説明

ナビゲーション装置

【課題】自車の前方の距離の指標を、実世界との位置関係の把握および地図上の案内ポイントとの位置関係の把握が容易な状態で提示することによって、案内ポイントである交差点における右左折を適切に支援することができる「ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】自車の進行先の道路を含む自車の前方の所定の撮像領域を撮像する車載カメラ8と、経路誘導手段22による交差点拡大図の表示に連動して、車載カメラ8の撮像画像に基づく実画像を交差点拡大図と並べて表示する実画像表示手段23と、実画像の表示および交差点拡大図の表示に連動して、実画像および交差点拡大図の双方に、自車に対して第2の所定距離前方の目安となる目安マークを重畳表示する目安マーク表示手段24とを備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、特に、誘導経路上の交差点を案内するのに好適なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置においては、自車が誘導経路上の案内ポイントである交差点の所定距離手前の地点に到達した場合に、当該交差点における進行方向(交差点脱出方向)を案内すべく、交差点拡大図を表示部に表示することが行われていた。また、交差点拡大図の表示の際には、案内ポイントである交差点までの距離および当該交差点における進行方向を音声案内することも行われていた。
【0003】
また、最近では、車載カメラによる自車の前方の撮像画像に基づく実画像を表示し、この実画像を案内ポイントの案内に利用する技術が提案されるようになった(例えば、特許文献1参照)。この種の技術においては、実画像上に、案内ポイントである交差点における曲がるべき方向を示す矢印を重畳表示すること等によって、当該交差点における進行方向を、ユーザが運転席から実際目にしている自車の前方の風景がそのまま取り入れられたリアリティがある表示情報を用いて案内するようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−163504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のように、交差点拡大図は、案内ポイントである交差点(曲がるべき交差点)の所定距離手前の地点(自車位置)において表示が開始されるため、場所によっては、交差点拡大図の表示の開始時点において、自車位置と案内ポイントである交差点との間に、案内ポイントではない交差点(曲がるべきでない交差点)が存在することがある。
【0006】
このような場合に、交差点拡大図や音声案内によって提示される案内ポイントまでの距離(例えば、300m)が実際にどの程度なのかを感覚的に把握することが困難なユーザ(例えば、ナビゲーション装置の扱いに不慣れなユーザ)は、誤って案内ポイントの手前の交差点を曲がってしまう虞があるといった問題が生じていた。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、自車の前方の距離の指標を、実世界との位置関係の把握および地図上の案内ポイントとの位置関係の把握が容易な状態で提示することによって、案内ポイントである交差点における右左折を適切に支援することができるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明に係るナビゲーション装置は、地図情報が記憶された地図情報記憶手段と、自車位置を算出する自車位置算出手段と、目的地までの誘導経路にしたがった経路誘導を行う経路誘導手段とを備え、前記経路誘導手段は、前記自車位置算出手段によって算出された前記自車位置が、前記誘導経路上に存在する自車の進行方向を案内すべき交差点に対して第1の所定距離手前の地点に到達したことを契機として、前記地図情報記憶手段に記憶された前記地図情報に基づく交差点拡大図を表示部に表示するナビゲーション装置であって、前記自車の進行先の道路を含む前記自車の前方の所定の撮像領域を撮像する車載カメラと、前記経路誘導手段による前記交差点拡大図の表示に連動して、前記車載カメラの撮像画像に基づく実画像を前記交差点拡大図と並べて表示する実画像表示手段と、この実画像表示手段による前記実画像の表示および前記経路誘導手段による前記交差点拡大図の表示に連動して、前記実画像および前記交差点拡大図の双方に、前記自車に対して前記第1の所定距離よりも短い第2の所定距離前方の目安となる目安マークを重畳表示する目安マーク表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
そして、このような構成によれば、先ず、実画像上および交差点拡大図上の目安マークが、自車の進行にともなって案内ポイントである交差点の手前の交差点に該当する位置に重畳表示されるようになった際には、交差点拡大図上の目安マークが、交差点拡大図上の案内ポイントである交差点に該当する位置に重畳表示されていないことに基づいて、実画像上および交差点拡大図上の目安マークを、これらの表示位置に該当する前方の直近の交差点が案内ポイントではないことをユーザに把握させるための指標として有効に機能させることができる。次いで、更なる自車の進行にともなって、実画像上および交差点拡大図上の目安マークが、案内ポイントである交差点に該当する位置に重畳表示されるようになった際には、当該目安マークを、案内ポイントである交差点までの距離をユーザに感覚的に把握させるための指標として有効に機能させることができる。
【0010】
また、前記目安マークは、前記実画像および前記交差点拡大図にそれぞれ含まれる前記自車の進行先の道路を前記自車に対する第2の所定距離前方に該当する位置において横断する直線状の目安線であってもよい。
【0011】
そして、このような構成によれば、目安マークを、走行先の道路と交差点において交わる道路に沿った目安線として表示することによって、目安線と重なった道路が進入すべき道路であるか否かを感覚的に判断し易くすることができる。
【0012】
さらに、前記交差点拡大図は、前記算出された自車位置を示す自車位置マークが固定表示されているとともに、当該自車位置の変化に応じて拡大図本体が移動表示され、前記目安マークは、固定表示されていてもよい。
【0013】
そして、このような構成によれば、目安マークを固定表示することによって、目安マークを画面上で追跡する労力を要しなくすることができ、また、交差点拡大図を、実画像と同様に、自車の進行にともなって画像の方から自車側に近づくように構成することによって、交差点拡大図と実画像との位置関係を把握し易くすることができる。
【0014】
さらにまた、前記実画像および前記交差点拡大図は、少なくとも、前記自車に対する第2の所定距離前方に該当する位置同士が、横一線上の位置関係を有するように配置され、前記目安マークは、前記実画像および前記交差点拡大図にそれぞれ含まれる前記自車の進行先の道路を前記自車に対する第2の所定距離前方に該当する位置において横断する単一の直線状の目安線であってもよい。
【0015】
そして、このような構成によれば、目安マークを単一の目安線として表示することによって、実画像上の道路および交差点拡大図上の道路における自車から第2の所定距離前方の位置の把握を同時に行うことができるとともに、目安マークの表示処理を簡便化することができる。
【0016】
また、前記交差点拡大図は、拡大図本体が固定表示されているとともに、前記算出された自車位置を示す自車位置マークが、当該自車位置の変化に応じて移動表示され、前記実画像の前記目安マークは、固定表示され、前記交差点拡大図の前記目安マークは、前記算出された自車位置の変化に応じて移動表示されてもよい。
【0017】
そして、このような構成によれば、交差点拡大図を固定表示する場合においても、交差点拡大図上の目安マークを移動表示することによって、交差点拡大図における自車の第2の所定距離前方の継続的な把握が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自車の前方の距離の指標を、実世界との位置関係の把握および地図上の案内ポイントとの位置関係の把握が容易な状態で提示することによって、案内ポイントである交差点における右左折を適切に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の第1実施形態を示す構成図
【図2】第1実施形態において、制御系を示すブロック図
【図3】第1実施形態において、画面遷移例を示す模式図
【図4】第1実施形態の作用の一例を示すフローチャート
【図5】本発明に係るナビゲーション装置の第2実施形態において、画面遷移例を示す模式図
【図6】第2実施形態の作用の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るナビゲーション装置の第1実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態におけるナビゲーション装置1は、大別して、ナビゲーションメインユニット2と、このナビゲーションメインユニット2にそれぞれ接続された衛星航法受信機3、自律航法センサ4、操作部5、ディスプレイ6、スピーカ7および車載カメラ8とによって構成されている。
【0022】
ここで、衛星航法受信機3は、図示しない測位衛星から配信される測位信号(時刻や軌道を示す信号)を受信し、受信した測位信号をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。この衛星航法受信機は、例えば、GPSレシーバ等であってもよい。
【0023】
また、自律航法センサ4は、自車の車速、加速度(角速度)および自車方位等を検出し、検出結果をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。この自律航法センサ4は、車速センサやジャイロセンサ等からなるものであってもよい。
【0024】
さらに、操作部5は、操作内容に応じた操作信号をナビゲーションメインユニット2側に出力することによって、ナビゲーション装置1に対する種々の操作を行うことが可能とされている。操作部5は、リモコン、ディスプレイ6のタッチパネル、リニアエンコーダ、ロータリエンコーダまたは音声入力用のマイクロホン等であってもよい。
【0025】
さらにまた、車載カメラ8は、自車の前方の所定の撮像領域を所定のフレームレートで撮像(撮影)し、撮像画像をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。この車載カメラ8は、魚眼レンズ等の広角レンズを備えるとともに、CCDやCMOS等の固体撮像素子(撮像面)を備えたデジタルカメラであってもよい。また、車載カメラ8は、自車のルームミラーの背面に、自車の前方を捕捉するように取り付けられていてもよい。
【0026】
次に、ナビゲーションメインユニット2について詳述すると、図1に示すように、ナビゲーションメインユニット2は、システムバス9にそれぞれ接続されたナビCPU10、地図情報記憶手段としてのハードディスクドライブ(HDD)11、フラッシュメモリ12、RAM14、ユーザインターフェース(I/F)15、画像インターフェース(I/F)16、音声インターフェース(I/F)17およびカメラインターフェース(I/F)13を有している。
【0027】
ここで、ナビCPU10は、自車位置検出機能、地図表示機能、経路探索機能、経路誘導機能および検索機能等のナビゲーション装置1の各種の機能を実行するようになっている。
【0028】
また、ハードディスクドライブ11には、地図情報としての地図データが記憶されており、この地図データは、道路データフレーム、背景データフレーム、名称データフレーム、経路誘導データフレーム、経路計算データフレームおよび地点情報フレーム等の各種の物理データフレームによって構成されている。
【0029】
これらのうち、道路データフレームは、道路地図の表示等に用いられるようになっている。この道路データフレームには、リンク列データレコードが格納されており、このリンク列データレコードは、リンク列ヘッダ、リンク列の形状を示すリンク列形状情報、他のリンク列との関係を示すノード・リンク接続情報、ノード付加情報(リンクID、幅員・車線情報、道路名称等)、標高情報および通行規制情報等によって構成されている。
【0030】
また、背景データフレームは、背景地図の表示等に用いられるようになっている。この背景データフレームには、表示クラスごとにまとめられた図形データリスト列が格納されており、更に、各図形データリストには、図形(線または面)の形状を表現するための要素点座標情報(始点座標、オフセット座標等)が格納されている。
【0031】
さらに、名称データフレームは、地図上への文字列の表示等に用いられるようになっている。この名称データフレームには、表示クラスごとにまとめられた名称データリストが格納されており、この名称データリストは、名称データレコード列によって構成されている。この名称データフレームを用いて表示される文字列は、例えば、建物名、公園名、行政区画名および河川名等の表示クラスごとの表示対象地物の名称となる。
【0032】
さらにまた、経路誘導データフレームは、経路誘導に用いられるようになっており、この経路誘導データフレームには、誘導データフレーム、文字列データフレーム、形状データフレームおよびパターンデータフレーム等が格納されている。ここで、誘導データフレームには、交差点名称、道路名称および方面名称等が格納されている。また、文字列データフレームには、誘導データフレームと関連した実体の表示文字、発音文字およびアクセント情報等が格納されている。さらに、形状データフレームには、誘導データフレームと関連した実体を描画するための形状が格納されている。さらにまた、パターンデータフレームには、案内のために交差点の進入方向に応じた画像を描画するための実データが格納されている。この実データは、交差点拡大図のデータを含んでいる。
【0033】
また、経路計算データフレームは、目的地までの最適経路の計算に用いられるようになっており、この経路計算データフレームには、ノードデータフレーム、リンクデータフレーム、リンクコストデータフレーム、上位レベルノード・リンク対応データフレームおよびノード座標データフレーム等が格納されている。ここで、ノードデータフレームには、例えば、道路種別を複数まとめたランクの単位でノードデータが格納されている。また、リンクデータフレームには、リンクレコード、規制レコードおよびリンク間コストレコード等が格納されている。さらに、リンクコストデータフレームには、リンクIDやリンク自身のコスト等が格納されている。さらにまた、上位レベルノード・リンク対応データフレームには、当該レベルを基準とした上位のノードおよびリンクを特定する情報が格納されている。また、ノード座標データフレームには、ノードの座標が格納されている。
【0034】
さらに、地点情報フレームには地点情報が格納されている。この地点情報は、目的地または経由地の候補となる地点の検索や、地図上へのPOI(Points Of Interests)のアイコン(換言すれば、ランドマーク)の表示等に用いられるようになっている。この地点情報は、具体的には、地点の名称、位置(経緯度)、住所、郵便番号、電話番号、種別およびPOIのアイコン等によって構成されている。
【0035】
また、ハードディスクドライブ11には、ナビCPU10の実行プログラムが記憶されている。
【0036】
さらに、フラッシュメモリ12には、ナビゲーション装置1の起動とともにナビCPU10によってハードディスクドライブ11から読み出されたナビCPU10の実行プログラムが格納されるようになっており、この格納された実行プログラムがナビCPU10によって適宜実行されることによって、ナビゲーション装置1の各種の機能が適宜実行されるようになっている。
【0037】
さらにまた、RAM14は、ナビCPU10による処理結果等の各種のデータの一時的な保存等に用いられるようになっている。
【0038】
また、ユーザインターフェース15、画像インターフェース16、音声インターフェース17およびカメラインターフェース13には、操作部5、ディスプレイ6、スピーカ7および車載カメラ8がそれぞれ接続されている。
【0039】
次に、ナビCPU10について更に詳述すると、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、自車位置算出手段としての自車位置算出部18を有している。この自車位置算出部18には、衛星航法受信機3から出力された測位信号および自律航法センサ4から出力された検出結果が入力されるようになっている。そして、自車位置算出部18は、衛星航法受信機3側から入力された測位信号に基づいて、自車位置を絶対座標として算出(検出)する衛星航法を行うようになっている。また、自車位置算出部18は、自律航法センサ4側から入力された検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの相対的な変化分として算出する自律航法を行うようになっている。さらに、自車位置算出部18は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データを用いることによって、衛星航法および自律航法(ハイブリッド航法)によって算出された自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に補正するマップマッチング処理を行うようになっている。そして、自車位置算出部18は、マップマッチング処理が適正に行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置を最終的な算出結果とするようになっている。
【0040】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての地図描画部19を有している。この地図描画部19は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データを用いることによって、所定の領域を示す地図をディスプレイ6に表示するようになっている。この地図描画部19によって表示される地図には、自車位置算出部18によって算出された自車位置の周辺の地図や、操作部5を用いたスクロール操作によって指定された領域の地図が含まれる。
【0041】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての目的地設定部20を有している。この目的地設定部20は、目的地を設定するための各種の操作画面をディスプレイ6に表示した上で、表示された操作画面に対する操作部5の操作に応じた目的地を設定するようになっている。
【0042】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての経路探索部21を有している。この経路探索部21は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データに基づいて、自車位置算出部18によって算出された自車位置から目的地設定部20によって設定された目的地までの予め設定された経路探索条件に応じた最適経路を、ダイクストラ法等の経路計算方法を用いて探索するようになっている。経路探索条件は、デフォルトで設定される場合もあるし、ユーザが操作部5を用いた入力操作によって設定する場合もある。このとき、目的地設定部20によって経由地が設定されている場合には、経路探索部21は、設定された経由地を経由するような目的地までの最適経路を探索するようになっている。そして、経路探索部21は、探索された最適経路を、ディスプレイ6への表示によって誘導経路の候補としてユーザに提示するようになっている。
【0043】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、経路誘導手段としての経路誘導部22を有している。この経路誘導部22は、経路探索部21によって提示された最適経路を誘導経路に設定するための操作部5を用いた入力操作が行われると、この最適経路を誘導経路に設定するようになっている。誘導経路の設定は、誘導経路に関する情報、例えばリンクおよび目的地等をRAM14等に保存することによって行うようにしてもよい。そして、経路誘導部22は、誘導経路の設定の後に、設定された誘導経路にしたがった経路誘導を行うようになっている。
【0044】
具体的には、経路誘導部22は、自車位置算出部18によって算出された自車位置が、誘導経路上に存在する自車の進行方向を案内すべき(曲がるべき)交差点(以下、案内対象交差点と称する)に対して第1の所定距離手前の地点に到達したことを契機として、当該案内対象交差点に対応する交差点拡大図をディスプレイ6に表示するようになっている。ここで、交差点拡大図は、例えば、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データから、自車位置またはこれがマッチングするリンクに対応付けられた交差点拡大図のデータを抽出することによって生成することができる。また、第1の所定距離は、例えば、300mであってもよい。このような交差点拡大図の表示は、自車の案内対象交差点の第1の所定距離手前の地点への到達時から自車の案内対象交差点の通過(右左折)完了時まで継続的に行われる。
【0045】
この他にも、経路誘導部22は、スピーカ7を介して案内対象交差点の脱出方向を案内する交差点右左折案内を行うようになっている。
【0046】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、実画像表示手段としての実画像描画部23を有している。この実画像描画部23は、経路誘導部22による交差点拡大図の表示に連動して(同じタイミングで)、車載カメラ8の撮像画像に基づく自車の前方の実画像を、交差点拡大図と並べてディスプレイ6に表示するようになっている。ここで、実画像は、車載カメラ8の撮像画像の変化に応じて変化するようになっており、具体的には、ユーザが運転席から実際に目する自車の前方の風景と同様に、自車の進行(前進)にともなって、あたかも画像上の風景(走行先の道路等)の方から自車側に近づくような遷移(変化)を示すようになっている。このような実画像は、例えば、車載カメラ8の撮像画像を取得し、取得された撮像画像に対して、必要範囲の切り出しや、車載カメラ8の内部パラメータを用いた歪み補正等の画像処理を行うことによって生成することができる。また、このような実画像の表示は、交差点拡大図と同様に、自車の案内対象交差点の第1の所定距離手前の地点への到達時から自車の案内対象交差点の通過完了時まで継続的に行うようにしてもよい。
【0047】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、目安マーク表示手段としての目安マーク描画部24を有している。この目安マーク描画部24は、実画像描画部23による実画像の表示および経路誘導部22による交差点拡大図の表示に連動して(同タイミングで)、実画像および交差点拡大図の双方に、自車に対して第1の所定距離よりも短い第2の所定距離前方の目安となる目安マークを重畳表示するようになっている。ここで、第2の所定距離としては、ユーザが感覚的に把握し易く、なおかつ、鳥瞰図的に表示される実画像における道路上の該当位置を確実に指示できるとみなされる長過ぎない好適な距離を設定することが望ましい。例えば、第2の所定距離は、50mであってもよい。また、第2の所定距離は、製造時から固定されたものであってもよいし、または、ユーザ操作によって可変なものであってもよい。さらに、交差点拡大図への目安マークの重畳表示は、例えば、交差点拡大図のディスプレイ6上における表示位置(範囲)およびサイズ(縮尺)を把握した上で、交差点拡大図における自車の第2の所定距離前方に該当する位置を割り出し、割り出された位置を目安マークの表示位置に決定することによって行うようにしてもよい。さらにまた、実画像への目安マークの重畳表示は、例えば、実画像のディスプレイ6上における表示位置およびサイズを把握した上で、車載カメラ8の外部パラメータ等に基づいて実画像における自車の第2の所定距離前方に該当する位置を割り出し、割り出された位置を目安マークの表示位置に決定することによって行うようにしてもよい。あるいは、実画像上における目安マークの表示位置の決定は、車載カメラ8の取り付け時のイニシャライズにおいて行うようにしてもよい。このような目安マークの重畳表示は、実画像および交差点拡大図の表示期間に合わせて、自車の案内対象交差点の第1の所定距離手前の地点への到達時から自車の案内対象交差点の通過完了時まで継続的に行うようにしてもよい。
【0048】
そして、このような構成によれば、先ず、実画像上および交差点拡大図上の目安マークが、自車の進行にともなって案内対象交差点の手前の交差点に該当する位置に重畳表示されるようになった際には、交差点拡大図上の目安マークが、交差点拡大図上の案内対象交差点に該当する位置に重畳表示されていないことに基づいて、実画像上および交差点拡大図上の目安マークを、これらの表示位置に該当する前方の直近の交差点が案内ポイントではないことをユーザに把握させるための指標として有効に機能させることができる。次いで、更なる自車の進行にともなって、実画像上および交差点拡大図上の目安マークが、案内対象交差点に該当する位置に重畳表示されるようになった際には、当該目安マークを、案内対象交差点までの距離をユーザに感覚的に把握させるための指標として有効に機能させることができる。
【0049】
上記構成に加えて、更に、本実施形態において、経路誘導部22は、交差点拡大図を、自車位置算出部18によって算出された自車位置に該当する表示位置に、自車位置を示す自車位置マークが固定表示された表示態様であって、当該算出された自車位置の変化に応じて拡大図本体(背景)が移動表示(スクロール)される表示態様で表示するようになっている。なお、地図データ側では、このような交差点拡大図の移動表示を行うために、例えば、予め、交差点拡大図のデータを、交差点拡大図の移動表示範囲を網羅したサイズまたは画像パターン数のデータとして、自車位置と移動表示量とを対応付けた状態で用意しておくようにしてもよい。さらに、本実施形態において、目安マーク描画部24は、目安マークを固定表示するようになっている。
【0050】
そして、このような構成によれば、目安マークを固定表示することによって、目安マークを画面上で追跡する労力を要しなくすることができる。また、交差点拡大図を、実画像と同様に、自車の進行にともなって画像の方から自車側(自車位置側)に近づくように構成することによって、交差点拡大図の遷移状態を、実画像の遷移状態と整合させることができるので、交差点拡大図と実画像との位置関係を把握し易くすることができる。
【0051】
上記構成に加えて、更に、本実施形態において、目安マーク描画部24は、目安マークとして、実画像および交差点拡大図にそれぞれ含まれる自車の進行先の道路を自車に対する第2の所定距離前方に該当する位置において横断する直線状の目安線を表示してもよい。
【0052】
そして、このような構成によれば、目安マークを、走行先の道路と交差点において交わる道路に沿った目安線として表示することによって、目安線と重なった道路が進入すべき道路であるか否かを感覚的に判断し易くすることができる。
【0053】
上記構成に加えて、更に、本実施形態において、実画像描画部23および経路誘導部22は、実画像および交差点拡大図を、少なくとも、自車に対する第2の所定距離前方に該当する位置同士が、横一線上の位置関係を有するように配置してもよい。この場合に、目安マーク描画部24は、目安マークとして、実画像および交差点拡大図にそれぞれ含まれる自車の進行先の道路を自車に対する第2の所定距離前方に該当する位置において横断する単一の直線状の目安線を表示してもよい。
【0054】
そして、このような構成によれば、目安マークを単一の目安線として表示することによって、実画像上の道路および交差点拡大図上の道路における自車から第2の所定距離前方の位置の把握を同時に行うことができるとともに、目安マークの表示処理を簡便化することができる。
【0055】
次に、図3は、本実施形態における画面遷移例を示したものである。ここで、図3(a)は、交差点拡大図および実画像の表示期間中のある時点における交差点拡大図Cおよび実画像Rの表示状態である。また、図3(b)は、図3(a)の時点から所定時間が経過した時点における交差点拡大図Cおよび実画像Rの表示状態である。図3に示すように、交差点拡大図Cは、これの下端部近傍に、自車の進行方向(前方)を上方に見立てた自車位置マークMが固定表示されているとともに、拡大図本体(背景)が、自車の走行先の道路を上方から俯瞰したような二次元画像となっている。また、交差点拡大図Cにおける案内対象交差点Gに該当する位置には、この案内対象交差点Gにおける誘導経路に応じた進行方向としての右折を指示する矢印が重畳表示されている。なお、本発明においては、この矢印は、拡大図本体に含めて扱うこととする。一方、実画像Rは、交差点拡大図Cの左側に隣接配置されており、この実画像Rは、運転席から実際に見える前方の風景と同様に、鳥瞰図的な画像となっている。そして、これら交差点拡大図Cおよび実画像Rにおける自車から第2の所定距離前方に該当する位置には、各画像C,Rに含まれる互いに同一の自車の走行先の道路を横断するような破線直線状の1本の目安線Lが重畳表示されている。目安線Lは、実画像Rの左端から交差点拡大図Cの右端にわたって横一線状に引かれている。さらに、図3(a)と図3(b)とを比較すれば分かるように、交差点拡大図Cおよび実画像Rは、いずれも、自車の前方への進行にしたがって画像C、R上の道路の方から自車側に近づくような遷移を示す。これに対して、目安線Lは、各画像C,R上(換言すれば、ディスプレイ6の所定の画素領域)に固定表示されている。
【0056】
そして、図3(a)に示すように、先ず、目安線Lが、案内対象交差点の1つ手前の交差点に該当する位置に重畳表示された際には、ユーザは、目安線Lが重畳表示されている目の前の交差点よりも前方に交差点拡大図C上の案内対象交差点Gが存在することに容易に気付いて、目の前の交差点が曲がるべき交差点ではないことを即座に把握することができる。
【0057】
次いで、図3(b)に示すように、目安線Lが、案内対象交差点に該当する位置に重畳表示された際には、ユーザは、案内対象交差点まで第2の所定距離であることを感覚的に容易に把握して、右折に備えることができる。
【0058】
次に、本実施形態の作用の一例について、図4を参照して説明する。
【0059】
なお、便宜上、初期状態においては、目的地までの誘導経路の設定が完了しているものとする。
【0060】
そして、初期状態から、まず、図4のステップ1(ST1)において、経路誘導部22により、誘導経路にしたがった経路誘導を開始する。
【0061】
次いで、ステップ2(ST2)において、経路誘導部22により、自車位置算出部18の算出結果に基づいて、自車が案内対象交差点まで第1の所定距離手前の地点に到達したか否かを判定する。そして、ステップ2(ST2)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ3(ST3)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)を繰り返す。
【0062】
次いで、ステップ3(ST3)において、経路誘導部22により、交差点拡大図の表示を開始するとともに、これに連動して、実画像描画部23による実画像の表示および目安マーク描画部24による交差点拡大図上および実画像上への目安マークの重畳表示を開始する。
【0063】
次いで、ステップ4(ST4)において、経路誘導部22により、自車位置算出部18によって算出された自車位置が変化したか否かを判定する。そして、ステップ4(ST4)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ5(ST5)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ4(ST4)を繰り返す。
【0064】
次いで、ステップ5(ST5)において、経路誘導部22により、自車位置の変化量に応じて交差点拡大図(拡大図本体)を移動表示する。このとき、実画像は、自車の進行(自車位置の変化)にともなって車載カメラ8の撮像画像が変化したことにより、この変化に応じた遷移を示す。一方、目安マークおよび自車位置マークについては、表示を固定したままとする。
【0065】
次いで、ステップ6(ST6)において、経路誘導部22により、自車位置算出部18の算出結果に基づいて、自車が案内対象交差点の通過(右左折)を完了したか否かを判定する。そして、ステップ6(ST6)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ7(ST7)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ4(ST4)に戻る。
【0066】
次いで、ステップ7(ST7)において、経路誘導部22により、交差点拡大図の表示を終了するとともに、これに連動して、実画像描画部23による実画像の表示および目安マーク描画部24による目安マークの重畳表示を終了する。その後は、目的地への到着判定がなされるまでステップ1(ST1)からステップ7(ST7)を繰り返せばよい。
【0067】
(第2実施形態)
次に、ナビゲーション装置の第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に、図5および図6を参照して説明する。
【0068】
本実施形態の第1実施形態との相違点は、交差点拡大図およびこれに重畳表示される目安マークの表示態様にある。
【0069】
すなわち、本実施形態において、経路誘導部22は、交差点拡大図を、拡大図本体が固定表示された表示態様であって、自車位置マークが、自車位置算出部18によって算出された自車位置の変化に応じて移動表示される表示態様で表示するようになっている。また、本実施形態において、目安マーク描画部24は、交差点拡大図の目安マークを、自車位置の変化に応じて移動表示するようになっている。
【0070】
図5(a)および図5(b)は、このような本実施形態の画面遷移例を示したものである。図5を図3と比較すれば分かるように、本実施形態においては、交差点拡大図C上の目安線Lcが、実画像R上の目安線Lrとは独立した画像となっており、自車の進行にともなって、交差点拡大図C上の目安線Lcが、固定表示となっている実画像R上の目安線Lrから上方に離れるように移動するようになっている。
【0071】
次に、本実施形態の作用の一例は、図6に示す通りである。
【0072】
すなわち、図6に示すように、本実施形態においては、ステップ1(ST1)〜ステップ4(ST4)の一連の処理ならびにステップ6(ST6)およびステップ7(ST7)の一連の処理については、第1実施形態の図4と同様である。これに対して、本実施形態においては、図4のステップ5(ST5)の代わりに、ステップ5’(ST5’)を実行する。すなわち、ステップ5’(ST5’)においては、経路誘導部22により、自車位置算出部18によって算出された自車位置の変化量に応じて自車位置マークを移動表示させるとともに、目安マーク描画部24により、当該算出された自車位置の変化量に応じて交差点拡大図上の目安マークを移動表示させる。ただし、実画像上の目安マークおよび交差点拡大図本体については、表示を固定したままとする。
【0073】
以上述べたように、本発明によれば、自車の前方の距離の指標としての目安マークを、実世界との位置関係の把握および地図上の案内ポイントとの位置関係の把握が容易な状態で提示することによって、目安マークを、前方の直近の交差点が案内対象交差点ではないことをユーザに把握させるための指標および案内対象交差点までの距離をユーザに感覚的に把握させるための指標の双方として有効に機能させることができる。これにより、ユーザが案内対象交差点の手前で誤って曲がることを未然に回避することができ、案内対象交差点での右左折を適切に支援することができる。
【0074】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0075】
例えば、目安マークは、目安線以外のマークであってもよく、例えば、実画像および交差点拡大図における自車の第2の所定距離前方に該当する位置を指示する矢印等であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 ナビゲーション装置
8 車載カメラ
11 ハードディスクドライブ
18 自車位置算出部
22 経路誘導部
24 目安マーク描画部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報が記憶された地図情報記憶手段と、
自車位置を算出する自車位置算出手段と、
目的地までの誘導経路にしたがった経路誘導を行う経路誘導手段と
を備え、
前記経路誘導手段は、前記自車位置算出手段によって算出された前記自車位置が、前記誘導経路上に存在する自車の進行方向を案内すべき交差点に対して第1の所定距離手前の地点に到達したことを契機として、前記地図情報記憶手段に記憶された前記地図情報に基づく交差点拡大図を表示部に表示する
ナビゲーション装置であって、
前記自車の進行先の道路を含む前記自車の前方の所定の撮像領域を撮像する車載カメラと、
前記経路誘導手段による前記交差点拡大図の表示に連動して、前記車載カメラの撮像画像に基づく実画像を前記交差点拡大図と並べて表示する実画像表示手段と、
この実画像表示手段による前記実画像の表示および前記経路誘導手段による前記交差点拡大図の表示に連動して、前記実画像および前記交差点拡大図の双方に、前記自車に対して前記第1の所定距離よりも短い第2の所定距離前方の目安となる目安マークを重畳表示する目安マーク表示手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記目安マークは、前記実画像および前記交差点拡大図にそれぞれ含まれる前記自車の進行先の道路を前記自車に対する第2の所定距離前方に該当する位置において横断する直線状の目安線であること
を特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記交差点拡大図は、前記算出された自車位置を示す自車位置マークが固定表示されているとともに、当該自車位置の変化に応じて拡大図本体が移動表示され、
前記目安マークは、固定表示されていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記実画像および前記交差点拡大図は、少なくとも、前記自車に対する第2の所定距離前方に該当する位置同士が、横一線上の位置関係を有するように配置され、
前記目安マークは、前記実画像および前記交差点拡大図にそれぞれ含まれる前記自車の進行先の道路を前記自車に対する第2の所定距離前方に該当する位置において横断する単一の直線状の目安線であること
を特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記交差点拡大図は、拡大図本体が固定表示されているとともに、前記算出された自車位置を示す自車位置マークが、当該自車位置の変化に応じて移動表示され、
前記実画像の前記目安マークは、固定表示され、
前記交差点拡大図の前記目安マークは、前記算出された自車位置の変化に応じて移動表示されること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−44637(P2013−44637A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182447(P2011−182447)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】