説明

ナースコール子機

【課題】 押しボタン式ナースコール子機を操作することができないような患者が、寝返りなどにより姿勢が変わっても、医療従事者を容易に呼び出すことができるようにする。
【解決手段】 患者の胸部付近に配置されたエアマットセンサ12は、患者の呼吸量および呼吸間隔を検知する。分析部13は、エアマットセンサ12から出力された電気信号から患者の呼吸パターンを分析する。判定部15は、分析部13にて分析した患者の呼吸パターンと記憶部14に予め記憶されている患者の安静時の呼吸パターンとが類似しているか否かの判定を行う。それらが類似していないと判定部15にて判断した場合には、子機用制御部11は、ナースコール親機20へ呼出信号を出力する。これにより、患者が意図的に呼吸パターンを変えたり患者の状態が悪化して呼吸パターンに変化が生じたりすることで、患者は医療従事者を呼び出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院などで看護師などの医療従事者を呼び出すために患者が使用するナースコール子機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナースコールシステムでは、病室内の患者の近辺(例えば、ベッド近傍など)に設置されたナースコール子機および医療従事者のいる部屋(例えば、スタッフルームなど)に設置されたナースコール親機を有線や無線などにより接続している。
【0003】
通常、ナースコールシステムでは、ナースコール子機は、医療従事者を呼び出すための呼出ボタンを備えている。患者が呼出ボタンを押下すると、ナースコール子機は、ナースコール親機に対して呼出動作を行うようにしている。また、このような呼出ボタンを押下して医療従事者を呼び出すナースコール子機(以下、押しボタン式ナースコール子機とする)を操作することができない患者が、センサを内蔵したナースコール子機に息を吹きかけることにより医療従事者を呼び出すナースコールシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載のナースコールシステムでは、ナースコール子機は、センサとして機能するマイクロホンを備えている。患者がナースコール子機のマイクロホンの集音部分に息を吹きかけると、患者の呼気は、マイクロホンにより集音されて入力音声信号に変換される。そして、入力音声信号の入力レベルが所定のレベルを超えた場合に、ナースコール子機は、ナースコール親機に対して呼出動作を行うようにしている。
【特許文献1】特開2006−75333号公報
【0004】
ところで、特許文献1に記載のナースコールシステムを使用して、患者がナースコール子機に息を吹きかけて呼び出すようにするには、患者が息を吹きかけやすい位置にナースコール子機を固定する必要がある。しかしながら、寝返りなどにより患者の姿勢が変わって、患者が息を吹きかける位置と固定されたナースコール子機の位置とがずれてしまうと、ナースコール子機に息を吹きかける場合に、患者は、息が当たる位置まで体を動かさなければならなかった。また、体を動かす代わりに、患者は、息が当たる位置までナースコール子機を移動させなければならなかった。しかし、このタイプのナースコール子機を使用する患者の多くは、手を動かすことが困難であるため、自分でナースコール子機を移動させることができなかった。そのため、実際には、医療従事者などがナースコール子機を移動させていた。このことから、寝返りなどにより患者の姿勢が変わって、患者が息を吹きかける位置とナースコール子機の位置とにずれが生じると、患者は、ナースコール子機を使用することができなくなり、医療従事者を呼び出すことができなくなってしまうという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、押しボタン式ナースコール子機を操作することができず手を動かすことも困難な患者が、寝返りなどにより姿勢を変えても、医療従事者を容易に呼び出すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のナースコール子機では、患者の胸部の下付近とベッドとの間に患者の呼吸量および呼吸間隔を検知するセンサを備える。このセンサにより検知した患者の呼吸量および呼吸間隔から患者の呼吸パターンを分析し、記憶部に予め記憶されている安静時の呼吸パターンと類似しているか否かの判定を行って、患者の呼吸パターンと安静時の呼吸パターンとが類似していないと判断した場合には、医療従事者を呼び出すための呼出信号を出力するようにしている。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、安静時と異なる呼吸パターンをセンサが検知した場合に呼出信号が出力されるので、患者が意図的に呼吸パターンを変えたり、患者の状態が悪化して呼吸パターンに変化が生じたりすることで、患者は医療従事者を呼び出すことができる。これにより、手を動かすことが困難な患者でも医療従事者を呼び出すことができる。また、センサは、患者の胸部付近に配置されているので、センサが患者の呼吸量および呼吸間隔を検知することができる場所に設置されていれば、患者がベッド上のどの位置に居ても呼吸パターンを分析することができる。これにより、患者の姿勢が変わっても医療従事者を呼び出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態によるナースコール子機10を含むナースコールシステムのブロック図を図1に示す。同図に示すように、ナースコールシステムは、ナースコール子機10、ナースコール親機20を備えて構成されている。
【0009】
また、ナースコール子機10は、子機本体17、エアマットセンサ12(特許請求の範囲のセンサに該当)を備えている。また、子機本体17は、子機用制御部11(特許請求の範囲の制御部に該当)、分析部13、記憶部14、判定部15、子機用インタフェース(以下、I/Fとする)部16を備えている。また、ナースコール親機20は、親機用制御部21、報知部22、親機用インタフェース(以下、I/Fとする)部23を備えている。
【0010】
図1において、子機本体17は、病室の患者の近辺に設置されており、伝送線を介してエアマットセンサ12に接続されている。また、ナースコール子機10は、伝送線を介してナースコール親機20に接続されている。また、ナースコール親機20は、医療従事者の居る部屋(例えば、スタッフルームなど)に設置されており、患者Pからの呼び出しに応答するためのものである。ここで、ナースコール親機20には、複数のナースコール子機10が接続されている。また、ナースコール子機10とナースコール親機20との間には、図示しない廊下灯が設置されている。廊下灯は、自装置に設けた表示灯を点灯または点滅させ、ナースコール子機10による呼び出しを報知する。
【0011】
子機用制御部11は、ナースコール子機10の各構成要素を後述するように制御する。また、子機用制御部11は、医療従事者を呼び出すための呼出信号を生成し、出力する。図2は、エアマットセンサ12の配置例および構成例を示す図である。エアマットセンサ12は、図2(a)に示すように、患者PとベッドBとの間に配置される。また、エアマットセンサ12は、患者Pの胸部付近を中心にベッドBの幅方向に広がるように配置されている。そのため、エアマットセンサ12は、寝返りなどにより患者Pの姿勢が変わっても患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知することができる。
【0012】
また、エアマットセンサ12は、患者Pの呼吸により発生した振動から患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知する。具体的には図2(b)に示すように、エアマットセンサ12は、エアマット121、マイクロホン122a、122bを備えている。また、エアマット121とマイクロホン122a、122bとは、通気管123a、123bと通気弁124a、124bとを介して接続されている。エアマット121は、患者Pの呼吸により発生した振動により、エアマット121の内部へ空気の出し入れを行う。また、マイクロホン122a、122bは、通気管123a、123bの途中に配置され、空気が通気管123a、123bを通ることによって生成される音を集めて電気信号に変換する。また、通気弁124a、124bは、エアマット121と通気管123a、123bとの間に配置され、通気管123a、123bを通る空気の逆流を防ぐ。また、通気弁124aは、通気管123aからエアマット121へ流れる空気のみを通し、エアマット121から通気管123aへ空気が逆流することを防ぐ。また、通気弁124bは、エアマット121から通気管123bへ流れる空気のみを通し、通気管123bからエアマット121へ空気が逆流することを防ぐ。
【0013】
患者Pが息を吸った場合に、エアマット121は、エアマット121の上部から圧力を受け、エアマット121の内部に入っている空気を外部へ排出する。その際、通気弁124aが空気の逆流を遮断しているので、エアマット121の内部の空気は、通気管123aから外部へ排出されない。一方、通気弁124bが空気を通しているので、エアマット121の内部の空気は、通気管123bから外部へ排出される。通気管123bに空気が流れた場合に、マイクロホン122bは、通気管123bに流れる空気の音を集めて、電気信号に変換する。マイクロホン122bは、患者Pが息を吸った場合の検知結果として、変換した電気信号を子機用制御部11に出力する。また、患者Pが息を吐いた場合に、エアマット121の上部に受けていた圧力が緩和され、エアマット121は、自身の反発力により圧力がかかっていない状態に戻ろうとするため、エアマット121の内部へ外部の空気を吸い込む。その際、通気弁124bが空気の逆流を遮断しているので、外部の空気は、通気管123bからは吸い込まれない。一方、通気弁124aが空気を通しているので、外部の空気は、通気管123aからは吸い込まれる。通気管123aに空気が流れた場合に、マイクロホン122aは、通気管123aに流れる空気の音を集めて、電気信号に変換する。マイクロホン122aは、患者Pが息を吐いた場合の検知結果として、変換した電気信号を子機用制御部11に出力する。
【0014】
分析部13は、エアマットセンサ12から出力された電気信号を入力し、この電気信号から呼吸に対応する周波数を分離して、この周波数を基に呼吸パターンを分析する。図3は、呼吸パターンの一例を示す図である。図3(a)に示す呼吸パターンWは、分析部13にて分析されたものである。呼吸パターンWは、波形を形成しており、縦軸に呼吸の深さd、横軸に時間tを取っている。患者Pが息を吸うと、呼吸パターンWの波形は、上方向へ傾き、息を吸い終わった時点で上方向の頂点(以下、上限値とする)に至る。患者Pが息を吐くと、呼吸パターンWの波形は、下方向へ傾き、息を吐き終わった時点で下方向の頂点(下限値とする)に至る。患者Pが再び息を吸うと、呼吸パターンWの波形は、上方向へ傾く。患者Pが呼吸を繰り返し行うことにより、呼吸パターンWの波形は形成される。1回の呼吸K1は、呼吸パターンWの波形の上限値と下限値との組み合わせで構成され、下限値から上限値を経て再び下限値に至るまでの呼吸パターンWの波形で示される。ある一定の時間T1を区切り、一定の時間T1における呼吸K1の数を呼吸数Knとする。また、一定の時間T1における各上限値の平均値と各下限値の平均値とから、一定の時間T1における呼吸量V1が得られる。
【0015】
また、一定の時間T1の間、患者Pが大きな呼吸を行うと、呼吸パターンWの波形の上限値と下限値との差は大きくなる。一方、一定の時間T1の間、患者Pが小さな呼吸を行うと、呼吸パターンWの波形の上限値と下限値との差は小さくなる。また、一定の時間T1における1回の呼吸K1の数が多くなるように患者Pが速い呼吸を行うと、呼吸パターンWの波形の間隔が短くなる。一方、一定の時間T1における1回の呼吸K1の数が少なくなるように患者Pがゆっくりとした呼吸を行うと、呼吸パターンWの波形の間隔が長くなる。例えば、患者Pが意図的に呼吸を荒くする、または、呼吸を緩やかにすると、分析部13は、呼吸パターンWの波形に対して異なる呼吸パターンの波形であると分析する。
【0016】
記憶部14は、患者Pが安静時に行う呼吸を安静時の呼吸パターンとして予め記憶しておく。図3(b)は、記憶部14に記憶されている安静時の呼吸パターンを示す図である。安静時の呼吸パターンW’は、患者Pが安静にしているときに、エアマットセンサ12によって検知された患者Pの呼吸量および呼吸間隔の測定値である電気信号を分析部13にて分析したものである。安静時の呼吸パターンW’は、図3(a)の呼吸パターンWと同様に、波形を形成し、縦軸に呼吸の深さd、横軸に時間tを取っている。また、安静時の1回の呼吸K1’は、安静時の呼吸パターンW’の波形の上限値と下限値との組み合わせで構成され、下限値から上限値を経て再び下限値に至るまでの安静時の呼吸パターンW’の波形で示される。また、一定の時間T1における安静時の呼吸K1’の数を呼吸数Kn’とする。また、一定の時間T1における各上限値の平均値と各下限値の平均値とから、一定の時間T1における安静時の呼吸量V1’が得られる。
【0017】
判定部15は、分析部13にて分析した患者Pの呼吸パターンWと記憶部14に予め記憶されている患者Pの安静時の呼吸パターンW’とを比較し、それらの呼吸パターンW、W’が類似しているか否かの判定を行う。分析部13にて分析した呼吸パターンWと記憶部14に予め記憶されている患者Pの安静時の呼吸パターンW’とが類似していると判定部15にて判断した場合には、子機用制御部11は、エアマットセンサ12を引き続き制御して、エアマットセンサ12で検知した患者Pの呼吸量および呼吸間隔を電気信号に変換する。また、子機用制御部11は、分析部13を引き続き制御して、電気信号から分離した周波数を基に呼吸パターンを分析する。また、子機用制御部11は、判定部15を引き続き制御して、分析部13にて分析した患者Pの呼吸パターンWと記憶部に14に予め記憶されている患者Pの安静時の呼吸パターンW’とが類似しているか否かの判定を行う。一方、分析部13にて分析した患者Pの呼吸パターンWと記憶部14に予め記憶されている患者Pの安静時の呼吸パターンW’とが類似していないと判定部15にて判断した場合には、子機用制御部11は、医療従事者を呼び出すための呼出信号を生成する。子機用I/F部16は、ナースコール子機10がナースコール親機20との間で通信するために、親機用I/F部23に接続されている。子機用制御部11は、生成した呼出信号をナースコール親機20へ子機用I/F部16により出力する。
【0018】
ここで、判定部15は、(a)分析部13にて分析した呼吸パターンWから得た一定の時間T1における呼吸数Knと、記憶部14に予め記憶されている患者Pの安静時の呼吸パターンW’から得た一定の時間T1における呼吸数Kn’との差が予め設定された範囲内であるか否か、(b)分析部13にて分析した呼吸パターンWから得た一定の時間T1における呼吸量V1と、記憶部14に予め記憶されている患者Pの安静時の呼吸パターンW’から得た一定の時間T1における呼吸量V1’との差が予め設定された範囲内であるか否か、という2つの比較項目を使用する。2つの比較項目において、両方とも予め設定された範囲内であると判定部15にて判断した場合に、判定部15は、分析部13が分析した患者Pの呼吸パターンWと記憶部14に記憶した患者Pの安静時の呼吸パターンW’とが類似していると判断する。一方、2つの比較項目において、どちらか一方が予め設定された範囲内でないと判定部15にて判断した場合に、判定部15は、分析部13が分析した患者Pの呼吸パターンWと記憶部14に記憶した患者Pの安静時の呼吸パターンW’とが類似していないと判断する。
【0019】
親機用制御部21は、ナースコール親機20の各構成要素を後述するように制御する。また、親機用制御部21は、ナースコール子機10から出力された呼出信号を親機用I/F部23により受信する。親機用I/F部23は、ナースコール親機20がナースコール子機10との間で通信するために、子機用I/F部16に接続されている。報知部22は、スピーカや表示ディスプレイ、表示灯などにより構成されている。ナースコール子機10から呼び出しがあると、換言すると、ナースコール子機10から出力された呼出信号を受信したと親機用制御部21にて判断した場合には、報知部22は、スピーカから呼び出し音を出力したり、表示ディスプレイに呼び出し表示を行ったり、表示灯を点灯または点滅させたりして呼び出しを報知する。
【0020】
本実施形態によるナースコール子機10を含むナースコールシステムがこのような動作をすることにより、患者Pが意図的に呼吸に変化を付けることで、ナースコール子機10は、医療従事者を容易に呼び出すことができる。また、患者Pの状態が悪化して呼吸パターンに変化が生じた場合でも、ナースコール子機10は、医療従事者を呼び出すことができる。
【0021】
以上詳しく説明したように、本実施形態によるナースコール子機10では、患者Pの胸部付近に配置されたエアマットセンサ12は、患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知する。また、分析部13は、エアマットセンサ12から出力された電気信号から患者Pの呼吸パターンWを分析する。また、判定部15は、分析部13にて分析した患者Pの呼吸パターンWと記憶部14に予め記憶されている患者Pの安静時の呼吸パターンW’とが類似しているか否かの判定を行う。そして、呼吸パターンW、W’が類似していないと判定部15にて判断した場合には、子機用制御部11は、医療従事者を呼び出すための呼出信号をナースコール親機20へ出力する。これにより、患者Pが意図的に呼吸パターンを変えたり、患者Pの状態が悪化して呼吸パターンに変化が生じたりすることで、呼吸パターンW、W’が類似しなくなり、呼出信号がナースコール子機10からナースコール親機20へ出力される。従って、患者Pは医療従事者を呼び出すことができる。これにより、手を動かすことが困難な患者Pでも医療従事者を呼び出すことができる。また、エアマットセンサ12は、患者Pの胸部付近に配置されているので、エアマットセンサ12が患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知することができる場所に設置されていれば、分析部13は、患者PがベッドB上のどの位置に居ても呼吸パターンを分析することができる。従って、患者Pの姿勢が変わっても医療従事者を呼び出すことができる。
【0022】
なお、前述した実施形態では、安静時の呼吸パターンW’は、患者Pが安静にしているときに、エアマットセンサ12によって検知された患者Pの呼吸量および呼吸間隔の測定値である電気信号を基に分析部13にて分析したものであるが、これに限定されない。例えば、医療従事者が図示しない入力部を使用して一定の時間T1あたりの呼吸量V1および呼吸数Knを入力し、これらから患者Pの安静時の呼吸パターンを生成するようにしても良い。
【0023】
また、前述した実施形態では、記憶部14は、患者Pの安静時の呼吸パターンW’を1種類のみ記憶しているがこれに限定されない。例えば、昼間や夜間などの時間帯毎に患者Pの安静時の呼吸パターンW’を複数記憶するようにしても良い。これにより、睡眠などにより患者Pの安静時の呼吸量や呼吸間隔が変わるときでも、それに適した呼吸パターンW’が使用されるので、誤動作が発生する可能性を低くすることができる。
【0024】
また、前述した実施形態では、患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知するためにエアマットセンサ12を使用するようにしているが、これに限定されない。例えば、患者Pの呼吸量および呼吸間隔を患者Pに対して面で検知することができるようなセンサ(例えば、患者Pの呼吸に伴う患者Pの胸部の動きに合わせて高さが変化するマットを患者PとベッドBとの間に配置し、そのマットの高さの変化を検知するセンサなど)を使用するようにしても良い。
【0025】
また、前述した実施形態では、呼吸パターンW、W’が類似していないと判定部15にて判断した場合に、子機用制御部11は、医療従事者を呼び出すための呼出信号をナースコール親機20へ出力するようにしているが、これに限定されない。例えば、エアマットセンサ12が患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知することができない場合に、子機用制御部11は、呼出信号を生成し、出力するようにしても良い。
【0026】
具体的には、患者PがベッドBから転落したり、患者PがベッドBの端の方に居て転落しそうになったり、患者Pの呼吸が停止したりするなど、エアマットセンサ12が患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知できなくなった場合に、分析部13は、入力した電気信号から呼吸に対応する周波数を分離して、この周波数を基に呼吸パターンWを分析する。エアマットセンサ12が患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知しないので、分析した呼吸パターンWは、波形を形成せず、フラットな形状(フラット形)となる。分析した呼吸パターンWがフラット形になると、分析部13は、エアマットセンサ12が患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知しなくなったことを示すエラー信号を生成し出力する。子機用制御部11が分析部13から出力されたエラー信号を入力すると、子機用制御部11は、患者Pに異変が行ったと判断して医療従事者を呼び出すための呼出信号を生成し、ナースコール親機20へ出力する。なお、このような場合において、呼出信号を通常の呼出信号と異なるものとしても良い。
【0027】
これにより、分析部13が患者Pの呼吸パターンWを分析することができない場合には、ナースコール親機20により、呼び出しを示す報知が行われるので、患者PがベッドBから転落したり、患者PがベッドBの端の方に居て転落しそうになったり、患者Pの呼吸が停止したりしても、ナースコール子機10は、医療従事者を呼び出すことができる。
【0028】
また、前述した変形例では、分析部13は、分析した呼吸パターンWがフラット形になることによりエラー信号を生成しているが、これに限定されない。例えば、エアマットセンサ12が、患者Pの呼吸量および呼吸間隔を検知した場合のみ電気信号を出力するようにし、子機用制御部11は、分析部13が一定時間電気信号を入力しなかった場合に呼出信号を生成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態のナースコールシステムのブロック図である。
【図2】エアマットセンサの配置例および構成例を示す図である。
【図3】呼吸パターンの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
10 ナースコール子機
11 子機用制御部
12 エアマットセンサ
121 エアマット
122a、122b マイクロホン
123a、123b 通気管
124a、124b 通気弁
13 分析部
14 記憶部
15 判定部
16 子機用インタフェース(I/F)部
17 子機本体
20 ナースコール親機
21 親機用制御部
22 報知部
23 親機用インタフェース(I/F)部
P 患者
B ベッド
W 呼吸パターン
W’ 安静時の呼吸パターン
d 呼吸の深さ
t 時間
V1 一定の時間あたりの呼吸量
V1’ 一定の時間あたりの呼吸量
K1 1回の呼吸
K1’ 1回の呼吸
T1 一定の時間
Kn 一定の時間あたりの呼吸数
Kn’ 一定の時間あたりの呼吸数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の胸部の下付近と前記患者が使用するベッドとの間に配置され、前記患者の呼吸により発生した振動から前記患者の呼吸量および呼吸間隔を検知するセンサと、
前記センサで検知した前記患者の呼吸量および呼吸間隔から呼吸パターンを分析する分析部と、
前記患者が安静時に行う呼吸を安静時の呼吸パターンとして予め記憶しておく記憶部と、
前記分析部にて分析した呼吸パターンと前記記憶部に記憶されている前記安静時の呼吸パターンとを比較し、それらが類似しているか否かの判定を行う判定部と、
前記呼吸パターンと前記安静時の呼吸パターンとが類似していないと前記判定部にて判断した場合には、医療従事者を呼び出すための呼出信号を生成し、出力する制御部と、
を具備することを特徴とするナースコール子機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−34201(P2009−34201A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199447(P2007−199447)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】