ナフチルエーテル化合物及びそれらの使用
下記の構造:
【化1】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、m及びnは明細書に定義した通りである]を有する化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、治療への使用、並びにそれらを使用する薬学的組成物及び治療方法。
【化1】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、m及びnは明細書に定義した通りである]を有する化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、治療への使用、並びにそれらを使用する薬学的組成物及び治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セレトニン、サブスタンスP又はニューロキニンAが関係するような疾病の治療、例えば高血圧、鬱病、一般化された不安障害、恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害、肥満、薬物依存症、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害、パーキンソン病、内分泌腺障害血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群(fibromyalgia syndrome)、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び頭痛のような障害又は症状の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類のニューロキニンは末梢及び中枢神経系に見られるペプチド性神経伝達物質である。3つの主なニューロキニンはサブスタンスP(SP)、ニューロキニンA(NKA)及びニューロキニンB(NKB)である。少なくともNKAのN−末端延長形態は知られている。主なニューロキニンについて3つの受容体型が知られている。ニューロキニンSP、NKA及びNKBに対する受容体の相対的選択性に基づいて、受容体はそれぞれニューロキニン1(NK1)、ニューロキニン2(NK2)及びニューロキニン3(NK3)受容体に分類される。末梢において、SP及びNKAはC−求心性感覚神経細胞に局在し、該神経細胞はC−線維として知られた髄鞘のない神経末端により特徴付けられ、そしてSP及びNKAはこれらの神経細胞の選択的脱分極、又はC−線維の選択的刺激により放出される。C−線維は気道上皮に位置し、タキキニンは、喘息に観察される症候の多くに明らかに似た著しい効果を引き起こすことが知られている。哺乳類の気道におけるタキキニンの放出又は導入の効果には、気管支収縮、増大した微小血管浸透性、血管拡張、増大した粘液分泌及び肥満細胞の活性化が含まれる。NK1、NK2及びNK3受容体と相互作用し、異なった化学構造を有するニューロキニン拮抗薬が記載されてきた。特に国際公報WO98/07722、WO96/39383及びWO98/25617、並びに広域公報EP428434、EP474561、EP515240及びEP559538は多様の化学構造の製造を開示する。
【0003】
NK1活性は鬱病及び不安症にも関係し、遺伝的に改変したNK1受容体を有するマウスは不安症に関係する挙動を減少し(Santarelli,L.等,Proc.Nat.Acad.Sci.,98,1912(2001))、そしてNK1拮抗薬は鬱病の動物モデルに有効であることが報告された(Papp,M.等,Behav.Brain Res.,115,19(2000))。
【0004】
セレトニン選択的再摂取阻害剤(SSRIs)は大鬱病性障害(MDD)の治療に広く使用され、そして耐容性で且つ容易に投与されると考えられる。しかしながら、SSRIsは作用の始まりが遅く、性的機能障害のような望ましくない副作用を伴い、そして患者の多分30%に有効でない(M.J.Gitlin,J.Clin.Psych.,55,406−413(1994))。
【0005】
従って、NK1拮抗薬とセレトニン再摂取阻害剤の二重の作用を有する化合物は、抗鬱剤の新しい種類を提供し得る。実際、NK1拮抗効果とセレトニン再摂取阻害とを組み合わせた化合物が記載されてきた(Ryckmans,T.等,Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,261(2002))。
【特許文献1】国際公報WO98/07722
【特許文献2】WO96/39383
【特許文献3】WO98/25617
【特許文献4】EP428434
【特許文献5】EP474561
【特許文献6】EP515240
【特許文献7】EP559538
【非特許文献1】Santarelli,L.等,Proc.Nat.Acad.Sci.,98,1912(2001)
【非特許文献2】Papp,M.等,Behav.Brain Res.,115,19(2000)
【非特許文献3】M.J.Gitlin,J.Clin.Psych.,55,406−413(1994)
【非特許文献4】Ryckmans,T.等,Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,261(2002)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、ニューロキニン1(NK1)拮抗薬活性とセレトニン再摂取阻害(SRI)活性との両者を有する置換ナフチルエーテル誘導体を発見した。本発明のナフチルエーテル誘導体は式Iの化合物である:
【化1】
[ここで、
各R1は各々独立してCN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、Cl-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORC、及びCH2ORCから選ばれた基であり;mは0、1、2又は3から選ばれ;各Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、Gは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;各Rdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そして各ReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
各R2は各々独立して水素、CN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORc及びCH2ORCから選ばれ、nは0、1、2又は3から選ばれ;ここで各Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、CI-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、Gは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;各Rdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そして各ReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
R3は水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−D、(CH2)q−D及び(CH2)q−CH=CH−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれ、qは1、2又は3から選ばれ、rは1、2、3、又は4から選ばれ、そしてDはフェニル又はインドリルから選ばれ、該フェニル又は該インドリルはハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ及び−O−
(CH2)q−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく;
各R4、R5、R6及びR7は各々独立して水素又はC1-6アルキルから選ばれるか、或いは
【0007】
独立して、R4とR5はそれらが結合した炭素と一緒になってそしてR6とR7はそれらが結合した炭素と一緒になって、式IIの基:
【化2】
(式中、pは0、1、2、3又は4から選ばれる)を形成する]。
【0008】
本発明はまた、該ナフチルエーテル誘導体のインビボ−加水分解可能な前駆体及び薬学的許容塩、それらを含む薬学的組成物及び配合物、それらを単独で又は他の治療的に活性な化合物若しくは物質と組み合わせて疾病又は症状を治療するのに使用する方法、それらの製造に使用する方法及び中間体、それらの医薬としての使用、それらの医薬の製造のための使用、及び診断及び分析目的のためのそれらの使用を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、二重のNK1拮抗薬活性とSRI活性を有する新規なナフチルエーテル誘導体、かかる化合物を含む薬学的組成物、及びかかる化合物を中枢神経系(CNS)及び他の障害の治療に使用する方法を含む。
【0010】
本発明の化合物は式I:
【化3】
〔ここで、
各R1は各々独立してCN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、Cl-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORC、及びCH2ORCから選ばれた基であり;mは0、1、2又は3から選ばれ;各Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、ここでGは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;ここで各Rdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そして各ReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
各R2は各々独立して水素、CN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORc及びCH2ORCから選ばれ、nは0、1、2又は3から選ばれ;ここで各Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、ここでGは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;各Rdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そして各R
eとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
R3は水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−D、(CH2)q−D及び(CH2)q−CH=CH−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれ、qは1、2又は3から選ばれ、rは1、2、3、又は4から選ばれ、そしてDはフェニル又はインドリルから選ばれ、該フェニル又は該インドリルはハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ及び−O−(CH2)q−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく;
各R4、R5、R6及びR7は各々独立して水素又はC1-6アルキルから選ばれるか、或いは
【0011】
独立して、R4とR5はそれらが結合した炭素と一緒になってそしてR6とR7はそれらが結合した炭素と一緒になって、式IIの基:
【化4】
(式中、pは0、1、2、3又は4から選ばれる)を形成する〕、
の化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩である。
【0012】
本発明の特定の化合物は、
各R1が各々独立してフルオロ、シアノ、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、およびmが1、2又は3;
各R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2;ならびに
R3が各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれる
化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩である。
【0013】
本発明の他の特定の化合物は、
各R1が各々独立してフルオロ、シアノ、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、およびmが1、2又は3;
各R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2;ならびに
R3は水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、qは1、2又は3であり、rは1、2、3、又は4であり、そしてDはフェニル、インドール−3−イル、インドール−4−イルから選ばれ、該フェニルはフルオロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ又は−O−(CH2)2−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく、そして該インドリルはフルオロ、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシから選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよい化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩である。
【0014】
本発明の更に特定の化合物は、
各R1が各々独立してフルオロ、シアノ、エチル及びメトキシから選ばれ、およびmが1、2又は3;
各R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2;ならびに
R3は水素及びメチルから選ばれる
化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩である。
【0015】
本発明の特定の化合物は、R4、R5及びR6がそれぞれ水素、そしてR7がメチルである
化合物、及びその薬学的許容塩である。
【0016】
本発明の最も特定の化合物は、実施例の化合物である。
【0017】
式Iの化合物の薬学的許容塩には、生理学的に許容されるアニオンを与える無機酸若しくは有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、パラ−トルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、サリチル酸及びキナ酸、とで製造された塩が含まれる。
【0018】
本発明の更に別の側面は、SRI活性と組み合わされたNK1受容体の拮抗作用が有益な病状の治療方法であり、該方法は、温血動物に式Iの化合物又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩の有効量を投与することを含む。本発明はまた、NK1受容体の拮抗作用及びSRI活性が有益な病状に使用する医薬の製造のための、式Iの化合物又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩の使用を提供する。
【0019】
本発明はまた、高血圧、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、出産後鬱病、一般化された不安障害、広場恐怖症、社会恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、拒食症、多食症、肥満、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン若しくはベンゾジアゼピンへの依存症;群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、痴呆、健忘障害、年齢に関係する認識減退、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、遅発性ジスキネジー、高プロラクチン血、血管痙攣、脳血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び哺乳類の血管障害に関連した頭痛から選ばれた障害又は症状の治療方法であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物又はその薬学的許容塩、及び薬学的に許容される担体を投与することを含む治療方法に関する。
【0020】
本発明はまた、哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病(例えば、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病及び出産後鬱病)、一般化された不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症及び単純な恐怖症)、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害(例えば、拒食症及び多食症)、肥満、化学品依存症(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン及びベンゾジアゼピンへの依存症)、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害(例えば、痴呆、健忘障害、及び年齢に関係する認識減退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム及び遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管痙攣(特に脳血管における血管痙攣)、小脳性運動失調、胃腸管障害(運動性及び分泌における変化を含む)、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性偏頭痛及び(血管障害に関連した)頭痛から選ばれた障害又は症状を治療するための薬学的組成物であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物又はその薬学的許容塩、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【0021】
別の側面においては、本発明は式Iの化合物、治療におけるそれらの使用、およびそれらを含む組成物に関する。
【0022】
更に別の側面においては、本発明は1個又はそれ以上の原子が同じ元素の放射性同位体で標識された式Iの化合物に関する。本発明のこの側面の特別の形態では、式Iの化合物はトリチウムで標識される。
【0023】
トリチウムで標識された本発明の化合物は、NK1及びSRI受容体に結合しそしてNK1及びSRI受容体の活性を調節する新規な医薬化合物の発見に有用である。かかるトリチウム標識化合物は、NK1又はSRI受容体に結合するリガンドの結合を評価するために、かかる化合物の置換を測定する検定に使用し得る。
【0024】
特定の側面においては、本発明はNK1及びSRI受容体の作用が介在する疾患の治療への式Iの化合物の使用に関する。更に特定の側面においては、本発明はNK1及びSRI受容体の作用が介在する疾患の治療への式Iの化合物の使用に関する。
【0025】
本発明の別の側面は、NK1及びSRI受容体の活性化が有益なヒトの疾患又は症状の治療又は予防方法であって、本発明の化合物の治療上有効量を投与することを含む方法に関する。
【0026】
本発明のこの側面の特定の態様は、哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病(例えば、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、及び出産後鬱病)、一般化された不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症、及び単純な恐怖症)、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害(例えば、拒食症及び多食症)、肥満、化学品依存症(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン、及びベンゾジアゼピンへの依存症)、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害(例えば、痴呆、健忘障害、及び年齢に関係する認識減退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、及び遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管痙攣(特に脳血管における血管痙攣)、小脳性運動失調、胃腸管障害(運動性及び分泌における変化を含む)、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性偏頭痛、及び(血管障害に関連した)頭痛から選ばれた症状を治療するための方法であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物又はその薬学的許容塩を投与することを含む方法に関する。
【0027】
本発明の別の側面は、本発明の化合物及び薬学的に許容される希釈剤若しくは担体を含む薬学的組成物に関する。
【0028】
本発明の更なる側面は、哺乳類、好ましくはヒトにおけるNK1及びSRI受容体の機能障害から生じるここに述べた症状又は障害を治療又は予防するための薬学的組成物であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物、そのエナンチオマー又はその薬学的許容塩、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【0029】
本発明の別の側面は、NK1及びSRI受容体の活性化が有益なヒトの疾患又は症状の治療又は予防のための薬学的組成物の使用に関する。
【0030】
本発明の別の側面は、神経障害、精神障害又は知的損傷障害の治療又は予防のための本
発明の薬学的組成物の使用に関する。
【0031】
本発明の別の側面は、NK1及びSRI受容体の活性化が有益なヒトの疾患又は症状の治療又は予防用の医薬の製造への本発明の化合物の使用に関する。
【0032】
本発明の別の側面は、神経障害、精神障害又は知的損傷障害の治療又は予防用の医薬の製造への本発明の化合物の使用に関する。
【0033】
本発明のこの側面の特定の態様は、哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病(例えば、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、及び出産後鬱病)、一般化された不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症、及び単純な恐怖症)、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害(例えば、拒食症及び多食症)、肥満、化学品依存症(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン、及びベンゾジアゼピンへの依存症)、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害(例えば、痴呆、健忘障害、及び年齢に関係する認識減退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、及び遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管痙攣(特に脳血管における血管痙攣)、小脳性運動失調、胃腸管障害(運動性及び分泌における変化を含む)、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性偏頭痛、及び(血管障害に関連した)頭痛を治療するための医薬であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物又はその薬学的許容塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬への本発明の化合物の使用に関する。
【0034】
本願に述べた使用、方法及び組成物については、投与量は勿論使用した化合物、投与の態様及び所望の治療により変化するであろう。しかしながら一般に、本発明の化合物が約0.1〜約20mg/kg(体重)の1日投薬量で投与された場合、満足な結果が得られる。かかる投薬量は1日当たり1〜4回に分けて又は持続放出形態で与えてもよい。男性には、合計1日用量は5mg〜1,400mg、更に好ましくは10mg〜100mgの範囲であり、経口投与に適した単位投薬形態は、固体又は液体の薬学的担体又は希釈剤と混合された化合物2mg〜1,400mgを含む。
【0035】
式Iの化合物、そのエナンチオマー又はその薬学的許容塩は、腸溶性又は非経口投与用にそれら自体の形態又は適当な医薬製剤の形態で使用し得る。本発明の更なる側面によると、不活性の薬学的に許容される担体又は希釈剤と混合した本発明の化合物を好ましくは80質量%未満、そしてさらに好ましくは50質量%未満含む薬学的組成物が提供される。
【0036】
式Iの化合物又はそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩を、ヒトを含む哺乳類の治療用処置又は予防用処置に使用するために、それは通常標準的な薬学的方法に従って薬学的組成物として配合される。従って、本発明の別の側面は、式Iの化合物若しくはそのインビボ−加水分解可能な前駆体若しくはその薬学的許容塩と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物である。
【0037】
本発明の薬学的組成物は、治療することを望む病状のために、標準的方法で、例えば経口、局部的、非経口、口腔、鼻腔、膣内若しくは直腸投与により、又は吸入(inhalation)若しくは吸入(insufflation)により投与し得る。これらの目的で、本発明の化合物は錠剤、カプセル、水性若しくは油性溶液、懸濁液、乳濁液、クリ
−ム、軟膏、ジェル、鼻腔スプレー、坐薬、吸入用の微粉砕粉末若しくはエーロゾル若しくはネブライザーとして、ならびに(静脈内、筋肉内又は注入を含む)非経口的用途に殺菌水性若しくは油性の溶液若しくは懸濁液又は殺菌乳濁液及び当業者に知られたその他の形態に配合し得る。
【0038】
本発明の化合物に加えて、本発明の薬学的組成物は、ここに言及した1種又はそれ以上の病状を治療するのに価値のある1種又はそれ以上の薬物も含むか又は共に投与(同時に又は順次に)してもよい。
【0039】
本発明の薬学的組成物は通常ヒトに、0.01〜25mg/kg(体重)(そして好ましくは0.1〜5mg/kg(体重))の1日用量が摂取できるように投与されるであろう。この1日用量は必要に応じて分割した用量で与えても良く、摂取される化合物の正確な量及び投与経路は、治療される患者の体重、年齢及び性別、および当業界で知られた原則に従って処置される特定の病状に依存する。
【0040】
典型的には単位投薬形態は本発明の化合物を約1mg〜500mg含むであろう。経口投与用の錠剤又はカプセルは式Iの化合物又はその薬学的許容塩を250mgまで(典型的には5〜100mg)含むのが便利であろう。別の例では、吸入による投与には、式Iの化合物又はそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩は5〜100mgの1日投薬量範囲で、1回の投与で又は2〜4回の投与量に分割して投与し得る。別の例においては、静脈内若しくは筋肉内注射又は注入による投与には、式Iの化合物又はそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩を10%w/w(典型的には5%w/w)まで含む殺菌した溶液又は懸濁液を使用し得る。
【0041】
式Iの化合物及びそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩は、本願に記載し例示した方法、及びそれに類似の方法、及び化学の分野で知られた方法により製造し得る。これらの方法の出発材料が市販されていない場合は、出発材料は化学の分野から選ばれた手順により公知の化合物の合成と同様の又は類似した技術を使用して製造し得る。
【0042】
薬学的許容塩は対応する酸から慣用の方法で製造し得る。薬学的非許容塩はは中間体として有用であり、それ自体は本発明の別の側面である。
【0043】
光学活性体の製造法は当業界で良く知られており(例えば、ラセミ体の分割によるか又は光学活性出発材料からの合成による)、全ての光学活性体、エナンチオマーは本発明の化合物である。
【0044】
下記の生物学的試験方法、データ及び実施例は本発明を例示しそして更に記述するためのものである。
【0045】
本発明の化合物又はそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩(以後、まとめて“化合物”と云う)の有用性は、以下に記載する刊行物に開示されたものを含めた、標準的試験及び臨床的研究により例証され得る。
【0046】
生物学的検定:
試験A:SERT結合検定:
ヒト5−HTT受容体を発現する安定にトランスフェクトしたHEK293細胞株の冷凍膜調製物をレセプターバイオロジー(Receptor Biology)(パーキンエルマー(ParkinElmer))から購入した。冷凍アリコートを急速に解凍し、均質化し、そして50mMのTRIS−HCl、120mMのNaCl、5mMのKCl
を含みそしてNaOHでpH7.4に調整したアッセイバッファ(AB)中に希釈した。最終タンパク質濃度は40μg/mLであった。試験化合物を、NEN(パーキンエルマー)から購入した[3H]−イミプラミン塩酸塩を放射性リガンドとして利用した競合アッセイで評価した。原液放射性リガンドを最終濃度が約2nMとなるようにABで希釈した。[3H]−イミプラミン塩酸塩のKdを測定すると2.7nMであった。競合アッセイは96穴検定プレート上で、1プレート当たり2種の薬剤で行った。化合物の原液10mM溶液から10の連続希釈液(通常最終濃度1μM〜38pM)をDMSOで調製した。全ての連続希釈液は20%DMSOを用いて作った。検定中のDMSO含量は1%未満である。インキュベーション混合物を96穴検定プレート(コスター)中に4重に調製した。1穴当たりの最終検定容量は10μl化合物/非特異的/対照(1%DMSO)、20μl膜、20μl[3H]−イミプラミン塩酸塩、及び150μlABであった。特異的結合を10μMイミプラミンを使用して規定した。結合反応は、バッファと試験化合物、非特異的、又は対照のいずれかを含む穴に放射性リガンドを添加した直後に膜を添加することにより開始した。アッセイプレートをプレートシェーカー上に置き、そして30分間振とうしたが、その間に反応は平衡に達した。次にプレートを、パッカードフィルターメイト196を使用して、6%PEIに予備浸漬したベックマンGF/Bフィルターを通して濾過した。フィルターを0.2mL氷冷洗浄用バッファー(5mMトリスHCl、pH7.4)を用いて5回洗った。フィルターを乾燥した後、マイクロシント(Microscint)20(パッカード)35μlを各穴に加えた。次にプレートをパッカードトップカウント(Packard TopCount)で計数して1穴当たりのCPMを決定した。Ki値を各試験化合物について、グラフ及び分析ソフトウェアーパッケージ、GraphPad Prissm、を用いて決定した。
【0047】
試験B:Fluo−4色素を用いたNK1FLIPR検定
FLIPR検定は、ハイスループット全細胞アッセイにおいて細胞蛍光発光を正確に測定するように設計されたモレキュラー−デバイス社から販売されている機器を用いて行う(Schroeder等、J.Biomolecular Screening,1(2),75−80頁,1996)。
【0048】
化合物を、FLIPR機器を用いて、NK1受容体作用薬アセチル−[Arg6,Sar9,Met(O2)11]−サブスタンスP(ASMSP)に対するU373の反応を抑制する効力について評価した。
【0049】
U373細胞にFluo−4色素(モレキュラープルーブ)を37℃で45分間取り込ませそして、10nM−12nMのASMSP(ほぼEC80濃度)でチャレンジする前に、段階的濃度の化合物に室温で15分間晒した。反応を、作用薬を添加した後のピーク相対蛍光として測定した。pIC50を各化合物について11ポイントの濃度−反応から計算した。
【0050】
試薬:
細胞培養培地
アールの塩及びl−グルタミン(500mL)を有するイーグルMEM
Cellgro 10-010-CV
非必須アミノ酸、100×(5mL) Cellgro 25-025-CI
ピルビン酸ナトリウム、100mM(5mL) Cellgro 25-000-CI
L−グルタミン、200mM(5mL) Cellgro 25-005-CI
FBS(50mL) Cellgro 35-010-CV
細胞採取試薬:
DPBS,1×Ca++不含有及びMg++不含有 Cellgro 21-031-CV
1×トリプシン−EDTA (0.5%トリプシン、0.53%EDTA−4Na)
Cellgro 25-052-CI
細胞植付け培地:
UltraCULTURE BioWhittaker 12-725F
L−グルタミン、200mM(5mL/500mL) Cellgro 25-005-CI
使用バッファ:
10×ハンクの平衡塩類溶液(100mL/L) Gibco 14065-056
HEPESバッファ1M(15mL/L,[最終]15mM) Cellgro 25-060-CI
プロベネシド(1Lに対して6mLの1MNaOH中に溶解したもの0.71g、[最終]2.5mM)
Sigma P-8761
DDH20を加えてIL、pHをNaOHで7.4に調整
色素溶液
Fluo−4、AM色素、モレキュラープルーブF−14201、50μgの凍結乾燥した色素を23μLのDMSOと23μLのPluronic F−127(モレキュラープルーブP−3000)に溶解する。溶解したfluo−4色素を次に10mLの使用バッファに添加して5μMの使用色素濃度を得る。希釈した色素の各10mLは1穴当たり25μLで384穴細胞プレートに十分である。
作用薬
アセチル−[Arg6, Sar9, Met(O2)11]−サブスタンスP(ASMSP)
保存液3.33×10-2M。100mgを3.05mLのDMSOに溶解し、等分して4℃で貯蔵する。
その他
DMSO(化合物を溶解するため及びチップ洗浄用)
【0051】
細胞培養及び植付け手順
U373細胞を上記の細胞培養培地中(T−150フラスコ当たり30mL)で生育させ、コンフルエントになったとき、次のように収穫した。培地を吸引により除き、細胞をCa++不含有及びMg++不含有DPBS12mLで1回洗浄した。DPBSを吸引しそしてトリプシン−EDTA3mLに置き換えた。細胞とトリプシン−EDTAを細胞がフラスコから分離するまで室温で約2分インキュベートした。収穫反応を培養培地9mLの添加によりクエンチし、そして細胞を粉砕により再懸濁した。細胞を植継密度1:4で4日毎に継代培養した。実験用に、細胞を計数し、400×gで5分間遠心分離することによりペレット化し、そして細胞植付け培地中に480,000細胞/mLの密度で再懸濁させた。この細胞懸濁液25μLを黒壁384穴プレート(Falcon Microtest、353962)の各穴にLabsystems Multidrop 384を用いて加えて、1穴当たり12,000細胞を与えた。使用前、プレートを37℃で一晩(最低15時間、最高23時間)インキュベートした。
【0052】
化合物及び作用薬の製造:
化合物をDMSO中に10mMの濃度で溶解し、これらの溶液の120μLを、各列が96穴の丸底ポリプロピレン貯蔵用プレート(Coster 3365)の第1穴(カラム1)に移した。次に二つのかかるプレート上の化合物を、Biomek 2000を用いてDMSO中に同時に連続希釈した。各希釈液4μLを、各穴に新たに調製した使用バッファ400μLを含むように前もって調製された深穴プレート(Beckman Coulter 267006)に移した。この手順から得られた濃度を表1に示す。検定中の最終化合物濃度は、10μMと0.1nMとの間で、半ログ増分で、11ポイントにわたった。
【0053】
深穴の内容物を混合し、各希釈液45μLを384穴ポリプロピレン化合物充填プレート(Fisher 12−565−507)に2重に移すと、384穴プレートは二つの96穴プレートからの各化合物を二重で表1に示す濃度で含んだ。プレートのカラム23
及び24は化合物を含まず、従って対照として役立つ。カラム23及び24中の穴A−Nには作用薬のみを充填し、従って最高の反応を示す。カラム23及び24中のO−Pにはバッファのみを充填し、作用薬を含まず従って最低の反応を示す。
【0054】
ASMSP作用薬充填プレートは、ASMSPの保存用濃縮液を取り、使用バッファ中に希釈して、3.3×10-8Mの濃度を得ることにより作った。この溶液45μLを、384穴ポリプロピレン作用薬充填プレート(Fisher 12−565−507)の、バッファ単独を含みそして非刺激対照として働く穴O23、O24、P23及びP24以外の全ての穴に移した。
【0055】
色素充填細胞及び添加化合物
細胞の各384−穴検定プレート用に、希釈したFluo−4色素10mLを方法/試薬のセクションで述べたようにして調製した。まず、384−穴細胞プレートを、使用バッファを用いてCCSパッカード(Packard)プレート洗浄機で1回洗浄した。穴中の残った洗浄後バッファを手で除き、1穴あたり25μLのFluo−4色素を、Labsystems Multidrop 384を用いて添加した。細胞プレートを37℃のインキュベータに45分間戻して色素を細胞に浸透させた。色素充填から45分後、細胞プレートを使用バッファを用いて2回洗浄して、各穴にバッファ30μLを残した。化合物希釈液5μLを化合物プレートから細胞プレートに、PlateMateを用いて移した。アッセイプレートを化合物の存在下で暗中、室温で15分間インキュベートし、次ぎにFLIPRに充填した。
【0056】
FLIPR中での反応の記録:
15分の化合物予備インキュベーションの後、プレートをFLIPR機器に装填し、ASMSP作用薬15μLを加え、作用薬に対する細胞反応を90秒間記録した。反応は、作用薬添加後のピーク相対蛍光として測定する。
【0057】
データ分析:
FLIPRにより生じたスタットファイル(.stat file)に含まれる結果をエクセル分析テンプレートに貼り付け、外れ値を除いた後、IC50値をテンプレート内でXLfitを用いて計算した。個々のIC50値はpIC50と共に報告された。ある化合物について得られた二つのIC50が3倍より大きく違う場合は、その化合物を1〜2回以上検定して値を再度決定した。
【0058】
本発明の化合物Aは試験AでKi約2nM、そして試験BでIC50約12nMを有した。
【実施例】
【0059】
本発明を下記の実施例により例示するが、これらに限定されない。該実施例の記述において、適用され得る場合及び他に記載がない限り、下記の用語、略語及び条件が使用される:
aq.、水性;atm、大気圧;BOC,1,1−ジメチルエトキシカルボニル;DCM、ジクロロメタン;DMF、N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO、ジメチルスルホキシド;EtOH、エタノール;Et2O、ジエチルエーテル;EtAc、酢酸エチル;h、時間;HPLC、高圧液相クロマトグラフィー;HOBT、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;MeOH、メタノール;min、分;MS、質量スペクトル;NMR、核磁気共鳴;psi、ポンド/平方インチ;RT、室温;sat.、飽和;TEA、トリエチルアミン;TFA、トリフルオロ酢酸;THF、テトラヒドロフラン。
【0060】
温度は摂氏(℃)で与えられる;他に記載がない限り、操作は室温又は周囲温度(18
−25℃)で実施した。
【0061】
有機溶液は無水硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムで乾燥した;溶媒の蒸発はオr−タリーエバポレーターを用いて減圧(4.5−30mmHg)下で60℃までの浴温度を用いて実施した。
【0062】
クロマトグラフィーとは、他に記載がない限り、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーを意味する;溶媒混合物組成は容量パーセント又は容量比で与えられる。
【0063】
NMRデータがある場合は、該データは、300MHzで測定した主な特徴的プロトンに対するデルタ値の形態である(内部標準としてのテトラメチルシランに対する100万当たりの部分量(ppm)で与えられる)。
【0064】
融点は校正しない。
【0065】
質量スペクトル(MS)は、他に記載がない限り、大気圧化学イオン化(APCI)を有する自動システムを用いて得た。主要な同位体成分に対応する質量、又はほば同じ存在量の多数の質量(同位体分裂)を有する化合物についての最低質量が報告される。
【0066】
最終化合物はクエン酸塩に変換されたことが記載された場合、遊離塩基はメタノール、DCM、又はアセトニトリルに溶解し、メタノール中でクエン酸(1.0当量)と合わせ、減圧下で濃縮し、そして真空中(25−60℃)で乾燥した。塩が濾過によりEt2Oから分離されたことが示された場合、化合物のクエン酸塩はEt2O中で4−18時間撹拌し、濾過により回収し、Et2Oで洗い、そして真空中(25−60℃)で乾燥した。
【0067】
実施例1:1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)4−((3−シアノ−2−メトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル)ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物:
【化5】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン(76.8mg,0.28ミリモル)及び乾燥DMF(2mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)そしてNaH(鉱油中の60%懸濁液11mg)を1回で添加した。15分後、3−シアノ−2−メトキシ−1−ブロモメチルナフタレン(57mg,0.21ミリモル)及び乾燥DMF(2mL)を含む溶液を添加し(0.25mLの部分にわけて数分間にわたって)、混合物を15分間攪拌し、RTに放温し、更に2.5時間攪拌し、次にEtOAcと水に分配した。有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液で洗い、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0−5%MeOH/DCM)により精製し、クエン酸塩に変換し、そして濾過によりEt2Oから単離して、標題の化合物のクエン酸塩を白色粉末として得た。MS m/z 469(M+H)。
【0068】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジンは次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリ
ジン
1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸エチル(404mg,1.28ミリモル)及び乾燥Et20(5mL)を含む攪拌溶液に、LiEt3BH(THF中1M)(4mL)をゆっくり添加した。RTで1時間後、1N HCl水溶液(10mL)をゆっくり添加し、18時間攪拌し、濃縮し、中和し(飽和NaHO3水溶液)、そしてDCMで抽出した(4回)。DCM抽出物を合わせ、乾燥し、濾過し、そして濃縮して、標題の化合物を白色固体として得た。MS m/z 274(M+H)。該物質を更に精製することなく使用した。
【0069】
b)1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸エチル
1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩(550mg,1.69ミリモル)、H2SO4(0.25mL)及びエタノール(25mL)を含む溶液を還流下で5.5日加熱し、RTに冷却し、そして濃縮した。残留物をEtOAcと飽和NaHCO3水溶液に分配し、有機層を分離し、水性相を追加のEtOAc(2×)で抽出した。EtOAc抽出物を合わせ、乾燥し、濾過し、濃縮し、そして残留物をクロマトグラフィー(2%MeOH/DCM)により精製して、標題の化合物を薄黄色油状物として得た。MS m/z 316(M+H)。1H NMR(CDC13)δ7.47(d,1H),7.39(d,IH),7.22(m,1H),4.14(q,2H),2.77(bd,2H),2.54(bd,2H),2.26(s,3H),2.13(bt,2H),1.91(bm,2H),1.2(t,3H)。
【0070】
c)1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩
1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−シアノピペリジン(1.03g,3.83ミリモル)及び8N HCl水溶液(50mL)を含む混合物を90時間加熱し(100℃)、RTに冷却し、そして濃縮した。残留物を少量のMeOHで処理し、温め、水で希釈し、そしてRTに静置した。存在する固体を濾過により単離し、最小の水で洗い、そして減圧下で乾燥して(60℃)、標題の化合物をオフホワイト固体として得た。MS m/z 288(M+H)。
【0071】
d)1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−シアノピペリジン
3,4−ジクロロフェニルアセトニトリル(4.9g,26.44ミリモル)、N−メチル−ビス−(2−クロロエチル)アミン塩酸塩(5.1g,26.49ミリモル)、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミド(0.72g,1.43ミリモル)、及び50%水酸化ナトリウム水溶液(30mL)を含む混合物を100℃に1時間加熱し、放冷し、水(100mL)で処理し、そしてEt2O(3×)で抽出した。エーテル抽出物を合わせ、水(1×)で洗い、そして1N HCl水溶液(5×)で抽出した。酸性抽出物を洗い(Et2O)、固体炭酸ナトリウムで中和し、そしてEt2O(2×)で抽出した。エーテル抽出物を乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留油状物をクロマトグラフィー(0.5−2%MeOH/DCM)により精製して、標題の化合物を黄色油状物として得た。MS m/z 269(M+H)。
【0072】
必要な3−シアノ−2−メトキシ−1−ブロモメチルナフタレンを次のようにして製造した:
a)3−シアノ−2−メトキシ−1−ブロモメチルナフタレン
3−シアノ−2−メトキシ−1−ヒドロキシメチルナフタレン(101mg,0.47ミリモル)、ピリジン(0.1mL)、及び乾燥アセトニトリル(4.5mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)、そしてジブロモトリフェニルホスホラン(424mg,1.0ミリモル)を(部分にわけて)5分にわたって加えた。5分後、混合物をRTに放温し、3時
間攪拌し、濃縮し、EtOAcで処理し、そして濾過した。濾過物を洗い(1N HCl水溶液及び飽和NaHCO3水溶液)、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM)により精製して、標題の化合物を白色固体として得た。MS m/z 276(M+H)。1H NMR(CDC13)δ 8.22(s,1H),8.10(d,IH),7.88(d,1H),7.76(m,1H),7.57(m,1H),5.01(s,2H),4.19(s,3H)。
【0073】
b)3−シアノ−2−メトキシ−1−ヒドロキシメチルナフタレン
3−シアノ−2−メトキシ−1−ナフトエ酸(10g,44ミリモル)及び乾燥THF(220mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)、そしてTEA(6.5mL,132ミリモル)及びクロロ蟻酸イソブチル(6.0mL,46.3ミリモル)を加えた。30分後、懸濁液をRTに放温し、追加の1.5時間攪拌し、濾過してNaBH4(5g,132ミリモル)と水(200mL)の懸濁液にし、そしてRTで55時間攪拌した。THFを除去し、そして存在する固体を濾過により回収した。減圧下での乾燥(50℃)後、標題の化合物(3.12g,33%)を白色粉末として得た。1H NMR(D6−DMSO)δ 8.57(s,1H),8.27(d,J=8.4Hz,1H),8.03(d,J=8.1Hz,1H),7.75(t,J=8.1Hz,1H),7.61(t,J=7.8Hz,1H),5.35(t,J=5.4Hz,1H),4.94(d,J=5.1Hz,2H),3.97(s,3H)。
【0074】
実施例2:4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化6】
を次のようにしてクエン酸塩として製造した。30mLの乾燥DMF中に1−N−t−Boc−4(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン(1.914g,6.19ミリモル)を含む溶液にNaH(0.272g,6.81ミリモル)を0℃で添加した。該溶液をRTで20分間攪拌した。DMF(10mL)中の3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレン(2.0g,6.19ミリモル)を上記溶液に0℃で添加した。混合物を0℃で20分間、RTで一晩攪拌した。飽和NaHCO3を加え、そして混合物をEtOAc(3×)で抽出した。合わせたEtOAcを飽和NaClで洗い、乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0.5%,1%MeOH−DCM)で精製して、N−t−Boc−4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジンを薄黄色発泡固体(0.843g,収率27%)として得た。EtOAc(1mL)中のN−t−Boc−4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタ−l−イル)メトキシメチル]ピペリジン(35mg,0.066ミリモル)の溶液に0℃でHCl(37%,0.37mL)を加えた。溶液をRTで一晩攪拌し、そして飽和NaHCO3を加えた。混合物をDCM(2×)で抽出した。合わせたDCM抽出物を乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(2%,4%MeOH−DCM,5%−8%MeOH−DCMと1%のNH40H)で精製して、標題の化合物を薄黄色固体(13mg,収率46%)として得た。MS m/z 435.5(M+H)。
【0075】
必要な1−N−t−Boc−4(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジンを次のようにして製造した:
(a)4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン
【化7】
DMF(30mL)中にビス(2−クロロエチル)アミン塩酸塩(6.0g,33.6ミリモル)及び4−フルオロフェニルアセトニトリル(4.542g,33.6ミリモル)を含む溶液に水素化ナトリウム(5.38g,134.4ミリモル)を0℃でゆっくり加えた。得られた懸濁液を攪拌し、そして60℃に24時間加熱した。反応混合物を氷水で急冷し、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、飽和NaCl(3×)で洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(1−5%MeOH−DCM)で精製して、標題の化合物を黄色油状物(2.3g,収率33%)として得た。MS m/z 205.38(M+H)。
【0076】
(b)4−(4−フルオロフェニル)−4−カルボキシピペリジン ヒドロクロリド
【化8】
4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン(4.823g,23.6ミリモル)のエタノール(45mL)溶液に水(45mL)及び水酸化カリウム(19.8g,354ミリモル)を添加した。溶液を110℃に48時間加熱した。RTに冷却後、37%塩酸を添加してpH1に到達させ、そして溶媒を除去した。残留物を水(40mL)に懸濁し、濾過し、そして白色固体を冷水(8mL)で洗った。50℃で一晩乾燥後、標題の化合物が白色固体として集められた。MS m/z 224.34(M+H)。
【0077】
(c)1−N−t−Boc−4(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン
【化9】
4−(4−フルオロフェニル)−4−カルボキシピペリジン塩酸塩(6.134g,23.6ミリモル)のTHF(50mL)溶液にTHF中の1M LAH(47mL,47.2ミリモル)を0℃で添加した。溶液を1.5時間還流加熱した。2NNaOH(2.85mL)、次いで水(3.56mL)を加えて反応を止めた。次にNaOH(水11.2mL中、0.94g)、次いでBoc無水物(5.16g,23.6ミリモル)のDCM(30mL)溶液を加えた。混合物をRTで一晩攪拌し、珪藻土を通して濾過し、EtOAcで洗い、乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(1%,5%MeOH−DCM)で精製して、標題の化合物を無色油状物(2.118g,2段階で収率29%)として得た。MS m/z 210.40(M+H)。
【0078】
実施例3:4-(4-フルオロフェニル)-4-[(3-シアノ-2-メトキシナフタ-1-イル)メトキシメチル]ピペリジン:
下記の構造の化合物
【化10】
をクエン酸塩として、実施例1の反応手順と類似の手順で、3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレンを3−シアノ−2−ジメトキシ−ヨードメチルナフタレンに置き換えて製造した。標題の化合物を淡黄色固体として得た。MS m/z 405.53(M+H)。
【0079】
実施例4:{2−[4−(3−シアノ−2−メトキシ−ナフタレン−1−イルメトキシメチル)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
下記の構造の標題の化合物
【化11】
を次のようにして製造した。N−t−Boc−サルコシン(36mg,0.19ミリモル),4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2−メトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン(70mg,0.17ミリモル),1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(53mg,0.28ミリモル)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(47mg,0.35ミリモル)のDCM(5mL)溶液に、TEA(0.072mL,0.51ミリモル)を添加した。溶液をRTで一晩攪拌した。混合物をDCMと飽和NaHCO3に分配し、有機層を除き、そして水性相をDCM(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(1%,2%MeOH−DCM)で精製して、所望の化合物を白色固体(83mg,収率83%)として得た。MS m/z 476.48(M+H)。
【0080】
実施例5:4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−1−(2−メチルアミノ−アセチル)−ピペリジン−4−イルメトキシメチル]−3−メトキシ−ナフタレン−2−カルボニトリル
下記の構造の標題の化合物
【化12】
をクエン酸塩として次のようにして製造した。実施例4の化合物(73mg,0.066ミリモル)の0℃のEtOAc(2mL)溶液にHCl(37%,0.49mL)を添加した。溶液をRTで1時間攪拌し、そして飽和NaHCO3を加えた。混合物をDCM(3×)で抽出した。合わせたDCMを乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(1%,2%MeOH−DCM,8%MeOH−DCMと1%のNH4OH)で精製して、所望の化合物を白色固体(34mg,収率57%)として得た。MS m/z 476.51(M+H)。
【0081】
実施例6〜9:
表1に掲げた下記の構造の化合物
【化13】
を、実施例4及び5の手順を用いて、N−t−Boc−サルコシンを適当なアミノ酸に置き換えて製造した。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例10:4−{4−(4−フルオロ−フェニル)−1−[2−(1H−インドール−3−イル)−エチル]−ピペリジン−4−イルメトキシメチル}−3−メトキシ−ナフタレン−2−カルボニトリル
下記の構造の標題の化合物
【化14】
をクエン酸塩として次のようにして製造した。4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2−メトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン(89mg,0.22ミリモル)及び3−(2−ブロモエチル)インドール(64mg,0.28ミリモル)のDMSO(2mL)溶液にTEA(0.092mL,0.66ミリモル)を添加した。溶液を100℃に一晩加熱した。冷却後、反応混合物をRTの水に加えた。混合物をEtOAc(3×)で抽出した。合わせたEtOAcを飽和NaClで洗い、乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0.5%−2%MeOH−DCM)で精製して、所望の化合物を淡黄色固体(54mg,収率45%)として得た。MS m/z 548.55(M+H)。
【0084】
実施例11〜18:
以下の表2に示す下記の構造の化合物
【化15】
を、実施例10の手順を用いて、3−(2−ブロモエチル)インドールを該表に示す適当なハライド置換化合物に置き換えて製造した。
【0085】
【表2】
1 実施例15についてはハライドはCl、そして実施例10〜14及び16〜18についてはハライドはBrである。
【0086】
実施例19:1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−((3−シアノナフタ−1−イル)メトキシメチル)ピペリジン
下記の構造の標題の化合物
【化16】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン(100mg,0.36ミリモル)及び乾燥DMF(3mL)を含む溶液を氷浴中で冷却し、そしてNaH(鉱油中の60%懸濁液14.4mg)を1回で添加した。15分後、3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレン(105mg,0.36ミリモル)及び乾燥DMF(5mL)を含む溶液を(0.50mL部分ずつ数分にわたって)加え、混合物を15分間攪拌し、RTに放温し、追加の2.5時間攪拌し、次にEtOAcと水とに分配した。有機層を分離し、1)飽和NaHCO3、2)飽和ブラインで順次洗い、次にMgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(95:4:1CH2Cl2,MeOH,NH40H)で精製し、クエン酸塩に変換し、エーテル/ヘキサンから共沸し、そして50℃でオイルポンプバキュームで一晩乾燥して、標題の化合物のクエン酸塩を白色粉末(117mg,収率53%)として得た。MS m/z 439(M+H)。
【0087】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジンは、実施例1に記載したようにして製造した。
【0088】
必要な3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレンを次のようにして製造した:
a)3−シアノ−1−ヒドロキシメチルナフタレン
塩化メチレン(60mL)中にDMF(3.75mL,50.8ミリモル)を含む冷却溶液(0℃)に、塩化オキサリル(12.7mL,145ミリモル)を滴下した。得られた懸濁液を0℃で1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去すると、薄黄色固体が生じた。この固体をアセトニトリル(50mL)及びTHF(100mL)に再度懸濁し、0℃に冷却した。この冷却懸濁液に、THF(150mL)中に3−シアノナフタレン−1−カルボン酸(7.5g,38.1ミリモル)を含む溶液を加えた。反応物を0℃で1.5時間攪拌し、次に−78℃に冷却した。この冷却溶液に、DMF(60mL)中にNaBH4(5.2g,137ミリモル)を含む溶液を滴下した。反応物を−78℃で1時間攪拌し、−20℃に放温し、−20℃に2時間保持し、次にRTに放温した。溶媒を真空中で除去した。残留物を氷冷水性HCl(1N)でクエンチし、EtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、1)HCl(1N)、2)飽和NaCl(2×)で洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0−1%DCM−MeOH)で精製して、標題の化合物を黄色固体(6.12g,収率88%)として得た。MS m/z フラグメントのみ。
【0089】
b)3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレン
窒素下でアセトニトリル(100mL)中に3−シアノ−1−ヒドロキシメチルナフタレン(5.85g,31.97ミリモル)を含む溶液にトリメチルシリルポリホスフェート(15mL)を添加した。反応混合物をRTで15分間攪拌した。この溶液にNaI(8.3g,55.2ミリモル)を加えた。懸濁液をRTで一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去した。残留物を飽和NaHCO3(600mL)に懸濁し、そして酢酸エチル(2×350mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を:1)飽和NaHCO3、2)飽和Na2S203、3)飽和ブラインで洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物を酢酸エチルからの結晶により精製して、標題の化合物を薄黄色固体(6.59g,収率70%)として得た。MS m/z フラグメントのみ(M+H)。
【0090】
実施例20:1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−((3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル)ピペリジン
下記の式の標題の化合物
【化17】
をつぎのようにして製造した。1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン(49mg,0.179ミリモル)及び乾燥DMF(2mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)、そしてNaH(鉱油中の60%懸濁液7mg)を1回で添加した。15分後、3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレン(63mg,0.178ミリモル)及び乾燥DMF(5mL)を含む溶液を(0.50mL部分ずつ数分にわたって)添加し、混合物を15分間攪拌し、RTに放温し、追加の2.5時間攪拌し、次にEtOAcと水に分配した。有機層を分離し、順次1)飽和NaHCO3、2)飽和ブラインで洗い、次にMgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(93:6:1,CH2Cl2:MeOH:NH4OH)で精製し、クエン酸塩に変換し、エーテル/ヘキサンから共沸し、そして50℃でオイルポンプバキュームで一晩乾燥して、標題の化合物のクエン酸塩を白色粉末(57mg,収率64%)として得た。MS m/z 499 (M+H)。
【0091】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジンを実施例19に記載したようにして製造した。
【0092】
必要な3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレンを次のようにして製造した:
a)3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヒドロキシメチルナフタレン
塩化メチレン(60mL)中にDMF(3.75mL,50.8ミリモル)を含む冷却溶液(0℃)に、塩化オキサリル(12.7mL,145ミリモル)を滴下した。得られた懸濁液を0℃で1時間攪拌し、溶媒を真空中で除去すると薄黄色固体が生じた。この固体をアセトニトリル(50mL)及びTHF(100mL)に再度懸濁した。この冷却懸濁液に、THF(150mL)中に3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタレン−1−カルボン酸(9.8g,38.1ミリモル)を含む溶液を加えた。反応物を0℃で1.5時間攪拌し、次に−78℃に冷却した。この冷却溶液に、DMF(60mL)中にNaBH4(5.2g,137ミリモル)を含む溶液を加えた。反応物を−78℃で1時間攪拌し、−20℃に放温し、−20℃に2時間保持し、次にRTに放温した。溶媒を真空中で除去した。残留物を氷冷水性HCl(1N)でクエンチし、EtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、1)HCl(1N)、2)飽和NaCl(2×)で洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をヘキサン(3×)で洗い、そして真空中で乾燥して、標題の化合物を白色固体(9.26g,収率100%)として得た。MS m/z フラグメントのみ。
【0093】
b)3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレン
窒素下でアセトニトリル(45mL)中に3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヒドロキシメチルナフタレン(2.20g,9.05ミリモル)を含む溶液にトリメチルシリルポリホスフェート(6mL)を添加した。反応物をRTで15分間攪拌した。この溶液にNaI(1.7g,11.3ミリモル)を加えた。反応物を1.5時間攪拌した。溶媒
を真空中で除去した。残留物を飽和NaHCO3(300mL)に懸濁し、そして酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を:1)飽和NaHCO3、2)飽和Na2S203、3)飽和ブラインで洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(3:1,DCM−ヘキサン)により精製して、標題の化合物を黄色固体(1.98g,収率63%)として得た。MS m/z フラグメントのみ。
【0094】
実施例21:1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−((3−シアノナフタ−1−イル)メトキシメチル)−ピペリジン
下記の構造の標題の化合物
【化18】
をつぎのようにして製造した。1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン(100mg,0.45ミリモル)及び乾燥DMF(5mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)、そしてNaH(鉱油中の60%懸濁液18mg)を1回で添加した。15分後、3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレン(132mg,0.45ミリモル)及び乾燥DMF(5mL)を含む溶液を(0.50mL部分ずつ数分にわたって)添加し、混合物を15分間攪拌し、RTに放温し、追加の2.5時間攪拌し、次にEtOAcと水に分配した。有機層を分離し、順次1)飽和NaHCO3、2)飽和ブラインで洗い、次にMgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(97:2:1,CH2Cl2:MeOH:NH4OH)で精製し、クエン酸塩に変換し、エーテル/ヘキサンから共沸し、そして50℃でオイルポンプバキュームで一晩乾燥して、標題の化合物のクエン酸塩を白色粉末(112mg,収率44%)として得た。MS m/z 389(M+H)。
【0095】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン
1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩(1.75g,6.40ミリモル)及び乾燥THF(250mL)を含む攪拌溶液に、LiAlH4(0.97g,25.6ミリモル)を部分(0.10g)に分けて10分間にわたり添加した。反応混合物を2時間還流加熱し、次にRTに冷却した。混合物をゆっくりHCl(1M水溶液)に添加した。水性懸濁液を次にNaOH(2M水溶液)の添加により塩基性にした。EtOAC(2×175mL)で抽出した。合わせたEtOAC抽出物を順次1)飽和HCO3水溶液、2)飽和ブラインで洗い、次に乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(CH2Cl2,10−20%MeOH,1%NH4OH)で精製し、エーテル/ヘキサンから共沸させ、そして50℃で一晩乾燥して、標題の化合物を白色粉末(1.22g,収率78%)として得た。MS m/z 224(M+H)。
【0096】
b)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩
1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン(0.33g,1.51ミリモル)及び10N HCl水溶液(5mL)を含む混合物を電子レンジ(電力:70W,温度:150℃,圧力限界:275psig,時間:14分)中で加熱した。溶媒を真空中で除去した。残留物をMeOH(5×)、次にエーテル(5×)から共沸させ、50℃でオイルポンプバキュームで一晩乾燥して、標題の化合物(0.41g,収率100%)を薄黄褐色固体として得た。MS m/z 238(M+H)。この物質を更に精製することなく使用した。
【0097】
c)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン
必要な1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジンを次のようにして製造した。
a)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン
DMF(30mL)中にメクロレタミン塩酸塩(1.923g,9.99ミリモル)及び4−フルオロフェニルアセトニトリル(1.35g,9.99ミリモル)を含む溶液に、水素化ナトリウム(1.6g,40ミリモル)をゆっくり0℃で加えた。得られた懸濁液を攪拌しそして60℃に24時間加熱した。反応混合物を氷水でクエンチし、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、飽和NaCl(3×)で洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(2−5%MeOH−DCM)で精製して、標題の化合物を黄色油状物(1.788g,収率82%)として得た。MS m/z 219.38(M+H)。
【0098】
実施例22〜28:
表3に示す化合物を、実施例1に示した反応手順と同様な手順で、1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジンを適当に置換したピペリジンに置き換え、そして3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレンを適当に置換した3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレンに置き換えて製造した。
【0099】
実施例19〜28の下記の式の化合物およびその中間体を表3に掲げる。
【表3】
1 実施例21に記載したようにして、a)1−N−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩を出発材料として用いて製造して、所望の1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペリジンを黄褐色油状物として得た。MS m/z 274(M+H)。
2 実施例21に記載したようにして、b)1−N−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−シアノピペリジンを出発材料として用いて製造して、所望の1−N−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩を黄褐色固体として得た。MS m/z 288(M+H)。
3 必要な1−N−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−シアノピペリジンを、本願に記載の手順に従って製造した。
【0100】
実施例29:4−[(4−フルオロ−1−ナフチル)メトキシメチル]−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化19】
を次のようにして製造した。
【0101】
必要な(4−フルオロ−1−ナフチル)メタノールを次のようにして製造した:
a)4−フルオロ−1−ナフトエ酸(1.5g.7.88ミリモル)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.54mL,8.67ミリモル)を無水THF50mLに溶解し、溶液を−10℃に冷却した。冷却溶液にクロロ蟻酸イソブチル(1.12mL,8.67ミリモル)を滴下し、そして30分間攪拌した。溶液を、最小の水に溶かしたホウ水素化ナトリウム(1.19g,31.54ミリモル)を含むフラスコ中に濾過した。泡立つ溶液を追加の20分間RTで攪拌した。溶液を1N HClでゆっくり酸性化し、そしてEtOAcと水に分配した。有機層を分離し、そして順次1)飽和.NaHCO3、2)飽和ブラインで洗い、次にMgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(1:1,EtOAc:ヘキサン)で精製し、そして揮発物を減圧下で除去して、標題の化合物を桃色がかった白色固体(1.0g,収率72%)として得た。MS m/z 159(M+H−H2O)+。
【0102】
必要な1−(ブロモメチル)−4−フルオロナフタレンを次のようにして製造した:
a)(4−フルオロ−I−ナフチル)メタノール(1.00g,5.67ミリモル)をDCM100mL中に溶解し、次いで四臭化炭素(2.07g,6.24ミリモル)及びトリフェニルホスフィン(1.63g,6.24ミリモル)を添加し、そしてRTで一晩攪拌した。揮発物を減圧下で除去し、そして残留物を、100%ヘキサンから100%ジエチルエーテルの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。生成物を赤色がかった褐色半固体(0.65g,48%)として得た。
【0103】
標題の化合物の製造:
1−(ブロモメチル)−4−フルオロナフタレン(0.33g,1.38ミリモル)及び[4−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン−4−イル]メタノール(0.197g,1.24ミリモル)を無水THF80mL中に溶解し、そして氷浴中で冷却した。冷却溶液にNaH(鉱油中の60%懸濁液110mg)を1回で加え、次いでNaI(207mg,1.38ミリモル)を1回で加え、冷溶液を追加の15分間攪拌した。次に反応物を一晩60℃に加熱した。次に溶液をEtOAcと水に分配し、そして有機層を順次1)飽和NaHCO3、2)飽和ブラインで洗い、次にNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。生成物を質量スペクトル誘発型(Mass Spec triggered)HPLC分画(10:89:1,MeOH:水:TFA)で精製した。TFA塩を溶媒の凍結乾燥により単離し、そして生成物のメタノール溶液を塩基性アルミナのパッドを通過させることにより遊離塩基を製造して、標題の化合物を半透明膜(8.1mg,収率15%)として得た。MS m/z 382(M+H)。
【0104】
実施例30:4−(4−クロロフェニル)−4−[(3−シアノ−2−メトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化20】
を次のようにしてクエン酸塩として製造した。実施例2と同様にして、しかし1−N−t−Boc−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン(120mg,0.367ミリモル)及び3−シアノ−2−メトキシ−ブロモメチルナフタレン(102mg,0.369ミリモル)を使用して、クエン酸塩を濾過によりEt20から単離して、標題の化合物(90mg)(42%)を白色粉末として得た。MS m/z 421(M+H)。
【0105】
必要な1−N−t−Boc−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−t−Boc−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン
【化21】
4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン(0.46g,2.04ミリモル)、1N NaOH水溶液(5mL)、DCM(10mL)及びTHF(10mL)を含む混合物に、ジ−t−ブチルジカーボネート(0.51g,2.32ミリモル)及びDCM(5mL)を含む溶液を(1回で)加えた。72時間後、混合物を飽和NaHCO3水溶液で処理し、そしてDCM(3×)で抽出した。抽出物を乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0−1%MeOH/DCM)で精製して、標題の化合物(0.53g)(80%)を泡状固体として得た。MS m/z 226(M−BOC)。
【0106】
b)4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン
【化22】
実施例1aと同様にして、しかし4−(4−クロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸エチル(0.65g,2.44ミリモル)を使用して、標題の化合物(0.46g)(83%)をオフホワイト固体として得た。該物質を更に精製することなく使用した。
【0107】
c)4−(4−クロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸エチル
【化23】
実施例1bと同様にして、しかし4−(4−クロロフェニル)−4−カルボキシピペリジン塩酸塩(0.80g,2.91ミリモル)を使用して、標題の化合物(0.65g)(84%)を黄色油状物として得た。MS m/z 268(M+H)。
【0108】
d)4−(4−クロロフェニル)−4−カルボキシピペリジン塩酸塩
【化24】
実施例1cと同様にして、しかし4−(4−クロロフェニル)−4−シアノピペリジン(0.91g,4.11ミリモル)を使用して、標題の化合物(0.83g)(73%)をオフホワイト固体として得た。MS m/z 240(M+H)。
【0109】
e)4−(4−クロロフェニル)−4−シアノピペリジン
【化25】
1−N−BOC−4−(4−クロロフェニル)−4−シアノピペリジン(1.32g,4.11ミリモル)、TFA(11mL)、及びDCM(11mL)を含む溶液をRTで72時間攪拌し、そして次に濃縮した。残留物を水及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液で(塩基性となるまで)処理し、次にDCM(3×)で抽出した。DCM抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして濃縮して、標題の化合物(定量)を無色油状物として得た。MS m/z 221(M+H)。
【0110】
f)1−N−Boc−4−(4−クロロフェニル)−4−シアノピペリジン
【化26】
ビス(2−クロロエチル)−N−BOCアミン(3.72g,15.38ミリモル)、4−クロロベンジルシアニド(2.10g,13.88ミリモル)、及び無水DMF(15mL)を含む溶液を攪拌し、そしてNaH(鉱油中の60%分散物)(1.6g,40ミリモル)を部分に分けて1時間にわたって添加した。混合物を60−65℃に1時間加熱し、RTで72時間攪拌し、次に氷/水に注ぎ、そしてEtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を(水及びブラインで)洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(8:1:1、ヘキサン/DCM/EtOAc)で精製して、標題の化合物(2.4g)(54%)を黄色固体として得た。MS m/z 221(M−BOC)。
【0111】
実施例31:1−N−メチル−4−フェニル−4−[(3−シアノナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化27】
を次のようにしてクエン酸塩として製造した。実施例1と同様にして、しかし1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−フェニルピペリジン(168mg,0.818ミリモル)及び3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレン(239mg,0.817ミリモル)を使用して、クエン酸塩を濾過によりEt2Oから単離して、標題の化合物(79mg)(17%)をオフホワイト粉末として得た。MS m/z 371(M+H)。
【0112】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−フェニルピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−フェニルピペリジン
【化28】
実施例21aと同様にして、しかし1−N−メチル−4−カルボキシ−4−フェニルピペリジン塩酸塩(1.5g,5.86ミリモル)を使用して、標題の化合物(1.18g)(97%)を白色固体として得た。MS m/z 206(M+H)。
【0113】
b)1−N−メチル−4−カルボキシ−4−フェニルピペリジン塩酸塩
【化29】
実施例21bと同様にして、しかし1−N−メチル−4−シアノ−4−フェニルピペリジン(2.0g,10ミリモル)を使用して、標題の化合物(1.5g)(60%)を白色固体として得た。MS m/z 220(M+H)。
【0114】
c)1−N−メチル−4−シアノ−4−フェニルピペリジン
【化30】
実施例4aと同様にして、しかしフェニルアセトニトリル(4.4g,37.6ミリモル)を使用しそして短路蒸留に従って、標題の化合物(7.05g)(93%)を無色液体として単離した。MS m/z 201(M+H)。
【0115】
実施例32:1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−[(ナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン
下記の構造の標題の化合物
【化31】
を、実施例21に示した反応手順と同様な手順で、3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレンを1−ブロモメチルナフタレンに置き換えて製造した。MS m/z364(M+H)。
【0116】
実施例33:1−メチル−4−(1−ナフタレン−1−イル−エトキシメチル)−4−フェニル−ピペリジン
下記の構造の標題の化合物
【化32】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−フェニル−4−(1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(75.0mg,0.21ミリモル)及び無水EtOH(10mL)を含む溶液に、炭素(45mg)上の10%パラジウムを加えた。反応混合物を水素ガス(3×)でパージし、次に水素(50psig)下に18時間置いた。反応混合物を窒素でパージし、濾過し、メタノール(4×10mL)で洗い、そして溶媒を真空中で除去した。残留物を次にEtOAcと飽和NaHCO3水溶液に分配し、
有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液で洗い、乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクエン酸塩に変換し、そして50℃でオイルポンプバキューム下で乾燥して、標題の化合物(収率72%,83.5mg)を白色粉末として得た。MS m/z 360(M+H)。
【0117】
必要な1−N−メチル−4−フェニル−4−(1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジンを次のようにして製造した。
a)1−N−メチル−4−フェニル−4−(1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−フェニル−ピペリジン−4−イルメチルエステル(100mg,0.279ミリモル)及び乾燥THF(2mL)を含む攪拌、冷却(0℃)溶液に、テッベ(Tebbe)試薬(トルエン中0.5M,0.67mL)を滴下し、反応物を10分間攪拌し、RTに放温し、次に追加の1時間攪拌した。エーテル(10mL)を加え、そして反応物を5分攪拌した。NaOH(1M水溶液,0.8mL)を滴下し、そして20分間攪拌した。MgSO4(1.0g)を加え、EtOAcリンス(4×10mL)を用いて濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(2%MeOH/97.6%CH2Cl2/0.4%NH4OHから7%MeOH/92.6%CH2Cl2/0.4%NH40H)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率80%,80mg)を白色固体として得た。MS m/z 358(M+H)。
【0118】
b)ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−フェニル−ピペリジン−4−イルメチルエステル
1−ナフトエ酸(445mg,2.58ミリモル)及びCH2Cl2(25mL)を含む懸濁液に塩化オキサリル(0.293mL,3.35ミリモル)を、次にDMF(2滴)を加えた。反応物をRTで1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去した。この物質を1,2−ジクロロエタン(10mL)に溶解し、そして1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−フェニルピペリジン(0.53g,2.58ミリモル,実施例31)、トリエチルアミン(392mg,3.87ミリモル)及び1,2−ジクロロエタン(l0mL)を含む溶液に加えた。反応物をRTで20分間攪拌し、そして次に60℃に一晩加熱した。反応物を冷却しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH40H)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率74%,683mg)を黄褐色固体として得た。MS m/z 360(M+H)。
【0119】
実施例34:1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−1−ナフタレン−1−イル−エトキシメチル)ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化33】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(35.0mg,0.088ミリモル)及び無水EtOH(10mL)を含む溶液に、炭素(30mg)上の10%パラジウムを加えた。反応混合物を水素ガス(3×)でパージし、次に水素(50psig)下に18時間置いた。反応混合物を窒素でパージし、濾過し、メタノール(4×10mL)で洗い、そして溶媒を真空中で除去した。残留物を次にEtOAcと飽和NaHCO3水溶液とに分配し、有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液で洗い、乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製した。このクロマトグラフィーを行った物質をクエン酸塩に変換し、50℃でオイルポンプバキューム下で乾燥して、標題の化合物(収率45%,23.5mg)を白色粉末として得た。MS m/z 403(M+H)。
【0120】
必要な1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−ブロモ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(123mg,0.27ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(9.2mg,0.0078ミリモル)、ヨウ化銅(1)(32.7mg,0.172ミリモル)及びDMF(3mL)を含む懸濁液を、窒素を用いて激しく5分間パージした。反応物を230ワットの電力で200℃に7分30秒間電子レンジ加熱した。反応物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液に注ぎ、そしてEtOAC(2×75mL)で抽出した。合わせたEtOAC抽出物を1)飽和NaHCO3水溶液(35mL)、2)飽和ブライン(35mL)で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製して、標題の化合物(収率39%,42mg)を白色フィルムとして得た。MS m/z 401(M+H)。
【0121】
b)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−ブロモ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
3−ブロモ−ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−4−イルメチルエステル(310mg,0.68ミリモル)及び乾燥THF(12mL)を含む攪拌冷却(0℃)溶液に、テッベ試薬(トルエン中0.5M,1.71mL)を滴下した。反応物を10分間攪拌し、RTに放温し、次に追加の1時間攪拌した。エーテル(20mL)を加え、そして反応物を5分間攪拌した。NaOH(1M水溶液,1.6mL)を滴下し、そして20分間攪拌した。MgSO4(2.0g)を加え、EtOAcリンス(4×20mL)を用いて濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(3%MeOH/96.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率65%,200mg)を黄色固体として得た。MS m/z 454(M+H)。
【0122】
c)3−ブロモ−ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−4−イルメチルエステル
3−ブロモ−1−ナフトエ酸(300mg,1.19ミリモル)及びCH2Cl2(15mL)を含む懸濁液に塩化オキサリル(0.15mL,1.72ミリモル)を添加し、次にDMF(2滴)を添加した。反応物をRTで1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去した。この物質を1,2−ジクロロエタン(10mL)に溶解し、そして1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロ−フェニル)ピペリジン(261mg,1.17ミリモル)、トリエチルアミン(182mg,1.8ミリモル)及び1,2−ジクロロエタン(18mL)を含む溶液に加えた。反応物をRTで20分間攪拌し、そして次に60℃に一晩加熱した。反応物を冷却しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(CH2Cl2中5%MeOH)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率63%,341mg)を白色固体として得た。MS m/z 456(M+H)。
【0123】
必要な3−ブロモ−1−ナフトエ酸を、Rule,HG及びThompson,SB;J.Chem.Soc.1764−1767(1937)の手順を用いて以下のようにして製造した。1,8−ナフタル酸無水物を臭素で処理しそして3−ブロモ−1−ナフトエ酸に変換した。
【0124】
実施例35:1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−エトキシメチル)ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化34】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(69mg,0.15ミリモル)及び無水EtOH(10mL)を含む溶液に、炭素(70mg)上の10%パラジウムを加えた。反応混合物を水素ガス(3×)でパージし、次に水素(50psig)下に38時間置いた。反応混合物を窒素でパージし、濾過し、メタノール(4×20mL)で洗い、そして溶媒を真空中で除去した。残留物を次にEtOAcと飽和NaHCO3水溶液とに分配し、有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液で洗い、乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(3%MeOH/96.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製した。このクロマトグラフィーを行った物質をクエン酸塩に変換し、50℃でオイルポンプバキューム下で乾燥して、標題の化合物(収率40%,39mg)を黄褐色粉末として得た。MS m/z 463(M+H)。
【0125】
必要な1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−ヨード−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(140mg,0.25ミリモル)、シアン化銅(1)(44.8mg,0.50ミリモル)及びDMF(6mL)を含む懸濁液を、窒素を用いて激しく5分間パージした。反応物を150ワットの電力で150℃に5分間電子レンジ加熱した。反応を冷却し、飽和NaHCO3水溶液に注ぎ、そしてEtOAC(2×75mL)で抽出した。合わせたEtOAC抽出物を1)飽和NaHCO3水溶液(35mL)、2)飽和ブライン(35mL)で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(2%MeOH/97.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製して、標題の化合物(収率66%,76mg)を白色膜として得た。MS m/z 461(M+H)。
【0126】
b)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−ヨード−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
3−ヨード−2,4−ジメトキシ−ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−4−イルメチルエステル(290mg,0.515ミリモル)及び乾燥THF(15mL)を含む攪拌、冷却(0℃)溶液に、テッベ(Tebbe)試薬(トルエン中0.5M,2.0mL)を滴下した。反応物を10分間攪拌し、RTに放温し、次に追加の5時間攪拌した。エーテル(40mL)を加え、そして反応物を5分攪拌した。NaOH(1M水溶液,2.0mL)を滴下し、そして20分間攪拌した。MgSO4(4.0g)を加え、EtOAcリンス(4×30mL)を用いて濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(2%MeOH/97.6%CH2Cl2/0.4%NH4OHから4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率66%,201mg)を黄褐色固体として得た。MS m/z 562(M+H)。
【0127】
c)3−ヨード−2,4−ジメトキシ−ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−4−イルメチルエステル
3−ヨード−2,4−ジメトキシ−1−ナフトエ酸(855mg,2.39ミリモル)及びCH2Cl2(25mL)を含む溶液に塩化オキサリル(0.30mL,3.44ミリモル)を、次にDMF(3滴)を加えた。反応物をRTで1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去した。この物質を1,2−ジクロロエタン(20mL)に溶解し、そして1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロ−フェニル)ピペリジン(522mg,2.34ミリモル)、トリエチルアミン(364mg,3.6ミリモル)及び1,2−ジクロロエタン(20mL)を含む溶液に加えた。反応物をRTで20分間攪拌し、そして次に60℃に一晩加熱した。反応物を冷却しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率40%,524mg)を白色固体として得た。MS m/z 564(M+H)。
【0128】
d)3−ヨード−2,4ジメトキシ−ナフタレン−1−カルボン酸
3−ヨード−2,4−ジメトキシナフタレン−1−カルボン酸ベンジルエステル(1.20g,2.68ミリモル)及びアセトニトリル(20mL)を含む溶液にヨウ化トリメチルシリル(0.495mL,3.48ミリモル)を滴下した。反応物をRTで48時間攪拌した。反応物を、飽和NaHCO3水溶液(70mL)及び飽和Na2S2O3(30mL)を含む溶液に注いだ。pHを、6MのHClを注意深く添加して2.0に調整した。酸性水性懸濁液をEtOAC(2×75mL)で抽出した。合わせたEtOAC抽出物を1.)1MのHCl(35mL),2.)飽和ブライン(35mL)で洗い、MgS04で乾燥し、濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。残留物を、エーテル(35mL)及びヘキサン(120mL)を含む溶液に懸濁させた。溶媒を真空中で除去し、50℃でオイルポンプバキューム下で乾燥して、標題の化合物(収率83%,800mg)を黄褐色粉末として得た。1H NMR(CDCL3)δ 11.91(s,1H),8.10(m,2H),7.58(dd,1H),7.49(dd,1H),4.06(s,3H),4.01(s,3H)。
【0129】
必要な3−ヨード−2,4−ジメトキシナフタレン−1−カルボン酸ベンジルエステルを次のようにして製造した:
a)2,4−ジヒドロキシ−1−ナフトエ酸ベンジル
マロン酸ジベンジル(51mL,204ミリモル)、2−ブロモアセトフェノン(20.25g,102ミリモル)、臭化第2銅(1.60g,11.2ミリモル)及びジオキサン(75mL)の混合物を室温で窒素下で15分間攪拌し、次に60%水素化ナトリウム(9.76g,244ミリモル)で部分に分けて慎重に処理した。水素化ナトリウムの添加後、混合物を80℃の油浴中で3時間攪拌し、冷却し、そして水(1L)に注いだ。酢酸エチル(500mL)及び1N HCl(50mL)を加え、混合物を振とうし、そして層を分離した。水性相を酢酸エチル(200mL)の第2の部分で抽出した。乾燥した(MgSO4)有機層を濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。カラムクロマトグラフィー(10%,20%,30%及び40%ジエチルエーテル/ヘキサン)で石油エーテル及びジクロロメタンで処理することにより、黄色の標題の化合物11.72gを得た。液体からの物質に再度クロマトグラフィーを行い(ジクロロメタン)、そして集めた画分を1:1の石油エーテル/ジクロロメタンで処理して追加の標題の化合物(4.80g)を得た。全収量は16.52g(55%)、mp159−162℃であった。1H NMR(300MHz,CDC13)δ 5.54(s,2H),5.98(s,1H,交換可能),6.50(s,1H),7.32−7.54(m,7H),8.17(d,IH,J=8.5Hz),8.82(d,1H,J=8.9Hz),12.72(s,1H,交換可能)。MS APCI,m/z=295(M+1)。
【0130】
b)2,4−ジヒドロキシ−3−ヨード−1−ナフトエ酸ベンジル
材料を溶解するために僅かに温めた2,4−ジヒドロキシ−1−ナフトエ酸ベンジル(58.86g,200ミリモル)のアセトニトリル(600mL)溶液を、N−ヨードスクシンイミド(46.12g,205ミリモル)のアセトニトリル(400mL)溶液ですばやく処理し、混合物を室温で2時間攪拌し、そして溶媒を真空中で抜き取った。残留物をジクロロメタン(1L)中に溶解し、少量のNaHSO3を含む水(300mL)で洗い、そして有機層を集め、乾燥し(MgSO4)、そして溶媒を真空中で除去した。カラムクロマトグラフィー(1:1,ヘキサン/ジクロロメタン)で、真空中の乾燥後、標題の化合物(68.13g,81%)がクリーム色に着色した固体として戻された。1HNMR(300MHz,CDCl3)δ 5.56(s,2H),6.45(s,1H),7.35−7.57(m,7H),8.27(d,1H,J=8.3Hz),8.80(d,1H,J=8.8Hz),13.67(s,1H)。
【0131】
c)3−ヨード−2,4−ジメトキシナフタレン−1−カルボン酸ベンジルエステル
窒素下の2,4−ジヒドロキシ−3−ヨード−1−ナフトエ酸ベンジル(68.13g,162ミリモル)、硫酸ジメチル(32mL,338ミリモル)、炭酸カリウム(48g,347ミリモル)及びアセトン(875mL)の攪拌混合物を一晩還流した。アセトンを真空中で除去し、そして残留物を水(500mL)と酢酸エチル(500mL)とに分配した。分離した水性層を追加の酢酸エチル(200mL)で抽出し、そして合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。カラムクロマトグラフィー(1:1,ヘキサン/ジクロロメタン)で標題の物質が黄色油状物として戻された。該黄色油状物は静置により固化した(60.48g,83%),mp80−83℃。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 3.85(s,3H),3.98(s,3H),5.51(s,2H),7.32−7.54(m,7H),7.76(d,1H,J=9.7Hz),8.09(d,1H,J=9.2Hz)。
【0132】
実施例36:
薬学の分野でよく知られた慣用の手順に従って、式Iに従う化合物Aのような化合物を含む下記の代表的薬剤投与形態を製造し得る:
錠剤 mg/錠剤
式Iの化合物 50.0
マンニトール,USP 223.75
クロスカルメロースナトリウム 60
トウモロコシ澱粉 15
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),USP 2.25
ステアリン酸マグネシウム 3.0
カプセル mg/カプセル
式Iの化合物 10.0
マンニトール,USP 488.5
クロスカルメロースナトリウム 15
ステアリン酸マグネシウム 1.5
【0133】
薬剤投与形態は、それを必要とする患者に、患者及び治療する詳細な病状に依存する頻度で投与される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、セレトニン、サブスタンスP又はニューロキニンAが関係するような疾病の治療、例えば高血圧、鬱病、一般化された不安障害、恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害、肥満、薬物依存症、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害、パーキンソン病、内分泌腺障害血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群(fibromyalgia syndrome)、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び頭痛のような障害又は症状の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類のニューロキニンは末梢及び中枢神経系に見られるペプチド性神経伝達物質である。3つの主なニューロキニンはサブスタンスP(SP)、ニューロキニンA(NKA)及びニューロキニンB(NKB)である。少なくともNKAのN−末端延長形態は知られている。主なニューロキニンについて3つの受容体型が知られている。ニューロキニンSP、NKA及びNKBに対する受容体の相対的選択性に基づいて、受容体はそれぞれニューロキニン1(NK1)、ニューロキニン2(NK2)及びニューロキニン3(NK3)受容体に分類される。末梢において、SP及びNKAはC−求心性感覚神経細胞に局在し、該神経細胞はC−線維として知られた髄鞘のない神経末端により特徴付けられ、そしてSP及びNKAはこれらの神経細胞の選択的脱分極、又はC−線維の選択的刺激により放出される。C−線維は気道上皮に位置し、タキキニンは、喘息に観察される症候の多くに明らかに似た著しい効果を引き起こすことが知られている。哺乳類の気道におけるタキキニンの放出又は導入の効果には、気管支収縮、増大した微小血管浸透性、血管拡張、増大した粘液分泌及び肥満細胞の活性化が含まれる。NK1、NK2及びNK3受容体と相互作用し、異なった化学構造を有するニューロキニン拮抗薬が記載されてきた。特に国際公報WO98/07722、WO96/39383及びWO98/25617、並びに広域公報EP428434、EP474561、EP515240及びEP559538は多様の化学構造の製造を開示する。
【0003】
NK1活性は鬱病及び不安症にも関係し、遺伝的に改変したNK1受容体を有するマウスは不安症に関係する挙動を減少し(Santarelli,L.等,Proc.Nat.Acad.Sci.,98,1912(2001))、そしてNK1拮抗薬は鬱病の動物モデルに有効であることが報告された(Papp,M.等,Behav.Brain Res.,115,19(2000))。
【0004】
セレトニン選択的再摂取阻害剤(SSRIs)は大鬱病性障害(MDD)の治療に広く使用され、そして耐容性で且つ容易に投与されると考えられる。しかしながら、SSRIsは作用の始まりが遅く、性的機能障害のような望ましくない副作用を伴い、そして患者の多分30%に有効でない(M.J.Gitlin,J.Clin.Psych.,55,406−413(1994))。
【0005】
従って、NK1拮抗薬とセレトニン再摂取阻害剤の二重の作用を有する化合物は、抗鬱剤の新しい種類を提供し得る。実際、NK1拮抗効果とセレトニン再摂取阻害とを組み合わせた化合物が記載されてきた(Ryckmans,T.等,Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,261(2002))。
【特許文献1】国際公報WO98/07722
【特許文献2】WO96/39383
【特許文献3】WO98/25617
【特許文献4】EP428434
【特許文献5】EP474561
【特許文献6】EP515240
【特許文献7】EP559538
【非特許文献1】Santarelli,L.等,Proc.Nat.Acad.Sci.,98,1912(2001)
【非特許文献2】Papp,M.等,Behav.Brain Res.,115,19(2000)
【非特許文献3】M.J.Gitlin,J.Clin.Psych.,55,406−413(1994)
【非特許文献4】Ryckmans,T.等,Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,261(2002)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、ニューロキニン1(NK1)拮抗薬活性とセレトニン再摂取阻害(SRI)活性との両者を有する置換ナフチルエーテル誘導体を発見した。本発明のナフチルエーテル誘導体は式Iの化合物である:
【化1】
[ここで、
各R1は各々独立してCN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、Cl-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORC、及びCH2ORCから選ばれた基であり;mは0、1、2又は3から選ばれ;各Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、Gは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;各Rdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そして各ReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
各R2は各々独立して水素、CN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORc及びCH2ORCから選ばれ、nは0、1、2又は3から選ばれ;ここで各Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、CI-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、Gは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;各Rdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そして各ReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
R3は水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−D、(CH2)q−D及び(CH2)q−CH=CH−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれ、qは1、2又は3から選ばれ、rは1、2、3、又は4から選ばれ、そしてDはフェニル又はインドリルから選ばれ、該フェニル又は該インドリルはハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ及び−O−
(CH2)q−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく;
各R4、R5、R6及びR7は各々独立して水素又はC1-6アルキルから選ばれるか、或いは
【0007】
独立して、R4とR5はそれらが結合した炭素と一緒になってそしてR6とR7はそれらが結合した炭素と一緒になって、式IIの基:
【化2】
(式中、pは0、1、2、3又は4から選ばれる)を形成する]。
【0008】
本発明はまた、該ナフチルエーテル誘導体のインビボ−加水分解可能な前駆体及び薬学的許容塩、それらを含む薬学的組成物及び配合物、それらを単独で又は他の治療的に活性な化合物若しくは物質と組み合わせて疾病又は症状を治療するのに使用する方法、それらの製造に使用する方法及び中間体、それらの医薬としての使用、それらの医薬の製造のための使用、及び診断及び分析目的のためのそれらの使用を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、二重のNK1拮抗薬活性とSRI活性を有する新規なナフチルエーテル誘導体、かかる化合物を含む薬学的組成物、及びかかる化合物を中枢神経系(CNS)及び他の障害の治療に使用する方法を含む。
【0010】
本発明の化合物は式I:
【化3】
〔ここで、
各R1は各々独立してCN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、Cl-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORC、及びCH2ORCから選ばれた基であり;mは0、1、2又は3から選ばれ;各Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、ここでGは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;ここで各Rdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そして各ReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
各R2は各々独立して水素、CN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORc及びCH2ORCから選ばれ、nは0、1、2又は3から選ばれ;ここで各Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、ここでGは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;各Rdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そして各R
eとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
R3は水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−D、(CH2)q−D及び(CH2)q−CH=CH−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれ、qは1、2又は3から選ばれ、rは1、2、3、又は4から選ばれ、そしてDはフェニル又はインドリルから選ばれ、該フェニル又は該インドリルはハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ及び−O−(CH2)q−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく;
各R4、R5、R6及びR7は各々独立して水素又はC1-6アルキルから選ばれるか、或いは
【0011】
独立して、R4とR5はそれらが結合した炭素と一緒になってそしてR6とR7はそれらが結合した炭素と一緒になって、式IIの基:
【化4】
(式中、pは0、1、2、3又は4から選ばれる)を形成する〕、
の化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩である。
【0012】
本発明の特定の化合物は、
各R1が各々独立してフルオロ、シアノ、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、およびmが1、2又は3;
各R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2;ならびに
R3が各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれる
化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩である。
【0013】
本発明の他の特定の化合物は、
各R1が各々独立してフルオロ、シアノ、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、およびmが1、2又は3;
各R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2;ならびに
R3は水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、qは1、2又は3であり、rは1、2、3、又は4であり、そしてDはフェニル、インドール−3−イル、インドール−4−イルから選ばれ、該フェニルはフルオロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ又は−O−(CH2)2−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく、そして該インドリルはフルオロ、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシから選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよい化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩である。
【0014】
本発明の更に特定の化合物は、
各R1が各々独立してフルオロ、シアノ、エチル及びメトキシから選ばれ、およびmが1、2又は3;
各R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2;ならびに
R3は水素及びメチルから選ばれる
化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩である。
【0015】
本発明の特定の化合物は、R4、R5及びR6がそれぞれ水素、そしてR7がメチルである
化合物、及びその薬学的許容塩である。
【0016】
本発明の最も特定の化合物は、実施例の化合物である。
【0017】
式Iの化合物の薬学的許容塩には、生理学的に許容されるアニオンを与える無機酸若しくは有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、パラ−トルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、サリチル酸及びキナ酸、とで製造された塩が含まれる。
【0018】
本発明の更に別の側面は、SRI活性と組み合わされたNK1受容体の拮抗作用が有益な病状の治療方法であり、該方法は、温血動物に式Iの化合物又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩の有効量を投与することを含む。本発明はまた、NK1受容体の拮抗作用及びSRI活性が有益な病状に使用する医薬の製造のための、式Iの化合物又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩の使用を提供する。
【0019】
本発明はまた、高血圧、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、出産後鬱病、一般化された不安障害、広場恐怖症、社会恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、拒食症、多食症、肥満、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン若しくはベンゾジアゼピンへの依存症;群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、痴呆、健忘障害、年齢に関係する認識減退、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、遅発性ジスキネジー、高プロラクチン血、血管痙攣、脳血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び哺乳類の血管障害に関連した頭痛から選ばれた障害又は症状の治療方法であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物又はその薬学的許容塩、及び薬学的に許容される担体を投与することを含む治療方法に関する。
【0020】
本発明はまた、哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病(例えば、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病及び出産後鬱病)、一般化された不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症及び単純な恐怖症)、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害(例えば、拒食症及び多食症)、肥満、化学品依存症(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン及びベンゾジアゼピンへの依存症)、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害(例えば、痴呆、健忘障害、及び年齢に関係する認識減退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム及び遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管痙攣(特に脳血管における血管痙攣)、小脳性運動失調、胃腸管障害(運動性及び分泌における変化を含む)、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性偏頭痛及び(血管障害に関連した)頭痛から選ばれた障害又は症状を治療するための薬学的組成物であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物又はその薬学的許容塩、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【0021】
別の側面においては、本発明は式Iの化合物、治療におけるそれらの使用、およびそれらを含む組成物に関する。
【0022】
更に別の側面においては、本発明は1個又はそれ以上の原子が同じ元素の放射性同位体で標識された式Iの化合物に関する。本発明のこの側面の特別の形態では、式Iの化合物はトリチウムで標識される。
【0023】
トリチウムで標識された本発明の化合物は、NK1及びSRI受容体に結合しそしてNK1及びSRI受容体の活性を調節する新規な医薬化合物の発見に有用である。かかるトリチウム標識化合物は、NK1又はSRI受容体に結合するリガンドの結合を評価するために、かかる化合物の置換を測定する検定に使用し得る。
【0024】
特定の側面においては、本発明はNK1及びSRI受容体の作用が介在する疾患の治療への式Iの化合物の使用に関する。更に特定の側面においては、本発明はNK1及びSRI受容体の作用が介在する疾患の治療への式Iの化合物の使用に関する。
【0025】
本発明の別の側面は、NK1及びSRI受容体の活性化が有益なヒトの疾患又は症状の治療又は予防方法であって、本発明の化合物の治療上有効量を投与することを含む方法に関する。
【0026】
本発明のこの側面の特定の態様は、哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病(例えば、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、及び出産後鬱病)、一般化された不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症、及び単純な恐怖症)、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害(例えば、拒食症及び多食症)、肥満、化学品依存症(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン、及びベンゾジアゼピンへの依存症)、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害(例えば、痴呆、健忘障害、及び年齢に関係する認識減退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、及び遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管痙攣(特に脳血管における血管痙攣)、小脳性運動失調、胃腸管障害(運動性及び分泌における変化を含む)、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性偏頭痛、及び(血管障害に関連した)頭痛から選ばれた症状を治療するための方法であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物又はその薬学的許容塩を投与することを含む方法に関する。
【0027】
本発明の別の側面は、本発明の化合物及び薬学的に許容される希釈剤若しくは担体を含む薬学的組成物に関する。
【0028】
本発明の更なる側面は、哺乳類、好ましくはヒトにおけるNK1及びSRI受容体の機能障害から生じるここに述べた症状又は障害を治療又は予防するための薬学的組成物であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物、そのエナンチオマー又はその薬学的許容塩、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【0029】
本発明の別の側面は、NK1及びSRI受容体の活性化が有益なヒトの疾患又は症状の治療又は予防のための薬学的組成物の使用に関する。
【0030】
本発明の別の側面は、神経障害、精神障害又は知的損傷障害の治療又は予防のための本
発明の薬学的組成物の使用に関する。
【0031】
本発明の別の側面は、NK1及びSRI受容体の活性化が有益なヒトの疾患又は症状の治療又は予防用の医薬の製造への本発明の化合物の使用に関する。
【0032】
本発明の別の側面は、神経障害、精神障害又は知的損傷障害の治療又は予防用の医薬の製造への本発明の化合物の使用に関する。
【0033】
本発明のこの側面の特定の態様は、哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病(例えば、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、及び出産後鬱病)、一般化された不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症、及び単純な恐怖症)、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害(例えば、拒食症及び多食症)、肥満、化学品依存症(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン、及びベンゾジアゼピンへの依存症)、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害(例えば、痴呆、健忘障害、及び年齢に関係する認識減退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、及び遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管痙攣(特に脳血管における血管痙攣)、小脳性運動失調、胃腸管障害(運動性及び分泌における変化を含む)、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性偏頭痛、及び(血管障害に関連した)頭痛を治療するための医薬であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の式Iの化合物又はその薬学的許容塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬への本発明の化合物の使用に関する。
【0034】
本願に述べた使用、方法及び組成物については、投与量は勿論使用した化合物、投与の態様及び所望の治療により変化するであろう。しかしながら一般に、本発明の化合物が約0.1〜約20mg/kg(体重)の1日投薬量で投与された場合、満足な結果が得られる。かかる投薬量は1日当たり1〜4回に分けて又は持続放出形態で与えてもよい。男性には、合計1日用量は5mg〜1,400mg、更に好ましくは10mg〜100mgの範囲であり、経口投与に適した単位投薬形態は、固体又は液体の薬学的担体又は希釈剤と混合された化合物2mg〜1,400mgを含む。
【0035】
式Iの化合物、そのエナンチオマー又はその薬学的許容塩は、腸溶性又は非経口投与用にそれら自体の形態又は適当な医薬製剤の形態で使用し得る。本発明の更なる側面によると、不活性の薬学的に許容される担体又は希釈剤と混合した本発明の化合物を好ましくは80質量%未満、そしてさらに好ましくは50質量%未満含む薬学的組成物が提供される。
【0036】
式Iの化合物又はそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩を、ヒトを含む哺乳類の治療用処置又は予防用処置に使用するために、それは通常標準的な薬学的方法に従って薬学的組成物として配合される。従って、本発明の別の側面は、式Iの化合物若しくはそのインビボ−加水分解可能な前駆体若しくはその薬学的許容塩と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物である。
【0037】
本発明の薬学的組成物は、治療することを望む病状のために、標準的方法で、例えば経口、局部的、非経口、口腔、鼻腔、膣内若しくは直腸投与により、又は吸入(inhalation)若しくは吸入(insufflation)により投与し得る。これらの目的で、本発明の化合物は錠剤、カプセル、水性若しくは油性溶液、懸濁液、乳濁液、クリ
−ム、軟膏、ジェル、鼻腔スプレー、坐薬、吸入用の微粉砕粉末若しくはエーロゾル若しくはネブライザーとして、ならびに(静脈内、筋肉内又は注入を含む)非経口的用途に殺菌水性若しくは油性の溶液若しくは懸濁液又は殺菌乳濁液及び当業者に知られたその他の形態に配合し得る。
【0038】
本発明の化合物に加えて、本発明の薬学的組成物は、ここに言及した1種又はそれ以上の病状を治療するのに価値のある1種又はそれ以上の薬物も含むか又は共に投与(同時に又は順次に)してもよい。
【0039】
本発明の薬学的組成物は通常ヒトに、0.01〜25mg/kg(体重)(そして好ましくは0.1〜5mg/kg(体重))の1日用量が摂取できるように投与されるであろう。この1日用量は必要に応じて分割した用量で与えても良く、摂取される化合物の正確な量及び投与経路は、治療される患者の体重、年齢及び性別、および当業界で知られた原則に従って処置される特定の病状に依存する。
【0040】
典型的には単位投薬形態は本発明の化合物を約1mg〜500mg含むであろう。経口投与用の錠剤又はカプセルは式Iの化合物又はその薬学的許容塩を250mgまで(典型的には5〜100mg)含むのが便利であろう。別の例では、吸入による投与には、式Iの化合物又はそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩は5〜100mgの1日投薬量範囲で、1回の投与で又は2〜4回の投与量に分割して投与し得る。別の例においては、静脈内若しくは筋肉内注射又は注入による投与には、式Iの化合物又はそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩を10%w/w(典型的には5%w/w)まで含む殺菌した溶液又は懸濁液を使用し得る。
【0041】
式Iの化合物及びそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩は、本願に記載し例示した方法、及びそれに類似の方法、及び化学の分野で知られた方法により製造し得る。これらの方法の出発材料が市販されていない場合は、出発材料は化学の分野から選ばれた手順により公知の化合物の合成と同様の又は類似した技術を使用して製造し得る。
【0042】
薬学的許容塩は対応する酸から慣用の方法で製造し得る。薬学的非許容塩はは中間体として有用であり、それ自体は本発明の別の側面である。
【0043】
光学活性体の製造法は当業界で良く知られており(例えば、ラセミ体の分割によるか又は光学活性出発材料からの合成による)、全ての光学活性体、エナンチオマーは本発明の化合物である。
【0044】
下記の生物学的試験方法、データ及び実施例は本発明を例示しそして更に記述するためのものである。
【0045】
本発明の化合物又はそのインビボ−加水分解可能な前駆体又はその薬学的許容塩(以後、まとめて“化合物”と云う)の有用性は、以下に記載する刊行物に開示されたものを含めた、標準的試験及び臨床的研究により例証され得る。
【0046】
生物学的検定:
試験A:SERT結合検定:
ヒト5−HTT受容体を発現する安定にトランスフェクトしたHEK293細胞株の冷凍膜調製物をレセプターバイオロジー(Receptor Biology)(パーキンエルマー(ParkinElmer))から購入した。冷凍アリコートを急速に解凍し、均質化し、そして50mMのTRIS−HCl、120mMのNaCl、5mMのKCl
を含みそしてNaOHでpH7.4に調整したアッセイバッファ(AB)中に希釈した。最終タンパク質濃度は40μg/mLであった。試験化合物を、NEN(パーキンエルマー)から購入した[3H]−イミプラミン塩酸塩を放射性リガンドとして利用した競合アッセイで評価した。原液放射性リガンドを最終濃度が約2nMとなるようにABで希釈した。[3H]−イミプラミン塩酸塩のKdを測定すると2.7nMであった。競合アッセイは96穴検定プレート上で、1プレート当たり2種の薬剤で行った。化合物の原液10mM溶液から10の連続希釈液(通常最終濃度1μM〜38pM)をDMSOで調製した。全ての連続希釈液は20%DMSOを用いて作った。検定中のDMSO含量は1%未満である。インキュベーション混合物を96穴検定プレート(コスター)中に4重に調製した。1穴当たりの最終検定容量は10μl化合物/非特異的/対照(1%DMSO)、20μl膜、20μl[3H]−イミプラミン塩酸塩、及び150μlABであった。特異的結合を10μMイミプラミンを使用して規定した。結合反応は、バッファと試験化合物、非特異的、又は対照のいずれかを含む穴に放射性リガンドを添加した直後に膜を添加することにより開始した。アッセイプレートをプレートシェーカー上に置き、そして30分間振とうしたが、その間に反応は平衡に達した。次にプレートを、パッカードフィルターメイト196を使用して、6%PEIに予備浸漬したベックマンGF/Bフィルターを通して濾過した。フィルターを0.2mL氷冷洗浄用バッファー(5mMトリスHCl、pH7.4)を用いて5回洗った。フィルターを乾燥した後、マイクロシント(Microscint)20(パッカード)35μlを各穴に加えた。次にプレートをパッカードトップカウント(Packard TopCount)で計数して1穴当たりのCPMを決定した。Ki値を各試験化合物について、グラフ及び分析ソフトウェアーパッケージ、GraphPad Prissm、を用いて決定した。
【0047】
試験B:Fluo−4色素を用いたNK1FLIPR検定
FLIPR検定は、ハイスループット全細胞アッセイにおいて細胞蛍光発光を正確に測定するように設計されたモレキュラー−デバイス社から販売されている機器を用いて行う(Schroeder等、J.Biomolecular Screening,1(2),75−80頁,1996)。
【0048】
化合物を、FLIPR機器を用いて、NK1受容体作用薬アセチル−[Arg6,Sar9,Met(O2)11]−サブスタンスP(ASMSP)に対するU373の反応を抑制する効力について評価した。
【0049】
U373細胞にFluo−4色素(モレキュラープルーブ)を37℃で45分間取り込ませそして、10nM−12nMのASMSP(ほぼEC80濃度)でチャレンジする前に、段階的濃度の化合物に室温で15分間晒した。反応を、作用薬を添加した後のピーク相対蛍光として測定した。pIC50を各化合物について11ポイントの濃度−反応から計算した。
【0050】
試薬:
細胞培養培地
アールの塩及びl−グルタミン(500mL)を有するイーグルMEM
Cellgro 10-010-CV
非必須アミノ酸、100×(5mL) Cellgro 25-025-CI
ピルビン酸ナトリウム、100mM(5mL) Cellgro 25-000-CI
L−グルタミン、200mM(5mL) Cellgro 25-005-CI
FBS(50mL) Cellgro 35-010-CV
細胞採取試薬:
DPBS,1×Ca++不含有及びMg++不含有 Cellgro 21-031-CV
1×トリプシン−EDTA (0.5%トリプシン、0.53%EDTA−4Na)
Cellgro 25-052-CI
細胞植付け培地:
UltraCULTURE BioWhittaker 12-725F
L−グルタミン、200mM(5mL/500mL) Cellgro 25-005-CI
使用バッファ:
10×ハンクの平衡塩類溶液(100mL/L) Gibco 14065-056
HEPESバッファ1M(15mL/L,[最終]15mM) Cellgro 25-060-CI
プロベネシド(1Lに対して6mLの1MNaOH中に溶解したもの0.71g、[最終]2.5mM)
Sigma P-8761
DDH20を加えてIL、pHをNaOHで7.4に調整
色素溶液
Fluo−4、AM色素、モレキュラープルーブF−14201、50μgの凍結乾燥した色素を23μLのDMSOと23μLのPluronic F−127(モレキュラープルーブP−3000)に溶解する。溶解したfluo−4色素を次に10mLの使用バッファに添加して5μMの使用色素濃度を得る。希釈した色素の各10mLは1穴当たり25μLで384穴細胞プレートに十分である。
作用薬
アセチル−[Arg6, Sar9, Met(O2)11]−サブスタンスP(ASMSP)
保存液3.33×10-2M。100mgを3.05mLのDMSOに溶解し、等分して4℃で貯蔵する。
その他
DMSO(化合物を溶解するため及びチップ洗浄用)
【0051】
細胞培養及び植付け手順
U373細胞を上記の細胞培養培地中(T−150フラスコ当たり30mL)で生育させ、コンフルエントになったとき、次のように収穫した。培地を吸引により除き、細胞をCa++不含有及びMg++不含有DPBS12mLで1回洗浄した。DPBSを吸引しそしてトリプシン−EDTA3mLに置き換えた。細胞とトリプシン−EDTAを細胞がフラスコから分離するまで室温で約2分インキュベートした。収穫反応を培養培地9mLの添加によりクエンチし、そして細胞を粉砕により再懸濁した。細胞を植継密度1:4で4日毎に継代培養した。実験用に、細胞を計数し、400×gで5分間遠心分離することによりペレット化し、そして細胞植付け培地中に480,000細胞/mLの密度で再懸濁させた。この細胞懸濁液25μLを黒壁384穴プレート(Falcon Microtest、353962)の各穴にLabsystems Multidrop 384を用いて加えて、1穴当たり12,000細胞を与えた。使用前、プレートを37℃で一晩(最低15時間、最高23時間)インキュベートした。
【0052】
化合物及び作用薬の製造:
化合物をDMSO中に10mMの濃度で溶解し、これらの溶液の120μLを、各列が96穴の丸底ポリプロピレン貯蔵用プレート(Coster 3365)の第1穴(カラム1)に移した。次に二つのかかるプレート上の化合物を、Biomek 2000を用いてDMSO中に同時に連続希釈した。各希釈液4μLを、各穴に新たに調製した使用バッファ400μLを含むように前もって調製された深穴プレート(Beckman Coulter 267006)に移した。この手順から得られた濃度を表1に示す。検定中の最終化合物濃度は、10μMと0.1nMとの間で、半ログ増分で、11ポイントにわたった。
【0053】
深穴の内容物を混合し、各希釈液45μLを384穴ポリプロピレン化合物充填プレート(Fisher 12−565−507)に2重に移すと、384穴プレートは二つの96穴プレートからの各化合物を二重で表1に示す濃度で含んだ。プレートのカラム23
及び24は化合物を含まず、従って対照として役立つ。カラム23及び24中の穴A−Nには作用薬のみを充填し、従って最高の反応を示す。カラム23及び24中のO−Pにはバッファのみを充填し、作用薬を含まず従って最低の反応を示す。
【0054】
ASMSP作用薬充填プレートは、ASMSPの保存用濃縮液を取り、使用バッファ中に希釈して、3.3×10-8Mの濃度を得ることにより作った。この溶液45μLを、384穴ポリプロピレン作用薬充填プレート(Fisher 12−565−507)の、バッファ単独を含みそして非刺激対照として働く穴O23、O24、P23及びP24以外の全ての穴に移した。
【0055】
色素充填細胞及び添加化合物
細胞の各384−穴検定プレート用に、希釈したFluo−4色素10mLを方法/試薬のセクションで述べたようにして調製した。まず、384−穴細胞プレートを、使用バッファを用いてCCSパッカード(Packard)プレート洗浄機で1回洗浄した。穴中の残った洗浄後バッファを手で除き、1穴あたり25μLのFluo−4色素を、Labsystems Multidrop 384を用いて添加した。細胞プレートを37℃のインキュベータに45分間戻して色素を細胞に浸透させた。色素充填から45分後、細胞プレートを使用バッファを用いて2回洗浄して、各穴にバッファ30μLを残した。化合物希釈液5μLを化合物プレートから細胞プレートに、PlateMateを用いて移した。アッセイプレートを化合物の存在下で暗中、室温で15分間インキュベートし、次ぎにFLIPRに充填した。
【0056】
FLIPR中での反応の記録:
15分の化合物予備インキュベーションの後、プレートをFLIPR機器に装填し、ASMSP作用薬15μLを加え、作用薬に対する細胞反応を90秒間記録した。反応は、作用薬添加後のピーク相対蛍光として測定する。
【0057】
データ分析:
FLIPRにより生じたスタットファイル(.stat file)に含まれる結果をエクセル分析テンプレートに貼り付け、外れ値を除いた後、IC50値をテンプレート内でXLfitを用いて計算した。個々のIC50値はpIC50と共に報告された。ある化合物について得られた二つのIC50が3倍より大きく違う場合は、その化合物を1〜2回以上検定して値を再度決定した。
【0058】
本発明の化合物Aは試験AでKi約2nM、そして試験BでIC50約12nMを有した。
【実施例】
【0059】
本発明を下記の実施例により例示するが、これらに限定されない。該実施例の記述において、適用され得る場合及び他に記載がない限り、下記の用語、略語及び条件が使用される:
aq.、水性;atm、大気圧;BOC,1,1−ジメチルエトキシカルボニル;DCM、ジクロロメタン;DMF、N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO、ジメチルスルホキシド;EtOH、エタノール;Et2O、ジエチルエーテル;EtAc、酢酸エチル;h、時間;HPLC、高圧液相クロマトグラフィー;HOBT、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;MeOH、メタノール;min、分;MS、質量スペクトル;NMR、核磁気共鳴;psi、ポンド/平方インチ;RT、室温;sat.、飽和;TEA、トリエチルアミン;TFA、トリフルオロ酢酸;THF、テトラヒドロフラン。
【0060】
温度は摂氏(℃)で与えられる;他に記載がない限り、操作は室温又は周囲温度(18
−25℃)で実施した。
【0061】
有機溶液は無水硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムで乾燥した;溶媒の蒸発はオr−タリーエバポレーターを用いて減圧(4.5−30mmHg)下で60℃までの浴温度を用いて実施した。
【0062】
クロマトグラフィーとは、他に記載がない限り、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーを意味する;溶媒混合物組成は容量パーセント又は容量比で与えられる。
【0063】
NMRデータがある場合は、該データは、300MHzで測定した主な特徴的プロトンに対するデルタ値の形態である(内部標準としてのテトラメチルシランに対する100万当たりの部分量(ppm)で与えられる)。
【0064】
融点は校正しない。
【0065】
質量スペクトル(MS)は、他に記載がない限り、大気圧化学イオン化(APCI)を有する自動システムを用いて得た。主要な同位体成分に対応する質量、又はほば同じ存在量の多数の質量(同位体分裂)を有する化合物についての最低質量が報告される。
【0066】
最終化合物はクエン酸塩に変換されたことが記載された場合、遊離塩基はメタノール、DCM、又はアセトニトリルに溶解し、メタノール中でクエン酸(1.0当量)と合わせ、減圧下で濃縮し、そして真空中(25−60℃)で乾燥した。塩が濾過によりEt2Oから分離されたことが示された場合、化合物のクエン酸塩はEt2O中で4−18時間撹拌し、濾過により回収し、Et2Oで洗い、そして真空中(25−60℃)で乾燥した。
【0067】
実施例1:1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)4−((3−シアノ−2−メトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル)ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物:
【化5】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン(76.8mg,0.28ミリモル)及び乾燥DMF(2mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)そしてNaH(鉱油中の60%懸濁液11mg)を1回で添加した。15分後、3−シアノ−2−メトキシ−1−ブロモメチルナフタレン(57mg,0.21ミリモル)及び乾燥DMF(2mL)を含む溶液を添加し(0.25mLの部分にわけて数分間にわたって)、混合物を15分間攪拌し、RTに放温し、更に2.5時間攪拌し、次にEtOAcと水に分配した。有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液で洗い、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0−5%MeOH/DCM)により精製し、クエン酸塩に変換し、そして濾過によりEt2Oから単離して、標題の化合物のクエン酸塩を白色粉末として得た。MS m/z 469(M+H)。
【0068】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジンは次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリ
ジン
1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸エチル(404mg,1.28ミリモル)及び乾燥Et20(5mL)を含む攪拌溶液に、LiEt3BH(THF中1M)(4mL)をゆっくり添加した。RTで1時間後、1N HCl水溶液(10mL)をゆっくり添加し、18時間攪拌し、濃縮し、中和し(飽和NaHO3水溶液)、そしてDCMで抽出した(4回)。DCM抽出物を合わせ、乾燥し、濾過し、そして濃縮して、標題の化合物を白色固体として得た。MS m/z 274(M+H)。該物質を更に精製することなく使用した。
【0069】
b)1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸エチル
1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩(550mg,1.69ミリモル)、H2SO4(0.25mL)及びエタノール(25mL)を含む溶液を還流下で5.5日加熱し、RTに冷却し、そして濃縮した。残留物をEtOAcと飽和NaHCO3水溶液に分配し、有機層を分離し、水性相を追加のEtOAc(2×)で抽出した。EtOAc抽出物を合わせ、乾燥し、濾過し、濃縮し、そして残留物をクロマトグラフィー(2%MeOH/DCM)により精製して、標題の化合物を薄黄色油状物として得た。MS m/z 316(M+H)。1H NMR(CDC13)δ7.47(d,1H),7.39(d,IH),7.22(m,1H),4.14(q,2H),2.77(bd,2H),2.54(bd,2H),2.26(s,3H),2.13(bt,2H),1.91(bm,2H),1.2(t,3H)。
【0070】
c)1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩
1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−シアノピペリジン(1.03g,3.83ミリモル)及び8N HCl水溶液(50mL)を含む混合物を90時間加熱し(100℃)、RTに冷却し、そして濃縮した。残留物を少量のMeOHで処理し、温め、水で希釈し、そしてRTに静置した。存在する固体を濾過により単離し、最小の水で洗い、そして減圧下で乾燥して(60℃)、標題の化合物をオフホワイト固体として得た。MS m/z 288(M+H)。
【0071】
d)1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−シアノピペリジン
3,4−ジクロロフェニルアセトニトリル(4.9g,26.44ミリモル)、N−メチル−ビス−(2−クロロエチル)アミン塩酸塩(5.1g,26.49ミリモル)、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミド(0.72g,1.43ミリモル)、及び50%水酸化ナトリウム水溶液(30mL)を含む混合物を100℃に1時間加熱し、放冷し、水(100mL)で処理し、そしてEt2O(3×)で抽出した。エーテル抽出物を合わせ、水(1×)で洗い、そして1N HCl水溶液(5×)で抽出した。酸性抽出物を洗い(Et2O)、固体炭酸ナトリウムで中和し、そしてEt2O(2×)で抽出した。エーテル抽出物を乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留油状物をクロマトグラフィー(0.5−2%MeOH/DCM)により精製して、標題の化合物を黄色油状物として得た。MS m/z 269(M+H)。
【0072】
必要な3−シアノ−2−メトキシ−1−ブロモメチルナフタレンを次のようにして製造した:
a)3−シアノ−2−メトキシ−1−ブロモメチルナフタレン
3−シアノ−2−メトキシ−1−ヒドロキシメチルナフタレン(101mg,0.47ミリモル)、ピリジン(0.1mL)、及び乾燥アセトニトリル(4.5mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)、そしてジブロモトリフェニルホスホラン(424mg,1.0ミリモル)を(部分にわけて)5分にわたって加えた。5分後、混合物をRTに放温し、3時
間攪拌し、濃縮し、EtOAcで処理し、そして濾過した。濾過物を洗い(1N HCl水溶液及び飽和NaHCO3水溶液)、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM)により精製して、標題の化合物を白色固体として得た。MS m/z 276(M+H)。1H NMR(CDC13)δ 8.22(s,1H),8.10(d,IH),7.88(d,1H),7.76(m,1H),7.57(m,1H),5.01(s,2H),4.19(s,3H)。
【0073】
b)3−シアノ−2−メトキシ−1−ヒドロキシメチルナフタレン
3−シアノ−2−メトキシ−1−ナフトエ酸(10g,44ミリモル)及び乾燥THF(220mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)、そしてTEA(6.5mL,132ミリモル)及びクロロ蟻酸イソブチル(6.0mL,46.3ミリモル)を加えた。30分後、懸濁液をRTに放温し、追加の1.5時間攪拌し、濾過してNaBH4(5g,132ミリモル)と水(200mL)の懸濁液にし、そしてRTで55時間攪拌した。THFを除去し、そして存在する固体を濾過により回収した。減圧下での乾燥(50℃)後、標題の化合物(3.12g,33%)を白色粉末として得た。1H NMR(D6−DMSO)δ 8.57(s,1H),8.27(d,J=8.4Hz,1H),8.03(d,J=8.1Hz,1H),7.75(t,J=8.1Hz,1H),7.61(t,J=7.8Hz,1H),5.35(t,J=5.4Hz,1H),4.94(d,J=5.1Hz,2H),3.97(s,3H)。
【0074】
実施例2:4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化6】
を次のようにしてクエン酸塩として製造した。30mLの乾燥DMF中に1−N−t−Boc−4(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン(1.914g,6.19ミリモル)を含む溶液にNaH(0.272g,6.81ミリモル)を0℃で添加した。該溶液をRTで20分間攪拌した。DMF(10mL)中の3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレン(2.0g,6.19ミリモル)を上記溶液に0℃で添加した。混合物を0℃で20分間、RTで一晩攪拌した。飽和NaHCO3を加え、そして混合物をEtOAc(3×)で抽出した。合わせたEtOAcを飽和NaClで洗い、乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0.5%,1%MeOH−DCM)で精製して、N−t−Boc−4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジンを薄黄色発泡固体(0.843g,収率27%)として得た。EtOAc(1mL)中のN−t−Boc−4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタ−l−イル)メトキシメチル]ピペリジン(35mg,0.066ミリモル)の溶液に0℃でHCl(37%,0.37mL)を加えた。溶液をRTで一晩攪拌し、そして飽和NaHCO3を加えた。混合物をDCM(2×)で抽出した。合わせたDCM抽出物を乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(2%,4%MeOH−DCM,5%−8%MeOH−DCMと1%のNH40H)で精製して、標題の化合物を薄黄色固体(13mg,収率46%)として得た。MS m/z 435.5(M+H)。
【0075】
必要な1−N−t−Boc−4(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジンを次のようにして製造した:
(a)4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン
【化7】
DMF(30mL)中にビス(2−クロロエチル)アミン塩酸塩(6.0g,33.6ミリモル)及び4−フルオロフェニルアセトニトリル(4.542g,33.6ミリモル)を含む溶液に水素化ナトリウム(5.38g,134.4ミリモル)を0℃でゆっくり加えた。得られた懸濁液を攪拌し、そして60℃に24時間加熱した。反応混合物を氷水で急冷し、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、飽和NaCl(3×)で洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(1−5%MeOH−DCM)で精製して、標題の化合物を黄色油状物(2.3g,収率33%)として得た。MS m/z 205.38(M+H)。
【0076】
(b)4−(4−フルオロフェニル)−4−カルボキシピペリジン ヒドロクロリド
【化8】
4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン(4.823g,23.6ミリモル)のエタノール(45mL)溶液に水(45mL)及び水酸化カリウム(19.8g,354ミリモル)を添加した。溶液を110℃に48時間加熱した。RTに冷却後、37%塩酸を添加してpH1に到達させ、そして溶媒を除去した。残留物を水(40mL)に懸濁し、濾過し、そして白色固体を冷水(8mL)で洗った。50℃で一晩乾燥後、標題の化合物が白色固体として集められた。MS m/z 224.34(M+H)。
【0077】
(c)1−N−t−Boc−4(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン
【化9】
4−(4−フルオロフェニル)−4−カルボキシピペリジン塩酸塩(6.134g,23.6ミリモル)のTHF(50mL)溶液にTHF中の1M LAH(47mL,47.2ミリモル)を0℃で添加した。溶液を1.5時間還流加熱した。2NNaOH(2.85mL)、次いで水(3.56mL)を加えて反応を止めた。次にNaOH(水11.2mL中、0.94g)、次いでBoc無水物(5.16g,23.6ミリモル)のDCM(30mL)溶液を加えた。混合物をRTで一晩攪拌し、珪藻土を通して濾過し、EtOAcで洗い、乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(1%,5%MeOH−DCM)で精製して、標題の化合物を無色油状物(2.118g,2段階で収率29%)として得た。MS m/z 210.40(M+H)。
【0078】
実施例3:4-(4-フルオロフェニル)-4-[(3-シアノ-2-メトキシナフタ-1-イル)メトキシメチル]ピペリジン:
下記の構造の化合物
【化10】
をクエン酸塩として、実施例1の反応手順と類似の手順で、3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレンを3−シアノ−2−ジメトキシ−ヨードメチルナフタレンに置き換えて製造した。標題の化合物を淡黄色固体として得た。MS m/z 405.53(M+H)。
【0079】
実施例4:{2−[4−(3−シアノ−2−メトキシ−ナフタレン−1−イルメトキシメチル)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
下記の構造の標題の化合物
【化11】
を次のようにして製造した。N−t−Boc−サルコシン(36mg,0.19ミリモル),4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2−メトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン(70mg,0.17ミリモル),1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(53mg,0.28ミリモル)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(47mg,0.35ミリモル)のDCM(5mL)溶液に、TEA(0.072mL,0.51ミリモル)を添加した。溶液をRTで一晩攪拌した。混合物をDCMと飽和NaHCO3に分配し、有機層を除き、そして水性相をDCM(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(1%,2%MeOH−DCM)で精製して、所望の化合物を白色固体(83mg,収率83%)として得た。MS m/z 476.48(M+H)。
【0080】
実施例5:4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−1−(2−メチルアミノ−アセチル)−ピペリジン−4−イルメトキシメチル]−3−メトキシ−ナフタレン−2−カルボニトリル
下記の構造の標題の化合物
【化12】
をクエン酸塩として次のようにして製造した。実施例4の化合物(73mg,0.066ミリモル)の0℃のEtOAc(2mL)溶液にHCl(37%,0.49mL)を添加した。溶液をRTで1時間攪拌し、そして飽和NaHCO3を加えた。混合物をDCM(3×)で抽出した。合わせたDCMを乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(1%,2%MeOH−DCM,8%MeOH−DCMと1%のNH4OH)で精製して、所望の化合物を白色固体(34mg,収率57%)として得た。MS m/z 476.51(M+H)。
【0081】
実施例6〜9:
表1に掲げた下記の構造の化合物
【化13】
を、実施例4及び5の手順を用いて、N−t−Boc−サルコシンを適当なアミノ酸に置き換えて製造した。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例10:4−{4−(4−フルオロ−フェニル)−1−[2−(1H−インドール−3−イル)−エチル]−ピペリジン−4−イルメトキシメチル}−3−メトキシ−ナフタレン−2−カルボニトリル
下記の構造の標題の化合物
【化14】
をクエン酸塩として次のようにして製造した。4−(4−フルオロフェニル)−4−[(3−シアノ−2−メトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン(89mg,0.22ミリモル)及び3−(2−ブロモエチル)インドール(64mg,0.28ミリモル)のDMSO(2mL)溶液にTEA(0.092mL,0.66ミリモル)を添加した。溶液を100℃に一晩加熱した。冷却後、反応混合物をRTの水に加えた。混合物をEtOAc(3×)で抽出した。合わせたEtOAcを飽和NaClで洗い、乾燥し、濾過しそして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0.5%−2%MeOH−DCM)で精製して、所望の化合物を淡黄色固体(54mg,収率45%)として得た。MS m/z 548.55(M+H)。
【0084】
実施例11〜18:
以下の表2に示す下記の構造の化合物
【化15】
を、実施例10の手順を用いて、3−(2−ブロモエチル)インドールを該表に示す適当なハライド置換化合物に置き換えて製造した。
【0085】
【表2】
1 実施例15についてはハライドはCl、そして実施例10〜14及び16〜18についてはハライドはBrである。
【0086】
実施例19:1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−((3−シアノナフタ−1−イル)メトキシメチル)ピペリジン
下記の構造の標題の化合物
【化16】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン(100mg,0.36ミリモル)及び乾燥DMF(3mL)を含む溶液を氷浴中で冷却し、そしてNaH(鉱油中の60%懸濁液14.4mg)を1回で添加した。15分後、3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレン(105mg,0.36ミリモル)及び乾燥DMF(5mL)を含む溶液を(0.50mL部分ずつ数分にわたって)加え、混合物を15分間攪拌し、RTに放温し、追加の2.5時間攪拌し、次にEtOAcと水とに分配した。有機層を分離し、1)飽和NaHCO3、2)飽和ブラインで順次洗い、次にMgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(95:4:1CH2Cl2,MeOH,NH40H)で精製し、クエン酸塩に変換し、エーテル/ヘキサンから共沸し、そして50℃でオイルポンプバキュームで一晩乾燥して、標題の化合物のクエン酸塩を白色粉末(117mg,収率53%)として得た。MS m/z 439(M+H)。
【0087】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジンは、実施例1に記載したようにして製造した。
【0088】
必要な3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレンを次のようにして製造した:
a)3−シアノ−1−ヒドロキシメチルナフタレン
塩化メチレン(60mL)中にDMF(3.75mL,50.8ミリモル)を含む冷却溶液(0℃)に、塩化オキサリル(12.7mL,145ミリモル)を滴下した。得られた懸濁液を0℃で1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去すると、薄黄色固体が生じた。この固体をアセトニトリル(50mL)及びTHF(100mL)に再度懸濁し、0℃に冷却した。この冷却懸濁液に、THF(150mL)中に3−シアノナフタレン−1−カルボン酸(7.5g,38.1ミリモル)を含む溶液を加えた。反応物を0℃で1.5時間攪拌し、次に−78℃に冷却した。この冷却溶液に、DMF(60mL)中にNaBH4(5.2g,137ミリモル)を含む溶液を滴下した。反応物を−78℃で1時間攪拌し、−20℃に放温し、−20℃に2時間保持し、次にRTに放温した。溶媒を真空中で除去した。残留物を氷冷水性HCl(1N)でクエンチし、EtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、1)HCl(1N)、2)飽和NaCl(2×)で洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0−1%DCM−MeOH)で精製して、標題の化合物を黄色固体(6.12g,収率88%)として得た。MS m/z フラグメントのみ。
【0089】
b)3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレン
窒素下でアセトニトリル(100mL)中に3−シアノ−1−ヒドロキシメチルナフタレン(5.85g,31.97ミリモル)を含む溶液にトリメチルシリルポリホスフェート(15mL)を添加した。反応混合物をRTで15分間攪拌した。この溶液にNaI(8.3g,55.2ミリモル)を加えた。懸濁液をRTで一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去した。残留物を飽和NaHCO3(600mL)に懸濁し、そして酢酸エチル(2×350mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を:1)飽和NaHCO3、2)飽和Na2S203、3)飽和ブラインで洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物を酢酸エチルからの結晶により精製して、標題の化合物を薄黄色固体(6.59g,収率70%)として得た。MS m/z フラグメントのみ(M+H)。
【0090】
実施例20:1−N−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−((3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル)ピペリジン
下記の式の標題の化合物
【化17】
をつぎのようにして製造した。1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジン(49mg,0.179ミリモル)及び乾燥DMF(2mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)、そしてNaH(鉱油中の60%懸濁液7mg)を1回で添加した。15分後、3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレン(63mg,0.178ミリモル)及び乾燥DMF(5mL)を含む溶液を(0.50mL部分ずつ数分にわたって)添加し、混合物を15分間攪拌し、RTに放温し、追加の2.5時間攪拌し、次にEtOAcと水に分配した。有機層を分離し、順次1)飽和NaHCO3、2)飽和ブラインで洗い、次にMgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(93:6:1,CH2Cl2:MeOH:NH4OH)で精製し、クエン酸塩に変換し、エーテル/ヘキサンから共沸し、そして50℃でオイルポンプバキュームで一晩乾燥して、標題の化合物のクエン酸塩を白色粉末(57mg,収率64%)として得た。MS m/z 499 (M+H)。
【0091】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジンを実施例19に記載したようにして製造した。
【0092】
必要な3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレンを次のようにして製造した:
a)3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヒドロキシメチルナフタレン
塩化メチレン(60mL)中にDMF(3.75mL,50.8ミリモル)を含む冷却溶液(0℃)に、塩化オキサリル(12.7mL,145ミリモル)を滴下した。得られた懸濁液を0℃で1時間攪拌し、溶媒を真空中で除去すると薄黄色固体が生じた。この固体をアセトニトリル(50mL)及びTHF(100mL)に再度懸濁した。この冷却懸濁液に、THF(150mL)中に3−シアノ−2,4−ジメトキシナフタレン−1−カルボン酸(9.8g,38.1ミリモル)を含む溶液を加えた。反応物を0℃で1.5時間攪拌し、次に−78℃に冷却した。この冷却溶液に、DMF(60mL)中にNaBH4(5.2g,137ミリモル)を含む溶液を加えた。反応物を−78℃で1時間攪拌し、−20℃に放温し、−20℃に2時間保持し、次にRTに放温した。溶媒を真空中で除去した。残留物を氷冷水性HCl(1N)でクエンチし、EtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、1)HCl(1N)、2)飽和NaCl(2×)で洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をヘキサン(3×)で洗い、そして真空中で乾燥して、標題の化合物を白色固体(9.26g,収率100%)として得た。MS m/z フラグメントのみ。
【0093】
b)3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヨードメチルナフタレン
窒素下でアセトニトリル(45mL)中に3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ヒドロキシメチルナフタレン(2.20g,9.05ミリモル)を含む溶液にトリメチルシリルポリホスフェート(6mL)を添加した。反応物をRTで15分間攪拌した。この溶液にNaI(1.7g,11.3ミリモル)を加えた。反応物を1.5時間攪拌した。溶媒
を真空中で除去した。残留物を飽和NaHCO3(300mL)に懸濁し、そして酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を:1)飽和NaHCO3、2)飽和Na2S203、3)飽和ブラインで洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(3:1,DCM−ヘキサン)により精製して、標題の化合物を黄色固体(1.98g,収率63%)として得た。MS m/z フラグメントのみ。
【0094】
実施例21:1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−((3−シアノナフタ−1−イル)メトキシメチル)−ピペリジン
下記の構造の標題の化合物
【化18】
をつぎのようにして製造した。1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン(100mg,0.45ミリモル)及び乾燥DMF(5mL)を含む溶液を冷却し(氷浴)、そしてNaH(鉱油中の60%懸濁液18mg)を1回で添加した。15分後、3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレン(132mg,0.45ミリモル)及び乾燥DMF(5mL)を含む溶液を(0.50mL部分ずつ数分にわたって)添加し、混合物を15分間攪拌し、RTに放温し、追加の2.5時間攪拌し、次にEtOAcと水に分配した。有機層を分離し、順次1)飽和NaHCO3、2)飽和ブラインで洗い、次にMgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(97:2:1,CH2Cl2:MeOH:NH4OH)で精製し、クエン酸塩に変換し、エーテル/ヘキサンから共沸し、そして50℃でオイルポンプバキュームで一晩乾燥して、標題の化合物のクエン酸塩を白色粉末(112mg,収率44%)として得た。MS m/z 389(M+H)。
【0095】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン
1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩(1.75g,6.40ミリモル)及び乾燥THF(250mL)を含む攪拌溶液に、LiAlH4(0.97g,25.6ミリモル)を部分(0.10g)に分けて10分間にわたり添加した。反応混合物を2時間還流加熱し、次にRTに冷却した。混合物をゆっくりHCl(1M水溶液)に添加した。水性懸濁液を次にNaOH(2M水溶液)の添加により塩基性にした。EtOAC(2×175mL)で抽出した。合わせたEtOAC抽出物を順次1)飽和HCO3水溶液、2)飽和ブラインで洗い、次に乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(CH2Cl2,10−20%MeOH,1%NH4OH)で精製し、エーテル/ヘキサンから共沸させ、そして50℃で一晩乾燥して、標題の化合物を白色粉末(1.22g,収率78%)として得た。MS m/z 224(M+H)。
【0096】
b)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩
1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン(0.33g,1.51ミリモル)及び10N HCl水溶液(5mL)を含む混合物を電子レンジ(電力:70W,温度:150℃,圧力限界:275psig,時間:14分)中で加熱した。溶媒を真空中で除去した。残留物をMeOH(5×)、次にエーテル(5×)から共沸させ、50℃でオイルポンプバキュームで一晩乾燥して、標題の化合物(0.41g,収率100%)を薄黄褐色固体として得た。MS m/z 238(M+H)。この物質を更に精製することなく使用した。
【0097】
c)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン
必要な1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジンを次のようにして製造した。
a)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−シアノピペリジン
DMF(30mL)中にメクロレタミン塩酸塩(1.923g,9.99ミリモル)及び4−フルオロフェニルアセトニトリル(1.35g,9.99ミリモル)を含む溶液に、水素化ナトリウム(1.6g,40ミリモル)をゆっくり0℃で加えた。得られた懸濁液を攪拌しそして60℃に24時間加熱した。反応混合物を氷水でクエンチし、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、飽和NaCl(3×)で洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(2−5%MeOH−DCM)で精製して、標題の化合物を黄色油状物(1.788g,収率82%)として得た。MS m/z 219.38(M+H)。
【0098】
実施例22〜28:
表3に示す化合物を、実施例1に示した反応手順と同様な手順で、1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペリジンを適当に置換したピペリジンに置き換え、そして3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレンを適当に置換した3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレンに置き換えて製造した。
【0099】
実施例19〜28の下記の式の化合物およびその中間体を表3に掲げる。
【表3】
1 実施例21に記載したようにして、a)1−N−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩を出発材料として用いて製造して、所望の1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペリジンを黄褐色油状物として得た。MS m/z 274(M+H)。
2 実施例21に記載したようにして、b)1−N−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−シアノピペリジンを出発材料として用いて製造して、所望の1−N−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩を黄褐色固体として得た。MS m/z 288(M+H)。
3 必要な1−N−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−シアノピペリジンを、本願に記載の手順に従って製造した。
【0100】
実施例29:4−[(4−フルオロ−1−ナフチル)メトキシメチル]−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化19】
を次のようにして製造した。
【0101】
必要な(4−フルオロ−1−ナフチル)メタノールを次のようにして製造した:
a)4−フルオロ−1−ナフトエ酸(1.5g.7.88ミリモル)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.54mL,8.67ミリモル)を無水THF50mLに溶解し、溶液を−10℃に冷却した。冷却溶液にクロロ蟻酸イソブチル(1.12mL,8.67ミリモル)を滴下し、そして30分間攪拌した。溶液を、最小の水に溶かしたホウ水素化ナトリウム(1.19g,31.54ミリモル)を含むフラスコ中に濾過した。泡立つ溶液を追加の20分間RTで攪拌した。溶液を1N HClでゆっくり酸性化し、そしてEtOAcと水に分配した。有機層を分離し、そして順次1)飽和.NaHCO3、2)飽和ブラインで洗い、次にMgSO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(1:1,EtOAc:ヘキサン)で精製し、そして揮発物を減圧下で除去して、標題の化合物を桃色がかった白色固体(1.0g,収率72%)として得た。MS m/z 159(M+H−H2O)+。
【0102】
必要な1−(ブロモメチル)−4−フルオロナフタレンを次のようにして製造した:
a)(4−フルオロ−I−ナフチル)メタノール(1.00g,5.67ミリモル)をDCM100mL中に溶解し、次いで四臭化炭素(2.07g,6.24ミリモル)及びトリフェニルホスフィン(1.63g,6.24ミリモル)を添加し、そしてRTで一晩攪拌した。揮発物を減圧下で除去し、そして残留物を、100%ヘキサンから100%ジエチルエーテルの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。生成物を赤色がかった褐色半固体(0.65g,48%)として得た。
【0103】
標題の化合物の製造:
1−(ブロモメチル)−4−フルオロナフタレン(0.33g,1.38ミリモル)及び[4−(4−フルオロフェニル)−1−メチルピペリジン−4−イル]メタノール(0.197g,1.24ミリモル)を無水THF80mL中に溶解し、そして氷浴中で冷却した。冷却溶液にNaH(鉱油中の60%懸濁液110mg)を1回で加え、次いでNaI(207mg,1.38ミリモル)を1回で加え、冷溶液を追加の15分間攪拌した。次に反応物を一晩60℃に加熱した。次に溶液をEtOAcと水に分配し、そして有機層を順次1)飽和NaHCO3、2)飽和ブラインで洗い、次にNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。生成物を質量スペクトル誘発型(Mass Spec triggered)HPLC分画(10:89:1,MeOH:水:TFA)で精製した。TFA塩を溶媒の凍結乾燥により単離し、そして生成物のメタノール溶液を塩基性アルミナのパッドを通過させることにより遊離塩基を製造して、標題の化合物を半透明膜(8.1mg,収率15%)として得た。MS m/z 382(M+H)。
【0104】
実施例30:4−(4−クロロフェニル)−4−[(3−シアノ−2−メトキシナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化20】
を次のようにしてクエン酸塩として製造した。実施例2と同様にして、しかし1−N−t−Boc−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン(120mg,0.367ミリモル)及び3−シアノ−2−メトキシ−ブロモメチルナフタレン(102mg,0.369ミリモル)を使用して、クエン酸塩を濾過によりEt20から単離して、標題の化合物(90mg)(42%)を白色粉末として得た。MS m/z 421(M+H)。
【0105】
必要な1−N−t−Boc−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−t−Boc−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン
【化21】
4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン(0.46g,2.04ミリモル)、1N NaOH水溶液(5mL)、DCM(10mL)及びTHF(10mL)を含む混合物に、ジ−t−ブチルジカーボネート(0.51g,2.32ミリモル)及びDCM(5mL)を含む溶液を(1回で)加えた。72時間後、混合物を飽和NaHCO3水溶液で処理し、そしてDCM(3×)で抽出した。抽出物を乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0−1%MeOH/DCM)で精製して、標題の化合物(0.53g)(80%)を泡状固体として得た。MS m/z 226(M−BOC)。
【0106】
b)4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシメチルピペリジン
【化22】
実施例1aと同様にして、しかし4−(4−クロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸エチル(0.65g,2.44ミリモル)を使用して、標題の化合物(0.46g)(83%)をオフホワイト固体として得た。該物質を更に精製することなく使用した。
【0107】
c)4−(4−クロロフェニル)ピペリジン−4−カルボン酸エチル
【化23】
実施例1bと同様にして、しかし4−(4−クロロフェニル)−4−カルボキシピペリジン塩酸塩(0.80g,2.91ミリモル)を使用して、標題の化合物(0.65g)(84%)を黄色油状物として得た。MS m/z 268(M+H)。
【0108】
d)4−(4−クロロフェニル)−4−カルボキシピペリジン塩酸塩
【化24】
実施例1cと同様にして、しかし4−(4−クロロフェニル)−4−シアノピペリジン(0.91g,4.11ミリモル)を使用して、標題の化合物(0.83g)(73%)をオフホワイト固体として得た。MS m/z 240(M+H)。
【0109】
e)4−(4−クロロフェニル)−4−シアノピペリジン
【化25】
1−N−BOC−4−(4−クロロフェニル)−4−シアノピペリジン(1.32g,4.11ミリモル)、TFA(11mL)、及びDCM(11mL)を含む溶液をRTで72時間攪拌し、そして次に濃縮した。残留物を水及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液で(塩基性となるまで)処理し、次にDCM(3×)で抽出した。DCM抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして濃縮して、標題の化合物(定量)を無色油状物として得た。MS m/z 221(M+H)。
【0110】
f)1−N−Boc−4−(4−クロロフェニル)−4−シアノピペリジン
【化26】
ビス(2−クロロエチル)−N−BOCアミン(3.72g,15.38ミリモル)、4−クロロベンジルシアニド(2.10g,13.88ミリモル)、及び無水DMF(15mL)を含む溶液を攪拌し、そしてNaH(鉱油中の60%分散物)(1.6g,40ミリモル)を部分に分けて1時間にわたって添加した。混合物を60−65℃に1時間加熱し、RTで72時間攪拌し、次に氷/水に注ぎ、そしてEtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を(水及びブラインで)洗い、乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(8:1:1、ヘキサン/DCM/EtOAc)で精製して、標題の化合物(2.4g)(54%)を黄色固体として得た。MS m/z 221(M−BOC)。
【0111】
実施例31:1−N−メチル−4−フェニル−4−[(3−シアノナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化27】
を次のようにしてクエン酸塩として製造した。実施例1と同様にして、しかし1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−フェニルピペリジン(168mg,0.818ミリモル)及び3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレン(239mg,0.817ミリモル)を使用して、クエン酸塩を濾過によりEt2Oから単離して、標題の化合物(79mg)(17%)をオフホワイト粉末として得た。MS m/z 371(M+H)。
【0112】
必要な1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−フェニルピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−フェニルピペリジン
【化28】
実施例21aと同様にして、しかし1−N−メチル−4−カルボキシ−4−フェニルピペリジン塩酸塩(1.5g,5.86ミリモル)を使用して、標題の化合物(1.18g)(97%)を白色固体として得た。MS m/z 206(M+H)。
【0113】
b)1−N−メチル−4−カルボキシ−4−フェニルピペリジン塩酸塩
【化29】
実施例21bと同様にして、しかし1−N−メチル−4−シアノ−4−フェニルピペリジン(2.0g,10ミリモル)を使用して、標題の化合物(1.5g)(60%)を白色固体として得た。MS m/z 220(M+H)。
【0114】
c)1−N−メチル−4−シアノ−4−フェニルピペリジン
【化30】
実施例4aと同様にして、しかしフェニルアセトニトリル(4.4g,37.6ミリモル)を使用しそして短路蒸留に従って、標題の化合物(7.05g)(93%)を無色液体として単離した。MS m/z 201(M+H)。
【0115】
実施例32:1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−[(ナフタ−1−イル)メトキシメチル]ピペリジン
下記の構造の標題の化合物
【化31】
を、実施例21に示した反応手順と同様な手順で、3−シアノ−1−ヨードメチルナフタレンを1−ブロモメチルナフタレンに置き換えて製造した。MS m/z364(M+H)。
【0116】
実施例33:1−メチル−4−(1−ナフタレン−1−イル−エトキシメチル)−4−フェニル−ピペリジン
下記の構造の標題の化合物
【化32】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−フェニル−4−(1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(75.0mg,0.21ミリモル)及び無水EtOH(10mL)を含む溶液に、炭素(45mg)上の10%パラジウムを加えた。反応混合物を水素ガス(3×)でパージし、次に水素(50psig)下に18時間置いた。反応混合物を窒素でパージし、濾過し、メタノール(4×10mL)で洗い、そして溶媒を真空中で除去した。残留物を次にEtOAcと飽和NaHCO3水溶液に分配し、
有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液で洗い、乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクエン酸塩に変換し、そして50℃でオイルポンプバキューム下で乾燥して、標題の化合物(収率72%,83.5mg)を白色粉末として得た。MS m/z 360(M+H)。
【0117】
必要な1−N−メチル−4−フェニル−4−(1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジンを次のようにして製造した。
a)1−N−メチル−4−フェニル−4−(1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−フェニル−ピペリジン−4−イルメチルエステル(100mg,0.279ミリモル)及び乾燥THF(2mL)を含む攪拌、冷却(0℃)溶液に、テッベ(Tebbe)試薬(トルエン中0.5M,0.67mL)を滴下し、反応物を10分間攪拌し、RTに放温し、次に追加の1時間攪拌した。エーテル(10mL)を加え、そして反応物を5分攪拌した。NaOH(1M水溶液,0.8mL)を滴下し、そして20分間攪拌した。MgSO4(1.0g)を加え、EtOAcリンス(4×10mL)を用いて濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(2%MeOH/97.6%CH2Cl2/0.4%NH4OHから7%MeOH/92.6%CH2Cl2/0.4%NH40H)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率80%,80mg)を白色固体として得た。MS m/z 358(M+H)。
【0118】
b)ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−フェニル−ピペリジン−4−イルメチルエステル
1−ナフトエ酸(445mg,2.58ミリモル)及びCH2Cl2(25mL)を含む懸濁液に塩化オキサリル(0.293mL,3.35ミリモル)を、次にDMF(2滴)を加えた。反応物をRTで1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去した。この物質を1,2−ジクロロエタン(10mL)に溶解し、そして1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−フェニルピペリジン(0.53g,2.58ミリモル,実施例31)、トリエチルアミン(392mg,3.87ミリモル)及び1,2−ジクロロエタン(l0mL)を含む溶液に加えた。反応物をRTで20分間攪拌し、そして次に60℃に一晩加熱した。反応物を冷却しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH40H)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率74%,683mg)を黄褐色固体として得た。MS m/z 360(M+H)。
【0119】
実施例34:1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−1−ナフタレン−1−イル−エトキシメチル)ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化33】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(35.0mg,0.088ミリモル)及び無水EtOH(10mL)を含む溶液に、炭素(30mg)上の10%パラジウムを加えた。反応混合物を水素ガス(3×)でパージし、次に水素(50psig)下に18時間置いた。反応混合物を窒素でパージし、濾過し、メタノール(4×10mL)で洗い、そして溶媒を真空中で除去した。残留物を次にEtOAcと飽和NaHCO3水溶液とに分配し、有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液で洗い、乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製した。このクロマトグラフィーを行った物質をクエン酸塩に変換し、50℃でオイルポンプバキューム下で乾燥して、標題の化合物(収率45%,23.5mg)を白色粉末として得た。MS m/z 403(M+H)。
【0120】
必要な1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−ブロモ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(123mg,0.27ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(9.2mg,0.0078ミリモル)、ヨウ化銅(1)(32.7mg,0.172ミリモル)及びDMF(3mL)を含む懸濁液を、窒素を用いて激しく5分間パージした。反応物を230ワットの電力で200℃に7分30秒間電子レンジ加熱した。反応物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液に注ぎ、そしてEtOAC(2×75mL)で抽出した。合わせたEtOAC抽出物を1)飽和NaHCO3水溶液(35mL)、2)飽和ブライン(35mL)で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製して、標題の化合物(収率39%,42mg)を白色フィルムとして得た。MS m/z 401(M+H)。
【0121】
b)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−ブロモ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
3−ブロモ−ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−4−イルメチルエステル(310mg,0.68ミリモル)及び乾燥THF(12mL)を含む攪拌冷却(0℃)溶液に、テッベ試薬(トルエン中0.5M,1.71mL)を滴下した。反応物を10分間攪拌し、RTに放温し、次に追加の1時間攪拌した。エーテル(20mL)を加え、そして反応物を5分間攪拌した。NaOH(1M水溶液,1.6mL)を滴下し、そして20分間攪拌した。MgSO4(2.0g)を加え、EtOAcリンス(4×20mL)を用いて濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(3%MeOH/96.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率65%,200mg)を黄色固体として得た。MS m/z 454(M+H)。
【0122】
c)3−ブロモ−ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−4−イルメチルエステル
3−ブロモ−1−ナフトエ酸(300mg,1.19ミリモル)及びCH2Cl2(15mL)を含む懸濁液に塩化オキサリル(0.15mL,1.72ミリモル)を添加し、次にDMF(2滴)を添加した。反応物をRTで1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去した。この物質を1,2−ジクロロエタン(10mL)に溶解し、そして1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロ−フェニル)ピペリジン(261mg,1.17ミリモル)、トリエチルアミン(182mg,1.8ミリモル)及び1,2−ジクロロエタン(18mL)を含む溶液に加えた。反応物をRTで20分間攪拌し、そして次に60℃に一晩加熱した。反応物を冷却しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(CH2Cl2中5%MeOH)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率63%,341mg)を白色固体として得た。MS m/z 456(M+H)。
【0123】
必要な3−ブロモ−1−ナフトエ酸を、Rule,HG及びThompson,SB;J.Chem.Soc.1764−1767(1937)の手順を用いて以下のようにして製造した。1,8−ナフタル酸無水物を臭素で処理しそして3−ブロモ−1−ナフトエ酸に変換した。
【0124】
実施例35:1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−エトキシメチル)ピペリジン:
下記の構造の標題の化合物
【化34】
を次のようにして製造した。1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(69mg,0.15ミリモル)及び無水EtOH(10mL)を含む溶液に、炭素(70mg)上の10%パラジウムを加えた。反応混合物を水素ガス(3×)でパージし、次に水素(50psig)下に38時間置いた。反応混合物を窒素でパージし、濾過し、メタノール(4×20mL)で洗い、そして溶媒を真空中で除去した。残留物を次にEtOAcと飽和NaHCO3水溶液とに分配し、有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液で洗い、乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(3%MeOH/96.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製した。このクロマトグラフィーを行った物質をクエン酸塩に変換し、50℃でオイルポンプバキューム下で乾燥して、標題の化合物(収率40%,39mg)を黄褐色粉末として得た。MS m/z 463(M+H)。
【0125】
必要な1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジンを次のようにして製造した:
a)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−シアノ−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−ヨード−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン(140mg,0.25ミリモル)、シアン化銅(1)(44.8mg,0.50ミリモル)及びDMF(6mL)を含む懸濁液を、窒素を用いて激しく5分間パージした。反応物を150ワットの電力で150℃に5分間電子レンジ加熱した。反応を冷却し、飽和NaHCO3水溶液に注ぎ、そしてEtOAC(2×75mL)で抽出した。合わせたEtOAC抽出物を1)飽和NaHCO3水溶液(35mL)、2)飽和ブライン(35mL)で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(2%MeOH/97.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製して、標題の化合物(収率66%,76mg)を白色膜として得た。MS m/z 461(M+H)。
【0126】
b)1−N−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−(3−ヨード−2,4−ジメトキシ−1−ナフタレン−1−イル−ビニルオキシメチル)ピペリジン
3−ヨード−2,4−ジメトキシ−ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−4−イルメチルエステル(290mg,0.515ミリモル)及び乾燥THF(15mL)を含む攪拌、冷却(0℃)溶液に、テッベ(Tebbe)試薬(トルエン中0.5M,2.0mL)を滴下した。反応物を10分間攪拌し、RTに放温し、次に追加の5時間攪拌した。エーテル(40mL)を加え、そして反応物を5分攪拌した。NaOH(1M水溶液,2.0mL)を滴下し、そして20分間攪拌した。MgSO4(4.0g)を加え、EtOAcリンス(4×30mL)を用いて濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(2%MeOH/97.6%CH2Cl2/0.4%NH4OHから4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率66%,201mg)を黄褐色固体として得た。MS m/z 562(M+H)。
【0127】
c)3−ヨード−2,4−ジメトキシ−ナフタレン−1−カルボン酸1−メチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−4−イルメチルエステル
3−ヨード−2,4−ジメトキシ−1−ナフトエ酸(855mg,2.39ミリモル)及びCH2Cl2(25mL)を含む溶液に塩化オキサリル(0.30mL,3.44ミリモル)を、次にDMF(3滴)を加えた。反応物をRTで1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去した。この物質を1,2−ジクロロエタン(20mL)に溶解し、そして1−N−メチル−4−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロ−フェニル)ピペリジン(522mg,2.34ミリモル)、トリエチルアミン(364mg,3.6ミリモル)及び1,2−ジクロロエタン(20mL)を含む溶液に加えた。反応物をRTで20分間攪拌し、そして次に60℃に一晩加熱した。反応物を冷却しそして溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(4%MeOH/95.6%CH2Cl2/0.4%NH4OH)で精製し、そして濃縮して、標題の化合物(収率40%,524mg)を白色固体として得た。MS m/z 564(M+H)。
【0128】
d)3−ヨード−2,4ジメトキシ−ナフタレン−1−カルボン酸
3−ヨード−2,4−ジメトキシナフタレン−1−カルボン酸ベンジルエステル(1.20g,2.68ミリモル)及びアセトニトリル(20mL)を含む溶液にヨウ化トリメチルシリル(0.495mL,3.48ミリモル)を滴下した。反応物をRTで48時間攪拌した。反応物を、飽和NaHCO3水溶液(70mL)及び飽和Na2S2O3(30mL)を含む溶液に注いだ。pHを、6MのHClを注意深く添加して2.0に調整した。酸性水性懸濁液をEtOAC(2×75mL)で抽出した。合わせたEtOAC抽出物を1.)1MのHCl(35mL),2.)飽和ブライン(35mL)で洗い、MgS04で乾燥し、濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。残留物を、エーテル(35mL)及びヘキサン(120mL)を含む溶液に懸濁させた。溶媒を真空中で除去し、50℃でオイルポンプバキューム下で乾燥して、標題の化合物(収率83%,800mg)を黄褐色粉末として得た。1H NMR(CDCL3)δ 11.91(s,1H),8.10(m,2H),7.58(dd,1H),7.49(dd,1H),4.06(s,3H),4.01(s,3H)。
【0129】
必要な3−ヨード−2,4−ジメトキシナフタレン−1−カルボン酸ベンジルエステルを次のようにして製造した:
a)2,4−ジヒドロキシ−1−ナフトエ酸ベンジル
マロン酸ジベンジル(51mL,204ミリモル)、2−ブロモアセトフェノン(20.25g,102ミリモル)、臭化第2銅(1.60g,11.2ミリモル)及びジオキサン(75mL)の混合物を室温で窒素下で15分間攪拌し、次に60%水素化ナトリウム(9.76g,244ミリモル)で部分に分けて慎重に処理した。水素化ナトリウムの添加後、混合物を80℃の油浴中で3時間攪拌し、冷却し、そして水(1L)に注いだ。酢酸エチル(500mL)及び1N HCl(50mL)を加え、混合物を振とうし、そして層を分離した。水性相を酢酸エチル(200mL)の第2の部分で抽出した。乾燥した(MgSO4)有機層を濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。カラムクロマトグラフィー(10%,20%,30%及び40%ジエチルエーテル/ヘキサン)で石油エーテル及びジクロロメタンで処理することにより、黄色の標題の化合物11.72gを得た。液体からの物質に再度クロマトグラフィーを行い(ジクロロメタン)、そして集めた画分を1:1の石油エーテル/ジクロロメタンで処理して追加の標題の化合物(4.80g)を得た。全収量は16.52g(55%)、mp159−162℃であった。1H NMR(300MHz,CDC13)δ 5.54(s,2H),5.98(s,1H,交換可能),6.50(s,1H),7.32−7.54(m,7H),8.17(d,IH,J=8.5Hz),8.82(d,1H,J=8.9Hz),12.72(s,1H,交換可能)。MS APCI,m/z=295(M+1)。
【0130】
b)2,4−ジヒドロキシ−3−ヨード−1−ナフトエ酸ベンジル
材料を溶解するために僅かに温めた2,4−ジヒドロキシ−1−ナフトエ酸ベンジル(58.86g,200ミリモル)のアセトニトリル(600mL)溶液を、N−ヨードスクシンイミド(46.12g,205ミリモル)のアセトニトリル(400mL)溶液ですばやく処理し、混合物を室温で2時間攪拌し、そして溶媒を真空中で抜き取った。残留物をジクロロメタン(1L)中に溶解し、少量のNaHSO3を含む水(300mL)で洗い、そして有機層を集め、乾燥し(MgSO4)、そして溶媒を真空中で除去した。カラムクロマトグラフィー(1:1,ヘキサン/ジクロロメタン)で、真空中の乾燥後、標題の化合物(68.13g,81%)がクリーム色に着色した固体として戻された。1HNMR(300MHz,CDCl3)δ 5.56(s,2H),6.45(s,1H),7.35−7.57(m,7H),8.27(d,1H,J=8.3Hz),8.80(d,1H,J=8.8Hz),13.67(s,1H)。
【0131】
c)3−ヨード−2,4−ジメトキシナフタレン−1−カルボン酸ベンジルエステル
窒素下の2,4−ジヒドロキシ−3−ヨード−1−ナフトエ酸ベンジル(68.13g,162ミリモル)、硫酸ジメチル(32mL,338ミリモル)、炭酸カリウム(48g,347ミリモル)及びアセトン(875mL)の攪拌混合物を一晩還流した。アセトンを真空中で除去し、そして残留物を水(500mL)と酢酸エチル(500mL)とに分配した。分離した水性層を追加の酢酸エチル(200mL)で抽出し、そして合わせた有機物を乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。カラムクロマトグラフィー(1:1,ヘキサン/ジクロロメタン)で標題の物質が黄色油状物として戻された。該黄色油状物は静置により固化した(60.48g,83%),mp80−83℃。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 3.85(s,3H),3.98(s,3H),5.51(s,2H),7.32−7.54(m,7H),7.76(d,1H,J=9.7Hz),8.09(d,1H,J=9.2Hz)。
【0132】
実施例36:
薬学の分野でよく知られた慣用の手順に従って、式Iに従う化合物Aのような化合物を含む下記の代表的薬剤投与形態を製造し得る:
錠剤 mg/錠剤
式Iの化合物 50.0
マンニトール,USP 223.75
クロスカルメロースナトリウム 60
トウモロコシ澱粉 15
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),USP 2.25
ステアリン酸マグネシウム 3.0
カプセル mg/カプセル
式Iの化合物 10.0
マンニトール,USP 488.5
クロスカルメロースナトリウム 15
ステアリン酸マグネシウム 1.5
【0133】
薬剤投与形態は、それを必要とする患者に、患者及び治療する詳細な病状に依存する頻度で投与される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[ここで、
R1は各々独立してCN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、Cl-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORC、及びCH2ORCから選ばれた基であり;ここでmは0、1、2又は3から選ばれ;Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、Gは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;ここでRdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そしてReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
R2は各々独立して水素、CN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORc及びCH2ORCから選ばれ、ここでnは0、1、2又は3から選ばれ;ここでRa、Rb、及びRcは各々独立して水素、CI-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、Gは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;ここでRdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そしてReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
R3は水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−D、(CH2)q−D及び(CH2)q−CH=CH−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれ、qは1、2又は3から選ばれ、rは1、2、3、又は4から選ばれ、そしてDはフェニル又はインドリルから選ばれ、該フェニル又は該インドリルはハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ及び−O−(CH2)q−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく;
R4、R5、R6及びR7は各々独立して水素又はC1-6アルキルから選ばれるか、或いは
独立して、R4とR5はそれらが結合した炭素と一緒になってそしてR6とR7はそれらが結合した炭素と一緒になって、式IIの基:
【化2】
(式中、pは0、1、2、3又は4から選ばれる)を形成する]
の化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項2】
R1が各々独立してフルオロ、シアノ、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ば
れ、ここでmが1、2又は3であり;
R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2であり;そして
R3が各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれる、
請求項1記載の化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項3】
R1が各々独立してフルオロ、シアノ、エチル及びメトキシから選ばれ、ここでmが1、2又は3であり;
R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2であり;そして
R3が各々独立して水素及びメチルから選ばれる、
請求項1記載の化合物、そのインビボ−加水分解可能な前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項4】
R4、R5及びR6がそれぞれ水素であり、そしてR7がメチルである請求項1記載の化合物、そのインビボ−加水分解可能な前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項5】
R1が各々独立してフルオロ、シアノ、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、ここでmが1、2又は3であり;
R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、ここでnは1又は2であり;そして
R3が水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、qは1、2又は3であり、rは1、2、3、又は4であり、そしてDはフェニル、インドール−3−イル、インドール−4−イルから選ばれ、該フェニルはフルオロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ又は−O−(CH2)2−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく、そして該インドリルはフルオロ、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシから選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよい、
請求項1記載の化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項6】
請求項1記載の化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤又は希釈剤と共に含む薬学的組成物。
【請求項7】
哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、出産後鬱病、一般化された不安障害、恐怖症、広場恐怖症、社会恐怖症、単純な恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害、拒食症、多食症、肥満、化学品依存症、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン又はベンゾジアゼピンへの依存症、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害、痴呆、健忘障害、年齢に関係する認識減退、パーキンソン病、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、遅発性ジスキネジー、内分泌障害、高プロラクチン血、血管痙攣、脳血管における血管痙攣、小脳性運動失調、運動性及び分泌における変化を含む胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、男性のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び血管障害に関連した頭痛から選ばれた障害又は症状を治療するための請求項6記載の薬学的組成物であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の請求項1記載の化合物又はその薬学的許容塩、及び薬学的に許容される担体を含む請求項6記載の薬学的組成物。
【請求項8】
SRI活性と組み合わされたNK1受容体の拮抗作用が有益な病状の治療方法であって、温血動物に有効量の請求項1記載の化合物又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩を投与することを含む、上記治療方法。
【請求項9】
SRI活性と組み合わされたNK1受容体の拮抗作用が有益な病状を患う患者の治療方
法であって、温血動物に有効量の請求項1記載の化合物又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩を投与することを含む、上記治療方法。
【請求項10】
哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、出産後鬱病、一般化された不安障害、恐怖症、広場恐怖症、社会恐怖症、単純な恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害、拒食症、多食症、肥満、化学品依存症、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン又はベンゾジアゼピンへの依存症、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害、痴呆、健忘障害、年齢に関係する認識減退、パーキンソン病、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、遅発性ジスキネジー、内分泌障害、高プロラクチン血、血管痙攣、脳血管における血管痙攣、小脳性運動失調、運動性及び分泌における変化を含む胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び血管障害に関連した頭痛から選ばれた症状を治療するための請求項8又は9記載の方法であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の請求項1記載の化合物又はその薬学的許容塩を投与することを含む、上記方法。
【請求項11】
哺乳類における高血圧、鬱病、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、出産後鬱病、一般化された不安障害、恐怖症、広場恐怖症、社会恐怖症、単純な恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害、拒食症、多食症、肥満、化学品依存症、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン又はベンゾジアゼピンへの依存症、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害、痴呆、健忘障害、年齢に関係する認識減退、パーキンソン病、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、遅発性ジスキネジー、内分泌障害、高プロラクチン血、血管痙攣、脳血管における血管痙攣、小脳性運動失調、運動性及び分泌における変化を含む胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び血管障害に関連した頭痛から選ばれた病状を治療するために使用する医薬の製造における請求項1記載の化合物、又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩の使用であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の請求項1記載の化合物又はその薬学的許容塩及び薬学的に許容される担体を投与することを含む、上記使用。
【請求項1】
式I:
【化1】
[ここで、
R1は各々独立してCN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、Cl-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORC、及びCH2ORCから選ばれた基であり;ここでmは0、1、2又は3から選ばれ;Ra、Rb、及びRcは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、Gは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;ここでRdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そしてReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
R2は各々独立して水素、CN、CF3、OCF3、OCHF2、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、Ra、Rb、SRa、NReRf、CH2NReRf、ORc及びCH2ORCから選ばれ、ここでnは0、1、2又は3から選ばれ;ここでRa、Rb、及びRcは各々独立して水素、CI-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd及びCO2Rdから選ばれるか、またはRaとRbは一緒になって(CH2)jG(CH2)kもしくはG(CH2)jGであってもよく、Gは酸素であり、jは1、2、3もしくは4、kは0、1もしくは2であり;ここでRdは各々独立してC1-6アルキルから選ばれ、そしてReとRfは各々独立して水素、C1-6アルキル、C(O)Rd、C(O)NHRd、CO2Rdから選ばれ;
R3は水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−D、(CH2)q−D及び(CH2)q−CH=CH−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれ、qは1、2又は3から選ばれ、rは1、2、3、又は4から選ばれ、そしてDはフェニル又はインドリルから選ばれ、該フェニル又は該インドリルはハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ及び−O−(CH2)q−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく;
R4、R5、R6及びR7は各々独立して水素又はC1-6アルキルから選ばれるか、或いは
独立して、R4とR5はそれらが結合した炭素と一緒になってそしてR6とR7はそれらが結合した炭素と一緒になって、式IIの基:
【化2】
(式中、pは0、1、2、3又は4から選ばれる)を形成する]
の化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項2】
R1が各々独立してフルオロ、シアノ、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ば
れ、ここでmが1、2又は3であり;
R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2であり;そして
R3が各々独立して水素及びC1-6アルキルから選ばれる、
請求項1記載の化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項3】
R1が各々独立してフルオロ、シアノ、エチル及びメトキシから選ばれ、ここでmが1、2又は3であり;
R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、nは1又は2であり;そして
R3が各々独立して水素及びメチルから選ばれる、
請求項1記載の化合物、そのインビボ−加水分解可能な前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項4】
R4、R5及びR6がそれぞれ水素であり、そしてR7がメチルである請求項1記載の化合物、そのインビボ−加水分解可能な前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項5】
R1が各々独立してフルオロ、シアノ、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、ここでmが1、2又は3であり;
R2が各々独立してハロゲンから選ばれ、ここでnは1又は2であり;そして
R3が水素、C1-6アルキル、C(O)−(CH2)q−NR8R9、(CH2)r−NR8R9、(CH2)q−O−Dから選ばれ、R8及びR9は各々独立して水素、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選ばれ、qは1、2又は3であり、rは1、2、3、又は4であり、そしてDはフェニル、インドール−3−イル、インドール−4−イルから選ばれ、該フェニルはフルオロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ又は−O−(CH2)2−O−から選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよく、そして該インドリルはフルオロ、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシから選ばれた1個又はそれ以上の置換基を有してもよい、
請求項1記載の化合物、インビボ−加水分解可能なその前駆体、及びその薬学的許容塩。
【請求項6】
請求項1記載の化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤又は希釈剤と共に含む薬学的組成物。
【請求項7】
哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、出産後鬱病、一般化された不安障害、恐怖症、広場恐怖症、社会恐怖症、単純な恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害、拒食症、多食症、肥満、化学品依存症、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン又はベンゾジアゼピンへの依存症、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害、痴呆、健忘障害、年齢に関係する認識減退、パーキンソン病、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、遅発性ジスキネジー、内分泌障害、高プロラクチン血、血管痙攣、脳血管における血管痙攣、小脳性運動失調、運動性及び分泌における変化を含む胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、男性のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び血管障害に関連した頭痛から選ばれた障害又は症状を治療するための請求項6記載の薬学的組成物であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の請求項1記載の化合物又はその薬学的許容塩、及び薬学的に許容される担体を含む請求項6記載の薬学的組成物。
【請求項8】
SRI活性と組み合わされたNK1受容体の拮抗作用が有益な病状の治療方法であって、温血動物に有効量の請求項1記載の化合物又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩を投与することを含む、上記治療方法。
【請求項9】
SRI活性と組み合わされたNK1受容体の拮抗作用が有益な病状を患う患者の治療方
法であって、温血動物に有効量の請求項1記載の化合物又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩を投与することを含む、上記治療方法。
【請求項10】
哺乳類、好ましくはヒトにおける高血圧、鬱病、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、出産後鬱病、一般化された不安障害、恐怖症、広場恐怖症、社会恐怖症、単純な恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害、拒食症、多食症、肥満、化学品依存症、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン又はベンゾジアゼピンへの依存症、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害、痴呆、健忘障害、年齢に関係する認識減退、パーキンソン病、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、遅発性ジスキネジー、内分泌障害、高プロラクチン血、血管痙攣、脳血管における血管痙攣、小脳性運動失調、運動性及び分泌における変化を含む胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び血管障害に関連した頭痛から選ばれた症状を治療するための請求項8又は9記載の方法であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の請求項1記載の化合物又はその薬学的許容塩を投与することを含む、上記方法。
【請求項11】
哺乳類における高血圧、鬱病、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、亜症候群の症状を伴う鬱病、子供のできない婦人における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、反復性鬱病、子供虐待誘発鬱病、出産後鬱病、一般化された不安障害、恐怖症、広場恐怖症、社会恐怖症、単純な恐怖症、外傷後のストレス症候群、回避性格障害、早発射精、摂食障害、拒食症、多食症、肥満、化学品依存症、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタル、ニコチン又はベンゾジアゼピンへの依存症、群発頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経症、パニック障害、記憶障害、痴呆、健忘障害、年齢に関係する認識減退、パーキンソン病、パーキンソン病における痴呆、神経安定薬誘発パーキンソニズム、遅発性ジスキネジー、内分泌障害、高プロラクチン血、血管痙攣、脳血管における血管痙攣、小脳性運動失調、運動性及び分泌における変化を含む胃腸管障害、統合失調症の負の兆候、月経前症候群、線維筋肉痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛狂、盗癖、雄のインポテンツ、注意欠陥多動性障害、慢性発作性偏頭痛及び血管障害に関連した頭痛から選ばれた病状を治療するために使用する医薬の製造における請求項1記載の化合物、又はインビボ−加水分解可能なその前駆体又はその薬学的許容塩の使用であって、かかる障害又は症状の治療に有効な量の請求項1記載の化合物又はその薬学的許容塩及び薬学的に許容される担体を投与することを含む、上記使用。
【公表番号】特表2006−502157(P2006−502157A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−533952(P2004−533952)
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001399
【国際公開番号】WO2004/022539
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001399
【国際公開番号】WO2004/022539
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】
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