説明

ナビゲーション装置

【課題】 目的地を容易に設定することができ、かつ経路案内の煩わしさを軽減したナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置1は、確率推論によって複数の目的地候補とそれぞれの目的地候補がドライバに選択される選択確率を求める目的地候補算出部10と、目的地候補算出部10にて求められた複数の目的地候補のうち、選択確率の高い方から順に2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を選択し、選択された複数の目的地候補を表示する目的地候補表示部22と、目的地候補表示部22にて表示された目的地候補の中から、一の目的地の選択を受け付ける目的地選択部24と、目的地選択部24にて選択された目的地までの経路案内を行う経路案内部28とを備える。経路案内部28は、抑制案内モードと通常案内モードとを有し、目的地候補表示部22にて表示された目的地候補の中から選択された目的地への経路案内を行うときには、抑制案内モードにて目的地までの経路案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、現在地から目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置が知られている。最近では、リアルタイムに渋滞情報を得られるVICSを搭載した装置や、膨大な地図情報を収めたDVDソフトを使える装置も一般的になりつつあり、着々と普及している。
【0003】
ナビゲーション装置は、目的地が設定されると、地図情報に基づいて現在位置から目的地までの最適経路を探索し、その経路を案内するので、ドライバが道順を正確に把握していなくても目的地にたどり着くことができ、非常に便利である。しかしながら、ナビゲーション装置は、パーソナルコンピュータ等と異なり、入力のインターフェースが充実していないので、目的地の設定には煩雑な作業を伴う。例えば、画面に50音表が表示され、上下左右のスイッチを使って50音表から1文字ずつ選択することで、目的地の名称を入力する方法がある。この方法では、そもそも文字を入力するという行為自体が煩雑である上、目的地が入力した名称で登録されているか否か不明であり、登録のない場合には目的地を再入力しなければならない。また、地域やカテゴリの階層構造を構築し、階層構造を利用して目的地を絞っていく方法もあるが、この方法で目的地を決定するためには階層構造が深くなってしまい、絞込みの選択回数が増え、操作が煩雑となる。
【0004】
一方で、目的地を入力しないで、目的地を推定するナビゲーション装置も知られている。例えば、特許文献1は、ドライバが目的地を設定せずに走行を開始した場合に、目的地を推定して表示部に表示するナビゲーション装置が記載されている。このナビゲーション装置では、表示された目的地をドライバが選択した場合に、目的地の設定を行うので、煩わしい操作をする必要がなく、容易に目的地の設定を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−328035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に記載のナビゲーション装置では、目的地の候補は、過去に行ったことのある場所と車両の走行情報によって推定される。従って、過去に行ったことのある場所が多数存在する場合には、多数の目的地の候補が表示される。この点について、特許文献1には、走行当初に複数の目的地情報が提示された場合でも、車両が走行して経路が進むにつれ、推定される目的地情報が絞られると記載されている。
【0007】
しかし、このような構成を採用すると、多数の目的地の候補が提示されることになるので、多数の選択肢の中から目的地を選び出すのは困難である。また、車両の走行に伴って提示される目的地の情報が動的に変化するので、ドライバが画面内に所望の目的地を見つけ出したとしても、その目的地を選択することは容易ではない。特に、車両走行中は、提示された目的地の情報を注視するわけにはいなかないので、このような構成では、現実的には目的地を選択することはきわめて困難である。
【0008】
なお、日本自動車工業会は、ナビゲーション装置について遵守すべき内容を策定し、「画像表示装置の取扱いについて 改訂第3.0版」として発表している。これによれば、ナビゲーション装置などの画像表示装置は、安全運転に対する悪影響を最小限にするよう設計することが望ましいとされ、視認を伴う操作機能について画面を注視し続ける情報の操作であってはならないとされている。このような観点からも、目的地の候補を多数提示することは好ましくない。
【0009】
また、従来のナビゲーション装置では、経路案内が開始されると、どこへ行く場合にも同じ態様での案内がなされていた。
【0010】
そこで、本発明は、上記背景に鑑み、目的地を容易に設定することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。また、ドライバがすでに知っている経路について経路案内をされるという煩わしさを軽減できるナビゲーション装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のナビゲーション装置は、確率計算によって複数の目的地候補とそれぞれの目的地候補がドライバに選択される選択確率を求める目的地候補算出部と、前記目的地候補算出部にて求められた複数の目的地候補のうち、前記選択確率の高い方から順に2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を選択し、選択された複数の目的地候補を表示する目的地候補表示部と、前記目的地候補表示部にて表示された目的地候補の中から、一の目的地の選択を受け付ける目的地選択部と、一部の情報の提供を抑制して経路案内を行う抑制案内モードと、抑制しないで経路案内を行う通常案内モードとを有し、前記目的地候補表示部にて表示された目的地候補の中から選択された目的地への経路案内を行うときには、前記抑制案内モードにて前記目的地までの経路案内を行う経路案内部とを備える。
【0012】
このように確率計算によって求めた選択確率の高い2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を表示し、その中から目的地を選択させることにより、ドライバは容易に目的地の選択を行うことができる。また、確率計算による目的地の算出は、過去の目的地設定履歴や行き先等に基づいて行われるので、選択確率の高い目的地候補はユーザが頻繁に訪れる場所である可能性が高い。目的地候補表示部に表示される目的地候補は選択確率が高いので、表示された目的地候補の中から選ばれた目的地はドライバがよく行く場所であると判断される。このような場合に、一部の情報の提供を抑制した経路案内をすることにより、すでに知っている経路について経路案内をされるという煩わしさを軽減できる。なお、経路案内の一部を抑制するとは、例えば、目的地までの道順についての情報の提供を抑制し、交通情報(渋滞情報、事故情報等)を提供する構成を採用してもよい。また、目的地までの経路を画面上に表示しておき、音声での案内を抑制するという構成を採用してもよい。
【0013】
上記ナビゲーション装置において、前記経路案内部は、前記目的地選択部にて選択された目的地の前記選択確率が所定の閾値以上の場合に前記抑制案内モードにて経路案内を行い、前記選択確率が所定の閾値より小さい場合に前記通常案内モードにて経路案内を行ってもよい。
【0014】
このように目的地候補の選択確率の大きさに応じて、抑制案内モードと通常案内モードとを制御することにより、詳細な経路案内の不要な状況か否かを適切に判断し、経路案内の煩わしさを軽減できる。
【0015】
上記ナビゲーション装置は、交通障害の情報を受信する交通障害情報受信部を備え、前記経路案内部は、前記交通障害情報受信部にて受信した交通障害の情報に基づいて、案内中の経路上に交通障害の発生を検知したときに、前記交通障害を回避する経路を探索し、通常案内モードにて経路案内を行ってもよい。
【0016】
このように案内中までの経路上に交通障害が発生しているときには、別の経路を探索し、通常案内モードによって適切に経路案内を行うことによって交通障害による混雑に巻き込まれることなく、スムーズに目的地への案内を行うことができる。すなわち、目的地がドライバのよく行く場所であったとしても、どのような経路をとれば交通障害を回避できるかはわからないので、通常案内モードにて経路案内を行うことが好ましい。
【0017】
上記ナビゲーション装置は、車両の現在位置の変化と目的地の位置とに基づいて、目的地の変更を検知する目的地変更検知部を備え、前記経路案内部が、抑制案内モードによる経路案内中に、前記目的地変更検知部にて目的地の変更を検知したときに、通常案内モードに切り替えて新しい目的地までの経路案内を行ってもよい。
【0018】
新しい目的地の選択確率が高い場合でも、前に向かっていた目的地への経路の途中から新しい目的地への経路を良く知らない場合がある。本発明によれば、目的地変更検知部にて目的地の変更が検知された場合には、新たな目的地への経路案内を通常案内モードで行うことにより、ドライバを新たな目的地へ適切に案内することができる。
【0019】
本発明の別の態様のナビゲーション装置は、確率計算によって目的地とその目的地がドライバによって受け入れられる確率を求める目的地算出部と、前記目的地算出部にて求められた確率が所定の閾値以上の場合に、一部の情報の提供を抑制して目的地までの経路案内を行う経路案内部とを備える。
【0020】
この構成により、目的地が受け入れられる確率が高く、目的地がドライバがよく行く場
所であると判断される場合には、一部の情報の提供を抑制するので、すでに知っている経路について経路案内をされるという煩わしさを軽減できる。
【0021】
本発明の別の態様のナビゲーション装置は、確率計算によって目的地を求める目的地算出部と、前記目的地算出部にて求められた目的地を表示する目的地表示部と、前記目的地表示部にて表示された目的地を受け入れるか否かの選択を受け付ける選択受付部と、前記選択受付部にて目的地を受け入れる選択を受け付けた場合に、一部の情報の提供を抑制して目的地までの経路案内を行う経路案内部とを備える。
【0022】
この構成により、推論によって求められて表示された目的地が受け入れられ、ドライバがよく行く場所であると判断される場合には、一部の情報の提供を抑制するので、すでに知っている経路について経路案内をされるという煩わしさを軽減できる。
【0023】
本発明の別の態様に係るナビゲーション装置は、目的地の設定を受け付ける目的地設定部と、過去に行った目的地およびその目的地に行くために通った経路を記憶する経路記憶部と、前記目的地設定部にて設定された目的地までの経路として探索された経路が前記経路記憶部に記憶された経路と一致するか否かを判定し、探索された経路が前記経路記憶部に記憶された経路と一致すると判定された場合には一部の情報の提供を抑制して経路案内を行い、一致しないと判定された場合には情報の提供を抑制しないで経路案内を行う経路案内部とを備える。
【0024】
このように経路記憶部に記憶された経路は、ドライバがよく知っている経路であるので、目的地までの経路として探索された経路が経路記憶部に記憶された経路と一致する場合には、一部の情報の提供を抑制して経路案内を行うことにより、経路案内の煩わしさを軽減できる。なお、このように過去に行った目的地および経路を記憶する経路記憶部は、いわゆる「ルート学習機能」として知られている。経路記憶部には、過去に一度でも行ったことのある目的地およびその経路を記憶してもよいし、過去に複数回行ったことのある目的地およびその経路を記憶してもよい。過去に複数回行ったことのある目的地およびその経路を記憶する場合には、同じ目的地に同じ経路で行った回数をカウントし、その回数が所定の回数を超えたときに記憶することとしてもよい。
【0025】
本発明の別の態様に係るナビゲーション装置は、目的地の設定を受け付ける目的地設定部と、過去に行った目的地およびその目的地に行くために通った経路およびその目的地に行った日時を履歴情報として記憶する履歴記憶部と、前記経路案内部は、前記目的地設定部にて設定された目的地までの経路として探索された経路が所定期間内に所定回数通った経路であるか否かを前記履歴記憶部に記憶された履歴情報に基づいて判定し、探索された経路が所定期間内に所定回数通った経路であると判定された場合には一部の情報の提供を抑制して経路案内を行い、所定期間内に所定回数通った経路でないと判定された場合には情報の提供を抑制しないで経路案内を行う経路案内部とを備える。
【0026】
このように所定期間内に所定回数行った目的地およびその経路は、ドライバがよく知っている経路であるので、一部の情報の提供を抑制して経路案内を行うことにより、経路案内の煩わしさを軽減できる。
【0027】
本発明のナビゲーション方法は、確率計算によって複数の目的地候補とそれぞれの目的地候補がドライバに選択される選択確率を求める目的地候補算出ステップと、前記目的地候補算出ステップにて求められた複数の目的地候補のうち、前記選択確率の高い方から順に2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を選択し、選択された複数の目的地候補を表示する目的地候補表示ステップと、前記目的地候補表示ステップにて表示された目的地候補の中から、一の目的地の選択を受け付ける目的地選択ステップと、一部の情報の提供を抑制して経路案内を行う抑制案内モードと、抑制しないで経路案内を行う通常案内モードとを有し、前記目的地候補表示ステップにて表示された目的地候補の中から選択された目的地への経路案内を行うときには、前記抑制案内モードにて前記目的地までの経路案内を行う経路案内ステップとを備える。
【0028】
この構成により、本発明のナビゲーション装置と同様に、確率計算によって求めた選択確率の高い2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を表示し、その中から目的地を選択させるので、ドライバは容易に目的地の選択を行うことができる。また、目的地候補表示ステップにて表示される目的地候補は選択確率が高いので、表示された目的地候補の中から選ばれた目的地はドライバがよく行く場所については、一部の情報の提供を抑制した経路案内をすることにより、すでに知っている経路について経路案内をされるという煩わしさを軽減できる。なお、本発明のナビゲーション装置の各種の構成を、本発明のナビゲーション方法に適用することも可能である。
【0029】
本発明のプログラムは、目的地への経路案内を行うためのプログラムであって、コンピュータに、確率計算によって複数の目的地候補とそれぞれの目的地候補がドライバに選択される選択確率を求める目的地候補算出ステップと、前記目的地候補算出ステップにて求められた複数の目的地候補のうち、前記選択確率の高い方から順に2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を選択し、選択された複数の目的地候補を表示する目的地候補表示ステップと、前記目的地候補表示ステップにて表示された目的地候補の中から、一の目的地の選択を受け付ける目的地選択ステップと、一部の情報の提供を抑制して経路案内を行う抑制案内モードと、抑制しないで経路案内を行う通常案内モードとを有し、前記目的地候補表示ステップにて表示された目的地候補の中から選択された目的地への経路案内を行うときには、前記抑制案内モードにて前記目的地までの経路案内を行う経路案内ステップとを実行させる。
【0030】
この構成により、本発明のナビゲーション装置と同様に、確率計算によって求めた選択確率の高い2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を表示し、その中から目的地を選択させるので、ドライバは容易に目的地の設定を行うことができる。また、目的地候補表示ステップにて表示される目的地候補は選択確率が高いので、表示された目的地候補の中から選ばれた目的地はドライバがよく行く場所については、一部の情報の提供を抑制した経路案内をすることにより、すでに知っている経路について経路案内をされるという煩わしさを軽減できる。なお、本発明のナビゲーション装置の各種の構成を、本発明のプログラムに適用することも可能である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、確率計算によって求めた選択確率の高い2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を表示し、その中から目的地を選択させることにより、ドライバが容易に目的地の選択を行うことができるというすぐれた効果を有する。また、ドライバがよく行く場所については、一部の情報の提供を抑制した経路案内をすることにより、すでに知っている経路について経路案内をされるという煩わしさを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施の形態のナビゲーション装置を示す図である。
【図2】目的地推定モデルの例を示す図である。
【図3】目的地候補表示部による目的地候補の表示例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。
【図5】第2の実施の形態のナビゲーション装置を示す図である。
【図6】案内モード情報記憶部に記憶された情報の例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。
【図8】第3の実施の形態のナビゲーション装置を示す図である。
【図9】第4の実施の形態のナビゲーション装置を示す図である。
【図10】第4の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置について図面を用いて説明する。本実施の形態では、車両に搭載されて用いられるナビゲーション装置を例として説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態のナビゲーション装置1の構成を示す図である。ナビゲーション装置1は、公知のナビゲーション装置と同様に、目的地の設定を行う目的地設定部26と、車両の現在位置を検出する位置検出部32と、地図情報を記憶した地図情報データベース30と、車両の位置と地図情報を用いて目的地への経路案内を行う経路案内部28とを備えている。
【0035】
目的地設定部26は、目的地の設定を受け付ける機能を有し、例えばリモコンによって構成される。位置検出部32は、例えば、地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサ、GPS受信機等のハードウェアを備え、これらの機器からの信号に基づいて車両の現在位置を求める。地図情報データベース30は、道路情報および店舗等の情報を記憶している。地図情報データベース30は、例えば、DVDなどのような情報記憶媒体でもよいし、ネットワークを通じてダウンロードした情報を記憶しておく記憶装置によって構成してもよい。経路案内部28は、現在位置から目的地までの最適経路を探索し、探索された経路に基づいて経路案内を行う。
【0036】
本実施の形態のナビゲーション装置1は目的地を設定するインターフェースとして、目的地設定部26のほかに、目的地候補表示部22および目的地選択部24を備えている。
すなわち、本実施の形態のナビゲーション装置1は、目的地候補表示部22にて目的地の候補を表示し、表示された目的地の候補の中からの選択を目的地選択部24にて受け付ける。目的地候補表示部22は、ドライバによって選択される可能性の高い場所を目的地の候補として表示する機能を有する。目的地候補表示部22は、目的地候補算出部10に接続されており、目的地候補算出部10によって目的地候補を算出する。
【0037】
目的地候補算出部10は、目的地を推論するための確率推論部12と、確率推論を行うために用いる目的地推定モデルを記憶する目的地推定モデル記憶部14とを備えている。ここで、目的地推定モデルについて説明する。
【0038】
図2は、目的地推定モデル記憶部14に記憶された目的地推定モデルの例を示す図である。目的地推定モデルは、ドライバの属性に関するノードとして、年齢を示すノードN1と、職業を示すノードN2を含み、状況に関するノードとして、曜日を示すノードN3と、同乗者の有無を示すノードN4とを含んでいる。また、目的地推定モデルは、目的地の候補のノードN5を含んでいる。各ノードN1〜N5は、目的地候補がドライバによって選択される確率を示すノードN6にリンクしている。このモデルでは、選択確率が、年齢、職業、曜日、目的地の候補の5つの変数に依存することを示している。すなわち、ノードN1〜N4に値が設定され、ノードN5に目的地の候補が設定されると、その目的地候補がドライバによって選択される選択確率が求まることになる。
【0039】
確率推論部12は、ドライバの年齢、職業等の属性を記憶したドライバ属性記憶部16と、曜日、同乗者の有無等の状況を検知する状況検知部18と、過去の目的地設定履歴を記憶した目的地設定履歴記憶部20とに接続されている。確率推論部12は、ドライバ属性記憶部16からドライバの年齢、職業を読み出して、ノードN1、N2に設定し、状況検知部18から曜日および同乗者の有無の情報を取得してノードN3、N4に設定する。そして、確率推論部12は、目的地の候補のノードN5に過去に目的地とされた場所を目的地設定履歴記憶部20から順次読み出して設定し、それぞれの場所について選択確率を求める。確率推論の計算は、各ノードN1〜N6の依存関係を示すCPT(条件付確率表)を用いて行う。
【0040】
なお、図2に示す目的地推定モデルは一例であって、図2に示す以外のモデルを本発明に適用できることは言うまでもない。例えば、目的地候補をノードに代えて、目的地の属性を示すノードを含むこととしてもよい。このモデルを用いて、ドライバに選択される確率の高い目的地の属性を求め、求められた目的地の属性に合った目的地をナビゲーション装置が備える行き先一覧のデータベース等から検索する構成とすることができる。これにより、過去に行ったことのない場所を目的地の候補として求めることができる。
【0041】
目的地候補表示部22は、確率推論部12にて求められた目的地候補とその選択確率に基づいて、複数の目的地候補を表示する機能を有する。目的地候補表示部22は、選択確率の大きい方から3個の目的地候補を表示する。図3は、目的地候補表示部22による目的地候補の表示例を示す図である。ここでは、3個の目的地候補を表示しているが、表示する目的地候補の数は、3個に限られず、4個以上であってもよいし、2個でもよい。目的地候補の数が少ないと、表示された目的地候補の中にドライバが行きたい目的地が含まれる可能性が低くなる。目的地候補の数が多いと、表示された目的地候補の中から選択するのが容易ではなくなる。従って、目的地候補表示部22が表示する目的地の個数は、好ましくは2〜5個であり、さらに好ましくは3〜4個である。
【0042】
なお、目的地候補表示部22は、確率推論部12にて求められた目的地候補が1個の場合には、その目的地候補を表示する。また、確率推論部12にて目的地候補が求められなかった場合には、目的地候補が求められなかった旨の表示をしてもよい。また、目的地候
補が求められなかった旨の表示をしないで、単に目的地候補を表示しないこととしてもよい。
【0043】
目的地選択部24は、目的地候補表示部22にて表示された3個の目的地候補の中から一の目的地の選択を受け付ける機能を有する。本実施の形態では、目的地候補表示部22は、タッチパネル式のモニタによって構成されている。目的地選択部24は、例えば、図3に示す画面の一の目的地候補にドライバが触れたことを検知して、目的地の選択を受け付ける。なお、本実施の形態では、目的地選択部24はドライバからの能動的な入力を受け付ける構成としているが、目的地選択部24はドライバからの入力なしに車両が走行開始した場合に、選択確率の最も高い目的地候補を目的地として自動選択するオプション機能を有してもよい。また、このオプション機能は、選択確率の最も高い目的地候補の選択確率が所定の閾値を超えている場合にのみ、目的地を自動選択してもよい。これにより、選択確率の最も高い目的地候補に向かう場合には、ドライバはナビゲーション装置1を操作する必要がないので、安全運転に資することができる。
【0044】
ナビゲーション装置1は、エンジンの作動を検知するエンジン作動検知部34を備えている。エンジン作動検知部34は、エンジン制御部50から送信されるエンジン作動信号を検知すると、エンジンが作動されたことを目的地候補算出部10に通知する。これにより、目的地候補算出部10は、エンジンの作動に応じて、目的地の設定を行う。
【0045】
ナビゲーション装置1は、目的地の変更を受け付ける目的地変更受付部36を備えている。目的地変更受付部36は、目的地の変更を受け付けると、目的地の変更を目的地候補算出部10に通知する。これにより、目的地候補算出部10は、目的地変更の受付けに応じて、目的地の設定を行う。
【0046】
図4は、本実施の形態のナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートである。ナビゲーション装置1は、まず、エンジン作動検知部34にてエンジンの作動を検知する(S10)。エンジンの作動を検知しないときは(S10でNO)、エンジンの作動を検知するまで、繰り返しエンジンの作動の検知を行う(S10)。
【0047】
エンジンの作動を検知したときは(S10でYES)、目的地候補算出部10は、目的地候補の算出を行う。具体的には、まず、確率推論部12がドライバ属性記憶部16からドライバの年齢および職業を読み出し(S12)、状況検知部18にて検知された曜日および同乗者の有無の情報を取得する(S14)。次に、確率推論部12は、ドライバの年齢、職業と、曜日、同乗者の有無を目的地推定モデルのノードN1〜N4に設定する。そして、確率推論部12は、目的地設定履歴記憶部20から過去に目的地とされた場所を読み出してノードN5に順次設定し、それぞれの場所がドライバによって選択される選択確率を確率推論によって求める。確率推論部12は、選択確率の大きい3つの場所を目的地候補として求める(S16)。
【0048】
選択確率の大きい目的地候補が求められると、ナビゲーション装置1は、選択された目的地候補を目的地候補表示部22によって表示し(S18)、表示された目的地候補の中から一の目的地の選択を受付ける(S20)。一の目的地がドライバによって選択されると、ナビゲーション装置1は、選択された目的地までの経路案内を行う(S22)。以上、本実施の形態のナビゲーション装置1について説明した。なお、図4に示すフローチャートでは、エンジンの作動を検知したときに、目的地の設定を行う例を示しているが、本実施の形態のナビゲーション装置1は、目的地変更受付部36にて目的地の変更を受付けたときに、目的地の設定および経路案内(S12〜S22)を行ってもよい。
【0049】
本実施の形態のナビゲーション装置1は、目的地候補表示部22にて3個の目的地候補を表示し、表示された目的地候補の中から一の目的地の選択を受け付ける。目的地候補表示部22が表示する目的地候補の数は、ドライバが一目で目的地候補を把握できる数であり、簡易なインターフェースによって容易に目的地を設定することができる。
【0050】
また、複数の目的地候補の中から目的地を選択させる構成により、ドライバは、ナビゲーション装置1によって目的地を選択されているというより、ドライバ自身の意思で目的地を設定しているという意識を持つので、表示された目的地候補のいずれかを受け入れ易いという効果も有する。この効果を奏するために、たとえ、一つの目的地候補の選択確率が突出して高い場合にも、複数の目的地候補を表示することが好ましい。
【0051】
本実施の形態のナビゲーション装置1は、目的地候補算出部10にて確率推論によって求められた複数の目的地候補を表示することから、表示された目的地候補の中から目的地が選択される可能性が高く、迅速に目的地を設定できる。
【0052】
本実施の形態のナビゲーション装置1は、エンジンの作動を検知したときに目的地候補を表示し、目的地を選択させるので、車両の走行開始時から適切な経路案内を行える。
【0053】
本実施の形態のナビゲーション装置1は、目的地変更受付部36にて目的地の変更を受付けたときに目的地候補を表示し、目的地を選択させるので、車両の走行中でも簡易なインターフェースで安全に目的地の設定を行うことができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態のナビゲーション装置2を示す図である。第2の実施の形態のナビゲーション装置2は、第1の実施の形態のナビゲーション装置1と基本的な構成は同じであるが、案内モード記憶部38をさらに備える点が異なる。第2の実施の形態のナビゲーション装置2は、案内モード記憶部38に記憶された情報に基づいて経路案内のモードを制御する。
【0055】
図6は、案内モード記憶部38に記憶された情報の例を示す図である。案内モード記憶部38には、「通常案内モード」「抑制案内モード」の2つの案内モードの情報が記憶されている。それぞれの案内モードは、「周辺地図表示」「道順音声指示」「ランドマーク情報音声通知」「交通情報音声通知」を行うか否かを規定している。「周辺地図表示」は、車両の現在位置の周辺の地図をモニタ上に表示する機能である。「道順音声指示」は、目的地までの経路の道順を、ドライバに音声案内をする機能である。例えば、経路中で右折が予定されている場合に「300m先右折です」等の音声案内をする機能である。「ランドマーク情報音声通知」は、ランドマークの存在を音声によってドライバに報知する機能である。「交通情報音声通知」は、渋滞情報や事故情報等をドライバに報知する機能である。
【0056】
「通常案内モード」は、経路案内に関するすべての情報、すなわち「周辺地図表示」「道順音声指示」「ランドマーク情報音声通知」「交通情報音声通知」の全情報をドライバに提供する案内モードである。「抑制案内モード」は、すべての情報をドライバに提供するのではなく、一部の情報、すなわち「道順音声指示」「ランドマーク情報音声通知」の提供を抑制するモードである。
【0057】
なお、図6では、経路案内の機能として「周辺地図表示」「道順音声指示」「ランドマーク情報音声通知」「交通情報音声通知」の4つを例示しているが、案内モードによって制御可能な機能はこれらに限定されるものではない。また、図6では、案内モード記憶部38は、2つの案内モードを有するが、3つ以上の案内モードを記憶することとしてもよい。
【0058】
図7は、第2の実施の形態のナビゲーション装置2の動作を示すフローチャートである。第2の実施の形態のナビゲーション装置2は、目的地を設定するまでの動作は第1の実施の形態のナビゲーション装置1と同様である。図7では、図4で示すステップS10〜S14までの記載を省略している。第2の実施の形態のナビゲーション装置2は、目的地候補算出部10にて複数の目的地候補およびその選択確率を求め(S16)、求められた目的地候補を表示する(S18)。そして、ナビゲーション装置1は、表示された複数の目的地候補の中から一の目的地の選択を受け付ける(S20)。
【0059】
ナビゲーション装置1は、目的地の選択を受け付けると、選択された目的地の選択確率と所定の閾値とを比較する(S24)。選択確率が所定の閾値以上の場合には(S24でYES)、経路案内部28は抑制案内モードで経路案内を行う(S26)。経路案内部28は、案内モード記憶部38から抑制案内モードの情報を読み出し、読み出した情報に従って経路案内を行う。選択確率が所定の閾値より小さい場合には(S24でNO)、経路案内部28は通常案内モードで経路案内を行う(S28)。案内モード記憶部38から通常案内モードの情報を読み出し、読み出した情報に従って経路案内を行う。
【0060】
第2の実施の形態によれば、従来のナビゲーション装置の以下のような問題を解決できる。すなわち、従来のナビゲーション装置では、経路案内が開始されると、どこへ行く場合にも同じ案内がなされていた。ドライバが通い慣れた道であっても「300m先右折です」「次の信号左折です」など音声案内がなされ、かえって煩わしい場合があった。その一方で、経路案内を一切行わないと、その日にどの道路が混雑しているか等の交通情報が得られなくなるため不便であった。
【0061】
第2の実施の形態のナビゲーション装置2は、抑制案内モードと通常案内モードの2つの経路案内モードを有し、選択された目的地の選択確率に応じて経路案内モードを選択する。選択確率が高い場合には、目的地はドライバがよく行く場所であり、目的地までの道順をよく知っていると判断されるので、道順およびランドマークの音声案内を抑制する抑制案内モードにて経路案内を行うことにより、経路案内に煩わされず心地よいドライブをすることができる。逆に、選択確率が低い場合には、目的地はドライバがあまり行かない不案内な場所であると判断されるので、通常の経路案内を行うことにより、目的地への到達をサポートできる。
【0062】
第2の実施の形態では、選択確率が所定の閾値以上の場合に抑制案内モードで経路案内をする例について説明したが、目的地候補表示部22にて表示された目的地候補から選択された場合に抑制案内モードで経路案内し、従来のナビゲーション装置と同様に目的地設定部26により目的地設定がなされた場合に、通常案内モードで経路案内することとしてもよい。
【0063】
第2の実施の形態では、選択確率に応じて、抑制案内モードと通常案内モードを判断しているが、よく行く場所をあらかじめ登録する機能を有するナビゲーション装置1においては、登録された場所が目的地として設定された場合に、抑制案内モードにて経路案内を行うこととしてもよい。また、「自宅」を目的地として設定した場合には、自宅付近で、抑制案内モードに切り替える制御を行ってもよい。
【0064】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態のナビゲーション装置3の構成を示す図である。第3の実施の形態のナビゲーション装置3は、第2の実施の形態のナビゲーション装置2の構成に加え、交通情報を受信する交通情報受信部40を備えている。
【0065】
交通情報受信部40は、例えば、VICSから交通情報を受信する機能を有する。交通情報受信部40は、受信した交通情報を経路案内部28に通知する。経路案内部28は、交通情報受信部40から通知された交通情報に基づいて、案内中の経路上に交通障害が発生していないか否かを判定する。経路上に交通障害が発生していると判定された場合には、経路案内部28は交通障害を回避する経路を探索し、探索された新たな経路にて経路案内を行う。
【0066】
第3の実施の形態のナビゲーション装置3では、抑制案内モードにて経路案内を行っている際に、経路案内部28が交通障害を回避する新たな経路を探索した場合に、経路案内部28は、抑制案内モードから通常案内モードに切り替える。このような構成を採用することにより、第3の実施の形態のナビゲーション装置3は、交通障害が発生したときにも、ドライバを適切に目的地に経路案内することができる。すなわち、交通障害が発生している場合には、目的地までの経路を熟知しているドライバであっても、どのような経路を辿れば交通障害に起因する渋滞を回避できるかということはわからないので、新たに探索された交通障害を回避する経路を通常案内モードによって経路案内することによって、適切に目的地に案内できる。
【0067】
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態のナビゲーション装置4の構成を示す図である。第4の実施の形態のナビゲーション装置4は、第1の実施の形態のナビゲーション装置1の構成に加え、車両が経路を逸脱したことを検知する経路逸脱検知部42を備えている。
【0068】
経路逸脱検知部42は、経路案内部28が探索した目的地までの経路と車両の現在位置とを比較して、車両の経路からの逸脱を検知する。経路逸脱検知部42は、車両の現在位置が経路から外れたときに経路逸脱を検知してもよいし、車両の現在位置が経路から外れた状態が所定時間継続したときに経路逸脱を検知してもよい。後者の検知方法の場合、ナビゲーション装置4は、所定時間の間、例えば「経路を外れました」等のメッセージを出力して、経路に戻るようにドライバに促してもよい。
【0069】
経路逸脱検知部42は、車両の逸脱を検知すると、経路案内部28または目的地候補算出部10に経路の逸脱を通知する。経路逸脱検知部42は、経路逸脱の検知回数が所定の回数に達するまでは、経路の逸脱を経路案内部28に通知し、経路逸脱の検知回数が所定の回数を超えた場合には、経路の逸脱を目的地候補算出部10に通知する。ここで「所定回数」は、ナビゲーション装置4の構成によって適宜設定することができる。
【0070】
経路案内部28は、経路逸脱検知部42から経路の逸脱の通知を受けると、車両の現在位置から目的地までの経路を再探索し、新たな経路を設定する。目的地候補算出部10は、経路逸脱検知部42から経路の逸脱の通知を受けると、再度、目的地候補を求める処理を行う。その後、ナビゲーション装置は、求められた目的地候補を表示し、ドライバに目的地を選択させる。
【0071】
図10は、第4の実施の形態のナビゲーション装置4の動作を示す図である。図10は、図4に示す動作によって、経路案内(S22)が開始された後の動作を示している。ナビゲーション装置4は、経路逸脱検知部42にて、車両が経路から逸脱していないか否かを検知する(S30)。経路逸脱検知部42が、経路からの逸脱を検知しない場合には(S30でNO)、ナビゲーション装置4は、目的地への経路案内を継続し、定期的に経路を逸脱していないかを検知する(S30)。
【0072】
経路逸脱検知部42は、経路からの逸脱を検知した場合には(S30でYES)、経路逸脱回数をカウントアップし(S32)、経路逸脱回数が所定回数に達したか否かを判定する(S34)。経路逸脱回数が所定回数に達していない場合(S34でNO)、ナビゲーション装置4は、車両の現在位置から目的地までの経路を再探索し(S36)、経路案内を行う(S42)。経路逸脱回数が所定回数に達した場合(S34でYES)、ナビゲーション装置4は目的地の再設定を行う(S38)。ナビゲーション装置4は、図4に示すステップS12〜ステップS20を実行することによって、目的地の再設定を行う(S38)。目的地の再設定が行われた後、ナビゲーション装置4は経路逸脱回数をリセットし(S40)、新たに設定された目的地までの再設定経路案内を行う(S42)。ナビゲーション装置4は、車両が目的地に到着するまで、図10に示す動作を繰り返し行う。
【0073】
第4の実施の形態のナビゲーション装置4は、経路逸脱検知部42により車両の経路からの逸脱を検知し、車両が経路から逸脱した回数が所定回数に達した場合に目的地の再設定を行う。この構成により、経路からの逸脱により目的地の変更を検知すると、ナビゲーション装置4は新たな目的地候補を表示し、表示された目的地候補の中から一の目的地の選択を受け付けることにより、変更後の目的地を容易に設定できる。すなわち、ドライバは目的地を変更する場合に、自らが行きたい目的地の方向に向かえば、ナビゲーション装置4により新たな目的地候補が表示され、ドライバはその中から目的地を選択すればよいだけなので、走行中であっても安全に目的地の設定を行える。
【0074】
なお、第4の実施の形態において、経路逸脱検知部42が車両の経路からの逸脱を検知したときに、経路逸脱回数を見ないで目的地の再設定を行ってもよい。この構成により、目的地の変更を速やかに検知して、目的地の再設定を行うことができる。
【0075】
第4の実施の形態では、経路を逸脱したことに応じて、目的地の再設定を行っているが、経路の逸脱を検知する以外の方法で、目的地の変更を検知してもよい。例えば、地図情報に基づいて車両の現在位置と目的地との距離を算出する距離算出部を備えることとし、距離算出部にて算出される距離が時間の経過に従って拡大したことを検知したときに目的地の再設定を行う構成を採用することができる。車両の現在位置と目的地との距離が拡大していく場合には、車両が目的地から遠ざかっているので、目的地が変更になったと判断できる。なお、この構成において、距離の拡大が所定の時間にわたって継続したときに、目的地の変更であると判断してもよい。この構成により、経路の一部において目的地から遠ざかるような道によって、一時的に車両が目的地から遠ざかった場合に、目的地の変更であると誤って検出する不都合を回避できる。
【0076】
(他の実施の形態)
本実施の形態のナビゲーション装置は、確率計算によって複数の目的地候補とそれぞれの目的地候補がドライバに選択される選択確率を求める目的地候補算出部と、前記目的地候補算出部にて求められた複数の目的地候補のうち、前記選択確率の高い方から順に2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を選択し、選択された複数の目的地候補を表示する目的地候補表示部と、前記目的地候補表示部にて表示された目的地候補の中から、一の目的地の選択を受け付ける目的地選択部と、前記目的地選択部にて選択された目的地までの経路案内を行う経路案内部とを備える。
【0077】
このように確率計算によって求めた選択確率の高い2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を表示し、その中から目的地を選択させることにより、ドライバは容易に目的地の選択を行うことができる。すなわち、適切な個数の目的地を表示することによって、ドライバは表示された選択肢を一瞥して、容易に目的地候補を把握できるようになる。また、表示される目的地の候補は、ドライバに選択される確率(選択確率)の高い方から順に選ばれるので、表示された候補の中にドライバの行きたい目的地が含まれる可能性が高く、目的地の表示および選択の受付けを一回行うだけで、目的地の設定を行える可能性が高い。例えば、第1候補の選択確率が35%、第2候補の選択確率が30%、第3候補の選択確率が25%というように、一つの目的地につき30%前後の選択確率であっても、3つの選択肢の中から選択される可能性は90%であり、一回の表示および選択受付で目的地を決定できる可能性が高くなる。なお、上記した「画像表示装置の取扱いについて 改訂第3.0版」に記載されているように、画面の視認性を高め、安全運転に対する悪影響をなくすことが望ましく、この観点からは目的地候補表示部に表示する目的地候補の数は、なるべく少なくするようがよい。その一方で、表示された選択肢にドライバの行きたい目的地が含まれる可能性を高めるためには、表示する目的地の個数は多い方がよい。これらの観点から、目的地候補表示部にて表示する目的地候補の数は、好ましくは2〜5個であり、さらに好ましくは3〜4個である。なお、表示する目的地候補の個数は、あらかじめ定まっていてもよいし、選択確率などに応じてその都度変更してもよい。例えば、3個以上の目的地候補の選択確率が同程度である場合には、選択確率の高い順に3個の目的地候補を表示し、2個の目的地候補の選択確率が際立って高い場合には、2個の目的地候補を表示してもよい。
【0078】
上記ナビゲーション装置において、前記目的地候補表示部は、前記目的地候補算出部にて求められた目的地候補が1個であった場合には、求められた1個の目的地候補を表示してもよい。
【0079】
このように目的地候補が1個しか求められなかった場合には、1個の目的地候補を表示し、その目的地候補を目的地として選択するか否かの入力を受け付けることにより、目的地の設定を容易に行うことができる。
【0080】
上記ナビゲーション装置において、前記目的地候補表示部は、前記目的地候補算出部にて目的地候補が求められなかった場合には、目的地候補が求められなかったことを表示してもよい。
【0081】
このように目的地候補が求められなかった場合には、目的地候補が求められなかったことを表示することによって、ドライバに次の操作を促すことができる。また、目的地候補
が求められなかった場合に、目的地候補を表示しない構成としてもよい。なお、「目的地候補が求められなかった場合」とは、例えば、いずれの目的地候補の選択確率も所定の閾値より低く、目的地候補として適さない場合を含む。
【0082】
上記ナビゲーション装置は、車両のエンジン作動を検知するエンジン作動検知部を備え、前記目的地候補算出部は、前記エンジン作動検知部にてエンジンの作動を検知したときに前記目的地候補およびその選択確率を求めてもよい。
【0083】
このようにエンジンの作動に応じて目的地の設定を行うことにより、車両走行の最初から適切な経路案内を行うことができる。
【0084】
上記ナビゲーション装置は、前記経路案内部にて探索された前記目的地までの経路から車両が逸脱したことを検知する経路逸脱検知部を備え、前記経路案内部は、前記経路逸脱検知部にて経路からの逸脱を検知したときに、車両の現在位置から前記目的地までの経路を再探索し、新たに探索された経路にて経路案内を行い、前記目的地候補算出部は、前記経路逸脱検知部にて、所定回数の逸脱を検知したときに、前記目的地候補およびその選択確率を求めてもよい。
【0085】
このように車両が経路から逸脱する回数が所定回数に達した場合には、設定された目的地とは異なる目的地にドライバが向かっていると判断されるので、新たに目的地の候補を表示して目的地を選択することにより、容易に目的地の再設定を行うことができる。
【0086】
上記ナビゲーション装置は、前記経路案内部にて探索された前記目的地までの経路から車両が逸脱したことを検知する経路逸脱検知部を備え、前記目的地候補算出部は、前記経路逸脱検知部にて経路からの逸脱を検知したときに、前記目的地候補およびその選択確率を求めてもよい。
【0087】
このように車両が経路から逸脱した場合には、設定された目的地とは異なる目的地にドライバが向かっていると判断されるので、新たに目的地の候補を表示して目的地を選択することにより、容易に目的地の再設定を行うことができる。
【0088】
上記ナビゲーション装置は、車両の現在位置と目的地との距離を求める距離算出部を備え、前記目的地候補算出部は、前記距離算出部にて算出される距離が時間の経過と共に大きくなる場合に、前記目的地候補およびその選択確率を求めてもよい。
【0089】
このように車両が目的地から遠ざかっている場合には、車両が設定された目的地と異なる目的地に向かっていると判断されるので、新たに目的地の候補を表示して目的地を選択することにより、容易に目的地の再設定を行うことができる。
【0090】
上記ナビゲーション装置は、目的地の変更を受け付ける目的地変更受付部を備え、前記目的地候補算出部は、前記目的地変更受付部にて目的地の変更を受け付けたときに前記目的地候補およびその選択確率を求めてもよい。
【0091】
このように目的地変更を受け付けたときに目的地の候補を求めて表示することにより、目的地を変更する際にも簡単なインターフェースで目的地を設定できる。ドライバが目的地変更を指示するだけで、目的地の候補が表示される。そして、表示された候補の中から目的地を選択すればよいので、2タッチで目的地を設定でき、非常に簡単である。これにより、たとえ走行中であっても、危険なく目的地の設定を行うことが可能となる。
【0092】
以上、本発明のナビゲーション装置について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0093】
上記した実施の形態においては、確率推論部12は、目的地設定履歴記憶部20から過去に目的地とされた場所を読み出して、それぞれの場所の選択確率を求めたが、過去に行った場所から目的地候補を選んでもよい。すなわち、車両が所定時間以上停車した場所を過去に訪れた場所として記憶しておき、その中から目的地候補を選んでもよい。これにより、過去に目的地として設定された場所以外からも、目的地候補を選ぶことができる。
【0094】
上記した第2の実施の形態においては、目的地候補表示部22によって複数の目的地候補を表示し、その中から目的地が選択された場合に、その選択確率に応じて案内モードを変える例を説明したが、複数の目的地候補の中から目的地を選択する構成を採用しなくても案内モードの制御を行うことは可能である。
【0095】
例えば、目的地候補算出部にて一の目的地候補を算出して、算出された目的地候補の選択確率が所定の閾値以上の場合に、一部の情報の提供を抑制した抑制案内モードにてその目的地候補への経路案内を行ってもよい。
【0096】
また、目的地候補算出部にて一の目的地候補を算出し、算出された目的地を表示し、ドライバがその目的地候補を受け入れるか否かの選択を受け付ける構成を採用し、ドライバが目的地候補を受け入れた場合に、抑制案内モードにて経路案内を行ってもよい。
【0097】
また、車両が同じ目的地に複数回連続して同じ経路を通って行った場合に、その目的地および経路を記憶する「ルート学習機能」を備えたナビゲーション装置においては、探索された経路が、ルート学習機能によって学習されたルートに一致する場合には、抑制案内モードにて経路案内を行ってもよい。なお、ルート学習機能は、通常は、同じ目的地に行くときに連続して複数回同じ経路を通ったときにルートを記憶するが、何回同じルートを通ったときに記憶するかは、ドライバが設定できる構成としてもよい。
【0098】
また、車両が過去に行った目的地とその経路とその日時を履歴として記憶しておき、履歴情報に基づいて抑制案内モードとするか通常案内モードとするかの判定を行ってもよい。例えば、ナビゲーション装置は、経路案内部にて探索された経路が、同じ目的地に同じ経路で、過去1ヶ月間に3回以上行っているか否かを判定し、行っていると判定された場合に抑制案内モードにて経路案内を行い、行っていない判定された場合に通常案内モードにて経路案内を行う。なお、本例で挙げた「過去1ヶ月」という期間や「3回」という回数は、例示であり、適宜設定することができる。
【0099】
上記した第3の実施の形態では、抑制案内モードによる経路案内中に交通障害の発生を検知した場合に、交通障害を回避する経路を探索し、抑制案内モードから通常案内モードに切り替えて、新たに探索された経路を経路案内する例について説明しているが、交通障害を検知する以外のタイミングで、抑制案内モードから通常案内モードへの切り替えてもよい。例えば、ある目的地への経路案内中に、ドライバがその目的地に向かっていないことを検知した場合、抑制案内モードから通常案内モードに切り替えて、新たな目的地への経路案内を行ってもよい。途中で目的地が変更された場合には、新たに設定された目的地がよく行く目的地であっても、その経路を知らないことがあるので、通常案内モードに切り替えることにより、ドライバを適切に案内することができる。
【0100】
上記した実施の形態では、目的地候補算出部10は、目的地推定モデル記憶部14に記憶されたベイジアンネットのモデルを用いて目的地を推定する例について説明したが、目的地を推定する方法は、候補となる目的地とその選択確率を求められる方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
【0101】
上記した実施の形態では、目的地候補算出部10にて求められた複数の目的地候補の中から目的地の選択を受け付け、目的地までの経路案内を行うが、この経路案内中に、目的地設定部26より目的地が設定された場合や、図示しない案内停止スイッチなどが押下された場合には、経路案内を停止してもよい。また、上記したナビゲーション装置において、目的地候補を表示する機能をオフするスイッチを設けてもよい。これにより、目的地候補を表示する必要のない場合には、従来の方法によって目的地候補の設定を行うことができる。
【0102】
上記した実施の形態では、ナビゲーション装置およびその動作について説明したが、本発明は、上記したナビゲーション装置による処理をコンピュータによって実行させるプログラムも含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明によれば、目的地の候補から目的地を選択するというきわめて簡単なインターフェースによって目的地を選択できるというすぐれた効果を有し、車両に搭載されるナビゲーション装置等として有用である。
【符号の説明】
【0104】
1,2,3,4 ナビゲーション装置
10 目的地候補算出部
12 確率推論部
14 目的地推定モデル記憶部
16 ドライバ属性記憶部
18 状況検知部
20 目的地設定履歴記憶部
22 目的地候補表示部
24 目的地選択部
26 目的地設定部
28 経路案内部
30 地図情報データベース
32 位置検出部
34 エンジン作動検知部
36 目的地変更受付部
38 案内モード記憶部
40 交通情報受信部
42 経路逸脱検知部
50 エンジン制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
確率計算によって複数の目的地候補とそれぞれの目的地候補がドライバに選択される選択確率を求める目的地候補算出部と、
前記目的地候補算出部にて求められた複数の目的地候補のうち、前記選択確率の高い方から順に2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を選択し、選択された複数の目的地候補を表示する目的地候補表示部と、
前記目的地候補表示部にて表示された目的地候補の中から、一の目的地の選択を受け付ける目的地選択部と、
一部の情報の提供を抑制して経路案内を行う抑制案内モードと、抑制しないで経路案内を行う通常案内モードとを有し、前記目的地候補表示部にて表示された目的地候補の中から選択された目的地への経路案内を行うときには、前記抑制案内モードにて前記目的地までの経路案内を行う経路案内部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路案内部は、前記目的地選択部にて選択された目的地の前記選択確率が所定の閾値以上の場合に前記抑制案内モードにて経路案内を行い、前記選択確率が所定の閾値より小さい場合に前記通常案内モードにて経路案内を行う請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
交通障害の情報を受信する交通障害情報受信部を備え、
前記経路案内部は、前記交通障害情報受信部にて受信した交通障害の情報に基づいて、案内中の経路上に交通障害の発生を検知したときに、前記交通障害を回避する経路を探索し、通常案内モードにて経路案内を行う請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
車両の現在位置の変化と目的地の位置とに基づいて、目的地の変更を検知する目的地変更検知部を備え、
前記経路案内部が、抑制案内モードによる経路案内中に、前記目的地変更検知部にて目的地の変更を検知したときに、通常案内モードに切り替えて新しい目的地までの経路案内を行う請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
確率計算によって目的地とその目的地がドライバによって受け入れられる確率を求める目的地算出部と、
前記目的地算出部にて求められた確率が所定の閾値以上の場合に、一部の情報の提供を抑制して目的地までの経路案内を行う経路案内部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項6】
確率計算によって目的地を求める目的地算出部と、
前記目的地算出部にて求められた目的地を表示する目的地表示部と、
前記目的地表示部にて表示された目的地を受け入れるか否かの選択を受け付ける選択受付部と、
前記選択受付部にて目的地を受け入れる選択を受け付けた場合に、一部の情報の提供を抑制して目的地までの経路案内を行う経路案内部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項7】
目的地の設定を受け付ける目的地設定部と、
過去に行った目的地およびその目的地に行くために通った経路を記憶する経路記憶部と、
前記目的地設定部にて設定された目的地までの経路として探索された経路が前記経路記憶部に記憶された経路と一致するか否かを判定し、探索された経路が前記経路記憶部に記憶された経路と一致すると判定された場合には一部の情報の提供を抑制して経路案内を行い、一致しないと判定された場合には情報の提供を抑制しないで経路案内を行う経路案内部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項8】
目的地の設定を受け付ける目的地設定部と、
過去に行った目的地およびその目的地に行くために通った経路およびその目的地に行った日時を履歴情報として記憶する履歴記憶部と、
前記経路案内部は、前記目的地設定部にて設定された目的地までの経路として探索された経路が所定期間内に所定回数通った経路であるか否かを前記履歴記憶部に記憶された履歴情報に基づいて判定し、探索された経路が所定期間内に所定回数通った経路であると判定された場合には一部の情報の提供を抑制して経路案内を行い、所定期間内に所定回数通った経路でないと判定された場合には情報の提供を抑制しないで経路案内を行う経路案内部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項9】
確率計算によって複数の目的地候補とそれぞれの目的地候補がドライバに選択される選択確率を求める目的地候補算出ステップと、
前記目的地候補算出ステップにて求められた複数の目的地候補のうち、前記選択確率の高い方から順に2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を選択し、選択された複数の目的地候補を表示する目的地候補表示ステップと、
前記目的地候補表示ステップにて表示された目的地候補の中から、一の目的地の選択を受け付ける目的地選択ステップと、
一部の情報の提供を抑制して経路案内を行う抑制案内モードと、抑制しないで経路案内を行う通常案内モードとを有し、前記目的地候補表示ステップにて表示された目的地候補の中から選択された目的地への経路案内を行うときには、前記抑制案内モードにて前記目的地までの経路案内を行う経路案内ステップと、
を備えるナビゲーション方法。
【請求項10】
目的地への経路案内を行うためのプログラムであって、コンピュータに、
確率計算によって複数の目的地候補とそれぞれの目的地候補がドライバに選択される選択確率を求める目的地候補算出ステップと、
前記目的地候補算出ステップにて求められた複数の目的地候補のうち、前記選択確率の高い方から順に2個以上所定の最大個数以下の目的地候補を選択し、選択された複数の目的地候補を表示する目的地候補表示ステップと、
前記目的地候補表示ステップにて表示された目的地候補の中から、一の目的地の選択を受け付ける目的地選択ステップと、
一部の情報の提供を抑制して経路案内を行う抑制案内モードと、抑制しないで経路案内を行う通常案内モードとを有し、前記目的地候補表示ステップにて表示された目的地候補の中から選択された目的地への経路案内を行うときには、前記抑制案内モードにて前記目的地までの経路案内を行う経路案内ステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−128164(P2011−128164A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22476(P2011−22476)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【分割の表示】特願2006−80735(P2006−80735)の分割
【原出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】