説明

ナビゲーション装置

【課題】個人用車両を利用して目的地に向かう際、駐車料金を含めた費用が最も安くなる駐車場を案内することのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】目的地を入力する入力手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、複数の駐車場の位置及び駐車料金を含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得手段と、公共交通機関の路線情報及び利用料金を含む交通機関情報を取得する交通機関情報取得手段と、前記地図情報、前記駐車場情報及び前記交通機関情報に基づき、前記入力手段を介して指定された出発地または前記現在位置から前記複数の駐車場のうち1つを経由して前記目的地まで至る経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路の利用料金と前記経由した駐車場の駐車料金とを合計した合計料金を算出する料金算出手段と、前記合計料金が最も安い経路を案内する経路案内手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものであり、特に、個人用車両を利用して目的地に向かう際に利用する駐車場を案内するためのナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イベント会場やショッピングセンタ等に個人用車両で向かう場合、駐車場が問題となる。例えば、大規模なイベント会場付近の駐車料金の安い駐車場は、直ぐに満車になるため、ユーザは、駐車料金の高い駐車場を利用するか、あるいは、駐車場から長い距離を歩かなければならないような離れた場所にある駐車料金の安い駐車場を利用しなければならないことがある。
【0003】
この場合、ユーザは、高い駐車料金を払うか、駐車料金の安い駐車場からイベント会場まで長い距離を歩いて移動するか、あるいは、駐車料金の安い駐車場からイベント会場までバスや電車等の公共交通機関を利用して移動するかの選択を迫られることになる。なお、駐車場がイベント会場から離れているときには、イベント会場への経路も確認しておかなければならない。
【0004】
特許文献1(特開2003−315076号公報)には、個人用車両を利用して目的地に向かう際、目的地の最寄りの駐車場を選出し、出発地からその駐車場を経由して目的地まで移動する経路を求めるようにした総合経路案内装置が開示されている。
【0005】
この特許文献1に開示された技術は、出発地から目的地まで利用する交通手段が、電車やバス等の公共交通機関であるのか、個人用車両であるのかを指定し、個人用車両が指定された場合には、目的地の最寄りの駐車場を選出し、複数の出発地・駐車場間経路と、複数の駐車場・目的地間経路とを求めた後、駐車場までの有料道路の通行料金、駐車料金、ガソリン代等、各経路に沿って移動するのにかかる料金を算出し、これらの複数の経路の中から、算出した料金が最も安い経路を決定するようにしたものである。
【0006】
また、この特許文献1に開示された技術は、交通手段として公共交通機関が指定された場合、電車やバスを乗り降りする最寄りの駅や停留所である発着駅を選出し、出発地・発駅間経路と、発着駅間経路と、着駅・目的地間経路とを求めた後、電車やバスの運賃等、各経路に沿って移動するのにかかる料金を算出し、これらの複数の経路の中から、算出した料金が最も安い経路を決定するようにしたものである。
【0007】
また、特許文献2(特開平10−332405号公報)には、駐車場から目的地までの経路を再探索するようにした再探索機能を備えた車両用ナビゲーション装置及びその記録媒体が開示されている。この特許文献2に開示された技術は、目的地までの経路案内の途中で車両が駐車場に進入したことを検出した場合、駐車場から目的地までの経路を再度探索して出力することにより、車両で目的地まで行けない場合であっても、確実に目的地まで案内することを可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−315076号公報(段落[0055]〜[0060])
【特許文献2】特開平10−332405号公報(段落[0004]、[0024])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示された総合経路案内装置は、出発地から目的地まで利用する交通手段として、公共交通機関か個人用車両のいずれか一方を指定した上で、料金が最も安くなる経路を決定するようにしたものであり、公共交通機関及び個人用車両の双方を組み合わせたときの料金を考慮して経路を決定していないため、必要な料金が必ずしも最も安くなるとは限らない。また、選出する駐車場の範囲によっては、安い駐車場を選択できない場合もある。
【0010】
また、上記特許文献2に開示された再探索機能を備えた車両用ナビゲーション装置及びその記録媒体は、駐車場等の料金を考慮していないため、移動に必要な料金を予測することができない。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、個人用車両を利用して目的地に向かう際、駐車料金を含めた費用が最も安くなる駐車場を案内することのできるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本願の請求項1にかかる発明は、目的地を入力する入力手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、複数の駐車場の位置及び駐車料金を含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得手段と、公共交通機関の路線情報及び利用料金を含む交通機関情報を取得する交通機関情報取得手段と、前記地図情報、前記駐車場情報及び前記交通機関情報に基づき、前記入力手段を介して指定された出発地または前記現在位置から前記複数の駐車場のうち1つを経由して前記目的地まで至る経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路の利用料金と前記経由した駐車場の駐車料金とを合計した合計料金を算出する料金算出手段と、前記合計料金が最も安い経路を案内する経路案内手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記経路探索手段は、前記複数の駐車場から目的地に至る経路を探索し、前記料金算出手段は、該探索された複数の経路の合計料金を夫々算出することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記料金算出手段は、前記探索された経路と前記交通機関情報とに基づき、前記探索された経路の利用料金を算出することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記経路探索手段は、前記駐車場情報に基づいて前記目的地周辺に存在する駐車場を抽出し、抽出した駐車場を用いて経路を探索することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記駐車場情報は、駐車場に空きがあるか否かを示す空き情報を含み、前記経路探索手段は、空きがある駐車場を用いて経路を探索することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記経路案内手段は、前記合計料金が最も安い経路が複数ある場合、前記駐車場から前記目的地までの経路の所要時間が最も短い経路を案内することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、イベント会場の位置を含むイベント情報を取得するイベント情報取得手段を備え、前記経路案内手段は、前記入力手段により入力された前記目的地が、前記イベント情報取得手段により取得された前記イベント情報に含まれるイベント会場に一致するとき、前記合計料金が最も安い経路を案内することを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項7に記載のナビゲーション装置において、前記駐車料金は、前記イベント情報に含まれるイベント開始時刻及び終了時刻と前記駐車場から前記目的地までの経路の所要時間とに基づき算出されることを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報は、前記地図記憶手段に記憶され、前記駐車場情報取得手段、前記交通機関情報取得手段および前記イベント情報取得手段の何れか1つ以上は、前記地図記憶手段から前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報を取得することを特徴とする。
【0021】
また、本願の請求項10にかかる発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、さらに、通信手段を備え、前記駐車場情報取得手段、前記交通機関情報取得手段および前記イベント情報取得手段の何れか1つ以上は、前記通信手段を介して、前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1にかかる発明においては、目的地を入力する入力手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、複数の駐車場の位置及び駐車料金を含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得手段と、公共交通機関の路線情報及び利用料金を含む交通機関情報を取得する交通機関情報取得手段と、前記地図情報、前記駐車場情報及び前記交通機関情報に基づき、前記入力手段を介して指定された出発地または前記現在位置から前記複数の駐車場のうち1つを経由して前記目的地まで至る経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路の利用料金と前記経由した駐車場の駐車料金とを合計した合計料金を算出する料金算出手段と、前記合計料金が最も安い経路を案内する経路案内手段と、を備える。
【0023】
このような構成によれば、合計料金が最も安い経路を案内することができる。
【0024】
また、本願の請求項2にかかる発明においては、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記経路探索手段は、前記複数の駐車場から目的地に至る経路を探索し、前記料金算出手段は、該探索された複数の経路の合計料金を夫々算出する。
【0025】
このような構成によれば、前記複数の駐車場から目的地に至る経路の合計料金が最も安い経路を案内することができる。
【0026】
また、本願の請求項3にかかる発明においては、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記料金算出手段は、前記探索された経路と前記交通機関情報とに基づき、前記探索された経路の利用料金を算出するため、探索された経路の利用料金が算出できる。
【0027】
また、本願の請求項4にかかる発明においては、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記経路探索手段は、前記駐車場情報に基づいて前記目的地周辺に存在する駐車場を抽出し、抽出した駐車場を用いて経路を探索するため、目的地から離れた駐車場を用いて経路を探索することがない。
【0028】
また、本願の請求項5にかかる発明においては、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記駐車場情報は、駐車場に空きがあるか否かを示す空き情報を含み、前記経路探索手段は、空きがある駐車場を用いて経路を探索するため、利用できない駐車場を用いて経路を探索することがない。
【0029】
また、本願の請求項6にかかる発明においては、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記経路案内手段は、前記合計料金が最も安い経路が複数ある場合、前記駐車場から前記目的地までの経路の所要時間が最も短い経路を案内するため、料金が安くて、且つ、所要時間が短い経路が案内できる。
【0030】
また、本願の請求項7にかかる発明においては、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、イベント会場の位置を含むイベント情報を取得するイベント情報取得手段を備え、前記経路案内手段は、前記入力手段により入力された前記目的地が、前記イベント情報取得手段により取得された前記イベント情報に含まれるイベント会場に一致するとき、前記合計料金が最も安い経路を案内するため、イベント会場に向かうときのみに、合計料金が最も安い経路を案内することができる。
【0031】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項7に記載のナビゲーション装置において、前記駐車料金は、前記イベント情報に含まれるイベント開始時刻及び終了時刻と前記駐車場から前記目的地までの経路の所要時間とに基づき算出されるため、ユーザが駐車時間の指定を行わなくとも駐車料金が算出できる。
【0032】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報は、前記地図記憶手段に記憶され、前記駐車場情報取得手段、前記交通機関情報取得手段および前記イベント情報取得手段の何れか1つ以上は、前記地図記憶手段から前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報を取得するため、前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報が取得できる。
【0033】
また、本願の請求項10にかかる発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、さらに、通信手段を備え、前記駐車場情報取得手段、前記交通機関情報取得手段および前記イベント情報取得手段の何れか1つ以上は、前記通信手段を介して、前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報を取得するため、前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報が取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置の動作フローチャートである。
【図3】現在位置から駐車場を経由してイベント会場に至る複数の経路の模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の具体例を実施形態及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【0037】
制御手段10は、CPU11、ROM12、RAM13からなるプロセッサで構成され、ROM12、RAM13に記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置の各部の動作を制御するものである。なお、後述するように、制御手段10は、選択した駐車場及び経路を利用した場合に必要な料金を算出する料金算出手段として機能し、また、制御手段10は、後述する地図記憶手段15に記憶された施設データおよび交通機関情報、或いは、通信手段17を介して受信されるイベント情報、駐車場情報および交通機関情報を取得するイベント情報取得手段、駐車場情報取得手段及び交通機関情報取得手段として機能する。
【0038】
現在位置検出手段14は、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの電波を受信するGPS受信機等で構成され、受信した電波に基づき現在位置を検出するものである。また、現在位置検出手段14は、距離センサ、方位センサ、舵角センサ等からなる自立航法装置を用いることもできる。
【0039】
なお、GPS衛星からの電波には、時刻情報も含まれ、現在位置検出手段14は、現在日時を検出することも可能である。
【0040】
地図記憶手段15は、自家用車等の車両用および歩行者用の道路情報が記憶されている。道路情報には、道路の分岐地点等の結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとが含まれ、道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐地点名称等が記憶されている。
【0041】
また、道路リンクデータには、始点及び終点となる道路ノード番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、制限速度、車線数、車道幅等の道路属性が含まれる。道路リンクデータには、さらに、道路属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、国道や都道府県道等の別を含む情報である。
【0042】
さらに、地図記憶手段15には、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、駐車場の位置情報をはじめとする施設位置、施設形状、施設名称を含む施設データからなる背景データが記憶されている。なお、施設データには、ランドマークなどの施設の画像、施設の駐車料金および、コンビニやホテルなどの施設の種別などを含んでいてもよい。
【0043】
さらにまた、地図記憶手段15には、電車やバス等の公共交通機関の発着駅、停留所、時刻表等の路線情報や利用料金を含む交通機関情報が記憶されている。
【0044】
経路探索手段16は、ユーザにより後述する入力手段18を介して目的地が入力されると、制御手段10の指示に従い、地図記憶手段15に記憶されている車両用および歩行者用の道路情報、交通機関情報を参照し、現在位置又は出発地から目的地に至る車両用の経路又は、現在位置又は出発地から駐車場に至る車両用の経路及び駐車場から目的地に至る公共交通機関や徒歩による経路を探索する。
【0045】
例えば、車両用の経路の探索は、現在位置又はユーザによって指定された出発地に対応する道路ノードからユーザによって指定された目的地に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法等の各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間等を累積し、総リンク長又は総所要時間等が最短となる経路を最適経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを最適経路データとして提供するものである。徒歩による経路も同様に、歩行者用の道路情報を用いて探索する。公共交通機関による経路は、例えば、駐車場の最寄りの駅と目的地の最寄りの駅を、発駅と着駅として特定し、駐車場から当該発駅までの歩行者用の経路および当該着駅から目的地までの歩行者用の経路を歩行者用の道路情報を用いて探索し、発駅から着駅までの経路を、交通機関情報を用いて探索し、探索した夫々の経路を連結することで、公共交通機関による経路を探索する。
【0046】
通信手段17は、無線通信装置などで構成され、例えば、インフラとして所定の地点に配備されているVICS(登録商標)等の情報提供システムを介して通信を行い、イベント会場の位置およびイベントの開始時刻及び終了時刻等のイベント情報、駐車場の位置、駐車料金(時間当たりの駐車料金)および、駐車場に空きがあるか否かを示す最新の空き情報を含む駐車場情報、時刻表を含む公共交通機関の最新の路線情報、利用料金等の交通機関情報を定期的に取得するものである。なお、イベント会場には、ショッピングモール等の大規模商店街を含めることができる。また、これらの情報は、イベント情報等を送信するサーバから受信するようにしてもよい。
【0047】
入力手段18は、ナビゲーション装置における操作入力や出発地、目的地の入力を行う各種キー、スイッチなどから構成される。
【0048】
表示手段19は、地図画像や経路の画像、案内する駐車場の位置等を表示する経路案内手段として機能するものであり、液晶ディスプレイ等で構成される。なお、表示手段19は、車両用の経路、公共交通機関の経路及び徒歩の経路を表示することができる。また、この表示手段19は、タッチセンサを備えた入力手段として機能させることができる。この場合、ディスプレイ上に表示されたアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われる。
【0049】
音声報知手段20は、探索された経路や駐車場の位置、料金等を音声で案内するものであり、経路案内手段として機能する。
【0050】
次に、図2のフローチャート及び図3の模式図を用いて、本実施形態のナビゲーション装置の動作を説明する。
【0051】
なお、図3は、現在位置Sにいる個人用車両を利用したユーザが、共通の車道である経路21を介して分岐点Bに至り、次いで、各駐車場P1〜P3までの車道である各経路22〜24の1つを介して利用可能な駐車場P1〜P3に到着し、そこで車両を駐車させた後、歩行者用の歩道である経路25、電車やバス等の公共交通機関の路線である経路26、27の1つを介して目的地であるイベント会場に向かう場合を例示したものである。実線は車道、点線は歩道、横線付き実線は公共交通機関の路線を表している。また、公共交通機関として、レンタルサイクル等を利用することもできる。
【0052】
ナビゲーション装置は、通信手段17を介して外部の情報提供システムから定期的に必要な情報を受信する(ステップS101)。必要な情報としては、例えば、大規模なイベント会場の位置およびイベントの開始時刻及び終了時刻等のイベント情報、駐車場の位置情報、駐車料金(時間当たりの駐車料金)および駐車場に空きがあるか否かを示す最新の空き情報を含む駐車場情報、路線及び時刻表を含む公共交通機関の最新の路線情報、利用料金等の交通機関情報がある。受信した情報は、地図記憶手段15に対応付けられてRAM13に記憶される。
【0053】
次に、ユーザにより入力手段18を介して目的地が入力されると(ステップS102)、制御手段10は、入力された目的地と、通信手段17を介して受信したイベント会場の位置とを比較し、目的地がイベント会場でない場合には(ステップS103の「N」)、目的地周辺の駐車場の混雑が予想されないため、現在位置から目的地までの車両用の経路探索を経路探索手段16に指示する。なお、ユーザによって、徒歩による経路または公共交通機関による経路が指定された場合は、ユーザによって指定された経路を探索する。
【0054】
経路探索手段16は、制御手段10からの指示に従い、現在位置検出手段14により検出された現在位置と、入力された目的地と、地図記憶手段15に記憶されている道路ノードデータ及び道路リンクデータを含む道路情報とに基づき、目的地までの最適な経路を探索する(ステップS104)。なお、探索された経路は、表示手段19に表示される。ユーザは、表示された経路に従って目的地まで車両を移動させることができる。
【0055】
一方、ステップS102で入力された目的地がイベント会場である場合(ステップS103の「Y」)、その周辺の駐車場の混雑が予想されるため、制御手段10は、駐車場を経由する経路の案内を行う。なお、目的地がイベント会場であるか否かに関わらず、入力手段18を介してユーザが後述する合計料金の安い駐車場の案内を指定した場合は、駐車場を経由する経路の案内を強制的に行わせるようにしてもよい。
【0056】
そして、制御手段10は、通信手段17を介して受信した最新の駐車場情報に基づき、利用可能な駐車場、すなわち、空きのある駐車場P1〜P3を抽出する(ステップS105)。この場合、対象とする駐車場の範囲は、必ずしも指定された目的地であるイベント会場の周辺、例えば、イベント会場を中心として半径数百メートルといった所定の範囲以内に限定されるものではない。例えば、駐車場からイベント会場まで電車やバス等の公共交通機関を利用できる場合、イベント会場の最寄りにある交通機関の乗降場所(駅や停留所など)から、例えば2駅程度以内の駅または停留所の周辺を含めた範囲に拡大することが可能である。
【0057】
利用可能な複数の駐車場P1〜P3を抽出した後、各駐車場P1〜P3から目的地であるイベント会場までの徒歩による経路および公共交通機関による経路を探索する(ステップS106)。経路探索手段16は、抽出した各駐車場P1〜P3の位置と、イベント会場の位置と、地図記憶手段15に記憶されている公共交通機関の発着駅、停留所、時刻表等の路線情報及び歩行者用の道路情報とに基づき、各駐車場P1〜P3からイベント会場までの徒歩による経路および公共交通機関による経路を夫々探索し、探索した経路の内、距離又は所要時間等が最短となる経路25〜27を探索する。なお、図3では、P1およびP3の近くに駅又は停留所があり、P1およびP3から公共交通機関を利用した経路26および27が最短の経路として探索され、P2では、駅又は停留所が遠い、或いは、公共交通機関を利用すると待ち時間が長いなどにより、徒歩による経路25が最短の経路として探索された例を示している。
【0058】
ここで、イベント会場への到着時刻が指定されている場合、現在位置検出手段14により検出される現在時刻または入力手段18を介して指定された出発時刻と、現在位置または指定された出発地から駐車場を経由しイベント会場まで至る経路の所要時間も条件に加えて探索し、指定された到着時刻に間に合わない経路及び駐車場を対象から排除するようにしてもよい。
【0059】
次に、探索された各経路25〜27の利用料金を算出する(ステップS107)。例えば、公共交通機関を利用する経路26、27の場合、地図記憶手段15に記憶されている駐車場P1、P3の最寄りの駅、停留所から、イベント会場の最寄りの駅、停留所までの電車やバスの往復の利用料金を算出する。徒歩による経路25の場合には、通常、利用料金が発生することはない。
【0060】
また、抽出された各駐車場P1〜P3の駐車料金を算出する(ステップS108)。駐車料金の算出に際しては、イベント情報に含まれるイベントの開始時刻から終了時刻までのイベント時間と、経路25〜27の夫々の経路を往復するのに要する時間とを加算した時間を、各駐車場P1〜P3に車両を駐車させる時間とし、この時間から駐車料金を算出することが好ましい。また、ユーザが駐車時間を指定し、指定した駐車時間から駐車料金を算出するようにしてもよい。なお、駐車料金が時間帯により異なる場合は、経路を探索する際に、現在位置検出手段14により検出される現在時刻と、地図記憶手段15を参照して算出される現在位置から駐車場までの所要時間とから、当該駐車場に到着する予想到着時刻を算出し、予想到着時刻から駐車時間を加算した時間帯の駐車料金を算出するようにしてもよい。なお、ステップS107、S108の処理は、順不同である。
【0061】
次いで、ステップS107で算出した経路25〜27の利用料金と、ステップS108で算出した駐車場P1〜P3の駐車料金とを加算し、駐車場P1及び経路26、駐車場P2及び経路25、駐車場P3及び経路27を利用してイベント会場まで往復する場合の各合計料金を算出する(ステップS109)。算出された各合計金額は、駐車場および経路と対応付けてRAM13などに記憶させておく。
【0062】
抽出した駐車場P1〜P3についてそれぞれ合計料金を算出するまではステップS106〜ステップS109の処理を繰り返し(ステップS110の「N」)、駐車場P1〜P3について全ての合計料金を算出した後(ステップS110の「Y」)、制御手段10は、RAM13に記億された各合計金額に基づいて合計料金が最も安い駐車場及び経路を選択する(ステップS111)。この場合、合計料金が同一となる複数の駐車場及び経路の組み合わせがあったときには、駐車場からイベント会場までの移動時間が最も短いものを選択することが好ましい。
【0063】
イベント会場までの駐車場及び経路を選択した後、経路探索手段16により現在位置Sから選択した駐車場までの車両用の最適な経路21〜24が探索される(ステップS112)。すなわち、ステップS111において、P1を選択した場合には経路21および22が探索され、P2を選択した場合には経路21および23が探索され、P3を選択した場合には経路21および24が探索される。そして、制御手段10は、ステップS112で探索された経路とステップS111で選択した経路とを連結した経路を表示手段19および音声報知手段20を介して案内する。ここで、ステップS112で探索された経路とステップS111で選択した経路とを連結した経路は、現在位置あるいは出発地から駐車場を経由して目的地に至る経路となる。また、ステップS112において、経路探索手段16は、現在位置あるいは出発地からステップS111で制御手段10が選択した駐車場を経由して目的地に至る経路を探索してもよい。
【0064】
以上のようにして、現在位置Sから選択した駐車場P1〜P3までの経路と、選択した駐車場P1〜P3からイベント会場までの経路とが決定される。これにより、駐車場P1〜P3の駐車料金と、イベント会場の往復に要する公共交通機関の利用料金との合計料金が最も安くなる駐車場及び経路が選択されたことになる。
【0065】
なお、ステップS105で抽出した駐車場P1〜P3の空き情報は、時々刻々と変動しているため、目的地にある程度近づいてから駐車場の選択処理を実行することが好ましい。例えば、駐車場及び経路の選択に先立ち、現在位置Sから抽出した各駐車場P1〜P3までの経路21〜24を探索し、各駐車場P1〜P3までの共通の経路である現在位置Sから分岐点Bまでの経路21を決定した後、この経路21を車両が走行して分岐点Bに近づいた時点で、抽出した駐車場P1〜P3の空き情報を再度確認し、合計料金が最も安く、且つ、空きのある駐車場及び経路を選択するようにすれば、車両を駐車場に駐車できる確率がさらに向上する。
【0066】
以上、詳細に説明したように、本実施形態のナビゲーション装置によれば、利用可能な駐車場P1〜P3を抽出し、駐車場の駐車料金と、駐車場からイベント会場までの公共交通機関の利用料金との合計料金が最も安い駐車場P1〜P3を選択して案内することができる。この場合、公共交通機関を利用する場合も考慮して料金を算出しているため、費用が最も安くなる駐車場をユーザに案内することができる。また、複数の駐車場を抽出する際、空き状態の駐車場を抽出しているため、当該駐車場に到着したものの、満車状態であるため、駐車場を再度探索しなければならいない、といった不具合を可能な限り回避することができる。
【0067】
なお、上記実施例では、イベント会場の位置およびイベントの開始時刻及び終了時刻を含むイベント情報は、通信手段17を介して受信されたが、これに限ることはなく、例えば、地図記憶手段15などに予めイベント情報を記憶しておいてもよい。
【0068】
また、上記実施例では、各駐車場P1〜P3の駐車料金と各駐車場P1〜P3からイベント会場までの経路の利用料金との合計料金を算出し、合計料金が最も安い駐車場又は経路を選択したが、これ限ることはなく、例えば、各駐車場P1〜P3までの経路22〜24の利用料金も合計料金に加算するようにしてもよい。
【0069】
なお、ステップS103において、ユーザにより設定された目的地がイベント会場か否かを判定する際に、設定された目的地がイベント会場を中心とした所定範囲内か否かで判定してもよいし、目的地が設定された際に、ユーザに表示手段19などを介して、イベントに参加するか否かを選択させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10・・・制御手段
11・・・CPU
12・・・ROM
13・・・RAM
14・・・現在位置検出手段
15・・・地図記憶手段
16・・・経路探索手段
17・・・通信手段
18・・・入力手段
19・・・表示手段
20・・・音声報知手段
21〜27・・・経路
S・・・現在位置
B・・・分岐点
P1〜P3・・・駐車場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地を入力する入力手段と、
地図情報を記憶する地図記憶手段と、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
複数の駐車場の位置及び駐車料金を含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得手段と、
公共交通機関の路線情報及び利用料金を含む交通機関情報を取得する交通機関情報取得手段と、
前記地図情報、前記駐車場情報及び前記交通機関情報に基づき、前記入力手段を介して指定された出発地または前記現在位置から前記複数の駐車場のうち1つを経由して前記目的地まで至る経路を探索する経路探索手段と、
前記探索された経路の利用料金と前記経由した駐車場の駐車料金とを合計した合計料金を算出する料金算出手段と、
前記合計料金が最も安い経路を案内する経路案内手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路探索手段は、前記複数の駐車場から目的地に至る経路を探索し、
前記料金算出手段は、該探索された複数の経路の合計料金を夫々算出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記料金算出手段は、前記探索された経路と前記交通機関情報とに基づき、前記探索された経路の利用料金を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路探索手段は、前記駐車場情報に基づいて前記目的地周辺に存在する駐車場を抽出し、抽出した駐車場を用いて経路を探索することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記駐車場情報は、駐車場に空きがあるか否かを示す空き情報を含み、
前記経路探索手段は、空きがある駐車場を用いて経路を探索することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記経路案内手段は、前記合計料金が最も安い経路が複数ある場合、前記駐車場から前記目的地までの経路の所要時間が最も短い経路を案内することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
イベント会場の位置を含むイベント情報を取得するイベント情報取得手段を備え、
前記経路案内手段は、前記入力手段により入力された前記目的地が、前記イベント情報取得手段により取得された前記イベント情報に含まれるイベント会場に一致するとき、前記合計料金が最も安い経路を案内することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記駐車料金は、前記イベント情報に含まれるイベント開始時刻及び終了時刻と前記駐車場から前記目的地までの経路の所要時間とに基づき算出されることを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報は、前記地図記憶手段に記憶され、前記駐車場情報取得手段、前記交通機関情報取得手段および前記イベント情報取得手段の何れか1つ以上は、前記地図記憶手段から前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報を取得することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記ナビゲーション装置は、さらに、通信手段を備え、
前記駐車場情報取得手段、前記交通機関情報取得手段および前記イベント情報取得手段の何れか1つ以上は、前記通信手段を介して、前記駐車場情報、前記交通機関情報、前記イベント情報のうち1つ以上の情報を取得することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−75393(P2011−75393A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226809(P2009−226809)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】