ニコチン含有ソフトゼラチントローチ
ニコチン補充療法のためのソフトトローチが提供される。当該トローチは、ニコチン活性剤が約0.05%から約1%、ゲル化剤が約5%から約40%、可塑剤が約30%から約70%、甘味料が約0.05%から約10%、放出剤が0.5%から約30%、保存料が約0.05%から約2%、香味料が約0.01%から5%、および水が約5%から約20%。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トローチに関するものである。特に、本発明はニコチン置換療法のためのソフトトローチである。
【背景技術】
【0002】
本発明において、ソフトトローチとは、口中に入れたままにしてなめることができる弾力のある製剤を意味する。
【0003】
ニコチンは、ナス科に属する植物に含まれるアルカロイドである。ニコチンは、吸湿性の油性液体であり、その基礎形態において水と混ざる。ニコチンは、光学活性であり、2組のエナンチオマ型を有する。天然型のニコチンは、左旋性である。右旋性((+)ニコチン)は、(−)ニコチンの半分しか生理活性を持たない。従って、同じ効果を得るためには高い用量が必要だという点で、左旋性のものは弱い。ニコチンが身体に入ると、血流を通ってすぐに分布され、血液脳関門を通過することができる。吸入した場合、平均して約10秒でその物質が脳に到達する。体内のニコチンの半減期は、約2時間である。
【0004】
ニコチンは、紙巻きタバコ、葉巻、嗅ぎタバコ、そしてその他ニコチン含有製品に使用されているタバコ中の主要な習慣性成分である。紙巻きタバコ、葉巻、パイプタバコなどのタバコ製品の能動および受動喫煙が、喫煙者および二次喫煙者に対して重大な健康リスクをもたらすことが一般的に知られている。噛みタバコ、吐きタバコ、嗅ぎタバコなどの無煙タバコもまた、使用者に重大な健康リスクをもたらすことが知られている。
【0005】
紙巻きタバコを吸うと、ニコチンは、喫煙者の血中にすぐに吸収され、吸入後約10秒以内で脳に到達する。このニコチンの急速な取り込みは、消費者に素早い満足感または興奮を与える。喫煙の持つ有毒性、中毒性、発癌性、及び習慣性という性質は、喫煙の習慣を断つことに役立つ方法、組成物、および道具を探求するための努力をおこなう動機付けとなった。
【0006】
喫煙者およびその他タバコ使用者はしばしば、この命にかかわる危険性のある習慣をやめようと試みる。タバコ使用者に対する悪影響は良く知られているが、ニコチン依存者のほとんどの人にとって、ニコチン依存を克服することは非常に困難である。なぜ困難かという理由は、非常に習慣性のあるニコチンの性質、および身体の中のニコチンが不足し始めると強いニコチン離脱症状が起こることなどである。ニコチン離脱症状を乗り越えることは、ニコチン依存を克服しようとする人々にとって重大な意味をもつ挑戦である。
【0007】
さまざまなニコチン中断製品や治療法が知られている。しかし多くの場合、ただ単に紙巻きタバコを他のニコチン源に置き換えることは、禁煙治療を確実に成功させるためには不十分である。ニコチン中断製品として、薬用ドロップ、ガム、経皮貼付などがある。薬用ドロップとチューインガムは、ニコチンが口から取り込まれ、経皮貼付治療は、貼付者の皮膚を通してニコチンが体内に取り込まれる。
【0008】
ニコチンポラクリレックスを含むニコチンチューインガムと経皮的ニコチンの2つは、市販のニコチン代替薬のなかでもより人気がある。
【0009】
ニコチンガムは実際はイオン交換樹脂であり、患者が噛むとゆっくりとニコチンを放出し、口中のニコチンは、口腔吸収により体循環に直接送達される。しかしながら、噛み方が不十分であるためにニコチンのほとんどがガム内に残っていたり、飲み込んでしまってほとんど無駄になってしまうため、ガムからのニコチンの絶対生物学的利用能は低く、平均して30−40%にすぎない。
【0010】
さらに、禁煙療法で使用されるニコチン代替品としてのチューインガムや薬用ドロップなどのほとんどの市販製品は、味のマスキングの問題および吐き気や灼熱感などのニコチン摂取の副作用について具体的に対処していない。代わりに、それら製品は血中に安定したベースラインレベルのニコチンを供給することを通常目的としている。
【0011】
既存知識
次の特許/特許出願は、ニコチンを含んでいる組成物を開示している。
アメリカ合衆国特許番号4967773は、少なくとも2つの混合成分の圧縮により形成された薬用ドロップを開示しており、その成分のうちの一つは、乳糖または乳糖を含む物質を含み、もう一つの成分は、ニコチンまたはニコチン誘導体が吸収されたキャリアを含むことにより、薬用ドロップ内でニコチンと乳糖が直接接しないようになっている。
【0012】
GB2230439は、喫煙の代わりに使用する薬用ドロップを開示しており、ニコチンおよび/またはニコチン代替物を含む薬用ドロップコアおよびシェルまたは薬用ドロップコアの周りのコーティングを含む。
【0013】
GB2299756は、アカシアガムまたはゼラチンベースの中にニコチンを含んでいるトローチを開示している。
【0014】
アメリカ合衆国特許番号5488962は、3gの細長い形状のチューインガムを開示しており、ガム各1枚ごとに25wt%までのガムベース、およびガムベースに分散された0.3−0.4mgのニコチンを含む。
【0015】
アメリカ合衆国特許番号6183775は、徐放性の薬用ドロップを開示しており、当該ドロップは以下から成る。(a)50から99%の可溶性賦形剤、(b)ポリアクリル酸塩、エチルセルロース、およびそれらの混合から成るグループより選択される不溶性の皮膜形成剤が0.5から30%、(c)キサンタンガム、グアーガム、セルロース誘導体、およびそれらの混合からなるグループより選択される膨潤性のポリマーが0.5から30%、ならびに(d)ニコチン、塩、またはニコチン誘導体。
【0016】
アメリカ合衆国特許番号680734は、ニコチン、マンニトール、アンモニウム、グリチルリチン塩、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硬化植物油、ステアリン酸マグネシウムから成るニコチンドロップを開示している。
アメリカ合衆国特許番号6344222は、ニコチン成分の全身的な、経口投与のためのチューインガム組成物を開示しており、当該組成物は、a)ニコチン成分、b)ガムベースマトリクス、当該ガムベースマトリクスは、少なくとも1つの親水性ポリマーおよび少なくとも1つの疎水性ポリマーを含む、ならびにc)緩衝剤からなる。
【0017】
US2004151771は、風味付けされた薬用ドロップを開示しており、当該ドロップは、徐放性のエチルセルロースの湿性マトリクス、ならびにエッセンシャルオイル、エッセンシャルオイル成分、およびその混合から選択された香味料から成り、マトリックスは、水性の環境において、少なくとも45分間かけて香味料を徐々に放出する。使用されている活性成分は、ニコチンである。
【0018】
US2005034738は、噛みタバコ代替品を開示しており、当該製品は、タバコでない葉のような物質、アルカリ剤、および経口吸収されるニコチン化合物を含む。使用されているニコチン化合物は、ニコチンポラクリレックス。
【0019】
US2005002993は、少なくとも1つの薬剤的活性剤 [ニコチン代替剤のような]を送達するための菓子製品を開示しており、当該製品は、硬い外殻、液体からゲルのような物質もしくは口腔内で液体からゲルのような形を成すコア物質を含むコアを含み、薬剤的活性剤を喉の感染しているおよび/または炎症を起こしている組織に届けることができる。
【0020】
US2005123502は、経口の組成物を開示しており、ニコチン活性剤、ポリカルボフィル成分またはその塩、アルギン酸成分またはその塩を含む。
【0021】
US20050053665は、ニコチン含有の医薬組成物を開示しており、ニコチンおよび非種子生物のセルロースを含む。当該組成物は、チューインガム、マウススプレー、口用の小袋、薬用ドロップ、または錠剤の形状である。
【0022】
US2007269492は、ニコチンを急速に口腔内に送達することで、対象者にいずれかの形態のニコチンを送達するためのコーティングされた経口投薬を開示しており、少なくとも1つのコア、いずれかの形態のニコチン、および/またはニコチン模倣剤、少なくとも1つのコーティング層、および随意で少なくとも1つの添加剤を含む。
【0023】
US2007269386は、ニコチンを含む緩衝化した医薬経口製剤を開示しており、少なくともトロメタモールで緩衝していることを特徴とする。当該製剤は、マウススプレー、カプセル、チューインガム、咀嚼錠、錠剤、溶解する錠剤、および薬用ドロップの形状である。
【0024】
国際公開番号WO/2009/134947は、経口薬用ドロップ組成物を開示しており、a)少なくとも1つのアルカリ性の緩衝剤、少なくとも1つの溶解調節整剤、および少なくとも1つの賦形剤からなるマスターグラニュール成分、b)ニコチンポラクリレックス、およびc)少なくとも1つのアルカリ性の緩衝剤からなる。使用される溶解調節整剤は、キサンタンゴム、アカシア、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、カラゲナン、およびセルロースからなるグループより選択される。
【0025】
US20100004294は、対象者の口腔に固形の剤型を適用した後すぐにニコチンが作用する薬用ドロップ組成物を開示しており、ニコチンとセルロースの合剤および1つ以上の薬剤的に容認できる賦形剤を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
既知のニコチン含有組成物に関する欠点および問題は以下である。
【0027】
・ チューインガムの形態のニコチン含有製品は、処分問題およびガムを噛むことがしばしば社会的に容認されないというような問題を伴う。
【0028】
・ さらに、噛み方が不十分であるためにニコチンのほとんどがガム内に残ってしまったり、飲み込んでしまってほとんど無駄になってしまうため、絶対生物学的利用能が低い(約30−40%)。
【0029】
・ その上、チューインガムを噛むことでポリマーコーティングが破壊され、口腔内のニコチンが過剰に放出されてしまい、その結果、吐き気、嫌な味、および灼熱感をもたらす。
【0030】
・ ニコチン含有ドロップもまた、当該ドロップの使用者にとって長期において口腔内に硬い製品を保つことは快適ではないというような不都合を有する。その他の不都合としては、薬用ドロップが細かく砕け予期せずに飲み込んでしまい、その結果、ニコチンが過剰に消化管へ運ばれ、吐き気や灼熱感の原因となることがある。
【0031】
従って、ガムではなく、吐き気、嫌な味、および灼熱感をもたらさず、制御された方法で長期間ニコチンを放出する美味なニコチン含有製剤を開発することが望ましい。
【0032】
本発明の目的
少なくとも1つの実施態様を満たしている本開示の限定されない目的のいくつかは、以下の通りである。本発明の目的は、喫煙者が紙巻きタバコもしくは同種のものの代替品として、喫煙習慣をやめるために、または禁煙療法でニコチン代替薬として、使用することができる製剤を提供することである。
【0033】
本発明のもう1つの目的は、使用者の口内に保たれ、かつ使用者が決定する方法で口腔内に活性成分を放出するように考案された製剤を提供することである。
【0034】
本発明のもう一つ別の目的は、ニコチンの口腔吸収を最大限で提供することである。
【0035】
本発明のさらにもう一つの目的は、吐き気、しゃっくり、または灼熱感などの症状を伴わない製剤を提供することである。
【0036】
本発明のさらなる目的は、制御された方法で長期間活性成分を放出する製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本開示の要旨
本発明に従って、以下のものを含むソフトトローチが提供される。
a.トローチの質量の約0.05%から約1%の量のニコチン活性剤、
b.トローチの質量の約5%から約40%の量のゲル化剤、
c.トローチの質量の約30%から約70%の量の可塑剤、
d.トローチの質量の約0.05%から約10%の量の甘味料、
e.トローチの質量の約0.5%から約30%の量の放出剤、
f.トローチの質量の約0.05%から約2%の量の保存料、
g.トローチの質量の約0.01%から約5%の量の香味料、および
h.トローチの質量の約5%から約20%の量の水、
当該トローチは、使用者のなめる様子によるが、口腔内で約5分から約15分の間に溶解される。
【0038】
典型的に、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックス、ニコチンを含有するタバコ植物エキス、ニコチン誘導体、ニコチンオイル、ニコチン塩、ニコチンカチオン交換体、ニコチン包接錯体、セルロースまたは澱粉微粒子と結合したニコチン、ニコチン代謝物およびそれらの結合である。
【0039】
ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックスまたはニコチンを含有するタバコ植物エキスが好ましい。
【0040】
典型的に、ゲル化剤は、ゼラチンおよびカラゲナンから成るグループより選択される。
【0041】
ゲル化剤は、ゼラチンが好ましい。
【0042】
典型的に、ゲル化剤の可塑剤に対する比は、約1:2.7から約1:3の範囲である。
【0043】
典型的に、可塑剤は、グリセリンおよびソルビトールから成るグループより選択される。
【0044】
可塑剤は、グリセリンが好ましい。
【0045】
典型的に、放出剤は、レシチン、油および澱粉から成るグループより選択される。
【0046】
放出剤は、レシチンが好ましい。
【0047】
典型的に、甘味料は、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、スクロース、ブドウ糖、および乳糖から成るグループより少なくとも1つ選択される。
【0048】
典型的に、保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベンナトリウムおよびプロピルパラベンナトリウムから成るグループより少なくとも1つ選択される。
【0049】
典型的に、香味料は、メンソール、バニリン、ペパーミント、レモン、ミント、イチゴ、バナナ、パイナップル、オレンジ、およびラズベリーから成るグループより選択される。
【0050】
本発明の一側面に従って、ソフトトローチの製剤方法が提供される。当該製剤方法は、以下の手順を含む。
a.正確に量ったグリセリンおよび水を反応器に入れ、続いてゼラチンおよびレシチンを追加して、第1混合物を形成する。
b.当該混合物にニコチン活性剤を追加し、1500rpmで30分から45分間混ぜ合わせ、第2混合物を形成する。
c.適量の甘味料、香味料、色、および保存料を第2混合物に入れ、塊を得る。
d.塊を容器に集め、冷却および凝固をおこなう。
e.固化した塊を溶解装置へ移し、溶解した塊を得る、および
f.溶解した塊を注射器を通し形成済みの穴へ挿入し、続いて冷却およびブリスター包装をおこなう。
【0051】
本開示の説明
本発明に従って、以下のものを含むソフトトローチが提供される。
a.トローチの質量の約0.05%から約1%の量のニコチン活性剤、
b.トローチの質量の約5%から約40%の量のゲル化剤、
c.トローチの質量の約30%から約70%の量の可塑剤、
d.トローチの質量の約0.05%から約10%の量の甘味料、
e.トローチの質量の約0.5%から約30%の量の放出剤、
f.トローチの質量の約0.05%から約2%の量の保存料、
g.トローチの質量の約0.01%から約5%の量の香味料、および
h.トローチの質量の約5%から約20%の量の水、
当該トローチは、使用者のなめる様子によるが、口腔内で約5分から約15分の間に溶解される。
【0052】
典型的に、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックス、ニコチンを含有するタバコ植物エキス、ニコチン誘導体、ニコチンオイル、ニコチン塩、ニコチンカチオン交換体、ニコチン包接錯体、セルロースまたは澱粉微粒子と結合したニコチン、ニコチン代謝物およびそれらの結合である。
【0053】
本発明の好ましい実施態様の1つに従って、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックスである。
【0054】
本発明の好ましい実施態様のもう1つに従って、ニコチン活性剤は、ニコチンを含有するタバコ植物エキスである。
【0055】
本発明に従ったソフトトローチの製剤に使用されるゲル化剤は、ゼラチンおよびカラゲナンから成るグループより選択される。
【0056】
本発明の好ましい実施態様に従って、ゼラチンはゲル化剤として使用され、ゼラチンから得られるゲルは、熱可逆性である。熱可逆性の性質により、ゼラチン溶液の冷却後、粘性が徐々に増加してゾルからゲルへと移行する。一方、ゲルが加熱された場合は、溶解して再び溶液となる。
【0057】
典型的に、可塑剤は、グリセリンおよびソルビトールから成るグループより選択される。本発明の好ましい実施態様に従って、可塑剤は、グリセリンである。
【0058】
本発明に従ったソフトトローチの製剤時の臨海パラメーターは、ゲル化剤の可塑剤に対する比である。ゲル化剤のグリセリンに対する比が1:2.7より下に保たれると、形成された混合物が硬くなり、トローチに形成するために型へ移している間にノズル内で詰まってしまうことが分かっている。また、ゲル化剤のグリセリンに対する比が1:3より上に保たれると、形成された混合物の粘性が少なくなり、低品質のトローチを形成する結果となることも分かっている。従って、ニコチン含有のソフトトローチの製剤時のゲル化剤のグリセリンに対する比は、約1:2.7から約l:3の範囲内で保たれる。
【0059】
典型的に、放出剤は、レシチン、油および澱粉から成るグループより選択される。
【0060】
本発明の好ましい実施態様に従って、ニコチン含有のソフトトローチの製剤に使用される放出剤は、レシチンである。ソフトトローチの製剤に使用されるレシチンは、放出剤または潤滑剤として働き、型の表面とトローチの間の摩擦(または固着)を防ぐ。これはまた、型の穴から、および最終の包装からスムーズにトローチを取り出すまたは取り除くことを助ける。
【0061】
本発明に従ったトローチの製剤に使用される甘味料は、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、スクロース、ブドウ糖、および乳糖から成るグループより少なくとも1つ選択される。
【0062】
典型的に、保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベンナトリウムおよびプロピルパラベンナトリウムから成るグループより少なくとも1つ選択される。
【0063】
本発明のトローチの製剤に使用される香味料は、メンソール、バニリン、ペパーミント、レモン、ミント、イチゴ、バナナ、パイナップル、オレンジ、およびラズベリーから成るグループより選択される。
【0064】
本発明の一側面に従って、ソフトトローチの製剤方法が提供される。当該製剤方法は、以下の手順を含む。第一段階は、正確に量ったグリセリンと水を反応器に入れることである。これに正確に量ったゼラチンおよびレシチンを追加して、第1混合物を形成する。この第1混合物にニコチン活性剤を追加して、1500rpmで30分から45分間混ぜ合わせ、第2混合物を形成する。次の段階では、適量の甘味料、香味料、色、および保存料を第2混合物に入れて、塊を得る。得られた塊を容器に集め、冷却および凝固をおこなう。固化した固まりを溶解装置へ移し、溶解した塊を得る。
【0065】
最後に、溶解した塊を注射器を通して形成済みの穴へ挿入し、続いて冷却およびブリスター包装を行なう。
【発明を実施するための形態】
【0066】
次の例は本発明を説明しているが、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0067】
実施例1
本発明に従ったソフトトローチは、以下の成分で製剤された。
各トローチ(1500mg)は、以下を含む。
ニコチンポラクリレックスからのニコチン(1mg=5mg):5mg
ゼラチン(ブルーム強度250) :299mg
グリセリン :971.7mg
水 :170mg
レシチン :37.3mg
香味料 :3.8mg
スクラロース :1.4mg
色素 :4mg
メチルパラベン :2.4mg
プロピルパラベン :1.2mg
【0068】
実施例2
各トローチ(1500mg)は、以下を含む。
ニコチンポラクリレックスからのニコチン(1mg=5mg):5mg
ゼラチン (ブルーム強度170) :315mg
グリセリン :950mg
水 :188mg
レシチン :30.3mg
香味料 :2.8mg
スクラロース :2mg
色素 :4mg
メチルパラベン :2.4mg
プロピルパラベン :1.2mg
【0069】
実施例3
各トローチ(1500mg)は、以下を含む。
ニコチンポラクリレックスからのニコチン(1mg=5mg):5mg
ゼラチン (ブルーム強度100) :343mg
グリセリン :970mg
水 :150mg
レシチン :25.6mg
メチルパラベン :2.4mg
プロピルパラベン :1.2mg
スペアミント :1.5mg
メンソール :1.3mg
スクラロース :1.5mg
色素 :4mg
[ニコチンポラクリレックスは、ニコチンを20%含む、すなわち1mgのニコチンポラクリレックス=0.2mgのニコチン]
【0070】
試験:
A]安定性データ:
I]温度:25℃±2℃;相対湿度:60±5%
【0071】
【表1】
【0072】
II]温度:30℃±2℃;相対湿度:65±5%
【0073】
【表2】
【0074】
III]温度:40℃±2℃;相対湿度:75±5%
【0075】
【表3】
【0076】
上記の安定性データより、本発明の製品が安定していることが分かった。
【0077】
B]溶解調査[ユーザー定義]:
対象者10人は、本発明のトローチを口中に保ち、なめるように指示された。口中でトローチが完全に溶解するために必要な時間が、各対象者ごとに記録された。
【0078】
以下の表4にその結果が示される。
【0079】
【表4】
【0080】
この結果により(表4)、本発明のトローチが溶解するために必要な時間は、個人のトローチをなめる速度により、5分から15分の間であることが分かった。平均溶解時間は、10分であることが分かった。
【0081】
C]ニコチン欲求度の測定:
ニコチンに対する欲求が、禁煙を阻止する最も一貫した、かつ最も困難な要因であると考えられる。最終的に、喫煙者が時宜を得た自己の欲求を評価し、それに積極的に関与することが禁煙プログラムの有効性にとって非常に重要である。
【0082】
ニコチン欲求は、日常のストレスパターン、睡眠や食習慣、体重、以前の喫煙度などに左右される。従って、トローチへの欲求または必要性は(喫煙したいという欲求に匹敵し)、一般的に、患者ごと、および一日の間や日ごとによって異なる。
【0083】
ニコチン欲求度を評価するためのさまざまな方法が報告されており、それら方法はDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、改訂第3版(DSM−III−R) ((1991) J.Am.Med.Assoc.266:3133)、および Shiffman−Jarvik Craving Subscale (O´Connell and Martin(1987) J.Consult.Clin.Psychol.55:367−371およびSteur and Wewers(1989) ONF16:193−198,またパラレル視覚的アナログテストについても説明している)West他。(1984)Br.J.Addiction79:215−219 および Hughes他、(1984) Psychopharmacology83:82−87が説明しているニコチン欲求テストを含むがこれらに限定されない。これらはそれぞれ参照することにより明示的に本書に組み込まれる。
【0084】
J.Am.Med.Assoc.266:3133の3135ページで説明されているように、DSM−III−Rが特定しているニコチン禁断症状は、次の症状に基づいて点数化される。ニコチン欲求度、イライラ、欲求不満、怒り、不安、集中力の低下、および落ち着きのなさ。各症状の重症度は、(0)無、(1)わずか、(2)軽度、(3)中程度、または(4)重度で格付けされる。禁断症状点数を合わせた平均値は、個人の症状点数の平均として各患者ごとに計算される。
【0085】
本発明との関係において、DSM−III−Rが教えているニコチン欲求スケールは、対象者の欲求の評価のために使用されている。
【0086】
このスケールによると、対象者は、ニコチンに対する自身の欲求度、イライラ、欲求不満、怒り、不安、集中力の低下、および落ち着きなさのレベルを格付けするように求められる。各症状の重症度は、0から4の間で格付けされ、(0)無、 (1)わずか、(2)軽度、(3)中程度、または(4)重度である。禁断症状点数を合わせた平均値は、症状点数すべての平均として各対象者ごとに計算される。
【0087】
C]I:本発明に従って製剤されたニコチン含有ソフトゼラチントローチの無作為化二重盲検のプラセボ対照試験が、紙巻きタバコの喫煙中毒の対象者20人に実施された。
【0088】
グループA:ニコチン含有ソフトゼラチントローチを受け取った対象者10人[2mgのニコチンを含むトローチ]およびグループB:プラセボを受けとった対象者10人。
【0089】
【表5】
【0090】
グループの離脱症状点数:1.57
(個人の離脱症状の算術平均)
【0091】
【表6】
【0092】
グループの離脱症状点数:3.54
(個人の離脱症状の算術平均)
【0093】
表5および表6が示す観察結果より、プラセボグループは、ニコチン対象者よりもかなり重度な禁断症状を報告していることが分かった。
【0094】
C]II:本発明に従って製剤されたニコチン含有ソフトゼラチントローチの無作為化二重盲検のプラセボ対照試験が、噛みタバコ中毒の対象者20人に実施された。
【0095】
グループA:ニコチン含有ソフトゼラチントローチを受け取った対象者10人 [4mgのニコチンを含むトローチ]
【0096】
グループB:プラセボを受けとった対象者10人
【0097】
【表7】
【0098】
グループの離脱症状点数:1.61
(個人の離脱症状の算術平均)
【0099】
【表8】
【0100】
グループの離脱症状点数:3.58
(個人の離脱症状の算術平均)
【0101】
表7および表8が示す観察結果より、プラセボグループは、ニコチン対象者よりもかなり重度な禁断症状を報告していることが分かった。
【0102】
D]総合的な服用率および許容度調査
D]I:総合的な服用率および許容度に関する特定パラメーターで従来のニコチンドロップと本発明のトローチの効果を比較するために自主調査が行なわれた。
【0103】
本調査は、(紙巻きタバコ中毒の)対象者10人を5人ずつのグループに分けて実施された。
【0104】
グループI:5人の対象者は、本発明のトローチ[2mgのニコチンを含むトローチ]を投与され、グループIIの対象者は、ニコチンドロップを投与された。
【0105】
その観察結果は、以下の表9および10に示す。
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
グループIの場合、表9が示す結果より、対象者のすべてが口の中の感触(嗜好性)がより良いと報告しており、その理由は本発明のトローチは薬用ドロップと違い、硬い角がなく柔らかかつ柔軟なためである。さらに、トローチは、本来弾力性があり、口腔粘膜へ局所刺激をもたらさなかった。その上、ニコチンドロップは口腔内で突然破壊してニコチンレベルの急激な上昇を引き起こすため、ニコチンドロップではしばしば見られる吐き気、頭痛、灼熱感を報告する対象者は全くいなかった。しゃっくりのようなその他のパラメータについては、1人だけがわずかなしゃっくりを報告した。
【0109】
グループIIについては、1人を除いた全員の対象者が、薬用ドロップの硬さおよび角が不快だと報告した。さらに、各対象者が灼熱感を報告した。すべての対象者が、重度から中程度の頭痛および吐き気を報告した。さらに、対象者のうちの3人がやや重度のしゃっくりを報告した。
【0110】
D]II:総合的な服用率および許容度に関する特定パラメーターで従来のニコチンドロップと本発明のトローチの効果を比較するために自主調査が行なわれた。
【0111】
本研究は、(噛みタバコ中毒の)対象者10人を5人ずつのグループに分けて実施された。
【0112】
グループI:5人の対象者は、本発明のトローチ[4mgのニコチンを含むトローチ]を投与され、グループIIの対象者は、ニコチンドロップを投与された。
【0113】
その観察結果は、以下の表11および12に示す。
【0114】
【表11】
【0115】
【表12】
【0116】
グループIの場合、表11が示す結果より、5人中2人の対象者が、わずかな吐き気を報告した。さらに、対象者のすべてが口の中の感触(嗜好性)がより良いと報告した。その上、1人の対象者がわずかなしゃっくりを報告しただけで、対象者の誰も頭痛および灼熱感を報告しなかった。
【0117】
グループIIについては、対象者すべてが、薬用ドロップの硬さおよび角が不快だと報告した。さらに、各対象者が中程度から重度の吐き気、灼熱間、およびしゃっくりを報告した。
【0118】
本発明のトローチは、市場にある既存ドロップと比べて許容度(症状の面から)および適合性が改良されていることが分かった。従って、本発明の製品は、より良い患者の服薬率を提供する。
【0119】
E]禁煙調査:
紙巻きタバコおよび/または噛みタバコ中毒の対象者20人に対して調査が実施された。患者の詳細を集めるための最初のインタビューの後、対象者ごとの一日の平均喫煙数に基づいて、投与されるトローチの用量および頻度が決定された。それに応じて、以下の表は、各グループごとに投与される用量および頻度に従って対象者全員が分けられたグループを示している。
【0120】
噛みタバコの過剰使用歴のある対象者には、ニコチン含有が高いトローチが供給された。
【0121】
【表13】
【0122】
ほとんどすべての対象者が2年以上の紙巻きタバコ/噛みタバコ中毒の経歴を有する。これを考慮して、対象者は、3ヶ月間観察された。
【0123】
調査期間は、2段階あった。第1段階では、対象者は、喫煙/噛みタバコの代わりにトローチの消費を推奨された。第2段階では(つまり、いったん対象者が喫煙の必要なく、トローチ消費に切り替えたら)、禁煙に成功するという最終目標を達成するために、対象者はトローチ消費の頻度を徐々に減少するように推奨された。第1段階および第2段階の期間は、対象者の反応次第であり、対象者により異なった。
【0124】
本状況において、対象者が喫煙しなくなり、かつ本発明のトローチを含み、その他の方法を通したニコチンの消費を中止したときに、対象者が禁煙に成功したといえる。
【0125】
グループ 1:
対象者すべてが本調査を完了した。対象者すべてが、調査期間中の1週間から3週間の参加後、禁煙に成功した。調査が進行するにつれて、最初の投薬の頻度が、各対象者の欲求度と一致して徐々に減少した。
【0126】
グループ 2:
対象者の1人は、調査開始日から4日目に調査を突然中止した。調査期間の第1週目からすぐ、対象者は、喫煙の代わりにトローチの消費を推奨された。(第1段階)。
【0127】
残りの4人の対象者のうち、3人が3週間から5週間の参加後に禁煙に成功し、残りの1人は、本調査期間の最後の週まで喫煙することなくトローチを消費し続けた(第2段階)。しかし、本調査期間の終わりにはトローチ消費の頻度が一日にトローチ2錠のみであった。
【0128】
グループ 3:
5人の対象者のうちの1人が本調査期間の4週目の終わりに禁煙に成功した。別のもう1人もまったく喫煙しなくなったが、本調査期間の終わりまで、1日に2錠の頻度でトローチを消費し続けた(第2段階)。また別のもう一人も本調査期間中に喫煙しなくなったが、本調査期間の最終日に一日8錠の頻度でトローチを消費していたと報告されている。残りの2人の対象者のうち、1人は本調査期間中、喫煙の頻度が1日6回まで減少し、また1日2錠の頻度でトローチを消費し続けたと報告した(第1段階)。
【0129】
グループ 4:
5人の対象者のうちの1人が本調査期間の8週目の終わりに禁煙に成功した。
第1段階中、5人の対象者のうち、2人が完全に第2段階(トローチのみ)へ移行した。第2段階へ移行した対象者の2人は、本調査期間の最終日にトローチ(2mg)を1日10錠の頻度で消費していたと報告している。
【0130】
第2段階へ移行できなかった2人の対象者は、トローチ(2mg)を1日2錠の頻度で消費するとともに、噛みタバコが1日に2回のみの頻度に減少したと報告している。
【0131】
好ましい製剤の特定な成分にかなりの重点が置かれてきたが、本発明の原則から逸脱することなく、好ましい製剤に多くの追加成分が追加され、かつ多くの変更がなされることは理解されるであろう。本発明の好ましい製剤のこれらの変更およびその他変更は、本書の開示により、当業者には明らかであろう。よって上述の記載事項は、単に本発明の説明であって、限定するものではないと解釈される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、トローチに関するものである。特に、本発明はニコチン置換療法のためのソフトトローチである。
【背景技術】
【0002】
本発明において、ソフトトローチとは、口中に入れたままにしてなめることができる弾力のある製剤を意味する。
【0003】
ニコチンは、ナス科に属する植物に含まれるアルカロイドである。ニコチンは、吸湿性の油性液体であり、その基礎形態において水と混ざる。ニコチンは、光学活性であり、2組のエナンチオマ型を有する。天然型のニコチンは、左旋性である。右旋性((+)ニコチン)は、(−)ニコチンの半分しか生理活性を持たない。従って、同じ効果を得るためには高い用量が必要だという点で、左旋性のものは弱い。ニコチンが身体に入ると、血流を通ってすぐに分布され、血液脳関門を通過することができる。吸入した場合、平均して約10秒でその物質が脳に到達する。体内のニコチンの半減期は、約2時間である。
【0004】
ニコチンは、紙巻きタバコ、葉巻、嗅ぎタバコ、そしてその他ニコチン含有製品に使用されているタバコ中の主要な習慣性成分である。紙巻きタバコ、葉巻、パイプタバコなどのタバコ製品の能動および受動喫煙が、喫煙者および二次喫煙者に対して重大な健康リスクをもたらすことが一般的に知られている。噛みタバコ、吐きタバコ、嗅ぎタバコなどの無煙タバコもまた、使用者に重大な健康リスクをもたらすことが知られている。
【0005】
紙巻きタバコを吸うと、ニコチンは、喫煙者の血中にすぐに吸収され、吸入後約10秒以内で脳に到達する。このニコチンの急速な取り込みは、消費者に素早い満足感または興奮を与える。喫煙の持つ有毒性、中毒性、発癌性、及び習慣性という性質は、喫煙の習慣を断つことに役立つ方法、組成物、および道具を探求するための努力をおこなう動機付けとなった。
【0006】
喫煙者およびその他タバコ使用者はしばしば、この命にかかわる危険性のある習慣をやめようと試みる。タバコ使用者に対する悪影響は良く知られているが、ニコチン依存者のほとんどの人にとって、ニコチン依存を克服することは非常に困難である。なぜ困難かという理由は、非常に習慣性のあるニコチンの性質、および身体の中のニコチンが不足し始めると強いニコチン離脱症状が起こることなどである。ニコチン離脱症状を乗り越えることは、ニコチン依存を克服しようとする人々にとって重大な意味をもつ挑戦である。
【0007】
さまざまなニコチン中断製品や治療法が知られている。しかし多くの場合、ただ単に紙巻きタバコを他のニコチン源に置き換えることは、禁煙治療を確実に成功させるためには不十分である。ニコチン中断製品として、薬用ドロップ、ガム、経皮貼付などがある。薬用ドロップとチューインガムは、ニコチンが口から取り込まれ、経皮貼付治療は、貼付者の皮膚を通してニコチンが体内に取り込まれる。
【0008】
ニコチンポラクリレックスを含むニコチンチューインガムと経皮的ニコチンの2つは、市販のニコチン代替薬のなかでもより人気がある。
【0009】
ニコチンガムは実際はイオン交換樹脂であり、患者が噛むとゆっくりとニコチンを放出し、口中のニコチンは、口腔吸収により体循環に直接送達される。しかしながら、噛み方が不十分であるためにニコチンのほとんどがガム内に残っていたり、飲み込んでしまってほとんど無駄になってしまうため、ガムからのニコチンの絶対生物学的利用能は低く、平均して30−40%にすぎない。
【0010】
さらに、禁煙療法で使用されるニコチン代替品としてのチューインガムや薬用ドロップなどのほとんどの市販製品は、味のマスキングの問題および吐き気や灼熱感などのニコチン摂取の副作用について具体的に対処していない。代わりに、それら製品は血中に安定したベースラインレベルのニコチンを供給することを通常目的としている。
【0011】
既存知識
次の特許/特許出願は、ニコチンを含んでいる組成物を開示している。
アメリカ合衆国特許番号4967773は、少なくとも2つの混合成分の圧縮により形成された薬用ドロップを開示しており、その成分のうちの一つは、乳糖または乳糖を含む物質を含み、もう一つの成分は、ニコチンまたはニコチン誘導体が吸収されたキャリアを含むことにより、薬用ドロップ内でニコチンと乳糖が直接接しないようになっている。
【0012】
GB2230439は、喫煙の代わりに使用する薬用ドロップを開示しており、ニコチンおよび/またはニコチン代替物を含む薬用ドロップコアおよびシェルまたは薬用ドロップコアの周りのコーティングを含む。
【0013】
GB2299756は、アカシアガムまたはゼラチンベースの中にニコチンを含んでいるトローチを開示している。
【0014】
アメリカ合衆国特許番号5488962は、3gの細長い形状のチューインガムを開示しており、ガム各1枚ごとに25wt%までのガムベース、およびガムベースに分散された0.3−0.4mgのニコチンを含む。
【0015】
アメリカ合衆国特許番号6183775は、徐放性の薬用ドロップを開示しており、当該ドロップは以下から成る。(a)50から99%の可溶性賦形剤、(b)ポリアクリル酸塩、エチルセルロース、およびそれらの混合から成るグループより選択される不溶性の皮膜形成剤が0.5から30%、(c)キサンタンガム、グアーガム、セルロース誘導体、およびそれらの混合からなるグループより選択される膨潤性のポリマーが0.5から30%、ならびに(d)ニコチン、塩、またはニコチン誘導体。
【0016】
アメリカ合衆国特許番号680734は、ニコチン、マンニトール、アンモニウム、グリチルリチン塩、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硬化植物油、ステアリン酸マグネシウムから成るニコチンドロップを開示している。
アメリカ合衆国特許番号6344222は、ニコチン成分の全身的な、経口投与のためのチューインガム組成物を開示しており、当該組成物は、a)ニコチン成分、b)ガムベースマトリクス、当該ガムベースマトリクスは、少なくとも1つの親水性ポリマーおよび少なくとも1つの疎水性ポリマーを含む、ならびにc)緩衝剤からなる。
【0017】
US2004151771は、風味付けされた薬用ドロップを開示しており、当該ドロップは、徐放性のエチルセルロースの湿性マトリクス、ならびにエッセンシャルオイル、エッセンシャルオイル成分、およびその混合から選択された香味料から成り、マトリックスは、水性の環境において、少なくとも45分間かけて香味料を徐々に放出する。使用されている活性成分は、ニコチンである。
【0018】
US2005034738は、噛みタバコ代替品を開示しており、当該製品は、タバコでない葉のような物質、アルカリ剤、および経口吸収されるニコチン化合物を含む。使用されているニコチン化合物は、ニコチンポラクリレックス。
【0019】
US2005002993は、少なくとも1つの薬剤的活性剤 [ニコチン代替剤のような]を送達するための菓子製品を開示しており、当該製品は、硬い外殻、液体からゲルのような物質もしくは口腔内で液体からゲルのような形を成すコア物質を含むコアを含み、薬剤的活性剤を喉の感染しているおよび/または炎症を起こしている組織に届けることができる。
【0020】
US2005123502は、経口の組成物を開示しており、ニコチン活性剤、ポリカルボフィル成分またはその塩、アルギン酸成分またはその塩を含む。
【0021】
US20050053665は、ニコチン含有の医薬組成物を開示しており、ニコチンおよび非種子生物のセルロースを含む。当該組成物は、チューインガム、マウススプレー、口用の小袋、薬用ドロップ、または錠剤の形状である。
【0022】
US2007269492は、ニコチンを急速に口腔内に送達することで、対象者にいずれかの形態のニコチンを送達するためのコーティングされた経口投薬を開示しており、少なくとも1つのコア、いずれかの形態のニコチン、および/またはニコチン模倣剤、少なくとも1つのコーティング層、および随意で少なくとも1つの添加剤を含む。
【0023】
US2007269386は、ニコチンを含む緩衝化した医薬経口製剤を開示しており、少なくともトロメタモールで緩衝していることを特徴とする。当該製剤は、マウススプレー、カプセル、チューインガム、咀嚼錠、錠剤、溶解する錠剤、および薬用ドロップの形状である。
【0024】
国際公開番号WO/2009/134947は、経口薬用ドロップ組成物を開示しており、a)少なくとも1つのアルカリ性の緩衝剤、少なくとも1つの溶解調節整剤、および少なくとも1つの賦形剤からなるマスターグラニュール成分、b)ニコチンポラクリレックス、およびc)少なくとも1つのアルカリ性の緩衝剤からなる。使用される溶解調節整剤は、キサンタンゴム、アカシア、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、カラゲナン、およびセルロースからなるグループより選択される。
【0025】
US20100004294は、対象者の口腔に固形の剤型を適用した後すぐにニコチンが作用する薬用ドロップ組成物を開示しており、ニコチンとセルロースの合剤および1つ以上の薬剤的に容認できる賦形剤を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
既知のニコチン含有組成物に関する欠点および問題は以下である。
【0027】
・ チューインガムの形態のニコチン含有製品は、処分問題およびガムを噛むことがしばしば社会的に容認されないというような問題を伴う。
【0028】
・ さらに、噛み方が不十分であるためにニコチンのほとんどがガム内に残ってしまったり、飲み込んでしまってほとんど無駄になってしまうため、絶対生物学的利用能が低い(約30−40%)。
【0029】
・ その上、チューインガムを噛むことでポリマーコーティングが破壊され、口腔内のニコチンが過剰に放出されてしまい、その結果、吐き気、嫌な味、および灼熱感をもたらす。
【0030】
・ ニコチン含有ドロップもまた、当該ドロップの使用者にとって長期において口腔内に硬い製品を保つことは快適ではないというような不都合を有する。その他の不都合としては、薬用ドロップが細かく砕け予期せずに飲み込んでしまい、その結果、ニコチンが過剰に消化管へ運ばれ、吐き気や灼熱感の原因となることがある。
【0031】
従って、ガムではなく、吐き気、嫌な味、および灼熱感をもたらさず、制御された方法で長期間ニコチンを放出する美味なニコチン含有製剤を開発することが望ましい。
【0032】
本発明の目的
少なくとも1つの実施態様を満たしている本開示の限定されない目的のいくつかは、以下の通りである。本発明の目的は、喫煙者が紙巻きタバコもしくは同種のものの代替品として、喫煙習慣をやめるために、または禁煙療法でニコチン代替薬として、使用することができる製剤を提供することである。
【0033】
本発明のもう1つの目的は、使用者の口内に保たれ、かつ使用者が決定する方法で口腔内に活性成分を放出するように考案された製剤を提供することである。
【0034】
本発明のもう一つ別の目的は、ニコチンの口腔吸収を最大限で提供することである。
【0035】
本発明のさらにもう一つの目的は、吐き気、しゃっくり、または灼熱感などの症状を伴わない製剤を提供することである。
【0036】
本発明のさらなる目的は、制御された方法で長期間活性成分を放出する製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本開示の要旨
本発明に従って、以下のものを含むソフトトローチが提供される。
a.トローチの質量の約0.05%から約1%の量のニコチン活性剤、
b.トローチの質量の約5%から約40%の量のゲル化剤、
c.トローチの質量の約30%から約70%の量の可塑剤、
d.トローチの質量の約0.05%から約10%の量の甘味料、
e.トローチの質量の約0.5%から約30%の量の放出剤、
f.トローチの質量の約0.05%から約2%の量の保存料、
g.トローチの質量の約0.01%から約5%の量の香味料、および
h.トローチの質量の約5%から約20%の量の水、
当該トローチは、使用者のなめる様子によるが、口腔内で約5分から約15分の間に溶解される。
【0038】
典型的に、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックス、ニコチンを含有するタバコ植物エキス、ニコチン誘導体、ニコチンオイル、ニコチン塩、ニコチンカチオン交換体、ニコチン包接錯体、セルロースまたは澱粉微粒子と結合したニコチン、ニコチン代謝物およびそれらの結合である。
【0039】
ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックスまたはニコチンを含有するタバコ植物エキスが好ましい。
【0040】
典型的に、ゲル化剤は、ゼラチンおよびカラゲナンから成るグループより選択される。
【0041】
ゲル化剤は、ゼラチンが好ましい。
【0042】
典型的に、ゲル化剤の可塑剤に対する比は、約1:2.7から約1:3の範囲である。
【0043】
典型的に、可塑剤は、グリセリンおよびソルビトールから成るグループより選択される。
【0044】
可塑剤は、グリセリンが好ましい。
【0045】
典型的に、放出剤は、レシチン、油および澱粉から成るグループより選択される。
【0046】
放出剤は、レシチンが好ましい。
【0047】
典型的に、甘味料は、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、スクロース、ブドウ糖、および乳糖から成るグループより少なくとも1つ選択される。
【0048】
典型的に、保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベンナトリウムおよびプロピルパラベンナトリウムから成るグループより少なくとも1つ選択される。
【0049】
典型的に、香味料は、メンソール、バニリン、ペパーミント、レモン、ミント、イチゴ、バナナ、パイナップル、オレンジ、およびラズベリーから成るグループより選択される。
【0050】
本発明の一側面に従って、ソフトトローチの製剤方法が提供される。当該製剤方法は、以下の手順を含む。
a.正確に量ったグリセリンおよび水を反応器に入れ、続いてゼラチンおよびレシチンを追加して、第1混合物を形成する。
b.当該混合物にニコチン活性剤を追加し、1500rpmで30分から45分間混ぜ合わせ、第2混合物を形成する。
c.適量の甘味料、香味料、色、および保存料を第2混合物に入れ、塊を得る。
d.塊を容器に集め、冷却および凝固をおこなう。
e.固化した塊を溶解装置へ移し、溶解した塊を得る、および
f.溶解した塊を注射器を通し形成済みの穴へ挿入し、続いて冷却およびブリスター包装をおこなう。
【0051】
本開示の説明
本発明に従って、以下のものを含むソフトトローチが提供される。
a.トローチの質量の約0.05%から約1%の量のニコチン活性剤、
b.トローチの質量の約5%から約40%の量のゲル化剤、
c.トローチの質量の約30%から約70%の量の可塑剤、
d.トローチの質量の約0.05%から約10%の量の甘味料、
e.トローチの質量の約0.5%から約30%の量の放出剤、
f.トローチの質量の約0.05%から約2%の量の保存料、
g.トローチの質量の約0.01%から約5%の量の香味料、および
h.トローチの質量の約5%から約20%の量の水、
当該トローチは、使用者のなめる様子によるが、口腔内で約5分から約15分の間に溶解される。
【0052】
典型的に、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックス、ニコチンを含有するタバコ植物エキス、ニコチン誘導体、ニコチンオイル、ニコチン塩、ニコチンカチオン交換体、ニコチン包接錯体、セルロースまたは澱粉微粒子と結合したニコチン、ニコチン代謝物およびそれらの結合である。
【0053】
本発明の好ましい実施態様の1つに従って、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックスである。
【0054】
本発明の好ましい実施態様のもう1つに従って、ニコチン活性剤は、ニコチンを含有するタバコ植物エキスである。
【0055】
本発明に従ったソフトトローチの製剤に使用されるゲル化剤は、ゼラチンおよびカラゲナンから成るグループより選択される。
【0056】
本発明の好ましい実施態様に従って、ゼラチンはゲル化剤として使用され、ゼラチンから得られるゲルは、熱可逆性である。熱可逆性の性質により、ゼラチン溶液の冷却後、粘性が徐々に増加してゾルからゲルへと移行する。一方、ゲルが加熱された場合は、溶解して再び溶液となる。
【0057】
典型的に、可塑剤は、グリセリンおよびソルビトールから成るグループより選択される。本発明の好ましい実施態様に従って、可塑剤は、グリセリンである。
【0058】
本発明に従ったソフトトローチの製剤時の臨海パラメーターは、ゲル化剤の可塑剤に対する比である。ゲル化剤のグリセリンに対する比が1:2.7より下に保たれると、形成された混合物が硬くなり、トローチに形成するために型へ移している間にノズル内で詰まってしまうことが分かっている。また、ゲル化剤のグリセリンに対する比が1:3より上に保たれると、形成された混合物の粘性が少なくなり、低品質のトローチを形成する結果となることも分かっている。従って、ニコチン含有のソフトトローチの製剤時のゲル化剤のグリセリンに対する比は、約1:2.7から約l:3の範囲内で保たれる。
【0059】
典型的に、放出剤は、レシチン、油および澱粉から成るグループより選択される。
【0060】
本発明の好ましい実施態様に従って、ニコチン含有のソフトトローチの製剤に使用される放出剤は、レシチンである。ソフトトローチの製剤に使用されるレシチンは、放出剤または潤滑剤として働き、型の表面とトローチの間の摩擦(または固着)を防ぐ。これはまた、型の穴から、および最終の包装からスムーズにトローチを取り出すまたは取り除くことを助ける。
【0061】
本発明に従ったトローチの製剤に使用される甘味料は、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、スクロース、ブドウ糖、および乳糖から成るグループより少なくとも1つ選択される。
【0062】
典型的に、保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベンナトリウムおよびプロピルパラベンナトリウムから成るグループより少なくとも1つ選択される。
【0063】
本発明のトローチの製剤に使用される香味料は、メンソール、バニリン、ペパーミント、レモン、ミント、イチゴ、バナナ、パイナップル、オレンジ、およびラズベリーから成るグループより選択される。
【0064】
本発明の一側面に従って、ソフトトローチの製剤方法が提供される。当該製剤方法は、以下の手順を含む。第一段階は、正確に量ったグリセリンと水を反応器に入れることである。これに正確に量ったゼラチンおよびレシチンを追加して、第1混合物を形成する。この第1混合物にニコチン活性剤を追加して、1500rpmで30分から45分間混ぜ合わせ、第2混合物を形成する。次の段階では、適量の甘味料、香味料、色、および保存料を第2混合物に入れて、塊を得る。得られた塊を容器に集め、冷却および凝固をおこなう。固化した固まりを溶解装置へ移し、溶解した塊を得る。
【0065】
最後に、溶解した塊を注射器を通して形成済みの穴へ挿入し、続いて冷却およびブリスター包装を行なう。
【発明を実施するための形態】
【0066】
次の例は本発明を説明しているが、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0067】
実施例1
本発明に従ったソフトトローチは、以下の成分で製剤された。
各トローチ(1500mg)は、以下を含む。
ニコチンポラクリレックスからのニコチン(1mg=5mg):5mg
ゼラチン(ブルーム強度250) :299mg
グリセリン :971.7mg
水 :170mg
レシチン :37.3mg
香味料 :3.8mg
スクラロース :1.4mg
色素 :4mg
メチルパラベン :2.4mg
プロピルパラベン :1.2mg
【0068】
実施例2
各トローチ(1500mg)は、以下を含む。
ニコチンポラクリレックスからのニコチン(1mg=5mg):5mg
ゼラチン (ブルーム強度170) :315mg
グリセリン :950mg
水 :188mg
レシチン :30.3mg
香味料 :2.8mg
スクラロース :2mg
色素 :4mg
メチルパラベン :2.4mg
プロピルパラベン :1.2mg
【0069】
実施例3
各トローチ(1500mg)は、以下を含む。
ニコチンポラクリレックスからのニコチン(1mg=5mg):5mg
ゼラチン (ブルーム強度100) :343mg
グリセリン :970mg
水 :150mg
レシチン :25.6mg
メチルパラベン :2.4mg
プロピルパラベン :1.2mg
スペアミント :1.5mg
メンソール :1.3mg
スクラロース :1.5mg
色素 :4mg
[ニコチンポラクリレックスは、ニコチンを20%含む、すなわち1mgのニコチンポラクリレックス=0.2mgのニコチン]
【0070】
試験:
A]安定性データ:
I]温度:25℃±2℃;相対湿度:60±5%
【0071】
【表1】
【0072】
II]温度:30℃±2℃;相対湿度:65±5%
【0073】
【表2】
【0074】
III]温度:40℃±2℃;相対湿度:75±5%
【0075】
【表3】
【0076】
上記の安定性データより、本発明の製品が安定していることが分かった。
【0077】
B]溶解調査[ユーザー定義]:
対象者10人は、本発明のトローチを口中に保ち、なめるように指示された。口中でトローチが完全に溶解するために必要な時間が、各対象者ごとに記録された。
【0078】
以下の表4にその結果が示される。
【0079】
【表4】
【0080】
この結果により(表4)、本発明のトローチが溶解するために必要な時間は、個人のトローチをなめる速度により、5分から15分の間であることが分かった。平均溶解時間は、10分であることが分かった。
【0081】
C]ニコチン欲求度の測定:
ニコチンに対する欲求が、禁煙を阻止する最も一貫した、かつ最も困難な要因であると考えられる。最終的に、喫煙者が時宜を得た自己の欲求を評価し、それに積極的に関与することが禁煙プログラムの有効性にとって非常に重要である。
【0082】
ニコチン欲求は、日常のストレスパターン、睡眠や食習慣、体重、以前の喫煙度などに左右される。従って、トローチへの欲求または必要性は(喫煙したいという欲求に匹敵し)、一般的に、患者ごと、および一日の間や日ごとによって異なる。
【0083】
ニコチン欲求度を評価するためのさまざまな方法が報告されており、それら方法はDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、改訂第3版(DSM−III−R) ((1991) J.Am.Med.Assoc.266:3133)、および Shiffman−Jarvik Craving Subscale (O´Connell and Martin(1987) J.Consult.Clin.Psychol.55:367−371およびSteur and Wewers(1989) ONF16:193−198,またパラレル視覚的アナログテストについても説明している)West他。(1984)Br.J.Addiction79:215−219 および Hughes他、(1984) Psychopharmacology83:82−87が説明しているニコチン欲求テストを含むがこれらに限定されない。これらはそれぞれ参照することにより明示的に本書に組み込まれる。
【0084】
J.Am.Med.Assoc.266:3133の3135ページで説明されているように、DSM−III−Rが特定しているニコチン禁断症状は、次の症状に基づいて点数化される。ニコチン欲求度、イライラ、欲求不満、怒り、不安、集中力の低下、および落ち着きのなさ。各症状の重症度は、(0)無、(1)わずか、(2)軽度、(3)中程度、または(4)重度で格付けされる。禁断症状点数を合わせた平均値は、個人の症状点数の平均として各患者ごとに計算される。
【0085】
本発明との関係において、DSM−III−Rが教えているニコチン欲求スケールは、対象者の欲求の評価のために使用されている。
【0086】
このスケールによると、対象者は、ニコチンに対する自身の欲求度、イライラ、欲求不満、怒り、不安、集中力の低下、および落ち着きなさのレベルを格付けするように求められる。各症状の重症度は、0から4の間で格付けされ、(0)無、 (1)わずか、(2)軽度、(3)中程度、または(4)重度である。禁断症状点数を合わせた平均値は、症状点数すべての平均として各対象者ごとに計算される。
【0087】
C]I:本発明に従って製剤されたニコチン含有ソフトゼラチントローチの無作為化二重盲検のプラセボ対照試験が、紙巻きタバコの喫煙中毒の対象者20人に実施された。
【0088】
グループA:ニコチン含有ソフトゼラチントローチを受け取った対象者10人[2mgのニコチンを含むトローチ]およびグループB:プラセボを受けとった対象者10人。
【0089】
【表5】
【0090】
グループの離脱症状点数:1.57
(個人の離脱症状の算術平均)
【0091】
【表6】
【0092】
グループの離脱症状点数:3.54
(個人の離脱症状の算術平均)
【0093】
表5および表6が示す観察結果より、プラセボグループは、ニコチン対象者よりもかなり重度な禁断症状を報告していることが分かった。
【0094】
C]II:本発明に従って製剤されたニコチン含有ソフトゼラチントローチの無作為化二重盲検のプラセボ対照試験が、噛みタバコ中毒の対象者20人に実施された。
【0095】
グループA:ニコチン含有ソフトゼラチントローチを受け取った対象者10人 [4mgのニコチンを含むトローチ]
【0096】
グループB:プラセボを受けとった対象者10人
【0097】
【表7】
【0098】
グループの離脱症状点数:1.61
(個人の離脱症状の算術平均)
【0099】
【表8】
【0100】
グループの離脱症状点数:3.58
(個人の離脱症状の算術平均)
【0101】
表7および表8が示す観察結果より、プラセボグループは、ニコチン対象者よりもかなり重度な禁断症状を報告していることが分かった。
【0102】
D]総合的な服用率および許容度調査
D]I:総合的な服用率および許容度に関する特定パラメーターで従来のニコチンドロップと本発明のトローチの効果を比較するために自主調査が行なわれた。
【0103】
本調査は、(紙巻きタバコ中毒の)対象者10人を5人ずつのグループに分けて実施された。
【0104】
グループI:5人の対象者は、本発明のトローチ[2mgのニコチンを含むトローチ]を投与され、グループIIの対象者は、ニコチンドロップを投与された。
【0105】
その観察結果は、以下の表9および10に示す。
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
グループIの場合、表9が示す結果より、対象者のすべてが口の中の感触(嗜好性)がより良いと報告しており、その理由は本発明のトローチは薬用ドロップと違い、硬い角がなく柔らかかつ柔軟なためである。さらに、トローチは、本来弾力性があり、口腔粘膜へ局所刺激をもたらさなかった。その上、ニコチンドロップは口腔内で突然破壊してニコチンレベルの急激な上昇を引き起こすため、ニコチンドロップではしばしば見られる吐き気、頭痛、灼熱感を報告する対象者は全くいなかった。しゃっくりのようなその他のパラメータについては、1人だけがわずかなしゃっくりを報告した。
【0109】
グループIIについては、1人を除いた全員の対象者が、薬用ドロップの硬さおよび角が不快だと報告した。さらに、各対象者が灼熱感を報告した。すべての対象者が、重度から中程度の頭痛および吐き気を報告した。さらに、対象者のうちの3人がやや重度のしゃっくりを報告した。
【0110】
D]II:総合的な服用率および許容度に関する特定パラメーターで従来のニコチンドロップと本発明のトローチの効果を比較するために自主調査が行なわれた。
【0111】
本研究は、(噛みタバコ中毒の)対象者10人を5人ずつのグループに分けて実施された。
【0112】
グループI:5人の対象者は、本発明のトローチ[4mgのニコチンを含むトローチ]を投与され、グループIIの対象者は、ニコチンドロップを投与された。
【0113】
その観察結果は、以下の表11および12に示す。
【0114】
【表11】
【0115】
【表12】
【0116】
グループIの場合、表11が示す結果より、5人中2人の対象者が、わずかな吐き気を報告した。さらに、対象者のすべてが口の中の感触(嗜好性)がより良いと報告した。その上、1人の対象者がわずかなしゃっくりを報告しただけで、対象者の誰も頭痛および灼熱感を報告しなかった。
【0117】
グループIIについては、対象者すべてが、薬用ドロップの硬さおよび角が不快だと報告した。さらに、各対象者が中程度から重度の吐き気、灼熱間、およびしゃっくりを報告した。
【0118】
本発明のトローチは、市場にある既存ドロップと比べて許容度(症状の面から)および適合性が改良されていることが分かった。従って、本発明の製品は、より良い患者の服薬率を提供する。
【0119】
E]禁煙調査:
紙巻きタバコおよび/または噛みタバコ中毒の対象者20人に対して調査が実施された。患者の詳細を集めるための最初のインタビューの後、対象者ごとの一日の平均喫煙数に基づいて、投与されるトローチの用量および頻度が決定された。それに応じて、以下の表は、各グループごとに投与される用量および頻度に従って対象者全員が分けられたグループを示している。
【0120】
噛みタバコの過剰使用歴のある対象者には、ニコチン含有が高いトローチが供給された。
【0121】
【表13】
【0122】
ほとんどすべての対象者が2年以上の紙巻きタバコ/噛みタバコ中毒の経歴を有する。これを考慮して、対象者は、3ヶ月間観察された。
【0123】
調査期間は、2段階あった。第1段階では、対象者は、喫煙/噛みタバコの代わりにトローチの消費を推奨された。第2段階では(つまり、いったん対象者が喫煙の必要なく、トローチ消費に切り替えたら)、禁煙に成功するという最終目標を達成するために、対象者はトローチ消費の頻度を徐々に減少するように推奨された。第1段階および第2段階の期間は、対象者の反応次第であり、対象者により異なった。
【0124】
本状況において、対象者が喫煙しなくなり、かつ本発明のトローチを含み、その他の方法を通したニコチンの消費を中止したときに、対象者が禁煙に成功したといえる。
【0125】
グループ 1:
対象者すべてが本調査を完了した。対象者すべてが、調査期間中の1週間から3週間の参加後、禁煙に成功した。調査が進行するにつれて、最初の投薬の頻度が、各対象者の欲求度と一致して徐々に減少した。
【0126】
グループ 2:
対象者の1人は、調査開始日から4日目に調査を突然中止した。調査期間の第1週目からすぐ、対象者は、喫煙の代わりにトローチの消費を推奨された。(第1段階)。
【0127】
残りの4人の対象者のうち、3人が3週間から5週間の参加後に禁煙に成功し、残りの1人は、本調査期間の最後の週まで喫煙することなくトローチを消費し続けた(第2段階)。しかし、本調査期間の終わりにはトローチ消費の頻度が一日にトローチ2錠のみであった。
【0128】
グループ 3:
5人の対象者のうちの1人が本調査期間の4週目の終わりに禁煙に成功した。別のもう1人もまったく喫煙しなくなったが、本調査期間の終わりまで、1日に2錠の頻度でトローチを消費し続けた(第2段階)。また別のもう一人も本調査期間中に喫煙しなくなったが、本調査期間の最終日に一日8錠の頻度でトローチを消費していたと報告されている。残りの2人の対象者のうち、1人は本調査期間中、喫煙の頻度が1日6回まで減少し、また1日2錠の頻度でトローチを消費し続けたと報告した(第1段階)。
【0129】
グループ 4:
5人の対象者のうちの1人が本調査期間の8週目の終わりに禁煙に成功した。
第1段階中、5人の対象者のうち、2人が完全に第2段階(トローチのみ)へ移行した。第2段階へ移行した対象者の2人は、本調査期間の最終日にトローチ(2mg)を1日10錠の頻度で消費していたと報告している。
【0130】
第2段階へ移行できなかった2人の対象者は、トローチ(2mg)を1日2錠の頻度で消費するとともに、噛みタバコが1日に2回のみの頻度に減少したと報告している。
【0131】
好ましい製剤の特定な成分にかなりの重点が置かれてきたが、本発明の原則から逸脱することなく、好ましい製剤に多くの追加成分が追加され、かつ多くの変更がなされることは理解されるであろう。本発明の好ましい製剤のこれらの変更およびその他変更は、本書の開示により、当業者には明らかであろう。よって上述の記載事項は、単に本発明の説明であって、限定するものではないと解釈される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトトローチは以下を含む:
a.トローチの質量の約0.05%から約1%の量のニコチン活性剤、
b.トローチの質量の約5%から約40%の量のゲル化剤、
c.トローチの質量の約30%から約70%の量の可塑剤、
d.トローチの質量の約0.05%から約10%の量の甘味料、
e.トローチの質量の約0.5%から約30%の量の放出剤、
f.トローチの質量の約0.05%から約2%の量の保存料、
g.トローチの質量の約0.01%から約5%の量の香味料、
h.トローチの質量の約5%から約20%の量の水、
当該トローチは、使用者のなめる様子によるが、口腔内で約5分から約15分の間に溶解される。
【請求項2】
請求項1に記載のトローチにおいて、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックス、ニコチンを含有するタバコ植物エキス、ニコチン誘導体、ニコチンオイル、ニコチン塩、ニコチンカチオン交換体、ニコチン包接錯体、セルロースまたは澱粉微粒子と結合したニコチン、ニコチン代謝物およびそれらの結合である。
【請求項3】
請求項1に記載のトローチにおいて、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックスまたはニコチンを含有するタバコ植物エキスである。
【請求項4】
請求項1に記載のトローチにおいて、ゲル化剤は、ゲル化剤は、ゼラチン、カラゲナンおよびそれらの混合から成るグループより選択される。
【請求項5】
請求項1に記載のトローチにおいて、ゲル化剤は、ゼラチンである。
【請求項6】
請求項1に記載のトローチにおいて、可塑剤は、グリセリン、ソルビトールおよびそれらの混合から成るグループより選択される。
【請求項7】
請求項1に記載のトローチにおいて、可塑剤は、グリセリンである。
【請求項8】
請求項1に記載のトローチにおいて、ゲル化剤の可塑剤に対する比は、約1:2.7から約1:3の範囲である。
【請求項9】
請求項1に記載のトローチにおいて、放出剤は、レシチン、油および澱粉から成るグループより選択される。
【請求項10】
請求項1に記載のトローチにおいて、放出剤は、レシチンである。
【請求項11】
請求項1に記載のトローチにおいて、甘味料は、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、スクロース、ブドウ糖、および乳糖から成るグループより少なくとも1つ選択される。
【請求項12】
請求項1に記載のトローチにおいて、保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベンナトリウムおよびプロピルパラベンナトリウムから成るグループより少なくとも1つ選択される。
【請求項13】
請求項1に記載のトローチにおいて、香味料は、メンソール、バニリン、ペパーミント、レモン、ミント、イチゴ、バナナ、パイナップル、オレンジおよびラズベリーから成るグループより選択される。
【請求項14】
ソフトトローチの製剤方法。当該製剤方法は、以下の手順を含む。
a.正確に量ったグリセリンおよび水を反応器に入れ、続いてゼラチンおよびレシチンを追加して、第1混合物を形成する。
b.当該混合物にニコチン活性剤を追加し、1500rpmで30分から45分間混ぜ合わせ、第2混合物を形成する。
c.適量の甘味料、香味料、色、および保存料を第2混合物に入れ、塊を得る。
d.塊を容器に集め、冷却および凝固をおこなう。
e.固化した塊を溶解装置へ移し、溶解した塊を得る。
f.溶解した塊を注射器を通し形成済みの穴へ挿入し、続いて冷却およびブリスター包装をおこなう。
【請求項1】
ソフトトローチは以下を含む:
a.トローチの質量の約0.05%から約1%の量のニコチン活性剤、
b.トローチの質量の約5%から約40%の量のゲル化剤、
c.トローチの質量の約30%から約70%の量の可塑剤、
d.トローチの質量の約0.05%から約10%の量の甘味料、
e.トローチの質量の約0.5%から約30%の量の放出剤、
f.トローチの質量の約0.05%から約2%の量の保存料、
g.トローチの質量の約0.01%から約5%の量の香味料、
h.トローチの質量の約5%から約20%の量の水、
当該トローチは、使用者のなめる様子によるが、口腔内で約5分から約15分の間に溶解される。
【請求項2】
請求項1に記載のトローチにおいて、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックス、ニコチンを含有するタバコ植物エキス、ニコチン誘導体、ニコチンオイル、ニコチン塩、ニコチンカチオン交換体、ニコチン包接錯体、セルロースまたは澱粉微粒子と結合したニコチン、ニコチン代謝物およびそれらの結合である。
【請求項3】
請求項1に記載のトローチにおいて、ニコチン活性剤は、ニコチンポラクリレックスまたはニコチンを含有するタバコ植物エキスである。
【請求項4】
請求項1に記載のトローチにおいて、ゲル化剤は、ゲル化剤は、ゼラチン、カラゲナンおよびそれらの混合から成るグループより選択される。
【請求項5】
請求項1に記載のトローチにおいて、ゲル化剤は、ゼラチンである。
【請求項6】
請求項1に記載のトローチにおいて、可塑剤は、グリセリン、ソルビトールおよびそれらの混合から成るグループより選択される。
【請求項7】
請求項1に記載のトローチにおいて、可塑剤は、グリセリンである。
【請求項8】
請求項1に記載のトローチにおいて、ゲル化剤の可塑剤に対する比は、約1:2.7から約1:3の範囲である。
【請求項9】
請求項1に記載のトローチにおいて、放出剤は、レシチン、油および澱粉から成るグループより選択される。
【請求項10】
請求項1に記載のトローチにおいて、放出剤は、レシチンである。
【請求項11】
請求項1に記載のトローチにおいて、甘味料は、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、スクロース、ブドウ糖、および乳糖から成るグループより少なくとも1つ選択される。
【請求項12】
請求項1に記載のトローチにおいて、保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベンナトリウムおよびプロピルパラベンナトリウムから成るグループより少なくとも1つ選択される。
【請求項13】
請求項1に記載のトローチにおいて、香味料は、メンソール、バニリン、ペパーミント、レモン、ミント、イチゴ、バナナ、パイナップル、オレンジおよびラズベリーから成るグループより選択される。
【請求項14】
ソフトトローチの製剤方法。当該製剤方法は、以下の手順を含む。
a.正確に量ったグリセリンおよび水を反応器に入れ、続いてゼラチンおよびレシチンを追加して、第1混合物を形成する。
b.当該混合物にニコチン活性剤を追加し、1500rpmで30分から45分間混ぜ合わせ、第2混合物を形成する。
c.適量の甘味料、香味料、色、および保存料を第2混合物に入れ、塊を得る。
d.塊を容器に集め、冷却および凝固をおこなう。
e.固化した塊を溶解装置へ移し、溶解した塊を得る。
f.溶解した塊を注射器を通し形成済みの穴へ挿入し、続いて冷却およびブリスター包装をおこなう。
【公表番号】特表2013−520408(P2013−520408A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553443(P2012−553443)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000768
【国際公開番号】WO2011/101860
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512205810)
【氏名又は名称原語表記】THAKKAR, Jatin Vasant
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000768
【国際公開番号】WO2011/101860
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512205810)
【氏名又は名称原語表記】THAKKAR, Jatin Vasant
【Fターム(参考)】
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