説明

ナビゲーション装置

【課題】多数の人が集まるイベントに参加し、自宅や次の目的地に移動する際に、イベント開催による渋滞を回避することができる駐車場を案内する。
【解決手段】目的地を入力する入力手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、制御手段と、を備えたナビゲーション装置において、前記制御手段は、駐車場情報を参照して前記入力手段により入力された目的地周辺の駐車場を抽出するとともに、道路交通情報を参照し渋滞予測箇所を判別し、前記駐車場から予め設定された第2の目的地までの経路を探索して、前記探索した経路が有利な経路であった場合、前記探索した経路の出発地である駐車場を案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものであり、特に、個人用車両を利用して目的地に向かう際に利用する駐車場を案内するためのナビゲーション装置に関するものであり、多数の人が集まるイベントに参加し、その後、自宅あるいは次の目的地に移動する際に、渋滞を回避することができる駐車場を案内するようにしたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イベント会場やショッピングセンタ等、多数に人が集まる場所に個人用車両で向かう場合、駐車場が問題となる。例えば、大規模なイベント会場付近の駐車場は、直ぐに満車になることが多く、ユーザは、駐車場から長い距離を歩かなければならないような離れた場所にある駐車場を利用しなければならないことがある。
【0003】
更に、イベント終了後に自宅に帰宅することや次の目的地に移動することを考慮した場合、当然、イベント会場周辺の道路の渋滞が予想される。このため、渋滞を回避することができる駐車場をユーザに提示できると好ましい。
【0004】
特許文献1(特開2003−315076号公報)には、個人用車両を利用して目的地に向かう際、目的地の最寄りの駐車場を選出し、出発地からその駐車場を経由して目的地まで移動する経路を求めるようにした総合経路案内装置が開示されている。
【0005】
この特許文献1に開示された技術は、出発地から目的地まで利用する交通手段が、電車やバス等の公共交通機関であるのか、個人用車両であるのかを指定し、個人用車両が指定された場合には、目的地の最寄りの駐車場を選出し、複数の出発地・駐車場間経路と、複数の駐車場・目的地間経路とを求めた後、駐車場までの有料道路の通行料金、駐車料金、ガソリン代等、各経路に沿って移動するのにかかる料金を算出し、これらの複数の経路の中から、算出した料金が最も安い経路を決定するようにしたものである。
【0006】
また、この特許文献1に開示された技術は、交通手段として公共交通機関が指定された場合、電車やバスを乗り降りする最寄りの駅や停留所である発着駅を選出し、出発地・発駅間経路と、発着駅間経路と、着駅・目的地間経路とを求めた後、電車やバスの運賃等、各経路に沿って移動するのにかかる料金を算出し、これらの複数の経路の中から、算出した料金が最も安い経路を決定するようにしたものである。
【0007】
また、特許文献2(特開2006−226977号公報)には、イベントに関するリアルタイムな開催情報に基づき混雑を予測して目的地までのルートを探索するナビゲーション装置が示されている。このナビゲーション装置は、イベントの開催情報およびイベント開催時に混雑が予測される混雑情報を事前に記憶するデータベースを備え、イベント開催に関するリアルタイム情報と事前に記憶された開催情報とを比較し、比較結果に基づき混雑情報を更新し、渋滞予測情報を作成しその渋滞予測情報に基づいて目的地までのルート探索を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−315076号公報(段落[0055]〜[0060])
【特許文献2】特開2006−226977号公報(段落[0015]〜[0022])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示された総合経路案内装置は、出発地から目的地まで利用する交通手段として、公共交通機関か個人用車両のいずれか一方を指定した上で、駐車場を含め料金が最も安くなる経路を決定するものではあるが、渋滞の影響については何ら考慮されていない。
【0010】
また、上記特許文献2に開示されたナビゲーション装置においては、ユーザが所望する目的地までの経路の探索においてイベントの開催に伴う渋滞を予測し、その影響を受けない経路を探索するものであり、イベントに参加しないユーザがイベントの開催に伴う渋滞を回避することができる経路を提供するものである。しかしながら、このナビゲーション装置においては、イベント会場の周辺の駐車場に駐車した後、自宅や次の目的地に向かう際に、渋滞の影響を受けない駐車場を選出することは考慮されておらず、イベント開催による渋滞を回避することができる駐車場を案内することができないという問題点がある。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、個人用車両を利用して多数の人が集まるイベントに参加し、自宅や次の目的地に移動する際に、イベント開催による渋滞を回避することができる駐車場を案内することのできるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、目的地を入力する入力手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、制御手段と、を備えたナビゲーション装置において、前記制御手段は、駐車場情報を参照して前記入力手段により入力された目的地周辺の駐車場を抽出するとともに、道路交通情報を参照し渋滞予測箇所を判別し、前記駐車場から予め設定された第2の目的地までの経路を探索して、前記探索した経路が有利な経路であった場合、前記探索した経路の出発地である駐車場を案内することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記有利な経路とは、前記渋滞予測箇所を含まない経路であることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項2にかかるナビゲーション装置において、前記有利な経路とは、前記駐車場から予め設定された第2の目的地までの経路の所要時間または距離が最小の経路であることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項2にかかるナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記探索した経路が有利な経路であった場合、前記探索した経路の出発地である駐車場から前記入力された目的地までの経路を探索し、該探索した経路の所要時間または距離が最小の経路の出発地である駐車場を案内することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1ないし請求項4の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記制御手段は、イベント会場を含むイベント情報を参照し、前記入力手段により入力された目的地がイベント会場であるか否かを判別し、前記目的地がイベント会場であると判別した場合に、前記探索した経路の出発地である駐車場を案内することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1ないし請求項5の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記目的地周辺は、前記目的地を中心とした所定範囲内、前記目的地の最寄り駅を中心とした所定範囲内、および当該最寄り駅の前後の複数の駅を中心とした所定範囲内を含む範囲であることを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項1ないし請求項6の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記渋滞予測箇所は、過去の道路交通情報を参照して判別することを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項1ないし請求項7の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記渋滞予測箇所は、過去の道路交通情報およびイベント情報を参照して判別することを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項1ないし請求項8の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、前記イベント情報、前記道路交通情報、前記駐車場情報のうち1つ以上を受信する通信手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1にかかる発明においては、目的地を入力する入力手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、制御手段と、を備えたナビゲーション装置において、前記制御手段は、駐車場情報を参照して前記入力手段により入力された目的地周辺の駐車場を抽出するとともに、道路交通情報を参照し渋滞予測箇所を判別し、前記駐車場から予め設定された第2の目的地までの経路を探索して、前記探索した経路が有利な経路であった場合、前記探索した経路の出発地である駐車場を案内する。
【0022】
このような構成によれば、ユーザが個人用車両により目的地に移動する際に、目的地から自宅に帰宅する、あるいは、次の目的地に移動するのに有利な経路を持つ駐車場をユーザに案内することができるようになる。
【0023】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記有利な経路とは、前記渋滞予測箇所を含まない経路であるから、目的地から自宅に帰宅する、あるいは、次の目的地に移動するのに、渋滞に巻き込まれる可能性が低い駐車場を案内することができるようになる。
【0024】
請求項3にかかる発明においては、請求項2にかかるナビゲーション装置において、前記有利な経路とは、前記駐車場から予め設定された第2の目的地までの経路の所要時間または距離が最小の経路であるから、目的地から自宅に帰宅する、あるいは、次の目的地に移動するのに、渋滞に巻き込まれる可能性が低く、駐車場から自宅あるいは、次の目的地に最小の時間または距離で移動できる駐車場を案内することができるようになる。
【0025】
請求項4にかかる発明においては、請求項2にかかるナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記探索した経路が有利な経路であった場合、前記探索した経路の出発地である駐車場から前記入力された目的地までの経路を探索し、該探索した経路の所要時間または距離が最小の経路の出発地である駐車場を案内する。このような構成によれば、目的地から自宅に帰宅する、あるいは、次の目的地に移動するのに、渋滞に巻き込まれる可能性が低く、駐車場から入力された目的地まで最小の時間または距離で移動できる駐車場を案内することができるようになる。
【0026】
請求項5にかかる発明においては、請求項1ないし請求項4の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記制御手段は、イベント会場を含むイベント情報を参照し、前記入力手段により入力された目的地がイベント会場であるか否かを判別し、前記目的地がイベント会場であると判別した場合に、前記探索した経路の出発地である駐車場を案内する。このような構成によれば、目的地がイベント会場であった場合、イベント終了後に自宅に帰宅する、あるいは、次の目的地に移動するのに、イベントに起因して生じる渋滞に巻き込まれる可能性が低い駐車場を案内することができるようになる。
【0027】
請求項6にかかる発明においては、請求項1ないし請求項5の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記目的地周辺は、前記目的地を中心とした所定範囲内、前記目的地の最寄り駅を中心とした所定範囲内、および当該最寄り駅の前後の複数の駅を中心とした所定範囲内を含む範囲であるから、前記複数の駐車場をこの範囲で抽出することが可能となる。
【0028】
請求項7にかかる発明においては、請求項1ないし請求項6の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記渋滞予測箇所は、過去の道路交通情報を参照して判別するものであるから、過去の道路交通情報を用いることにより、より正確な渋滞予測を行うことができるようになる。
【0029】
請求項8にかかる発明においては、請求項1ないし請求項7の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記渋滞予測箇所は、過去の道路交通情報およびイベント情報を参照して判別するものであるから、過去の道路交通情報に、更に、イベント情報を加味して、より正確な渋滞予測を行うことができるようになる。
【0030】
請求項9にかかる発明においては、請求項1ないし請求項8の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、前記イベント情報、前記道路交通情報、前記駐車場情報のうち1つ以上を受信する通信手段を備える。これにより、イベント情報等の情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の具体例を実施形態及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0033】
図1は、本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置は、制御手段10、現在位置検出手段14、地図記憶手段15、経路探索手段16、通信手段17、入力手段18、表示手段19、音声報知手段20を備えて構成されている。
【0034】
制御手段10は、CPU11、ROM12、RAM13からなるプロセッサで構成され、ROM12、RAM13に記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置の各部の動作を制御するものである。
【0035】
現在位置検出手段14は、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの電波を受信するGPS受信機等で構成され、受信した電波に基づき現在位置を検出するものである。また、現在位置検出手段14は、距離センサ、方位センサ、舵角センサ等からなる自立航法装置を用いることもできる。
【0036】
なお、GPS衛星からの電波には、時刻情報も含まれ、現在位置検出手段14は、現在日時を検出することも可能である。
【0037】
地図記憶手段15は、道路の分岐地点等の結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む道路情報および地図画像を記憶している。道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐地点名称等が記憶されている。
【0038】
また、道路リンクデータには、始点及び終点となる道路ノード番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、制限速度、車線数、車道幅等の道路属性が含まれる。道路リンクデータには、さらに、道路属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、国道や都道府県道等の別を含む情報である。
【0039】
さらに、地図記憶手段15には、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、駐車場や主要な建物、商業施設、官公庁、駅等々の施設の位置をはじめとする施設位置、施設形状、施設名称を含む施設データからなる背景データが記憶されている。なお、施設データには、ランドマークなどの施設の画像、施設の駐車料金および、コンビニやホテルなどの施設の種別などを含んでいてもよい。
【0040】
さらにまた、地図記憶手段15には、歩行者用の地図データ、電車やバス等の公共交通機関の発着駅、停留所、時刻表等の路線情報や利用料金を含む交通機関情報が記憶されている。なお、歩行者用の地図データには、歩行者用に用いるために、上記道路情報より詳細な道路情報が記憶されている。
【0041】
経路探索手段16は、ユーザにより後述する入力手段18を介して目的地が入力されると、制御手段10の指示に従い、地図記憶手段15に記憶されている道路情報、歩行者用の道路情報、交通機関情報を参照し、現在位置又は出発地から目的地に至る個人用車両の経路又は、公共交通機関や徒歩による経路を探索する。
【0042】
例えば、個人用車両の経路の探索は、現在位置又は出発地に対応する道路ノードからユーザによって指定された目的地に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法等の各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間等を累積し、総リンク長又は総所要時間等が最短となる最適経路を探索する。そして、探索した最適経路及び探索した最適経路の出発地や目的地を含むデータ(以下、最適経路データ)を作成する。徒歩による経路も同様に、歩行者用の道路情報を用いて探索される。また、公共交通機関による経路は、発駅と着駅を特定することで、交通機関情報から探索することができる。
【0043】
なお、作成された最適経路データは、例えば、RAM13に記憶される。
【0044】
通信手段17は、インフラとして所定の監視地点に配備されている情報提供システム21との間で通信を行い、イベント情報、交通機関情報、駐車場情報(駐車場の駐車料金、駐車場の空き情報など)、全国の天気予報を含む天気情報、道路の交通規制や渋滞情報を含む道路交通情報を取得することができる。そして、制御手段10は、通信手段17を介して情報提供システム21から取得した情報をRAM13に保存する。
【0045】
ここで、イベント情報には、イベントの規模、イベントの種別(コンサート、プロ野球観戦など)、イベントの開催日時(イベントの開催日、開始時刻、終了時刻など)、イベント会場の位置等が含まれる。
【0046】
また、道路交通情報などの情報は、所定の時間間隔で取得することができ、前回、RAM13に保存した道路交通情報をリアルタイムで更新することができる。そして、道路交通情報に含まれる渋滞による所要時間を、地図記憶手段15に記憶された道路情報のリンクコスト(所要時間)に加えるなどして、渋滞の状況を加味した経路探索を行うことができる。また、ナビゲーション装置が歩行者用の経路、個人用車両を利用した経路に加え、交通機関を利用した経路を探索する場合には、道路交通情報に、鉄道会社が提供する路線データ、駅データ、時刻表データを含む構成としてもよい。
【0047】
また、リアルタイムに得られる道路交通情報は、当日の情報であるから、日時や曜日、天候が異なれば渋滞情報も異なるものになることが容易に推測できる。このため、過去に取得した道路交通情報を一定の期間蓄積して、蓄積した道路交通情報を用いて渋滞の予測を行い、経路探索に利用することもできる。すなわち、取得した道路交通情報を蓄積する際に、道路交通情報を取得したときの時刻、天候、曜日などの情報と、道路交通情報とを関連付けて蓄積しておく。そして、経路探索などにより通過が予定される道路を通過する際の通過予定時刻、通過が予定される道路を通過予定時刻で通過する際の天気予報などと、蓄積した道路交通情報とを比較し、通過が予定される道路、通過予定時刻、通過する際の天気とほぼ同一の条件の道路交通情報を蓄積した道路交通情報から読み出す。そして、通過予定時刻に通過が予定される道路の状態は、読み出した道路交通情報と同一の状態になることが予想される。
【0048】
なお、過去に取得した道路交通情報は、例えば、RAM13などに蓄積される。
【0049】
このような過去の道路交通情報が蓄積されたデータ、或いは、渋滞が予想される箇所も情報提供システム21から取得できる構成としてもよいが、ナビゲーション装置において過去の道路交通情報を蓄積しておき、渋滞を予測してもよい。更に、過去に取得した道路交通情報を蓄積する場合に、イベント情報と関連付けて蓄積するとなお好都合である。例えば、イベント会場、イベント開催日時、参加人数などのイベント情報を加味して道路交通情報を蓄積しておくことができる。
【0050】
つまり、例えば、取得した道路交通情報に含まれる渋滞情報に、道路Aの区間Bが渋滞している情報が含まれていた場合、道路交通情報を取得した際の日時、天候、曜日などを道路Aの区間Bの渋滞情報と共に関連付けて保存し、また、道路Aの区間Bから所定範囲内に、イベントが開催されていた場合には、イベント会場の位置、イベントの規模、イベントの種別なども道路Aの区間Bの渋滞情報と共に関連付けて保存する。
【0051】
また、イベントが開催される場合に、イベントの種別、イベント会場、イベントの開催日時などと関連付けてイベント会場周辺の渋滞情報を保存しておいてもよい。そして、同様のイベントの種別、イベント会場、イベント開催日時のイベントに参加する際に、保存したイベント会場周辺の渋滞情報を読み出すことで、イベントに関連したイベント会場周辺の渋滞を予測できる。
【0052】
また、駐車場の位置は固定的なものであるから、施設データとして予め地図記憶手段15に記憶しておくことができる。しかしながら、個々の駐車場の駐車スペースに空きがあるか否かの情報はリアルタイムに変化する情報であるから、ユーザに駐車場を案内するにあたって当該駐車場に空きスペースがあるか、満車であるかを判別して満車の駐車場を案内対象から除外できることが好ましい。このため、情報提供システム21から駐車場の空き情報が取得できる場合は、上記の道路交通情報、イベント情報などと同様に取得してRAM13ないしは地図記憶手段15に保存しておくとよい。
【0053】
なお、イベント情報や道路交通情報、駐車場の空き情報、過去の道路交通情報は、RAM13に保存される態様に限られるものではなく、例えば、地図記憶手段15に保存するように構成してもよい。
【0054】
入力手段18は、ナビゲーション装置における操作入力や出発地、目的地の入力を行う各種キー、スイッチなどから構成される。
【0055】
表示手段19は、地図画像や経路の画像、案内する駐車場の位置等を表示する液晶ディスプレイ等で構成される。なお、表示手段19は、個人用車両の経路、公共交通機関の経路及び徒歩の経路を表示することができる。また、この表示手段19は、タッチセンサを備えた入力手段として機能させることができる。この場合、ディスプレイ上に表示されたアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われる。
【0056】
音声報知手段20は、探索された最適経路や駐車場の位置、料金等を音声で案内するものであり、スピーカーなどで構成される。
【0057】
なお、制御手段10は、表示手段19介して、経路探索手段16により探索された最適経路の画像を表示するなどして、目的地までの経路案内を行う。
【0058】
本発明のナビゲーション装置においては、個人用車両を利用したユーザが目的地を設定して経路探索を要求した場合、目的地がイベント会場である場合、目的地周辺の駐車場を抽出し、抽出した各駐車場から自宅あるいは次の目的地までの最適経路を探索し、最適経路データを作成する。そして制御手段10は、道路交通情報を用いて渋滞を予測し、作成した最適経路データに含まれる最適経路に渋滞を予測した箇所(以下、渋滞予測箇所)があるか否かを判別し、最適経路に渋滞予測箇所がない最適経路データを記憶しておき、記憶された最適経路データのうち、最も最適経路のコスト(所要時間または距離など)が小さい最適経路データに含まれる出発地をユーザに案内する。
【0059】
なお、ここで、最適経路データに含まれる出発地は、抽出した各駐車場の何れかであるため、駐車場を案内することになる。
【0060】
このような処理を行うことにより、案内された駐車場からイベント終了後に自宅に帰宅する、あるいは、次の目的地に移動する際に、イベントに起因する渋滞に巻き込まれることなく移動することができるようになる。なお、上記の処理において抽出する駐車場の範囲は、駐車場から徒歩で目的地であるイベント会場に移動できる範囲内に制限しないことが好ましい。イベント会場に近い駐車場は誰しもが利用したくなるものであり、そのような駐車場は帰路に渋滞に遭遇する確率が極めて高いからである。
【0061】
そこで、抽出する駐車場の範囲を、例えば、イベント会場から半径xkmの範囲内とし、駐車場からイベント会場まで、交通機関を用いて移動できる距離範囲とするとよい。また、この範囲は駐車場からイベント会場まで交通機関を利用して移動することを考慮し、イベント会場の最寄り駅から2〜3駅手前や先の駅を含む範囲を設定しておくとよく、また、イベント会場の最寄り駅を中心とした所定範囲、最寄り駅から2〜3駅手前や先の駅を中心とした所定範囲も駐車場を抽出する範囲に加えるとよい。そのようにすれば、案内された駐車場とイベント会場間は、移動距離が長い、あるいは交通機関を用いて移動する必要があるものの、イベント終了後に駐車場から帰宅する際に渋滞に遭遇せずに移動できるようになり、ユーザは、トータルではイベントに参加して帰宅するまでの所要時間の小さい経路、駐車場を利用することができるようになる。
【0062】
次に、図2のフローチャートを用いて、以上説明した本実施形態のナビゲーション装置の動作手順を説明する。
【0063】
ナビゲーション装置は、通信手段17を介して外部の情報提供システム21から定期的に必要な情報を受信しているものとする(ステップS101)。必要な情報としては、例えば、イベント会場の位置情報およびイベントの開始時刻及び終了時刻等のイベント情報、道路交通情報、駐車場の駐車料金(時間当たりの駐車料金)および駐車場に空きがあるか否かを示す最新の空き情報などの駐車場情報、天気情報、路線及び時刻表を含む公共交通機関の最新の路線情報、利用料金等の交通機関情報がある。受信した情報は、RAM13または地図記憶手段15に保存される。ここでは、地図記憶手段15にこれらの情報が保存されているものとして以下の説明を行う。
【0064】
また、目的地がイベント会場であり、次の目的地が自宅(デフォルト)である場合、すなわち、ユーザが個人用車両を利用して所望のイベント会場に移動し、駐車場に車両を駐車してイベントに参加し、イベント終了後に個人用車両で駐車場から自宅に帰宅する場合を例に以下の説明を行う。勿論、次の目的地が自宅でない場合にも本処理を適用することが可能である。その場合には、イベント会場を第1目的地(経由地)とし、次の目的地を第2目的地として経路探索の条件を入力するように構成しておけばよい。
【0065】
まず、ユーザにより入力手段18を介して目的地が入力される(ステップS102)。制御手段10は、入力された目的地と、地図記憶手段15に保存してあるイベント情報を参照して各イベント会場の位置とを比較し、目的地がイベント会場であるか否かを判別する(ステップS103)。目的地がイベント会場でない場合(ステップS103の「NO」)には、ステップS112に進み、経路探索手段16により現在位置から目的地までの経路探索が実行され、目的地までの経路をユーザに案内して処理を終了する。
【0066】
目的地がイベント会場である場合(ステップS103の「YES」)は、制御手段10は、地図記憶手段15に保存した道路交通情報に基づいて該当するイベント会場周辺の渋滞予測箇所を判別してRAM13に一時記憶する(ステップS104)。
【0067】
ここで、制御手段10は、イベント情報および天気情報から、イベントの種別、イベントの会場の位置、イベント終了時刻、イベント終了時刻時の天気、を読み出し、イベントの種別、イベントの会場の位置、イベント終了時刻、イベント終了時刻時の天気と蓄積した道路交通情報と比較して、イベント会場周辺の渋滞予想箇所を予測する。また、予測方法はこれに限ることはなく、例えば、通信手段17を介して取得するイベント情報や道路交通情報などの情報から、目的地に設定されたイベント会場のイベントの規模が大きい、イベント会場付近の天気が悪い、イベント会場と駅などの公共機関との距離がある場合などに、渋滞が発生すると予想し、イベント会場に隣接するリンク、イベント会場から所定範囲の駐車場に隣接するリンクを渋滞予想箇所としてRAM13に一時記憶する。或いは、上記特許文献2のようにイベント開催情報を取得して、統計処理された道路交通情報を加味して渋滞予測箇所を予測してもよい。
【0068】
次いで制御手段10は、地図記憶手段15に記憶された施設データを参照して、目的地であるイベント会場の周辺の駐車場を抽出する(ステップS105)。経路探索手段16は制御手段10の指示を受けて、抽出した駐車場の1つから自宅までの最適経路を探索し(ステップS106)、最適経路データを作成する。制御手段10は、作成された最適経路データに含まれる最適経路に渋滞予測箇所があるか否かを判別する(ステップS107)。渋滞予測箇所がなければ(ステップS107の「NO」)、その最適経路データをRAM13に一時記憶する(ステップS108)。
【0069】
渋滞予測箇所があれば(ステップS107の「YES」)、その最適経路データは一時記憶せず、ステップS109に進み、抽出した全ての駐車場について、上記処理が完了したか否かを判別する。全ての処理が完了していなければ(ステップS109の「NO」)、ステップS106に戻り、次の駐車場を選択してステップS109までの処理を繰り返し、全ての処理が完了していれば(ステップS109の「YES」)、ステップS110の処理に進む。
【0070】
ステップS110の処理では、制御手段10はRAM13に一時記憶された最適経路データから、自宅までの最適経路コストが最も小さい最適経路データを選出する。次いで、制御手段10は、選出した最適経路データに含まれる駐車場を目的地として設定しなおし(ステップS111)、経路探索手段16により設定しなおした駐車場までの経路探索が行なわれ、当該駐車場までの最適経路をユーザに案内する(ステップS112)。すなわち、制御手段10は、表示手段19または音声報知手段20を介して当該駐車場を案内し、当該駐車場までの最適経路を用いて、当該駐車場までの経路案内を行う。なおステップS111では、選出された最適経路データに含まれる駐車場を目的地として設定しなおす手順ではなく、選出された最適経路データに含まれる駐車場を目的地であるイベント会場までの間の経由地として設定し、ステップS112で経由地を通過して目的地に至る経路探索を行う手順とすることもできる。そのようにすれば、現在位置から駐車場までの個人車両の経路、駐車場から目的地(イベント会場)までの徒歩経路、あるいは交通機関の経路を案内をすることができる。
【0071】
また、ステップS105の駐車場の抽出処理の際に、駐車スペースの空きがあるか否かを示すリアルタイムな情報を利用できる場合には、空きスペースのない駐車場を抽出対象から除外するようにすることもできる。更に、ステップS106〜ステップS110の処理を、車両が目的地であるイベント会場に所定の距離範囲まで接近した時点で行うようにするとよい。駐車場の空きスペースの有無はリアルタイムに変化するものであるから、あまり早い時点でこの処理を行うと、車両が案内された駐車場に接近するまでの間に空きスペースが埋まってしまう場合があるからである。
【0072】
なお、ステップS103において、ユーザにより設定された目的地がイベント会場か否かを判定する際に、設定された目的地がイベント会場を中心とした所定範囲内か否かで判定してもよいし、目的地が設定された際に、ユーザに表示手段19などを介して、イベントに参加するか否かを選択させるようにしてもよい。
【0073】
また、ステップS110において、記憶した最適経路データのうち、自宅までの最適経路の経路コストが最も小さい最適経路データを選出したが、これに限ることはなく、記憶した最適経路データに含まれる駐車場から目的地までの最適経路を地図記憶手段15を参照して探索し、探索した最適経路の経路コストが最も小さい最適経路データを選出してもよい。
【0074】
また、上記実施例では、イベント情報、道路交通情報、駐車場情報などの情報を通信手段17を介して取得したが、これに限ることはなく、予め地図記憶手段15などに記憶してある構成としてもよい。
【0075】
また、上記実施例では、イベント会場周辺の渋滞予想箇所を判別した後、抽出した駐車場から自宅までの最適経路を探索し、探索した最適経路に判別した渋滞予想箇所があるか否かを判別したが、これに限ることはなく、始めに、抽出した駐車場から自宅までの最適経路を探索し、探索した最適経路に渋滞予想箇所があるか否かを判別してもよい。
【符号の説明】
【0076】
10・・・制御手段
11・・・CPU
12・・・ROM
13・・・RAM
14・・・現在位置検出手段
15・・・地図記憶手段
16・・・経路探索手段
17・・・通信手段
18・・・入力手段
19・・・表示手段
20・・・音声報知手段
21・・・情報提供システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地を入力する入力手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、制御手段と、を備えたナビゲーション装置において、
前記制御手段は、駐車場情報を参照して前記入力手段により入力された目的地周辺の駐車場を抽出するとともに、道路交通情報を参照し渋滞予測箇所を判別し、前記駐車場から予め設定された第2の目的地までの経路を探索して、前記探索した経路が有利な経路であった場合、前記探索した経路の出発地である駐車場を案内することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記有利な経路とは、前記渋滞予測箇所を含まない経路であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記有利な経路とは、前記駐車場から予め設定された第2の目的地までの経路の所要時間または距離が最小の経路であることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記探索した経路が有利な経路であった場合、前記探索した経路の出発地である駐車場から前記入力された目的地までの経路を探索し、該探索した経路の所要時間または距離が最小の経路の出発地である駐車場を案内することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御手段は、イベント会場を含むイベント情報を参照し、前記入力手段により入力された目的地がイベント会場であるか否かを判別し、前記目的地がイベント会場であると判別した場合に、前記探索した経路の出発地である駐車場を案内することを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記目的地周辺は、前記目的地を中心とした所定範囲内、前記目的地の最寄り駅を中心とした所定範囲内、および当該最寄り駅の前後の複数の駅を中心とした所定範囲内を含む範囲であることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記渋滞予測箇所は、過去の道路交通情報を参照して判別することを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記渋滞予測箇所は、過去の道路交通情報およびイベント情報を参照して判別することを特徴とする請求項1ないし請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記ナビゲーション装置は、前記イベント情報、前記道路交通情報、前記駐車場情報のうち1つ以上を受信する通信手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−75392(P2011−75392A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226808(P2009−226808)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】