説明

ナビゲーション装置

【課題】経路誘導処理中における地図や案内の画面表示が阻害されることを回避したナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】制御部10(割込み制御設定・表示抑制処理部100)は、記憶部11(割込み制御設定情報テーブル111)に事前に設定登録された割込み制御設定情報に基づき、経路誘導処理中に限り外部から取得したVICSやETC等割込み情報の表示抑制制御を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、経路誘導案内表示機能を有する、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出発地から目的地までの経路探索を行い、表示画面上に経由地を含む地図表示を行ない、誘導案内する経路誘導案内表示機能は、車載ナビゲーション装置にとっては必須搭載機能になっている。
また、通信技術の進歩により、VICS(登録商標)センタで処理された渋滞や規制等の道路交通情報をリアルタイムに受信して地図上に重ね書きして表示するVICS(Vehicle Information and Communication System)レシーバや、有料道路の料金所等に設置されたアンテナと車両に設置されたETC(登録商標)車載器で狭帯域通信を行ない、車両を停止させることなく料金支払いを行なうETC(自動料金収受システム:Electronic Toll Collection)が搭載された車載ナビゲーション装置も流通するようになった。
【0003】
このため、車載ナビゲーション装置の表示画面上には、地図情報以外に、割込みにより取得される、交通情報、ETC情報、あるいは内蔵のカメラにより撮影された画像、電話、車両情報等、多数の情報が表示されるようになった。
したがって、表示情報の過多により表示画面が見づらくなる傾向にあり、特に、経路探索時等においては、地図情報上に交通情報等の割込み情報が重ね合わせて表示されるため、経路確認に本来必要な地図情報が割込み情報に隠れて表示され、十分な経路誘導ができないことが想定される。このため、経路誘導時には交通情報等の割込み情報の表示を適切に制御することが要望されている。
【0004】
上記した要望を満たすために、従来、操作メニューを処理中に外部から割込み情報が入ってきた場合、表示中のメニュー画面により操作完了時間を推定し、推定された操作完了時間に基づいて割込み情報を表示させる車両用情報提示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、運転手が必要ないと判断した交通情報を送信している外部送信機からの割込み情報を減少させ、経路誘導中に限ってその設定が解除できるナビゲーション装置(例えば、特許文献2参照)、あるいは、静的情報(一方通行/車両制限/車両通行止め等の道路案内情報)と、動的情報(交通情報や気象情報などにより変動する交通に関連する情報)のうち、動的な情報がない場合は割込み情報を表示せず、この設定は、経路誘導中に限り有効とする車両用ナビゲーション装置も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−251757号公報
【特許文献2】特開2005−172439号公報
【特許文献3】特開2006−105697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に開示された技術によれば、操作メニュー表示時の割込み抑制にのみ効果が得られ、その他の画面では割込み制御の対象外である。また、特許文献2に開示された技術によれば、経路誘導中に割込み情報の表示を許可するため、割込み情報の表示により地図や案内表示が隠れ、十分な経路誘導案内ができない。また、特許文献3に開示された技術によっても、動的な情報がある場合は割込み情報を地図に重ね合わせ表示するため、不意な割込み情報の表示により依然として地図や案内の画面表示が阻害される。
【0007】
この発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、経路誘導処理中における地図や案内の画面表示が阻害されることを回避したナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、この発明のナビゲーション装置は、地図情報、および外部から取得した割込み情報を表示する表示部と、割込み制御設定情報が予め登録され記憶される記憶部と、経路誘導処理中、前記記憶部に記憶された割込み制御設定情報にしたがい、前記外部から取得した割込み情報の前記表示部への表示を抑制する制御部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明のナビゲーション装置によれば、経路誘導処理中における地図や案内の画面表示が阻害されることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の内部構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の制御中枢となる制御部10と、記憶部11と、地図情報DB(Data Base)12と、操作入力部13と、表示部14と、通信部15と、センサ入力部16と、外部機器インタフェース部17とにより構成される。
【0011】
制御部10は、例えば、マイクロプロセッサにより構成され、ここでは、経路誘導処理中、記憶部11に記憶された割込み制御設定情報にしたがい、外部から取得した割込み情報の表示部14への表示を抑制する。
なお、ここで、「経路誘導処理中」とは、ユーザによる目的地設定入力を契機に経路探索が開始され、候補となる1以上の経路が表示され、画面もしくは音声による誘導、案内を経てユーザが経路選択するまでの一連の処理期間をいう。
【0012】
記憶部11は、例えば、半導体メモリで構成され、上記した割込み制御設定情報の他に、割込み抑制履歴リスト、各種フラグ情報、および制御部10が実行するプログラムが所定の領域に割当てられそれぞれ格納される。
なお、上記した割込み制御設定情報、および割込み抑制履歴リスト、ならびに各種フラグ情報は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体に記憶してもよい。ここでいう割込み制御設定情報、割込み抑制履歴リスト、ならびに各種フラグ情報のデータ構造等、詳細は、図3を用いて後述する。
【0013】
地図情報DB12は、記憶媒体が、例えば、HDD(Hard Disc Drive)等の大容量ストレージデバイスで構成され、ここには、予め地図情報や施設情報等が格納されている。
【0014】
操作入力部13は、各種キースイッチにより構成され、ユーザがこれらキースイッチを操作することにより、制御部10による割込み制御設定操作処理、割込み表示抑制処理、および割込み抑制履歴操作処理が実効される。操作入力部13は、後述する表示部14とともにユーザインタフェースとして機能し、制御部10は、例えば、表示部14に表示された割込み制御設定メニューにしたがいユーザが操作入力部13を操作することにより取得される入力情報にしたがい割込み制御設定情報を生成する。表示部14は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display Device)モニタで構成され、上記した割込み制御設定メニューの他に、地図情報、あるいは外部から取得した割込み情報等を表示する。
なお、上記した操作入力部13と表示部14は、例えば、LCDタッチパネル等の表示入力デバイスで共用してもよい。
【0015】
通信部15は、例えば、VICS等、FM(Frequency Modulation)多重による交通情報の受信、ETCによる狭帯域通信、あるいはIP(Internet Protocol)通信等に係る通信プロトコルの制御を行い、これらにより受信した情報は、割込み情報として制御部10により取込まれる。
センサ入力部16は、GPS(Global Positioning System)レシーバ他、車速度センサ等、車両の任意の場所に設置されたセンサ類から現在位置を含む車両の各種状態を検知し、車両状態情報として制御部10に供給する。また、外部機器インタフェース部17は、CAN(Control Area Network)等の車載通信ネットワーク経由で接続されるエンジンやミッション系のECU(電子制御ユニット)、あるいはエアコンやオーディオ機器等の車載機器とのインタフェースを司り、ECU経由で取得した情報を制御部10に供給する。
【0016】
図2は、図1に示す制御部10が実行するプログラムの構造を機能展開して示したブロック図である。
図2に示されるように、制御部10が実行するプログラムは、割込み制御設定・表示抑制処理部100と、ナビゲーション処理部101と、外部情報取得部102と、描画・表示制御部103と、入力情報取得部104と、地図情報取得部105と、割込み抑制履歴リスト処理部106とに機能展開して表現することができる。
【0017】
ナビゲーション処理部101は、操作入力部13を介してユーザにより設定入力される出発地から目的地までの経路探索を行い、割込み制御設定・表示抑制処理部100による制御の下で、表示部14の表示画面上に、経由地を含む候補経路の地図表示を行ない、誘導、案内を行なう経路誘導案内機能を実行する。ナビゲーション処理部101は、上記した経路誘導案内機能の他に、現在地表示他ナビゲーション処理全般を司る。
【0018】
外部情報取得部102は、通信部15を介して取得されるVICSによる渋滞や交通規制等の交通情報、ETC情報、センサ入力部16あるいは外部機器インタフェース部17により取得される、ECUを介した車両状態情報等を割込み情報として取込み、割込み制御設定・表示抑制処理部100へ転送する。
描画・表示制御部103は、割込み制御設定・表示抑制処理部100により生成される、例えば、割込み制御設定メニューを、内蔵する表示メモリ、あるいは記憶部11の所定の領域に割当てられ記憶される表示メモリ(VRAM)に描画し、また、表示部14の表示タイミングに同期してこれら表示メモリに描画された割込み制御設定メニュー他表示情報を読み出して表示する。
【0019】
入力情報取得部104は、操作入力部13を介してユーザにより設定入力される、例えば、割込み設定メニューに対する入力項目を取得して割込み制御設定・表示抑制処理部100へ引き渡する。
地図情報取得部105は、地図情報DB12から該当の地図情報を読み出してナビゲーション処理部101へ引き渡す。
【0020】
割込み制御設定・表示抑制処理部100は、経路誘導処理中、記憶部11に記憶された割込み制御設定情報にしたがい、外部から取得した割込み情報の表示部14への表示を抑制する、制御部10としての機能を実行するために、上記したナビゲーション処理部101、外部情報取得部102、描画・表示制御部103、入力情報取得部104、地図情報取得部105、そして、後述する割込み抑制履歴リスト処理部106、のシーケンス制御を行なう。また、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、割込み制御設定情報の記憶部11への登録を促す表示画面情報を生成し、その表示画面情報に対する入力情報を取得することにより生成される割込み制御設定情報を記憶部11に記憶する制御を行なう。また、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、記憶部11に記憶された割込み制御設定情報にしたがう表示の抑制を、割込み制御設定情報の記憶部11への記憶の契機が経路誘導処理中か否かにより、1回の経路誘導に限り有効とするか、もしくは経路誘導の都度有効とする制御も行なう。
【0021】
割込み抑制履歴リスト処理部106は、割込み制御設定・表示抑制処理部100による監視の下、割込み制御設定情報による表示の抑制中、外部から取得した割込み情報を割込み抑制履歴リスト112として記憶部11に一時保持するとともに、取得した割込み情報を表示部14に絵文字(後述する割込み抑制表示通知用アイコン)で表示し、表示の抑制が解除されてから絵文字が選択されたことを契機に記憶部11に一時保存された割込み抑制履歴リスト112を読み出し、表示部14に表示する制御を行なう。
【0022】
このため、記憶部11には、割込み制御設定・表示抑制処理部100により生成され、あるいは参照される割込み制御設定情報テーブル111の他に、割込み抑制履歴リスト処理部106により参照される割込み抑制履歴リスト112が所定の領域に割当てられ記憶される。また、記憶部11の所定の領域には、フラグ領域113が設定され、このフラグ領域113には、ナビゲーション装置が経路誘導処理中であることを示す「処理中」フラグ、および割込み情報抑制表示通知用アイコンを設定登録する「設定登録」フラグが、それぞれ割当てられ記憶される。
【0023】
図3は、上記した記憶部11の所定の領域に記憶される割込み制御設定情報テーブル111、割込み抑制履歴リスト112、フラグ領域113にそれぞれ設定される、割込み制御設定情報、リストデータ、フラグの各データ構造の一例を示す図である。
【0024】
図3(a)に示されるように、割込み制御設定情報テーブル111に記憶される割込み制御設定情報は、割込み表示抑制モードの別(モード1〜3)と、割込み表示抑制モード3における詳細情報とにより構成される。ここで、「詳細情報」とは、例えば、VICS、ETC、電話、車両状態情報等、割込み種別(外部情報割込み機器)毎の割込み表示抑制情報(許可/禁止)をいう。
【0025】
また、図3(b)に示されるように、割込み抑制履歴リスト112に記憶されるリストデータは、抑制される割込み情報(のID)毎に、発生日時や表示すべく割込み情報、および確認済みフラグ(確認済み/未確認)で構成される。なお、割込み抑制履歴リスト112に、新規登録、あるいは追加登録されるリストデータは、確認済みフラグが「未確認」として登録される。
また、図3(c)に示されるように、フラグ領域113に記憶されるフラグの中には、上記したように、ナビゲーション装置が現在経路誘導処理中であることを示す「処理中」フラグ、後述する割込み情報抑制表示通知用アイコンの「設定登録」フラグが含まれる。
【0026】
図4〜図7は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャートであり、割込み制御設定操作処理(図4)、割込み情報の表示抑制処理(図5)、割込み抑制履歴リスト操作処理(図6)、割込み情報抑制表示通知用アイコンの表示処理(図7)、のそれぞれを示す。
また、図8〜図10は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置が使用する画面構成の一例を示す図であり、割込み制御設定メニュー画面(図8(a))、割込み制御設定のモード3の詳細設定メニュー画面(図8(b))、割込み抑制履歴リスト画面(図9)、割込み抑制履歴の詳細情報画面(図10)、のそれぞれを示す。
【0027】
以下、図4〜図7のフローチャート、ならびに図8〜図10の画面構成の一例を参照しながら、図1〜図3に示す、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作について詳細に説明する。
【0028】
まず、図4に示した割込み制御設定操作処理から説明する。ここでは割込み制御設定メニューを用い割込み制御設定操作を行なうものとする。
ここで使用される割込み制御設定メニューは、制御部10(割込み制御設定・表示抑制処理部100)が、記憶部11の割込み制御設定情報テーブル111に保存する割込み制御設定情報を生成する際のユーザインタフェースとなるものである。
【0029】
最初に、制御部10(割込み制御設定・表示抑制処理部100)は、記憶部11の割込み制御設定情報テーブル111から登録済みの割込み制御設定情報を読み出す(ステップST401)。割込み制御設定情報テーブル111に割込み制御設定情報が未登録の場合、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、例えば、図8(a)にその画面構成の一例が示される、割込み制御設定メニュー画面情報を生成し、描画・表示制御部103を制御することにより、表示部14に、「割込み制御設定メニュー画面」を表示し、表示エリア枠内のモード選択を促す(ステップST402)。
続いて、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、ユーザが、操作入力部13を操作することにより選択される、割込み情報表示抑制モード情報(モード1:割込み情報の一括表示禁止、モード2:割込み情報の一括表示許可、モード3:割込み情報の一部表示抑制)を、入力情報取得部104を介して取込む(ステップST403)。
【0030】
そして、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、ステップST403で取込まれた割込み情報表示抑制モードについて、モード“1”か、モード“2”であるかを判定し(ステップST404)、そのいずれでもないモード“3”であると判定した場合(ステップST404“No”)、描画・表示制御部103を制御し、表示部14に、例えば、図8(b)にその画面構成の一例が示される「詳細設定メニュー画面」を表示して外部情報割込み機器種別毎の詳細設定に係るユーザ操作を促す(ステップST405)。
続いて、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、操作入力部13による外部情報割込み機器種別毎の詳細設定に係るユーザ操作を、入力情報取得部104を介して取込む(ステップST406)。ここで取込まれるユーザ操作とは、例えば、VICSレシーバ等外部情報割込み機器種別毎に受信した割込み情報の表示を抑制するか否か(抑制する場合は「禁止」/抑制しない場合は「許可」)を示す情報である。
【0031】
割込み制御設定・表示抑制処理部100は、ステップST404の割込み情報表示抑制モード判定処理において、モード“1”あるいはモード“2”であると判定した場合(ステップST404“Yes”)、あるいは、ステップST406で外部情報割込み機器種別毎の詳細設定の入力操作が終了した場合は、ナビゲーション装置が、現在、目的地設定に基づく経路誘導処理中であるか否かを判定する(ステップST407)。
ナビゲーション処理部101が経路誘導処理中にフラグ領域113の特定のビット(「誘導中」フラグ)をONすることは上記したとおりであり、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、この「誘導中」フラグを参照することにより、ナビゲーション装置が、現在、目的地設定に基づく経路誘導処理中であるか否かを判定することか可能である。
【0032】
ここで、「処理中」フラグがOFFして、現在、ナビゲーション装置が目的地設定に基づく経路誘導中でないことを示していた場合(ステップST407“No”)、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、ユーザの上記した一連の操作入力により生成される割込み制御設定情報をデフォルト設定として記憶部11の割込み制御設定情報テーブル111に記憶し、割込み制御設定メニュー操作処理を終了する(ステップST408)。すなわち、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、以降の目的地設定に基づく経路誘導処理中は、全て今回設定登録した割込み制御設定情報が有効になるように制御する。
一方、「処理中」フラグがONして、現在、ナビゲーション装置が目的地設定に基づく経路誘導中であることを示していた場合(ステップST407“Yes”)、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、ユーザの上記した一連の操作入力により生成される割込み制御設定情報を、今回の経路誘導に限り有効として、記憶部11の割込み制御設定情報テーブル111に記憶して割込み制御設定メニュー操作処理を終了する(ステップST409)。
【0033】
上記のように、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、割込み制御設定情報の記憶部11(割込み制御設定情報テーブル111)への登録を促す割込み制御設定メニュー画面を生成し、当該画面に対するユーザの選択入力を取得することにより生成される割込み制御設定情報を、割込み制御設定情報テーブル111に設定登録することにより、以降、経路誘導処理中は、割込み制御設定情報テーブル111に設定登録された割込み制御設定情報にしたがい、外部から取得した割込み情報の表示部14への表示を抑制することができる。記憶部11の割込み制御設定情報テーブル111に記憶された割込み制御設定情報にしたがう表示の抑制処理については後述する。
また、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、割込み制御設定情報テーブル111に、生成された割込み制御設定情報を記憶するにあたり、例えば、その設定契機が経路誘導中であるか否かを判定することで、割込み制御設定情報にしたがう表示の抑制を1回の経路誘導に限り有効とするか、もしくは経路誘導の都度全て有効とするかを制御することができる。
【0034】
次に、図5に示した割込み情報の表示抑制処理について説明する。ここでは、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、まず、通信部15、センサ入力部16、あるいは外部機器インタフェース部17から外部情報取得部102経由で取込まれる割込み情報の受信を行う(ステップST501)。
ここでいう割込み情報とは、例えば、通信部15を介して取得されるVICS情報、ETC情報、センサ入力部16を介して取得される車両状態情報、外部機器インタフェース部17を介して取得されるカメラによる撮影情報等である。
【0035】
割込み制御設定・表示抑制処理部100は、割込み情報受信後、割込みソース(外部情報割込み機器種別)を特定するとともに(ステップST502)、記憶部11のフラグ領域113に割当てられ記憶された「誘導中」フラグを参照し、ナビゲーション装置が現在経路誘導処理中であるか否かを判定する(ステップST503)。
ステップST503のフラグ判定処理で、ナビゲーション装置が現在経路誘導処理中であることが確認されると(ステップST503“Yes”)、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、記憶部11の割込み制御設定情報テーブル111から、登録済みの割込み制御設定情報を読み込む(ステップST504)。
【0036】
続いて、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、読み込んだ割込み制御設定情報を解読し(ステップST505)、割込み情報を一括表示許可するモード“2”でなければ(ステップST505“Yes”)、更に、割込み情報を一括表示禁止するモード“1”であるか否かを判定し(ステップST506)、モード“1”でなければ(ステップST506“No”)、更に、割込み情報の一部表示を許可するモード“3”であって、かつ、対応する外部情報割込み機器種別が「禁止」状態に設定されているか否かを判定する(ステップST507)。
【0037】
割込み制御設定・表示抑制処理部100は、ステップST503の「誘導中」フラグ判定処理で、経路誘導処理中でなかったことが確認されると(ステップST503“No”)、あるいは、経路誘導処理中であって(ステップST503“Yes”)、割込み制御設定情報テーブル111にモード“2”が設定されていた場合(ステップST505“Yes”)、更には、モード“3”であって、外部情報割込み機器種別が「禁止」状態に設定されていなかった場合(ステップST507“No”)、表示部14に表示されている案内誘導に係る地図表示情報を記憶部11の所定の領域に一時退避させるとともに、描画・表示制御部103を制御し、外部情報取得部102が取得した割込み情報を表示部14に表示する(ステップST508)。
そして、割込み表示時間のタイムアウト等により表示部14への割込み情報の非表示条件が成立すると(ステップST509)、その割込み情報を非表示(消去)とし、先に退避した経路誘導に係る地図表示情報を読み出して描画・表示制御部103に転送してその表示情報を回復させ、描画・表示制御部103を制御することにより表示部14に表示する(ステップST510)。
【0038】
一方、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、ステップST503の「誘導中」フラグ判定処理において、ナビゲーション装置が現在経路誘導中であって(ステップST503“Yes”)、割込み制御設定情報テーブル111にモード“1”が設定されていた場合(ステップST506“Yes”)、あるいは、モード“3”であって、外部情報割込み機器種別が「禁止」状態に設定されていた場合(ステップST507“Yes”)、描画・表示制御部103を制御して割込み情報を非表示にするとともに、割込み履歴リスト処理部106を制御し、外部情報取得部102により取込まれ表示抑制された割込み情報を、記憶部11の割込み抑制履歴リスト112へ記憶保存する(ステップST511)。
なお、割込み抑制履歴リスト112に保存されるリストデータが満杯の場合、割込み抑制履歴リスト処理部106は、最も古いリストデータを上書き更新するものとする。
【0039】
このため、割込み抑制履歴リスト112に、新規にリストデータが「未確認」の状態で登録された場合、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、割込み情報の表示が抑制されたことを示す割込み情報抑制表示通知用アイコン情報を生成し、描画・表示制御部103を制御して表示部14の一部領域にこの割込み情報抑制表示通知用アイコンを表示する。このとき、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、記憶部11の所定の領域に割当てられ記憶されるフラグ領域113に、割込み情報抑制表示通知用アイコンの「設定登録」フラグをONして(ステップST512)、上記した一連の表示抑制処理を終了する。
【0040】
上記のように、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、経路誘導中、記憶部11(割込み制御設定情報テーブル111)に記憶された割込み制御設定情報にしたがい、外部から取得した割込み情報の表示部14への表示を抑制することにより、経路誘導中における地図や案内の画面表示が阻害されることを回避することができる。
また、上記した割込み情報の抑制表示処理において、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、外部からの割込み情報の全ての表示を抑制することなく、例えば、車両状態情報等、地図や案内表示に影響されない一部の割込み情報は、割込み情報の表示抑制の対象外とすることができ、このため、柔軟性、融通性の高いシステム構築が可能である。更に、上記した割込み情報の表示抑制において、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、割込み制御設定情報にしたがい、1回の経路誘導に限って表示抑制を有効とするか、もしくは全ての経路誘導の都度有効とするように制御することで、一層、柔軟性、融通性の高いシステム構築が可能である。
【0041】
次に、図6の割込み抑制履歴リスト操作処理について説明する。割込み抑制履歴リスト処理部106は、まず、記憶部11の割込み抑制履歴リスト112からリストデータを読み出す(ステップST601)。次に、割込み抑制履歴リスト処理部106は、読み出し前における割込み抑制履歴リスト112の「確認済み」フラグを参照する(ステップST602)。
【0042】
ここで、読み出し前における割込み抑制履歴リスト112の「確認済み」フラグの全てが「確認済み」となっていた場合(ステップST602“Yes”)、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、描画・表示制御部103を制御して、経路誘導処理中に受信した割込み情報の表示が抑制されたことを示す割込み情報抑制表示通知用アイコンの表示部14への表示を消去するために、記憶部11のフラグ領域113に割当てられ記憶された割込み情報抑制表示通知用アイコンの「設定登録」フラグを解除(OFF)する(ステップST603)。
一方、読み出し前における割込み抑制履歴リスト112の「確認済み」フラグの全てが「確認済み」となっていなかった場合(ステップST602“No”)、割込み抑制履歴リスト処理部106は、例えば、図9にその画面構成の一例が示されるように、未確認の割込み情報がリスト化された「割込み抑制履歴リスト」の選択画面情報を生成し、この割込み抑制履歴リストを、割込み制御設定・表示抑制処理部100による制御の下、描画・表示制御部103を制御して表示部14に表示する(ステップST604)。
【0043】
そして、割込み抑制履歴リスト処理部106は、割込み制御設定・表示抑制処理部100による監視の下で入力情報取得部104を介して取込まれる操作入力部13によるユーザ操作を待ち(ステップST605)、ユーザにより選択されたリスト項目にしたがい、該当する割込み情報を、記憶部11の割込み抑制履歴リスト112から読み出す(ステップST606)。
続いて、割込み抑制履歴リスト処理部106は、割込み制御設定・表示抑制処理部100による制御の下、描画・表示制御部103を制御して記憶部11の割込み抑制履歴リスト112に保存された割込み抑制履歴の詳細情報を表示部14に表示する(ステップST607)。図10に、このとき表示部14に表示される割込み表示抑制履歴の詳細情報(ここでは、ETC画面)が示されている。
【0044】
上記した割込み抑制履歴の詳細情報を確認後(例えば、ユーザが、「戻る」ボタンを押下)、表示部14に表示される画面は、図9に示す「割込み抑制履歴リスト」の選択画面に遷移し、ユーザに対し、別の詳細情報を確認するか、処理を終了するかについての選択入力を促し、割込み抑制履歴リスト処理部106は、入力情報取得部104および割込み制御設定・表示抑制処理部100経由でこれを取込む(ステップST608)。
ユーザが操作入力部13を操作することにより、例えば、表示部14の画面隅に割当てられ表示される「終了」ボタンが押下されると(ステップST608“Yes”)、割込み抑制履歴リスト処理部106は、割込み制御設定・表示抑制処理部100による監視の下、上記した一連の履歴リスト操作処理を終了する。なお、処理を継続する場合は(ステップST608“No”)、ステップST602の処理に移行し、再び、「割込み抑制履歴リスト」の項目選択が行なわれ上記の処理を繰り返す。
【0045】
最後に、図7の割込み情報抑制表示通知用アイコン表示処理について説明する。最初に、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、任意地点の地図情報を地図情報DB12から地図情報取得部105を介して取得し、ナビゲーション処理部101で処理された地図情報を、描画・表示制御部103へ転送し、このことにより、描画・表示制御部103は、表示部14へ地図表示を行っているものとする(ステップST701)。上記の動作は車両の移動に伴い表示される地図情報が更新される毎に繰り返し実行される。
ここで、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、記憶部11の所定の領域に割当て記憶されるフラグ領域113を参照することにより、割込み情報抑制表示通知用アイコンの設定登録状況を読み出す(ステップST702)。すなわち、フラグ領域113に記憶された割込み情報抑制表示通知用アイコンの「設定登録」フラグがOFFされていれば(ステップST703“No”)、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、描画・表示制御部103を制御して表示部14に重畳表示された割込み情報抑制表示通知用アイコンの消去を行ない(ステップST704)、「設定登録」フラグがONしていれば(ステップST703“Yes”)、描画・表示制御部103を制御して、割込み情報抑制表示通知用アイコンを、表示部14に表示された地図上に重畳表示させる(ステップST705)。
【0046】
続いて、割込み制御設定・表示抑制処理部100は、表示部14に表示されている地図情報の表示終了、もしくは移動に伴う更新タイミングを待ち(ステップST706)、未だ地図表示を終了もしくは更新すべきでないと判定した場合は(ステップST706“No”)、任意地点の地図情報を取得し表示を行うステップST701以降の処理に戻り、終了もしくは地図情報の更新タイミング時に(ステップST706“Yes”)、上記した一連の割込み情報抑制表示通知用アイコンの表示処理を終了する。
【0047】
上記のように、割込み抑制履歴リスト処理部106は、割込み制御設定情報による割込み情報の表示抑制中、外部から取得した割込み情報を一時保持(割込み抑制履歴リスト112)するとともに、割込み制御設定・表示処理部100による制御の下で取得した割込み情報を表示部14に絵文字(割込み抑制通知用アイコン)で表示し、表示の抑制が解除されてから絵文字が選択されたことを契機に、記憶部11(割込み抑制履歴リスト112)に一時保存された割込み情報を読み出し、表示部14に表示することにより、ユーザは、表示抑制中に外部から割込み情報を受信したことを知ることができ。また、経路誘導処理中であるか否かにかかわらず任意のタイミングで割込み抑制履歴リスト112に一時保持した割込み情報を読み出して表示することができるため、ユーザに利便性を提供することができる。
【0048】
以上説明のように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、事前に設定された割込み制御設定情報(割込み制御設定情報テーブル111)に基づき、経路誘導処理中、外部から取得した割込み情報を表示抑制制御することにより、ナビゲーション装置が経路誘導処理中に限り、不意な割込みに影響されることなく地図や案内図の画面表示が阻害されることがなくなる。このとき、ナビゲーション装置は、割込み制御設定について、例えば、モード“1”(割込み情報の一括表示禁止)/モード“2”(割込み情報の一括表示許可)/モード“3”(割込み情報の一部表示抑制)の3つのモードを有し、特に、モード“3”(割込み情報の一部表示抑制)の場合、外部情報割込み機器種別毎に詳細な設定を行うことができるため、柔軟性、融通性の高いシステム構築が可能である。更に、割込みレベルを定義し、割込みレベル毎に詳細設定を行うことも、また、これらの組み合わせによる表示抑制設定を行なうことも考えられる。このことにより、例えば、ETCやVICS等の経路誘導に関係する割込み情報に限っては経路誘導中に選択的に重畳表示させることも可能になる。
【0049】
また、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、割込み情報の表示抑制につき、事前の設定登録によるデフォルト設定の他に、1回の経路誘導に限り有効な個別設定も可能とすることで、基本の設定をそのままに、一度だけ特殊な割込み情報の表示抑制制御が可能になり、この場合、一層、柔軟性、融通性の高いシステム構築が可能になる。
また、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、経路誘導処理中に受信した割込み情報の存在を、表示部14の一部画面領域に絵文字(割込み情報抑制表示通知用アイコン)で表示することにより、ユーザは、その絵文字により経路誘導処理中に表示が抑制された割込み情報を受信したことを認識でき、また、経路誘導処理中に受信した割込み情報は、記憶部11に一時保存(割込み抑制履歴リスト112)しておくことで、後にこの履歴を参照して内容を確認することが可能になり、したがって、ユーザに利便性を提供することができる。
【0050】
なお、上記したこの発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、車載用ナビゲーション装置についてのみ例示したが、車載用ナビゲーション装置に限らず、Web(World Wide Web)接続機能を使用して外部のサーバから地図情報を取得しナビゲーションを行なう携帯電話やゲーム機等の携帯端末にも同様に応用が可能である。
【0051】
また、図2に示す制御部10が有する構成は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
例えば、制御部10が、経路誘導処理中、記憶部11に記憶された割込み制御設定情報にしたがい、外部から取得した割込み情報の表示部14への表示を抑制するデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の制御部が実行するプログラムの構造を機能展開して示したブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置が有する記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の割込み制御設定操作処理動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の割込み情報表示抑制処理動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の割込み抑制履歴リスト操作処理動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の割込み情報表示抑制表示通知用アイコン操作処理動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の割込み制御設定のモード選択メニュー他の画面構成の一例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の割込み抑制履歴リストの画面構成の一例を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の割込み抑制履歴詳細情報の画面構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10 制御部、11 記憶部、12 地図情報DB、13 操作入力部、14 表示部、15 通信部、16 センサ入力部、17 外部機器インタフェース部、100 割込み制御設定・表示抑制処理部、101 ナビゲーション処理部、102 外部情報取得部、103 描画・表示制御部、104 入力情報取得部、105 地図情報取得部、106 割込み抑制履歴リスト処理部、111 割込み制御設定情報テーブル、112 割込み抑制履歴リスト、113 フラグ領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報、および、外部から取得した割込み情報を表示する表示部と、
割込み制御設定情報が予め登録され記憶される記憶部と、
経路誘導処理中、前記記憶部に記憶された割込み制御設定情報にしたがい、前記外部から取得した割込み情報の前記表示部への表示を抑制する制御部と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記割込み制御設定情報にしたがい、前記割込み情報の少なくとも一つの前記表示部への表示を許可することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記割込み制御設定情報の前記記憶部への登録を促す表示画面情報を生成し、前記表示画面情報に対する入力情報を取得することにより生成される前記割込み制御設定情報を前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1または請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記記憶部に記憶された割込み制御設定情報にしたがう表示の抑制を、前記割込み制御設定情報の前記記憶部への記憶の契機が経路誘導処理中か否かにより、1回の経路誘導に限り有効とするか、もしくは経路誘導の都度有効とすることを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記割込み制御設定情報による割込み情報の表示抑制中、外部から取得した割込み情報を前記記憶部に一時保持するとともに、前記取得した割込み情報を前記表示部に絵文字で表示し、前記割込み情報の表示抑制が解除されてから前記絵文字が選択されたことを契機に、前記記憶部に一時保存された割込み情報を読み出して前記表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−38770(P2010−38770A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203080(P2008−203080)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】