説明

ナビゲーション装置

【課題】推奨経路上のユーザの位置を推定して経路案内を行うナビゲーション装置において、推定した位置と実際の位置との間のずれを補正する。
【解決手段】経路案内手段29はナビゲーションサーバ10から提供された地図データ及び推奨経路データを用いて経路案内を行う。地下街では位置推定手段29aは歩数計などの移動センサ22bの計数値により現在位置を推定する。推定した現在位置が所定の施設の位置に到達したとき、その施設があるか否かを確認するメッセージを表示する。ないとの回答があった場合、その施設に到達したときに確認ボタンを押すことを要請するメッセージを表示し、確認ボタンが押されたとき、推定した現在位置を施設の位置に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下街などGPS(Global Positioning System)を用いた現在位置の測定ができない場所において経路案内を高精度で実施可能なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPSが発達し、測位衛星からの電波を受信できる地域では地球上のいかなる場所でも自分の位置を測定できるようになり、このGPSを利用したナビゲーション装置が広く利用されている。
【0003】
しかし、地下街などでは、GPS衛星から送信される電波が届かないためにGPS測位を実施することができない。そこで、GPS測位に代えて、位置が既知の基準地点からの移動距離を測定することで、大凡の位置を推定する技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、地下街の入口を出発点として目的地を設定して経路探索を行い、探索された推奨経路の案内を行う際、加速度センサや歩数計によりユーザの動きを検出することでユーザの移動距離を測定するとともに、測定した移動距離だけ出発点から推奨経路上で進めた位置をユーザの現在位置と推定して経路案内を行うナビゲーション装置が記載されている。
【0005】
しかしながら、このナビゲーション装置では、歩数計の1カウントの移動距離が固定(例えば、一般人の歩幅である80cm)されているため、ユーザの歩幅と合致していない場合には進行するにつれて経路上の誤差が蓄積されることになる。
【0006】
また、ユーザは必ずしも推奨経路上をまっすぐに歩行するとは限らず、特に地下街では他の歩行者を避けて通行したり、店舗に立ち寄ったりするなどして推奨経路から外れるのがむしろ一般的である。
【0007】
従って、推奨経路上のユーザの位置を推定して経路案内を行うナビゲーション装置では、推定した位置と実際の位置との間にずれが生じる結果、高精度の経路案内を実行できないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−3251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、こうした従来技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、推奨経路上のユーザの位置を推定して経路案内を行うナビゲーション装置において、推定した位置と実際の位置との間のずれを補正することで、高精度の経路案内を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のナビゲーション装置は、経路上の所定の位置に位置確認地点を備えた推奨経路を設定し、前記推奨経路上の基準地点から移動するユーザの前記推奨経路上の推定位置と実際の位置のずれを、前記位置確認地点において補正する機能を備えたナビゲーション装置であって、前記ユーザに対し、前記位置確認地点に到達したときに到達情報を入力することを要請する入力要請手段と、前記到達情報の検出に基づき、前記ユーザの前記推奨経路上の推定位置と実際の位置のずれの有無を判断する判断手段と、ずれがあると判断された場合、前記推定位置を前記位置確認地点に補正する推定位置補正手段と、を有するナビゲーション装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、推奨経路上のユーザの位置を推定して経路案内を行うナビゲーション装置において、推定した位置と実際の位置との間のずれを補正することで、高精度の経路案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態のナビゲーション装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態のナビゲーション装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図3】図2における経路案内処理の詳細を示すフローチャートである。
【図4】図3における地下街モードでの案内処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図4における推定現在位置補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
〈ナビゲーション装置のシステム構成〉
図1に本発明の実施形態のナビゲーション装置のシステム構成を示す。本実施形態のナビゲーション装置は、インターネットなどのネットワーク1を介して通信可能なナビゲーションサーバ10と携帯端末装置20を備えて構成される。携帯端末装置20は基地局2を介してネットワーク1に接続される。
【0014】
携帯端末装置20は、制御部21と、それぞれが制御部21に接続された位置測定部22、操作部23、表示部24、音声出力部25、通信部26及び記憶部27を備えている。
【0015】
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を内蔵しており、ROMや記憶部27に記憶されているプログラムをCPUがRAMをワークエリアとして実行することにより実現される機能として、探索要求手段28及び経路案内手段29を備えている。さらに詳しくは、経路案内手段29は、位置推定手段29a、及び推定位置補正手段29bを備えている。
【0016】
位置測定部22はGPS受信機22a及び移動センサ22bを備えている。GPS受信機22aは、複数のGPS衛星から送信される電波を受信して演算することにより、受信点、即ち携帯端末装置20の現在位置(緯度、経度)を測定して、現在位置情報を生成する。移動センサ22bは、加速度センサや歩数計からなり、携帯端末装置20のユーザの歩行状態などの体の動きを検出して、移動距離情報を生成する。
【0017】
操作部23は、ユーザが携帯端末装置20を使用するときに各種指令の入力を行うための手段であり、表示部24の画面上のタッチパネル、図示しない装置筐体上のボタン或いはそれらの組み合わせからなる。表示部24は、液晶、有機EL(Electroluminescence)などのディスプレイからなり、ナビゲーションサーバ10から送信された地図、推奨経路などを表示する。音声出力部25は、スピーカからなり、経路案内に関する音声メッセージを出力する。
【0018】
通信部26は、ネットワーク1を介してナビゲーションサーバ10と通信を行うための手段である。記憶部27は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリからなり、ナビゲーションサーバ10からダウンロードした地図データ、経路案内の履歴情報、ユーザが登録した各種固定情報などを保存することができる。
【0019】
探索要求手段28は、ナビゲーションサーバ10に送信するための経路探索要求信号を生成する。この経路探索要求信号は出発地情報及び目的地情報からなる位置情報を含む。出発地情報及び目的地情報はユーザが操作部23から入力する。ただし、GPS受信機22aの受信状態が良好なときは、GPS受信機22aが生成した現在位置情報を出発地情報にすることができる。
【0020】
経路案内手段29は、経路探索要求信号に応じてナビゲーションサーバ10から提供された地図データ及び推奨経路データを用いて経路案内を行う。より詳しくは、ナビゲーションサーバ10から送信された地図データ及び推奨経路データから、地図画像上に推奨経路を重畳した表示画像データを生成して表示部24に送出する。
【0021】
位置推定手段29aは、移動センサ22bの出力に基づいて、携帯端末装置20の現在位置を推定する。即ち、移動センサ22bは、GPS衛星からの電波の受信が不能な地下街などで、位置が正確に分かっている推奨経路上の地点、例えばGPS受信機22aの受信状態が良好であった直近の地点やユーザが操作部23から入力した地点を基準地点として移動距離の測定を開始するので、位置推定手段29aは、基準地点の位置から移動センサ22bが測定した移動距離を推奨経路上で進めた位置を現在位置とする。
【0022】
推定位置補正手段29bは、位置推定手段29aで移動センサ22bの出力を用いて推定された現在位置(以下、「推定された現在位置」を「推定現在位置」という)の実際の現在位置からのずれを所定の推奨経路上の位置確認地点毎に補正する。
【0023】
ここで、位置確認地点は推奨経路上で所定の施設(POI)に面する位置である。施設については、通路ネットワークデータと、施設の存在する場所を示す施設データとから、地下街における推奨経路上の任意の施設を選択することができる。例えば、地下街の推奨経路上の側方(右側、左側)に存在するコンビニエンスストア等の店舗や、記念碑など、比較的分かり易い施設を選択することが好適である。また、本実施例における施設としては、目につきやすい看板や待ち合わせ場所(例えば地下の広場)などであってもよい。そして、推奨経路上の推定現在位置が位置確認地点に到達したとき、換言すれば、推定現在位置が所定の施設に面する位置に到達したとき、その施設の有無をユーザに確認する確認メッセージを表示部24に表示し、操作部23からユーザが入力した回答に基づいて、推定現在位置を補正する。補正処理の詳細については後述する。
【0024】
ナビゲーションサーバ10は、制御部11と、制御部11に接続された通信部12、地図DB(データベース)13、及び経路DB14を備えている。通信部12は、ネットワーク1を介して携帯端末装置20と通信を行うための手段である。制御部11は、図示しないCPU、ROM、及びRAMを内蔵しており、ROMに記憶されているプログラムをCPUがRAMをワークエリアとして実行することにより実現される機能として、地図検索手段15、経路探索手段16及び送信データ生成手段17を備えている。
【0025】
地図DB13には、携帯端末装置20の表示部24に地図画像を表示するための地図データが格納されている。地図データは緯度及び経度を用いることにより構成されており、道路、河川、建物、地下街の出入口等の図形データが含まれている。また、地下街が存在する場所には地下街の地図データも存在し、地下街の地図データには、地下街に関する図形データと、地下街内に存在する各種店舗などの施設のデータが含まれている。
【0026】
経路DB14には、地図データが表す地図画像に対応した領域に存在する道路ネットワークデータが格納されている。道路ネットワークデータには、道路のノード(交差点)を表すノード情報、及びノード間のリンクを表すリンク情報、リンクコスト情報が含まれている。
【0027】
制御部11の地図検索手段15は、携帯端末装置20から送信された経路探索要求信号に含まれている出発地情報及び目的地情報に基づいて、その出発地から目的地までの地図データを地図DB13から検索する。経路探索手段16は、経路探索要求信号に含まれている出発地情報及び目的地情報に基づいて、その出発地から目的地までの推奨経路のノード情報及びリンク情報を経路DB14から探索する。
【0028】
送信データ生成手段17は、地図検索手段15により検索された地図データ、及び経路探索手段16により探索された推奨経路データから、携帯端末装置20に送信するための送信データを生成する。ここで、送信データは、地図検索手段15により検索された地図データ、及び経路探索手段16により探索された推奨経路データのうち、携帯端末装置20の出発地付近の所定の範囲の部分である。この送信データは、携帯端末装置20の移動に伴う送信要求に応じて、移動方向の一定範囲の地図データ、及び推奨経路データに更新される。
【0029】
〈ナビゲーション装置の動作〉
以上の構成を備えたナビゲーション装置の動作について説明する。図2はナビゲーション装置の概略動作を示すフローチャートである。このフローチャートにおいて、携帯端末装置20の処理は、ナビゲーションサーバ10により提供されるナビゲーションサービスを受けるためのアプリケーションを立ち上げたときに始まる。また、ナビゲーションサーバ10の処理は、携帯端末装置20から送信された経路探索要求信号の受信に応じて始まる。
【0030】
図示のように、携帯端末装置20では、経路探索要求のための出発地及び目的地が入力される(ステップS1)。即ち、表示部24に出発地、目的地の入力画面を表示し、ユーザが操作部23から入力した出発地、目的地が出発地情報、目的地情報として制御部21内のRAMに書き込まれる。ここで、GPS受信機22aの受信状態が良好であり、GPS受信機22aが現在位置情報を生成しているときは、それを出発地情報とすることもできる。一方、地下街にいるときのように、GPS受信機22aが受信不能なときは、ユーザが出発地を入力することが必要となる。また、地下街にいるときは、地下街にいることも入力する。これにより、地下街フラグが制御部21内のRAMに設定される。
なお、測位の方法としては、GPS以外のものを採用することもできる。例えば、所定の場所に設置されている基地局から位置情報を取得するといった方法などがあげられる。
【0031】
次に探索要求手段28は、RAMに保持されている位置情報(出発地情報及び目的地情報)を読み出し、それらを含む経路探索要求信号を生成し、通信部26にナビゲーションサーバ10へ送信させる(ステップS2)。
【0032】
ナビゲーションサーバ10では、携帯端末装置20から送信された経路探索要求信号が通信部12で受信され、制御部11へ送られることにより、経路探索処理(ステップS11)が始まる。
【0033】
この経路探索処理では、地図検索手段15が、経路探索要求信号に含まれている出発地情報及び目的地情報に基づいて、その出発地から目的地までの範囲を含む地図データを地図DB13から検索する。また、この経路探索処理では、経路探索手段16が、経路探索要求信号に含まれている出発地情報及び目的地情報に基づいて、その出発地から目的地までの推奨経路を探索する。
【0034】
経路探索処理が終了すると、送信データ生成手段17が、地図検索手段15により検索された地図データ、及び経路探索手段16により探索された推奨経路データに基づいて、携帯端末装置20の出発地付近の所定の範囲の部分の地図データ及び推奨経路データからなる送信データを生成し、通信部12に携帯端末装置20へ送信させる(ステップS12)。ここで、地下街がある場合は、地上の地図データ及び推奨経路データとともに地下街の地図データ及び推奨経路データも送信する。
【0035】
携帯端末装置20では、地図データ及び推奨経路データが通信部26で受信され、制御部21に送られると(ステップS3)、経路案内手段29が経路案内処理(ステップS4)を行う。
【0036】
〈経路案内処理〉
図3は経路案内処理の詳細を示すフローチャートである。経路案内処理の開始により、表示部24に地図及び推奨経路を表示するとともに、GPS受信機22aが現在位置情報を生成しているときはその現在位置を、GPS受信機22aが現在位置情報を生成せず、位置推定手段29aが推定現在位置情報を生成しているときはその推定現在位置を表示する。これにより、ユーザの歩行に伴って表示される推定現在位置が更新される(ステップS21)。
【0037】
次いで経路案内手段29は、地下街に到達したか否かを判断する(ステップS22)。例えば直前の判断ではGPS受信機22aの受信状態が良好であるため、GPS受信機22aで生成された現在位置情報に基づく現在位置が地下街への入口から所定距離(例えば20m)の地上であり、今回の判断ではGPS受信機22aが受信不能あるいは電波の強度が一定の基準値以下となった場合には、地下街(実際には、地上から地下への転換地点である地下街の入口の階段、エスカレータ、エレベータ等)に到達したと判断する。
【0038】
地下街に到達したと判断した場合は(ステップS22:Yes)、経路案内手段29は、移動センサ22bによる移動距離測定を開始する地点である基準地点をRAMに設定するとともに、地下街モードフラグをRAMに設定し(ステップS23)、ステップS24に進む。地下街に到達していないと判断した場合は(ステップS22:No)、そのままステップS24に進む。
【0039】
ステップS24では、地下街モードか否か、換言すれば、地下街モードフラグが設定されているか否かを判断する。判断の結果、地下街モードであった場合は(ステップS24:Yes)、地下街モードでの案内(ステップS25)を行い、地下街モードでなかった場合は(ステップS24:No)、地上モードでの案内を行う(ステップS26)。目的地に到着するまで(ステップS27:Yes)、ステップS21〜S25又はS26を繰り返す。
【0040】
〈地下街モードでの案内〉
図3における地上モードでの案内(ステップS26)は周知技術を用いるものであるため説明を省略し、地下街モードでの案内(ステップS25)について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0041】
まず位置推定手段29aは、先にステップS23で設定した基準地点に対して、移動センサ22bで測定された移動距離を推奨経路上で進めることで、現在位置を推定する(ステップS31)。ここでは、移動センサ22bは歩数計とし、その1カウント毎に一定距離(例えば80cm)進んだものとし、「カウント数」×「一定距離」=「移動距離」とする。
【0042】
次いで経路案内手段29は、推定現在位置が位置確認地点に到達したか否かを判断する(ステップS32)。推定現在位置が位置確認地点に到達したと判断した場合は(ステップS32:Yes)、経路案内手段29は、位置確認地点に面する施設があるか否かをユーザに確認する確認メッセージを表示部24に表示させる(ステップS33)。音声出力部25からの音声による確認メッセージを併用又は代用することもできる。さらには、図示しないバイブレーション等による振動によって報知することもできる。
【0043】
ユーザがこの確認メッセージに対する回答を操作部23から入力すると、経路案内手段29は、回答に基づいて、推定現在位置と実際の現在位置とが一致するか否かを判断する(ステップS34)。
【0044】
即ち、例えば「右側に○○コンビニエンスストアが見えますか?」との確認メッセージを表示して、「はい」か「いいえ」の2択で回答を促す。推定現在位置の右側に○○コンビニエンスストアが存在しており、実際の推奨経路においても当該○○コンビニエンスストアが見える(「はい」と回答)のであれば、「推定現在位置と実際の現在位置とが一致している」と判断する。逆に、実際の経路上で○○コンビニエンスストアが見えない場合(「いいえ」と回答)には、「推定現在位置と実際の現在位置とが一致していない」と判断する。
【0045】
回答が肯定的(見える)であった場合は(ステップS34:Yes)、推定現在位置と実際の位置とが一致している(ずれがない)ため、補正は不要と判断し、補正しない。しかし、回答が否定的(見えない)であった場合は(ステップS34:No)、推定現在位置と実際の位置との間にずれがあるため、補正が必要と判断し、推定現在位置補正処理(ステップS35)を実行する。
【0046】
この確認メッセージは、ユーザに対して、推定現在位置が位置確認地点に到達したことを通知するとともに、位置確認地点に到達したときに到達情報を入力することを要請するメッセージである。また、肯定的な回答は到達情報である。
【0047】
推定現在位置補正処理のフローチャートを図5に示す。通常、地下街を通行する場合には付近の店舗に立ち寄ったり、通行人を避けたりするため、推奨経路をまっすぐに進むことはまずないと想定し、実際の現在位置が推定現在位置よりも後方であるとの前提でこの処理を行う。
【0048】
図示のように、経路案内手段29は、位置確認地点に到達したら「確認」ボタンを押すこと(到達情報の入力)を要請する旨のメッセージを表示部24に表示させる(ステップS41)。次いで、一定時間経過するまでの間に「確認」ボタンが押されたか否かを監視し(ステップS42、S43)、押されたと判断したときに(ステップS42:Yes)、推定位置補正手段29bが推定現在位置を位置確認地点に補正する(ステップS44)。
【0049】
一方、一定時間経過するまでの間に「確認」ボタンが押されなかった場合は(ステップS43:Yes)、経路案内手段29は、推奨経路から外れている旨のメッセージを表示部24に表示させて報知する(ステップS45)。
【0050】
ここで、一定時間として、推奨経路から外れていなければ、位置確認地点に到達していないことは考えられない時刻になるように設定する。例えば、ステップS41でメッセージが表示されてから一定時間経過した時刻が、基準地点にいたときの時刻から位置確認地点に到達するのに要する時間の2倍程度の時間が経過した時刻となるように一定時間を設定する。
【0051】
図4の説明に戻る。推定現在位置が位置確認地点に到達していない場合(ステップS32:No)、又は位置確認地点に到達し、かつ推定現在位置と実際の現在位置とが一致した場合(ステップS32:Yes→S34:Yes)、又は位置確認地点に到達し、かつ推定現在位置と実際の現在位置とが一致せず、推定現在位置補正処理を実行した場合(ステップS32:Yes→S34:No→S35)は、地下街から出たか否かを判断する(ステップS36)。なお、ナビ中においてGPSによる測位を継続して実行させておき、現在位置が地下街からの出口に近づいたこと及び一定期間GPSの電波を取得することができるようになったことを認識した場合に、地下街から出たと判断するようにしてもよい。
【0052】
この判断は、図3におけるステップS22と逆の状態になったことに基づく。即ち、直前の判断時にGPS受信機22aが受信不能あるいは電波の強度が一定の基準値以下であり、今回の判断時に受信状態が良好になった場合には、地下街から出たと判断する。
【0053】
そして、地下街から出たと判断した場合は(ステップS36:Yes)、基準地点及び地下街モードフラグをクリアして(ステップS37)、この図のフローを終える。また、地下街から出ていないと判断した場合は(ステップS36:No)、そのままこの図のフローを終える。
【0054】
なお、以上の実施形態では、推定現在位置が位置確認地点に到達したときに確認メッセージを表示し、確認メッセージに対する回答が否定的であった場合に位置確認地点に到達したことを回答することを要請するメッセージを表示しているが、確認メッセージの表示及び回答内容の判断を行わずに、位置確認地点に到達したことを回答することを要請するメッセージの表示のみを行うように構成することもできる。また、このメッセージを推定位置が位置確認地点に到達する前(例えば経路案内開始時)に表示してもよい。
【0055】
また、以上の実施形態は、本発明を携帯端末装置とナビゲーションサーバからなるシステムに適用したものであるが、本発明は地図DB及び経路DBを備えたスタンドアローン型のナビゲーション装置に適用することもできる。
また、以上の実施形態では地下街を例に説明したが、測位情報を取得することができない大型施設等においても本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…ネットワーク、10…ナビゲーションサーバ、11…制御部、12…通信部、13…地図DB、14…経路DB、15…地図検索手段、16…経路探索手段、20…携帯端末装置、21…制御部、22…位置測定部、22a…GPS受信機、22b…移動センサ、23…操作部、24…表示部、26…通信部、28…探索要求手段、29…経路案内手段、29a…位置推定手段、29b…推定位置補正手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路上の所定の位置に位置確認地点を備えた推奨経路を設定し、前記推奨経路上の基準地点から移動するユーザの前記推奨経路上の推定位置と実際の位置のずれを、前記位置確認地点において補正する機能を備えたナビゲーション装置であって、
前記ユーザに対し、前記位置確認地点に到達したときに到達情報を入力することを要請する入力要請手段と、
前記到達情報の検出に基づき、前記ユーザの前記推奨経路上の推定位置と実際の位置のずれの有無を判断する判断手段と、
ずれがあると判断された場合、前記推定位置を前記位置確認地点に補正する推定位置補正手段と、を有するナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたナビゲーション装置において、
前記推定位置が前記位置確認地点に到達したことを前記ユーザに通知する通知手段を有するナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたナビゲーション装置において、
前記ユーザの現在位置を測定する位置測定手段を備え、
前記基準地点は、前記位置測定手段による位置測定が可能な状態から不可能な状態に変化した地点であるナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載されたナビゲーション装置において、
前記位置確認地点は所定の施設に面する推奨経路上の位置であるナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載されたナビゲーション装置において、
前記基準地点からの移動時間を測定する移動時間測定手段と、前記移動時間測定手段により測定された時間が所定値に達するまでに、前記到達情報が検出されかった場合、前記ユーザが推奨経路から外れている可能性を通知する手段と、を有するナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載されたナビゲーション装置において、
当該ナビゲーション装置は、ネットワークを介して通信可能な携帯端末装置及びナビゲーションサーバを備え、
前記携帯端末装置は、推奨経路の探索要求を行う探索要求手段と、前記基準地点からユーザの動きを検出して、前記基準地点からの前記ユーザの移動距離を測定する移動距離測定手段と、前記移動距離測定手段で測定された移動距離だけ前記推奨経路上で前記基準地点から進めた地点を前記ユーザの推定現在位置とする推定現在位置決定手段と、前記推定現在位置を前記推奨経路とともに表示する表示手段と、前記入力要請手段と、前記判断手段と、前記推定位置補正手段と、を有し、前記ナビゲーションサーバは、前記探索要求に応じて、推奨経路の探索を行う経路探索手段を有するナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−215393(P2012−215393A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78975(P2011−78975)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】