説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザが疑問に感じた現象が発生した場合に、その現象の解析結果を速やかに得ることができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】地図情報取得手段1で取得された地図情報に基づき位置方位検出手段2で検出された位置から入力手段3から入力された目的地までの最適経路を計算する経路探索手段4と、経路探索手段4で計算された最適経路を含む情報を処理するためのアプリケーションプログラムを実行する制御手段5と、制御手段5によって実行されるアプリケーションプログラムの処理結果を出力する出力手段6と、制御手段5によって実行される携帯電話、音声認識またはオーディオのアプリケーションプログラムの処理履歴情報である携帯電話ログ、音声認識ログまたはオーディオログとともに、マイクで収集された音声データを音声情報として記憶する記憶手段7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、経路探索や経路案内を行うナビゲーション装置に関し、特に、その動作時に発生する情報をログ情報として利用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両から情報を取得して処理することによりユーザの利便に供する装置が知られている。例えば、特許文献1は、サービス工場等に出向くことなく、車両の故障診断および検査を行なうことができる車両の遠隔故障診断用サーバを開示している。この車両の遠隔故障診断用サーバは、ユーザが車両に故障があると感じたとき、車両の故障内容を検査して故障個所を特定するための故障個所特定プログラムを車両に送信する診断プログラム送信手段であって、この故障個所特定プログラムは、ユーザの車両と同一の車両の画像を車載ディスプレイ上に表示させ、この同一の車両の画像において故障個所を特定させるようになっている診断プログラム送信手段と、この検査結果を解析して故障内容を検出する故障内容検出手段と、この故障内容をユーザに送信する故障内容送信手段とを有する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−331884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示された技術では、車両に搭載されたナビゲーション装置の動作の可否や、致命的な欠陥の有無といったナビゲーション装置そのものの作動不良に関する診断は可能である。しかしながら、不具合や故障ではないが、ユーザが疑問に感じたナビゲーション装置にインストールされているアプリケーションプログラムの詳細な動作、例えば、地図情報として登録されていない道路を移動したときに自車の表示位置がズレるという現象や、遠回りな探索経路が表示されるという現象などが発生した場合に、ユーザは、その原因を知ることができない。
【0005】
このような現象が発生した場合、ユーザは、その現象が正しい動作であるか否かをディーラーやサポートセンタに問い合わせ、ディーラーやサポートセンタは、さらに、その現象が正しい動作であるか否かをメーカに問い合わせる。ところが、メーカは、問い合わせされた現象が発生した際のナビゲーション装置の詳細な動作に関する情報が得られない場合が多いので、不明瞭な状況で現象の解析を行っている。その結果、ユーザは、必ずしも期待した解析結果を得ることはできないという問題がある。また、これらの問合せの過程で、ユーザ、ディーラーまたはサポートセンタおよびメーカの間で問診が繰返されることが多く、ユーザが解析結果を得るまでに多大な時間を要するという問題もある。
【0006】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、ユーザが疑問に感じた現象が発生した場合に、その現象の解析結果を速やかに得ることができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るナビゲーション装置は、上記課題を解決するために、指示を入力する入力手段と、自車の位置および方位を検出する位置方位検出手段と、地図情報を取得する地図情報取得手段と、地図情報取得手段で取得された地図情報に基づき、位置方位検出手段で検出された位置から、入力手段から入力された目的地までの最適経路を計算する経路探索手段と、経路探索手段で計算された最適経路を含む情報を処理するためのアプリケーションプログラムを実行する制御手段と、制御手段によって実行されるアプリケーションプログラムの処理結果を出力する出力手段と、制御手段によって実行される携帯電話、音声認識またはオーディオのアプリケーションプログラムの処理履歴情報である携帯電話ログ、音声認識ログまたはオーディオログとともに、マイクで収集された音声データを音声情報として記憶する記憶手段とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るナビゲーション装置によれば、ユーザは、疑問に感じた現象が発生した場合に、その現象の解析結果を速やかに得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の機能的な構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、地図情報取得手段1、位置方位検出手段2、入力手段3、経路探索手段4、制御手段5、出力手段6、記憶手段7、送信手段8および受信手段9から構成されている。
【0010】
地図情報取得手段1は、地図情報を取得する。この地図情報取得手段1で取得された地図情報は、位置方位検出手段2、経路探索手段4および制御手段5に送られる。位置方位検出手段2は、地図情報取得手段1から送られてくる地図情報に基づいて、このナビゲーション装置が搭載された車両(図示しない、以下においても同じ)の位置および方位を検出する。この位置方位検出手段2で検出された車両の位置および方位は、位置方位データとして経路探索手段4および制御手段5に送られる。
【0011】
入力手段3は、ユーザが、目的地や経由地を入力したり、送信すべきログ情報(詳細は後述する)の一部を選択するために使用される。この入力手段3から入力された情報は、入力データとして経路探索手段4および制御手段5に送られる。経路探索手段4は、位置方位検出手段2で検出された位置から、入力手段3によって入力された目的地までの最適経路を、地図情報取得手段1から送られてくる地図情報に基づいて計算する。この経路探索手段4で計算された最適経路は、経路データとして制御手段5に送られる。
【0012】
制御手段5は、地図情報取得手段1からの地図情報、位置方位検出手段2からの位置方位データ、入力手段3からの入力データおよび経路探索手段4からの経路データに基づき、複数のアプリケーションプログラムの実行を制御する。この制御手段5において実行されるアプリケーションプログラムの処理によって得られたデータは、出力手段6に送られる。また、制御手段5において実行されるアプリケーションプログラムの処理により得られたログ情報は記憶手段7に送られる。
【0013】
出力手段6は、制御手段5から送られてくるデータにしたがって、例えば経路案内メッセージを表示し、または音声で出力する。また、出力手段6は、受信手段9で受信されたログ情報の解析結果を表示し、または、音声で出力する。記憶手段7は、制御手段5から送られてくるログ情報を記憶する。この記憶手段7に記憶されているログ情報は、送信手段8に送られる。
【0014】
送信手段8は、記憶手段7から送られてくるログ情報を、例えば外部のディーラーやサポートセンタに設置されたサーバに送信する。受信手段9は、送信手段8により送信したログ情報に対する解析結果を、外部のディーラーやサポートセンタに設置されたサーバから受信し、出力手段6に送る。これにより、出力手段6に解析結果が出力される。
【0015】
次に、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置のハードウェア構成を、図2に示すブロック図を参照しながら説明する。ナビゲーション装置は、ディスク201、ディスクドライブ202、GPS(Global Positioning System)受信機203、ジャイロ204、車速信号取得部205、操作部206、カメラ207、マイクロフォン(以下、「マイク」と略する)208、携帯電話209、カードドライブ210、インタフェース回路211、ナビECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)212、メモリ213、ディスプレイ214およびスピーカ215から構成されている。
【0016】
ディスク201は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)やハードディスク(Hard disk)といった記憶媒体から構成されており、地図情報を記憶する。ディスクドライブ202は、ディスク201に記憶されている地図情報を読み出し、インタフェース回路211を介してナビECU212に送る。図1に示す地図情報取得手段1は、主としてディスク201とディスクドライブ202から構成されている。なお、地図情報取得手段1は、例えば外部から通信によって地図情報を取得する通信装置(図示しない)から構成することもできる。
【0017】
GPS受信機203は、図示しないGPS衛星から送られてくるGPS信号に基づき自車の絶対位置や絶対方位を検出する。このGPS受信機203で検出された絶対位置および絶対方位は、位置方位データとして、インタフェース回路211を介してナビECU212に送られる。ジャイロ204は、車両の旋回時の角速度を検出する。このジャイロ204で検出された角速度は、角速度データとして、インタフェース回路211を介してナビECU212に送られる。
【0018】
車速信号取得部205は、車両から所定走行距離毎に送られてくる車速信号(車速パルス)およびその他の車両情報(詳細は後に図3参照して説明する)を取得する。この車速信号取得部205で取得された車速信号は、速度データとして、車両情報と一緒に、インタフェース回路211を介してナビECU212に送られる。図1に示す位置方位検出手段2は、主としてGPS受信機203、ジャイロ204および車速信号取得部205から構成されている。
【0019】
操作部206は、ユーザによる操作を受付けるためのボタンやディスプレイ214の画面上に載置されたタッチパネルなどから構成されている。この操作部206が操作されることにより発生されたデータは、入力データとして、インタフェース回路211を介してナビECU212に送られる。図1に示す入力手段3は、主として操作部206から構成されている。
【0020】
カメラ207は、この発明の画像情報取得手段の一部に対応し、外部の状態を撮影する。このカメラ207で撮影することにより得られたカメラ動画は、映像データとして、インタフェース回路211を介してナビECU212に送られる。ナビECU212は、受け取った映像データ、つまりカメラ動画を、外部環境画像情報としてメモリ213に格納する。
【0021】
マイク208は、この発明の音声情報取得手段に対応し、車両の内部の音声を収集する。このマイク208で収集された音声は、音声データとして、インタフェース回路211を介してナビECU212に送られる。ナビECU212は、受け取った音声データを、音声情報としてメモリ213に格納する。
【0022】
携帯電話209は、このナビゲーション装置とディーラーまたはサポートセンタに設置されたサーバとの間の無線通信を制御する。具体的には、携帯電話209は、ナビECU212からインタフェース回路211を介して送られくるログ情報をディーラーまたはサポートセンタに設置されたサーバに送信する。また、携帯電話209は、ディーラーまたはサポートセンタに設置されたサーバから受信したログ情報の解析結果を、インタフェース回路211を介してナビECU212に送る。図1に示した送信手段8および受信手段9は、携帯電話209から構成されている。
【0023】
カードドライブ210は、例えばメモリカードといった、ナビゲーション装置および情報処理装置としての例えばパーソナルコンピュータの双方に着脱可能な記憶媒体に対するデータの書き込みおよび読み出しを制御する。具体的には、カードドライブ210は、ナビECU212からインタフェース回路211を介して送られてきたログ情報を、装着された記録媒体に書き込む。この記憶媒体に書き込まれたログ情報は、外部のパーソナルコンピュータからディーラーまたはサポートセンタに設置されたサーバに送信される。また、サーバでログ情報を解析した結果がパーソナルコンピュータに送られてくるので、パーソナルコンピュータにおいて、この解析結果が書き込まれる。また、カードドライブ210は、外部のパーソナルコンピュータで書き込まれたログ情報の解析結果を読み出し、インタフェース回路211を介してナビECU212に送る。
【0024】
インタフェース回路211は、ナビECU212からの制御信号にしたがって、ディスクドライブ202から読み出した地図情報、GPS受信機203から送られてきた位置方位データ、ジャイロ204から送られてくる角速度データ、車速信号取得部205から送られてくる速度データ、操作部206から送られてくる入力データ、カメラ207から送られてくる映像データ、マイク208から送られてくる音声データ、携帯電話209から送られてくるログ情報の解析結果およびカードドライブ210から送られてくるログ情報の解析結果をナビECU212に送るための制御を行う。また、インタフェース回路211は、ナビECU212から送られてくるログ情報を携帯電話209またはカードドライブ210に送る制御を行う。なお、携帯電話209およびカードドライブ210は、例えばUSBなどといった汎用の通信インタフェースを用いてナビECU212に接続するように構成することもできる。
【0025】
ナビECU212は、複数のアプリケーションプログラムを実行する。このナビECU212で実行されるアプリケーションプログラムの1つは、インタフェース回路211から送られてくる地図情報、位置方位データ、角速度データ、車速データ、操作データ、映像データ、音声データおよびログ情報の解析結果を表すデータをメモリ213に書き込むとともに、これらのデータをメモリ213から読み出し、この読み出したデータを用いて各種処理を実行する。図1に示す経路探索手段4および制御手段5は、主としてナビECU212から構成されている。また、図1に示す記憶手段7は、主としてメモリ213から構成されている。
【0026】
ディスプレイ214は、例えば液晶ディスプレイから構成されており、ナビECU212から送られてくる映像信号にしたがって、地図、最適経路、自車マーク、案内メッセージなどを表示する。また、このディスプレイ214に表示されるナビゲーションのキャプチャ画像およびキャプチャ動画を含む表示画面情報は、ナビECU212の制御によってメモリ213に格納される。また、このディスプレイ214には、ナビECU212の制御によって、メモリ213に記憶されているログ情報を表示するように構成することもできる。
【0027】
スピーカ215は、ナビECU212から送られてくる音声信号にしたがって、案内メッセージを音声で出力する。また、このスピーカ215からは、ナビECU212の制御によって、メモリ213に格納されているログ情報が音声で出力されるように構成することができる。図1に示す出力手段6は、主としてディスプレイ214およびスピーカ215から構成されている。
【0028】
図3は、メモリ213に格納されるログ情報の構成を示す図である。このログ情報は、日付および時刻が新しいものから順番にメモリ213に格納され、メモリ213が満杯になった場合は、日付および時刻が古いものから順番に破棄される。ログ情報は、ナビECU212におけるナビゲーションプログラムの処理によって発生されたナビゲーション情報(以下、「ナビ情報」と略する)および自車の状態を表す車両情報といった大項目に分類されている。
【0029】
ナビ情報は、各アプリケーションプログラムの処理によって発生される処理履歴情報、画像情報および音声情報といった中項目に分類されている。処理履歴情報は、さらに、地図表示、マップマッチング(自車の位置情報等)、探索、誘導、交通情報・ETC、地図情報(図葉番号等)、携帯電話、音声認識、オーディオ、映像表示等といった各アプリケーションプログラムによって発生される情報から成る小項目に分類されている。
【0030】
画像情報は、さらに、ディスプレイ214に表示されるナビゲーションのキャプチャ画像およびキャプチャ動画、カメラ207から送られてくるカメラ動画等といった小項目に分類されている。音声情報には、マイク208からの音声マイク信号といった小項目に分類されている。車両情報は、図示しない車両から通知される信号の履歴から構成されている。この車両情報には、車速信号、ライト信号、ブレーキ信号、電流/電圧、温度、湿度、気圧などの小項目に分類されている。
【0031】
なお、上述した小項目の情報には、ナビゲーション装置で用いられている時刻(クロック)が付加されており、ある時刻においてどのような状況であったのかを、いずれの小項目の情報からも検索できるようになっている。また、これらの小項目の情報に、送信時の目安となるデータサイズを付加するように構成することもできる。
【0032】
ナビゲーション装置の各アプリケーションプログラムの処理履歴情報だけではなく、画像情報、音声情報、車両情報をもログ情報としてメモリ213に格納するのは以下の理由による。すなわち、画像情報については、キャプチャ画像、キャプチャ動画、カメラ動画といったものに大別されるが、キャプチャ画像は表示色や表示品位についての問題の有無を確認するために使用され、また、キャプチャ動画とカメラ動画については、現地の実際の状況と照らし合わせるために使用される。
【0033】
音声情報については、ナビゲーション装置としては音声出力がなされている場合であっても、車両自体の結線等に不備がある可能性もあり、実際の状況と照らし合わせるために使用される。車両情報については、車両からの情報が欠落しているために不具合が生じている可能性もあるため、実際の状況と照らし合わせるために使用される。
【0034】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の概略の動作を、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0035】
ナビゲーション装置の動作が開始されると、まず、アプリケーションプログラムの実行が開始されるに伴ってログ情報が記憶される(ステップST1)。すなわち、ナビ情報および車両情報がメモリ213に記憶される。次いで、ログ情報が送信される(ステップST2)。すなわち、ステップST1で記憶されたナビ情報および車両情報のうち、ユーザが選択したナビ情報や車両情報が、ディーラーやサポートセンタに設置されたサーバに送信される。
【0036】
次いで、ログ情報の解析結果が出力される(ステップST3)。すなわち、ステップST2で送信したナビ情報や車両情報に対する解析結果がディーラーやサポートセンタに設置されたサーバから受信され、ディスプレイ214に表示され、また、スピーカ215から音声で出力される。以上のステップST1〜ST3の処理は、ナビゲーション装置が動作中は繰り返し実行される。
【0037】
次に、上記ステップST1において行われるログ情報記憶処理の詳細を、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0038】
このログ情報記憶処理では、まず、アプリケーションプログラムの動作が開始される(ステップST11)。すなわち、ナビECU212において、地図表示、マップマッチング(自車の位置情報等)、探索、誘導、交通情報・ETC、地図情報(図葉番号等)、携帯電話、音声認識、オーディオまたは映像表示といったアプリケーションプログラムの動作が開始される。
【0039】
次いで、アプリケーションプログラムの処理によって発生される情報が更新される(ステップST12)。すなわち、ナビECU212においてアプリケーションプログラムが動作することにより、ナビ情報や車両情報として格納すべき情報のうちの、該アプリケーションプログラムに対応する情報が更新される。次いで、格納領域に空きがあるかどうかが調べられる(ステップST13)。すなわち、ナビECU212は、メモリ213に確保されているログ情報の格納領域に新たなログ情報を格納できる領域が残されているかどうかを調べる。
【0040】
このステップST13において、格納領域に空きが無いことが判断されると、古いログ情報が削除される(ステップST14)。すなわち、ナビECU212は、メモリ213に格納されているログ情報の日付および時刻を参照し、最も古いログ情報を削除する。その後、シーケンスはステップST13に戻り、再度、格納領域に空きがあるかどうかが調べられる。このステップST13において、格納領域に空きがあることが判断されると、ログ情報の格納が行われる(ステップST15)。すなわち、ナビECU212は、ステップST12で更新されたアプリケーションプログラムに対応する情報を、ログ情報としてメモリ213に格納する。以上により、ログ情報記憶処理は終了する。
【0041】
次に、上記ステップST2において行われるログ情報送信処理の詳細を、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。このログ情報送信処理は、ディスプレイ214に、例えば図8に示すようなメニュー画面が表示された状態で、ユーザが操作部206を操作して『ログ設定』のボタンを押下することにより開始される。
【0042】
ログ情報送信処理では、まず、ログ情報選択が行われる(ステップST21)。すなわち、ナビECU212内のメニュー表示アプリケーションプログラムは、メモリ213のログ情報格納領域からログ情報を読み出し、図示しないワークメモリに展開し、さらに、日付および時刻順にソートしてディスプレイ214に送る。これにより、図9に示すようなログ情報の一覧であるログ履歴画面が表示される。このログ履歴画面に表示されるログ情報の順番は、ユーザがあらかじめ設定することができる。このログ履歴画面が表示された状態で、ユーザは、日付を指定することによって所望のログ情報を選択することができる。なお、1日のうちに車両の始動が複数回行われた場合は、さらに時刻等によってログ情報を選択するように構成することもできる。
【0043】
上記ステップST21において、1つのログ情報が選択されると、次いで、アプリケーションプログラム毎のログ情報選択が行われる(ステップST22)。すなわち、ナビECU212内のメニュー表示アプリケーションプログラムは、操作部206によって選択されてワークメモリに展開されているログ情報の小項目(図3参照)をディスプレイ214に送る。これにより、例えば図10に示すようなアプリケーションプログラム毎のログ情報の一覧であるログ選択画面が表示される。このログ選択画面が表示された状態で、ユーザは、ディーラーやサポートセンタに設置されたサーバに送信する任意の数のアプリケーションプログラムに対応するログ情報を選択することができる。
【0044】
なお、図10では、処理履歴情報についてのみ送信の可否を選択できるようにした例が示されているが、画面情報、音声情報または車両情報についても、処理履歴情報と同様に、送信の可否を選択できるように構成することができる。また、デフォルトとして必ず送信するアプリケーションプログラムのログ情報をあらかじめ決めておくように構成することもできる。
【0045】
上記ステップST22において、アプリケーションプログラム毎のログ情報が選択された状態で、ログ選択画面の『携帯電話から送信』のボタンが押下されると、次いで、ログ情報の送信が行われる(ステップST23)。すなわち、ナビECU212は、選択されたアプリケーションプログラムのログ情報を、インタフェース回路211を介して携帯電話209に送る。これにより、携帯電話209からユーザが選択したログ情報がディーラーやサポートセンタに設置されたサーバに送信されるとともに、ディスプレイ214には、図11に示すような送信完了のメッセージが表示される。
【0046】
なお、上記ステップST22において、アプリケーションプログラム毎のログ情報が選択された状態で、ログ選択画面の『メモリカードに保存』のボタンが押下されると、ログ情報を携帯電話209から送信する代わりに、ログ情報がメモリカードに書き込まれる。すなわち、ナビECU212は、選択されたアプリケーションプログラムのログ情報を、インタフェース回路211を介してカードドライブ210に送る。これにより、カードドライブ210に装着されたメモリカードにユーザが選択したログ情報が書き込まれる。この場合、ユーザは、ログ情報が書き込まれたメモリカードを、例えばパーソナルコンピュータに装着し、該パーソナルコンピュータからディーラーやサポートセンタに設置されたサーバに送信する。
【0047】
なお、ナビゲーション装置に携帯電話209が接続されていない場合は、『携帯電話から送信』のボタンをマスクして表示し、ナビゲーション装置にカードドライブ210が接続されていない場合は、『メモリカードに保存』のボタンをマスクして表示するように構成することができる。また、携帯電話209がナビゲーション装置に接続されていない場合に『携帯電話から送信』のボタンが押下された場合、または、カードドライブ210がナビゲーション装置に接続されていない場合に『メモリカードに保存』のボタンが押下された場合は、これらが接続されていない旨のテロップ等をログ選択画面の一部に表示するように構成することもできる。
【0048】
ディーラーやサポートセンタに設置されたサーバでは、以下のようにしてログ情報の解析が行われる。図14は、サーバにおいて、マップマッチングのアプリケーションプログラムの処理履歴ログから解析した結果を示す。この処理履歴ログには、どこまでマップマッチングしていて、どこからマップマッチングを外したか、といった情報とともに、GPS受信器203で測位された位置、車速信号取得部205で取得された車速、ジャイロ204で取得された角速度といったセンサ履歴情報が含まれている。したがって、マップマッチングのアプリケーションプログラムの処理履歴ログがあれば、ユーザが疑問に感じた内容について、サーバで図14に示すような解析が可能となる。図14では、途中まで正しくマップマッチングをしていたが、ズレたGPS位置に誤補正をしてしまった状況を示している。
【0049】
図15は、探索のアプリケーションプログラムの処理履歴ログから解析した結果を示す。この処理履歴ログには、どのような地点とモードが設定されていて、どのような経路データであったか、といった情報が含まれている。つまり、探索のアプリケーションプログラムの処理履歴ログがあれば、ユーザが疑問に感じた内容についてサーバで図15に示すような解析が可能となる。図15では、目的地の位置の僅かな違いで、2通りの経路を計算してしまった状況を示している。
【0050】
次に、上記ステップST3において行われるログ情報解析結果出力処理の詳細を、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0051】
このログ情報解析結果出力処理では、まず、ログ情報の解析結果が受信される(ステップST31)。すなわち、携帯電話209は、ディーラーやサポートセンタに設置されたサーバからログ情報の解析結果を受信し、インタフェース回路211を介してナビECU212に送る。これにより、ナビECU212内のメニュー表示アプリケーションプログラムは、図12に示すような『ログデータの解析結果が届きました』というメッセージをディスプレイ214に表示させる。
【0052】
上記ステップST31においてメッセージが表示された状態で、『結果を見る』のボタンが押下されると、次いで、解析結果が表示される(ステップST32)。すなわち、ナビECU212内のメニュー表示アプリケーションプログラムは、ステップST31で受信された解析結果を表すデータをディスプレイ214に送る。これにより、図13に示すような、解析結果を示すメッセージがディスプレイ214に表示される。このとき、解析結果を表すデータをメモリ213に保存しておき、後に参照できるように構成することもできる。
【0053】
なお、図13に示す画面で、『結果を消す』のボタンをユーザが押下すると、ディスプレイ214に表示されている解析結果を表すメッセージを消去することができる。この場合、メモリ213に保存されている解析結果を表すデータをも消去するように構成することができる。
【0054】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、現象発生時のナビ情報や車両情報といったログ情報をディーラーやサポートセンタに送付することができるので、ディーラーやサポートセンタではログ情報に基づく解析を速やかに行うことができる。その結果、ユーザは、疑問に感じた現象が発生した場合に、その現象の解析結果を速やかに得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置のメモリに格納されるログ情報の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の概略の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すステップST1において行われるログ情報記憶処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】図4に示すステップST2において行われるログ情報送信処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図4に示すステップST3において行われるログ情報解析結果出力処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置におけるログ情報送信処理で使用されるメニュー画面の例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置におけるログ情報送信処理で使用されるログ履歴画面の例を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置におけるログ情報送信処理で使用されるログ選択画面の例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置におけるログ情報送信処理で使用される送信完了画面の例を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置においてログ情報の解析結果を受信した時に表示される画面の例を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置においてログ情報の解析結果を表すメッセージの例を示す図である。
【図14】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置から送信したログ情報をサーバ側で解析する例を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置から送信したログ情報をサーバ側で解析する他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 地図情報取得手段、2 位置方位検出手段、3 入力手段、4 経路探索手段、5 制御手段、6 出力手段、7 記憶手段、8 送信手段、9 受信手段、201 ディスク、202 ディスクドライブ、203 GPS受信機、204 ジャイロ、205 車速信号取得部、206 操作部、207 カメラ、208 マイク、209 携帯電話、210 カードドライブ、211 インタフェース回路、212 ナビECU、213 メモリ、214 ディスプレイ、215 スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示を入力する入力手段と、
自車の位置および方位を検出する位置方位検出手段と、
地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記地図情報取得手段で取得された地図情報に基づき、前記位置方位検出手段で検出された位置から、前記入力手段から入力された目的地までの最適経路を計算する経路探索手段と、
前記経路探索手段で計算された最適経路を含む情報を処理するためのアプリケーションプログラムを実行する制御手段と、
前記制御手段によって実行されるアプリケーションプログラムの処理結果を出力する出力手段と、
前記制御手段によって実行される携帯電話、音声認識またはオーディオのアプリケーションプログラムの処理履歴情報である携帯電話ログ、音声認識ログまたはオーディオログとともに、マイクで収集された音声データを音声情報として記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−2824(P2012−2824A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204749(P2011−204749)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【分割の表示】特願2006−73107(P2006−73107)の分割
【原出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】