説明

ナビゲーション装置

【課題】道路学習機能を有するナビゲーション装置において、学習道路を含む環状交差路における適切な経路案内方法を実現する。
【解決手段】経路案内対象の環状交差路における出口情報を取得し(S101)、案内ポイントとなる環状交差路の退出路が、道路学習機能により獲得した学習道路であるか否かを判定する(S102)。環状交差路からの退出路が学習道路ではない場合(S102:NO)、すなわち退出路が既製の地図データの既存道路である場合、その既存道路への出口を対象とする「既存道路用の退出路案内」を実施する(S103)。一方、環状交差路からの退出路が学習道路である場合(S102:YES)、その学習道路への出口を対象とする「学習道路用の退出路案内」を実施する(S104)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データに基づいて経路案内を行うナビゲーション装置であって、車両の走行経験に基づいて獲得した学習道路データを利用して経路案内を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等の移動体の移動軌跡に基づき、既製の地図データに登録されていない新たな道路を学習するナビゲーション装置が知られている。道路学習機能は、移動体の現在地が地図データ内の既存の道路から離脱した地点から、再び地図データ内の既存の道路へ復帰した地点までの移動軌跡に基づいて、地図データに存在しない新たな道路(学習道路)を作成して記憶することにより、地図データに登録されていない新たな道路を学習する機能である。
【0003】
ところで、車載用のナビゲーション装置において、環状交差路(Traffic Circle、roundabout、rotary等)に対する経路案内方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来、環状交差路に対する案内に関しては、例えば、「2つ先の退出路から出てください」というように、環状交差路に進入してから何番目の出口から退出するのかを案内する、いわゆる「出口番号方式の環状交差路案内」が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−71601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、こういった従来の環状交差路案内においては、道路学習機能により獲得した学習道路が地図データに既存の環状交差路と接続している場合に、この学習道路に対する案内方法が考慮されていなかった。そして、従来の環状交差路案内を、地図データに既存の道路(既存道路)と道路学習機能により獲得した学習道路とが混在する環状交差路に適用した場合、様々な不都合が生じることが予想される。
【0006】
例えば、環状交差路に接続する学習道路が環状部分の内側を通っている場合、この道路を走行すると環状交差路を横切る形で通行することになり、私道や敷地内を通過しているか、法規に反して近回りをすることになる可能性があると考えられる。よって、このような学習道路に対して他の既存の退出路と同様の経路案内をするのは必ずしも適切であるわけではない。
【0007】
また、上述のような出口番号方式の環状交差路案内では、環状交差路からの出口(退出路)として既存道路と学習道路とが混在している場合に、それらの既存道路と学習道路とを混同して一連の出口番号を設定し、その出口番号に基づいて環状交差路からの退出路案内をすることが想定される。しかしながら、学習道路は、その学習結果が不適切であった場合にユーザによって登録が抹消される場合がある。また、環状交差路に新たな退出路が設置されることで、その退出路が学習道路として追加される場合もある。そうすると、環状交差路から学習道路が削除されたり、新たな学習道路が追加されるたびに経路案内用の出口番号が変化してしまい、ユーザが混乱するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、道路学習機能を有するナビゲーション装置において、学習道路を含む環状交差路における適切な経路案内方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、既製の地図データと、自車両の現在地が前記地図データに既存の道路上又は既に登録済みの学習道路上から離脱した地点から、再び前記地図データに既存の道路上又は登録済みの学習道路上へ復帰するまでの移動軌跡に基づいて生成した学習道路を記録した学習道路データとを用いて経路案内を行う、車両の走行中に用いられるナビゲーション装置に関するものである。
【0010】
本発明のナビゲーション装置は、設定された案内経路が環状交差路を通る経路である場合に、所定のタイミングでその環状交差路の退出路をユーザに対して案内する案内制御手段と、案内制御手段による案内対象の環状交差路からの退出路が、地図データの既存道路に該当するか、学習道路データに記録された学習道路に該当するかを判定する判定手段とを備える。
【0011】
そして、案内制御手段は、判定手段による判定の結果、環状交差路からの退出路が地図データの既存道路に該当する場合、地図データに基づく所定方式の環状交差路案内方式に沿った内容で退出路の案内を行う。一方、環状交差路からの退出路が学習道路データに記録された学習道路に該当する場合、所定方式の環状交差路案内とは案内内容が区別された学習道路案内方式に沿った内容で退出路の案内を行う。
【0012】
本発明によれば、環状交差路の退出路が、既製の地図データに既存の道路に該当する場合と道路学習機能により獲得した学習道路に該当する場合とで、それぞれ退出路の案内方法が区別される。つまり、環状交差路において地図データに既存の退出路を通行する際には、地図データに基づく所定方式の環状交差路案内を行うため、既存道路と学習道路とを混同した退出路の案内は行われない。これにより、たとえ環状交差路に接続する学習道路の追加や削除があったとしても、地図データに既存の退出路を通行する際の案内内容が変化することはなく、ユーザが混乱することはない。また、環状交差路の退出路が既存道路である場合と学習道路である場合とで案内方法が区別されるので、案内された退出路が学習道路であることをユーザが自覚し易くなり、便利である。
【0013】
前記環状交差路からの退出路が既存道路である場合と学習道路である場合の、より具体的な案内内容の区別としては、例えば、請求項2のように構成することが考えられる。すなわち、環状交差路からの退出路が地図データの既存道路に該当する場合、その環状交差路が有する複数の既存道路の退出路を対象に設定した出口番号から、退出すべき出口番号を提示して退出路の案内をする出口番号方式の環状交差路案内を実行する。一方、環状交差路からの退出路が学習道路データに記録された学習道路に該当する場合、その学習道路に対応する出口番号の提示を行わずに退出路の位置を案内する。
【0014】
環状交差路からの退出路が既存道路の場合、その環状交差路内で既存道路を除く既存道路の退出路だけで割当てた出口番号を使って退出路の案内をすることで、環状交差路に接続する学習道路の追加や削除に関わらず、従来と変わらない出口番号方式の環状交差路案内を行うことができ、ユーザが混乱する心配がない。また、環状交差路からの退出路が学習道路の場合、その出口番号の提示は行われないので、既存道路と学習道路との区別がユーザに対して明確になる。
【0015】
ところで、本発明では、環状交差路からの退出路が学習道路である場合には従来手法とは異なる退出路案内を行うため、その案内方法において学習道路の退出路の位置を如何にしてユーザに分かりやすく案内するかが重要な課題となる。そこで、請求項3に記載のように、環状交差路からの退出路が学習道路データに記録された学習道路に該当する場合、さらに、その学習道路が環状交差路へ接続する形態を判別し、その判別した接続形態の応じた態様の学習道路案内方式による退出路の案内を行うように構成するとよい。以下、学習道路の接続形態に応じた案内方法の具体例について説明する。
【0016】
例えば、退出路に該当の学習道路の接続形態を判別した結果、その学習道路が環状交差路の環状部分の内側を通る道路である場合、その学習道路を対象にした退出路の案内を実施しないように構成することが考えられる(請求項4)。
【0017】
環状交差路では、通常、環状部分の内側を通過することは想定されていない。すなわち、環状交差路に接続する学習道路が環状部分の内側を通っている場合、私道や敷地内を通過したか、法規に反して近回りをした可能性があると考えられる。そこで、退出路に該当の学習道路が環状交差路の内側を通る場合、その学習道路を対象にした退出路の案内を行わないようにすることで、公道でない通路を案内するといった不適切な経路案内が行われるのを防止できる。
【0018】
ただし、たとえ退出路に該当の学習道路が環状交差路の内側を通る道路であったとしても、それが公道であると推測できる何らかの根拠があれば、例外的にその学習道路を対象にした退出路の案内を実施するようにしてもよい(請求項5)。公道であると推測できる根拠としては、例えば、その学習道路の形状的特徴や、その学習道路が公道であることを示す情報の取得である。
【0019】
他にも、退出路に該当の学習道路の接続形態を判別した結果、その学習道路の環状交差路への接続位置が、その環状交差路へ接続する他の2つの既存道路の接続位置の中間に位置する「追加型」の接続形態の条件を満たす場合、それら2つの既存道路の接続点の中間にある出口から退出する内容の退出路案内を実施することが考えられる(請求項6)。
【0020】
上記構成によれば、退出路に該当の学習道路が「追加型」の接続形態である場合、同じ環状交差路に接続する既存道路を案内の基準とし、既存道路のどの出口と出口の間から退出すればよいかを明確にして退出路案内をすることができる。これにより、ユーザにとって分かりやすい内容の退出路案内を実現できる。
【0021】
なお、前述の「追加型」の接続形態における退出路案内を行う際、2つの既存道路の出口の間に複数の学習道路の出口が存在する場合には、単に既存道路の出口と出口の間から退出する案内をするだけではどの学習道路から退出すればよいのか明確にならない可能性がある。
【0022】
そこで、退出路に該当の学習道路が「追加型」の接続形態の条件を満たす場合において、2つの既存道路の接続位置の中間で複数の学習道路が環状交差路に接続している場合、既存道路の退出路を対象に付与された出口番号とは別の個別の出口番号をそれら複数の学習道路に対してそれぞれ割当てたものの中から、退出すべき出口番号を提示して退出路の案内をするようにしてもよい(請求項7)。このようにすることで、複数ある学習道路の中から退出路に該当の学習道路を確実に区別して案内することができ、ユーザにとって分かりやすい内容の退出路案内を実現できる。また、この案内制御手段が前記複数の学習道路に対して割当てる出口番号は、前記2つの既存道路を対象に付与された出口番号を細分化したものとすることが考えられる(請求項8)。
【0023】
あるいは、前述のように、退出路に該当の学習道路が「追加型」の接続形態の条件を満たす場合において、2つの既存道路の接続位置の中間で複数の学習道路が環状交差路に接続している場合、退出すべき学習道路を過去に通過した日時、又は、過去に通過した当時に当該ナビゲーション装置において経路案内に関連付けて設定していた目的地やPOI(Point of Interest)の名称を提示して退出路の案内をするようにしてもよい(請求項9)。
【0024】
学習道路は、その車両が少なくとも1度は走行したことのある道路であるから、走行日時や当時の目的地・POIといった、過去に走行したときの状況に関連する情報を提示して退出路の案内を行うことで、その情報から想起される当時の記憶に基づいて退出すべき学習道路を容易に識別することができる。
【0025】
他にも、退出路に該当の学習道路の接続形態を判別した結果、その学習道路の環状交差路への接続位置が、その環状交差路へ接続する他の既存道路の退出路の接続位置と同じである「分岐型」の接続形態の条件を満たす場合、その既存道路の出口の情報と、その出口から退出路に該当の学習道路への進行方向を提示して退出路の案内をすることが考えられる(請求項10)。
【0026】
上記構成によれば、退出路に該当の学習道路が「分岐型」の接続形態である場合、同じ環状交差路に接続する既存道路を案内の基準とし、既存道路の退出路と同じ出口から退出してどの方向へ進行してすればよいかを明確にして学習道路に対する退出路案内をすることができる。これにより、ユーザにとって分かりやすい内容の退出路案内を実現できる。
【0027】
なお、「追加型」の接続形態と「分岐型」の接続形態とを区別する場合には、例えば、退出路に該当の学習道路の環状交差路への接続位置と、その環状交差路へ接続する他の既存道路の退出路の接続位置との間の距離の長短に応じて「追加型」の接続形態か「分岐型」の接続形態かを区別するように構成することが考えられる(請求項11)。
【0028】
他にも、退出路に該当の学習道路の接続形態を判別した結果、その学習道路の環状交差路への接続位置が、その環状交差路への進入路の接続位置と同じである「近接型」の接続形態の条件を満たす場合、その環状交差路への入口の情報と、その入口から退出路に該当の学習道路への進行方向を提示して退出路の案内をすることが考えられる(請求項12)。
【0029】
上記構成によれば、退出路に該当の学習道路が「近接型」の接続形態である場合、同じ環状交差路の進入路を案内の基準とし、その進入路における入口からどの方向へ進行すればよいかを明確にして学習道路に対する退出路案内をすることができる。これにより、ユーザにとって分かりやすい内容の退出路案内を実現できる。
【0030】
なお、「追加型」の接続形態と「近接型」の接続形態とを区別する場合には、例えば、退出路に該当の学習道路の環状交差路への接続位置と、その環状交差路への進入路の接続位置との間の距離の長短に応じて「追加型」の接続形態か「近接型」の接続形態かを区別するように構成することが考えられる(請求項13)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態のナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】環状交差路の退出路案内(第1実施形態)処理の手順を示すフローチャート。
【図3】環状交差路における案内内容を模式的に示す説明図。
【図4】環状交差路の退出路案内(第2実施形態)処理の手順を示すフローチャート。
【図5】環状交差路における学習道路の接続形態の分類を示す説明図。
【図6】環状交差路における学習道路の接続形態の分類を示す説明図。
【図7】学習道路の接続形態の分類方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
[ナビゲーション装置1の構成の説明]
本実施形態のナビゲーション装置1は、車両に搭載されるナビゲーションシステムであり、図1に示すように、車両の現在地を検出するための位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、地図データやプログラム等を記憶する大容量記憶媒体からデータを入力する地図データ入力部24と、地図や各種情報の表示を行うための表示部26と、各種ガイド音声を出力するための音声出力部27と、制御部29とを備える。
【0033】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信信号を受信し、車両の位置座標や高度を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ21bと、車両の走行距離を出力する距離センサ21cとを備えている。そして、これらの各センサ21a〜21cからの出力信号に基づいて制御部29が、現在地、方位、速度等を算出する。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在位置を求める手法には様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
【0034】
操作スイッチ群22は、表示部26の表示面上に一体に設置されるタッチパネルや表示部26の周囲に設けられるメカニカルなキースイッチ等で構成されている。
地図データ入力部24は、地図データ記憶媒体や、道路学習機能により取得した学習道路に関する学習道路データを記憶するための補助記憶媒体に記憶された各種データを制御部29に入力するための装置である。
【0035】
地図データ記憶媒体には、地図データ提供者からユーザ向けに提供された既製の地図データが格納されている。その具体的な内容は、交差点等の特定地点に対応するノード及びノード間を接続するリンクによって道路の接続状況を示す道路データ、及び地図画像の表示に必要な描画データ等からなる地図データや、いわゆるマップマッチング用のデータ、経路案内用のデータ、ナビゲーション装置1の作動のためのプログラム、意匠画像データ等を含む各種データである。
【0036】
学習道路データを記憶するための補助記憶媒体には、電気的又は磁気的に記憶内容を書き換え可能で、かつ、電源を切っても記憶内容を保持できる記憶媒体(例えばハードディスクやフラッシュメモリ等)が用いられる。本実施形態のナビゲーション装置1が備える道路学習機能により、地図データに既存の道路又は既に登録済みの学習道路の中には存在しない新たな道路が検出されると、検出した道路の学習道路データが補助記憶媒体に格納される。学習道路データは、既存道路との接続地点に対応するノード及びノード間を接続するリンクによって道路の接続状況を示す情報や、リンク形状等を示す情報である。
【0037】
表示部26は、液晶ディスプレイ等の表示面を有するカラー表示装置であり、制御部29からの映像信号の入力に応じて各種画像を表示可能である。この表示部26は、地図画像の表示や、出発地から目的地までの誘導経路、車両の現在地を示すマーク、その他の案内情報等の表示に用いられる。音声出力部27は、各種情報を音声にてユーザに報知できるように構成されている。これによって、表示部26による表示と音声出力部27による音声出力との両方でユーザに対して方向案内等の各種経路案内をすることができる。
【0038】
制御部29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述した各部構成を制御する。この制御部29は、ROMや地図データ入力部24等から読み込んだプログラムやデータに基づいて種々の処理を実行する。この制御部29が、本発明の案内制御手段及び判定手段に相当する。
【0039】
[動作の説明]
つぎに、制御部29が実行する処理について説明する。
ナビゲーション関係の処理としては、地図表示処理や経路案内処理等が挙げられる。地図表示処理では、まず、位置検出器21からの検出信号に基づいて自車両の現在地を算出する。そして、地図データ入力部24から読み込んだ現在地周辺の地図データに基づいて地図画像を生成し、表示部26に現在地周辺の地図画像を表示させる。また、制御部29は、位置検出器21からの検出信号により検出した自車両の現在地を示すマークを、表示部26に表示させる地図画像上に重ね合わせて表示し、自車両の移動に伴って現在地のマークを移動させたり、地図画像をスクロールさせる。
【0040】
また、経路案内処理では、ユーザが操作スイッチ群22を操作して目的地を設定すると、制御部29は車両の現在地を出発地とし、出発地から目的地までの最適経路を地図データ入力部24から読み込んだ道路データを用いて探索する。そして、経路探索により得られた最適経路を誘導経路として、その誘導経路を地図画像上に重ね合わせて表示部26に表示させる。そして、制御部29は自車両の移動に伴って所定のタイミングで案内情報を表示又は音声で出力し、自車両が目的地までの誘導経路に沿って走行できるように案内する。
【0041】
さらに、本実施形態のナビゲーション装置1では、自車両が地図データに登録されている既存の道路や、既に登録されている学習道路以外の領域を走行した際、そのときの移動軌跡に基づいて新しい道路のデータを作成し、それを地図データ入力部24の補助記憶媒体に学習道路データとして登録する道路学習機能を備える。制御部29は、この補助記憶媒体に登録されている学習道路データと、地図データに既存の道路データとをそれぞれ読出し、1つの地図データとして整合性を取るように加工した上で、地図表示処理や経路案内処理に利用する。
【0042】
具体的には、制御部29は、自車両の走行中に定期的に位置検出器21により現在地を特定し、自車両が地図データに既存の道路又は既に登録済みの学習道路の範囲から離脱した地点から、再び地図データに既存の道路又は登録済みの学習道路へ復帰する地点までの移動軌跡に基づいて、学習道路データを生成する。そして、その生成した学習道路データを補助記憶媒体に記録する。この学習道路データは、既存の道路リンクとの接続点(離脱地点、復帰地点)に相当するノードと、そのノード間を接続するリンクからなる道路の接続状況を示す情報や、離脱地点と復帰地点との間の道路形状を示す座標点の集合から構成される。
【0043】
[環状交差路案内の退出路案内(第1実施形態)の説明]
つぎに、制御部29が実行する処理のうち、本発明の特徴的な処理である環状交差路の退出路案内処理(第1実施形態)について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。この環状交差路の退出路案内処理(第1実施形態)は、上述した経路案内処理の実行中、車両が環状交差路まで所定距離に到達した時点で実行が開始される処理である。
【0044】
制御部29が環状交差路の退出路案内処理を開始すると、まず、地図データ入力部24を通じて経路案内対象の環状交差路における出口情報を取得する(S101)。ここでいう環状交差路の出口情報とは、環状交差路の出口の位置情報や、既製の地図データに収録されている退出路(既存道路)への出口であるか、学習道路データに登録された退出路(学習道路)への出口であるかを識別できる情報である。
【0045】
つぎに、S101で取得した出口情報に基づいて、上述した経路案内処理おける案内ポイントとなる出口(すなわち、環状交差路からの退出路)が、学習道路データに登録された学習道路であるか否かを判定する(S102)。
【0046】
環状交差路からの退出路が学習道路データに登録された学習道路ではない場合(S102:NO)、すなわち退出路が地図データの既存道路である場合、その既存道路への出口を対象とする「既存道路用の退出路案内」を実施し(S103)、本処理を終了する。なお、本実施形態のナビゲーション装置1では、既存道路用の退出路案内として、従来の出口番号方式の環状交差路案内を行う。この出口番号方式の環状交差路案内は、環状交差路が有する複数の退出路の中で進入路を基準とした何番目の退出路から退出すべきかを案内するものであり、例えば「出口1の退出路をお通りください」といった案内をする。
【0047】
一方、環状交差路からの退出路が学習道路データに登録された学習道路である場合(S102:YES)、その学習道路への出口を対象とする「学習道路用の退出路案内」を実施し(S104)、本処理を終了する。なお、この学習道路用の退出路案内では、前述の既存道路用の退出路案内のような出口番号の提示を行わない点で案内の方法が異なる。この学習道路用の退出路案内は、案内対象の退出路への進行方向を案内するものであり、例えば、出口へ到達する前の所定のタイミングで「左折です」又は「右折です」といった案内をする。
【0048】
以上は環状交差路案内の退出路案内(第1実施形態)の概要の説明であったが、続いて、S103,S104における各退出路案内の具体例を、図3を参照しながら説明する。
図3(a),(b)は、環状交差路を通過する経路の事例を模式的に示したものである。C1は自車両の現在地である。L1は環状交差路の環状部分のリンクである。N1,N2,N3は何れも、既製の地図データにおける既存道路が接続する接続点のノード(既存ノード)である。このうち、N1は、環状交差路の入口に相当する既存ノードであり、既存道路のリンクE1が接続している。N2,N3は、何れも環状交差路の出口に相当する既存ノードであり、N2には既存道路のリンクE2が、N3には既存道路のリンクE3がそれぞれ接続している。G1は、道路学習機能により登録された学習道路が接続する接続点のノード(学習ノード)である。G1は、環状交差路の出口に相当する学習ノードであり、学習道路のリンクQ1が接続している。
【0049】
(1)「既存道路用の退出路案内(S103)」の一例
図3(a)に示す事例は、既存道路のリンクE1を通って既存ノードN1の入口から環状交差路へ進入し、L1を通って既存ノードN3の出口から既存道路のリンクE3へ退出する案内経路P1を想定している。この事例では、環状交差路からの退出路が既存道路であるため、S103の既存道路用の退出路案内の対象となる。
【0050】
既存道路用の退出路案内では、環状交差路が有する複数の退出路のうち、学習道路の退出路が接続する出口を除いた、既存道路の退出路が接続する出口のみを対象に設定した出口番号を用いて、退出すべき出口番号を提示する。図3(a)に示す事例では、入口に近い方から順に、既存ノードN2が「出口1」、既存ノードN3が「出口2」という連番を出口番号としている。そして、既存ノードN3の出口を出てリンクE3へと退出する退出路案内を行う場合には、例えば「出口2の退出路をお通りください」といったメッセージを報知する。
【0051】
このように、学習道路の出口を除いた既存道路の出口のみに出口番号を設定することで、たとえ学習道路のリンクQ1及びノードG1がユーザにより抹消されたり、この環状交差路に接続する新たな学習道路の出口が追加されたとしても、既存ノードN2,N3に設定される出口番号は常に同じになる。つまり、学習道路の削除や追加に関わらず、既存道路の出口を出る場合の退出路案内の内容は変わらない。
【0052】
仮に、環状交差路が有する複数の退出路のうち、学習道路の退出路が接続する出口を含む全ての退出路が接続する出口に出口番号を設定することを想定してみる。その場合、既存ノードN2が「出口1」、学習ノードG1が「出口2」、既存ノードN3が「出口3」といった出口番号となる。ここで、学習道路のリンクQ1及びノードG1がユーザにより抹消されたと仮定した場合、それまで「出口3」として案内していた既存ノードN3の出口番号が「出口2」となり、ユーザを混乱させるおそれがある。また、この環状交差路に接続する新たな学習道路の出口が追加された場合でも、それまで案内していた出口番号が変わってしまい、同じようにユーザを混乱させるおそれがある。
【0053】
よって、このような混乱を避けるため、先述したように、既存道路用の退出路案内では、学習道路の出口を除いた既存道路の出口のみを対象に設定した出口番号を用いて、退出すべき出口番号を提示するのである。
【0054】
(2)「学習道路用の退出路案内(S104)」の一例
図3(b)に示す事例は、既存道路のリンクE1を通って既存ノードN1の入口から環状交差路へ進入し、L1を通って学習既存ノードG1の出口から学習道路のリンクQ1へ退出する案内経路P2を想定している。この事例では、環状交差路からの退出路が学習道路であるため、S104の学習道路用の退出路案内の対象となる。
【0055】
学習道路用の退出路案内では、既存道路の退出路のような出口番号を用いた退出案内は行わない。その代わり、出口となる学習ノードG1の手前で「左折です」といった具合に、案内対象の退出路への進行方向を示すメッセージを報知する。
【0056】
前述のとおり、学習道路の退出路が接続する出口を含む全ての退出路が接続する出口に出口番号を設定した場合、学習道路の削除や追加によって出口番号が変動し、ユーザが混乱するおそれがあり、このような混乱を避けるため、学習道路用の退出路案内では出口番号を用いた退出案内は行わないのである。
【0057】
[環状交差路案内の退出路案内(第2実施形態)の説明]
つぎに、制御部29が実行する処理のうち、本発明の特徴的な処理である環状交差路の退出路案内処理(第2実施形態)について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。この環状交差路の退出路案内処理(第2実施形態)は、上述した経路案内処理の実行中、車両が環状交差路まで所定距離に到達した時点で実行が開始される処理である。
【0058】
制御部29が環状交差路の退出路案内処理を開始すると、まず、地図データ入力部24を通じて経路案内対象の環状交差路における出口情報を取得する(S201)。ここでいう環状交差路の出口情報とは、環状交差路の出口の位置情報や、既製の地図データに収録されている退出路(既存道路)への出口であるか、学習道路データに登録された退出路(学習道路)への出口であるかを識別できる情報である。
【0059】
つぎに、S201で取得した出口情報に基づいて、上述した経路案内処理おける案内ポイントとなる出口(すなわち、環状交差路からの退出路)が、学習道路データに登録された学習道路であるか否かを判定する(S202)。
【0060】
環状交差路からの退出路が学習道路データに登録された学習道路ではない場合(S202:NO)、すなわち退出路が地図データの既存道路である場合、その既存道路への出口を対象とする「既存道路用の退出路案内」を実施し(S203)、本処理を終了する。この既存道路用の退出路案内は、先述の第1実施形態(図2参照)におけるS103の処理と同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0061】
一方、環状交差路からの退出路が学習道路データに登録された学習道路である場合(S202:YES)、学習道路データにおけるリンクの形状情報に基づき、その学習道路が環状交差路の環状部分の外側を通るか内側を通るかを判断する(S204)。もし、退出路に該当の学習道路が環状交差路の環状部分の内側を通る場合(S204:NO)、S207へ進み、退出路の案内をせずに本処理を終了する。
【0062】
一方、退出路に該当の学習道路が環状交差路の環状部分の外側を通る場合(S204:YES)、S205〜S206の条件判断に進む。S205〜S206の条件判断では、退出路に該当の学習道路の環状交差路に対する接続形態が、「追加型」「分岐型」「近接型」の3つの分類の何れに該当するかを判別する。そして、その判別した接続形態に応じた方法で退出路案内を行う。なお、「追加型」「分岐型」「近接型」の各接続形態の判別方法の詳細な説明については後述する。
【0063】
S205で退出路に該当の学習道路が「追加型」の接続形態であると判定した場合(S205:YES)、「追加型学習道路用の退出路案内」を実行し(S208)、本処理を終了する。あるいは、S206で退出路に該当の学習道路が「分岐型」の接続形態であると判定した場合(S206:YES)、「分岐型学習道路用の退出路案内」を実行し(S209)、本処理を終了する。あるいは、S204,S205で「追加型」「分岐型」の何れにも該当しないと判定した場合(S204:NO,S205:NO)、退出路に該当の学習道路が「近接型」の接続形態であると判断し、「近接型学習道路用の退出路案内」を実行する。(S210)。その後、本処理を終了する。
【0064】
以上は環状交差路案内の退出路案内(第2実施形態)の概要の説明であったが、続いて、S204〜S209の各処理の具体例を図5〜7を参照しながら説明する。
(1)環状交差路の内側又は外側を通る学習道路の一例(S204)
図5(a),(b)は、環状交差路を通過する経路の事例を模式的に示したものである。L1は前出のものと同様の環状交差路の環状部分のリンクである。C1は自車両の現在地である。N1,N2,N3は何れも、既製の地図データにおける既存道路が接続する既存ノードである。N1は、環状交差路の入口に相当する既存ノードであり、既存道路のリンクE1が接続している。N2,N3は、何れも環状交差路の出口に相当する既存ノードであり、N2には既存道路のリンクE2が、N3には既存道路のリンクE3がそれぞれ接続している。
【0065】
図5(a)のQ2は、道路学習機能により登録された学習道路のリンクであり、環状交差路の内側を通って既存ノードN1とN3とを結んでいる。P3は、既存道路のリンクE1を通って既存ノードN1の入口から環状交差路へ進入し、そのまま学習道路のリンクQ2を通って環状交差路を横切り、既存ノードN3の出口から既存道路のリンクE3へ退出する案内経路である。
【0066】
この案内経路P3に沿って走行した場合、環状交差路を横切る形で走行しており、私道や駐車場等の敷地を走行しているか、法規に反して近回りしている可能性がある。そのため、S204で退出路に該当の学習道路が環状交差路の環状部分の内側を通ると判断した場合には、この学習道路に対する退出路案内を行わないようにする。
【0067】
ただし、学習道路が環状交差路の内側を通る場合であっても、それが公道であると推測できる何らかの根拠があれば、例外的にその学習道路を対象にした退出路の案内を実施するようにしてもよい。例えば、その学習道路が環状交差路の特定地点(中心点等)を通過する場合、抜け道としての公道が作られていると判断し、その学習道路を対象にした退出路の案内を実施する。あるいは、図示しない車載カメラによる撮像画像に写った道路標識や道路標示、若しくは図示しない通信装置により外部より取得した道路情報等のように、その学習道路が公道であることを示す情報を取得している場合、その学習道路を対象にした退出路の案内を実施するようにしてもよい。具体的な案内方法としては、「○○の出口から環状交差路の内側道路をお通りください」といった案内をすることが考えられる。
【0068】
図5(b)のQ3は、道路学習機能により登録された学習道路のリンクであり、環状交差路の外側を通って既存ノードN1とN3とを結んでいる。P4は、既存道路のリンクE1を通って既存ノードN1の入口から学習道路のリンクQ3に入り、環状交差路の外側を通って既存ノードN3の出口から既存道路のリンクE3へ退出する案内経路である。この案内経路P4に沿って走行した場合、環状交差路の外側を通ることになるため、その学習道路の接続形態に応じた案内内容の退出路案内を行う。
【0069】
(2)追加型の学習道路の一例(S205,S208)
図6(a)は、環状交差路において追加型の学習道路を退出路として案内する事例を示したものである。L1は前出のものと同様の環状交差路の環状部分のリンクである。C1は自車両の現在地である。N1,N2,N3は何れも、既製の地図データにおける既存道路が接続する既存ノードである。N1は環状交差路の入口に相当する既存ノードであり、N2,N3は環状交差路の出口に相当する既存ノードである。既存ノードN1,N2,N3には、既存道路のリンクE1,E2,E3がそれぞれ接続している。
【0070】
G1は、道路学習機能により登録された学習道路が接続する学習ノードであり、環状交差路のL1上において2つの既存ノードN2,N3の出口の間に追加されたものである。この学習ノードG1は、環状交差路の出口に相当し、学習道路のリンクQ4が接続している。P5は、既存道路のリンクE1を通って既存ノードN1の入口から環状交差路へ進入し、L1を通って学習ノードG1の出口から学習道路のリンクQ4へ退出する案内経路である。
【0071】
この案内経路P5のように、退出路の学習道路Q4が環状交差路に接続する地点の学習ノードG1が、環状交差路のL1上において他の2つの既存ノードN2,N3の中間に位置する場合、「追加型」の接続形態であると判別する。
【0072】
「追加型」の接続形態に対応する退出路案内では、例えば「出口1と出口2の間の出口をお通りください」といった具合に、どの出口とどの出口との間から出ればよいか、出口番号を明示して案内する。この案内で提示する出口番号は、既存道路の退出路が接続する出口のみを対象に設定したものであり、入口に近い方から順に、既存ノードN2が「出口1」、既存ノードN3が「出口2」という連番となっている。このように、退出路の学習道路を案内する際に、既製の地図データに予め登録されている出口を基準に案内することで、道路学習機能により登録した出口から退出することをユーザが理解できる。
【0073】
なお、上述の追加型学習道路用の退出路案内において、2つの既存ノードの出口の間に、案内対象となる退出路の学習道路の他に別の学習道路の出口が存在する場合、案内方法を下記のように工夫することで、どの学習道路から退出すればよいのを分かりやすく案内できる。
【0074】
例えば、既製の地図データに予め登録されている出口番号を更に細分化した個別の出口番号を、環状交差路に接続する複数の学習道路にそれぞれ割当て、その割当てた出口番号の中から、退出すべき学習道路の出口番号を提示して退出路の案内をするようにしてもよい。このようにすることで、複数ある学習道路の中から退出路に該当の学習道路を確実に区別して案内することができる。
【0075】
あるいは、「○月×日に通った出口をお通りください」といった具合に、複数の学習道路の中から退出すべき学習道路を過去に通過した日時(学習した日時)を提示して退出路を案内することが考えられる。また、過去に通過した当時にナビゲーション装置1において経路案内処理に関連付けて設定していた目的地やPOIの名称を提示して退出路の案内をするようにしてもよい。なお、学習道路を過去に通過した日時や、その当時の目的地やPOIの名称等の情報については、学習道路データに付属するデータとして記録しておいて、必要に応じて利用することが考えられる。
【0076】
このように、過去に走行したときの状況に関連する情報を提示して退出路の案内を行うことで、その情報から想起される当時の記憶に基づいて退出すべき学習道路を容易に識別することができる。
【0077】
(3)分岐型の学習道路の一例(S206,S209)
図6(b)は、環状交差路において分岐型の学習道路を退出路として案内する事例を示したものである。L1は前出のものと同様の環状交差路の環状部分のリンクである。C1は自車両の現在地である。N1は既製の地図データにおける既存道路が接続する既存ノードであり、環状交差路の入口に相当する。この既存ノードN1には、既存道路のリンクE1が接続している。G2は、既存道路のリンクE2(退出路)が接続する既存ノードに、道路学習機能により登録された学習リンクQ5(退出路)が併せて接続する共通の出口のノードである。P6は、既存道路のリンクE1を通って既存ノードN1の入口から環状交差路へ進入し、L1を通って共通の出口のノードG2から学習道路のリンクQ5へ退出する案内経路である。
【0078】
この案内経路P6のように、既存道路の退出路であるリンクE2が環状交差路に接続する地点のノードG2が、退出路案内の対象となる学習道路のリンクQ5とも接続し、1つの出口から複数の退出路へ分岐している場合、「分岐型」の接続形態であると判別する。
【0079】
「分岐型」の接続形態に対応する退出路案内では、例えば「出口1を抜けて右方向をお通りください」といった具合に、どの出口を出てどちらの方向へ進めばよいかを出口番号を明示して案内する。この案内で提示する出口番号は、既存道路の退出路が接続する出口のみを対象に設定したものであり、入口に最も近いノードG2が「出口1」となっている。このように、退出路の学習道路を案内する際に、既製の地図データに予め登録されている出口を基準にし、その出口からの進行方向を案内することで、道路学習機能により登録した出口から退出することをユーザが理解できる。
【0080】
(4)近接型の学習道路の一例(S210)
図6(c)は、環状交差路において近接型の学習道路を退出路として案内する事例を示したものである。L1は前出のものと同様の環状交差路の環状部分のリンクである。C1は自車両の現在地である。G3は、既存道路のリンクE1(進入路)が接続する入口の既存ノードに、道路学習機能により登録された学習リンクQ6(退出路)が併せて接続する出入口兼用のノードである。P7は、既存道路のリンクE1を通って入口出口兼用のノードG3から学習道路のリンクQ6へ退出する案内経路である。
【0081】
この案内経路P7のように、既存道路の進入路であるリンクE1が環状交差路に接続する地点のノードG3が、退出路案内の対象となる学習道路のリンクQ6とも接続し、この出入口において進入路と退出路が近接している場合、「近接型」の接続形態であると判別する。
【0082】
「近接型」の接続形態に対応する退出路案内では、例えば「ロータリー入口の左側道路をお通りください」といった具合に、その環状交差路への入口の情報と、その入口から退出路に該当の学習道路への進行方向を提示して退出路の案内をする。このように、退出路の学習道路を案内する際に、既製の地図データに予め登録されている入口を基準にし、その入口からの進行方向を案内することで、道路学習機能により登録した学習道路から退出することをユーザが理解できる。
【0083】
(5)「追加型」「分岐型」「近接型」の区別について
図7は、上述の「追加型」「分岐型」「近接型」の各接続形態のより詳細な区別を示した説明図である。なお、図7の各部に付したL1,N1〜N2,G1〜G3,Q1〜Q3,P1〜P3の各符号は、前出の符号と同じ意味を持つものであるため、ここでの重複する説明は省略する。
【0084】
図7(a)は、「追加型」の接続形態の一例である。図7(b)は、「分岐型」の接続形態の一例である。図7(c)は、「近接型」の接続形態の一例である。図7(a)〜(c)の各図において、D1〜D3は、退出路となる学習道路が接続する出口のノードG1〜G3と、既存道路が接続する出口又は入口のノードN1〜N2との間の距離を表す。追加型と、分岐型・近接型とは、距離D1〜D3の長短により区別する。距離D1が長ければ、追加型に分類し、距離D2,D3が短い、あるいは2つのノードが同一(距離D2,D3が0)であれば、分岐型・近接型と分類する。
【0085】
[効果]
以上で説明した実施形態のナビゲーション装置1によれば、次のような効果を奏する。
経路案内の対象となる環状交差路の退出路が、既製の地図データに既存の道路に該当する場合と道路学習機能により獲得した学習道路に該当する場合とで、それぞれ退出路の案内方法が区別される。
【0086】
これにより、たとえ環状交差路に接続する学習道路の追加や削除があったとしても、地図データに既存の退出路を通行する際の案内内容が変化することはなく、ユーザが混乱することはない。また、案内された退出路が学習道路であることをユーザが自覚し易くなり、便利である。
【符号の説明】
【0087】
1…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、24…地図データ入力部、26…表示部、27…音声出力部、29…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既製の地図データと、自車両の現在地が前記地図データに既存の道路上又は既に登録済みの学習道路上から離脱した地点から、再び前記地図データに既存の道路上又は登録済みの学習道路上へ復帰するまでの移動軌跡に基づいて生成した学習道路を記録した学習道路データとを用いて経路案内を行う、車両の走行中に用いられるナビゲーション装置であって、
設定された案内経路が環状交差路を通る経路である場合に、所定のタイミングでその環状交差路の退出路をユーザに対して案内する案内制御手段と、
前記案内制御手段による案内対象の環状交差路からの退出路が、前記地図データの既存道路に該当するか、前記学習道路データに記録された学習道路に該当するかを判定する判定手段とを備え、
前記案内制御手段は、前記判定手段による判定の結果、前記環状交差路からの退出路が前記地図データの既存道路に該当する場合、前記地図データに基づく所定方式の環状交差路案内に沿った内容で退出路の案内を行う一方、前記環状交差路からの退出路が前記学習道路データに記録された学習道路に該当する場合、前記所定方式の環状交差路案内とは案内内容が区別された学習道路案内方式に沿った内容で退出路の案内を行うこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、前記環状交差路からの退出路が前記地図データの既存道路に該当する場合、その環状交差路が有する複数の既存道路の退出路を対象に設定した出口番号から、退出すべき出口番号を提示して退出路の案内をする出口番号方式の環状交差路案内を実行する一方、前記環状交差路からの退出路が前記学習道路データに記録された学習道路に該当する場合、その学習道路に対応する出口番号の提示を行わずに退出路の位置を案内すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、前記環状交差路からの退出路が前記学習道路データに記録された学習道路に該当する場合、さらに、その学習道路が前記環状交差路へ接続する形態を判別し、その判別した接続形態の応じた態様の前記学習道路案内方式による退出路の案内を行うこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、退出路に該当の学習道路の接続形態を判別した結果、その学習道路が前記環状交差路の環状部分の内側を通る道路である場合、その学習道路を対象にした退出路の案内を実施しないこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、退出路に該当の学習道路が前記環状交差路の環状部分の内側を通る道路であっても、その学習道路が所定の例外条件に適合する場合に限り、その学習道路を対象にした退出路の案内を実施すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、退出路に該当の学習道路の接続形態を判別した結果、その学習道路の前記環状交差路への接続位置が、その環状交差路へ接続する他の2つの既存道路の接続位置の中間に位置する「追加型」の接続形態の条件を満たす場合、それら2つの既存道路の接続点の中間にある出口から退出する内容の退出路案内を実施すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、退出路に該当の学習道路が前記「追加型」の接続形態の条件を満たす場合において、前記2つの既存道路の接続位置の中間で複数の学習道路が前記環状交差路に接続している場合、前記既存道路の退出路を対象に付与された出口番号とは別の個別の出口番号をそれら複数の学習道路に対してそれぞれ割当てたものの中から、退出すべき出口番号を提示して退出路の案内をすること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段が前記複数の学習道路に対して割当てる出口番号は、前記2つの既存道路を対象に付与された出口番号を細分化したものであること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項6に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、退出路に該当の学習道路が前記「追加型」の接続形態の条件を満たす場合において、前記2つの既存道路の接続位置の中間で複数の学習道路が前記環状交差路に接続している場合、退出すべき学習道路を過去に通過した日時、又は、過去に通過した当時に当該ナビゲーション装置において経路案内に関連付けて設定していた目的地やPOI(Point of Interest)の名称を提示して退出路の案内をすること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項3ないし請求項9の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、退出路に該当の学習道路の接続形態を判別した結果、その学習道路の前記環状交差路への接続位置が、その環状交差路へ接続する他の既存道路の退出路の接続位置と同じである「分岐型」の接続形態の条件を満たす場合、その既存道路の出口の情報と、その出口から退出路に該当の学習道路への進行方向を提示して退出路の案内をすること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項6ないし請求項9の何れか1項を引用する請求項10に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、退出路に該当の学習道路の前記環状交差路への接続位置と、その環状交差路へ接続する他の既存道路の退出路の接続位置との間の距離の長短に応じて前記「追加型」の接続形態か前記「分岐型」の接続形態かを区別すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項3ないし請求項11の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、退出路に該当の学習道路の接続形態を判別した結果、その学習道路の前記環状交差路への接続位置が、その環状交差路への進入路の接続位置と同じである「近接型」の接続形態の条件を満たす場合、その環状交差路への入口の情報と、その入口から退出路に該当の学習道路への進行方向を提示して退出路の案内をすること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項13】
請求項6ないし請求項9の何れか1項を引用する請求項12に記載のナビゲーション装置において、
前記案内制御手段は、退出路に該当の学習道路の前記環状交差路への接続位置と、その環状交差路への進入路の接続位置との間の距離の長短に応じて前記「追加型」の接続形態か前記「近接型」の接続形態かを区別すること
を特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−159350(P2012−159350A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18104(P2011−18104)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】