説明

ナビゲーション装置

【課題】環状交差点における経路誘導を過不足無く行うことができる「ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、環状交差点における通行すべき入口から数えて第1番目または第2番目の出口である場合には、出口に対応する環状交差点からの脱出路の道路名称A2、A3の音声案内を行わず、誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、環状交差点における通行すべき入口から数えて第3番目以降の出口である場合には、出口に対応する環状交差点からの脱出路の道路名称A1、B1、C2の音声案内を行うこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、特に、環状交差点における経路誘導に好適なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主に欧米や中国などでは、環状交差点としてのラウンドアバウト(Roundabout:略称RA)が、通行の安全性等の利点によって普及しており、特に、イギリスなど欧州諸国では、ラウンドアバウトが多くみられる。ここで、ラウンドアバウトは、進行方向に応じて進入路または脱出路となる複数の道路が放射状に接続された環道によって構成されており、進入路と環道との接続点は、ラウンドアバウトの入口となり、脱出路と環道との接続点は、ラウンドアバウトの出口となる。
【0003】
そして、このようなラウンドアバウトに対応して、従来から、ナビゲーション装置においては、誘導経路上のラウンドアバウトにおける経路誘導の際に、当該ラウンドアバウトにおける自車が通行すべき出口が、当該ラウンドアバウトにおける自車が通行すべき入口から数えて何番目の出口であるのかを読み上げる(音声案内する)ことが行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来から、ナビゲーション装置の中には、ラウンドアバウトへの進入路(誘導経路上の道路)の道路番号(Route Number)(日本での国道○○号線のような道路名称に相当)と、ラウンドアバウトからの脱出路(誘導経路上の道路)との道路番号とが互いに一致するか否かに応じて、音声案内の内容を異ならせるものもあった。
【0005】
すなわち、この種のナビゲーション装置においては、図5(a)に示すように、ラウンドアバウトへの進入路の道路番号(A1)と、ラウンドアバウトからの脱出路の道路番号(A2)とが異なっている場合には、脱出路が接続されている通行すべき出口が進入路が接続されている通行すべき入口から数えて何番目の出口であるのかを読み上げる(2nd exit)とともに、脱出路の道路番号(A2)を続けて読み上げるようになっている。一方、図5(b)に示すように、ラウンドアバウトへの進入路の道路番号(A1)と、ラウンドアバウトからの脱出路の道路番号(A1)とが同じである場合には、脱出路の道路番号を、読み上げが不要と判断して読み上げないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3386034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、図5の構成においては、図5(a)に示すように、ラウンドアバウトにおける通行すべき出口が、ユーザにとって認識が容易な当該ラウンドアバウトにおける通行すべき入口に近い出口(同図の場合には、入口から数えて2つ目の出口)である場合においても、当該出口に接続されている脱出路の道路番号の読み上げが行われていたため、ユーザが却って煩わしさを感じることがあった。
【0008】
さらに、図5の構成においては、図5(b)に示すように、ラウンドアバウトにおける通行すべき出口が、ユーザにとって認識が困難な当該ラウンドアバウトにおける通行すべき入口から遠い出口(同図の場合には、入口から数えて3つ目の出口)である場合においても、当該出口に接続されている脱出路と当該入口に接続されている進入路との道路番号が互いに一致するという理由によって当該脱出路の道路番号の読み上げが省略されていたため、ユーザにとって分かり難い誘導内容となっていた。
【0009】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、環状交差点における経路誘導を過不足無く行うことができるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明に係るナビゲーション装置は、目的地までの誘導経路にしたがった経路誘導を行う経路誘導手段を備えたナビゲーション装置であって、前記経路誘導手段は、前記誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、当該環状交差点における通行すべき入口から数えて第1番目または第2番目の出口である場合には、当該出口に対応する当該環状交差点からの脱出路の道路名称の音声案内を行わず、一方、前記誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、当該環状交差点における通行すべき入口から数えて第3番目以降の出口である場合には、当該出口に対応する当該環状交差点からの脱出路の道路名称の音声案内を行うことを特徴としている。
【0011】
そして、このような構成によれば、環状交差点の入口から数えて第1番目または第2番目の環状交差点の出口を通行する場合には、当該出口に対応する脱出路の道路名称の音声案内を行わず、環状交差点の入口から数えて第3番目以降の出口を通行する場合には、当該出口に対応する脱出路の道路名称の音声案内を行うことができるので、不要な道路名称の音声案内の実行および必要な道路名称の音声案内の不実行を回避することができる。
【0012】
また、前記経路誘導手段は、前記誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、当該環状交差点における通行すべき入口から数えて第1番目または第2番目の出口である場合には、当該出口に対応する当該環状交差点からの脱出路の道路名称が当該入口に対応する当該環状交差点への進入路の道路名称と異なる場合であっても、当該脱出路の道路名称の音声案内を行わず、一方、前記誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、当該環状交差点における通行すべき入口から数えて第3番目以降の出口である場合には、当該出口に対応する当該環状交差点からの脱出路の道路名称が当該入口に対応する当該環状交差点への進入路の道路名称と同一の場合であっても、当該脱出路の道路名称の音声案内を行ってもよい。
【0013】
そして、このような構成によれば、対応する脱出路の道路名称の音声案内を禁止すべき入口から第1番目または第2番目の出口に対しては、従来の進入路・脱出路同士の道路名称の不一致に基づく脱出路の道路名称の音声案内の実行といった例外を設けないようにすることができ、また、対応する脱出路の道路名称の音声案内を行うべき入口から第3番目以降の交差点に対しては、従来の進入路・脱出路同士の道路名称の一致に基づく脱出路の道路名称の音声案内の不実行といった例外を設けないようにすることができるので、不要な道路名称の音声案内の実行および必要な道路名称の音声案内の不実行を更に確実に回避することができる。
【0014】
さらに、前記経路誘導手段は、前記誘導経路上の環状交差点における経路誘導の際に、前記脱出路の道路名称の音声案内の有無にかかわらず、前記通行すべき出口が前記通行すべき入口から数えて何番目の出口であるのかを音声案内してもよい。
【0015】
そして、このような構成によれば、対応する脱出路の道路名称の音声案内を行わない出口についても、入口から数えて何番目の出口であるのかを音声案内することによって、必要最低限の情報はユーザに提示することができる。
【0016】
さらにまた、前記環状交差点は、ラウンドアバウトを含んでもよい。
【0017】
そして、このような構成によれば、ラウンドアバウトにおける経路誘導を過不足無く行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、環状交差点における経路誘導を過不足無く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を示す構成図
【図2】図1のナビゲーション装置の制御系を示すブロック図
【図3】図1のナビゲーション装置の動作例を示す模式図
【図4】図1のナビゲーション装置の作用を示すフローチャート
【図5】従来のラウンドアバウトにおける経路誘導の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態におけるナビゲーション装置1は、大別して、ナビゲーションメインユニット2と、このナビゲーションメインユニット2にそれぞれ接続された衛星航法受信機3、自律航法センサ4、操作部5、ディスプレイ6およびスピーカ7とによって構成されている。
【0022】
ここで、衛星航法受信機3は、図示しない測位衛星から配信される測位信号(時刻や軌道を示す信号)を受信し、受信した測位信号をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。この衛星航法受信機3は、例えば、GPSレシーバ等であってもよい。
【0023】
また、自律航法センサ4は、自車の車速、加速度(角速度)および自車方位等を検出し、検出結果をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。この自律航法センサ4は、車速センサやジャイロセンサ等からなるものであってもよい。
【0024】
さらに、操作部5は、操作内容に応じた操作信号をナビゲーションメインユニット2側に出力することによって、ナビゲーション装置1に対する種々の操作を行うことが可能とされている。操作部5は、リモコン、ディスプレイ6のタッチパネル、リニアエンコーダ、ロータリエンコーダまたは音声入力用のマイクロホン等であってもよい。
【0025】
次に、ナビゲーションメインユニット2について詳述すると、図1に示すように、ナビゲーションメインユニット2は、システムバス8にそれぞれ接続されたナビCPU10、ハードディスクドライブ(HDD)11、フラッシュメモリ12、RAM14、ユーザインターフェース(I/F)15、画像インターフェース(I/F)16および音声インターフェース(I/F)17を有している。
【0026】
ここで、ナビCPU10は、自車位置検出機能、地図表示機能、経路探索機能、経路誘導機能および検索機能等のナビゲーション装置1の各種の機能を実行するようになっている。
【0027】
また、ハードディスクドライブ11には、地図データが記憶されており、この地図データは、道路データフレーム、背景データフレーム、名称データフレーム、経路誘導データフレーム、経路計算データフレームおよび地点情報フレーム等の各種の物理データフレームによって構成されている。
【0028】
これらのうち、道路データフレームは、道路地図の表示等に用いられるようになっている。この道路データフレームには、リンク列データレコードが格納されており、このリンク列データレコードは、リンク列ヘッダ、リンク列の形状を示すリンク列形状情報、他のリンク列との関係を示すノード・リンク接続情報、ノード付加情報(リンクID、幅員・車線情報、道路名称等)、標高情報および通行規制情報等によって構成されている。ここで、本実施形態において、リンク列データレコードには、ラウンドアバウトにおける環道およびこれに接続された接続道路(ラウンドアバウトに対して進入路または脱出路となる道路)に該当するものが含まれている。また、本実施形態において、ノード付加情報には、ノードがラウンドアバウトの一部を構成するものであるか否かを示すラウンドアバウトフラグが含まれている。なお、ラウンドアバウトフラグは、ノードがラウンドアバウトの一部を構成するか否かだけでなく、ノードがラウンドアバウトにおける環道と接続道路との接続点(ラウンドアバウトの入口または出口として機能する地点)であるか、あるいは、ノードがラウンドアバウトにおける環道の形状変化点としてのみ機能するか等の更に細分化された情報を示すように構成してもよい。
【0029】
また、背景データフレームは、背景地図の表示等に用いられるようになっている。この背景データフレームには、表示クラスごとにまとめられた図形データリスト列が格納されており、更に、各図形データリストには、図形(線または面)の形状を表現するための要素点座標情報(始点座標、オフセット座標等)が格納されている。
【0030】
さらに、名称データフレームは、地図上への文字列の表示等に用いられるようになっている。この名称データフレームには、表示クラスごとにまとめられた名称データリストが格納されており、この名称データリストは、名称データレコード列によって構成されている。この名称データフレームを用いて表示される文字列は、例えば、建物名、公園名、行政区画名および河川名等の表示クラスごとの表示対象地物の名称となる。ここで、名称データフレームを用いて表示される文字列には、ラウンドアバウト名称が含まれていてもよい。
【0031】
さらにまた、経路誘導データフレームは、経路誘導に用いられるようになっており、この経路誘導データフレームには、誘導データフレーム、文字列データフレーム、形状データフレームおよびパターンデータフレーム等が格納されている。ここで、誘導データフレームには、交差点名称、道路名称および方面名称等が格納されている。ここで、本実施形態において、道路名称には、ラウンドアバウトに対する接続道路の道路名称が含まれている。この接続道路の道路名称は、図5の構成で述べた道路番号(Route Number)であってもよい。また、文字列データフレームには、誘導データフレームと関連した実体の表示文字、発音文字およびアクセント情報等が格納されている。さらに、形状データフレームには、誘導データフレームと関連した実体を描画するための形状が格納されている。さらにまた、パターンデータフレームには、案内のために交差点の進入方向に応じた画像を描画するための実データが格納されている。
【0032】
また、経路計算データフレームは、目的地までの最適経路の計算に用いられるようになっており、この経路計算データフレームには、ノードデータフレーム、リンクデータフレーム、リンクコストデータフレーム、上位レベルノード・リンク対応データフレームおよびノード座標データフレーム等が格納されている。ここで、ノードデータフレームには、例えば、道路種別を複数まとめたランクの単位でノードデータが格納されている。また、リンクデータフレームには、リンクレコード、規制レコードおよびリンク間コストレコード等が格納されている。さらに、リンクコストデータフレームには、リンクIDやリンク自身のコスト等が格納されている。さらにまた、上位レベルノード・リンク対応データフレームには、当該レベルを基準とした上位のノードおよびリンクを特定する情報が格納されている。また、ノード座標データフレームには、ノードの座標が格納されている。ここで、本実施形態において、経路計算データフレームには、ラウンドアバウトの環道および接続道路に該当するデータが含まれている。
【0033】
さらに、地点情報フレームには地点情報が格納されている。この地点情報は、目的地または経由地の候補となる地点の検索や、地図上へのPOI(Points Of Interests)のアイコン(換言すれば、ランドマーク)の表示等に用いられるようになっている。この地点情報は、具体的には、地点の名称、位置(経緯度)、住所、郵便番号、電話番号、種別およびPOIのアイコン等によって構成されている。
【0034】
また、ハードディスクドライブ11には、ナビCPU10の実行プログラムが記憶されている。
【0035】
さらに、フラッシュメモリ12には、ナビゲーション装置1の起動とともにナビCPU10によってハードディスクドライブ11から読み出されたナビCPU10の実行プログラムが格納されるようになっており、この格納された実行プログラムがナビCPU10によって適宜実行されることによって、ナビゲーション装置1の各種の機能が適宜実行されるようになっている。
【0036】
さらにまた、RAM14は、ナビCPU10による処理結果等の各種のデータの一時的な保存等に用いられるようになっている。
【0037】
また、ユーザインターフェース15、画像インターフェース16および音声インターフェース17には、操作部5、ディスプレイ6およびスピーカ7がそれぞれ接続されている。
【0038】
次に、ナビCPU10について更に詳述すると、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての自車位置算出部18を有している。この自車位置算出部18には、衛星航法受信機3から出力された測位信号および自律航法センサ4から出力された検出結果が入力されるようになっている。そして、自車位置算出部18は、衛星航法受信機3側から入力された測位信号に基づいて、自車位置を絶対座標として算出(検出)する衛星航法を行うようになっている。また、自車位置算出部18は、自律航法センサ4側から入力された検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの相対的な変化分として算出する自律航法を行うようになっている。さらに、自車位置算出部18は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データを用いることによって、衛星航法および自律航法(ハイブリッド航法)によって算出された自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に補正するマップマッチング処理を行うようになっている。そして、自車位置算出部18は、マップマッチング処理が適正に行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置を最終的な算出結果とするようになっている。
【0039】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての地図描画部19を有している。この地図描画部19は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データを用いることによって、所定の領域を示す地図をディスプレイ6に表示するようになっている。この地図描画部19によって表示される地図には、自車位置算出部18によって算出された自車位置の周辺の地図や、操作部5を用いたスクロール操作によって指定された領域の地図が含まれる。
【0040】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての目的地設定部20を有している。この目的地設定部20は、目的地を設定するための各種の操作画面をディスプレイ6に表示した上で、表示された操作画面に対する操作部5の操作に応じた目的地を設定するようになっている。
【0041】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての経路探索部21を有している。この経路探索部21は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データに基づいて、自車位置算出部18によって算出された自車位置から目的地設定部20によって設定された目的地までの予め設定された経路探索条件に応じた最適経路を、ダイクストラ法等の経路計算方法を用いて探索するようになっている。経路探索条件は、デフォルトで設定される場合もあるし、ユーザが操作部5を用いた入力操作によって設定する場合もある。このとき、目的地設定部20によって経由地が設定されている場合には、経路探索部21は、設定された経由地を経由するような目的地までの最適経路を探索するようになっている。そして、経路探索部21は、探索された最適経路を、ディスプレイ6への表示によって誘導経路の候補としてユーザに提示するようになっている。
【0042】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、経路誘導手段としての経路誘導部22を有している。この経路誘導部22は、経路探索部21によって提示された最適経路を誘導経路に設定するための操作部5を用いた入力操作が行われると、この最適経路を誘導経路に設定するようになっている。誘導経路の設定は、誘導経路に関する情報、例えばリンクおよび目的地等をRAM14等に保存することによって行うようにしてもよい。そして、経路誘導部22は、誘導経路の設定の後に、設定された誘導経路にしたがった経路誘導を行うようになっている。
【0043】
具体的には、経路誘導部22は、自車位置算出部18によって算出された自車位置が、誘導経路上に存在する自車の進行方向を案内すべき案内ポイント(例えば、交差点や分岐等)に対して所定距離手前の地点に到達したことを契機として、案内ポイントに対応する案内画像(例えば、交差点拡大図やジャンクションデフォルメ図等)をディスプレイ6に表示するようになっている。ここで、案内画像は、例えば、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データから、自車位置またはこれがマッチングするリンクに対応付けられた案内画像のデータを抽出することによって生成することができる。このような案内画像の表示は、自車の案内ポイントの所定距離手前の地点への到達時から自車の案内ポイントの通過完了時まで継続的に行われる。
【0044】
また、経路誘導部22は、自車位置算出部18によって算出された自車位置が、案内ポイントに対して所定距離手前の地点に到達したことを契機として、スピーカ7を介して案内ポイントにおける脱出方向の音声案内を行うようになっている。なお、音声案内の開始タイミングの1つは、案内画像の表示開始タイミングと同期するのが通常であるが、1つの案内ポイントを対象とした音声案内の機会は1回だけでなく、当該案内ポイントまでの距離に応じて複数回行われることがある。また、案内ポイントにおいて提示される脱出方向は、基本的には、案内ポイントに対する進入リンクと脱出リンクとのなす角度に応じて決定される。
【0045】
そして、このような基本的な構成を備えた上で、更に、経路誘導部22は、誘導経路上に、案内ポイントとして、環状交差点の一種であるラウンドアバウトが含まれる場合に、本実施形態に特有の機能を発揮するようになっている。
【0046】
すなわち、経路誘導部22は、誘導経路上のラウンドアバウトにおける通行すべき出口(ラウンドアバウトからの脱出に利用すべき誘導経路上の出口)が、当該ラウンドアバウトにおける通行すべき入口(ラウンドアバウトへの進入に利用すべき誘導経路上の入口)から環道における走行順方向に向かって数えて第1番目または第2番目の出口である場合には、当該ラウンドアバウトにおける経路誘導の際に、当該出口に対応する当該ラウンドアバウトからの脱出路の道路名称の音声案内を行わないようになっている。
【0047】
一方、経路誘導部22は、誘導経路上のラウンドアバウトにおける通行すべき出口が、当該ラウンドアバウトにおける通行すべき入口から環道における走行順方向に向かって数えて第3番目以降の出口である場合には、当該ラウンドアバウトにおける経路誘導の際に、当該出口に対応する当該ラウンドアバウトからの脱出路の道路名称の音声案内を行うようになっている。
【0048】
なお、このようなラウンドアバウトにおける経路誘導にあたって、経路誘導部22は、案内ポイントがラウンドアバウトであることを、前述したラウンドアバウトフラグに基づいて検知した上で、当該ラウンドアバウトの出口が何番目かの判定(以下、RA出口番号判定と称する)に移行するようにしてもよい。このRA出口番号判定にあたっては、例えば、ラウンドアバウトを構成するノードのうち、誘導経路上に存在するノードであって、環道に該当するリンク以外のリンク(すなわち、環道への接続道路に該当するリンク)が接続されたものを抽出し、抽出されたノードの個数から1(入口分)を減じた数に相当する番号を、ラウンドアバウトの出口の番号として算出してもよい。ただし、RA出口番号判定は、このような方法に限定されるものではない。また、脱出路の道路名称については、ラウンドアバウトを構成する誘導経路上のノードのうちの最も目的地側のノード(通行すべき出口に該当するノード)に接続されているリンクに対応付けられた道路名称を地図データから抽出することによって取得してもよい。
【0049】
このような構成によれば、ユーザにとって認識が容易なラウンドアバウトの入口から数えて第1番目または第2番目のラウンドアバウトの出口(入口から近い出口)を通行する場合には、当該出口に対応する脱出路の道路名称の音声案内を行わず、ユーザにとって認識が困難な環状交差点の入口から数えて第3番目以降の出口(入口から遠い出口)を通行する場合には、当該出口に対応する脱出路の道路名称の音声案内を行うことができる。この結果、不要な道路名称の音声案内の実行および必要な道路名称の音声案内の不実行を回避することができる。
【0050】
上記構成に加えて、更に、本実施形態において、経路誘導部22は、前述した入口から第1番目または第2番目の出口を通行する場合に、当該出口に対応する脱出路の道路名称が、当該入口に対応する進入路の道路名称と異なる場合であっても、当該脱出路の道路名称の音声案内を行わないようになっている。一方、経路誘導部22は、前述した入口から第3番目以降の出口を通行する場合に、当該出口に対応する脱出路の道路名称が、当該入口に対応する進入路の道路名称と同一の場合であっても、当該脱出路の道路名称の音声案内を行うようになっている。
【0051】
このような構成によれば、対応する脱出路の道路名称の音声案内を禁止すべき入口から第1番目または第2番目の出口に対しては、図5(a)に示した従来の進入路・脱出路同士の道路名称の不一致に基づく脱出路の道路名称の音声案内の実行といった例外を設けないようにすることができる。また、対応する脱出路の道路名称の音声案内を行うべき入口から第3番目以降の交差点に対しては、図5(b)に示した従来の進入路・脱出路同士の道路名称の一致に基づく脱出路の道路名称の音声案内の不実行といった例外を設けないようにすることができる。この結果、不要な道路名称の音声案内の実行および必要な道路名称の音声案内の不実行を更に確実に回避することができる。
【0052】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、経路誘導部22は、誘導経路上のラウンドアバウトにおける経路誘導の際に、前述した脱出路の道路名称の音声案内を行うか否かにかかわらず、通行すべき出口が通行すべき入口から数えて何番目の出口であるのかを音声案内するようになっている。このような出口の番号の音声案内は、前述したRA出口番号判定の判定結果に基づいて行うようにしてもよい。
【0053】
このような構成によれば、対応する脱出路の道路名称の音声案内を行わない出口についても、入口から数えて何番目の出口であるのかを音声案内することによって、必要最低限の情報はユーザに提示することができる。
【0054】
ここで、図3(a)、(b)は、本実施形態におけるナビゲーション装置1(経路誘導部22)の動作例を模式的に示したものである。すなわち、図3(a)は、道路名称としての道路番号がA1の進入路から入口を通行して誘導経路上のラウンドアバウトに進入し、入口から数えて第1番目の出口を通行して進入路の道路番号A1と異なる道路番号A3の脱出路からラウンドアバウトを脱出する場合(破線部)および入口から数えて第2番目の出口を通行して進入路の道路番号A1と異なる道路番号A2の脱出路からラウンドアバウトを脱出する場合(一点鎖線部)のそれぞれの動作例である。この場合に、経路誘導部22は、図3(a)に示すように、道路番号(A3、A2)の音声案内は行わずに、出口の番号(1st exit、2nd exit)の音声案内のみを行う。一方、図3(b)は、道路番号A1の進入路から入口を通行して誘導経路上のラウンドアバウトに進入し、入口から数えて第3番目の出口を通行して進入路の道路番号A1と同じ道路番号A1の脱出路からラウンドアバウトを脱出する場合(破線部)、入口から数えて第4番目の出口を通行して進入路の道路番号A1と異なる道路番号B1の脱出路からラウンドアバウトを脱出する場合(一点差線部)、入口から数えて第7番目の出口を通行して進入路の道路番号A1と異なる道路番号C2の脱出路からラウンドアバウトを脱出する場合(二点差線部)のそれぞれの動作例である。この場合に、経路誘導部22は、図3(b)に示すように、出口の番号(3rd exit、4th exit、7th exit)の音声案内とともに、道路番号(A1、B1、C2)の音声案内を行う。
【0055】
なお、経路誘導部22は、ラウンドアバウト(環道)内の走行時に、進行方向前方における直近の出口が通行すべき出口となった場合に、次の出口を通行する旨の音声案内(next exit)を行うようにしてもよい。
【0056】
次に、本実施形態におけるナビゲーション装置1の主要な作用について、図4を参照して説明する。
【0057】
なお、便宜上、図4の初期状態においては、経路誘導部22による目的地までの経路誘導が開始されているものとする。
【0058】
そして、初期状態から、まず、図4のステップ1(ST1)において、経路誘導部22により、自車位置算出部18の算出結果に基づいて、自車が進行方向前方の直近の案内ポイントまで所定距離手前の地点に到達したか否かを判定する。そして、ステップ1(ST1)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ1(ST1)を繰り返す。
【0059】
次いで、ステップ2(ST2)において、経路誘導部22により、前述したラウンドアバウトフラグ等に基づいて、直近の案内ポイントがラウンドアバウトであるか否かを判定する。そして、ステップ2(ST2)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ3(ST3)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ7(ST7)に進む。
【0060】
ここで、ステップ3(ST3)に進んだ場合には、経路誘導部22により、前述したRA出口番号判定を行ってステップ4(ST4)に進む。
【0061】
一方、ステップ7(ST7)に進んだ場合には、経路誘導部22により、案内ポイントに応じた音声案内を行う。この後は、目的地に到達するまでの間、ステップ1(ST1)以降の処理を繰り返す。
【0062】
次いで、ステップ4(ST4)において、経路誘導部22により、ステップ3(ST3)におけるRA出口番号判定の結果に基づいて、ラウンドアバウトの出口が入口から第1番目または第2番目の出口であるか否かを判定する。そして、ステップ4(ST4)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ5(ST5)に進み、否定的な判定結果が得られた場合(第3番目以降の出口の場合)には、ステップ6(ST6)に進む。
【0063】
ここで、ステップ5(ST5)に進んだ場合には、経路誘導部22により、脱出路の道路名称の音声案内を行わず、出口番号の音声案内のみを行う。そして、この後は、目的地に到達するまでの間、ステップ1(ST1)以降の処理を繰り返す。
【0064】
一方、ステップ6(ST6)に進んだ場合には、経路誘導部22により、出口番号の音声案内とともに脱出路の道路名称の音声案内を行う。そして、この後は、目的地に到達するまでの間、ステップ1(ST1)以降の処理を繰り返す。
【0065】
以上述べたように、本実施形態によれば、ラウンドアバウトにおいて入口から遠い出口に限定した対応する脱出路の音声案内を行うことにより、ラウンドアバウトにおける経路誘導を過不足無く行うことができる。
【0066】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0067】
例えば、本発明は、ラウンドアバウト以外の環状交差点(例えば、ロータリ交差点等)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 ナビゲーション装置
22 経路誘導部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの誘導経路にしたがった経路誘導を行う経路誘導手段を備えたナビゲーション装置であって、
前記経路誘導手段は、
前記誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、当該環状交差点における通行すべき入口から数えて第1番目または第2番目の出口である場合には、当該出口に対応する当該環状交差点からの脱出路の道路名称の音声案内を行わず、
一方、
前記誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、当該環状交差点における通行すべき入口から数えて第3番目以降の出口である場合には、当該出口に対応する当該環状交差点からの脱出路の道路名称の音声案内を行うこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路誘導手段は、
前記誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、当該環状交差点における通行すべき入口から数えて第1番目または第2番目の出口である場合には、当該出口に対応する当該環状交差点からの脱出路の道路名称が当該入口に対応する当該環状交差点への進入路の道路名称と異なる場合であっても、当該脱出路の道路名称の音声案内を行わず、
一方、
前記誘導経路上の環状交差点における通行すべき出口が、当該環状交差点における通行すべき入口から数えて第3番目以降の出口である場合には、当該出口に対応する当該環状交差点からの脱出路の道路名称が当該入口に対応する当該環状交差点への進入路の道路名称と同一の場合であっても、当該脱出路の道路名称の音声案内を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路誘導手段は、
前記脱出路の道路名称の音声案内の有無にかかわらず、前記通行すべき出口が前記通行すべき入口から数えて何番目の出口であるのかを音声案内すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記環状交差点は、ラウンドアバウトを含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−96744(P2013−96744A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237336(P2011−237336)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】