説明

ナビゲーション装置

【課題】複数のユーザでナビゲーション装置を使用する場合に、本当に必要なときを判定してユーザ選択の要求を行うこと。
【解決手段】ナビゲーション装置の起動時に、現在位置検出部が現在位置を検出し、ユーザ選択判定手段が、検出された現在位置と記憶部に登録された自宅や会社等の登録地点とを比較し、その結果現在位置が登録地点から所定距離範囲或いは所定走行時間範囲内である場合にユーザ選択の要求を行い、制御部は、記憶部に記憶されたユーザの固有設定のうち、このユーザ選択の要求に応えてユーザによって選択されたユーザに対応する固有設定に従ってこのナビゲーション装置を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台を複数のユーザで使用できるナビゲーション装置に関するもので、より詳細には、どのユーザがナビゲーション装置を使用するかについてのユーザ選択要求を、本当に必要なときにだけ行われるようにしたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1台の電子装置を複数のユーザで使用する際に、各ユーザ毎の設定を個別に記憶しておき、使用する際に各ユーザの設定を呼出して使用することは良く知られていた。例えば、下記特許文献1(特開平6−38007号公報)は、1台のファクシミリ装置を複数人で共同で使用する場合に、各個人が自由に装置の設定を登録できるようにしたファクシミリ装置を開示している。具体的には、各種機能の登録内容を記憶する領域を、複数人で共有する領域と各個人用の領域に分け、個人IDが入力されると個人モード設定のファクシミリ動作が行われ、例えばワンタッチダイヤルが押下されると、各個人専用の登録内容が参照されることによって各個人の登録内容に従った動作が行われるようになる。
【0003】
同様に、自動車の経路案内を行うナビゲーション装置の場合においても、1台の装置を複数のユーザで使用することがある。そこで、各ユーザの設定を記憶しておき、使用する際に各ユーザの設定を呼出して使用できるナビゲーション装置が開発されてきた。例えば、下記特許文献2(特開平10−26538号公報)は、複数のユーザが操作することを想定し、各ユーザの個人情報を登録しておいて、ユーザが代わった場合に各ユーザ毎の個人情報を読出すことのできるナビゲーション装置を開示している。
【0004】
また、下記特許文献3(特開2009−168772号公報)は、外部の情報管理サーバとの間で通信が可能なナビゲーション装置であって、起動時にユーザ認証を行い認証結果を情報管理サーバに送信し、情報管理サーバは受信したユーザIDに対応するユーザ設定情報を抽出してナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置においては受信したユーザ設定情報に基づいて各種機能の設定がなされるようにしたナビゲーション装置を開示している。
【0005】
下記特許文献2及び3のナビゲーション装置によれば、複数のユーザで1台のナビゲーション装置を共同使用する場合に、各ユーザの設定を呼出して動作させることが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−38007号公報
【特許文献2】特開平10−26538号公報
【特許文献3】特開2009−168772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2及び3のナビゲーション装置においては、装置の起動時や自動車のアクセサリー電源(ACC電源)がオンになる度にユーザ選択やユーザ認証が行われた。日常的に複数のユーザで共同使用されるナビゲーション装置であっても、場合によっては一日中1人で使用するような場合がある。例えば、1人で自宅を出発した後一日中運転を行って自宅に戻るというような場合である。このような場合、ユーザ選択の要求が必要なのは自宅を出発するときだけであり、途中で自動車のエンジンを起動させる度にそれを行う必要はない。自動車のエンジンを再度起動する度にユーザ選択やユーザ認証の問合せが行われるなら、その都度設定のために必要とされる操作はユーザにとって面倒であり、さらに、それにユーザ認証が加わるならばさらに煩雑な操作が求められ、ユーザの利便性が損なわれるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、複数のユーザでナビゲーション装置を使用する場合において、本当に必要なときを判定してユーザ選択の要求を行うようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ユーザ選択判定手段を有する制御部と、現在位置検出手段と、登録地点及び複数のユーザ毎の固有設定を記憶する記憶部と、を備えるナビゲーション装置であって、ナビゲーション装置の起動時に、前記現在位置検出部が現在位置を検出し、前記ユーザ選択判定手段が、検出された現在位置と前記記憶部に登録された登録地点とを比較し、その結果現在位置が前記登録地点から所定範囲内である場合にユーザ選択の要求を行い、前記制御部は、前記記憶部に記憶されたユーザの固有設定のうち、選択された固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のナビゲーション装置の一態様は、前記ユーザ選択判定手段が、現在位置が前記登録地点から所定距離範囲内にあると判定した場合にユーザ選択の要求を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のナビゲーション装置の一態様は、前記制御部が経路探索手段を更に有し、前記ユーザ選択判定手段が、前記経路探索手段による経路探索の結果に基づいて、現在位置が前記登録地点から所定走行時間範囲内にあると判定した場合にユーザ選択の要求を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のナビゲーション装置の一態様は、前記制御部が、ナビゲーション装置の使用終了時に、それまでナビゲーション装置が動作してきた固有設定に対応するユーザ識別情報を前回使用ユーザとして前記記憶部に記憶させておき、ナビゲーション装置が再び起動された際にユーザ選択の要求が行われて所定時間経過したにも関わらずユーザが選択されない場合には、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記識別情報に対応する固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のナビゲーション装置の一態様は、前記記憶部に記憶される前記ユーザ毎の固有設定が、特定のユーザ毎の固有設定に加えて不特定のユーザ向けの設定を有するようにし、ナビゲーション装置が起動された際に固有設定の選択要求が行われて所定時間経過したにも関わらず選択されない場合には、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記不特定のユーザ向けの固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のナビゲーション装置の一態様は、前記ナビゲーション装置が表示部と操作部とを備え、前記制御部は前記表示部に表示させる画像を生成制御する表示制御手段を有し、前記ユーザ選択判定手段が、前記表示制御手段によって前記表示部にユーザ選択画面を表示させることによってユーザ選択の要求を行い、前記制御部は前記操作部が操作されることによって選択された固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下のような優れた効果を発揮する。すなわち、ナビゲーション装置の起動時に、前記現在位置検出部が現在位置を検出し、前記ユーザ選択判定手段が、検出された現在位置と前記記憶部に登録された登録地点とを比較し、その結果現在位置が前記登録地点から所定範囲内である場合にユーザ選択の要求を行い、前記制御部は、前記記憶部に記憶されたユーザの固有設定のうち、選択された固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させる。従って、自宅や会社付近でナビゲーション装置を起動させた際に一旦ユーザ設定を行ってしまえば、再び自宅や会社に戻ってくるまでの間はナビゲーション装置が再度起動したとしても不要なユーザ設定要求が行われないようにすることが可能となる。
【0016】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、ナビゲーション装置が自宅や会社等の登録地点から所定距離範囲内で起動されたときにのみユーザを選択設定する選択要求が行われるようになる。これにより、ユーザは登録地点と所定距離を設定しておけば、登録地点付近の道路上や駐車場等でナビゲーション装置を起動させた際だけにユーザ設定要求を行われるようにすることが可能となる。
【0017】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、ナビゲーション装置が自宅や会社等の登録地点から所定走行時間範囲内で起動されたときにのみユーザを選択設定する選択要求が行われるようになる。これにより、ユーザは登録地点と所定走行時間を設定しておけば、登録地点付近の道路上や駐車場等でナビゲーション装置を起動させた際だけにユーザ設定要求を行われるようにすることが可能となる。
【0018】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、制御部が、ナビゲーション装置の使用終了時に、それまでナビゲーション装置が動作してきた固有設定に対応するユーザ識別情報を前回使用ユーザとして前記記憶部に記憶させておき、ナビゲーション装置が再び起動された際にユーザ選択の要求が行われて所定時間経過したにも関わらずユーザが選択されない場合には、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記識別情報に対応する固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させることができる。
【0019】
これにより、ユーザがユーザの選択設定を行おうとしなかった場合や、ユーザにとって不必要なユーザの選択設定要求が行われた場合に、何も操作を行わないでいることによって以前の設定を適用させることができ、操作を簡略化できる。
【0020】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、記憶部に記憶される前記ユーザ毎の固有設定が、特定のユーザ毎の固有設定に加えて不特定のユーザ向けの設定を有するようにし、ナビゲーション装置が起動された際に固有設定の選択要求が行われて所定時間経過したにも関わらず選択されない場合には、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記不特定のユーザ向けの固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させる。これにより、ナビゲーション装置に適切なユーザの固有設定が記憶されていない場合等に、ユーザはいずれかのユーザの設定を選択する必要がなく、その場合にただ単に操作を所定時間行わないことで、不特定ユーザ向けの設定を適用することができる。
【0021】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、ユーザ選択の要求をユーザ選択画面を表示部に表示することによって行い、操作部を操作することによって固有設定の選択を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例のナビゲーション装置の内部ブロック図である。
【図2】実施例1のナビゲーション装置におけるユーザ選択設定の動作を示すフローチャートである。
【図3】表示部に表示されるユーザ選択設定要求画面の一例を示す図である。
【図4】実施例2のナビゲーション装置100におけるユーザ選択設定の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願発明を実施するための最良の形態を実施例として図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示として説明するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなくその他のナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1のナビゲーション装置100について、図1を参照して説明する。なお、図1は実施例のナビゲーション装置100の内部ブロック図である。ナビゲーション装置100は、制御部110、現在位置検出部120、地図情報記憶部130、操作部140、表示部150、記憶部160、報知部170、乗車人数判定部180を備えて構成される。
【0025】
制御部110は、CPU、ROM、RAM(それぞれ図示せず)を備えて構成され、ROMやRAMに記憶された制御プログラムをCPUにおいて実行することにより、ナビゲーション装置100全体及び下記の各手段の動作を制御・統括する。すなわち、制御部110は、経路探索手段111、経路案内手段112、表示制御手段113、ユーザ選択判定手段114を有する。
【0026】
経路探索手段111は、後述する出発地と目的地を、操作部140を操作して入力設定するようにユーザに要求し、ユーザが操作部140を操作することによって出発地と目的地が設定されると、地図情報記憶部130に記憶された地図データを参照し、ダイクストラ法等の手法によって出発地から目的地に到達する経路を探索し、道路データを構成するリンクのリンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を案内経路データとして生成し、記憶部160に記憶する。なお、出発地は現在位置検出部120によって検出された現在位置であってもよい。
【0027】
経路案内手段112は、経路探索手段111によって探索された最適経路の最適経路データと現在位置検出部120によって特定された現在位置の情報とに基づいて、ユーザが現在位置からどのように進むべきかを案内する。この案内は、経路案内画像の表示指示を表示制御手段113に対して行い、表示制御手段113が表示部150に表示されている地図上に案内経路、及び現在位置を重ね合わせて表示させるとともに、右左折の指示等の経路案内画像を表示部150に表示させることによって行う。さらに、経路案内手段112が音声案内メッセージを報知部170から出力させることによって、経路案内を行う。
【0028】
表示制御手段113は、表示部150に表示するための画像を生成するとともに表示制御する。表示制御手段113は、例えば、現在位置検出部120によって検出された現在位置周辺の地図情報を地図情報記憶部130から取得して地図画像を作成し、これに現在位置表示画像を重ね合わせて表示部150に表示する。また、表示制御手段113は、経路案内手段112からの指示に基づいて、経路案内画像を生成して表示部150上の地図画像に重ね合わせて表示する。経路案内画像は、例えば、右左折の指示画像等である。また、表示制御手段113は、ユーザ選択判定手段114からの指示に基づいてユーザ選択設定要求画面を作成し、表示部150に表示する。
【0029】
ユーザ選択判定手段114は、ナビゲーション装置100が起動された際に、ユーザ選択の要求を行うか否かを判定し、ユーザ選択の要求画面を表示制御手段113によって生成して表示部150に表示、或いは、報知部170によって報知するものである。ユーザ選択の要求を行うか否かの判断をどのように行うかについては、後述する。
【0030】
現在位置検出部120は、GPS受信手段、自律航法手段(それぞれ図示せず)を備えて構成される。GPS受信手段は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波(衛星信号)を受信し、それに基づいて位置情報(GPS測位位置)を所定時間間隔毎に算出する。自律航法手段は、ナビゲーション装置100に内蔵、或いは車両に取付けられた加速度センサや角速度センサからの加速度や角速度の出力値に基づいてGPS受信手段によって検出された現在位置を補完する。
【0031】
地図情報記憶部130は地図データを記憶しているが、それら地図データはメッシュ単位に分けて記憶され、さらに、道路データ、建物データ、背景データ、テキストデータから構成される。道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、交差点情報や交差点名称、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。
【0032】
建物データは、建物の少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、駅、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。また背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標(緯度・経度)のデータを含んで構成される。
【0033】
操作部140は、タッチパッド等によって構成された位置入力装置であり、表示部150の表面上に形成される。操作部140は、出発地や目的地の設定入力、ユーザ選択入力、ユーザ認証入力等を行うために使用される。表示部150は、本実施例では液晶パネルであり、表示制御機能112によって生成される地図画像や経路案内画像、ソフトウェアキーの表示を行う。表示部150と操作部140はタッチパネル或いはタッチスクリーンを構成する。
【0034】
記憶部160は、出発地や目的地、出発地から目的地に到達する案内経路を記憶している。記憶部160はさらに、どのユーザにとっても共通の基本設定と、ユーザ毎の固有設定とを記憶している。どのユーザに対しても共通の基本設定としては、このナビゲーション装置の所有者によって設定される自宅、会社、営業所等の予め設定された登録地点がある。また、ユーザ毎の固有設定としては、各ユーザの氏名、ユーザ設定画面に表示されるユーザを識別するための画像、ユーザ毎の走行履歴、各ユーザによって記憶された地点(マイ地点リスト)、音声によって案内するか否かの情報や音声言語や表示言語、表示部150に表示する表示画面の構成や表示する文字の大きさといった表示態様、地図を北を上方向にして表示するか進行方向を上方向にして表示するか等の設定情報がある。記憶部160には、さらに前回ナビゲーション装置100を動作させた際に設定された固有設定の情報(固有設定を識別するためのID等)が記憶されており、該情報に基づき前回使用したユーザを特定することができる。
【0035】
報知部170は、アンプやスピーカを備えて構成される。そして、報知部170は、ユーザ選択判定手段114や経路探索手段111から出力指示される音声案内メッセージを音声として出力する。
【0036】
乗車人数判定部180は、例えば、自動車の座席シートの表皮とクッションの間、或いは、クッションとシートパンの間に配置された乗員検知センサ(図示せず)に接続され、乗員検知センサの出力に基づいて自動車に何人乗車しているか、或いは、どの座席に乗員が座っているかということを判定する。
【0037】
乗員検知センサは、相対する一対のフィルムに対向接点を複数取付け、負荷の大きさに応じてこの対向接点の接触面積が変化することで電気抵抗値が変化することを利用したセンサである。乗員検知センサをそれぞれの座席に設けておき、乗員検知センサの抵抗値の変化を測定することによって、自動車に何人乗車しているか、或いは、どの座席に乗員が座っているかということを検出できる。
【0038】
なお、乗員検知センサは、感圧スイッチを利用したものや静電容量の変化を利用したものであっても良い。さらに、乗車人数判定部180として、携帯電話感受装置に接続したりBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用したりして乗員の携帯電話機の台数を検知することによって乗車人数を特定するものを採用してもよい。
【0039】
次に、実施例1におけるナビゲーション装置100のユーザ選択設定の動作を、図2及び図3を参照して、説明する。なお、図2は、実施例1のナビゲーション装置100におけるユーザ選択設定の動作を示すフローチャートである。図3は、表示部150に表示されるユーザ選択設定要求画面の一例を示す図である。
【0040】
まず、ユーザが自動車に乗車し、キーを差込んでアクセサリー電源(ACC電源)オンの位置まで回すと、ナビゲーション装置100に電源が供給されるようになり、ナビゲーション装置100が起動される。この他、ナビゲーション装置100の電源スイッチを操作して電源オンにすることでナビゲーション装置を起動させてもよい。
【0041】
ナビゲーション装置100が起動されると、ステップS201において、現在位置検出部120が現在位置を検出する。次いで、ステップS202に進み、ユーザ選択判定手段114が、検出された現在位置と記憶部160に予め記憶された登録地点とを比較し両者が一致するか否かを判定する。登録地点は、ナビゲーション装置100の所有者によって予め設定されて記憶部160に記憶されるが、例えば、自宅や会社、営業所等である。
【0042】
検出された現在位置が登録地点である場合には、ステップS203に進み、ユーザ選択判定手段114は、表示制御手段113に対してユーザ選択設定要求画面の表示指示を行い、表示制御手段113は、図3に示すようなユーザ選択設定要求画面を作成して表示部150に表示する。表示制御手段113は、記憶部160から、ナビゲーション装置100に登録してある各ユーザの氏名と表示画像を呼出し、表示部150に表示し、ユーザが選択設定できるようにする。
【0043】
ステップS204において、ユーザが操作部140を操作することによって特定のユーザを選択したか否かを判定し、選択が行われない場合は所定の期間、例えば10秒間だけ選択入力を待機する。
【0044】
所定の期間内に特定のユーザが選択されると、ステップS205において、制御部110は、ユーザによって選択された特定のユーザの固有設定を記憶部160から呼出し、その設定内容を適用して、ナビゲーション装置100の各部を動作させる。例えば、ユーザの固有設定に地図を北を上にして表示し、言語を英語で表示するといった設定が含まれている場合、表示部150には、経路案内用の地図画像は北を上にして表示され、言語も英語で表示されるようになる。また、記憶された地点のリストをユーザが参照しようとした場合には、当該ユーザによって記憶された地点(マイ地点リスト)が表示されるようになる。
【0045】
ステップS204において、ユーザ選択が所定期間行われなかった場合は、制御部110は、記憶部160に記憶された前回使用したユーザがだれであるかについての情報を参照し、前回使用ユーザの固有設定を現在のユーザの固有設定として設定し、動作を行わせる。
【0046】
ステップS202において、ユーザ選択判定手段114によって、検出された現在位置が記憶部160に予め記憶された登録地点でない場合、ステップS206に進み、制御部110は記憶部160に記憶された前回使用したユーザがだれであるかについての情報を参照し、前回使用ユーザの固有設定を現在のユーザの固有設定として設定し、動作を行わせる。
【0047】
ステップS207において、ナビゲーション装置100の使用が終了したか否かを判定する。ナビゲーション装置100は、例えば、自動車のエンジンが停止され、ACC電源オフの位置にキーが戻されたときに使用終了と判断される。また、ユーザによってナビゲーション装置100の電源スイッチがオフされたときであってもよい。使用終了であると判定された場合、ステップS208において、制御部110は現在使用中のユーザの情報(前回使用したユーザの情報)を記憶部160に記憶し、処理を終了する。
【0048】
上記に説明した方法によれば、例えば、自宅で自動車に乗車しナビゲーション装置100を起動させた場合に、表示部150にユーザの選択設定要求画面が表示される。そこで、ユーザは、表示されたユーザの選択肢の中から該当するユーザ画像を選択設定し、自宅を出発する。自宅以外の場所で用事を済ませるために停車しエンジンを切ったためにナビゲーション装置100が停止され、用事を済ませた後に自動車に乗り込みナビゲーション装置100を再度起動した際には、ユーザの選択設定画面は表示されず、ユーザは再度ユーザの選択設定を行う必要がない。
【0049】
上記に説明した方法によれば、現在位置が登録地点にある場合にユーザの選択設定画面が表示されたが、本発明はこれに限られない。現在地点が登録地点から所定範囲内の地点である場合に選択設定画面が表示されるようにしてもよい。所定範囲は、ナビゲーション装置100の所有者が任意に設定可能であるが、例えば100mの距離に設定される。この場合、登録地点が自宅であれば、自動車が自宅から100mの範囲にあるときにナビゲーション装置100が起動されるとユーザの選択設定画面が表示されるようになる。
【0050】
また、所定範囲を、例えば登録地点から経路探索を行って走行時間5分以内の範囲というように設定してもよい。この場合、登録地点が自宅であれば、自動車が自宅から5分の走行距離の範囲内にあるときにナビゲーション装置100が起動された場合にユーザの選択設定画面が表示されるようになる。
【0051】
また、記憶部160に、各ユーザ毎の固有設定に加え、不特定のユーザ向けの設定を記憶しておき、ステップS204において、ユーザ選択が所定期間行われなかった場合は、制御部110は、記憶部160に記憶された不特定のユーザ向けの設定を読出して、現在のユーザの固有設定として設定し、動作を行わせるようにしてもよい。
【0052】
また、上記には、登録地点として記憶部160に自宅、会社、営業所等が予め設定された場合を説明したが、この登録地点を実際の使用状況に基づいて学習させるようにしてもよい。つまり、ユーザによって使用するユーザが選択された場合に、それまで使用してきたユーザ、或いは前回使用ユーザが、今回選択されたユーザと同一であるか否かをユーザ選択判定手段114が判定し、異なるユーザであると判定した場合に、その際の現在位置を登録地点として記憶部160に登録する。なお、登録地点としての登録は、ユーザの変更が所定回数を超えた地点に限って行われるようにしてもよい。
【実施例2】
【0053】
次に、本発明の実施例2のナビゲーション装置100について説明する。実施例2のナビゲーション装置100は、図1において説明した実施例1のナビゲーション装置100と同一の構成であるので、ナビゲーション装置100各部の説明は省略し、その動作についてのみ図4を参照して説明する。なお、図4は、実施例2のナビゲーション装置100におけるユーザ選択設定の動作を示すフローチャートである。
【0054】
まず、ユーザが自動車に乗車し、キーを差込んでアクセサリー電源(ACC電源)オンの位置まで回すと、ナビゲーション装置100に電源が供給されるようになり、ナビゲーション装置100が起動される。或いは、ナビゲーション装置100の電源スイッチを操作して電源オンにすることでナビゲーション装置を起動させる。
【0055】
ナビゲーション装置100が起動されると、ステップS401において、ユーザ選択判定手段114は、記憶部160を参照して目的地が既に設定されているか否かを判定し、目的地が設定されていない場合はステップS402の処理に進み、目的地が設定されている場合はステップS404の処理に進む。
【0056】
ステップS402において、経路探索手段111が出発地と目的地の設定を行う設定画面の表示指示を表示制御手段113に対して行い、表示制御手段113は表示部150に出発地、及び目的地の設定画面を表示し、ユーザに目的地の設定を促し、ステップS403の処理に進む。
【0057】
ステップS402においてユーザ操作部140を操作することによって目的地の設定をキャンセルされた場合や目的地設定画面が表示されて所定時間経過しても何の設定も行われない場合、処理を終了するか、実施例1に記載したような処理手順に沿って動作させる。
【0058】
ステップS403において、ユーザが操作部140を操作することによって出発地や目的地を設定すると、続くステップS404の処理に進む。
【0059】
ステップS404において、現在位置検出部120が現在位置を検出するとともに経路探索手段111が検出された現在位置から目的地に至る経路探索を行い、現在位置から目的地までの距離を算出する。或いは、記憶部160に記憶されている案内経路に基づいて現在位置から目的地までの距離を算出する。次いで、ユーザ選択判定手段114が現在位置から目的地までの距離が所定範囲、例えば100Km以上か否かを判定する。
【0060】
現在位置から目的地までの距離が所定距離範囲以上であると判定された場合、ステップS405の処理に進み、現在位置から目的地までの距離が所定距離範囲に満たないと判定された場合はステップS407の処理に進む。
【0061】
ステップS405において、乗車人数判定部180が乗員検知センサの出力値に基づいて、自動車に何人乗車しているか、或いは、どの座席に乗員が座っているかを判定する。乗員検知センサがナビゲーション装置100に接続されていない場合、乗員の携帯電話機の台数を検知することによって乗車人数を特定してもよい。
【0062】
ステップS406において、ユーザ選択判定手段114は乗車人数が複数か否かを判定する。乗車人数が複数人であると判定された場合にはステップS408の処理に進み、乗車人数が1人であると判定された場合にはステップS407の処理に進む。
【0063】
ステップS407においては、記憶部160を参照することによって前回ナビゲーション装置100を使用したユーザの情報が記憶されているか否かを判定する。その結果、前回使用したユーザの情報が記憶されていない場合はステップS408の処理に進み、前回使用したユーザの情報が記憶されている場合はステップS411の処理に進む。
【0064】
ステップS408において、ユーザ選択判定手段114は、表示制御手段113に対してユーザ選択設定要求画面の表示指示を行い、表示制御手段113は、図3に示すようなユーザ選択設定要求画面を作成して表示部150に表示する。表示制御手段113は、記憶部160から、ナビゲーション装置100に登録してある各ユーザの氏名と表示画像を呼出して表示部150に表示し、ユーザが選択設定できるようにする。
ステップS409において、ユーザが操作部140を操作することによって特定のユーザを選択したか否かを判定し、選択が行われない場合は所定の期間、例えば10秒間だけ選択入力を待機する。
【0065】
ステップS410において、制御部110は、ユーザによって選択された特定のユーザの固有設定を記憶部160から呼出し、その設定内容を適用する。この固有設定には、例えば、地図を北を上にして表示することや言語を英語で表示するといった設定が含まれている。ユーザの固有設定を適用したならば、ステップS412の処理に進む。
【0066】
ステップS407において、前回使用したユーザの情報が記憶されている場合、ステップS411に進み、制御部110は記憶部160に記憶された前回使用したユーザの情報を参照し、ステップS412において前回使用ユーザの固有設定を現在のユーザの固有設定として設定し、ステップS412の処理に進む。
【0067】
ステップS412において、経路案内手段112は、記憶部160に記憶された案内経路データと現在位置検出部120によって特定される現在位置の情報とに基づいて、ユーザが現在位置から目的地に向けてどのように進むべきかを案内する。
【0068】
ステップS413において、経路案内手段112は、現在位置検出部120によって検出される現在位置が記憶部160に記憶された目的地に一致するか否かを判定する。現在位置が目的地である場合には処理を終了し、現在位置が目的地ではない場合は、ステップS414に進み、ナビゲーション装置100の電源がオフになったか否かを判定する。
【0069】
ステップS414においてナビゲーション装置100の電源がオフになった場合には、ステップS415において、制御部110は現在まで使用中であったユーザの情報(前回使用したユーザの情報)を記憶部160に記憶し、処理を終了する。
【0070】
ステップS414においてナビゲーション装置100の電源がオフでないと判定された場合には、ステップS412に戻って、現在位置が目的地に到達するまで、或いはナビゲーション装置100の電源がオフになるまで、経路案内を継続して行う。
【0071】
なお、上記のステップS404では、現在位置から目的地までの距離が所定距離以上か否かを判定する場合を例示したが、本発明はこれに限られず、ユーザ選択判定手段114が長距離運転時であるか否かを判定するものであればよい。例えば、現在位置から目的地までの推定所要時間が所定時間以上かを判定するようにしてもよいし、記憶部160に前回ユーザの走行距離履歴、走行時間を前回使用したユーザの情報と関連付けて記憶しておき、この走行距離所定距離以上か否かを判定したり、走行時間が所定時間以上か否かを判定したりしてもよい。
【0072】
なお、上記実施例1及び実施例2においては、地図データやユーザの固有設定が単一のナビゲーション装置に全て記憶された場合を例示したが、本発明はこれに限られず、地図データを地図配信サーバに蓄積し、また、ユーザの固有設定をユーザ情報サーバに蓄積し、必要時にこれらのサーバと通信を行うことにより地図データやユーザ固有設定を取得することのできる通信型のナビゲーションシステムにも応用できる。
【0073】
また、上記実施例1のステップS204及び実施例2のステップS409においては、ユーザ選択設定要求画面を表示したにもかかわらず所定時間が経過した場合には、前回使用したユーザの固有設定を現在のユーザの固有設定として設定し、動作を行わせることを例示したが、本発明はこれに限られない。例えば、記憶部160に特定のユーザ毎の固有設定に加えて不特定のユーザ向けの設定を有するようにし、ユーザ選択設定要求画面を表示したにもかかわらず所定時間が経過した場合には、記憶部160から不特定のユーザ向けの設定を読出して設定し、この設定にしたがってナビゲーション装置100を動作させるようにしてもよい。
【0074】
さらに、上記実施例1及び実施例2においては、ユーザ選択設定要求画面を表示し、ユーザが表示された各ユーザの表示画像の中からいずれかを選択することによってユーザを選択する場合について例示したが、本発明はこれに限られない。音声スピーカ等の報知部によって使用ユーザ名を入力するように求め、ユーザが音声入力を行い、この音声を識別することによってユーザ設定を変更できるようにしてもよい。
【0075】
また、ユーザ選択設定要求画面においてユーザが選択された後にパスワード等の入力を求めることによってユーザ認証を行い、ユーザの固有設定の情報を別の人が使用できないように保護できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 ナビゲーション装置
110 制御部
111 経路探索手段
112 経路案内手段
113 表示制御手段
114 ユーザ選択判定手段
120 現在位置検出部
130 地図情報記憶部
140 操作部
150 表示部
160 記憶部
170 報知部
180 乗車人数判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ選択判定手段を有する制御部と、
現在位置検出手段と、
登録地点及び複数のユーザ毎の固有設定を記憶する記憶部と、を備えるナビゲーション装置であって、
ナビゲーション装置の起動時に、
前記現在位置検出部が現在位置を検出し、
前記ユーザ選択判定手段が、検出された現在位置と前記記憶部に登録された登録地点とを比較し、その結果現在位置が前記登録地点から所定範囲内である場合にユーザ選択の要求を行い、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されたユーザの固有設定のうち、選択された固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ユーザ選択判定手段が、現在位置が前記登録地点から所定距離範囲内にあると判定した場合にユーザ選択の要求を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御部が経路探索手段を更に有し、
前記ユーザ選択判定手段が、前記経路探索手段による経路探索の結果に基づいて、現在位置が前記登録地点から所定走行時間範囲内にあると判定した場合にユーザ選択の要求を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御部が、ナビゲーション装置の使用終了時に、それまでナビゲーション装置が動作してきた固有設定に対応するユーザ識別情報を前回使用ユーザとして前記記憶部に記憶させておき、
ナビゲーション装置が再び起動された際にユーザ選択の要求が行われて所定時間経過したにも関わらずユーザが選択されない場合には、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記識別情報に対応する固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記記憶部に記憶される前記ユーザ毎の固有設定が、特定のユーザ毎の固有設定に加えて不特定のユーザ向けの設定を有するようにし、
ナビゲーション装置が起動された際に固有設定の選択要求が行われて所定時間経過したにも関わらず選択されない場合には、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記不特定のユーザ向けの固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記ナビゲーション装置が表示部と操作部とを備え、
前記制御部は前記表示部に表示させる画像を生成制御する表示制御手段を有し、
前記ユーザ選択判定手段が、前記表示制御手段によって前記表示部にユーザ選択画面を表示させることによってユーザ選択の要求を行い、
前記制御部は前記操作部が操作されることによって選択された固有設定に従って前記ナビゲーション装置を動作させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−96714(P2013−96714A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236758(P2011−236758)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】