説明

ナビゲーション装置

【課題】歩行者と自動車との接触事故を未然に防ぐための注意を喚起するナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】交差地点特定部は、車両用ネットワークを構成する道路リンクおよび道路ノードと、歩道に対応する歩行者用ネットワークを構成する歩道リンクおよび歩道ノードとを重畳させる(ステップS41)。次に、歩道リンクと、道路リンクとが交差すると思われる候補地点において、両リンクの高さが一致する場合には、交差地点特定部は、歩道ネットワークと道路ネットワークとが交差していると判定して、その候補地点を交差地点として確定させる(ステップS45)。交差地点では、携帯端末の注意喚起部が、車両との接触事故を回避するための注意喚起のメッセージを報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者や車両の運転手等に車両や歩行者等が近くにいることを報知するナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning
System )などの測位機器で現在位置を測位しつつ、所望の目的地まで歩行者用ネットワークデータ上を誘導・案内する歩行者用ナビゲーション装置が知られている。特に、GPS機能付きの携帯電話を利用した歩行者用ナビゲーション装置は、携帯電話のデータ通信機能を利用して、GPS機能により測位した現在位置周辺の歩行者用ネットワークデータを所定の地図サーバから都度入手している。そのため、大容量である歩行者用ネットワークデータを記憶する記憶機器が不要であり、かつ、常に最新の地図データに基づいたナビゲーション機能を提供することが可能となっている。また、歩行者を公共交通機関に誘導・案内するためのバス路線、路面電車路線や電車路線など多数の交通機関ネットワークデータも整備されている。
【0003】
さらに、交通機関ネットワークデータの一種として車道や駐車場をデータ化した道路ネットワークデータを利用する車載ナビゲーション装置は、広く普及している。これら車載ナビゲーション装置の中には、電車路線との交差地点となる踏み切り位置を記憶しておき、車両位置が踏み切り近傍となったときに注意喚起のために音声案内を実行する装置も開発されている。
【0004】
ところで、自動車を含む交通機関の事故の中でも、無防備である歩行者を当事者とする事故は重大事故となる可能性が高い。しかも歩行者は、自動車のような高輝度のライトや大音量のクラクションなどを常備することはなく、自己の存在を他者に知らせる手段がない。また、歩道はほぼ総ての交通機関と交差しており、その交差地点では歩行者と交通機関とによる事故が絶えない。
【0005】
こうした問題を解決するために、例えば特許文献1では、道路を横断中または横断しようとする歩行者や自転車に対して車両が接近する道路交通場面において、歩行者や自転車等の移動体と車両の挙動を予測することで、両者の衝突の可能性を判断する技術が提案されている。また、特許文献2では、現実に危険事態が発生した危険発生地点についての危険種別および道路環境を用いて、同じ危険種別をまとめて道路環境の頻度分布統計を取ることで、危険種別毎に道路環境の代表的特徴を特定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−260192号公報
【特許文献2】特開2009−104531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、歩行者や自転車等の移動体と車両の挙動を予測することで、両者の衝突の可能性を判断する場合、歩行者や車両を認識するための通信端末や路上設備が必要となる。つまり、これら通信端末や路上設備が整備されていない場合に注意喚起ができないという問題がある。また、現実に危険事態が発生した危険発生地点についてデータ化するのであれば、機器設備の整備は必要ないが、実際には危険な地点であるにもかかわらず、現実に事故が起きていない地点での注意喚起ができないという問題がある。
【0008】
本発明はこうした問題点を解消するためになされた発明である。その目的は、注意喚起地点を調査することなく、歩行者や自転車等の移動体と自動車を含む交通機関との接触事故を未然に防ぐための注意喚起を可能とするナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、現在位置を測位する位置測位部を備え、該位置測位部の測位結果に応じて予め定められた機能を実行するナビゲーション装置において、歩行者の経路を案内するために用いられる歩行者用ネットワークデータと車両の経路を案内するために用いられる車両用ネットワークデータとを位置を合わせて重畳し、前記歩行者用ネットワークデータと前記車両用ネットワークデータとが交差する交差地点を特定する交差地点特定部と、前記位置測位部の測位結果が前記交差地点特定部にて特定された交差地点の近傍であるとき、予め定められた注意喚起機能を実行する注意喚起部とを備えることを特徴とする。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明のナビゲーション装置によれば、路上設備等を用いることなく注意喚起を行うことができる。また、注意喚起地点に関するデータを利用することなくユーザへの注意喚起を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ナビゲーション装置の構成図。
【図2】ユーザに注意喚起する方法のフローチャート。
【図3】交差地点の説明図。
【図4】交差地点特定処理のフローチャート。
【図5】交差地点の説明図。
【図6】交差地点の説明図。
【図7】経路案内処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施例における歩行者用ナビゲーションシステムは、クライアントとしての携帯端末11とサーバ12とを備えたクライアント−サーバシステムで構成されている。携帯端末11とサーバ12とは、所定の地点に配置されている無線基地局13および公衆通信回線としてのインターネット14を介して通信可能に接続されている。
【0013】
まず、携帯端末11について説明する。
携帯端末11は、位置測位部としてのGPS15と、注意喚起部16と、表示部としてのディスプレイ17と、端末送受信部18と、端末制御部19とを備える。
GPS15は、携帯端末11の現在位置を測位する。具体的には、携帯端末11のGPSアンテナによって受信された、複数のGPS衛星から送信される電波信号に基づいて携帯端末11の現在位置(緯度および経度)を測位する。このほかにも、現在位置は、DGPS(ディファレンシャルGPS)を利用した方法や、携帯端末11の無線基地局13の電波を利用した方法や、ジャイロセンサを利用若しくは併用した方法などによって測位してもよい。
【0014】
注意喚起部16は、GPS15の測位結果が、サーバ12が備える後述の交差地点特定部にて特定された交差地点の近傍であると判断したとき、予め定められた注意喚起機能を実行する。注意喚起の方法としては、例えば、音声を発するスピーカや、ディスプレイ17に文字を表示させるといった方法があげられる。
【0015】
注意喚起機能としては、例えば、交差地点であることを歩行者にスピーカから報知する報知機能や、歩行者の存在を無線によって外部機器へデータ通信する報知データ通信機能等があげられる。なお、外部機器としては、付近を走行する車両に搭載されている車両ナビゲーション装置があげられる。この場合、携帯端末11と車両ナビゲーション装置とは、無線基地局13を介することなく、直接通信が実行される。また、外部機器としては、車両等と通信可能であって各種情報を提供するサーバであってもよい。この場合、携帯端末11と車両ナビゲーション装置とは、無線基地局13を介して通信が実行される。
【0016】
注意喚起部16は、これらの報知機能および報知データ通信機能のうちいずれか一方の機能を備えてもよいし、両方の機能を備えてもよい。また、報知機能および報知データ通信機能の何れも備える場合において、注意喚起機能は、報知データ通信機能による外部機器とのデータ通信が確立したときに限って、歩行者に報知する報知機能を実行するように設定してもよい。
【0017】
ディスプレイ17は、サーバ12から送信された地図データに基づく地図、案内経路に関するルート情報、案内メッセージ等の各種情報を表示する機能を有する。
端末送受信部18は、携帯端末11からサーバ12に各種データを送信するとともに、サーバ12から送信された各種データを受信する機能を有する。
端末制御部19は、携帯端末11が備える各部15〜18の動作を、図示しないメモリ等に記録されている所定のプログラムに基づいて制御する機能を有する。
【0018】
次に、サーバ12について説明する。
サーバ12は、歩行者用ネットワークデータ記憶部および車両用ネットワークデータ記憶部としてのハードディスク20と、経路探索部21と、交差地点特定部22と、サーバ送受信部23と、サーバ制御部としてのCPU24とを備える。
【0019】
ハードディスク20には、歩行者用の歩道や地下通路、地下街等をリンクとノードとで表現した歩行者用ネットワークデータが記憶されている。この歩行者用ネットワークデータは、経路探索部21における経路探索処理に用いられるとともに、経路を案内する際に、携帯端末11のディスプレイ17に表示する際の経路線を生成するために用いられる。歩行者用ネットワークデータを構成するリンクやノードには、リンクコストなどの各種の属性情報が対応付けられている。属性情報は、そのリンクやノードに対応する路線の特徴を表す情報である。リンクコストは、一般的にはそのリンクを通行する際にユーザにかかる負荷を表している。本実施例では、歩行者用のリンクコストは、そのリンクが表す路線の長さに応じて設定されている。なお、リンクコストは、そのリンクを通行するために要する時間に応じて設定されるようにしてもよい。
【0020】
そのほかにも、リンクの属性情報としては、リンクを特定する固有のID番号、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端および終端に存在するノードの緯度・経度座標、高度情報、リンクにおける複数地点の緯度・経度座標、高度情報、路線名称、路線種別等がある。また、ノードに対応付けられている属性情報としては、ノードを特定する固有のID番号、ノード座標、高度情報、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID等がある。
リンクおよびノードの高度情報は、基準位置における高さとの相対的な高さに関する情報であってもよいし、海抜であってもよい。
【0021】
さらに、ハードディスク20には、自動車が走行する路線をリンクとノードとで表現した車両用ネットワークデータが記憶されている。車両用ネットワークデータは、本実施例では携帯端末11の注意喚起部16で注意を喚起するための地点を特定するために用いられる。また、この車両用ネットワークデータは、経路探索部21における経路探索処理に用いてもよいし、経路を案内する際に、ナビゲーション装置に表示する際の経路線を生成するために用いてもよい。車両用ネットワークデータを構成するリンクやノードにも、歩行者用ネットワークデータと同様に、各種の属性情報が対応付けられている。
【0022】
経路探索部21は、携帯端末11から経路探索要求に関する要求情報が送信されると、当該要求情報に基づいて経路を探索する。要求情報には、現在地若しくは出発地、目的地、経由地に関する情報や、探索条件に関する情報等であって経路探索に必要な情報が含まれている。経路探索部21は、具体的には、指定された現在地若しくは出発地から目的地までの最適な推奨経路を歩行者用ネットワークデータを用いて探索する機能を有する。探索の際には、例えば周知のダイクストラ法を用いて最もコストの低い(探索条件に合致する)最適な経路が探索される。
【0023】
交差地点特定部22は、歩行者用ネットワークデータと車両用ネットワークデータとを位置を合わせて重畳する。位置は、例えば、各ネットワークデータに含まれるノードやリンクの位置を基準として合わせるのが望ましい。また、交差地点特定部22は、重畳された歩行者用ネットワークデータと車両用ネットワークデータとが交差する交差地点を特定する。なお、交差地点特定部22は、歩行者用ネットワークデータと車両用ネットワークデータとが立体的に交差する地点を除外して交差地点を特定する。
【0024】
サーバ送受信部23は、サーバ12から携帯端末11に地図データや経路案内データ等の各種データを送信するとともに、携帯端末11から送信された各種データを受信する機能を有する。
CPU24は、サーバ12が備える各部20〜23の動作をメモリ等に記録されている所定のプログラムに基づいて制御する機能を有する。
【0025】
次に、本実施例に係る歩行者用ナビゲーションシステムを用いてユーザに注意喚起する具体的方法について説明する。
図2に示すように、まず携帯端末11は端末送受信部18から、サーバ12に対して経路探索を実行してもらうための経路探索要求に関する要求信号を送信する(ステップS21)。この要求信号には、出発地、目的地、経由地、現在時刻、移動手段などの経路を探索したり、到着時間を計算したりするために必要な各種の情報が含まれている。
【0026】
サーバ12は、サーバ送受信部23で要求信号を受信すると(ステップS22)、経路探索部21で経路探索処理を実行する(ステップS23)。経路探索処理は、現在地若しくは指定された出発地から目的地までの最適な推奨経路を、歩行者用ネットワークデータや車両用ネットワークデータを用いて探索する処理である。探索の際には、経路探索部21は、例えば周知のダイクストラ法を用いて最も早く目的地に到着する経路や、最短で目的地に到着する経路を探索する。
【0027】
次に、サーバ12における交差地点特定部22は、経路上において歩行者用ネットワークデータと車両用ネットワークデータとが交差している地点を特定するための交差地点特定処理を実行する(ステップS24)。交差地点特定処理については、後述する。
サーバ12は、経路探索部21で探索された経路に関する経路情報、当該経路を重畳した地図を表示するための地図情報、交差地点特定部22で特定された交差地点の情報、当該交差地点でユーザに注意喚起するメッセージ情報等の各種情報を、サーバ送受信部23から携帯端末11に送信する(ステップS25)。
そして、携帯端末11は、サーバ12側から送信された各種情報を端末送受信部18で受信すると、当該各種情報を用いて経路案内処理を実行する(ステップS26)。経路案内処理については、後述する。
【0028】
(交差地点特定処理)
次に、交差地点特定処理(図2のステップS24)について説明する。
図3、図4に示すように、交差地点特定部22は、経路探索部21で探索された経路31の周辺の道路32に対応する車両用ネットワークを構成する道路リンクRLおよび道路ノードRNと、歩道33に対応する歩行者用ネットワークを構成する歩道リンクWLおよび歩道ノードWNとをハードディスク20から読み出すとともに、重畳させる(ステップS41)。
次に、交差地点特定部22は、歩行者用の経路31において歩道リンクWLと、道路リンクRLとが交差すると思われる候補地点34を全て検出する(ステップS42)。
【0029】
次に、交差地点特定部22は、検出された候補地点34について、歩道リンクWLおよび道路リンクの高さに関する情報を参照するとともに、高さが一致するか否かを判定する(ステップS43)。そして、両リンクの交差地点における高さが一致しない場合には、交差地点特定部22は、当該候補地点34では歩道ネットワークと道路ネットワークとが交差していないと判定して、交差地点から除外する(ステップS44)。交差していない場合としては、候補地点34に対応する歩道が歩道橋や地下道となっている場合があげられる。
【0030】
一方、両リンクの候補地点34における高さが一致する場合には、交差地点特定部22は、当該候補地点34では歩道ネットワークと道路ネットワークとが交差していると判定して、その候補地点を交差地点として確定させる(ステップS45)。
そして、交差地点特定部22は、全経路における候補地点34において判定したか否かを判定して(ステップS46)、全ての候補地点34について判定処理を実行する。
なお、候補地点34としては、図3に示すような横断歩道のほかにも、図5に示すように駐車場35などのPOI(Point Of Interest)への出入口道路36と歩道33とが交差する地点34などもあげられる。
【0031】
なお、GPS15の測位精度を考慮して、歩道ネットワークと道路ネットワークとの交差地点を包含するある程度の幅をもたせた領域を規定してもよい。例えば、歩道ネットワークを構成する歩道リンクWL及び歩道ノードWNに対応している歩道ポリゴン37(多角形)を交差地点近傍領域として規定するようにしてもよい。
図6の例の場合、交差地点特定部22は、駐車場35への出入口道路36と歩道33とが交差する地点34から、経路31上における当該地点34の1つ手前の交差点との間の領域に存在する歩道ポリゴン37を交差地点近傍領域として規定する。
【0032】
なお、交差地点特定部22は、駐車場35への出入口道路36と歩道33とが交差する地点の、前後の交差点の間に存在する歩道リンクWLに対応する歩道ポリゴン37で規定される領域を交差地点近傍領域としてもよい。さらには、領域は、複数の交差点にまたがって規定するようにしてもよい。
この場合、携帯端末11は、測位情報に基づいて、現在の位置が歩道ポリゴン37に対応する領域内に存在するか否かを判定して、車両との接触事故を回避するための注意喚起のメッセージを報知する。
【0033】
(経路案内処理)
次に、経路案内処理(図2のステップS26)について説明する。
図7に示すように、携帯端末11は、出発地(または現在地)から目的地までの経路案内を開始すると(ステップS71)、GPS15で位置情報を測位する(ステップS72)。
次に、携帯端末11は、測位情報に基づいて、現在の位置が道路と交差する位置の近傍であるか否かを判定する(ステップS73)。なお、近傍とは交差地点を予め報知することができるように、例えば、当該交差地点の手前側10m程度が望ましいが、この距離については、任意の距離でよい。また、予めユーザによって設定された値とすることも可能である。交差地点近傍領域を規定した場合には、現在の位置が当該交差地点近傍領域内に入ったことを認識したときに携帯端末11は現在の位置が道路と交差する位置の近傍であると判定すればよい。
【0034】
携帯端末11によって、現在の位置が道路と交差する位置の近傍であると判定された場合、注意喚起部16は、当該地点付近では車両に注意するべき旨の注意喚起メッセージをスピーカからユーザに対して報知する(ステップS74)。
そして、携帯端末11は、目的地に到達したか否かを判定する(ステップS75)。目的地に到達していないと判定した場合、携帯端末11は経路案内を継続する。一方、目的地に到達したと判定した場合、携帯端末11は経路案内を終了する。
【0035】
なお、ステップS74において、注意喚起部16は、現在位置の近傍に注意喚起の対象となる車両が存在するか否かを判定した上で注意喚起を実行するようにしてもよい。
例えば、携帯端末11によって、現在の位置が道路と交差する位置の近傍であると判定された場合、携帯端末11は、端末送受信部18から車両に搭載されているナビゲーション装置に向けて無線通信により信号を発信する。そして、携帯端末11が、所定時間以内に、現在位置の近傍を交差地点に向かって走行中である車両からの応答信号を受信した場合(つまり、ナビゲーション装置とのデータ通信が確立した場合)に、注意喚起部16は、当該地点付近では車両に注意するべき旨の注意喚起メッセージをスピーカからユーザに対して報知する。
【0036】
また、ステップS74において、注意喚起部16は、携帯端末11によって現在通行している位置が道路と交差する位置の近傍であると判定された場合、端末送受信部18からメッセージ信号を、車両用ナビゲーション装置等に送信するようにしてもよい。なお、メッセージ信号には、歩行者が近傍に存在していることを報知するための情報が含まれている。これは、近傍を通行する歩行者の存在を車両に報知するためである。
【0037】
この場合、メッセージ信号を受信した車両は、搭載されている車両用ナビゲーション装置が経路案内中である場合において、当該経路が歩行者の経路と交差する場合にのみ、受信したメッセージを報知することとすればよい。車両に対して必ずしも必要ではない注意喚起を抑制することができるからである。
【0038】
(変形例)
・交差地点特定部22は、横断歩道のように信号機等の報知手段が設けられている地点を危険発生地点から除外するようにしてもよい。
・注意喚起のためのメッセージに関する情報は、現在の位置が道路と交差する位置の近傍であると判定されたときに、サーバ12から受信して注意喚起部16が報知するようにしてもよい。
・本実施例は、サーバ−クライアントシステムで構成したが、スタンドアローン型のナビゲーション装置として実現してもよい。
【0039】
・歩行者や車両が、交差地点に向かっていることを認識した場合にのみ、注意喚起部16が報知するようにしてもよい。
・携帯端末11と車両のナビゲーション装置との通信が確立した場合、当該携帯端末11から、周辺の携帯端末11に注意喚起のメッセージに関する情報を送信するようにしてもよい。本機能を備えない携帯端末に対しても注意喚起することができるからである。
【符号の説明】
【0040】
11…携帯端末
12…サーバ
15…位置測位部としてのGPS
16…注意喚起部
22…交差地点特定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を測位する位置測位部を備え、該位置測位部の測位結果に応じて予め定められた機能を実行するナビゲーション装置において、
歩行者の経路を案内するために用いられる歩行者用ネットワークデータと車両の経路を案内するために用いられる車両用ネットワークデータとを位置を合わせて重畳し、前記歩行者用ネットワークデータと前記車両用ネットワークデータとが交差する交差地点を特定する交差地点特定部と、
前記位置測位部の測位結果が前記交差地点特定部にて特定された交差地点の近傍であるとき、予め定められた注意喚起機能を実行する注意喚起部と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記歩行者用ネットワークと前記車両用ネットワークデータとは、少なくとも交差地点の近傍における相互の高度情報を有しており、
前記交差地点特定部は、相互のネットワークデータが立体的に交差する地点を除外して交差地点を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のナビゲーション装置であって、
前記注意喚起部の注意喚起機能は、交差地点であることを歩行者に報知する報知機能および歩行者の存在を無線によって外部機器へデータ通信する報知データ通信機能のうち少なくとも一方の機能を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3記載のナビゲーション装置であって、
前記注意喚起部の注意喚起機能は、前記報知データ通信機能による外部機器とのデータ通信が確立したときに前記報知機能を実行することを特徴とするナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−202976(P2011−202976A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67847(P2010−67847)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】