説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション機能起動中にナビゲーションの処理負担が大きくなっても支障のないようにナビゲーションの地図画像を表示する。
【解決手段】ナビゲーション機能起動中に、ナビゲーション処理負担判定手段18は、地図画像更新時点のナビゲーション機能の処理負担の大きさを判定し、処理負担が大きい場合には、画像描画手段19によりナビゲーション機能に用いる地図画像についてピクセル数を下げて描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンテンツを処理する機能を備えたナビゲーション装置に関するもので、特に、ナビゲーション機能を起動して経路案内などのために地図コンテンツを表示しながら同時に他のAVコンテンツの再生処理を可能とするナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用ナビゲーション装置の性能は飛躍的に向上し、多機能化が進んでいる。ナビゲーション装置は、出発地点から指定された目的地点までの最適経路を探索してLCD等の表示装置に表示して経路案内するという本来の機能に加えて、外部メモリから音楽データを読み取ってスピーカに出力する音楽視聴機能や映像を受信して表示するテレビ受信機能等、AVコンテンツの再生機能を備えたナビゲーション装置も広く普及している。
【0003】
かかるナビゲーション装置において、当該装置の飛躍的な性能向上やAVコンテンツ処理量の増大に伴い、処理負担も大幅に増大し、それに伴った円滑な処理が求められている。
【0004】
例えば、下記の特許文献1(特開2004−126685号公報)には、ナビゲーション用等のコンテンツデータを読み出しながら利用すると同時に、オーディオ用等の連続再生が必要なコンテンツデータを途切れなく再生すべく、それぞれのデータを一時的に記憶する分離したバッファと、かかるデータの授受を制御する制御部を有し、連続再生するコンテンツを途切れなく再生しながら別のコンテンツをも同時に利用することを可能とする情報処理装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2008−152207号公報)には、車載用ナビゲーション装置のような地図表示装置において、地図スクロール処理における制御手段の負荷を軽減するために、地図表示処理時の描画負荷を描画時間として算出し、該描画負荷が所定の負荷を超える場合に、建物画像のデータや特定の場所を示すアイコン画像のデータなどの重要でないデータを間引いて処理することにより、スクロールの負荷を軽減し、スクロール速度が低下することなく、地図画像をスムーズにスクロールすることを可能とする地図表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−126685号公報(段落[0005]〜段落[0006]、段落[0023]〜段落[0030]、図2)
【特許文献2】特開2008−152207号公報(段落[0036]〜段落[0039])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された情報処理装置では、新たなバッファや制御部を設けることにより異なる2つのコンテンツを同時に且つ円滑に処理するものであり、新たな構成を付加しなければならないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に開示された地図表示装置では、経路案内するために地図をスクロール表示する際に速度を低下させることなく円滑に処理するために不要なデータを間引くというものであるが、常に特定のデータが間引かれてしまうという問題がある。
【0009】
よって、本願発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、ナビゲーション機能起動中に、ナビゲーション処理負担が大きくなった場合、ナビゲーション機能である経路案内などに支障のない範囲内で描画精度を下げて表示するようになせば上記問題を解消しうることを想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、ナビゲーション機能起動中にナビゲーション処理負担が大きくなった場合、ナビゲーション内容に影響を与えることなく、ナビゲーション機能を円滑に実行できるようにしたナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本願の請求項1にかかる発明は、ナビゲーション機能の処理負担を判定するナビゲーション処理負担判定手段(例えば下記実施例では、ナビゲーション処理負担判定手段18に相当する)と、ナビゲーション機能に用いる地図画像を処理するための画像処理手段(例えば下記実施例では、画像処理手段19に相当する)と、を有し、前記ナビゲーション処理負担判定手段は、所定時間後のナビゲーション機能の処理負担の大きさを判定し、該ナビゲーション機能の処理負担が大きい場合、前記画像処理手段は、前記所定時間後に前記地図画像を処理する際に当該地図画像の処理にかかる処理負担を下げて処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1にかかる発明においては、ナビゲーション機能の処理負担を判定するナビゲーション処理負担判定手段と、ナビゲーション機能に用いる地図画像を処理するための画像処理手段と、を有し、前記ナビゲーション処理負担判定手段は、所定時間後のナビゲーション機能の処理負担の大きさを判定し、該ナビゲーション機能の処理負担が大きい場合、前記画像処理手段は、前記所定時間後に前記地図画像を処理する際に当該地図画像の処理にかかる処理負担を下げて処理を行うようにした。
【0013】
このような構成によれば、例えば、ナビゲーションに用いる地図画像が更新される時点でのナビゲーション機能の処理負担の大きさに応じて、当該地図画像を経路案内などに支障のない範囲内で地図画像の処理負担を下げて表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体例を実施例および図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0016】
図1は本発明の実施例におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、自動車等の車両に搭載されることにより車載用として使用される装置であってもよく、車両から取外されユーザが携帯し使用できるタイプのものであってもよい。以下の説明においては、これらを総称してナビゲーション装置という。
【0017】
ナビゲーション装置1は、制御手段10、現在位置検出手段11、経路探索手段12、経路案内手段13、地図記憶手段14、表示手段15、音声出力手段16、入力手段17、ナビゲーション処理負担判定手段18、画像描画手段19などを備えて構成されている。
【0018】
制御手段10は、図示しないCPU、RAM、ROMからなるプロセッサで構成され、RAM、ROMに記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置1の各部の動作を制御する。
【0019】
現在位置検出手段11は、例えばGPS受信機等で構成され、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの時刻情報を含む電波を受信し、それをもとに現在位置情報を算出するものである。さらに、現在位置検出手段11は、操角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなる自立航法手段を併用するようにしてもよい。
【0020】
経路探索手段12は、入力手段17の操作により出発地点や目的地点が指定されると、地図記憶手段14に記憶されている道路データを参照し、出発地点から目的地点に至るまでの最適経路を探索し、案内経路データを作成するものである。
【0021】
経路探索手段12によって探索された案内経路は、画像描画手段19によって、表示手段15に現在位置周辺の地図画像と共に表示され、目的地点までの案内に用いられる。
【0022】
経路案内手段13は、経路探索手段12によって探索された案内経路データと、現在位置検出手段11によって検出された現在位置とを比較し、現在位置において必要とされるガイダンスを音声出力手段16から音声出力する。
【0023】
地図記憶手段14には、各道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとし、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路ノードデータと道路リンクデータを含む道路データが記憶されている。道路ノードデータには、道路ノードの番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれる。また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノードの番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータにはさらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別は、高速道路や有料道路の別および国道や都道府県道などの別を含む情報である。
【0024】
また、地図記憶手段14には、道路データや背景データの他、地図画像を見やすく表示するためにベクター形式で記憶された地図画像データを含んでいてもよい。これらの道路データと背景データおよび地図画像データは、画像描画手段19により、ナビゲーション装置1を使用する際に、ナビゲーション装置1の現在位置を含む所定範囲の地図が地図記憶手段14から抽出され、現在位置を示す現在位置マークや案内経路の画像が重ね合わされてVRAMなどの画像メモリ(図示せず)に描画されることにより表示手段15に表示される。
【0025】
表示手段15は、LCDなどのディスプレイパネルから構成される表示画面を備えた表示ユニットであり、画像描画手段19によって画像メモリに描画された地図画像や探索経路、現在位置検出手段11で決定した現在位置などを表示する。
【0026】
音声出力手段16は、ナビゲーション装置1における各種音声ガイダンスの報知を行う。入力手段17は、操作ボタンやタッチパネルなどにより構成され、ナビゲーション装置1の各種機能を操作したり、所要の数値や文字を入力したりするものである。
【0027】
ナビゲーション処理負担判定手段18は、ナビゲーションの処理負担の大きさを判定するもので、所定時間後、例えば、実施例においては次のナビゲーションの地図画像更新時点でのナビゲーションの処理負担の大きさを判定する。ここで、地図画像更新時点におけるナビゲーションの処理負担の大きさを判定するためには、予め地図画像更新時点にナビゲーション機能において処理されるはずの負担量を算出する必要があり、例えば、経路案内中の自車(ナビゲーション装置1を搭載した車両)のように進行方向が分かっていて、次の地図画像更新時点における自車の位置情報を経路案内等から算出し、その位置情報に基づいて経路案内される予定の地図コンテンツの大きさ(地図画像データの描画処理量)といったナビゲーションにかかる処理負担量が予め算出できる場合に限られる。
【0028】
このため、以下の説明においてナビゲーション機能が起動している状態とは、探索された経路に従い経路案内を行っている状態とする。ナビゲーションの処理負担を判定する具体的な方法としては、例えば、予め所定の地図画像データを地図記憶手段14から読み込むことにより当該地図画像データのサイズを取得するとともに、この取得したデータサイズの地図画像データに基づく地図画像処理を実行して描画処理の実行時間を計測し、取得した地図画像データのサイズと計測した当該地図画像データの描画処理実行時間との関係を記憶させておく。
【0029】
そして、これから経路案内される予定の地図画像データを地図記憶手段14から読み込むことにより当該地図描画データのサイズを取得し、取得したデータサイズと予め記憶させておいた所定のデータサイズの地図描画データについての描画処理実行時間とに基づいてこれから描画予定の地図画像データの描画処理予測時間を算出する。算出された描画処理予測時間が予め設定されている地図描画の更新周期に占める割合を算出することにより、例えば、描画処理予測時間が地図描画の更新周期の50%以上を占める場合には、これから描画予定の地図画像データの処理負荷は重い、すなわちナビゲーションの処理負担が大きいと判定することができる。なお、本発明におけるナビゲーションの処理負担の判定に当たっては、経路案内中に表示する地図コンテンツの大きさだけでなく、音声ガイダンスのような経路案内の処理なども含み、それらを総合してかかる処理負担の大きさを判定してもよい。
【0030】
画像描画手段19は、表示手段15に表示する画像を展開するVRAMなどの画像メモリ(図示せず)を備え、ナビゲーション起動中に、経路探索手段12により探索された案内経路データや地図記憶手段14に記憶されている地図画像データ等を読み込んで画像メモリに描画するものである。描画に当たっては、ナビゲーションの処理負担の大きさに応じたピクセル数で描画する。例えば、ナビゲーションの処理負担が小さい場合には一画素当たりフルピクセル数で描画し、ナビゲーションの処理負担が大きい場合には、経路案内などに支障のない範囲内で描画精度を下げて、例えば一画素当たりフルピクセルの2/3ピクセル数で描画することができる。
【0031】
次に、図2により本発明の実施例における処理の手順を説明する。図2に示す処理は、制御手段10がROMに記憶されている制御プログラムを実行することで実現される。
【0032】
まず、ステップS201の処理において、ユーザにより入力手段17からナビゲーション機能の起動要求の指示がなされると、制御手段10によりナビゲーション機能が起動される。
【0033】
ナビゲーション機能が起動されると、ステップS202の処理において、制御手段10の制御によりナビゲーション処理負担判定手段18が所定時間後、例えば、次のナビゲーションの地図画像更新時点におけるナビゲーション装置1の位置情報を案内経路等から算出し、算出された位置情報に基づきナビゲーションの処理負担を判定する。地図画像更新時点におけるナビゲーションの処理負担が大きいと判定された場合(ステップS202のYES)、ステップS203の処理に進み、一方、地図画像更新時点におけるナビゲーションの処理負担が小さいと判定された場合(ステップS202のNO)、ステップS205の処理において、制御手段10の制御により画像描画手段19が次のナビゲーションの地図画像をフルピクセル数で画像メモリに描画する。
【0034】
次のナビゲーションの地図画像更新時点におけるナビゲーションの処理負担が大きいと判定されると(ステップS202のYES)、ステップS203の処理において、制御手段10の制御により画像描画手段19が次のナビゲーションの地図画像をフルピクセルの2/3ピクセル数で画像メモリに描画する。
【0035】
ステップS203およびステップS205の処理において、地図画像が描画された後は、ステップS204の処理において、制御手段10は、所定の目的地へ到着するなどしてナビゲーション機能が終了したか判定し、ナビゲーション機能が終了していない場合にはステップ202の処理に戻り(ステップS204のNO)、ナビゲーション機能が終了している場合には処理を終了する(ステップS204のYES)。
【0036】
以上説明したように、本発明にかかるナビゲーション装置によれば、ナビゲーション機能の処理負担の大きさに応じて、ナビゲーションに用いる地図画像を経路案内などに支障のない範囲内で地図画像の処理負担を下げて表示することが可能となる。
【0037】
なお、上記実施例では、ナビゲーションの処理負担が大きい場合、地図画像の処理にかかる処理負担を下げて処理を行う一例として、一画素当たりフルピクセルの2/3ピクセル数で地図描画を行っているが、本発明はこれに限らず、地図データのサイズを小さくしたり、フルカラー表示をモノクロ表示に変更したりすることにより地図画像の処理にかかる処理負担を下げてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 :ナビゲーション装置
10 :制御手段
11 :現在位置検出手段
12 :経路探索手段
13 :経路案内手段
14 :地図記憶手段
15 :表示手段
16 :音声出力手段
17 :入力手段
18 :ナビゲーション処理負担判定手段
19 :画像描画手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能の処理負担を判定するナビゲーション処理負担判定手段と、
ナビゲーション機能に用いる地図画像を処理するための画像処理手段と、を有し、
前記ナビゲーション処理負担判定手段は、所定時間後のナビゲーション機能の処理負担の大きさを判定し、該ナビゲーション機能の処理負担が大きい場合、前記画像処理手段は、前記所定時間後に前記地図画像を処理する際に当該地図画像の処理にかかる処理負担を下げて処理を行うことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−236900(P2010−236900A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82507(P2009−82507)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】