説明

ナビゲーション装置

【課題】利便性に優れた複数経路が選択できるナビゲーション装置を得る。
【解決手段】移動体の現在位置を特定する自車位置特定部9と、ユーザの操作を入力する操作入力部3と、地図のデータを取得する地図情報取得部5と、複数経路探索部12と、複数経路表示生成部17とを備える。複数経路探索部12は、地図情報取得部5からの地図データを用い、操作入力部3で入力された目的地までの複数の経路を探索する。複数経路表示生成部17は、複数経路探索部12で探索された複数の経路を常に表示部7に表示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両等の移動体に搭載され、地図の表示や目的地までの案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車載用ナビゲーション装置においては、まず経路探索を行ってメイン案内経路を決めて案内を開始し、目的地の情報と現在位置の情報とに基づき、交差点等の案内ポイントごとに複数経路の同時案内をする。ユーザがメイン案内経路以外を選択した場合は、メイン案内経路をユーザ選択経路に変更する。これにより、ユーザが複雑な設定をすることなく各案内ポイント毎に経路案内を行う(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−255162号公報(第5〜6頁、第3〜5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車載用ナビゲーション装置においては、複数の経路のうち、どの経路にするかは、経路探索直後又は各案内ポイントにおいて決めることしかできなかった。そのため、走行途中で複数経路の到達時間や料金等を考慮して経路変更を再考する場合、再度経路検索を行わなくてはならず、ユーザの利便性に欠けるといった問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、利便性に優れた複数経路が選択できるナビゲーション装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るナビゲーション装置は、移動体の現在位置を特定する自車位置特定部と、ユーザの操作を入力する操作入力部と、地図のデータを取得する地図情報取得部と、複数経路探索部と、複数経路表示生成部とを備える。複数経路探索部は、地図情報取得部からの地図データを用い、操作入力部で入力された目的地までの複数の経路を探索する。複数経路表示生成部は、複数経路探索部で探索された複数の経路を常に表示部に表示するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、複数の経路が常に表示されるので、経路の比較と経路変更が容易に出来、利便性に優れたナビゲーション装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1のナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1のデータの流れを示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1を示す画面表示の例である。
【図5】この発明の実施の形態1を示す画面表示の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における車両等の移動体のナビゲーション装置を示すブロック図である。また図2は、各構成部の間のデータの流れを示す。ナビゲーション装置中の制御部1は、例えばマイクロコンピュータとメモリから構成されており、この装置の全体を制御する。なお、後述するマップマッチング部11、複数経路探索部12、案内経路決定部13、経路案内部14、情報計算取得部15、全経路表示生成部16、複数経路表示生成部17、情報表示生成部18は、このマイクロコンピュータの制御の下で動作するアプリケーションプログラムから構成されている。
【0010】
自車位置検出部2は、地図情報取得部5から得た地図データを元にGPS(Global Positioning System)からの現在位置データ、車速センサからの速度データ、ジャイロセンサからの方位データから自車位置を検出する。操作入力部3は、ユーザからのスイッチ操作やタッチパネル操作、リモコン等による入力操作を受け付ける。外部情報入手部4は、アンテナを介した受信機や携帯電話等で受信し、渋滞や通行止め等の交通情報、経路沿いの天候、路面状態等の外部データを入手する。地図情報取得部5は、HDD(Hard Disk Drive)や、DVD(Digitel Versatile Disc)、大容量メモリカード等の記憶装置から地図データを読み出す。
【0011】
マップマッチング部11は、自車位置検出部2から検出された現在位置と、地図情報取得部5から読み出した地図データによって表される地図とを対応させ、移動体の現在位置を特定する。これら、自車位置検出部2とマップマッチング部11は、自車位置特定部9を構成する。
【0012】
複数経路探索部12は、操作入力部3からの操作データ、地図情報取得部5からの地図データ、自車位置特定部9からの自車位置データ、及び、外部情報入手部4からの外部データを元に、操作入力部3にて入力された地点(出発地点等)又は現在位置から、操作入力部3で入力された目的地までの複数の経路を探索する。案内経路決定部13は、操作入力部3からの操作データ及び複数経路探索部12からの複数の経路データを元に案内する経路を決定する。経路案内部14は、地図情報取得部5からの地図データと自車位置特定部9からの自車位置データを元に、案内経路決定部13において決定した経路の案内をスピーカ6と表示部7を介して行う。
【0013】
全経路表示生成部16は、地図情報取得部5からの地図データ、自車位置特定部9からの自車位置データ、及び、複数経路探索部12からの複数の経路データを元に自車位置から目的地までの全経路が掲載された地図を作成し、モニタ等の表示部7に表示する。複数経路表示生成部17は、地図情報取得部5からの地図データ、自車位置特定部9からの自車位置データ、及び、複数経路探索部12からの複数の経路データを元に、複数の経路が掲載された地図を作成し、モニタ等の表示部7に表示する。なお、一般的には自車位置を含む地図を生成するが、スクロール中、又は、目的地や途中の施設を表示する場合等によっては自車位置を含まない事がある。
【0014】
情報計算取得部15は、地図情報取得部5からの地図データ、自車位置特定部9からの自車位置データ、外部情報入手部4からの外部データ、及び、複数経路探索部12からの複数の経路データを元に、複数の経路の中の現在位置から目的地までの各々の経路沿いのガソリンスタンド、コンビニエンスストア、レストラン、トイレ等の施設数や、信号、踏み切り等が何件あるかを計算したり、目的地までの距離や到着予想時間、料金を計算したりする。情報表示生成部18は情報計算取得部15からのデータを元に表示部7に表示する経路情報を生成する。出力部8は、スピーカ6と表示部7から構成され、経路案内部14からの経路の案内情報をスピーカ6と表示部7に出力したり、自車位置を含む全経路表示生成部16からの全経路や、複数経路表示生成部17からの複数の経路、情報表示生成部18からの経路情報を表示部7のモニタに表示したりする。
【0015】
このように構成されたナビゲーション装置の動作について図3のフローチャートに従って説明する。また、図4、図5はこのナビゲーション装置の画面の表示例である。先ず、ステップS100で操作入力部3からの入力により目的地が設定されたかを判断する。設定されなければ目的地が設定されるまで待ち、設定されればステップS110へ進む。
【0016】
ステップS110では、複数経路探索部12が所定数、例えば5本の複数の経路の探索を行う。探索条件は例えば、有料(有料道路を使って最短時間となるような経路)、一般(極力有料道路を使わない経路)、距離(最短距離となる経路)、料金節約(有料道路の料金や燃料料金が安くなる経路)、推奨(時間・距離・料金等のバランスが取れた推奨経路)等である。ステップS120では、所定数の経路の探索が完了するまで待つ。探索が完了するとステップS130へ進む。
【0017】
探索されたそれぞれの経路は、複数経路表示生成部17が色や形状を変えて作成し、これら複数の経路を常に表示部7に表示する。図4にはその際の画面表示例を示す。この図において、地図中央の下方にある黒い三角形は自車マークを示し、自車の現在位置を示す。黒丸、白丸、四角形、三角形、星型はそれぞれ、推奨、有料、一般、距離、料金節約を主として探索された経路を示す。目的地までのそれぞれの経路と、所要時間が表示されている。なお、それぞれの経路は、実線や点線、破線等であっても良いし、太さや色や形状、透過率等を変えても良いし、これらを組み合わせても良い。また、経路毎に表示する/しないをユーザが選択できるようにしてもいいし、ユーザが表示する経路の本数を決め、どの経路を表示するかを選択するようにしてもいい。
【0018】
ステップS130では、案内経路決定部13がユーザが案内経路を選択するのを待つ。選択するとステップS140へ進む。ステップS140では経路案内部14が複数経路の中でユーザが選択した条件の経路で案内を開始する。なお、図4では、右側の欄の太線枠で囲まれた「推奨」経路が選択されていることを示し、黒丸マークで表されている地図中の中央部の上下に渡っている太い線が選択された経路であり、この推奨経路の案内を行う。
【0019】
ステップS150では目的地に到着したかを判定する。到着した場合は、ステップS160へ進み、案内を終了する。到着していない場合はステップS170へ進む。
【0020】
ステップS170では、ユーザが案内経路を変更したかを判断する。経路の変更の方法としては、例えば、図4のディスプレイの中の右側にあるタッチパネルの「推奨」、「有料」、「一般」、「距離」、「料金節約」のスイッチに触ったり、リモコンで操作したりして経路を選択する。変更した場合はステップS140へ進んで、新たに選択された経路の案内を開始する。変更しない場合は、ステップS180へ進み、ここでは、5本の経路のうち、車両がいずれかの経路を逸脱したかを判断する。逸脱していない場合は、選択済みの経路の案内を続け、ステップS150へ進んで同様に繰り返す。
【0021】
ステップS180でいずれかの経路を逸脱した場合、ステップS190へ進む。ここでは、逸脱した経路が案内経路かを判断する。逸脱した経路が案内経路でない場合は、ステップS200へ進み、複数経路探索部12が逸脱した経路に替わる新たな別の経路を再探索し、複数経路表示生成部17が複数の経路が引かれた地図を作成して表示部7に表示する。なお、案内経路は変更されていないので、選択済みの経路の案内を続け、ステップS150へ進んで同様に繰り返す。
【0022】
ステップS190で案内経路を逸脱した場合、ステップS210で複数経路探索部12が逸脱した経路に替わる新たな別の経路を再探索し、複数経路表示生成部17が複数の経路が引かれた地図を作成して表示部7に表示する。逸脱した経路が複数個ある場合はステップS220で経路の探索が完了するまで待つ。探索が完了するとステップS230へ進む。ここでは、ユーザが案内経路の選択後、その経路の案内を開始する。その後、ステップS150へ進んで同様に繰り返す。
【0023】
このように構成されたナビゲーション装置においては、複数の経路が常に表示されるため、ユーザ操作により任意に経路を変更できる。その際、画面のスイッチの中、あるいはそのスイッチと対応付けられる表示方法(サブウィンドウ、吹き出し等)にて、経路毎の現在位置から目的地までの距離、到着予想時間、料金等の表示を行うと良い。それらの情報は、情報計算取得部15が地図情報取得部5や外部情報入手部4から取得し、情報表示生成部18が経路情報を生成してリアルタイムに表示部7のモニタに表示する。ユーザは、それらの情報を参考に、どの経路にするかを任意に選択できる。ここで、何を表示するかは、ユーザ設定で決めることができるようにすると良い。表示する情報として、距離、到着予想時間、料金以外に、経路沿いのガソリンスタンド、コンビニエンスストア、レストラン、トイレ等の施設数や、経路の信号、踏み切り、天候、路面状態、交通規制、渋滞情報等の経路の状況を用いても良い。
【0024】
経路の条件毎に、スイッチを2個用意し、1個はその条件の全経路図、又は、この全経路図から細街路や施設のマーク、アイコン等の情報量を減少させた概略図を表示するためのもの、もう1個はその経路に案内を切り替えるためのものとしてもよい。例えば、図4の各経路の選択スイッチの横にある「全ルート」スイッチを押すと、その経路の全経路図が全経路表示生成部16によって作成され、それが表示部7のモニタに表示される。また、複数の経路の「全ルート」スイッチを押すと、押された経路に対応する全経路が表示される。
【0025】
あるいは、図5のように全条件の全経路図を表示するための「全ルート」スイッチを1個設け、条件毎にはその経路に切り替えるためのスイッチのみを表示するようにしてもよい。さらには、全経路図はサブウィンドウや画面分割、PinP(Picture in Picture)として常に表示させ、その経路に切り替えるためのスイッチを表示するようにしてもよい。
【0026】
スイッチの並びは固定にしてもよいし、ユーザが選択した条件の順に並べてもいい。例えば、ユーザが「時間」を選択すると、図5のように所要時間の短い順にスイッチを並べる。この場合、走行途中でスイッチの並びが入れ替わることもある。
【0027】
このように構成されたナビゲーション装置は、複数の経路が常に地図上に表示されるので、経路の比較と経路変更が容易に出来、利便性に優れたナビゲーション装置が得られる。また、その際、各経路の情報もリアルタイムに表示されるので、ユーザは経路の比較が容易となる。そのため、途中から経路変更を行うことが容易となり、ユーザの利便性が向上する。
【符号の説明】
【0028】
1 制御部
2 自車位置検出部
3 操作入力部
4 外部情報入手部
5 地図情報取得部
6 スピーカ
7 表示部
8 出力部
9 自車位置特定部
11 マップマッチング部
12 複数経路探索部
13 案内経路決定部
14 経路案内部
15 情報計算取得部
16 全経路表示生成部
17 複数経路表示生成部
18 情報表示生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の現在位置を特定する自車位置特定部と、
ユーザの操作を入力する操作入力部と、
地図のデータを取得する地図情報取得部と、
前記地図情報取得部からの地図データを用い、前記操作入力部で入力された目的地までの複数の経路を探索する複数経路探索部と、
前記複数経路探索部で探索された複数の経路を常に表示部に表示する複数経路表示生成部とを備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記現在位置が、前記複数の経路の中の一つ以上を外れた場合、前記複数経路探索部は、前記外れた経路の替わりに前記現在位置から前記目的地までの別の経路を探索する請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
通信によって外部からのデータを取得する外部情報入手部と、
この外部情報入手部からの外部データ及び前記地図データの少なくともいずれかを用いて、前記複数の経路の中の前記現在位置から前記目的地までの各々の経路情報を生成し、前記表示部に表示する情報表示生成部とを備える請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記情報表示生成部は、距離、所要時間、料金、経路沿いの施設の数、経路の状況のうち少なくとも1つを前記経路情報として生成する請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記複数の経路の少なくとも1つの全経路又はこの全経路から情報量を減少させた概略図を前記表示部に表示する全経路表示生成部を備えた請求項1記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−281590(P2010−281590A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133047(P2009−133047)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】