説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地又は経路周辺の施設に関する情報を車両の走行中に出力可能で、しかも、そのような情報の出力が中断するのを抑制可能なナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置は、複数の施設情報の中に未出力の施設情報がある場合(425:NO)、次の道案内情報出力までの空き時間を算出し(S430)、次の道案内情報出力までの空き時間>出力時間となる未出力の施設情報があれば(S435:YES)、次の道案内情報出力までの空き時間>出力時間となる未出力の施設情報の中で出力時間×優先度係数が最大となる施設情報を選択、出力する(S440)。したがって、道案内情報の出力が必要となる区間以外の区間を対象区間として、その対象区間の走行期間に施設情報の出力を完了することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が設定した目的地までの道案内情報を出力可能で、さらに目的地又は目的地までの経路周辺などにある施設に関する情報をも出力可能なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置やポータブルナビゲーション装置(以下、これらを単にナビゲーション装置と総称する。)において、広告情報を出力することは、すでに提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
下記特許文献1に記載の技術の場合、電動車両に対して充電を行う際に、ナビゲーション装置の表示画面上に広告情報を表示する仕組みになっており、そのような広告情報の表示と引き替えに充電料金の一部を広告提供者側に負担させ、電動車両利用者の料金負担額を割り引いている。
【0004】
また、下記特許文献1では、電動車両の走行ルートや目的地といった地理的観点から、あるいは、所有者・利用者の性別や年齢層から予測される嗜好性の観点から、利用が見込まれる店舗やサービスに関する広告情報を選択、出力することが提案されている(例えば、特許文献1の段落[0065]参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−141991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のような広告情報は、電動車両の充電中以外のタイミングで出力することも可能であり、特に運転者以外の同乗者が広告情報を視聴することを想定する場合、車両の走行中に広告情報を出力しても構わない。
【0007】
ただし、ナビゲーション装置本来の役割は、目的地までの道案内情報を出力することにあるので、車両が走行している場合、広告情報を出力していたことが原因で、道案内情報の出力が遅れるようでは問題が生じることになる。
【0008】
したがって、車両が走行中であれば、広告情報を出力している最中であっても、道案内情報の出力が必要な地点に到達した際には、広告情報の出力を中断して道案内情報を出力せざるを得ない。
【0009】
しかし、そのような事情で広告情報の出力を中断した場合、出力を中断したままでは、広告情報の内容すべてを利用者に伝達することができないので、広告効果が低下してしまう、という問題を招く。
【0010】
また、道案内情報の出力完了後に中断箇所の続きから広告情報の出力を再開することはできるが、中断時間が長いと、中断前の広告情報の内容を利用者が覚えていない可能性がある。そのため、広告情報の出力を再開しても、広告情報の内容が理解しづらくなるなど、やはり広告効果が低下してしまうおそれがある。
【0011】
また、道案内情報の出力完了後に、中断した広告情報の出力を最初からやり直すこともできるが、出力が完了する前に何度となく出力の中断が起こるような状況下では、同じ広告情報の冒頭部分ばかりが何度も出力されてしまうことになる。そのため、利用者にとっては広告が煩わしく感じられるおそれがあり、これも広告効果が低下する要因になるおそれがある。
【0012】
つまり、道案内情報の出力が必要な地点に到達するのに伴って、広告情報の出力を中断すると、その後、出力を中断したままにしても、続きから出力を再開しても、最初から出力をやり直しても、それなりに広告効果が低下するおそれがあった。
【0013】
さらに、以上のような広告情報の出力中断は、道案内情報の出力が必要な場合以外でも起こり得る。例えば、経路の途中に立ち寄り地点が設定されている場合、広告情報の出力中に立ち寄り地点に到着してしまうと、利用者は広告情報を最後まで視聴することなく、立ち寄り地点で車両から離れてしまうことがある。この場合、広告情報の出力中断が発生することになる。同様の出力中断は、広告情報の出力中に目的地に到着してしまった場合にも発生する。これらの場合、広告情報が最後まで視聴されないので、広告効果が低下する要因になる。
【0014】
また、以上の説明では、広告情報の出力を例に挙げて、その出力が中断することの問題点を指摘したが、各種情報の出力中断が発生することで不利益が生じるのは、広告以外の情報であっても起こり得る。例えば、目的地として設定した施設の混雑状況や営業時間案内など、必ずしも広告とは呼べない種類の情報であっても、道案内情報の出力、あるいは立ち寄り地や目的地への到着などが原因で、情報の出力が中断されてしまうと、利用者にとっては不便なことがある。
【0015】
本発明は、上記のような諸問題を解決するためになされたものであり、その目的は、目的地又は経路周辺の施設に関する情報を車両の走行中に出力可能で、しかも、そのような情報の出力が中断するのを抑制可能なナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
本発明のナビゲーション装置において、経路設定手段は、出発地から目的地までの経路を、地図データに基づいて設定する。推定所要時間算出手段は、経路設定手段によって設定された経路の一部又は全部を対象区間として、当該対象区間を移動する際に必要と推定される推定所要時間を算出する。
【0017】
情報選択手段は、複数の施設情報の中から、推定所要時間算出手段によって算出された推定所要時間内に出力を完了可能な施設情報を選択する。この施設情報は、それぞれが目的地又は前記経路に関連付けて選定された施設に関する情報であり、具体的な一例を挙げれば、例えば、施設に関する広告情報、混雑状況や営業時間などの各種案内情報などが、ここでいう施設情報に該当する。
【0018】
また、各施設情報とも、映像及び音声のうち、少なくとも一方による出力が可能な情報であり、情報出力手段は、経路設定手段によって設定された経路に沿って移動する際、対象区間に到達したら、映像及び音声のうち、少なくとも一方で、情報選択手段によって選択された施設情報の出力を開始する。
【0019】
ここで出力される施設情報は、上述の推定所要時間内に出力を完了可能なものが選択されているので、通常は、対象区間を移動する間に出力を完了することになる。したがって、施設情報の出力を避けたい区間(例えば、道案内情報の出力が必要となる区間、経路の途中に設定された立ち寄り地点付近や目的地付近の区間など)以外の区間を対象区間として選定しておけば、施設情報の出力を避けたい区間以外の区間の走行期間に、施設情報の出力を完了することができる。よって、施設情報の出力を避けたい区間に到達するのに伴って、施設情報の出力を中断しなくても済み、広告効果が低下したり有益な情報の聞き逃しが発生したりするのを抑制することができる。
【0020】
ところで、本発明のナビゲーション装置には、複数の施設情報それぞれについて、情報出力手段による出力がすでに行われた出力済み情報か、情報出力手段による出力がまだ行われていない未出力情報かを記憶する出力状況記憶手段を設けてもよい。
【0021】
この場合、推定所要時間算出手段は、情報出力手段による施設情報の出力が完了したら、当該完了後の時点以降に移動予定の経路の一部又は全部を新たな対象区間として、当該対象区間を移動する際に必要と推定される推定所要時間を算出し直し、情報選択手段は、出力状況記憶手段に記憶された情報に基づき、未出力情報の中から、推定所要時間算出手段によって算出し直された推定所要時間内に出力を完了可能な施設情報を選択し直し、情報出力手段は、経路設定手段によって設定された経路に沿って移動する際、新たな対象区間に到達したら、情報選択手段によって選択し直された施設情報の出力を開始すると好ましい。
【0022】
このようにして未出力情報を順に出力すれば、未出力情報を出力するたびに、推定所要時間を算出し直しながら、最新の推定所要時間に基づいて、動的に未出力情報の中から施設情報を選択し直すことができる。したがって、道路の混雑状況などに応じて推定所要時間が動的に変化しても、それに応じて最適な施設情報の選択を行うことができる。
【0023】
また、本発明のナビゲーション装置において、推定所要時間算出手段は、経路設定手段によって設定された経路に沿って移動する際、道案内に関する情報が出力される道案内情報出力区間以外の区間を前記対象区間として、推定所要時間を算出すると好ましい。
【0024】
このように構成されていれば、道案内に関する情報(道案内情報)が出力される道案内情報出力区間以外の区間が対象区間とされるので、道案内情報の出力が行われない期間に、施設情報の出力を完了することができる。よって、道案内情報の出力が必要な地点に到達するのに伴って、施設情報の出力を中断しなくても済み、広告効果が低下したり有益な情報の聞き逃しが発生したりするのを抑制することができる。
【0025】
なお、本発明において、上述の対象区間は、道案内情報出力区間以外の区間に限定されるものではなく、別の観点から対象区間を選定することも可能である。例えば、道案内情報の出力に伴う施設情報の出力中断については特に問題視せず、目的地到着に伴って施設情報の出力が中断するのを問題視するのであれば、目的地までの区間を対象区間として選定してもよい。すなわち、本発明は、ある対象区間を走行する間に施設情報の出力を完了させるための技術であり、その対象区間をどのような区間とするのかは任意に変更しても構わない。
【0026】
また、本発明のナビゲーション装置において、複数の施設情報には、あらかじめ優先度が設定されていてもよく、その場合、情報選択手段は、推定所要時間内に出力を完了可能な施設情報が複数ある場合には、優先度がより高い施設情報を選択すると好ましい。
【0027】
このようなナビゲーション装置であれば、優先度に従って施設情報が出力されるので、優先度の低い施設情報を出力していたことが原因で、優先度の高い施設情報の出力ができなくなるのを回避することができる。
【0028】
さらに、本発明のナビゲーション装置において、複数の施設情報のうち、少なくとも一つの施設情報は、出力に要する時間が異なり且ついずれか一方が択一的に前記施設情報として出力される長時間版施設情報及び短時間版施設情報を備えていてもよく、この場合、情報選択手段は、長時間版施設情報及び短時間版施設情報を備えた施設情報を選択する際、目的地到着までに複数の施設情報の出力に利用可能と推定される時間T1が、長時間版施設情報を選択して複数の施設情報を出力した場合に必要と推定される時間T2を超える場合には、長時間版施設情報を選択する一方、時間T1が時間T2以下である場合には、短時間版施設情報を選択すると好ましい。
【0029】
このようなナビゲーション装置であれば、目的地到着までに十分な時間があれば長時間版施設情報が出力されるので、個々の施設情報に関し、より詳細な情報を利用者に提供することができ、一方、目的地到着までに十分な時間がなければ短時間版施設情報が出力されるので、利用者に対して提供可能な施設情報の数が減ってしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ナビゲーション装置、携帯電話、及び管理サーバを備えたネットワークシステム全体の構成図。
【図2】ナビゲーション装置、携帯電話、及び管理サーバが実行する処理のフローチャート。
【図3】第一実施形態の道案内及び施設情報出力処理のフローチャート。
【図4】(a)は経路の一例を示す説明図、(b)は出力時間、優先度係数、及び出力済みフラグを記憶する記憶領域の説明図、(c)は道案内及び施設情報の表示例を示す説明図。
【図5】第二実施形態の道案内及び施設情報出力処理のフローチャート。
【図6】長時間版/短時間版の種別、出力時間、優先度係数、及び出力済みフラグを記憶する記憶領域の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態について、いくつかの具体的な例を挙げて説明する。
〔1〕第一実施形態
[ナビゲーション装置を備えるネットワークシステム全体の構成]
以下に例示するネットワークシステムは、図1に示すように、車両1に搭載されたナビゲーション装置10と、ナビゲーション装置10に接続された携帯電話機20と、携帯電話機20が基地局30を介して接続可能なWAN40(Wide Area Network;例えば、インターネット)上にある管理サーバ50などによって構成されている。これらのうち、ナビゲーション装置10は、ナビゲーション制御部11、記憶部12、位置検出部13、通信部14、表示部15、音声出力部16などを備えている。
【0032】
ナビゲーション制御部11は、CPU、ROM、RAMなどを備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、ROMに格納されたプログラムやRAMにロードされたプログラムに基づいて各種処理を実行する。ナビゲーション装置10が備える各部は、ナビゲーション制御部11によって制御される。記憶部12は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリや、DRAMなどの揮発性メモリによって構成され、ナビゲーション制御部11が後述する処理を実行する際に利用する各種情報、例えば、車両に関する情報である車両情報12Aや、映像及び音声で出力される施設情報12B等を記憶するために利用される。
【0033】
位置検出部13は、人工衛星から送信される電波やマップマッチング等を利用した処理を行うことで、車両1が存在する位置を検出する。通信部14は、ナビゲーション装置10と携帯電話機20とを接続するための通信インタフェースである。本実施形態では、通信部14を介して携帯電話機20がナビゲーション装置10に有線接続され、これにより、ナビゲーション装置10は、携帯電話機20経由でWAN40上にある機器(例えば管理サーバ50)と通信可能になる。
【0034】
表示部15は、車両1の車室内に配設された液晶ディスプレイであり、本実施形態では、タッチパネル付き液晶ディスプレイを採用することにより、表示部15をナビゲーション装置10の操作部としても利用可能とされている。この表示部15には、地図情報や、後述する施設情報などが表示される。音声出力部16は、スピーカーなどによって構成され、道案内のための音声情報や後述する施設情報などを音声で出力する際に利用される。
【0035】
携帯電話機20は、本実施形態の場合、ナビゲーション装置10と連携させるためのアプリケーションソフトウェアが搭載されたものである。より詳しくは、本実施形態において、携帯電話機20には、観光地や各種商業施設などの目的地を検索して、出発地から目的地までの地図情報や、目的地又は目的地周辺の施設に関する情報などを表示するソフトウェアがインストールされている。このソフトウェアを利用すれば、利用者は携帯電話機20で目的地を検索し、様々な情報を入手することができる。また、このソフトウェアを利用して利用者の行きたい目的地が決まれば、さらに、その目的地情報を携帯電話機20からナビゲーション装置10へ転送することができる。このような目的地情報を受け取ったナビゲーション装置10側では、目的地を設定するための操作がナビゲーション装置10側で実施されなくても、携帯電話機20側から転送される情報に基づいて目的地を設定することができる。
【0036】
管理サーバ50は、本実施形態の場合、ナビゲーション装置10及び携帯電話機20と連携して、クーポン情報の発行・管理などを行う装置である。より詳しくは、本実施形態においては、携帯電話機20が備えるソフトウェアを利用してナビゲーション装置10側に目的地情報を転送した場合、ナビゲーション装置10側での設定が完了すると、その情報が、ナビゲーション装置10側から携帯電話機20経由で管理サーバ50へと伝送される。また、ナビゲーション装置10において施設情報の出力を完了した場合、あるいは、車両1が目的地まで到達した場合など、様々な状況下で、それら情報が、ナビゲーション装置10側から携帯電話機20経由で管理サーバ50へと伝送される。
【0037】
これらの情報を受信した管理サーバ50は、所定のクーポン発行条件が満たされていれば、最終的に携帯電話機20宛にクーポン情報を伝送する。このクーポン情報は、目的地として設定された施設(あるいは目的地周辺の施設)で利用可能な割引券や景品交換券などであり、利用者は携帯電話機20で受け取ったクーポン情報を提示することで、割引や景品交換などのサービスを受けることができる。
【0038】
[ナビゲーション装置、携帯電話機、及び管理サーバが実行する処理]
次に、上述のような各種機能を実現するため、ナビゲーション装置10、携帯電話機20、及び管理サーバ50それぞれが実行する処理を、図2及び図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0039】
以下に説明する処理のうち、携帯電話機20が実行する処理は、利用者が携帯電話機20を操作して目的地の検索等を行い、そのような操作の中で、最終的に利用者の行きたい目的地を決定したときに開始される処理となる。また、ナビゲーション装置10及び管理サーバ50それぞれが実行する処理は、携帯電話機20での処理に連動して実行される処理となる。
【0040】
ナビゲーション装置10や管理サーバ50を、携帯電話機20と連動させるための具体的手法については任意であるが、一例を挙げれば、携帯電話機20をクライアントとし、ナビゲーション装置10及び管理サーバ50をそれぞれサーバとして、周知のクライアント−サーバシステムを構成してあれば、クライアントからの要求に応じて、その要求に連動した処理をサーバ側で実行することができる。あるいは、ナビゲーション装置10−携帯電話機20間の通信については、双方とも利用者が所有する機器であり、これらはWAN40経由での通信を行わなくてもよいので、ナビゲーション装置10側がクライアントとして機能してもよいし、あるいは、他の通信手法で両者が連携するように構成されていてもよい。
【0041】
さて、携帯電話機20上での操作で利用者の行きたい目的地が決まると、携帯電話機20は、その目的地に対応する行先情報・施設情報を読み込み(S105)、それらの情報をナビゲーション装置10に送信する(S110)。
【0042】
ここでいう行先情報は、目的地の緯度や経度などの地理的情報である。また、施設情報は、目的地又は経路に関連付けて選定された施設(例えば、目的地にある施設や、経路の途中にある施設)に関する情報である。より具体的には、目的地にある施設に関する広告情報や、施設の営業時間や駐車場の混み具合といった各種案内情報であり、ナビゲーション装置10の表示部15に表示される映像情報と、音声出力部16から出力される音声情報とで構成されている。
【0043】
これらの行先情報・施設情報は、携帯電話機20が、WAN40を介して行先情報・施設情報提供用のサーバから読み込めばよい。あるいは、リアルタイムで最新情報を取得しなくても問題がない情報であれば、例えば、携帯電話機20以外の機器(例えば、パーソナルコンピュータ)を利用して事前に各情報を取得し、メモリカードなどのメディアに各情報を保存しておくことで、そのメディアを携帯電話機20にセットして、メディアから行先情報・施設情報を読み込んでもよい。また、地図データと施設情報をあらかじめ関連付けて、ナビゲーション装置10が地図データを参照するためのメディアに格納しておいてもよい。
【0044】
このような行先情報・施設情報が携帯電話機20から送信されると、ナビゲーション装置10は、携帯電話機20から行先情報・施設情報を受信する(S205)、また、ナビゲーション装置10は、位置検出部13を利用して車両1の現在地の位置情報を取得し(S210)、その位置情報と行先情報・施設情報とを合わせて、それらの情報群を識別情報として携帯電話機20に送信する(S220)。
【0045】
携帯電話機20は、ナビゲーション装置10から送信された識別情報を受信し(S115)、その識別情報を管理サーバ50へ送信する(S120)。管理サーバ50は、識別情報を受信して、現在の車両の位置を認識し(S305)、その識別情報が正しい情報かどうかを判定する(S310)。
【0046】
このS310での判定の結果、識別情報が正しい情報ではないと判断された場合(S310:NO)、管理サーバ50は処理を終了する。また、このとき、携帯電話機20及びナビゲーション装置10では、所定時間が経過しても認証情報を受信できないので、タイムアウトエラーとなり、各処理を終了する。
【0047】
一方、S310での判定の結果、識別情報が正しい情報であると判断された場合(S310:YES)、管理サーバ50は認証情報を送信する(S315)。携帯電話機20は、認証情報を受信して(S125),その認証情報をナビゲーション装置10へ送信する(S130)。
【0048】
ナビゲーション装置10は、認証情報を受信できたかどうか判定し(S225)、認証情報を受信できない場合は(S225:NO)、処理を終了する。なお、このように処理を終了した場合、適切な行先設定ができないまま処理を終了することになるが、これは携帯電話機20を利用した行先設定を1回実行した結果、エラーとなったに過ぎない。したがって、この後、例えばナビゲーション装置10を直接操作して行先設定を行うことや、携帯電話機20を利用した行先設定を再試行することは可能である。
【0049】
一方、S225において、認証情報を受信できた場合は(S225:YES)、S205において受信した行先情報とS210において取得した車両の位置情報を基に、行先設定を行う(S230)。これにより、ナビゲーション装置10では、地図データに基づいて目的地までの経路が設定され、以降、道案内情報の出力が可能な状態となる。なお、このS230を実行するナビゲーション制御部11が、本発明でいう経路設定手段に相当する。
【0050】
そして、車両1が目的地に向かって移動を開始すると、ナビゲーション装置10は、道案内及び施設情報の出力を開始する(S235)。このS235は、詳しくは図3に示すような処理になる。
【0051】
すなわち、図3に示す処理を開始すると、ナビゲーション装置10は、最新の車両位置情報を取得して(S405)、道案内情報出力区間に到達したか否かを判断する(S410)。ここで、道案内情報出力区間は、例えば、図4(a)に例示するように、左折や右折などの道案内が必要な地点を基準にして、その基準となる地点から道案内に必要な時間の分だけ手前の地点を開始地点として設定される区間(図4中に例示した道案内情報出力時間:20秒の区間)である。
【0052】
このような道案内情報出力区間に到達していれば(S410:YES)、ナビゲーション装置10は、道案内情報を出力する(S415)。そして、道案内情報の出力が完了したら、S405へと戻る。一方、S410において、道案内情報出力区間に到達していないと判断されれば(S410:NO)、ナビゲーション装置10は、車両1が目的地に到着したかどうかを判定する(S420)。
【0053】
S420において、目的地に到着していないと判断されれば(S420:NO)、ナビゲーション装置10は、すべての施設情報が出力済みとなったかどうかを判断する(S425)。本実施形態では、複数の施設情報が用意され、後述する処理の中では、それら複数の施設情報の中から、施設情報が順に選択、出力される。そして、それら複数の施設情報それぞれが出力されたかどうかは、図4(b)に例示するような管理用の記憶領域において、出力済みフラグによって記憶される。
【0054】
S425では、管理用の記憶領域に記憶された出力済みフラグをチェックして、複数の施設情報(図4(b)には6つの施設情報D1〜D6を例示。)それぞれに対応する出力済みフラグすべてがONになっていれば、すべての施設情報が出力済みとなったと判断し、一方、いずれか一つでも出力済みフラグがOFFになっていれば、すべての施設情報が出力済みになってはいないと判断する。
【0055】
ここでは、未出力の施設情報があるものとして説明を続ける。未出力の施設情報がある場合、S425では否定判断がなされ(S425:NO)、この場合、ナビゲーション装置10は、次の道案内情報出力までの空き時間を算出する(S430)。このS430では、S405で取得した現在位置に基づき、地図データから取得した次の道案内情報出力地点までの距離を求め、さらにその距離を移動するために必要な所要時間を、現在の車速に基づいて推定する。なお、このS430を実行するナビゲーション制御部11が、本発明でいう推定所要時間算出手段に相当する。
【0056】
そして、S430で推定所要時間を求めたら、ナビゲーション装置10は、次の道案内情報出力までの空き時間>出力時間となる未出力の施設情報があるかどうかを判断する(S435)。各施設情報の出力時間は、先に図4(b)に例示した管理用の記憶領域に記憶されているので、S435では、管理用の記憶領域を参照して、該当する未出力の施設情報を選出し、1以上の施設情報が選出できたかどうかを判断する。
【0057】
S435において、未出力の施設情報があると判断されれば(S435:YES)、ナビゲーション装置10は、次の道案内情報出力までの空き時間>出力時間となる未出力の施設情報の中で出力時間×優先度係数が最大となる施設情報を選択、出力する(S440)。このS440を実行するナビゲーション制御部11が、本発明でいう情報選択手段及び情報出力手段に相当する。
【0058】
S440において、施設情報は映像及び音声で出力され、ナビゲーション装置10の表示部15には、図4(c)に例示するように、画面の左半分に道案内画面が表示され、画面の右半分に施設情報が表示される。このように道案内画面の隣に、施設情報画面を表示し、その施設情報画面の中で広告の表示などを行えば、ナビゲーション装置10による道案内を阻害することなく広告再生などを行うことができる。なお、どの範囲を施設情報の表示用とするかは任意であり、例えば、図4(c)に例示したものとは左右が逆であってもよいし、上下分割されていてもよいし、画面の1/3あるいは1/4が施設情報表示用となっていてもよい。あるいは、それらを利用者が任意に設定できるようになっていてもよい。
【0059】
また、S440では、優先度係数が同程度であれば出力時間が長い施設情報ほど優先的に出力され、また、出力時間が同程度であれば優先度係数が大きい施設情報ほど優先的に出力されることになる。なお、各施設情報の優先度係数は、先に図4(b)に例示した管理用の記憶領域に記憶されている。
【0060】
S440を終えたら、ナビゲーション装置10は、出力した施設情報を出力済みとして記憶する(S445)。このS445では、出力した施設情報に対応する出力済みフラグ(図4(b)参照。)がONに変更される。このS445において、出力済みフラグを記憶させる記憶領域が、本発明でいう出力状況記憶手段に相当する。
【0061】
そして、出力済みの施設情報に関する情報を管理サーバ50へ通知する(S450)。なお、S450において、ナビゲーション装置10は、携帯電話機20経由で管理サーバ50との通信を行うが、携帯電話機20を利用してWAN40に接続する技術そのものは周知なので、これ以上の説明は省略する。
【0062】
こうしてS450を終えたら、S405へと戻り、以降、S420で肯定判断がなされない限り、上述したS405〜S450のうち、いくつかの処理ステップが順次繰り返し実行されることになる。その間、道案内情報を出力しないときは(410:NO)、常に次の道案内情報出力までの空き時間を算出しつつ(S430)、空き時間のうちに出力を終える施設情報があれば(S435:YES)、その施設情報を出力する一方(S440)、空き時間のうちに出力を終える施設情報がなければ(S435:NO)、S405へと戻ることにより、施設情報の出力を見合わせる。
【0063】
このような処理を行えば、例えば、図4(a)に示したような経路が設定されている場合、ナビゲーション装置10は、次に道案内される交差点C1と現在地である開始地点の2点間の距離と予想走行速度などから道案内までの空き時間18[秒]を算出する。この時間内に出力できると予想される施設情報は、図4(b)中に示したすべての施設情報D1〜D6であり、この中から『出力時間×優先度係数』が最も高い施設情報D1を選択、出力を始める。交差点C1の案内までに出力が完了した施設情報D1は、出力後に出力済みフラグがONにされ、携帯電話機20を介して管理サーバ50へ出力完了情報が伝えられる。
【0064】
施設情報D1の出力が完了した後、交差点C1の案内までは残り3秒しかなく、図4(b)に示す情報を参照すると、それよりも出力時間が短い施設情報がないことから、ナビゲーション装置10は、交差点C1の案内までは何も出力しない。交差点C1に関する道案内の終了後、交差点C2までかかる時間は14[秒]であるため、この場合は、施設情報D2以外の施設情報が出力対象となる。このとき『出力時間×優先度係数』を算出すると、その算出結果から施設情報D3が次の出力対象として選択、出力されることとなり、出力後に先の処理と同様に出力完了のフラグ処理と管理サーバ50への通知を行う。さらに、交差点C2から次の案内地点までの間は24[秒]かかると判断されると、ナビゲーション装置10は、施設情報D2を出力し、さらにその後に施設情報D6の出力を行う。
【0065】
したがって、以上のような処理を行うナビゲーション装置10であれば、通常は、道案内情報出力区間以外の区間を走行中、その区間の走行に必要と推定される推定所要時間内に施設情報の出力を完了可能となり、その完了後に道案内情報を出力できる。すなわち、施設情報を出力している最中に、道案内情報出力区間に到達してしまう可能性はきわめて低くなり、施設情報の出力が原因で道案内情報の出力が遅れることはない。また、遅れることなく道案内情報を出力したことが原因で、施設情報の出力を中断させてしまうこともない。よって、施設情報として広告情報を出力する場合には、その広告効果を高めることができる。また、施設情報として駐車場の混雑状況やその他有益な情報を出力する場合でも、そのような情報の出力が中断してしまうのを抑制することができる。
【0066】
なお、以上のような処理により、すべての施設情報が出力済みとなった場合は(S425:YES)、S405へと戻るので、以降、目的地へ到着するまでは(S420:NO)、S405〜S425の繰り返し処理となる。そして、目的地へ到着したら(S420:YES)、図3に示す処理を終了し、図2に示すS235を終えたことになる。
【0067】
S235を終えると、続いて、ナビゲーション装置10は、携帯電話機20に到着情報を送信し、ナビゲーション装置10での処理が完了することになる。一方、携帯電話機20は、ナビゲーション装置10から送られてきた到着情報を受信し(S135)、その到着情報を管理サーバ50へ送信する(S140)。管理サーバ50は、携帯電話機20から送られてきた到着情報を受信し(S320)、その到着情報の正誤判定を行う(S325)。このS325では、事前に設定された行先情報と到着情報が正しく対応しているかどうか、施設情報の出力が適切に実行されたかどうかなどが判定される。
【0068】
S325の判定の結果、到着情報が正しいと判定された場合(S325:YES)、管理サーバ50は、クーポン情報を携帯電話機20に送信して、管理サーバ50での処理を終了する。また、到着情報が正しくないと判定された場合(S325:NO)、管理サーバ50は、携帯電話機20に対してクーポン情報を送信することなく、管理サーバ50での処理を終了する。管理サーバ50から携帯電話機20へクーポン情報が送信された場合、携帯電話機20はクーポン情報を受信し、携帯電話機20での処理が完了となる。
【0069】
なお、ここで発行されるクーポン情報は、どの利用者に対しても同様のものが一律に発行されてもよいが、ナビゲーション装置10との連携を考えれば、例えば、移動距離が長い場合ほど割引額や割引率の高いクーポン情報が発行される仕組みを採用してもよい。
【0070】
また、単に移動距離と割引率を連動させるだけではなく、移動距離が長い場合には、施設情報を提供可能な時間も増大するので、その分だけ施設情報の提供量を増大させ、たくさんの施設情報を視聴してくれた利用者ほど割引額や割引率の高いクーポン情報が発行される、という仕組みになっていてもよい。その場合、施設情報の提供量を増大させる方法としては、施設情報の数を増大させてもよいし、一つの施設情報をより長時間にわたって出力するようにしてもよい。さらに、このようなクーポン情報は、目的地で利用可能なものに限らず、目的地までの経路の途中で利用可能なもの(例えば、経路上にあるガソリンスタンドや目的地の近隣にある駐車場で利用可能なもの)であってもよい。
【0071】
[効果]
以上説明したようなナビゲーション装置10によれば、施設情報の出力を避けたい区間(上記実施形態では、道案内情報の出力が必要となる区間)以外の区間を対象区間として、その対象区間の走行期間に施設情報の出力を完了することができる。したがって、施設情報の出力を避けたい区間に到達するのに伴って、施設情報の出力を中断しなくても済み、広告効果が低下したり有益な情報の聞き逃しが発生したりするのを抑制することができる。
【0072】
また、施設情報の出力タイミングは車両1が道なりに走行をすればよい場合など、地図や音声などを用いて詳細に道案内をしなくても走行ルートの維持に多大な影響がないときに行われるので、ナビゲーション装置10本来の機能を損なうこともない。
【0073】
また、上記ナビゲーション装置10では、一つの未出力情報の出力が完了したら、当該完了後の時点以降に移動予定の経路の一部又は全部を新たな対象区間として、次の未出力情報を出力する前には、あらためてS430を実行して推定所要時間を算出し直すので、最新の推定所要時間に基づいて、動的に未出力情報の中から施設情報を選択し直すことができる。したがって、道路の混雑状況などに応じて推定所要時間が動的に変化しても、それに応じて最適な施設情報の選択、出力を行うことができる。
【0074】
さらに、上記ナビゲーション装置10によれば、空き時間に余裕があれば出力時間が長い施設情報が比較的優先的に出力されるが、さらに、任意に設定される優先度に従って施設情報が出力される。したがって、例えば、出力時間が短めの施設情報であっても、優先度を高めに設定しておけば、優先的な出力が可能なので、優先度の調整を行えば、優先度の低い施設情報を出力していたことが原因で、優先度の高い施設情報の出力ができなくなるのを回避することができる。
【0075】
このような優先度は、施設情報の提供者が任意に設定できるが、さらに車両1の利用者側で、自分の趣味や興味のある事項を登録しておき、そのような利用者の嗜好なども事前に考慮して各施設情報に優先度付けを行ってもよい。こうすることで、利用者にとって興味がある優先度の高い広告情報などをなるべく早く出力させることができ、利用者に対する広告効果を高めることができる。
【0076】
なお、このような利用者の嗜好などを反映させて優先度を設定した場合、最終的に発行されるクーポン情報についても、利用者の嗜好などを反映させたクーポン情報が発行されると、より一層好ましい。あるいは、利用者が発行を希望するクーポン情報を、事前に申請できる仕組みを採用していれば、利用者の嗜好を推測しなくても、利用者の希望通りのクーポン情報を簡単に発行することが可能となる。この他、施設情報として広告情報を表示したのであれば、その広告情報に対応するクーポン情報であってもよい。
【0077】
〔2〕第二実施形態
次に、第二実施形態について説明する。ただし、第二実施形態は、ナビゲーション装置10によって実行される処理の一部が第一実施形態と相違するものの、その他の点は第一実施形態と同等に構成されるので、以下の説明では相違点を中心に詳述することとし、第一実施形態と同等な部分に関しては、必要があれば第一実施形態と共通の符号を援用し、第一実施形態と重複する説明については省略する。
【0078】
第二実施形態は、第一実施形態で示したS425で否定判断がなされた後に引き続く処理が、第一実施形態とは相違する。すなわち、S425において、未出力の施設情報がある場合(S425:NO)、ナビゲーション装置10は、目的地到着までにかかる時間(A)を算出する(S505)。このS505では、S405(図3参照。)で取得した現在位置に基づき、地図データから取得した目的地までの距離を求め、さらにその距離を移動するために必要な所要時間を、現在の車速に基づいて推定する。
【0079】
また、ナビゲーション装置10は、目的地到着までに道案内情報の出力に必要な時間の合計値(B)を算出する(S510)。このS510では、道案内が行われる予定の各地点で情報出力に必要な時間を、経路全体分について積算する。
【0080】
さらに、ナビゲーション装置10は、優先度係数が1より大きい未出力広告(長時間版及び短時間版がある場合は長時間版)の出力に必要な時間の合計値(C)を算出する(S515)。ここで、第二実施形態の場合、一部の施設情報は、図6に例示するように、長時間版施設情報及び短時間版施設情報を備え、いずれかを択一的に選択、出力可能とされている。
【0081】
これら長時間版施設情報及び短時間版施設情報は、出力時間に違いがあり、後述する処理の中では、空き時間に余裕があれば長時間版施設情報が選択、出力され、空き時間に余裕がない場合に短時間版施設情報が選択、出力される。S515では、長時間版施設情報の出力時間に基づいて、優先度係数が1より大きい未出力広告の出力に必要な時間の合計値(C)が算出される。
【0082】
続いて、ナビゲーション装置10は、次の道案内情報出力までの空き時間を算出する(S520)。このS520では、S405(図3参照。)で取得した現在位置に基づき、地図データから取得した次の道案内情報出力地点までの距離を求め、さらにその距離を移動するために必要な所要時間を、現在の車速に基づいて推定する。なお、このS520を実行するナビゲーション制御部11が、本発明でいう推定所要時間算出手段に相当する。
【0083】
そして、S520で推定所要時間を求めたら、ナビゲーション装置10は、S505〜S515で求めた時間A,B,Cに基づいて、それらの大小関係が(A−B)>Cであるか否かを判定する(S525)。ここで、(A−B)は、道案内情報の出力が行われない空き時間の積算値に相当し、(A−B)>Cであれば(S525:YES)、長時間版施設情報を出力しても空き時間には余裕があるものと推定できる。一方、(A−B)>Cでなければ(S525:NO)、長時間版施設情報を出力すると空き時間の間にすべての施設情報を出力できない可能性がある。
【0084】
そこで、S525において(A−B)>Cであれば(S525:YES)、ナビゲーション装置10は、次の道案内情報出力までの空き時間>出力時間となる未出力の施設情報(長時間版及び短時間版がある場合は長時間版)があるかどうかを判断する(S530)。各施設情報の出力時間は、図6に例示した管理用の記憶領域に記憶されているので、S530では、管理用の記憶領域を参照して、該当する未出力の施設情報を選出し、1以上の施設情報が選出できたかどうかを判断する。
【0085】
S530において、未出力の施設情報があると判断されれば(S530:YES)、ナビゲーション装置10は、次の道案内情報出力までの空き時間>出力時間となる未出力の施設情報(長時間版及び短時間版がある場合は長時間版)の中で出力時間×優先度係数が最大となる施設情報を選択、出力する(S535)。このS535を実行するナビゲーション制御部11が、本発明でいう情報選択手段及び情報出力手段に相当する。なお、このS535により、施設情報は、ナビゲーション装置10の表示部15に、図4(c)に例示するような形態で出力されることになるが、この表示形態を種々変更し得るのは第一実施形態と同様である。また、各施設情報の優先度係数は、図6に例示した管理用の記憶領域に記憶されている。
【0086】
S535を終えたら、ナビゲーション装置10は、出力した施設情報の長時間版と短時間版の両方を出力済みとして記憶する(S540)。このS540では、出力した施設情報に対応する出力済みフラグ(図6参照。)がONに変更される。このS540において、出力済みフラグを記憶させる記憶領域が、本発明でいう出力状況記憶手段に相当する。出力済みフラグの記憶領域は、図6に例示した通り、施設情報の長時間版及び短時間版の双方に対応付けられた単一の記憶領域とされているので、この単一の記憶領域に出力済みフラグONを記憶させれば、長時間版と短時間版の両方が出力済みとして記憶されることになる。
【0087】
一方、S525において(A−B)>Cでなければ(S525:YES)、ナビゲーション装置10は、次の道案内情報出力までの空き時間>出力時間となる未出力の施設情報(長時間版及び短時間版がある場合は短時間版)があるかどうかを判断する(S545)。このS545でも、S530同様、管理用の記憶領域(図6参照。)を参照して、1以上の施設情報が選出できたかどうかを判断する。
【0088】
S545において、未出力の施設情報があると判断されれば(S545:YES)、ナビゲーション装置10は、次の道案内情報出力までの空き時間>出力時間となる未出力の施設情報(長時間版及び短時間版がある場合は短時間版)の中で出力時間×優先度係数が最大となる施設情報を選択、出力する(S550)。このS550を実行するナビゲーション制御部11が、本発明でいう情報選択手段及び情報出力手段に相当する。なお、このS550により、施設情報は、S535同様、ナビゲーション装置10の表示部15に、図4(c)に例示するような形態で出力される。
【0089】
S550を終えたら、すでに説明したS540へと進み、ナビゲーション装置10は、出力した施設情報の長時間版と短時間版の両方を出力済みとして記憶する(S540)。
なお、S540を終えたら、図3に示したS450へと戻る。また、また、図5に示したS530又はS545で未出力の施設情報がないと判断された場合(S530:NO、又はS545:NO)、図3に示したS405へと戻る。こうして図3に示したS405又はS450へ戻ると、以降は、S425で否定判断がなされれば、再び図5に示したS505へと進むことになる。
【0090】
[効果]
以上のような第二実施形態のナビゲーション装置10でも、第一実施形態のナビゲーション装置10と同様の作用、効果を奏する。
【0091】
しかも、第二実施形態のナビゲーション装置10の場合、目的地到着までに施設情報の出力に利用可能と推定される時間(A−B)(本発明でいう時間T1に相当。)が、長時間版施設情報を選択して施設情報を出力した場合に必要と推定される時間C(本発明でいう時間T2に相当。)より大である場合には、長時間版の施設情報を選択する一方、時間T1が時間T2以下である場合には、短縮版の施設情報を選択、出力している。
【0092】
したがって、単に長時間版相当の施設情報だけを出力するものとは異なり、空き時間に余裕がなくて、出力できる施設情報の数が減ってしまうという問題を抑制することができ、優先度の高い施設情報から順に、より数多くの施設情報を提供することができる。また、単に短時間版相当の施設情報だけを出力するものとも異なり、空き時間に余裕があるにもかかわらず、個々の施設情報の情報量が少なくなってしまうという問題を抑制することもできる。
【0093】
〔3〕その他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
【0094】
上記実施形態では、道案内情報の出力期間と施設情報の出力期間の重複が発生するのを回避するように構成した事例を示したが、施設情報の出力期間との重複を避けたい期間は他にも想定可能であり、どのような期間との重複を避けるのかについては、目的や装置の設計思想に応じて任意に取り決めればよい。
【0095】
例えば、道案内情報の出力期間以外には、経路の途中に設定された立ち寄り地点付近の区間を、施設情報の出力を行わない区間としてもよく、この場合、立ち寄り地点付近では、施設情報の出力が完了するので、施設情報の出力中断を招くことなく、立ち寄り地点に到達することができる。また、目的地付近で施設情報の出力が完了するように構成してもよく、これにより、施設情報の出力中断を招くことなく、目的地に到達することができる。
【0096】
これら道案内情報の出力期間、立ち寄り地点付近、及び目的地付近などの区間は、全部を施設情報の出力を行わない区間としてもよいが、いずれかだけを採用してもよく、さらには、いずれを採用するのかを、利用者が任意に選択、設定できるようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、ナビゲーション装置10と携帯電話機20とを接続して、クーポン情報の受け取りまでを行う事例を示したが、ナビゲーション装置10に通信機能が組み込まれていれば、携帯電話機20との接続を行うか否かは任意である。この場合、ナビゲーション装置10がクーポン情報を受け取ることになるので、そのクーポン情報を最終的に携帯電話機20に移して施設へ持ち込みたければ、ナビゲーション装置10から携帯電話機20へクーポン情報を転送したり、ナビゲーション装置10にセットされたメディアにクーポン情報を保存し、そのメディアを携帯電話機20にセットしたりすればよい。
【0098】
さらに、上記実施形態では、目的地を設定した際、目的地までの移動途中に施設情報が出力される例を示したが、さらに目的地からの帰路を選ぶと、その際にも、施設情報が出力される構成となっていてもよい。この場合、例えば、目的地が商業施設であったならば、次回の来店を促すための広告情報などを出力すると効果的であり、その場合、次回来店時に使用可能なクーポン情報を発行することも可能である。
【符号の説明】
【0099】
1・・・車両、10・・・ナビゲーション装置、11・・・ナビゲーション制御部、12・・・記憶部、13・・・位置検出部、14・・・通信部、15・・・表示部、16・・・音声出力部、20・・・携帯電話機、30・・・基地局、50・・・管理サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの経路を、地図データに基づいて設定する経路設定手段と、
前記経路設定手段によって設定された前記経路の一部又は全部を対象区間として、当該対象区間を移動する際に必要と推定される推定所要時間を算出する推定所要時間算出手段と、
それぞれが前記目的地又は前記経路に関連付けて選定された施設に関する情報であり、各情報とも、映像及び音声のうち、少なくとも一方による出力が可能な複数の施設情報の中から、前記推定所要時間算出手段によって算出された前記推定所要時間内に出力を完了可能な前記施設情報を選択する情報選択手段と、
前記経路設定手段によって設定された前記経路に沿って移動する際、前記対象区間に到達したら、前記情報選択手段によって選択された前記施設情報の出力を開始する情報出力手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記複数の施設情報それぞれについて、前記情報出力手段による出力がすでに行われた出力済み情報か、前記情報出力手段による出力がまだ行われていない未出力情報かを記憶する出力状況記憶手段
を備え、
前記推定所要時間算出手段は、前記情報出力手段による前記施設情報の出力が完了したら、当該完了後の時点以降に移動予定の前記経路の一部又は全部を新たな対象区間として、当該対象区間を移動する際に必要と推定される推定所要時間を算出し直し、
前記情報選択手段は、前記出力状況記憶手段に記憶された情報に基づき、前記未出力情報の中から、前記推定所要時間算出手段によって算出し直された前記推定所要時間内に出力を完了可能な前記施設情報を選択し直し、
前記情報出力手段は、前記経路設定手段によって設定された前記経路に沿って移動する際、前記新たな対象区間に到達したら、前記情報選択手段によって選択し直された前記施設情報の出力を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記推定所要時間算出手段は、前記経路設定手段によって設定された前記経路に沿って移動する際、道案内に関する情報が出力される道案内情報出力区間以外の区間を前記対象区間として、前記推定所要時間を算出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記複数の施設情報には、あらかじめ優先度が設定されており、
前記情報選択手段は、前記推定所要時間内に出力を完了可能な前記施設情報が複数ある場合には、前記優先度がより高い前記施設情報を選択する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記複数の施設情報のうち、少なくとも一つの前記施設情報は、出力に要する時間が異なり且ついずれか一方が択一的に前記施設情報として出力される長時間版施設情報及び短時間版施設情報を備えており、
前記情報選択手段は、前記長時間版施設情報及び前記短時間版施設情報を備えた前記施設情報を選択する際、目的地到着までに前記複数の施設情報の出力に利用可能と推定される時間T1が、前記長時間版施設情報を選択して前記複数の施設情報を出力した場合に必要と推定される時間T2を超える場合には、前記長時間版施設情報を選択する一方、前記時間T1が前記時間T2以下である場合には、前記短時間版施設情報を選択する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−24652(P2013−24652A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158022(P2011−158022)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】