説明

ニューロキニン受容体拮抗薬としてのキノリン誘導体

本発明は式Iの化合物および薬剤として許容されるこれらの塩、これらを含む薬剤組成物およびニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3(NK−3)受容体によって媒介される統合失調症などの疾患の治療におけるこれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書において定義されるキノリン−4−カルボン酸ヒドラジド、これらを含む薬剤組成物、加えてニューロキニン−2(NK−2)および/またはニューロキニン−3(NK−3)によって媒介される疾患の治療におけるこれらの使用に関する。したがって、これらの化合物は、このような障害を抑制し、治療するための治療方法において使用することができる。
【背景技術】
【0002】
NK−3受容体拮抗薬に関する背景情報は、Giardina and Raveglia、Exp.Opin.Ther.Patenis(1997)7(4)9;307−323およびGiardina et al、Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(6);939−960などの文献総説において見出すことができる。これらの参考文献は、NK−3拮抗薬を用いて治療が可能な治療法の臨床前検証に関する関連情報も含んでいる。
【0003】
当技術分野においてNK−3拮抗薬として調製される化合物の代表的な例は、国際公開第A−9719926号(SmithKline Beecham S.p.a.)および米国特許第A−5741910号(Sanofi)において見出される。NK−3および/またはNK−2受容体拮抗薬として構造的に関連する化合物は、国際特許出願公開WO2004/050626号およびWO2004/050627号(両方ともSmithKline Beecham Corporation)および国際特許出願PCT/GB2004/000415号(Merck Sharp & Dohme)に開示されている。
【発明の開示】
【0004】
したがって、本発明は、式(I)の化合物
【0005】
【化3】

または薬剤として許容されるこの塩を提供する。
【0006】
好ましくは、フェニル環の2位(ここで前記フェニル環はキノリニル部分の2位に結合している。)は無置換である。より好ましくは、前記フェニル環は無置換であるか、または前記フェニル環が置換されている場合は、フェニル環の3位または4位に1個のフッ素原子がある。
【0007】
式(I)の化合物の範囲に入る化合物は、
メチル2−({3−アミノ−2−フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[3−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[4−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2,3−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2,4−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2,5−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2,6−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[3,4−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[3,5−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
および薬剤として許容されるこれらの塩である。
【0008】
これらの化合物および直前の定義によって定義されているものが治療において、特にNK−2および/またはNK−3拮抗薬として、特別にはNK−3拮抗薬として有用である。
【0009】
本発明の化合物は、好都合な性質を示す。特に、これらは、先行技術の化合物と比較して、以下の特徴の1つまたは複数を有している。
【0010】
(i)これらは、適切な投与の後で、薬理学的に活性な化合物の、より高いインビボ脳内濃度をもたらす。
【0011】
(ii)これらは、適切な投与の後に、薬理学的に活性な化合物の、より高いインビボ脳内:血液濃度比をもたらす。
【0012】
(iii)これらは、所定の投与量においてより高いレベルのNK−3受容体占有率を達成し、これは例えばCNS障害の、有効な治療のために必要な投与量が、受容体占有率がより低い化合物よりも、低いことを意味する。
【0013】
(iv)これらは、所定の投与量において及ぼす有害な副作用が少ない。
【0014】
(v)これらは、NK−3受容体に対する選択性が向上している。
【0015】
(vi)これらは、インビボNK−3作用薬によって駆動される行動的影響を効果的に反転させる能力がより大きい。
【0016】
(vii)これらは、CNS障害またはCNS介在障害において、治療効力を予測する適切なモデルにおいて優れた性質を有する。
【0017】
(viii)これらは、向上した作用の持続性を有する。
【0018】
(ix)これらは、製剤を助ける物理的性質を含めて、これらを薬剤として開発する優れた候補とするその他の性質も備えている。
【0019】
化合物「の投与」および「を投与すること」という用語は、本発明のある化合物を治療を必要としている個人に与えることを意味すると解釈するものとする。
【0020】
本明細書において使用する「対象」という(あるいは本明細書において「患者」という)用語は、治療、観察または実験の対象となった、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトのことである。
【0021】
本発明の化合物は、薬剤として許容される塩の形態で投与することができる。「薬剤として許容される塩」という用語は、すべての許容される塩、例えば酢酸塩、ラクトビオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、リンゴ酸塩、炭酸水素塩、マレイン酸塩、硫酸水素塩、マンデル酸塩、酒石酸水素塩、メシル酸塩、ホウ酸塩、臭化メチル、臭化物、硝酸メチル、エデト酸カルシウム、硫酸メチル、カンシル酸塩、ムコ酸塩、炭酸塩、ナプシル酸塩、塩化物、硝酸塩、クラブラン酸塩、N−メチルグルカミン、クエン酸塩、アンモニウム塩、二塩酸塩、オレイン酸塩、エデト酸塩、シュウ酸塩、エジシル酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、エストル酸塩、パルミチン酸塩、エシル酸塩、パントテン酸塩、フマル酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、グルセプト酸塩、ポリガラクチュロン酸塩、グルコン酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、ステアリン酸塩、グリコリルサニル酸塩、硫酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、塩基性酢酸塩、ヒドラバミン、コハク酸塩、臭化水素酸塩、タンニン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、ヒドロキシナフト酸塩、テオクル酸塩、ヨウ化物、トシル酸塩、イソチオン酸塩、トリエチオジド、乳酸塩、パノエート(panoate)、吉草酸塩、および類似のものであり、溶解性または加水分解特性を改変するための投与形態として使用可能であるか、または持続性放出またはプロドラッグの製剤において使用可能なものを含むものとする。本発明の化合物特有の官能性に応じて、本発明の薬剤として許容される塩は、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛などのカチオンから形成されるもの、およびアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルタミン、リジン、アルギニン、オルニチン、チョリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの塩基から形成されるものを含む。これらの塩は標準的な手順によって、例えば遊離の酸を適当な有機または無機の塩基と反応させることによって、調製することができる。アミノ基などの塩基性の基が存在する場合には、酸性塩、すなわち塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、パモ酸塩、および類似のものを投与形態として使用することができる。
【0022】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば筋肉内、腹膜内、静脈内、脳室内(ICV)、脳槽内注射または注入、皮下注射、または埋め込み)によって、吸入スプレー、鼻腔、膣内、直腸、舌下、または局所的な投与経路によって投与することができ、また単独または一緒に、それぞれの投与経路に適切な従来の無毒性の薬剤として許容される担体、補助剤および賦形剤を含む適当な投与単位製剤に配合することができる。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、その他の温血動物の治療に加えて、本発明の化合物はヒトにおける使用のためにも有効である。
【0023】
本発明の化合物の投与のための薬剤組成物は、単位投与形態の形で提供することが好都合であり、製薬の業界において周知の任意の方法によって調製することができる。すべての方法は、活性成分を1つまたは複数の付帯成分を構成する担体と合わせる段階を含む。一般に、薬剤組成物は、活性成分を液体担体または細かく分割された固体担体または両方と、均一および緊密に合わせることによって調製し、次いで、必要とあれば、生成物を所望の製剤に成形する。薬剤組成物には、活性な主題化合物が疾患の経過または状態に所望の効果をもたらすのに足る量で含まれる。本明細書において使用する「組成物」という用語は、指定された成分を指定された量で含む製品、および指定された成分の指定された量における組合せから直接または間接に得られるいかなる製品をも包含するものとする。
【0024】
活性成分を含有している薬剤組成物は、経口使用に適当な形態、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性の粉末または顆粒、エマルジョン(乳剤)、ハードまたはソフトカプセル、またはシロップもしくはエリキシル、であればよい。経口使用を目的とする組成物は、薬剤組成物製造業者に知られているどの方法によっても調製することができ、かかる組成物は、薬剤として洗練された口当たりのよい製剤を提供するために、甘味料、香味料、着色料および保存料を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に適当な、無毒性で薬剤として許容される賦形剤との混合剤となっている活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性な希釈剤、顆粒化剤および崩壊剤、例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸、結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア、および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクでよい。錠剤は、無被覆でもよくまたは消化管における崩壊および吸収を遅らせ、それによってより長い時間にわたって持続性の作用を提供するための、既知の技法によって被覆されていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリンを使用することができる。これらはまた、米国特許第4256108号、第4166452号および第4265874号に記載されている制御放出のための浸透圧治療用錠剤を形成する技法によって被覆してもよい。
【0025】
経口使用のための製剤は、活性成分が不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されているゼラチンハードカプセル、または活性成分が水または油媒体、例えばピーナッツオイル、流動パラフィン、またはオリーブオイルと混合されているゼラチンソフトカプセルとして提供することもできる。
【0026】
水性懸濁液は、活性物質を水性懸濁液の製造に適当な賦形剤との混合物中に含有している。このような賦形剤は、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントゴムおよびアカシアゴムであり;分散剤または湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコールの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸から誘導された部分エステルおよびヘキシトールの縮合生成物例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、またはエチレンオキシドと脂肪酸から誘導された部分エステルおよびヘキシトール無水物の縮合生成物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンでよい。水性懸濁液はまた、1種または複数の保存料、例えばエチル、またはn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエート、1種または複数の着色料、1種または複数の香味料、および1種または複数の甘味料、例えば蔗糖またはサッカリンを含んでいてもよい。
【0027】
油性の懸濁液は、活性成分をラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油などの植物油、または流動パラフィンなどの鉱油に懸濁させることによって製剤することができる。油性の懸濁液は、増粘剤、例えば蜜ロウ、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有することができる。味のよい経口製剤を提供するために、上記で説明したもののような甘味料、および香味料を加えることができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤の添加によって保存することができる。
【0028】
水を加えることによって水性の懸濁液を調製するのに適当な分散性の粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1種または複数の保存料との混合物になっている活性成分を提供する。適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、上記で言及したものによって例示されている。その他の賦形剤、例えば甘味料、香味料および着色料も存在してよい。
【0029】
本発明の薬剤組成物は、油中水型エマルジョン(乳剤)の形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱油、例えば流動パラフィン、またはこれらの混合物でよい。適当な乳化剤は、天然起源のゴム、例えばアカシアゴムまたはトラガントゴム、天然起源のホスファチド、例えば大豆レシチン、および脂肪酸由来のエステルまたは部分エステルおよびヘキシトール無水物、例えばモノオレイン酸ソルビタン、および前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステルでよい。これらのエマルジョンは、甘味料および香味料を含んでいてもよい。
【0030】
シロップおよびエリキシルは、甘味料、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたは蔗糖と共に製剤すればよい。かかる製剤は粘滑剤、保存料、および香味料および着色料を含んでいてもよい。
【0031】
薬剤組成物は、注射可能な水性または油性の無菌懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上記で言及した適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、既知の方法によって製剤することができる。この無菌の注射用製剤は、無毒で非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射可能溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中溶液であってもよい。許容される媒体および溶媒の中でも、とりわけ水、リンゲル液および等浸透圧塩化ナトリウム溶液が使用できる。加えて、従来無菌で不揮発性の油が溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的には、合成のモノまたはジグリセリドを含めて、刺激性のない不揮発性油はどれでも使用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸にも、注射可能液の調製における用途がある。
【0032】
本発明の化合物は、薬剤の直腸投与のための座薬の形態でも投与することができる。これらの組成物は、薬剤を、常温では固体であるが直腸の温度では液体であり、それ故に直腸内で融解して薬剤を放出する、無刺激性の賦形剤と混合することによって調製することができる。このような材料は、カカオバターおよびポリエチレングリコールである。
【0033】
局所的な使用のためには、本発明の化合物を含有しているクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液、その他が採用される。(この用途の目的について、局所的な使用はマウスウォッシュおよびうがいを含むものとする。)
【0034】
本発明の薬剤組成物および方法は、さらに、本明細書において指摘したように、前記の病的状態の治療において普通に使用される治療上活性な他の化合物を含んでいてもよい。
【0035】
NK−3受容体の調節を必要とする状態の治療または予防において、適切な投与レベルは、一般に、患者の体重に対して1日当たり約0.01〜500mg/kgであり、これを単回または複数回で投与すればよい。好ましくは、投与レベルは1日当たり約0.1〜250mg/kg、より好ましくは1日当たり約0.5〜100mg/kgである。適当な投与レベルは、1日当たり約0.01〜250mg/kg、1日当たり約0.05〜100mg/kg、または1日当たり約0.1〜50mg/kgでよい。この範囲内で、投与は0.05〜0.5、0.5〜5または5〜50mg/kgでよい。経口投与のためには、これらの組成物は、好ましくは治療を受ける患者の症候に対する調節のために、1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、および1000.0ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。これらの化合物は、1日当たり1〜4回、好ましくは1日当たり1回または2回の投与計画で投与すればよい。
【0036】
しかし、特定の患者に対する固有の投与レベルおよび投与頻度は、変更が可能であり、また使用する個々の化合物の活性、この化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全身的健康状態、性別、食事、投与の方式および時刻、排泄速度、薬剤の併用、特定の状態の重篤さ、および治療を受けている宿主を含む様々な要因に依存することは理解されるはずである。
【0037】
本発明は、式Iの化合物または薬剤として許容されるこの塩および薬剤として許容される賦形剤を含む薬剤組成物をも提供する。
【0038】
したがって、治療に使用するための式Iの化合物または薬剤として許容されるこの塩が提供される。
【0039】
同様に、ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3に媒介される疾患を治療するための薬剤を製造するための式Iの化合物または薬剤として許容されるこの塩の使用が提供される。
【0040】
式Iの化合物または薬剤として許容されるこの塩の治療有効量を患者に投与することを含む、ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3に媒介される疾患に罹患している対象の治療の方法が開示される。
【0041】
ニューロキニン2および/またはニューロキニン3によって媒介される疾患の例には、うつ病(この用語は双極性(躁病)うつ病(I型およびII型を含む。)、単極性うつ病、精神病的特徴、緊張病的特徴、憂鬱質的特徴、非定型的特徴(例えば嗜眠、過食/肥満、過眠症)または産後発症を有するまたは有していない単発性または再発性のうつ症状、季節性感情障害および気分変調、うつ病関連不安神経症、精神病性うつ病、心筋梗塞、糖尿病、流産および妊娠中絶を含むがこれらだけには限定されない一般医学的病状から生じるうつ的障害を含む。);不安障害(全般性不安障害(GAD)、社会不安障害(SAD)、激越、緊張、精神病患者の社会的または情動的引きこもり、パニック障害および強迫症状を含む。);恐怖症(広場恐怖症および社会的恐怖症を含む。);精神病および精神障害(統合失調症、分裂感情障害、統合失調様疾患、統合失調様急性精神病、アルコール精神病、自閉症、譫妄、躁病(急性躁病を含む。)、躁うつ性精神病、幻視、内因性精神病、器質性精神症候群、妄想症および妄想性障害、産褥精神病およびアルツハイマー病などの神経変性疾患に伴う精神病);外傷後ストレス障害;注意欠陥過活動性障害(ADHD);認識障害(例えば、思いやり、オリエンテーション、記憶(記憶障害、健忘、健忘障害、加齢に伴う記憶障害)および言語機能を含む認識機能の障害の治療、ならびに発作の結果としての認識障害、アルツハイマー病、エイズ関連認知症または他の認知症状態、および認識機能の低下の原因となりうる他の急性または亜急性状態、例えば譫妄またはうつ病(擬似認知症状態)の治療);痙攣性障害、例えばてんかん(単純部分発作、複雑部分発作、続発性全身発作、欠神発作を含む全身性発作、ミオクローヌス発作、間代性痙攣発作、強直性発作、強直性間代性痙攣発作および無緊張発作を含む。);精神性的機能障害(性的関心欠損症(低性欲)、性的刺激または興奮の低下、女性もしくは男性のオルガスムスの低下、性的欲求低下障害(HSDD)、女性の性欲障害(FSDD)およびSSRI類の抗うつ薬による治療によって誘発される性的機能障害の副作用);睡眠障害(以下のものを含む。概日リズム障害、睡眠異常、不眠症、睡眠時無呼吸およびナルコレプシー);食行動障害(神経性無食欲症および神経性過食症を含む。);神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、ALS、運動ニューロン疾患およびパーキンソン病等のその他の運動障害(随意運動の緩慢に進行する、振戦、運動緩慢、運動過多(中等度および重度)、無動(症)、固縮、バランスおよび協調の障害および姿勢障害を含む障害運動不足および/または運動障害からの緩和を含む。)、パーキンソン病における認知症、ハンチントン病における認知症、抗精神病薬誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジー、発作、心停止、肺バイパス術、外傷性脳損傷、脊髄損傷など後の神経変性ならびに多発性硬化および筋萎縮性側索硬化症などの脱髄性疾患);禁煙を含む薬物乱用の中止およびその種の活動のレベルまたは頻度の低減(例えば、コカイン、エタノール、ニコチン、ベンゾジアゼピン、アルコール、カフェイン、フェンシクリジンおよびフェンシクリジン様化合物、大麻、ヘロイン、モルヒネなどのアヘン剤、鎮静剤、催眠剤、アンフェタミンまたはデキストロアンフェタミンもしくはメチルアンフェタミンなどのアンフェタミン関連薬、またはそれらの組合せの乱用);疼痛(神経障害性疼痛(糖尿病性ニューロパシー;坐骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症痛;線維筋痛または癌に関連する疼痛;AIDS関連およびHIV関連ニューロパシー;化学療法誘導性ニューロパシー;帯状疱疹神経痛および三叉神経痛などの神経痛;交感神経性持続疼痛および身体的外傷、切断、癌、毒物または関節リウマチおよび変形などの慢性炎症による疼痛、肩/手症候群などの反射性交感神経ジストロフィーを含む。)、急性疼痛(例えば、骨格筋痛、術後疼痛、手術痛)、炎症性疼痛または慢性疼痛「ピンと針」など通常は痛くない感覚に付随する疼痛(感覚異常および知覚異常)、接触に対する感受性の上昇(知覚過敏)、無害な刺激後の痛みの感覚(動的、静的、熱的異痛症)、有害な刺激に対する感受性の上昇(熱、寒冷、力学的痛覚過敏)、刺激除去後に持続する痛覚感覚(痛覚過敏)または選択的感覚経路の欠損または不足(痛覚鈍麻)、片頭痛に伴う疼痛、および非心臓性胸痛を含む。)を含む;ある種のCNSが介在する障害、例えば、嘔吐、腸症候群、非潰瘍性消化不良;COPD、喘息、咳嗽、胃食道逆流誘発性咳嗽および憎悪喘息;尿失禁;高血圧;および血小板の超凝集能に伴う状態、例えば組織潰瘍形成、ネフローゼ症候群、糖尿病、片頭痛、冠動脈疾患、子癇前症および卒中発作。好ましくは、本発明の化合物は、うつ病;不安障害;恐怖症;精神病および精神障害;外傷後ストレス障害;注意欠陥過活動性障害(ADHD);禁煙を含む薬物乱用の中止またはそのような活動のレベルまたは頻度を低減すること;および過敏性腸症候群の治療に有用である。より好ましくは、本発明の化合物は、うつ病;不安障害;恐怖症;および精神病および精神性障害(特に統合失調症、統合失調感情障害および統合失調症様疾患の治療に有用である。最も好ましくは、本発明の化合物は、統合失調症の治療に有用である。
【0042】
本発明において使用するための化合物は、一般に以下の試験において活性である。これらは、普通1μM未満、好ましくは100nM未満のIC50を有する。
【0043】
NK−2受容体の詳細およびこれの異種発現は、Gerard et al.、J.Biol.Chem.、265:20455−20462、1990、およびHuang et al.、Biochem.、33:3007−3013、1994において見出すことができる。後者の論文はまた、変異体スキャニングの詳細を含む。
【0044】
NK−3受容体およびこれの異種発現は、Huang et al.、BBRC、1992、184;966−972、およびSadowski et al.、Neuropeptides、1993、24:317−319において見出すことができる。
【0045】
膜製剤は次のように調製した。10層の細胞ファクトリーに、NK−3受容体を安定に発現するCHO細胞を播種する。CHO細胞は、T175トリプルフラスコ中の、200mM L−グルタミン10mL/L、ペニシリン−ストレプトマイシン10mL/L、ヒポキサンチン−チミジン500x/Lを1バイアル、ジェネチシン1mg/mLおよび(不活性化した)ウシ胎児血清10%を含有しているIscoreのダルベッコ改変培地を含有しているll成長培地中で調製する。細胞は、インキュベーター中において3日間増殖させる。培地を洗い落した後に、ファクトリーを(Ca、Mgを含まない)PBS400mLで2回リンスする。酵素を含まない解離溶液(EFDS)400mLを加え、ファクトリーを10分間室温に保つ。細胞を取り出して、この懸濁液を500mLの遠心分離ボトルに注ぐ。この工程を200mLのEFDSを用いて繰り返す。溜まった混合物は全部で6ボトルになり、これを遠心分離機中、2200rpmで10分間スピンさせる。
【0046】
上澄み液を吸引して残った細胞ペレットを−80℃で30分間凍結して細胞溶解を向上させ、次いで細胞ファクトリー当たり40mLの阻害剤を含むトリス中に再懸濁させる。細胞を40mLずつの部分に分けてガラス−テフロングラインダーで8回、設定値40でホモジナイズする。ホモジネートを50mLの遠心管に移して揺動器(rocker)に室温で15分間載せる。ホモジネートを再ホモジナイズし、再度前記の通り遠心分離するまで、必要な場合は氷の上に置く。
【0047】
上澄み液をSS−34ローター用のSorvall管に移して氷の上で保持する。
【0048】
阻害剤を含むトリス40mLを使用して再懸濁し、ペレットを合わせてこれを再度上記の通りにスピンさせる。上澄み液は再度Sorvall管に移し、上記のものと共に18000rpmで20分間スピンさせる。
【0049】
上澄み液は廃棄し、ペレットは、1MトリスpH7.4 2.50mL、1000xプロテアーゼ阻害剤(ロイペプチン(Sigmo)4mg/mL、バシトラシン(Sigma)40mg/mLおよびホスホラニドン(phosphoranidon)(Penninsula)10mMのすべてを水に溶解したもの)50μLおよび0.5MのMnCl0.5mLからなる貯蔵用緩衝液(Storage Buffer)に再懸濁し、Hddで50mLとする。10mLの注射器に20−、23−、および25−ゲージの針を順番に付けて使用する。
【0050】
Bradfordタンパク質アッセイは、2〜10μLの分量について、基準としてBSAを用いて実施し、次いで500〜1000μLの分量を−80℃で貯蔵するために液体窒素中において瞬間凍結させる。
【0051】
膜結合アッセイは以下のように行った。あらかじめ、≦125I−ニューロキニンBの10%に特異的に結合するために必要な膜の量を求める。次いで凍結させたストックを50μLで添加可能にするために希釈する。
【0052】
試験化合物をDMSOに溶解させる。自動化装置(Tecan)を、5μLの化合物またはDMSOと、50μMのトリス、pH7.5、150μMのNaCl、ウシ血清アルブミンの0.02%になる量、および貯蔵用緩衝液中と同じくプロテアーゼ阻害剤から調製され、0.5Mストックとして仕上げられた緩衝液20μL中の約100,000cpmのアイソトープと、175μLのアッセイ用緩衝液(貯蔵用緩衝液と同様であるが5μMのMnClを含有し、NaClを含まない。)とを、96ウェル構成のディープウェルMarshボックス(Marsh Biomedical Products)に添加するようにプログラムする。非特異的結合のために、過剰の標識されていない競合ペプチドを手で加える。結合反応は、細胞膜50μLを加えることによって開始させる。管は振盪しながら室温で1時間インキュベートし、Tomtec 96ウェル細胞改収器においてMach IIIフィルターマット(Tomtec)を用いて、あるいはPackard 96ウェル回収器またはTomtec 9600のいずれかを使用して、Unifier GF/C(Packard)を用いてろ過する。これらの装置は、あらかじめ0.25%ポリエチレンイミンに浸漬し、1X洗浄用緩衝液(0.1Mのトリス、pH7.4および1MのNaCl、1X=冷蒸留水1リットル当たり10Xストック100mL)で5回洗浄する。Unifilter板を使用する場合は、それぞれのウェルにMicroscint 20(Packard)60μLを加え、次いでPackard Topcountでカウントする前にヒートシールする。あるいは、フィルターマットから外したフィルターを75×100mmのプラスチック管に入れてCobraガンマカウンターでカウントする。
【0053】
アッセイのためには、通常10μgの膜を25,000cpmで使用し、これをあらかじめ0.5%のBSAに浸漬したUnifilter GF/Cでろ過する。
【0054】
ニューロキニン−2における結合に関するアッセイは、類似の方法で行うことができる。
【0055】
本発明の化合物は、以下の反応スキームおよび実施例、またはこれらの変更形態によって容易に調製することができる。出発原料は、当技術分野において既知の、または例示されている手順から作製することができる。これらの反応においては、それ自体は当業者に知られてはいるが、あまり詳細には言及されていない変形形態を使用することも可能である。さらに、以下の反応スキームおよび実施例に照らせば、本発明の化合物を調製するための他の方法は、当業者には直ちに明白となる。
【0056】
本明細書、特にスキームおよび実施例において使用する略号は、以下のものを含む。
【0057】
DMSO=ジメチルスルホキシド、EDAC=1−(3−ジメチルアミノ)プロピル−3−エチルカルボジイミド、EtO=ジエチルエーテル、EtOAc=酢酸エチル、h=時間、HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、sat’d=飽和水溶液、rt=室温、THF=テトラヒドロフラン。
【0058】
式Iの化合物は、式IIの化合物をクロロギ酸メチルと反応させることによって作製することができる。
【0059】
【化4】

【0060】
反応は、一般に、トルエンなどの溶媒中で、温度を高めて行われる。
【0061】
式IIの化合物は、一般に、当技術分野において知られているか、当技術分野において知られている方法によって知られている化合物から製造することができる。例えば、式IIの化合物は、式IIIの化合物をフェニルヒドラジンと反応させることによって作製することができる。
【0062】
【化5】

【0063】
反応は、一般に、THFなどの溶媒中で、トリエチルアミンなどの塩基およびHOBTとEDACなどの縮合剤の存在下において行われる。
【0064】
式IIIの化合物は、当技術分野において知られているか、または知られている方法によって知られている化合物から作製することができる。
【0065】
本発明の化合物は、以下の実施例またはこれらの変更形態によって容易に調製することができる。出発原料は、当技術分野において既知の、または例示されている手順から作製することができる。これらの反応においては、それ自体は当業者に知られてはいるが、あまり詳細には言及されていない変形形態を使用することも可能である。さらに、以下の実施例に照らせば、本発明の化合物を調製するための他の方法は、当業者には直ちに明白となる。別途に指示しない限り、変化するものは上記で定義した通りである。
【0066】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。
【実施例1】
【0067】
2−({3−アミノ−2−フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボン酸メチル
ステップ1:3−アミノ−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド
3−アミノ−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸(Giardiana et al.;Journal of Heterocyclic Chemistry(1997)、34(2)、557−559の方法によって調製;0.95g、0.0036mol)、HOBT(0.84g、0.0056mol)およびトリエチルアミン(0.78mL、0.0056mol)のTHF(100mL)中混合物に、EDAC・HCl(1.04g、0.0056mol)に続いてフェニルヒドラジン(0.39mL、0.004mol)を加え、反応混合物を室温で16h攪拌した。すべての溶媒を真空で除去し、残留物をCHCl(100mL)に溶解し、2Mのクエン酸水溶液(2×60mL)、NaHCOの飽和水溶液(2×60mL)および飽和食塩水(1×60mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して真空で濃縮した。残留物をEtOと共に砕き、黄色の固体(0.9g)をろ過して集めた。1H NMR δ(ppm)(DMSO−d6,500MHz):10.50(1H,d,J 2.8Hz)、7.97(1H,d,J 2.8Hz)、7.90(1H,d,J 7.7Hz)、7.74(3H,t,J 4.2Hz)、7.60〜7.46(5H,m)、7.23(2H,t,J 7.9Hz)、6.89(2H,d,J 7.6Hz)、6.78(1H,t,J 7.3Hz)、5.10(2H,s);MS:m/zはMH+=355;C2218O 計算値M=354。
【0068】
ステップ2:2−({3−アミノ−2−フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジスンカルボン酸メチル
3−アミノ−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド(ステップ1から、0.5g、0.00094mol)のトルエン(100mL)溶液に、クロロギ酸メチル(0.11mL、0.00141mol)を加え、反応混合物を60℃で14時間加熱した。さらなる量のクロロギ酸メチル(0.45mL)を加え、さらに24時間加熱を続け、時間終了後さらなる量のクロロギ酸メチル(0.45mL)を加え、さらに6h加熱を続けた。溶媒を真空で除去し、残留物をCHCl(100mL)に溶解させ、NaHCOの飽和水溶液(2×50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上、イソヘキサン中0〜35%EtOAcを溶出剤として使用するクロマトグラフィーによって精製して固体を得、これをEtOから再結晶化させて黄色の固体(0.15g)を得、これをろ過によって集めた。1H NMR δ(ppm)(CDCl,500MHz):8.31(1H,s)、8.00(1H,d,J 7.4Hz)、7.88(1H,s)、7.69(2H,d,J 7.0Hz)、7.56〜7.42(9H,m)、7.34(1H,d,J 7.1Hz)、5.17(2H,s)、3.87(3H,s);MS:m/zはMH+=413;C2420 計算値M=412。
【実施例2】
【0069】
2−({3−アミノ−2−[4−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボン酸メチル
ステップ1:3−アミノ−N’フェニル−2−[4−フルオロ]フェニル−4−キノリンカルボヒドラジド
3−アミノ−2−(4−フルオロ−フェニル−キノリン)−4−カルボン酸(国際特許出願公開WO2004/050627号の方法によって調製、0.7g、0.0026mol)、HOBT(0.5g、0.0039mol)およびトリエチルアミン(0.52mL、0.0039mol)のTHF(100mL)中混合物に、EDAC・HCl(0.713g、0.0039mol)、続いてフェニルヒドラジン(0.295mL、0.003mol)を加え、反応混合物を室温で16h攪拌した。すべての溶媒を真空で除去し、残留物をCHCl(100mL)に溶解させ、2モル濃度のクエン酸水溶液(2×60mL)、NaHCO飽和水溶液(2×60mL)および飽和食塩水(1×60mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、真空で濃縮した。残留物をEtOと共に砕いて黄色の固体(0.3g)をろ過によって集めた。1H NMR δ(ppm)(CDCl,500MHz):8.06(1H,dd,J 8.0Hz)、7.96(1H,d,J 8.4Hz)、7.90(1H,s)、7.72(2H,dd,J 5.3,8.6Hz)、7.62〜7.47(3H,m)、7.33〜7.29(2H,m)、7.22(2H,s)、6.99(2H,t,J 8.7Hz)、6.49(1H,s)、4.91(2H,s);MS:m/zはMH+=373;C2217FNO 計算値M=372。
【0070】
ステップ2:2−({3−アミノ−2−[4−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボン酸メチル
3−アミノ−N’−フェニル−2−[4−フルオロ]フェニル−4−キノリンカルボヒドラジド(ステップ1から、0.3g、0.0008mol)のトルエン(50mL)溶液に、クロロギ酸メチル(0.124mL、0.0016mol)を加え、反応混合物を60℃で14h加熱した。さらなる量のクロロギ酸メチル(0.062mL)を加え、さらに24時間加熱を続け、時間終了後さらなる量のクロロギ酸メチル(0.062mL)を加え、さらに6h加熱を続けた。溶媒を真空で除去し、残留物をCHCl(100mL)に溶解させ、NaHCOの飽和水溶液(2×50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上、イソヘキサン中0〜35%EtOAcを溶出剤として、次いでCHCl中0〜15%EtOAcを溶出剤として使用するクロマトグラフィーによって精製して固体を得、これをEtOから再結晶化させて黄色の固体(0.078g)を得、これをろ過によって集めた。1H NMR δ(ppm)(CDCl,500MHz):8.26(1H,s)、7.99(1H,d,J 9.2Hz)、7.86(1H,s)、7.71(2H,dd,J 5.4,8.6Hz)、7.55(2H,d,J 7.7Hz)、7.49〜7.43(4H,m)、7.34(1H,t,J 7.4Hz)、7.22(2H,m)、5.12(2H,s)、3.87(3H,s);MS:m/zはMH+=431;C2419FN 計算値M=430。
【実施例3】
【0071】
2−({3−アミノ−2−[3−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボン酸メチル
ステップ1:3−アミノ−N’フェニル−2−[3−フルオロ]フェニル−4−キノリンカルボヒドラジド
3−アミノ−2−(3−フルオロ−フェニル−キノリン)−4−カルボン酸(国際特許出願公開WO2004/050626号の方法によって調製、1.4g、0.0052mol)、HOBT(1.0g、0.0078mol)およびトリエチルアミン(1.04mL、0.0078mol)のTHF(200mL)中混合物に、EDAC・HCl(1.426g、0.0039mol)、続いてフェニルヒドラジン(0.59mL、0.006mol)を加え、反応混合物を室温で16h攪拌した。すべての溶媒を真空で除去し、残留物をCHCl(200mL)に溶解させ、2モル濃度のクエン酸水溶液(2×100mL)、NaHCO飽和水溶液(2×100mL)および飽和食塩水(1×100mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、真空で濃縮した。残留物をEtOと共に砕いて黄色の固体(0.57g)をろ過によって集めた。1H NMR δ(ppm)(CDCl):8.05(1H,d,J 8.0Hz)、7.97(1H,d,J 7.7Hz)、7.88(1H,s)、7.56〜7.49(4H,m)、7.45(1H,d,J 8.3Hz)、7.32(2H,t,J 7.8Hz)、7.23〜7.19(1H,m)、6.99(3H,m)、6.49(1H,s)、4.94(2H,s);MS:m/zはMH+=373;C2217FNO 計算値M=372。
【0072】
ステップ2:2−({3−アミノ−2−[3−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボン酸メチル
3−アミノ−N’−フェニル−2−[3−フルオロ]フェニル−4−キノリンカルボヒドラジド(ステップ1から、0.55g、0.00147mol)のトルエン(50mL)溶液に、クロロギ酸メチル(0.32mL、0.004mol)を加え、反応混合物を60℃で14h加熱した。さらなる量のクロロギ酸メチル(0.2mL)を加え、さらに24時間加熱を続け、時間終了後さらなる量のクロロギ酸メチル(0.5mL)を加え、さらに6h加熱を続けた。溶媒を真空で除去し、残留物をCHCl(100mL)に溶解させ、NaHCOの飽和水溶液(2×50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上、CHCl中0〜15%EtOAcを溶出剤として使用するクロマトグラフィーによって精製して固体を得、これをEtOから再結晶化させて黄色の固体(0.32g)を得、これをろ過によって集めた。1H NMR δ(ppm)(CDCl,500MHz):8.25(1H,s)、8.00(1H,d,J 9.2Hz)、7.88(1H,s)、7.56〜7.43(9H,m)、7.34(1H,t,J 7.4Hz)、7.20(1H,m)、5.15(2H,s)、3.88(3H,s)、MS:m/zはMH+=431;C2419FN 計算値M=430。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物または薬剤として許容されるこの塩。
【化1】

【請求項2】
キノリニル部分の2位に結合しているフェニル環の2位が置換されていない、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
キノリニル部分の2位に結合しているフェニル環が置換されていない、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
メチル2−({3−アミノ−2−フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[3−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[4−フルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2,3−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2,4−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2,5−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[2,6−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[3,4−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
メチル2−({3−アミノ−2−[3,5−ジフルオロ]フェニルキノリン−4−イル}カルボニル)−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート
から選択される、請求項1に記載の化合物および薬剤として許容されるこの塩。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または薬剤として許容されるこの塩および薬剤として許容される賦形剤を含む薬剤組成物。
【請求項6】
治療において使用するための請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3に媒介される疾患を治療するための薬剤の製造のための請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または薬剤として許容されるこの塩の使用。
【請求項8】
ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3に媒介される疾患が統合失調症である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または薬剤として許容されるこの塩の治療有効量を患者に投与することを含む、ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3に媒介される疾患に罹患している対象の治療方法。
【請求項10】
ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3に媒介される疾患が統合失調症である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式II
【化2】

の化合物をクロロギ酸メチルと反応させることによって、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または薬剤として許容されるこの塩を調製する方法。

【公表番号】特表2008−509122(P2008−509122A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524404(P2007−524404)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【国際出願番号】PCT/GB2005/050121
【国際公開番号】WO2006/013394
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】