説明

ナビゲーション装置

【課題】車載された状態でナビゲーション装置が使用されている場合に、車載時最終位置情報を保存し、これを再度車載された状態で利用できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1の現在位置を所定の時間間隔で検出する現在位置検出手段11と、現在位置検出手段11が検出した現在位置の情報を、随時記憶する現在位置記憶手段16と、制御手段10とを備え、制御手段10は、ナビゲーション装置1が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、現在位置記憶手段16に最後に記憶された現在位置の情報を、車載時最終位置として特定し、該車載時最終位置を、ナビゲーション装置1が再度車両に取り付けられた時の現在位置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用、携帯用に兼用可能なナビゲーション装置に関するものであり、特に、車載された状態でナビゲーション装置が使用されている場合に、所定の時間間隔で検出される車両の位置情報を随時保存しておき、車両からナビゲーション装置が取り外された後に再び車両にとりつけられたことを検出した場合に、保存された位置情報のうち最後に検出された位置情報を車載時最終位置情報として利用するようにしたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)に代表される全世界航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite Systems)を利用し、車両の現在位置を検出してユーザに走行路を案内する車載用ナビゲーション装置が知られている。
【0003】
また、車載されたナビゲーション装置と携帯電話などの移動体端末とを併用し、ナビゲーション装置により取得した最適経路の情報を移動体端末に引き継ぎ、車両から離れた場合にもナビゲーションの情報を継続して利用できるようにする技術も、種々提案されている。
【0004】
特に、最近では、車載用、携帯用に兼用可能なナビゲーション装置も提供されており、車載する場合はダッシュボードに取り付けられたクレードルなどの取り付け具にナビゲーション装置を取り付け、車両から電源を供給して使用し、携帯する場合にはクレードルからナビゲーション装置を取り外して電池などの内部電源から電源を供給して使用するように構成されるのが一般的である。
【0005】
このようなナビゲーション装置を用いれば、出発地から目的地周辺の駐車場(経由地)まで自動車で移動し、駐車場から所望の目的地まで徒歩で移動する最適経路を探索し、自動車と徒歩による経路の案内を受けることができる。この場合、ナビゲーション装置が車両に搭載されている間は車両のバッテリからアクセサリー電源供給部などから電源供給を受け、車両が駐車場に到着してナビゲーション装置がクレードルなどの取り付け具から取り外されると、自動的にナビゲーション装置の内部電源に切り替わり、ナビゲーション装置を携帯した状態で経路案内を継続して受けるようになる。ユーザが経路案内の継続を望まない時には、経路案内を終了させてナビゲーション装置のメイン電源スイッチを操作して外部電源や内部電源からの電源供給をオフする。
【0006】
ナビゲーション装置において、電源がオフされた時点で検出されていたナビゲーション装置の位置情報を記憶しておく機能が設けられている場合がある。これは、次にナビゲーション装置を起動した際に、現在位置検出手段が現在位置を検出するまでに時間がかかってしまう場合があるため、前回ナビゲーション装置に記憶しておいた位置情報を現在位置とし、その現在位置を用いることで現在位置検出手段により現在位置が検出されるのを待つことなく最適経路の探索などをスムーズに行なうことができるためである。
【0007】
GPSを利用した衛星航法装置を用いる場合、複数のGPS衛星が送信する衛星電波を受信して位置を算出する。衛星電波には、アルマナックデータ及びエフェメリスデータの2種類のデータが含まれる。アルマナックデータは、全人工衛星の軌道情報及び衛星時計の補正情報を含み、エフェメリスデータは、各人工衛星の詳細な位置情報及び衛星電波を発射した時刻情報を含む。GPS受信機は衛星電波を受信し、アルマナックデータ及びエフェメリスデータに基づき、緯度情報及び経度情報からなる現在位置を算出する。また、アルマナックデータ及びエフェメリスデータを受信するたびに更新、記憶しておくことで、ナビゲーション装置が再起動された場合に、GPS衛星の位置が推測でき、直ぐに現在位置を検出することが可能である。
【0008】
しかしながら、ナビゲーション装置を長期間使用しないときなど、アルマナックデータ及びエフェメリスデータがある程度の期間、受信できない場合、ナビゲーション装置に記憶されているアルマナックデータ及びエフェメリスデータが古くなってしまい、ナビゲーション装置が再起動された場合に、GPS衛星の位置が推測できなくなり位置算出に通常よりも時間がかかることがある。このような場合に前回記憶した位置情報を利用する意味がある。
【0009】
一方、車両が駐車場などに停車されたことを検出した場合に、その時点で得られていた位置情報を記憶しておく車載用のナビゲーション装置も提供されている。車両が停車された時、例えば、車両が駐車場に停車された時の位置情報を保存するのには、いくつかの理由がある。理由の1つは目的地までの経路探索において目的地周辺の駐車場を経由地点とし、車両を経由地点である駐車場に置き、車両からナビゲーション装置を取り外し、目的地までの徒歩経路の案内を携帯したナビゲーション装置により引き続き受けることができるようにするためである。また、他の理由は、ユーザが駐車場に戻る際の駐車場や駐車位置を案内するためなどである。
【0010】
車両が停車した時の位置情報を保存するナビゲーション装置は、例えば、下記の特許文献1(特開2002−181555公報)にナビゲーション装置の発明として開示されている。このナビゲーション装置は、車載用ナビゲーション装置における経路探索部で出発地から目的地までの経路探索結果を携帯電話等の移動体通信部を備えた携帯用ナビゲーション装置に転送して記憶し、利用者は車から携帯用ナビゲーション装置だけを携帯することで、携帯用ナビゲーション装置のGPS受信部で測位した現在位置を用いて、利用者を目的地まで案内する。このため、車載用ナビゲーション装置は、駐車場に車両を駐車した時点で、車載用ナビゲーション装置の地図データベースに記憶している駐車場から目的地までの地図情報とGPS受信部でGPS測位を行った駐車位置情報を、通信手段を介して携帯ナビゲーション装置の携帯記憶部に転送するように構成される。
【0011】
また、車載用ナビゲーション装置は、電源が投入されてから、ナビゲーション装置におけるデバイスドライバーや、アプリケーションが起動し、その後に距離センサやジャイロ等の自立航法センサやGPSから現在位置情報を取得し始める。従って、CPUの処理速度等によっては、電源を投入してからナビゲーション装置のデバイスドライバーやアプリケーションが起動するまで、自車位置の決定に使用する距離センサやジャイロ等の自立航法センサやGPSによる位置情報は取得されない。そのため、電源を投入してから、自車位置を取得するまでの間に車両が相当距離移動することがあり、先に電源を切ったときの位置情報を基準に現在位置を得るときには特に、最初に得られる現在位置が実際の位置とは大きく離れてしまうことがある。
【0012】
このような問題を解消するため、下記の特許文献2(特開2002−350145公報)には、GPS受信機、あるいは、距離センサや角度センサの信号を用いる自立航法センサによって車両の位置を検出する車両位置検出部は、メインプロセッサとは別のコプロセッサによってその演算を実行し、得た現在位置データを車両位置メモリに記憶するように構成し、ナビゲーション装置再起動時に、メインプロセッサが立ち上がったとき、メモリ内の現在位置データを使用するようにしたナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−181555公報(段落[0013])
【特許文献2】特開2002−350145公報(段落[0005]、[0006]、[0014])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記特許文献1に開示されたナビゲーション装置のように、車両が駐車場などに停車した時に、その地点の位置情報を記憶しておく場合、駐車した場所が立体駐車場や地下駐車場である場合には、GPSによる測位ができないという問題が生じる。
【0015】
また、ナビゲーション装置のメイン電源スイッチが操作され、電源がオフされた時に、その時の現在位置を保存するようにしたナビゲーション装置においては、車両を駐車してナビゲーション装置を取り外し、携帯用のナビゲーション装置として駐車場から目的地までの徒歩経路のナビゲーションを受け、目的地に到着した時点、あるいは、駐車場に戻る途中で案内の必要がなくなり電源をオフにすることがあり得る。その場合、電源をオフした地点の位置(あるいは現在位置を最後に検出した位置)が保存されてしまうため、駐車場に戻ってナビゲーション装置をクレードルに取り付け、記憶された位置情報に基づいて再度ナビゲーション装置を利用しようとすると、ナビゲーション装置に記憶した位置情報は駐車場の位置とは異なることになり、誤った出発地から経路が探索されてしまうという問題点が生じる。
【0016】
そこで、ナビゲーション装置の電源オフ時の位置情報を保存するのに加えて、ナビゲーション装置の車両からの取り外しを検出してその時の位置情報を、再び車載された際に利用できるように、すなわち、車載用の位置情報として保存するように構成することが考慮される。
【0017】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、車載された状態でナビゲーション装置が使用されている場合に、所定の時間間隔で検出される車両の位置情報を随時保存しておき、車両からナビゲーション装置が取り外された後に再び車両にとりつけられたことを検出した場合に、保存された位置情報のうち車載時に最後に検出された位置情報を車載時最終位置情報として利用するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
すなわち、本発明は、車載用、携帯用に兼用可能なナビゲーション装置において、車両からナビゲーション装置が取り外された後に再び車両にとりつけられたことを検出した場合に、車載時最終位置情報を特定して利用できるようにしたナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
車両に取り付け取り外しが可能なナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の現在位置を検出する現在位置検出手段と、ナビゲーション装置が車両に取り付けられている場合に前記現在位置検出手段により検出された現在位置を随時記憶する現在位置記憶手段と、制御手段とを備え、
前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、前記現在位置記憶手段に最後に記憶された現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とすることを特徴とする。
【0020】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、少なくとも施設情報を記憶した地図記憶手段を備え、
前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、前記地図記憶手段を参照し、前記最後に記憶された現在位置の所定範囲内に前記現在位置検出手段により現在位置が検出できない施設があると判別した場合、当該最後の現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とすることを特徴とする。
【0021】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかるナビゲーション装置において、
前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外されナビゲーション装置の電源がオフされた日時とナビゲーション装置が再度車両に取り付けられナビゲーション装置の電源をオンにした日時とを比較し、両方の日時が所定期間以上離れていた場合に、前記最後に記憶された現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とすることを特徴とする。
【0022】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかにかかるナビゲーション装置において、
前記現在位置記憶手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外されている場合に前記現在位置検出手段により検出された現在位置も随時記憶し、
前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、ナビゲーション装置が車両に取り付けられている場合に前記現在位置記憶手段に記憶された最後の現在位置とナビゲーション装置が車両から取り外されている場合に前記現在位置記憶手段に記憶された最後の現在位置とを比較し、両方の位置が所定以上離れている場合に、ナビゲーション装置が車両に取り付けられている場合に前記現在位置記憶手段に記憶された最後の現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1にかかる発明においては、車両に取り付け取り外しが可能なナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の現在位置を検出する現在位置検出手段と、ナビゲーション装置が車両に取り付けられている場合に前記現在位置検出手段により検出された現在位置を随時記憶する現在位置記憶手段と、制御手段とを備え、前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、前記現在位置記憶手段に最後に記憶された現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とする。
【0024】
かかる構成によれば、車両を駐車した位置が記憶されるため、車両を駐車してナビゲーション装置を取り外し、携帯用のナビゲーション装置として駐車場から目的地までの徒歩経路のナビゲーションを受け、目的地に到着した時点、あるいは、駐車場に戻る途中で案内の必要がなくなり電源をオフにした場合であっても、直ぐに現在位置を特定することが可能となる。
【0025】
請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、少なくとも施設情報を記憶した地図記憶手段を備え、前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、前記地図記憶手段を参照し、前記最後に記憶された現在位置の所定範囲内に前記現在位置検出手段により現在位置が検出できない施設があると判別した場合、当該最後の現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とする。
【0026】
かかる構成によれば、最後の現在位置が立体駐車場や地下街の駐車場、または、ビル街などの現在位置が検出できない施設の周辺であれば、当該最後の現在位置を、再度車載された時の現在位置とすることができ、直ちに現在位置を利用して出発地を設定するなどの処理が行える。
【0027】
請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかるナビゲーション装置において、前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外されナビゲーション装置の電源がオフされた日時とナビゲーション装置が再度車両に取り付けられナビゲーション装置の電源をオンにした日時とを比較し、両方の日時が所定期間以上離れていた場合に、前記最後に記憶された現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とする。
【0028】
かかる構成によれば、ナビゲーション装置が長期間にわたり使用されなかった場合であっても、直ちに現在位置を特定することができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0029】
請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかにかかるナビゲーション装置において、前記現在位置記憶手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外されている場合に前記現在位置検出手段により検出された現在位置も随時記憶し、前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、ナビゲーション装置が車両に取り付けられている場合に前記現在位置記憶手段に記憶された最後の現在位置とナビゲーション装置が車両から取り外されている場合に前記現在位置記憶手段に記憶された最後の現在位置とを比較し、両方の位置が所定以上離れている場合に、ナビゲーション装置が車両に取り付けられている場合に前記現在位置記憶手段に記憶された最後の現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とする。
【0030】
かかる構成によれば、車両を駐車してナビゲーション装置を取り外し、携帯用のナビゲーション装置として駐車場から目的地までの徒歩経路のナビゲーションを受け、目的地に到着した時点、あるいは、駐車場に戻る途中で案内の必要がなくなりナビゲーション装置1のメイン電源スイッチを操作して電源をオフしても、再度車載した時に駐車した時の位置を現在位置として直ちに利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0033】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。制御手段10は、マイクロプロセッサなどのCPUであり、ROM101、RAM102を含んで構成され、ROM101、RAM102に記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置1の各部の動作を制御するものである。
【0034】
ナビゲーション装置1は、図1に示すように、現在位置検出手段11、地図記憶手段12、入力手段13、表示手段14、音声出力手段15、現在位置記憶手段16、内部電源入力手段17、外部電源入力手段18などを備えて構成されている。このナビゲーション装置1は、車載用、携帯用に兼用することができるものであり、車載する場合は、ダッシュボードに取り付けられたクレードルなどの取り付け具にナビゲーション装置1を取り付けて使用し、携帯する場合にはクレードルからナビゲーション装置を取り外して使用する。
【0035】
ナビゲーション装置1が車載された場合には外部電源入力手段18により車両のバッテリやアクセサリ電源と接続して電源供給する。携帯された場合には、内部電源入力手段17により内蔵電池と接続して電源供給する。ナビゲーション装置1が車載されているか否かの判別は、図示しないセンサによりクレードルとの接触を検出する、あるいは外部電源入力手段18により電源供給が行われているか否かを検出することで判別することができる。
【0036】
現在位置検出手段11は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波を受信するGPS受信機等で構成される。また、現在位置検出手段11としては、距離センサ、方位センサ、舵角センサ等からなる自立航法装置を用いることもできる。特に、車載された状態では自律航法装置は、車両に設けられた速度センサ、加速度センサ、舵角センサなどの各種センサの出力を取り込んで走行距離、方位、現在位置を算出するように構成することもできる。
【0037】
地図記憶手段12は、道路の分岐地点等の結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む道路情報を記憶している。道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐地点名称等が記憶されている。
【0038】
また、道路リンクデータには、始点及び終点となる道路ノード番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、制限速度、車線数、車道幅等の道路属性が含まれる。道路リンクデータには、さらに、道路属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、国道や都道府県道等の別を含む情報である。
【0039】
さらに、地図記憶手段12には、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、駐車場やガソリンスタンドなどの施設の位置情報をはじめとする施設位置、施設形状、施設名称などを含む施設情報からなる背景データが記憶されている。
【0040】
なお、施設情報には、現在位置手段により現在位置が検出できない施設か否かの情報も含まれている。現在位置が検出できない施設とは、例えば、地下駐車場や立体駐車場である。
【0041】
さらにまた、地図記憶手段12には、歩行者用の道路情報、電車やバス等の公共交通機関の発着駅、停留所、時刻表等の路線情報や利用料金を含む交通機関情報が記憶されている。
【0042】
制御手段10は、経路探索機能を有しており、ユーザが後述する入力手段13を用いて目的地を入力すると、地図記憶手段12に記憶されている道路情報、歩行者用の道路情報、交通機関情報を参照し、現在位置又は出発地から駐車場に至る自家用車等の個人用車両の経路、駐車場から目的地に至る公共交通機関や徒歩による経路を探索する。
【0043】
例えば、個人用車両による最適経路の探索は、現在位置又はユーザによって指定された出発地に対応する道路ノードからユーザによって指定された目的地に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法等の各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間等を累積し、総リンク長又は総所要時間等が最短となる経路を最適経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを最適経路データとして提供するものである。徒歩による最適経路も同様に、歩行者用の道路情報を用いて探索される。公共交通機関による最適経路は、発駅と着駅を特定することで、路線情報から探索することができる。徒歩経路や自動車経路と交通機関を併用した経路を探索する場合は、出発地や目的地の最寄り駅や最寄り駅周辺の駐車場を経由地として最適経路を探索する。
【0044】
入力手段13は、ナビゲーション装置における操作入力や出発地、目的地の入力を行う各種キー、スイッチなどから構成される。
【0045】
表示手段14は、地図画像や経路の画像、案内する駐車場の位置等を表示する駐車場案内手段として機能するものであり、液晶ディスプレイ等で構成される。なお、表示手段14は、個人用車両の経路、公共交通機関の経路及び徒歩の経路を表示することができる。なお、この表示手段14は、タッチセンサを備えた入力手段として機能させることができる。この場合、ディスプレイ上に表示されたアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われる。
【0046】
音声出力手段15は、探索された経路のデータに基づいて、交差点までの距離や交差点における右左折、直進などの案内を音声により出力する他、探索された経路における渋滞情報や、駐車場の位置、料金等を音声で案内するように構成することもできる。その場合、それらの情報は外部のサーバから予め、あるいは、リアルタイムで情報を取得しておくことが必要である。例えば、渋滞の情報は、道路交通情報センタなどが提供する情報をFM受信機が取得したり、通信手段を介してサーバから取得する。
【0047】
現在位置記憶手段16は、本発明において用いられものであり、制御手段10が現在位置検出手段11により所定の時間間隔でえられる位置情報を該現在記憶手段16に随時記憶していく。また、制御手段10はナビゲーション装置1が車載された状態にある時には、クレードルなどの取り付け具から取り外されたか否かを検出し、あるいは外部電源入力手段18からの電源供給が切断されたか否かを検出している。これによりナビゲーション装置1が車載状態にあるか否かが判別される。
【0048】
本実施例にかかるナビゲーション装置1においては、現在位置検出手段11が所定の時間間隔で検出する位置情報を、現在位置記憶手段16に随時記憶する制御を制御手段10が行う。随時とは所定の時間間隔で検出される位置情報をその都度記憶し、あるいは1回置きに記憶するなど、適宜の時間間隔で記憶することを意味する。また、記憶される位置情報は、日時情報と対応付けて記憶してもよい。
【0049】
現在位置記憶手段16に随時記憶する位置情報は、車載された状態にある時に現在位置検出手段11が検出する現在位置だけでなく、携帯された状態にある時に現在位置検出手段11が検出する現在位置も含む。その場合は車載時に随時記憶される現在位置の情報と携帯時に随時記憶される現在位置の情報とを、車載時現在位置情報と携帯時現在位置情報として区分しておく。
【0050】
なお、本実施例では、車載された状態にある時に現在位置検出手段11が検出する現在位置だけでなく、携帯された状態にある時に現在位置検出手段11が検出する現在位置も記憶するが、これに限ることはなく、車載された状態にある時に現在位置検出手段11が検出する現在位置だけ記憶するようにしてもよい。
【0051】
このように、所定の時間間隔で検出される車両の位置情報を随時保存しておき、車両からナビゲーション装置1が取り外された後に再び車両に取り付けられたことを検出した際、保存された位置情報のうち車載時に最後に検出された位置情報を車載時最終位置情報として利用するから、ナビゲーション装置1の種々の状態に応じて柔軟に現在位置情報を特定して利用することができるようになる。
【0052】
制御手段10は、ナビゲーション装置1が車載状態であることを検出し、車両から取り外されたことを検出し、次に再び車載状態になったこと(車両に取り付けられたこと)を検出する。この状態が検出されると、制御手段10は現在位置記憶手段16に記憶されている現在位置の情報(車載時現在位置の情報)のうち、最後に記憶された現在位置情報を車載時最終位置として特定し、当該車載時最終位置をナビゲーション装置1の現在位置とする。
【0053】
また、制御手段10はナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを検出した場合に、取り外された後、電源がオフされた時の日時情報と、再度取り付けられ電源がオンされた時の日時情報を比較し、両者が所定の期間以上離れていた場合には、現在位置記憶手段16に記憶されている現在位置情報のうち、車載時に最後に記憶された現在位置を車載時最終位置として特定し、当該車載時最終位置を再度車載された時の現在位置とする処理を行う。この場合、日時情報はナビゲーション装置1に設けられた図示しない時計手段により取得することができる。
【0054】
このような処理を行えば、取り外された後、電源がオフされた時の日時と、再度取り付けられ電源がオンされた時の日時を比較し、ナビゲーション装置1が長期間にわたって利用されなかった場合、すなわち、先に説明したアルマナックデータ及びエフェメリスデータが古くなってしまい、現在位置の検出に時間がかかる場合であっても、直ちに現在位置を特定することができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0055】
また、ナビゲーション装置1が車両から取り外され、再び車両に取り付けられたことを検出した場合、車両から取り外される前の現在位置すなわち車載時に現在位置記憶手段16に記憶された最後の現在位置と、再び車両に取り付ける前の現在位置すなわち携帯時に現在位置記憶手段16に記憶された最後の現在位置と、を比較し、両方の位置が所定以上離れていれば、車両から取り外される前の現在位置すなわち車載時に現在位置記憶手段16に記憶された最後の現在位置を車載時最終位置として特定し、再度車載された時の現在位置とする処理を行う。
【0056】
なお、両方の位置が所定以上離れているか否かは、両方の位置の距離差を算出し、その距離差が、予め定められた所定距離以上であるか否かで判別してもよく、或いは、どちらかの位置を中心とした所定範囲内にもう片方の位置があるか否かで判別してもよい。なお、両方の位置の距離差を算出する場合、距離差は直線距離における差でもよいし、地図記憶手段12に記憶された道路情報などを参照し、片方の位置からもう片方の位置に辿りつくまでの距離としてもよい。
【0057】
このようにすれば、車両を駐車してナビゲーション装置を取り外し、携帯用のナビゲーション装置として駐車場から目的地までの徒歩経路のナビゲーションを受け、目的地に到着した時点、あるいは、駐車場に戻る途中で案内の必要がなくなりナビゲーション装置1のメイン電源スイッチを操作して電源をオフしても、再度車載した時に駐車した時の位置を現在位置として直ちに利用することができるようになる。
【0058】
なお、車両から取り外される前の現在位置すなわち車載時に現在位置記憶手段16に記憶された最後の現在位置と、再び車両に取り付ける前の現在位置すなわち携帯時に現在位置記憶手段16に記憶された最後の現在位置とが所定以上離れていない時は、駐車地点に近い位置でナビゲーション装置1の電源がオフされたものと判断できるから、再び車両に取り付ける前の現在位置すなわち携帯時に現在位置記憶手段16に記憶された最後の現在位置を現在位置として利用するようにしてもよい。このようにすれば、ナビゲーション装置1を携帯した状態で、更に他の地点に移動する際の経路探索に携帯時に現在位置記憶手段16に記憶された最後の現在位置情報を現在位置として利用することができるようになる。
【0059】
また、本発明は、ナビゲーション装置1が長期間使用されなかった場合以外にも、地下駐車場や立体駐車場などの衛星電波が届きにくく、直ぐに現在位置が検出できない場合に、特に、顕著な効果が現れるため、車載時に記憶した最後の現在位置が地下駐車場や立体駐車場内の場合、或いは、車載時に記憶した最後の現在位置から所定範囲内、所定距離内に地下駐車場や立体駐車場がある場合、すなわち、地下駐車場や立体駐車場などに車を駐車したと思われる場合にのみ、本発明の処理を行う構成としてもよい。
【0060】
図2は、以上説明したナビゲーション装置1の動作手順を示すフローチャートである。なお、本フローチャートのスタート時には、ナビゲーション装置1は車両に車載されているものとして説明を行う。
【0061】
まず、ナビゲーション装置1において、現在位置検出手段11は所定の時間間隔でナビゲーション装置1の現在位置を検出する(ステップS101)。制御手段10は現在位置検出手段11が検出した現在位置の情報を現在位置記憶手段16に記憶する(ステップS102)。その際、位置検出した時の日時情報を対応付けて記憶しておいてもよい。
【0062】
次に、制御手段10はナビゲーション装置1が車載された状態で使用されているか否かを判別する(ステップS103)。車載されていれば、ステップS101の処理に戻り、車載されて使用されていない場合、すなわち、ナビゲーション装置1が車両から取り外されたことが検出されると、ナビゲーション装置1が継続して経路案内している場合には、携帯、すなわち、歩行用のナビゲーションを行う(ステップS104)。なお、ナビゲーション装置1が車両から取り外されたか取り付けられたかは、先に説明したように、クレードルなどの取り付け具にナビゲーション装置1が装着されたか否か、外部電源入力手段18から電源供給が行われているか否か検出することによって行うことができる。
【0063】
ステップS103の処理において制御手段10がナビゲーション装置1が車両から取り外されたことを検出した後、制御手段10は、ナビゲーション装置1が車載で使用されているか否かを判別する(ステップS105)。この判別は、ステップS103について説明したと同様にして行われる。車載で使用されていないと判別された場合は、ステップS104の処理に戻り、歩行用のナビゲーションが続けられる。
【0064】
ステップS105の判別処理において車載で使用していると判別されると、これはナビゲーション装置1が車両から取り外され、再び車両に取り付けられたことを意味するから、制御手段10は、現在位置記憶手段16に随時記憶された現在位置の情報のうち、最後に記憶された現在位置を車載時最終位置情報として特定し、再度ナビゲーション装置1を利用する際の現在位置とする処理を行う。
【0065】
本実施例にかかるナビゲーション装置1によれば、以上、説明したように、所定の時間間隔で検出される車両の位置情報を随時保存しておき、車両からナビゲーション装置1が取り外された後に再び車両に取り付けられたことを検出した際に、保存された位置情報のうち車載時に最後に検出された位置情報を車載時最終位置として利用するようにしたものであるから、ナビゲーション装置1の種々の状態に応じて柔軟に現在位置を特定して利用することができるようになる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・・ナビゲーション装置
10・・・制御手段
101・・ROM
102・・RAM
11・・・現在位置検出手段
12・・・地図記憶手段
13・・・入力手段
14・・・表示手段
15・・・音声出力手段
16・・・現在位置記憶手段
17・・・内部電源入力手段
18・・・外部電源入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付け取り外しが可能なナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の現在位置を検出する現在位置検出手段と、ナビゲーション装置が車両に取り付けられている場合に前記現在位置検出手段により検出された現在位置を随時記憶する現在位置記憶手段と、制御手段とを備え、
前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、前記現在位置記憶手段に最後に記憶された現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ナビゲーション装置は、少なくとも施設情報を記憶した地図記憶手段を備え、
前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、前記地図記憶手段を参照し、前記最後に記憶された現在位置の所定範囲内に前記現在位置検出手段により現在位置が検出できない施設があると判別した場合、当該最後の現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とすることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外されナビゲーション装置の電源がオフされた日時とナビゲーション装置が再度車両に取り付けられナビゲーション装置の電源をオンにした日時とを比較し、両方の日時が所定期間以上離れていた場合に、前記最後に記憶された現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記現在位置記憶手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外されている場合に前記現在位置検出手段により検出された現在位置も随時記憶し、
前記制御手段は、ナビゲーション装置が車両から取り外され、再度車両に取り付けられたことを判別すると、ナビゲーション装置が車両に取り付けられている場合に前記現在位置記憶手段に記憶された最後の現在位置とナビゲーション装置が車両から取り外されている場合に前記現在位置記憶手段に記憶された最後の現在位置とを比較し、両方の位置が所定以上離れている場合に、ナビゲーション装置が車両に取り付けられている場合に前記現在位置記憶手段に記憶された最後の現在位置を、ナビゲーション装置が再度車両に取り付けられた時の現在位置とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−112590(P2011−112590A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271162(P2009−271162)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】