説明

ナビゲーション装置

【課題】車両が走行中にアプリケーションプログラムのダウンロードを中断することなく完了できるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、通信状態の良好な地点の情報を含む地図情報を記憶した地図記憶手段12と、現在位置を検出する現在位置検出手段11と、地図および経路と現在位置を表示する表示手段14と、を備え、制御手段10は、サーバからバージョンアップ情報を受信すると、車両が走行中にアプリケーションプログラムのダウンロードを実行する場合、現在位置に基づいて、地図情報を参照して現在位置から最も近い通信状態の良好な地点を誘導地点として検索して目的地として設定する。また、現在位置から誘導地点まで経路を探索して案内するとともに、ナビゲーション装置1の通信速度とダウンロードするアプリケーションプログラムのデータ量から、誘導地点においてダウンロードを完了するのに必要な所要時間を停車時間として案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信手段を介してサーバからナビゲーションアプリケーションをダウンロードしてバージョンアップを行うナビゲーション装置に関するものであり、特に、車両が走行中にアプリケーションのバージョンアップ情報を受信した場合に、現在位置に最も近い通信状態の良好な地点を検索して案内し、その地点においてダウンロードを完了するのに必要な停車時間を算出して案内するようにしたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車の運転者に出発地から目的地までの最適な経路を案内する車載用のナビゲーション装置が提供されている。従来のナビゲーション装置は、地図データを記録したCD−ROM又はICカード等の地図データ記憶装置と、ディスプレイ装置と、ジャイロ、GPS(Global Positioning System)及び車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する車両移動検出装置等を有し、車両の現在位置を含む地図データを地図データ記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像をディスプレイ装置上に描画する。また、車両位置マークをディスプレイ画面の地図画像に重ね合わせて表示し、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
通常、このような車載用ナビゲーション装置は、地図データを用いて出発地から目的地までを結ぶ最もコストが小さい経路をダイクストラ法等を用いたシミュレーション計算を行って経路探索し、その探索した経路を案内経路として記憶しておき、走行中、地図画像上に案内経路を表示し、車両が案内経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離内に近づいたときに、進行方向を案内することで目的地までの最適な経路を走行できるように構成されている。
【0004】
上記の車載用のナビゲーション装置は、経路探索機能や地図データを持つスタンドアロン型のナビゲーション装置であるが、近年の通信、情報処理技術の発展により車載用のナビゲーション装置にネットワークを介した通信機能を付加し経路探索サーバとデータ通信して案内経路データや地図データを取得するいわゆる通信型のナビゲーションシステムも普及してきている。
【0005】
通常このようなナビゲーション装置の各種機能は、ナビゲーション装置が備えるHDDやCD−ROMに記憶されたアプリケーションプログラムを実行することにより各部を制御して遂行される。一般的にアプリケーションプログラムは、機能の追加や変更のためバージョンアップされる。アプリケーションプログラムのバージョンアップには種々の方法が用いられる。例えば、更新されたアプリケーションプログラムが記録されたCD−ROMが配布され、配布されたCD−ROMに記録されたアプリケーションプログラムをナビゲーション装置のHDDに記憶するなどの方法がある。
【0006】
このようなナビゲーション装置の発明は、例えば、下記の特許文献1(特開2004−150862号公報)に開示されている。この特許文献1に開示されたナビゲーション装置は、HDDに記録されているコンピュータプログラムを実行する第1実行部と、CD−ROMに記録されている第2コンピュータプログラムを実行する第2実行部と、を有し、CD−ROMからHDDにデータをコピーするインストール部と、自動車の状態を測定するセンサから状態を収集する状態収集部とを備えている。インストール部は、第2実行部と並行して動作し、バージョンアップと並行して車両を目的地まで案内することができるように構成されている。
【0007】
また、無線通信機能を有するナビゲーション装置においては、装置メーカ、ナビゲーションサービスプロバイダなどが設置したサーバからバージョンアップ情報をナビゲーション装置に送り、ナビゲーション装置はサーバにアクセスして新しいバージョンのアプリケーションプログラムをダウンロードしてバージョンアップするようなシステムを採る場合もある。アプリケーションのバージョンアップには基本機能の変更もあり、この場合には早期に各ユーザにバージョンアップさせる必要かあり緊急性が高い。また、バージョンアップは一定の期間内に全てのユーザに完了させる必要もあり、ダウンロードの期間が定められている場合もある。従って、バージョンアップ情報には、アプリケーションプログラムのデータ量の他に緊急度や優先度、期限などの情報が付加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−150862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、無線通信機能を有するナビゲーション装置を搭載した車両が走行している場合、通信が良好に行える場所と、地形や建築部物の影響等により電波の送受信が良好に行えず、良好に通信が行えない場所がある。一般的には通信状態のよい地点やエリア、通信状態のよくない地点やエリアは、移動体通信端末に対する無線通信基地局の設置地点や放送局の設置地点に基づいて予め判明していることもある。
【0010】
また、移動体通信端末が移動中に通信状態(電波の受信状態)を判別して位置情報と対応して記憶しておく方法もある。例えば、特開2004−140522号公報には、現在位置確認手段と、テレビ放送信号を受信する放送受信手段と、受信された各テレビ放送波の受信状態を確認する受信状態確認手段と、該受信状態確認手段によって確認された受信状態を表わす受信状態情報と上記現在位置を関連づけて記憶するようにした装置が開示されている。ナビゲーション装置においては地図情報に主要な施設(公共施設やショッピングモール、各種店舗、駐車場などの施設情報が含まれており、施設情報に通信状態の良否のデータを付加しておくことができる。
【0011】
一方、サーバからバージョンアップ情報を受信した際に、バージョンアップ情報に付加されたアプリケーションプログラムのデータ量と、ナビゲーション装置に記憶された通信速度から、ダウンロードに必要な所要時間を算出することができる。そして、バージョンアップの緊急性が高い場合には、車両の走行中であっても直ちにアプリケーションプログラムをダウンロードしてバージョンアップを実行することが好ましい。
【0012】
しかしながら、走行中には通信状態の良くない地点やエリアを通過することもあり、そのような地点やエリアではダウンロードが中断してしまい、アプリケーションプログラムの取りこぼし等によるエラーが発生し、ダウンロードを完了できない不都合が生じる場合もある。
【0013】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたナビゲーション装置は、サーバからアプリケーションプログラムをダウンロードしてバージョンアップする構成ではないため、上記のようなサーバから通信によりアプリケーションプログラムをダウンロードする際の問題点を解消できない不都合がある。
【0014】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、車両の走行中にアプリケーションのバージョンアップ情報を受信した場合に、ダウンロードに必要な所要時間を算出し、通信状態の良好な地点を検索してその地点に案内し、当該地点においてダウンロードの完了に必要な停車時間を算出して案内するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、車両が走行中にアプリケーションプログラムのダウンロードを中断することなく完了できるようにしたナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
地図情報を参照して出発地または現在位置から目的地までの経路を探索して案内する制御手段(例えば、下記実施例では制御手段10)を備えたナビゲーション装置であって、前記ナビゲーション装置は、アップデート情報の受信およびアプリケーションプログラムをダウンロードするための接続手段(例えば、下記実施例では通信手段13)と、現在位置を検出する現在位置検出手段(例えば、下記実施例では現在位置検出手段11)と、地点毎の通信状態の情報を含む地図情報を記憶した地図記憶手段(例えば、下記実施例では地図記憶手段12)と、入力手段(例えば、下記実施例では入力手段15)と、表示手段(例えば、下記実施例では表示手段14)と、を備え、前記制御手段は、前記接続手段を介して前記アプリケーションプログラムをダウンロードする場合、前記現在位置検出手段により検出された現在位置および前記地図記憶手段に記憶された地図情報に基づき、通信状態の良好な地点を検索し、該検索した地点を目的地として設定することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記検索した地点で前記ダウンロードを完了するのに必要な停車時間を算出し、該停車時間を報知することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかるナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記検索した地点において、前記ダウンロードを実行することを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1乃至請求項3の何れかにかかるナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記アップデート情報に基づいて、前記ダウンロードの緊急性を判定し、緊急性が高いと判定した場合に、前記ダウンロードを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1にかかる発明においては、ナビゲーション装置は、アップデート情報の受信およびアプリケーションプログラムをダウンロードするための接続手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、地点毎の通信状態の情報を含む地図情報を記憶した地図記憶手段と、入力手段と、表示手段と、を備え、前記制御手段は、前記接続手段を介して前記アプリケーションプログラムをダウンロードする場合、前記現在位置検出手段により検出された現在位置および前記地図記憶手段に記憶された地図情報に基づき、通信状態の良好な地点を検索し、該検索した地点を目的地として設定する。
【0021】
かかる構成によれば、車両が走行中にバージョンアップ情報を受信し、アプリケーションプログラムのダウンロードをする場合に、通信状態の良好な地点を目的地に設定して案内するので、ダウンロードを中断することなく完了できるようになる。
【0022】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、制御手段は、前記検索した地点で前記ダウンロードを完了するのに必要な停車時間を算出し、該停車時間を報知する。
【0023】
かかる構成によれば、車両が走行中にバージョンアップ情報を受信し、アプリケーションプログラムのダウンロードをする場合に、通信状態の良好な地点を目的地に設定して案内するとともに、ダウンロードの完了に必要な停車時間を案内するから、ダウンロードを中断することなく完了できるようになる。
【0024】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかるナビゲーション装置において、制御手段は、前記検索した地点において、前記ダウンロードを実行するものであるから、ダウンロードを中断することなく完了できるようになる。
【0025】
請求項4にかかる発明においては、請求項1乃至請求項3の何れかにかかるナビゲーション装置において、制御手段は、前記アップデート情報に基づいて、前記ダウンロードの緊急性を判定し、緊急性が高いと判定した場合に、前記ダウンロードを行うものであるから、バージョンアップの緊急性が高い場合には、車両が走行中であっても、アプリケーションプログラムのダウンロードを実行し、中断することなく完了できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置におけるアプリケーションプログラムのダウンロード手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0028】
図1は、本発明の実施例にかかる車載用のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、自動車等の車両に搭載されることにより車載用として使用される装置であってもよく、車両から取外されユーザが携帯し使用できるタイプのものであってもよい。以下の説明においては、これらを総称してナビゲーション装置という。
【0029】
ナビゲーション装置1は、制御手段10、現在位置検出手段11、地図記憶手段12、通信手段13、表示手段14、入力手段15、音声出力手段16などを備えて構成されている。
【0030】
そして、制御手段10は、現在位置検出手段11、地図記憶手段12、通信手段13、表示手段14、入力手段15および音声出力手段16と、バスなどの信号線群で相互に接続され、これらの間で情報の授受を可能としている。
【0031】
制御手段10は、CPU101、RAM102、ROM103からなるプロセッサで構成され、RAM102およびROM103に記録されたアプリケーションプログラムを実行することによりナビゲーション装置1の各部の動作を制御する。また、RAM102には、アプリケーションプログラムに対応したバージョン情報が記憶されている。そして、サーバ(不図示)からバージョンアップ(以下の説明ではアップデートということとする)の情報を受信し、アプリケーションプログラムに追加や変更があった場合には、ナビゲーション装置1は、適宜の機会にサーバから新たなバージョンのアプリケーションプログラムをダウンロードして、RAM102に記憶されたアプリケーションプログラムを、ダウンロードしたアプリケーションプログラムに書き換えることによりアップデートを行う。この手順の詳細については後に詳細に説明する。
【0032】
現在位置検出手段11は、例えばGPS受信機等で構成され、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの電波を受信し、それをもとに現在位置を算出するものである。さらに、現在位置検出手段11は、操角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなる自律航法手段(推測航法手段)を併用するようにしてもよい。
【0033】
なお、上記GPS衛星からの電波には、日付および時刻情報も含まれているため、現在位置検出手段11は、現在日時を検出することも可能である。
【0034】
地図記憶手段12には、地図情報が記憶され、地図情報には、各道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとし、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路ノードデータと道路リンクデータを含む道路データおよび地図画像を含む地図画像データが含まれている。道路ノードデータには、道路ノードの番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれるほか、交差点等の案内地点に対応する案内ポイントおよび右折や左折、直進などを案内する案内データも記憶されている。また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノードの番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータにはさらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別は、高速道路や有料道路の種別および国道や都道府県道などの別を含む情報である。
【0035】
ここで、道路リンクデータに含まれる所要時間は、リンク長および走行速度などに基づいて算出されるが、走行速度は、ユーザが道路種別に応じて任意に設定可能としてもよいし、過去の走行履歴を記憶し、当該走行履歴の平均速度を走行速度としてもよい。
【0036】
また、地図記憶手段12には、地点毎にその地点においてサーバが通信手段13へアプリケーションプログラムを送信する際の通信状態および通信速度が予め記憶されている。なお、地図記憶手段に12に記憶された通信状態および通信速度は、ナビゲーション装置1が、例えば、所定間隔で、現在位置における通信状態および通信速度を検出し、検出した通信状態および通信速度と現在位置を対応付けて新たに記憶し直すようにしてもよい。
【0037】
また、地図情報には、道路データや地図画像データの他、地図画像を見やすく表示するためにベクター形式で記憶された背景画像データを含んでいてもよい。これらの背景画像データおよび地図画像データは、制御手段10の画像描画制御により、ナビゲーション装置1を使用する際に、ナビゲーション装置1の現在位置を含む所定範囲の地図が地図記憶手段12から抽出され、現在位置を示す現在位置マークや最適経路の画像が重ね合わされてVRAMなどの画像メモリ(図示せず)に描画され、表示手段14に表示される。
【0038】
さらに、地図記憶手段12には、駐車場やコンビニエンスストアなどの施設毎の施設データも記憶されている。施設データには、施設の名称、位置座標、営業時間、駐車場の有無などの情報や、ランドマークなどの施設の画像が含まれ、さらに、施設データには、施設の位置毎の通信状態および通信速度も含まれている。
【0039】
通信手段13は、ネットワークを介してサーバと通信するための無線通信機能を有する通信装置であり、上記サーバとの間でアップデート情報やアプリケーションプログラムなどといった各種情報の送受信を行う。
【0040】
表示手段14は、LCDなどのディスプレイパネルから構成される表示画面を備えた表示ユニットであり、制御手段10の画像描画制御によって画像メモリに描画された地図画像や最適経路、現在位置検出手段11により検出された現在位置などを表示する。なお、この表示手段14は、タッチセンサーを具備させて入力手段15の一部を担うように構成することもできる。この場合は画面上に表示されるアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われるようにする。
【0041】
入力手段15は、ナビゲーション装置1における目的地の入力やその他各種の入力を行うための各種キー、スイッチなどから構成される。
【0042】
音声出力手段16は、スピーカー等で構成され、最適経路案内時の案内報知、キー操作音、その他ナビゲーション装置1に関する種々の音声報知等のナビゲーション装置1における各種音声ガイダンスの報知を行う。
【0043】
制御手段10は、現在位置検出手段11により検出された現在位置、あるいは、入力手段15を介して指定された出発地から、入力手段15を介して指定された目的地までの最適な経路を探索する。より具体的には、地図記憶手段12に記憶された道路データを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るまでのリンクを順次探索し、リンクコストが最小となるノード、リンクを探索して最適経路を決定する。なお、このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。
【0044】
制御手段10によって探索された最適経路は、RAM102に記憶される。そして、経路案内時には、現在位置検出手段11により検出された現在位置を中心とした所定範囲の地図画像データを地図記憶手段12から読み出して表示手段14に表示するとともに、RAM102に記憶された最適経路に基づき、現在位置が地図記憶手段12に記憶された案内ポイントに到達したときは、音声出力手段16を介して音声で案内報知を行う。このように時々刻々変化する現在位置に応じて地図画像を切り替えながら目的地までの経路案内を行う。
【0045】
ナビゲーション装置1は、通信手段13を介してサーバからアプリケーションプログラムのアップデート情報を受信する。アップデート情報には、アプリケーションプログラムのデータ量、バージョン情報、ダウンロードの要求先(アクセス先URL)などの情報の他に、ダウンロードの有効期限(期限が設定されている場合)、緊急度や優先度などの情報が付加されている。
【0046】
ナビゲーション装置1は、通信手段13を介してサーバからアップデート情報を受信すると、アップデート情報に含まれるバージョン情報と、RAM102に記憶されたバージョン情報とを比較し、アップデートが必要か否か判別を行い、アップデートが必要であれば、ユーザにダウンロードの要求先にアクセスしアプリケーションプログラムのダウンロードを行うよう表示手段14および音声出力手段16を介して促したり、自動的にアプリケーションプログラムをダウンロードしてアップデートを行う。基本的にアプリケーションプログラムのダウンロードは、ダウンロード可能な期限内に任意に行えばよいが、緊急度、優先度が高い(アプリケーションプログラムの基本的な部分の変更など)場合、または、ダウンロードの有効期限が近い場合には、直ちにダウンロードを行うことが好ましい。
【0047】
ナビゲーション装置1は、アップデート情報に含まれる緊急度や優先度、ダウンロードの有効期限に基づいて、緊急度や優先度が高い、または、ダウンロードの有効期限が近いなどの緊急性が高いアップデートか否かを判別し、緊急性が高いアップデートの場合には、直ちにダウンロードの要求先にアクセスしてダウンロードを実行するように構成されている。当然、ナビゲーション装置1の電源がOFFされ起動されていない場合には、電源がONされてナビゲーション装置1か起動された時点でアップデート情報を受信してダウンロードが行われることになる。
【0048】
アップデート情報を受信して直ちにアップデートを開始すると、車両が走行している場合には、通信状態の良くない地点やエリアを通過することもあり、そのような地点やエリアではダウンロードが中断してしまい、アプリケーションプログラムの取りこぼし等によるエラーが発生し、ダウンロードを再度やりなおさなければならないという状態になることもある。
【0049】
そこで本発明においては、車両が走行中にアプリケーションプログラムのダウンロードを実行する場合には、現在位置に最も近い通信状態の良好な地点を検索して車両を案内するとともに、当該通信状態の良好な地点においてダウンロードを完了するのに必要な停車時間を算出して案内し、ダウンロードを中断することなく完了できるように制御する。なお、検索する通信状態の良好な地点の条件としては、通信状態が良好な地点であるだけに限らず、車両を停車(駐車)させることができる施設であることが好ましい。
【0050】
ダウンロードに必要な所要時間は、地図記憶手段12に記憶された通信速度とダウンロードするアプリケーションプログラムのデータ量から算出することができる。車両の停車時間は、案内する地点においてダウンロードを開始から終了まで行わせる場合には、案内する地点の通信速度と、上記データ量から算出したダウンロードに必要な所要時間を停車時間とすればよく、上記案内する地点を検索する時点でダウンロードを開始させる構成の場合には、現在位置から案内する地点までの経路上の通信速度と当該経路の所要時間に基づき、経由地までに受信可能なデータ量を算出し、アプリケーションプログラムのデータ量から当該算出したデータ量を差し引いたデータ量と、案内する地点の通信速度とに基づき算出したダウンロードに必要な所要時間を停車時間とし、アプリケーションプログラムのデータ量から当該算出したデータ量を差し引いたデータ量のダウンロードを経由地において車両を停車させて完了させるようにしてもよい。
【0051】
以下、図2に示すフローチャートを参照してダウンロード手順を詳細に説明する。図2は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置におけるアプリケーションプログラムのダウンロード手順を示すフローチャートである。
【0052】
なお、本実施例において、通信手段13を介してダウンロードされたアプリケーションプログラムのアップデートは、ダウンロードが完了すると自動的にアップデートを実行してもよいし、ダウンロードされたアプリケーションプログラムを一時的に記憶する記憶手段を設け、ユーザが入力手段15を操作することによりダウンロードされたアプリケーションプログラムのアップデートを実行するようにしてもよい。
【0053】
先ず、制御手段10は、サーバから通信手段13を介してアップデート情報を受信したか否かを判定する(ステップS101)。アップデート情報を受信していなければ(ステップS101のNO)、本フローチャートの手順を終了する。アップデート情報を受信していれば(ステップS101のYES)、アップデート情報に含まれるバージョン情報と、RAM102に記憶されているバージョン情報とを比較し、アップデートが必要か否かを判定する(ステップS102)。
【0054】
アップデートが必要でないと判定されると(ステップS102のNO)、本フローチャートの手順を終了する。アップデートが必要であると判定されると(ステップS102のYES)、制御手段10は、アップデート情報に含まれる緊急度や優先度の情報、ダウンロードの有効期限に応じてアップデートの緊急性が高いか否かを判定する(ステップS103)。
【0055】
ここで、緊急性が高いか否かの判定は、アップデート情報に含まれる緊急度や優先度が高い場合、または、アップデート情報に含まれるダウンロードの有効期限と現在位置検出手段11により検出される現在日時とを比較して、現在日時と有効期限との間隔が所定日時以下である場合に、ダウンロードの有効期限が近いと判別し、緊急性が高いと判定する。
【0056】
アップデートの緊急性が高くないと判定されると(ステップS103のNO)、本フローチャートの手順を終了する。アップデートの緊急性が高いと判定されると(ステップS103のYES)、制御手段10は、現在位置検出手段11により検出された車両の現在位置に基づいて、地図記憶手段12に記憶された施設データを参照して、現在位置から最も近い、通信状態が良好で、且つ、駐車可能な施設を検索する(ステップS104)。ここでは、検索された施設を誘導施設ということとする。
【0057】
次いで、制御手段10は、車両の現在位置から誘導施設までの最適経路を探索し(ステップS105)、現在位置から誘導施設までの所要時間、または、誘導施設へ至る到着予想時間を算出するとともに、地図記憶手段12に記憶された誘導施設の通信速度とアップデート情報に含まれるアプリケーションプログラムのデータ量からダウンロードに必要な所要時間を算出する(ステップS106)。すなわち、ここでは、車両を誘導施設において停車させてダウンロードを完了させるための停車時間を算出するものである。
【0058】
停車時間を算出すると、制御手段10は、車両を現在位置から誘導施設までの最適経路を報知するとともに、ダウンロードに必要な停車時間を報知し、ユーザが了解を選択した場合には、誘導施設までの最適経路に従って車両を案内する(ステップS107)。車両が誘導施設に停車しダウンロードを開始すると、制御手段10はステップS108においてダウンロードの完了を判定し、ダウンロードが完了していなければ(ステップ
108のNO)、ステップS108の判定処理を繰り返し、ダウンロードが完了すると(ステップS108のYES)、本手順の処理を終了する。
【0059】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるナビゲーション装置によれば、車両が走行中にアプリケーションプログラムのダウンロードを中断することなく完了できるようになる。
【0060】
なお、上記実施例では、現在位置から最も近い、通信状態が良好で、且つ、駐車が可能な施設を検索したが、これに限ることはなく、進行方向を考慮して、現在位置に最も近い、通信状態が良好で、且つ、駐車が可能な施設を検索してもよいし、また、施設に限ることはなく、地図記憶手段に駐車が可能な地点を記憶しておき、通信状態が良好で、且つ、駐車が可能な地点を検索するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施例では、ナビゲーション装置に、接続手段としてサーバからアップデート情報の受信およびアプリケーションプログラムをダウンロードする通信手段を設けた構成としたが、これに限ることはなく、例えば、携帯電話などの他の受信機器に、サーバからアップデート情報の受信およびアプリケーションプログラムをダウンロードする受信手段を設け、当該受信機器とナビゲーション装置とを有線または、無線の接続手段で接続し、受信機器が受信したアップデート情報およびアプリケーションプログラムをナビゲーション装置に送信する構成としてもよい。
【0062】
なお、上記携帯電話などの受信機器と接続する接続手段を設けた場合、ダウンロードに必要な所要時間は、サーバから当該受信機にダウンロードするのに必要な時間と、当該受信機器から接続手段を介してナビゲーション装置にダウンロードするのに必要な時間とを合わせた時間を、ダウンロードに必要な時間とするのが好ましい。そして、サーバから当該受信機にダウンロードするのに必要な時間は、上記地図記憶手段に記憶された地点毎の通信状態および通信速度と、アップデート情報に含まれるアプリケーションプログラム
のデータ量とを用いて算出可能であり、受信機器から接続手段を介してナビゲーション装置にダウンロードするのに必要な時間は、予め受信機器とナビゲーション装置とを接続手段で接続し、受信機器とナビゲーション装置との通信速度を計測、記憶しておき、アップデート情報に含まれるアプリケーションプログラムのデータ量と記憶した通信速度とから算出可能である。
【符号の説明】
【0063】
1・・・・・ナビゲーション装置
10・・・・制御手段
101・・・CPU
102・・・RAM
103・・・ROM
11・・・・現在位置検出手段
12・・・・地図記憶手段
13・・・・通信手段
14・・・・表示手段
15・・・・入力手段
16・・・・音声出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を参照して出発地または現在位置から目的地までの経路を探索して案内する制御手段を備えたナビゲーション装置であって、
前記ナビゲーション装置は、アップデート情報の受信およびアプリケーションプログラムをダウンロードするための接続手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、地点毎の通信状態の情報を含む地図情報を記憶した地図記憶手段と、入力手段と、表示手段と、を備え、
前記制御手段は、前記接続手段を介して前記アプリケーションプログラムをダウンロードする場合、前記現在位置検出手段により検出された現在位置および前記地図記憶手段に記憶された地図情報に基づき、通信状態の良好な地点を検索し、該検索した地点を目的地として設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検索した地点で前記ダウンロードを完了するのに必要な停車時間を算出し、該停車時間を報知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検索した地点において、前記ダウンロードを実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記アップデート情報に基づいて、前記ダウンロードの緊急性を判定し、緊急性が高いと判定した場合に、前記ダウンロードを行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−33362(P2011−33362A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177140(P2009−177140)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】