ナビゲーション装置
【課題】車載機器のメーカー、自動車メーカーおよびユーザに負担を強いることなく、複数の仕向け先に対応させることができる車載機器を提供する。
【解決手段】複数の仕向け先用のデータを記憶する記憶装置12と、仕向け先データを取得し、取得した仕向け先データに基づき仕向け先を判定する仕向け先判定部21と、記憶装置に記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去するデータ消去部22とを備え、データ消去部22は仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを示すデータに基づいて、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを判断し、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能の場合には、仕向け先用のデータ以外のデータを消去する。
【解決手段】複数の仕向け先用のデータを記憶する記憶装置12と、仕向け先データを取得し、取得した仕向け先データに基づき仕向け先を判定する仕向け先判定部21と、記憶装置に記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去するデータ消去部22とを備え、データ消去部22は仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを示すデータに基づいて、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを判断し、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能の場合には、仕向け先用のデータ以外のデータを消去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載される車載機器に関し、特に、1台の車載機器を複数の仕向け先に対応させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される車載機器としてカーナビゲーション装置、カーオーディオ装置、施設情報検索装置などが知られている。このような車載機器のメーカーは、車載機器の仕向け先が例えば欧州や米国というように異なると、同じ機種であっても、地図データ、音楽データ、施設データ等を共用することはできない。したがって、車載機器のメーカーは、個々の仕向け先に適合する地図データ、音楽データ、施設データ等を車載機器にインストールして出荷する。
【0003】
なお、関連する技術として、特許文献1は、車両や車両が使用される環境に好適なナビゲーションを少ないデータ量で行うことができるカーナビゲーションシステムを開示している。このカーナビゲーションシステムは、ナビゲーション機能を実現するための処理プログラムと、車両が保持している車両情報を取得する車両情報取得手段と、車両情報取得手段で取得された車両情報に基づき処理プログラムに設定すべき設定情報を生成する設定情報生成手段と、設定情報生成手段で生成された設定情報を処理プログラムに通知する設定情報通知手段と、処理プログラムに含まれ、設定情報通知手段から通知された設定情報に応じて処理プログラム内部の設定状態を切り替える設定情報切替手段とを備え、処理プログラムは、設定情報切替手段によって切り替えられた設定状態でナビゲーション機能を実現する処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−181130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の車載機器では、仕向け先毎に、つまりインストールされる地図データ等によって車載機器の機種を変えると、製品の種類が増加するので製造管理の複雑化を招くという問題がある。また、車載機器のメーカーから出荷された車載機器が自動車メーカーにおいて自動車に取り付けられる際に、各仕向け先の自動車の販売量と、その仕向け先用の車載機器の発注量(出荷量)が一致しない場合に、自動車メーカーにおいて在庫の過不足が発生するので在庫管理が難しくなるという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するために、1台の車載機器に複数の仕向け先用の地図データ等をインストールして出荷することも考えられるが、この場合、車載機器が起動されるとユーザが使用しない地図データ等に対してもライセンス料金等が課金される可能性があり、ユーザは無用の出費を強いられる可能性がある。
【0007】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、車載機器のメーカー、自動車メーカーおよびユーザに負担を強いることなく、複数の仕向け先に対応させることができる車載機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るナビゲーション装置は、上記課題を解決するために、複数の仕向け先用のデータを記憶する記憶装置と、仕向け先データを取得し、取得した仕向け先データに基づき仕向け先を判定する仕向け先判定部と、記憶装置に記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去するデータ消去部とを備え、データ消去部は、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを示すデータに基づいて、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを判断し、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能の場合には、仕向け先用のデータ以外のデータを消去し、記憶装置は複数の仕向け先用の施設データを記憶し、データ消去部は記憶装置に予め記憶された複数の仕向け先用の施設データのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用の施設データ以外の施設データを消去する。このナビゲーション装置における複数の仕向け先用のデータには、地図データ、音楽データおよび施設データの他に、音声データなどが含まれる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ナビゲーション装置を、複数の仕向け先用のデータを記憶する記憶装置と、仕向け先データを取得し、取得した仕向け先データに基づき仕向け先を判定する仕向け先判定部と、記憶装置に記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去するデータ消去部とを備え、データ消去部は仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを示すデータに基づいて仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを判断し、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能の場合には、仕向け先用のデータ以外のデータを消去し、記憶装置は複数の仕向け先用の施設データを記憶し、データ消去部は記憶装置に予め記憶された複数の仕向け先用の施設データのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用の施設データ以外の施設データを消去するように構成したので、ナビゲーション装置のメーカーは1種類のナビゲーション装置を製造することができ、自動車メーカーは在庫管理が容易になり、ユーザは1つのデータのみを利用するので無用なライセンス料金が課金されるという負担を避けることができる。すなわち、ナビゲーション装置のメーカー、自動車メーカーおよびユーザに負担を強いることなく、複数の仕向け先に対応させることができるナビゲーション装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る車載機器としてのナビゲーション装置に接続される制御モジュール模擬装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る車載機器としてのナビゲーション装置に接続される制御モジュール模擬装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態3に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態4に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態5に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態6に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態7に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態8に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図18】この発明の実施の形態8に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】この発明の実施の形態9に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図20】この発明の実施の形態9に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【図21】この発明の実施の形態10に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図22】この発明の実施の形態10に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図23】この発明の実施の形態11に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図24】この発明の実施の形態11に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図25】この発明の実施の形態12に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図26】この発明の実施の形態12に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【図27】この発明の実施の形態13に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図28】この発明の実施の形態13に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図29】この発明の実施の形態14に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図30】この発明の実施の形態14に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図31】この発明の実施の形態15に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図32】この発明の実施の形態15に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
なお、以下に説明する各実施の形態において、同一または相当する構成要素には同一の符号を付して説明する。また、以下においては、この発明に係る車載機器がナビゲーション装置、オーディオ装置および施設検索装置として実現され、それぞれ地図データ、音楽データおよび施設データを取り扱う場合について説明するが、この発明に係る車載機器が取り扱うデータは、これらに限定されず、例えば、音声データ、放送データといった種々のデータを取り扱うことができる。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る車載機器は、ナビゲーション装置1から構成されている。図1は、車両2に搭載されたナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。車両2には、制御モジュール3が備えられており、この制御モジュール3とナビゲーション装置1との間は、車載ネットワーク4によって接続されている。
【0012】
車載ネットワーク4は、例えばMOST(Media Oriented Systems Transport)バス、CAN(Controller Area Network)バス、シリアルバス、赤外線やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等を用いて構成することができる。なお、車載ネットワーク4には、ナビゲーション装置1の他に、いずれも図示は省略するが、カーオーディオやAV機器といった情報系、ボディ系、安全系、パワートレイン(走行制御)系の各ユニットなどが接続されている。
【0013】
制御モジュール3は、例えば車両2のメーカーやディーラーといった客先において最初にナビゲーション装置1の電源が投入された時に、車両2の仕向け先(マーケット)を表す「仕向け先データ」を発生し、車載ネットワーク4を介してナビゲーション装置1に送信する。この実施の形態1および後に説明する各実施の形態では、仕向け先データとしてA地域またはB地域を指定するデータが使用されるものとする。
【0014】
ナビゲーション装置1は、車載ネットワーク接続部11、記憶装置12および不要地図消去部13を備えている。なお、図1に示すナビゲーション装置1では、経路検索や経路案内といったナビゲーション機能を実現するための構成要素の記載は省略されている。
【0015】
車載ネットワーク接続部11は、ナビゲーション装置1が制御モジュール3と通信を行うためのインタフェースである。車載ネットワーク接続部11は、制御モジュール3からの仕向け先データを受け取って不要地図消去部13に送る。この車載ネットワーク接続部11は、車載ネットワーク4で採用される通信規格、つまりMOST、CAN、シリアル、赤外線、ブルートゥース等に適合するように適宜構成される。記憶装置12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等から構成されている。この記憶装置12には、工場から出荷されたナビゲーション装置1が、例えば自動車メーカーにおいて車両2に取り付けられて最初に電源が投入される前の初期状態においては、A地域用地図データおよびB地域用地図データが記憶されている。
【0016】
不要地図消去部13は、例えばマイクロコンピュータによって実行されるプログラム処理によって実現されている。この不要地図消去部13は、初期状態においてナビゲーション装置1の電源が投入された場合に、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データによって示される仕向け先用以外の地図データを記憶装置12から消去する。なお、初期状態であるかどうかは、実施の形態1と同様に、初期状態フラグによって記憶される。
【0017】
不要地図消去部13は、さらに詳しくは、仕向け先判定部21および地図データ消去部22から構成されている。仕向け先判定部21は、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定する。この仕向け先判定部21における判定結果は、地図データ消去部22に送られる。地図データ消去部22は、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方を消去する。
【0018】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置1の動作を、不要地図消去処理を中心に、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。不要地図消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。すなわち、仕向け先判定部21は、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データを受信する。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。すなわち、仕向け先判定部21は、図示しない不揮発性メモリに格納されている初期状態フラグが「1」にセットされているかどうかを調べる。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。
【0019】
一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22に送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用地図データが消去される(ステップST14)。すなわち、地図データ消去部22は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0020】
上記ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用地図データが消去される(ステップST15)。すなわち、地図データ消去部22は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。したがって、次回以降にナビゲーション装置1の電源が投入された時は、不要地図消去処理は実行されない。
【0021】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置1によれば、工場出荷時点では、ナビゲーション装置1には、A地域用地図データおよびB地域用地図データが記憶装置12に格納されているので、1種類のナビゲーション装置1を、仕向け先がA地域の車両および仕向け先がB地域の車両の両方に搭載することができる。したがって、各仕向け先の自動車の販売量と、その仕向け先用のナビゲーション装置の発注量(出荷量)が一致しない場合であっても、自動車メーカーにおける在庫の過不足が発生しにくい。
【0022】
また、ナビゲーション装置1の仕向け先が異なる2箇所であっても、ナビゲーション装置メーカーにおいては1種類のナビゲーション装置1を製造すればよいので、製造管理が容易になる。また、車両が販売された後は、ナビゲーション装置1の記憶装置12には、A地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方のみしか存在せず、ユーザが使用する地図データに対してのみライセンス料金が課金されるので、ユーザは無用の出費を強いられない。さらに、記憶装置12には、A地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方のみが残され、他方は削除されるので、記憶装置12の空き領域の容量を増加させることができる。その結果、空き領域に他の用途のデータ、例えば音楽データや施設データを記憶させることができるので、記憶装置12を有効に活用することができる。
【0023】
なお、上述した実施の形態1に係るナビゲーション装置では、仕向け先用の地図データとしてA地域用地図データおよびB地域用地図データといった2地域分の地図データがあらかじめ記憶装置12に格納されている場合を例に挙げて説明したが、この発明は、3地域分以上の地図データが記憶装置12に格納されている場合にも適用できる。この場合、不要地図消去部13は、仕向け先データによって示される地域以外の地域用の地図データを消去するように構成される。
【0024】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る車載機器は、ナビゲーション装置1aから構成されている。このナビゲーション装置1aは、ナビゲーション装置メーカーにおける製品検査(製品試験)の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の地図データの消去の可否とをユーザが制御モジュール模擬装置から車載ネットワークを介して設定できるようにしたものである。
【0025】
図3は、実施の形態2に係るナビゲーション装置1aの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0026】
ナビゲーション装置1aには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3aが接続される。この制御モジュール模擬装置3aは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1に接続される制御モジュール3を模擬するものである。この制御モジュール模擬装置3aは、仕向け先設定部31、付加データ設定部32および仕向け先データ生成部33から構成されている。
【0027】
仕向け先設定部31は、仕向け先がA地域であるかB地域であるかをユーザが設定するために使用される。この仕向け先設定部31で設定された仕向け先を表すデータは、仕向け先データ生成部33に送られる。付加データ設定部32は、ナビゲーション装置1aが製品検査中であるか否かをユーザが設定するために使用される。この付加データ設定部32で設定された製品検査中であるか否かを表すデータは、検査中データとして仕向け先データ生成部33に送られる。仕向け先データ生成部33は、仕向け先設定部31から送られてくるデータに基づき仕向け先データを生成し、この生成した仕向け先データに、付加データ設定部32から送られてくる検査中データを付加し、ナビゲーション装置1aに送信する。
【0028】
また、ナビゲーション装置1aは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の不要地図消去部13が不要地図消去部13aに変更されて構成されている。この不要地図消去部13aは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の不要地図消去部13に、付加データ判定部23が追加されるとともに、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の地図データ消去部22が地図データ消去部22aに変更されて構成されている。
【0029】
付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに付加された検査中データに基づき、ナビゲーション装置1aが製品検査中であるか否かを判定する。この付加データ判定部23における判定結果は、地図データ消去部22に送られる。地図データ消去部22aは、付加データ判定部23から送られてくる判定結果が製品検査中でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方を消去する。
【0030】
次に、上記のように構成される実施の形態2に係るナビゲーション装置1aの動作を説明する。まず、制御モジュール模擬装置3aの動作を、図4に示す仕向け先データ生成処理のフローチャートを参照しながら説明する。
【0031】
仕向け先データ生成処理では、まず、仕向け先設定部31によって設定された仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST21)。すなわち、仕向け先データ生成部33は、仕向け先判定部21から送られてくるデータによって示される地域がA地域であるかB地域であるかを調べる。このステップST21において、仕向け先がA地域であることが判断されると、A地域を指定する仕向け先データが生成される(ステップST22)。すなわち、仕向け先データ生成部33は、仕向け先判定部21から送られてくるデータに基づきA地域を指定する仕向け先データを生成する。その後、シーケンスはステップST24に進む。一方、ステップST21において、仕向け先がB地域であることが判断されると、B地域を指定する仕向け先データが生成される(ステップST23)。すなわち、仕向け先データ生成部33は、仕向け先判定部21から送られてくるデータに基づきB地域を指定する仕向け先データを生成する。その後、シーケンスはステップST24に進む。
【0032】
ステップST24においては、付加データ設定部32によって付加データが設定されたかどうかが調べられる。すなわち、仕向け先データ生成部32は、付加データ設定部32から検査中データが送られてきたかどうかを調べる。このステップST24において、付加データが設定されたことが判断されると、ステップST22またはステップST23で生成された仕向け先データに検査中データが付加される(ステップST25)。その後、仕向け先データ生成処理は終了する。一方、ステップST24において、付加データが設定されていないことが判断されると、ステップST25の処理はスキップされ、仕向け先データ生成処理は終了する。以上の仕向け先データ生成処理によって生成された仕向け先データは、ナビゲーション装置1aに送信される。
【0033】
次に、ナビゲーション装置1aの動作を、不要地図消去処理を中心に、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要地図消去処理は、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理のステップST11とステップST12との間にステップST31が追加されて構成されている。以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0034】
不要地図消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。すなわち、仕向け先判定部21は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データを受信する。次いで、付加データがあるかどうかが調べられる(ステップST31)。すなわち、付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに検査中データが付加さているかどうかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22aに送る。このステップST31において、付加データがあることが判断されると、不要地図消去処理は終了する。
【0035】
上記ステップST31において、付加データがないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22aに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用地図データが消去される(ステップST14)。すなわち、地図データ消去部22aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0036】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用地図データが消去される(ステップST15)。すなわち、地図データ消去部22aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要地図消去処理は終了する。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置1aによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場でナビゲーション装置1aを製造する場合は製品検査が実施されるが、この製品検査は、制御モジュール模擬装置3aをナビゲーション装置1aに接続し、ナビゲーション装置1aが恰も車両に搭載されているような状態で行われる。製品検査を行う場合は、仕向け先データに検査中データを付加してナビゲーション装置1aに送ることにより、ナビゲーション装置1aに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の地図データの削除は行われない。
【0038】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る車載機器は、ナビゲーション装置1bから構成されている。このナビゲーション装置1bは、ナビゲーション装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、ナビゲーション装置1bの電源が投入された場所が工場である場合は、記憶装置12内の地図データの消去を抑止するようにしたものである。
【0039】
図6は、実施の形態3に係るナビゲーション装置1bの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0040】
ナビゲーション装置1bには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3bが接続される。この制御モジュール模擬装置3bは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1に接続される制御モジュール3を模擬するものである。この制御モジュール模擬装置3bは、仕向け先設定部31および仕向け先データ生成部33bから構成されている。仕向け先設定部31は、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを設定するために使用される。この仕向け先設定部31で設定された仕向け先を表すデータは、仕向け先データ生成部33bに送られる。仕向け先データ生成部33bは、仕向け先設定部31から送られてくるデータに基づき仕向け先データを生成し、ナビゲーション装置1bに送信する。
【0041】
また、ナビゲーション装置1bは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1にGPS(Global Positioning System)受信部14が追加されるとともに、不要地図消去部13が不要地図消去部13bに変更されて構成されている。この不要地図消去部13bは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の不要地図消去部13に、位置判定部24が追加されて構成されている。
【0042】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として不要地図消去部13b内の位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき現在位置を算出し、現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。そして、製造工場敷地内を示している場合は、地図データ消去部22bを起動し、そうでない場合は、地図データ消去部22bの起動を抑止する。地図データ消去部22bは、位置判定部24で判定された現在位置が特定地域内、例えばナビゲーション装置メーカーの工場敷地内でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方を消去する。
【0043】
次に、上記のように構成される実施の形態3に係るナビゲーション装置1bの動作を説明する。まず、制御モジュール模擬装置3bの動作を、図7に示す仕向け先データ生成処理のフローチャートを参照しながら説明する。
【0044】
仕向け先データ生成処理では、まず、仕向け先設定部31によって設定された仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST21)。すなわち、仕向け先データ生成部33bは、仕向け先判定部21から送られてくるデータによって示される地域がA地域であるかB地域であるかを調べる。このステップST21において、仕向け先がA地域であることが判断されると、A地域を指定する仕向け先データが生成される(ステップST22)。すなわち、仕向け先データ生成部33bは、仕向け先判定部21から送られてくるデータに基づきA地域を指定する仕向け先データを生成してナビゲーション装置1bに送信する。その後、仕向け先データ生成処理は終了する。一方、ステップST21において、仕向け先がB地域であることが判断されると、B地域を指定する仕向け先データが生成される(ステップST23)。すなわち、仕向け先データ生成部33bは、仕向け先判定部21から送られてくるデータに基づきB地域を指定する仕向け先データを生成してナビゲーション装置1bに送信する。その後、仕向け先データ生成処理は終了する。
【0045】
次に、ナビゲーション装置1bの動作を、不要地図消去処理を中心に、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要地図消去処理は、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理のステップST11の前にステップST41およびST42の処理が追加されて構成されている。以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0046】
不要地図消去処理では、まず、位置測定が行われる(ステップST41)。すなわち、GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき自己の現在位置を算出する。次いで、ステップST41で求められた現在位置が、ナビゲーション装置1bの製造工場敷地内であるかどうかが調べられる(ステップST42)。すなわち、位置判定部24は、ステップST41で算出された現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。
【0047】
このステップST42において、製造工場敷地内であることが判断されると、ナビゲーション装置1bの製品検査中である旨が認識され、地図データ消去部22bの起動が抑止される。そして、不要地図消去処理は終了する。一方、ステップST42において、製造工場敷地内でないことが判断されると、地図データ消去部22bが起動されるとともに、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST11において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。
【0048】
一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22bに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用地図データが消去される(ステップST14)。すなわち、地図データ消去部22bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0049】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用地図データが消去される(ステップST15)。すなわち、地図データ消去部22bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要地図消去処理は終了する。
【0050】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置1bによれば、上述した実施の形態2に係るナビゲーション装置1aと同様に、製品検査中に地図データが消去されるのを抑止できる。また、実施の形態2に係るナビゲーション装置1aに較べて、制御モジュール模擬装置3bの構成が簡単になる。
【0051】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る車載機器は、オーディオ装置5から構成されている。図9は、車両2に搭載されたオーディオ装置5の構成を示すブロック図である。車両2には、制御モジュール3が備えられており、この制御モジュール3とオーディオ装置5との間は、車載ネットワーク4によって接続されている。制御モジュール3および車載ネットワーク4の構成および機能は、実施の形態1に係るナビゲーション装置1のそれらと同じである。
【0052】
オーディオ装置5は、車載ネットワーク接続部11、記憶装置12および不要音楽消去部15を備えている。なお、図9に示すオーディオ装置5では、選局や音量制御といったオーディオ機能を実現するための構成要素の記載は省略されている。車載ネットワーク接続部11は、オーディオ装置5が制御モジュール3と通信を行うためのインタフェースである。車載ネットワーク接続部11は、制御モジュール3からの仕向け先データを受け取って不要音楽消去部15に送る。この車載ネットワーク接続部11は、実施の形態1と同様に、車載ネットワーク4で採用される通信規格、つまりMOST、CAN、シリアル、赤外線、ブルートゥース等に適合するように適宜構成される。
【0053】
記憶装置12は、例えばHDD等から構成されている。この記憶装置12には、工場から出荷されたオーディオ装置5が、例えば自動車メーカーにおいて車両2に取り付けられて最初に電源が投入される前の初期状態においては、A地域用音楽データおよびB地域用音楽データが記憶されている。音楽データは、曲名、演奏者、歌手等のデータから構成されている。このオーディオ装置5は、オーディオ機能を使用して、記憶装置12に格納されている音楽データに基づき、演奏中の曲名、演奏者、歌手等をディスプレイ(図示しない)に表示することができる。
【0054】
不要音楽消去部15は、例えばマイクロコンピュータによって実行されるプログラム処理によって実現されている。この不要音楽消去部15は、初期状態においてオーディオ装置5の電源が投入された場合に、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データによって示される仕向け先用以外の音楽データを記憶装置12から消去する。なお、初期状態であるかどうかは、実施の形態1と同様に、初期状態フラグによって記憶される。
【0055】
不要音楽消去部15は、さらに詳しくは、仕向け先判定部21および音楽データ消去部25から構成されている。仕向け先判定部21は、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定する。この仕向け先判定部21における判定結果は、音楽データ消去部25に送られる。音楽データ消去部25は、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方を消去する。
【0056】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態4に係るオーディオ装置5の動作を、不要音楽消去処理を中心に、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0057】
不要音楽消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25に送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用音楽データが消去される(ステップST51)。すなわち、音楽データ消去部25は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0058】
上記ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用音楽データが消去される(ステップST52)。すなわち、音楽データ消去部25は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。したがって、次回以降にオーディオ装置5の電源が投入された時は、不要音楽消去処理は実行されない。
【0059】
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係るオーディオ装置5によれば、工場出荷時点では、オーディオ装置5には、A地域用音楽データおよびB地域用音楽データが記憶装置12に格納されているので、1種類のオーディオ装置5を、仕向け先がA地域の車両および仕向け先がB地域の車両の両方に搭載することができる。したがって、各仕向け先の自動車の販売量と、その仕向け先用のオーディオ装置の発注量(出荷量)が一致しない場合であっても、自動車メーカーにおける在庫の過不足が発生しにくい。
【0060】
また、オーディオ装置5の仕向け先が異なる2箇所であっても、オーディオ装置メーカーにおいては1種類のオーディオ装置を製造すればよいので、製造管理が容易になる。また、車両が販売された後は、オーディオ装置5の記憶装置12には、A地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方のみしか存在せず、ユーザが使用する音楽データに対してのみライセンス料金が課金されるので、ユーザは無用の出費を強いられない。さらに、記憶装置12には、A地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方のみが残され、他方は削除されるので、記憶装置12の空き領域の容量を増加させることができる。その結果、空き領域に他の用途のデータ、例えば地図データや施設データを記憶させることができるので、記憶装置12を有効に活用することができる。
【0061】
なお、上述した実施の形態4に係るオーディオ装置では、仕向け先用の音楽データとしてA地域用音楽データおよびB地域用音楽データといった2地域分の音楽データがあらかじめ記憶装置12に格納されている場合を例に挙げて説明したが、この発明は、3地域分以上の音楽データが記憶装置12に格納されている場合にも適用できる。この場合、不要音楽消去部15は、仕向け先データによって示される地域以外の地域用の音楽データを消去するように構成される。
【0062】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る車載機器は、オーディオ装置5aから構成されている。このオーディオ装置5aは、オーディオ装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の音楽データの消去の可否とをユーザが設定できるようにしたものである。
【0063】
図11は、実施の形態5に係るオーディオ装置5aの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態4に係るオーディオ装置5の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態4で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0064】
オーディオ装置5aには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3aが接続される。この制御モジュール模擬装置3aは、実施の形態2に係るナビゲーション装置1aに接続される制御モジュール模擬装置3aと同じものである。また、オーディオ装置5aは、実施の形態4に係るオーディオ装置5の不要音楽消去部15が不要音楽消去部15aに変更されて構成されている。この不要音楽消去部15aは、実施の形態4に係るオーディオ装置5の不要音楽消去部15に、付加データ判定部23が追加されるとともに、実施の形態4に係るオーディオ装置5の音楽データ消去部25が音楽データ消去部25aに変更されて構成されている。
【0065】
付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに付加された検査中データに基づき、オーディオ装置5aが製品検査中であるか否かを判定する。この付加データ判定部23における判定結果は、音楽データ消去部25aに送られる。音楽データ消去部25aは、付加データ判定部23から送られてくる判定結果が製品検査中でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方を消去する。
【0066】
次に、上記のように構成される実施の形態5に係るオーディオ装置5aの動作を説明する。制御モジュール模擬装置3aの動作は、図4のフローチャートを参照して既に説明した実施の形態2に係るナビゲーション装置1aの仕向け先データ生成処理と同じであるので、説明を省略する。
【0067】
次に、オーディオ装置5aの動作を、不要音楽消去処理を中心に、図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要音楽消去処理は、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理のステップST11とステップST12との間にステップST31が追加されて構成されている。以下では、図10に示した実施の形態4の不要地音楽去処理と同一の処理ステップには実施の形態4で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0068】
不要音楽消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。すなわち、仕向け先判定部21は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データを受信する。次いで、付加データがあるかどうかが調べられる(ステップST31)。すなわち、付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに検査中データが付加さているかどうかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25aに送る。このステップST31において、付加データがあることが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。
【0069】
上記ステップST31において、付加データがないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25aに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用音楽データが消去される(ステップST51)。すなわち、音楽データ消去部25aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0070】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用音楽データが消去される(ステップST52)。すなわち、音楽データ消去部25aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要音楽消去処理は終了する。
【0071】
以上説明したように、この発明の実施の形態5に係るオーディオ装置5aによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場でオーディオ装置5aを製造する場合は製品検査が実施されるが、この製品検査は、制御モジュール模擬装置3aをオーディオ装置5aに接続し、オーディオ装置5aが恰も車両に搭載されているような状態で行われる。製品検査を行う場合は、仕向け先データに検査中データを付加してオーディオ装置5aに送ることにより、オーディオ装置5aに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の音楽データの削除は行われない。
【0072】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係る車載機器は、オーディオ装置5bから構成されている。このオーディオ装置5bは、オーディオ装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、オーディオ装置5bの電源が投入された場所が工場である場合は、記憶装置12内の音楽データの消去を抑止するようにしたものである。
【0073】
図13は、実施の形態6に係るオーディオ装置5bの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態4に係るオーディオ装置5の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態4で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0074】
オーディオ装置5bには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3bが接続される。この制御モジュール模擬装置3bは、実施の形態3に係るナビゲーション装置1bに接続される制御モジュール模擬装置3bと同じものである。また、オーディオ装置5bは、実施の形態4に係るオーディオ装置5にGPS受信部14が追加されるとともに、実施の形態4に係るオーディオ装置5の不要音楽消去部15が不要音楽消去部15bに変更されて構成されている。この不要音楽消去部15bは、実施の形態4に係るオーディオ装置5の不要音楽消去部15に、位置判定部24が追加されて構成されている。
【0075】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として不要音楽消去部15b内の位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき現在位置を算出し、現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。そして、製造工場敷地内を示している場合は、音楽データ消去部25bを起動し、そうでない場合は、音楽データ消去部25bの起動を抑止する。音楽データ消去部25bは、位置判定部24で判定された現在位置が特定地域内、例えばオーディオ装置メーカーの工場敷地内でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方を消去する。
【0076】
次に、上記のように構成される実施の形態6に係るオーディオ装置5bの動作を説明する。制御モジュール模擬装置3bの動作は、図7のフローチャートを参照して既に説明した実施の形態3に係るナビゲーション装置1bの仕向け先データ生成処理と同じであるので、説明を省略する。
【0077】
次に、オーディオ装置5bの動作を、不要音楽消去処理を中心に、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要音楽消去処理は、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理のステップST11の前にステップST41およびST42の処理が追加されて構成されている。以下では、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理と同一の処理ステップには実施の形態4と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0078】
不要音楽消去処理では、まず、位置測定が行われる(ステップST41)。すなわち、GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき自己の現在位置を算出する。次いで、ステップST41で求められた現在位置が、オーディオ装置5bの製造工場敷地内であるかどうかが調べられる(ステップST42)。すなわち、位置判定部24は、ステップST41で算出された現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。
【0079】
このステップST42において、製造工場敷地内であることが判断されると、オーディオ装置5bの製品検査中である旨が認識され、音楽データ消去部25bの起動が抑止される。そして、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST42において、製造工場敷地内でないことが判断されると、音楽データ消去部25bが起動されるとともに、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST11において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。
【0080】
一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25bに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用音楽データが消去される(ステップST51)。すなわち、音楽データ消去部25bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0081】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用音楽データが消去される(ステップST52)。すなわち、音楽データ消去部25bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要音楽消去処理は終了する。
【0082】
以上説明したように、この発明の実施の形態6に係るオーディオ装置5bによれば、上述した実施の形態5に係るオーディオ装置5aと同様に、製品検査中に音楽データが消去されるのを抑止できる。また、実施の形態5に係るオーディオ装置5aに較べて、制御モジュール模擬装置3bの構成が簡単になる。
【0083】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係る車載機器は、施設検索装置6から構成されている。図15は、車両2に搭載された施設検索装置6の構成を示すブロック図である。車両2には、制御モジュール3が備えられており、この制御モジュール3と施設検索装置6との間は、車載ネットワーク4によって接続されている。制御モジュール3および車載ネットワーク4の構成および機能は、実施の形態1に係るナビゲーション装置1のそれらと同じである。
【0084】
施設検索装置6は、車載ネットワーク接続部11、記憶装置12および不要施設消去部16を備えている。なお、図15に示す施設検索装置6では、施設検索機能を実現するための構成要素の記載は省略されている。車載ネットワーク接続部11は、施設検索装置6が制御モジュール3と通信を行うためのインタフェースである。車載ネットワーク接続部11は、制御モジュール3からの仕向け先データを受け取って不要施設消去部16に送る。この車載ネットワーク接続部11は、実施の形態1と同様に、車載ネットワーク4で採用される通信規格、つまりMOST、CAN、シリアル、赤外線、ブルートゥース等に適合するように適宜構成される。
【0085】
記憶装置12は、例えばHDD等から構成されている。この記憶装置12には、工場から出荷された施設検索装置6が、例えば自動車メーカーにおいて車両2に取り付けられて最初に電源が投入される前の初期状態においては、A地域用施設データおよびB地域用施設データが記憶されている。施設データは、例えば、施設の位置(緯度および経度)、名称、種別、営業時間、料金、駐車場の有無、電話番号、住所、メールアドレス、インターネットアドレス、その他のデータから構成されている。
【0086】
不要施設消去部16は、例えばマイクロコンピュータによって実行されるプログラム処理によって実現されている。この不要施設消去部16は、初期状態において施設検索装置6の電源が投入された場合に、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データによって示される仕向け先用以外の施設データを記憶装置12から消去する。なお、初期状態であるかどうかは、実施の形態1と同様に、初期状態フラグによって記憶される。
【0087】
不要施設消去部16は、さらに詳しくは、仕向け先判定部21および施設データ消去部26から構成されている。仕向け先判定部21は、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定する。この仕向け先判定部21における判定結果は、施設データ消去部26に送られる。施設データ消去部26は、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方を消去する。
【0088】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態7に係る施設検索装置6の動作を、不要施設消去処理を中心に、図16に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0089】
不要施設消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26に送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用施設データが消去される(ステップST61)。すなわち、施設データ消去部26は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0090】
上記ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用施設データが消去される(ステップST62)。すなわち、施設データ消去部26は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。したがって、次回以降に施設検索装置6の電源が投入された時は、不要施設消去処理は実行されない。
【0091】
以上説明したように、この発明の実施の形態7に係る施設検索装置6によれば、工場出荷時点では、施設検索装置6には、A地域用施設データおよびB地域用施設データが記憶装置12に格納されているので、1種類の施設検索装置6を、仕向け先がA地域の車両および仕向け先がB地域の車両の両方に搭載することができる。したがって、各仕向け先の自動車の販売量と、その仕向け先用の施設検索装置の発注量(出荷量)が一致しない場合であっても、自動車メーカーにおける在庫の過不足が発生しにくい。
【0092】
また、施設検索装置6の仕向け先が異なる2箇所であっても、施設検索装置メーカーにおいては1種類の施設検索装置を製造すればよいので、製造管理が容易になる。また、車両が販売された後は、施設検索装置6の記憶装置12には、A地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方のみしか存在せず、ユーザが使用する施設データに対してのみライセンス料金が課金されるので、ユーザは無用の出費を強いられない。さらに、記憶装置12には、A地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方のみが残され、他方は削除されるので、記憶装置12の空き領域の容量を増加させることができる。その結果、空き領域に他の用途のデータ、例えば地図データや音楽データを記憶させることができるので、記憶装置12を有効に活用することができる。
【0093】
なお、上述した実施の形態7に係る施設検索装置では、仕向け先用の施設データとしてA地域用施設データおよびB地域用施設データといった2地域分の施設データがあらかじめ記憶装置12に格納されている場合を例に挙げて説明したが、この発明は、3地域分以上の施設データが記憶装置12に格納されている場合にも適用できる。この場合、不要施設消去部16は、仕向け先データによって示される地域以外の地域用の施設データを消去するように構成される。
【0094】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係る車載機器は、施設検索装置6aから構成されている。この施設検索装置6aは、施設検索装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の施設データの消去の可否とをユーザが設定できるようにしたものである。
【0095】
図17は、実施の形態8に係る施設検索装置6aの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態7に係る施設検索装置6の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態7で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0096】
施設検索装置6aには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3aが接続される。この制御モジュール模擬装置3aは、実施の形態2に係るナビゲーション装置1aに接続される制御モジュール模擬装置3aと同じものである。また、施設検索装置6aは、実施の形態7に係る施設検索装置6の不要施設消去部16が不要施設消去部16aに変更されて構成されている。この不要施設消去部16aは、実施の形態7に係る施設検索装置6の不要施設消去部16に、付加データ判定部23が追加されるとともに、実施の形態7に係る施設検索装置6の施設データ消去部26が施設データ消去部26aに変更されて構成されている。
【0097】
付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに付加された検査中データに基づき、施設検索装置6aが製品検査中であるか否かを判定する。この付加データ判定部23における判定結果は、施設データ消去部26aに送られる。施設データ消去部26aは、付加データ判定部23から送られてくる判定結果が製品検査中でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方を消去する。
【0098】
次に、上記のように構成される実施の形態8に係る施設検索装置6aの動作を説明する。制御モジュール模擬装置3aの動作は、図4のフローチャートを参照して既に説明した実施の形態2に係るナビゲーション装置1aの仕向け先データ生成処理と同じであるので、説明を省略する。
【0099】
次に、施設検索装置6aの動作を、不要施設消去処理を中心に、図18に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要施設消去処理は、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理のステップST11とステップST12との間にステップST31が追加されて構成されている。以下では、図16に示した実施の形態7の不要地音楽去処理と同一の処理ステップには実施の形態7で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0100】
不要施設消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。すなわち、仕向け先判定部21は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データを受信する。次いで、付加データがあるかどうかが調べられる(ステップST31)。すなわち、付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに検査中データが付加さているかどうかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26aに送る。このステップST31において、付加データがあることが判断されると、不要施設消去処理は終了する。
【0101】
上記ステップST31において、付加データがないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26aに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用施設データが消去される(ステップST61)。すなわち、施設データ消去部26aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0102】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用施設データが消去される(ステップST62)。すなわち、施設データ消去部26aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要施設消去処理は終了する。
【0103】
以上説明したように、この発明の実施の形態8に係る施設検索装置6aによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場で施設検索装置6aを製造する場合は製品検査が実施されるが、この製品検査は、制御モジュール模擬装置3aを施設検索装置6aに接続し、施設検索装置6aが恰も車両に搭載されているような状態で行われる。製品検査を行う場合は、仕向け先データに検査中データを付加して施設検索装置6aに送ることにより、施設検索装置6aに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の施設データの削除は行われない。
【0104】
実施の形態9.
この発明の実施の形態9に係る車載機器は、施設検索装置6bから構成されている。この施設検索装置6bは、施設検索装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、施設検索装置6bの電源が投入された場所が工場である場合は、記憶装置12内の施設データの消去を抑止するようにしたものである。
【0105】
図19は、実施の形態9に係る施設検索装置6bの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態7に係る施設検索装置6の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態7で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0106】
施設検索装置6bには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3bが接続される。この制御モジュール模擬装置3bは、実施の形態3に係るナビゲーション装置1bに接続される制御モジュール模擬装置3bと同じものである。また、施設検索装置6bは、実施の形態7に係る施設検索装置6にGPS受信部14が追加されるとともに、実施の形態7に係る施設検索装置6の不要施設消去部16が不要施設消去部16bに変更されて構成されている。この不要施設消去部16bは、実施の形態7に係る施設検索装置6の不要施設消去部16に、位置判定部24が追加されて構成されている。
【0107】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として不要施設消去部16b内の位置判定部24に送る。不要施設消去部16b内の位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき現在位置を算出し、現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。そして、製造工場敷地内を示している場合は、施設データ消去部26bを起動し、そうでない場合は、施設データ消去部26bの起動を抑止する。施設データ消去部26bは、位置判定部24で判定された現在位置が特定地域内、例えば施設検索装置メーカーの工場敷地内でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方を消去する。
【0108】
次に、上記のように構成される実施の形態9に係る施設検索装置6bの動作を説明する。制御モジュール模擬装置3bの動作は、図7のフローチャートを参照して既に説明した実施の形態3に係るナビゲーション装置1bの仕向け先データ生成処理と同じであるので、説明を省略する。
【0109】
次に、施設検索装置6bの動作を、不要施設消去処理を中心に、図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要施設消去処理は、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理のステップST11の前にステップST41およびST42の処理が追加されて構成されている。以下では、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理と同一の処理ステップには実施の形態7と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0110】
不要施設消去処理では、まず、位置測定が行われる(ステップST41)。すなわち、GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき自己の現在位置を算出する。次いで、ステップST41で求められた現在位置が、施設検索装置6bの製造工場敷地内であるかどうかが調べられる(ステップST42)。すなわち、位置判定部24は、ステップST41で算出された現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。
【0111】
このステップST42において、製造工場敷地内であることが判断されると、施設検索装置6bの製品検査中である旨が認識され、施設データ消去部26bの起動が抑止される。そして、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST42において、製造工場敷地内でないことが判断されると、施設データ消去部26bが起動されるとともに、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST11において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。
【0112】
一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26bに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用施設データが消去される(ステップST61)。すなわち、施設データ消去部26bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0113】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用施設データが消去される(ステップST62)。すなわち、施設データ消去部26bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要施設消去処理は終了する。
【0114】
以上説明したように、この発明の実施の形態9に係る施設検索装置6bによれば、上述した実施の形態8に係る施設検索装置6aと同様に、製品検査中に施設データが消去されるのを抑止できる。また、実施の形態8に係る施設検索装置6aに較べて、制御モジュール模擬装置3bの構成が簡単になる。
【0115】
実施の形態10.
この発明の実施の形態10に係る車載機器は、ナビゲーション装置1cから構成されている。このナビゲーション装置1cは、ナビゲーション装置メーカーにおける製品検査(製品試験)の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の地図データの消去の可否とをユーザが、例えば外付けスイッチ等によって手動で設定できるようにしたものである。
【0116】
図21は、実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0117】
ナビゲーション装置1cは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1から車載ネットワーク接続部11が除去されるとともに、例えば外付けスイッチから構成された仕向け先設定部17が追加されて構成されている。仕向け先設定部7の出力は、直接に(車載ネットワークを経由することなく)不要地図消去部13に送られる。
【0118】
仕向け先設定部17は、仕向け先(A地域でまたはB地域)および製品検査中であるか否かをユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17は、ナビゲーション装置1cがナビゲーション装置メーカーから出荷されて自動車メーカーにおいて車に取り付けられるまでは、製品検査中に設定される。そして、車に取り付けられた後に、仕向け先設定部17の設定は製品検査中でない旨に変更され、その後、仕向け先(A地域またはB地域)が設定される。
【0119】
次に、上記のように構成される実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの動作を、不要地図消去処理を中心に、図22に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要地図消去処理は、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理のステップST11がステップST71に変更され、その後にステップST72が追加されて構成されている。以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0120】
不要地図消去処理では、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST71)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17で設定されている仕向け先設定データを読み取る。次いで、製品検査中であるかどうかが調べられる(ステップST72)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17から読み取った仕向け先設定データが製品検査中であることを示しているかどうかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22に送る。このステップST72において、製品検査中であることが判断されると、不要地図消去処理は終了する。
【0121】
上記ステップST72において、製品検査中でないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用地図データが消去される(ステップST14)。したがって、記憶装置12には、A地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0122】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用地図データが消去される(ステップST15)。したがって、記憶装置12には、B地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要地図消去処理は終了する。
【0123】
以上説明したように、この発明の実施の形態10に係るナビゲーション装置1cによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場でナビゲーション装置1cを製造する場合は製品検査が実施されるが、仕向け先設定部17に製品検査中である旨を設定することにより、ナビゲーション装置1cに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の地図データの削除は行われない。
【0124】
また、この実施の形態10に係るナビゲーション装置1cによれば、実施の形態1のように車載ネットワーク4を経由しないで仕向け先を判定できるので、ナビゲーション装置1cの構成が簡単になる。また、車載ネットワーク環境が存在しない状態で、仕向け先および製品検査中であるか否かを設定できるので、設定が容易である。さらに、ナビゲーション装置メーカーにおける製品検査において、制御モジュール模擬装置が不要になるので、製品検査を簡単に行うことができる。
【0125】
実施の形態11.
この発明の実施の形態11に係る車載機器は、オーディオ装置5cから構成されている。このオーディオ装置5cは、オーディオ装置メーカーにおける製品検査(製品試験)の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の音楽データの消去の可否とをユーザが、例えば外付けスイッチ等によって手動で設定できるようにしたものである。
【0126】
図23は、実施の形態11に係るオーディオ装置5cの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態4に係るオーディオ装置5の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態4で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0127】
オーディオ装置5cは、実施の形態4に係るオーディオ装置5から車載ネットワーク接続部11が除去されるとともに、例えば外付けスイッチから構成された仕向け先設定部17が追加されて構成されている。仕向け先設定部7の出力は、直接に(車載ネットワークを経由することなく)不要音楽消去部15cに送られる。
【0128】
仕向け先設定部17は、仕向け先(A地域でまたはB地域)および製品検査中であるか否かをユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17は、オーディオ装置5cがオーディオ装置メーカーから出荷されて自動車メーカーにおいて車に取り付けられるまでは、製品検査中に設定される。そして、車に取り付けられた後に、仕向け先設定部17の設定は製品検査中でない旨に変更され、その後、仕向け先(A地域またはB地域)が設定される。
【0129】
次に、上記のように構成される実施の形態10に係るオーディオ装置5cの動作を、不要音楽消去処理を中心に、図24に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要音楽消去処理は、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理のステップST11がステップST71に変更され、その後にステップST72が追加されて構成されている。以下では、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理と同一の処理ステップには実施の形態4で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0130】
不要音楽消去処理では、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST71)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17で設定されている仕向け先設定データを読み取る。次いで、製品検査中であるかどうかが調べられる(ステップST72)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17から読み取った仕向け先設定データが製品検査中であることを示しているかどうかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25cに送る。このステップST72において、製品検査中であることが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。
【0131】
上記ステップST72において、製品検査中でないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用音楽データが消去される(ステップST51)。したがって、記憶装置12には、A地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0132】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用音楽データが消去される(ステップST52)。したがって、記憶装置12には、B地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要音楽消去処理は終了する。
【0133】
以上説明したように、この発明の実施の形態11に係るオーディオ装置5cによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場でオーディオ装置5cを製造する場合は製品検査が実施されるが、仕向け先設定部17に製品検査中である旨を設定することにより、オーディオ装置5cに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の音楽データの削除は行われない。
【0134】
また、この実施の形態11に係るオーディオ装置5cによれば、実施の形態4のように車載ネットワーク4を経由しないで仕向け先を判定できるので、オーディオ装置5cの構成が簡単になる。また、車載ネットワーク環境が存在しない状態で、仕向け先および製品検査中であるか否かを設定できるので、設定が容易である。さらに、オーディオ装置メーカーにおける製品検査において、制御モジュール模擬装置が不要になるので、製品検査を簡単に行うことができる。
【0135】
実施の形態12.
この発明の実施の形態12に係る車載機器は、施設検索装置6cから構成されている。この施設検索装置6cは、施設検索装置メーカーにおける製品検査(製品試験)の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の施設データの消去の可否とをユーザが、例えば外付けスイッチ等によって手動で設定できるようにしたものである。
【0136】
図25は、実施の形態12に係る施設検索装置6cの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態7に係る施設検索装置6の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態7で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0137】
施設検索装置6cは、実施の形態7に係る施設検索装置6から車載ネットワーク接続部11が除去されるとともに、例えば外付けスイッチから構成された仕向け先設定部17が追加されて構成されている。仕向け先設定部7の出力は、直接に(車載ネットワークを経由することなく)不要施設消去部16cに送られる。
【0138】
仕向け先設定部17は、仕向け先(A地域でまたはB地域)および製品検査中であるか否かをユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17は、施設検索装置6cが施設検索装置メーカーから出荷されて自動車メーカーにおいて車に取り付けられるまでは、製品検査中に設定される。そして、車に取り付けられた後に、仕向け先設定部17の設定は製品検査中でない旨に変更され、その後、仕向け先(A地域またはB地域)が設定される。
【0139】
次に、上記のように構成される実施の形態12に係る施設検索装置6cの動作を、不要施設消去処理を中心に、図26に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要施設消去処理は、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理のステップST11がステップST71に変更され、その後にステップST72が追加されて構成されている。以下では、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理と同一の処理ステップには実施の形態7で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0140】
不要施設消去処理では、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST71)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17で設定されている仕向け先設定データを読み取る。次いで、製品検査中であるかどうかが調べられる(ステップST72)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17から読み取った仕向け先設定データが製品検査中であることを示しているかどうかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26cに送る。このステップST72において、製品検査中であることが判断されると、不要施設消去処理は終了する。
【0141】
上記ステップST72において、製品検査中でないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用施設データが消去される(ステップST61)。したがって、記憶装置12には、A地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0142】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用施設データが消去される(ステップST62)。したがって、記憶装置12には、B地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要施設消去処理は終了する。
【0143】
以上説明したように、この発明の実施の形態12に係る施設検索装置6cによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場で施設検索装置6cを製造する場合は製品検査が実施されるが、仕向け先設定部17に製品検査中である旨を設定することにより、施設検索装置6cに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の施設データの削除は行われない。
【0144】
また、この実施の形態12に係る施設検索装置6cによれば、実施の形態7のように車載ネットワーク4を経由しないで仕向け先を判定できるので、施設検索装置6cの構成が簡単になる。また、車載ネットワーク環境が存在しない状態で、仕向け先および製品検査中であるか否かを設定できるので、設定が容易である。さらに、施設検索装置メーカーにおける製品検査において、制御モジュール模擬装置が不要になるので、製品検査を簡単に行うことができる。
【0145】
実施の形態13.
この発明の実施の形態13に係る車載機器は、ナビゲーション装置1dから構成されている。このナビゲーション装置1dは、仕向け先用の地図データ以外の地図データを記憶装置12から消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残しておき、必要に応じて解凍して使用できるようにしたものである。
【0146】
図27は、実施の形態13に係るナビゲーション装置1dの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態10で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0147】
ナビゲーション装置1dは、実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの仕向け先設定部17が仕向け先設定部17dに変更されるとともに、不要地図消去部13が不要地図消去部13dに変更されて構成されている。仕向け先設定部17dは、仕向け先(A地域でまたはB地域)をユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17dで設定された仕向け先は、仕向け先設定データとして、不要地図消去部13dに送られる。
【0148】
不要地図消去部13dは、実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの不要地図消去部13cの地図データ消去部22が圧縮解凍処理部27に置き換えられて構成されている。圧縮解凍処理部27は、記憶装置12に記憶されている地図データを可逆的に圧縮および解凍する。この圧縮解凍処理部27は、図示しない入力装置から入力されたパスワードが正当であるときにのみ、圧縮または解凍を行う。なお、あらかじめ記憶装置12に記憶される複数地域の地図データは、圧縮された状態であってもよいし、解凍された状態であってもよい。
【0149】
次に、上記のように構成される実施の形態11に係るナビゲーション装置1dの動作を、不要地図消去処理を中心に、図28に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0150】
不要地図消去処理は、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST81)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17dで設定されている仕向け先設定データを読み取る。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST82)。このステップST82において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。一方、ステップST82において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST83)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17dから読み出した仕向け先設定データが、仕向け先としてA地域を示しているかB地域を示しているかを調べる。
【0151】
このステップST83において、A地域であることが判断されると、次いで、B地域の地図データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST84)。このステップST84において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST85)。このパスワード設定は、あらかじめ入力装置(図示しない)から入力されたパスワードを自動的に設定するか、パスワードの入力を求め、この求めに応じて入力されたパスワードを設定することにより行うことができる。このパスワード設定により設定されたパスワードが正当であれば、次いで、B地域の地図データが圧縮される(ステップST86)。上記ステップST84において、B地域の地図データが圧縮されていることが判断されると、ステップST85およびST86の処理はスキップされる。
【0152】
次いで、A地域の地図データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST87)。このステップST87において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST88)。次いで、A地域の地図データが解凍される(ステップST89)。上記ステップST87において、A地域の地図データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST88およびST89の処理はスキップされる。次いで、初期状態フラグがクリアされる(ステップST96)。このステップST96の処理は、図2に示す実施の形態1のステップST12の処理と同じである。その後、不要地図消去処理は終了する。
【0153】
上記ステップST83において、B地域であることが判断されると、次いで、A地域の地図データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST90)。このステップST90において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST91)。次いで、A地域の地図データが圧縮される(ステップST92)。上記ステップST90において、A地域の地図データが圧縮されていることが判断されると、ステップST91およびST92の処理はスキップされる。
【0154】
次いで、B地域の地図データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST93)。このステップST93において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST94)。次いで、B地域の地図データが解凍される(ステップST95)。その後、シーケンスはステップST96に進む。上記ステップST93において、B地域の地図データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST94およびST95の処理はスキップされ、シーケンスはステップST96に進む。
【0155】
以上説明したように、この発明の実施の形態13に係るナビゲーション装置1dによれば、不要な地図データを消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残すように構成したので、一旦、車に取り付けられたナビゲーション装置1dを他の地域で再使用することが可能になる。例えば、ナビゲーション装置1dをナビゲーション装置メーカーから出荷するときは、仕向け先設定部17dの設定をA地域に設定しておき、このナビゲーション装置1dを自動車メーカーにおいて仕向け地用の車に取り付けるときに、仕向け先設定部17dの設定をB地域に変更する。その結果、A地域用の地図データは圧縮されるとともにB地域用の地図データは解凍されるので、B地域用の地図データに対してのみライセンス料金が課金される。この状態で、B地域のユーザが、ナビゲーション装置1dを販売店などに下取りに出したとする。このナビゲーション装置1dをリサイクルしてA地域向けの車に取り付ける場合、仕向け先設定部17の設定をA地域に変更すれば、B地域用の地図データは圧縮され、A地域用の地図データは解凍される。その結果、A地域用の地図データに対してのみライセンス料金が課金されるので、ナビゲーション装置1dをA地域に適合させることができる。
【0156】
実施の形態14.
この発明の実施の形態14に係る車載機器は、オーディオ装置5dから構成されている。このオーディオ装置5dは、仕向け先用の音楽データ以外の音楽データを記憶装置12から消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残しておき、必要に応じて解凍して使用できるようにしたものである。
【0157】
図29は、実施の形態14に係るオーディオ装置5dの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態11に係るオーディオ装置5cの構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態11で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0158】
オーディオ装置5dは、実施の形態11に係るオーディオ装置5cの仕向け先設定部17が仕向け先設定部17dに変更されるとともに、不要音楽消去部15cが不要音楽消去部15dに変更されて構成されている。仕向け先設定部17dは、仕向け先(A地域でまたはB地域)をユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17dで設定された仕向け先は、仕向け先設定データとして、不要音楽消去部15dに送られる。
【0159】
不要音楽消去部15dは、実施の形態11に係るオーディオ装置5cの不要音楽消去部15cの音楽データ消去部25cが圧縮解凍処理部27に置き換えられて構成されている。圧縮解凍処理部27は、記憶装置12に記憶されている音楽データを可逆的に圧縮および解凍する。この圧縮解凍処理部27は、図示しない入力装置から入力されたパスワードが正当であるときにのみ、圧縮または解凍を行う。なお、あらかじめ記憶装置12に記憶される複数地域の音楽データは、圧縮された状態であってもよいし、解凍された状態であってもよい。
【0160】
次に、上記のように構成される実施の形態14に係るオーディオ装置5dの動作を、不要音楽消去処理を中心に、図30に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要音楽消去処理は、図28に示した実施の形態13の地図データが音楽データに置き換えられて構成されている。以下では、図28に示した実施の形態13の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態13で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0161】
不要音楽消去処理は、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST81)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST82)。このステップST82において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST82において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST83)。
【0162】
このステップST83において、A地域であることが判断されると、次いで、B地域の音楽データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST101)。このステップST101において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST85)。次いで、B地域の音楽データが圧縮される(ステップST102)。上記ステップST101において、B地域の音楽データが圧縮されていることが判断されると、ステップST85およびST102の処理はスキップされる。
【0163】
次いで、A地域の音楽データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST103)。このステップST103において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST88)。次いで、A地域の音楽データが解凍される(ステップST104)。上記ステップST103において、A地域の音楽データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST88およびST104の処理はスキップされる。次いで、初期状態フラグがクリアされる(ステップST96)。その後、不要音楽消去処理は終了する。
【0164】
上記ステップST83において、B地域であることが判断されると、次いで、A地域の音楽データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST105)。このステップST105において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST91)。次いで、A地域の音楽データが圧縮される(ステップST106)。上記ステップST105において、A地域の音楽データが圧縮されていることが判断されると、ステップST91およびST106の処理はスキップされる。
【0165】
次いで、B地域の音楽データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST107)。このステップST107において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST94)。次いで、B地域の音楽データが解凍される(ステップST108)。その後、シーケンスはステップST96に進む。上記ステップST107において、B地域の音楽データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST94およびST108の処理はスキップされ、シーケンスはステップST96に進む。
【0166】
以上説明したように、この発明の実施の形態14に係るオーディオ装置5dによれば、不要な音楽データを消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残すように構成したので、一旦、車に取り付けられたオーディオ装置5dを他の地域で再使用することが可能になる。例えば、オーディオ装置5dをオーディオ装置メーカーから出荷するときは、仕向け先設定部17dの設定をA地域に設定しておき、このオーディオ装置5dを自動車メーカーにおいて仕向け地用の車に取り付けるときに、仕向け先設定部17dの設定をB地域に変更する。その結果、A地域用の音楽データは圧縮されるとともにB地域用の音楽データは解凍されるので、B地域用の音楽データに対してのみライセンス料金が課金される。この状態で、B地域のユーザが、オーディオ装置5dを販売店などに下取りに出したとする。このオーディオ装置5dをリサイクルしてA地域向けの車に取り付ける場合、仕向け先設定部17の設定をA地域に変更すれば、B地域用の音楽データは圧縮され、A地域用の音楽データは解凍される。その結果、A地域用の音楽データに対してのみライセンス料金が課金されるので、オーディオ装置5dをA地域に適合させることができる。
【0167】
実施の形態15.
この発明の実施の形態15に係る車載機器は、施設検索装置6dから構成されている。この施設検索装置6dは、仕向け先用の施設データ以外の施設データを記憶装置12から消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残しておき、必要に応じて解凍して使用できるようにしたものである。
【0168】
図31は、実施の形態15に係る施設検索装置6dの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態12に係る施設検索装置6cの構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態12で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0169】
施設検索装置6dは、実施の形態12に係る施設検索装置6cの仕向け先設定部17が仕向け先設定部17dに変更されるとともに、不要施設消去部16cが不要施設消去部16dに変更されて構成されている。仕向け先設定部17dは、仕向け先(A地域でまたはB地域)をユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17dで設定された仕向け先は、仕向け先設定データとして、不要施設消去部16dに送られる。
【0170】
不要施設消去部16dは、実施の形態12に係る施設検索装置6cの不要施設消去部16cの施設データ消去部26cが圧縮解凍処理部27に置き換えられて構成されている。圧縮解凍処理部27は、記憶装置12に記憶されている施設データを可逆的に圧縮および解凍する。この圧縮解凍処理部27は、図示しない入力装置から入力されたパスワードが正当であるときにのみ、圧縮または解凍を行う。なお、あらかじめ記憶装置12に記憶される複数地域の施設データは、圧縮された状態であってもよいし、解凍された状態であってもよい。
【0171】
次に、上記のように構成される実施の形態15に係る施設検索装置6dの動作を、不要施設消去処理を中心に、図32に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要施設消去処理は、図28に示した実施の形態13の地図データが施設データに置き換えられて構成されている。以下では、図28に示した実施の形態13の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態13で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0172】
不要施設消去処理は、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST81)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST82)。このステップST82において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST82において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST83)。
【0173】
このステップST83において、A地域であることが判断されると、次いで、B地域の施設データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST111)。このステップST111において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST85)。次いで、B地域の施設データが圧縮される(ステップST112)。上記ステップST111において、B地域の施設データが圧縮されていることが判断されると、ステップST85およびST112の処理はスキップされる。
【0174】
次いで、A地域の施設データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST113)。このステップST113において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST88)。次いで、A地域の施設データが解凍される(ステップST114)。上記ステップST113において、A地域の施設データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST88およびST114の処理はスキップされる。次いで、初期状態フラグがクリアされる(ステップST96)。その後、不要施設消去処理は終了する。
【0175】
上記ステップST83において、B地域であることが判断されると、次いで、A地域の施設データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST115)。このステップST115において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST91)。次いで、A地域の施設データが圧縮される(ステップST116)。上記ステップST115において、A地域の施設データが圧縮されていることが判断されると、ステップST91およびST106の処理はスキップされる。
【0176】
次いで、B地域の施設データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST117)。このステップST117において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST94)。次いで、B地域の施設データが解凍される(ステップST118)。その後、シーケンスはステップST96に進む。上記ステップST117において、B地域の施設データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST94およびST118の処理はスキップされ、シーケンスはステップST96に進む。
【0177】
以上説明したように、この発明の実施の形態15に係る施設検索装置6dによれば、不要な施設データを消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残すように構成したので、一旦、車に取り付けられた施設検索装置6dを他の地域で再使用することが可能になる。例えば、施設検索装置6dを施設検索装置メーカーから出荷するときは、仕向け先設定部17dの設定をA地域に設定しておき、この施設検索装置6dを自動車メーカーにおいて仕向け地用の車に取り付けるときに、仕向け先設定部17dの設定をB地域に変更する。その結果、A地域用の施設データは圧縮されるとともにB地域用の施設データは解凍されるので、B地域用の施設データに対してのみライセンス料金が課金される。この状態で、B地域のユーザが、施設検索装置6dを販売店などに下取りに出したとする。この施設検索装置6dをリサイクルしてA地域向けの車に取り付ける場合、仕向け先設定部17の設定をA地域に変更すれば、B地域用の施設データは圧縮され、A地域用の施設データは解凍される。その結果、A地域用の施設データに対してのみライセンス料金が課金されるので、施設検索装置6dをA地域に適合させることができる。
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載される車載機器に関し、特に、1台の車載機器を複数の仕向け先に対応させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される車載機器としてカーナビゲーション装置、カーオーディオ装置、施設情報検索装置などが知られている。このような車載機器のメーカーは、車載機器の仕向け先が例えば欧州や米国というように異なると、同じ機種であっても、地図データ、音楽データ、施設データ等を共用することはできない。したがって、車載機器のメーカーは、個々の仕向け先に適合する地図データ、音楽データ、施設データ等を車載機器にインストールして出荷する。
【0003】
なお、関連する技術として、特許文献1は、車両や車両が使用される環境に好適なナビゲーションを少ないデータ量で行うことができるカーナビゲーションシステムを開示している。このカーナビゲーションシステムは、ナビゲーション機能を実現するための処理プログラムと、車両が保持している車両情報を取得する車両情報取得手段と、車両情報取得手段で取得された車両情報に基づき処理プログラムに設定すべき設定情報を生成する設定情報生成手段と、設定情報生成手段で生成された設定情報を処理プログラムに通知する設定情報通知手段と、処理プログラムに含まれ、設定情報通知手段から通知された設定情報に応じて処理プログラム内部の設定状態を切り替える設定情報切替手段とを備え、処理プログラムは、設定情報切替手段によって切り替えられた設定状態でナビゲーション機能を実現する処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−181130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の車載機器では、仕向け先毎に、つまりインストールされる地図データ等によって車載機器の機種を変えると、製品の種類が増加するので製造管理の複雑化を招くという問題がある。また、車載機器のメーカーから出荷された車載機器が自動車メーカーにおいて自動車に取り付けられる際に、各仕向け先の自動車の販売量と、その仕向け先用の車載機器の発注量(出荷量)が一致しない場合に、自動車メーカーにおいて在庫の過不足が発生するので在庫管理が難しくなるという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するために、1台の車載機器に複数の仕向け先用の地図データ等をインストールして出荷することも考えられるが、この場合、車載機器が起動されるとユーザが使用しない地図データ等に対してもライセンス料金等が課金される可能性があり、ユーザは無用の出費を強いられる可能性がある。
【0007】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、車載機器のメーカー、自動車メーカーおよびユーザに負担を強いることなく、複数の仕向け先に対応させることができる車載機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るナビゲーション装置は、上記課題を解決するために、複数の仕向け先用のデータを記憶する記憶装置と、仕向け先データを取得し、取得した仕向け先データに基づき仕向け先を判定する仕向け先判定部と、記憶装置に記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去するデータ消去部とを備え、データ消去部は、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを示すデータに基づいて、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを判断し、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能の場合には、仕向け先用のデータ以外のデータを消去し、記憶装置は複数の仕向け先用の施設データを記憶し、データ消去部は記憶装置に予め記憶された複数の仕向け先用の施設データのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用の施設データ以外の施設データを消去する。このナビゲーション装置における複数の仕向け先用のデータには、地図データ、音楽データおよび施設データの他に、音声データなどが含まれる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ナビゲーション装置を、複数の仕向け先用のデータを記憶する記憶装置と、仕向け先データを取得し、取得した仕向け先データに基づき仕向け先を判定する仕向け先判定部と、記憶装置に記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去するデータ消去部とを備え、データ消去部は仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを示すデータに基づいて仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを判断し、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能の場合には、仕向け先用のデータ以外のデータを消去し、記憶装置は複数の仕向け先用の施設データを記憶し、データ消去部は記憶装置に予め記憶された複数の仕向け先用の施設データのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用の施設データ以外の施設データを消去するように構成したので、ナビゲーション装置のメーカーは1種類のナビゲーション装置を製造することができ、自動車メーカーは在庫管理が容易になり、ユーザは1つのデータのみを利用するので無用なライセンス料金が課金されるという負担を避けることができる。すなわち、ナビゲーション装置のメーカー、自動車メーカーおよびユーザに負担を強いることなく、複数の仕向け先に対応させることができるナビゲーション装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る車載機器としてのナビゲーション装置に接続される制御モジュール模擬装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る車載機器としてのナビゲーション装置に接続される制御モジュール模擬装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態3に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態4に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態5に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態6に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態7に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態8に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図18】この発明の実施の形態8に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】この発明の実施の形態9に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図20】この発明の実施の形態9に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【図21】この発明の実施の形態10に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図22】この発明の実施の形態10に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図23】この発明の実施の形態11に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図24】この発明の実施の形態11に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図25】この発明の実施の形態12に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図26】この発明の実施の形態12に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【図27】この発明の実施の形態13に係る車載機器としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図28】この発明の実施の形態13に係る車載機器としてのナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図29】この発明の実施の形態14に係る車載機器としてのオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図30】この発明の実施の形態14に係る車載機器としてのオーディオ装置の動作を示すフローチャートである。
【図31】この発明の実施の形態15に係る車載機器としての施設検索装置の構成を示すブロック図である。
【図32】この発明の実施の形態15に係る車載機器としての施設検索装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
なお、以下に説明する各実施の形態において、同一または相当する構成要素には同一の符号を付して説明する。また、以下においては、この発明に係る車載機器がナビゲーション装置、オーディオ装置および施設検索装置として実現され、それぞれ地図データ、音楽データおよび施設データを取り扱う場合について説明するが、この発明に係る車載機器が取り扱うデータは、これらに限定されず、例えば、音声データ、放送データといった種々のデータを取り扱うことができる。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る車載機器は、ナビゲーション装置1から構成されている。図1は、車両2に搭載されたナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。車両2には、制御モジュール3が備えられており、この制御モジュール3とナビゲーション装置1との間は、車載ネットワーク4によって接続されている。
【0012】
車載ネットワーク4は、例えばMOST(Media Oriented Systems Transport)バス、CAN(Controller Area Network)バス、シリアルバス、赤外線やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等を用いて構成することができる。なお、車載ネットワーク4には、ナビゲーション装置1の他に、いずれも図示は省略するが、カーオーディオやAV機器といった情報系、ボディ系、安全系、パワートレイン(走行制御)系の各ユニットなどが接続されている。
【0013】
制御モジュール3は、例えば車両2のメーカーやディーラーといった客先において最初にナビゲーション装置1の電源が投入された時に、車両2の仕向け先(マーケット)を表す「仕向け先データ」を発生し、車載ネットワーク4を介してナビゲーション装置1に送信する。この実施の形態1および後に説明する各実施の形態では、仕向け先データとしてA地域またはB地域を指定するデータが使用されるものとする。
【0014】
ナビゲーション装置1は、車載ネットワーク接続部11、記憶装置12および不要地図消去部13を備えている。なお、図1に示すナビゲーション装置1では、経路検索や経路案内といったナビゲーション機能を実現するための構成要素の記載は省略されている。
【0015】
車載ネットワーク接続部11は、ナビゲーション装置1が制御モジュール3と通信を行うためのインタフェースである。車載ネットワーク接続部11は、制御モジュール3からの仕向け先データを受け取って不要地図消去部13に送る。この車載ネットワーク接続部11は、車載ネットワーク4で採用される通信規格、つまりMOST、CAN、シリアル、赤外線、ブルートゥース等に適合するように適宜構成される。記憶装置12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等から構成されている。この記憶装置12には、工場から出荷されたナビゲーション装置1が、例えば自動車メーカーにおいて車両2に取り付けられて最初に電源が投入される前の初期状態においては、A地域用地図データおよびB地域用地図データが記憶されている。
【0016】
不要地図消去部13は、例えばマイクロコンピュータによって実行されるプログラム処理によって実現されている。この不要地図消去部13は、初期状態においてナビゲーション装置1の電源が投入された場合に、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データによって示される仕向け先用以外の地図データを記憶装置12から消去する。なお、初期状態であるかどうかは、実施の形態1と同様に、初期状態フラグによって記憶される。
【0017】
不要地図消去部13は、さらに詳しくは、仕向け先判定部21および地図データ消去部22から構成されている。仕向け先判定部21は、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定する。この仕向け先判定部21における判定結果は、地図データ消去部22に送られる。地図データ消去部22は、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方を消去する。
【0018】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置1の動作を、不要地図消去処理を中心に、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。不要地図消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。すなわち、仕向け先判定部21は、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データを受信する。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。すなわち、仕向け先判定部21は、図示しない不揮発性メモリに格納されている初期状態フラグが「1」にセットされているかどうかを調べる。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。
【0019】
一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22に送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用地図データが消去される(ステップST14)。すなわち、地図データ消去部22は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0020】
上記ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用地図データが消去される(ステップST15)。すなわち、地図データ消去部22は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。したがって、次回以降にナビゲーション装置1の電源が投入された時は、不要地図消去処理は実行されない。
【0021】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置1によれば、工場出荷時点では、ナビゲーション装置1には、A地域用地図データおよびB地域用地図データが記憶装置12に格納されているので、1種類のナビゲーション装置1を、仕向け先がA地域の車両および仕向け先がB地域の車両の両方に搭載することができる。したがって、各仕向け先の自動車の販売量と、その仕向け先用のナビゲーション装置の発注量(出荷量)が一致しない場合であっても、自動車メーカーにおける在庫の過不足が発生しにくい。
【0022】
また、ナビゲーション装置1の仕向け先が異なる2箇所であっても、ナビゲーション装置メーカーにおいては1種類のナビゲーション装置1を製造すればよいので、製造管理が容易になる。また、車両が販売された後は、ナビゲーション装置1の記憶装置12には、A地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方のみしか存在せず、ユーザが使用する地図データに対してのみライセンス料金が課金されるので、ユーザは無用の出費を強いられない。さらに、記憶装置12には、A地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方のみが残され、他方は削除されるので、記憶装置12の空き領域の容量を増加させることができる。その結果、空き領域に他の用途のデータ、例えば音楽データや施設データを記憶させることができるので、記憶装置12を有効に活用することができる。
【0023】
なお、上述した実施の形態1に係るナビゲーション装置では、仕向け先用の地図データとしてA地域用地図データおよびB地域用地図データといった2地域分の地図データがあらかじめ記憶装置12に格納されている場合を例に挙げて説明したが、この発明は、3地域分以上の地図データが記憶装置12に格納されている場合にも適用できる。この場合、不要地図消去部13は、仕向け先データによって示される地域以外の地域用の地図データを消去するように構成される。
【0024】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る車載機器は、ナビゲーション装置1aから構成されている。このナビゲーション装置1aは、ナビゲーション装置メーカーにおける製品検査(製品試験)の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の地図データの消去の可否とをユーザが制御モジュール模擬装置から車載ネットワークを介して設定できるようにしたものである。
【0025】
図3は、実施の形態2に係るナビゲーション装置1aの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0026】
ナビゲーション装置1aには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3aが接続される。この制御モジュール模擬装置3aは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1に接続される制御モジュール3を模擬するものである。この制御モジュール模擬装置3aは、仕向け先設定部31、付加データ設定部32および仕向け先データ生成部33から構成されている。
【0027】
仕向け先設定部31は、仕向け先がA地域であるかB地域であるかをユーザが設定するために使用される。この仕向け先設定部31で設定された仕向け先を表すデータは、仕向け先データ生成部33に送られる。付加データ設定部32は、ナビゲーション装置1aが製品検査中であるか否かをユーザが設定するために使用される。この付加データ設定部32で設定された製品検査中であるか否かを表すデータは、検査中データとして仕向け先データ生成部33に送られる。仕向け先データ生成部33は、仕向け先設定部31から送られてくるデータに基づき仕向け先データを生成し、この生成した仕向け先データに、付加データ設定部32から送られてくる検査中データを付加し、ナビゲーション装置1aに送信する。
【0028】
また、ナビゲーション装置1aは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の不要地図消去部13が不要地図消去部13aに変更されて構成されている。この不要地図消去部13aは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の不要地図消去部13に、付加データ判定部23が追加されるとともに、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の地図データ消去部22が地図データ消去部22aに変更されて構成されている。
【0029】
付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに付加された検査中データに基づき、ナビゲーション装置1aが製品検査中であるか否かを判定する。この付加データ判定部23における判定結果は、地図データ消去部22に送られる。地図データ消去部22aは、付加データ判定部23から送られてくる判定結果が製品検査中でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方を消去する。
【0030】
次に、上記のように構成される実施の形態2に係るナビゲーション装置1aの動作を説明する。まず、制御モジュール模擬装置3aの動作を、図4に示す仕向け先データ生成処理のフローチャートを参照しながら説明する。
【0031】
仕向け先データ生成処理では、まず、仕向け先設定部31によって設定された仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST21)。すなわち、仕向け先データ生成部33は、仕向け先判定部21から送られてくるデータによって示される地域がA地域であるかB地域であるかを調べる。このステップST21において、仕向け先がA地域であることが判断されると、A地域を指定する仕向け先データが生成される(ステップST22)。すなわち、仕向け先データ生成部33は、仕向け先判定部21から送られてくるデータに基づきA地域を指定する仕向け先データを生成する。その後、シーケンスはステップST24に進む。一方、ステップST21において、仕向け先がB地域であることが判断されると、B地域を指定する仕向け先データが生成される(ステップST23)。すなわち、仕向け先データ生成部33は、仕向け先判定部21から送られてくるデータに基づきB地域を指定する仕向け先データを生成する。その後、シーケンスはステップST24に進む。
【0032】
ステップST24においては、付加データ設定部32によって付加データが設定されたかどうかが調べられる。すなわち、仕向け先データ生成部32は、付加データ設定部32から検査中データが送られてきたかどうかを調べる。このステップST24において、付加データが設定されたことが判断されると、ステップST22またはステップST23で生成された仕向け先データに検査中データが付加される(ステップST25)。その後、仕向け先データ生成処理は終了する。一方、ステップST24において、付加データが設定されていないことが判断されると、ステップST25の処理はスキップされ、仕向け先データ生成処理は終了する。以上の仕向け先データ生成処理によって生成された仕向け先データは、ナビゲーション装置1aに送信される。
【0033】
次に、ナビゲーション装置1aの動作を、不要地図消去処理を中心に、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要地図消去処理は、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理のステップST11とステップST12との間にステップST31が追加されて構成されている。以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0034】
不要地図消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。すなわち、仕向け先判定部21は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データを受信する。次いで、付加データがあるかどうかが調べられる(ステップST31)。すなわち、付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに検査中データが付加さているかどうかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22aに送る。このステップST31において、付加データがあることが判断されると、不要地図消去処理は終了する。
【0035】
上記ステップST31において、付加データがないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22aに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用地図データが消去される(ステップST14)。すなわち、地図データ消去部22aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0036】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用地図データが消去される(ステップST15)。すなわち、地図データ消去部22aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要地図消去処理は終了する。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置1aによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場でナビゲーション装置1aを製造する場合は製品検査が実施されるが、この製品検査は、制御モジュール模擬装置3aをナビゲーション装置1aに接続し、ナビゲーション装置1aが恰も車両に搭載されているような状態で行われる。製品検査を行う場合は、仕向け先データに検査中データを付加してナビゲーション装置1aに送ることにより、ナビゲーション装置1aに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の地図データの削除は行われない。
【0038】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る車載機器は、ナビゲーション装置1bから構成されている。このナビゲーション装置1bは、ナビゲーション装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、ナビゲーション装置1bの電源が投入された場所が工場である場合は、記憶装置12内の地図データの消去を抑止するようにしたものである。
【0039】
図6は、実施の形態3に係るナビゲーション装置1bの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0040】
ナビゲーション装置1bには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3bが接続される。この制御モジュール模擬装置3bは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1に接続される制御モジュール3を模擬するものである。この制御モジュール模擬装置3bは、仕向け先設定部31および仕向け先データ生成部33bから構成されている。仕向け先設定部31は、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを設定するために使用される。この仕向け先設定部31で設定された仕向け先を表すデータは、仕向け先データ生成部33bに送られる。仕向け先データ生成部33bは、仕向け先設定部31から送られてくるデータに基づき仕向け先データを生成し、ナビゲーション装置1bに送信する。
【0041】
また、ナビゲーション装置1bは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1にGPS(Global Positioning System)受信部14が追加されるとともに、不要地図消去部13が不要地図消去部13bに変更されて構成されている。この不要地図消去部13bは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の不要地図消去部13に、位置判定部24が追加されて構成されている。
【0042】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として不要地図消去部13b内の位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき現在位置を算出し、現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。そして、製造工場敷地内を示している場合は、地図データ消去部22bを起動し、そうでない場合は、地図データ消去部22bの起動を抑止する。地図データ消去部22bは、位置判定部24で判定された現在位置が特定地域内、例えばナビゲーション装置メーカーの工場敷地内でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データまたはB地域用地図データのいずれか一方を消去する。
【0043】
次に、上記のように構成される実施の形態3に係るナビゲーション装置1bの動作を説明する。まず、制御モジュール模擬装置3bの動作を、図7に示す仕向け先データ生成処理のフローチャートを参照しながら説明する。
【0044】
仕向け先データ生成処理では、まず、仕向け先設定部31によって設定された仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST21)。すなわち、仕向け先データ生成部33bは、仕向け先判定部21から送られてくるデータによって示される地域がA地域であるかB地域であるかを調べる。このステップST21において、仕向け先がA地域であることが判断されると、A地域を指定する仕向け先データが生成される(ステップST22)。すなわち、仕向け先データ生成部33bは、仕向け先判定部21から送られてくるデータに基づきA地域を指定する仕向け先データを生成してナビゲーション装置1bに送信する。その後、仕向け先データ生成処理は終了する。一方、ステップST21において、仕向け先がB地域であることが判断されると、B地域を指定する仕向け先データが生成される(ステップST23)。すなわち、仕向け先データ生成部33bは、仕向け先判定部21から送られてくるデータに基づきB地域を指定する仕向け先データを生成してナビゲーション装置1bに送信する。その後、仕向け先データ生成処理は終了する。
【0045】
次に、ナビゲーション装置1bの動作を、不要地図消去処理を中心に、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要地図消去処理は、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理のステップST11の前にステップST41およびST42の処理が追加されて構成されている。以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0046】
不要地図消去処理では、まず、位置測定が行われる(ステップST41)。すなわち、GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき自己の現在位置を算出する。次いで、ステップST41で求められた現在位置が、ナビゲーション装置1bの製造工場敷地内であるかどうかが調べられる(ステップST42)。すなわち、位置判定部24は、ステップST41で算出された現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。
【0047】
このステップST42において、製造工場敷地内であることが判断されると、ナビゲーション装置1bの製品検査中である旨が認識され、地図データ消去部22bの起動が抑止される。そして、不要地図消去処理は終了する。一方、ステップST42において、製造工場敷地内でないことが判断されると、地図データ消去部22bが起動されるとともに、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST11において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。
【0048】
一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22bに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用地図データが消去される(ステップST14)。すなわち、地図データ消去部22bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0049】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用地図データが消去される(ステップST15)。すなわち、地図データ消去部22bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用地図データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要地図消去処理は終了する。
【0050】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置1bによれば、上述した実施の形態2に係るナビゲーション装置1aと同様に、製品検査中に地図データが消去されるのを抑止できる。また、実施の形態2に係るナビゲーション装置1aに較べて、制御モジュール模擬装置3bの構成が簡単になる。
【0051】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る車載機器は、オーディオ装置5から構成されている。図9は、車両2に搭載されたオーディオ装置5の構成を示すブロック図である。車両2には、制御モジュール3が備えられており、この制御モジュール3とオーディオ装置5との間は、車載ネットワーク4によって接続されている。制御モジュール3および車載ネットワーク4の構成および機能は、実施の形態1に係るナビゲーション装置1のそれらと同じである。
【0052】
オーディオ装置5は、車載ネットワーク接続部11、記憶装置12および不要音楽消去部15を備えている。なお、図9に示すオーディオ装置5では、選局や音量制御といったオーディオ機能を実現するための構成要素の記載は省略されている。車載ネットワーク接続部11は、オーディオ装置5が制御モジュール3と通信を行うためのインタフェースである。車載ネットワーク接続部11は、制御モジュール3からの仕向け先データを受け取って不要音楽消去部15に送る。この車載ネットワーク接続部11は、実施の形態1と同様に、車載ネットワーク4で採用される通信規格、つまりMOST、CAN、シリアル、赤外線、ブルートゥース等に適合するように適宜構成される。
【0053】
記憶装置12は、例えばHDD等から構成されている。この記憶装置12には、工場から出荷されたオーディオ装置5が、例えば自動車メーカーにおいて車両2に取り付けられて最初に電源が投入される前の初期状態においては、A地域用音楽データおよびB地域用音楽データが記憶されている。音楽データは、曲名、演奏者、歌手等のデータから構成されている。このオーディオ装置5は、オーディオ機能を使用して、記憶装置12に格納されている音楽データに基づき、演奏中の曲名、演奏者、歌手等をディスプレイ(図示しない)に表示することができる。
【0054】
不要音楽消去部15は、例えばマイクロコンピュータによって実行されるプログラム処理によって実現されている。この不要音楽消去部15は、初期状態においてオーディオ装置5の電源が投入された場合に、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データによって示される仕向け先用以外の音楽データを記憶装置12から消去する。なお、初期状態であるかどうかは、実施の形態1と同様に、初期状態フラグによって記憶される。
【0055】
不要音楽消去部15は、さらに詳しくは、仕向け先判定部21および音楽データ消去部25から構成されている。仕向け先判定部21は、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定する。この仕向け先判定部21における判定結果は、音楽データ消去部25に送られる。音楽データ消去部25は、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方を消去する。
【0056】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態4に係るオーディオ装置5の動作を、不要音楽消去処理を中心に、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0057】
不要音楽消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25に送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用音楽データが消去される(ステップST51)。すなわち、音楽データ消去部25は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0058】
上記ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用音楽データが消去される(ステップST52)。すなわち、音楽データ消去部25は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。したがって、次回以降にオーディオ装置5の電源が投入された時は、不要音楽消去処理は実行されない。
【0059】
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係るオーディオ装置5によれば、工場出荷時点では、オーディオ装置5には、A地域用音楽データおよびB地域用音楽データが記憶装置12に格納されているので、1種類のオーディオ装置5を、仕向け先がA地域の車両および仕向け先がB地域の車両の両方に搭載することができる。したがって、各仕向け先の自動車の販売量と、その仕向け先用のオーディオ装置の発注量(出荷量)が一致しない場合であっても、自動車メーカーにおける在庫の過不足が発生しにくい。
【0060】
また、オーディオ装置5の仕向け先が異なる2箇所であっても、オーディオ装置メーカーにおいては1種類のオーディオ装置を製造すればよいので、製造管理が容易になる。また、車両が販売された後は、オーディオ装置5の記憶装置12には、A地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方のみしか存在せず、ユーザが使用する音楽データに対してのみライセンス料金が課金されるので、ユーザは無用の出費を強いられない。さらに、記憶装置12には、A地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方のみが残され、他方は削除されるので、記憶装置12の空き領域の容量を増加させることができる。その結果、空き領域に他の用途のデータ、例えば地図データや施設データを記憶させることができるので、記憶装置12を有効に活用することができる。
【0061】
なお、上述した実施の形態4に係るオーディオ装置では、仕向け先用の音楽データとしてA地域用音楽データおよびB地域用音楽データといった2地域分の音楽データがあらかじめ記憶装置12に格納されている場合を例に挙げて説明したが、この発明は、3地域分以上の音楽データが記憶装置12に格納されている場合にも適用できる。この場合、不要音楽消去部15は、仕向け先データによって示される地域以外の地域用の音楽データを消去するように構成される。
【0062】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る車載機器は、オーディオ装置5aから構成されている。このオーディオ装置5aは、オーディオ装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の音楽データの消去の可否とをユーザが設定できるようにしたものである。
【0063】
図11は、実施の形態5に係るオーディオ装置5aの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態4に係るオーディオ装置5の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態4で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0064】
オーディオ装置5aには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3aが接続される。この制御モジュール模擬装置3aは、実施の形態2に係るナビゲーション装置1aに接続される制御モジュール模擬装置3aと同じものである。また、オーディオ装置5aは、実施の形態4に係るオーディオ装置5の不要音楽消去部15が不要音楽消去部15aに変更されて構成されている。この不要音楽消去部15aは、実施の形態4に係るオーディオ装置5の不要音楽消去部15に、付加データ判定部23が追加されるとともに、実施の形態4に係るオーディオ装置5の音楽データ消去部25が音楽データ消去部25aに変更されて構成されている。
【0065】
付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに付加された検査中データに基づき、オーディオ装置5aが製品検査中であるか否かを判定する。この付加データ判定部23における判定結果は、音楽データ消去部25aに送られる。音楽データ消去部25aは、付加データ判定部23から送られてくる判定結果が製品検査中でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方を消去する。
【0066】
次に、上記のように構成される実施の形態5に係るオーディオ装置5aの動作を説明する。制御モジュール模擬装置3aの動作は、図4のフローチャートを参照して既に説明した実施の形態2に係るナビゲーション装置1aの仕向け先データ生成処理と同じであるので、説明を省略する。
【0067】
次に、オーディオ装置5aの動作を、不要音楽消去処理を中心に、図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要音楽消去処理は、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理のステップST11とステップST12との間にステップST31が追加されて構成されている。以下では、図10に示した実施の形態4の不要地音楽去処理と同一の処理ステップには実施の形態4で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0068】
不要音楽消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。すなわち、仕向け先判定部21は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データを受信する。次いで、付加データがあるかどうかが調べられる(ステップST31)。すなわち、付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに検査中データが付加さているかどうかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25aに送る。このステップST31において、付加データがあることが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。
【0069】
上記ステップST31において、付加データがないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25aに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用音楽データが消去される(ステップST51)。すなわち、音楽データ消去部25aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0070】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用音楽データが消去される(ステップST52)。すなわち、音楽データ消去部25aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要音楽消去処理は終了する。
【0071】
以上説明したように、この発明の実施の形態5に係るオーディオ装置5aによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場でオーディオ装置5aを製造する場合は製品検査が実施されるが、この製品検査は、制御モジュール模擬装置3aをオーディオ装置5aに接続し、オーディオ装置5aが恰も車両に搭載されているような状態で行われる。製品検査を行う場合は、仕向け先データに検査中データを付加してオーディオ装置5aに送ることにより、オーディオ装置5aに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の音楽データの削除は行われない。
【0072】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係る車載機器は、オーディオ装置5bから構成されている。このオーディオ装置5bは、オーディオ装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、オーディオ装置5bの電源が投入された場所が工場である場合は、記憶装置12内の音楽データの消去を抑止するようにしたものである。
【0073】
図13は、実施の形態6に係るオーディオ装置5bの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態4に係るオーディオ装置5の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態4で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0074】
オーディオ装置5bには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3bが接続される。この制御モジュール模擬装置3bは、実施の形態3に係るナビゲーション装置1bに接続される制御モジュール模擬装置3bと同じものである。また、オーディオ装置5bは、実施の形態4に係るオーディオ装置5にGPS受信部14が追加されるとともに、実施の形態4に係るオーディオ装置5の不要音楽消去部15が不要音楽消去部15bに変更されて構成されている。この不要音楽消去部15bは、実施の形態4に係るオーディオ装置5の不要音楽消去部15に、位置判定部24が追加されて構成されている。
【0075】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として不要音楽消去部15b内の位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき現在位置を算出し、現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。そして、製造工場敷地内を示している場合は、音楽データ消去部25bを起動し、そうでない場合は、音楽データ消去部25bの起動を抑止する。音楽データ消去部25bは、位置判定部24で判定された現在位置が特定地域内、例えばオーディオ装置メーカーの工場敷地内でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データまたはB地域用音楽データのいずれか一方を消去する。
【0076】
次に、上記のように構成される実施の形態6に係るオーディオ装置5bの動作を説明する。制御モジュール模擬装置3bの動作は、図7のフローチャートを参照して既に説明した実施の形態3に係るナビゲーション装置1bの仕向け先データ生成処理と同じであるので、説明を省略する。
【0077】
次に、オーディオ装置5bの動作を、不要音楽消去処理を中心に、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要音楽消去処理は、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理のステップST11の前にステップST41およびST42の処理が追加されて構成されている。以下では、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理と同一の処理ステップには実施の形態4と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0078】
不要音楽消去処理では、まず、位置測定が行われる(ステップST41)。すなわち、GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき自己の現在位置を算出する。次いで、ステップST41で求められた現在位置が、オーディオ装置5bの製造工場敷地内であるかどうかが調べられる(ステップST42)。すなわち、位置判定部24は、ステップST41で算出された現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。
【0079】
このステップST42において、製造工場敷地内であることが判断されると、オーディオ装置5bの製品検査中である旨が認識され、音楽データ消去部25bの起動が抑止される。そして、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST42において、製造工場敷地内でないことが判断されると、音楽データ消去部25bが起動されるとともに、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST11において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。
【0080】
一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25bに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用音楽データが消去される(ステップST51)。すなわち、音楽データ消去部25bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0081】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用音楽データが消去される(ステップST52)。すなわち、音楽データ消去部25bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用音楽データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要音楽消去処理は終了する。
【0082】
以上説明したように、この発明の実施の形態6に係るオーディオ装置5bによれば、上述した実施の形態5に係るオーディオ装置5aと同様に、製品検査中に音楽データが消去されるのを抑止できる。また、実施の形態5に係るオーディオ装置5aに較べて、制御モジュール模擬装置3bの構成が簡単になる。
【0083】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係る車載機器は、施設検索装置6から構成されている。図15は、車両2に搭載された施設検索装置6の構成を示すブロック図である。車両2には、制御モジュール3が備えられており、この制御モジュール3と施設検索装置6との間は、車載ネットワーク4によって接続されている。制御モジュール3および車載ネットワーク4の構成および機能は、実施の形態1に係るナビゲーション装置1のそれらと同じである。
【0084】
施設検索装置6は、車載ネットワーク接続部11、記憶装置12および不要施設消去部16を備えている。なお、図15に示す施設検索装置6では、施設検索機能を実現するための構成要素の記載は省略されている。車載ネットワーク接続部11は、施設検索装置6が制御モジュール3と通信を行うためのインタフェースである。車載ネットワーク接続部11は、制御モジュール3からの仕向け先データを受け取って不要施設消去部16に送る。この車載ネットワーク接続部11は、実施の形態1と同様に、車載ネットワーク4で採用される通信規格、つまりMOST、CAN、シリアル、赤外線、ブルートゥース等に適合するように適宜構成される。
【0085】
記憶装置12は、例えばHDD等から構成されている。この記憶装置12には、工場から出荷された施設検索装置6が、例えば自動車メーカーにおいて車両2に取り付けられて最初に電源が投入される前の初期状態においては、A地域用施設データおよびB地域用施設データが記憶されている。施設データは、例えば、施設の位置(緯度および経度)、名称、種別、営業時間、料金、駐車場の有無、電話番号、住所、メールアドレス、インターネットアドレス、その他のデータから構成されている。
【0086】
不要施設消去部16は、例えばマイクロコンピュータによって実行されるプログラム処理によって実現されている。この不要施設消去部16は、初期状態において施設検索装置6の電源が投入された場合に、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データによって示される仕向け先用以外の施設データを記憶装置12から消去する。なお、初期状態であるかどうかは、実施の形態1と同様に、初期状態フラグによって記憶される。
【0087】
不要施設消去部16は、さらに詳しくは、仕向け先判定部21および施設データ消去部26から構成されている。仕向け先判定部21は、制御モジュール3から車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定する。この仕向け先判定部21における判定結果は、施設データ消去部26に送られる。施設データ消去部26は、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方を消去する。
【0088】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態7に係る施設検索装置6の動作を、不要施設消去処理を中心に、図16に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0089】
不要施設消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26に送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用施設データが消去される(ステップST61)。すなわち、施設データ消去部26は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0090】
上記ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用施設データが消去される(ステップST62)。すなわち、施設データ消去部26は、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。したがって、次回以降に施設検索装置6の電源が投入された時は、不要施設消去処理は実行されない。
【0091】
以上説明したように、この発明の実施の形態7に係る施設検索装置6によれば、工場出荷時点では、施設検索装置6には、A地域用施設データおよびB地域用施設データが記憶装置12に格納されているので、1種類の施設検索装置6を、仕向け先がA地域の車両および仕向け先がB地域の車両の両方に搭載することができる。したがって、各仕向け先の自動車の販売量と、その仕向け先用の施設検索装置の発注量(出荷量)が一致しない場合であっても、自動車メーカーにおける在庫の過不足が発生しにくい。
【0092】
また、施設検索装置6の仕向け先が異なる2箇所であっても、施設検索装置メーカーにおいては1種類の施設検索装置を製造すればよいので、製造管理が容易になる。また、車両が販売された後は、施設検索装置6の記憶装置12には、A地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方のみしか存在せず、ユーザが使用する施設データに対してのみライセンス料金が課金されるので、ユーザは無用の出費を強いられない。さらに、記憶装置12には、A地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方のみが残され、他方は削除されるので、記憶装置12の空き領域の容量を増加させることができる。その結果、空き領域に他の用途のデータ、例えば地図データや音楽データを記憶させることができるので、記憶装置12を有効に活用することができる。
【0093】
なお、上述した実施の形態7に係る施設検索装置では、仕向け先用の施設データとしてA地域用施設データおよびB地域用施設データといった2地域分の施設データがあらかじめ記憶装置12に格納されている場合を例に挙げて説明したが、この発明は、3地域分以上の施設データが記憶装置12に格納されている場合にも適用できる。この場合、不要施設消去部16は、仕向け先データによって示される地域以外の地域用の施設データを消去するように構成される。
【0094】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係る車載機器は、施設検索装置6aから構成されている。この施設検索装置6aは、施設検索装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の施設データの消去の可否とをユーザが設定できるようにしたものである。
【0095】
図17は、実施の形態8に係る施設検索装置6aの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態7に係る施設検索装置6の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態7で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0096】
施設検索装置6aには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3aが接続される。この制御モジュール模擬装置3aは、実施の形態2に係るナビゲーション装置1aに接続される制御モジュール模擬装置3aと同じものである。また、施設検索装置6aは、実施の形態7に係る施設検索装置6の不要施設消去部16が不要施設消去部16aに変更されて構成されている。この不要施設消去部16aは、実施の形態7に係る施設検索装置6の不要施設消去部16に、付加データ判定部23が追加されるとともに、実施の形態7に係る施設検索装置6の施設データ消去部26が施設データ消去部26aに変更されて構成されている。
【0097】
付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに付加された検査中データに基づき、施設検索装置6aが製品検査中であるか否かを判定する。この付加データ判定部23における判定結果は、施設データ消去部26aに送られる。施設データ消去部26aは、付加データ判定部23から送られてくる判定結果が製品検査中でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方を消去する。
【0098】
次に、上記のように構成される実施の形態8に係る施設検索装置6aの動作を説明する。制御モジュール模擬装置3aの動作は、図4のフローチャートを参照して既に説明した実施の形態2に係るナビゲーション装置1aの仕向け先データ生成処理と同じであるので、説明を省略する。
【0099】
次に、施設検索装置6aの動作を、不要施設消去処理を中心に、図18に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要施設消去処理は、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理のステップST11とステップST12との間にステップST31が追加されて構成されている。以下では、図16に示した実施の形態7の不要地音楽去処理と同一の処理ステップには実施の形態7で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0100】
不要施設消去処理では、まず、仕向け先データが受信される(ステップST11)。すなわち、仕向け先判定部21は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データを受信する。次いで、付加データがあるかどうかが調べられる(ステップST31)。すなわち、付加データ判定部23は、制御モジュール模擬装置3aから車載ネットワーク4および車載ネットワーク接続部11を経由して送られてくる仕向け先データに検査中データが付加さているかどうかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26aに送る。このステップST31において、付加データがあることが判断されると、不要施設消去処理は終了する。
【0101】
上記ステップST31において、付加データがないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26aに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用施設データが消去される(ステップST61)。すなわち、施設データ消去部26aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0102】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用施設データが消去される(ステップST62)。すなわち、施設データ消去部26aは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要施設消去処理は終了する。
【0103】
以上説明したように、この発明の実施の形態8に係る施設検索装置6aによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場で施設検索装置6aを製造する場合は製品検査が実施されるが、この製品検査は、制御モジュール模擬装置3aを施設検索装置6aに接続し、施設検索装置6aが恰も車両に搭載されているような状態で行われる。製品検査を行う場合は、仕向け先データに検査中データを付加して施設検索装置6aに送ることにより、施設検索装置6aに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の施設データの削除は行われない。
【0104】
実施の形態9.
この発明の実施の形態9に係る車載機器は、施設検索装置6bから構成されている。この施設検索装置6bは、施設検索装置メーカーにおける製品検査の便宜に供するために、施設検索装置6bの電源が投入された場所が工場である場合は、記憶装置12内の施設データの消去を抑止するようにしたものである。
【0105】
図19は、実施の形態9に係る施設検索装置6bの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態7に係る施設検索装置6の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態7で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0106】
施設検索装置6bには、その検査時に、車載ネットワーク4を介して制御モジュール模擬装置3bが接続される。この制御モジュール模擬装置3bは、実施の形態3に係るナビゲーション装置1bに接続される制御モジュール模擬装置3bと同じものである。また、施設検索装置6bは、実施の形態7に係る施設検索装置6にGPS受信部14が追加されるとともに、実施の形態7に係る施設検索装置6の不要施設消去部16が不要施設消去部16bに変更されて構成されている。この不要施設消去部16bは、実施の形態7に係る施設検索装置6の不要施設消去部16に、位置判定部24が追加されて構成されている。
【0107】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として不要施設消去部16b内の位置判定部24に送る。不要施設消去部16b内の位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき現在位置を算出し、現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。そして、製造工場敷地内を示している場合は、施設データ消去部26bを起動し、そうでない場合は、施設データ消去部26bの起動を抑止する。施設データ消去部26bは、位置判定部24で判定された現在位置が特定地域内、例えば施設検索装置メーカーの工場敷地内でないことを示している場合にのみ、仕向け先判定部21から送られてくる判定結果にしたがって、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データまたはB地域用施設データのいずれか一方を消去する。
【0108】
次に、上記のように構成される実施の形態9に係る施設検索装置6bの動作を説明する。制御モジュール模擬装置3bの動作は、図7のフローチャートを参照して既に説明した実施の形態3に係るナビゲーション装置1bの仕向け先データ生成処理と同じであるので、説明を省略する。
【0109】
次に、施設検索装置6bの動作を、不要施設消去処理を中心に、図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要施設消去処理は、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理のステップST11の前にステップST41およびST42の処理が追加されて構成されている。以下では、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理と同一の処理ステップには実施の形態7と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0110】
不要施設消去処理では、まず、位置測定が行われる(ステップST41)。すなわち、GPS受信部14は、GPS衛星から送信される電波を受信し、GPS信号として位置判定部24に送る。位置判定部24は、GPS受信部14から送られてくるGPS信号に基づき自己の現在位置を算出する。次いで、ステップST41で求められた現在位置が、施設検索装置6bの製造工場敷地内であるかどうかが調べられる(ステップST42)。すなわち、位置判定部24は、ステップST41で算出された現在位置が、あらかじめ設定されている製造工場敷地内を示しているかどうかを判定する。
【0111】
このステップST42において、製造工場敷地内であることが判断されると、施設検索装置6bの製品検査中である旨が認識され、施設データ消去部26bの起動が抑止される。そして、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST42において、製造工場敷地内でないことが判断されると、施設データ消去部26bが起動されるとともに、仕向け先データが受信される(ステップST11)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST11において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。
【0112】
一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。すなわち、仕向け先判定部21は、ステップST11で受信した仕向け先データに基づき、仕向け先がA地域であるかB地域であるかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26bに送る。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用施設データが消去される(ステップST61)。すなわち、施設データ消去部26bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているB地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、A地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0113】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用施設データが消去される(ステップST62)。すなわち、施設データ消去部26bは、仕向け先判定部21からの判定結果に基づき、記憶装置12に記憶されているA地域用施設データのみを消去する。したがって、記憶装置12には、B地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要施設消去処理は終了する。
【0114】
以上説明したように、この発明の実施の形態9に係る施設検索装置6bによれば、上述した実施の形態8に係る施設検索装置6aと同様に、製品検査中に施設データが消去されるのを抑止できる。また、実施の形態8に係る施設検索装置6aに較べて、制御モジュール模擬装置3bの構成が簡単になる。
【0115】
実施の形態10.
この発明の実施の形態10に係る車載機器は、ナビゲーション装置1cから構成されている。このナビゲーション装置1cは、ナビゲーション装置メーカーにおける製品検査(製品試験)の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の地図データの消去の可否とをユーザが、例えば外付けスイッチ等によって手動で設定できるようにしたものである。
【0116】
図21は、実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0117】
ナビゲーション装置1cは、実施の形態1に係るナビゲーション装置1から車載ネットワーク接続部11が除去されるとともに、例えば外付けスイッチから構成された仕向け先設定部17が追加されて構成されている。仕向け先設定部7の出力は、直接に(車載ネットワークを経由することなく)不要地図消去部13に送られる。
【0118】
仕向け先設定部17は、仕向け先(A地域でまたはB地域)および製品検査中であるか否かをユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17は、ナビゲーション装置1cがナビゲーション装置メーカーから出荷されて自動車メーカーにおいて車に取り付けられるまでは、製品検査中に設定される。そして、車に取り付けられた後に、仕向け先設定部17の設定は製品検査中でない旨に変更され、その後、仕向け先(A地域またはB地域)が設定される。
【0119】
次に、上記のように構成される実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの動作を、不要地図消去処理を中心に、図22に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要地図消去処理は、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理のステップST11がステップST71に変更され、その後にステップST72が追加されて構成されている。以下では、図2に示した実施の形態1の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態1で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0120】
不要地図消去処理では、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST71)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17で設定されている仕向け先設定データを読み取る。次いで、製品検査中であるかどうかが調べられる(ステップST72)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17から読み取った仕向け先設定データが製品検査中であることを示しているかどうかを判定し、この判定結果を地図データ消去部22に送る。このステップST72において、製品検査中であることが判断されると、不要地図消去処理は終了する。
【0121】
上記ステップST72において、製品検査中でないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用地図データが消去される(ステップST14)。したがって、記憶装置12には、A地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0122】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用地図データが消去される(ステップST15)。したがって、記憶装置12には、B地域用地図データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要地図消去処理は終了する。
【0123】
以上説明したように、この発明の実施の形態10に係るナビゲーション装置1cによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場でナビゲーション装置1cを製造する場合は製品検査が実施されるが、仕向け先設定部17に製品検査中である旨を設定することにより、ナビゲーション装置1cに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の地図データの削除は行われない。
【0124】
また、この実施の形態10に係るナビゲーション装置1cによれば、実施の形態1のように車載ネットワーク4を経由しないで仕向け先を判定できるので、ナビゲーション装置1cの構成が簡単になる。また、車載ネットワーク環境が存在しない状態で、仕向け先および製品検査中であるか否かを設定できるので、設定が容易である。さらに、ナビゲーション装置メーカーにおける製品検査において、制御モジュール模擬装置が不要になるので、製品検査を簡単に行うことができる。
【0125】
実施の形態11.
この発明の実施の形態11に係る車載機器は、オーディオ装置5cから構成されている。このオーディオ装置5cは、オーディオ装置メーカーにおける製品検査(製品試験)の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の音楽データの消去の可否とをユーザが、例えば外付けスイッチ等によって手動で設定できるようにしたものである。
【0126】
図23は、実施の形態11に係るオーディオ装置5cの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態4に係るオーディオ装置5の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態4で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0127】
オーディオ装置5cは、実施の形態4に係るオーディオ装置5から車載ネットワーク接続部11が除去されるとともに、例えば外付けスイッチから構成された仕向け先設定部17が追加されて構成されている。仕向け先設定部7の出力は、直接に(車載ネットワークを経由することなく)不要音楽消去部15cに送られる。
【0128】
仕向け先設定部17は、仕向け先(A地域でまたはB地域)および製品検査中であるか否かをユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17は、オーディオ装置5cがオーディオ装置メーカーから出荷されて自動車メーカーにおいて車に取り付けられるまでは、製品検査中に設定される。そして、車に取り付けられた後に、仕向け先設定部17の設定は製品検査中でない旨に変更され、その後、仕向け先(A地域またはB地域)が設定される。
【0129】
次に、上記のように構成される実施の形態10に係るオーディオ装置5cの動作を、不要音楽消去処理を中心に、図24に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要音楽消去処理は、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理のステップST11がステップST71に変更され、その後にステップST72が追加されて構成されている。以下では、図10に示した実施の形態4の不要音楽消去処理と同一の処理ステップには実施の形態4で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0130】
不要音楽消去処理では、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST71)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17で設定されている仕向け先設定データを読み取る。次いで、製品検査中であるかどうかが調べられる(ステップST72)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17から読み取った仕向け先設定データが製品検査中であることを示しているかどうかを判定し、この判定結果を音楽データ消去部25cに送る。このステップST72において、製品検査中であることが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。
【0131】
上記ステップST72において、製品検査中でないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用音楽データが消去される(ステップST51)。したがって、記憶装置12には、A地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0132】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用音楽データが消去される(ステップST52)。したがって、記憶装置12には、B地域用音楽データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要音楽消去処理は終了する。
【0133】
以上説明したように、この発明の実施の形態11に係るオーディオ装置5cによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場でオーディオ装置5cを製造する場合は製品検査が実施されるが、仕向け先設定部17に製品検査中である旨を設定することにより、オーディオ装置5cに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の音楽データの削除は行われない。
【0134】
また、この実施の形態11に係るオーディオ装置5cによれば、実施の形態4のように車載ネットワーク4を経由しないで仕向け先を判定できるので、オーディオ装置5cの構成が簡単になる。また、車載ネットワーク環境が存在しない状態で、仕向け先および製品検査中であるか否かを設定できるので、設定が容易である。さらに、オーディオ装置メーカーにおける製品検査において、制御モジュール模擬装置が不要になるので、製品検査を簡単に行うことができる。
【0135】
実施の形態12.
この発明の実施の形態12に係る車載機器は、施設検索装置6cから構成されている。この施設検索装置6cは、施設検索装置メーカーにおける製品検査(製品試験)の便宜に供するために、仕向け先と、記憶装置12内の施設データの消去の可否とをユーザが、例えば外付けスイッチ等によって手動で設定できるようにしたものである。
【0136】
図25は、実施の形態12に係る施設検索装置6cの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態7に係る施設検索装置6の構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態7で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0137】
施設検索装置6cは、実施の形態7に係る施設検索装置6から車載ネットワーク接続部11が除去されるとともに、例えば外付けスイッチから構成された仕向け先設定部17が追加されて構成されている。仕向け先設定部7の出力は、直接に(車載ネットワークを経由することなく)不要施設消去部16cに送られる。
【0138】
仕向け先設定部17は、仕向け先(A地域でまたはB地域)および製品検査中であるか否かをユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17は、施設検索装置6cが施設検索装置メーカーから出荷されて自動車メーカーにおいて車に取り付けられるまでは、製品検査中に設定される。そして、車に取り付けられた後に、仕向け先設定部17の設定は製品検査中でない旨に変更され、その後、仕向け先(A地域またはB地域)が設定される。
【0139】
次に、上記のように構成される実施の形態12に係る施設検索装置6cの動作を、不要施設消去処理を中心に、図26に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要施設消去処理は、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理のステップST11がステップST71に変更され、その後にステップST72が追加されて構成されている。以下では、図16に示した実施の形態7の不要施設消去処理と同一の処理ステップには実施の形態7で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0140】
不要施設消去処理では、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST71)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17で設定されている仕向け先設定データを読み取る。次いで、製品検査中であるかどうかが調べられる(ステップST72)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17から読み取った仕向け先設定データが製品検査中であることを示しているかどうかを判定し、この判定結果を施設データ消去部26cに送る。このステップST72において、製品検査中であることが判断されると、不要施設消去処理は終了する。
【0141】
上記ステップST72において、製品検査中でないことが判断されると、次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST12)。このステップST12において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST12において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST13)。このステップST13において、仕向け先がA地域であることが判断されると、B地域用施設データが消去される(ステップST61)。したがって、記憶装置12には、A地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。
【0142】
一方、ステップST13において、仕向け先がB地域であることが判断されると、A地域用施設データが消去される(ステップST62)。したがって、記憶装置12には、B地域用施設データのみが残される。その後、シーケンスはステップST16に進む。ステップST16においては、初期状態フラグが「0」にクリアされる。その後、不要施設消去処理は終了する。
【0143】
以上説明したように、この発明の実施の形態12に係る施設検索装置6cによれば、次のような効果を奏する。すなわち、工場で施設検索装置6cを製造する場合は製品検査が実施されるが、仕向け先設定部17に製品検査中である旨を設定することにより、施設検索装置6cに電源を投入して製品検査(製品試験)を行っても記憶装置12内の施設データの削除は行われない。
【0144】
また、この実施の形態12に係る施設検索装置6cによれば、実施の形態7のように車載ネットワーク4を経由しないで仕向け先を判定できるので、施設検索装置6cの構成が簡単になる。また、車載ネットワーク環境が存在しない状態で、仕向け先および製品検査中であるか否かを設定できるので、設定が容易である。さらに、施設検索装置メーカーにおける製品検査において、制御モジュール模擬装置が不要になるので、製品検査を簡単に行うことができる。
【0145】
実施の形態13.
この発明の実施の形態13に係る車載機器は、ナビゲーション装置1dから構成されている。このナビゲーション装置1dは、仕向け先用の地図データ以外の地図データを記憶装置12から消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残しておき、必要に応じて解凍して使用できるようにしたものである。
【0146】
図27は、実施の形態13に係るナビゲーション装置1dの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態10で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0147】
ナビゲーション装置1dは、実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの仕向け先設定部17が仕向け先設定部17dに変更されるとともに、不要地図消去部13が不要地図消去部13dに変更されて構成されている。仕向け先設定部17dは、仕向け先(A地域でまたはB地域)をユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17dで設定された仕向け先は、仕向け先設定データとして、不要地図消去部13dに送られる。
【0148】
不要地図消去部13dは、実施の形態10に係るナビゲーション装置1cの不要地図消去部13cの地図データ消去部22が圧縮解凍処理部27に置き換えられて構成されている。圧縮解凍処理部27は、記憶装置12に記憶されている地図データを可逆的に圧縮および解凍する。この圧縮解凍処理部27は、図示しない入力装置から入力されたパスワードが正当であるときにのみ、圧縮または解凍を行う。なお、あらかじめ記憶装置12に記憶される複数地域の地図データは、圧縮された状態であってもよいし、解凍された状態であってもよい。
【0149】
次に、上記のように構成される実施の形態11に係るナビゲーション装置1dの動作を、不要地図消去処理を中心に、図28に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0150】
不要地図消去処理は、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST81)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17dで設定されている仕向け先設定データを読み取る。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST82)。このステップST82において、初期状態でないことが判断されると、不要地図消去処理は終了する。一方、ステップST82において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST83)。すなわち、仕向け先判定部21は、仕向け先設定部17dから読み出した仕向け先設定データが、仕向け先としてA地域を示しているかB地域を示しているかを調べる。
【0151】
このステップST83において、A地域であることが判断されると、次いで、B地域の地図データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST84)。このステップST84において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST85)。このパスワード設定は、あらかじめ入力装置(図示しない)から入力されたパスワードを自動的に設定するか、パスワードの入力を求め、この求めに応じて入力されたパスワードを設定することにより行うことができる。このパスワード設定により設定されたパスワードが正当であれば、次いで、B地域の地図データが圧縮される(ステップST86)。上記ステップST84において、B地域の地図データが圧縮されていることが判断されると、ステップST85およびST86の処理はスキップされる。
【0152】
次いで、A地域の地図データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST87)。このステップST87において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST88)。次いで、A地域の地図データが解凍される(ステップST89)。上記ステップST87において、A地域の地図データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST88およびST89の処理はスキップされる。次いで、初期状態フラグがクリアされる(ステップST96)。このステップST96の処理は、図2に示す実施の形態1のステップST12の処理と同じである。その後、不要地図消去処理は終了する。
【0153】
上記ステップST83において、B地域であることが判断されると、次いで、A地域の地図データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST90)。このステップST90において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST91)。次いで、A地域の地図データが圧縮される(ステップST92)。上記ステップST90において、A地域の地図データが圧縮されていることが判断されると、ステップST91およびST92の処理はスキップされる。
【0154】
次いで、B地域の地図データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST93)。このステップST93において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST94)。次いで、B地域の地図データが解凍される(ステップST95)。その後、シーケンスはステップST96に進む。上記ステップST93において、B地域の地図データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST94およびST95の処理はスキップされ、シーケンスはステップST96に進む。
【0155】
以上説明したように、この発明の実施の形態13に係るナビゲーション装置1dによれば、不要な地図データを消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残すように構成したので、一旦、車に取り付けられたナビゲーション装置1dを他の地域で再使用することが可能になる。例えば、ナビゲーション装置1dをナビゲーション装置メーカーから出荷するときは、仕向け先設定部17dの設定をA地域に設定しておき、このナビゲーション装置1dを自動車メーカーにおいて仕向け地用の車に取り付けるときに、仕向け先設定部17dの設定をB地域に変更する。その結果、A地域用の地図データは圧縮されるとともにB地域用の地図データは解凍されるので、B地域用の地図データに対してのみライセンス料金が課金される。この状態で、B地域のユーザが、ナビゲーション装置1dを販売店などに下取りに出したとする。このナビゲーション装置1dをリサイクルしてA地域向けの車に取り付ける場合、仕向け先設定部17の設定をA地域に変更すれば、B地域用の地図データは圧縮され、A地域用の地図データは解凍される。その結果、A地域用の地図データに対してのみライセンス料金が課金されるので、ナビゲーション装置1dをA地域に適合させることができる。
【0156】
実施の形態14.
この発明の実施の形態14に係る車載機器は、オーディオ装置5dから構成されている。このオーディオ装置5dは、仕向け先用の音楽データ以外の音楽データを記憶装置12から消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残しておき、必要に応じて解凍して使用できるようにしたものである。
【0157】
図29は、実施の形態14に係るオーディオ装置5dの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態11に係るオーディオ装置5cの構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態11で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0158】
オーディオ装置5dは、実施の形態11に係るオーディオ装置5cの仕向け先設定部17が仕向け先設定部17dに変更されるとともに、不要音楽消去部15cが不要音楽消去部15dに変更されて構成されている。仕向け先設定部17dは、仕向け先(A地域でまたはB地域)をユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17dで設定された仕向け先は、仕向け先設定データとして、不要音楽消去部15dに送られる。
【0159】
不要音楽消去部15dは、実施の形態11に係るオーディオ装置5cの不要音楽消去部15cの音楽データ消去部25cが圧縮解凍処理部27に置き換えられて構成されている。圧縮解凍処理部27は、記憶装置12に記憶されている音楽データを可逆的に圧縮および解凍する。この圧縮解凍処理部27は、図示しない入力装置から入力されたパスワードが正当であるときにのみ、圧縮または解凍を行う。なお、あらかじめ記憶装置12に記憶される複数地域の音楽データは、圧縮された状態であってもよいし、解凍された状態であってもよい。
【0160】
次に、上記のように構成される実施の形態14に係るオーディオ装置5dの動作を、不要音楽消去処理を中心に、図30に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要音楽消去処理は、図28に示した実施の形態13の地図データが音楽データに置き換えられて構成されている。以下では、図28に示した実施の形態13の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態13で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0161】
不要音楽消去処理は、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST81)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST82)。このステップST82において、初期状態でないことが判断されると、不要音楽消去処理は終了する。一方、ステップST82において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST83)。
【0162】
このステップST83において、A地域であることが判断されると、次いで、B地域の音楽データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST101)。このステップST101において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST85)。次いで、B地域の音楽データが圧縮される(ステップST102)。上記ステップST101において、B地域の音楽データが圧縮されていることが判断されると、ステップST85およびST102の処理はスキップされる。
【0163】
次いで、A地域の音楽データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST103)。このステップST103において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST88)。次いで、A地域の音楽データが解凍される(ステップST104)。上記ステップST103において、A地域の音楽データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST88およびST104の処理はスキップされる。次いで、初期状態フラグがクリアされる(ステップST96)。その後、不要音楽消去処理は終了する。
【0164】
上記ステップST83において、B地域であることが判断されると、次いで、A地域の音楽データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST105)。このステップST105において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST91)。次いで、A地域の音楽データが圧縮される(ステップST106)。上記ステップST105において、A地域の音楽データが圧縮されていることが判断されると、ステップST91およびST106の処理はスキップされる。
【0165】
次いで、B地域の音楽データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST107)。このステップST107において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST94)。次いで、B地域の音楽データが解凍される(ステップST108)。その後、シーケンスはステップST96に進む。上記ステップST107において、B地域の音楽データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST94およびST108の処理はスキップされ、シーケンスはステップST96に進む。
【0166】
以上説明したように、この発明の実施の形態14に係るオーディオ装置5dによれば、不要な音楽データを消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残すように構成したので、一旦、車に取り付けられたオーディオ装置5dを他の地域で再使用することが可能になる。例えば、オーディオ装置5dをオーディオ装置メーカーから出荷するときは、仕向け先設定部17dの設定をA地域に設定しておき、このオーディオ装置5dを自動車メーカーにおいて仕向け地用の車に取り付けるときに、仕向け先設定部17dの設定をB地域に変更する。その結果、A地域用の音楽データは圧縮されるとともにB地域用の音楽データは解凍されるので、B地域用の音楽データに対してのみライセンス料金が課金される。この状態で、B地域のユーザが、オーディオ装置5dを販売店などに下取りに出したとする。このオーディオ装置5dをリサイクルしてA地域向けの車に取り付ける場合、仕向け先設定部17の設定をA地域に変更すれば、B地域用の音楽データは圧縮され、A地域用の音楽データは解凍される。その結果、A地域用の音楽データに対してのみライセンス料金が課金されるので、オーディオ装置5dをA地域に適合させることができる。
【0167】
実施の形態15.
この発明の実施の形態15に係る車載機器は、施設検索装置6dから構成されている。この施設検索装置6dは、仕向け先用の施設データ以外の施設データを記憶装置12から消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残しておき、必要に応じて解凍して使用できるようにしたものである。
【0168】
図31は、実施の形態15に係る施設検索装置6dの構成を示すブロック図である。以下では、実施の形態12に係る施設検索装置6cの構成要素と同一または相当する構成要素には実施の形態12で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡単化し、相違する部分を中心に説明する。
【0169】
施設検索装置6dは、実施の形態12に係る施設検索装置6cの仕向け先設定部17が仕向け先設定部17dに変更されるとともに、不要施設消去部16cが不要施設消去部16dに変更されて構成されている。仕向け先設定部17dは、仕向け先(A地域でまたはB地域)をユーザが手動で設定するために使用される。この仕向け先設定部17dで設定された仕向け先は、仕向け先設定データとして、不要施設消去部16dに送られる。
【0170】
不要施設消去部16dは、実施の形態12に係る施設検索装置6cの不要施設消去部16cの施設データ消去部26cが圧縮解凍処理部27に置き換えられて構成されている。圧縮解凍処理部27は、記憶装置12に記憶されている施設データを可逆的に圧縮および解凍する。この圧縮解凍処理部27は、図示しない入力装置から入力されたパスワードが正当であるときにのみ、圧縮または解凍を行う。なお、あらかじめ記憶装置12に記憶される複数地域の施設データは、圧縮された状態であってもよいし、解凍された状態であってもよい。
【0171】
次に、上記のように構成される実施の形態15に係る施設検索装置6dの動作を、不要施設消去処理を中心に、図32に示すフローチャートを参照しながら説明する。この不要施設消去処理は、図28に示した実施の形態13の地図データが施設データに置き換えられて構成されている。以下では、図28に示した実施の形態13の不要地図消去処理と同一の処理ステップには実施の形態13で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化し、相違する処理ステップを中心に説明する。
【0172】
不要施設消去処理は、まず、仕向け先設定データが取得される(ステップST81)。次いで、初期状態であるかどうかが調べられる(ステップST82)。このステップST82において、初期状態でないことが判断されると、不要施設消去処理は終了する。一方、ステップST82において、初期状態であることが判断されると、次いで、仕向け先がA地域であるかB地域であるかが調べられる(ステップST83)。
【0173】
このステップST83において、A地域であることが判断されると、次いで、B地域の施設データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST111)。このステップST111において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST85)。次いで、B地域の施設データが圧縮される(ステップST112)。上記ステップST111において、B地域の施設データが圧縮されていることが判断されると、ステップST85およびST112の処理はスキップされる。
【0174】
次いで、A地域の施設データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST113)。このステップST113において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST88)。次いで、A地域の施設データが解凍される(ステップST114)。上記ステップST113において、A地域の施設データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST88およびST114の処理はスキップされる。次いで、初期状態フラグがクリアされる(ステップST96)。その後、不要施設消去処理は終了する。
【0175】
上記ステップST83において、B地域であることが判断されると、次いで、A地域の施設データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST115)。このステップST115において、圧縮されていないことが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST91)。次いで、A地域の施設データが圧縮される(ステップST116)。上記ステップST115において、A地域の施設データが圧縮されていることが判断されると、ステップST91およびST106の処理はスキップされる。
【0176】
次いで、B地域の施設データが圧縮されているかどうかが調べられる(ステップST117)。このステップST117において、圧縮されていることが判断されると、パスワード設定が行われる(ステップST94)。次いで、B地域の施設データが解凍される(ステップST118)。その後、シーケンスはステップST96に進む。上記ステップST117において、B地域の施設データが圧縮されていないことが判断されると、ステップST94およびST118の処理はスキップされ、シーケンスはステップST96に進む。
【0177】
以上説明したように、この発明の実施の形態15に係る施設検索装置6dによれば、不要な施設データを消去するのではなく、圧縮して記憶装置12に残すように構成したので、一旦、車に取り付けられた施設検索装置6dを他の地域で再使用することが可能になる。例えば、施設検索装置6dを施設検索装置メーカーから出荷するときは、仕向け先設定部17dの設定をA地域に設定しておき、この施設検索装置6dを自動車メーカーにおいて仕向け地用の車に取り付けるときに、仕向け先設定部17dの設定をB地域に変更する。その結果、A地域用の施設データは圧縮されるとともにB地域用の施設データは解凍されるので、B地域用の施設データに対してのみライセンス料金が課金される。この状態で、B地域のユーザが、施設検索装置6dを販売店などに下取りに出したとする。この施設検索装置6dをリサイクルしてA地域向けの車に取り付ける場合、仕向け先設定部17の設定をA地域に変更すれば、B地域用の施設データは圧縮され、A地域用の施設データは解凍される。その結果、A地域用の施設データに対してのみライセンス料金が課金されるので、施設検索装置6dをA地域に適合させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の仕向け先用のデータを記憶する記憶装置と、
仕向け先データを取得し、取得した仕向け先データに基づき仕向け先を判定する仕向け先判定部と、
前記記憶装置に記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去するデータ消去部とを備え、
前記データ消去部は、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを示すデータに基づいて、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを判断し、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能の場合には、仕向け先用のデータ以外のデータを消去し、
前記記憶装置は、複数の仕向け先用の施設データを記憶し、
前記データ消去部は、前記記憶装置に予め記憶された複数の仕向け先用の施設データのうち前記仕向け先判定部によって判定された仕向け先用の施設データ以外の施設データを消去することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
GPS電波を受信するGPS受信機と、
前記GPS受信機から得られたGPS信号に基づき現在位置を判定する位置判定部とを備え、
データ消去部は、前記位置判定部で判定された現在位置が特定地域内でないことを示しているときに、記憶装置に予め記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置が車両に搭載されている状態を模擬する制御モジュール模擬装置と接続され、
仕向け先データは、前記制御モジュール模擬装置が生成することを特徴とする請求項1または請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項1】
複数の仕向け先用のデータを記憶する記憶装置と、
仕向け先データを取得し、取得した仕向け先データに基づき仕向け先を判定する仕向け先判定部と、
前記記憶装置に記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去するデータ消去部とを備え、
前記データ消去部は、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを示すデータに基づいて、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能か否かを判断し、仕向け先用のデータ以外のデータの消去処理が可能の場合には、仕向け先用のデータ以外のデータを消去し、
前記記憶装置は、複数の仕向け先用の施設データを記憶し、
前記データ消去部は、前記記憶装置に予め記憶された複数の仕向け先用の施設データのうち前記仕向け先判定部によって判定された仕向け先用の施設データ以外の施設データを消去することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
GPS電波を受信するGPS受信機と、
前記GPS受信機から得られたGPS信号に基づき現在位置を判定する位置判定部とを備え、
データ消去部は、前記位置判定部で判定された現在位置が特定地域内でないことを示しているときに、記憶装置に予め記憶された複数の仕向け先用のデータのうち仕向け先判定部によって判定された仕向け先用のデータ以外のデータを消去することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置が車両に搭載されている状態を模擬する制御モジュール模擬装置と接続され、
仕向け先データは、前記制御モジュール模擬装置が生成することを特徴とする請求項1または請求項2記載のナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2012−118082(P2012−118082A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1294(P2012−1294)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【分割の表示】特願2011−156377(P2011−156377)の分割
【原出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【特許番号】特許第4938163号(P4938163)
【特許公報発行日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【分割の表示】特願2011−156377(P2011−156377)の分割
【原出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【特許番号】特許第4938163号(P4938163)
【特許公報発行日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]