説明

ナビゲーション装置

【課題】バッテリを電源とした走行用モータを備えた車両に搭載されるものにあって、駐車場の検索を行う際に、バッテリの充電に関する適切な情報をユーザに提供する。
【解決手段】ナビECU7は、ユーザにより駐車場の検索が指示された際に、地図データベース9から現在地周辺の駐車場を検索する。このとき、バッテリ監視装置3から得られるバッテリ1の現在の残存容量、車載通信機5により情報サービスセンタ4から取得された充電関連情報、入力された予定駐車時間や目標充電量から、検索された各駐車場に関する、充電コストを求めて表示装置12の画面にリストとして表示する。充電コストは、予定駐車時間における、太陽電池2による充電量、外部充電設備を利用した場合の充電量及び支払うべき料金、予想充電率、駐車料金を含んだ全体の料金等を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用モータと、この走行用モータの電源となるバッテリと、太陽電池と、前記バッテリに対する前記太陽電池による充電及び外部充電設備からの充電を制御する充電制御装置とを備えた車両に搭載されるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車に搭載されるカーナビゲーション装置は、自車両の現在位置を検出しディスプレイに地図と重ね合わせて表示するロケーション機能や、ユーザ(運転者)が指定した目的地までの推奨する経路を探索し、案内するルートガイダンス機能、更には、ユーザが指定した施設ジャンル等のキーワードに基づいて、現在地又は目的地の周辺に存在する指定施設をデータベースから検索する周辺施設検索機能等を実現する。
【0003】
ところで、近年では、環境・エネルギー問題の対策として、バッテリ(二次電池)を電源として駆動する走行用モータを備えた電気自動車や、プラグインタイプのハイブリッド車の普及が進んできている。これらは、例えば家庭用電源を用いて自宅でバッテリの充電を行うことが可能であることは勿論、外部充電設備を備えた充電ステーションや駐車場といったインフラが整備されることにより、自宅外でもバッテリの充電を有料で行うことが可能となる。更に、この種の電気自動車やハイブリッド車においては、太陽光エネルギーを電力に変換する太陽電池を搭載して、太陽電池が発電した電力をバッテリに蓄電することも考えられている(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
このとき、特許文献1には、充電設備設置エリアや太陽光充電エリア等を有する駐車場に関して、どの位置に駐車すれば良いかを教えるナビゲーション装置が開示されている。また特許文献2には、ナビゲーション装置の周辺施設検索機能によって、外部充電設備を備えた駐車場を案内(検索)する技術が開示されている。尚、特許文献3,4には、電気自動車やハイブリッド車ではないものの、太陽電池を搭載し、その発電電力をバッテリに蓄電するようにした自動車において、ナビゲーション装置によって、日照状態(太陽電池による発電効率)の良い経路を案内することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−42095号公報
【特許文献2】特開2009−30993号公報
【特許文献3】特開2007−199034号公報
【特許文献4】特開2000−353295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したような走行用モータの電源となるバッテリと、太陽電池とを有する車両(自動車)においては、ユーザ(運転者)は、車両を駐車場に駐車している間に、次回の走行に備えてバッテリを充電しておきたい場合がある。この充電にあたっては、自車の搭載している太陽電池の発電を利用すれば、電気代はかからないので、安価に済ませることができるが、充電に要する時間が長くかかる事情がある。一方、有料の外部充電設備を利用すれば、利用料金を支払う必要はあるものの、充電に要する時間が短時間で済むメリットがある。尚、駐車場毎で、備えている外部充電設備の能力(急速充電が可能か否か)が相違していたり、価格も相違したりすることが予想される。
【0007】
従って、ユーザにとっては、車両を駐車すべき駐車場を選ぶにあたって、各駐車場において、太陽電池を用いた場合、外部充電設備を用いた場合の各々において、駐車している時間内に、バッテリの目標充電量に対し、どの程度の充電が可能なのか、外部充電設備を用いた場合、費用はいくらかかるかといった情報を教えてもらうことが望まれる。それら情報を知ることによって、太陽電池の利用による充電で十分であるか、お金を払っても外部充電設備を利用した方が良いかの判断を行うことができる。
【0008】
しかし、上記した特許文献1では、進入した駐車場内における適切な駐車位置を教えるものに過ぎず、駐車場を選択する考え方は存在しなかった。また、上記特許文献2では、自車位置の近傍に位置するいくつかの駐車場が検索されて表示されるものの、ユーザが駐車場を選択するに際し参考とすることができるような、充電コスト(価格)面での情報は与えられなかった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、バッテリを電源とした走行用モータを備えた車両に搭載されるものであって、駐車場の検索を行う際に、バッテリの充電に関する適切な情報をユーザに提供することができるナビゲーション装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のナビゲーション装置は、バッテリを電源とした走行用モータを備えた車両に搭載されるものであって、自車の現在地又は目的地の近傍に位置する駐車場を検索する駐車場検索手段と、検索された各駐車場に関する当該駐車場の有する外部充電設備の能力及び利用料金のデータ並びに予定駐車時における当該駐車場の日照状況データを含む充電関連情報を取得する情報取得手段と、バッテリの残量及び前記充電関連情報並びに予定駐車時間に基づいて前記各駐車場毎の充電コストを算出する算出手段と、この算出手段により求められた前記各駐車場毎の充電コストを表示する表示手段とを備えている(請求項1の発明)。
【0011】
上記構成によれば、情報取得手段により取得された充電関連情報には、各駐車場の有する外部充電設備の能力及び利用料金のデータが含まれるので、その充電関連情報と、バッテリの残量及び予定駐車時間とから、算出手段によって、外部充電設備を用いて駐車時間内にバッテリに対してどの程度の充電が可能なのか、その際の費用はいくらかかるかといった充電コストを算出することができる。また、充電関連情報のうち日照状況データを用いて、自車が搭載している太陽電池によるバッテリに対する充電をどの程度行うことができるかが判る。この太陽電池を用いた充電にはコストはかからない。
【0012】
従って、各駐車場毎の充電コスト、つまり、各駐車場における太陽電池を用いた場合、外部充電設備を用いた場合の各々において、駐車している時間内に、バッテリの目標充電量に対しどの程度の充電が可能なのか、外部充電設備を用いた場合の費用はいくらかかるかといった、バッテリの充電に関する適切な情報が、表示手段により表示される。これにより、ユーザは、それら情報を知ることによって、利用すべき充電方法や最適な駐車場を選ぶことができる。
【0013】
また、本発明においては、表示手段により、各駐車場に予定駐車時間だけ駐車した場合の駐車料金を含むコストを表示するように構成しても良い(請求項2の発明)。これによれば、ユーザは、検索された駐車場が有料駐車場の場合に、充電コストにその駐車料金を含めたコストを考慮した上で、どの駐車場に駐車すべきかを判断することができるようになる。
【0014】
更に、本発明においては、駐車場への駐車中におけるバッテリの目標充電量をユーザが指定するための入力手段を設けると共に、前記算出手段を、その目標充電量を加味して各駐車場毎の充電コストを算出するように構成することもできる(請求項3の発明)。これによれば、ユーザが、入力手段により必要とする目標充電量を入力することによって、入力された目標充電量に応じた充電コストを算出することができるので、目標充電量を、必ずしも100%としなくて良い場合に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、ナビゲーション装置及び関連部分の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】駐車場検索の処理手順を示すフローチャート
【図3】充電コストの表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を電気自動車に適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。まず、図示や詳しい説明は省略するが、車両としての電気自動車(乗用車)は、周知のように、車輪を回転駆動する走行用モータを備えると共に、その走行用モータの電源となるバッテリ1(図1参照)を備えている。このバッテリ1としては、例えばリチウムイオン二次電池が採用される。尚、本発明における「バッテリ」とは、繰り返しの充放電が可能なキャパシタも含む概念である。
【0017】
そして、図1に示すように、この車両は、太陽電池(ソーラーパネル)2を備えている。周知のように、この太陽電池2は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するもので、光(日光)の照射量が多いほど発電量も大きくなる。また、車両には、前記バッテリ1の出力電圧や出力電流などを監視するバッテリ監視装置3が設けられている。このバッテリ監視装置3は、バッテリ1の残存容量(SOC:単位%)を常時検出し、例えばメータ部の所定欄に表示するように構成されている。
【0018】
このとき、図示はしないが、車両の側壁等には、充電用電源のプラグが着脱自在に接続される充電コネクタが設けられており、例えば家庭用電源を用いて自宅でバッテリ1の充電を行うことは勿論、充電ステーションや駐車場に設けられた有料の外部充電設備により、バッテリ1の充電を行うことも可能とされる。さらに、前記太陽電池2が発電した電力によりバッテリ1に充電することも可能とされている。車両には、それらバッテリ1の充電を制御するための充電制御装置が設けられている。尚、図1に示すように、車両には、外部の情報サービスセンタ4との間での無線通信を行う車載通信機5が設けられている。
【0019】
上記した車両には、本実施例に係るナビゲーション装置6が搭載される。図1は、このナビゲーション装置6の電気的構成を概略的に示しており、以下、このナビゲーション装置6について詳述する。即ち、このナビゲーション装置6は、コンピュータを主体として構成され全体を制御するためのナビECU(制御装置)7を備えている。
【0020】
このナビECU7には、自車の現在地を検出する位置検出手段たる自車位置検出器8、地図データベース9、入力手段として機能する操作入力機器10、各種データを記憶するための外部メモリ11、表示手段として機能する表示装置12、音声出力装置13が接続されている。このナビECU7には、前記車載通信機5が接続されている。ナビECU7には、前記バッテリ監視装置3からの信号(残存容量)が入力される。
【0021】
前記自車位置検出器8は、周知構成の、地磁気センサ14、ジャイロスコープ15、距離センサ16、GPS衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機17を有している。前記ナビECU7は、位置検出器8の各センサ14〜17からの入力に基づいて、自車両の現在位置、進行方向、速度や走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。尚、精度によっては、上記したセンサ14〜17のうちの一部を省略して構成しても良く、上記以外に、ステアリングの回転センサや、各転動輪の車輪センサ等を採用することも可能である。
【0022】
前記地図データベース9は、道路地図データやそれに付随する施設データ(目的地データ)などの各種データを記憶した地図データ記録メディア及びそのデータを読出すためのドライブ装置からなる。その地図データ記録メディアとしては、例えばDVDやハードディスク等の大容量記憶媒体が用いられる。前記道路地図データは、道路形状、道路幅、道路名、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むと共に、その道路地図を表示装置12の画面上に再生するためのデータを含んでいる。
【0023】
また、前記施設データは、駅や空港等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、駐車場、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなる。この施設データにはそれらの電話番号や住所、緯度及び経度等のデータが含まれると共に、施設を示すランドマーク等を、表示装置12の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。この場合、周辺施設検索機能を実現するために、前記施設データは、各施設が、レジャー施設、駐車場、コンビニエンス・ストア、ガソリンスタンド、レストラン、銀行(ATMコーナー)等の複数の種類(ジャンル)毎に分類され、その種類や、名称、取扱商品、特色、住所(エリア)、電話番号等から検索できるように構成されている。
【0024】
前記表示装置12は、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなり、車室内の例えばインストルメントパネルの中央部に設けられている。この表示装置12の画面には、地図表示画面などのナビゲーション画面や、施設検索用の画面、初期設定画面、TV放送の映像、DVD再生映像等が表示されるようになっている。尚、後述するように、駐車場検索を行った場合には、表示装置12の画面に、各駐車場のリスト(図3参照)が表示されるのであるが、その際に、各駐車場毎の充電コストが表示される。
【0025】
図示はしないが、前記ナビゲーション画面においては、周知のように、表示装置12の画面に、各種縮尺の道路地図が表示されると共に、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置及び進行方向を示すポインタが表示されるようになっている。また、目的地までの案内を行なう経路案内(ルートガイダンス)機能の実行時には、道路地図に重ね合わせて進むべき経路等が表示される。さらには、ユーザが目的地などを入力するための各種の入力用画面や、各種のメッセージ等も表示されるようになっている。
【0026】
前記操作入力機器10は、詳しく図示はしないが、表示装置12の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチ、及び、表示装置12の画面上に設けられるタッチパネルを含んでいる。ユーザ(ドライバ)は、それら操作入力機器10を用いて、目的地の指定(選択)や道路地図の縮尺の選択等の各種のコマンドを入力することができるようになっている。後述するように、この操作入力機器10が目標充電量や予定駐車時間を設定(入力)する入力手段として機能する。前記音声出力装置13は、ナビゲーションにおいて必要な各種メッセージを、合成音声によりスピーカから出力するように構成されている。
【0027】
前記車載通信機5は、例えばDCMと称される車載型の高速通信モジュールからなり、外部の情報サービスセンタ4との間での無線通信により、例えば更新用の地図データや、現在の道路交通情報(渋滞回避情報)、音楽データ等の娯楽情報等を受信すると共に、事故発生時の緊急通報などを行うようになっている。このとき、後述するように、本実施例では、情報サービスセンタ4から、各駐車場における充電関連情報を取得することができるようになっている。
【0028】
そして、前記ナビECU7は、そのソフトウエア的構成により、車両の現在地(自車位置)を知るロケーション機能を実現すると共に、指定された目的地までの経路を探索し、案内する経路案内機能を実現する。また、例えば自車の現在位置周辺(或いは目的地周辺)における指定された施設を探索しユーザに知らせる周辺施設検索機能を実現するようになっている。
【0029】
そのうちロケーション機能は、上述のように、地図データベース9からの地図データに基づいて表示装置12に道路地図を表示させると共に、自車位置検出器8の検出に基づいて車両の現在地及び進行方向を示す現在地マークを表示させるものである。この場合、車両の走行に伴って現在地の表示は地図上を移動すると共に、地図は車両の位置に応じてスクロール表示されるようになる。このとき、車両の現在地を道路上にのせるマップマッチングが行なわれる。
【0030】
また、前記経路案内機能は、車両の出発地(現在地)からユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路(ルート)を、例えば周知のダイクストラ法を用いて自動的に計算し、求められた目的地までのルートを案内するものである。このルート案内においては、表示装置12の画面に、道路地図に重ね合せて、車両の現在地(現在地マーク)と共に走行すべきルートが目立つ色で表示され、またこれと併せて、例えば交差点近くに来た時に、音声出力装置13により、「200m先の交差点を左です」といった合成音声による案内が行なわれるようになっている。
【0031】
前記周辺施設検索機能は、ユーザの操作入力機器10の操作により、周辺施設検索の実行が指示されると、表示装置12に例えばキーワード入力用の画面(或いはジャンル指定用の画面)を表示させてユーザに検索すべき施設のキーワード(ジャンル)を指定させ、その指定に基づいて、地図データベース4の施設データから該当する施設を検索(抽出)するものである。検索された施設(一般に複数個が抽出される)は、例えば距離が近い順のリストとして表示装置12に表示されたり、地図上にランドマークを用いて表示装置12に表示されたりするようになっている。検索された施設を目的地として経路案内を実行させることもできる。
【0032】
さて、本実施例では、前記ナビECU7は、周辺施設検索機能により、ユーザにより施設検索として現在地周辺の駐車場の検索が指示された際に、地図データベース9から現在地周辺(例えば半径1km以内)の駐車場を検索する。あるいは、経路案内が行われて目的地(駐車場以外の目的地)に到着した際に、操作がなくとも自動で目的地(現在地)の周辺(例えば半径1km以内)の駐車場を検索する。従って、ナビECU7が、駐車場検索手段として機能する。
【0033】
そして、次の作用説明(フローチャート説明)でも述べるように、前記ナビECU7は、そのソフトウエア構成(充電コスト算出プログラムの実行)により、上記の駐車場検索を行った際には、検索された各駐車場に関する、充電コストを求めて表示装置12の画面にリストとして表示するようになっている。図3に例示するように、このリストにおいては、検索された各駐車場毎の、予定駐車時間における、太陽電池2による充電量、外部充電設備を利用した場合の充電量及び支払うべき料金、予想充電率、駐車料金を含んだ全体の料金等が表示される。
【0034】
このとき、充電コストを求めるにあたっては、ユーザは、操作入力機器10を用いて、予定駐車時間(何時間駐車する予定か)及び、目標とするバッテリ1の充電量(残存容量が何%になるまで充電したいか)の入力が行われる。また、ナビECU7は、車載通信機5による通信により、情報サービスセンタ4から、検索された各駐車場における充電関連情報を取得する。
【0035】
この充電関連情報には、各駐車場において、外部充電設備を備えているかどうか、その外部充電設備の能力(急速充電可能か通常の能力か)、外部充電設備の利用料金(単位充電量又は単位時間当りの料金)はいくらか、駐車料金はいくらかといったデータが含まれている。そして、これに加え、屋外の駐車場(日光が当たる)かどうか、駐車予定の時刻における天候(日照状況)のデータ、つまり太陽電池2による発電がどの程度行われるかを予測するための日照状況データが含まれている。このとき、情報サービスセンタ4においては、各駐車場の設備や料金などのデータがデータベースに収集されるようになっており、また、各地の最新の天気予報(日照状況)等のデータも得られる。
【0036】
これにより、ナビECU7は、バッテリ監視装置3から得られるバッテリ1の現在の残存容量、取得された充電関連情報、入力された予定駐車時間から、各駐車場毎の充電コストを算出し、充電コストのリストを表示装置12に表示する。従って、ナビECU7が算出手段として機能し、また、ナビECU7及び車載通信機5等から情報取得手段が構成される。尚、ユーザは、操作入力機器10(タッチパネル)の操作により、表示装置12に表示されているリストから、行きたい駐車場を目的地として選択指定することができることは勿論である。
【0037】
次に、上記構成の作用について、図2及び図3も参照して述べる。図2のフローチャートは、駐車場の施設検索を行う際に、ナビECU7が実行する充電コストの算出に関する処理手順を示している。また、図3は、求められた充電コストのリストの具体例を示している。上述のように、ユーザが周辺施設検索機能を用いて現在地周辺の駐車場の検索を指示した際に、あるいは、経路案内が行われて車両が目的地に到着した際に、図2に示す処理が開始される。
【0038】
即ち、ステップS1では、ユーザによる、予定駐車時間、及び、目標充電量(Goal_kwh)の入力が行われる。尚、ここでは、現在のバッテリ1の残存容量(Remain_kwh)が例えば40%(12kwh )であり、予定駐車時間を8時間、目標充電量を100%とした場合を例示する。ユーザが充電のためにあまりお金を使いたくないような場合には、目標充電量を小さく設定(例えば50%)することも可能である。ステップS2では、車両の現在位置の検出が行われる。
【0039】
次のステップS3では、現在地の周辺(例えば半径1km以内)に存在する駐車場の検索が行われる。これと共に、車載通信機5による通信により、検索された各駐車場の充電関連情報が、情報サービスセンタ4から取得される。この場合、一般に、現在地周辺の駐車場として複数の駐車場が検索されるが、ここでは、図3に示すように、駐車場A〜駐車場Eの5つの駐車場が検索されたものとする。
【0040】
ステップS4〜ステップS7の処理は、検索された各駐車場毎に行われる演算処理であり、まずステップS4では、車両が現在地から該当する駐車場に到着するまでに使用(損失)すると予測されるバッテリ1の電力量(Lost_kwh)が算出される。ステップS5では、必要充電電力量(Need_kwh)が算出される。この必要充電電力量は、次の式で求めることができる。
必要充電電力量:Need_kwh=Goal_kwh−Remain_kwh−Lost_kwh
【0041】
次のステップS6では、該当する駐車場に予定駐車時間だけ駐車した場合において、太陽電池2により、バッテリ1に充電可能な太陽光発電量(Solar_kwh )が算出される。この太陽光発電量の算出には、当該駐車場への予想到着時刻、予定駐車時間、充電関連情報に含まれる日照状況データ(天気予報データ)が用いられる。日照条件が良い(快晴)場合に太陽電池2の発電量は多くなる。これに対し、雨天や曇天の場合、夜間等では、太陽電池2の発電量は極めて少なくなる。また、駐車場が、地下や屋根のある建物内にある場合も、蛍光灯等の照明による僅かな電力量(或いはゼロ)の発電に止まることは勿論である(図3に示す駐車場A参照)。
【0042】
ステップS7では、当該駐車場への予想到着時刻、予定駐車時間、当該駐車場の外部充電設備の能力から、外部充電設備を用いた充電量(インフラ充電量(Plag_kwh)という)が算出される。この場合、
インフラ充電量:Plag_kwh=Need_kwh−Solar_kwh
となる。つまり、太陽光発電量による不足分を、外部充電設備を用いて充電することになる。そして、このインフラ充電量から、充電コスト(外部充電設備の利用料金)が求められる。
【0043】
尚、外部充電設備の能力によっては、予定駐車時間いっぱいを使っても、目標充電量に達しない場合も考えられる。その場合には、目標充電量に最も近くなる(最大の充電量となる)ようにインフラ充電量ひいては充電コストが求められる。外部充電設備を備えていない駐車場の場合、外部充電設備を用いた充電量(利用料金)がゼロになることは勿論である(図3に示す駐車場E参照)。
【0044】
上記ステップS4〜ステップS7の処理が、全ての駐車場(この場合駐車場A〜駐車場E)に関して終了すると(ステップS8にてYes)、ステップS9に進み、表示装置12に、図3に示すような、充電コストのリストが表示される。このリストには、駐車場名称、現在地からの距離、太陽光発電量、インフラ充電量、充電費用、駐車中に回復できると予想される予想充電量(バッテリ1の残存容量)が表形式で表示される。さらに、単位時間当りの駐車料金、並びに、外部充電設備の利用料金及び駐車料金の合計金額も表示される。
【0045】
ユーザは、このリストを見て、充電コストを参考にしながら利用すべき駐車場を選択決定することができる。例えば、ユーザが、どうしても充電量(バッテリ1の残存容量)を100%にしたいと考えたならば、駐車場A又は駐車場Bを選択すれば良く、また、充電量は二の次で、費用がかかるのを避けたい場合には、別の駐車場C,D,Eを選択することができる。ステップS10にて、ユーザによる目的地設定(いずれかの駐車場の選択)が行われて、この処理が終了する。この後は、設定された目的地に向けての経路案内が実行される。
【0046】
このような本実施例によれば、駐車場を検索した際に、各駐車場毎の充電コスト、つまり、各駐車場における、太陽電池2を用いた場合、外部充電設備を用いた場合の各々において、駐車している時間内に、バッテリ1の目標充電量に対しどの程度の充電が可能なのか、外部充電設備を用いた場合の費用はいくらかかるかといった、バッテリ1の充電に関する適切な情報をユーザに提供することができる。これにより、ユーザは、それら情報を知ることによって、太陽電池2の利用による充電で十分であるか、お金を払っても外部充電設備を利用した方が良いか等の判断を行うことができ、利用すべき充電方法や最適な駐車場を選ぶことができる。
【0047】
また、特に本実施例では、駐車場の駐車料金を含むコストを表示するように構成したので、ユーザは、有料駐車場の場合における充電コストにその駐車料金を含めたコストを考慮した上で、どの駐車場に駐車すべきかを判断することができるようになり、より利便性を高めることができる。さらに、特に本実施例では、バッテリ1の目標充電量をユーザが指定することができる構成としたので、ユーザが目標充電量を必ずしも100%としなくて良いと考える場合等において、より安価に済ませることができる駐車場を選択することができる。
【0048】
尚、上記実施例では、情報取得手段として、各駐車場に関する充電関連情報を、外部の情報サービスセンタ4から通信により取得するように構成したが、自らの地図データベース9に充電関連情報を記憶しておき、それを読出すようにしても良い。この場合、ラジオ放送やテレビ放送等を利用して気象情報(日照状況データ)を取得することも可能である。或いは、車両に設けられた日射センサや湿度センサの検出信号を用いて、天候を予測するように構成しても良い。
【0049】
また、上記実施例では、地図データベース9を用いて駐車場検索を行うようにしたが、情報サービスセンタ4において施設検索や経路検索の処理を行い、そのデータを車両側で取得するように構成しても良い。更には、上記実施例では、充電コストをリストの形態で表示装置12に表示するように構成したが、駐車場の位置を示した地図画面に、充電コストを併せて表示するようにしても良い等、各駐車場の充電コストを表示する際の表示形態としても様々な変形が可能である。その他、本発明は電気自動車に限らず、走行用モータとエンジンとを併用するハイブリッド車(いわゆるプラグインハイブリッド車)にも適用することができる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0050】
図面中、1はバッテリ、2は太陽電池、3はバッテリ監視装置、4は情報サービスセンタ、5は車載通信機(情報取得手段)、6はナビゲーション装置、7はナビECU(経路案内手段、駐車場検索手段、算出手段)、8は自車位置検出器(位置検出手段)、10は操作入力機器(入力手段)、12は表示装置(表示手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用モータと、この走行用モータの電源となるバッテリと、太陽電池と、前記バッテリに対する前記太陽電池による充電及び外部充電設備からの充電を制御する充電制御装置とを備えた車両に搭載され、
自車の現在地を検出する位置検出手段と、設定された目的地までの推奨する経路を案内する経路案内手段とを備えてなるナビゲーション装置であって、
前記現在地又は目的地の近傍に位置する駐車場を検索する駐車場検索手段と、
検索された各駐車場に関する、当該駐車場の有する外部充電設備の能力及び利用料金のデータ、並びに、予定駐車時における当該駐車場の日照状況データを含む充電関連情報を取得する情報取得手段と、
前記バッテリの残量及び前記充電関連情報並びに予定駐車時間に基づいて、前記各駐車場毎の充電コストを算出する算出手段と、
この算出手段により求められた前記各駐車場毎の充電コストを表示する表示手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記各駐車場に予定駐車時間だけ駐車した場合の駐車料金を含むコストを表示することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記駐車場への駐車中における前記バッテリの目標充電量をユーザが指定するための入力手段を備えると共に、
前記算出手段は、前記目標充電量を加味して前記各駐車場毎の充電コストを算出することを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−158375(P2011−158375A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21133(P2010−21133)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】