説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地までの経路探索時に、自動的に、より的確に地図データの更新の必要性の有無を判断するナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】目的地52までの経路探索に用いられた複数のエリア1、2、3の境界56、58に未接続リンク63を検出した場合に、更新の必要性が有ると判断して、地図データの更新を促すようにしたので、目的地52までの経路探索時に、自動的に、より的確に地図データの更新の必要性の有無を判断することができ、かつ必要性が有ると判断した場合には、地図データの更新を促すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図データの更新をエリア単位(地域単位)で行う機能を備えたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置では、地図データを利用して目的地(目的施設も含む)までの経路探索等を行う際、自身の地図データ記憶部に記録されている地図データが最新のものであることが好ましい。
【0003】
特許文献1には、道路の渋滞情報や通行規制状況などを表すための交通情報を、更新地図データ配信センタからダウンロードする処理の途中で、ユーザの自宅周辺エリアなどの更新対象エリアについて更新前後の地図バージョンを表示してユーザに通知し、ユーザに地図データの更新が必要であるか否かを判断させるナビゲーション装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、所定のエリア(地域)に対応する地図データのバージョンと、バージョンリストにおける当該エリアに対応する更新用の地図データのバージョンとが相違する場合、当該エリアに対応する更新用の地図データの更新の許否をユーザに問い合わせるナビゲーション装置が開示されている。なお、更新用の地図データは、所定範囲毎のエリア毎に分割されており、エリア毎の更新用の地図データのバージョン情報がリスト化されたものがバージョンリストといわれる。
【0005】
特許文献3には、目的地までの経路を探索した際に、探索した経路中に、更新エリアがある場合には、更新地図データが存在することをユーザに提示し、ユーザの選択により、更新エリアの地図データを取得するようにされたナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−145332号公報([0015]、[0056])
【特許文献2】特開2008−90057号公報(図4、[0017]、[0037])
【特許文献3】国際公開第2004/008073号パンフレット(図22(a)〜(f)、第37頁第2段落、第41頁(11)の段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1−3に開示された技術を利用することで、ユーザが必要と思うときに、地図データの更新を行うことができる。
【0008】
この発明は上記の技術に関連してなされたものであって、目的地までの経路探索時に、自動的に、より的確に地図データの更新の必要性の有無を判断し、必要性が有ると判断した場合には、ユーザに地図データの更新を促すことを可能とするナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るナビゲーション装置は、複数のエリアに分割された地図データを記憶する地図データ記憶部と、現在地を検出する現在地検出部と、目的地を設定するための目的地設定部と、前記地図データに基づいて、前記現在地から前記目的地までの経路探索を行う経路探索部と、前記経路探索の結果に応じて前記地図データの更新情報を取得する更新情報取得部と、前記更新情報取得部によって取得された前記更新情報を用いて、前記地図データ記憶部の地図データをエリア単位で更新する地図データ更新部と、を有するナビゲーション装置であって、前記更新情報取得部は、前記経路探索に用いられた複数のエリアの境界に未接続リンクを検出した場合に、前記地図データの更新情報を取得することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、目的地までの経路探索に用いられた複数のエリアの境界に未接続リンクを検出した場合に、地図データの更新情報を自動的にまたは手動で取得するようにしている。このように、目的地までの経路探索時に、未接続リンクの検出の有無により、地図データの更新の必要性の有無を判断するようにし、未接続リンクを検出した場合には、更新の必要性が有ると判断して、地図データの更新を促すようにしたので、目的地までの経路探索時に、地図データの更新の必要性の有無をより的確かつ自動的に判断することができ、必要性が有ると判断した場合には、地図データの更新を促すことができる。
【0011】
この場合、前記更新情報取得部は、前記経路探索に用いられた複数のエリアを特定し、前記複数のエリアの地図バージョン情報を読み出すことで隣接エリア間の地図バージョンに違いがあるかどうか判定し、地図バージョンに違いがある場合には、隣接エリア境界のノードを抽出し、前記隣接エリア境界のノードに接続されるリンクが相対的に古い地図バージョンを持つエリアに無いことを検出することで、相対的に古い地図データの更新の必要性が有ると判断でき、相対的に古い地図データの更新情報を取得するように促すことができる。
【0012】
前記地図データが、詳細道路を含む下位階層の地図データと、前記詳細道路を含まない上位階層の地図データとからなる階層構造を持つものであるとき、前記更新情報取得部が、前記上位階層の地図データにおいて、前記経路探索に用いられた複数のエリアの境界に未接続リンクを検出した場合に、前記地図データの更新情報を取得するように処理することで、未接続リンクを検出する処理負荷を低減することができる。詳細道路を含む下位階層の地図データまで含めて未接続リンクを検出すると処理負荷が膨大となり、仮に詳細道路を含む下位階層の地図データの未接続リンクを検出して地図更新したとしても、経路探索処理の大幅な時間短縮を望めないからである。
【0013】
なお、前記更新情報取得部は、前記経路探索に用いられたエリアの境界に未接続リンクを検出した場合に、ユーザに対して前記地図データの更新を促し、ユーザの許可に応じて前記地図データの更新情報を取得するようにすることで、ユーザの使い勝手が向上する。いわゆるユーザフレンドリーなナビゲーション装置を実現できる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、目的地までの経路探索時に、地図バージョンの新しいエリアと地図バージョンの古いエリア間のリンクの不整合、換言すれば、複数のエリアの境界に未接続リンクがあるか否かに基づき、ユーザに地図データの更新を促すようにしたので、自動的に、より的確に地図データの更新の必要性の有無が判断され、必要性が有ると判断された場合には、地図データの更新が促される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この実施形態に係るナビゲーション装置に収容された記憶部に記憶された地図データを更新する地図データ更新システムのシステム図である。
【図2】この実施形態に係るナビゲーション装置の詳細な構成を含む車両のブロック図である。
【図3】この実施形態に係るナビゲーション装置における地図データ更新催促処理の説明に供されるフローチャートである。
【図4】未接続リンク等の説明図である。
【図5】図5Aは、経路探索終了直後の画面表示の説明図である。図5Bは、地図更新を促す表示の説明図である。
【図6】未接続リンクがある場合の経路探索説明図である。
【図7】階層構造を持つ地図データ上での地図データ更新の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の一実施形態に係るナビゲーション装置について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、この実施形態に係るナビゲーション装置10に収容されたハードディスク等の記憶部に記憶された地図データを更新する地図データ更新システム14の構成例を示している。
【0018】
この地図データ更新システム14は、ナビゲーション装置10及び通信端末16を搭載した車両12と、移動通信網18と、地図データ(更新地図データ)が格納されたサーバ21を備える地図データ配信センタ(更新地図データ配信センタともいう。)20とから構成されている。
【0019】
車両12内のユーザの鞄あるいはポケット等に収納されている携帯電話等の通信端末16は、例えば、無線でナビゲーション装置10に接続されるとともに図示しない基地局を含む移動通信網18を通じて地図データ配信センタ20に無線接続される。この実施形態に係る通信端末16は、電話機能とともにデータ通信機能を備える。
【0020】
図2は、ナビゲーション装置10の詳細な構成を含む車両12のブロック図である。
【0021】
図2から分かるように、ナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置本体11と、このナビゲーション装置本体11に接続される入力装置34、ディスクドライブ(記録媒体読取装置)35、表示部(モニタ、ディスプレイ)32、スピーカ(音声出力装置)36、GPS装置38、振動ジャイロ39及び車速センサ40と、を備える。通信端末16は、ナビゲーション装置本体11にBluetooth(登録商標)により無線で接続されている。通信端末16とナビゲーション装置本体11とを、有線で接続することもできる。
【0022】
ここで、表示部32は、目的地への経路探索の結果等を地図上に表示する液晶表示器等から構成され、入力装置34は、例えば、その表示部32上のタッチスクリーン等により構成される。ディスクドライブ35は、例えば、施設情報を含む地図データが記録された記録媒体であるCD、DVD、BD等の各ディスクを再生することができる。
【0023】
ナビゲーション装置本体11は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリ(記憶部)であるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びHDD、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、及び計時手段としてのタイマ等を有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部(機能実現手段)、例えば制御部、演算部、処理部等として機能する。
【0024】
この実施形態において、ナビゲーション装置本体11は、道路データ及び施設情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶部22と、目的地設定部24と、車両12の現在地から目的地までの経路探索を行う経路探索部26と、経路探索の結果に応じて前記地図データの更新情報を取得する更新情報取得部28と、更新情報取得部28によって取得された前記更新情報を用いて、地図データ記憶部22の地図データをエリア単位で更新する地図データ更新部30と、を備える。
【0025】
このように、ナビゲーション装置10は、地図データ記憶部22に記録されている地図データに基づいて、目的地設定部24を参照し入力装置34を通じてユーザにより設定された目的地までの推奨経路を経路探索部26により探索し、その経路探索の結果である推奨経路に従って車両12を誘導することにより、目的地までユーザを案内する。
【0026】
地図データ更新システム14では、図1に示すように、地図データ配信センタ20においてサーバ21から読み出され当該地図データ配信センタ20から送信され、移動通信網18を経由し通信端末16を通じて受信される地図データ(施設情報を含む地図データ)によって、ナビゲーション装置10の地図データ記憶部22に記憶されている地図データを、エリア単位(地域単位)で部分的に更新することができるようになっている。
【0027】
さらに、図2に示すナビゲーション装置10は、現在地検出部等として機能する現在地検出装置(現在位置検出装置)42を備える。現在地検出装置42は、自車両12の現在地を検出する装置であり、例えば、自車両12の進行方位を検出する振動ジャイロ39、車速を検出する車速センサ40、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPS装置38等から構成される。
【0028】
ナビゲーション装置10は、この現在地検出装置42により検出された自車両12の現在地に基づいて、推奨経路を探索するときの経路探索開始点を決定することができる。
【0029】
地図データ配信センタ20のサーバ21及びナビゲーション装置10の地図データ記憶部22に記録されている地図データには、推奨経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路形状を表す道路データ、さらには海岸線や河川、鉄道、建物など、道路以外の地図形状を表す背景データなどが含まれている。
【0030】
なお、サーバ21及び地図データ記憶部22に記憶されている地図データは、更新単位エリアごとに別々にファイル化されており、そのファイル単位で書き換えることができる。そのため、エリア単位(地域単位)で部分的に地図データを更新することができる。
【0031】
地図データに含まれている道路データは、詳細道路を含む下位階層の地図データ(道路データ)と、前記詳細道路を含まない詳細道路の幅員よりも通常広い高速道路や国道を含む道路(この実施形態では、高規格道路という。)を含む上位階層の地図データ(道路データ)とからなる階層構造を持ち、経路探索部26による経路検索時、一般的に、現在地と目的地との間の距離が短い場合には、下位階層の地図データのみを使用して経路探索が行われ、現在地と目的地との間の距離が長い場合には、下位階層の地図データと上位階層の地図データの両方を用いて経路探索が行われる。
【0032】
前記道路データにおいては、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、各道路は所定の道路区間ごとに設定された複数のリンクによって構成されている。なお、リンクによって設定される道路区間の長さは異なっており、リンクの長さは一定ではない。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。また、リンク内にはノードとノードの間に形状補間点と呼ばれる点が設定されていることもある。形状補間点もノードと同じく、それぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードと形状補間点の位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。経路計算データには、上記の各リンクに対応して、自車両12の通過所要時間を表すためのリンクコストと呼ばれる値が設定されている。
【0033】
上述したように目的地設定部24を参照して入力装置34のユーザの操作によって目的地が設定されると、現在地検出装置42により検出された自車両12の現在地を経路探索開始点として、設定された目的地までの経路演算が経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより行われ、経路探索開始点と目的地との間の経路が探索され、目的地までの推奨経路が求められる。そして、ユーザにより所望の推奨経路が選択されると、推奨経路と推奨経路付近の地図が表示部32に表示され、選択された推奨経路に従ってナビゲーション装置10によりスピーカ36による音声ガイダンスと表示部32上の表示を利用して右左折の指示などが適宜行われる。
【0034】
基本的には以上のように構成されかつ動作するナビゲーション装置10について、次に、図3のフローチャートを参照して地図データの更新を催促する処理について説明する。
【0035】
ステップS1において、上述した目的地までの経路探索計算が終了したか否かが更新情報取得部28によって検出される。
【0036】
ステップS1での経路探索計算が終了したとき、ステップ2において、更新情報取得部28は、前記経路探索で使用された複数のエリアの地図データを地図データ記憶部22から抽出する。
【0037】
次いで、ステップS3において、抽出した隣接エリア間で、地図バージョンに違いがあるかどうかを判定し、地図バージョンの違いがある場合には、ステップS4において、新旧地図バージョン違いのエリア境界のノードを抽出する。
【0038】
エリア境界のノードを抽出後に、ステップS5において、抽出したエリア境界のノードに関し、旧バージョンのエリア側に、抽出したエリア境界のノードに対するリンクがないかどうかを判定し、リンクがなかった場合、換言すれば、新バージョンのエリア側に未接続リンクが存在する場合、ステップS6にて、ユーザに地図データの更新を促す。
【0039】
上述したステップS2〜S5の処理について、地図データ記憶部22に記憶されている図4の地図画面を例として説明する。
【0040】
図4において、自車アイコン78が表示された現在地50から、旗の立てられた目的地52まで道路の推奨経路54が決定されているものとする。ステップS2において、経路探索でエリア(地図エリア)1、エリア2及びエリア3を使用したことが分かる。
【0041】
車両12の現在地50がバージョン(ver)(地図バージョン)08のエリア1にあり、目的地52がバージョン07(バージョン07は、バージョン08に比べて旧バージョンである。)のエリア3にある。中間経路部分は、バージョン08のエリア2にある。
【0042】
エリア1とエリア2との間に境界56(エリア境界)があり、エリア2とエリア3との間に境界58(エリア境界)がある。境界58は、地図バージョンの違いがある境界である(ステップS3;YES)。
【0043】
そこで、この境界58上のノード、ここではノード60とノード62が抽出される(ステップS4)。
【0044】
ノード60は、新旧両バージョン08、07のエリア2、3の両方にリンクがあるが、ノード62は、新バージョン08のエリア2にはリンク63(未接続リンク)があるが、旧バージョン07のエリア3にはリンクがないことが判定される(ステップS5;YES)。
【0045】
この場合、推奨経路54の決定直後には、図5Aに示すように、表示部32の地図画面72の現在地50上に自車アイコン78が表示され、現在地50から強調表示された推奨経路54が表示される。
【0046】
図5Aの表示後、直ちに、ステップS6の地図更新の催促画面となり、図5Bに示すように、「ルートに沿った場所に新しい地図があります。地図更新ができます。」「地図更新しますか?」とメッセージ表示80がなされ、さらに、「はい」ボタン82と、「いいえ」ボタン84が表示される。
【0047】
ユーザにより「いいえ」ボタン84が押されると、メッセージ表示80が消去される。また、「はい」ボタン82が押されると、地図データ更新部30は、更新情報取得部28及び通信端末16を通じ、移動通信網18を経由し、地図データ配信センタ20にアクセスする。地図データ配信センタ20は、サーバ21からエリア03のバージョン07の次のバージョン08の地図データを読み出し、逆の経路(サーバ21→地図データ配信センタ20→移動通信網18→ナビゲーション装置10)で、ナビゲーション装置10に配信する。これによりナビゲーション装置10の地図データ記憶部22内のエリア3のバージョン07の地図データは、地図データ更新部30によりバージョン08の地図データに更新される。
【0048】
このとき、地図は、図6に示すように更新され、ノード62の両側にリンク63a及び63bが接続されて、図4の未接続リンク63がリンク63aになる。
【0049】
以上説明したように、上述した実施形態に係るナビゲーション装置10は、複数のエリアに分割された地図データを記憶する地図データ記憶部22と、現在地50を検出する現在地検出装置42と、目的地52を設定するための目的地設定部24と、前記地図データに基づいて、現在地50から目的地52までの経路探索を行う経路探索部26と、前記経路探索の結果に応じて前記地図データの更新情報を取得する更新情報取得部28と、更新情報取得部28によって取得された前記更新情報を用いて、地図データ記憶部22の地図データをエリア単位で更新する(図6例の場合、エリア3)地図データ更新部30と、を有する。
【0050】
更新情報取得部28は、前記経路探索に用いられた複数のエリアの境界に未接続リンク63(図4参照)を検出した場合に、前記地図データの更新情報を自動的にあるいは手動で取得する。
【0051】
このように、目的地52までの経路探索時に、未接続リンク63の検出の有無により、地図データの更新の必要性の有無を判断するようにし、未接続リンク63を検出した場合には、更新の必要性が有ると判断して、メッセージ表示80等により地図データの更新を促すようにしたので、目的地52までの経路探索時に、自動的に、より的確に地図データの更新の必要性の有無を判断することができ、かつ必要性が有ると判断した場合には、地図データの更新を促すことができる。
【0052】
この場合、更新情報取得部28は、前記経路探索に用いられた複数のエリアを特定し(図4例では、エリア1、2、3)、前記複数のエリア1、2、3の地図バージョン情報(エリア1はバージョン08、エリア2もバージョン08、エリア3はバージョン07)を読み出すことで境界56、58を共有する隣接エリア間(エリア1とエリア2、エリア2とエリア3)の地図バージョンに違いがあるかどうか判定し、地図バージョンに違いがある(隣接エリアであるエリア2とエリア3間にバージョン違いがあることを検出した)場合には、当該隣接エリア境界58のノード60、62を抽出し、前記隣接エリア境界58のノード60、62に接続されるリンク63等が相対的に古い地図バージョン(バージョン07)を持つエリア3に無いことを検出することで、地図データの更新の必要性が有ると判断でき、前記地図データの更新情報を取得するように促すことができる。
【0053】
なお、表示部32に表示される地図データが、図7に示すように、細い実線で示す詳細道路150を含む下位階層の地図データと、詳細道路150を含まない幅広の高規格道路152、154を含む上位階層の地図データとからなる階層構造を持つものであるとき、更新情報取得部28は、高規格道路152、154を含む上位階層の地図データにおいて、前記経路探索に用いられた複数のエリア170、172の境界158のノード162に未接続リンク163(行き止まり道路と同じ状態)を検出した場合に、前記地図データの更新情報を取得するように促すことで、未接続リンク163を検出する処理負荷を低減することができる。
【0054】
経路探索の際には、上述したように、下位階層の地図データは必ず使用されるので、未接続リンクの検出を、高規格道路152、154を含む上位階層の地図データに制限しないで、詳細道路150を含む下位階層の地図データまで含めて行うと処理負荷が膨大となり、仮に詳細道路150を含む下位階層の地図データの未接続リンクを検出して地図更新したとしても、経路探索の大幅な時間短縮を望めない点を考慮したためである。
【0055】
なお、図7例の地図では、エリア172の地図バージョンは、エリア170の地図バージョンに対して相対的に古いバージョンの地図である。
【0056】
この図7例や上記した図4例では、エリア境界での未接続リンクの検出をトリガとして、そのエリアの地図更新を促すようにしているが、地図更新を促す条件として、予め、サーバ21から地図データ配信センタ20、移動通信網18を通じて配信された地図データの更新概要情報で、付近にエリア更新の必要なエリアがあることを追加してもよい。
【0057】
更新情報取得部28は、前記経路探索に用いられたエリアの境界に未接続リンクを検出した場合に、ユーザに対して前記地図データの更新を促し、ユーザの許可に応じて前記地図データの更新情報を取得するようにしているので、ユーザの使い勝手が向上する。いわゆるユーザフレンドリーなナビゲーション装置10を実現できる。
【0058】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、例えば、境界58で抽出したノード60、62(図4、図6)及び境界158で抽出したノード160、162、164(図7)を保存記録しておくことで、次回処理時のノード抽出時間を短縮することができる等、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0059】
10…ナビゲーション装置 11…ナビゲーション装置本体
12…車両 14…地図データ更新システム
16…通信端末 18…移動通信網
20…地図データ配信センタ 21…サーバ
22…地図データ記憶部 24…目的地設定部
26…経路探索部 28…更新情報取得部
30…地図データ更新部 32…表示部
34…入力装置 42…現在地検出装置
54…推奨経路 58、158…境界
60、62、160、162、164…ノード
63、163…未接続リンク 63a、63b…リンク
150…詳細道路 152、154…高規格道路
170、172…エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアに分割された地図データを記憶する地図データ記憶部と、
現在地を検出する現在地検出部と、
目的地を設定するための目的地設定部と、
前記地図データに基づいて、前記現在地から前記目的地までの経路探索を行う経路探索部と、
前記経路探索の結果に応じて前記地図データの更新情報を取得する更新情報取得部と、
前記更新情報取得部によって取得された前記更新情報を用いて、前記地図データ記憶部の地図データをエリア単位で更新する地図データ更新部と、
を有するナビゲーション装置であって、
前記更新情報取得部は、
前記経路探索に用いられた複数のエリアの境界に未接続リンクを検出した場合に、前記地図データの更新情報を取得する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置において、
前記更新情報取得部は、
前記経路探索に用いられた複数のエリアを特定し、前記複数のエリアの地図バージョン情報を読み出すことで隣接エリア間の地図バージョンに違いがあるかどうか判定し、地図バージョンに違いがある場合には、隣接エリア境界のノードを抽出し、前記隣接エリア境界のノードに接続されるリンクが相対的に古い地図バージョンを持つエリアに無いことを検出すると、前記地図データの更新情報を取得する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、
前記地図データは、
詳細道路を含む下位階層の地図データと、詳細道路を含まない上位階層の地図データとからなる階層構造を持ち、
前記更新情報取得部は、
前記上位階層の地図データにおいて、前記経路探索に用いられた複数のエリアの境界に未接続リンクを検出した場合に、前記地図データの更新情報を取得する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記更新情報取得部は、
前記経路探索に用いられたエリアの境界に未接続リンクを検出した場合に、ユーザに対して前記地図データの更新を促し、ユーザの許可に応じて前記地図データの更新情報を取得する
ことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−149786(P2011−149786A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10627(P2010−10627)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】