説明

ニューマチックケーソンの圧入装置

【課題】アンカー材に高い緊張力を負荷でき、また、アンカー材の施工誤差を柔軟に吸収できるようにする。高い気圧でも気密性を十分に確保する漏気防止装置を提供する。
【解決手段】アンカー材1は複数のグリース入りのアンボンドPC鋼より線11からなる。漏気防止装置2は、充填材21が収容され各PC鋼より線11を挿通するケーシングパイプ3と、ケーシングパイプ3の上下各開口に設けられ、各PC鋼より線11を個別に挿通する挿通部40、50及び各PC鋼より線11に装着されるグランドパッキン12を圧縮するパッキン圧縮部40p、50pを有する上部ヘッド4及び下部ヘッド5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューマチックケーソンの圧入装置に関し、特に、圧入用ジャッキとアンカー材を利用して、ケーソン躯体を地盤に圧入し、沈設するニューマチックケーソンの圧入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧入用ジャッキとアンカー材を用いて、ケーソン躯体を地盤に圧入し、沈設する圧入工法が知られている。この圧入工法は、複数のアンカー材をケーソン躯体の近傍にケーソン躯体の高さ方向に配置して各アンカー材の下端を地盤に固定し、複数の圧入用ジャッキをケーソン躯体上に設置してこれらの圧入用ジャッキに各アンカー材の上端側を連結し、複数の圧入用ジャッキにより各アンカー材を反力にしてケーソン躯体を地盤に圧入し、沈設する方法である。この種の工法では、図6(a)に示すように、アンカー材7をケーソン躯体cの外側に配置し、ケーソン躯体c上に圧入桁71を架設してこの上に圧入用ジャッキ8を設置する単桁方式、図6(b)に示すように、アンカー材7をケーソン躯体cの外側に配置し、ケーソン躯体cに支圧桁72を埋め込み、その上に圧入桁73を架設して圧入用ジャッキ8を設置する片持ち梁方式、図6(c)に示すように、アンカー材7をケーソン躯体cの内側に作業室天井スラブc1を貫通して配置し、作業室天井スラブc1上に圧入用ジャッキ8を設置する作業室天井スラブ載荷方法の大きく3つに分類されるが、このうち、作業室天井スラブ載荷方法は他の2つの構造に比べて梁や桁の盛り替え作業が不要で工期の短縮が望めるという利点があり、例えば、工程が厳しく、側壁立ち上げ毎に圧入桁の段取り替えを行う余地がない場合(つまり、単桁方式を採ることができない場合)や本工事が建築物件のため、構造物内に圧入時の支柱のような鋼材を残置させることができない場合(つまり、片持ち梁方式を採ることができない場合)などに適している。
【0003】
このような作業室天井スラブ載荷方法に使用する圧入装置が特許文献1により提案されている。この文献1の圧入装置では、図7に示すように、ケーソン躯体cの下部、作業室天井スラブc1に複数のアンカー材通し用の孔c10が相互に所定の間隔で設けられ、これらの孔c10に(下端を地盤に固定した)アンカー材7が貫通されるとともに、各孔c10と各アンカー材7との間の空隙部に充填材を注入しシールする密閉式のアンカー通し装置9が設置され、そして、これらのアンカー材7に対応して作業室天井スラブc1上に圧入用ジャッキ8が設置され、これらのジャッキ8に各アンカー材7の上端側が連結される。このようにして複数の圧入用ジャッキ8により各アンカー材7を反力としてケーソン躯体cを地盤Gに圧入し、沈設する。
【0004】
かかる圧入装置によれば、アンカー材7をケーソン躯体cの内側に作業室天井スラブc1を通して配置し、作業室天井スラブc1上に設置した圧入用ジャッキ8によりアンカー材7を反力としてケーソン躯体cを圧入し、沈設するので、圧入桁の架設、撤去作業を必要とせず、その分作業能率の向上、および省力化を図ることができ、またケーソン躯体cの圧入、沈設作業を全てケーソン躯体c内部で行うことができるので、他の構造物に対して近接施工が可能となり、しかもアンカー材7を反力としてケーソン躯体cを圧入、沈設する工法の利点、すなわち大深度掘削にも、軟弱地盤でも沈設制御が可能で、施工精度が向上し、工程管理を確実にすることができるなど、種々の効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3439859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような作業室天井スラブ載荷方法に用いる従来の圧入装置では、次のような課題がある。
(1)アンカー材にシンプルなアンカーロッドが使用されており、このような単線構造の
アンカー材では、ケーソン躯体の圧入沈設に要求される高い緊張力を負荷することができない。
(2)アンカーロッドに施工誤差が発生すると、このアンカーロッドの偏心や傾きによってアンカー通し装置に水平力が生じ、このため、アンカー通し装置によるアンカー材通し用の孔の気密性が低下して漏気が増大したりアンカー通し装置に過大な負荷荷重を与えて損傷させたりする虞があり、アンカー材通し用の孔に気密性を確保することが難しい。
(3)アンカー通し装置はシンプルなパッキンを用いた簡易な気密構造のため、適用性については限定的であり、高い気圧での適用は期待できない。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種のニューマチックケーソンの圧入装置において、特に、アンカー材にケーソン躯体の圧入沈設に要求される高い緊張力を負荷できるようにすること、アンカー材の施工誤差を柔軟に吸収すること、また、高い気圧でも気密性を十分に確保できる専用の漏気防止装置を提供することなど、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、ニューマチックケーソンの下部側に形成された作業室天井スラブに複数のアンカー材通し用の孔が設けられ、前記各孔に挿通される複数のアンカー材と、前記各孔に気密に挿着され、前記各孔と前記各アンカー材との間の空隙部を遮断する複数の漏気防止装置と、前記ニューマチックケーソン上に前記各アンカー材に対応して設置され、前記ニューマチックケーソンを押下するための複数の圧入用ジャッキとを備え、前記各アンカー材が下端を前記作業室の下方の地盤に固定され、上端側を前記各圧入用ジャッキに連結されて、前記各圧入用ジャッキにより前記各アンカー材を反力として前記ニューマチックケーソンを地盤に圧入し沈設するニューマチックケーソンの圧入装置において、前記各アンカー材は気密性を有する部材により被覆される複数のPC鋼より線からなる、ことを要旨とする。
【0009】
また、この圧入装置は各部が次のように具体化されることが好ましい。
(1)気密性を有する部材にアンボンドチューブが採用される。この場合、アンボンドチューブ内にグリースなどの充填材が注入されることが望ましい。
(2)複数の漏気防止装置はそれぞれ、各アンカー材通し用の孔に嵌合可能な略筒状に形成され、充填材を収容されて、前記各PC鋼より線を気密に挿通するケーシングパイプと、前記ケーシングパイプの上下両端の開口にそれぞれ当該開口を密閉可能に設けられ、前記ケーシングパイプに通される複数のPC鋼より線を挿通可能なPC鋼より線挿通部、及び前記各PC鋼より線に前記PC鋼より線挿通部に近接してパッキンが装着され、当該各パッキンを前記各PC鋼より線挿通部において圧縮可能なパッキン圧縮部を有し、前記各PC鋼より線を気密に挿通する上部ヘッド及び下部ヘッドとを備える。
(3)上部ヘッド及び下部ヘッドはそれぞれ、ケーシングパイプの開口に気密に設けられ、前記ケーシングパイプに通される複数のPC鋼より線を個別に挿通可能な複数のPC鋼より線挿通孔を有するヘッドプレートと、前記ヘッドプレート上に重合可能に設けられ、前記ヘッドプレートの各PC鋼より線挿通孔に連通可能な複数のPC鋼より線挿通孔及び当該各PC鋼より線挿通孔の周囲に突状に形成され、前記PC鋼より線に装着されるパッキンを前記ヘッドプレートに向けて圧縮可能な複数の押圧部を有する押えプレートとを備える。このようにしてヘッドプレートの複数のPC鋼より線挿通孔と押えプレートの複数のPC鋼より線挿通孔とによりPC鋼より線挿通部を構成し、ヘッドプレートと押えプレートの各突状部とによりパッキン圧縮部を構成する。
(4)下部ヘッドの押えプレートは複数のPC鋼より線挿通孔がそれぞれ内側から外側に向けて漸次拡開される略テーパ形状をなす。
(5)各PC鋼より線のパッキンにグランドパッキンが採用され、前記各PC鋼より線の周囲に多段状に装着される。
(6)充填材に高温で流動性を発揮し、常温でちょう度200程度の硬い性状を有するグリースが採用される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の圧入装置によれば、アンカー材がアンボンドチューブなどの気密性を有する部材により被覆された複数のPC鋼より線により構成されるので、PC鋼より線の有する耐久性により、このアンカー材にケーソン躯体の圧入沈設に要求される高い緊張力を負荷することができ、また、PC鋼より線の有する柔軟性により、アンカー材に施工誤差が生じても、当該誤差を柔軟に吸収することができる、という格別な効果を奏する。
また、この圧入装置では、複数の漏気防止装置がそれぞれ、アンカー材通し用の孔に挿着されて、当該孔とアンカー材との間の空隙部にグリースなどの充填材を注入しシールするケーシングパイプと、ケーシングパイプの上下両端の開口にそれぞれ設けられ、アンカー材の挿通部でアンカー材に装着されたグランドパッキンなどのパッキンを圧縮してアンカー材の挿通部とアンカー材との間の隙間を埋めて密閉する上部ヘッド及び下部ヘッドとを備え、各アンカー材通し用の孔と各孔に挿通される各アンカー材との間の空隙部を3箇所で3重の遮断構造により遮断するので、高い気圧でも気密性を十分に確保することができる、という顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態におけるニューマチックケーソンの圧入装置を示す正面断面図
【図2】同圧入装置の特に漏気防止装置を拡大して示す正面断面図
【図3】同圧入装置の特にアンカー材を拡大して示す断面図
【図4】同圧入装置の特に漏気防止装置の上部を拡大して示す正面断面図
【図5】同圧入装置の特に漏気防止装置の下部を拡大して示す正面断面図
【図6】圧入用ジャッキとアンカー材を利用して、ケーソン躯体を地盤に圧入し、沈設する従来の各種の工法を示す図
【図7】従来の特に作業室天井スラブ載荷方法に使用する圧入装置を示す正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1にニューマチックケーソンの圧入装置を示し、図2乃至図5にその要部を示している。
【0013】
図1に示すように、ニューマチックケーソンC(以下、ケーソン躯体Cという。)は内部の下部側に作業室天井スラブ101が形成され、その下方に作業室102が設けられる。そして、このケーソン躯体Cの場合、作業室天井スラブ101に複数のアンカー材通し用の孔100がそれぞれ円形に円周方向に等間隔に形成される。圧入装置Aは、各孔100に挿通される複数のアンカー材1と、各孔100に気密に挿着され、各孔100と各アンカー材1との間の空隙部を遮断する複数の漏気防止装置2と、ケーソン躯体C上に各アンカー材1に対応して設置され、ケーソン躯体Cを押下するための複数の圧入用ジャッキ6とを備えて構成される。
【0014】
この圧入装置Aでは、複数のアンカー材1はそれぞれ、図2に示すように、気密性を有する部材10により被覆された複数本のPC鋼より線11からなり、この場合、図3に示すように、気密性を有する部材10にアンボンドチューブが採用され、また、このアンボンドチューブ10内に充填材(グリース)211が充填されて、複数のグリース入りのアンボンドPC鋼より線により構成される。また、これらのPC鋼より線11にはそれぞれ、図4及び図5に示すように、後述する漏気防止装置2の上部及び下部に対応する所定の位置にパッキン12が装着される。この場合、パッキン12にグランドパッキンが採用され、各PC鋼より線11の周囲の所定の範囲に軸方向に多段状に装着される。これらのPC鋼より線11はそれぞれ、作業室天井スラブ101に設けられた複数のアンカー材通し用の孔100にそれぞれ通され、下端部がアンカー体(図示省略)を介して作業室102下方の地盤に固定され、上端側が作業室天井スラブ101上で圧入用ジャッキ6に連結される。
【0015】
複数の漏気防止装置2はそれぞれ、図2に示すように、各アンカー材通し用の孔100に嵌合可能な略筒状に形成され、内部に半固体又は半流動性を呈する充填材21が収容されて、各アンカー材1を気密にシールして挿通するケーシングパイプ3と、ケーシングパイプ3の上下両端の開口301、302にそれぞれ当該開口301、302を密閉可能に設けられ、ケーシングパイプ3に通される複数のPC鋼より線11を挿通可能なPC鋼より線挿通部40、50及びこれらのPC鋼より線11に装着されるパッキン12を各PC鋼より線挿通部40、50において圧縮可能なパッキン圧縮部40p、50pを有し、各PC鋼より線11を気密に挿通する上部ヘッド4及び下部ヘッド5とを備える。
【0016】
この漏気防止装置2の場合、ケーシングパイプ3は、図2に示すように、アンカー材通し用の孔100に嵌合可能に当該孔100と略同径で略同じ長さの円筒形のパイプ材からなり、図4及び図5に示すように、上下の両端がそれぞれ開口され、上部の開口301及び下部の開口302の周囲にそれぞれ外側に突出する支圧板31、32が一体的に形成される。この場合、上部の支圧板31は適宜の肉厚を有し、また下部の支圧板32に比べて小径に形成され、下部の支圧板32は適宜の肉厚を有し、また上部の支圧板31に比べて大径に形成される。なお、これら上下の支圧板31、32にはそれぞれ所定の位置にねじ穴310、320が設けられる。また、このケーシングパイプ3には、図4及び図5に示すように、周面の下部側に充填材の注入口311が、周面の上部側に充填材の排出口312がそれぞれ設けられる。これらの注入口311及び排出口312は小径のパイプ材により形成され、それぞれケーシングパイプ3の周面から外側に少し突出されてケーシングパイプ3上部の上部ヘッド4まで延ばされる。このケーシングパイプ3には、これが作業室天井スラブ101のアンカー材通し用の孔100に挿着される際に、充填材の注入口311を通じて充填材21が注入される。この漏気防止装置2の場合、充填材21に高温(約60℃程度)で流動性を発揮し、常温でちょう度200程度の硬い性状を有するグリースが採用される。
【0017】
また、この漏気防止装置2の場合、上部ヘッド4及び下部ヘッド5はそれぞれ、図4及び図5に示すように、ケーシングパイプ3の上部開口301及び下部開口302に気密に設けられ、ケーシングパイプ3に通される複数のPC鋼より線11を個別に挿通可能な複数のPC鋼より線挿通孔41、51を有するヘッドプレート42、52と、ヘッドプレート42、52上(ヘッドプレート42、52の外側)に重合可能に設けられ、ヘッドプレート42、52の各PC鋼より線挿通孔41、51に連通可能な複数のPC鋼より線挿通孔43、53及び各PC鋼より線挿通孔42、53の周囲に突状に形成され、PC鋼より線11に装着されるパッキン12をヘッドプレート42、52に向けて圧縮可能な押圧部44、54を有する押えプレート45、55とを備える。
【0018】
この上部ヘッド4の場合、図4に示すように、ヘッドプレート42はケーシングパイプ3の上部開口301に嵌着可能な略逆ハット形に形成され、ケーシングパイプ3の上部開口301内に嵌合可能な適宜の肉厚を有する円筒部421と、円筒部421の下端面でその中央に複数のPC鋼より線11を挿通可能な複数のPC鋼より線挿通孔41を有する適宜の肉厚を有する底部422と、円筒部421の上端面で複数のPC鋼より線11を挿通可能な開口423と、この開口423の周囲に外側に向けて突出されてケーシングパイプ3の上部支圧板31上に当接可能な適宜の肉厚を有するフランジ424とを具備する。なお、このヘッドプレート42の上部開口423周囲の縁部及びフランジ424にはそれぞれ所定の位置にねじ穴425、426が設けられる。また、押えプレート45はヘッドプレート42の上部開口423及びこの開口423の縁部に係合可能な略円盤形に形成され、ヘッドプレート42の上部開口423上を覆いその周囲の縁部に当接可能な円形板状で、その円形の平面中央にヘッドプレート42の各PC鋼より線挿通孔41に対応する複数のPC鋼より線挿通孔43を有する本体部451と、本体部451のヘッドプレート42に対向する片側一方の面に各PC鋼より線挿通孔43の周囲を取り囲み所定の長さの円筒状に突出される複数の押圧部44とを具備する。なお、本体部451の外周部(押圧部44の外側周囲)には所定の位置にねじ穴450が設けられる。このようにしてケーシングパイプ3が作業室天井スラブ101のアンカー材通し用の孔100に挿着され、このケーシングパイプ3に複数のPC鋼より線11が挿通される際に、このケーシングパイプ3の上部に同芯的にヘッドプレート42、押えプレート45が順次取り付けられる。ヘッドプレート42は底部422の各PC鋼より線挿通孔41から上部の開口423にそれぞれ各PC鋼より線11が挿通されて円筒部421がケーシングパイプ3の上部開口301に嵌め込まれ、上部開口423周囲のフランジ424がケーシングパイプ3の上部支圧板31上にシートパッキン221を介して当接されて、ケーシングパイプ3の支圧板31に設けられたねじ穴310とヘッドプレート42のフランジ424に設けられたねじ穴426との間にボルト231が締め込まれて取り付けられる。そして、このヘッドプレート42の各PC鋼より線挿通孔41に通され、開口423内に配置された各PC鋼より線11の所定の部分にパッキン12、この場合、グランドパッキン12が多段状に装着される。押えプレート45は各押圧部44から各PC鋼より線挿通孔43にそれぞれ各PC鋼より線11が挿通されてヘッドプレート42上に重合される。この場合、押えプレート45は本体部451の片側一方の面の各押圧部44がヘッドプレート42の開口423に対向して、ヘッドプレート42の開口423に嵌め込まれ、本体部451の外周部がヘッドプレート42の開口423の縁部上にシートパッキン222を介して当接されて、ヘッドプレート42の開口423の縁部に設けられたねじ穴425と押えプレート45の外周部に設けられたねじ穴450との間にボルト232が締め込まれて取り付けられる。このようにしてヘッドプレート42と押えプレート45が組み立てられ、ヘッドプレート42の複数のPC鋼より線挿通孔41と押えプレート45の複数のPC鋼より線挿通孔43とにより、上部ヘッド4にPC鋼より線挿通部40が構成され、ヘッドプレート42(の各PC鋼より線挿通孔41の周囲)と押えプレート45の各押圧部44とによりパッキン圧縮部40pが構成される。
【0019】
また、下部ヘッド5の場合、図5に示すように、ヘッドプレート52はケーシングパイプ3の下部開口302に連接可能な略筒形に形成され、ケーシングパイプ3の下部開口302に連結可能な適宜の肉厚を有する円筒部521と、円筒部521の上端面でその中央に複数のPC鋼より線11を挿通可能な複数のPC鋼より線挿通孔51を有する適宜の肉厚を有する頂部522と、円筒部521の下端面で複数のPC鋼より線11を挿通可能な開口523とを具備する。なお、ヘッドプレート52の下部開口523周囲の縁部及び外周部にはそれぞれ所定の位置にねじ穴524、525が設けられる。また、押えプレート55はヘッドプレート52の下部開口523及びこの開口523の縁部に係合可能な略円盤形に形成され、ヘッドプレート52の下部開口523を覆いその周囲の縁部に当接可能な円形板状で、その円形の平面中央にヘッドプレート52の各PC鋼より線挿通孔51に対応する複数のPC鋼より線挿通孔53を有する本体部551と、本体部551のヘッドプレート52に対向する片側一方の面に各PC鋼より線挿通孔53の周囲を取り囲み所定の長さの円筒状に突出される複数の押圧部54とを具備する。また、この押えプレート55においては、本体部551の各PC鋼より線挿通孔53が内側(この場合、本体部551の上端と下端との間の中間部当たり)から外側(この場合、本体部551の下端)に向けて漸次拡開(拡径)されるテーパ形状に形成される。なお、本体部551の外周部(押圧部54の外側周囲)には所定の位置にねじ穴550が貫通して設けられる。この下部ヘッド5はケーシングパイプ3の下部開口302に固定リング56及び押えリング57を介して連接される。この場合、固定リング56はヘッドプレート52の外周を包囲可能な適宜の肉厚を有するリング形状に形成される。なお、この固定リング56の下部開口560の縁部と外周部にはそれぞれ所定の位置にねじ穴561、562、563が設けられる。押えリング57は固定リング56と下部ヘッド5との間に係合可能な略ハット形に形成され、固定リング56と下部ヘッド5との間に嵌合される円筒部571と、円筒部571の下端で固定リング56の下部開口560の縁部に当接されるフランジ572とを具備する。なお、この押えリング56のフランジ572及び外周部にはそれぞれ所定の位置にねじ穴573、574が設けられる。このようにしてケーシングパイプ3が作業室天井スラブ101のアンカー材通し用の孔100に挿着され、このケーシングパイプ3に複数のPC鋼より線11が挿通される際に、このケーシングパイプ3の下部に同芯的に固定リング56、ヘッドプレート52、押えリング57、押えプレート55が順次取り付けられる。この場合、固定リング56はケーシング3の下部に(ケーシングパイプ3の支圧板32と固定リング56と間に)シートパッキン223を介して当接され、ケーシングパイプ3の支圧板32に設けられたねじ穴320と固定リング56の外周部に設けられたねじ穴563との間にボルト233が締め込まれて固定される。ヘッドプレート52は下部の開口523から頂部522の複数のPC鋼より線挿通孔51にそれぞれ各PC鋼より線11が挿通されて円筒部521が固定リング56内に配置され、この状態から円筒部521と固定リング56との間にパッキン24を介して押えリング57が嵌合され、この押えリング57がパッキン24を圧縮し、押えリング57のフランジ572が固定リング56の縁部に当接されるまで圧入されて、この押えリング57の押圧作用によりヘッドプレート52が固定リング56内に押え込まれる。そして固定リング56の外周部に設けられたねじ穴562、押えリング57の外周部に設けられたねじ穴574、ヘッドプレート52の外周部に設けられたねじ穴525間にそれぞれボルト234が締め込まれ、さらに固定リング56の開口縁部に設けられたねじ穴561と押えリング57のフランジ572に設けられたねじ穴573との間に、それぞれボルト235が締め込まれて固定される。そして、このヘッドプレート52の各PC鋼より線挿通孔51に通され、開口523内に配置された各PC鋼より線11の所定の部分にパッキン12、この場合、グランドパッキン12が多段状に装着される。押えプレート55は各PC鋼より線挿通孔53から各押圧部54にそれぞれ各PC鋼より線11が挿通されてヘッドプレート52上に重合される。この場合、押えプレート55は本体部551の片側一方の面の各押圧部54がヘッドプレート52の開口523に対向して、ヘッドプレート52の開口523に嵌め込まれ、本体部551の外周部がヘッドプレート52の開口523の縁部上にシートパッキン224を介して当接されて、ヘッドプレート52の開口523の縁部に設けられたねじ穴524と押えプレート55の外周部に設けられたねじ穴550との間にボルト236が締め込まれて取り付けられる。このようにしてヘッドプレート52と押さえプレート55が組み立てられ、ヘッドプレート52の複数のPC鋼より線挿通孔51と押えプレート55の複数のPC鋼より線挿通孔53とにより、下部ヘッド5にPC鋼より線挿通部50が構成され、ヘッドプレート52(の各PC鋼より線挿通孔51の周囲)と押えプレート55の各押圧部54とによりパッキン圧縮部50pが構成される。
【0020】
複数の圧入用ジャッキ6には油圧式のセンターホールジャッキが採用される。これらのジャッキ6はそれぞれ、作業室天井スラブ101上で各アンカー材通し用の孔100に対応する位置に設置される。そして、各アンカー材通し用の孔100に通された各アンカー材1が各圧入用ジャッキ6に貫通され、各アンカー材1に取り付けられたアンカー固定金物61を介して各圧入用ジャッキ6に連結される。
【0021】
このようにして、図1に示すように、各アンカー材1は各PC鋼より線11と作業室天井スラブ101のアンカー材通し用の各穴100との間の空隙部が各漏気防止装置2によりシールされて、下端が作業室102の下方の地盤に固定され、上端側が作業室天井スラブ101上の各圧入用ジャッキ6に連結され、各圧入用ジャッキ6により各アンカー材1を反力としてケーソン躯体Cを地盤に圧入し、沈設するようになっている。
【0022】
この圧入装置Aを用いたケーソン躯体Cの圧入方法は次のとおりである。
(1)まず、ケーソン躯体Cを沈設すべき場所に、ケーソン躯体Cを設置する。
(2)次に、ケーソン躯体Cの作業室天井スラブ101に予め設けたアンカー材通し用の複数の孔100、及びケーシングパイプ3を通して地盤に削孔、アンカー材1の挿入を行い、各アンカー材1の下端部を地盤に定着する。次いで、上部ヘッド4の設置、ケーソン躯体Cの直下の掘削後の下部ヘッド5の設置、充填材の注入口311からグリース21の注入充填を行い、漏気防止装置2の組立てを完了する。これにより、各アンカー材通し用の孔100と各アンカー材1との間の空隙部を漏気防止装置2の3重構造、すなわち、ケーシングパイプ3内のグリース21と上部ヘッド4及び下部ヘッド5の各パッキン(グランドパッキン)12で遮断する。
(3)次いで、作業室天井スラブ101上のアンカー材通し用の孔100に対応する位置に圧入用ジャッキ6を設置し、これらの圧入用ジャッキ6にアンカー材固定金物61を介して各アンカー材1を連結する。
(4)このようにケーソン躯体Cに各部材をセットした上で、ケーソン躯体Cの作業室102の底部の地盤を手掘りまたは機械掘りで掘削し、その掘削土砂をケーソンシャフト(図示省略)及びケーソンロック(図示省略)を通じて地上まで搬送し排土する。
(5)このようにして作業室102内で地盤を掘削した後、各圧入用ジャッキ6により各アンカー材1を反力としてケーソン躯体Cを圧入し、沈設する。そして、ケーソン躯体Cの沈設後、ケーソン躯体C上部を構築する。なお、ケーソン躯体Cの圧入、沈設の過程で、漏気防止装置2内のグリース21の量が目減りしたときは、充填材の注入口311を通じてグリース21を補給する。
(6)そして、これら作業室102の底部の地盤を掘削する作業、圧入用ジャッキ6によりアンカー材1を反力としてケーソン躯体Cを圧入する作業、ケーソン躯体Cの圧入、沈設後、ケーソン躯体Cの上部を構築する作業を繰り返し行い、ケーソン構造物を地下深くに沈設していく。
【0023】
この圧入装置Aによる工法では、複数のアンカー材1にそれぞれ、複数本のPC鋼より線11が使用されるので、各アンカー材1の施工に際して、施工誤差が生じても、各PC鋼より線11の有する柔軟性により、アンカー材1の施工誤差を柔軟に吸収することができる。そして、これらのPC鋼より線11はアンボンドチューブ10で被覆され、しかもアンボンドチューブ10内にグリース211が充填されていることで、漏気の原因となるPC鋼より線11の隙間を無くして完全に漏気を遮断することができ、また、PC鋼より線11それ自体が耐久性に優れ、ケーソン躯体Cの圧入沈設に要求される高い緊張力を負荷することができるので、ケーソン躯体Cを高載荷圧で圧入することが可能となる。
そして、これらのアンカー材1は、各アンカー材通し用の孔100と各アンカー材1との間の空隙部を漏気防止装置2による3重の漏気防止構造、すなわち、ケーシングパイプ3内の充填材(グリース)21と上部ヘッド4及び下部ヘッド5の各パッキン(グランドパッキン)12とにより遮断されるので、各アンカー材通し用の孔100と各アンカー材1との間の空隙部は確実に密封される。この場合、パッキン12に高い耐久性及びシール性を有するグランドパッキンが採用され、これがアンカー材1の所定の位置に多段状に装着され、上部ヘッド4及び下部ヘッド5の各パッキン圧縮部40p、50pにより圧縮変形されて、上部ヘッド4及び下部ヘッド5の各部で各アンカー材通し用の孔100と各アンカー材1との間の隙間を埋めるので、上部ヘッド4及び下部ヘッド5の各部で十分なシール作用が得られ、これにより、ケーシングパイプ3内のグリース21は確実に密封され、各アンカー材通し用の孔100と各アンカー材1間の空隙部の気密性は十分に確保される。そして、このような充填材21及びパッキン12の持つ高いシール性は、上記のアンボンドPC鋼より線11からなるアンカー材1を用いてケーソン躯体Cを高載荷圧で圧入する施工に適合するものとなる。このようにしてこの漏気防止装置2は1MPaクラスの高圧条件でも使用可能で、しかも充填材21のみでも、また、下部ヘッド5のパッキン12のみでも漏気を遮断できる性能があり、施工中において何れかの箇所で充填材21や上部ヘッド4のパッキン12が損傷した場合でも、安全にこれら部品の交換が可能である。また、このように高気圧下でも気密性が確保されることで、用地制限により躯体用地外へアンカーを設置する単桁構造や片持ち梁構造が採用できない場所の大深度地下へのニューマチックケーソン基礎が採用可能となる。
【0024】
以上説明したように、この圧入装置Aによれば、ケーソン躯体Cの作業室天井スラブ101に予め設けたアンカー材通し用の複数の孔100にそれぞれ漏気防止装置2が設置されて、これらの漏気防止装置2を介して、複数のアンカー材1が作業室天井スラブ101に貫通され、各アンカー材1の下端が作業室102の下方の地盤に固定され、上端側が作業室天井スラブ101上の各圧入用ジャッキ6に連結されて、各圧入用ジャッキ6により各アンカー材1を反力としてケーソン躯体Cを地盤に圧入し、沈設するので、圧入用反力桁の架設や撤去作業を必要とせず、その分作業能率の向上および省力化を図ることができ、ケーソン躯体Cの沈設後、直ちにケーソン躯体C上部の構築に移行することができる、また、ケーソン躯体Cの圧入、沈設作業をすべてケーソン躯体C内部で行うことができるので、他の構造物に対して近接施工が可能となり、しかも、大深度掘削にも、軟弱地盤でも沈設制御ができるので、施工精度が向上し、工程管理を確実にすることができる、ニューマチックケーソンを圧入することにより、硬質の砂層、砂礫層での圧力を最少限の先掘りで施工することができるなど、従来の作業室天井スラブ載荷方法による利点をそのまま活かすことができる。
【0025】
そして、この圧入装置Aでは、特に、アンカー材1にグリース入りのアンボンドPC鋼より線など、気密性を有する部材で被覆された複数のPC鋼より線11が採用されるので、アンカー材1に施工誤差が発生しても、PC鋼より線11の有する柔軟性により、アンカー材1の施工誤差を柔軟に吸収することができ、また、従来のアンカーロッドなどに比べて高い緊張力を負荷することができ、ケーソン躯体Cを高載荷圧で圧入沈設することができる。
【0026】
また、この圧入装置Aでは、特に、複数の漏気防止装置2がそれぞれ、全体が略筒状に形成され、充填材21が収容されるケーシングパイプ3と、ケーシングパイプ3の上下両端の開口301、302にそれぞれ当該開口301、302を密閉可能に設けられ、ケーシングパイプ3に通される複数のPC鋼より線11を挿通可能なPC鋼より線挿通部40、50及び各PC鋼より線11に装着されるパッキン12を当該PC鋼より線挿通部40、50において圧縮可能なパッキン圧縮部40p、50pを有し、各PC鋼より線11を気密に挿通する上部ヘッド4及び下部ヘッド5とを備え、各アンカー材通し用の孔100と各孔100に挿通される各アンカー材1との間の空隙部を3箇所の3重の漏気遮断構造で遮断するので、高い気圧でも気密性を十分に確保することができ、作業室天井スラブ101に設けられたアンカー材通し用の穴100からの圧縮空気の漏洩を確実に防止することができる。
そして、この場合、パッキン12にグランドパッキンが用いられ、これがアンカー材1に多段状に装着されて、上部ヘッド4及び下部ヘッド5の各パッキン圧縮部40p、50pで圧縮されるので、従来の単純なパッキンに比べて、そのシール性能を大幅に向上させることができる。
また、この場合、複数の漏気防止装置2はそれぞれ、各アンカー材通し用の孔100に嵌合可能な略筒状に形成され、充填材21が収容されて、各PC鋼より線11を気密に挿通するケーシングパイプ3と、ケーシングパイプ3の上下両端の開口301、302にそれぞれ当該開口301、302を密閉可能に設けられ、ケーシングパイプ3に通される複数のPC鋼より線11を挿通可能なPC鋼より線挿通部40、50、及び各PC鋼より線11にPC鋼より線挿通部40、50に近接してパッキン12が装着され、当該各パッキン12を各PC鋼より線挿通部40、50において圧縮可能なパッキン圧縮部40p、50pを有し、各PC鋼より線11を気密に挿通する上部ヘッド4及び下部ヘッド5とを備え、これらのケーシングパイプ3がそれぞれ、作業室天井スラブ101の各アンカー材通し用の孔100に挿着され、これらのケーシングパイプ3の上下に上部ヘッド4及び下部ヘッド5が取り付けられて設置されるので、各漏気防止装置2を作業室天井スラブ101の各アンカー材通し用の孔100に少ない部品点数で簡易に設置することができる。さらに、下部ヘッド5にあっては複数のPC鋼より線挿通孔53がそれぞれ内側から外側に向けて漸次拡開される略テーパ形状をなすので、アンカー材1の施工誤差があった場合に、この挿通孔53の略テーパ形状でアンカー材1の施工誤差を吸収することができる。
さらに、この場合、ケーシングパイプ3の充填材21やアンボンドチューブ10の充填材211に高温(約60℃程度)で流動性を発揮し、常温でちょう度200程度の硬い性状を有するグリースが採用されるので、ケーシングパイプ3やアンボンドチューブ10内の鋼線間にも充填材21、211を確実に流し込むことができ、漏気に対して有効な遮断性能を得ることができる。
【0027】
なお、この実施の形態では、上部ヘッド4及び下部ヘッド5のパッキン圧縮部40p、50pを押えプレート45、55に複数の押圧部44、54を形成することにより構成したが、この押えプレート45、55を略平板状に形成して、ヘッドプレート41、51の押えプレート45、55に対向する一方の面に複数の突状の押圧部を形成して構成してもよい。また、このパッキン圧縮部41、51は複数の押圧部に代えて、押えプレート45、55又はヘッドプレート42、52に一体の平板状の押圧部にしてこれに複数のアンカー材1の挿通孔を設けてもよい。さらに、この押圧部を押えプレート45、55又はヘッドプレート41、51から切り離し、これらヘッドプレート41、51と押えプレート45、55との間に別体の圧縮プレートを介在して構成してもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0028】
C ニューマチックケーソン(ケーソン躯体)
101 作業室天井スラブ
102 作業室
100 アンカー材通し用の孔
A 圧入装置
1 アンカー材
10 気密性を有する部材(アンボンドチューブ)
11 PC鋼より線
12 パッキン(グランドパッキン)
2 漏気防止装置
21 充填材(グリース)
211 充填材(グリース)
221、222、223、224 シートパッキン
231、232、233、234、235、236 ボルト
24 パッキン
3 ケーシングパイプ
301、302 開口
31、32 支圧板
310、320 ねじ穴
311 充填材の注入口
312 充填材の排出口
4 上部ヘッド
40 PC鋼より線挿通部
40p パッキン圧縮部
41 PC鋼より線挿通孔
42 ヘッドプレート
421 円筒部
422 底部
423 開口
424 フランジ
425、426 ねじ穴
43 PC鋼より線挿通孔
44 押圧部
45 押えプレート
450 ねじ穴
451 本体部
5 下部ヘッド
50 PC鋼より線挿通部
50p パッキン圧縮部
51 PC鋼より線挿通孔
52 ヘッドプレート
521 円筒部
522 頂部
523 開口
524、525 ねじ穴
53 PC鋼より線挿通孔
54 押圧部
55 押えプレート
550 ねじ穴
551 本体部
56 固定リング
560 開口
561、562、563 ねじ穴
57 押えリング
571 円筒部
572 フランジ
573、574 ねじ穴
6 圧入用ジャッキ
60 アンカー固定金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューマチックケーソンの下部側に形成された作業室天井スラブに複数のアンカー材通し用の孔が設けられ、前記各孔に挿通される複数のアンカー材と、前記各孔に気密に挿着され、前記各孔と前記各アンカー材との間の空隙部を遮断する複数の漏気防止装置と、前記ニューマチックケーソン上に前記各アンカー材に対応して設置され、前記ニューマチックケーソンを押下するための複数の圧入用ジャッキとを備え、前記各アンカー材が下端を前記作業室の下方の地盤に固定され、上端側を前記各圧入用ジャッキに連結されて、前記各圧入用ジャッキにより前記各アンカー材を反力として前記ニューマチックケーソンを地盤に圧入し沈設するニューマチックケーソンの圧入装置において、
前記各アンカー材は気密性を有する部材により被覆される複数のPC鋼より線からなる、
ことを特徴とするニューマチックケーソンの圧入装置。
【請求項2】
気密性を有する部材にアンボンドチューブが採用される請求項1に記載のニューマチックケーソンの圧入装置。
【請求項3】
複数の漏気防止装置はそれぞれ、各アンカー材通し用の孔に嵌合可能な略筒状に形成され、充填材を収容されて、前記各PC鋼より線を気密に挿通するケーシングパイプと、前記ケーシングパイプの上下両端の開口にそれぞれ当該開口を密閉可能に設けられ、前記ケーシングパイプに通される複数のPC鋼より線を挿通可能なPC鋼より線挿通部、及び前記各PC鋼より線に前記PC鋼より線挿通部に近接してパッキンが装着され、当該各パッキンを前記各PC鋼より線挿通部において圧縮可能なパッキン圧縮部を有し、前記各PC鋼より線を気密に挿通する上部ヘッド及び下部ヘッドとを備える請求項1又は2に記載のニューマチックケーソンの圧入装置。
【請求項4】
上部ヘッド及び下部ヘッドはそれぞれ、ケーシングパイプの開口に気密に設けられ、前記ケーシングパイプに通される複数のPC鋼より線を個別に挿通可能な複数のPC鋼より線挿通孔を有するヘッドプレートと、前記ヘッドプレート上に重合可能に設けられ、前記ヘッドプレートの各PC鋼より線挿通孔に連通可能な複数のPC鋼より線挿通孔及び当該各PC鋼より線挿通孔の周囲に突状に形成され、前記PC鋼より線に装着されるパッキンを前記ヘッドプレートに向けて圧縮可能な複数の押圧部を有する押えプレートとを備える請求項3に記載のニューマチックケーソンの圧入装置。
【請求項5】
下部ヘッドの押えプレートは複数のPC鋼より線挿通孔がそれぞれ内側から外側に向けて漸次拡開される略テーパ形状をなす請求項4に記載のニューマチックケーソンの圧入装置。
【請求項6】
各PC鋼より線のパッキンにグランドパッキンが採用され、前記各PC鋼より線の周囲に多段状に装着される請求項1乃至5のいずれかに記載のニューマチックケーソンの圧入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−31702(P2012−31702A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174251(P2010−174251)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)
【出願人】(000207780)大豊建設株式会社 (77)
【Fターム(参考)】