説明

ナビゲーション装置

【課題】運転開始時のサポート機能を簡易に具備したナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】地図を用いて車両の位置を検出する制御部を備え、この制御部は、飲酒の可能性がある地域に所定時間以上、停車したことを検出したら(ステップS1〜S5)、運転開始時に警告処理を行う(ステップS6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を用いて車両を現在位置から目的地へ誘導するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される車載装置には、地図を用いて車両を現在位置から目的地へ誘導するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のナビゲーション装置は、目的地までの誘導の他、交通情報の通知、ハンズフリー電話制御、音楽を提供したり、DVDを再生したりする等の機能を具備するものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−121876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のナビゲーション装置は、運転中に快適なドライブをサポートするための様々な機能を具備するものの、運転開始時のサポート機能は具備していない。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、運転開始時のサポート機能を簡易に具備したナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、地図を用いて車両を現在位置から目的地へ誘導するナビゲーション装置において、前記地図を用いて前記車両の位置を検出する制御部を備え、この制御部は、飲酒の可能性がある地域に所定時間以上、停車したことを検出したら、運転開始時に警告処理を行うことを特徴とする。
この発明によれば、前記地図を用いて前記車両の位置を検出する制御部を備え、この制御部は、飲酒の可能性がある地域に所定時間以上、停車したことを検出したら、運転開始時に警告処理を行うので、ナビゲーション装置の基本機能で使用するハードウェア及び地図を利用しつつ、運転者が運転を開始する際の酒気帯びの状況を推測して注意喚起することができる。このため、運転開始時のサポート機能を簡易に具備したナビゲーション装置を提供することができる。
【0006】
上記構成において、前記制御部は、前記車両が停車した時に、停車位置が、飲酒の可能性がある前記地域か否かを判定し、前記車両が運転開始される時に、停車時間が所定時間以上経過したか否かを判定し、停車位置が前記地域であって、停車時間が所定時間以上経過していた場合に、前記警告処理を行うようにしてもよい。この構成によれば、車両が停車中はナビゲーション装置を特別に動作させる必要がなく、構成の複雑化や電力消費を回避できる。
【0007】
また、上記構成において、前記制御部は、停車位置が前記地域であった場合にだけ、前記車両が運転開始される時に、停車時間が所定時間以上経過したか否かを判定する処理を行うので、運転開始時のナビゲーション装置の処理量を低減できる。
また、上記構成において、前記制御部は、停車位置が前記地域であった場合に、停車時刻を不揮発性メモリーに格納し、前記車両が運転開始される時に、現在時刻と前記不揮発性メモリーに格納された前記停車時刻とに基づいて前記車両の停車時間が所定時間以上経過したか否かを判定するようにしてもよい。この構成によれば、車両が停車中にナビゲーション装置に停車時間を計時させなくても、停車時間を正確に求めることができる。
【0008】
また、上記構成において、前記制御部は、停車位置が前記地域であって、停車時刻が夜間時刻帯を含み、かつ、停車時間が所定時間以上経過している場合に、前記警告処理を行うので、酒気帯びの状況をより正確に推測でき、過度に警告してしまう事態を回避できる。
また、上記構成において、停車位置が前記地域であって、停車時間が所定時間以上経過していた場合に、前記車両の発進を停止させる車両停止処理部を備えるようにしてもよい。この場合、飲酒運転を強制的に禁止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ナビゲーション装置の基本機能で使用するハードウェア及び地図を利用しつつ、運転者が運転を開始する際の酒気帯びの状況を推測して注意喚起することができ、運転開始時のサポート機能を簡易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】飲酒対策処理を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係るナビゲーション装置の飲酒対策処理を示すフローチャートである。
【図4】反応時間ゲームの表示内容を示す図である。
【図5】第3実施形態に係るナビゲーション装置のブロック図である。
【図6】飲酒対策処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置のブロック図である。
このナビゲーション装置10は、移動体である車両に搭載され、地図を用いて車両を現在位置から目的地へ誘導するナビゲーション機能を具備する車載用ナビゲーション装置である。図1に示すように、ナビゲーション装置10は、車両の現在位置を検出するための位置検出部20と、ナビゲーション装置10の各部を制御する制御部30と、各種情報を記憶する記憶部40と、音声出力や画像出力を行う情報出力部50と、ユーザー指示を入力する指示入力部60とを備えている。
【0012】
位置検出部20は、車両の絶対位置及び方位を検出する絶対位置方位検出部21と、相対方位等を検出する相対方位検出部22と、車両状況を示す信号を入力する車両データ処理部23とを備えている。
絶対位置方位検出部21は、GPSユニットを有し、GPSアンテナ24を介してGPS衛星からのGPS電波を受信して、GPS電波に重畳されたGPS信号から、車両の現在地(自車位置)を示す位置座標と移動方向とを演算により取得し、これらの情報を制御部30に出力する。
相対方位検出部22は、ジャイロセンサーや加速度センサーを有し、ジャイロセンサーにより車両の相対的な方位(例えば、ヨー軸方向の旋回量)を検出し、加速度センサーにより車両の加速度(例えば、進行方向に対する車両の傾き)を検出し、これらの情報を制御部30に出力する。
【0013】
車両データ処理部23には、車両状況を示す信号として、車速パルス信号SA及びパーキングブレーキ信号SBが入力される。ここで、車速パルス信号SAは、車速に比例するパルス信号であり、パーキングブレーキ信号SBは、車両が具備するパーキングブレーキが作動状態か非作動状態かを示す信号である。
この車両データ処理部23は、車速パルス信号SAに基づいて車速を検出する車速検出部として機能すると共に、車速パルス信号SA及びパーキングブレーキ信号SBに基づいて、車両1が走行中であるか、停車したかを判別する停車検出部としても機能する。これらの検出結果は、制御部30に出力される。
【0014】
すなわち、ナビゲーション装置10は、絶対位置方位検出部21により車両の測位情報(位置、移動方向)を所定の時間間隔で取得すると共に、相対方位検出部22や車両データ処理部23等により自車の移動方向や車速を求め、GPSで測位した絶対位置からの相対的な位置を車両の現在位置に相当する測位情報(位置、移動方向、速度)として取得する。
この測位情報は、車両の位置を地図上の位置に合わせ込むマップマッチング処理等に使用されることにより、地図上の現在位置が特定される。これにより、車両の位置を周辺地図と共に表示したり、現在地から目的地への経路検索や目的地への経路案内を行ったりすることが可能になる。
【0015】
制御部30は、メインCPU及びその周辺回路を有しており、ナビゲーション装置10の各部を制御するコンピューターとして機能する。この制御部30は、絶対位置方位検出部21、相対方位検出部22及び車両データ処理部23等から得た情報に基づき車両の現在位置を示す測位情報(位置、移動方向、速度)を演算する演算処理、上記マップマッチング処理、経路検索や経路案内のための演算処理等を実行する演算処理部としても機能する。なお、マップマッチング処理は公知のマップマッチング処理を広く適用することができる。
周辺回路は、現在時刻を計時するリアルタイムクロック等の計時部35を含んでおり、制御部30は、計時部35で計時された時刻を適宜取得して現在時刻の表示等を行う。なお、計時部35は、制御部30の外部に構成された回路でもよい。
【0016】
記憶部40は、ROM(Read Only Memory)41と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)42と、SRAM(Static Random Access Memory)43と、HDD(Hard Disk Drive)装置44とを備えている。
ROM41は、制御部30が実行する制御プログラム及び各種データを記憶する読み出し専用メモリーである。また、DRAM42は、揮発性メモリーであり、制御部30が演算等に使用するデータを一時的に格納するワークメモリーである。また、SRAM43は、不揮発性メモリーであり、アクセサリー電源がオフ(ACC OFF)で車両のエンジンが停止している場合等、ナビゲーション装置10が電源オフの間もデータを保存することができる。
【0017】
HDD装置44は、地図情報や目的地を検索するためのデータベースを格納する大容量の記憶装置である。地図情報は、ナビゲーション用の地図(地図データ)であり、表示用の地図画像データ、経路案内等に利用される道路データ、地図上の各地点の位置情報、各地点に割り当てられた市町村名、番地等の住所情報、各地点に存在する施設に関する施設情報等を含んでいる。
施設情報は、各施設の正式名称、略称、住所、電話番号、地図上の位置等の当該施設を特定するための情報が含まれ、本実施形態では、この施設には、少なくとも、お酒を提供する飲食店と駐車場とが含まれる。このため、車両の現在位置の情報を検索キーとして地図情報を検索すれば、車両が飲食店の駐車場(飲食店に隣接する駐車場を含む)や、飲食店が多数存在する繁華街周辺の駐車場に位置するか否かを検出することができる。なお、この地図情報は、飲食店や駐車場の情報を含む公知の地図情報を広く適用することができる。
【0018】
情報出力部50は、音声出力や画像出力を行う手段であり、制御部30の制御の下、液晶表示装置等で形成される表示装置51に地図や目的地までの経路や警告メッセージ等の各種画像を表示させる表示処理部52と、スピーカー53を駆動して誘導音声や警告メッセージ等の各種音声を出力させる音声出力部54とを備えている。なお、スピーカー53は、車両に予め設置されたスピーカー、或いは、ナビゲーション装置10に内蔵されたスピーカーのいずれでもよい。
指示入力部60は、ユーザー(乗員)が操作する操作子の操作、及び、表示装置51の表示画面に積層配置されたタッチパネル61の操作を検出し、ユーザーからの各種指示を入力して制御部30に通知する。
【0019】
ところで、本実施の形態では、制御部30が、飲酒の可能性がある地域に所定時間以上、停車していた場合に、運転開始時に警告処理を行う飲酒対策処理を行う機能を具備している。
図2は、この場合の動作を示すフローチャートである。
まず、運転者が車両を運転して飲酒の可能性がある地域(以下、飲酒推測地域という。)に駐車(停車)したとすると、具体的には、飲食店の駐車場(飲食店に隣接する駐車場を含む)や繁華街周辺の駐車場に駐車したとすると、制御部30は、車両の飲酒推測地域への駐車を検出し(ステップS1)、続くステップS2の処理に移行する。
すなわち、制御部30は、車速パルス信号SA及びパーキングブレーキ信号SBに基づいて車両が駐車(停車)したか否かを監視しており、車両が駐車した時に、現在位置を検索キーとして地図情報を検索し、車両が飲酒推測地域に駐車したか否かを判定する処理を行う。このため、車両が駐車した時に、飲酒推測地域に駐車したか否かを確実かつ迅速に検出することができる。
【0020】
ステップS2の処理では、制御部30は、現在の時刻が、飲酒の可能性が高い夜間時刻帯(本構成では、18時〜深夜3時)か否かを判定する。制御部30は、夜間時間帯でなければ(ステップS2:No)、当該処理を終了する一方、夜間時間帯であれば(ステップS2:Yes)、現在時刻を駐車開始時刻(停車時刻)としてSRAM33に格納する(ステップS3)。その後、制御部30は、車両のエンジンが再起動されたか否か(=エンジンが停止状態から起動されたか否か)を判定し、再起動されるまで待機する(ステップS4)。
【0021】
ここで、車両を駐車する場合には、運転者はキーオフしてエンジン停止させるので、アクセサリー電源がオフ(ACC OFF)となり、ナビゲーション装置10への動作電力の供給が断たれる。上記ステップS1〜S4の一連の処理は極めて短時間で実行されるので、ナビゲーション装置10への電力供給が断たれる前(電源オフ前)に実行され、駐車開始時刻(停車時刻)が確実に保存される。また、ステップS4の待機処理で動作電力の供給が断たれるので、ステップS4で処理が中断し、運転者がキーオンしてアクセサリー電源がオン(ACC ON)になり、ナビゲーション装置10に動作電力が供給されると、制御部30は、ステップS4から処理を再開する。
【0022】
エンジンが再起動すると(ステップS4:Yes)、制御部30は、SRAM43に格納された駐車開始時刻(停車時刻)を読み出し、この駐車開始時刻と現在の時刻との差分を求めることにより駐車時間(停車時間)を算出し、駐車時間が予め定めた閾値(本例では2時間)以上か否かを判定する(ステップS5)。
制御部30は、駐車時間が2時間未満の場合(ステップS5:No)、当該処理を終了する一方、駐車時間が2時間以上の場合(ステップS5:Yes)、運転者に対して飲酒に関する警告処理を行う(ステップS6)。
この場合、制御部30は、表示処理部52により表示装置51の画面に警告メッセージ(”飲酒している場合は、運転代行サービスを利用して下さい。”)を表示させると共に、音声出力部54により、上記警告メッセージに対応する音声をスピーカー53から音声出力させる。これにより、運転者が車両に乗り込んで運転を開始しようとする時に、飲酒に関する警告が実施され、飲酒運転(酒気帯び運転や酒酔い運転)をしないように注意を促すことができる。
【0023】
以上説明したように、本実施のナビゲーション装置10は、飲酒の可能性がある地域(飲酒推測地域)に所定時間(2時間)以上、駐車(停車)したことを検出したら、運転開始時に警告処理を行うので、運転者が運転を開始する際の酒気帯びの状況を推測して注意喚起することができる。しかも、このナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置の基本機能(地図を用いて車両の位置を特定する機能)で使用するハードウェア及び地図をそのまま利用するので、運転開始時に飲酒運転を防止させる運転開始時のサポート機能を簡易かつ安価に実現することができる。
【0024】
また、車両が駐車した時に、駐車位置が、飲酒の可能性がある地域(飲酒推測地域)か否かを判定し、車両が運転開始される時に、駐車時間が所定時間以上経過したか否かを判定し、これらの判定結果に基づいて警告処理を選択的に行うので、車両が駐車した時と車両が運転開始される時にだけ、ナビゲーション装置10が動作すればよい。このため、駐車中(車両停車後にアクセサリー電源がオフ(ACC OFF)されている間)、ナビゲーション装置10を特別に動作させる必要がなく、構成の複雑化や電力の消費を回避できる。
また、駐車位置が飲酒推測地域であった場合にだけ、車両が運転開始される時に、駐車時間が所定時間以上経過したか否かを判定する処理を行うので、運転開始時のナビゲーション装置10の処理量を低減できる。この種のナビゲーション装置10は、運転開始時に、現在位置の取得及び中断したナビゲーション処理の再開等のナビゲーション再開のための各種処理を行う場合がある。本実施形態では、運転開始時のナビゲーション装置の処理量を低減するので、ナビゲーション再開の遅れを抑えることができる。
【0025】
また、車両が駐車した時に、駐車開始時刻(停車時刻)を不揮発性メモリーであるSRAM43に格納し、車両が運転開始される時に、SRAM43に格納された駐車開始時刻と現在時刻とに基づいて駐車時間が所定時間以上経過したか否かを判定するので、駐車中にナビゲーション装置10に駐車時間を計時させなくても、駐車時間を正確に判定することができる。
また、駐車位置が飲酒推測地域であって、駐車時刻が夜間時刻帯を含む場合にだけ、駐車時間が所定時間以上経過したか否かを判定する処理を行うので、制御部30の処理量を低減できると共に、酒気帯びの状況をより正確に推測でき、過度に警告してしまう事態を回避できる。
【0026】
<第2実施形態>
図3は第2実施形態に係るナビゲーション装置10の飲酒対策処理を示すフローチャートである。なお、このフローチャートにおいて、上記第1実施形態と同様の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
このナビゲーション装置10の制御部30は、駐車時間が2時間以上の場合(ステップS5:Yes)、運転者の反応時間を試すテスト(反応時間ゲーム)をゲーム形式で行う(ステップS16)。
【0027】
図4はこの場合の表示内容を示す図である。この図に示すように、表示装置51の表示画面51Aに、操作ボタンを模した画像(以下、操作ボタン画像という)Xを、図4中(1)→(2)→(3)→(4)→(5)→・・・といった順でランダムな位置に短時間(1〜2秒)の間、表示する処理を行うと共に、タッチパネル61を介して操作ボタン画像Xが押されたか否かを監視する処理を所定時間、継続して行う。
なお、図4は、(4)で示す操作ボタン画像Xを表示した状態を示しており、この時点で(1)(2)(3)で示す操作ボタン画像Xの表示が終了しておらず、(5)はこの後に表示される操作ボタン画像Xを示している。
【0028】
そして、制御部30は、操作ボタン画像Xの表示タイミングと、この操作ボタン画像Xが押された押下タイミングとの差を求め、これらの平均値を算出することによって、運転者の反応時間TAを求め、この反応時間TAに基づいて飲酒の可能性ありか否かを判定する(ステップS17)。
通常、飲酒している場合は、反応時間が長くなるので、反応時間TAが予め定めた基準時間T0より長い場合に(TA>T0)、飲酒の可能性ありと判定する。なお、ゲーム時間が短い場合は、たまたま反応時間TAが短い結果となる場合が考えられるため、ゲーム時間は、泥酔しているか否かが判るように十分な時間をかけて行うことが望ましい。
【0029】
また、運転者が複数存在する場合は、各個人の年齢と正常時の反応時間を予め登録しておいて、反応時間ゲームの前等に現在の運転者を選択させ、年齢と正常時の反応時間とに基づいて反応時間の許容時間T1を設定し、測定した反応時間TAが、基準時間T0に許容時間T1を加味した時間よりも長い場合に(TA>(T0+T1))、飲酒の可能性ありと判定するようにしてもよい。この場合、若者や高齢者といった年齢差や個人差を考慮して飲酒しているか否かを判断でき、より精度良く飲酒判定を行うことができる。
【0030】
次いで、制御部30は、飲酒の可能性なしと判定した場合には(ステップS17:No)、当該処理を終了する一方、飲酒の可能性ありと判定した場合には(ステップS17:Yes)、運転者に対して飲酒に関する警告処理を行う(ステップS18)。
この場合、運転者が飲酒している可能性(泥酔している可能性)が高いため、制御部30は、表示処理部52により表示装置51の画面に、飲酒を自覚させる強い警告メッセージ(”泥酔していませんか?飲酒をしたなら運転代行サービスを利用しましょう。”)を表示させると共に、音声出力部54により、上記警告メッセージに対応する音声をスピーカー53から音声出力させる。これにより、運転者が車両に乗り込んで運転を開始しようとする時に、飲酒に関する強い警告が出され、飲酒運転(酒気帯び運転や酒酔い運転)をしないように注意を促すことができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、運転者の反応時間に基づいて飲酒判定を行うので、第1実施形態の各種効果に加えて、飲酒している可能性がより高い場合にだけ警告処理を行うことができ、飲酒の可能性が低い場合に警告を行う事態をより回避できる。
【0032】
<第3実施形態>
図5は第3実施形態に係るナビゲーション装置10のブロック図であり、図6は飲酒対策処理を示すフローチャートである。図5に示すように、このナビゲーション装置10は、車両の発進を停止可能な車両停止処理部71を備えている。この車両停止処理部71は、制御部30の制御の下、車両のエンジン制御ユニットにエンジン始動の禁止を通知することにより、エンジン始動を禁止させ、車両の発進を停止させる。
【0033】
図6はこのナビゲーション装置10の飲酒対策処理を示すフローチャートであり、上記各実施形態と同様の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
このナビゲーション装置10の制御部30は、反応時間ゲーム(ステップS16)を行った結果、飲酒の可能性ありと判定した場合(ステップS17:Yes)に行うステップS28で示す警告処理が異なる。
この警告処理においては、制御部30は、表示処理部52により表示装置51の画面に、飲酒を自覚させる警告メッセージ(例えば、”泥酔していませんか?)とエンジンを停止する旨のメッセージ(”エンジンを停止します。”)を表示させると共に、対応する音声をスピーカー53から表示させ、かつ、車両停止処理部71によりエンジン始動を禁止させて車両の発進を停止させる。
従って、飲酒の可能性が高い場合は、飲酒運転を完全にさせないようにすることができる。
【0034】
この場合、制御部30は、発進停止状態に移行してから所定時間が経過すると、車両停止処理部71からエンジン制御ユニットにエンジン始動の許可を通知させて発進停止状態を解除する。すなわち、運転開始時に飲酒の可能性が高い場合は、運転開始時から所定時間が経過するまでは、該運転者による運転を強制的に禁止する。
なお、発進停止状態になった場合でも、運転代行サービス等の飲酒していない運転者による運転は許可される。すなわち、上記反応時間ゲームを再実行可能に構成し、このゲームの結果、飲酒の可能性なしと判定された場合に、制御部30が車両停止処理部71により発進停止状態を解除する。これにより、運転代行サービスの利用が可能である。
【0035】
上述した実施形態は、あくまで本発明の一態様に過ぎず、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。例えば、飲酒したと推測する駐車時間(停車時間)については以下のように変更してもよい。まず、第1及び第2実施形態のように、警告メッセージの表示や音声出力するだけなら短時間に設定し、短時間の駐車でも運転者の意識を高めるために頻繁に警告を行うようにしてもよい。一方、第3実施形態のように、強制的にエンジンをかけさせないようにする場合には、誤判定して作動しないように長めに設定してもよい。
また、飲酒したと推測する駐車時間(停車時間)及び時間帯に応じて、最初の1時間或いは夜間時刻帯の最初の1時間(例えば18時〜19時)は、警告処理だけを行い、それ以降は、警告処理とエンジン停止(車両停止)とを行うようにしてもよい。
【0036】
また、上述の実施形態では、車両データ処理部23が車速パルス信号SA及びパーキングブレーキ信号SBに基づいて、車両が停車したか否かを判別する場合を説明したが、これに限らず、車速パルス信号SA又はパーキングブレーキ信号SBのいずれか一方のみで停車したか否かを判別してもよい。この場合、車速パルス信号SAから検出される車速が零の場合、パーキングブレーキ信号SBが作動状態の場合、又は、車速パルス信号SAから検出される車速が零であって、パーキングブレーキ信号SBが作動状態の場合に、車両が停車したと判別するようにすればよい。
【0037】
また、上述の実施形態では、駐車開始時刻が夜間時刻帯を含むか否かを判定する場合を説明したが、これに代えて、或いは、これに加えて、運転開始時刻が夜間時間帯を含むか否かを判定してもよい。要は、飲酒の可能性が高い時刻に停車されているか否かを判定すればよく、駐車開始時刻から運転開始時刻までの停車時刻が、飲酒の可能性が高い夜間時刻帯を含むか否かを判定すればよい。
また、夜間時間帯でなくてもお酒を供給する飲酒店も存在するため、停車時刻が、飲酒の可能性が高い夜間時刻帯を含むか否かを判定する処理を省略し、停車位置と停車時間が上記条件を満たした場合に、警告処理を行うようにしてもよい。なお、本発明のナビゲーション装置10が搭載される車両は、自動車に限らず、自動二輪車や自転車等を含む広義の車両を意味する。
【符号の説明】
【0038】
10 ナビゲーション装置
20 位置検出部
30 制御部
35 計時部
40 記憶部
43 SRAM(不揮発性メモリー)
50 情報出力部
60 指示入力部
71 車両停止処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を用いて車両を現在位置から目的地へ誘導するナビゲーション装置において、
前記地図を用いて前記車両の位置を検出する制御部を備え、この制御部は、飲酒の可能性がある地域に所定時間以上、停車したことを検出したら、運転開始時に警告処理を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両が停車した時に、停車位置が、飲酒の可能性がある前記地域か否かを判定し、前記車両が運転開始される時に、停車時間が所定時間以上経過したか否かを判定し、停車位置が前記地域であって、停車時間が所定時間以上経過していた場合に、前記警告処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御部は、停車位置が前記地域であった場合にだけ、前記車両が運転開始される時に、停車時間が所定時間以上経過したか否かを判定する処理を行うことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御部は、停車位置が前記地域であった場合に、停車時刻を不揮発性メモリーに格納し、前記車両が運転開始される時に、現在時刻と前記不揮発性メモリーに格納された前記停車時刻とに基づいて前記車両の停車時間が所定時間以上経過したか否かを判定することを特徴とする請求項2又は3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御部は、停車位置が前記地域であって、停車時刻が夜間時刻帯を含み、かつ、停車時間が所定時間以上経過している場合に、前記警告処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
停車位置が前記地域であって、停車時間が所定時間以上経過していた場合に、前記車両の発進を停止させる車両停止処理部を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−107909(P2011−107909A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261262(P2009−261262)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】