この場合、3通り)の施設候補を選択する。一方で、施設検索手段11は、上述の5通りの施設候補を設立年月日が新しい順に並べ、下位60%(この場合、3通り)の施設候補を選択する。そして、施設検索手段11は、規模に基づいて選択した施設候補と設立年月日の新旧に基づいて選択した施設候補とにおいて重複する施設候補が存在する場合に、その重複する施設候補を推奨施設として出力する。
【0051】
設定画面表示手段12は、検索条件パラメータを設定する画面を表示させるための手段であり、例えば、ナビゲーション装置100の起動時にポジショニングマップMを表示部5に表示させ、操作者が検索条件パラメータを簡単かつ効率的に設定できるようにする。
【0052】
なお、設定画面表示手段12は、検索条件設定ボタンの押下等、所定の操作入力に応じて、ポジショニングマップMを表示部5の一部領域にポップアップさせてもよく、ポジショニングマップMを表示部5の表示画面全体に表示させてもよい。
【0053】
図2は、表示部5に表示されるポジショニングマップMの表示例であり、表示部5の右半分の領域にポジショニングマップMがポップアップ表示された状態を示す。
【0054】
また、図2は、検索条件パラメータ「所要時間」を縦軸に配し、検索条件パラメータ「費用」を横軸に配した二次元座標で構成されるポジショニングマップMを示し、縦軸の上方(「Quick」が表示されている方向)に近づくほど、「所要時間」のレベルが高く(所要時間の短さを重要視することを意味する。)、縦軸の下方(「Comfort」が表示されている方向)に近づくほど、「所要時間」のレベルが低い(遠回りしてもよい、或いは、景色を楽しみたいといった悠長さ又は快適性を重要視することを意味する。)ことを示す。
【0055】
また、図2は、横軸の右方(「Rich」が表示されている方向)に近づくほど、費用のレベルが高く(有料道路を優先させる等、走行に対する費用の高い配分を重要視することを意味する。)、横軸の左方(「Economy」が表示されている方向)に近づくほど、費用のレベルが低い(有料道路を避ける等、節約を重要視することを意味する。)ことを示す。
【0056】
パラメータ取得手段13は、操作者の一連の操作入力に基づいて検索条件パラメータに関する情報を取得するための手段であり、例えば、入力部2(タッチパネル)を介して操作者の指が接触した座標を検出し、その座標位置に基づいて検索条件パラメータのレベルを取得する。
【0057】
また、パラメータ取得手段13は、操作者の指がタッチパネルに接触している接触時間に応じて、操作者の指が接触した座標に対応するレベルを中心とした検索条件パラメータの許容範囲を決定する。
【0058】
「一連の操作入力」とは、一纏めにできる操作入力をいい、例えば、タッチパネルに指を接触させ、その接触を所定期間にわたって継続させ、タッチパネルから指を離すという一連の行為からなる操作入力、又は、タッチパネルに指を接触させ、ドラッグさせ、タッチパネルから指を離すという一連の行為からなる操作入力等が含まれる。
【0059】
図3は、ナビゲーション装置100が操作者の一連の操作入力に基づいて検索条件パラメータを設定する処理(以下、「検索条件パラメータ設定処理」とする。)を説明するための図であり、操作者の左手の人差し指によりポジショニングマップMの右上の領域にある座標点P(X=2、Y=2)が押下された状態を示す。また、図3(A)は、押下直後のポジショニングマップMの状態を示し、図3(B)は、所定期間にわたり押下(指とタッチパネルとの接触)を継続させた後のポジショニングマップMの状態を示す。
【0060】
なお、座標点の表現に使用される単位は、検索条件パラメータのレベルであり、この場合、検索条件パラメータ「所要時間」及び「費用」は、それぞれ11段階のレベルで構成され、図の最上部が「所要時間」の第一レベル、図の最右部が「費用」の第一レベルにそれぞれ相当する。また、座標点P(X=2、Y=2)は、「所要時間」及び「費用」が共に第四レベルとなる点である。
【0061】
設定画面表示手段12は、図3(A)に示すように、座標点Pが押下されると所定半径(例えば、3レベル)のサークルC1を表示させ、「所要時間」が第一レベル(最上部)〜第六レベル(横軸から1レベル下のレベル)の許容範囲で設定され、かつ、「費用」が第一レベル(最右部)〜第六レベル(縦軸から1レベル左のレベル)の許容範囲で設定された状態を表示させるようにする。
【0062】
また、設定画面表示手段12は、図3(B)に示すように、座標点Pが所定期間(例えば、2秒間)継続して押下されるとサークルC1の半径を1レベル分だけ縮小させたサークルC2を表示させ、「所要時間」が第二レベル(最上部から1レベル下のレベル)〜第五レベル(横軸のレベル)の許容範囲で設定され、かつ、「費用」が第二レベル(最右部から1レベル左のレベル)〜第五レベル(縦軸のレベル)の許容範囲で設定された状態を表示させるようにする。
【0063】
また、設定画面表示手段12は、座標点Pが更に所定期間(例えば、2秒間)継続して押下された場合に半径を更に縮小させたサークルを表示させるようにしてもよい。
【0064】
その後、パラメータ取得手段13は、操作者の左手の人差し指がタッチパネルから離れた場合に、検索条件パラメータ「所要時間」及び「費用」の設定が完了したものとし、その時点に表示されているサークルに対応する「所要時間」及び「費用」の許容範囲をそれぞれ取得し、取得した許容範囲を経路検索手段10に出力する。
【0065】
なお、設定画面表示手段12は、最初に小さい半径(例えば、1レベル)のサークルを表示させ、接触時間の増大に応じてサークルの半径を徐々に拡大させていくようにしてもよく、半径が最大(例えば、4レベル)となった時点でサークルの半径を一旦最小(1レベル)に戻し半径の増大を再開させて循環させるようにしてもよい。なお、半径を徐々に減少させていき、半径が最小となった時点でサークルの半径を一旦最大に戻し半径の減少を再開させて循環させるようにしてもよい。
【0066】
このように、ナビゲーション装置100は、ポジショニングマップMを表示部5に表示させながら検索条件パラメータを設定させるので、一連の操作入力により二つの検索条件パラメータそれぞれの許容範囲を同時に取得することができ、操作者による検索条件の設定を簡略化させたり、効率化させたりすることができる。
【0067】
次に、図4を参照しながら、パラメータ取得手段13が検索条件パラメータに関する情報を取得する別の方法を説明する。
【0068】
図4(A)〜(C)は、所定期間にわたり押下を継続させた後のポジショニングマップMの状態をそれぞれ示し、設定画面表示手段12は、図3(B)に示すようにサークルの半径を徐々に縮小させていく代わりに、横軸方向に平行な半径成分だけを縮小させたり(図4(A)参照。)、縦軸方向に平行な半径成分だけを縮小させたり(図4(B)参照。)、或いは、所定角度(例えば、135°)方向に平行な半径成分だけを縮小させたり(図4(C)参照。)してもよい。
【0069】
この場合、図4(A)は、「所要時間」が第一レベル(最上部)〜第六レベル(横軸から1レベル下のレベル)の許容範囲で設定され、かつ、「費用」が第四レベル(縦軸から2レベル右のレベル)に設定された状態を示し、図4(B)は、「所要時間」が第四レベル(横軸から2レベル上のレベル)に設定され、かつ、「費用」が第一レベル(最右部)〜第六レベル(縦軸から1レベル左のレベル)の許容範囲で設定された状態を示す。
【0070】
また、図4(C)は、「所要時間」が第一レベル(最上部)〜第六レベル(横軸から1レベル下のレベル)の許容範囲で設定され、かつ、「費用」が第一レベル(最右部)〜第六レベル(縦軸から1レベル左のレベル)の許容範囲で設定された状態を示すが、図4(C)が示す条件に基づいた経路検索手段10による推奨経路の検索対象は、「所要時間」が第一レベルで、かつ、「費用」が第一レベルといった場合のように二つの検索条件パラメータのレベルが対応する場合に限定されることを示す。
【0071】
なお、設定画面表示手段12は、横軸方向に平行な半径成分だけを縮小させた後に、縦軸方向に平行な半径成分を縮小させるようにしてもよく、縦軸方向に平行な半径成分だけを縮小させた後に、横軸方向に平行な半径成分を縮小させるようにしてもよい。
【0072】
次に、図5を参照しながら、一連の操作入力により、検索条件パラメータ「所要時間」及び「費用」の許容範囲を示すサークルC3をポジショニングマップM上に生成する処理について説明する。
【0073】
図5(A)は、操作者がタッチパネル上の一点に左手の人差し指を接触させ、ポジショニングマップMの右上の領域でサークルを描くようにドラッグ操作を行った状態を示す。
【0074】
また、図5(B)は、操作者のドラッグ操作により描かれた線分を示し、操作者は、この時点で指をタッチパネルから離すことにより描画の終了をナビゲーション装置100に伝えるようにする。
【0075】
また、図5(C)は、操作者がドラッグ操作により描いた線分の形状又は大きさに基づいて形状又は大きさが調整されたサークルC3を示す。
【0076】
このように、ナビゲーション装置100は、タッチパネルに指を接触させ、ドラッグさせ、タッチパネルから指を離すという一連の行為からなる操作入力に基づいて、複数の検索条件パラメータのそれぞれの許容範囲を一括して取得するので、操作者による検索条件の設定を簡略化させることができる。
【0077】
次に、図6を参照しながら、検索条件パラメータ設定処理の流れについて説明する。なお、図6は、検索条件パラメータ設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
最初に、ナビゲーション装置100の制御部1は、設定画面表示手段12により、ナビゲーション装置100の起動時にポジショニングマップM(図2参照。)を表示部5に表示させる(ステップS1)。
【0079】
その後、制御部1は、入力部2(タッチパネル)の出力を監視しながら操作者による操作入力が行われるまで待機する(ステップS2)。
【0080】
その後、タッチパネルの出力に基づいて操作者の指がタッチパネルに接触したことを検出した場合(ステップS2のYES)、制御部1は、操作者の指が接触した位置に対応する座標点を中心とした所定半径(例えば、3レベル)のサークルを表示部5に表示させる(ステップS3)。
【0081】
その後、制御部1は、RAM上に記憶された接触タイマの値をインクリメントさせる(ステップS4)。接触が継続する時間を計測するためである。
【0082】
その後、制御部1は、接触タイマの値と閾値Tとを比較し(ステップS5)、接触タイマの値が閾値T以上となった場合に(ステップS5のYES)、設定画面表示手段12により、現在表示されているサークルの半径を所定レベル(例えば、1レベル)だけ縮小させ、接触タイマをリセットし(ステップS6)、操作者の指がタッチパネルから離れたか否かを判定するようにする(ステップS7)。
【0083】
サークルの半径を縮小させるのは、検索条件パラメータの許容範囲を狭めるためであり、接触タイマをリセットするのは、次にサークルの半径を縮小させるタイミングを計るためである。
【0084】
なお、接触タイマの値が閾値T未満の場合(ステップS5のNO)、制御部1は、サークルの半径を縮小させたり、接触タイマをリセットしたりすることなく、操作者の指がタッチパネルから離れたか否かを判定するようにする(ステップS7)。
【0085】
その後、制御部1は、タッチパネルの出力を監視しながら操作者の指がタッチパネルから離れるまでステップS4乃至ステップS6の処理を繰り返し実行させ(ステップS7のNO)、操作者の指がタッチパネルから離れたことを検出した場合に(ステップS7のYES)、パラメータ取得手段13により、その時点における検索条件パラメータ「所要時間」の許容範囲と検索条件パラメータ「費用」の許容範囲とを一括して取得する(ステップS8)。
【0086】
また、設定画面表示手段12は、検索条件パラメータ「所要時間」及び「費用」の設定が行われた時点で、検索条件パラメータ「走行距離」及び「走行しやすさ」を設定するための別のポジショニングマップを表示させるようにしてもよい。
【0087】
その後、ナビゲーション装置100は、取得した検索条件パラメータの設定に基づいて経路検索手段10により推奨経路を検索するが、同様のポジショニングマップを用いて検索条件パラメータの設定を取得し、施設検索手段11により推奨施設を検索するようにしてもよい。
【0088】
以上の構成により、ナビゲーション装置100は、簡単かつ効率的な操作入力を介して各検索条件パラメータの許容範囲を設定させ、それら各検索条件パラメータの許容範囲に基づいて検索を実行することで、操作者の希望に沿った情報を迅速に提示することができる。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0090】
例えば、上述の実施例において、ナビゲーション装置100は、操作者の指がタッチパネルに接触している時間の増大に応じて検索条件パラメータの許容範囲を示すサークルの形状又は大きさを変化させるが、サークルの代わりに四角形を表示させながら検索条件パラメータの許容範囲を示すようにしてもよい。
【0091】
また、ナビゲーション装置100は、サークル又は四角形の形状又は大きさを変化させながら、その変化に応じた音又は音声を音声出力部6から出力させ、目視によらず、サークル又は四角形の現在の形状又は大きさを操作者が把握できるようにしてもよい。
【0092】
また、ナビゲーション装置100は、マウスで移動させたカーソル位置とマウスボタン押下の継続時間とに基づいて検索条件パラメータの許容範囲を設定させる等、他の入力デバイスを介して検索条件パラメータの許容範囲を設定させるようにしてもよい。
【0093】
また、ナビゲーション装置100は、操作者の指がタッチパネルに接触している時間に応じて検索条件パラメータの許容範囲を示すサークルの形状又は大きさを変化させるが、接触圧を検出する機構をタッチパネルが備える場合には、その接触圧に応じて検索条件パラメータの許容範囲を示すサークルの形状又は大きさを変化させるようにしてもよい。
【0094】
また、ナビゲーション装置100は、操作者の指がタッチパネルに接触している時間に応じてサークルの形状又は大きさを変化させる機能を、目的地の大まかな位置を入力させる際に利用するようにしてもよい。
【0095】
例えば、ナビゲーション装置100は、遠方の目的地を設定する際に比較的半径の大きなサークルを用いて目的地の大まかな位置を仮決めさせ、その仮決めさせた目的地に基づいて大まかな経路検索を早期に実行する。そして、操作者が目的地の詳細設定のための時間を割けるようになったときに、比較的半径の小さなサークルを用いて目的地の詳細な位置を決定させ、その詳細に決定させた目的地に基づいて本来の詳細な経路検索を実行する。
【0096】
これにより、ナビゲーション装置100は、目的地の詳細な設定を行う時間がない場合であっても、簡単かつ効率的に目的地を仮設定させ、意味のある経路検索及び経路案内を早期に実行することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 制御部
2 入力部
3 測位部
4 記憶部
5 表示部
6 音声出力部
10 経路検索手段
11 施設検索手段
12 設定画面表示手段
13 パラメータ取得手段
100 ナビゲーション装置
C1〜C3 サークル
M ポジショニングマップ
P 座標点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検索条件パラメータに関する情報を設定するための設定画面を表示させる設定画面表示手段と、
入力部を介して受け付けた一回の一連の操作入力に基づいて複数の検索条件パラメータのそれぞれの許容範囲を一括して取得するパラメータ取得手段と、
前記パラメータ取得手段が取得した複数の検索条件パラメータのそれぞれの許容範囲に基づいて推奨情報を検索する情報検索手段と、を備え、
前記許容範囲は、各検索条件パラメータに従って前記推奨情報の候補の全てを順に並べたときの、検索対象となる前記推奨情報の候補の順位の幅を表す、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記許容範囲は、前記一回の一連の操作入力の時間に応じて循環的に増大或いは減少する、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−204121(P2010−204121A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132113(P2010−132113)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【分割の表示】特願2007−122815(P2007−122815)の分割
【原出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】