説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置において、ユーザの希望に応じた世代の地図を利用することができるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、HDD13において、世代の異なる複数種類の地図データを記憶する。この複数種類の地図データに基づく処理を制御部10において実行する。すなわち、HDD13に記憶された複数種類の地図データに基づいて、過去に存在したが現在は存在していない目標物を検索したり、世代の異なる複数種類の地図を表示モニタ17に表示したりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メモリカードや通信手段を介して、地図を更新するためのデータ(以下、更新地図データという)を外部から受信し、最新の地図をユーザが利用できるようにしたナビゲーション装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−165639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーション装置のユーザにとって、たとえば昔の記憶を頼りにして目的地を探す際などに、ユーザの希望に応じた世代の地図を利用して、過去に存在したが現在は存在していない目標物を検索したり、過去の地図を参照したりすることが必要となる場合がある。しかし、特許文献1に開示される従来のナビゲーション装置によれば、更新地図データを受信すると自動的に最新の地図に更新されるため、ユーザの希望に応じた世代の地図を利用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるナビゲーション装置は、世代の異なる複数種類の地図データを記憶する地図データ記憶手段と、その複数種類の地図データに基づく処理を実行する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ナビゲーション装置においてユーザの希望に応じた世代の地図を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーションシステムの構成図である。
【図2】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】地図表示時に実行される処理のフローチャートである。
【図4】最新の地図の例である。
【図5】過去の地図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態によるナビゲーションシステムの構成を図1に示す。このシステムは、車両100に搭載されているナビゲーション装置1および通信端末2と、通信回線網3と、配信サーバ4とによって構成される。なお、ナビゲーション装置1と通信端末2は、有線あるいは無線接続によって接続されている。
【0009】
ナビゲーション装置1は、車両100の位置を検出し、地図を表示して検出した車両100の位置をその地図上に示す。また、ユーザに車両100の目的地が設定されると、その目的地までの推奨経路を探索し、探索した推奨経路に従って車両100を目的地まで誘導する。ナビゲーション装置1には、このような処理を実行するために用いる地図データが記憶されている。
【0010】
ナビゲーション装置1において記憶されている地図データは、全体または部分的に更新することができる。地図データを更新する際、ナビゲーション装置1は、元の地図データと最新の地図データとの差分を、更新地図データとして取得する。この更新地図データは、通信端末2および通信回線網3を介して配信サーバ4からナビゲーション装置1にダウンロードすることができる。あるいは、DVD5またはUSB(Universal Serial Bus)メモリ6に記録されている更新地図データをナビゲーション装置1において読み込むこととしてもよい。なお、地図データを部分的に更新する場合は、ナビゲーション装置1または配信サーバ4において更新対象地域が設定される。
【0011】
ナビゲーション装置1は、上記のようにして取得した更新地図データを、その更新時点における最新世代の地図データとして元の地図データと共に記憶する。すなわち、地図データの更新を繰り返すことにより、ナビゲーション装置1において世代の異なる複数種類の地図データが記憶されて蓄積される。こうして蓄積された複数種類の地図データを用いることで、ナビゲーション装置1は、過去に存在したが現在は存在していない目標物を検索したり、最新の地図のみならず過去の地図をも表示したりすることができる。なお、こうした複数種類の地図データを利用して行う処理の具体的な手順については、図3のフローチャートにより後で詳しく説明する。
【0012】
通信端末2は、ナビゲーション装置1の制御により、必要に応じて通信回線網3と無線接続を行う。通信回線網3には、配信サーバ4が接続されている。すなわちナビゲーション装置1は、通信端末2と通信回線網3を介して配信サーバ4に接続する。通信端末2と通信回線網3が無線接続する際には、通信回線網3が有する不図示の無線基地局が用いられる。この無線基地局は、その周囲の所定の通信エリア内にある通信端末2と無線通信することが可能であり、全国各地に散在している。なお、通信端末2は、たとえば携帯電話などである。また、通信回線網3は、たとえば携帯電話回線網やインターネットなどにより構築される。
【0013】
配信サーバ4は、全国各地の最新の地図データを記憶している。ナビゲーション装置1から通信端末2および通信回線網3を介して更新地図データの配信要求があると、配信サーバ4は、その配信要求に応じて更新地図データを配信する。あるいは、配信サーバ4において更新地図データの配信が可能となったときに、配信サーバ4からナビゲーション装置1へ自動的に更新地図データを配信するようにしてもよい。なお、更新対象地域が設定されている場合は、その更新対象地域についてのみ更新地図データが配信される。こうして配信サーバ4から配信された更新地図データは、通信回線網3を介して通信端末2へと送信され、通信端末2からナビゲーション装置1へ出力される。これにより、ナビゲーション装置1において更新地図データがダウンロードされる。
【0014】
DVD5とUSBメモリ6は、いずれも更新地図データが記録されている記録媒体である。ナビゲーション装置1は、DVD5とUSBメモリ6のいずれか一方がユーザによってセットされると、そこから更新地図データを読み込むことができる。DVD5とUSBメモリ6には、たとえば、ユーザが図示しないパーソナルコンピュータを用いてダウンロードした更新地図データが記録されている。この場合、DVD5には、DVD−Rなどの記録型DVDが用いられる。あるいは、ナビゲーション装置1の製造メーカ等がDVD5やUSBメモリ6を郵送などでユーザに配布してもよい。この場合、DVD5は、記録型DVDでなくともよい。なお、DVD5やUSBメモリ6の代わりに、他の種類の記録媒体、たとえばCDやメモリカード等を用いてもよい。
【0015】
次にナビゲーション装置1の構成について説明する。図2は、ナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスクドライブ(HDD)13、ディスクドライブ14、USBインタフェース(I/F)15、GPS(Global Positioning System)受信部16、表示モニタ17および入力装置18を備えている。
【0016】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10により、自車両すなわち車両100を目的地まで案内するための様々な処理が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、車両100の現在位置の検出処理、各種の画像表示処理、ルート案内時の音声出力処理などが実行される。制御部10には通信端末2が接続されており、制御部10によって通信端末2を制御することで、ナビゲーション装置1から図1の配信サーバ4に対して更新地図データの配信要求が行われる。この配信要求に応じて配信サーバ4から配信された更新地図データは、通信端末2を経由して制御部10へ出力される。
【0017】
振動ジャイロ11は、車両100の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、車両100の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサの検出結果に基づいて、制御部10において車両100の運動状態を所定の時間間隔ごとに算出することにより、車両100の移動量が求められ、それによって車両100の現在位置が検出される。
【0018】
HDD13は、記録されている情報を書き換え可能な不揮発性の記録媒体である。このHDD13には、制御部10において上記のような処理を実行するための制御プログラムや地図データなどの情報が記録されている。なお、HDD13には、前述のように世代の異なる複数種類の地図データとして、元の地図データに加えて過去に取得された更新地図データも記憶されている。HDD13に記録されているこれらの地図データでは、地図が所定の距離単位で複数の区画に分割されて表されている。この区画のそれぞれはメッシュと呼ばれる。すなわち、ナビゲーション装置1において、地図データはメッシュ単位で管理されている。
【0019】
また、HDD13に記録されている地図データにおいて、各道路は所定の道路区間ごとに分割されて表されている。この道路区間のそれぞれは、リンクと呼ばれる。すなわち、地図データにおいて、各道路は複数のリンクにより構成されている。このリンクのそれぞれには、車両が通過するときの所要時間に関するリンクコストと呼ばれる値が設定されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれる。ノードのそれぞれは、地図の座標を用いて表現された位置情報を有している。このノードの位置情報に基づいて、地図上に表される各道路の位置や形状が決定される。
【0020】
HDD13に記録されている地図データは、配信サーバ4から配信される更新地図データ、あるいはDVD5またはUSBメモリ6から読み込まれる更新地図データにより、全体または設定された更新対象地域について更新することができる。たとえば、新しい道路が開通した場合や、新しい施設が設置された場合などに、その道路や施設の情報が更新地図データとして提供される。この更新地図データは、最新の地図データとして更新前の地図データと共にHDD13に記録される。なお、更新対象地域の設定は、前述のメッシュ単位で行われる。
【0021】
新しく開通した道路が更新対象地域を通過して他の地域まで到達している場合、更新地図データにおいてその道路の情報は、更新対象地域内の部分だけでなく、他の道路に接続する地点までを含めて提供される。すなわち、既存の道路との接続が保障されている地点までの情報が更新地図データとして提供される。これにより、更新後の地図データにおいて追加された道路が途中で途切れてしまったり、既存の道路との間で不整合が生じたりするのを避けるようにしている。
【0022】
なお、配信サーバ4から更新地図データを配信する場合と、DVD5またはUSBメモリ6から更新地図データを読み込む場合とで、異なる更新対象地域の範囲を設定してもよい。たとえば、配信サーバ4から更新地図データを配信する場合は、通信端末2による無線通信の費用や時間を抑えるために、ユーザが指定した地点から所定距離内の範囲に含まれるメッシュが更新対象地域とされる。その一方で、DVD5またはUSBメモリ6から更新地図データを読み込む場合は、ユーザがパーソナルコンピュータを用いて更新地図データをダウンロードする際に、ユーザによって都道府県単位で更新対象地域のメッシュが設定される。すなわち、ユーザに指定された都道府県と全体的または部分的に重なる全てのメッシュが更新対象地域とされる。さらにこの場合、更新対象地域内の道路や施設以外の情報、たとえば新たなアイコンの情報などを更新地図データに含めることもできる。
【0023】
なお、上記ではナビゲーション装置1において地図データがHDD13に記録されている例を説明したが、書き換え可能な記録媒体であればHDD以外のものであってもよい。たとえば、HDDの代わりにフラッシュメモリなどを用いてもよい。
【0024】
ディスクドライブ14は、DVD5に記録されている更新地図データを読み出すための部分であり、ディスク駆動機構やピックアップ機構などを有している。ディスクドライブ14にDVD5がセットされると、DVD5に記録されている更新地図データがディスクドライブ14によって読み出され、制御部10に出力される。これにより、ナビゲーション装置1においてDVD5から更新地図データが読み込まれる。
【0025】
USBインタフェース15は、USBメモリ6を装填するためのスロット部を有している。このスロット部にUSBメモリ6が装填されると、USBメモリ6に記録されている更新地図データがUSBインタフェース15によって読み出され、所定のインタフェース処理が行われた後、制御部10に出力される。これにより、ナビゲーション装置1においてUSBメモリ6から更新地図データが読み込まれる。
【0026】
GPS受信部16は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、車両100の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて車両100の現在位置と現在時刻を算出することができる。このGPS受信部16によって受信されたGPS信号に基づいて算出された車両100の現在位置と、前述の振動ジャイロ11および車速センサ12の検出結果に基づいて算出された車両100の現在位置とに基づいて、最終的な車両100の現在位置が求められる。
【0027】
表示モニタ17は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ17により、地図画面の表示などが行われる。表示モニタ17に表示される画面の内容は、制御部10が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ17は、たとえば車両100のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0028】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、表示モニタ17と一体化されたタッチパネルにより入力装置18を実現してもよい。
【0029】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、地図データにおいて設定された前述のリンクコストに基づいて、たとえばリンクコストの合計が最小となる目的地までの経路を探索し、その経路を推奨経路として設定する。こうして設定された推奨経路は、他の道路と区別可能な表示形態により地図上に示される。その後ナビゲーション装置1は、現在地周辺の地図を表示し、設定された推奨経路に従って車両100を目的地まで誘導する。
【0030】
次に、ナビゲーション装置1が地図を表示するときの処理内容について説明する。図3は、地図表示時にナビゲーション装置1の制御部10において実行される処理のフローチャートである。以下では、このフローチャートにしたがって処理内容の説明を行う。
【0031】
ステップS10において、制御部10は、目標物を検索するか否かを判定する。目標物を検索するか否かは、ユーザが入力装置18を操作することによって選択することができる。この選択結果に応じて、制御部10はステップS10の判定を行う。目標物を検索する場合はステップS20へ進み、検索しない場合はステップS60へ進む。
【0032】
ステップS20において、制御部10は、検索条件の設定を行う。ここでは、たとえばユーザが検索したい目標物の名称、種類、地域などを検索条件として設定することができる。なお、過去に存在したが現在は存在していない目標物を検索する場合は、上記のような検索条件に加えて、その目標物が存在していた時期などをさらに設定できるようにしてもよい。
【0033】
ステップS30において、制御部10は、ステップS20で設定された検索条件に基づいて目標物の検索を行う。ここでは、HDD13において記録された世代の異なる複数種類の地図データの中から、設定された検索条件を満たす地図上の建物や施設を目標物として検索する。こうして世代の異なる複数種類の地図データに基づいて目標物を検索することにより、現存する目標物に加えて、さらに過去に存在したが現在は存在していない目標物をも検索することができる。
【0034】
ステップS40において、制御部10は、ステップS30において検索条件を満たす目標物が検索されたか否かを判定する。目標物が検索された場合はステップS50へ進む。一方、目標物が検索されなかった場合は、ステップS20へ戻る。この場合、ステップS20において検索条件を設定し直した後、続くステップS30において再度目標物の検索を行う。
【0035】
ステップS50において、制御部10は、ステップS30で検索された目標物が最新の地図データに基づいて検索されたものであるか否かを判定する。最新の地図データに基づいて目標物が検索された場合、すなわちその目標物が最新の地図データにおいて記録されている場合は、ステップS90へ進む。一方、最新の地図データに基づいて目標物が検索されなかった場合、すなわちその目標物が最新の地図データにおいて記録されておらず、過去の地図データに記録されている場合は、ステップS80へ進む。
【0036】
ステップS60において、制御部10は、ユーザから過去地図の表示要求があるか否かを判定する。ユーザは入力装置18を操作することにより、ナビゲーション装置1に対して過去地図の表示要求を行うことができる。ユーザから過去地図の表示要求がある場合はステップS70へ進み、ない場合はステップS90へ進む。
【0037】
ステップS70において、制御部10は、表示対象とする過去地図の世代および地域を設定する。世代の設定は、たとえば、HDD13において記録されている複数種類の地図データの世代にそれぞれ対応する年代を表示モニタ17に一覧表示し、そのうちいずれかを入力装置18の操作によってユーザに選択させることにより行われる。あるいは、ユーザに任意の年代を指定させ、その年代に対応する地図データの世代を設定してもよい。一方、地域の設定は、たとえば自車位置を中心とする所定の範囲、あるいはユーザが地図上で指示した地図上の地点を中心とする所定の範囲を指定することによって行われる。ステップS70を実行したら、ステップS80へ進む。
【0038】
ステップS80において、制御部10は、HDD13において記録された世代の異なる複数種類の地図データに基づいて、ステップS30で検索された目標物に対応する世代および地域の過去地図、またはステップS70で設定された世代および地域の過去地図を、表示モニタ17に表示する。このとき、元の地図データと当該世代の地図データとで異なる部分については、その差分が補完されて地図表示に反映される。ステップS80を実行したら、制御部10は図3のフローチャートを終了する。
【0039】
一方、ステップS90において制御部10は、HDD13において記録された世代の異なる複数種類の地図データに基づいて、最新の地図を表示モニタ17に表示する。このときステップS80と同様に、元の地図データと最新の地図データとで異なる部分については、その差分が補完されて地図表示に反映される。ステップS90を実行したら、制御部10は図3のフローチャートを終了する。
【0040】
以上説明したように、ステップS80またはS90のいずれかを実行することにより、制御部10は、世代の異なる複数種類の地図データに基づいて、世代の異なる複数種類の地図を表示モニタ17に表示することができる。
【0041】
ステップS80またはS90において表示される地図の例を図4および5に示す。図4は、ステップS90において表示される最新の地図の例であり、図5は、ステップS80において表示される過去の地図の例である。なお、これらの地図は、いずれも同一の地域を表している。
【0042】
図4の地図と図5の地図では、これらの地図の世代が異なるものであることを示すために、地図の表示色を互いに異なったものとしている。なお、表示色の代わりに、たとえば地図における濃淡、線の太さなどを変化させてもよい。あるいは、地図上に表示する自車位置マーク20の色や大きさなどを変化させてもよい。このように、地図の世代に応じて地図の表示形態、または地図上に表示する自車位置マーク20の表示形態のいずれか少なくとも一方を変化させることで、表示されている地図がどの世代のものであるかをユーザに分かりやすく知らせることができる。
【0043】
または、図4の地図と図5の地図とを重ね合わせて表示モニタ17に同時に表示してもよい。たとえば、両者の地図で一致する部分はそのまま表示し、異なっている部分のみを点滅表示または半透明状に表示することで、最新の地図と過去の地図との違いがユーザに分かるようにする。それ以外にも様々な表示形態により、世代の異なる複数種類の地図を互いに重ね合わせて表示することができる。
【0044】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)ナビゲーション装置1は、HDD13において、世代の異なる複数種類の地図データを記憶する。この複数種類の地図データに基づく処理を制御部10において実行する。すなわち、HDD13に記憶された複数種類の地図データに基づいて、過去に存在したが現在は存在していない目標物を検索したり(ステップS30)、世代の異なる複数種類の地図を表示モニタ17に表示したり(ステップS80、S90)することができる。このようにしたので、ナビゲーション装置1においてユーザの希望に応じた世代の地図を利用することができる。
【0045】
(2)ステップS80またはS90において地図を表示する際、制御部10は、その地図の世代に応じて、地図の表示形態、または地図上に表示する自車位置マークの表示形態のいずれか少なくとも一方を変化させることができる。このようにすれば、表示されている地図がどの世代のものであるかをユーザに分かりやすく知らせることができる。また制御部10は、最新の地図と過去の地図とを重ね合わせて表示モニタ17に表示することで、最新の地図と過去の地図との違いをユーザに知らせることもできる。
【0046】
(3)過去に存在したが現在は存在していない目標物をステップS30において検索した後にステップS80を実行する場合、制御部10は、その目標物に対応する世代の地図をステップS80において表示モニタ17に表示する。これにより、ユーザが昔の記憶を頼りにして目的地を探す際に好適な地図を表示することができる。
【0047】
なお、以上説明した実施の形態では、更新前の地図データと最新の地図データとの差分を更新地図データとしてナビゲーション装置1に提供することで、ナビゲーション装置1の地図データを更新する例を説明した。しかし、このようにはせず、更新前の地図データと重複する部分を更新地図データに含めてナビゲーション装置1に提供し、HDD13において記録してもよい。複数の世代に対応する地図データをHDD13に記録しておき、そのうちいずれかの世代をナビゲーション装置1において選択して利用できる限り、どのような地図データの形式であってもよい。
【0048】
また、本実施の形態に係るナビゲーション装置1では、世代の異なる地図データをHDD13に記録されるようにしたが、2世代前など、所定の世代までに対応する地図データを記録するようにしてもよい。これにより、HDD13の限りある容量が古い地図データによって早期に飽和してしまうことを防止することができる。
【0049】
また、本実施の形態に係るナビゲーション装置1では、各世代の地図データがそれぞれHDD13に記録され、ユーザの意思に基づいて、いずれの世代の地図であっても表示可能なようにした。しかし、地図データの更新を行う前やその後などにおいても、更新された地図(言い換えると、元の地図)を以後も表示可能とするか否かの選択肢をユーザに提供し、ユーザの選択に基づいて、当該世代に対応する地図データについてはHDD13に記録しないようにしてもよい。このような構成であれば、HDD13の限りある容量の効率的な利用を図ることができる。
【0050】
以上説明した実施の形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記実施の形態と変形例とを組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1:ナビゲーション装置、2:通信端末、3:通信回線網、4:配信サーバ、
5:DVD、6:USBメモリ、10:制御部、11:振動ジャイロ、
12:車速センサ、13:HDD、14:ディスクドライブ、
15:USBインタフェース、16:GPS受信部、17:表示モニタ、
18:入力装置、100:車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
世代の異なる複数種類の地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記複数種類の地図データに基づく処理を実行する制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、前記複数種類の地図データに基づいて、過去に存在したが現在は存在していない目標物を検索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、前記複数種類の地図データに基づいて、世代の異なる複数種類の地図を表示手段に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、前記地図の世代に応じて、前記地図の表示形態、または前記地図上に表示する自車位置マークの表示形態のいずれか少なくとも一方を変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、最新の地図と過去の地図とを重ね合わせて前記表示手段に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、前記複数種類の地図データに基づいて、前記検索された目標物に対応する世代の地図を表示手段に表示することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−47662(P2011−47662A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194039(P2009−194039)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】