説明

ナビゲーション装置

【課題】車内温度の上昇度合の低減を図ることのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、地図情報および日陰領域に基づいて、車内温度の上昇度合を抑制する上で駐車を推奨する駐車場である推奨駐車場を目的地周辺の複数の駐車場の中から選定する。次に、ナビゲーション装置1は、地図情報、太陽位置情報、および日陰領域に基づいて、推奨駐車場が有する複数の駐車区画ごとに、車内温度の上昇度合を抑制する上で推奨する駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を決定し、それら決定した駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を表示部50に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地周辺の駐車場を案内するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、駐車中における自車位置周辺の建物により日陰となる日陰領域を予測し、自車の駐車位置が駐車中に日陰領域から外れることを判定した場合、車内が高温になる可能性があることを報知する装置が記載されている。これにより、駐車中に車内が高温になる可能性があることをユーザに報知することができるようになる。
【0003】
また、特許文献2には、駐車場の形状および位置を示す駐車場情報と、駐車場周辺の建物の形状および位置を示す建物情報と、任意の日時における太陽の位置情報、すなわち太陽の高度および太陽の方位角とに基づいて、任意の日時における駐車場の日陰領域を計算し、その計算した日陰領域を表示する装置が記載されている。これにより、ユーザは、駐車場の日当たり状況を考慮しながら日陰になっている駐車位置を容易に探すことができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−316000号公報
【特許文献2】特開2008−275491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のように日陰領域を表示するものにおいて、特許文献1のように駐車中の全期間にわたり日陰領域となるかを予測すれば、駐車期間中の全期間にわたり日陰領域となる駐車区画を表示することができる。
【0006】
しかし、車両をある程度長い期間駐車する場合、駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰であるような駐車区画は少ない。そのため、ユーザは、駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰である駐車区画に車両を駐車することができないこともある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、車内温度の上昇度合の低減を図ることのできるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、駐車場の駐車区画ごとの形状および位置を示す駐車場情報と、駐車場の周辺に存在する建物の形状および位置を示す建物情報とを含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、目的地周辺の駐車場である周辺駐車場の駐車区画に車両を駐車開始する日時である駐車開始日時とその駐車区画に車両を駐車する期間である駐車期間とを含む駐車時間情報を取得する駐車時間情報取得部と、駐車開始日時からの駐車期間中の太陽の高度および太陽の方位角を太陽位置情報として決定する太陽位置決定部と、地図情報、駐車時間情報、および太陽位置情報に基づいて、駐車開始日時からの駐車期間中に周辺駐車場の駐車区画に生じる日陰領域を算出する日陰領域算出部と、日陰領域に基づいて、周辺駐車場が有する複数の駐車区画のうち少なくとも一部の駐車区画に対し、車内温度の上昇度合を抑制する上で推奨する駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を決定する推奨駐車態様決定部と、推奨駐車態様決定部が決定した推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0009】
ナビゲーション装置としての上記構成では、駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を、駐車期間中に駐車区画に生じる日陰領域に基づいて決定する。従って、駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰である駐車区画の有無や、その駐車区画の空き状況にかかわらず、ユーザは表示部に表示された推奨駐車向きおよび推奨駐車位置に従って車両を駐車区画に駐車することで、車内温度の上昇度合の低減を図ることができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、推奨駐車態様決定部は、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも長い駐車区画については、その駐車区画内での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に車両のフロントウインドウが入る向きおよび位置に決定する。
【0011】
これにより、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に車両のフロントウインドウが含まれるので、駐車期間の全期間にわたって、フロントウィンドウから太陽光が直接車両内に入射することがなくなる。従って、車内温度の上昇度合をより低減することができる。
【0012】
この請求項2とは逆に、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも短い駐車区画に車両を駐車する場合、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に車両のフロントウインドウを含ませることができない。そのため、駐車期間中に、フロントウィンドウから太陽光が車両内に入射することを避けることはできない。
【0013】
そこで、請求項3に記載の発明のように、推奨駐車態様決定部は、日陰領域だけでなく太陽位置情報も用いて、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも短い駐車区画については、駐車期間中に、車両のフロントウィンドウに照射される太陽光よりも車両のリアウィンドウに照射される太陽光のほうが多くなるように、推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定するとよい。
【0014】
一般的に、リアウィンドウは光の透過率を低減するプライバシーガラスとなっているので、この請求項3のようにすれば、プイバシーガラスによって太陽光を遮蔽することができる割合が高まるので、車内温度の上昇度合の低減を図ることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、推奨駐車態様決定部は、駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰である駐車区画については、その駐車区画での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、いずれの向きおよび位置でもよいと決定する。
【0016】
駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰である駐車区画に車両が駐車された場合、車内温度の上昇度合は駐車区画内での駐車向き、駐車位置によってほとんど変化しないからである。
【0017】
請求項5に記載の発明では、車両の全長を含む車両情報を記憶する車両情報記憶部をさらに備え、推奨駐車態様決定部は、日陰領域に加えて車両情報も用いて、推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定する。
【0018】
これにより、車両の全長が異なっても、日陰領域に車両全体を含ませることができるか否かや、日陰領域に車両の前端からフロントウィンドウの後端部までを含ませることができるか否かの判断が、正確に行えるようになる。そのため、精度よく、推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定することができるようになる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、車両の車高を含む車両情報を記憶する車両情報記憶部をさらに備え、日陰領域算出部は、地図情報、駐車時間情報、および太陽位置情報に加え車両情報も用いることで、駐車場の表面から車高分だけ上乗せした高度における平面に生じる日陰領域を算出する。
【0020】
これにより、車高の高低を反映した日陰領域を算出することができるので、精度よく、推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の一実施の形態について、その構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態によって実行される経路案内処理について、その処理手順を示すフローチャートである。
【図3】目的地および目的地周辺の駐車場の位置を示す模式図である。
【図4】目的地周辺の駐車場に生じる周辺駐車場日陰領域を示す模式図である。
【図5】選定された推奨駐車場に生じる駐車区画ごとの日陰領域を示す模式図である。
【図6】駐車区画内での推奨駐車向き、駐車区画内での推奨駐車位置、および駐車区画の種別を示す画像例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の一実施の形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0023】
図1に示されるように、ナビゲーション装置1は、記憶部10、GPS受信部20、入力部30、制御部40、表示部50、および音声出力部60を備えており、図示しない車両に搭載されている。なお、本実施の形態では、当該ナビゲーション装置1を搭載する車両は、そのリアウインドウがプライバシーガラスとなっており、サンルーフは搭載されていないものとする。
【0024】
記憶部10は、例えばハードディスクドライブ装置やフラッシュメモリなどによって構成され、制御部40に接続されている。記憶部10には、地図情報、太陽位置情報を決定するのに必要となる情報、駐車場への駐車履歴、駐車場での駐車期間、目的地の種別に応じて予め定められた標準駐車期間、および車両情報等々が記憶されている。
【0025】
ここで、地図情報には、駐車場情報および建物情報が含まれている。駐車場情報とは、その駐車場全体の形状および位置の情報に加え、駐車区画ごとの形状および位置の情報である。なお、駐車区画の形状の情報は、形と大きさとを含む情報であり、駐車区画の位置の情報は、たとえば、駐車区画における所定の2点についての位置の情報を含むようにするなどして、駐車区画の向きも決定できるようになっている情報である。建物情報とは、駐車場の周辺に存在する建物の形状および位置の情報である。地図情報は制御部40によって適宜読み出される。
【0026】
駐車場への駐車履歴とは、当該ナビゲーション装置1を搭載する車両が駐車されたことのある駐車場についての情報であり、駐車場での駐車期間とは、車両がその駐車場に駐車された期間についての情報である。駐車場への駐車履歴および駐車期間は車両が駐車場に駐車され発車された後に制御部40によって記憶部10に書き込まれ、これら書き込まれた駐車履歴および駐車期間は制御部40によって適宜読み出される。
【0027】
車両情報とは、例えば、当該ナビゲーション装置1が搭載される車両の車高、全長、車幅、プライバシーガラスの搭載有無およびその搭載位置(リアウインドウおよびサイドウインドウにプライバシーガラスが搭載されているか、あるいはそれらのウインドウのいずれか一方にプライバシーガラスが搭載されているか)等、後述する推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定するための情報である。車両情報は制御部40によって適宜読み出される。
【0028】
なお、太陽位置情報を決定するのに必要となる情報および目的地の種別に応じて予め定められた標準駐車期間について詳しくは後述するが、これら太陽位置情報を決定するに必要となる情報および標準駐車期間は制御部40によって適宜読み出される。また、記憶部10が特許請求の範囲に記載の地図情報記憶部および車両情報記憶部に相当する。
【0029】
GPS受信部20は、例えば図示しないGPSアンテナを有して構成されており、図示しない複数のGPS衛星から発せられるGPS信号を受信する。また、GPS受信部20は、制御部40に接続されており、この受信したGPS信号を制御部40に出力する。
【0030】
入力部30は、例えばタッチパネルや音声入力装置等の適宜の入力装置にて構成され、制御部40に接続されている。当該ナビゲーション装置1のユーザは、この入力部30によって、目的地の情報である目的地情報を入力することが可能であるとともに、駐車場案内が不要である旨または駐車場案内が必要である旨とを入力することも可能である。これら各種情報がユーザによって入力されると、入力部30は各種情報を制御部40に出力する。
【0031】
制御部40は、公知のCPU及び例えばフラッシュメモリ等の内蔵メモリ(いずれも図示略)を有して構成される公知のコンピュータであり、内蔵メモリに記憶されているプログラムを実行することによって、各種機能を実現している。以下では、制御部40は、経路算出部41、経路案内部42、駐車時間情報取得部43、太陽位置決定部44、日陰領域算出部45、推奨駐車場選定部46、および推奨駐車態様決定部47を有するものとして説明する。
【0032】
経路算出部41は、記憶部10から地図情報を読み出すとともに、GPS受信部20によって受信されるGPS信号を取得し、これら読み出した地図情報および取得したGPS信号を用いて、車両の現在地を検出するとともに現時刻を取得する。
【0033】
また、経路算出部41は、入力部30から目的地情報が入力されると、入力された目的地情報、検出した車両の現在地、および読み出した地図情報を用いて、車両の現在地から目的地への経路を算出する。そして、この算出した目的地への経路を経路案内部42に出力するとともに、目的地への経路および現時刻を駐車時間情報取得部43に出力する。
【0034】
また、経路算出部41は、入力部30から目的地情報が入力され、さらに入力部30から駐車場案内が必要である旨が入力されると、入力された目的地情報および読み出した地図情報を用いて、目的地周辺の駐車場、すなわち目的地から一定距離(例えば「500[m]」等)内に少なくとも一部が含まれる駐車場である周辺駐車場を検索する。
【0035】
ここで、経路算出部41は、周辺駐車場が複数ある場合には、それら複数の周辺駐車場についての駐車場情報を周辺駐車場情報とし、周辺駐車場がない場合には、周辺駐車場が検索されるまで上記一定距離を伸ばし、これにより検索された周辺駐車場の情報を周辺駐車場情報とする。そして、この周辺駐車場情報を、太陽位置決定部44、日陰領域算出部45、および推奨駐車場選定部46に出力する。
【0036】
なお、本実施の形態では、上記一定距離として例えば「500[m]」を採用したが「500[m]」に限らず適宜変更可能である。また、本実施の形態では、周辺駐車場が検索されるまで上記一定距離を伸ばしていたが上記一定距離を伸ばさなくてもよい。上記一定距離を伸ばさない場合、周辺駐車場がない場合にはその旨を上記表示部50および音声出力部60にてユーザに報知することとしてもよい。
【0037】
また、経路算出部41は、入力部30から目的地情報および駐車場案内が必要である旨が入力されたことに加え、さらに後述の推奨駐車場選定部46から推奨駐車場情報が入力されると、入力された推奨駐車場情報、検出した車両の現在地、および読み出した地図情報を用いて、車両の現在地から推奨駐車場への経路を算出し、この算出した推奨駐車場への経路を経路案内部42に出力する。
【0038】
なお、経路算出部41は、車両の現在地から目的地への経路を算出する際、および、車両の現在地から推奨駐車場への経路を算出する際、当該ナビゲーション装置1を搭載する車両の速度および角速度を取得し、これら速度および角速度ならびに地図情報に基づいて公知のマップマッチングを実行する。
【0039】
経路案内部42は、例えばLCD等によって構成される表示部50および例えばスピーカ等によって構成される音声出力部60に接続されている。そして、経路案内部42は、入力部30によって駐車場案内が不要である旨が入力された場合には、ユーザが視認できるように表示部50に表示したり、ユーザに聞こえるように音声出力部60から音声案内あるいは警告音を出力したりして、目的地への経路をユーザに案内する。一方、経路案内部42は、入力部30によって駐車場案内が必要である旨が入力された場合には、ユーザが視認できるように表示部50に表示したり、ユーザに聞こえるように音声出力部60から音声案内あるいは警告音を出力したりして、推奨駐車場への経路をユーザに案内する。
【0040】
駐車時間情報取得部43は、上記経路算出部41から目的地への経路および現時刻が入力されると、この目的地への経路および車両の速度を用いて、目的地への到着日時を算出(予想)し、この予想した到着日時である予想到着日時を駐車開始日時とする。そして、この取得した駐車開始日時を太陽位置決定部44に出力する。
【0041】
なお、本実施の形態では、駐車時間情報取得部43は、目的地への予想到着日時を駐車開始日時とすることで駐車開始日時を自動で取得しているが、これに限らない。他に例えば、駐車時間情報取得部43は、ユーザが入力部30に駐車開始日時を手動入力することにより駐車開始日時を取得することとしてもよい。あるいは、駐車時間情報取得部43が駐車開始日時を取得し、その取得した駐車開始日時をユーザが手動で訂正可能とするなど、自動および手動を併用することで駐車開始日時を取得することとしてもよい。
【0042】
駐車時間情報取得部43は、上記経路算出部41から周辺駐車場情報が入力されると、この周辺駐車場情報を用いて、周辺駐車場への駐車履歴が記憶部10に記憶されているか否かを判断する。
【0043】
そして、駐車時間情報取得部43は、周辺駐車場への駐車履歴が記憶部10に記憶されていると判断した場合、その駐車時の駐車期間を読出・取得し、その取得した駐車期間を太陽位置決定部44に出力する。なお、駐車時間情報取得部43は、周辺駐車場への駐車履歴が記憶部10に複数記憶されていると判断した場合には、複数の駐車期間のうち直近の駐車期間を取得してもよく、複数の駐車期間の平均値を算出・取得してもよい。
【0044】
一方、駐車時間情報取得部43は、周辺駐車場への駐車履歴が記憶部10に記憶されていないと判断した場合、例えばスーパー、デパート、役所、およびレストラン等、目的地の種別を目的地情報から判別するとともに、レストランに対しては45分、役所に対しては60分等、その目的地の種別に応じて標準駐車期間を今回の駐車期間として記憶部10から読出・取得し、取得した駐車期間を太陽位置決定部44に出力する。
【0045】
なお、本実施の形態では、駐車履歴がある場合にはその駐車履歴から駐車期間を自動で取得し、駐車履歴がない場合には予め設定された標準駐車期間を自動で取得しているが、これに限らない。他に例えば、駐車時間情報取得部43は、ユーザが入力部30に駐車期間を手動入力することにより駐車期間を取得することとしてもよい。あるいは、駐車時間情報取得部43が駐車期間を取得し、その取得した駐車期間をユーザが手動で訂正可能とするなど、自動および手動を併用することで駐車期間を取得することとしてもよい。
【0046】
太陽位置決定部44は、駐車時間情報取得部43から駐車開始日時および駐車期間が入力されると、記憶部10に記憶されている、太陽位置情報を決定するのに必要な情報(例えば、理科年表の暦部に掲載された値等)を読み出し、駐車開始日時からの駐車期間中の周辺駐車場における太陽の位置、すなわち太陽の高度および太陽の方位角を太陽位置情報として決定する。そして、太陽位置決定部44は、決定した太陽位置情報を日陰領域算出部45および推奨駐車態様決定部47の双方に出力する。
【0047】
ここで、太陽の高度とは、周辺駐車場内の所定観測点と太陽とを結ぶ直線とその観測点における水平面とがなす角である。また、太陽の方位角とは、周辺駐車場内の所定観測点を通る子午線の北の方向を基準とし、その所定観測点と太陽とを含む鉛直面とその観測点における水平面との交線の方向の水平角である。
【0048】
なお、これら太陽の高度および太陽の方位角は、上記所定観測点の経度、緯度、月日時刻に応じて変化するが、理科年表の暦部に掲載された値を用いて、緯度、経度、月日時刻から地方恒星時、視赤経、時角、視赤緯を順次求め、球面三角から導かれる三つの式を用いることにより、駐車開始日時からの駐車期間中の上記観測点における太陽の高度および太陽の方位角を算出することが可能である。また、周辺駐車場内の所定観測点は、例えば、周辺駐車場が有する駐車区画の中心や周辺駐車場の入口等である。
【0049】
日陰領域算出部45は、経路算出部41から周辺駐車場情報が入力され、上記駐車時間情報取得部43から駐車開始日時および駐車期間が入力され、太陽位置決定部44から太陽位置情報が入力されると、記憶部10に記憶されている地図情報および車両情報(特に車高)を読み出し、周辺駐車場に生じる日陰領域を算出する。
【0050】
ここで、日陰領域算出部45は、周辺駐車場の駐車区画に生じる日陰領域である駐車区画日陰領域を算出するとともに、通路等も含めた周辺駐車場全体に生じる日陰領域である周辺駐車場日陰領域も算出する。そして、算出した駐車区画日陰領域および駐車場日陰領域双方の情報である日陰領域情報を推奨駐車場選定部46および推奨駐車態様決定部47の双方に出力する。なお、本実施の形態では、駐車区画日陰領域も駐車場日陰領域も、駐車場の表面から車高分だけ上乗せした高度における平面に生じる日陰領域を算出する。
【0051】
推奨駐車場選定部46は、上記経路算出部41から周辺駐車場情報が入力され、上記日陰領域算出部45から日陰領域情報が入力されると、これら周辺駐車場情報および日陰領域情報を用いて、車内温度の上昇度合を低減する上で推奨する推奨駐車場を選定する。具体的には、推奨駐車場選定部46は、周辺駐車場情報から複数の周辺駐車場があると判断した場合には、それら複数の周辺駐車場別に駐車場日陰領域が占める割合を算出し、その割合が最も高い周辺駐車場を推奨駐車場として選定する。一方、推奨駐車場選定部46は、周辺駐車場情報から複数の周辺駐車場がない、すなわち周辺駐車場は1つのみであると判断した場合には、その周辺駐車場を推奨駐車場として選定する。そして、推奨駐車場選定部46は、このようにして選定した推奨駐車場の情報である推奨駐車場情報を推奨駐車態様決定部47に出力する。
【0052】
推奨駐車態様決定部47は、上記太陽位置決定部44から太陽位置情報が入力され、上記日陰領域算出部45から日陰領域情報が入力されたことに加え、さらに上記推奨駐車場選定部46から推奨駐車場情報が入力されると、記憶部10から車両情報を読み出す。そして、推奨駐車態様決定部47は、これら太陽位置情報、日陰領域情報、推奨駐車場情報、および車両情報を用いて、推奨駐車場が有する駐車区画ごとに、車内温度の上昇度合を抑制する上で推奨する推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定する。
【0053】
まず、推奨駐車態様決定部47は、日陰領域情報および推奨駐車場情報に加え車両情報(特に全長)を用いて、第1種駐車区画から第3種駐車区画まで駐車区画の種別を判別する。
【0054】
第1種駐車区画は、駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰である駐車区画である。第2種駐車区画は、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも長い駐車区画である(ただし、第1種駐車区画に含まれるものは除く)。第3種駐車区画は、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも短い駐車区画である。
【0055】
なお、本実施の形態では、推奨駐車態様決定部47は、車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さとして「全長÷2」の算出結果を用いて、上記駐車区画の種別を判別する。ただし、こうした態様に限らず、前端からフロントウインドウの後端部までの長さを予め計測した計測値を車両情報として記憶部10に記憶しておき、推奨駐車態様決定部47は、その計測値を読み出し、上記駐車区画の種別を判別してもよい。
【0056】
次に、推奨駐車態様決定部47は、駐車区画の種別判別結果、車両情報(プライバシーガラスの搭載有無およびその搭載位置)、太陽位置情報を用いて、車内温度の上昇度合を抑制する上で推奨する駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を決定する。
【0057】
第1種駐車区画に車両を駐車する場合、駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰であるため、車内温度の上昇度合は駐車区画内での駐車向きや駐車区画内での駐車位置によってほとんど変化しない。そのため、推奨駐車態様決定部47は、第1種駐車区画については、その駐車区画での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、いずれの向きおよび位置でもよいと決定する。
【0058】
第2種駐車区画に車両を駐車する場合、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に車両の前端からフロントウインドウの後端部までを含ませることができるため、車内温度の上昇度合を抑制するにあたっては、駐車期間の全期間にわたっては日陰でない部分、すなわち駐車期間中に日向になることがある部分に、光の透過率が低いプライバシーガラスが搭載されているリアウインドウを位置させ、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に、光の透過率が相対的に高いフロントウィンドウを位置させる方がよい。そのため、推奨駐車態様決定部47は、第2種駐車区画については、その駐車区画内での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に車両のフロントウインドウが位置するような車両の向きおよび位置とする。
【0059】
第3種駐車区画に車両を駐車する場合、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に車両の前端からフロントウインドウの後端部までを含ませることができないため、車内温度の上昇度合を抑制するにあたっては、駐車期間中に、車両のフロントウィンドウに照射される太陽光よりも、プライバシーガラスとなっているリアウィンドウに照射される太陽光のほうが多くなるように、推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定するのがよい。
【0060】
ただし、例えば駐車区画の方位角と太陽の方位角とのなす角が所定範囲(「−45[度]」〜「45[度]」等)から外れる場合、駐車期間中に、車両のフロントウィンドウに照射される太陽光よりも、プライバシーガラスとなっているリアウィンドウに照射される太陽光のほうが多くなるように、駐車向きおよび駐車位置を決定できない場合もある(なお、駐車区画の方位角とは、駐車区画の中心点を通る子午線の北の方向を基準とし、子午線と駐車区画の長手方向に平行な直線とがなす水平角である)。
【0061】
そのため、駐車区画の方位角と太陽の方位角とのなす角が上記所定範囲から外れる第3種駐車区画については、その駐車区画内での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、いずれの向きおよび位置でもよいと決定する。
【0062】
以上のように構成されたナビゲーション装置1が実行する経路案内処理(図2)について、図3〜図6に示す動作例を参照して説明する。
【0063】
ナビゲーション装置1(詳しくは制御部40)は、経路案内処理を実行開始すると、ステップS11の判断処理として、ユーザによって入力部30に目的地情報が入力されたか否かを判断する。ここで、目的地情報が入力されたと判断しなかった場合(ステップS11の判断処理で「No」)、制御部40は、このステップS11の判断処理を再度実行する。一方、目的地情報が入力されたと判断した場合(ステップS11の判断処理で「Yes」)、制御部40は、ステップS12の判断処理に移行する。制御部40は、ステップS11の判断処理を通じて目的地情報が入力部30に入力されるまで待機する。
【0064】
入力部30に目的地情報が入力されると、制御部40は、続くステップS12の処理として、記憶部10から読み出した地図情報および取得したGPS信号を用いて車両の現在地を検出し、入力された目的地情報を用いて、車両の現在地から目的地への経路を算出する。そして、制御部40は、続くステップS13の判断処理に移行する。
【0065】
ステップS13の判断処理に移行すると、制御部40は、ユーザが視認できるように表示部50に表示したり、ユーザに聞こえるように音声出力部60から音声案内あるいは警告音を出力したりして、駐車場案内が必要であるかあるいは駐車場案内が不要であるかについて入力部30に入力するように報知する。
【0066】
ここで、ユーザに対して報知してから所定の制限時間内にユーザによって駐車場案内が不要である旨が入力部30に入力された場合、あるいは、ユーザに対して報知してから制限時間内に、ユーザによって駐車場案内が必要である旨も不要である旨も入力部30に入力されなかった場合、制御部40は、駐車場案内が不要であると判断し(ステップS13の判断処理で「No」)、続くステップS14の処理に移行する。そして、制御部40は、ステップS14の処理として、ユーザが視認できるように表示部50に表示したり、ユーザに聞こえるように音声出力部60から音声案内あるいは警告音を出力したりして、目的地への経路をユーザに案内する。一方、ユーザに対して報知してから制限時間内にユーザによって駐車場案内が必要である旨が入力部30に入力された場合、制御部40は、駐車場案内が必要であると判断し(ステップS13の判断処理で「Yes」)、続くステップS15の処理に移行する。
【0067】
ステップS15の処理に移行すると、制御部40は、入力された目的地情報および読み出した地図情報を用いて、目的地から一定距離内に少なくとも一部が含まれる駐車場である周辺駐車場を検索する。周辺駐車場を検索すると、制御部40は、続くステップS16の処理に移行する。
【0068】
図3に示す動作例では、制御部40がステップS15の処理を実行することにより、周辺駐車場P1〜P3が検索される。周辺駐車場P1は目的地の図中左上に位置し、周辺駐車場P2は目的地の図中右に位置し、周辺駐車場P3は目的地の図中左下に位置する。
【0069】
ステップS16の処理に移行すると、制御部40は、算出した目的地の経路および車両の速度を用いて、目的地への到着日時を算出(予想)し、この予想した到着日時である予想到着日時を駐車開始日時とする。また、制御部40は、周辺駐車場への駐車履歴が記憶部10に記憶されているか否かを判断し、駐車履歴が記憶部10に記憶されていると判断した場合には、その駐車時の駐車期間を読み出す一方、周辺駐車場への駐車履歴が記憶部10に記憶されていないと判断した場合には、目的地の種別を目的地情報から判別し、その目的地の種別に応じた標準駐車期間を今回の駐車期間として記憶部10から読み出す。制御部40は、このようにして駐車開始日時および駐車期間を取得し、続くステップS17の処理に移行する。
【0070】
ステップS17の処理に移行すると、制御部40は、記憶部10に記憶されている理科年表の暦部に掲載された値を読み出し、駐車開始日時からの駐車期間中の周辺駐車場における太陽の位置を太陽位置情報として決定する。太陽位置情報を決定すると、制御部40は、続くステップS18の処理に移行する。
【0071】
図4に示す動作例では、制御部40がステップS17の処理を実行することにより、太陽位置S1およびS2が決定される。なお、図示の便宜上、駐車開始日時における太陽位置S1と期間終了時における太陽位置S2のみを示すが、制御部40は太陽位置の推移を決定する。
【0072】
ステップS18の処理に移行すると、制御部40は、検出した周辺駐車場情報と、決定した太陽位置情報と、記憶部10に記憶されている地図情報および車両情報とを用いて、周辺駐車場に生じる日陰領域を算出する。なお、日陰領域には、駐車区画ごとに生じる日陰領域である駐車区画日陰領域と、周辺駐車場全体に生じる日陰領域である駐車場日陰領域とが含まれる。日陰領域を算出すると、制御部40は、続くステップS19の処理に移行する。
【0073】
ステップS19の処理に移行すると、制御部40は、検索した周辺駐車場情報と、算出した日陰領域情報とを用いて、車内温度の上昇度合を低減する上で推奨する推奨駐車場を選定する。推奨駐車場を選定すると、制御部40は、続くステップS20の処理に移行する。
【0074】
図4に示す動作例では、駐車場日陰領域A1〜A9が算出され、周辺駐車場P1およびP2には駐車場日陰領域が生じておらず、周辺駐車場P3には駐車場日陰領域A7〜A9が生じている。制御部40は、周辺駐車場P1〜P3の別に駐車場日陰領域が占める割合を算出し、その割合が最も高い周辺駐車場P3を推奨駐車場として選定する(周辺駐車場P1および周辺駐車場P2に駐車場日陰領域が占める割合は双方とも零)。
【0075】
ステップS20の処理に移行すると、制御部40は、決定した太陽位置情報と、算出した日陰領域情報と、選定した推奨駐車場情報と、記憶部10に記憶されている車両情報とを用いて、推奨駐車場が駐車区画を有する場合には駐車区画ごとに、車内温度の上昇度合を抑制する上で推奨する駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を決定する。推奨駐車態様を決定すると、制御部40は、続くステップS21の処理に移行する。
【0076】
図5に示す動作例では、推奨駐車場でもある周辺駐車場P3は、隣接する8つの駐車区画Pd311〜Pd318と、隣接する7つの駐車区画Pd321〜Pd327と、隣接する4つの駐車区画Pd331〜Pd334とを有する。
【0077】
駐車区画Pd311〜Pd318は、全体が駐車期間の全期間にわたって日陰である駐車区画であることから、制御部40は、これら駐車区画Pd311〜Pd318を第1種駐車区画と判別し、これら駐車区画Pd311〜Pd318での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置をいずれの向きおよび位置でもよいと決定する。ちなみに、これら駐車区画Pd311〜Pd318が最適な駐車区画である。
【0078】
また、駐車区画Pd325〜Pd327は、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも長い駐車区画であることから、制御部40は、これら駐車区画Pd325〜Pd327を第2種駐車区画と判別する。そして、制御部40は、これら駐車区画Pd325〜Pd327での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に車両のフロントウインドウが入る向きおよび位置、すなわち、フロントウインドウが図中上方に向く向きおよび駐車区画内で可能な限り図中上方の位置と決定する。ちなみに、これら駐車区画Pd325〜Pd327が駐車区画Pd311〜Pd318の次に最適な駐車区画である。
【0079】
また、駐車区画Pd321〜Pd324は、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも短い駐車区画であることから、制御部40は、これら駐車区画Pd321〜Pd324を第3種駐車区画と判別する。そして、駐車区画Pd321〜Pd324の方位角は、太陽の方位角となす角が所定範囲内となることから、制御部40は、これら駐車区画Pd321〜Pd324での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に車両のリアウインドウが入る向きおよび位置、すなわちフロントウインドウが図中下方に向く向きおよび駐車区画内で可能な限り図中上方の位置と決定する。
【0080】
また、駐車区画Pd331〜Pd334は、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも短い駐車区画であることから、制御部40は、これら駐車区画Pd331〜Pd334を第3種駐車区画と判別する。そして、駐車区画Pd331〜Pd334の方位角は、太陽の方位角となす角が所定範囲から外れることから、制御部40は、これら駐車区画Pd331〜Pd334での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置をいずれの向きおよび位置でもよいと決定する。
【0081】
ステップS21の処理に移行すると、制御部40は、選定した推奨駐車場情報と、記憶部10に記憶されている地図情報とを用いて、車両の現在地から推奨駐車場への経路を算出し、ユーザが視認できるように表示部50に表示したり、ユーザに聞こえるように音声出力部60から音声案内あるいは警告音を出力したりして、推奨駐車場の経路をユーザに案内する。そして、車両が推奨駐車場に到着する、すなわち推奨駐車場への経路案内を終了すると、制御部40は、続くステップS22の処理に移行し、推奨駐車場が有する駐車区画ごとに、推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を表示部50に表示する。
【0082】
図5に示す動作例では、制御部40は、駐車区画Pd311〜Pd318に対し図6(a)に示す画像Pc1を表示し、駐車区画Pd325〜Pd327に対し図6(b)に示す画像Pc2を表示し、駐車区画Pd321〜Pd324に対し図6(c)に示す画像Pc3を表示し、駐車区画Pd331〜Pd334に対し図6(d)に示す画像Pc4を表示する。
【0083】
制御部40は、駐車区画内での推奨駐車向きがいずれの向きでもよいと決定された場合には、画像Pc1および画像Pc4のように、両方向を矢指する矢印にてその旨を表示し、駐車区画内での推奨駐車向きが特定の向きに決定された場合には、画像Pc2および画像Pc3のように、特定方向のみを矢指する矢印にてその旨を表示する。
【0084】
また、制御部40は、駐車区画内での推奨駐車位置がどの位置でもよいと決定された場合、画像Pc1および画像Pc4のように、駐車区画の中央に位置する矢印にてその旨を表示し、駐車区画内での推奨駐車位置が駐車区画内で可能な限り特定方向に寄った位置と決定された場合には、画像Pc2および画像Pc3のように、駐車区画内での特定方向に寄った位置に位置する矢印にてその旨を表示する。
【0085】
また、制御部40は、矢印の同一系統色の濃淡にて駐車区画の種別を表示する。制御部40は、画像Pc1のように、駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰である第1種駐車区画を、濃度の高い矢印にて表示する。制御部40は、画像Pc2のように、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画における長手方向の長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも長い第2種駐車区画を、中程度の濃度の矢印にてその旨を表示する。制御部40は、画像Pc3および画像Pc4のように、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも短い第3種駐車区画を、濃度の低い矢印にて表示する。
【0086】
以上説明したナビゲーション装置1によれば、駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を、駐車期間の全期間にわたって駐車区画に生じる日陰領域に基づいて決定するので、駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰である駐車区画の有無やその駐車区画の空き状況にかかわらず、ユーザは表示部に表示された駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置に従って車両を駐車区画に駐車することで、車内温度の上昇度合の低減を図ることができるようになる。
【0087】
なお、本発明に係るナビゲーション装置1は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
【0088】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1は、推奨駐車場のすべての駐車区画に対し、駐車区画内での駐車向きおよび駐車区画内での駐車位置を決定していたが、これに限らない。推奨駐車場の一部の駐車区画に対し、駐車区画内での駐車向きおよび駐車区画内での駐車位置を決定してもよい。
【0089】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1は、矢印の同一系統色の濃淡にて駐車区画の種別を表示したが、同一系統色の濃淡に限らず、予め定められた異なる色にて駐車区画の種別を表示してもよい。
【0090】
上記実施の形態では、図5に示したように、ナビゲーション装置1は、推奨駐車場が有する駐車区画ごとの推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を表示部50に見取り図にて表示していたが、これに限らない。ナビゲーション装置1は、公知のパーキングアシストカメラ(PCA)と連携してもよい。具体的には、PCAによって撮像され、表示部にて表示されているPCA画像に含まれる駐車区画を対象として、そのPCA画像に推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を重畳表示してもよい。
【0091】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1は、プライバシーガラスをリアガラスとして搭載した車両に搭載されていたが、これに限らない。ナビゲーション装置1は、プライバシーガラスをサイドガラスとして搭載する車両や、プライバシーガラスを搭載していない車両に搭載されてもよい。
【0092】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1は、サンルーフを搭載していない車両に搭載されていたが、サンルーフを搭載する車両に搭載されてもよい。この場合、ナビゲーション装置1は、サンルーフの搭載有無、その大きさ、およびその搭載位置(天井のどこがサンルーフとなっているか)等を車両情報として記憶部10に記憶しておき、地図情報、太陽位置情報、および日陰領域だけでなくこの車両情報も用いて、車内温度の上昇度合を抑制する上で推奨する駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を決定することとなる。サンルーフの搭載有無、大きさ、搭載位置の情報の用い方としては、たとえば、サンルーフを搭載している車両の場合には、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に、サンルーフ全体が位置するように、車両の推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定することになる。なお、この場合、サンルーフに加えて、フロントウインドウおよびリアウインドウのうちいずれか一方のみを、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に位置させることができる状況も多いと考えられる。この状況の場合、サンルーフに加えてフロントウインドウを駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に位置させるように、車両の推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定することがより好ましい。一方、サンルーフが搭載されていない車両の場合には、前述の実施形態と同じようにして車両の推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定する。
【0093】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1は、記憶部10に車両情報を記憶しておき、地図情報、太陽位置情報、および日陰領域だけでなくこの車両情報も用いて、周辺駐車場が有する複数の駐車区画のうち少なくとも一部の駐車区画に対し、車内温度の上昇度合を抑制する上で推奨する駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を決定していたが、車両情報に基づかなくてもよい。この場合、ナビゲーション装置1は、駐車期間の全期間にわたって「90%」以上が日陰である駐車区画を第1種駐車区画とし、駐車期間の全期間にわたって「50%」以上「90%」未満が日陰である駐車区画を第2種駐車区画とし、駐車期間の全期間にわたって「50%」未満が日陰である駐車区画を第3種駐車区画としてもよい。ちなみに、上記面積割合(「90%」や「50%」)についても、適宜変更可能である。このとき、ナビゲーション装置1は、駐車場の表面から車高分だけ上乗せした高度における平面に生じる日陰領域を算出するのではなく、駐車場の表面に生じる日陰領域を算出することになる。このようにすれば、車両情報に基づかなくとも、車内温度の上昇度合を抑制する上で推奨する駐車区画内での推奨駐車向きおよび駐車区画内での推奨駐車位置を決定することは可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…ナビゲーション装置、10…記憶部(地図情報記憶部、車両情報記憶部)、20…GPS受信部、30…入力部(駐車情報取得部)、40…制御部、41…経路算出部、42…経路案内部、43…駐車時間情報取得部、44…太陽位置決定部、45…日陰領域算出部、46…推奨駐車場選定部、47…推奨駐車態様決定部、50…表示部、60…音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の駐車区画ごとの形状および位置を示す駐車場情報と、前記駐車場の周辺に存在する建物の形状および位置を示す建物情報とを含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
目的地周辺の駐車場である周辺駐車場の駐車区画に車両を駐車開始する日時である駐車開始日時とその駐車区画に車両を駐車する期間である駐車期間とを含む駐車時間情報を取得する駐車時間情報取得部と、
前記駐車開始日時からの前記駐車期間中の太陽の高度および太陽の方位角を太陽位置情報として決定する太陽位置決定部と、
前記地図情報、前記駐車時間情報、および前記太陽位置情報に基づいて、前記駐車開始日時からの前記駐車期間中に前記周辺駐車場の駐車区画に生じる日陰領域を算出する日陰領域算出部と、
前記日陰領域に基づいて、前記周辺駐車場が有する駐車区画のうち少なくとも一部の駐車区画に対し、車内温度の上昇度合を抑制する上で推奨する推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定する推奨駐車態様決定部と、
前記推奨駐車態様決定部が決定した推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を表示する表示部とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記推奨駐車態様決定部は、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも長い駐車区画については、その駐車区画内での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分に車両のフロントウインドウが入る向きおよび位置に決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記推奨駐車態様決定部は、前記日陰領域だけでなく前記太陽位置情報も用いて、駐車期間の全期間にわたって日陰である部分の駐車区画の長手方向における長さが車両の前端からフロントウインドウの後端部までの長さよりも短い駐車区画については、その駐車区画内での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、駐車期間中に車両のフロントウィンドウに照射される太陽光よりも車両のリアウィンドウに照射される太陽光のほうが多くなるように、推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記推奨駐車態様決定部は、駐車区画の全体が駐車期間の全期間にわたって日陰である駐車区画については、その駐車区画での推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を、いずれの向きおよび位置でもよいと決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
車両の全長を含む車両情報を記憶する車両情報記憶部をさらに備え、
前記推奨駐車態様決定部は、前記日陰領域に加えて前記車両情報も用いて、前記推奨駐車向きおよび推奨駐車位置を決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
車両の車高を含む車両情報を記憶する車両情報記憶部をさらに備え、
前記日陰領域算出部は、前記日陰領域を、前記地図情報、前記駐車時間情報、および前記太陽位置情報に加え前記車両情報も用いて算出することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−122938(P2011−122938A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280813(P2009−280813)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】