説明

ニューマチックアンローダの先端ノズル用荷役促進装置

【課題】荷役物の流動性を高めることにより、ニューマチックアンローダの荷役能力の向上を図る。
【解決手段】粒状の荷役物の中に先端ノズル8を差し入れて荷役物を先端ノズル8から吸い込むことにより荷役物を荷役するニューマチックアンローダ1の先端ノズル用荷役促進装置30であって、先端ノズル8の先端部に、荷役物の流動を助勢すべく圧縮空気供給源Bから供給される圧縮空気を噴出するジェットノズル31を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状の荷役物の中に先端ノズルを差し入れて荷役物を先端ノズルから吸い込むことにより荷役物を荷役するニューマチックアンローダの先端ノズル用荷役促進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
停泊中の船舶に積載された粒状の荷役物を陸揚げする場合に使用されるアンローダとして、荷役物の中に先端ノズルを差し入れて荷役物を先端ノズルから吸い込むことにより荷役物を荷役(陸揚げ)するニューマチックアンローダが一般的に使用されている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
ニューマチックアンローダは、岸壁側に配設された分離機に接続され、横方向に延出する横搬送管と、その横搬送管の先端に接続され、下方に向かい屈曲するベンド管と、そのベンド管の先端に接続され、略垂直に下方に延出する垂直搬送管と、その垂直搬送管の先端に接続され、船舶に積載された荷役物の中に差し入れられる先端ノズルとを備えており、先端ノズルから荷役物を吸い込むことで荷役物を陸揚げするようになっている。
【0004】
従来、ノズル先端で先端ノズル内に吸い込まれる二次空気量の調整をし、荷役能力の向上を図っていた(特許文献3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−256298号公報
【特許文献2】特開昭58−109331号公報
【特許文献3】特開昭60−118530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ニューマチックアンローダによってペレット等の角状又は柱状の荷役物を荷役すると、大豆やメイズ等の近球状の荷役物を荷役した場合に比べて荷役能力が低下することがある。この荷役能力の低下は荷役物の形状に起因したものであり、荷役物の粒子形状が一様でなく、粒子が大きい、粒子が細長い、粒子が尖っていること等により、荷役物の粒子同士の干渉(接触、絡み)が生じ、流動性の障害となることによって発生する。
【0007】
この荷役物の形状に起因して発生する荷役能力低下の問題に対しては、先端ノズルの二次空気量調整だけでは対応することができない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、荷役物の流動性を高めることにより、ニューマチックアンローダの荷役能力の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、粒状の荷役物の中に先端ノズルを差し入れて荷役物を前記先端ノズルから吸い込むことにより荷役物を荷役するニューマチックアンローダの先端ノズル用荷役促進装置であって、前記先端ノズルの先端部に、荷役物の流動を助勢すべく圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を噴出するジェットノズルを設けたものである。
【0010】
ここで、前記ジェットノズルは、アクチュエータを介して前記先端ノズルの軸方向に移動可能に設けられていても良い。
【0011】
また、前記ジェットノズルは、前記先端ノズルの周方向に所定間隔を隔てて複数設けられていても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、荷役物の流動性を高めることにより、ニューマチックアンローダの荷役能力の向上を図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る先端ノズル用荷役促進装置を備えたニューマチックアンローダの概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る先端ノズル用荷役促進装置の側断面図である。
【図3】図3は、図2の実施形態に係る先端ノズル用荷役促進装置の展開図である。
【図4】図4は、図2の実施形態に係る先端ノズル用荷役促進装置の要部拡大図である。
【図5】図5は、他の実施形態に係る先端ノズル用荷役促進装置の側断面図である。
【図6】図6は、図5の実施形態に係る先端ノズル用荷役促進装置の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0015】
図1に示すように、ニューマチックアンローダ1は、岸壁2側に配設された分離機3に接続され、横方向に延出する横搬送管4と、その横搬送管4の先端に接続され、下方に向かい屈曲するベンド管5と、そのベンド管5の先端に接続され、略垂直に下方に延出する垂直搬送管6と、その垂直搬送管6の先端に接続され、船舶7に積載された荷役物の中に差し入れられる先端ノズル8とを備えている。本実施形態では、ベンド管5と垂直搬送管6との間には、フレキシブルホース9が介設されており、垂直搬送管6と先端ノズル8との間には、フレキシブルホース10、短管11が介設されている。
【0016】
横搬送管4は、外筒4aと外筒4aにスライド可能に挿入された内筒4bとからなり、伸縮機構12によって外筒4aと内筒4bとを相対移動させることで伸縮させることができるようになっている。また、横搬送管4は、分離機3に揺動可能に接続されており、揺動機構13によって揺動させることができるようになっている。垂直搬送管6は、外筒6aと外筒6aにスライド可能に挿入された内筒6bとからなり、伸縮機構(図示せず)によって外筒6aと内筒6bとを相対移動させることで伸縮させることができるようになっている。
【0017】
荷役物は空気と共に先端ノズル8に吸い込まれ、先端ノズル8から吸い込まれた荷役物は、短管11、フレキシブルホース10、垂直搬送管6、フレキシブルホース9、ベンド管5、横搬送管4を通って、分離機3に導入されるようになっている。分離機3に導入された荷役物は空気と分離された後、岸壁コンベヤ14又は他の船舶(図示せず)に供給されるようになっており、一方空気は空気管15を通って真空ポンプ16に吸引されるようになっている。
【0018】
図2に示すように、本実施形態では、先端ノズル8は、短管11の先端に接続された内筒17と、内筒17の外周部に装着された外筒18とを有している。外筒18は複数の外筒ストローク調整用ターンバックル19によって内筒17に吊り下げされており、外筒18の上端部には二次空気吸込口20が複数設けられている。外筒ストローク調整用ターンバックル19により内筒17と外筒18との軸方向相対位置を調整することにより内筒17の下端部と外筒18の下端部との間の隙間21を変化させ、又は、二次空気吸込口20に設けた蓋部材22により二次空気吸込口20の開口面積を変化させることにより、二次空気量を調整するようになっている。
【0019】
図2及び図3に示すように、本実施形態に係る先端ノズル用荷役促進装置30は、先端ノズル8の先端部に設けられ、荷役物の流動を助勢すべく圧縮空気供給源Bから供給される圧縮空気を噴出するジェットノズル31を備えている。圧縮空気供給源Bは、先端ノズル8の外部に配設される。本実施形態では、ジェットノズル31は、先端ノズル8の周方向に所定間隔(図示例では等間隔)を隔てて複数(図示例では六本)設けられている。なお、図3中、左端のジェットノズル31(実線で示す)と右端のジェットノズル31(一点鎖線で示す)とは同一のものである。
【0020】
また、本実施形態では、ジェットノズル31は、先端ノズル8の外筒18の下端面に設けられた貫通孔32に挿入されており、アクチュエータ33により先端ノズル8の軸方向に沿って移動されるようになっている。即ち、ジェットノズル31は、アクチュエータ33を介して先端ノズル8の軸方向に移動可能に設けられている。
【0021】
本実施形態に係るジェットノズル31は、後述するジェットノズル用空気配管42に接続された円筒状の円筒部34と、円筒部34の先端に接続された円錐形状のコーン部35とを有している。本実施形態では、ジェットノズル31は、コーン部35に設けられ、先端ノズル8の軸中心Cに臨んで開口し且つ斜め下方に延出する第一噴出孔36と、円筒部34の先端部に設けられ、先端ノズル8の軸中心Cに臨んで開口し且つ水平に延出する第二噴出孔37とを有している(図4参照)。
【0022】
本実施形態では、ジェットノズル31の円筒部34の先端部外周に凹部38が凹設されており、その凹部38内に上記の第二噴出孔37が設けられている(図4参照)。第二噴出孔37は、プラグ(図示せず)によって閉塞することが可能である。プラグによって第二噴出孔37を選択的に閉塞することにより、ジェットノズル31全体での圧縮空気の噴射量を調整することができるようになっている。また、第二噴出孔37を閉塞するプラグは、円筒部34の凹部38内に収容される大きさとされており、第二噴出孔37をプラグにより閉塞した状態でもジェットノズル31を先端ノズル8内に格納することができる。
【0023】
本実施形態では、圧縮空気供給源Bからの圧縮空気は、先端ノズル8の外筒17の内部に配設され内筒17を囲繞する環状空気配管39に一旦供給され、その環状空気配管39から、ジェットノズル用空気ホース40、伸縮配管41、ジェットノズル用空気配管42を経て、各ジェットノズル31に供給されるようになっている(図3参照)。伸縮配管41は、ジェットノズル用空気ホース40に接続された外筒41aと、ジェットノズル用空気配管42に接続された内筒41bとからなり、後述する伸縮シリンダ46の伸縮に応じて伸縮するようになっている。
【0024】
ジェットノズル用空気ホース40には、ジェットノズル用空気ホース40内の空気流路を開閉するジェットノズル用電磁弁(本実施形態では開閉弁)43が設けられている。なお、ジェットノズル用電磁弁43は流量制御弁であっても良い。ジェットノズル用電磁弁43は電気配管44によって制御盤45に電気的に接続されており、制御盤45により開閉制御される。
【0025】
また、本実施形態では、アクチュエータ33は、伸縮シリンダ(本実施形態では、エアシリンダ)46からなる。伸縮シリンダ46は、先端ノズル8の外筒18の内周面に回動可能に取り付けられたシリンダ46aと、ジェットノズル用空気配管42に回動可能に取り付けられたロッド46bとを有している。圧縮空気供給源Bからの圧縮空気は、伸縮シリンダ用空気ホース47を通じて伸縮シリンダ46に供給される。
【0026】
伸縮シリンダ用空気ホース47には、伸縮シリンダ用空気ホース47内の空気流路を開閉する伸縮シリンダ用電磁弁(本実施形態では開閉弁)48が設けられている。なお、伸縮シリンダ用電磁弁48は流量制御弁であっても良い。
【0027】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0028】
図4に示すように、先端ノズル用荷役促進装置30を使用しないときは、伸縮シリンダ46を縮めることにより、ジェットノズル31(一点鎖線で示す)が先端ノズル8の外筒18内に格納される。
【0029】
一方、先端ノズル用荷役促進装置30を使用するときは、伸縮シリンダ46により、ジェットノズル31の先端部からの圧縮空気を荷役物に吹き込める位置までジェットノズル31(実線で示す)を移動させる。詳しくは、ジェットノズル31の先端部が先端ノズル8の先端部よりも下方に位置するようにジェットノズル31を移動させる。
【0030】
そして、ジェットノズル31の先端部からの圧縮空気を荷役物に吹き込める位置までジェットノズル31を移動させた状態で、先端ノズル8を荷役物の中に差し入れる。このとき、先端ノズル8の先端部に設けたジェットノズル31の先端部も荷役物の中に差し入れられる。
【0031】
ジェットノズル31の先端部に設けられた第一噴出孔36及び第二噴出孔37から、圧縮空気供給源Bから供給された圧縮空気が噴出され、荷役物の粒子が吹き上げられる。このとき、ジェットノズル31の第一噴出孔36及び第二噴出孔37は、先端ノズル8の軸中心Cに臨んで開口しているので、荷役物の粒子は先端ノズル8の内筒17内に吹き上げられる。荷役物の粒子が吹き上げられることで、粒子同士の干渉が減り流動性が増す。なお、圧縮空気をジェットノズル31から連続的に噴出するようにしても良く、間欠的に噴出するようにしても良い。
【0032】
荷役物の流動性が増すことで、荷役物が先端ノズル8内に吸い込まれることが促進され、ニューマチックアンローダ1の荷役量、荷役能力が向上する。従って、ペレット等の角状又は柱状の荷役物を荷役する場合でも安定した荷役能力を得ることができる。
【0033】
また、本実施形態では、船舶7に積載された荷役物が少なくなったときには、伸縮シリンダ46を縮め、ジェットノズル31先端が荷役物積載部の底部にぶつからないようにジェットノズル31を先端ノズル8の先端よりも上方に移動させるようにしている。
【0034】
以上、本実施形態によれば、先端ノズル8の先端部に、荷役物の流動を助勢すべく圧縮空気供給源Bから供給される圧縮空気を噴出するジェットノズル31を設けて先端ノズル用荷役促進装置30を構成したので、ジェットノズル31から噴出した圧縮空気により荷役物の粒子を吹き上げることで荷役物の流動性を高めることができ、ニューマチックアンローダ1の荷役能力の向上を図ることができる。
【0035】
また、ジェットノズル31は、アクチュエータ33を介して先端ノズル8の軸方向に移動可能に設けられているので、先端ノズル用荷役促進装置30を使用しないときは、ジェットノズル31を先端ノズル8内に格納することができる。
【0036】
また、ジェットノズル31は、先端ノズル8の周方向に所定間隔を隔てて複数設けられているので、効率よく荷役物の流動性を高めることができ、ニューマチックアンローダ1の荷役能力の向上を図ることができる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0038】
例えば、図5及び図6に示すように、伸縮シリンダ46と伸縮配管41とを一体としても良い。図示例では、伸縮シリンダ46にロッド46b内を通じて圧縮空気を供給する空気流路49を設けている。図5及び図6に示す実施形態では、圧縮空気供給源Bからの圧縮空気は、環状空気配管39、ジェットノズル用空気ホース40、空気流路49を経て、各ジェットノズル31に供給されるようになっている。
【0039】
また、図5及び図6に示すように、先端ノズル8の外筒18の外周部に保護枠50を取り付けても良く、外筒18の下端部に保護枠51を取り付けても良い。これら保護枠50、51は、例えばパイプから構成される。
【符号の説明】
【0040】
1 ニューマチックアンローダ
8 先端ノズル
30 先端ノズル用荷役促進装置
31 ジェットノズル
33 アクチュエータ
B 圧縮空気供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の荷役物の中に先端ノズルを差し入れて荷役物を前記先端ノズルから吸い込むことにより荷役物を荷役するニューマチックアンローダの先端ノズル用荷役促進装置であって、前記先端ノズルの先端部に、荷役物の流動を助勢すべく圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を噴出するジェットノズルを設けたことを特徴とするニューマチックアンローダの先端ノズル用荷役促進装置。
【請求項2】
前記ジェットノズルは、アクチュエータを介して前記先端ノズルの軸方向に移動可能に設けられている請求項1に記載のニューマチックアンローダの先端ノズル用荷役促進装置。
【請求項3】
前記ジェットノズルは、前記先端ノズルの周方向に所定間隔を隔てて複数設けられている請求項1又は2に記載のニューマチックアンローダの先端ノズル用荷役促進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−79611(P2011−79611A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231785(P2009−231785)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】