説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザーが経路を確実に認識することができる携帯型のナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ユーザーに携帯され、予め設定された目的地までの経路を検索し、この経路に従って経路案内を行う携帯型のナビゲーション装置1において、筐体10に作用させる力の向きで曲がるべき方向を知らせる力発生手段9を備え、力発生手段9が筐体10に作用させる力を曲がるべき地点に近づくにつれて強めて曲がるべき地点を知らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーに携帯され、ユーザーによって入力された出発地及び目的地の情報から経路を検索し、この経路に従って経路案内を行う携帯型のナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の表示画面上に地図を表示し、この地図上に進行方向を表す矢印を表示するとともに、音声で曲がる地点及び曲がるべき方向を知らせて経路案内を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−329479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の携帯型のナビゲーション装置は、ユーザーが徒歩での移動時に、手に持って使用することができるように、手に持てるサイズに小型に形成する必要がある。そのため、表示画面が小さく、しかも歩きながら使用する場合には、周囲の環境にも注意する必要があるため、表示画面上に表示された地図上の進行方向を表す矢印等の表示情報を視覚的に認識することは難しく、ユーザーは、進むべき道と方向を見逃してしまうという問題があった。また、日差しの強い時には、表示画面に表示された地図情報が見えなくなってしまうという問題もあった。
また、この種の携帯型のナビゲーション装置は、表示画面に表示される地図情報とともに、音声によって経路案内を行うが、周囲の雑音等によって、ユーザーは、この音声案内を聴覚的に聞き逃す可能性があった。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、ユーザーが経路を確実に認識することができる携帯型のナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ユーザーに携帯され、予め設定された目的地までの経路を検索し、この経路に従って経路案内を行う携帯型のナビゲーション装置において、筐体に作用する力を発生させる力発生手段を備え、前記筐体に作用する力で曲がるべき方向を知らせるとともに、前記筐体に作用する力を曲がるべき地点に近づくにつれて強めて曲がるべき地点を知らせることを特徴とする。
【0006】
この構成において、経路案内に従って進んでいるか否かを判定する判定手段を備え、前記判定手段が経路から外れたと判定した場合に、経路から外れたことを警告する警告手段を備えた構成としても良い。また、前記判定手段が、曲がるべき地点に到達したと判定した時に、前記筐体を振動させて曲がるべき地点を知らせる構成としても良い。また、前記判定手段が、曲がるべき地点までの交差点の数を検出し、前記交差点の数が予め設定された数よりも多い場合に、前記筐体を振動させて曲がるべき地点を知らせる構成としても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体に作用させる力の向きで曲がるべき方向を知らせる力発生手段を備え、この力発生手段が筐体に作用させる力を曲がるべき地点に近づくにつれて強めて曲がるべき地点を知らせるため、曲がるべき地点の手前から、ユーザーは、触覚的に曲がるべき方向を認識することができ、さらに、曲がるべき地点が近づいていることに注意をはらうことができるため、確実に進むべき経路を認識することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置の外観正面図である。
【図2】ナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】ナビゲーション装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るナビゲーション装置1の外観図である。
ナビゲーション装置1は、ユーザーに携帯されて使用される携帯型のナビゲーション装置1であり、ユーザーは徒歩での移動時には、ナビゲーション装置1を手に持って使用することができる。ナビゲーション装置1は、筐体10と、筐体10の正面の面積の大部分を占める表示パネル18を備える。ナビゲーション装置1は、表示パネル18に表示した経路案内図を利用して、目的地までの視覚的な経路案内を行う。
【0010】
表示パネル18は、液晶ディスプレイ或いは有機ELディスプレイから構成される。また、表示パネル18には、表示パネル18に重ねた状態で、タッチパネル17が配設されている。これによって、ユーザーは、表示パネル18に表示された操作ボタンに対応する位置を指先などでタッチ操作することで、ナビゲーション装置1の各種操作を行うことができる。また、ナビゲーション装置1は、図示は省略したが、表示パネル18の周囲に複数の操作端子を備える構成としても良い。
【0011】
図2は、ナビゲーション装置1の機能的構成を示すブロック図である。
ナビゲーション装置1は、制御部2と、位置検出部3と、記憶部4と、操作部5と、表示部20と、音声出力部6と、ジャイロスコープ8と、ジャイロキューブセンサス9とを備えている。
制御部2は、ナビゲーション装置1を中枢的に制御するものであり、演算実行部としてのCPUや、このCPUに実行される基本制御プログラムをコンピューターに読み取り可能な形態で不揮発的に記憶するROM、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM、その他の周辺回路等を備えている。制御部2は、また、ユーザーがナビゲーション装置1が行う経路案内に従って進んでいるか否かを判定する判定手段として機能する。
【0012】
位置検出部3は、GPS受信機31と、電子コンパス32とを備える。GPS受信機31は、不図示のGPSアンテナを介してGPS衛星からのGPS電波を受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、車両の現在位置の経度及び緯度を示す現在地情報を演算により取得し制御部2に出力する。電子コンパス32は、地磁気を検知して、ユーザーの向いている方向を算出し、制御部2に出力する。
【0013】
記憶部4は、データを書き換え可能に記憶するものであり、フラッシュメモリー等を備えている。記憶部4には、地図データや、最適経路或いは迂回経路等の経路探索用データが記憶されている。
表示部20は、上述した表示パネル18を備え、制御部2の制御の下、表示パネル18に経路案内に係る地図情報や操作メニュー等の各種情報を表示する。これによって、ナビゲーション装置1は、視覚的な経路案内を行うことができる。
操作部5は、上述の表示パネル18に重ねた状態で配設されたタッチパネル17、及び、表示パネル18の周囲に設けられた不図示の操作端子を備える。
音声出力部6は、D/Aコンバーターやアンプ等を備え、制御部2の制御の下、ナビゲーション装置1に設けられた不図示のスピーカから音声を出力する。音声出力部6からの音声の出力は、ナビゲーション装置1のヘッドホン用の接続端子(不図示)を介して、ナビゲーション装置1に接続されたヘッドホンから行われても良い。これによって、ナビゲーション装置1は、聴覚的に経路案内を行うことができる。
【0014】
ジャイロスコープ8は、ナビゲーション装置1の、地面等の基準面に対する傾き角度を検出する。ジャイロスコープ8としては、3軸MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ジャイロスコープ等が用いられる。
【0015】
ジャイロキューブセンサス9は、3次元空間の任意の方向に並進力と回転力を発生させることができ、バーチャルリアリティーにおける触力覚感覚を提示するものである。ジャイロキューブセンサス9は、図示は省略したが、例えば2つの偏心回転体と、各回転体を回転させるモーターとを備え、回転体の回転方向および位相を制御部2で同期制御することで、ある方向に押される、引っ張られる、或いは、浮き上がる等といった触力覚感覚をユーザーに感じさせる力を発生させることができる。
【0016】
制御部2は、ナビゲーション装置1の地面等の基準面に対する傾き角度をジャイロスコープ8で検出し、ナビゲーション装置1の傾き角度に基づいて、ジャイロキューブセンサス9に提示させる力覚感覚の方向を制御することができる。
ジャイロキューブセンサス9は、図示は省略したが、筐体10の内側に固定された状態で設けられ、ジャイロキューブセンサス9によって発生される力は筐体10に作用される。制御部2は、ジャイロキューブセンサス9によって発生される力の向きを制御して、筐体10に作用される力の向きで、筐体10を携帯しているユーザーに進むべき方向を提示する。
【0017】
本実施形態は、視覚的及び聴覚的に経路案内を行うとともに、この筐体10に作用するジャイロキューブセンサス9が発生する力を利用して、ユーザーに触覚的に経路案内を行うことを可能にしたものである。すなわち、制御部2は、操作部5を介してユーザーによって予め入力され、設定された目的地情報と、位置検出部3で検出されたユーザーの現在地情報及びユーザーの向いている方向と、記憶部4に記憶されている地図データ及び経路探索用データとから、最適経路を検索する。
また、制御部2は、ジャイロスコープ8で検出されたナビゲーション装置1の傾き角度に基づいて、ジャイロキューブセンサス9に発生させる力の向きを制御する。そして、制御部2は、検索した経路に従って、表示部20、音声出力部6、及びジャイロキューブセンサス9を利用して、視覚的、聴覚的、および触覚的にユーザーに経路案内を行う。制御部2と、ジャイロキューブセンサス9とは、筐体10に作用させる力の向きでユーザーに曲がるべき方向を知らせる力発生手段として機能する。
【0018】
この構成によれば、ジャイロスコープ8で検出されたナビゲーション装置1の傾き角度に基づいて、ジャイロキューブセンサス9の発生する力の方向を制御するため、ユーザーはナビゲーション装置1の向きや携帯場所を気にすることなくナビゲーション装置1を携えて、ジャイロキューブセンサス9が発生する力による、触覚的な経路案内機能を利用することができる。
【0019】
係る、経路案内時のナビゲーション装置1の動作について図3のフローチャート、及び図4を参照して説明する。
制御部2は、位置検出部3からの入力を受けて、ユーザーの現在地点が、経路案内上のどの位置であるかを随時判定し、判定結果を表示部20に出力する。例えば、ユーザーの現在地点が、図1のA地点である場合、図4(A)で示すように、表示パネル18には、ユーザーの現在地点情報が反映されて表示される。このとき、制御部2は、ジャイロキューブセンサス9を制御して、進行方向に向かってあたかもユーザーは手を引かれるように感じる力を発生させ、経路が道なりであることをユーザーに認識させる。
【0020】
ユーザーの現在地点が、経路上の曲がるべき地点(図1のDの地点)の、予め設定された距離D1(例えばD1=10m)手前以内であると制御部2が検出すると(ステップS1)、制御部2は、ジャイロキューブセンサス9を制御して、曲がる方向を示す力、例えば、曲がる方向に向かって回転力を感じる力を発生させる(ステップS2)。この力は、図4(B)に示すように、ナビゲーション装置1を持っているユーザーの手に伝わる。
【0021】
これによって、ユーザーは触覚的に曲がる方向を認識することができる。また、ジャイロキューブセンサス9に、曲がるべき地点の例えば10m手前から曲がるべき方向を知らせる力を発生させることで、ユーザーに、この先に曲がるべき地点があることに注意を向かせることができる。本実施形態においては、曲がるべき地点の10m手前からジャイロキューブセンサス9に曲がるべき方向を知らせる力を発生させる構成としたが、曲がるべき方向を知らせる力を発生させ始める曲がるべき地点までの距離D1は、ユーザーによって任意に設定可能な構成としても良い。
【0022】
ジャイロキューブセンサス9は、ユーザーが曲がるべき地点に近づくにつれて、図4(C)で示すように、徐々に曲がるべき方向を知らせる力が強くなるように制御される。これによって、ジャイロキューブセンサス9で、ユーザーに曲がるべき方向を知らせる力を発生させ、このジャイロキューブセンサス9が発生する力を、ユーザーが曲がる地点が近づく(例えば図1のCの地点)につれて徐々に強くする。そのため、ユーザーは、曲がるべき地点に近づいていることを触覚的に認識することができ、曲がるべき地点を見過ごす可能性が低減される。
【0023】
次に、制御部2は、ジャイロキューブセンサス9に曲がるべき方向を知らせる力の発生を開始させる地点B(図1参照)と、ユーザーが曲がるべき地点D(図1参照)との間にある交差点(路地)の数を検出し(ステップS3)、続いて地点Bから地点Dまでの間にある交差点の数が予め設定された交差点の数Xよりも多いか否かを判定する(ステップS4)。
ジャイロキューブセンサス9に曲がるべき方向を知らせる力の発生を開始させる地点Bと、ユーザーが曲がるべき地点Dとの間にある交差点の数が、予め設定された交差点の数Xよりも多いと制御部2が判定すると(ステップS4:Yes)、制御部2は、ジャイロキューブセンサス9に振動感覚を提示させる振動フラグをたてる設定を行い(ステップS5)、ユーザーが曲がるべき地点Dに到達するまで待機する。この振動フラグは、ユーザーが曲がるべき地点に到達した時に、ジャイロキューブセンサス9に振動感覚を提示する力を発生させるか否かの判定結果を保持するものである。
【0024】
ユーザーが曲がるべき地点に到達した時に振動フラグが立っている場合には、制御部2はジャイロキューブセンサス9を制御して、ジャイロキューブセンサス9に振動感覚を提示する力を発生させる。振動フラグが立っていない場合には、制御部2はジャイロキューブセンサス9に振動感覚を提示する力を発生させない。
制御部2が、ジャイロキューブセンサス9に曲がるべき方向を知らせる力の提示を開始させる地点Bと、ユーザーが曲がるべき地点Dとの間の交差点の数が、予め設定された交差点の数Xよりも少ないと判定すると(ステップS4:No)、制御部2は、振動フラグをたてずに、ユーザーが曲がるべき地点Dに到達するまで待機する。
【0025】
ユーザーが曲がるべき地点Dに到達したと制御部2が判定すると(ステップS6)、制御部2は、次に振動フラグがたっているかを判定する(ステップS7)。制御部2が、振動フラグがたっていると判定すると(ステップS7:Yes)、制御部2は、ジャイロキューブセンサス9に振動感覚を提示する力を発生させる(ステップS8)。ジャイロキューブセンサス9が振動感覚を提示する力を発生すると、図4(D)に示されるように、ユーザーは筐体10を介してこの振動感覚を感じることができる。これによって、ユーザーは、曲がるべき方向とともに、曲がるべき地点に到達したことを触覚的に確実に認識することができる。そのため、ユーザーが曲がるべき地点で曲がらずに、経路から外れてしまう可能性を低減することができる。
ステップS7において、振動フラグがたっていないと制御部2が判定すると(ステップS7:No)、制御部2は、ジャイロキューブセンサス9に振動感覚を提示する力を発生させずに、ステップS9に進む。
【0026】
振動フラグをたてるか否かを判定するための、地点Bと、地点Dとの間にある交差点の数Xは、ユーザーによって任意の数に設定することが可能である。これによって、例えば、ジャイロキューブセンサス9による力覚感覚の提示が開始される地点Bと、ユーザーが曲がるべき地点Dとの間に複数の交差点(路地)があり、ジャイロキューブセンサス9が発生する力だけで曲がるべき地点をユーザーに確実に認識させるのが困難になる場合にだけ、制御部2は、ジャイロキューブセンサス9に振動感覚を提示する力を発生させて曲がるべき地点をユーザーが確実に認識できるようにすることも可能となる。
【0027】
次に、制御部2は、位置検出部3から入力されるユーザーの現在地情報及びユーザーの向いている方向から、ユーザーが経路に従って曲がるべき地点で、曲がるべき方向に曲がったかを判定する(ステップS9)。
ユーザーが曲がるべき地点を曲がらずに通りすぎてしまった、或いは、曲がるべき地点で曲がるべき方向とは違う方向に曲がってしまう等して、経路から外れてしまったと制御部2が判定すると(ステップS9:No)、制御部2は音声出力部6を介して警告音を出力し、経路から外れてしまったことをユーザーに報知する(ステップS10)。この構成によれば、ユーザーは、曲がるべき交差点で曲がらず、或いは、曲がるべき方向と違う方向に曲がって進んでしまったことを聴覚的に認識することができる。
【0028】
ステップS9において、ユーザーが、経路に従って曲がるべき地点で、曲がるべき方向に曲がったと制御部2が判定すると(ステップS9:Yes)、制御部2は、続いて、次のユーザーが曲がるべき地点までの距離が予め設定した距離D1よりも短いか否かを判定する(ステップS11)。ユーザーが次に曲がるべき地点までの距離が予め設定した距離D1よりも短いと制御部2が判定した場合(ステップS11:Yes)には、制御部2は、ユーザーが次に曲がるべき方向に対応させてジャイロキューブセンサス9に継続して力を発生させ(ステップS12)、ステップS5に戻って振動フラグをたてる。
【0029】
この構成によれば、ユーザーが曲がるべき交差点を曲がった後に、またすぐに別の交差点を曲がらなければならないような経路でも、ジャイロキューブセンサス9に曲がるべき方向を知らせる力を発生させて、ユーザーに曲がるべき方向を触覚的に認識させることができるとともに、ジャイロキューブセンサス9に振動感覚を提示する力を発生させることによって、曲がるべき地点に到達したことを確実に認識させることができる。
ステップS11において、ユーザーが次に曲がるべき地点までの距離が予め設定した距離D1よりも長いと制御部2が判定すると(ステップS11:No)、制御部2は、ジャイロキューブセンサス9を停止する(ステップS13)。
【0030】
ジャイロキューブセンサス9の発生する力を用いて、ユーザーに曲がるべき交差点を示す以外にも、経路中に地下鉄の出入り口や歩道橋等がある場合に、ユーザーに上るべき、或いは、下るべき階段があることを示すことができる構成としても良い。この場合、制御部2は、ジャイロキューブセンサス9を制御して、例えばジャイロキューブセンサス9で振動感覚を提示し、ユーザーの注意を引いたのちに、上る方向、或いは、下る方向へユーザーが手を引かれるように感じる力を発生させる構成としても良い。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、筐体10に作用させる力の向きで曲がるべき方向を知らせる力発生手段9を備え、力発生手段9が筐体10に作用させる力を曲がるべき地点に近づくにつれて強めて曲がるべき地点を知らせるため、ユーザーは、表示パネル18に表示される地図情報を視覚的に認識するのが困難な場合、或いは音声によって行われる経路案内が聴覚的に認識するのが困難な状況においても、触覚的に曲がるべき方向を認識することができる。また、曲がるべき地点に近づくにつれて筐体10に作用させる力が強まるため、ユーザーは曲がるべき地点の手前から、曲がるべき地点が先にあることに注意をはらうことができ、曲がるべき地点に近づいていることを触覚的に認識することができる。そのため、ユーザーは、より確実に経路案内上の曲がるべき地点を認識することができる。
また、本実施形態によれば、表示パネル18に表示される地図情報や、音声によって行われる経路案内に頼らずに、筐体10に作用する力でユーザーに曲がるべき方向と、曲がるべき地点を提示することができるため、視覚や聴覚が不自由なユーザーにも、触覚的に曲がるべき地点および曲がるべき方向を知らせることができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、制御部2は、ユーザーが経路案内に従って進んでいるか否かを判定する判定手段として機能し、ユーザーが経路から外れた場合には、経路から外れたことが警告音で即時にユーザーに報知されるため、ユーザーは経路から外れたことをただちに認識することができる。そのため、ユーザーが経路から外れたことに気づかずに、進んで行ってしまうのを防止することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、ユーザーが曲がるべき地点に到達した時には、制御部2は力発生手段に振動感覚を提示する力を発生させて、ユーザーに曲がるべき地点に到達したことを知らせるため、ユーザーは曲がるべき地点に到達したことを触覚的に認識することができ、曲がるべき交差点を認識できずに通り過ぎることがなく、経路に従って確実に曲がるべき交差点で曲がることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、制御部2は、曲がるべき地点までの交差点の数を検出し、交差点の数が予め設定された数よりも多いと判定した場合に、力発生手段9に、ユーザーに曲がるべき地点に到達したことを振動感覚で知らせる力を発生させるため、曲がるべき地点までに多数の交差点があり、曲がるべき地点をユーザーが認識するのが困難になる場合に、ユーザーに曲がるべき地点に到達したことを提示することができる。
【0035】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態では、制御部2は、ユーザーが、曲がるべき交差点で曲がらず、或いは、曲がるべき方向と違う方向に曲がって進んでしまい、経路から外れた場合に、警告音で報知し、ユーザーが経路に従って曲がったかを判定するステップを繰り返す構成としたが、これに限らず、制御部2は、警告音でユーザーに経路から外れたことを報知した後に、予め設定された距離あるいは時間を過ぎても、ユーザーが経路から外れた状態の場合には、目的地までの経路を再検索し、再検索した経路に従って経路案内を開始する構成としても良い。
【0036】
或いは、ユーザーが経路から外れたと制御部2が判定し、警告音でユーザーに経路から外れていることを報知した後に、制御部2は、ユーザーの現在位置及び向いている方向に応じて、ジャイロキューブセンサス9に発生させる力の方向を変えて、ユーザーが経路に従って進むことができるように誘導する構成としても良い。
また、本実施形態においては、ジャイロキューブセンサス9に振動感覚を提示する力を発生させる構成としたが、これに限らず、制御部2によって制御されるバイブレーターを力発生手段として筐体10に固定して、このバイブレーターの振動によって筐体10に作用される力で、曲がるべき交差点に到達したことをユーザーに知らせる構成としても良い。
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ナビゲーション装置
2 制御部(判定手段、力発生手段)
3 位置検出部
6 音声出力部
9 ジャイロキューブセンサス(力発生手段)
10 筐体
20 表示部
31 GPS受信機
32 電子コンパス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに携帯され、予め設定された目的地までの経路を検索し、この経路に従って経路案内を行う携帯型のナビゲーション装置において、
筐体に作用させる力の向きで曲がるべき方向を知らせる力発生手段を備え、前記力発生手段が前記筐体に作用させる力を曲がるべき地点に近づくにつれて強めて曲がるべき地点を知らせることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
経路案内に従って進んでいるか否かを判定する判定手段を備え、前記判定手段が経路から外れたと判定した場合に、経路から外れたことを警告する警告手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記判定手段が、曲がるべき地点に到達したと判定した時に、前記力発生手段が前記筐体に作用させる力で前記筐体を振動させて曲がるべき地点を知らせることを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記判定手段が、曲がるべき地点までの交差点の数を検出し、前記交差点の数が予め設定された数よりも多い場合に、前記力発生手段が前記筐体に作用させる力で前記筐体を振動させて曲がるべき地点を知らせることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−117955(P2012−117955A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269218(P2010−269218)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】