説明

ナビゲーション装置

【課題】利便性を向上できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】現在位置を検出する現在位置検出部8と、地図データに基づく地図を表示する表示部12とを備え、現在位置と目的地点とを結ぶ経路線21、22を地図31上に表示して案内するナビゲーション装置1において、複数階を有する屋内の現在位置Pと目的地点Gとが異なる階に配される際に、複数の階に対して書式の異なる経路線21、22を平面の地図31上に重ねて表示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地点までの経路を表示して使用者を案内するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置は地図データに基づく地図を表示する表示部と、GPS(Global Positioning System)の電波の受信等によって現在位置を検知する現在位置検知部とを有している。そして、現在位置検知部によって検知した現在地から使用者により設定される目的地点までの経路線を地図上に重ねて表示し、使用者を目的地点まで案内する。
【0003】
また、特許文献1には屋内を案内するナビゲーションシステムが開示される。このナビゲーションシステムは情報発信装置及びナビゲーション装置を備えている。情報発信装置は屋内の各所に設置され、位置情報を発信する。ナビゲーション装置には情報発信装置の位置情報を受信して現在位置を検知する現在位置検知部が設けられる。これにより、GPSの電波が届かない屋内でも現在位置を検知し、自律航法によって使用者を案内することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−12155号公報(第4頁−第7頁)
【特許文献2】特開平5−164566号公報(第2頁−第4頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたナビゲーション装置によると、複数階を有する屋内で現在位置と目的地点とが異なる階に配されると、例えば現在位置の階の経路線が表示される。そして、使用者が階を移動するとその階の経路線に書き換えられ、目的地点の階に到達すると目的地点の階の経路線が表示される。
【0006】
しかしながら、経路線の表示を上記のように行うと使用者は出発地点で目的地点までの道のりを把握することができず、ナビゲーション装置の利便性が悪くなる。この問題を解決するために、地図上に複数の階毎の経路線を重ねて表示することが考えられる。しかし、重ねて表示された各階の経路線を判別することができず、利便性を向上することができない。
【0007】
また、屋内を鳥瞰図等による3次元表示にして現在位置から目的地点までの経路を表示すると各階の経路線を判別できる。しかし、このように表示するとあらゆる建物の屋内の3次元画像を保管する必要があるため、地図データの容量が肥大してコストが増加する問題がある。
【0008】
本発明は、コストを増加させることなく利便性を向上できるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、現在位置を検出する現在位置検出部と、地図データに基づく地図を表示する表示部とを備え、現在位置と目的地点とを結ぶ経路線を地図上に表示して案内するナビゲーション装置において、複数階を有する屋内の現在位置と目的地点とが異なる階に配される際に、複数の階に対して書式の異なる経路線を平面の地図上に重ねて表示したことを特徴としている。
【0010】
この構成によると、現在位置検出部が無線LAN等によって屋内の出発地点となる現在位置を検知し、使用者によって目的地点が設定される。表示部には目的地点までの経路線を地図上に表示して使用者を案内する。現在位置と出発地点とが屋内の異なる階に配されると、階に応じて色、線種、線幅等の書式が異なる複数の経路線が地図上に重ねて表示される。経路線は現在位置から目的地点までの全ての階を表示してもよく、所定の階のみ(例えば、現在位置の階と目的地点の階)を表示してもよい。
【0011】
また本発明は、上記構成のナビゲーション装置において、複数の階に対して異なる色で経路線を表示したことを特徴としている。この構成によると、例えば1階から2階に案内する際に、1階の経路線を赤色で表示して2階の経路線を青色で表示する。これにより、1階と2階の経路線を判別することができる。
【0012】
また本発明は、上記構成のナビゲーション装置において、上方の階の経路線を下方の階の経路線の上層に重ねて下方の階の経路線よりも細く表示したことを特徴としている。この構成によると、例えば1階から2階に案内する際に、1階の経路線を太い赤色で表示して2階の経路線をその上層に重ねて細い青色で表示する。これにより、1階と2階の経路線が鉛直方向に重なる経路を含んでも判別することができる。
【0013】
また本発明は、上記構成のナビゲーション装置において、現在位置から目的地点に向かう次の階の地図を現在位置の階の地図上に半透明で重ねて表示したことを特徴としている。この構成によると、現在位置の階の地図が表示され、その上層に次の階の地図が半透明で表示される。そして、目的地点の階に到達するまで階を移動する毎に表示部の地図が書き換えられる。
【0014】
また本発明は、上記構成のナビゲーション装置において、目的地点の階の地図を現在位置の階の地図上に半透明で重ねて表示したことを特徴としている。この構成によると、現在位置の階の地図が表示され、その上層に目的地点の地図が半透明で表示される。
【0015】
また本発明は、上記構成のナビゲーション装置において、目的地点の階を文字表示したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、複数階を有する屋内の現在位置と目的地点とが異なる階に配される際に、複数の階に対して書式の異なる経路線を平面の地図上に重ねて表示したので、地図データの容量を肥大させず、使用者が各階の経路線を容易に判別して出発地点で目的地点までの道のりを把握することができる。従って、ナビゲーション装置のコストを増加させずに利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態のナビゲーション装置の屋内を案内する動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施形態のナビゲーション装置の屋内を案内する際の表示部の表示画面を示す図
【図4】本発明の実施形態のナビゲーション装置の屋内を案内する際の表示部の表示画面を示す図
【図5】本発明の実施形態のナビゲーション装置の屋内の各階別の経路線を表示した表示部の表示画面を示す図
【図6】本発明の実施形態のナビゲーション装置の屋内の各階別の経路線を表示した表示部の表示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は使用者を目的地点に案内する一実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は各部を制御する制御部2を備えている。制御部2はCPU3、描画チップ4、入出力部5、メモリ6を内部に有している。
【0019】
CPU3は各部を制御するための演算を行う。描画チップ4は表示部12の表示処理を行う。入出力部5は各部との信号の入出力を行う。メモリ6はROM及びRAMから成り、ナビゲーション装置1の動作プログラムや設定条件を格納するとともにCPU3による演算の一時記憶を行う。
【0020】
制御部2にはGPS部7、無線LAN部8、バッテリ9、操作部10、スピーカ11、表示部12及び地図データ部13が接続される。GPS部7はGPSの電波を受信して屋外の現在位置を検知する。無線LAN部8は建物の屋内に設置されるアクセスポイントとの間で通信を行う。アクセスポイントは屋内に複数設けられ、無線LAN部8は近い位置に配されたアクセスポイントと通信する。このため、無線LAN部8が通信を確立したアクセスポイントの位置情報によって屋内の現在位置を検知することができる。
【0021】
従って、GPS部7及び無線LAN部8はそれぞれ屋外と屋内の現在位置を検知する現在位置検知部を構成する。尚、屋内に設置されたRFID等の情報発信装置の信号を受信して屋内の現在位置を検知してもよい。
【0022】
バッテリ9はナビゲーション装置1の各部に電力を供給する。スピーカ11は案内のための音声を出力する。地図データ部13はHDD、CD、DVD、フラッシュメモリ等から成り、屋外及び建物の屋内の地図データを格納する。表示部12は液晶パネルや有機ELパネル等から成り、地図データによる地図や操作メニューの表示を行う。操作部10は筐体上に設けられる操作キー、表示部12上に設けられるタッチパネル、リモートコントローラ等から成る。操作部10によって使用者によるメニュー操作や入力操作が行われる。
【0023】
図2はナビゲーション装置1による屋内の案内時の動作を示すフローチャートである。ステップ#11では操作部10の操作によって目的地点が設定されるまで待機する。目的地点が設定されるとステップ#12に移行し、無線LAN部8によって現在位置が取得される。
【0024】
ステップ#13では現在位置を出発地点として出発地点から目的地点までの経路が探索される。ステップ#14では現在位置から目的地点まで複数の階を通るか否かが判別される。現在位置と目的地点とが同じ階に配される場合はステップ#17に移行する。現在位置と目的地点とが異なる階に配されて複数の階を通る場合は、ステップ#15で現在位置から目的地点までの経路線の色が階別に設定される。
【0025】
ステップ#16では現在位置から目的地点までの経路線の線幅が階別に設定される。この時、上方の階の経路線が下方の階の経路線よりも細く設定される。ステップ#17では表示部12上に経路線が表示される。この時、下方の階の経路線が下層に表示され、上方の階の経路線が上層に表示される。ステップ#18では現在位置の階の地図が通常の状態で表示される。ステップ#19では現在位置から目的地点に向かう次の階の地図が半透明で表示される。
【0026】
図3は現在位置が1階で目的地点が2階に配された場合の表示部12の表示画面を示す図である。表示部12には現在位置である1階の地図31が通常の状態で表示される。地図31の上層には現在位置の次の階である2階の地図32が半透明(図中、破線で示す)で表示される。
【0027】
地図32の上層には現在位置である1階の経路線21が例えば赤色(図中、斜線を付した線で示す)で表示される。経路線21の上層には目的地点である2階の経路線22が例えば青色で経路線21よりも細く表示される。図中、Sは出発地点を示し、Gは目的地点を示す。また、矢印20はエスカレータまたは階段である。経路線21、22は線幅が異なるため、鉛直方向に重なる経路(図中、D部)を含んでも階別に判別することができる。
【0028】
表示部12の右下部には階別の経路線21、22の凡例40が表示される。凡例40によって目的地点Gの階が文字表示され、使用者が何階まで昇降すればよいかを容易に判別することができる。
【0029】
経路線21に従って移動すると、ステップ#20で現在位置が検出され、現在位置を示す点Pが表示部12上を移動する。エスカレータまたは階段(矢印20)を介して2階に移動すると、図4に示すように1階の地図31が消去されて2階の地図32が通常表示される。これにより、目的地点Gまで案内される。
【0030】
この時、目的地点Gが3階の場合は使用者が2階に移動すると1階の地図31が消去されて2階の地図32が通常表示され、3階の地図が半透明で重ねて表示される。そして、使用者が3階に移動すると2階の地図32が消去されて3階の地図が通常表示される。即ち、現在位置Pから目的地点Gに向かう次の階の地図が現在位置の階の地図上に半透明で重ねて表示される。これにより、通過階の状態を使用者が容易に把握することができる。
【0031】
ステップ#21では目的地点Gまで到着したか否かが判断される。目的地点Gに到着していない場合は、ステップ#18〜#21が繰り返し行われる。目的地点Gに到着すると、案内を終了する。
【0032】
また、使用者による設定によって各階別に地図31、32及び経路線21、22を表示部12に表示可能になっている。図5は出発地点Sの階(1階)の地図31及び経路線21を表示した状態を示している。図6は目的地点Gの階(2階)の地図32及び経路線22を表示した状態を示している。経路線21、22が複雑で重ねると見にくくなる場合等に図5、図6に示すように表示を切り換え、各階毎の経路線21、22を読み取ることができる。
【0033】
本実施形態によると、複数階を有する屋内の現在位置Pと目的地点Gとが異なる階に配される際に、複数の階に対して書式の異なる経路線21、22を平面の地図31、32上に重ねて表示したので、地図データの容量を肥大させず、使用者が各階の経路線21、22を判別して出発地点Sで目的地点まGでの道のりを把握することができる。従って、ナビゲーション装置1のコストを増加させずに利便性を向上することができる。
【0034】
また、複数の階に対して異なる色で経路線21、22を表示したので、階の異なる経路線21、22を使用者が容易に判別することができる。
【0035】
また、上方の階の経路線22を下方の階の経路線21の上層に重ねて下方の階の経路線22よりも細く表示したので、鉛直方向に重なる経路を含んでも各階の経路線21、22を使用者が容易に判別することができる。
【0036】
尚、経路線の書式は本実施形態に示す色や線幅だけでなく線種等によっても区別することができる。線種の異なる経路線は実線、破線、点線等により区別してもよく、更に、直線、波線等により区別してもよい。
【0037】
また、現在位置Pから目的地点Gに向かう次の階の地図を現在位置Pの階の地図上に半透明で重ねて表示したので、使用者が次の階の状態を予め把握することができる。尚、現在位置Pの階の地図の上層に目的地点Gの階の地図を半透明で重ねて表示してもよい。これにより、目的地点Gの階の経路を地図に照らして予め把握することができる。
【0038】
また、目的地点Gの階を凡例40により文字表示したので、使用者が何階まで昇降すればよいかを容易に把握することができる。特に、エレベータを用いて昇降する際の利便性を向上することができる。
【0039】
本実施形態において、出発地点Sから目的地点Gまでの全ての階の経路線を表示している。これにより、経路線の色の数によっても昇降する階数を判別することができる。これに対して、階段やエスカレータ等の昇降手段以外の水平移動を伴う階のみの経路線を表示してもよい。
【0040】
例えば、1階から10階まで連続したエスカレータで昇降する場合は、2階から9階までの経路線を省いて1階と10階の経路線を表示する。1階と10階との間に5階で別のエスカレータに乗り換える場合は1階と5階と10階の経路線を表示する。これにより、表示画面を簡素化して経路線の判別を容易にすることができる。また、昇降手段以外の水平移動を伴う階のみの地図を現在位置の階の地図上に半透明で重ねて表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によると、屋内の目的地点までの経路を表示して使用者を案内するナビゲーション装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ナビゲーション装置
2 制御部
3 CPU
4 描画チップ
5 入出力部
6 メモリ
7 GPS部
8 無線LAN部
9 バッテリ
10 操作部
11 スピーカ
12 表示部
13 地図データ部
21、22 経路線
31、32 地図
40 凡例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する現在位置検出部と、地図データに基づく地図を表示する表示部とを備え、現在位置と目的地点とを結ぶ経路線を地図上に表示して案内するナビゲーション装置において、複数階を有する屋内の現在位置と目的地点とが異なる階に配される際に、複数の階に対して書式の異なる経路線を平面の地図上に重ねて表示したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
複数の階に対して異なる色で経路線を表示したことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
上方の階の経路線を下方の階の経路線の上層に重ねて下方の階の経路線よりも細く表示したことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
現在位置から目的地点に向かう次の階の地図を現在位置の階の地図上に半透明で重ねて表示したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
目的地点の階の地図を現在位置の階の地図上に半透明で重ねて表示したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
目的地点の階を文字表示したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−266256(P2010−266256A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116094(P2009−116094)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】