説明

ニソルジピンを含有する徐放性の固体状経口投与用配合剤

本発明は、カルシウムチャンネル遮断薬を含有する徐放性の固体状経口投与用配合剤及び該配合剤の使用方法を提供する。該配合剤は心臓血管障害、例えば、高血圧症、アンギナ及び心臓不整脈等を一日一回処置するために使用される。活性剤は、好ましくは、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネル遮断薬、例えば、ニソルジピンである。該配合剤は、当該分野において知られている他の薬剤送給用配合剤におけるカルシウムチャンネル遮断薬の生体内利用率に比べて、当該カルシウムチャンネル遮断薬の生体内利用率を増大させる。1つの実施態様においては、当該配合剤は、コート−コア形態の薬剤「スラー」におけるニソルジピンの同様の投与態様に比べて、カルシウムチャンネル遮断薬の生体内利用率を増大させる。当該配合剤は、コア層又は中心層と1又は複数のバリヤー層を含む三層錠の形態にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国仮出願第60/824043号(出願日:2006年8月30日)及び同第60/824054号(出願日:2006年8月30日)に基づく優先権を主張する出願である。
【0002】
本発明は、カルシウムチャンネル(calcium channel)遮断薬を含有する徐放性配合剤(controlled release formulation)及び該配合剤の使用方法に関する。特に、本発明は、高血圧症やその他の心臓血管障害を一日一回処置するためのニソルジピン含有経口投与用剤型に関する。
【背景技術】
【0003】
カルシウムチャンネル遮断薬は不均質な薬剤群であって、細胞のカルシウムチャンネルを調整することによってカルシウムの細胞内への侵入を阻止するか又は遅延させる薬剤である(非特許文献1参照)。心臓血管系の細胞内へのカルシウムの侵入の調整は、心臓血管系が適切に機能するためには最も重要である。心臓と血管の平滑筋細胞は、細胞膜の内部に位置するカルシウムチャンネルを有している。該チャンネルを経由するカルシウムの流入は、最終的には筋肉の収縮をもたらす電気機械的結合過程を開始させる。心臓と血管の平滑筋細胞内へのカルシウムの侵入を調整することは、アンギナや高血圧症の処置における有力な治療手段である。同様に、心臓組織と伝導系内へのカルシウムの流入を遮断することによって、特定のタイプの不整脈を調整するための有用な手段がもたらされる。
【0004】
ジヒドロピリジンカルシウムチャンネル遮断薬(ニソルジピン)は黄色結晶物質であって、水には実際上不溶であるが、エタノールには溶解する。ニソルジピンコート−コア薬剤(スシール・ファーマ社から「すらー(SULAR)」(登録商標)として市販されている)は、高血圧症患者を処置において一日一回投与するために適している。「スラー」は、FDAによって認可されたカルシウムチャンネル遮断薬(ニソルジピン)の徐放性配合剤である。該配合剤はコート−コア技術によって調製され、1995年以来高血圧症の処置のために市販されている。
【0005】
「スラー」は外部のコートと内部のコアから成る。コート及びコアの両方がニソルジピンを保有しており、前者は遅延放出性配合剤として調製され、後者は即時放出性又は迅速放出性の配合剤として調製されている。軽度の高血圧症から中度の高血圧症で患う患者を対象とする臨床試験においては、「SULAR」は、他のカルシウム拮抗薬と類似する効力と耐容性を示すと共に、β−遮断薬、チアジド利尿薬及びACE抑制薬を含むその他の種々の薬剤群から選択される薬剤の場合と同等の抗高血圧薬効力を示している。「SULAR」は、投与量に比例する薬物動態学的挙動を示しており、また、約7〜12時間の血漿半減期(平均Tmax:約6〜12時間)を示す。「スラー」からのニソルジピンの生体内利用率は約5%である。
【0006】
β−遮断薬及びチアジド利尿薬とは異なり、カルシウム拮抗薬(ニソルジピンの剤皮−コアを含む)は、血清の脂質分布又は血糖調整に対する臨床的に著しく不利な代謝効果とは関連していない。ニソルジピンコート−コアは、24時間の投与間隔を通じて、一定の血漿薬剤濃度及び抗高血圧性効果を維持し、これによって、減衰性の間欠的反射は交感神経活性において増大する。さらに、ニソルジピンの高度の血管選択率(vasoselectivity)は、ニフェジピンのような選択率の劣る薬剤を用いた場合に見られることがある負の変力効果(inotropic effect)を最小にする(非特許文献2参照)。
【0007】
コート−コア技術は、カルシウムチャンネル遮断薬の送給に対して安全であることが示されているが、この技術に関連する研究によれば、コート−コア系を用いる場合には、その他の薬剤送給系(特に、ニフェジピン薬剤系)に比べて、幾分より不利な効果がもたらされることが示されている(非特許文献3参照)。さらに、剤皮−コア技術においては、コストの高い特殊な装置の使用が必要となる。
【0008】
低投与量の薬剤を送給することによって製造コストを低下させると共に、望ましくない副作用を除去又は低減させ、さらに常套の装置を用いて製造できる徐放性配合剤が要請されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】レミングトン、The Science and Practice of pharmacy (第19版)、マック・パブリッシング・カンパニー、イートン、Pa.、第963頁(1995年)
【非特許文献2】D.L.プロスカー及びD.ファルズ、Drugs、第52巻(第2号)、第232頁〜第253頁(1996年)
【非特許文献3】デフィナら、Ann. Pharmacother. 、第31巻(7〜8)、第819頁〜第822頁(1997年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、望ましくない副作用を除去又は低減させる代替的な薬物動態学的な放出挙動(release profile)を示すと共に容易かつ安価に製造できる徐放性配合剤、該配合剤の製造方法及び該配合剤の使用方法を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとする別の課題は、カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ニソルジピン等)の徐放性配合剤であって、心臓血管障害(特に、高血圧症)の処置において有効であると共に、既知の配合剤(例えば、「スラー」等)に比べて利点をもたらす該徐放性配合剤を提供することである。
【0012】
本発明が解決しようとするさらに別の課題は、カルシウムチャンネル遮断薬の徐放性配合剤であって、既知の配合剤(例えば、「スラー」等)に比べて、配合量が少ないにもかかわらず効能をもたらす該徐放性配合剤を提供することである。
【0013】
本発明が解決しようとするさらにまた別の課題は、カルシウムチャンネル遮断薬の徐放性配合剤であって、既知の配合剤(例えば、「スラー」等)における薬剤の生体内利用率に比べて、当該薬剤の生体内利用率を増大させる該徐放性配合剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるカルシウムチャンネル遮断剤含有徐放性経口投与用配合剤及び該配合剤の使用方法は、心臓血管障害、例えば、高血圧症、アンギナ及び心臓不整脈等を一日一回処置するために提供される。活性剤は、好ましくは、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネル遮断薬、例えば、ニソルルジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ニモジピン、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、及びこれらの薬学的に許容される塩である。好ましい実施態様においては、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネル遮断薬はニソルジピン、又はその類似体若しくは誘導体又はこれらの多形体である。該配合剤はいずれかの固体状の経口投与用剤型、例えば、錠剤又は小キャップ等として投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】3種類の試験配合剤(処置剤A、B及びC)と対照配合剤「スラー」(処置剤D)に関する空腹条件下でのニソルジピンの平均濃度の経時(単位:時間)変化を示すグラフである。
【図2】試験配合剤16−E(34mgのニソルジピン「スラー・ゲオマトリックス」;処置剤E)と対照配合剤(40mgのニソルジピン「スラー」(処置剤F)の投与に関する空腹条件下でのニソルジピンの平均濃度(ng/ml)の経時(単位:時間)変化を示すグラフである。
【図3】試験配合剤(8.5mgのニソルジピン「スラー・ゲオマトリックス」;処置剤G)と対照配合剤(10mgのニソルジピン「スラー」(処置剤H)の投与に関する空腹条件下でのニソルジピンの平均濃度(ng/ml)の経時(単位:時間)変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1つの実施態様においては、徐放性配合剤は、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ニソルジピン等)を含有するコア層又は中心層、及び該コア層又は中心層の上部又は下部に位置する少なくとも1つのバリヤー層であって、1種又は複数種の侵食性、膨潤性及び/又はゲル化性のポリマー物質を含有する該バリヤー層を保有する錠剤である。1種又は複数種のポリマーの濃度は、バリヤー層の重量に基づき約5重量%〜約90重量%、好ましくは約25重量%〜約75重量%である。好ましい実施態様においては、錠剤は、1つのコア層又は中心層と2つのバリヤー層から成る三層錠である。バリヤー層はコア層又は中心層の上下に配置される。これらのバリヤー層は、組成と厚さの点で、同一又は異なっていてもよい。コア層及び/又はバリヤー層は1種又は複数種の薬学的に許容される添加剤、賦形剤又はキャリヤーを含有していてもよい。
【0017】
コア層又は中心層は、カルシウムチャンネル遮断薬の放出を調整する(即ち、遅延及び/又は促進する)1種又は複数種のポリマー物質を含有していてもよい。この種のポリマー物質の濃度は、コア層又は中心層の重量に基づいて、約1重量%〜約90重量%、好ましくは、約10重量%〜約45重量%である。
【0018】
中心層及び/又はバリヤー層は、該ポリマー物質と協働してカルシウムチャンネル遮断薬の放出をさらに調整する1種又は複数種の補助剤も含有していてもよい。補助剤の濃度は、これらの層の組成物の重量に基づいて、約1重量%〜約25重量%、好ましくは、約5重量%〜約15重量%である。
【0019】
上記の配合剤は、コア層又は中心層からの活性剤の放出をさらに調整する1種又は複数種の放出調整被覆剤で被覆されていてもよい。適当な被覆剤には、味覚隠蔽被性覆剤、腸溶性被覆剤、持続性又は延長性被覆剤及び遅延性被覆剤等が含まれる。剤型は美的観点から被覆してもよい。例えば、剤型に色彩を施してもよく、あるいは、剤型に表面仕上げ剤を塗布してもよい。
【0020】
上記の配合剤は、当該分野において既知の他の薬剤送給配合剤におけるカルシウムチャンネル遮断薬の生体内利用率に比べて、カルシウムチャンネル遮断薬の生体内利用率の増大をもたらす。好ましい実施態様においては、配合剤は、コート−コア型薬剤「スラー」における同投与量のニソルジピンの場合に比べて、カルシウムチャンネル遮断薬であるニソルジピンの生体内利用率の増大をもたらす。
【0021】
1つの実施態様においては、配合剤は、1種又は複数種の徐放性をもたらす成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有する。1つの実施態様においては、配合剤は、40mgの投与量に基づいて、空腹条件下において、約3.85時間〜約15時間のカルシウムチャンネル遮断薬のTmax 及び約38hrng/ml〜約87hrng/mlのカルシウムチャンネル遮断薬のAUClast(投与から72時間後に測定したAUC)をもたらす。別の実施態様においては、配合剤は、40mgの投与量に基づいて、空腹条件下において、約3.85時間〜約15時間のカルシウムチャンネル遮断薬のTmax 及び約1.5ng/ml〜約6.5ng/mlのカルシウムチャンネル遮断薬のCmax をもたらす。
【0022】
本明細書に記載の徐放性配合剤は、当該分野において使用されている既知のカルシウムチャンネル遮断薬と比較した場合、低投与量のカルシウムチャンネル遮断薬を含有するが、類似の薬物動態学的挙動を示す。好ましい実施態様においては、徐放性配合剤は、「スラー」と比較した場合、低投与量のニソルジピンを含有するが、類似の薬物動態学的挙動を示す。
【0023】
1つの実施態様においては、40mgのニソルジピンを含有する三層錠剤(配合剤A)は、40mg「スラー」に比べて、約16%高いAUClast を示す。このことは、三層錠剤中のニソルジピンの投与量を約16%低減させることができ(即ち、34mgまで)、しかも有効量の薬剤が得られることを意味する。従って、本明細書において規定される配合剤の低減された生体内利用率等価性の投与量(例えば、8.5mg、17mg、25.5mg及び34mg)によって、「スラー」の投与量(10mg、20mg、30mg及び40mg)を置き換えることができる。この結果、所望の治療効果を得るために必要な投与量の低減化に起因して、配合剤の製造コストを低減させることができる。
【0024】
1.定義
本明細書において使用する「味覚隠蔽性被覆剤」という用語は、pHに左右される被覆剤であって、口の中では不溶であるが、胃の中の酸性pHの環境下では溶解する被覆剤を意味する。
【0025】
本明細書において使用する「延長放出性被覆剤」という用語は、pHに左右されない被覆剤であって、障壁として作用することによって、コア複合体から胃腸液中への薬剤の拡散を抑制する被覆剤を意味する。
【0026】
本明細書において使用する「腸溶性被覆剤」という用語は、胃内の酸性環境下においては実質上完全に影響を受けないで存在するが、腸内の中性環境下においては溶解する被覆剤を意味する。
【0027】
本明細書において使用する「遅延放出性被覆剤」という用語は、pHに左右される被覆剤であって、胃内の酸性pHの環境下及び小腸の上部から中部におけるpHの環境下においては不溶であるが、小腸の下部又は大腸の上部においては溶解する被覆剤を意味する。
【0028】
本明細書において使用する「Cmax」という符号は、血漿中における最大濃度を示す。特に言及しない限り、「Cmax」は、血漿中におけるカルシウムチャンネル遮断薬の最大濃度を示す。
【0029】
本明細書において使用する「Tmax」という符号は、血漿中における最大濃度に達するまでの時間を示す。特に言及しない限り、「Tmax」は、血漿中におけるカルシウムチャンネル遮断薬が最大濃度に達するまでの時間を示す。
【0030】
本明細書において使用する「λ」という符号は、排泄速度定数(elimination rate constant)を示し、また、本明細書において使用する「T1/2」という符号は、末期の半減期を示す。
【0031】
本明細書において使用する「AUClast」という符号は、時間0から定量可能な最後の濃度に達するまでの時間にわたる濃度−時間曲線の下部の面積を示す。特に言及しない限り、「AUClast」は、投与から72時間経過後に測定した「AUC」を示す。また、本明細書において使用する「AUCinf」という符号は、時間0から無限大へ外挿したときの血漿濃度−時間曲線の下部の面積を示す。
【0032】
本明細書において使用する「生体内利用率(bioavailability)」という用語は、薬剤製品からの活性成分又は活性剤の摂取速度と摂取量を示す。また、本明細書において使用する「生体内利用率等価性(bioequivalence)」という用語は、2種又はそれよりも多くの薬剤製品又は配合剤からの同じ薬剤成分の等価な放出を示し、これによって、これらの配合剤からの等価な吸収速度と吸収の程度がもたらされる。
【0033】
本明細書において使用する化合物の「類似体」という用語は、構造が異なる類似化合物を意味するが、必ずしも異性体である必要はない(例えば、5−フルオロウラシルはチミンの類似体である)。
【0034】
本明細書において使用する化合物の「誘導体」という用語は、類似の構造を有する別の化合物から1段階又は複数段階で調製してもよい化合物を意味する。誘導体には、一般的には、親化合物における1又は複数の官能基の付加及び/又は変性によって誘導される化合物が含まれる。
【0035】
本明細書において使用する「徐放性成分(controlled release element)」という用語な、配合剤からの活性剤の放出を調整する物質を示す。徐放性成分は、コア層及び/又はバリヤー層へ含有させてもよい。徐放性成分は、有機又は無機の天然物又は合成物であってもよく、この種の物質には、特に限定的ではないが、ポリマー物質、トリグリセリド、トリグリセリドの誘導体、脂肪酸、脂肪酸塩、タルク、小さな有機分子、該有機分子の塩、ホウ酸及びコロイドシリカ等が含まれる。
【0036】
本明細書において使用する「コート−コア(coat-core)ニソルジピン40mg錠剤」という用語は、「スラー」として市販されている薬剤の改良品に関する薬物動態と投与量を比較するための錠剤を示すもので、該錠剤は、そのコア中に8mgのニソルジピンを含有し、そのコート中に32mgのニソルジピンを含有する。
【0037】
II. 組成
カルシウムチャンネンル遮断薬を含有する徐放性配合剤及び該配合剤の使用方法は、心臓血管障害、例えば、高血圧症、アンギナ及び心臓不整脈等を一日一回処置する態様に関連して説明する。1つの実施態様においては、ジヒドロピリジンカルシウムチャンネル遮断薬を含有するコア層又は中心層並びに該中心層の上部及び/又は下部に配置される少なくとも1つのバリヤー層であって、1種又は複数種の侵食性、膨潤性及び/又はゲル化性のポリマーを含有する該バリヤー層を保有する多層錠剤である。類似の配合剤は、コントらによる次の米国特許の明細書に記載されている:第5626874号、第5422123号及び第6027748号。
【0038】
A.コア層又は中心層
1.カルシウムチャンネル遮断薬
錠剤のコア層又は中心層はカルシウムチャンネル遮断薬を含有する。1つの実施態様においては、カルシウムチャンネル遮断薬はジヒドロピリジンカルシウムチャンネル遮断薬である。適当なジヒドロピリジンカルシウムチャンネル遮断薬には、特に限定的ではないが、ニソルルジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ニモジピン、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、及びこれらの薬学的に許容される塩である。好ましい実施態様においては、カルシウムチャンネル遮断薬はニソルジピン、又はその誘導体、類似体又はこれらの多形体である。ニソルジピンの誘導体、例えば、m−ニソルジピン等は、ワングらによる次の文献に記載されている:J. Chrom. B 、第835巻、第71頁〜第76頁(2006年)。
【0039】
カルシウムチャンンエル遮断薬の濃度は、一般的には、錠剤の重量に基づいて、約0.1〜約90重量%、好ましくは約0.5〜約20重量%、より好ましくは約1〜約10重量%である。あるいは、カルシウムチャンネル遮断薬の濃度は、一般的には、コアの重量に基づいて、約0.1〜約90重量%、好ましくは約0.5〜約20重量%、より好ましくは約1〜約10重量%である。
【0040】
カルシウムチャンネル遮断薬はキラル(chiral)又はアキラル(achiral)であってもよい。キラル分子は単一のエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、又はラセミ混合物として存在していてもよい。本明細書において使用する「立体異性体」という用語は、同じ結合次数を有する同じ原子から構成される化合物であって、相互に交換できない原子の異なる三次元的配置を有する化合物を意味する。三次元的な構造は立体配置(configuration)と呼ばれる。本明細書において使用する「エナンチオマー」という用語は、相互に重ね合わすことができない鏡像関係示す2種の立体異性体を意味する。本明細書において使用する「光学異性体」という用語は、「エナンチオマー」という用語と等価である。
【0041】
本明細書において使用する「ジアステレオマー」という用語は、鏡像の関係になく、重ね合わすことができない2つの立体異性体を意味する。「ラセミ化合物」、「ラセミ混合物」、「ラセミ体」という用語は、等量部のエナンチオマーの混合物を意味する。「キラル中心」という用語は、4つの異なる基が結合した炭素原子を意味する。一対のエナンチオマーを分離するために必要な適当なキラル用のカラム、溶離液及び条件の選択は、標準的な技法を使用する当業者にとっては周知の技術的事項である。この点に関しては、例えば、次の文献を参照されたい:J.ジャッケスら、「エナンチオマー、ラセミ化合物及び分割」、ジョン・ウィレイ・アンド・サンズ社発行、1981年。
【0042】
本明細書において使用する「薬学的に許容される塩」という用語は、前述の化合物の誘導体であって、親化合物の酸付加塩又は塩基付加塩を形成させることによって親化合物を変性させた誘導体を意味する。薬学的に許容される塩には、特に限定的ではないが、アミンのような塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩、及びカルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩又は有機塩等が包含される。薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機酸又は有機酸から形成される親化合物の常套の非毒性塩又は第四アンモニウム塩が包含される。この種の常套の非毒性塩には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸等)から誘導される塩、及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸(pamoic acid)、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸及びイセチオン酸等)から誘導される塩が包含される。
【0043】
前記化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性部分又は酸性部分を有する親化合物から常套の化学的方法によって合成することができる。一般的には、この種の塩は、これらの化合物の遊離の酸性形態又は塩基性形態の化合物を化学量論量の適当な塩基又は酸と水中、有機溶剤中又はこれらの混合物中で反応させることによって調製することができる。この場合、反応媒体としては、一般的には非水性媒体、例えば、ジエチルエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリル等が好ましい。適当な塩のリストは下記の文献に記載されている:
1)「レミングトン製薬化学」第20版、リッピンコット・ウイリアムズ&ウィルキンス、バルチモア、MD、2000年、第704頁、及び
2)「製薬用塩類のハンドブック;特性、選択及び用法」、P.ハインリッヒ・スタール及びカミルG.ウェルムス編、ウィレイ−VCH、ヴァインハイム、2002年。
【0044】
本明細書において一般的に使用される「薬学的に許容される」という用語は、化合物、材料、組成物及び/又は剤型であって、健全な医療的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー性反応、又は合理的な便益/危険比に対応するその他の問題又は併発症を伴うことなくヒト又はその他の動物の組織と接触した状態で使用するために適した該化合物や材料等に関連して使用される。
【0045】
2.徐放性成分
コア層又は中心層は腸溶性物質を含有しており、該腸溶性物質は、配合剤が吸収窓(absorption window)へ達するまでは1種又は複数種の活性剤の放出を遅延させる。適当な腸溶性物質としては、特に限定的ではないが、下記のものが例示される:
セルロースアセテートフタレート、アルギネート、アルカリ可溶性アクリル樹脂、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリレート−メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセテートフタレート、及びスチロール−マレイン酸コポリマー等、並びにこれらの混合物。1つの実施態様においては、腸溶性物質はセルロースアセテートフタレートである。
【0046】
腸溶性物質の濃度は、組成物の重量に基づいて約0.1〜約20重量%、好ましくは約1〜15重量%、より好ましくは約5〜10重量%である。
【0047】
カルシウムチャンネル遮断薬のほかに、錠剤のコア層又は中心層は、カルシウム遮断薬の放出を調整する(即ち、遅延及び/又は促進する)1種又は複数種のポリマー物質を含有していてもよい。適当なこの種のポリマー物質としては、特に限定的ではないが、下記の物質が例示される:
架橋ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、
デンプン及びその誘導体、アクリル酸及びメタクリル酸のポリマー及びコポリマー、ポリエステル、酸無水物ポリマー、ポリメチルビニルエーテル/酸無水物コポリマー、ポリメチルビニルエーテル/酸無水物コポリマー、メタクリル酸カリウム/ジビニルベンゼンコポリマー、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、β−シクロデキストリン、及び線状及び/又は分枝状ポリマー鎖を有するシクロデキストリン誘導体。1つの実施態様においては、コア層又は中心層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する。
【0048】
この種のポリマー物質の濃度は、コア層の重量に基づいて約1〜約90重量%、好ましくは約10〜約45重量%である
【0049】
この種のポリマー物質は市販されており、この種の物質は化学物理的特性(例えば、溶解性及びゲル形成性等)の相違によって特徴付けることができる。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの侵食性、ゲル化性及び膨潤性はポリマーの分子量と置換度に基づいて変化させることができる。従って、当業者であれば、活性剤の所望の放出挙動(release profile)に基づいて、分子構造は同一であるが分子量及び/又は粘度が異なるポリマーから所望のポリマーを適宜選択することができる。
【0050】
1つの実施態様においては、コア層又は中心層は、カラーコン社(ウェストポイント、PA)製の市販品である「メトセル(Methocel)(登録商標)K4M」を含有する。該市販品は、次の特性を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースである:メトキシ含有量19〜24%、ヒドロキシプロポキシル含有量7〜12%、見掛け粘度2308〜3755mPa(回転式粘度計を用いて測定した値)。
【0051】
別の実施態様においては、コア層又は中心層は、カラーコン社(ウェストポイント、PA)製の市販品である「メトセルK100LV」を含有する。該市販品は、次の特性を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースである:メトキシ含有量19〜24%、ヒドロキシプロポキシル含有量7〜12%、見掛け粘度78〜117mPa(回転式粘度計を用いて測定した値)。
【0052】
3.別の活性剤
カルシウムチャンネル遮断薬は、1種又は複数種の付加的な活性剤と併用してもよい。適当な活性剤としては、特に限定的ではないが、次の活性剤が例示される:他の抗高血圧剤、例えば、ACEインヒビター、アンギオテンシン受容体インヒビター、β−遮断薬、及び他のカルシウムチャンネル遮断薬。
【0053】
B.バリヤー層
バリヤー層は、コア層又は中心層に含まれる活性剤の放出を、予め設定された時間にわたって阻害する作用をする。錠剤は1個又は複数個のバリヤー層を具有する。2個のバリヤー層が存在する場合、両方のバリヤー層は同一の組成若しくは異なる組成及び/又は同一の厚さ若しくは異なる厚さを有していてもよい。
【0054】
1つの実施態様においては、バリヤー層は1種又は複数種の膨潤性、侵食性及び/又はゲル化性のポリマーを含有する。1つの実施態様においては、膨潤性、侵食性及び/又はゲル化性のポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量平均分子量は約1000〜約4000000、より好ましくは約2000〜約2000000である。
【0055】
1つの実施態様においては、バリヤー層は、カラーコン社(ウェストポイント、PA)製の市販品である「メトセルE5」を含有する。該市販品は、次の特性を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースである:メトキシ含有量28〜30%、ヒドロキシプロポキシル含有量7〜12%、見掛け粘度4.2〜6.1mPa(回転式粘度計を用いて測定した値)。
【0056】
別の実施態様においては、バリヤー層は、カラーコン社(ウェストポイント、PA)製の市販品である「メトセルE50」を含有する。該市販品は、次の特性を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースである:メトキシ含有量28〜30%、ヒドロキシプロポキシル含有量7〜12%、見掛け粘度39〜59mPa(回転式粘度計を用いて測定した値)。
【0057】
別の実施態様においては、第1のバリヤー層は「メトセルE5」を含有し、第2のバリヤー層は「メトセルE50」を含有する。
【0058】
上記以外の適当なポリマーとしては、特に限定的ではないが、下記のポリマーが例示される:
カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、キサンタン、アルギニン酸とその誘導体、酸無水物ポリマー、ポリアミノ酸、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロースとその誘導体、エチルセルロース、メチルセルロース、及びその他のセルロース系ポリマー。
【0059】
この種のポリマーの含有量は、バリヤー層の重量に基づいて約5〜約90重量%、好ましくは約25〜約75重量%である。
【0060】
C.その他の放出調整剤
コア層及び/又はバリヤー層は、活性剤の所望の放出挙動に基づいて、上記のポリマー物質と協働して活性剤の放出をさらに調整する1種又は複数種の補助剤を含有していてもよい。適当な補助剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:
グリセリルモノステアレート、トリグリセリド誘導体、半合成グリセリド、水素化ヒマシ油、グリセリルパルミトステアレート、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、グリセロール、エチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、当業者には周知のその他の天然物又は合成物、及びこれらの混合物。その他の適当な補助剤には、特に限定的ではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、安息香酸ナトリウム、ホウ酸、ポリオキシエチレングリコール、及びコロイドシリカ等が包含される。
【0061】
補助剤の濃度は、当該組成物の重量に基づいて、約1〜約25重量、好ましくは約5〜約15重量%である。
【0062】
D.添加剤、賦形剤及びキャリヤー
配合剤は、安全で有効であると考えられる物質であって、望ましくない生物学的副作用又は望ましくない相互作用をもたらすことなく患者へ投与できる物質から構成される薬学的に許容されるキャリヤーを使用することによって調製してもよい。キャリヤーは、薬学的配合剤中に包含される1種又は複数種の活性剤以外の全ての成分である。本発明において一般的に使用される「キャリヤー」としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:
可塑剤、希釈剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、pH調整剤、付着防止剤、崩壊剤、充填剤、顔料、着色剤、安定剤、調味剤、滑剤(glidant)及びこれら混合物。
【0063】
適当な可塑剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:
水素化ヒマシ油、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、脂肪酸、グリセリドとトリグリセリド及びこれらの誘導体、並びにポリオキシエチレングリコール及びその誘導体。
【0064】
希釈剤(充填剤とも呼ばれる)は、固体状剤型のバルクを増大させることによって、錠剤の圧縮成形又はビーズや顆粒の成形のために実用的なサイズの剤型が得られるようにするために必要である。適当な希釈剤としては、特に限定的ではないが、下記のものが例示される:
リン酸ジカルシウム二水和物、硫酸カルシウム、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、微晶質セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、加水分解デンプン、予備ゼラチン化デンプン、二酸化ケイ素、酸化チタン、マグネシウムアルミニウムシリケート、及び粉状糖。
【0065】
最初の投与段階において放出される活性成分の量は、同じ活性成分の溶解度によって明らかに左右される層マトリックスの構成成分と露出表面が調整されるように設定してもよい。
【0066】
結合剤は、固体状の投与配合剤へ凝集性を賦与することによって、錠剤又はビーズ若しくは顆粒が、剤型が形成された後においても確実に保持されるようにするために使用される。適当な結合剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:
デンプン、予備ゼラチン化デンプン、ゼラチン、糖(スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトース及びソルビトールを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然ゴム及び合成ゴム(例えば、アラビアゴム、トラガカントゴム等)、アルギン酸ナトリウム、セルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースを含む)、ヴィーガム(veegum)、及び合成ポリマー(例えば、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリアクリル酸/ポリメタクリル酸及びポリビニルピロリドン等)。
【0067】
滑剤は、錠剤の製造を促進するために使用される。適当な滑剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:
ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、グリセロールベヘネート、ポリエチレングリコール、タルク及び鉱油。
【0068】
崩壊剤は、投与後の剤型の崩壊又は「分解(breakup)」を促進させるために使用される。一般的には、このような崩壊剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:
デンプン、ナトリウムデンプングリコレート、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、予備ゼラチン化デンプン、クレー、セルロース、アルギニン、ゴム又は架橋ポリマー、例えば、架橋PVP(GAFケミカル社製の「ポリプラスドンXL」)。
【0069】
安定剤は、薬剤の分解反応(例えば、酸化反応を含む)を抑制又は遅延させるために使用される。
【0070】
界面活性剤はアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤又はノニオン界面活性剤であってもよい。適当なアニオン界面活性剤には、特に限定的ではないが、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン又はスルフェートイオンを含有するアニオン界面活性剤が包含され、この種の界面活性剤としては下記のものが例示される:
長鎖アルキルスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、アルキルアリールスルホネート(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、ジアルキルナトリウムスルホスクシネート(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、ジアルキルナトリウムスルホスクシネート(例えば、ナトリウムビス−(2−エチルチオキシル)−スルホスクシネート)、及びアルキルスルフェート(例えば、ナトリウムラウリルスルフェート)。
【0071】
カチオン界面活性剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:
第四アンモニウム化合物、例えば、ベンズアルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレン及びココナツアミン。
【0072】
ノニオン界面活性剤としては、次のものが例示される:
エチレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールミリステート、グリセリルモノステアレート、グリセリルステアレート、ポリグリセリル−4−オレエート、ソルビタンアシレート、スクロースアシレート、PEG−150ラウレート、PEG−400モノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG−1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、「ポロキサマー(Poloxamer)(登録商標)401」、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、及びポリオキシエチレン水素化獣脂アミド。
【0073】
両性界面活性剤としては、次のものが例示される:
ナトリウムN−ドデシル−β−アラミン、ナトリウムN−ラウリル−β−イミノジプロピオネート、ミリストアンフォアセテート、ラウリルベタイン、及びラウリルスルホベタイン。
【0074】
所望により、錠剤は、少量の非毒性助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤、染料、pH緩衝剤又は防腐剤等も含有していてもよい。
【0075】
E.放出調整被覆剤
本明細書に記載の固体状剤型としての組成物は、1種又は複数種の放出調整性被覆剤によって被覆されていてもよい。この種の被覆剤は、コア層又は中心層からの活性剤の放出をさらに調整する。この種の被覆剤としては、特に限定的ではないが、下記のものが例示される:
1)胃内の酸性媒体に溶解するか、又は該酸性媒体を透過させる被覆剤(即ち、味覚隠蔽性被覆剤及び即時放出性被覆剤)、
2)胃内の酸性媒体には溶解しないが、小腸内の中性環境下においては溶解する被覆剤(即ち、腸溶性被覆剤)、
3)胃の内部及び小腸の上部から中間部における環境下においては溶解しないが、小腸の下部又は大腸の上部の環境下においては溶解する被覆剤(即ち、遅延放出性被覆剤)
4)上記の被覆剤の混合被覆剤。
このようにして調製される剤型は美的観点から、例えば、着色処理に付してもよく、あるいは、表面仕上げ処理に付してもよい。
【0076】
1.即時放出性被覆剤
即時放出性被覆剤は、口腔内の唾液と接触したときに溶解するか、又は口腔内の中性のpH領域内においては溶解しないが、胃内の低いpH領域内においては溶解するようなポリマーから形成される。
【0077】
口の中で溶解する被覆剤は、粘膜に付着するような特性を有していてもよく、このような特性に起因して、頬側表面、舌下表面又はその他の口腔内表面と薬剤粒子との接触時間が延長されて活性剤の吸収量が増大する。多数の粘膜付着性ポリマーが知られており、この種のポリマーは高密度のカルボキシル基によって特徴付けられる。この点に関しては、例えば、マチオビッツらによる次の米国特許の明細書を参照されたい:第6235313号及び第5955096号。
【0078】
胃内で溶解する被覆剤は、味覚隠蔽性のような特性を賦与するために一般的に使用されている。カチオン性ポリマーである「ユードラジット(Eudragit)(登録商標)E100」(ローム・ファーマ社の市販品)はアミノ基を有する。従って、該ポリマーから調製される膜は唾液の中性媒体中では溶解しないが、胃内の酸性環境下においては塩形成によって溶解する。この種の膜状被覆剤(厚さ:約10μm)は、薬剤の摂取又は飲み込みに際して該薬剤が口の中で溶解することによってもたらされる苦み又は不快な味を伴う投薬から保護する。この保護膜は胃内での酸性条件下において迅速に溶解し、剤型から活性剤を放出させる。被覆剤組成物は常套の添加剤、例えば、可塑剤、顔料、着色剤、安定剤及び滑剤等を含有していてもよい。
【0079】
2.持続放出性又は遅延放出性被覆剤
活性剤の持続放出又は遅延放出は、薬剤−樹脂複合体粒子上に拡散に対して障壁となる被覆層を設けることによって可能となる。適当な被覆剤としては、特に限定的ではないが、下記のものが例示される:
ローム・ファーマ社から「ユードラジット」の商品名で市販されているコポリマー、例えば、ポリ(エチルアクリレート−メチルメタクリレート−トリエチルアンモニオエチル−メタクリレートクロリド)(ユードラジットRS及びユードラジットRL)及びポリ(エチルアクリレート−メチルメタクリレート)(ユードラジットNE)。この種のポリマーの水性分散液は、ローム・ファーマ社から「ユードラジットRS30D」、「ユードラジットRL30D」及び「ユードラジットNE30D」の商品名で市販されている。
【0080】
この種のポリマーは単独又は混合物として使用してもよく、あるいは、可塑剤(例えば、トリエチルシトレート等)、顔料及びその他の成分との混合物として使用することによって被覆剤の特性を改変してもよい。一般に、被覆剤の大部分の成分は水中では溶解しないが、水を透過させるべきである。しかしながら、水溶性成分(例えば、メチルセルロース等)を配合することによって、被覆剤の透過性を改変することが望ましいこともある。
【0081】
被覆剤は水性懸濁液として適用される。被覆剤組成物は常套の添加剤(例えば、可塑剤、顔料、着色剤、安定剤及び滑剤等)を含有していてもよい。可塑剤は、通常は被覆剤の脆性を低減させるために使用され、その配合量は、一般的には、ポリマーの乾燥重量に基づいて約10〜50重量%である。代表的は可塑剤としては、特に限定的ではないが、下記のものが例示される:
ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、トリエチルアセチルシトレート、ヒマシ油、及びアセチル化モノグリセリド。
【0082】
安定剤は、分散液中の粒子を安定化させるために使用してもよい。代表的な安定剤はノニオン性乳化剤、例えば、ソルビタンエステル、ポリソルベート、及びポリビニルピロリドン等である。滑剤は、フィルム形成中又は乾燥中の粘着効果を低減させるために推奨され、その使用量は、一般的には、被覆溶液中のポリマーの重量に基づいて約25〜100重量%である。1つの有効な滑剤はタルクである。その他の滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム及びグリセロールモノステアレート等を使用してもよい。二酸化チタンのような顔料を使用してもよい。少量の消泡剤、例えば、シリコン(例えば、シメチコン等)も被覆組成物へ添加してもよい。
【0083】
3.腸溶性被覆剤
腸溶性被覆剤で被覆された剤型は下記の文献等に記載の方法によって調製することができる:
1)「薬学的剤型である錠剤」、リバーマンら編、(ニュウヨーク、マルセル・デッカー社発行;1989年)
2)「レミングトン:薬学の科学とプラクティス」、第20版、リッペンコット・ウイリアムズ&ウィルキンス編、バルチモア、MD、2000年
3)「薬学的剤型と薬剤輸送系」、第6版、アンセルら編(メジア、PA;ウイリアムズ&ウィルキンス、1995年)。
【0084】
適当な腸溶性被覆剤としては、特に限定的ではないが、下記のものが例示される:
1)セルロースポリマー、例えば、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;
2)ポリビニルアセテートフタレート、アクリル酸のポリマー及びコポリマー、及び「ユードラジット」の商品名で市販されているメタクリル樹脂(ローム・ファーマ社製)。
【0085】
さらに、被覆剤は常套のキャリヤー、例えば、可塑剤、顔料、着色剤、滑剤、安定剤及び界面活性剤等を含有していてもよい。
【0086】
III. 製造方法
本明細書に記載の組成物は、当該分野において周知の技法を用いて製造することができる。多層錠剤は、圧縮成形法によって製造してもよい。圧縮成形法においては、コア層及び1個又は複数個のバリヤー層を別々に調製した後、多層錠剤プレスを用いてこれらの層を圧縮する。あるいは、別々に調製したコア層へバリヤー層をブレンドとして添加して得られる組成物を圧縮することによって錠剤を形成させてもよい。
【0087】
本明細書に記載の剤型の幾何学的形態は、所望の放出挙動のタイプに応じて変化させてもよい。最も簡単な形態においては、剤型は一体構造のコアから成る。あるいは、コアは、1種又は複数種の薬学的活性成分を各層中に含有する多層のうちの1層から成っていてもよい。この種のタイプの剤型は、コントらによる次の米国特許の明細書に記載されている:第5626874号、第5422123号及び第6027748号。
【0088】
あるいは、1個又は複数個の層は活性剤を含有していなくてもよい。各層は、同一又は異なる放出調整性成分と賦形剤を含有していてもよい。別の実施態様においては、剤型は多重粒子系であってもよい。各粒子は、同一又は異なる薬学的活性成分及び同一又は異なる放出調整性成分と補助薬を含有していてもよい。好ましい剤型においては、コアは多層である。例えば、2層又は3層を有するコアにおいては、1又は複数の層は薬学的活性剤を含有し、他の層は薬学的活性剤を含有しない。特に好ましい実施態様においては、剤型は3層から成るコアを具有し、このうちの内層は薬学的活性剤を含有するが、他の2つの外層は薬学的活性剤を含有しない。
【0089】
上記の配合剤は、当該分野において周知の技法を用いて、コア層を少なくとも部分的に覆う膜コートで被覆することができる。被覆剤は固体として適用するか、又は水性懸濁液若しくは有機溶液として適用することができる。被覆剤の適当な適用法としては、特に限定的ではないが、噴霧被覆法、パン(pan)被覆法、流動床被覆法、及び圧縮被覆法等が例示される。
【0090】
コア又は中心層
高剪断ミキサーを用いて薬剤と界面活性剤を1〜5分間(好ましくは2分間)混合する。賦形剤、例えば、ラクトース1水和物、ポビドン、メタクリル酸コポリマー、ハイプロメロース(hypromellose)タイプ2208等を該高剪断ミキサー内へ添加し、混合処理を5〜15分間(好ましくは10分間)行う。ポビドンを純水中へ溶解させ、該溶液中へナトリウムラウリルスルフェートを添加することによって、結合溶液を調製する。該結合溶液を高剪断ミキサー内へ添加し、混合処理を手短に(例えば、1〜5分間、好ましくは約2分間)行う。得られた粗砕物を混練した後、流動床乾燥機内へ移して乾燥させる。乾燥後、粗砕物を微粉砕処理に付す。粗砕物の微粉砕処理物の全部又は一部を拡散ブレンダー内へ移し、賦形剤、例えばコロイド状の二酸化ケイ素等を該ブレンダー内へ添加した後、混合処理を、例えば20分間行う。所望により、賦形剤、例えばステアリン酸マグネシウム等を、当該混合物5%と手動によって予め混合し、得られる混合物を上記の粗砕物の微粉砕処理物中へ添加し、混合処理を、例えば10分間行う。
【0091】
バリヤー層
賦形剤、例えば、ラクトース1水和物、グリセリルベヘネート、酸化第二鉄(イェロー)、ポビドン、ハイプロメロースタイプ2910(「メトセルE4M」)及び所望によるハイプロメロースフタレートを高剪断ミキサー内へ導入し、混合処理を、例えば、5〜15分間(好ましくは6分間)行う。得られる混合物中へ純水を添加し、混練処理を約2分間行う。得られる粗砕物を流動床乾燥機内へ移し、2.5%未満のLODが得られるまで乾燥処理に付す。乾燥後、粗砕物を、振動ミルを用いる微粉砕処理に付す。微粉砕処理後、粗砕物の微粉砕処理物の半分を拡散ブレンダー内へ移し、コロイド状の二酸化ケイ素を該ブレンダー内へ添加した後、残りの微粉砕処理物を添加し、得られる混合物を混合処理に、例えば、20分間付す。バインダーを前述のようにして調製し、該バインダーをバリヤー層中へ添加する。
【0092】
錠剤化
中心層とバリヤー層をハタ(HATA)社製多層錠剤プレス内へ導入してプレス処理をおこなうことによって、三層錠が調製される。
【0093】
膜コート
膜コートは、標準的技法を用いて錠剤へ塗布する。腸溶性コートの場合、メーカーの使用説明書に従う。
【0094】
IV. 投与方法
本明細書に記載の組成物は、種々の心臓血管障害、例えば、高血圧症、アンギナ及び心臓不整脈等を処置するために投与することができる。好ましい適用対象はヒトであるが、一般的には、家畜を含む哺乳類、例えば、イヌやネコ等へ投与してこれらの動物を処置してもよい。組成物は、一般的には、錠剤形態で経口投与される。組成物は一回投与量又は漸増的投与量で投与することができ、又は高投与量で投与し、次いで活性剤の循環血液中の濃度が特定の値に達した後は低投与量で投与することができる。
【0095】
当業者であれば、投与されるべき化合物の生体内利用率と半減期に基づいて、投与プロトコルを選定し、適当な投与計画を決定することができる。当業者であれば、カルシウムチャンネル遮断薬の適当な投与量を、一般的行われている実験手法及び現在認可されている投与量を利用する標準的技法を使用することによって決定することができる。当該分野においては、症状の苛酷性に応じた患者自身の変動性が知られており、投与量は、特定の患者において特定の治療効果が得られるように一般的に調整される。
【0096】
開示された被投与化合物の多くに対する適当な投与量の範囲は、該化合物の循環血液中の濃度を最大にすると共に副作用を最小にするように確立されている。一般的には、カルシウムチャンネル遮断薬は、患者の体重1kgあたり約0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mg、より好ましくは0.1〜1.0mgの濃度で投与することができる。カルシウムチャンネル遮断薬の一日あたりの好ましい投与量は、約1〜100mg、好ましくは2.5〜50mgである。ニソルジピンの一日あたりの好ましい投与量は、約5〜50mgである。
【0097】
A.薬物動態学的パラメーター
本明細書に記載の組成物は、放出の遅いコアと即時放出性コートを含む対照配合剤(コート−コア)におけるカルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ニソルジピン)の同じ投与量に比べて、高い生体内利用率(血漿中の薬剤濃度−時間曲線の下の面積(AUC)によって測定される)をもたらす。好ましい実施態様においては、本明細書に記載の組成物は、「スラー」における同じ薬剤の投与量に比べて、ニソルジピンの生体内利用率の増大をもたらす。別の実施態様においては、本明細書に記載の組成物は、低投与量のニソルジピンを含有するにもかかわらず、「スラー」と類似の薬物動態学的挙動を示す。
【0098】
例えば、ニソルジピンを40mg含有する三層錠(配合剤A)は、「スラー40mg」に比べて、「AUClast」を約16%増大させる。このことは、三層錠中のニソルジピンの投与量を約16%低減させることができ(即ち、34mgまで)、しかも有効量の該薬剤が投与されることを示す。従って、10mg、20mg、30mg及び40mgの「スラー」の投与濃度は、生体内利用率が等価な低減化投与濃度(例えば、8.5mg、17mg、25.5mg及び34mg)の本願明細書に記載の組成物で置き換えることができる。これによって、所望の治療効果を得るために必要な投与量の低減化に起因して、製造コストの低下がもたらされる。
【0099】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を40mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約3.85〜約15時間のTmax 及び約38〜約87hrng/mlのAUClastをもたらす。
【0100】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を40mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約3.85〜約15時間のTmax 及び約1.5〜約6.5ng/mlのCmaxをもたらす。
【0101】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を40mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約41.8〜約103.8hrng/ml、好ましくは約38〜約87hrng/mlのAUCinfをもたらす。
【0102】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を34mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約0.23〜約7.35ng/mlのCmaxをもたらす。
【0103】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を34mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約4〜約14.5時間、好ましくは約8〜約10時間のTmaxをもたらす。
【0104】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を34mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約27〜約102hrng/ml、好ましくは約28〜約97.5hrng/mlのAUCinfをもたらす。
【0105】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を25.5mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約0.17〜約5.5ng/mlのCmaxをもたらす。
【0106】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を25.5mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約21〜約76.5hrng/ml、好ましくは約20〜約73hrng/mlのAUCinfをもたらす。
【0107】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を17mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約0.11〜約3.66ng/mlのCmaxをもたらす。
【0108】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を17mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約14〜約51hrng/ml、好ましくは約13〜約48hrng/mlのAUCinfをもたらす。
【0109】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を8.5mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約0.014〜約1.7ng/mlのCmaxをもたらす。
【0110】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を8.5mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約4.5〜約12.7時間、好ましくは約8〜約10時間のTmaxをもたらす。
【0111】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、断食条件下において、投与量を8.5mgとしたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約4.3〜約23.25hrng/ml、好ましくは約4.1〜約22.4hrng/mlのAUCinfをもたらす。
【0112】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、給食条件下において、投与量を40mg未満としたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約5〜約13ng/mlのCmaxをもたらす。
【0113】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、給食条件下において、カルシウムチャンネル遮断薬の投与量を40mg未満としたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約3.7〜約8.6時間のTmaxをもたらす。
【0114】
別の実施態様においては、本願明細書に記載の組成物は1種又は複数種の徐放性成分を、カルシウムチャンネル遮断薬を徐放させるために有効な量で含有し、該組成物は、給食条件下において、カルシウムチャンネル遮断薬の投与量を40mg未満としたときに、カルシウムチャンネル遮断薬に関して、約31〜約66hrng/ml、好ましくは約31〜約62.5hrng/mlのAUCinfをもたらす。
本発明を、以下の非制限的な実施例によってさらに説明する。
【実施例1】
【0115】
ニソルジピンを40mg含有する三層錠
各々が40mgのニソルジピンを含有する3種類の異なる配合剤を調製した。これらの配合剤は、配合剤A、配合剤B及び配合剤Cと命名し、以下の表1〜表3に示す。配合剤Cは腸溶性被覆剤で被覆した(重量増加:5%)。該腸溶性被覆剤は「ユードラジットS100」(メタクリル酸コポリマーB型)及び「ユードラジットL100」(メタクリル酸コポリマーA型)を含有する。配合剤A及びBは、カラーコン社(ウェストポイント、PA)の市販品「オパドライ(OPADRY)(登録商標)IIシールコート」を用いて被覆した。
【0116】
【表1】

【0117】
【表2】

【0118】
【表3】

【0119】
前記の配合剤は以下のようにして調製した。
コア層又は中心層
1.高剪断ミキサーを用いてニソルジピン及びナトリウムラウリルスルフェートを2分間混合した。ラクトース1水和物、ポビドン、メタクリル酸コポリマー(B型)及びハイプロメロース2208型(「メトセルK4M」)を該高剪断ミキサー内へ添加し、混合処理を10分間おこなった。
2.ポビドンを純水中へ溶解させ、該溶液中へナトリウムラウリルスルフェートを添加することによって、結合溶液を調製した。この混合物を適当なタンク内において、脱泡が完結するまで放置した。
3.ステップ1において得られた混合物を保有する高剪断ミキサー内へ結合溶液を添加し、混合処理を2分間おこなった。得られた粗砕物を混練した後、流動床乾燥機内へ移し、2.5%未満のLODが得られるまで乾燥処理に付した。乾燥後、粗砕物を、振動ミルを用いる微粉砕処理に付した。
【0120】
4.粗砕物の微粉砕処理物の半分を拡散ブレンダー内へ移した。コロイド状の二酸化ケイ素を該ブレンダー内へ添加した後、残りの微粉砕処理物を添加した。得られた混合物を混合処理に20分間付した。
5.ステアリン酸マグネシウムを、ステップ4で得られた混合物5%と手動によって予め混合した。このプレミックスを拡散ブレンダー内に存在する粗砕物の微粉砕処理物へ添加し、混合処理を10分間おこなった。
【0121】
バリヤー層
1.ラクトース1水和物、グリセリルベヘネート、酸化第二鉄(イエロー)、ポビドン、ハイプロメロース2910型(「メトセルE4M」)及び所望によるハイプロメロースフタレートを高剪断ミキサー内へ導入し、混合処理を6分間おこなった。
2.ステップ1で得られた混合物中へ純水を添加し、混練処理を約2分間おこなった。
3.得られた粗砕物を流動床乾燥機内へ移し、2.5%未満のLODが得られるまで乾燥処理に付した。乾燥後、粗砕物を、振動ミルを用いる微粉砕処理に付した。
【0122】
4.微粉砕処理後、粗砕物の微粉砕処理物の半分を拡散ブレンダー内へ移した。コロイド状の二酸化ケイ素を該ブレンダー内へ添加した後、残りの微粉砕処理物を添加した。得られた混合物を混合処理に20分間付した。
5.ステアリン酸マグネシウムを、ステップ4で得られた混合物5%と手動によって予め混合した。このプレミックスを拡散ブレンダー内に存在する粗砕物の微粉砕処理物へ添加し、混合処理を10分間おこなった。
【0123】
錠剤化
中心層とバリヤー層をハタ社(HATA)製の多層錠剤プレス内へ導入してプレス処理をおこなうことによって、三層錠を調製した。
【0124】
膜コート(配合剤A及びB)
563mgの錠剤上に膜コートを形成させた(重量増:5%)。オパドライII 膜コート組成物は、カラーコン社(ウェストポイント、ペンシルヴァニア)から入手した。次の4種の異なる被覆組成物を使用した:「49B97383ベージュ」、「49B97382ベージュ」、「49B92439イエロー」及び「49B97379ベージュ」。これらの全ての膜コート組成物は、ポリデキストロースFCC、HPMC2910/ハイプロメロース3cP、HPMC2910/ハイプロメロース6cP、二酸化チタン、HPMC2910/ハイプロメロース15cP、マクロゴル/PEG、酸化鉄イエロー、及びカルナウバワックスを含有する。これらのコート組成物は、酸化鉄ブラック、酸化鉄レッド及びFD&Cイエロー#5/タルトラジンアルミニウムレーキが存在するか、又は存在しないかによって異なる。メーカーによる指示に従って、錠剤を被覆した。
【0125】
腸溶性被覆剤(配合剤C)
1.水酸化カリウムを、撹拌下において純水中へ溶解させることによって1N溶液を調製した。
2.メタクリル酸コポリマーB型(ユードラジットS100)を、渦流状態の純水中へゆっくりと添加し、該コポリマーが溶解するまで混合処理を続行した。
3.ステップ1で調製した水酸化カリウムの1N溶液を、ステップ2で調製した溶液中へ添加し、得られた混合物を穏やかに撹拌した。
4.トリエチルシトレートを、ステップ3で調製した溶液中へ添加し、得られた混合物が均一になるまで撹拌処理をおこなった。
【0126】
5.メタクリル酸コポリマーA型(ユードラジットL100)を用いて上記のステップ1〜4を繰り返しておこなうことによって、均一な混合物を調製した。
6.ステップ4で調製した溶液を撹拌容器内へ導入してゆっくりと撹拌した。ステップ5で調製した溶液を該混合容器内へ導入し、得られた混合物を所望の時間にわたって混合した。
7.配合剤Cから調製された錠剤を、グラット社(Glatt)製のパンコーター(pan coater)を使用することにより、被副層で被覆した。
【実施例2】
【0127】
ニソルジピンを40mg含有する延長放出性錠剤に関する空腹条件下での相対的生体内 利用率の検討
実施例1に記載の配合剤A〜Cの薬物動態学的パラメーターを、対照配合剤(配合剤D)の薬物動態学的パラメーターと比較した。対照配合剤としては、「スラー」(ニソルジピンを40mg含有するニソルジピン延長放出性配合剤)を使用した。「スラー」は、ニソルジピンを含有するコアを、ニソルジピン含有即時放出性被覆剤で被覆して成るコート−コア配合剤である。「スラー」の配合成分とこれらの濃度を以下の表4に示す。
【0128】
単一投与による開放ラベル(open-label)を用いる無作為化試験(randomized study)の目的は、健康な被検者に対して空腹条件下において、実施例1に記載の延長放出性錠剤(ニソルジピン40mg含有)である試験配合剤を投与したときの吸収速度と経口的生体内利用率を、市販の対照配合剤(「スラー40mg延長放出性錠剤」)を等価量で経口投与したときの対応するパラメーターと比較することである。
【0129】
【表4】

【0130】
32人の健康な成人が、実施例1に記載のニソルジピンを40mg含有する錠剤である3種の配合剤と「スラー」を比較するための試験に参加した。31人の被検者が試験の最初から最後まで参加した。無作為化計画に従って、被検者は第1の期間中において指定された処置を受け、その後の期間中においては別の処置を受けた。投与日の間には、少なくとも7日間の洗浄期間を介在させることによって間隔を設定した。同じ数の被検者を無作為に指定し、各人に対して可能な順序の処置をおこなった。薬剤の投与は、実施例1に記載の配合剤及び「スラー」を空腹条件下で経口投与することによっておこなった。
【0131】
血液試料は、投与の前(前投与)と投与から1時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、7.5時間後、9時間後、10.5時間後、12時間後、14時間後、16時間後、18時間後、20時間後、21時間後、23時間後、24時間後、26時間後、28時間後、30時間後、36時間後、及び48時間後に採取した。
【0132】
血漿試料は、セドラ・コーポレーション(CEDRA Corporation)によって分析された。この場合、認定されているLC−MS−MS手法を使用した(ニソルジピンの定量下限:0.0150ng/ml)。データはワトソンLIMSシステム(サーモ・エレクトロン・コーポレーションヴァージョン6.4.0.02)に保存した。
【0133】
当該試験に最初から最後まで参加した全被検者から得られたデータは薬物動態学的分析と統計的分析に供した。濃度−時間データはワトソンLIMSシステムから「ウィンノンリン」(エンタープライズヴァージョン4.0;ケアリー、NC)へ直接的に変換させた。この場合、分析用のカスタム・ケリー・ビルダーオプションを使用した。データは「ウィンノンリン」における非区画化法によって分析した。データの合計化と記述統計においては、濃度−時間データ(BLQ:<0.0150ng/ml)はゼロ(0.00ng/ml)として処理した。薬物動態学的分析においては、0時間から最初の定量化濃度が測定されて組み込まれる時までのBLQ濃度はゼロとして処理し、及び/又は最後のBLQ濃度は「ミッシング(missing)」として処理した。全ての薬物動態学的分析と統計的分析においては、完全に正確な濃度に関するデータを使用した。
【0134】
各々の被検者と試験段階に関して、以下の薬物動態学的パラメーターを計算し、次のデータを下記の表5に示す:血漿中の最大濃度(Cmax)、最大濃度に達するまでの時間(Tmax)、排泄速度定数(λ)、末期の半減期(T1/2)、0時間から最後の濃度定量時間までの濃度−時間曲線の下部面積(AUClast)、及び0時間から無限大へ外挿させたときの血漿濃度−時間曲線の下部面積(AUCinf)。配合剤Aはさらなる試験のために選択した。
【0135】
【表5】

【0136】
配合剤Aと対照配合剤(配合剤D)に関する薬物動態学的パラメーターの比較データを以下の表6に示す。
【0137】
【表6】

【0138】
配合剤A及び対照配合剤(配合剤D)を投与した後の変換しない薬物動態学的パラメーターの統計的分析に関するデータを以下の表7に示す。
【0139】
【表7】

【0140】
5%の有意水準におけるシュアマンの2つの片側t−検定法及び分散分析法(ANOVA;analysis of variance)を、対数変換した薬物動態学的な暴露パラメーター(exposure parameter)であるCmax、AUClast、及びAUCinfに適用した。試験配合剤と対照配合剤に関する平均値間の差に対する90%信頼区間を計算した。対数変換したパラメーターの下方と上方の信頼区間が80〜125%の範囲内にあるときには、生体内利用率等価性があるとした。図1は、空腹条件下における3種の試験配合剤(処置剤A、B及びC)及び対照配合剤「スラー」(処置剤D)に関するニソルジピンの平均濃度の経時(単位:時)的変化を示すグラフである。対照配合剤は、約6時間後にニソルジピンの最大平均濃度を示した。これとは対照的に、処置剤A及びBは、約12時間後にニソルジピンの最大平均濃度を示した。一方、処置剤Cは、24時間経過後にニソルジピンの最大平均濃度を示した。
【0141】
【表8】

【実施例3】
【0142】
ニソルジピンを40mg含有する延長放出性錠剤についての給食条件下での相対的生体 内利用率に関する試験
この試験の目的は、実施例に記載の配合剤Aに対する食物効果と市販の配合剤「スラー」に対する食物効果を比較することである。配合剤Aと「スラー」に対する食物効果を測定するために、これらの2種の配合剤に関して実施例2において空腹条件下で得られた薬物動態学的データを対照として使用した。実施例2における試験に参加した被検者と同じ32人の被検者が、食物効果に関する試験に参加した。
【0143】
26人の被検者が当該試験に最初から最後まで参加した。無作為化計画に従って、被検者は第1の期間中において指定された処置を受け、その後の期間中においては別の処置を受けた。投与日の間には、少なくとも7日間の洗浄期間を介在させることによって間隔を設定した。同じ数の被検者を無作為に指定し、各人に対して可能な順序の処置をおこなった。血液試料の採取と分析は、実施例2に記載のようにしておこなった。
【0144】
配合剤A(処置剤E)及び対照配合剤(ニソルジピンを40mg含有する延長放出性配合剤「スラー」)に関する給食条件下での薬物動態学的データを以下の表9に示す。
【0145】
【表9】

【0146】
給食条件下において、試験配合剤Aを投与した後(処置剤E)又は対照配合剤を投与した後(処置剤F)におけるニソルジピンに関する薬物動態学的パラメーターの非変換データを表10に示す。
【0147】
【表10】

【0148】
給食条件下において、試験配合剤Aを投与した後(処置剤E)又は対照配合剤を投与した後(処置剤F)におけるニソルジピンに関する系統的なパラメーターの対数変換データの統計的分析データを以下の表11に示す。
【0149】
【表11】

【実施例4】
【0150】
ニソルジピン含有コア層と2つのバリヤー層を具有する三層錠
表5に示すデータによれば、配合剤Aに関するAUClastは、ニソルジピンを同量含有する対照配合剤のAUClastよりも約17%高い。このことは、配合剤A中のニソルジピンの配合量を約16%低減させることができるにもかかわらず、対照配合剤の場合と類似の薬物動態学的挙動を発揮するということを示す。
【0151】
コア層中にニソルジピンを8.5mg、17mg、25.5mg又は34mg含有する配合剤を実施例1に記載の手順に基づいて調製した。これらの投与量はそれぞれ、10mg、20mg、30mg及び40mgの投与量に比べて約16%少ない。各々の配合剤の配合成分と該配合成分の濃度を表12及び表13に示す。
【0152】
【表12】



【0153】
【表13】

【実施例5】
【0154】
低投与量「スラー・ゲオマトリックス」(ニソルジピン34mg含有)及び「スラー 」(ニソルジピン40mg含有)との生体内利用率等価性
ニソルジピンを34mg含有する「スラー・ゲオマトリックス」(即ち、ゲオマトリックス)及びニソルジピンを40mg含有する「スラー」との生体内利用率等価性は、一回投与/開放−ラベル/無作為化/4段階/二回処置/二回反復を含むようにデザインされたクロスオーバー試験によって確認された。この試験においては、少なくとも10時間の一夜断食後、経口投与された試験配合剤「ジオメトリックス16−E」(34mg錠剤)(処置剤E)の吸収速度と経口的生体内利用率を、経口投与された対照配合剤「スラー」(40mg錠剤)(処置剤F)の吸収速度と経口的生体内利用率と比較した。
【0155】
試験デザイン
この試験は、一回投与/開放−ラベウ/無作為化/4段階/二回処置/二回反復を含むようにデザインされた重要なクロスオーバー試験である。この試験においては、52人の健康な成人被検者には、少なくとも10時間の一夜断食後、4つの試験段階において、ニソルジピンを延長放出する錠剤を4回にわたって別々に単一投与する処置を受けさせた。また、この試験においては、等しい人数の男性と女性を被検者として参加させた。選抜過程を首尾よく通過した被検者は、薬剤投与の前夜は、試験センターに宿泊させた。投与日の朝において、参加/除外基準に引き続き適合する被検者には、この試験のプロトコルに規定されている選抜過程と手順に首尾よく適合した順序に基づいて、被検者番号が付与された。投与日には、少なくとも7日間の洗浄期間を介在させることによって間隔を設けた。
【0156】
被検者には、4つの処置段階において、次に示す処置の各々を二回反復する無作為化方式で2回受けさせた。試験配合剤「処置剤E」は、1個の34mg錠剤として投与される「ゲオマトリックス16−E」(ニソルジピンを延長放出する錠剤)である。対照配合剤「処置剤F」は、1個の40mg錠剤として投与される延長放出性錠剤「スラー」である。
【0157】
臨床的手順の概要
各々の試験段階においては、薬剤の各投与前及び薬剤の各投与後の36時間にわたり選定された時間において、6mlの血液試料を採取した。2種の6mlの血液試料は、投与から48時間後、60時間後及び72時間後に採取した。各々の被検者からは、全体で96パックの血液試料を採取した。4つの別々の試験段階の各段階においては24種の血液試料を採取した。
【0158】
さらに、臨床的な実験室規模での試験(血液の化学的検査、血液学的検査及び尿検査)のために、スクリーニングのベースライン(段階1の開始時)及び試験の終了時(段階4における72時間の手順後)において、血液を採取すると共に尿を採取した。さらに、ヘマトクリット法及びヘモグロビン評価のために(これらの事項は、これらの3つの段階の各段階において投与を開始する前に、試験者によって再検査された)、段階2、3及び4の各段階における投与前の夕方における試験開始時に血液を採取した。52人の被検者のうちの49人は、試験の少なくとも2つの段階において最初から最後まで参加した。
【0159】
薬物動態学的分析のための試料の採取手順
血液試料(1×6ml;2×6ml)は、防腐剤としてK−EDTAを保有するヴァキュテーナー管(vacutainer tube)内へ採取した。該血液試料は、各試験段階において、投与前(0時間)及び投与から1.0時間後、2.0時間後、3.0時間後、4.0時間後、5.0時間後、6.0時間後、7.5時間後、9.0時間後、10.5時間後、12.0時間後、14.0時間後、18.0時間後、24.0時間後、26.0時間後、28.0時間後、30.0時間後、36.0時間後、48.0時間後、60.0時間後、及び72.0時間後に採取した。
【0160】
生体分析の概要
血漿試料中のニソルジピンの分析は、有効性が確認されているLC−MS−MS法を採用するセドラ・コーポレーションによって行われた。該分析法の有効性は、0.250ml及び1.00mlの血漿の分析に基づいて、それぞれ0.0150〜10.0ng/ml及び1.00〜100pg/mlの範囲で確認されている。
【0161】
薬物動態学的分析
試験のプロトコルに違反せずに少なくとも2つの試験段階(1つの試験と1つの対照試験)での処置を首尾よく受けた49人の被検者からのデータには、薬物動態学的分析と統計的分析におけるデータが含まれる。3人の被検者は試験を完全に遂行しなかったので、これらの被検者からの試料は分析しなかった。2人の被検者においては、試験中に嘔吐がみられたので、ニソルジピンを延長放出する配合剤を用いる比較試験中に嘔吐が発生した段階に関しては、これらの被検者は評価の対象から除外した。濃度−時間に関するデータを集めてデータリストに掲載したが、段階2(処理剤E)における1人の被検者からのデータ及び段階4(処理剤E)における1人の被検者からのデータは、薬物動態学的分析データのセットからは除外した。
【0162】
濃度−時間データはワトソンLIMSから「ウィンノンリン・エンタープライズ・エディション(ヴァージョン4.0;ファーサイト・コーポレーション)へ直接的に変換させた。この場合、分析用のカスタム・ケリー・ビルダーオプションを使用した。データは「ウィンノンリン」における非区画化法によって分析した。データの合計化と記述統計においては、定量化の限界値未満(BLQ;below the limit of quantification)の濃度−時間データはゼロとして処理した。薬物動態学的分析においては、0時間から最初の定量化濃度が測定されて組み込まれる時までのBLQ濃度はゼロとして処理し、及び/又は最後のBLQ濃度は「ミッシング」として処理した。全ての薬物動態学的分析と統計的分析においては、完全に正確な濃度に関するデータ(3つの有意な数値への概数化処理に付さないデータ)及び実際の試料採取時間を採用した。
【0163】
以下の薬物動態学的パラメーターを計算した:血漿中の最大濃度(Cmax)、最大濃度に達するまでの時間(Tmax)、排泄速度定数(λ)、末期の半減期(T1/2)、0時間から最後の濃度定量時間までの濃度−時間曲線の下部面積(AUClast)、及び0時間から無限大へ外挿させたときの血漿濃度−時間曲線の下部面積(AUCinf)。
【0164】
線形混合効果(linear mixed effect)及び5%の有意水準におけるシュアマンの2つの片側t−検定法の解析手法を、対数変換した薬物動態学的暴露パラメーター(Cmax、AUClast及びAUCinf)へ適用した。相乗平均の比(試験配合剤/対照配合剤)に対する90%信頼区間を計算した。対数変換したパラメーターの下方と上方の信頼区間が80〜125%の範囲内にあるときには、生体内利用率等価性があるとした。
【0165】
結果
血漿に関する濃度−時間データ及び薬物動態学的パラメーターは数値処理によってまとめた。被検者は2つの機会において各処置を受けるように規定されていたので、処置による記述的統計は、93〜95回の観察に基づいたものである。投与前の定量化可能な濃度は一部の被検者において測定した。しかしながら、投与前濃度は、所定の処置後の当該被検者のCmaxの値の5%よりも十分に低かったので、投与前濃度は、調整することなく、全ての薬物動態学的分析のデータに含めた。
【0166】
薬物動態学的データ及び統計的分析データを表13及び表14に示す。二次的ピークの存在及び一部の被検者のプロフィールにおける変動性に起因して、λは、「ウィンノンリン」における対数濃度対時間の線形回帰を介して評価した。計算に含めたデータポイントは、最大調整R値を用いる回帰に基づいた。λzのこの省略時評価(default estimation)は全ての薬物動態学的分析に対するこの試験を通して使用した。
【0167】
結論
「ln(Cmax)」に基づく最大暴露(maximum exposure)を比較するための90%信頼区間は、許容されている80%〜125%の限界内にある。「ln(AUClast)」と「ln(AUCinf)」に基づく全体の全身的暴露(systemic exposure)を比較するための90%信頼区間は、許容されている80%〜125%の限界以内である。従って、空腹条件下においては、試験配合剤「ゲオマトリックス16−E」(34mg錠剤)は、対照配合剤「スラー」(40mg錠剤)と生体内利用率等価性がある。
【0168】
【表14】

【0169】
図2は、試験配合剤16−E(「スラー・ゲオマトリックス」(処置剤E);ニソルジピン34mg)又は対照配合剤(「スラー」(処置剤F);ニソルジピン40mg)を投与した後のニソルジピンの平均濃度の経時変化を示すグラフである。
【実施例6】
【0170】
低投与量「スラー・ゲオマトリックス」(ニソルジピン8.5mg含有)及び「スラー 」(ニソルジピン10mg含有)との生体内利用率等価性
ニソルジピンを8.5mg含有する「スラー・ゲオマトリックス」及びニソルジピンを10mg含有する「スラー」との生体内利用率等価性は、一回投与/開放ラベル/無作為化/4段階/二回処置/二回反復を含むようにデザインされたクロスオーバー試験によって確認された。この試験においては、少なくとも10時間の一夜断食後、経口投与された試験配合剤「ゲオマトリックス16−E」(ニソルジピンを8.5mg含有する錠剤)(処置剤G)の吸収速度と経口的生体内利用率を、経口投与された対照配合剤「スラー」(ニソルジピンを10mg含有する錠剤)(処置剤H)の吸収速度と経口的生体内利用率と比較した。
【0171】
この試験は、一回投与/開放ラベル/無作為化/4段階/二回処置/二回反復を含むようにデザインされた重要なクロスオーバー試験である。この試験においては、52人の健康な成人被検者には、少なくとも10時間の一夜断食後、4つの試験段階において、ニソルジピンを延長放出する錠剤を4回にわたって別々に単一投与する処置を受けさせた。また、この試験においては、等しい人数の男性と女性を被検者として参加させた。投与日の朝において、参加/除外基準に引き続き適合する被検者には、この試験のプロトコルに規定されている選抜過程と手順に首尾よく適合した順序に基づいて、被検者番号が付与された。投与日には、少なくとも7日間の洗浄期間を介在させることによって間隔を設けた。
【0172】
被検者には、4つの処置段階において、次に示す処置の各々を二回反復の無作為化方式で2回受けさせた。試験配合剤「処置剤G」は、1個の8.5mg錠剤として投与される「ゲオマトリックス」(ニソルジピンを延長放出する錠剤)である。対照配合剤「処置剤H」は、1個の10mg錠剤として投与される延長放出性錠剤「スラー」である。
【0173】
臨床的手順の概要
各々の試験段階においては、薬剤の各投与前の60分以内及び薬剤の各投与後の36時間にわたり選定された時間において、1種の6mlの血液試料を採取した。2種の6mlの血液試料は、投与から48時間後、60時間後及び72時間後に採取した。各々の被検者からは、全体で96パックの血液試料を採取した。4つの別々の試験段階の各段階においては24種の血液試料を採取した。52人の被検者のうちの49人は、試験の少なくとも2つの段階において最初から最後まで参加した。
【0174】
薬物動態学的分析のための試料の採取手順
血液試料(1×6ml;2×6ml)は、防腐剤としてK−EDTAを保有するヴァキュテーナー管内へ採取した。該血液試料は、各試験段階において、投与前(0時間)及び投与から1.0時間後、2.0時間後、3.0時間後、4.0時間後、5.0時間後、6.0時間後、7.5時間後、9.0時間後、10.5時間後、12.0時間後、14.0時間後、18.0時間後、24.0時間後、26.0時間後、28.0時間後、30.0時間後、36.0時間後、48.0時間後、60.0時間後、及び72.0時間後に採取した。
【0175】
生体分析の概要
血漿試料中のニソルジピンの分析は、有効性が確認されているLC−MS−MS法を採用するセドラ・コーポレーションによって行われた。該分析法の有効性は、0.250ml及び1.00mlの血漿の分析に基づいて、それぞれ0.0150〜10.0ng/ml及び1.00〜100pg/mlの範囲で確認されている。
【0176】
薬物動態学的分析
試験のプロトコルに違反せずに少なくとも最初の2つ又は少なくとも最後の2つの試験段階(1つの試験と1つの対照試験)での処置を首尾よく受けた49人の被検者からのデータには、薬物動態学的分析と統計的分析におけるデータが含まれる。3人の被検者は試験を完全に遂行しなかったので、これらの被検者からの試料は分析しなかった。被検者「501」は、1つの試験段階において嘔吐の症状を示した。濃度−時間に関するデータを集めてデータリストに掲載したが、この被検者のデータは全ての試験段階に対して評価せず、嘔吐が発生した段階に関する薬物動態学的分析データのセットからは除外した。
【0177】
濃度−時間データはワトソンLIMSから「ウィンノンリン・エンタープライズ・エディション(ヴァージョン4.0;ファーサイト・コーポレーション)へ直接的に変換させた。この場合、分析用のカスタム・ケリー・ビルダーオプションを使用した。データは「ウィンノンリン」における非区画化法によって分析した。データの合計化と記述統計においては、定量化の限界値未満(BLQ)の濃度−時間データはゼロとして処理した。薬物動態学的分析においては、0時間から最初の定量化濃度が測定されて組み込まれる時までのBLQ濃度はゼロとして処理し、及び/又は最後のBLQ濃度は「ミッシング」として処理した。全ての薬物動態学的分析と統計的分析においては、完全に正確な濃度に関するデータ(3つの有意な数値への概数化処理に付さないデータ)及び実際の試料採取時間を採用した。
【0178】
以下の薬物動態学的パラメーターを計算した:血漿中の最大濃度(Cmax)、最大濃度に達するまでの時間(Tmax)、排泄速度定数(λ)、末期の半減期(T1/2)、0時間から最後の濃度定量時間までの濃度−時間曲線の下部面積(AUClast)、及び0時間から無限大へ外挿させたときの血漿濃度−時間曲線の下部面積(AUCinf)。
【0179】
線形混合効果及び5%の有意水準におけるシュアマンの2つの片側t−検定法の解析手法を、対数変換した薬物動態学的暴露パラメーター(Cmax、AUClast及びAUCinf)へ適用した。相乗平均の比(試験配合剤/対照配合剤)に対する90%信頼区間を計算した。対数変換したパラメーターの下方と上方の信頼区間が80〜125%の範囲内にあるときには、生体内利用率等価性があるとした。
【0180】
結果
血漿に関する濃度−時間データ及び薬物動態学的パラメーターは数値処理によってまとめた。被検者は2つの機会において各処置を受けるように規定されていたので、処置による記述的統計は、96回又は94回の観察に基づいたものである。血漿中のニソルジピンの平均濃度の経時変化を図3に示す。薬物動態学的データ及び統計的分析データを以下の表15及び表16に示す。
【0181】
【表15】

【0182】
【表16】

【0183】
結論
「ln(Cmax)」に基づく最大発現を比較するための90%信頼区間は、許容されている80%〜125%の限界内にある。「ln(AUClast)」と「ln(AUCinf)」に基づく全体の全身的暴露を比較するための90%信頼区間は、許容されている80%〜125%の限界以内である。従って、空腹条件下においては、試験配合剤「ゲオマトリックス」(8.5mg錠剤)は、対照配合剤「スラー」(延長放出性の10mg錠剤)と生体内利用率等価性がある。
【0184】
本願明細書に記載の方法は、前記の特定の方法論、プロトコル及び試薬には限定されない。何故ならば、これらの要件は適宜変化させてもよいからである。また、本願明細書において使用する用語は、特定の実施態様を説明するために使用されるものであって、後記の特許請求の範囲によって制限される本願発明の範囲を限定するものではない。
【0185】
特に言及しない限り、本願明細書において使用される技術的用語と化学的用語は、本願発明が属する技術分野の当業者によって普通に理解されている意味と同じ意味に解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のコア層又は中心層(a)及びバリヤー層(b)を含む徐放性の固体状経口投与用配合剤:
(a)カルシウムチャンネル遮断薬を含有するコア層又は中心層、及び
(b)1種又は複数種の膨潤性、侵食性又はゲル化性のポリマーを含有する1又は複数のバリヤー層であって、胃腸管内へのカルシウムチャンネル遮断薬の放出を遅延させることによって、コア層又は中心層上に腸溶性のポリマーコートのみを含む配合剤に比べて、カルシウムチャンネル遮断薬の摂取量を増加させる該バリヤー層。
【請求項2】
カルシウムチャンネル遮断薬が、下記の群から選択されるジヒドロピリジンカルシウムチャンネル遮断薬である請求項1記載の配合剤:
ニソルジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ニモジピン、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、及びこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
コア層又は中心層が、下記の群から選択される1種又は複数種の腸溶性物質をさらに含有すると共に、1種又は複数種の該腸溶性物質の濃度がコア層又は中心層の重量に基づいて約0.1〜約20重量%又は約1〜約15重量%である請求項1記載の配合剤:
セルロースアセテートフタレート、アルギネート、アルカリに溶解性のアクリル樹脂、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリレート−メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセテートフタレート、スチロール−マレイン酸コポリマー、及びこれらの混合物。
【請求項4】
コア層又は中心層が、カルシウムチャンネル遮断薬の放出を調整する物質であって、下記の群から選択される1種又は複数種の該物質をさらに含有すると共に、1種又は複数種の該物質の濃度がコア層又は中心層の重量に基づいて約1〜約90重量%又は約10〜約45重量%である請求項1記載の配合剤:
架橋ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、」カルボキシメチルデンプン、アクリル酸とメタクリル酸のポリマー及びコポリマー、ポリエステル、酸無水物ポリマー、ポリメチルビニルエーテル/酸無水物コポリマー、メタクリル酸カリウム/ジビニルベンゼンコポリマー、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、デンプン及びその誘導体、β−シクロデキストリン、その他のシクロデキストリン誘導体、グリセリルモノステアレート、トリグリセリド誘導体、半合成グリセリド、水素化ヒマシ油、グリセリルパルミトステアレート、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、グリセロール、エチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、安息香酸ナトリウム、ホウ酸、ポリオキシエチレングリコール、コロイドシリカ及びこれらの混合物。
【請求項5】
膨潤性、侵食性又はゲル化性のポリマーであって、下記の群から選択される1種又は複数種の該ポリマーを、バリヤー層の重量に基づいて約5〜約90重量%又は約25〜約75重量%の濃度で含有する請求項1記載の配合剤:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、キサンタン、アルギネート及びその誘導体、酸無水物ポリマー、ポリアミノ酸、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、エチルセルロース、メチルセルロース、その他のセルロース、及びこれらの混合物。
【請求項6】
ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項5記載の配合剤。
【請求項7】
カルシウムチャンネル遮断薬の放出を調整する被覆剤であって、下記の群から選択される1種又は複数種の該被覆剤をさらに含有する請求項1記載の配合剤:
即時放出性被覆剤、味覚隠蔽性被覆剤、持続放出性被覆剤、放出を調整する他の被覆剤と併用する腸溶性被覆剤、遅延放出性被覆剤、及びこれらの混合物。
【請求項8】
カルシウムチャンネンル遮断薬がニソルジピン又はその誘導体、類似体若しくは多形体である請求項1記載の配合剤。
【請求項9】
ニソルジピンを約8mg〜約34mg含有する請求項8記載の配合剤。
【請求項10】
コア層又は中心層上に腸溶性ポリマーコートのみを含有するコート−コア型ニソルジピン40mg錠剤と比較して、ニソルジピン34mgの生体内利用率等価性摂取量をもたらす請求項8記載の配合剤。
【請求項11】
コア層が約15重量%〜約45重量%のヒドロキシメチルプロピルセルロース及び約10重量%〜約20重量%の金属アルキルスルフェートを含有し、少なくとも1つのバリヤー層が約10重量%〜約50重量%のヒドロキシメチルプロピルセルロースを含有する請求項9記載の配合剤。
【請求項12】
ヒドロキシメチルプロピルセルロースがヒドロキシプロピルメチルセルロース2208型を含有する請求項9記載の配合剤。
【請求項13】
40mgの投与量に基づいて、空腹条件下において、約1.5ng/ml〜約6.5ng/mlのカルシウムチャンネル遮断薬のCmax をもたらす剤型を有する請求項1から12いずれかに記載の配合剤。
【請求項14】
カルシウムチャンネル遮断薬のTmax が約3.85時間〜約15時間、約4時間〜約14.5時間又は約8時間〜約10時間である請求項1から13いずれかに記載の配合剤。
【請求項15】
カルシウムチャンネル遮断薬のAUCinf が約41.8hrng/ml〜約103.8hrng/ml、又は約38hrng/ml〜約87hrng/mlである請求項1から14いずれかに記載の配合剤。
【請求項16】
34mgの投与量に基づいて、空腹条件下において、約0.23ng/ml〜約7.35ng/mlのカルシウムチャンネル遮断薬のCmax をもたらす剤型を有する請求項1から12いずれかに記載の配合剤。
【請求項17】
カルシウムチャンネル遮断薬のTmax が約4時間〜約14.5時間又は約8時間〜約10時間である請求項1〜12及び16のいずれかに記載の配合剤。
【請求項18】
カルシウムチャンネル遮断薬のAUCinf が約28hrng/ml〜約102hrng/ml、又は約27hrng/ml〜約97.5hrng/mlである請求項1〜12、16及び17のいずれかに記載の配合剤。
【請求項19】
25.5mgの投与量に基づいて、空腹条件下において、約0.17ng/ml〜約5.5ng/mlのカルシウムチャンネル遮断薬のCmax をもたらす剤型を有する請求項1から12いずれかに記載の配合剤。
【請求項20】
カルシウムチャンネル遮断薬のAUCinf が約21hrng/ml〜約76.5hrng/ml、又は約20hrng/ml〜約73hrng/mlである請求項1〜12及び19のいずれかに記載の配合剤。
【請求項21】
17mgの投与量に基づいて、空腹条件下において、約0.11ng/ml〜約3.66ng/mlのカルシウムチャンネル遮断薬のCmax をもたらす剤型を有する請求項1から12いずれかに記載の配合剤。
【請求項22】
カルシウムチャンネル遮断薬のAUCinf が約14hrng/ml〜約51hrng/ml、又は約13hrng/ml〜約48hrng/mlである請求項1〜12及び21のいずれかに記載の配合剤。
【請求項23】
8.5mgの投与量に基づいて、空腹条件下において、約0.014ng/ml〜約1.7ng/mlのカルシウムチャンネル遮断薬のCmax をもたらす剤型を有する請求項1から12いずれかに記載の配合剤。
【請求項24】
カルシウムチャンネル遮断薬のTmax が約4.5時間〜約12.7時間又は約8時間〜約10時間である請求項1〜12及び23のいずれかに記載の配合剤。
【請求項25】
カルシウムチャンネル遮断薬のAUCinf が約4.3hrng/ml〜約23.25hrng/ml、又は約4.1hrng/ml〜約22.4hrng/mlである請求項1〜12、23及び24のいずれかに記載の配合剤。
【請求項26】
40mg未満のカルシウムチャンネル遮断薬の投与量に基づいて、給食条件下において、約5ng/ml〜約13ng/mlのCmax をもたらす剤型を有する請求項1から12いずれかに記載の配合剤。
【請求項27】
剤型が約3.7時間〜約8.6時間のTmax をもたらす請求項1〜12及び26のいずれかに記載の配合剤。
【請求項28】
剤型が約31hrng/ml〜約66hrng/ml、又は約31hrng/ml〜約62.5hrng/mlのAUCinf をもたらす請求項1〜12、26及び27のいずれかに記載の配合剤。
【請求項29】
心臓血管障害の処置方法であって、請求項1から28いずれかに記載の有効量の経口投与用配合剤を、心臓血管障害の処置を必要とする哺乳類へ投与することを含む該処置方法。
【請求項30】
下記の工程(i)〜(ix)を含む固体状の徐放性経口投与用配合剤の製造方法:
(i)カルシウムチャンネル遮断薬及び金属アルキルスルフェートを混合し、
(ii)得られた混合物へ、膨潤性の親水性ポリマーを含有する賦形剤を添加して混合し、
(iii)得られたポリマー混合物を結合溶液と混合し、
(iv)得られた混合物を乾燥剤(好ましくは、コロイド状二酸化ケイ素)と潤滑剤を用いて乾燥させて混練し、
(v)コア組成物を調製し、
(vi)水膨潤性の親水性ポリマーを含有する賦形剤を含むバリヤー層を混合し、
(vii)得られたバリヤー層混合物へ水を添加した後、混練し、
(viii)得られた混合物を乾燥剤(好ましくは、コロイド状二酸化ケイ素)と潤滑剤を用いて乾燥させて混練し、次いで
(ix)バリヤー層をコア層へ塗布する。
【請求項31】
カルシウムチャンネル遮断薬が、ニソルジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ニモジピン、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、及びこれらの薬学的に許容される塩を含有する請求項30記載の方法。
【請求項32】
金属アルキルスルフェートがナトリウムラウリルスルフェートを含有する請求項30記載の方法。
【請求項33】
薬学的に許容される潤滑剤がステアリン酸マグネシウムを含有する請求項30記載の方法。
【請求項34】
水膨潤性親水性ポリマーがヒドロキシメチルプロピルセルロースである請求項30記載の方法。
【請求項35】
コア層及び少なくとも1種のバリアヤー層組成物を錠剤に加圧成形する工程をさらに含む請求項30記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−501607(P2010−501607A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525973(P2009−525973)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007545
【国際公開番号】WO2008/025532
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(500322826)ヤゴテック アーゲー (16)
【Fターム(参考)】