説明

ナビゲーション装置

【課題】交通規制の情報をユーザによりわかりやすく通知することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】本願のナビゲーション装置10は、道路を構成するリンクの長さおよび規制に関する情報を、それぞれのリンクのリンクIDに対応付けて格納するリンク情報格納部14と、車両の現在位置から進行方向へ道なりに、所定距離の範囲内または所定時間内に移動可能な距離の範囲内で、車両が走行中のリンクから辿ることができるリンクを抽出するリンク抽出部17と、抽出されたそれぞれのリンクの規制に関する情報をリンク情報格納部から抽出し、車両が走行中のリンクから辿ることで進入可能か否かを判定する進入可否判定部18と、進入不可と判定されたリンクを、進入可能と判定されたリンクとは異なる態様で表示装置22に表示するリンク表示制御部19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、車両が走行中の道路からの進入が禁止されている道路を、車両が走行中の道路からの進入が許可されている道路とは異なる態様で表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−14924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行中の道路から進入可能であったとしても、その先の道路に交通規制があり、希望する方面へ進むことができずUターンせざるを得ない場合がある。そのような場合には、結局、道路標識や地図情報等で走行可能な道路を調べなければ、希望する方面へ進むことができない。特に、駅周辺など一方通行が多い目的地の周辺に到着した後に駐車場を探すような場合に、このような状況になることが多い。
【0005】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、交通規制の情報をユーザによりわかりやすく通知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、車両に搭載されるナビゲーション装置であって、
道路を構成するリンクの長さおよび交通規制に関する情報を、それぞれのリンクを識別するリンクIDに対応付けて格納するリンク情報格納部と、
前記車両の現在位置から進行方向へ道なりに、予め定められた距離の範囲内または予め定められた時間内に移動可能な距離の範囲内で、前記車両が走行中のリンクから辿ることができるリンクを抽出するリンク抽出処理を実行するリンク抽出部と、
抽出されたそれぞれのリンクの規制に関する情報を前記リンク情報格納部から抽出し、前記車両が走行中のリンクから辿ることで進入可能か否かを判定する進入可否判定処理を実行する進入可否判定部と、
進入不可と判定されたリンクを、進入可能と判定されたリンクとは異なる態様で表示装置に表示するリンク表示制御を実行するリンク表示制御部と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のナビゲーション装置によれば、交通規制の情報をユーザによりわかりやすく通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】リンク情報格納部14に格納されているリンクテーブル140のデータ構造の一例を示す図である。
【図3】判定結果格納部13に格納される判定結果テーブル130のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】ナビゲーション装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】進入不可リンク表示処理(S200)の一例を示すフローチャートである。
【図6】リンクを辿りながら行う進入可否の判定を説明するための概念図である。
【図7】進入可否の判定過程における判定結果テーブル130の内容を説明するための概念図である。
【図8】進入可否の判定過程における判定結果テーブル130の内容を説明するための概念図である。
【図9】車両の現在位置から進入できない道路の表示例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、現在位置算出部11、経路誘導部12、判定結果格納部13、リンク情報格納部14、インターフェイス(I/F)15、更新制御部16、リンク抽出部17、進入可否判定部18、リンク表示制御部19を備える。
【0011】
リンク情報格納部14には、地図データや、図2に示すようなリンクテーブル140が予め格納されている。リンクテーブル140は、予め定められた地図領域であるメッシュ毎に、当該メッシュに含まれる道路を示すリンクに関する情報を含むメッシュデータ141を有する。それぞれのメッシュデータ141には、それぞれのメッシュを識別するメッシュID142およびメッシュ内のリンクに関するデータであるリンクデータ143が含まれる。
【0012】
それぞれのリンクデータ143には、それぞれのリンクを識別するリンクID144、当該リンクの開始ノード座標145、当該リンクの終了ノード座標146、当該リンクの道路種別147、当該リンクのリンク長148、当該リンクの開始ノードに接続されている他のリンクのリンクIDを示す開始接続リンク149、当該リンクの終了ノードに接続されている他のリンクのリンクIDを示す終了接続リンク150、および当該リンクの交通規制情報151等が格納されている。
【0013】
ここで、交通規制情報151とは、例えば、通行止めの時間帯や、通行が禁止されている車種等の情報であり、現在時刻やナビゲーション装置10を搭載している車両の車種に基づいて、交通規制情報151を参照することにより、当該リンクを、開始ノード座標145から終了ノード座標146へ走行することが可能か否かを判定することができる。
【0014】
判定結果格納部13には、例えば図3に示すように、それぞれのリンクを識別するリンクID131と、当該リンクへの進入可否の判定結果132とを対応付けた判定結果テーブル130が格納される。
【0015】
センサ20は、例えばGPS受信機や、方位センサ、距離センサ、車速センサ等であり、測地衛星から送信されたGPS信号や、車両の進行方位、車両の移動距離、車速等を測定し、測定情報を現在位置算出部11に供給する。
【0016】
現在位置算出部11は、センサ20から供給された測定情報およびリンク情報格納部14に格納されたリンクデータに基づいて、ナビゲーション装置10が搭載された車両が所定距離移動する毎に、例えばマップマッチング等により当該車両の現在位置および進行方向を算出し、算出した車両の現在位置および進行方位を示す情報を経路誘導部12、更新制御部16、リンク抽出部17、およびリンク表示制御部19に提供する。
【0017】
経路誘導部12は、出発地点、目的地点、および経由地点の座標や、探索条件等を含む探索情報を、タッチパネル等の入力装置21を介してユーザから受け付けた場合に、リンク情報格納部14内のリンクデータを参照し、当該探索情報に基づいて、例えばダイクストラ法等のアルゴリズムを用いて、経由地点を通り出発地点から目的地点へ至る経路を探索し、探索結果を表示装置22に表示する。
【0018】
そして、経路誘導部12は、探索した経路の中でユーザから指定された経路を誘導経路とし、リンク情報格納部14から取得した地図データで示される地図上に車両の現在位置を示すカーマークを重ねて表示装置22に表示させることにより、誘導経路に沿って経路誘導を実行する。
【0019】
そして、経路誘導部12は、誘導経路、現在位置算出部11によって算出された車両の現在位置、およびリンク情報格納部14に格納されているリンクデータに基づいて、車両が目的地周辺(例えば、目的地から半径300m以内)に到着したか否かを判定する。車両が目的地周辺に到着した場合、経路誘導部12は、その旨を表示装置22を介してユーザに通知すると共に、更新制御部16に通知する。
【0020】
更新制御部16は、目的地周辺に到着した旨を経路誘導部12から通知された場合に、判定結果格納部13の判定結果テーブル130内のデータを消去し、リンク抽出部17にリンク抽出処理の開始を指示する。そして、更新制御部16は、現在位置算出部11から提供された車両の現在位置およびリンク情報格納部14内のリンクデータを参照して、車両が予め定められた距離(例えば100m)を走行する都度、判定結果格納部13の判定結果テーブル130内のデータを消去し、リンク抽出部17にリンク抽出処理の開始を指示する。
【0021】
なお、他の例として、更新制御部16は、現在位置算出部11から提供された車両の現在位置およびリンク情報格納部14内のリンクデータを参照して、車両が交差点を通過する都度、判定結果格納部13の判定結果テーブル130内のデータを消去し、リンク抽出部17にリンク抽出処理の開始を指示するようにしてもよい。
【0022】
リンク抽出部17は、更新制御部16からリンク抽出処理の開始を指示された場合に、現在位置算出部11から提供された車両の現在位置および進行方向ならびにリンク情報格納部14内のリンクデータを参照して、車両の現在位置から進行方向へ道なりに、予め定められた距離の範囲内(例えば500m)で、車両が走行中のリンクから辿ることができるリンクを判定対象リンクとして抽出する。そして、リンク抽出部17は、抽出したリンクのリンクIDを進入可否判定部18に渡す。
【0023】
進入可否判定部18は、リンク抽出部17から受け取ったリンクIDに対応するリンクの交通規制情報をリンク情報格納部14内のリンクデータから抽出し、車両が走行中のリンクから辿ることで、リンク抽出部17から受け取ったリンクIDに対応するリンクへ進入可能か否かを判定する。そして、進入可否判定部18は、判定結果を、当該リンクのリンクIDに対応付けて判定結果格納部13に登録する。
【0024】
リンク表示制御部19は、判定結果格納部13内の判定結果テーブル130に格納されているリンクIDの中で、進入不可を示す判定結果が対応付けられているリンクIDを抽出し、抽出したリンクIDに対応する地図上の道路を、進入可能な道路とは異なる態様で表示装置22に表示する。異なる態様とは、進入可能な道路と進入不可能な道路とが一見して見分けがつくように、例えば、進入可能な道路を通常の表示とし、進入不可能な道路を、黒色等の1色で塗りつぶしたり、ハッチングをかけたり、輝度を落としたり、点滅させたりして表示することである。これ以外にも、進入不可能な道路を通常の表示とし、進入可能な道路を強調表示してもよい。
【0025】
次に、ナビゲーション装置10の動作を図4のフローチャートを参照して説明する。図4のフローチャートは、目的地周辺に到着した旨を経路誘導部12が更新制御部16に通知することにより開始する。
【0026】
まず、更新制御部16、リンク抽出部17、進入可否判定部18、およびリンク表示制御部19は、後述する進入不可リンク表示処理を実行する(S200)。そして、更新制御部16は、現在位置算出部11から提供された車両の現在位置およびリンク情報格納部14内のリンクデータを参照して、車両が所定距離(例えば100m)走行したか否かを判定する(S100)。車両が所定距離走行した場合(S100:Yes)、更新制御部16、リンク抽出部17、進入可否判定部18、およびリンク表示制御部19は、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0027】
一方、車両が所定距離走行していない場合(S100:No)、更新制御部16は、車両が駐車したか否かを判定する(S101)。更新制御部16は、例えば、車両のエンジンが停止し、アクセサリ電源がオフになってから所定時間(例えば1分)が経過した場合に、車両が駐車したと判定する。車両が駐車していない場合(S101:No)、更新制御部16は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0028】
一方、車両が駐車した場合(S101:Yes)、更新制御部16は、リンク抽出部17にリンク抽出処理の停止、進入可否判定部18に進入可否判定処理の停止、リンク表示制御部19にリンク表示制御の停止をそれぞれ指示し、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0029】
図5は、進入不可リンク表示処理(S200)の一例を示すフローチャートである。
【0030】
まず、更新制御部16は、判定結果格納部13の判定結果テーブル130内のデータを消去し(S201)、リンク抽出部17にリンク抽出処理の開始を指示する。リンク抽出部17は、現在位置算出部11から提供された車両の現在位置および進行方向ならびにリンク情報格納部14内のリンクデータを参照して、車両の進行方向において、車両が走行中のリンクに接続しているリンクを判定対象リンクとして特定し(S202)、特定した判定対象リンクのリンクIDを進入可否判定部18へ送る。
【0031】
次に、進入可否判定部18は、リンク情報格納部14内のリンクデータを参照して、リンク抽出部17から受け取ったリンクIDに対応する交通規制情報を特定し、車両が走行中のリンクから辿ることで、リンク抽出部17から受け取ったリンクIDに対応する判定対象リンクへ進入することが可能か否かを判定する。例えば、時間帯によって走行が禁止されている場合には、進入可否判定部18は、現在の時刻に基づいて進入可能か否かを判定し、車種によって走行が禁止されている場合には、自車両の車種の情報に基づいて進入可能か否かを判定する。
【0032】
そして、進入可否判定部18は、それぞれの判定対象リンクについての判定結果を、当該リンクのリンクIDに対応付けて判定結果格納部13内の判定結果テーブル130に登録する(S203)。
【0033】
次に、リンク抽出部17は、判定結果格納部13を参照して、直前に進入可否判定部18によって進入可否が判定された判定対象リンク(即ち、直前に進入可否判定部18に通知したリンクIDに対応するリンク)の中に、進入可能と判定されたリンクが存在するか否かを判定する(S204)。進入可能と判定されたリンクが存在しない場合(S204:No)、リンク表示制御部19は、ステップS211に示す処理を実行する。
【0034】
一方、進入可能と判定されたリンクが存在する場合(S204:Yes)、リンク抽出部17は、現在位置算出部11から提供された車両の現在位置および進行方向ならびにリンク情報格納部14内のリンクデータを参照して、直前に進入可否判定部18によって進入可能と判定されたリンクに接続しているリンクを、判定対象リンクとして特定する(S205)。
【0035】
次に、リンク抽出部17は、判定結果格納部13内の判定結果テーブル130を参照して、ステップS205で特定した判定対象リンクの中から、判定結果テーブル130内に既にリンクIDが登録されているリンクを除外する(S206)。
【0036】
次に、リンク抽出部17は、残った判定対象リンクについて、車両の現在位置から当該リンクの末端(車両の現在位置から道なりに遠い方の末端)までの道なりの距離を算出する(S207)。そして、リンク抽出部17は、算出した道なりの距離が、所定距離(例えば500m)以上となるリンクを、判定対象リンクから除外する(S208)。
【0037】
次に、リンク抽出部17は、判定対象リンクが残っているか否かを判定する(S209)。判定対象リンクが1つも残っていない場合(S209:No)、リンク表示制御部19は、判定結果格納部13内の判定結果テーブル130を参照して、判定結果として「進入不可」が対応付けられているリンクIDに対応するリンクを、判定結果として「進入可」が対応付けられているリンクIDに対応するリンクとは異なる態様で表示装置22に表示させ(S211)、更新制御部16、リンク抽出部17、進入可否判定部18、およびリンク表示制御部19は、本フローチャートに示した進入不可リンク表示処理を終了する。
【0038】
一方、判定対象リンクが少なくとも1つ残っている場合(S209:Yes)、リンク抽出部17は、残っている判定対象リンクのリンクIDを進入可否判定部18へ送る。進入可否判定部18は、リンク情報格納部14内のリンクデータを参照して、リンク抽出部17から受け取ったリンクIDに対応する交通規制情報を特定し、車両が走行中のリンクから辿ることで、リンク抽出部17から受け取ったリンクIDに対応する判定対象リンクへ進入することが可能か否かを判定する。
【0039】
そして、進入可否判定部18は、それぞれの判定対象リンクについての判定結果を、当該リンクのリンクIDに対応付けて判定結果格納部13内の判定結果テーブル130に登録し(S210)、リンク抽出部17は、再びステップS204に示した処理を実行する。
【0040】
ここで、例えば図6(a)に示すように各リンクが配置されており、リンクIDが「L1」のリンクを車両が走行中である場合を例に説明する。なお、図6(a)において、それぞれのリンクに付されている記号は、そのリンクのリンクIDを示している。また、図6(b)は、各道路の交通規制情報を示しており、矢印が付された道路は、その方向への通行のみが許可されていることを示しており、矢印が付されていない道路は、双方向の通行が許可されていることを示している。
【0041】
ステップS202では、リンク抽出部17は、車両の進行方向におけるL1の末端に接続している「L2」、「L3」、および「L4」のリンクを判定対象リンクとして特定し、リンクIDとして「L2」、「L3」、および「L4」を進入可否判定部18へ送る。
【0042】
ステップS203では、進入可否判定部18は、リンク抽出部17から受け取った「L2」、「L3」、および「L4」のそれぞれの判定対象リンクについて、リンク情報格納部14のリンクデータ内の交通規制情報を参照して、車両が走行中の「L1」からの進入が許可されているか否かを判定する。図6(a)の例では、「L1」のリンクから「L2」のリンクへ進入する方向への走行が禁止されているため、進入可否判定部18は、「L2」のリンクを進入不可と判定する。
【0043】
一方、「L1」のリンクから「L3」または「L4」のリンクへの進入は禁止されていないため、進入可否判定部18は、「L3」および「L4」のリンクを進入可能と判定する。そして、進入可否判定部18は、「L2」、「L3」、および「L4」のそれぞれのリンクについての判定結果を判定結果格納部13内の判定結果テーブル130に登録する。この段階での判定結果テーブル130内のデータは、例えば図7(a)のようになる。
【0044】
次に、リンク抽出部17は、図7(a)に示すように、「L3」および「L4」のリンクについては進入可能と判定されているため、最初のステップS204において、直前に進入可否判定部18によって進入可否が判定された判定対象リンクの中に、進入可能と判定されたリンクが存在すると判定する。
【0045】
次に、リンク抽出部17は、直前に進入可否判定部18によって進入可能と判定された「L3」および「L4」のそれぞれの判定対象リンクについて、これらのリンクに接続しているリンク「L5」、「L6」、「L7」、「L8」、および「L9」を判定対象リンクとして新たに特定する。そして、これらの判定対象リンクのリンクIDは、いずれも図7(a)に示した判定結果テーブル130内に登録されていないため、リンク抽出部17は、ステップS206において、いずれのリンクも判定対象リンクから除外しない。
【0046】
次に、リンク抽出部17は、ステップS208において、「L5」、「L6」、「L7」、「L8」、および「L9」のそれぞれの判定対象リンクについて、車両の現在位置から当該リンクの末端までの道なりの距離を算出する。ここでは、「L9」のリンクが長く、車両の現在位置から車両前方の「L1」のリンクの残りの部分と、「L4」のリンクの長さと、「L9」のリンクの長さとの合計が所定距離(例えば500m)を超えたものと仮定する。それ以外の「L5」、「L6」、「L7」、および「L8」のリンクについては、車両の現在位置からそれぞれのリンクの末端までの道なりの距離が所定距離を超えなかったものと仮定する。この場合、リンク抽出部17は、ステップS208において、「L9」を判定対象リンクから除外し、「L5」、「L6」、「L7」、および「L8」を判定対象リンクとして残すことになる。
【0047】
次に、リンク抽出部17は、ステップS209において、判定対象リンクとして「L5」、「L6」、「L7」、および「L8」のリンクが残っていると判定し、残りの判定対象リンクのリンクIDとして「L5」、「L6」、「L7」、および「L8」を進入可否判定部18へ送る。
【0048】
次に、進入可否判定部18は、ステップS210において、「L5」、「L6」、「L7」、および「L8」のそれぞれの判定対象リンクについて、リンク情報格納部14のリンクデータ内の交通規制情報を参照して、進入可否を判定する。
【0049】
図6の例では、「L5」、「L6」、および「L8」については、これまで辿ってきたリンクを介して車両の現在位置から進入することが可能であるが、「L7」のリンクについては進入することができない。よって、最初のステップS210の終了時点では、図7(b)に示すように、「L5」、「L6」、および「L8」のリンクについては進入可、「L7」のリンクについては進入不可が、それぞれ判定結果として判定結果テーブル130に追加登録される。
【0050】
次に、再びステップS204の処理に戻り、リンク抽出部17は、図7(b)に示した判定結果テーブル130を参照して、直前に進入可否判定部18によって進入可否が判定された判定対象リンク「L5」、「L6」、「L7」、および「L8」の中に、進入可能と判定されたリンク「L5」、「L6」、および「L8」が存在すると判定する。
【0051】
次に、リンク抽出部17は、直前に進入可否判定部18によって進入可能と判定された「L5」、「L6」、「L7」、および「L8」のそれぞれの判定対象リンクについて、これらのリンクに接続しているリンク「L10」、「L11」、「L12」、「L13」、「L14」、「L15」、および「L16」を判定対象リンクとして新たに特定する。そして、これらの判定対象リンクのリンクIDは、いずれも図7(b)に示した判定結果テーブル130内に登録されていないため、リンク抽出部17は、2回目のステップS206において、いずれのリンクも判定対象リンクから除外しない。
【0052】
次に、リンク抽出部17は、2回目のステップS208において、「L10」、「L11」、「L12」、「L13」、「L14」、「L15」、および「L16」のそれぞれの判定対象リンクについて、車両の現在位置から当該リンクの末端までの道なりの距離を算出する。ここでは、「L12」、「L13」、「L14」、「L15」、および「L16」については、車両の現在位置からそれぞれのリンクの末端までの道なりの距離が所定距離(例えば500m)を超えたものと仮定する。それ以外の「L10」および「L11」のリンクについては、車両の現在位置からそれぞれのリンクの末端までの道なりの距離が所定距離を超えなかったものと仮定する。この場合、リンク抽出部17は、2回目のステップS208において、「L12」、「L13」、「L14」、「L15」、および「L16」を判定対象リンクから除外し、「L10」および「L11」を判定対象リンクとして残すことになる。
【0053】
次に、リンク抽出部17は、2回目のS209において、判定対象リンクとして「L10」および「L11」のリンクが残っていると判定し、残りの判定対象リンクのリンクIDとして「L10」および「L11」を進入可否判定部18へ送る。
【0054】
次に、進入可否判定部18は、2回目のステップS210において、「L10」および「L11」のそれぞれの判定対象リンクについて、リンク情報格納部14のリンクデータ内の交通規制情報を参照して、進入可否を判定する。
【0055】
図6の例では、「L10」および「L11」のいずれも、これまで辿ってきたリンクを介して車両の現在位置から進入することが可能であるため、2回目のステップS210の終了時点では、図8(a)に示すように、「L10」および「L11」のリンクについて「進入可」の判定結果が判定結果テーブル130に追加登録される。
【0056】
次に、再びステップS204の処理に戻り、リンク抽出部17は、図8(a)に示した判定結果テーブル130を参照して、直前に進入可否判定部18によって進入可否が判定された判定対象リンク「L10」および「L11」の中に、進入可能と判定されたリンクが存在すると判定する。
【0057】
次に、リンク抽出部17は、直前に進入可否判定部18によって進入可能と判定された「L10」および「L11」のそれぞれの判定対象リンクについて、これらのリンクに接続しているリンク「L2」、「L17」、「L18」、および「L19」を判定対象リンクとして新たに特定する。
【0058】
次に、リンク抽出部17は、3回目のステップS206において判定結果テーブル130を参照すると、判定結果テーブル130には図8(a)に示すように「L2」が既に登録されているため、「L2」のリンクを判定対象リンクから除外する。これにより、「L17」、「L18」、および「L19」が、判定対象リンクとして残ることになる。
【0059】
次に、リンク抽出部17は、3回目のステップS208において、「L17」、「L18」、および「L19」のそれぞれの判定対象リンクについて、車両の現在位置から当該リンクの末端までの道なりの距離を算出する。ここでは、「L19」については、車両の現在位置からそれぞれのリンクの末端までの道なりの距離が所定距離(例えば500m)を超えたものと仮定する。それ以外の「L17」および「L18」のリンクについては、車両の現在位置からそれぞれのリンクの末端までの道なりの距離が所定距離を超えなかったものと仮定する。この場合、リンク抽出部17は、3回目のステップS208において、「L19」を判定対象リンクから除外し、「L17」および「L18」を判定対象リンクとして残すことになる。
【0060】
次に、リンク抽出部17は、3回目のS209において、判定対象リンクが残っていると判定し、残りの判定対象リンクのリンクIDとして「L17」および「L18」を進入可否判定部18へ送る。
【0061】
次に、進入可否判定部18は、3回目のステップS210において、「L17」および「L18」のそれぞれの判定対象リンクについて、リンク情報格納部14のリンクデータ内の交通規制情報を参照して、進入可否を判定する。
【0062】
図6の例では、「L17」および「L18」の判定対象リンクについては、これまで辿ってきたリンクを介して車両の現在位置から進入することができない。よって、3回目のステップS210の終了時点では、図8(b)に示すように、「L17」および「L18」のリンクの判定結果として「進入不可」が判定結果テーブル130に追加登録される。
【0063】
次に、再びステップS204の処理に戻り、リンク抽出部17は、図8(b)に示した判定結果テーブル130を参照して、直前に進入可否判定部18によって進入可否が判定された判定対象リンクの中に、進入可能と判定されたリンクが存在しないと判定する。
【0064】
次に、リンク表示制御部19は、ステップS211において、判定結果格納部13内の判定結果テーブル130を参照して、例えば図9のように、判定結果として「進入不可」が対応付けられているリンクIDに対応するリンクを、判定結果として「進入可」が対応付けられているリンクIDに対応するリンクとは異なる態様で表示装置22に表示させる。
【0065】
図9の例では、判定結果として「進入可」が対応付けられている「L3」〜[L6]および[L8]〜「L11」に対応するリンクの道路を通常の表示とし、判定結果として「進入不可」が対応付けられている「L2」、「L7」、「L17」、および「L18」に対応するリンクの道路を、パターン31で表示することにより、判定結果として「進入不可」が対応付けられているリンクを、判定結果として「進入可」が対応付けられているリンクとは異なる態様で表示装置22に表示させている。これにより、ユーザは、進入可能な道路と進入できない道路とを一見して見分けることができる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0067】
上記説明から明らかなように、本実施形態のナビゲーション装置10によれば、交通規制の情報をユーザによりわかりやすく通知することができる。
【0068】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0069】
例えば、上記した実施形態において、ナビゲーション装置10は、経路誘導により車両が目的地周辺に到着した場合に、進入不可リンクの表示処理を実行するが、本発明はこれに限られず、ユーザから指定されたタイミングで進入不可リンクの表示処理を実行してもよい。
【0070】
また、上記した実施形態において、リンク抽出部17は、車両の現在位置からそれぞれのリンクの末端までの道なりの距離が所定距離未満のリンクを判定対象リンクとして特定するが、他の例として、リンク抽出部17は、車両の現在位置から進行方向へ道なりに、所定時間内(例えば5分以内)に移動可能な距離の範囲内で、車両が走行中のリンクから辿ることができるリンクを判定対象リンクとして特定するようにしてもよい。また、この場合の所定時間は、車両が走行中のリンクの種別や現在の車速、表示装置22に表示されている地図の縮尺に応じて変更してもよい。
【0071】
また、上記した実施形態において、リンク抽出部17は、車両の現在位置からそれぞれのリンクの末端までの道なりの距離が所定距離未満のリンクを判定対象リンクとして特定するが、この所定距離も、車両が走行中のリンクの種別や現在の車速、表示装置22に表示されている地図の縮尺に応じて変更してもよい。
【0072】
なお、上記したナビゲーション装置10内の各構成要素は、本実施形態に係るナビゲーション装置10の構成の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて機能別に区分したものである。そのため、構成要素の区分方法やその名称によって、本願発明が制限されることはない。本実施形態に係るナビゲーション装置10の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に区分することもできるし、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように区分することもできる。また、それぞれの処理は、ソフトウェアによる処理として実現されてもよく、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアにより実現されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10・・・ナビゲーション装置、11・・・現在位置算出部、12・・・経路誘導部、13・・・判定結果格納部、130・・・判定結果テーブル、131・・・リンクID、132・・・判定結果、14・・・リンク情報格納部、15・・・I/F、16・・・更新制御部、17・・・リンク抽出部、18・・・進入可否判定部、19・・・リンク表示制御部、20・・・センサ、21・・・入力装置、22・・・表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるナビゲーション装置であって、
道路を構成するリンクの長さおよび交通規制に関する情報を、それぞれのリンクを識別するリンクIDに対応付けて格納するリンク情報格納部と、
前記車両の現在位置から進行方向へ道なりに、予め定められた距離の範囲内または予め定められた時間内に移動可能な距離の範囲内で、前記車両が走行中のリンクから辿ることができるリンクを抽出するリンク抽出処理を実行するリンク抽出部と、
抽出されたそれぞれのリンクの規制に関する情報を前記リンク情報格納部から抽出し、前記車両が走行中のリンクから辿ることで進入可能か否かを判定する進入可否判定処理を実行する進入可否判定部と、
進入不可と判定されたリンクを、進入可能と判定されたリンクとは異なる態様で表示装置に表示するリンク表示制御を実行するリンク表示制御部と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
リンクが進入可能か否かの判定結果を、当該リンクのリンクIDに対応付けて格納する判定結果格納部をさらに備え、
前記リンク抽出部は、
前記車両の現在位置から道なりに近い順に、前記車両が走行中のリンクから辿ることができるリンクを抽出し、
前記進入可否判定部は、
前記リンク抽出部によってリンクが抽出される都度、前記リンク情報格納部を参照して、抽出されたリンクの進入可否を判定し、判定結果を当該リンクのリンクIDに対応付けて前記判定結果格納部に格納し、
前記リンク抽出部は、
抽出したリンクに接続しているリンクのリンクIDが前記判定結果格納部に既に格納されていれば、当該接続しているリンクを抽出しないことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記車両が予め定められた距離を走行するか、あるいは、前記車両が交差点を通過する都度、前記判定結果格納部内の情報を消去して、前記リンク抽出部にリンクの抽出を指示する更新指示部をさらに備え、
前記リンク抽出部は、
前記更新指示部からの指示に従って前記リンク抽出処理を実行することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
設定された経路に従って目的地まで運転者を誘導する経路誘導部をさらに備え、
前記車両が前記目的地周辺に到着した後、前記車両が駐車するまでの間に、前記リンク抽出部は前記リンク抽出処理を実行し、前記リンク抽出部は前記リンク抽出処理を実行し、前記リンク表示制御部はリンク表示制御を実行することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記リンク情報格納部には、
リンクの種別に関する情報が、当該リンクのリンクIDに対応付けてさらに格納されており、
前記リンク抽出部は、
前記車両が走行中のリンクの種別または前記車両の車速に応じて、前記予め定められた距離の範囲または前記予め定められた時間を決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記リンク抽出部は、
前記表示装置に表示されている地図の縮尺に応じて、前記予め定められた距離の範囲または前記予め定められた時間を決定することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−36933(P2013−36933A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175161(P2011−175161)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】