説明

ナラトリプタンの合成方法

本発明は、ナラトリプタン又はその塩の製造方法に関し、この方法は:(a)式(3)の化合物を、式HCCRの化合物と反応させ(式中、Zは保護基であり、Yは脱離基であり、かつRは、トリアルキルシリル基、トリアルキルスタンニル基又はハロゲン化亜鉛(II)である。)、式(4)の化合物を得る工程;(b)式(4)の化合物を、式(5)の化合物へ変換する工程(式中、Z'は水素又はベンジル基である。);(c)式(5)の化合物をナラトリプタンへ変換する工程;並びに、(d)任意にナラトリプタンをその塩に変換する工程を含む。本発明は、新規化合物(3)及び(4)、並びにそれらの製造方法も提供する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、ナラトリプタン又はその塩の合成方法に関する。本発明は更に、ナラトリプタンの合成において使用するための、新規中間体、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景及び先行技術)
ナラトリプタンは、選択的(1B/1D)セロトニンである5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)のアゴニストとして使用される、トリプタミンベースの薬物(トリプタン)の系列に属する。これは、片頭痛及び群発性頭痛の治療において使用される。その作用は、脳血管中のセロトニン5-HT1B受容体及び5-BT1D受容体へのその結合(脳血管の収縮を引き起こす)、及びそれに続く炎症促進性神経ペプチド放出の阻害に起因する。これは、血管に加え神経末端のセロトニン受容体に作用する。このことは、CGRP及びサブスタンスPを含むいくつかのペプチドの放出の減少につながる。
【化1】

【0003】
米国特許第4,997,841号は、ナラトリプタン、その塩及びいくつかのその製造方法を開示している。これらの方法のひとつは、5-ブロモインドールを、1-メチルピペリジン-4-オンと、メタノールを溶媒とするKOHを用い室温で反応させ、5-ブロモ-3-(4-(ヒドロキシ-1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-インドールを生じ、これをN-メチルビニルスルホンアミドと、熱DMF中で、酢酸パラジウム及びトリ-p-トリルホスフィンを用い縮合させ、(E)-N-メチル-2-[3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]ビニルスルホンアミドを生じることを含む。最後にこの化合物は、Pd/C上でH2により水素化され、ナラトリプタンが得られる。
【0004】
米国特許第4,997,841号に開示された別法において、5-ブロモインドールの1-メチルピペリジン-4-オンとの、メタノールを溶媒とするKOHを用いる反応が還流温度で実行される場合、生じる生成物は、5-ブロモ-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-インドールであり、これは更に前述のようにN-メチルビニルスルホンアミドと縮合され、ナラトリプタンが得られる。
【0005】
米国特許第4,997,841号に開示された別法は、2-(4-ヒドラジノフェニル)-N-メチルエタンスルホンアミドの2-(1-メチルピペリジン-4-イル)アセトアルデヒドとの、水を溶媒とするHClを用いる環化を含む。
【0006】
米国特許第5,786,473号は、5-ブロモインドールのN-メチル-4-ピペリドンとの反応で、5-ブロモ-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-インドールを得、これをN-メチルビニルスルホンアミドと縮合させ、N-メチル-2-[3-(1,2,3,6-テトラヒドロ-1-メチル-4-ピリジニル)-1H-インドール-5-イル]エテンスルホンアミドを生じ、これを不均一系水素化条件下で還元し、ナラトリプタンを得ることを開示している。
【0007】
国際公開公報第2006010079号は、インドール部分の構築における重要な段階としてヤップ・クリンゲマン(Japp-Klingemann)反応を基にしたナラトリプタンの製造を開示している。本方法は、N-メチル-2-(4-アミノフェニル)-エタンスルホンアミドをメチル-2-アセチル-3-ピリジルプロパノエートによりヤップ・クリンゲマンカップリング下でジアゾ化し、対応するヒドラゾン化合物を生じ、これを酸の存在下で環化し、メチル-5-メチルスルファモイルエチル-3-(4-ピリジル)-1H-2-インドールカルボキシラートを生じることを含む。これは、ヨウ化メチルを用い四級化され、1-メチル-4-(2-メトキシカルボニル-5-メチルスルファモイルエチル-1H-3-インドリル)ピリジニウムヨージドを得、引き続き更なる還元、ケン化及び脱炭酸の工程を経て、ナラトリプタンを得る。
【0008】
国際公開公報第2008072257号は、2-{[4-(2-メチルスルファモイル-エチル)-フェニル]-ヒドラゾノ}-プロピオン酸エチルエステルを環化し、5-(2-メチルスルファモイル-エチル)-1-H-インドール-2-カルボン酸エチルエステルを形成し、これを加水分解し、5-(2-メチルスルファモイル-エチル)-1-H-インドール-2-カルボン酸を形成し、引き続きの脱炭酸により、5-(2-メチルスルファモイル-エチル)-1-H-インドールを得ることを含む、ナラトリプタン製造方法を開示している。更にこの化合物は、N-メチル-4-ピペリドンと縮合され、2-[3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン-4-イル)-1H-インドール-5イル]エタンスルホン酸メチルアミドが得られ、引き続き還元され、ナラトリプタンが得られる。
【0009】
ナラトリプタンは、非常に強力な片頭痛治療薬であり、その製造に関するより簡便でかつより産業上応用可能な方法に関する一定の必要性が存在している。本発明の発明者らは、そのような方法を開発することを目的としている。
【発明の概要】
【0010】
(発明の目的)
本発明の目的は、ナラトリプタンの合成方法を提供することである。
別の本発明の目的は、ナラトリプタン合成において有用な新規の重要な中間体を提供することである。
【0011】
(発明の概要)
本発明の第一の態様により:(a)式(3)の化合物を、式HCCRの化合物と反応させ:
【化2】

(式中、Zは保護基であり、Yは脱離基であり、かつRは、トリアルキルシリル基、トリアルキルスタンニル基又はハロゲン化亜鉛(II)である。)、式(4)の化合物を得る工程;(b)式(4)の化合物を、式(5)の化合物へ変換する工程:
【化3】

(式中、Z'は水素又はベンジル基である。);(c)式(5)の化合物をナラトリプタンへ変換する工程;並びに、(d)任意にナラトリプタンをその塩に変換する工程:
【化4】

を含む、ナラトリプタン又はその塩の製造方法が提供される。
【0012】
ナラトリプタンの塩は、ナラトリプタンからの塩の製造方法と同様に、当業者に周知である。ある実施態様において、塩はHCl塩である。HCl塩は、メタノールなどの好適な溶媒中で、ナラトリプタンを塩酸と反応させることにより得ることができる。この塩酸は、水性塩酸の形態であってよい。
【0013】
ある実施態様において、工程(a)のカップリング工程は、薗頭(Sonogashira)反応により実行される。この薗頭カップリングは、式HCCRの末端アルキンの化合物(3)との、パラジウム触媒、銅(I)共触媒、及びアミン塩基の存在下でのカップリングに関与している。このアミン塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアミン又はトリメチルアミンであることができる。好ましくはアミン塩基は、トリエチルアミンである。
【0014】
Rは、トリアルキルシリル基であり得る。このアルキルは、C1-C6アルキル基であることができ、かつ3つのアルキル基は全て同じであるか又は異なることができる。このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(i-プロピル又はn-プロピル)、ブチル(t-ブチル又はn-ブチル)、ペンチル又はヘキシルであることができる。例えばRは、エチルジメチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル又はジエチルメチルシリルであることができる。
【0015】
Rは、Sn(アルキル)3であり得る。このアルキルは、C1-C6アルキル基であることができ、かつ3つのアルキル基は全て同じであるか又は異なることができる。このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(i-プロピル又はn-プロピル)、ブチル(t-ブチル又はn-ブチル)、ペンチル又はヘキシルであることができる。例えばRは、チル(thyl)ジメチルスタンニル、ジエチルメチルスタンニル又はトリメチルスタンニルであることができる。
【0016】
Rは、ハロゲン化亜鉛(II)であり得、ここでハロゲン化物は、クロロ、ブロモ又はヨードである。ある実施態様において、Rは-ZnBrである。
【0017】
化合物HCCRは、下記式を有する末端アルキンである。
【化5】

【0018】
このR基は、化合物(4)上のR基に対応している。化合物HCCRは好ましくは、エチル(エチニル)ジメチルシラン、トリメチルアセチレンシラン、トリエチル(エチニル)シラン、ジエチル(エチニル)メチルシラン、エチル(エチニル)ジメチルスタンナン、ジエチル(エチニル)メチルスタンナン、(エチニル)トリメチルスタンナン及びハロゲン化エチニル亜鉛(II)からなる群から選択される。対応するR基は、各々、エチルジメチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジエチルメチルシリル、エチルジメチルスタンニル、ジエチルメチルスタンニル、トリメチルスタンニル及びハロゲン化亜鉛(II)である。
【0019】
ある実施態様において、Zは、アセチル、トリフルオロアセチル、BOC(tert-ブチルオキシカルボニル)、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及びベンジルからなる群から選択される。
【0020】
ある実施態様において、Yは、クロロ、ブロモ、ヨード、OTf(トリフラート)及びOTs(トシラート)からなる群から選択され、好ましくはヨードである。
【0021】
ある実施態様において、工程(a)は、塩基の存在下で実行され、これは典型的には有機塩基又は無機塩基であることができる。無機塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、カリウムエトキシド及びナトリウムエトキシドから選択され得る。有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ジエチルアミン及びトリメチルアミンから選択され得る。好ましくはこの塩基は、有機塩基であり、最も好ましくはトリエチルアミンである。
【0022】
ある実施態様において、工程(a)は、パラジウム-ホスフィン錯体の存在下、並びに任意にハロゲン化銅(I)及びハロゲン化リチウムの存在下で実行される。好ましくはPd-ホスフィン錯体は、テトラキストリフェニルホスフィンPd(0)である。
【0023】
ある実施態様において、工程(a)は、パラジウム-ホスフィン錯体及びハロゲン化銅(I)及びハロゲン化リチウムの存在下で実行される。好ましくは銅のハロゲン化物塩はヨウ化銅(I)であり、かつリチウムのそれは塩化物である。
【0024】
工程(a)に使用される溶媒は典型的には、水、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、C1-6アルコール、テトラヒドロフラン、及びジイソプロピルエーテル又はエチルメチルエーテルなどのエーテルから選択される極性溶媒である。好ましくはこの溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0025】
ある実施態様において、本方法は、0℃から使用される溶媒の還流温度までの範囲の温度で実行され;好ましくはこの反応は、25℃〜30℃の範囲の温度で実行される。
【0026】
ある実施態様において、化合物(4)は、例えばヘプタン、ヘキサン、ジイソプロピルエーテル、水、酢酸エチル、トルエン又はキシレンなどの溶媒、最も好ましくはヘプタンを用いることにより、単離される。
【0027】
化合物(4)の化合物(5)への変換は、いずれの中間体化合物の単離も伴わない、直接変換により進行することができる。例えばRがトリアルキリシリルである場合、この変換は、R基の脱シリル化、Z基の脱保護及び化合物(5)への環化を、全て一工程で含むことができる。あるいはこの変換は、脱シリル化された中間体化合物の単離を伴う又は伴わないR基の脱シリル化、それに続く同時のZ基の脱保護及び環化を含むことができる。Z及びZ'の両方がベンジル基である場合、Z基の脱保護の必要はなく、そのためこの変換は、一工程における又は個別の工程における、R基の脱シリル化及び環化を含むことができる。
【0028】
ある実施態様において、Zはベンジル以外の保護基であり、Z'は水素であり、かつ化合物(4)の化合物(5)への変換は、基Zの脱保護及び環化を含む。好適にはこの脱保護は、テトラブチルアンモニウムハライド、又は酢酸、トリフルオロ酢酸、希硫酸、希塩酸及び希硝酸から選択された酸を使用し実行される。この環化は典型的には、塩基及び溶媒の存在下で実行され、化合物(5)を得る。この環化は、下記の中間体化合物(4b)を介して進行され得、これは任意に単離されることができ:
【化6】

式中、Z"は、アセチル、トリフルオロアセチル、BOC(tert-ブチルオキシカルボニル)、ベンゾイル及びベンジルオキシカルボニルベンジルである。
【0029】
前記環化に使用される塩基は、典型的には、有機塩基又は無機塩基である。この無機塩基は、水酸化カリウム、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カルシウムから選択され得る。この有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、グアニジン及びリチウムジイソプロピルアミドから選択され得る。好ましくは塩基は、水酸化カリウムである。
【0030】
前記環化に使用される溶媒は、ジクロロメタン、二塩化エチレン、トルエン、ベンゼン、キシレン、酢酸エチル、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジグリム、ヘプタン、ヘキサン、C1-6アルコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル又はそれらの混合物から選択され得、最も好ましくはN-メチルピロリドンである。
【0031】
ある実施態様において、本方法は、0℃から使用される溶媒の還流温度までの範囲の温度で実行される。好適にはこの温度は、20℃から還流温度までの、好ましくは50℃〜90℃の、より好ましくは70℃〜90℃の範囲である。最も好ましくはこの温度は、80℃〜90℃の範囲である。
【0032】
ある実施態様において、Zはベンジルであり、Z'はベンジルであり、かつ化合物(4)の化合物(5)への変換は、塩基及び溶媒の存在下での、化合物(4)の環化を含む。
【0033】
この環化に使用される塩基は、水酸化カリウム、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カルシウムから選択され得る。好ましくは塩基は、カリウムtert-ブトキシドである。
【0034】
化合物(5)は、エーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、C1-6アルコール、水、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ヘプタン又はヘキサンなどの溶媒による処理により単離され得る。
【0035】
ある実施態様において、化合物(5)のナラトリプタンへの変換は、化合物(5)をN-メチル-4-ピペリドンと反応させ、式(6)の化合物を形成すること、及び化合物(6)のナラトリプタンへの変換を含む。
【化7】

【0036】
ある実施態様において、この変換は、KOH、カリウムtert-ブトキシド若しくは水素化ナトリウムなどのいずれかの塩基の存在下、又はトリフルオロ酢酸若しくはトリクロロ酢酸などのトリハロ酢酸の存在下で実行される。
【0037】
典型的には、この変換は、アルドール縮合により実行され、式(6)の対応する縮合生成物を得る。任意に式(6)の化合物は単離される。
【0038】
この変換に使用される溶媒は典型的には、メタノール変性アルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド若しくはN-メチルピロリドン又はそれらの混合物であり、好ましくはメタノールである。
【0039】
この縮合は、典型的には、使用される溶媒の還流温度で実行される。
【0040】
ある実施態様において、化合物(6)は、触媒的水素化によるか又は有機還元によるかのいずれかにより還元され、ナラトリプタンを得、これは任意にその塩に変換され得る。
【0041】
ある実施態様において、Z'は水素であり、かつ化合物(6)のナラトリプタンへの変換は、パラジウム、水酸化パラジウム、活性炭に担持されたパラジウム、アルミナに担持されたパラジウム、白金、活性炭に担持された白金、ルテニウム、ロジウム及びラネーニッケルからなる群から選択される触媒の存在下での、触媒的水素化を含む。
【0042】
水素化に使用される溶媒は典型的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、塩化メチレン、塩化エチレン又はそれらの混合物から選択され、好ましくはメタノールである。
【0043】
水素の供給源は、水素ガスである。この還元反応は典型的には、約25psi〜約80psi(約170kPa〜約550kPa)、好ましくは約55psi〜約60psi(約380kPa〜約410kPa)の範囲である水素ガス圧で実行される。
【0044】
あるいはZ'が水素である場合、化合物(6)の還元は、有機還元により実行することができる。この有機還元は、化合物(6)のトリアルキルシラン、好ましくはトリエチルシランによる処理により実行することができる。
【0045】
ある実施態様において、Z'はベンジルであり、かつ化合物(6)のナラトリプタンへの変換は、有機還元を含む。この有機還元は、化合物(6)のトリアルキルシラン、好ましくはトリエチルシランによる処理により実行することができる。
【0046】
有機還元に使用される溶媒は、典型的には、キシレン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン又はそれらの混合物などの非極性溶媒、最も好ましくはトルエンである。
【0047】
ある実施態様において、前記有機還元は、-20℃から溶媒の還流温度までの範囲の温度で実行される。
【0048】
ある実施態様において、化合物(6)は最初に、有機還元により原位置で(in situ)還元され、化合物(7)を得、これは更に触媒的水素化を受け、ナラトリプタンが得られる。
【化8】

【0049】
本発明の別の態様により、式(3)の化合物が提供される:
【化9】

(式中、Zは、アセチル、トリフルオロアセチル、BOC、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル及びベンジルからなる群から選択され、かつYは、クロロ、ブロモ、ヨード、OTf(トリフラート)及びOTs(トシラート)からなる群から選択される。)。ある実施態様において、Zはベンジルである。ある実施態様において、Yはヨードである。
【0050】
本発明の別の態様により、ナラトリプタン又はその塩の製造方法における化合物(3)の使用が提供される。
【0051】
本発明の別の態様により、式(2)の化合物を、保護基Zに対応するN-保護剤と反応させることを含む、式(3)の化合物の製造方法が提供される。
【化10】

【0052】
ある実施態様において、前記N-保護剤は、脂肪族化合物又は芳香族化合物である。前記物質は、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロアセチルクロライド、BOC-無水物、ベンジルオキシカルボニルクロライド、塩化ベンゾイル、及び例えば、メトキシ、トシラート又はクロロなどのハロゲン化物から選択された基により任意に置換された塩化ベンジルからなる群から選択される。
【0053】
好ましくは、前記脂肪族N-保護剤は、無水酢酸である。好ましくは、前記芳香族N-保護剤は、塩化ベンジルである。
【0054】
好適には、本方法は、ジクロロメタン、C1-6アルコール、二塩化エチレン、トルエン、ベンゼン、キシレン、酢酸エチル、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジグリム又はそれらの混合物から選択された溶媒の存在下で実行される。好ましくは、溶媒はジクロロメタンである。
【0055】
本方法は、典型的には0℃から使用される溶媒の還流温度までの範囲の温度で、好ましくは25℃〜30℃の範囲の温度で実行される。
【0056】
ある実施態様において、式(3)の化合物は、例えば、ヘキサン、ヘプタン又はC1-6アルコールなどの溶媒を使用し、単離される。
【0057】
ある実施態様において、式(2)の化合物は、式(1)の化合物を、脱離基Yを生じる試薬と反応させることにより、調製される。
【化11】

【0058】
この試薬は、N-クロロスクシンイミド、塩素、臭素、臭化カリウム、N-ブロモスクシンイミド、ヨウ素、ヨウ化カリウム、一塩化ヨウ素、トリフリン酸及びp-トルエンスルホン酸から選択され得る。
【0059】
前記反応は、塩基の存在下で;典型的には有機塩基又は無機塩基の存在下で実行することができる。無機塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸水素ナトリウムから選択され得る。有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ジエチルアミン及びトリメチルアミンから選択され得る。好ましくは、この塩基は炭酸水素ナトリウムである。
【0060】
典型的には、本反応において使用するための溶媒は、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジグリム、又はそれらの混合物であり、最も好ましくはジクロロメタンである。
【0061】
典型的には、本方法は、0℃から使用される溶媒の還流温度の範囲の温度で実行され;好ましくは、本反応は25℃〜30℃の範囲の温度で実行される。
【0062】
ある実施態様において、化合物(2)は、例えばヘキサン、ヘプタン、ペンタン、水、酢酸エチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサン又はそれらの混合物などの溶媒による処理により、単離され、好ましくはヘプタンが使用される。
【0063】
前述のようなナラトリプタン又はその塩の製造方法は、前述のように化合物(3)を調製することを含むことができる。
【0064】
本発明の別の態様により、式(4)の化合物が提供される:
【化12】

(式中、Zは、アセチル、トリフルオロアセチル、BOC、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル及びベンジルからなる群から選択され、かつRは、トリメチルシリル、-Sn(Bu)3又は-ZnBrからなる群から選択される。)。ある実施態様において、Zはベンジルである。
【0065】
本発明の別の態様により、式(4)の化合物の調製方法が提供され、この方法は、式(3)の化合物を、式HCCRの化合物と反応させることを含む:
【化13】

(式中、Zは、アセチル、トリフルオロアセチル、BOC、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル及びベンジルからなる群から選択され、かつYは脱離基であり、かつRは、トリメチルシリル、-Sn(Bu)3又は-ZnBrである。)。
【0066】
ある実施態様において、Yは、クロロ、ブロモ、ヨード、OTf(トリフラート)及びOTs(トシラート)からなる群から選択され、好ましくはヨードである。
【0067】
ある実施態様において、本反応は、薗頭反応により実行される。薗頭カップリングは、式HCCRの末端アルキンと化合物(3)との、パラジウム触媒、銅(I)共触媒、及びアミン塩基の存在下でのカップリングを含む。このアミン塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアミン又はトリメチルアミンであることができる。好ましくはアミン塩基はトリエチルアミンである。
【0068】
ある実施態様において、本反応は、塩基の存在下で実行され、これは典型的には有機塩基又は無機塩基であることができる。この無機塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、カリウムエトキシド及びナトリウムエトキシドから選択され得る。有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ジエチルアミン及びトリメチルアミンから選択され得る。好ましくは塩基は有機塩基であり、最も好ましくはトリエチルアミンである。
【0069】
ある実施態様において、本反応は、パラジウム-ホスフィン錯体の存在下で、及び任意にハロゲン化銅(I)及びハロゲン化リチウムの存在下で実行される。好ましくは、Pd-ホスフィン錯体はテトラキストリフェニルホスフィンPd(0)である。
【0070】
ある実施態様において、本反応は、パラジウム-ホスフィン錯体及びハロゲン化銅(I)及びハロゲン化リチウムの存在下で実行される。好ましくは、銅のハロゲン化塩は、ヨウ化銅(I)であり、かつリチウムのそれは塩化物である。
【0071】
使用される溶媒は典型的には、水、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、C1-6アルコール、テトラヒドロフラン及びジイソプロピルエーテル又はエチルメチルエーテルなどのエーテルから選択された極性溶媒である。好ましくは、溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0072】
ある実施態様において、本方法は、0℃から使用される溶媒の還流温度までの温度範囲で実行され;好ましくは本反応は、25℃〜30℃の範囲の温度で実行される。
【0073】
ある実施態様において、化合物(4)は、例えばヘプタン、ヘキサン、ジイソプロピルエーテル、水、酢酸エチル、トルエン又はキシレンなどの溶媒、最も好ましくはヘプタンを使用し単離される。
【0074】
前述のような化合物(4)の調製方法は、前述のように化合物(3)を調製することを更に含むことができる。
【0075】
本発明の別の態様により、ナラトリプタン又はその塩の製造方法における化合物(4)の使用が提供される。
【0076】
化合物(2)、(5)、(6)及び(7)のいくつか実施態様は、例えばこれらは、前述のようなナラトリプタンの製造方法において使用するのに好ましい化合物であるので、有利である。これらの好ましい化合物は、以下に考察される。
【0077】
本発明の別の態様により、式(2)の化合物が提供され、ここでYはヨードである。この化合物は、化合物(2a)と称されるものとする。本発明の別の態様により、ナラトリプタン又はその塩の製造方法における化合物(2a)の使用が提供される。本方法は、先に説明された方法と関連し得る。
【化14】

【0078】
本発明の別の態様により、式(5)の化合物が提供され、ここでZ'はベンジルである。この化合物は、化合物(5b)と称されるものとする。本発明の別の態様により、ナラトリプタン又はその塩の製造方法における化合物(5b)の使用が提供される。本方法は、先に説明された方法と関連し得る。
【化15】

【0079】
本発明の別の態様により、式(6)の化合物が提供され、ここでZ'はベンジルである。この化合物は、化合物(6a)と称されるものとする。本発明の別の態様により、ナラトリプタン又はその塩の製造方法における化合物(6a)の使用が提供される。本方法は、先に説明された方法と関連し得る。
【化16】

【0080】
本発明の別の態様により、式(7)の化合物が提供され、ここでZ'はベンジルである。この化合物は、化合物(7a)と称されるものとする。本発明の別の態様により、ナラトリプタン又はその塩の製造方法における化合物(7a)の使用が提供される。本方法は、先に説明された方法と関連し得る。
【化17】

【0081】
本発明の別の態様により、先に説明された方法により製造されたナラトリプタンが提供される。
【0082】
本発明の別の態様により、医薬品において使用するための、先に説明された方法により製造されたナラトリプタンが提供される。
【0083】
本発明の別の態様により、片頭痛又は群発性頭痛の治療のための医薬品の製造において使用するための、先に説明された方法により製造されたナラトリプタンの使用が提供される。
【0084】
本発明の別の態様により、先に説明された方法により製造されたナラトリプタンを患者へ投与することを含む、治療を必要とする患者における片頭痛又は群発性頭痛の治療方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0085】
(発明の詳細な説明)
ナラトリプタンは、その構造式内にインドール部分を含む。本発明は、ナラトリプタンの重要な中間体としてのインドール誘導体を提供する。これは、式(5)の化合物として以下のように表される。
【化18】

【0086】
ある実施態様において、スキームIに説明されるように式(5)の化合物の調製方法が提供される。
【化19】

【0087】
ある実施態様において、式(1)の化合物を、好適な脱離基Yを生じる好適な試薬で処理することを含む、化合物(2)の調製方法が提供される。
【化20】

【0088】
前記好適な試薬は、N-クロロスクシンイミド、塩素、臭素、臭化カリウム、N-ブロモスクシンイミド、ヨウ素、ヨウ化カリウム、一塩化ヨウ素、トリフリン酸及びp-トルエンスルホン酸から選択され得る。
【0089】
前記好適な試薬は、Cl、Br、I、OTf(トリフラート)、OTs(トシラート)などの、所望の脱離基Yを生じる。好ましい脱離基はヨード(I)である。
【0090】
使用される塩基は、有機塩基又は無機塩基であることができる。無機塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムから選択される。有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ジエチルアミン又はトリメチルアミンから選択され得る。好ましい塩基は炭酸水素ナトリウムである。
【0091】
使用される好適な溶媒は、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジグリム、又はそれらの混合物であり、最も好ましくはジクロロメタンであることができる。
【0092】
典型的には本方法は、0℃から使用される溶媒の還流温度までの範囲内の好適な温度で実行され;好ましくは本反応は、25〜30℃で実行される。
【0093】
式(2)の化合物は任意に、例えばヘキサン、ヘプタン、ペンタン、水、酢酸エチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサン又はそれらの混合物などの溶媒により処理することにより、単離されることができ、好ましくはヘプタンが使用される。
【0094】
本発明のある実施態様において、式(2)の化合物は、好適なN-保護剤により処理され、新規の式(3)の化合物が得られる。
【化21】

【0095】
好適なN-保護剤は、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロアセチルクロライド、BOC-無水物、ベンジルオキシカルボニルクロライド、塩化ベンゾイル、及びクロロ、メトキシ、トシラートなどの基により任意に置換された塩化ベンジルなどの、脂肪族化合物又は芳香族化合物の群から選択され得る。好ましい脂肪族N-保護剤は、無水酢酸であり、好ましい芳香族N-保護剤は塩化ベンジルである。
【0096】
Zは、対応する保護剤から誘導されたアセチル、トリフルオロアセチル、BOC、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル基などの保護基である。
【0097】
好適には、本方法は、ジクロロメタン、C1-6アルコール、二塩化エチレン、トルエン、ベンゼン、キシレン、酢酸エチル、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジグリム又はそれらの混合物から選択された溶媒の存在下で実行され、好ましくはジクロロメタンである。
【0098】
本方法は、0℃から使用される溶媒の還流温度までの範囲内の好適な温度で、好ましくは25〜30℃の温度範囲で実行される。
【0099】
式(3)の化合物は、ヘキサン、ヘプタン及びC1-6アルコールなどの溶媒を使用し、単離することができる。
【0100】
ある実施態様において、式(2)の化合物は、本明細書において先に説明された方法により調製される。
【0101】
本発明の別の実施態様において、式(4)の新規化合物の調製方法が提供される。
【化22】

【0102】
本方法は、化合物(3)を、下記構造により表される末端アルキン基を有する化合物で処理し、式(4)の化合物を得ることを含む。
【化23】

式中、Rは、トリメチルシリル、-Sn(Bu)3、又は-ZnBrである。
典型的には、前記カップリング反応は、薗頭反応により実行される。
【0103】
好適なカップリング剤は、エチル(エチニル)ジメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、トリエチル(エチニル)シラン、ジエチル(エチニル)メチルシラン、エチル(エチニル)ジメチルスタンナン、ジエチル(エチニル)メチルスタンナン、(エチニル)トリメチルスタンナン、ハロゲン化エチニル亜鉛(II)などの、末端アルキンから選択され得、最も好ましくはトリメチルシリルアセチレンである。
【0104】
使用される塩基は、有機塩基又は無機塩基であることができる。無機塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシドから選択される。有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ジエチルアミン又はトリメチルアミンから選択され得る。好ましい塩基は有機塩基であり、最も好ましくはトリエチルアミンである。
【0105】
典型的には本カップリング反応は、パラジウム(Pd)-ホスフィン錯体の存在下並びに任意にハロゲン化銅(I)及びハロゲン化リチウムの存在下で生じる。
【0106】
好ましいPd-ホスフィン錯体は、テトラキストリフェニルホスフィンPd(0)である。
【0107】
好ましい銅のハロゲン化物塩は、ヨウ化銅(I)であり、かつリチウムのそれは塩化物である。
【0108】
本カップリングに使用される溶媒は、水、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、C1-6アルコール、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテルなどのエーテルから選択された、極性溶媒であり、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0109】
本方法は、0℃から使用される溶媒の還流温度までの範囲内の好適な温度で実行され;好ましくは、本反応は25〜30℃で実行される。
【0110】
化合物(4)は、例えば、ヘプタン、ヘキサン、ジイソプロピルエーテル、水、酢酸エチル、トルエン又はキシレンなどの溶媒、最も好ましくはヘプタンを使用することにより、単離される。
【0111】
ある実施態様において、式(4)の化合物は、下記スキームIIに表される方法により、更に環化される。化合物(4)は、テトラブチルアンモニウムハライド又は酢酸、トリフルオロ酢酸、希硫酸、希塩酸、希硝酸などの酸を用い脱保護され、化合物(4a)が得られ、これは次に塩基及び溶媒の存在下で環化され、化合物(5)が得られる。
【化24】

【0112】
使用される塩基は、有機塩基又は無機塩基であることができる。無機塩基は、水酸化カリウム、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムから選択される。有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、グアニジン、リチウムジイソプロピルアミドから選択され得る。好ましい塩基は水酸化カリウムである。
【0113】
使用される好適な溶媒は、ジクロロメタン、二塩化エチレン、トルエン、ベンゼン、キシレン、酢酸エチル、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジグリム、ヘプタン、ヘキサン、C1-6アルコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル又はそれらの混合物から選択され得、最も好ましくはN-メチルピロリドンである。
【0114】
本方法は、0℃から使用される溶媒の還流温度までの範囲内の好適な温度で、実行される。好ましくは、その温度は、80〜90℃の範囲内である。
【0115】
あるいは、化合物(4)は、塩基及び溶媒の存在下で環化され、式(4a)の化合物を単離することなく直接式(5)の化合物が得られる。
【0116】
直接環化に使用される塩基は、本明細書に先に説明されたような無機塩基から選択される。好ましい塩基はカリウムtert-ブトキシドである。
【0117】
化合物(4a)の単離は、不純物の生成を最小化し、これにより良好な収量及び純度で式(5)の化合物を生じるので、スキームIIに記載される環化は有利である。
【化25】

【0118】
化合物(5)は、エーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、C1-6アルコール、水、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ヘプタン、ヘキサンなどの溶媒による処理により、単離されることができる。
【0119】
本発明の方法により得られた化合物(5)は、下記スキームIIIに示されるように、ナラトリプタンの合成において更に使用される。
【化26】

【0120】
前記化合物(5)は、N-メチル-4-ピペリドンにより、KOH、カリウムtert-ブトキシド若しくは水素化ナトリウムなどの強塩基の存在下で、又は、トリフルオロ酢酸若しくはトリクロロ酢酸などのトリハロ酢酸の存在下で、アルドール縮合により更に処理され、式(6)の対応する縮合生成物が得られる。式(6)の化合物は、任意に単離され得る。
【0121】
使用される溶媒は、メタノール変性アルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド若しくはN-メチルピロリドン又はそれらの混合物であることができ、好ましくはメタノールである。
【0122】
前記縮合は、使用される溶媒の還流温度で実行される。
【0123】
更に、化合物(6)は、触媒的水素化によるか又は有機還元によるかのいずれかにより還元され、ナラトリプタンが得られ、これは任意にその塩に変換され得る。
【0124】
触媒的水素化は、パラジウム、水酸化パラジウム、活性炭に担持されたパラジウム、アルミナに担持されたパラジウム、白金、活性炭に担持された白金、ルテニウム、ロジウム及びラネーニッケルからなる群から選択される触媒の存在下で実行される。
【0125】
水素化に使用される溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、塩化メチレン、塩化エチレン又はそれらの混合物から選択され、好ましくはメタノールである。
【0126】
この水素の供給源は、水素ガスである。還元反応は、約25psi〜約80psi、好ましくは約55psi〜約60psiの範囲の水素ガス圧で実行される。
【0127】
あるいはこの還元は、有機還元により実行されることができる。有機還元は、化合物(6)を、トリアルキルシラン、好ましくはトリエチルシランにより処理することにより、実行され得る。
【0128】
好適には還元に使用される溶媒は、キシレン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン又はそれらの混合物などの非極性溶媒であり、最も好ましくはトルエンである。
【0129】
有機還元は、-20℃から溶媒の還流温度までの温度範囲内で実行される。
【0130】
Z'がベンジル基であるある実施態様において、式(6)の化合物は、最初に有機還元により原位置で還元され、化合物(7)が得られ、これは更に触媒的水素化を受け、ナラトリプタンが得られる。
【0131】
当業者は、高い収量及び純度のゾルミトリプタン、スマトリプタン、エレトリプタン、アビトリプタン及びリザトリプタンなどの他のトリプタン類の合成のために、本発明の教示を効率よく使用することができる。
【0132】
ここで本発明は、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するものではない下記実施例に関連して更に例示される。
【実施例】
【0133】
(実施例1:2-(4-アミノ-3-ヨード-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化27】

ジクロロメタン(1000ml)中の2-(4-アミノフェニル)エタンスルホン酸メチルアミド(100g)の溶液を調製し、かつ10%炭酸水素ナトリウム溶液(1000ml)を25℃で添加し、二相性反応塊(reaction mass)を得た。ヨウ素結晶を、温度を30℃未満に維持しながらゆっくり添加した。この混合液を25℃で約60分間激しく攪拌し、10〜15℃まで冷却した。この混合液中の過剰なヨウ素内容物を、飽和メタ重亜硫酸ナトリウム溶液で中和し、真空蒸留に供した。そうして得られた残渣を、ヘプタンと共に激しく攪拌し、表題化合物を生じた(収量:150g、HPLC純度:99.9%)。
【0134】
(実施例2:N-[2-ヨード-4-(2-メチルスルファモイル-エチル)-フェニル]-アセトアミドの調製)
【化28】

ジクロロメタン(1500ml)中の2-(4-アミノ-3-ヨード-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミド(150g)の溶液を調製した。ジクロロメタン中の無水酢酸の50%溶液(600ml)を、25℃で添加した。この反応塊を約90分間攪拌し、かつ層を分離した。有機層を水で洗浄し、乾燥し、かつ真空下で蒸留し、残渣を得た。残渣をヘプタン(1500ml)で処理し、濾過し、かつ真空下、50〜55℃で乾燥し、表題化合物を得た(収量:162g、HPLC純度:99%)。
【0135】
(実施例3:N-[2-ヨード-4-(2-メチルスルファモイル-エチル)-フェニル]-アセトアミドの調製)
【化29】

ジクロロメタン(500ml)中の2-(4-アミノフェニル)エタンスルホン酸メチルアミド(50g)の溶液へ、10%炭酸水素ナトリウム溶液(500ml)を25℃で添加し、二相性反応塊を得た。ヨウ素結晶を、温度を30℃未満に維持しながらゆっくり添加した。この混合液を25℃で約1時間激しく攪拌し、10〜15℃まで冷却した。この混合液中の過剰なヨウ素内容物を、飽和メタ重亜硫酸ナトリウム溶液で中和し、かつジクロロメタン(750ml)中の2-(4-アミノ-3-ヨード-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミド(75g)の溶液を添加し、引き続き温度を25℃に維持しながら、ジクロロメタン中の無水酢酸の50%溶液(300ml)を滴加した。この反応塊を約90分間攪拌し、層を分離した。有機層を水で洗浄し、乾燥し、かつ真空下で蒸留し、残渣を得た。残渣をヘプタン(500ml)中で攪拌し、濾過し、かつ真空下、50〜55℃で乾燥し、表題化合物を得た(収量:85g、HPLC純度:99%)。
【0136】
(実施例4:2-(4-ベンジルアミノ-3-ヨード-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化30】

無水メタノール(500ml)中の2-(4-アミノ-3-ヨード-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)の溶液へ、メタノール(100ml)中のベンズアルデヒド(46g)の溶液を、温度を30℃未満に維持しながら滴加した。この反応塊を、2〜3時間25℃で攪拌し、かつ水素化ホウ素ナトリウム(12g)を、温度を30℃未満に維持しながら2時間かけて添加した。反応塊を25℃で約2時間攪拌した。メタノールをこの混合物から蒸発させ、水(1000ml)を添加した。この溶液をジクロロメタン(2000ml)で抽出した。有機層を水で洗浄し、真空下で蒸留し、固形物を得た。この固形物をイソプロピルアルコール(500ml)で処理し、濾過し、かつ真空下、50〜55℃で乾燥し、表題化合物を得た(収量:116g、HPLC純度:99%)。
【0137】
(実施例5:N-[4-(2-メチルスルファモイル-エチル)-2-トリメチルシラニルエチニル-フェニル]-アセトアミドの調製)
【化31】

N,N-ジメチルホルムアミド(500ml)中のN-[2-ヨード-4-(2-メチルスルファモイル-エチル)-フェニル]-アセトアミド(100g)の溶液を調製した。この溶液へ、塩化リチウム(49.8g)及びヨウ化銅(48.7g)を25℃で添加した。この反応混合物を30分間攪拌し、薗頭カップリング触媒[テトラキストリフェニルホスホニウムリガンド](1.2g)を添加した。トリエチルアミン中のトリメチルシリルアセチレン(90ml中49ml)の溶液を、この反応塊に25℃で滴加した。この反応塊を30分間攪拌し、10℃まで冷却した。水(250ml)を添加し、反応塊のpHを、50%酢酸溶液により4〜5に調節し、固形物を得た。このようにして得られた固形物を、酢酸エチルにより抽出し、ハイフロ床(hyflo bed)を通して濾過し、かつ真空下で蒸留し、残渣を得た。この残渣を、ヘプタン(500ml)で4〜5時間処理し、濾過し、かつ50〜55℃で、真空下で乾燥し、表題化合物を得た(収量:90g、HPLC純度:95%)。
【0138】
(実施例6:2-(4-ベンジルアミノ-3-トリメチルシラニルエチニル-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化32】

N,N-ジメチルホルムアミド(500ml)中の2-(4-ベンジルアミノ-3-ヨード-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)の溶液を調製した。この溶液へ、塩化リチウム(56.70g)及びヨウ化銅(54.87g)を25℃で添加した。この反応混合物を30分間攪拌し、かつ薗頭カップリング触媒[テトラキストリフェニルホスホニウムリガンド](1.5g)を添加した。トリエチルアミン中のトリメチルシリルアセチレン(105ml中56ml)の溶液を、この反応塊に25℃で滴加した。この反応塊を30分間攪拌し、10℃まで冷却した。水(500ml)を添加し、反応塊のpHを、50%酢酸溶液により4〜5に調節し、固形物を得た。このようにして得られた固形物を、酢酸エチルにより抽出し、ハイフロ床を通して濾過し、かつ真空下で蒸留し、残渣を得た。この残渣を、ヘプタン(1000ml)で4〜5時間処理し、濾過し、かつ50〜55℃で、真空下で乾燥し、表題化合物を得た(収量:82g、HPLC純度:97%)。
【0139】
(実施例7:N-[2-エチニル-4-(2-メチルスルファモイル-エチル)-フェニル]-アセトアミドの調製)
【化33】

N-[4-(2-メチルスルファモイル-エチル)-2-トリメチルシラニルエチニル-フェニル]-アセトアミド(100g)を、エタノール(1000ml)中に25℃で溶解し、15〜20℃まで冷却した。水酸化カリウム(20g)を、温度を25℃未満に維持しながらゆっくり添加し、2〜3時間攪拌し、かつ10〜15℃まで冷却した。この反応混合物のpHを、10%希HClにより5に調節し、真空下、40℃未満で濃縮し、残渣を得た。この残渣を水(250ml)に溶解し、かつジクロロメタン(2000ml)で抽出した。有機層を水で洗浄し、真空下で濃縮し、残渣を得た。この残渣をヘプタン(200ml)で処理し、固形物を得、これを濾過し、かつ真空下、50〜55℃で12時間乾燥した(収量:70g、HPLC純度:99%)。
【0140】
(実施例8:2-(4-ベンジルアミノ-3-エチニル-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化34】

2-(4-ベンジルアミノ-3-トリメチルシラニルエチニル-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)を、25℃でエタノール(1000ml)中に溶解し、かつ15〜20℃まで冷却した。水酸化カリウム(20g)を、温度を25℃未満に維持しながらゆっくり添加し、2〜3時間攪拌し、かつ10〜15℃まで冷却した。この反応混合物のpHを、10%希HClにより5に調節し、真空下、40℃未満で濃縮し、残渣を得た。この残渣を水(300ml)に溶解し、かつジクロロメタン(2500ml)で抽出した。有機層を水で洗浄し、真空下で濃縮し、残渣を得た。この残渣をヘプタン(400ml)で処理し、固形物を得、これを濾過し、かつ真空下、50〜55℃で12時間乾燥した(収量:75g、HPLC純度:98%)。
【0141】
(実施例9:2-(1H-インドール-5-イル)-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化35】

N-[2-エチニル-4-(2-メチルスルファモイル-エチル)-フェニル]-アセトアミド(100g)を、N-メチルピロリドン(900ml)中に25℃で溶解した。カリウムtert-ブトキシド(60g)を添加し、かつ反応塊を80〜85℃で120〜150分間加熱した。この反応塊を、25℃まで徐々に冷却し、水(3000ml)を添加し、30分間攪拌した。この溶液を、酢酸エチル(2000ml)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、かつ真空下で蒸留し、残渣を得た。残渣を、ヘプタン(300ml)で処理し、固形物を得、これを濾過し、ヘプタンで洗浄し、かつ50〜55℃、真空下で乾燥し、表題化合物を得た(収量:84g、HPLC純度:98%)。
【0142】
(実施例10:2-(1-ベンジル-1H-インドール-5-イル)-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化36】

2-(4-ベンジルアミノ-3-エチニル-フェニル)-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)を、N-メチルピロリドン(1500ml)中に25℃で溶解した。カリウムtert-ブトキシド(67g)を添加し、かつこの反応塊を80〜85℃で120〜150分間加熱した。反応塊を25℃まで徐々に冷却し、水(3500ml)を添加し、かつ30分間攪拌した。この溶液を、酢酸エチル(4000ml)で抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で蒸留し、残渣を得た。残渣をヘプタン(500ml)で処理し、固形物を得、これを濾過し、ヘプタンで洗浄し、50〜55℃、真空下で乾燥し、表題化合物を得た(収量:76g、HPLC純度:98%)。
【0143】
(実施例11:2-(1H-インドール-5-イル)-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化37】

N-[4-(2-メチルスルファモイル-エチル)-2-トリメチルシラニルエチニル-フェニル]-アセトアミド(100g)を、N-メチルピロリドン(900ml)中に、25℃で不活性雰囲気下で溶解した。カリウムtert-ブトキシド(49g)を添加し、80〜85℃で120〜150分間加熱した。反応塊を25℃まで徐々に冷却し、水(3000ml)を添加し、かつ30分間攪拌した。この溶液を、酢酸エチル(2000ml)で抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空蒸留し、残渣を得た。残渣をヘプタン(300ml)で処理し、固形物を得た。固形物を濾過し、ヘプタンで洗浄し、50〜55℃、真空下で乾燥し、表題化合物を得た(収量:74g、HPLC純度:98%)。
【0144】
(実施例12:2-[3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化38】

2-(1H-インドール-5-イル)-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)を、メタノール(1000ml)中に溶解し、かつこれにN-メチル-4-ピペリドン(200ml)を25℃で添加した。この反応塊を15分間攪拌し、かつ水酸化カリウム(300g)を25℃で添加した。この反応塊を60〜65℃で8時間加熱し、25℃まで徐々に冷却した。水(1500ml)をゆっくり添加し、かつこの混合物を、固形物が得られるまで攪拌した。この固形物を濾過し、かつ50〜55℃、真空下で乾燥し、表題化合物を得た(収量:80g、HPLC純度:99%)。
【0145】
(実施例13:2-[3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化39】

2-(1H-インドール-5-イル)-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)を、エタノール(1000ml)中に溶解し、かつこれにN-メチル-4-ピペリドン(200ml)を25℃で添加し、かつエタノール中のトリフルオロ酢酸(100ml中10ml)の溶液を1時間かけて添加した。この反応塊を18〜24時間還流し、40℃まで冷却した。反応塊を真空下で濃縮し、残渣を得、かつ水(1500ml)を添加した。この混合物を10〜15℃まで冷却し、この反応塊のpHを5%炭酸水素ナトリウム溶液を用い8に調節し、かつ攪拌した。得られた固形物を濾過し、50〜55℃、真空下で乾燥し、表題化合物を得た(収量:93g、HPLC純度:99%)。
【0146】
(実施例14:2-[1-ベンジル-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミドの調節)
【化40】

2-(1-ベンジル-1H-インドール-5-イル)-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)を、メタノール(1000ml)中に溶解し、かつこれにN-メチル-4-ピペリドン(100ml)を25℃で添加した。この反応塊を15分間攪拌し、水酸化カリウム(200g)を25℃で添加した。反応塊を60〜65℃で8時間加熱し、かつ25℃まで徐々に冷却した。水(2500ml)をゆっくり添加し、この混合物を、固形物が得られるまで攪拌した。固形物を濾過し、50〜55℃、真空下で乾燥し、表題化合物を得た(収量:98g、HPLC純度:99%)。
【0147】
(実施例15:2-[3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(ナラトリプタン)の調製)
【化41】

酢酸(1500ml)中の2-[3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)の溶液を調製し、かつ50%含水のチャコールに担持された10%パラジウム(5g)を、水素化容器内で、25℃で攪拌しながら添加した。この水素化容器を真空で排気し、25℃で水素圧28〜42psiを、水素の取込みがゼロに静まるまで適用した。この反応塊を、不活性雰囲気下で濾過し、かつ濾液を真空蒸留に供し、残渣を得、これを水(1000ml)中に溶解した。この溶液を酢酸エチル(900ml)で洗浄し、層を分離した。水層を10℃まで冷却し、液体アンモニアでpH7.5〜8.5まで塩基性化した。水層を、酢酸エチル(2000ml)で抽出し、濾過し、その最初の総容積の半量まで真空下で蒸留し、かつ25℃まで徐々に冷却し、固形物を得た。この固形物を濾過し、真空下、40〜50℃で12時間乾燥し、表題化合物を得た (収量:82g、HPLC純度:99%)。
【0148】
(実施例16:2-[3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(ナラトリプタン)の調製)
【化42】

ジクロロメタン(1000ml)中の2-[3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)の溶液を調製した。トリフルオロ酢酸(10ml)を、25℃で攪拌しながら添加し、かつ10分間攪拌した。個別に調製したジクロロメタン中のトリエチルシラン(250ml中200ml)の溶液を、30℃未満で、3〜4時間かけて添加した。この反応塊を、25℃で一晩攪拌し、かつ10〜15℃まで冷却した。5%炭酸水素塩水溶液を滴加した。この有機層を水で洗浄し、蒸発させ、残渣を得た。そのようにして得られた残渣を、酢酸エチル(700ml)中に摩砕し、固形物を得、これを濾過し、かつ真空下、40〜50℃で12時間乾燥し、表題化合物を得た(収量:79g、HPLC純度:99%)。
【0149】
(実施例17:2-[1-ベンジル-3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミドの調製)
【化43】

ジクロロメタン(1000ml)の2-[1-ベンジル-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)の溶液を調製した後、25℃で攪拌しながら、トリフルオロ酢酸(10ml)を添加した。この反応塊を10分間攪拌し、個別に調製したジクロロメタン中のトリエチルシラン(250ml中200ml)の溶液を、30℃未満で、3〜4時間かけて添加した。この反応塊を、25℃で一晩攪拌し、かつ10〜15℃まで冷却した。5%炭酸水素塩水溶液を滴加した。この有機層を水で洗浄し、蒸発させ、残渣を得た。そのようにして得られた残渣を、酢酸エチル(1000ml)中に摩砕し、固形物を得、これを濾過し、かつ真空下、40〜50℃で12時間乾燥し、表題化合物を得た(収量:85g、HPLC純度:99%)。
【0150】
(実施例18:2-[3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(ナラトリプタン)の調製)
【化44】

酢酸 (3000ml)中の2-[1-ベンジル-3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)の溶液を調製し、かつ50%含水のチャコールに担持された10%パラジウム(5g)を、水素化容器内で、25℃で攪拌しながら添加した。この水素化容器を真空で排気し、25℃で水素圧14psiを、水素の取込みがゼロに静まるまで適用した。この反応塊を、不活性雰囲気下で濾過し、かつ濾液を真空蒸留に供し、残渣を得、これを水(3000ml)中に溶解した。この溶液を酢酸エチル(1500ml)で洗浄し、層を分離した。水層を10℃まで冷却し、液体アンモニアでpH7.5〜8.5まで塩基性化した。水層を、酢酸エチル(3500ml)で抽出し、かつ10℃まで冷却し、液体アンモニアでpH7.5〜8.5まで塩基性化した。水層を、酢酸エチル(3500ml)で抽出し、濾過し、その最初の総容積の半量まで真空蒸留した。25℃まで徐々に冷却し、固形物を得、これを濾過し、真空下で40〜50℃で12時間乾燥し、表題化合物を得た(収量:70g、HPLC純度:98%)。
【0151】
(実施例19:2-[3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(ナラトリプタン)の調製)
【化45】

エタノール(3000ml)中の2-[1-ベンジル-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(100g)の溶液を調製し、かつ50%含水のチャコールに担持された10%パラジウム(5g)を、25℃で攪拌しながら添加し、引き続きトリエチルシラン(450ml)を30℃未満で3〜4時間かけてゆっくり添加した。この反応塊を、25℃で一晩攪拌し、かつ不活性雰囲気下で濾過した。濾液を、残渣を得るために真空蒸留に供し、この残渣を水(2000ml)で処理し、10〜15℃に冷却した。この反応塊のpHを、5%希塩酸を用い1に調節し、透明な溶液を得た。この溶液を酢酸エチル(500ml)で洗浄した。水層を10℃に冷却し、液体アンモニアでpH7.5〜8.5まで塩基性化した。水層を、酢酸エチル(1500ml)で抽出し、濾過し、その最初の総容積の半量まで真空下で蒸留し、かつ25℃まで徐々に冷却し、固形物を得た。この固形物を濾過し、真空下で40〜50℃で12時間乾燥し、表題化合物を得た(収量:60g, HPLC純度:99%)。
【0152】
(実施例20:2-[3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド塩酸塩(ナラトリプタン塩酸塩)の調製)
【化46】

2-[3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド(ナラトリプタン塩基)(100g)を、メタノール(1500ml)中に、攪拌しながら30分間かけて溶解し、透明な溶液を得た。この反応塊を5〜10℃に冷却し、かつ20%塩酸水溶液を、反応塊のpHを1.0に調節するまで添加した。反応塊の温度を25℃に上昇し、かつ濾過した。この固形物を、真空チャンバー内、50〜55℃で乾燥し、表題化合物を得た(収量:90g、HPLC純度:99.69%)。
【0153】
(実施例21:2-[3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド塩酸塩(ナラトリプタン塩酸塩)の調製)
【化47】

2-[3-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1H-インドール-5-イル]-エタンスルホン酸メチルアミド、すなわち(ナラトリプタン塩基)(100g)を、アセトン(1000ml)中に、30分間攪拌しながら溶解し、透明な溶液を得た。この反応塊を5〜10℃に冷却し、かつ20%IPA-HCl溶液で、反応塊のpHを1.0に調節した。反応塊の温度を25℃に上昇し、かつ濾過した。この固形物を、真空チャンバー内、50〜55℃で乾燥し、表題化合物を得た(収量:95g、HPLC純度:99.56%)。
【0154】
本発明は、添付された請求項の範囲内で変更され得ることは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナラトリプタンの製造方法であって、(a)式(3)の化合物を、式HCCRの化合物と反応させ、式(4)の化合物を得る工程:
【化1】

(式中、Zは保護基であり、Yは脱離基であり、かつRは、トリアルキルシリル基、トリアルキルスタンニル基又はハロゲン化亜鉛(II)である。);
(b)式(4)の化合物を、式(5)の化合物へ変換する工程:
【化2】

(式中、Z'は水素又はベンジル基である。);
(c)式(5)の化合物をナラトリプタンへ変換する工程;並びに
(d)任意にナラトリプタンをその塩に変換する工程:
【化3】

を含む、前記製造方法。
【請求項2】
前記化合物HCCRが、エチル(エチニル)ジメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、トリエチル(エチニル)シラン、ジエチル(エチニル)メチルシラン、エチル(エチニル)ジメチルスタンナン、ジエチル(エチニル)メチルスタンナン、(エチニル)トリメチルスタンナン及びハロゲン化エチニル亜鉛(II)からなる群から選択される、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記Zが、アセチル、トリフルオロアセチル、BOC、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル及びベンジルからなる群から選択される、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
前記Yが、クロロ、ブロモ、ヨード、OTf(トリフラート)及びOTs(トシラート)からなる群から選択される、請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程(a)が、パラジウム-ホスフィン錯体の存在下、並びに任意にハロゲン化銅(I)及びハロゲン化リチウムの存在下で実行される、請求項1〜4のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項6】
前記Pd-ホスフィン錯体が、テトラキストリフェニルホスフィンPd(0)である、請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
前記Zが、ベンジル以外の保護基であり、Z'が水素であり、かつ化合物(4)の化合物(5)への変換が、基Zの脱保護及び環化を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項8】
前記脱保護が、テトラブチルアンモニウムハライド、又は酢酸、トリフルオロ酢酸、希硫酸、希塩酸及び希硝酸から選択された酸を使用し実行される、請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
前記化合物(4)の化合物(5)への変換が、塩基及び溶媒の存在下での、化合物(4)の環化を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項10】
前記化合物(5)のナラトリプタンへの変換が、化合物(5)をN-メチル-4-ピペリドンと反応させ、式(6)の化合物を形成すること、及び化合物(6)をナラトリプタンへ変換することを含む、請求項1〜9のいずれか一項記載の製造方法:
【化4】


【請求項11】
前記Z'が水素であり、かつ化合物(6)のナラトリプタンへの変換が、パラジウム、水酸化パラジウム、活性炭に担持されたパラジウム、アルミナに担持されたパラジウム、白金、活性炭に担持された白金、ルテニウム、ロジウム及びラネーニッケルからなる群から選択される触媒の存在下での、触媒的水素化を含む、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
前記Z'が水素であり、かつ化合物(6)のナラトリプタンへの変換が、有機還元を含む、請求項10記載の製造方法。
【請求項13】
前記有機還元が、トリアルキルシラン、好ましくはトリエチルシランを使用し実行される、請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
前記Z'がベンジルであり、かつ化合物(6)のナラトリプタンへの変換が有機還元を含む、請求項10記載の製造方法。
【請求項15】
前記化合物(6)が、最初に有機還元により原位置で還元され、化合物(7)を得、これが更に触媒的水素化を受け、ナラトリプタンを得る、請求項14記載の製造方法:
【化5】


【請求項16】
式(3)の化合物:
【化6】

(式中、Zは、アセチル、トリフルオロアセチル、BOC、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル及びベンジルからなる群から選択され、かつYは、クロロ、ブロモ、ヨード、OTf(トリフラート)及びOTs(トシラート)からなる群から選択される。)。
【請求項17】
前記Yがヨードである、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
式(4)の化合物:
【化7】

(式中、Zは、アセチル、トリフルオロアセチル、BOC、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル及びベンジルからなる群から選択され、かつRは、トリメチルシリル、-Sn(Bu)3又は-ZnBrからなる群から選択される。)。
【請求項19】
前記Zがベンジルである、請求項16、17又は18記載の化合物。
【請求項20】
式(2)の化合物を、保護基Zに対応するN-保護剤と反応させる工程を含む、式(3)の化合物の製造方法:
【化8】


【請求項21】
前記N-保護剤が、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロアセチルクロライド、BOC-無水物、ベンジルオキシカルボニルクロライド、塩化ベンゾイル、及び任意に置換された塩化ベンジルからなる群から選択される、請求項20記載の製造方法。
【請求項22】
請求項1〜15のいずれか一項記載の方法により製造された、ナラトリプタン又はその塩。
【請求項23】
医薬品において使用するための、請求項22記載のナラトリプタン又はその塩。
【請求項24】
片頭痛又は群発性頭痛の治療のための医薬品の製造において使用するための、請求項22記載のナラトリプタン又はその塩の使用。
【請求項25】
請求項22記載のナラトリプタン又はその塩を患者へ投与することを含む、治療を必要とする患者における片頭痛又は群発性頭痛の治療方法。
【請求項26】
実質的に本明細書において実施例を参照し説明される、ナラトリプタン又はその塩。
【請求項27】
実質的に本明細書において実施例を参照し説明される、化合物(3)。
【請求項28】
実質的に本明細書において実施例を参照し説明される、化合物(4)。

【公表番号】特表2013−502401(P2013−502401A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525200(P2012−525200)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001562
【国際公開番号】WO2011/021000
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(511109180)シプラ・リミテッド (17)
【Fターム(参考)】