説明

ナビゲーション装置

【課題】 不測の事態が生じることなどによって、利用者が目的地への到着を希望する時刻に対応して求められる出発推奨時刻を過ぎてから出発する場合であっても、利用者が焦って行動してしまうことを抑制することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 現在の位置を出発すべき出発時刻が過ぎても、現在の位置が変動していない場合には、処理部6が、最初に検索した案内ルートとは異なり、かつ現在の位置から目的地までの移動に必要な必要移動時間が、最初に検索した案内ルートよりも短くなるような新たな案内ルートを再度検索する。そして、処理部6は、再度作成した案内ルートに基づいて新たな必要移動時間情報を生成し、新たな必要移動時間情報に基づいて新たな出発推奨時刻情報を生成して、通信部8が、新たな移動経路を表す移動経路情報と、新たな出発推奨時刻情報と含む連絡情報を予め定める第1の通知先に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路地図情報に基づいて、現在の位置から目的地までの移動経路を案内し、かつ出発時刻に関する情報を取り扱うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、ナビゲーションセンタが検索した案内経路をナビゲーション装置に送信し経路案内を行うときに、出発地と、目的地と、目的地の希望到着時刻を表す情報とをナビゲーション装置からナビゲーションセンタに送信して、ナビゲーションセンタにおいて、道路毎の過去のリンクの旅行時間および渋滞要因の統計値を用いて、出発地から目的地までの案内経路を探索し、また希望到着時刻に対応する出発時刻を算出して、ナビゲーション装置に送信している(たとえば特許文献1参照)。またナビゲーションセンタは、出発時刻を送信した後に、突発的な渋滞が発生したことを道路交通情報から確認した場合には、突発的な渋滞が発生したリンクが案内経路に含まれるナビゲーション装置に対して、案内経路を再検索し、送信している。
【0003】
【特許文献1】特開2004−125429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の技術では、ナビゲーションセンタは、出発時刻を送信した後に、突発的な渋滞が発生したことを道路交通情報から確認した場合には、突発的な渋滞が発生したリンクが案内経路に含まれるナビゲーション装置に対して、案内経路を再検索し、送信することによって、利用者は突発的な渋滞を回避して、移動することができるが、突発的な渋滞が発生した場合に、いつ出発すればよいのかがわからなくなり、また希望到着時刻に間に合わなくなってしまうおそれがある。さらに希望到着時刻に対応して算出された出発時刻が過ぎてしまうと、到着時刻に間に合わせようして、利用者は焦って運転してしまうおそれがある。
【0005】
したがって本発明の目的は、不測の事態が生じることなどによって、利用者が目的地への到着を希望する時刻に対応して求められる出発推奨時刻を過ぎてから出発する場合であっても、利用者が焦って行動してしまうことを抑制することができるナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)は、道路地図情報に基づいて、現在の位置から目的地までの移動経路を案内するナビゲーション装置であって、
目的地を表す目的地情報と、前記目的地への到着を希望する時刻を表す到着希望時刻情報とを入力する入力手段と、
現在の位置を表す現在位置情報を取得する位置取得手段と、
前記道路地図情報を記憶している記憶手段と、
時刻を計時する計時手段と、
前記位置取得手段によって取得した現在位置情報、前記入力手段によって入力された目的地情報、および前記記憶手段に記憶されている道路地図情報に基づいて、前記移動経路を検索するとともに、検索した移動経路に沿って現在の位置から目的地までの移動するときに必要な移動時間を表す必要移動時間情報を生成するとともに、前記必要移動時間情報、前記到着希望時刻情報および前記計時手段によって計時される時刻に基づいて、前記到着希望時刻情報が表す時刻に到着するために現在の位置を出発すべき出発時刻を表す出発推奨時刻情報を生成する処理手段と、
前記処理手段によって生成された出発推奨時刻情報を出力する出力手段とを備え、
前記計時手段が計時する現在の時刻が、前記出発時刻情報が表す出発時刻を経過し、かつ前記現在位置情報が表す現在の位置が変動していないとき、
前記処理手段は、前記移動経路とは異なり、かつ現在の位置から目的地までの移動に必要な必要移動時間が、前記移動経路よりも短くなるような新たな移動経路を再度検索して、新たな移動経路が検索されれば、再度検索した新たな移動経路に基づいて新たな必要移動時間情報を生成して、新たな必要移動時間情報に基づいて新たな出発推奨時刻情報を生成し、
前記出力手段は、前記新たな移動経路に変更されたことを表す移動経路変更情報と、新たな出発推奨時刻情報とを含む連絡情報を出力することを特徴とする記載のナビゲーション装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、出力手段に出発推奨時刻情報が出力されるので、利用者は、目的地に希望する時刻に到着するために、現在の位置を出発すべき出発時刻がいつであるのかを知ることができる。またたとえ、前記現在の位置を出発すべき出発時刻が過ぎても、現在の位置が変動していない場合には、処理手段が、最初に検索した移動経路とは異なり、かつ現在の位置から目的地までの移動に必要な必要移動時間が、最初に検索した移動経路よりも短くなるような新たな移動経路を再度検索する。そして、処理手段は、再度作成した移動経路に基づいて新たな必要移動時間情報を生成し、新たな必要移動時間情報に基づいて新たな出発推奨時刻情報を生成して、出力手段が、新たな移動経路を表す移動経路情報と、新たな出発推奨時刻情報と含む連絡情報を出力する。これによって、たとえ利用者の出発が、最初に前記出力手段に出力された出発時刻情報が表す時刻に間に合わなかったとしても、到着希望時刻に間に合うような新たな移動経路で移動することができるので、利用者が焦って行動してしまうことを抑制することができる。特にナビゲーション装置が車両に設けられる場合には、運転者が焦って運転することを抑制することができ、安全運転に寄与する。前記新たな移動経路は、たとえば、道路の渋滞状況を表す渋滞情報、および有料高速道路などを加味して算出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の実施の一形態のナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、道路地図情報に基づいて、現在の位置から目的地までの移動経路を案内する。ナビゲーション装置1は、入力手段である操作部2と、現在位置取得手段であるGPS(Global Positioning System)レシーバ3と、記憶手段である記憶部4と、計時手段である計時部5と、処理手段である処理部6と、出力手段である表示部7および通信部8とを基本的に備えている。ナビゲーション装置1には、GPSアンテナ11と、スピーカ12とが接続されている。
【0009】
操作部2は、利用者が操作してナビゲーション装置1に与える指令を含む所定の情報を入力するための操作スイッチを有する。前記所定の情報には、目的地を表す目的地情報と、目的地への到着を希望する時刻を表す到着希望時刻情報と、有料高速道路(以下、高速道路という)を利用するか否かを表す高速道路利用許可情報と、予め定める第1の通知先を表す第1の通知先情報と、予め定める第2の通知先を表す第2の通知先情報となどが含まれている。予め定める第1の通知先は、たとえばナビゲーション装置1が備えられる車両の利用者の携帯電話の電子メールアドレスである。予め定める第2の通知先は、たとえば、たとえば目的地で会う予定にしている人の電子メールアドレスである。
【0010】
操作部2は、たとえばタッチパネルによって構成されてもよい。また目的地情報は、たとえば目的地の名称、住所などを表す文字情報を入力することによって設定されてもよいし、表示部7に表示される目的地の名称、住所などを選択したり、道路地図上での位置を指定したりすることによって入力されてもよい。操作部2によって入力される目的地情報、到着希望時刻情報、高速道路利用許可情報、ならびに第1および第2の通知先情報は、記憶部4に記憶される。
【0011】
GPSレシーバ3は、GPSアンテナ11に接続され、GPSアンテナ11を介して、GPS用衛星から送信される複数の電波信号を受信する。GPSレシーバ3は、受信した複数の電波信号を処理部6に与える。
【0012】
記憶部4は、たとえばフラッシュROM(Read Only Memory)およびハードディスクなどの不揮発性記録媒体によって構成される。記憶部4は、ナビゲーション装置1を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラム、経路案内をするために用いられる道路地図を表す道路地図データ(道路地図情報)、ナビゲーション装置1に入力された前記所定の情報、案内データ、渋滞データおよび割引時間データを記憶している。
【0013】
道路地図データは、一般道路および高速道路などの道路の種別と、ノードデータなどを含んでいる。案内データは、出発地から目的地までの移動経路(以下、案内ルートという)、その距離、所要時間などの情報を含む。またさらに記憶部4には、道路の渋滞状況を表す渋滞データ(渋滞情報)と、高速道路において料金が割引になる割引時間帯を表す割引時間データ(割引時間帯情報)と、予め定める音声に関する音声情報とが記憶されている。予め定める音声は、たとえば経路案内を行うときにスピーカ12から出力させるビープ音および合成音声である。
【0014】
渋滞データは、各道路に対応して、季節および時間帯に応じた平均的な渋滞の発生する時間帯、渋滞が発生する時間帯における平均的な渋滞の距離、などの道路の過去の渋滞状況を表す渋滞静的情報と、VICS(Vehicle Information and Communication System)から得られる道路の現在の渋滞状況を表す渋滞動的データとを含んでいる。渋滞動的データは、通信部8を介して定期的に取得され、記憶部4に更新して記憶されている。
【0015】
割引時間データは、ETC(Electronic Toll Collection System)を用いて、高速道路を利用するときに割引が適用される時間帯などの割引条件を含んでいる。
【0016】
記憶部4は、前記不揮発性記録媒体だけではなく、たとえばRAM(Random Access
Memory)などの揮発性の半導体メモリを含んで構成され、RAMには、処理部6の処理における演算結果、および不揮発性記録媒体から読み出されて実行される制御プログラム、ならびに処理部6によって生成されるナビゲーション装置1の位置情報などが一時的に記憶される。
【0017】
表示部7は、たとえばカラー表示可能な液晶ディスプレイ(略称:LCD)または有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイによって実現される。表示部7は、処理部6から与えられる指令に従って所定の文字および画像を表示する。表示部7に表示される画像は、道路地図、ナビゲーション装置1の位置、案内ルート、目的地までの所要時間、出発奨励時刻、および到着希望時刻などである。スピーカ12は、記憶部4に記憶されている予め定める音声、具体的にはビープ音および合成音声などのデータが電気信号として与えられると、この電気信号を音響化して出力する。
【0018】
送信部である通信部8は、無線で外部の通信装置と通信可能に構成される。通信部8は、予め定める第1の送信先に、第1〜第3の連絡情報を個別に送信可能である。第1の連絡情報は、出発推奨時刻が経過したときに後述する図3のフローチャートのステップb10で、記憶部4に記憶されている案内ルートが、新たな案内ルートに変更されたことを表す移動経路変更情報と、新たな案内ルートで目的地に向かう場合の出発推奨時刻情報とを含んでいる。移動経路変更情報は、最初に作成した案内ルートとは異なることを表してもよいし、新たな案内ルートそのものであってもよい。また出発推奨時刻情報は、到着希望時刻に目的地に到着するために、現在地を出発すべき時刻を表す。
【0019】
第2の連絡情報は、計時部5が計時する現在の時刻が、記憶部4に記憶されている出発時刻情報が表す出発時刻よりも予め定める第1の時間だけ早い時刻であることを表す。第3の連絡情報は、計時部5が計時する現在の時刻が、記憶部4に記憶されている出発時刻情報が表す出発時刻であることを表す。
【0020】
ここでは、第1〜第3の連絡情報は、通信部8から予め定める第1の送信先に送信されるが、たとえば車両のエンジンが始動されているとき、車両のドアがロックされていないときなどでは、車両に利用者が居ると考えられるので、第1〜第3の連絡情報を通信部8から送信させずに、表示部7に表示させてもよいし、また、第1〜第3の連絡情報を通信部8から送信し、かつ表示部7に表示させてもよい。車両に利用者が居ると考えられるような状況であれば、通信部8からの通信を行うよりも表示部7に第1〜第3の連絡情報を表示させた方が、利用者はこの第1〜第3の連絡情報に気付きやすくなる。また車両に利用者が居ると考えられるような状況であっても、通信部8からの通信を行うよりも表示部7に第1〜第3の連絡情報を表示させるだけではなく、通信部8から予め定める連絡先に第1〜第3の連絡情報を送信することによって、利用者が連絡情報により気付きやすくなる。
【0021】
処理部6は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、記憶部4に記憶されている制御プログラムを実行処理して、操作部2、記憶部4、表示部7および通信部8の各部を制御する。処理部6は、GPSレシーバから与えられる信号に応じて、ナビゲーション装置1の現在の位置を算出して、現在の位置を表す位置情報を生成して、記憶部4に更新して記憶する。
【0022】
図2は、ナビゲーション装置1の処理部6の動作処理を示すフローチャートである。ACCキーをオフにする、すなわちエンジンを停止するか、ナビゲーション装置1が目的地に到着して案内が終了すると、ステップa1に移り、処理を開始する。ステップa1では、処理部6は、表示部7に、次の目的地を表す目的地情報およびその目的地情報に対応する到着希望時刻情報の入力を催促する画像を表示するとともに、スピーカ12から前記催促の音声を出力させる。処理部6と表示部7とは入力催促手段を構成する。本実施の形態では、ステップa1の処理を行うが、ステップa1の処理を行うか否かを操作部2によって選択可能に構成してもよい。
【0023】
次にステップa2に移り、目的地情報および到着希望時刻情報が入力されたか否かを判断し、入力されたと判断すると、ステップa3に移って、処理部6は、前記目的地情報と、記憶部4に記憶されている位置情報、地図データ、高速道路利用許可情報、渋滞静的データおよび渋滞動的データとに基づいて、案内ルートを検索する。高速道路利用許可情報が、高速道路を利用してもよいことを表している場合で、かつ出発してから到着するまでの間の時間帯のうち、高速道路を通過すると予測される時間帯と、高速道路を走行するときの利用料金が割引される時間帯とが一部でも重複している場合には、割引が適用される時間帯に高速道路を通過し、かつ出発推奨時刻が最も遅くなるような案内ルートが選択される。高速道路利用許可情報が、高速道路を利用してもよいことを表している場合で、かつ出発してから到着するまでの間の時間帯のうち、高速道路を通過すると予測される時間帯と、高速道路を走行するときの利用料金が割引される時間帯とが一部でも重複していない場合には、出発推奨時刻が最も遅くなるような案内ルートが選択される。
【0024】
また高速道路利用許可情報が、高速道路を走行するときの利用料金が割引される時間帯に関わらず高速道路を利用してはいけないことを表している場合には、出発地から目的地までの前ルートのうち、高速道路を通過しない移動経路のうち、出発推奨時刻が最も遅くなるような案内ルートが選択される。
処理部6は、選択した案内ルートを、記憶部4に記憶する。記憶部4に記憶される案内ルートは、目的地に到着したときに消去される。
【0025】
ここでは処理部6は、出発推奨時刻が最も遅くなるような案内ルートを検索しているが、処理部6は、たとえば、地図データ上の高低差を表す情報に基づいて、燃費が最も小さくなるような案内ルートを検索してもよい。
【0026】
出発推奨時刻については、処理部6は、選択候補となる案内ルートについて、出発地と目的地との間の移動に必要な必要移動時間情報(所要時間情報)を生成し、到着希望時刻情報および計時部5によって計時した時刻に基づいて、到着希望時刻情報が表す時刻に到着するために現在の位置を出発すべき出発時刻を算出し、該出発時刻を表す出発推奨時刻情報を生成する。
【0027】
図3は、高速道路の入口および出口での時刻と、高速道路における割引時間の関係を示す図である。高速道路利用許可情報が、高速道路を走行するときの利用料金が割引される時間帯に関わらず高速道路を利用してもよいことを表しているか、または高速道路を走行するときの利用料金が割引される時間帯であれば高速道路を利用することを表している場合、処理部6は、経路探索を行うときに、出発推奨時刻だけではなく、高速道路の出入口を通過する時刻についても算出する。経路検索において得られた出発推奨時刻を「Ts」とし、高速道路の入口での時刻を「Te」とし、高速道路の出口での時刻を「Tx」とし、到着希望時刻を「Tg」とし、高速道路における割引開始時刻を「Ws」とし、高速道路における割引終了時刻を「We」とする。
【0028】
高速道路の入口および出口での時刻と、高速道路における割引時間の関係は、以下の(1)〜(6)のいずれかとなる。ここで常にTe<Ts、かつWs<Weである。
【0029】
(1)〜(6)は、それぞれ図3の(1)〜(6)にそれぞれ対応する。
(1)Te<Tx<Ws<We
(2)Te<Ws<Tx<We
(3)Te<Ws<We<Tx
(4)Ws<Te<Tx<We
(5)Ws<Te<We<Tx
(6)Ws<We<Te<Tx
【0030】
(1)は、高速道路の出口を通過する予定時刻が割引時間帯以前の場合、すなわち割引対象外の場合である。(2)は、高速道路の入口を通過する予定時刻が割引時間帯以前であり、かつ高速道路の出口を通過する予定時刻が割引時間帯の場合、すなわち割引対象の場合である。(3)は、高速道路の入口を通過する予定時刻が割引時間帯以前であり、かつ高速道路の出口を通過する予定時刻が割引時間帯以降の場合、すなわち割引対象の場合である。(4)は、高速道路の入口を通過する予定時刻と、高速道路の出口を通過する予定時刻とが割引時間帯の場合、すなわち割引対象の場合である。(5)は、高速道路の入口を通過する予定時刻が割引時間帯であり、かつ高速道路の出口を通過する予定時刻が割引時間帯以降の場合、すなわち割引対象の場合である。(6)は、高速道路の入口を通過する予定時刻が割引時間帯以降の場合、すなわち割引対象外の場合である。
【0031】
前述したステップa3では、(1)の場合では、到着希望時刻を変更、ここでは到達希望時刻を遅延すれば、高速道路の割引が有効になる時間帯に高速道路を通過することができるので、処理部6は、案内ルートの作成時に、到着時刻を遅延するように変更させることによって割引時間帯に有料高速道路を通過できることを表す到着時刻確認情報を生成する。またステップa3において、(2)〜(5)の場合では、処理部6は、割引が有効となる時間で最も出発時刻が遅くなるように、案内ルートを作成する。またステップa3において、(6)の場合では、到着希望時刻を変更、ここでは到達希望時刻を早めれば、高速道路の割引が有効になる時間帯に高速道路を通過することができるので、処理部6は、到着時刻を早めるように変更させることによって割引時間帯に有料高速道路を通過できることを表す到着時刻確認情報を生成する。
【0032】
次にステップa4に移り、処理部6は、出発推奨時刻情報を、所要時間情報および到着希望時刻情報とともに表示部7に表示させて、動作処理を終了する。またステップa4では、出発推奨時刻情報を記憶部4に記憶する。またステップa3で、到着時刻確認情報が生成される場合には、処理部6は、ステップa4において、到着時刻確認情報を表示部7に表示させる。到着時刻確認情報には、どのくらいの時間、到着希望時刻を変更すれば、高速道路の割引が有効になる時間帯に高速道路を通過することができるのかを表す情報も含まれている。これによって、利用者は高速道路の割引が有効になる時間帯に高速道路を通過できるように、到着希望時刻を変更することができ、利便性が向上する。出発推奨時刻情報は、目的地に到着すると、記憶部4から消去される。ステップa4が終了後、予め定める第1の時間が経過すると、処理部6は、表示部7による表示を停止してもよく、ユーザが操作部2によって表示の終了を指示が入力するまで、表示部7による表示を行ってもよい。
【0033】
図4は、出発推奨時刻情報が記憶部4に記憶され、かつACCキーがオフ状態のときのナビゲーション装置1の処理部6の動作処理を示すフローチャートである。出発推奨時刻情報が記憶部4に記憶され、かつACCキーがオフ状態となっており、さらに現在位置情報が表す現在位置が変動していない場合に、ステップb1に移り、動作処理を開始する。図4のフローチャートは、ACCキーをオン状態とするか、または現在位置情報が表す現在位置が変動すると終了する。
【0034】
ステップb1では、記憶部4に記憶されている案内ルートを表すルート情報、位置情報、目的地情報および渋滞静的データと、通信部8によって取得した渋滞動的データとに基づいて、出発推奨時刻を算出し、算出した出発推奨時刻を表す出発推奨時刻情報を生成して、ステップb2に移る。
【0035】
ステップb2では、ステップb1で生成した出発推奨時刻情報が表す時刻が、記憶部4に記憶されている出発推奨時刻情報が表す時刻から変更されているか否かを判断して、変更されている場合には、ステップb1で生成された出発推奨時刻情報を、通信部8から予め定める第1の通知先に通知する。ステップb1における出発推奨時刻の算出は、通信部8によって渋滞動的データの内容が変更される毎に定期的に行われるのが好ましい。またステップb2では、処理部6は、出発推奨時刻情報を記憶部4に更新して記憶させる。ステップb2で、否定判断されたときは、ステップb4に移る。
【0036】
ステップb3が終了すると、ステップb4に移り、処理部6は、計時部5によって計時される時刻が、記憶部4に記憶されている出発時刻情報が表す時刻よりも予め定める第1の時間だけ早い時刻か、すなわち出発時刻情報が表す時刻の予め定める第1の時間前か否かを判断し、出発時刻情報が表す時刻よりも予め定める第1の時間だけ早い時刻であると判断したときは、ステップb6に移り、通信部8に第2の連絡情報を通知させる。これによって、利用者が、ナビゲーション装置1から離れた位置、すなわち車両外に移動しても、出発すべき時刻が近づいていることを知ることができる。予め定める第1の時間は、利用者が操作部2を操作して記憶部4に記憶することによって設定することができる。記憶部4および処理部6は前記予め定める第1の時間を設定する設定手段として機能する。利用者がナビゲーション装置1から離れる距離に応じて、予め定める第1の時間を設定することができるので、出発推奨時刻にあわせて車両に戻ることができ、実際の出発時刻が出発推奨時刻から遅れてしまうことが抑制される。
【0037】
またステップb4において、否定判断されたとき、またはステップb5が終了すると、ステップb6に移る。ステップb6では、処理部6は、計時部5によって計時される時刻が、記憶部4に記憶されている出発時刻情報が表す時刻か否かを判断し、出発時刻情報が表す時刻であると判断したときは、ステップb7に移り、通信部8に第3の連絡情報を通知させる。これによって、利用者が、ナビゲーション装置1から離れた位置、すなわち車両外に移動しても、出発すべき時刻であることを知ることができる。
【0038】
またステップb5において、否定判断されたとき、またはステップb7が終了すると、ステップb8に移る。ステップb8では、処理部6は、計時部5によって計時される時刻が、記憶部4に記憶されている出発時刻情報が表す時刻を経過したかを判断し、出発時刻情報が表す時刻を経過したと判断すると、ステップb9において、新たな案内ルートを作成可能か否かについて判断する。ここで、新たな案内ルートは、記憶部4に記憶されている案内ルートとは異なり、かつ現在の位置から目的地までの移動に必要な必要移動時間が、記憶部4に記憶されている案内ルートよりも短くなるような案内ルートである。この新たな案内ルートは、現時刻において取得している最新の渋滞動的データに基づいて作成される。
【0039】
またここで、処理部6は、高速道路利用許可情報が、高速道路を利用しないことを表す場合であっても、この高速道路利用許可情報に関わらず、高速道路を利用して、移動時間を短縮することができるのであれば、高速道路を利用した案内ルートを作成する。
【0040】
ステップb9において、新たな案内ルートの作成が可能であると判断すると、ステップb10において、作成した新たな案内ルートを記憶部4に追加して記憶して、ステップb10に移り、第1の連絡情報を通信部8から予め定める第1の通知先に通知して、ステップb1に移る。これによって、たとえ利用者の出発が、表示部7に出力された出発時刻情報が表す時刻に間に合わなかったとしても、到着時刻に間に合うような移動経路で移動することができるので、利用者が焦って行動してしまうことを抑制することができる。特に本実施の形態のようにナビゲーション装置1が、車両に設けられる場合には、運転者が焦って運転することを抑制することができ、安全運転に寄与する。また第1の連絡情報には、新たな移動経路に変更されたことを表す移動経路変更情報が含まれるので、利用者に、移動経路を変更してまで、到着希望時刻に間に合わせるのか否かを判断させることができる。また新たな案内ルートが記憶部4に記憶されているときには、利用者が操作部2を操作することによって、記憶部4に記憶される案内ルートのうちのいずれかを選択し、選択した案内ルートで目的地まで案内する構成としてもよい。これによって、利用者の好みに合わせた案内ルートで案内を行うことができる。
【0041】
前述したステップb8で、否定判断されたときは、ステップb1に移ることによって、定期的に出発情報時刻情報が生成される。またステップb9で否定判断されたときには、処理を終了する。
【0042】
図5は、目的地に向かって移動するときのナビゲーション装置1の処理部6の動作処理を示すフローチャートである。記憶部4に目的地が記憶されているときに、ACCキーをオンにする、すなわちエンジンを始動すると、動作を開始してステップc1に移る。ステップc1では、処理部6が、記憶部4に記憶される案内ルートと、GPSレシーバ3からの電波信号から算出される現在の位置を表す位置情報と、目的地情報と、渋滞静的データおよび渋滞動的データとに基づいて、目的地への到着するであろう到着予定時刻を算出して、ステップc2に移る。処理部6および記憶部4は、到着予定時刻生成手段を構成する。
【0043】
ステップc2では、処理部6が、記憶部4に記憶されている到着希望時刻情報が表す時刻よりも、ステップc1で算出された到着予定時刻が、予め定める第2の時間以上遅れるか否かを判断し、予め定める第2の時間以上遅れると判断したときには、ステップc3に移って、予め定める第2の通知先に到着時刻が変更されたことを表す到着時刻変更情報を送信して、処理を終了する。ステップc2で否定判断したときには、ステップc1に移る。
【0044】
予め定める第2の通知先は、たとえば目的地で会う予定にしている人の電子メールアドレス、または利用者が勤務する会社の電子メールアドレスなどであり、到着時刻変更情報は、電子メールによって伝送される。これによって、ナビゲーション装置1と共に移動する利用者が、ナビゲーション装置1に到着希望時刻情報を入力するだけで、到着希望時刻に遅れるときには、運転中に自ら連絡する必要はなく、ナビゲーション装置1に到着が遅れることを通知させることができる。これによって運転中に運転者が自ら通信装置を操作して、予め定める第2の通知先に連絡する手間を省略することができ、また運転に集中することができるので、運転中における安全性も向上することができる。またナビゲーション装置1と共に移動する利用者と目的地で待ち合わせをしている相手が居る場合には、たとえば渋滞などで前記利用者の到着が遅れる場合であっても、遅れることが通知されるので、利用者が目的地に向かっていることがわかるので、到着希望時間が過ぎても、冷静に対応することができる。
【0045】
以上のナビゲーション装置1は、車両に設けられて用いられているが、ナビゲーション装置1は携帯可能に設けられてもよく、たとえば携帯電話装置に組み込まれてもよい。携帯電話装置に組み込まれる場合には、高速道路のデータではなく、たとえば電車の時刻表のデータを記憶しておき、処理部6が電車を利用した案内ルートを検索する構成とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の一形態のナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置1の処理部6の動作処理を示すフローチャートである。
【図3】高速道路の入口および出口での時刻と、高速道路における割引時間の関係を示す図である。
【図4】出発推奨時刻情報が記憶部4に記憶され、かつACCキーがオフ状態のときのナビゲーション装置1の処理部6の動作処理を示すフローチャートである。
【図5】目的地に向かって移動するときのナビゲーション装置1の処理部6の動作処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 ナビゲーション装置
2 操作部
3 GPSレシーバ
4 記憶部
5 計時部
6 処理部
7 表示部
8 通信部
11 GPSアンテナ
12 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図情報に基づいて、現在の位置から目的地までの移動経路を案内するナビゲーション装置であって、
目的地を表す目的地情報と、前記目的地への到着を希望する時刻を表す到着希望時刻情報とを入力する入力手段と、
現在の位置を表す現在位置情報を取得する位置取得手段と、
前記道路地図情報を記憶している記憶手段と、
時刻を計時する計時手段と、
前記位置取得手段によって取得した現在位置情報、前記入力手段によって入力された目的地情報、および前記記憶手段に記憶されている道路地図情報に基づいて、前記移動経路を検索するとともに、検索した移動経路に沿って現在の位置から目的地までの移動するときに必要な移動時間を表す必要移動時間情報を生成するとともに、前記必要移動時間情報、前記到着希望時刻情報および前記計時手段によって計時される時刻に基づいて、前記到着希望時刻情報が表す時刻に到着するために現在の位置を出発すべき出発時刻を表す出発推奨時刻情報を生成する処理手段と、
前記処理手段によって生成された出発推奨時刻情報を出力する出力手段とを備え、
前記計時手段が計時する現在の時刻が、前記出発時刻情報が表す出発時刻を経過し、かつ前記現在位置情報が表す現在の位置が変動していないとき、
前記処理手段は、前記移動経路とは異なり、かつ現在の位置から目的地までの移動に必要な必要移動時間が、前記移動経路よりも短くなるような新たな移動経路を再度検索して、新たな移動経路が検索されれば、再度検索した新たな移動経路に基づいて新たな必要移動時間情報を生成して、新たな必要移動時間情報に基づいて新たな出発推奨時刻情報を生成し、
前記出力手段は、前記新たな移動経路に変更されたことを表す移動経路変更情報と、新たな出発推奨時刻情報とを含む連絡情報を出力することを特徴とする記載のナビゲーション装置。
【請求項2】
前記計時手段が計時する現在の時刻が、前記出発時刻情報が表す出発時刻になったとき、および前記出発時刻情報が表す出発時刻よりも予め定める時間だけ早い時刻になったとき、の少なくともいずれかにおいて、前記出力手段は、出発時刻の到来を表す出発時刻到来情報を含む連絡情報を出力することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記出力手段は、予め定める送信先に前記連絡情報を送信可能な送信部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、有料高速道路を走行するときの利用料金が割引される時間帯に関する割引時間帯情報をさらに記憶しており、
前記入力手段は、有料高速道路を利用するか否かを表す高速道路利用許可情報を入力し、
前記処理手段は、
前記高速道路利用許可情報が、有料高速道路を利用することを表す場合、前記時間帯に有料高速道路を通過可能であれば、前記時間帯に有料高速道路を通過するように有料高速道路を含む移動経路を検索し、
前記高速道路利用許可情報が、有料高速道路を利用しないことを表す場合であっても、前記新たな移動経路を検索するときには、高速道路利用許可情報に関わらず移動経路を検索することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記処理手段は、
前記高速道路利用許可情報が、有料高速道路を利用することを表す場合、前記時間帯に有料高速道路を通過し、前記出発時刻が最も遅くなる移動経路を検索し、到着時刻を変動させることによって前記時間帯に有料高速道路を通過することができるときには、到着時刻を変更させることによって前記時間帯に有料高速道路を通過できることを表す到着時刻確認情報を前記出力手段に出力させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
道路の渋滞状況を表す渋滞情報を定期的に取得する渋滞情報取得手段をさらに含み、
前記記憶手段は、前記渋滞情報をさらに記憶しており、
前記処理手段は、前記渋滞情報を加味して、前記必要移動時間情報を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記処理手段は、前記渋滞情報取得手段によって取得した渋滞情報を用いて、定期的に前記出発推奨時刻情報を生成し、
前記出力手段は、前記出発推奨時刻情報が表す出発時刻が変更されたとき、変更された出発時刻を表す出発推奨時刻情報を含む連絡情報を出力することを特徴とする請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記位置取得手段によって取得した現在位置情報、前記入力手段によって入力された目的地情報、前記記憶手段に記憶されている道路地図情報および渋滞情報、ならびに前記処理手段によって生成される必要移動時間情報に基づいて、目的地情報が表す目的地に到着する時刻を表す到着予定時刻情報を生成する到着予定時刻生成手段とを含み、
前記到着予定時刻情報が表す時刻が、前記到着希望時刻情報が表す時刻から予め定める時間以上異なるとき、予め定める第2の送信先に到着時刻が変更されたことを表す到着時刻変更情報を前記送信部が送信することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
目的地情報が表す目的地に到達したときに、次の目的地を表す目的地情報の入力を催促する入力催促手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
車両に設けられ、
車両のエンジンを停止したときに、次の目的地を表す目的地情報の入力を催促する入力催促手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−38844(P2010−38844A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204746(P2008−204746)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】