ニワトコ種を含む抽出物および方法
本発明は、超臨界CO2抽出法によって調製されたニワトコ種植物材料の抽出物、被験体においてウイルスを処置する方法、およびそれらの細胞中でのウイルス感染を阻害する方法に関する。本発明は、H1N1インフルエンザウイルス中で測定した場合に150μg/mL〜1500μg/mLのIC50を有する画分を含む、ニワトコ種抽出物に関する。本発明は、本発明のニワトコ種抽出物に関するが、前記画分は、アントシアニン;フラボノイド;C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステル;および/または多糖類を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第60/783,453号(2006年3月17日出願)、米国仮特許出願第60/846,412号(2006年9月22日出願)、および米国仮特許出願第60/873,473号(2006年12月7日出願)(これらは、それらの全体が本明細書に参考として援用される)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、比類なく上昇した精油化学成分、フェノール酸化学成分、アントシアニジンもしくはプロアントシアニジン化学成分、もしくはレクチン−多糖類化学成分を有するニワトコのサンブカ(Sambuca)種に由来する抽出物および抽出方法、そのような方法によって抽出された抽出物ならびにそのような抽出物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ヨーロッパ、北アフリカおよび西アジアを原産とするニワトコ、Sambuca nigra L.は、野生灌木である。ニワトコは、詳細には20種を超えるサンブカ種から構成されるが、それらの多くは類似の化学成分を有する。Sambuca nigra L.は、科学的研究のほとんどが実施されている種である。Sambuca nigra L.は、クリーム色の花を咲かせ、濃い藍色の果実(エルダーベリー)がなる、高さ10mまで成長する落葉樹である。花、葉、および果実はすべてが、精油化合物、詳細にはフラボノイドおよびアントシアニジンであるフェノール酸、レクチンタンパク質化合物、および多糖類化合物を含む、医学的に重要な化学成分を含有している。
【0004】
薬剤としてのサンブカ種の使用は、Hippocrates、Dioscorides、およびPlinyの書物にも含まれおり、紀元前5世紀までさかのぼる。ニワトコには、アメリカ先住民およびヨーロッパの植物学者の間で伝統的に使用されてきたという長い歴史がある。伝統的な医学的使用および現代の研究活動の焦点は、花の抽出物に当てられてきた。
【0005】
花は春に収穫され、芳香の消失を最小限に抑えるために40℃未満で日光を避けて乾燥させられる。果実は、十分に熟してから秋に収穫される。商業的目的での花および果実のほとんどは、ロシア連邦、ポーランド、ハンガリー、ブルガリア、およびポルトガルから輸入されている。果実は、ワイン、ウィンターコーディアル(winter cordial)、保存料、食品、および香辛料のために、風味および色を加えるためにも使用される。花および果実はどちらも、薬剤としての長い歴史を有している。
【0006】
Sambuca nigra L.の花および果実の化学成分には、生物活性フェノール酸(フラボノイドおよびアントシアニジン)、タンパク質、多糖類、およびビタミン類(C、P、B1、B2、およびB6)が含まれる。サンブカ種の花および果実の化学成分に関する情報は不完全であるが、知られている化学成分は表1に列挙した。商業的および生物学的観点から、フラボノイドおよびアントシアニジンは、他の成分より重要性が高いと以前から考えられている。
【0007】
(表1.Sambuca nigra L.(Sambucus nigra L.)の花部および果実の化学成分)
【0008】
【表1】
ニワトコ種の薬効特性は、薬理学的に活性なその化学成分の存在下で生じる。化学的含有物についての一般的法則として、強度に有色の果実は、顔料としての高レベルのアントシアニジン、ならびにフラボノールグリコシドおよびアグリコンを含有している(非特許文献1;非特許文献2)。
【0009】
アントシアニジンは、2−フェニルベンゾピリリウム塩のグリコシル化−ポリヒドロキシ誘導体およびグリコシル化−ポリメトキシ誘導体である(非特許文献3)。エルダーベリーは、これらの顔料が最も豊富な起源の1つであり、0.2〜1%の含有量を有するが、これはブドウ類で見いだされる含有量よりはるかに高い(非特許文献4)。エルダーベリーは、数種の相違するアントシアニンを含有しており、その中ではシアニジン−3−サンブビオシド(sambubioside)(化合物1)およびシアニジン−3−グルコシド(化合物2)は、量的に最も重要であり、アントシアニジン含量の85%以上を占めているが、他方シアニジン−3−サンブビオシド−5−グルコシド(化合物3)およびシアニジン−3,5−ジグルコシド(化合物4)は、ほんの微量しか存在しない(非特許文献5;非特許文献6)。アントシアニジンは、一連の生物学的活性を示す。最もよく知られている特性の1つは、詳細にはシアニジン誘導体の抗酸化活性である(非特許文献6;非特許文献7)。
【0010】
【化1】
様々なクラスのビルベリー由来フェノール酸化合物がインビトロで大腸癌細胞増殖を阻害する能力について試験すると、アントシアニジンは、強力なフェノール系誘導体であることが見いだされた(非特許文献8)。シアニジンは、詳細には強力な抗発癌性ゲニステインのために必要とされる濃度の1/10に過ぎない2μg/mLという低濃度で細胞増殖を阻害することに極めて有効であった。抗癌活性は、ブルーベリー由来のアントシアニンについても言及されている(非特許文献9)。
【0011】
ルチンおよびイソクエルシトリンは、ニワトコ種植物材料中で主要なフラボノールグリコシドである(非特許文献10)。これらの化合物は、強力なラジカルスカベンジャーとして作用する(非特許文献11;非特許文献12)、様々な酵素を阻害する(非特許文献13)能力を有しており、さらに血管を収縮させることによる抗出血活性(非特許文献14)を有している。Sambuca nigra L.の花、果実および葉の加速溶媒抽出法を用いた試験では、ルチンは主要フラボノイドであることが見いだされた。花は、各々2〜3%および0.1%の濃度で最高量のルチンおよびイソクエルシトリンを有していた。エルダーベリーおよび葉は、約0.2%の濃度で類似量のルチンを有している。結果は、表2に示した。
【0012】
【化2】
(表2.80%メタノールによる、Sambuca nigra L.の様々な部分由来のルチンおよびイソクエルシトリンの抽出収率)
【0013】
【表2】
ニワトコ種植物材料は、その揮発性成分に起因して心地よい強い芳香を有している。ニワトコの葉内では、数種のアルカンが同定されており、ヘプタコサン、ノナコサンおよびヘントリアコンタンが量的に最も重要なアルカンである。ニワトコの花由来の精油中では、脂肪酸(66%)およびn−アルカン(7.2%)が高濃度である。ニワトコの花由来の精油の蒸気蒸留からは79種の化合物が同定されている(非特許文献15)。精油の主要成分は、トランス−3,7−ジメチル−1,3,7−オクタトリエン−3−オール(13%)、パルミチン酸(11.3%)、リナロール(3.7%)、シス−ヘキセノール(2.5%)ならびにシス−およびトランス−ローズ酸化物(各々、3.4%および1.7%)であった。
【0014】
市販の主要なエルダーベリー抽出物は、0.5%の濃度のアントシアニジンを含有している(非特許文献16)。優勢なアントシアニジンは、シアニジン−3−モノグリコシド(97%)およびシアニジン−3,5−ジグリコシド(3%)であった。濃縮物は、コーヒー酸誘導体(0.011%)およびルチン(0.055)の存在によっても特徴付けられた。
【0015】
トリテルペンおよびフラボノイドは、サンブカ種の生物活性の原因となる主要化学成分であると長年考えられてきた(非特許文献17)。しかし、4種の主要アントシアニジンは、サンブカ種の抗インフルエンザ活性において重要な役割を果たすと思われる。これらのアントシアニジンは、サンブカ抽出物への4時間にわたる曝露後には内皮細胞の血漿膜および細胞質ゾル中に組み込まれる(非特許文献18)。サンブカ種のアントシアニジンが豊富なヒトおよび動物内皮細胞は、酸化ストレッサーに対する保護作用を付与すると思われる。さらに、サンブカ種の果実の抽出物は、酸素ラジカル吸収能力を有することが証明されている(非特許文献19)。サンブカ種のレクチンおよびリボソーム不活性化タンパク質は、さらに抗ウイルス活性を示す(非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22)。Sambuca nigra L.の果実の標準化抽出物(Sambucol(登録商標)、Razei Bar社、エルサレム)(成人用量:4g)は、Echinacea angustifolica(根茎)抽出物、Echinacea purpura(幹、葉、および花)抽出物、ビタミンC(100mg)および亜鉛(10mg)と結合されたアントシアニジンとともに38%のブラックエルダーベリー抽出物を含有しており、以下の特性を示す:ヒトにおけるインフルエンザウイルスによって生成される赤血球凝集の阻害(非特許文献23);ヒトおよびインビトロにおけるウイルス複製の阻害(非特許文献23);ヒトにおける炎症性および抗炎症性サイトカインの産生増加(非特許文献24);赤血球凝集の減少ならびにA型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルスのインビトロでの複製の阻害(非特許文献23);インビトロでのHIVの感染性の減少(非特許文献25);インビトロでのHSV−I菌株複製の阻害(非特許文献25);ラットモデルにおける結腸炎の減少(非特許文献26);チンパンジーにおけるインフルエンザの症状の減少(非特許文献27);そして、あるランダム化臨床試験はヒトにおけるA型インフルエンザおよびB型の症状の減少を証明した(非特許文献25)。Sambuca nigra L.に由来する他の抽出組成物を用いた追加の所見には:リソソーム酵素の増強、リポキシゲナーゼ添加生成物の生成の減少、およびインビトロでのミエロペルオキシダーゼ活性の減少(非特許文献25);インビトロでの酸化ストレスに対する保護(非特許文献28);インビトロでの酸素ラジカル吸収能力の増加(非特許文献29)ならびにインビボでのインスリン様作用およびインスリン遊離作用(非特許文献30)が含まれる。
【0016】
Sambuca nigra L.の化学成分の治療的価値を手短に要約すると、科学的研究および臨床試験は、抗ウイルス、抗感冒、抗インフルエンザ、抗HIV、抗HSV(トリテルペン、アントシアニジン、レクチンタンパク質、多糖類、粗抽出物);酸化防止剤および酸素フリーラジカル捕捉(フラボノイド、アントシアニジン、粗抽出物);抗炎症活性(粗抽出物);抗糖尿病活性(多糖類、水溶性抽出物);腸活性の調節および下痢の緩和(抽出物);ならびに興奮および情動不安の減少(抽出物)を含む、サンブカ種の様々な化合物、化学基、もしくは抽出組成物の治療作用を実証している。さらに、Sambuca nigra L.の花もしくは果実(エルダーフラワーもしくはエルダーベリー)の抽出組成物には、一般に知られている禁忌はなく、安全であると考えられている。
【非特許文献1】Espin JCら、J Agric Food Chem,2000年,第48号,p.1588−1592
【非特許文献2】Kahkonen MPら、J Agric Food Chem,2001年,第49号,p.4076−4082
【非特許文献3】Brouillard KaHSH.Chemical Structure of Anthocyanins.Academic Press,New York,1982年
【非特許文献4】Bronnum−Hansen Kら、J Food Technology,1985年,第20号,p.703−711
【非特許文献5】Bronnum−Hansen Kら、J Chromatography,1983年,第262号,p.393−396
【非特許文献6】Drdak MおよびDaucik P.Acta Aliment,年,第19号,p.3−7
【非特許文献7】Tsuda Tら、J Agric Food Chem,199442年,p.2407−2410
【非特許文献8】Kamei Hら、Cancer Invest,1995年,第13号,p.590−594
【非特許文献9】Smith MALら、J Food Sci,2000年,第65号,p.352−356
【非特許文献10】Pietta PおよびBruno A.J Chromatography,1992年,第593号,p.165−170
【非特許文献11】Shahidi FおよびWannasundra PK.Crit Rev Food Sci Nutr,1992年,第32号,p.67−103
【非特許文献12】Rice−Evans CAら、Free Radical Biol & Med,1996年,第20号,p.933−956
【非特許文献13】Formica JVおよびRegelson W.Food and Chem Toxic,1995年,第33号,p.1061−1080
【非特許文献14】Dawidowicz AJら、J Liquid ChromotogおよびRelated Technologies,2003年,第26号,p.2381−2397
【非特許文献15】Toulemonde Bら、J Agric Food Chem,1983年,第31号,p.365−370
【非特許文献16】Espin JCら、J Agric Food Chem,2000年,第48号,p.1588−1592
【非特許文献17】Blumenthal Mら、Herbal Medicine:Expanded Commission E Monographs,Integrative Medicine Communications,Newton,MA,2000年,pp.103−105
【非特許文献18】Youdin KAら、Free Radic Biol Med,2000年,第29号,p.51−60
【非特許文献19】Roy Sら、Free Radical Res,2002年,第36号,p.1023−1031
【非特許文献20】Vanderbussche Fら、Eur J Biochem,2004年,第27号,p.1508−1515
【非特許文献21】de Benito FMら、FEBS Lett,1998年,第428号,p.75−79
【非特許文献22】Fujimura Yら、Virchows Arch,2003年,第444号,p.36−42
【非特許文献23】Zakay−Rones Zら、J Alternative & Complementary Medicine,1995年,第1号,p.361−369
【非特許文献24】Barak Vら、Isr Med Assoc J ,2002,第4号(補遺11),p.919−922
【非特許文献25】Zakay−Rones Zら、J International Med Res,2004年,第32号,p.132−140
【非特許文献26】Bobek Pら、Biologia Bratislavia,2002年,第56号,p.643−648
【非特許文献27】Gray AMら、J Nutr,2000年,第30号,p.15−20
【非特許文献28】Brouillard KaHSH.Chemical Structure of Anthocyanins.Academic Press,New York,1982年
【非特許文献29】Bronnum−Hansen Kら、J Chromatography,1983年,第262号,p.393−396
【非特許文献30】Gray AMら、J Nutr,2000年,第30号,p.15−20
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
1つの態様では、本発明は、図36〜70のいずれかのリアルタイム直接分析(Direct Analysis in Real Time)(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む、ニワトコ種抽出物に関する。また別の実施形態では、前記画分は、図46〜50のいずれかのDART質量分析クロマトグラムを有する。また別の実施形態では、前記画分は、図48のDART質量分析クロマトグラムを有する。
【0018】
1つの態様では、本発明は、H1N1インフルエンザウイルス中で測定した場合に150μg/mL〜1500μg/mLのIC50を有する画分を含む、ニワトコ種抽出物に関する。また別の実施形態では、前記画分は、150μg/mL〜750μg/mLのIC50を有する。また別の実施形態では、前記画分は、150μg/mL〜300μg/mLのIC50を有する。また別の実施形態では、前記画分は、少なくとも195μg/mLのIC50を有する。
【0019】
また別の実施形態では、本発明は、本発明のニワトコ種抽出物に関するが、前記画分は、アントシアニン;フラボノイド;C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステル;および/または多糖類を含んでいる。また別の実施形態では、アントシアニンは、シアニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−サンブビオシドからなる群から選択される。また別の実施形態では、アントシアニンの量は、10、20、30、40もしくは50重量%より多い。また別の実施形態では、フラボノイドは、ルチンである。また別の実施形態では、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルは、ヘキサデカノール、ヘキサデカン酸、ヘキサデカン酸メチルエステル、ヘキサデカン酸エチルエステル、ヘキサデカン酸ブチルエステル、オクタデカン酸、オクタデカン酸エチルエステル、オクタデカン酸ブチルエステル、9−オクタデセン−1−オール、9,12−オクタデカン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。また別の実施形態では、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルの量は、2、4、6、8、もしくは10重量%である。また別の実施形態では、多糖類は、デキストラン、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、ウロン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。また別の実施形態では、多糖類の量は、10、15、20、25、30、35、もしくは40重量%である。
【0020】
また別の実施形態では、本発明は、本発明のニワトコ抽出物に関するが、前記画分は、アントシアニン;C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステル;および多糖類を含んでいる。また別の実施形態では、アントシアニンは、シアニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−サンブビオシドからなる群から選択される。また別の実施形態では、アントシアニンの量は、10、20、30、40もしくは50重量%より多い。また別の実施形態では、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルは、ヘキサデカノール、ヘキサデカン酸、ヘキサデカン酸メチルエステル、ヘキサデカン酸エチルエステル、ヘキサデカン酸ブチルエステル、オクタデカン酸、オクタデカン酸エチルエステル、オクタデカン酸ブチルエステル、9−オクタデセン−1−オール、9,12−オクタデカン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。また別の実施形態では、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルの量は、2、4、6、8、もしくは10重量%である。また別の実施形態では、多糖類は、デキストラン、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、ウロン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。また別の実施形態では、多糖類の量は、10、15、20、25、30、35、もしくは40重量%である。
【0021】
また別の態様では、本発明は、本発明のニワトコ種抽出物を含む食品もしくは医薬に関する。
【0022】
また別の態様では、本発明は、ウイルス感染症に対して被験体を処置するための方法であって、それを必要とする前記被験体に有効量の本発明のニワトコ種抽出物を投与する工程を含む方法に関する。また別の実施形態では、ウイルス感染は、エンベロープウイルスによって惹起される。また別の実施形態では、エンベロープウイルスは、フラビウイルスである。また別の実施形態では、ウイルス感染は、非エンベロープウイルスによって惹起される。また別の実施形態では、ウイルス感染は、は、インフルエンザウイルス、A型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、H1N1、H5N1、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、SARS、単純ヘルペスウイルス(HSV)、フラビウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、および脳炎ウイルスによって惹起される。また別の実施形態では、ウイルス感染は、ノーウォーク(Norwalk)ウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、アンドウイルス(andovirus)もしくはライノウイルスによって惹起される。また別の実施形態では、被験体は、霊長類、ウシ、鳥類、ヒツジ、ウマ、ブタ、齧歯類、ネコ、もしくはイヌである。また別の実施形態では、被験体は、ヒトである。
【0023】
また別の実施形態では、本発明は、細胞のウイルス感染を阻害する方法であって、細胞を本発明のニワトコ種抽出物と接触させる工程を含む方法に関する。また別の実施形態では、ウイルス感染は、エンベロープウイルス感染である。また別の実施形態では、エンベロープウイルス感染は、フラビウイルス感染である。また別の実施形態では、ウイルス感染は、非エンベロープウイルス感染である。また別の実施形態では、ウイルス感染は、インフルエンザウイルス、A型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、H1N1、H5N1、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、SARS、単純ヘルペスウイルス(HSV)、フラビウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、および脳炎ウイルス感染である。また別の実施形態では、ウイルス感染は、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、アンドウイルスもしくはライノウイルスである。
【0024】
また別の態様では、本発明は、少なくとも1つの規定特性を有するニワトコ種抽出物を調製する方法であって:a)超臨界二酸化炭素抽出によってニワトコ種植物材料を抽出して精油画分および第1残留物を生成する工程;とb)約40℃〜約70℃の水または含水アルコール抽出によってニワトコ種植物材料または工程a)からの第1残留物を抽出してポリフェノール画分および第2残留物を生成する工程;とc)約70℃〜約90℃の水抽出によって工程b)からの第2残留物を抽出して多糖類画分を生成する工程によって、精油画分、ポリフェノール画分および多糖類画分を生成するためにニワトコ種植物材料を連続的に抽出する工程を含む方法に関する。また別の実施形態では、抽出プロセスは、例えば、クロフサスグリの果実、アカフサスグリの果実、グーズベリー、ビルベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、チェリー、クランベリー、サンザシの果実、ローガンベリー、ラズベリー、チョークベリー、リンゴ、ザクロ、マルメロ、およびプラムなどの、アントシアニジンおよび/またはプロアントシアニジンが豊富な任意の種を用いて実施できる。
【0025】
また別の実施形態では、精油画分を入手する工程は:1)抽出容器内に微粉化したニワトコ種植物材料を装填する工程;と2)超臨界条件下で二酸化炭素を加える工程;と3)ニワトコ種植物材料および二酸化炭素をある時間接触させる工程;と4)収集容器内に精油画分を収集する工程とを含んでいる。
【0026】
また別の実施形態では、本発明の方法は、超臨界二酸化炭素分別分離システムを用いて精油抽出物を分留することによって、精油化学成分の複合比を変化させる工程をさらに含んでいる。
【0027】
また別の実施形態では、ポリフェノール画分は、1)微粉化したニワトコ種植物材料または工程a)からの残留物と約40℃〜約70℃の水または含水アルコール溶液とを、ポリフェノール酸化学成分を抽出するために十分な時間にわたり接触させる工程;と2)工程a)からの抽出したポリフェノール酸化学成分の含水アルコール溶液を親和性吸着剤樹脂カラムに通過させる工程であって、アントシアニジンを含む前記ポリフェノール酸が吸着される工程;と3)親和性吸着剤樹脂から精製したポリフェノール酸化学成分画分を溶出させる工程とによって入手される。
【0028】
また別の実施形態では、多糖類画分を入手する方法は:1)工程b)からの第2残留物と約70℃〜約90℃の水とを、多糖類を抽出するために十分な時間にわたり接触させる工程;と2)エタノール沈降法により水溶液から多糖類を沈降させる工程とを含んでいる。
【0029】
また別の態様では、本発明は、本発明の方法のいずれかによって調製されたニワトコ種抽出物に関する。
【0030】
また別の態様では、本発明は、ピロガロール、ピロガロールの15重量%〜25重量%のメチル桂皮酸、ピロガロールの1重量%〜4重量%のシンナミド、ピロガロールの5重量%〜10重量%の2−メトキシフェノール、ピロガロールの1重量%〜2重量%のベンズアルデヒド、ピロガロールの5重量%〜10重量%の桂皮アルデヒド、およびピロガロールの5重量%〜15重量%の酢酸シンナミルを含むニワトコ種抽出物に関する。
【0031】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの20重量%〜30重量%のフェルラ酸、ルチンの25重量%〜35重量%の桂皮酸、ルチンの15重量%〜25重量%のシキミ酸、およびルチンの55重量%〜65重量%のフェニル乳酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0032】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリン、ルチンの1重量%〜5重量%のフェルラ酸、ルチンの1重量%〜5重量%の桂皮酸、ルチンの0.5重量%〜5重量%のシキミ酸、ルチンの1重量%〜5重量%のフェニル乳酸、ルチンの5重量%〜15重量%のシアニジン、およびルチンの15重量%〜25重量%のペツニジンを含むニワトコ種抽出物に関する。
【0033】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの30重量%〜40重量%のシアニジン、ルチンの75重量%〜85重量%のペツニジン、ルチンの5重量%〜10重量%のバニリン酸、ルチンの1重量%〜5重量%のフェルラ酸、およびルチンの1重量%〜10重量%の桂皮酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0034】
また別の態様では、本発明は、p−クマル酸/フェニルピルビン酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%のルチン、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%のバニリン酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の35重量%〜45重量%のフェルラ酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%の桂皮酸、およびp−クマル酸/フェニルピルビン酸の45重量%〜55重量%のシキミ酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0035】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの20重量%〜30重量%のヘスペリジン、ルチンの70重量%〜80重量%のバニリン酸、およびルチンの40重量%〜50重量%の桂皮酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0036】
また別の態様では、本発明は、ペツニジン、ペツニジンの85重量%〜95重量%のルチン、ペツニジンの55重量%〜65重量%のバニリン酸、およびペツニジンの30重量%〜40重量%の桂皮酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0037】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの5重量%〜15重量%のシアニジン、ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリン、ルチンの5重量%〜15重量%のコーヒー酸、ルチンの1重量%〜10重量%のフェルラ酸、ルチンの1重量%〜10重量%のシキミ酸、ルチンの25重量%〜35重量%のペツニジン、およびルチンの1重量%〜5重量%のエリオジクチオールもしくはフスチンを含むニワトコ種抽出物に関する。
【0038】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの10重量%〜20重量%のシアニジン、ルチンの1重量%〜5重量%のエリオジクチオールもしくはフスチン、ルチンの10重量%〜20重量%のナリンゲニン、およびルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリンを含むニワトコ種抽出物に関する。
【0039】
本発明のこれらの実施形態、その他の実施形態、ならびにそれらの機能および特徴は、以下に記載する本明細書、図面および特許請求項から明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書で使用する冠詞「1つの」は、前記冠詞の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の文法的対象を意味する。例えば、「1つの要素」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0041】
用語「アントシアニジン」は、当技術分野において認識されており、フラビリウムのカチオン誘導体を含む化合物を意味する。
【0042】
用語「アントシアニン」は、当技術分野において認識されており、糖基を備えるアントシアニジンを意味する。アントシアニンは、主として、アントシアニジンの3−グルコシドである。アントシアニンは、無糖アントシアニジンアグリコンおよびアントシアニングリコシドに細分される。
【0043】
用語「カプシド」は、当技術分野において認識されており、ウイルスの核酸(DNAまたはRNA)を取り囲んで保護するタンパク膜を意味する。
【0044】
用語「含む」および「含んでいる」は、追加の要素を含むことのできる包括的な、開放的感覚の意味で使用される。
【0045】
用語「〜からなる」は、通常はそれに結び付いている不純物を別にして、要素を規定された要素に限定するために使用される。
【0046】
用語「本質的に〜からなる」は、要素を本明細書に規定した要素および材料もしくは工程の基本的かつ新規の特性へ物質的に影響を及ぼさない要素に限定するために使用される。
【0047】
用語「シアニジン」もしくは「フラボン−3−オール」は、当技術分野において認識されており、フラボノイドおよびアントシアニンとして分類される天然有機化合物を意味する。これはビルベリー、ブラックベル−、ブルーベリー、チェリー、クランベリー、エルダーベリー、サンザシ、ローガンベリー、アサイベリーおよびラズベリーを含むがそれらに限定されない、多数のレッドベリー類において見いだされる色素である。リンゴおよびプラムなどの他の果物においてもまた見いだすことができる。
【0048】
本明細書で使用する用語「有効量」は、所望の生物学的応答を引き出すために必要とされる量を意味する。当業者には理解されるように、複合剤もしくは生物活性剤の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達対象の生物活性剤、封入基質の組成、標的組織などの要素に依存して変動する可能性がある。
【0049】
本明細書で使用する用語「ニワトコ」は、サンブカ種植物に由来するサンブカ植物材料を意味する。用語「ニワトコ」はさらに、ニワトコ種、サンブカ種、およびエルダーベリーと互換的に使用され、これらの植物、クローン、変異株、および変種などを意味する。
【0050】
本明細書で使用する用語「ニワトコ成分」は、ニワトコ種において見いだされる化合物を意味しており、上記に同定されたそのような化合物ならびに精油化学成分、ポリフェノール酸、および多糖類を含むがそれらに限定されないニワトコ種において見いだされる他の化合物を含むものである。
【0051】
本明細書で使用する用語「エンベロープウイルス」は、宿主細胞膜に由来するウイルス糖タンパク質を含有する脂質二重層を含むウイルスを意味する。エンベロープウイルスでは、宿主細胞内への結合および侵入を媒介するウイルスタンパク質は、エンベロープ内で見いだされる。エンベロープウイルスの例には、ヒトおよびトリ両方のインフルエンザ、HIV、SARS、HPV、単純ヘルペスウイルス(HSV)、デング熱ウイルス、ならびに黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、および脳炎ウイルスなどのフラビウイルスが含まれる。
【0052】
本明細書で使用する用語「精油画分」は、リノエライジン酸と分類される化合物を含むがそれには限定されないニワトコおよび関連種から入手される、またはそれらに由来する脂溶性、水不溶性化合物を含んでいる。
【0053】
本明細書で使用する用語「精油サブ画分」は、ニワトコ種の精油中で見いだされる特定化合物の濃度を増強もしくは低下させた、リノエライジン酸として分類される化合物を含むがそれには限定されない、ニワトコおよび関連種から入手される、またはそれらに由来する脂溶性、水不溶性化合物を含んでいる。
【0054】
本明細書で使用する用語「供給原料」は、一般に、全植物体を単独で、または葉、例えば主根、尾根、および繊維根を含む根、幹、樹皮、葉、果実、種子、ならびに花を含むがそれらに限定されない植物の1つ以上の構成部分と組み合わせて含む植物原料を意味するが、植物もしくは構成部分は、生である、乾燥、蒸し加熱、加熱さもなければ加工処理を促進するための物理的加工処理を受けさせられ、これはさらに無傷、刻み、ダイスカット、製粉、微粉化、さもなければ植物材料のサイズおよび物理的完全性に影響を及ぼすように加工処理される材料をさらに含むことができる。時には、用語「供給原料」は、追加の抽出プロセスのための供給源として使用すべき抽出生成物を特徴付けるために使用される場合がある。
【0055】
「フラビウイルス」は、エンベロープウイルスのサブセットである。それらは、一般には脂質二重層エンベロープを獲得することによってヒトを感染させる動物において見出されるウイルスである。フラビウイルスの例には、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、および脳炎ウイルスが含まれる。
【0056】
本明細書で使用する用語「画分」は、所定の物理的特性、化学的特性または物理的もしくは化学的特性によって特性付けられた化合物の特定群を含む抽出組成物を意味する。
【0057】
用語「〜を含む」は、「〜を含むがそれらに限定されない」ことを意味するために本明細書で使用される。「〜を含む」および「〜を含むがそれらに限定されない」は、互換的に使用される。
【0058】
本明細書で使用する用語「非エンベロープウイルス」は、脂質二重層が欠如するウイルスを意味する。非エンベロープウイルスでは、カプシドは宿主細胞内への結合および侵入を媒介する。非エンベロープウイルスの例には、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、およびライノウイルスが含まれる。
【0059】
本明細書で使用する用語「1つ以上の化合物」は、例えばリノエライジン酸(ニワトコ種の脂溶性精油化学成分)、もしくはシアニジン−3−グルコシド(ニワトコ種の水溶性ポリフェノール酸化学成分)またはニワトコ種の多糖類分子などであるがそれらに限定されない少なくとも1つの化合物が企図されている、または2つ以上の化合物、例えば、リノエライジン酸およびシアニジン−3−グルコシドが企図されることを意味している。当技術分野において知られているように、用語「化合物」は、単一分子ではなく、多数もしくは複数モルの1つ以上の化合物を意味している。当技術分野において知られているように、用語「複合物」は、明確な化学的および物理的特性を有する特定化学成分を意味するが、他方「化合物」は、1つ以上の化学成分を意味する。
【0060】
本方法によって処置すべき「患者」、「被験体」もしくは「宿主」は、霊長類(例、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、齧歯類、ネコ、もしくはイヌであってよい。
【0061】
用語「医薬上許容される塩」は、当技術分野において認識されており、例えば、本発明の組成物中に含有されているものを含む、化合物の相当に非毒性の無機および有機酸付加塩を意味する。
【0062】
本明細書で使用する用語「ポリフェノール画分」は、ルチン、およびシアニジン−3−グルコシドなどであるがそれらに限定されない化合物をさらに含む、ニワトコおよび関連種から入手される、またはそれらに由来する水溶性およびエタノール可溶性ポリフェノール酸化合物を含んでいる。
【0063】
本明細書で使用する用語「多糖類画分」は、ニワトコおよび関連種から入手される、またはそれらに由来する水溶性−エタノール不溶性レクチンタンパク質および多糖類化合物を含んでいる。
【0064】
ニワトコの他の化学成分もまたこれらの抽出物画分中に存在することもある。
【0065】
本明細書で使用する用語「プロアントシアニン」は、アントシアニンの二量体、三量体、およびquadiferを意味する。
【0066】
本明細書で使用する用語「プロフィール」は、抽出物画分もしくはサブ画分内の化合物の質量(重量)%による比率、または最終ニワトコ抽出組成物中の3種のニワトコ画分化学成分各々の質量(重量)%による比率を意味する。
【0067】
本明細書で使用する用語「精製」画分もしくは抽出物は、画分または抽出物の化学成分の質量(重量)%で10%超へ濃縮されている所定の物理化学的特性または物理的もしくは化学的特性によって特性付けられた化合物の特定群を含む画分もしくは抽出物を意味する。言い換えると、精製画分もしくは抽出物は、画分もしくは抽出物を規定する、所定の所望の物理化学的特性または物理的もしくは化学的特性によって特性付けられていない80%以下の化学成分化合物を含んでいる。
【0068】
用語「相乗的」は、当技術分野において認識されており、全効果が化合物の作用の合計より大きくなるように、2つ以上の成分が一緒に作用することを意味する。
【0069】
用語「処置する」は、当技術分野において認識されており、任意の状態もしくは障害を治癒させる、ならびにそれらの少なくとも1つの症状を緩和することを意味する。
【0070】
用語「ウイルス」は、当技術分野において認識されており、それらの固有の代謝機構は欠如するが、宿主細胞の代謝機構を使用することによって繁殖する非細胞性生物学的実体を意味する。ウイルスは、核酸の分子(DNAまたはRNA)を含んでおり、エンベロープウイルスまたは非エンベロープウイルスであってよい。
【0071】
(組成物)
本発明は、1つ以上のニワトコ種由来の精油(もしくは精油サブ画分)、ポリフェノール酸、および多糖類の単離かつ精製された画分の組成物を含んでいる。これらの個々の画分組成物を特定比率(プロフィール)で結合すると有益な組み合わせ組成物を提供することができ、そして現在知られている抽出生成物中では見いだされない、信頼できる、または再現性の抽出生成物を提供できる。例えば、1つの種由来の精油画分もしくはサブ画分は、同一もしくは相違する種由来の精油画分もしくはサブ画分と、または同一もしくは相違する種由来のポリフェノール酸画分と組み合わせることができ、その組み合わせは、ニワトコの同一もしくは相違する種由来の多糖類画分と組み合わせてもよい、または組み合わせなくともよい。
【0072】
抽出されたニワトコ種組成物は、所定の生成物のために所望である有益な生物学的作用に依存して、任意の1つ、2つ、もしくは全3つの濃縮抽出物画分を含んでいる可能性がある。典型的には、全3つのニワトコ種抽出物画分を含有する組成物は、そのような新規な組成物が、天然植物材料中で見いだされる全3つの主要な生物学的に有益な化学成分を含有する第1の高度に精製されたニワトコ種抽出生成物を示すので一般に望ましい。本発明の実施形態は、所定の特性が、別個の抽出物画分中に規定の選択的に増加した濃度のニワトコ種の精油化学成分、ポリフェノール性アントシアニジン、および多糖類を含む方法を含んでいる。
【0073】
詳細には、本発明の組成物は、自然に見いだされるものを含む、知られている組成物に比較して増加した量のアントシアニンを有する。アントシアニンは、心疾患および癌に対する保護を含む、様々な健康上の利益とますます関連してきた高度に活性の化学物質である強力な酸化防止剤である。それらの酸化防止特性に加えて、アントシアニンは50%までインスリン産生を増加させるため、糖尿病を処置する目的にも使用できることが報告されている。本発明の組成物は、唯一の有効成分として増加した量のアントシアニンを含むことがある、または本組成物は、ニワトコと関連する他の活性成分を含有することがある。他の有効成分の例には、精油画分中で見いだされるC16もしくはC18の脂肪酸、アルコール、もしくはエステル、または多糖類画分で見いだされる多糖類が含まれる。
【0074】
アントシアニンおよびフラボノイドは、濃縮し、ポリマー吸着剤(PA)技術によってプロファイリングすることができる。このような用途において、例えばAmberlite XAD4、XAD 7HP(Rohm−Hass社)、Dialon HP20、HP21、SP825(Mitsubishi社)、ADS5、ADS17(Naikai大学)などの広範囲のポリマー吸着剤を使用できる。PA加工処理の作用原理は、「同類は引き付け合う」(吸着質が吸着剤に付着したままになるか、または相対強度に依存して溶離剤中に溶解するかどうか)に基づいている。XAD 7HPおよびADS5を用いる実施例は、本明細書に提示されている。結果は、以下の表に示した。
【0075】
(表3.抽出後のアントシアニン成分の重量%)
【0076】
【表3】
(表4.アントシアニンのプロフィール)
【0077】
【表4】
(表5.ルチン対全アントシアニンの比率)
【0078】
【表5】
(表6.プロフィール(%))
【0079】
【表6】
化合物の重量%は、加工処理中にどのくらいの量の化合物が精製(濃縮)されたのかを示す:シアニジン−3,5−グルコシドは、供給原料(F2、XAD 7HPポリマー吸着剤)中の56.2倍まで精製されている;シアニジン−3−サンブビオシドは、供給原料(F3、XAD 7HPポリマー吸着剤)中の74倍まで精製されている;シアニジン−3−グルコシドは、供給原料(F4、XAD 7HPポリマー吸着剤)中の50倍まで精製されている;全アントシアニンは、供給原料(F2およびF3、XAD 7HPポリマー吸着剤)中の46〜47倍まで精製されている;ルチンは、供給原料(F3、ADS5ポリマー吸着剤)中の107倍まで精製されている、そして全フェノール酸は、供給原料中の13〜17倍まで精製されている。
【0080】
アントシアニンのプロフィールデータは、アントシアニンのプロフィールを加工処理中に調整できることを証明している:シアニジン−3−グルコシドは、42%〜100%の間でプロファイリングできる;シアニジン−3−サンブビオシドは、9%〜17%の間でプロファイリングできる;およびシアニジン−3,5−グルコシドは、4.8%〜43%の間でプロファイリングできる。
【0081】
ルチンおよびアントシアニンは、ニワトコ種中での重要な医薬化合物である。ルチン対全アントシアニンの比率は、加工処理中に0.10〜3,267の間でプロファイリングできる。
【0082】
全フェノール酸中のアントシアニンおよびルチンの濃度もまた加工処理中にプロファイリングすることができる:シアニジン−3−グルコシドは、0.02〜5.4%の間でプロファイリングできる;シアニジン−3−サンブビオシドは、0〜1.5%の間でプロファイリングできる;シアニジン−3,5−グルコシドは、0〜3.8%の間でプロファイリングできる;全アントシアニンは、0.02〜9.6%の間でプロファイリングできる;およびルチンは、0.8〜84.9%の間でプロファイリングできる。
【0083】
1つの実施形態では、本発明の組成物は、増加した量のアントシアニンおよび以下で考察する医薬担体を含有している。また別の実施形態では、本発明の組成物は、精油画分由来の、例えばC16およびC18の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸、アルコールおよびエステルなどの別のニワトコ種を含んでいる。
【0084】
乾燥エルダーフラワーの揮発性成分についての文献データ(Toulemonde 1983)と最近の研究との比較を以下の表に示した:
(表7.文献データと実験データの比較)
【0085】
【表7】
本発明の組成物は、増加した量のアントシアニンおよび多糖類を含む可能性がある。水粗抽出物中では、タンパク質収率は、ニワトコの花中では0.09%およびエルダーベリー中では0.59%であった。粗抽出物中のタンパク質の95%は、80%エタノールによって沈降させることができる。このため、80%の沈降物は、多糖類−タンパク質複合体である。これらの複合体の平均分子量は、約2,000kDaであった。1つの実施形態では、本組成物は、比色分析法に基づくと100〜170mg/g(デキストラン当量)の純度を有するレクチン−多糖類画分組成物および本発明によって教示されるようなBradfordタンパク質アッセイに基づいて4〜50%を超える質量(重量)%の純度のレクチンタンパク質を含んでいる。
【0086】
本発明の組成物は、増加した量のアントシアニン、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、および多糖類を含む可能性がある。
天然ニワトコ種に比較した抽出
本発明の組成物は、天然ニワトコ種において見出されるものに比較して濃度に関して規定することもできる。例えば、精油の濃度は、天然ニワトコ種の濃度の0.001〜10,000倍である、および/または所望のポリフェノール酸の濃度が天然ニワトコ種の濃度の0.001〜40倍である組成物、および/または水溶性−エタノール不溶性多糖類の濃度が天然ニワトコ種の濃度の0.001〜40倍である組成物、および/またはレクチンタンパク質の濃度が天然ニワトコ種植物材料の濃度の0.001〜100倍である組成物。本発明の組成物は、精油の濃度が、天然ニワトコ種の濃度の0.01〜10,000倍である組成物、および/または所望のポリフェノール酸の濃度が天然ニワトコ種の濃度の0.01〜40倍である組成物、および/または多糖類の濃度が天然ニワトコ種の濃度の0.01〜40倍である組成物、および/またはレクチンタンパク質の濃度が天然ニワトコ種植物材料の濃度の0.01〜100倍である組成物を含んでいる。さらに、本発明の組成物は、天然ニワトコ種植物材料精油化学成分中で見いだされる量より多い、または少ない量である天然植物材料精油中に存在する少なくとも1つ以上の化合物を有する精油化学成分のサブ画分を含んでいる。例えば、化合物であるリノエライジン酸は、天然ニワトコ種植物材料中の全精油化学成分の質量(重量)%でその2%の濃度からサブ画分の質量(重量)%で22%へ増加した精油サブ画分中の濃度を有していることがあり、これは濃度の10倍の増加である。これとは対照的に、リノエライジン酸は、天然植物材料中の全精油化学成分の質量(重量)%で約2%の濃度から、サブ画分の質量(重量)%で0.01%未満へ減少した精油サブ画分中の濃度を有していることがあり、これは濃度の100分の1への減少である。本発明の組成物は、そのような新規の精油サブ画分中の特定化合物の濃度が、天然ニワトコ種精油化学成分中で見いだされる濃度の約1.1〜約10倍へ増加する、または約0.1〜約100分の1へ減少する、のいずれかである組成物を含んでいる。
【0087】
(抽出物の純度)
以前に記載された抽出方法を実行した際に、ニワトコ種のオリジナルの乾燥させた果実(エルダーベリー)もしくは花(エルダーフラワー)供給原料中で95%を超える純度を有する精油化学成分の質量(重量)%で80%を超える収率を精油画分中でSCCO2(超臨界二酸化炭素)抽出によって抽出できることが見いだされた(工程1A)。工程1Aおよび1Bにおいて教示される方法を用いると、精油の収率は、新規化学成分プロフィールを有する高度に精製された精油サブ画分への精油化学成分の細分別に起因して減少することがある。さらに、本発明によって教示されるようなSCCO2抽出および分別プロセスは、固有の精油サブ画分プロフィールを特定の医薬上の目的のために作製できるように精油化学成分画分を含む個別化学成分の比率(プロフィール)を変化させることを許容する。例えば、アルコール精油化学成分の濃度は、脂肪酸化合物の濃度を減少させながら同時に増加させることができるが、その逆もまた可能である。
【0088】
本発明の工程2において教示される方法を使用すると、含水アルコール浸出画分は、天然エルダーベリー供給原料中で見いだされるフェノール酸化学成分の約60質量(重量)%の収率である、オリジナルのニワトコ種供給原料から全フェノール酸の4.3%の濃度を有する35.6質量(重量)%の収率で達成される。さらに、この含水アルコール溶媒抽出物もまた、貴重なアントシアニジン化学成分を含有する。
【0089】
本発明の工程3において教示される方法(親和性吸着剤抽出プロセスもしくはプロセスクロマトグラフィ−)を用いると、2.5質量(重量)%を超えるアントシアニジンを含む抽出物画分の乾燥質量%で40%を超える純度を備えるポリフェノール酸画分を入手できる。含水アルコール浸出抽出物供給原料から約60%のポリフェノール酸を抽出することが可能である。これは、天然ニワトコ種植物材料中で見いだされるポリフェノール酸化学成分の収率40%に一致する。相当に高濃度のアントシアニジン(>2.9質量(重量)%)または低濃度のアントシアニジン(<0.05質量(重量)%)のいずれかを備える高濃度のフェノール酸(>30質量(重量)%)を含有する精製フェノール酸サブ画分を生成することもまた可能である。
【0090】
本発明の工程4において教示される方法(水浸出法およびエタノール沈降法)を用いると、オリジナルの乾燥ニワトコ種供給原料から90質量(重量)%を超える収率の水溶性−エタノール不溶性レクチンタンパク質および多糖類化学成分をレクチン−多糖類画分中で抽出かつ精製できると思われる。80%エタノールを用いてレクチンおよび多糖類を沈降させると、水浸出抽出物から精製レクチン−多糖類画分を収集することができる。レクチン−多糖類画分の収率は、天然ニワトコ種植物材料供給原料に基づくと約3.45質量(重量)%である。参照標準物質としてデキストランを使用する比色分析方法に基づくと、100〜170mg/g(デキストラン当量)の純度の多糖類を入手できる。Bradfordタンパク質アッセイに基づくと、画分の16質量(重量)%の純度のレクチンを入手できる。現在入手できる証拠は、画分中に残留している化合物が多糖類(約83質量(重量)%)であることを示すであろう。レクチンタンパク質の純度は、60%エタノール沈降法を用いると約5%へ減少させることができる、または60%エタノール沈降法および多糖類の抽出後に残留物溶液の段階的80%エタノール沈降法を用いると、サブ画分の約50質量(重量)%へさらに増加させることができる。
【0091】
最後に、本発明によって教示される方法は、ニワトコ種精油化学成分画分、新規なポリフェノール画分もしくはサブ画分、および新規なレクチン−多糖類画分の、精油画分中で所望の化学成分の99質量(重量)%という高さ、フェノール画分中でフェノール酸の41質量(重量)%という高さ、ポリフェノール画分中でアントシアニジンの3%という高さ、レクチン−多糖類画分中でレクチンの50質量(重量)%という高さ、およびレクチン−多糖類画分中で多糖類の90質量(重量)%という高さへの精製(濃縮)を許容する。特定の抽出環境、抽出率、溶媒、および使用される抽出技術は、起源材料の出発化学成分プロフィールおよび最終抽出生成物中での所望の精製レベルに依存する。本発明によって教示されるような特定の方法は、特定の属性を有するアウトプット材料へ加工処理される出発材料の属性におけるサンプル変化を説明するためにプロセスを調整するために典型的なルーチンの実験だけを使用すれば、当業者であれば容易に決定できる。例えば、特定ロットのニワトコ種植物材料では、精油化学成分、ポリフェノール酸、アントシアニジン、レクチン、および多糖類の初期濃度は、本発明によって教示されるような当業者に知られている方法を用いて決定される。当業者であれば、最終ニワトコ種組成物製品中の所望の濃度および/または化学的プロフィールに達するために、本明細書に開示した抽出方法を用いて、精油化学成分の初期濃度から、最終抽出生成物についての、例えば、規定量もしくは分布(プロフィール)の精油化学成分への変化量を決定できる。
【0092】
(サブ画分)
本発明のまた別の実施形態は、精油化学成分の新規なサブ画分を含む組成物であって、例えば、アルコール、アルデヒド、エステルもしくは脂肪酸などであるがそれらに限定されない特定化学基の濃度が新規な抽出組成物中で増加もしくは減少した各濃度を有する組成物である。
【0093】
本発明のまた別の実施形態は、精製ポリフェノール酸化学成分の新規なサブ画分を含む組成物であって、例えば、アントシアニジンなどであるがそれには限定されない特定化学基の濃度が新規な抽出組成物中で増加もしくは減少した各濃度を有する組成物である。
【0094】
本発明の追加の実施形態は、精製レクチン−多糖類化学成分の新規なサブ画分を含む組成物であって、例えば、レクチンなどであるがそれには限定されない特定化学基の濃度が新規な抽出組成物中で増加もしくは減少した各濃度を有する組成物である。
【0095】
(抽出方法)
本発明の方法は、ヒトの障害を処置および予防するための新規なニワトコ種組成物を提供する。例えば、インフルエンザを処置するための新規なニワトコ種組成物は、天然ニワトコ種植物材料または従来型の知られている抽出生成物中で見いだされる濃度に比較して、重量%で、増加したポリフェノール画分組成物濃度、増加した多糖類組成物濃度、および減少した精油画分組成物濃度を有する可能性がある。抗酸化、抗血管傷害、虚血性脳血管疾患のための新規なニワトコ種組成物は、天然ニワトコ種植物材料中もしくは従来型の知られている抽出生成物中で見いだされる濃度より、重量%で、増加した精油およびポリフェノール酸画分組成物および減少した多糖類画分組成物を有している可能性がある。糖尿病性障害を処置するための新規なニワトコ種組成物のまた別の例は、天然ニワトコ種植物材料もしくは知られている従来型抽出生成物中で見いだされる濃度よりも増加したポリフェノール画分組成物濃度、減少した多糖類組成物、および減少した精油画分組成物を有する組成物を含んでいる。
【0096】
追加の実施形態は、天然植物材料もしくは現在入手できるニワトコ種抽出生成物中で見いだされるものに比較して、変化したプロフィール(分布比)のニワトコ種の化学成分を含む組成物を含んでいる。例えば、精油画分は、ポリフェノール酸濃度および/または多糖類濃度に比較して増加もしくは減少してよい。同様に、ポリフェノール酸もしくは多糖類は、特定の生物学的作用のために新規な構成の化学プロフィール組成物を許容するために他の抽出成分画分と比較して増加もしくは減少してよい。1つ以上の精油、ポリフェノール類および/または多糖類の単離かつ精製した画分を結合することによって、新規な組成物を作製できる。
【0097】
以下に教示する方法は、個別に、または本明細書に開示した方法もしくは当業者に知られている方法と組み合わせて使用できる。
【0098】
抽出するための出発材料は、1つ以上のニワトコ種からの植物材料である。植物材料は、植物の任意の部分であってよいが、果実および花が最も好ましい出発材料である。
【0099】
ニワトコ種植物材料は、材料を任意の特定形態に、そして本発明によって企図されている抽出のために有用な任意の形態にさせる前抽出工程を受けさせることができる。そのような前抽出工程には、材料を刻む、ミンチ切りする、細かく刻む、すりつぶす、粉末化する、切断する、もしくは裂く工程が含まれるがそれらに限定されない。出発材料は、前抽出工程の前には、乾燥した、もしくは新鮮な植物材料である。好ましい前抽出工程は、ニワトコ種植物材料を微細粉末にすりつぶす、および/または粉末化する工程を含んでいる。出発材料または前抽出工程後の材料は、乾燥させることができる、またはそれに加えられた水分を有していてよい。ニワトコ種植物材料が抽出のための形状になると、抽出方法は、本発明によって企図されている。
【0100】
(ニワトコの超臨界流体抽出)
本発明の抽出方法は、本明細書に開示したプロセスを含んでいる。一般に、本発明の方法は、一部には、ニワトコ種植物材料が溶媒として二酸化炭素(SCCO2)を用いる超臨界流体抽出法(SFE)を使用し、その後に例えば水、含水アルコール、および親和性ポリマー吸着剤抽出プロセスなどであるがそれらに限定されない1つ以上の溶媒抽出工程を使用して抽出される方法を含んでいる。本発明のために企図されている他の追加の方法は、他の有機溶媒、冷却用薬品、圧縮性ガス、超音波処理、加圧液体抽出、高速逆流クロマトグラフィー、分子捺印ポリマー、およびその他の知られている抽出法を用いたニワトコ種植物材料の抽出を含んでいる。そのような技術は、当業者には知られている。1つの態様では、本発明の組成物は、図1〜4に略図で示した工程を含む方法によって調製できる。
【0101】
本発明は、SCCO2技術を使用してニワトコ植物材料から精油およびその他の脂溶性化合物を濃縮(精製)およびプロファイリングするためのプロセスを含んでいる。本発明は、ニワトコの脂溶性化学成分を、例えば、高純度の精油画分(高精油化学成分濃度)に分別する工程を含んでいる。さらに、本発明は、抽出物画分内の個別化学成分がそれらの化学成分比もしくはプロフィールを変化させる可能性があるSCCO2プロセスを含んでいる。例えば、精油画分内の化学成分のSCCO2による分別分離は、他の化合物より所定の化合物の濃度が高い精油抽出物のサブ画分を精製できるように、他の精油化合物に比較して所定の精油化合物の優先的抽出を許容する。本発明によって教示されるようなSCCO2を用いたニワトコ種の精油化学成分の抽出は、毒性有機溶媒の使用を排除し、抽出物の同時分別を提供する。二酸化炭素は、天然の安全な生物学的生成物であり、多くの食品および飲料に含まれる成分である。
【0102】
ニワトコの生物活性化学成分の抽出方法の略図は、図1〜4に示した。抽出プロセスは、典型的には5工程であるが、それには限定されない。本抽出プロセスで使用した分析方法は、実験のセクションに提示されている。
【0103】
(工程1:ニワトコ精油の超臨界流体(二酸化炭素)抽出)
この抽出プロセスには、精油の疎水性の性質に起因して、SCCO2、ヘキサン、石油エーテル、および酢酸エチルを含むがそれらに限定されない非極性溶媒を使用できる。精油の成分の一部は揮発性であるため、抽出プロセスとして蒸気蒸留法もまた使用できる。
【0104】
SCCO2を用いるニワトコ種の根茎からの精油化学成分の抽出についての一般的説明は、図1に図示されている。供給原料10は、乾燥させて微粉化(約140メッシュ)したエルダーベリーもしくはエルダーフラワーである。抽出溶媒210は、純粋二酸化炭素である。補助溶媒としてエタノールを使用できる。供給原料は、SFE抽出容器20内に装填される。パージおよび漏れ試験の後、本プロセスは、貯蔵容器から冷却器を経由してCO2ポンプまで液化CO2を流動させる工程を含んでいる。CO2は所望の圧力まで圧縮され、圧力および温度が所望のレベルで維持されている抽出容器内の供給原料を通過するように流される。抽出のための圧力は約60bar〜800barの範囲内であり、温度は約35℃〜約90℃の範囲内である。本明細書で教示されるSCCO2抽出は、好ましくは少なくとも100barの圧力および少なくとも35℃の温度、ならびにより好ましくは約60bar〜500barの圧力および約40℃〜約80℃の温度で実施される。単一工程抽出を行うための抽出時間は、約30分間〜約2.5時間、〜約1時間である。溶媒対供給原料比は、典型的には各SCCO2抽出に対して約60:1である。CO2は、再利用される。抽出され、精製され、そしてプロファイリングされた精油化学成分30は、次にコレクターもしくはセパレーターに収集され、遮光性ガラス瓶に貯蔵され、照明を落とした4℃の冷蔵庫内に保管される。ニワトコ供給原料10は、結果として生じた抽出および精製されたニワトコ精油画分30が1つのコレクターSFEもしくはSCCO2システム20内に収集される1工程プロセス(図1)、または抽出されて精製およびプロファイリングされたニワトコ精油サブ画分50、60、70、80が個別および連続的に1つのコレクターSFEシステム20内に収集される多段階(図1、工程1B)で抽出できる。または、分別SFEシステムにおけるように、SCCO2抽出されたニワトコ供給原料は、各コレクター内にはその各々に精製精油サブ画分が収集されている相違する相対比率の精油化学成分組成(プロフィール)が存在するように、コレクター容器(セパレーター)内に分離することができる。残留物(残余)40が収集され、保存され、ニワトコ種フェノール酸および多糖類の精製画分を入手するためのさらなる加工処理のために使用される。本発明の1つの実施形態は、60bar〜500barの圧力および35℃〜90度の温度で多段階式SCCO2抽出法を用いてニワトコ種供給原料を抽出する工程と、各段階の後に抽出したニワトコ材料を収集する工程とを含んでいる。本発明の第2実施形態は、60bar〜500barの圧力および35℃〜90℃の温度で分別SCCO2抽出法を使用してニワトコ種供給原料を抽出する工程と、既定条件(圧力、温度、および密度)ならびに規定間隔(時間)で相違するコレクター容器内に抽出したニワトコ種材料を収集する工程とを含んでいる。多段階抽出機の各々、または相違するコレクター容器(分別システム)内の生じた抽出されたエルダーの精製精油サブ画分組成物は、回収して個別に使用できる、または天然植物材料中もしくは従来型のニワトコ抽出生成物中において見出される濃度より高い、もしくは低い規定の精油化学成分濃度を含む1つ以上のニワトコ種精油組成物を形成するために結合できる。典型的には、単一工程最高SCCO2抽出法を用いたエルダー種ベリーからの精油画分の全収率は、抽出物の95質量(重量)%を超える純度の精油化学成分を有して、約9重量%(精油化学成分の>95%)である。これとは対照的に、単一工程最高SCCO2抽出法を用いたエルダーフラワーからの精油画分の全収率は、抽出物の95質量(重量)%を超える純度の精油化学成分を有して、約1.5質量(重量)%(精油化学成分の>95%)である。これらのデータは、エルダーベリーがエルダーフラワーに比較して約6倍の濃度の精油化合物を含有することを証明している。本発明の実施例のためには、天然ニワトコ種供給原料としてエルダーベリーを使用した。この抽出プロセスの例は、実施例1に見いだすことができる。
【0105】
供給原料としてエルダーベリーを使用するこの実験実施例では、抽出条件は温度範囲が40〜80℃であり、圧力範囲が80〜500barであるように設定した。CO2流量は、10g/分であった。結果は、表8および9に示した。
【0106】
(表8.供給原料としてエルダーベリーを使用した場合の、温度、圧力、および時間がSCCO2による精油抽出収率に及ぼす作用)
【0107】
【表8】
(表9.GC−MSによる、様々なSFE条件で抽出したエルダーベリーのSCCO2による精油抽出物画分の化学組成(温度:Tおよび圧力:bar))
【0108】
【表9−1】
【0109】
【表9−2】
【0110】
【表9−3】
【0111】
【表9−4】
(表10.GC−MSによって同定されたエルダーベリーの精油化合物)
【0112】
【表10−1】
【0113】
【表10−2】
【0114】
【表10−3】
【0115】
【表10−4】
これらの結果は、圧力が抽出の動態に及ぼす作用を示している。
【0116】
抽出圧力が高いほど、少量のCO2消費量を伴ってより短時間で平衡に達するシステムを生じさせる。全抽出収率は、圧力上昇に関連する密度増加に起因して、抽出圧力の上昇に伴って増加する。興味深いことに、100〜300barなどの低圧、低温度、高収率は同様に高密度に関連していた。300〜500barなどの高圧力では、温度は抽出収率にはるかに小さな作用しか及ぼさない。高収率および高抽出効率は300barより大きな圧力を用いると達成できるが、精油化学成分の95%純度は、300bar未満の圧力および約40〜60℃の温度を用いて達成できる。
【0117】
調査した実験範囲では、温度と密度との間に競合作用が存在することを明確に述べることができる。温度が一定の場合には圧力の増加は超臨界および近臨界流体の溶解能力における増強に起因して収率の増加を導くというこの態様は、明確に規定されており、文献において立証されている。温度の上昇は、抽出に好ましい化合物の蒸気圧の強化を促進する。さらに、拡散係数の増加および溶媒粘度の減少もまた、温度がより高い数値に増加するにつれて草本性多孔質基質からの化合物の抽出に役立つ。他方では、システム圧が一定の場合の温度の上昇は、溶媒密度の減少をもたらす。
【0118】
GC−MS分析を用いると、各化合物の質量スペクトルによってエルダーベリー精油中で67種の化合物が分離されて同定された(表9および10)。化合物は、7〜50分間の保持時間を有し、主要アルデヒドは不飽和C7およびC10アルデヒドである9種のアルデヒド(C7〜C15)(表5に記載の化合物番号1、2、6、および8);11種のアルコール(C13〜C20);12種のエステル(C13〜C22);7種の脂肪酸(C14〜C22);および他の芳香族および脂肪族化合物を含む7炭素化合物(C7)〜23炭素化合物(C23)まで様々であった。知られている生物活性に基づくと、最も重要な化合物はC16およびC18の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸、アルコール、およびそのエステルであると思われる。例えば、ヘキサデカノール(#30)、ヘキサデカン酸(#34)、ヘキサデカン酸メチルエステル(#32)、ヘキサデカン酸エチルエステル(#35)、およびヘキサデカン酸ブチルエステル(#52)は、全部がC16化合物に属する。飽和オクタデカジエン酸ならびにそのエステルであるオクタデカン酸エチルエステル(#53)およびオクタデカン酸ブチルエステル、一価不飽和脂肪酸である9−オクタデセン−1−オール異性体(#38、39)、多価不飽和脂肪酸である9,12−オクタデカン酸異性体(#46、48)は、C18化合物に属する。C16およびC18脂肪酸の一般名は、パルミチン酸およびステアリン酸と呼ばれている。
【0119】
表9では、強調表示した化合物は、精油画分内で見いだされる高濃度の化合物である。化合物の比率は、様々なSCCO2抽出条件に伴って変動することに留意されたい。例えば、100barなどの低圧では、C16およびC18脂肪酸は低い全抽出収率を伴ってより高濃度で得られる。これとは対照的に、C16およびC18脂肪酸エステルは、高抽出温度で高濃度で見いだされる。
【0120】
興味深いことに、スクアレンは40℃および300barにおいて約23%の高濃度で抽出され、精油画分は40℃および500barの画分内で約8%の低濃度で抽出される。スクアレンは、一部のヒト癌のための補助療法として調査されてきた。動物モデルでは、肺癌を阻害することに有効であることが証明されている。さらにまた、動物モデルにおける結腸癌に対する化学的予防作用を有することもまた証明されている。動物モデルにおけるスクアレンの補給は、免疫機能を増強し、コレステロールレベルを減少させることが証明されている。
【0121】
結論として、所定のニワトコ種精油化学成分の濃度は、様々なSFE条件を用いて変化させることができる。そのような示差的SFE抽出特性を使用すると、図1の工程1Bに例示した連続的多段階式SCCO2分別システム、または複数コレクター分別システムを用いることによって、精製精油サブ画分中の所定化合物の濃度をさらに強化もしくは減少させることができる。
【0122】
(工程2:粗フェノール酸画分を抽出するための含水アルコール浸出プロセス)
1つの態様では、本発明は、分離抽出および精製のために残留物中にレクチンおよび多糖類を維持しながら、生物活性フェノール酸化学成分の抽出および濃縮を含んでいる(工程4)。この工程の一般的説明は、図2に図示されている。この工程2の抽出プロセスは、溶媒浸出プロセスである。この抽出のための供給原料は、ニワトコ種の微粉化した乾燥植物材料10もしくは工程1での精油化学成分のSCCO2による抽出からの残留物40のいずれかである。抽出溶媒220は、水性エタノールである。抽出溶媒は、10〜95%水性アルコールであってよいが、80%水性エタノールが好ましい。本方法では、ニワトコ供給原料および抽出溶媒が、加熱および攪拌される抽出容器100、150中に装填される。これは100℃、約90℃、約80℃、約70℃、または約60〜90℃へ加熱することができる。抽出は、約1〜10時間、約1〜5時間、約2時間にわたり実施される。生じた流体−抽出物は、濾過され(110)、遠心される(120)。濾液(上清)310、320、330は、生成物として収集され、容積および固体含量、溶媒を蒸発させた後の乾燥質量が測定される。抽出残留物材料160は、保持されて、その後の加工処理のために貯蔵される(工程4を参照)。抽出は、必要もしくは所望に応じて、複数回繰り返すことができる。これは、1回以上、2回以上、3回以上など繰り返すことができる。例えば、図2は、第2段階および第3段階が同一方法および条件を使用する、3段階式プロセスを示している。この抽出工程の例は、実施例2に見出される。結果は、表11に示した。
【0123】
(表11.エルダーベリーの浸出抽出による粗フェノール酸の収率および純度)
【0124】
【表11】
全粗フェノール酸抽出収率は、オリジナルの天然エルダーベリー供給原料の約35質量(重量)%であり、全フェノール酸抽出収率は1.6%およびフェノール酸の純度は画分の4.3質量(重量)%であった。粗フェノール酸画分中のアントシアニジン抽出収率は、オリジナルのエルダーベリー供給原料の0.06質量(重量)%であり、純度(濃度)は画分の0.18質量(重量)%であった。主要フェノール酸はルチンであり、主要アントシアニジンはシアニジン−3−グルコシドであった。これらのデータは、すべてが文献と一致している。この粗フェノール酸組成物は、最終生成物として、または所望のフェノール酸化学成分を精製するためのさらなる加工処理(工程3)のための供給原料としてのいずれかで使用できる。
【0125】
(工程3:親和性吸着剤抽出プロセス)
本明細書で教示するように、ニワトコおよび関連種由来の精製フェノール酸画分抽出物は、親和性吸着剤上に含水アルコール抽出物中に含有される活性フェノール酸を吸着できるように、ニワトコ供給原料の含水アルコール抽出物を固体親和性ポリマー吸着剤樹脂と接触させる工程によって入手できる。結合した化学成分は、引き続いて本明細書に教示した方法によって溶出される。フェノール酸画分化学成分を溶出する前に、その上に吸着させられた所望の化学成分を備える親和性吸着剤は、好ましくは、吸着剤と接触させる工程である任意の便宜的方法によって抽出物の残余から分離でき、分離は水性抽出物に抽出カラムもしくは吸着剤材料床を通過させる工程によって実行される。
【0126】
「Amberlite XAD−2」(Rohm & Hass社)、「Duolite S−30」(Diamond Alkai社)、「SP207」(Mitsubishi Chemical社)、ADS−5(Nankai大学、中国天津)、ADS−17(Nankai大学、中国天津)、Dialon HP20(Mitsubishi社、日本国)およびAmberlite XAD 7HP(Rohm & Hass社)などであるがそれらに限定されない様々な親和性吸着剤を利用すると、ニワトコ種のフェノール酸化学成分を精製することができる。Amaberlite XAD7 HPは、好ましくは、ニワトコおよび関連種のフェノール酸化学成分に対する高親和性に起因して使用される。
【0127】
吸着剤からフェノール酸化学成分を回収するためには様々な溶離剤を使用するとことができるが、本発明の1つの態様では、溶離剤は、メタノール、エタノール、もしくはプロパノールを含むがそれらに限定されない低分子量アルコールを含んでいる。第2の態様では、溶離剤は、水との混合液中の低分子量アルコールを含んでいる。また別の態様では、溶離剤は、低分子量アルコール、第2有機溶媒、および水を含んでいる。
【0128】
好ましくは、ニワトコ種供給原料は、抽出物を含有する水性フェノール酸化学成分を親和性吸着剤材料と接触させる工程の前に、工程1および2に記載したプロセスなどであるがそれらに限定されない1つ以上の予備精製プロセスを受けている。
【0129】
本発明によって教示されるように親和性吸着剤を使用すると、顕著にも、通常は天然植物材料中に、または入手可能な市販の抽出生成物中に存在する他の化学成分を含んでいない、ニワトコ種の高度に精製されたフェノール酸化学成分を生じさせる。例えば、本発明において教示されるプロセスは、乾燥質量(重量)%で40%過剰の全フェノール酸化学成分および2%過剰の全アントシアニジンを含有する、精製フェノール酸抽出物を生じさせることができる。
【0130】
ポリマー親和性吸着剤樹脂ビーズを用いるニワトコ種の葉からのフェノール酸の抽出および精製についての一般的説明は、図3に図示されている。この抽出プロセスのための供給原料は、工程2の水浸出抽出310+/−320+/−330からのフェノール酸を含有するエタノール水溶液であってよい。吸着剤樹脂ビーズの適切な重量(吸着剤樹脂1g当たり5mgのフェノール酸)は4〜5BV(床容積)エタノール230および4〜5BV蒸留水240を用いて、カラム410、420内へ装填する前後に洗浄した。水溶液310+320を含有するフェノール酸は、次に3〜5BV/時の流量でカラム430へ装填される。カラムが完全に装填されると、カラムは2〜3BV/時の流量で蒸留水250を用いて洗浄され(450)、吸着されたフェノール酸からすべての不純物が除去される。排出残留物440および洗浄残留物460が収集され、質量含量でフェノール酸含量について測定され、そして廃棄される。吸着されたフェノール酸470の溶出は、溶離液260としての3〜4BV/時の流量で40もしくは80%のエタノール/水を用いる均一濃度法で遂行され、溶離抽出物(抽出物)480についての溶出曲線が記録された。溶出容積480は、約25分毎に収集することができ、これらのサンプルはHPLCを用いて分析し、固体含量および純度について試験される。この抽出プロセスの例は、実施例3に見出される。結果は、表12および13に示した。
【0131】
(表12.XAD 7HPカラムから溶出させた様々な画分についての質量平衡およびHPLC分析の結果)
【0132】
【表12】
(表13.ADS5カラムから溶出させた様々な画分についての質量平衡およびHPLC分析の結果)
【0133】
【表13】
本明細書で教示するように、親和性吸着剤であるXAD7HPおよびADS5は、ニワトコ種植物材料のフラボノイドおよびアントシアニジンフェノール酸をさらに精製(濃縮)することができる。各溶出液サブ画分の質量(重量)%で40%を超える全フェノール酸、2.8%を超える全アントシアニジン、および29%を超えるルチンの純度。これらは、天然ニワトコ種植物材料中または知られている材料中で見いだされる濃度に比して10倍を超える、そして入手できるニワトコ種抽出生成物中において見出される濃度に比して5倍を超える増加を表している。装填溶液のフェノール酸化学成分の60質量(重量)%を超える収率が溶離剤中で回収される。オリジナルのニワトコ種供給原料に基づくと、全フェノール酸収率は、オリジナルの供給原料の約4.2質量(重量)%である。実際に、排出液もしくは洗浄液中では、ルチンもしくはアントシアニジンはほとんど全く検出できなかった。興味深いことに、ADS5は、様々な濃度のエタノール溶液を使用することによって様々なサブ画分中のルチンからアントシアニジンを分離することが可能であるという点で相当に固有の長所を有している。例えば、ADS5の40%エタノール溶出画分(F2)は、アントシアニジンを10倍を超えて濃縮させるが、他方結合サブ画分(F3+F4)は、ほとんどもしくは全くアントシアニジンの濃縮を伴わずにルチンを25倍を超えて濃縮させる。このため、工程3の親和性吸着剤プロセスは、新規な化学成分プロフィールを備える新規な精製フェノール酸サブ画分を産生できる。
【0134】
(工程4:レクチン−多糖類画分抽出プロセス)
ニワトコ種の化学成分のレクチン−多糖類画分抽出物画分は、科学文献において「水溶性、エタノール不溶性抽出物画分」として規定されている。水溶媒浸出およびエタノール沈降プロセスを用いてニワトコ種の抽出物から多糖類画分を抽出する方法についての一般的説明は、図4に図示されている。供給原料160は、工程2の含水アルコール浸出抽出プロセスからの固体残留物である。この供給原料は、2段階で浸出抽出される。溶媒は、蒸留水270である。本方法では、ニワトコ種残留物160および抽出溶媒270は、抽出容器500、520中に装填され、加熱および攪拌される。これは、100℃、約80℃、または約70〜90℃へ加熱されてよい。この抽出は、約1〜5時間、約2〜4時間、または約2時間にわたり実施される。2段階抽出溶液600+610は結合され、スラリーは濾過され(540)、遠心分離され(550)、そして蒸発させられて(560)、溶液620中の化学物質の濃度が約8倍に増加するまで水が除去される。次に無水エタノール280を使用して、60〜80%の最終エタノール濃度を作製するためにオリジナルの溶液の容積が復元される。大きな沈降物570が観察される。この溶液は遠心分離され(580)、デカンテーションされ(590)、上清残留物730が廃棄される。沈降生成物640は、多糖類については参照標準物質として5,000〜410,000の分子量のデキストランを用いる比色法を用いて、そしてタンパク質についてはBradfordタンパク質分析法を用いて分析できる精製レクチン−多糖類画分である。抽出した多糖類画分の純度は、オリジナルの天然ニワトコ種植物材料供給原料の2.4〜3.5質量(重量)%の全収率を生じる約100〜170mg/gのデキストラン標準等価物である。抽出したレクチンタンパク質の純度は、オリジナルの天然ニワトコ種植物材料の0.56質量(重量)%の全収率を生じるレクチン−多糖類画分の約16質量(重量)%である。この抽出プロセスの例は、実施例4に見出される。結果は、表14および15に示した。さらに、AccuTOF−DART質量分析法(実験のセクションを参照)を使用して、精製した多糖類画分を含む化合物の分子量をさらにプロファイリングした。
【0135】
(表14.エルダーベリーのレクチン−多糖類画分の多糖類分析)
【0136】
【表14】
(表15.エルダーベリーのレクチン−多糖類画分のタンパク質分析)
【0137】
【表15】
全ニワトコのレクチン−多糖類収率は、オリジナルの天然エルダーベリー供給原料に基づく質量(重量)%で、60%エタノール沈降法を用いると2.43%であり、80%エタノール沈降法を用いると3.45%であった。ニワトコ種植物材料および他の植物を用いた複数回の実験ならびに科学文献に基づくと、レクチン−多糖類画分の3.5%の収率は、生ニワトコ種植物材料中に存在する水溶性−エタノール不溶性多糖類およびレクチンタンパク質の濃度に極めて近い。
【0138】
多糖類の純度は、100〜170mg/g(デキストラン当量)であった。多糖類画分のデキストラン当量は他の植物由来の精製多糖類画分を用いて見いだされたものよりいくらか低いと思われるが、ニワトコ種植物材料中の多糖類の分子量は知られていない。そこで、多糖類化学成分の純度は、デキストラン当量を用いた比色アッセイを用いて推定されるものよりニワトコ種精製多糖類画分中における方がはるかに高い可能性がある。
【0139】
ニワトコのレクチン−多糖類画分中のレクチンタンパク質の純度は、その画分の質量(重量)%で、60%エタノール沈降法を用いた場合は4.8%、そして80%エタノール沈降法を用いた場合は16.2%であった。80%エタノール沈降法を用いた場合の全レクチンタンパク質収率は、オリジナルの天然ニワトコ種供給原料に基づくと0.56質量(重量)%であり、粗水浸出抽出物に基づくと約95質量(重量)%であった。60%エタノール沈降法を用いた場合の全レクチン収率は、粗水浸出抽出物に基づくと約20質量(重量)%に過ぎない。60%エタノール沈降法は、高純度の多糖類化学成分および低純度のレクチンタンパク質を生じさせる。このため、2段階式エタノール沈降法を用いると、60%エタノール沈降法を用いて高多糖類濃度の低レクチンタンパク質濃度プロフィール(約0/1)のサブ画分を有し、その後に80%エタノールを用いる第2段階沈降法によって低多糖類/高レクチンタンパク質濃度プロフィール(約2/1)サブ画分を生成することが可能である。
【0140】
当技術分野においては、溶液からアルコールを除去するための多数の方法が知られている。再利用するためにアルコールを維持することが望ましい場合は、アルコールは、標準もしくは低い大気圧下での蒸留によって、抽出後に溶液から除去することができる。そのアルコールは、再使用できる。さらに、当技術分野においては、さらに水溶液もしくはそれからアルコールが除去された溶液のいずれかである溶液から水を除去するために知られている多数の方法がある。そのような方法には、水溶液を例えば炭酸マグネシウムもしくはマルトデキストリンなどであるがそれらに限定されない適切な担体上へ噴霧して乾燥させる工程が含まれる、または、液体は凍結乾燥法もしくはリフラクティブ・ウインドウ(refractive window)乾燥法によって乾燥させることができる。
【0141】
(食品および医薬)
本発明の食品の形態として、例えば、顆粒状態、粒状状態、ペースト状態、ゲル状態、固体状態、または液体状態などのあらゆる任意の形態に調製することができる。これらの形態では、例えば、結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、風味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存料、乳化剤、等張剤、安定剤もしくはpH調節剤などの食品に加えることが許可されている、当業者に従来より知られている様々な種類の物質を任意で含有することができる。食品に加えられるエルダーベリー抽出物の量は、特別には限定されないが、それは、例えば、体重が約60kgの成人が摂取する量として1日当たり約10mg〜5g、好ましくは50mg〜2gであってよい。
【0142】
詳細には、それが健康を維持するための食品、機能性食品などとして利用される場合は、本発明の規定の作用が十分に証明されているような量で本発明の有効成分を含有することが好ましい。
【0143】
本発明の医薬は、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固体作用物質、または注射剤などの液体作用物質として、従来より知られている方法によって任意に調製できる。これらの医薬には、例えば結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、風味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存料、乳化剤、等張剤、安定剤もしくはpH調節剤などの一般に使用される任意の材料を用いて調製できる。
【0144】
医薬中の有効成分(エルダーベリー抽出物)の投与量は、種類、剤形、患者の年齢、体重もしくは症状などに依存して変動する可能性があり、そしてそれが経口投与される場合は、体重が約60kgの成人に対しては1日当たり1もしくは数回にわたり投与され、さらに1日当たり約10mg〜5g、好ましくは約50mg〜2gの量で投与される。有効成分は、ニワトコ抽出物の1つまたは数種の成分であってよい。
【0145】
(送達系)
本発明の組成物を被験体に送達するために有用な投与様式には、例えば、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤および吸入剤などの当業者には一般に知られている投与様式が含まれる。
【0146】
1つの実施形態では、投与様式は、例えば、リポソーム製剤などの徐放性もしくは制御放出性吸入製剤を含んでいてよい吸入剤である。そのような送達系は、SARS、鳥インフルエンザなどについて被験体を処置するために有用であろう。本実施形態では、本発明の製剤は、鼻腔内投与のために適する任意の定量投与器具で使用できる。本器具は、一見して最適な計量精度および鼻腔投与製剤との例えば容器、弁およびアクチュエーターなどの構成要素の適合性を保証するように構成されなければならず、そして例えば定量ネブライザー、ドライパウダー吸入器、ソフトミスト吸入器、またはネブライザーのポンプシステムのような機械的ポンプシステムを基礎とすることができよう。大量の投与される用量に起因して、好ましい器具には、ジェットネブライザー(例えば、PARI LC Star、AKITA)、ソフトミスト吸入器(例えば、PARI e−Flow)、およびカプセル使用型ドライパウダー吸入器(例えば、PH&T Turbospin)が含まれる。適切な推進剤は、フッ化炭素、炭化水素、窒素および酸化二窒素またはそれらの混合気などの気体から選択できる。
【0147】
吸入送達器具は、ネブライザーもしくは計量吸入器(MDI)、または当業者には知られている任意の他の適切な吸入送達器具であってよい。器具は、単回用量の製剤を含有しており、それを送達するために使用できる、または器具は複数回用量の本発明の組成物を含有しており、それを送達するために使用できる。
【0148】
ネブライザータイプの吸入送達器具は、通常は水性である液剤、または懸濁剤として本発明の組成物を含有することができる。吸入のために本組成物の噴霧スプレーを生成する際に、ネブライザータイプの送達器具は、超音波により、圧縮空気により、他の気体により、電気的もしくは機械的に駆動させることができる。超音波ネブライザー器具は、通常は電気化学的振動面を介して製剤の液体膜へ高速振動波形を付与することによって作動する。所定の振幅では、波形は不安定になり、それにより液体膜を分解し、製剤の小滴を作り出す。空気もしくは他の気体によって駆動されるネブライザー器具は、高圧ガス流が局所的圧力低下を作り出し、それが毛細管作用によって液体製剤をガス流内に引き込むことに基づいて作用する。この微細な液体流は、次に剪断力によって分解される。ネブライザーは、設計においてポータブル型およびハンドヘルド型であってよく、内蔵電気ユニットを装備することができる。ネブライザー器具は、それを通して液体製剤を加速できる規定アパーチャサイズの、2本の同じ場所にある出口チャネルを有するノズルを含んでいてよい。これは、2つの流れの衝突および製剤の噴霧化を生じさせる。ネブライザーは、吸入用の製剤のエアロゾルを生成するために、規定アパーチャサイズの複数孔ノズルを通して液体製剤を推し進めるために機械的アクチュエーターを使用できる。単回用量ネブライザーの設計においては、単回用量の製剤を含有するブリスターパックを使用できる。
【0149】
本発明においては、ネブライザーは、例えば、肺膜内に粒子を配置するために粒子のサイズ設定が最適であることを保証するために使用できる。
【0150】
定量吸入器(MDI)は、本発明の組成物のための吸入送達器具として使用できる。本器具は加圧式(pMDI)で、その基本構造は、計量弁、アクチュエーターおよび容器を含んでいる。器具から製剤を放出するためには推進剤が使用される。本組成物は、加圧推進剤液体中に懸濁させた規定サイズの粒子から構成されてよい、または本組成物は加圧液体推進剤の溶液もしくは懸濁液中にあってよい。使用される推進剤は、例えば134aおよび227などの主として大気に優しいヒドロフルオロカーボン(HFC)である。CFC−11、12および114のような伝統的クロロフルオロカーボンは、不可欠である場合にのみ使用される。吸入システムの器具は、例えばブリスターパックによって単回用量を送達できる、またはそれは複数回投与の設計であってもよい。吸入システムの加圧計量吸入器は、正確な用量の脂質含有製剤を送達するために呼吸作動させることができる。投与の精度を保証するために、製剤の送達は、吸入サイクルの所定の時点で発生させるためにマイクロプロセッサーによってプログラミングすることができる。MDIは、ポータブル型およびハンドヘルド型であってよい。
【0151】
また別の実施形態では、送達系は、例えば、ヒドロゲル、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、もしくはパッチ剤などの経皮送達系であってよい。パッチは、詳細には、数週間もしくは数カ月間の時限投与が所望の場合に使用できる。
【0152】
また別の実施形態では、非経口の投与経路を使用できる。非経口経路は、身体の様々な区画内への注射を含んでいる。非経口経路には、静脈内(iv)、すなわち、静脈を通して血管系への直接的投与;動脈内(ia)、すなわち、動脈を通して血管系への直接的投与;腹腔内(ip)、すなわち、腹腔内への投与;皮下(sc)、すなわち、皮膚下への投与;筋肉内(im)、すなわち、筋肉内への投与;および皮内(id)、すなわち、皮膚層間への投与が含まれる。非経口経路は、投与される製剤の一部が消化管内で部分的もしくは完全に分解するであろう場合には、時には経口経路よりも好ましい。同様に、救急症例において迅速な反応が必要な場合には、非経口投与は、通常は経口よりも好ましい。
【0153】
(インフルエンザの処置方法)
A型インフルエンザウイルスH1N1に対するエルダーベリー画分の阻害活性を定量した。画分の連続希釈液を知られている量のウイルスとともにインキュベートし、細胞培養単層へ送達した(図5を参照)。用量反応曲線をプロットし、A型ヒトインフルエンザHIN1ウイルスに対する50%阻害濃度(IC50)を各画分について決定した。IC50値については、図6〜11および以下の表16を参照されたい。さらに、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2がデング熱ウイルスならびにA型ヒトインフルエンザウイルスH1N1を阻害することも決定されている(図12を参照)。実験プロトコルについては、実施例9を参照されたい。
【0154】
(表16.A型ヒトインフルエンザH1N1ウイルスを用いた阻害分析の結果の要約)
【0155】
【表16】
(HIVの処置方法)
HIV−1ウイルスに対するエルダーベリー画分の阻害活性を定量した。知られている希釈率の抽出物を知られている量のキメラHIV−1 SG3(ゲノム)Cサブタイプ(エンベロープ)ウイルスとともにインキュベートした。図9を参照されたい。用量反応曲線をプロットし、外挿した50%阻害濃度(IC50)を決定した。図32〜34および以下の表17を参照されたい。実験プロトコルについては、実施例10を参照されたい。
【0156】
(表17.HIV−1ウイルスを用いた阻害分析の結果の要約)
【0157】
【表17】
(適例)
(材料)
植物:野生のSambucus nigra L.(Sambuca nigra L.)の果実(エルダーベリー)(製品番号:724、ロット番号:L10379w、ハンガリー)およびSambucus nigra L.(Sambuca nigra L.)の花(エルダーフラワー)(製品番号:725、ロット番号:L01258W、ポーランド)は、Blessed Herbs社(シンシナティ)から購入した。
【0158】
有機溶媒:アセトン(67−64−1)、≧99.5%、ACS試薬(179124);HPLC用のアセトニトリル(75−05−8)、勾配グレード≧99.9%(GC)(000687);ヘキサン(110−54−3)、95+%、分光法グレード(248878);酢酸エチル(141−78−6)、99.5+%、ACSグレード(319902);4.8%イソプロパノールを用いて変性させたエタノール(02853);無水エタノール(64−17−5)(02883);メタノール(67−56−1)、99.93%、ACS HPLCグレード(4391993);および水(7732−18−5)、HPLCグレード(95304)。全部をSigma−Aldrich社から購入した。
【0159】
酸および塩基:ギ酸(64−18−6)、50%溶液(09676);酢酸(64−19−7)、99.7+%、ACS試薬(320099);塩酸(7647−01−0)、容積標準1.0N水溶液(318949);Folin−Ciocalteuフェノール試薬(2N)(47641);フェノール(108−95−2)(P3653);硫酸(7664−93−9)、ACS試薬、95〜97%(44719);および炭酸ナトリウム(S263−1、ロット番号:037406)は、Fisher社から購入した。
【0160】
化学参照標準物質:血清アルブミン(9048−46−8)、試験したウシアルブミン画分V粉末細胞培養(A9418);ルチン(CAS番号:153−18−4);およびシアニジン3−グルコシド塩化物(CAS番号:7084−24−4)は、Chromadex社から購入した。DINにしたがって認定されたデキストラン標準物質[5000(00269)、50,000(00891)および410,000(00895)]は、Fluka社から購入した。HPLC化学参照標準物質の構造は、以下に示した。
【0161】
【化3】
ポリマー親和性吸着剤:560〜710nmの粒径および380m2/gの表面積を備える白色透明ビーズとして使用した、マクロ網状脂肪族アクリル架橋結合ポリマーであるAmberlite XAD 7HP(Rohm & Haas社、フランス国)。300〜1200nmの粒径および500〜600m2/gの表面積を備える、エステル基改質ポリスチレンであるADS−5(Nankai大学、中国)。
【0162】
(方法)
(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法)
クロマトグラフィーシステム:SPD−M 10AVP光ダイオードアレイ検出器を備える、LC10ADVPポンプを装備した、Shimadzu社製高速液体クロマトグラフィーLC10AVPシステム。
【0163】
本発明のエタノール抽出生成物は、逆相Jupiter C18カラム(内径250×4.6mm、5μ、300Å)(Phenomenex社、部品番号:00G−4053−E0、製造番号:2217520−3、バッチ番号:5243−17)上で測定した。注入量は10μLであり、移動相の流量は1mL/分であった。カラム温度は、25℃であった。移動相は、A(5%ギ酸/酢酸、v/v)およびB(メタノール)から構成された。勾配は次のようにプログラミングした:最初の2分間は、Bを5%で2〜10分間維持し、溶媒Bを10〜15分間かけて5%〜24%へ線形で増加させ、Bを15〜30分間にわたり24%で維持し、Bを30〜35分間にわたり24%〜35%へ線形で増加させ、Bを35〜50分間にわたり35%で維持し、Bを35%〜45%へ線形で増加させ、この組成で5分間、さらに55〜65分間にわたり保持し、65〜68分間にわたり45%〜5%へ線形で減少させ、Bを5%で維持した。検出波長は、フラボノイドについては350nmであり、アントシアニジンについては520nmであった。
【0164】
2つの参照標準物質のメタノールストック溶液は、計量した量の標準化合物を5mg/mLでエタノール中に溶解させる工程によって調製した。混合参照標準物質溶液は、次に一連の溶液を各々1.0、0.5、0.25、0.1、および0.05mg/mLの最終濃度で生成するために段階的に希釈した。ストック溶液および作用溶液は全部を7日間以内に使用し、+4℃で保管し、使用前に室温にさせた。これらの溶液を使用して、エルダーベリーおよびエルダーフラワー両方において化合物を同定および定量した。520nmでのシアニジン−3−グルコシド(CY3glu)および350nmでのルチンの保持時間は、各々約13.27および20.20分間であった。0.01〜20μgの範囲内の線形フィットが見出された。回帰方程式および相関係数は、次のとおりであった:アントシアニジン−3−グルコシド:面積/100=20888*×C(μg)+502.21、R2=0.9994(N=5);およびルチン:面積/100=11573×C(μg)+584.57、R2=0.9996(N=5)。HPLCの結果は、表18に示した。各サンプル中の参照標準物質の含量は、ピーク面積に基づいて対応する検量線からの内挿によって計算した。
【0165】
(表18.メタノール中の0.1mg/mLの濃度でのニワトコ参照標準物質についてのHPLC分析の結果)
【0166】
【表18】
*理論段数は:N=16×(tR/w)2によって計算した。tRは保持時間であり、wはピークの幅である、https://www.mn−net.com/web%5CMN−WEB HPLCKatalog.nsf/WebE/GRUNDLAGEN
(ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)法)
GC−MS分析は、Shimadzu GCMS−QP2010システムを使用して実施した。このシステムは、高性能ガスクロマトグラフ、直接結合GC/MSインターフェース、独立温度制御装置を備える電気衝撃(EI)イオン源、および四重極マスフィルターを含んでいる。このシステムは、データ収集およびラン後分析のためのGCMS溶液Ver.2ソフトウエアを用いて制御される。分離は、下記の温度プログラムを用いて、Agilent J&W DB−5溶融石英キャピラリーカラム(内径30m×0.25mm、厚さ0.25μmのフィルム(5%フェニル、95%ジメチルシロキサン)(カタログ番号:1225032、製造番号:US5285774H)上で実施した。初期温度は60℃で、2分間にわたり維持し、次に4℃/分の速度で120℃へ上昇させ、15分間維持し、次に4℃/分の速度で200℃へ上昇させ、15分間にわたり維持し、次に4℃/分の速度で240℃へ上昇させ、さらに15分間にわたり維持した。全ラン時間は、およそ92分間であった。サンプル注入温度は、250℃であった。1μLのサンプルは、オートインジェクターによってスプリットレスモードで1分間に注入した。キャリヤーガスはヘリウムであり、流量は60kPaの圧力によって制御した。そのような圧力下で、流量は1.03mL/分であり、線形速度は37.1cm/分および総流量は35mL/分であった。MSイオン源温度は230℃であり、GC/MSインターフェース温度は250℃であった。MS検出器は、70eVのイオン化電圧を用いて1,000AMU/秒のスキャン速度で50〜500のm/z間でスキャンした。溶媒カットオフ温度は、3.5分間であった。
【0167】
Folin−Ciocalteu法(Markar,H.P.S.,BluemmelM.,Borowy,N.K.and Becker,K.,1993,J.Sci.Food Agric.61:161−165)による全フェノール酸濃度
機器:Shimadzu UV−Vis分光光度計(UVプローブを備えるUV1700:S/N:A1102421982LP)。
【0168】
参照標準物質:1mg/mLの濃度で没食子酸/水のストック水溶液を作製した。適切な量の没食子酸溶液を試験管中に装填し、蒸留水を用いて容量を0.5mLにし、0.25mLのFolin Ciocalteu試薬を加え、そして次に1.25mLの20重量%炭酸ナトリウム溶液を加えた。試験管を40分間にわたり超音波浴中でしっかりと振とうし、725nmで吸光度を記録した。参照標準物質のデータは、表19に示した。
【0169】
(表19.Folin−Ciocalteu法で没食子酸参照標準物質を使用するための検量線データ)
【0170】
【表19】
*:没食子酸溶液の量は、吸着情報に左右される。
【0171】
未知のサンプル:適切なアリコートのタンニン含有抽出物を試験管中に入れ、蒸留水を用いて容量を0.5mLにし、0.25mLのFolin Ciocalteu試薬を加え、そして次に1.25mLの炭酸ナトリウム溶液を加えた。試験管をボルテックスミキサーにかけ、40分後に725nmで吸光度を記録した。上記の検量線から没食子酸等価物として全フェノールの量を計算した。
【0172】
(Bradford試薬法によるタンパク質含量の決定)
機器:Shimadzu UV−Vis分光光度計(UVプローブを備えるUV1700:S/N:A1102421982LP)。
【0173】
標準検量線:未知サンプルとして同一バッファー中で適切な濃度のタンパク質標準物質を調製した。本発明では、脱イオン水をバッファーと置換することができる。2mg/mLのBSAのタンパク質標準物質溶液を連続希釈することによって0.1〜1.4mg/mLの範囲内のBSA標準物質を作製した。次に、0.1mLのBSA標準物質を3mLのBradford試薬と混合した。混合液をボルテックスミキサーにかけ、サンプルを5〜45分間にわたり室温でインキュベートした。吸光度を595nmで記録した。サンプルの吸光度は、60分間の制限時間前および相互に10分間以内に記録しなければならない。結果は、表20に示した。
【0174】
(表20.Bradfordタンパク質アッセイについての標準検量データ)
【0175】
【表20】
未知サンプルの分析:試験管中にタンパク質含有試験サンプルの適切なアリコートを入れた;蒸留水を用いて容量を0.1mLにした。次に3mLのBradford試薬を加えた。試験管を振とうし、5〜45分間以内に595nmで吸光度を記録した。上記の検量線からBSA標準物質等価物としてタンパク質の量を計算した。
比色法(Dubois,M.,Gilles,K.A.,Hamilton,J.K.,Rebers,P.A.and Smith,F.,1956,Analytical Chemistry 28(3):350−356)を用いた多糖類分析。
【0176】
分光光度計システム:本試験では、Shimadzu UV−1700紫外・可視分光光度計(190〜1100nm、分解能1mm)を使用した。
【0177】
多糖類分析のためには比色法が使用されてきた。デキストランの0.1mg/mLのストック溶液(分子量=5,000、50,000および410,000)を作製した。0.08、0.16、0.24、0.32、0.40mLのストック溶液を取り出し、蒸留水を用いて容量を0.4mLにした。次に0.2mLの5%フェノール溶液および1mLの濃硫酸中に加えた。この混合液を10分間放置し、その後にUVスキャニングを実施した。最高吸光度は、488nmで見いだされた。次に波長を488nmに設定し、各サンプルについて吸光度を測定した。結果は、表21に示した。標準検量線は、以下のようにデキストラン溶液各々について入手した:デキストラン5,000、吸光度=0.01919+0.027782C(μg)、R2=0.97(N=5);デキストラン50,000、吸光度=0.0075714+0.032196C(μg)、R2=0.96(N=5);およびデキストラン410,000、吸光度=0.03481+0.036293C(μg)、R2=0.98(N=5)。
【0178】
(表21.デキストラン参照標準物質の比色分析)
【0179】
【表21】
(多糖類分析のためのリアルタイム直接分析(DART)質量分析)
全DARTクロマトグラム、および詳細にはXAD 7HP充填剤からの画分F1〜F6およびADS5充填剤からの画分F1〜F4についてのDARTクロマトグラムは、以下に記載した機器および方法を用いてランした。
【0180】
機器:JOEL AccuTOF−DART LC飛行時間質量分析計(Joel USA社、米国マサチューセッツ州ピーボディ)。この飛行時間(TOF)質量分析計の技術は、サンプル調製を必要とせず、0.00001質量単位までの精度の質量を生成する。
【0181】
方法:多糖類画分を捕捉および分析するために利用したこの機器の設定は、次のとおりであった:カチオンモードについては、DART針電圧は3,000V、250℃での加熱要素、電極1は100V、電極2は250V、およびヘリウムガス流量は7.45リットル/分(L/分)であった。質量分析計については、オリフィス1は10V、リングレンズは5V、およびオリフィス2は3Vであった。ピーク電圧は、およそ60m/zから出発する解像力を得るために600Vに設定したが、それでもより大きな質量範囲で十分な分解能を許容した。マイクロチャネルプレート検出器(MCP)電圧は、2,450Vに設定した。検量は、0.5Mカフェイン溶液標準物質(Sigma−Aldrich社、米国セントルイス)を用いてサンプル導入前に毎朝実施した。検量公差は、≦5mμに維持した。
【0182】
サンプルは、サンプルの最大表面積をヘリウムプラズマビームに曝露させることを保証するように、無菌鉗子を用いてDARTヘリウムプラズマ内に導入した。サンプルをビーム内に導入するためには、掃引運動を使用した。この運動はサンプルを約0.5秒/スワイプについて前後ストロークで繰り返し曝露させ、サンプルの熱分解を防止することを許容した。この運動は、感知できる全イオン電流(TIC)シグナルが検出器で観察されるまで繰り返し、次にベースライン/バックグラウンド標準化を許容するために、サンプルを除去した。
【0183】
アニオンモードのためには、DARTおよびAccuTOF MSを陰イオンモードへ切り替えた。針電圧は3,000V、加熱要素は250℃、電極1は100V、電極2は250V、およびヘリウムガス流量は7.45L/分であった。質量分析計については、オリフィス1は−20V、リングレンズは−13V、およびオリフィス2は−5Vであった。ピーク電圧は、200Vであった。MCP電圧は2,450Vに設定した。サンプルは、カチオンモードと正確に同一方法で導入した。全データ分析は、機器と一緒に供給されるMassCenterMain Suiteソフトウエアを用いて実施した。
【実施例】
【0184】
(実施例1)
(工程1Aの実施例:エルダーベリーの単一工程SFE最高抽出および精製)
全SFE抽出は、各々690barおよび200℃までの圧力および温度に対して設計されたSFT 250(Supercritical Fluid Technologies社、米国デラウエア州ニューアーク)上で実施した。この装置は、動的もしくは静的モードいずれかで作動するための柔軟性を備えて、超臨界条件での単純かつ効率的抽出を許容する。この装置は、主として3つのモジュールであるオーブン、ポンプおよび制御装置、ならびに収集モジュールから構成される。オーブンは、1つの予熱カラムおよび1つの100mL抽出容器を有している。ポンプモジュールには、300mL/分の定流量能力を備える圧縮空気駆動式ポンプが装備されている。収集モジュールは、抽出生成物を回収するためのキャップおよび隔膜で密封された40mLのガラスバイアルである。この装置には、マイクロメーター弁および流量計が用意されている。抽出容器の圧力および温度は、監視され、±3bar以内および±1℃以内で制御される。
【0185】
典型的な実験実施例では、スクリーン(140メッシュ)を用いて測定した105μmを超えるサイズへふるいにかけた、5gの微粉化したSambucus Nigra L.の果実(エルダーベリー)または花(エルダーフラワー)の粉末を各実験のために100mLの抽出容器に装填した。固体材料が持ち越される可能性を回避するために、カラムの両端にガラスウールを配置した。オーブンは、充填容器に装填する前に、所望温度へ予熱した。容器をオーブンに接続した後に、CO2(約850psig)を用いてシステムを加圧することによって抽出システムを漏出について試験し、パージした。システムを密閉し、空気駆動式液体ポンプを用いて所望の抽出圧へ加圧した。次に、システムを平衡させるために約3分間にわたり放置した。サンプリングバイアル(40mL)を計量し、サンプリングポートへ接続した。抽出は、計量弁によって制御される約5SLPM(10g/分)の速度でCO2を流動させることによって開始した。収率は、全抽出物対原料の供給量の重量比であると規定した。収率は、抽出器内の原料の初期装填量に比較した、抽出された油の重量%とであると規定した。温度を40〜80℃および圧力を100〜500barの間で変動させる全要因抽出設計を採用した。各条件で入手された抽出物は、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)分析のために、400ppmの濃度でジクロロメタン中に溶解させた。
【0186】
(実施例2)
(工程2の実施例:含水アルコール浸出抽出)
ニワトコ種のフェノール酸化学成分についての2段階式溶媒抽出の典型的な実施例は、次のとおりである:供給原料は、精油の工程1のSCCO2抽出(60℃、300bar、90分)からの17.6gの微粉化したエルダーベリーSFE残留物であった。溶媒は、300mLの25%エタノール水溶液であった。この方法では、供給原料および80%エタノール水溶液を500mLの抽出容器内へ個別に装填し、4時間にわたり60℃で加熱水浴中で混合した。抽出溶液は、4〜8μmの粒子保持サイズを有するFisherbrand P4濾紙を使用して濾過し、20分間にわたり2,000rpmで遠心分離し、粒子状残留物をその後の抽出のために使用した。濾液(上清)を収集し、収率計算、HPLC分析、ならびにF1〜F4およびF1〜F6画分の生成のために結合した(下記の実施例3を参照されたい)。上記の方法を用いて、第1段階の残留物を2時間にわたり抽出した(第2段階)。
【0187】
(実施例3)
(工程3の実施例:フェノール酸画分の親和性吸着剤抽出(F1〜F4およびF1〜F6画分の調製))
典型的な実験では、作用溶液は、工程2におけるニワトコ種のエタノール水溶液浸出抽出物の透明含水アルコール溶液であった。親和性吸着剤ポリマー樹脂は、XAD7HPまたはADS5であった。15gのADS5親和性吸着剤または20gのXAD7HP親和性吸着剤は、内径25mmおよび長さ500mmを備えるカラム内に充填する前後に、95%エタノール(4〜5BV)および蒸留水(4〜5BV)を用いて予備洗浄した。装填溶液は粗80%エタノール浸出フェノール酸溶液であったが、化学成分は回転真空蒸留およびエタノールの再循環によって濃縮させた。最終装填溶液の濃度は、XAD7HP装填のためには29.03mg/mLおよびADS5装填のためには34.90mg/mLであった。0.3BV/時の流量で、50mLの装填溶液はXAD7HPカラム上に装填し、60mLの装填溶液はADS5カラム上に装填した。装填時間は、約50〜60分間であった。装填されたカラムは、13分間の洗浄時間を用いて0.2BV/時の流量で2BVの蒸留水により洗浄した。40mLの40%および80%水性エタノールを使用して、XAD7HPについては2mL/分およびADS5については1.5mL/分の流量で装填したカラムを連続的に溶出させた。溶出中、6つの溶離剤画分(F1〜F6:F1 約20mL、F2 約20mL、F3 約18mL、F4 約10mL、F5 約17mL、およびF6 約27mL)をXAD7HPカラムから収集し、4つの溶離剤画分(F1〜F4:F1 約20mL、F2 約20mL、F3 約17mL、およびF4 約17mL)をADS5カラムから各々収集した。XAD7HPカラムについては、F1〜F3は、40%エタノールを用いて溶出し、そしてF4〜F6は80%エタノールを用いて収集した。ADS5カラムについては、F1〜F2は、40%エタノールを用いて溶出し、そしてF3〜F4は80%エタノールを用いて溶出させた。次に、4〜5BVの95%エタノールを使用して、3.6BV/時の流量でカラム上に残留している化学薬品を一掃し、その後に3.8BV/時で4〜5BVの蒸留水を用いて洗浄した。全プロセス所要時間は、2時間未満であった。全プロセス中の流量は、FPU 252 Omegaflex(登録商標)速度可変式(3〜50mL/分)蠕動ポンプを用いて制御した。各溶出画分を収集し、DART質量平衡およびHPLCによって分析した。
【0188】
(実施例4)
(工程5の実施例:多糖類画分の抽出)
ニワトコ種の水溶性−エタノール不溶性精製レクチン−多糖類画分化学成分の溶媒抽出および沈降の典型的な実験的実施例は、次のとおりである:2段階式含水アルコール浸出抽出(工程2)からの15gの固体残留物は、80℃で2時間にわたり300mLの蒸留水を用いて2段階で抽出した。2つの抽出溶液を結合し、スラリーはFisherbrand P4濾紙(孔径:4〜8μm)を用いて濾過し、20分間にわたり2,000rpmで遠心した。溶液中の化合物の濃度は、3.8mg/mLであった。300mLのこの溶液、および次に456mLもしくは1,200mLの無水エタノールを加えて60%もしくは80%の最終エタノール濃度を作製した。溶液を1時間にわたり放置すると、その間に沈降が発生した。抽出溶液を20分間にわたり3,000rpmで遠心し、上清をデカンテーションし、廃棄した。沈降物を収集し、50℃のオーブンで12時間にわたり乾燥させた。乾燥させた多糖類画分を計量し、参照標準物質としてデキストランを用いる比色法による多糖類純度の分析およびBradfordタンパク質アッセイ法を用いるレクチンタンパク質純度の分析のために水中に溶解させた。AccuTOF−DART質量分析法を使用して、精製した多糖類画分を含む化合物の分子量をさらにプロファイリングした。エルダーベリーの結果は、図36および37ならびに表22に示した。エルダーフラワーの結果は、図38および39ならびに表22に示した。
【0189】
(表20.エルダーベリーおよびエルダーフラワー由来の多糖類についてのDART分析)
【0190】
【表20−A】
【0191】
【表20−B】
【0192】
【表20−C】
(実施例5)
以下の成分を調製物のために混合した:
【0193】
【化4】
ニワトコ種の新規抽出物は、精油画分、フェノール酸−精油画分、および多糖類画分を天然根茎材料中もしくは従来型抽出生成物中で見いだされるより多い質量(重量)%で含んでいる。本調製物は、経口製剤に作製して、1日1回または所望の生理学的および心理学的作用(興奮および情動不安の減少)および医学的作用(一般的な風邪、インフルエンザ、単純ヘルペス、帯状疱疹、およびHIVなどのウイルス疾患、糖尿病、心血管および脳血管疾患の予防および処置、抗アテローム硬化症、酸化防止剤およびフリーラジカル捕捉剤、抗炎症薬、抗関節炎薬、抗リウマチ薬、および消化管障害)のための必要に応じて1日15回まで投与できる。
【0194】
(実施例6)
以下の成分を以下の調製物のために混合した:
【0195】
【化5】
ニワトコ種のセンキュウ(chuangxiong)の新規抽出組成物は、天然植物材料中もしくは従来型抽出生成物中で見いだされるより多い質量(重量)%の精油、フェノール酸−精油、および多糖類化学成分画分を含んでいる。本調製物は、任意の経口製剤形に作製し、所望の生理学的、心理学的および医学的作用のための必要に応じて1日15回まで安全に投与することができる(上記の実施例5を参照されたい)。
【0196】
(実施例7)
(使用すべき細胞数を決定するためのMTTアッセイ)
目的:これは、MTT/細胞毒性アッセイにおいて将来使用するための細胞量を決定するためのコントロール実験である。これは、使用される1細胞系につき1回のみ実施しなければならない。
【0197】
(抗ウイルス活性についての生物活性剤のJD評価)
(第1日)
1つのコンフルエントな細胞のT−75フラスコから(このプロトコルはMDCK(マディンダービーイヌ腎)細胞を用いて書かれている):
1.培地を吸引して取り除き、2mLのトリプシンをフラスコに加える。37℃で5分間にわたりインキュベートする。
2.フラスコの側面を強く叩き、側面のトリプシンを50cc円錐管内へ落とす。この試験管へ0.5mLの増殖培地(DMEM+P/S+Glutamax+FBS)をさらに加える。
3.別の2mLトリプシンをフラスコへ加える。37℃で3〜5分間にわたりインキュベートする。
4.フラスコの側面を強く叩き、側面のトリプシンを工程2からの50cc円錐管へ落とす。10mLの増殖培地をフラスコへ加え、フラスコの底部を2回すすぎ洗う。この10mL培地を同一の50ccの円錐管へ入れる。顕微鏡を用いて細胞が除去されているかどうかについてフラスコをチェックする。
5.5分間かけて、4℃、1,000rpmで遠沈させる。上清を吸引により取り除く。
6.ペレットを取り除き、このペレットを5mL増殖培地中に再懸濁させる。
7.5分間かけて、4℃、1,000rpmで遠沈させる。上清を吸引により取り除く。
8.ペレットを取り除き、細胞を1mL増殖培地中に再懸濁させる。
9.500μLの細胞を微量遠心管中の500μL増殖培地へ加えることによって細胞を1:2に希釈する。極度に細胞密度が高いプレートを用いて開始した場合は、細胞を増殖培地中で1:4に希釈してもよい。
10.血球計上で10μLの希釈細胞についてチェックする。3つの大きなグリッドについて細胞数を記録し、これらの3つの数の平均値を出す。これによって細胞数:平均値×104細胞(個)/mLが得られる。約5×106細胞(個)/mLを用いて開始してもよい。過剰に多数の細胞を有する場合は、もう一度希釈した後に細胞を再計数する。
11.2倍希釈液を調製するためには、計11本の微量遠心管を使用する。これは1つの実施例である:
【0198】
【化6】
12.本アッセイは、3組ずつ実施する。各遠心管から100μLを96ウエルプレート内のウエルA〜C内に加えるが、プレート内の各カラム番号はそれらのサンプルを現在含有する遠心管に対応する。
13.プレートを37℃で一晩、または細胞を回収して再付着させるために要する時間(通常は12〜18時間))にわたりCO2と一緒にインキュベートする。
【0199】
(第2日)
1.午前9時頃に、細胞が付着性であること、それらが少なくともカラム1内ではコンフルエントであること、そしてプレートを越えて移動するにつれて1ウエル当たりの細胞数が少なくなることを確認するためにプレート内の細胞を顕微鏡下でチェックする。最初の2〜3本のカラム内の媒質はオレンジ色のはずである;その他はピンク色のはずである。
2.1ウエル当たり10μLのMTT試薬(4℃で保管)を加えるが、各ウエル間でチップを交換し、MTT試薬のストック溶液が汚染しないように注意を払う。プレートを37℃で2時間インキュベートする。
3.顕微鏡下で紫色の点状の細胞内沈降物の出現についてプレートをチェックする。これが見えない場合は、24時間までインキュベーションを続ける。
4.沈降物が見えたら、1ウエル当たり100μLの界面活性剤試薬(室温で保管)を加える。これ以降は絶対にプレートを揺り動かしては行けない。プレートをアルミホイルで被覆し、プレートを室温で一晩放置する。
【0200】
(第3日)
1.Tecanプレートリーダーを用いて、620nmの参照波長を用いて560nmでウエルの吸光度を測定する。XFluor4における「MTT」と呼ばれるプログラムのいずれかを使用すると、これを行える。フィルタースライドCがTecan内にあることを確認する必要がある。
2.3回の読み取りから平均値を決定し、媒質単独のブランクについての平均値からの平均値を減じる(カラム11)。y軸上に吸光度、x軸上に1mL当たりの細胞数をプロットする。
【0201】
今後のアッセイに使用するための、0.75〜1.25の吸光度を産生する細胞数を選択する。選択した細胞数は、曲線の線形部分内に含まれるはずである。
【0202】
(実施例8)
(MTTアッセイ)
目的:抽出物が細胞に細胞毒性作用を及ぼすかどうかを決定すること。
抗ウイルス活性についての生物活性剤のJD評価
(第1日)
1.WH265内のウィンドウによる超高感度はかりを用いて、0.01gの抽出物を測定し、100μLの無菌PBS中に溶解させる。これを注意深くに精密に行うと、極めて精密な数値が入手されるので、抽出管のラベルの詳細と一緒に、ノートに質量を記録する。これは「未希釈抽出物」であり、約0.1g/mLの濃度にある。抽出物が完全に可溶性ではない場合は、微量遠心機内で30秒間にわたり13,000rpmで沈降物を遠沈させ、当日中に作業するためには上清を無菌微量遠心管へ取り出し、翌日以降に使用するためにはペレットを−20℃で保管する。
1つのコンフルエントな細胞のT−75フラスコから(このプロトコルはMDCK細胞を用いて書かれている):
1.培地を吸引して取り除き、2mLのトリプシンをフラスコに加える。37℃で5分間にわたりインキュベートする。
2.フラスコの側面を強く叩き、側面のトリプシンを50cc円錐管内へ落とす。この試験管へさらに0.5mLの増殖培地(DMEM+P/S+Glutamax+FBS)を加える。
3.別の2mLトリプシンをフラスコへ加える。37℃で3〜5分間にわたりインキュベートする。
4.フラスコの側面を強く叩き、側面のトリプシンを工程2からの50cc円錐管へ落とす。10mLの増殖培地をフラスコへ加え、フラスコの底部を2回すすぎ洗う。この10mL培地を同一の50ccの円錐管へ入れる。顕微鏡を用いて細胞が除去されているかどうかについてフラスコをチェックする。
5.5分間かけて、4℃、1,000rpmで遠沈させる。上清を吸引により取り除く。
6.ペレットを取り除き、このペレットを5mL増殖培地中に再懸濁させる。
7.5分間かけて、4℃、1,000rpmで遠沈させる。上清を吸引により取り除く。
8.ペレットを取り除き、細胞を1mL増殖培地中に再懸濁させる。
9.500μLの細胞を微量遠心管中の500μL増殖培地へ加えることによって細胞を1:2に希釈する。極度に細胞密度が高いプレートを用いて開始した場合は、細胞を増殖培地中で1:4に希釈してもよい。
10.血球計上で10μLの希釈細胞についてチェックする。3つの大きなグリッドについて細胞数を記録し、これらの3つの数の平均値を出す。これによって細胞数:平均値×104細胞(個)/mLが得られる。開始するためには、約1〜1.6×105細胞(個)/mLのMDCK細胞もしくは1.3〜2.1〜105細胞(個)/mLの293T細胞がなければならない;これは、以下によって達成できる:
MDCK細胞について:
a.1:4に希釈する。
【0203】
b.細胞を計数する。通常は、大きなグリッド1つ当たり約360個の細胞が得られる。
【0204】
c.1:4 1:3に希釈する。次に、それを1:10(3.6mLの媒質中に400μLの細胞)に希釈する。
【0205】
d.細胞を計数する。大きなグリッド1つ当たり10〜16個の細胞を必要とする。
293T細胞について:
a.1:8に希釈する。
【0206】
b.細胞を計数する。通常は、大きなグリッド1つ当たり約300個の細胞が得られる。
【0207】
c.1:8 1:2に希釈する。次に、それを1:10(3.6mLの媒質中に400μLの細胞)に希釈する。
【0208】
d.細胞を計数する。大きなグリッド1つ当たり13〜21個の細胞を必要とする。
11.抽出物の2倍希釈液を調製するためには、以下のとおりに計9本の微量遠心管を使用する。
【0209】
【化7】
96ウエルプレート、カラム
11=PBS/溶媒単独コントロール(細胞は有するが抽出物は含有しない)
12=媒質単独コントロール(ブランク−細胞なし、抽出物なし)
12.本アッセイは3組ずつ実施する。そこで新しくボルテックスミキサーにかけ、適正に希釈した100μLの細胞を無菌96ウエルプレート内のカラム1〜11の列A〜C内に加え、3本のカラムを充填した後に遠心管中の細胞をボルテックスミキサーにかける。
13.100μLの媒質をカラム12の列A〜Cに加える。
14.次に6μLの抽出物希釈液をプレート内のカラム1〜10の列A〜Cに加える。(備考:プレート内の各カラム番号は、上記からの微量遠心管番号に対応しているはずである)
15.6μLの溶媒をカラム11の列A〜Cに加える。
16.プレートを見て、抽出物がウエルの側壁上ではなく各ウエル内の液体中に確実に存在するように穏やかに軽く叩く。
17.プレートを37℃で一晩、CO2と一緒に24時間インキュベートする。
18.細胞のオリジナルの微量遠心管から500μL(新しくボルテックスミキサーにかける)を1:2に分割させるためにT−75フラスコ内の10mLの増殖培地中へ入れ、再び分割する準備が整うまで37℃で放置する。
19.この時間を利用して、どの位を量り分けたか、そしてどの位の量を各カラムに加えたかに基づいて、各カラム内の抽出物の正確なμg/mLを計算する。
【0210】
(第2日)
1.各ウエル内の液体を吸引して取り除く。多チャネルピペッターを使用して、200μLの無菌PBSを用いて各ウエルを1回洗浄する。100μLの無菌媒質を各ウエルに加える。
2.顕微鏡下で細胞について、まだそこに存在すること、そしてそれらが内在抽出物から紫色ではないことを確認するためにチェックする。
3.ガラス瓶から微量遠心管内へ400μLのMTT試薬(BSL3ルーム内で4℃のドア内に保管されている)を取り出す。レギュラーピペッターを用いて1ウエル当たり10μLのMTT試薬を加えるが、各ウエル間でチップを交換し、MTT試薬のストック溶液が汚染しないように注意を払う。プレートを37℃で2時間インキュベートする。
4.多チャネルピペッターを使用して、1ウエル当たり100μLの界面活性剤試薬(室温で保管)を加える。これ以降は絶対にプレートを揺り動かしてはいけない。プレートをアルミホイルで被覆し、プレートを午後3時まで37℃で放置するが、その時点にはTecan上でプレートを読み取れるはずである。
プレートを読み取る:
1.Tecanプレートリーダーを使用して、ウエルの吸光度を560nmで測定する。XFluor4内の「MTT」と呼ばれるプログラムを使用する。フィルタースライドCがTecan内にあることを確認する。
【0211】
3回の読み取りから平均値を決定し、媒質単独のブランクについての平均値からのこれらの平均値を減じる(カラム12)。y軸上に吸光度、x軸上にμg/mL(抽出物)をプロットする。
【0212】
(実施例9)
(エルダーベリーの抽出によるA型インフルエンザ感染の阻害についてのアッセイ)
(第1日)
1.WH265内のウィンドウにより高感度はかり上で抽出物を量り分ける。少なくとも40mg/mLを用いて開始する。これは125μLの無菌PBSにつき5mg(もしくは0.005g)であろう。
2.溶解させるためにボルテックスミキサーにかける。溶液中に入らない場合は、同量のPBSを加える。必要であれば繰り返す。この3回の試行後にそれが完全に溶液中に入らない場合は、微量遠心管内へ30秒間にわたり10〜13,000rpmで遠沈させる。上清を取り除き、代りに使用する。しかし、不溶性画分を表示して−20℃で保存する。
3.工程1および2を繰り返し、測定した可溶化抽出物を結合し、250μLの抽出物溶液を調製する。
4.2本の無菌微量遠心管に「Ab 1:1000」および「Ab 1:500」と表示する。999μLの無菌PBSおよび1μLの抗インフルエンザ一次A抗体を「Ab 1:1000」微量遠心管へ加える。ボルテックスミキサーにかける。998μLのPBSおよび2μLの抗インフルエンザ一次A抗体を「Ab 1:500」遠心管へ加える。ボルテックスミキサーにかける。
5.ウイルスを希釈する:
a.4本の遠心管に「UV」、「−1」、「−2」、および「−3」と表示する。990μLのPBSを「UV」遠心管へ、そして900μLのPBSを他の遠心管へ加える。
【0213】
b.氷上の10μLのウイルスを「UV」遠心管へ加える。ボルテックスミキサーにかける。チップを交換する。100μLのウイルスを取り出し、「−1」遠心管へ加える。ボルテックスミキサーにかける。続けて、各遠心管から次の微量遠心管へ100μLを加え、ボルテックスミキサーにかけ、各希釈間にはチップを交換する。
6.抽出物を希釈する:
a.5本の微量遠心管を「1:2」、「1:4」、「1:8」、「1:16」、および「1:32」と表示する。各々に125μLのPBSを加える。
【0214】
b.抽出物溶液をボルテックスミキサーにかける。125μLの抽出物溶液を「1:2」遠心管に加える。ボルテックスミキサーにかけ、チップを交換する。125μLの「1:2」を「1:4」へ加える。ボルテックスミキサーにかけ、チップを交換する。125μLの「1:4」を「1:8」へ加える。残りの遠心管についても繰り返し、ボルテックスミキサーにかけ、希釈間でチップを交換する。
7.アッセイを実施する:
a.7本の微量遠心管を「未希釈」、「1:2」、「1:4」、「1:8」、「1:16」、「1:32」、および「PBS」と表示する。
【0215】
b.600μLのPBSを、1,000μLのPBSを含有する「PBS」微量遠心管以外の全部の微量遠心管へ加える。
【0216】
c.100μLの「−3」ウイルス希釈液(新しくボルテックスミキサーにかけた!)を全6本の遠心管に加えるが、「PBS」遠心管には加えない。
【0217】
d.「1:2」抽出物溶液をボルテックスミキサーにかける。100μLの「1:2」抽出物溶液を新規の「1:2」遠心管に加える。ボルテックスミキサーにかける。
【0218】
e.工程dを「1:4」から「1:10」の遠心管について繰り返し、抽出物溶液を、PBSおよびウイルスを含有する各々表示された新規な遠心管に加える。
【0219】
f.100μLの未希釈抽出物溶液(新しくボルテックスミキサーにかけた!)は、PBSおよびウイルスを含有する「未希釈」遠心管に加える。ボルテックスミキサーにかける。
【0220】
g.100μLの−3ウイルスおよび700μLのPBSを含むまた別の微量遠心管を準備し、それに「−4ウイルス」と表示する。ボルテックスミキサーにかける。
【0221】
h.直ちに「Ab 1:1000」および「Ab 1:500」微量遠心管から300μLを廃棄し、100μLの「−3」ウイルス希釈液(新しくボルテックスミキサーにかけた!)を「AB 1:1000」および「Ab 1:500」遠心管に加える。ボルテックスミキサーにかける。
【0222】
i.タイマーを1時間に設定する。
【0223】
j.このプレインキュベーション段階中にはフード内の照明のスイッチを切る。
【0224】
k.プレートには抗体コントロールについての「未希釈抽出物」、「1:2」、「1:4」、「1:8」、「1:16」、「1:32」、「1:1000」および「1:500」と表示した各3ずつのカラム、「−4ウイルス+PBS単独」および「PBS単独」と表示する。
【0225】
l.約50分間にわたりプレインキュベーションし、細胞をPBS中で3回洗浄し、次の工程のためにウエルを空にする。
【0226】
m.プレインキュベーションの時間が終了した後、各遠心管をボルテックスミキサーにかけ、その直後にそれから200μLを各々表示したウエルへ加える。
【0227】
n.室温のBelly Dancer上で30分間インキュベートし、15分後に90°で回転させ、この時点でさらに寒天オーバーレイを作製する。
8.感染において約15分間残っている場合は、寒天オーバーレイを構成する:
a.DMEM瓶を加温するために水浴に加える。
【0228】
b.1.5〜2分間にわたり5%のSeaPlaqueストック溶液を電子レンジにかける。
【0229】
c.少なくとも100mLを保持する無菌ガラス瓶中で以下を混合する:
【0230】
【化8】
d.接種菌を取り除き、1ウエル当たり2mLの寒天オーバーレイと取り替える。プレートは表を上にして約20分間にわたり4℃で放置する。
【0231】
e.冷蔵庫からプレートを取り出し、表を上にして感染後(工程mにおいて細胞にウイルスを加えた後)27時間にわたり37℃のインキュベーターで放置する。
【0232】
(第2日)
感染後27時間にわたり、0.5〜1mLのFormafreshを各ウエルに加える。プレートは4℃で一晩放置する。
【0233】
(第3日)
1.Formafreshを吸引により取り除く。
2.スパチュラを用いて寒天プラグを取り除く。
3.0.5mLの70%のEtOHを加え、少なくとも20分間にわたり室温でインキュベートする。その間に、上段で50cc円錐管中のBlotto内において1:1000で一次抗体を作製し、以下の成分を混合するためにボルテックスミキサーにかける:
15.5mLのPBS
0.775gの粉乳
15.5μLのTween 20
15.5μLの抗A型インフルエンザ抗体(4℃で保管)
4.EtOHを吸引により取り除く。PBSを用いて1回すすぎ洗う。
5.Blotto中の新しくボルテックスミキサーにかけた500μLの一次抗体を各ウエルに加える。Belly Dancer上で4℃で上段を一晩揺動させる。
第4日
1.上段で、Blotto中の二次抗体1:500を混合する。(そこで、上述のようにBlottoを作製し、一次抗体の代りに62μLの二次抗体(グリセロール中で冷凍され、分取され、−20℃で保管された)だけを加える)
2.プレートを下段に置き、一次抗体を吸引して取り除く。
3.PBS中で1回洗浄する。
4.1ウエル当たり500μLのBlotto中の二次抗体を加え、室温のBelly Dancer上で5時間にわたりインキュベートする。
5.二次抗体を吸引して取り除く。PBSを用いて1回すすぎ洗う。
6.1ウエル当たり6滴のDakko基質(P3内の4℃の庫内の下段に保管する)を加える。
7.直ちにBelly Dancer上に置き、室温で10〜15分間にわたり、または細胞増殖巣が見えるまでインキュベートする。
8.基質を吸引して取り除き、PBSを用いて1回洗浄する。PBS中に保管する。
9.ライトボックス内で写真を撮影し、細胞増殖巣を計数する。
【0234】
(実施例10)
(エルダーベリー抽出物の活性をアッセイするためのHIV阻害試験プロトコル
偽型HIV−1産生)
偽型HIV−1ビリオンは、T75細胞培養フラスコ内の293T細胞を6μgのpSG3Eenv、HIV−1菌株SG3のゲノムのエンベロープ欠損コピーを含有するプラスミド、およびザンビアからのCサブタイプのHIV−1菌株のエンベロープをコードする2μgのエンベロープクローンZM53M.PB12と一緒に共形質移入することによって生成した。細胞を形質移入するためにはEffectene形質移入試薬(Qiagen社、カリフォルニア州バレンシア)を使用した。18時間後に、培養および培地をEffectene形質移入試薬と交換した。上清を形質移入48時間後に収集し、低速遠心分離によって浄化し、分取し、そして−18℃で冷凍した。バイアルストック液の力価は、96ウエルプレート上に37℃で2時間にわたり段階的に10倍の希釈率で播種したGHOST細胞を感染させることによって決定した。2時間のインキュベーション後、ウイルスを含む培地は、10%ウシ胎児血清を含有する新鮮Dulbecco修飾Eagle培地と交換し、37℃で48時間にわたりインキュベートした。プレートは、ImageQuantソフトウエアを備えるTyphoonホスホイメージャー(Amersham Bioscience社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を用いてスキャンして細胞増殖巣を計数した。
【0235】
(エルダーベリー抽出物の調製(F4画分)および感染阻害アッセイ)
エルダーベリー抽出物(F4)は、1mLのPBS(pH7.2)中に40mgの凍結乾燥エルダーベリー抽出物を再懸濁させ、40μLのNaOH(0.625M)を用いてそのpHを7.0へ調整することによって完全に溶液中に入れた。HIV−1に対するF4抗ウイルス活性をアッセイするために、5×104個のGHOST細胞を96ウエル組織培養プレートの各ウエル内でプレーティングした。翌日、約1,000pfuの偽型ウイルスを6.55、3.28、1.64、0.82、0.41、および0.20μgのF4/mLの存在下もしくは不在下で各ウエルに加えた。37℃で2時間のインキュベーション後、ウイルスを含有する培地を取り除き、1ウエル当たり10%ウシ胎児血清を含有する200μLのDulbecco修飾Eagle培地を加え、37℃で48時間にわたりインキュベーションを継続した。引き続いて、プレートは、ImageQuantソフトウエアを備えるTyphoonホスホイメージャー(Amersham Bioscience社)を用いてスキャンして細胞増殖巣を計数した。
【0236】
(HIV−1 Cサブタイプの阻害アッセイ)
キメラHIV−1 SG3(ゲノム)のCサブタイプ(エンベロープ)に対する阻害アッセイ。この特異的エンベロープタンパク質は、E.HunterおよびC.Derdeyn両博士によって提供された、女性から男性への伝達様式を備える、ザンビアを起源とするエンベロープクローンZM135M.PB12(GeneBankアクセッション番号AY423984)に由来する。明るい白色斑点(図9を参照されたい)は、わずかに乳白色のバックグラウンド上の細胞増殖巣である。バックグラウンドは、宿主細胞のわずかな蛍光によって惹起され、それ以上減少することはあり得ない。+、陽性感染コントロールで;F4、エルダーベリーの抽出物画分F4;T、アッセイにおいて使用されるウイルスの滴定値。
【0237】
(参考文献の組み込み
本明細書で言及したすべての米国特許および米国特許出願公報は、これにより参照して本明細書に組み込まれる。
【0238】
(等価物)
当業者であれば、本明細書に記載した発明の特定実施形態にとっての多数の等価物を認識するであろう、または日常的実験を用いて確認することができよう。そのような等価物は、以下の特許請求項に含まれることが企図されている。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】図1は、本発明によるニワトコ種抽出プロセスの代表的な略図である。
【図2】図2は、本発明によるニワトコ種抽出プロセスの代表的な略図である。
【図3】図3は、本発明によるニワトコ種抽出プロセスの代表的な略図である。
【図4】図4は、本発明によるニワトコ種抽出プロセスの代表的な略図である。
【図5】図5は、A型ヒトインフルエンザウイルスHIN1を使用したウイルス侵入アッセイ系を示した図である。MDCK細胞は、ウイルス単独(左上;10〜4 A型インフルエンザウイルス)、ウイルス非含有(左下;PBS)、1:1,000の濃度(右上;1:1000の抗体)および1:500の濃度(右下;1:500の抗体)で抗インフルエンザウイルス抗体と混合したウイルス、とともにインキュベートした。各実験は、3組ずつ実施した。茶褐色の各スポットは、1つのウイルス感染事象を示している。抗体コントロール中では、ウイルス阻害もしくは有色スポット数の減少が検出される。
【図6】図6は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4およびA型ヒトインフルエンザH1N1ウイルスを用いた阻害アッセイの例を示した図である。エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分の連続希釈液(未希釈〜1:32の希釈率)は、MDCK細胞とインキュベートする前にウイルスとプレインキュベートした。各実験は、3組ずつ実施した。スポットは、1つのウイルス感染事象に対応する。ウイルス阻害は、スポット数の減少によって示される。
【図7】図7は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4およびA型ヒトインフルエンザH1N1ウイルスを用いた阻害アッセイを示した図である。エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分の連続希釈液(未希釈〜1:32の希釈率)は、MDCK細胞とインキュベートする前にウイルスとプレインキュベートした。各実験は、3組ずつ実施した。茶褐色のスポットは、1つのウイルス感染事象に対応する。ウイルス阻害は、有色スポット数の減少によって示される。
【図8】図8は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4およびA型ヒトインフルエンザH5N1ウイルスを用いた阻害アッセイを示した図である。エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分の連続希釈液(未希釈〜1:32の希釈率)は、MDCK細胞とインキュベートする前にウイルスとプレインキュベートした。各実験は、3組ずつ実施した。茶褐色のスポットは、1つのウイルス感染事象に対応する。ウイルス阻害は、有色スポット数の減少によって示される。
【図9】図9は、キメラHIV−1 SG3(ゲノム)のCサブタイプ(エンベロープ)に対する阻害アッセイを示した図である。+は、陽性感染コントロールである;F4は、エルダーベリーの抽出物画分F4である;およびTは、アッセイにおいて使用されるウイルスの滴定値である。
【図10】図10は、293T細胞におけるエルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についてのMTT生育性アッセイを示した図である。
【図11】図11は、MDCK細胞におけるエルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についてのMTT生育性アッセイを示した図である。
【図12】図12は、24時間後の、293T細胞におけるエルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についてのMTT生育性アッセイを示した図である。
【図13】図13は、44時間後の、293T細胞におけるエルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についてのMTT生育性アッセイを示した図である。
【図14】図14は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図15】図15は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F3画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図16】図16は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図17】図17は、エルダーフラワーXAD 7HP脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図18】図18は、エルダーフラワーXAD 7HP脱着F3画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図19】図19は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F3画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図20】図20は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F3画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図21】図21は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図22】図22は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図23】図23は、H1N1ウイルスを用いた、緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図24】図24は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図25】図25は、H5N1ウイルスを用いた、緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図26】図26は、H5N1ウイルスを用いた、緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図27】図27は、試験した抽出物についての結合感染阻害用量反応曲線を示した図である。
【図28】図28は、H1N1ウイルスを用いた、緩衝化エルダーフラワーADS5脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図29】図29は、エルダーフラワーF2画分についてのH1N1ウイルスに対する計算IC50値を示した図である。
【図30】図30は、エルダーベリーF4画分およびエルダーフラワーF2画分についてのH1N1ウイルスに対するIC50値の比較を示した図である。
【図31】図31は、エルダーベリーF4画分およびエルダーフラワーF2画分についてのH1N1ウイルスに対するIC90値の比較を示した図である。
【図32】図32は、デング熱ウイルス2型を用いた、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図33】図33は、HIVウイルスを用いた、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線を示した図である。この曲線は、指示した濃度で100%阻害を示している。
【図34】図34は、HIVウイルスを用いた、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線を示した図である。この曲線は、指示した濃度で100%阻害を示している。
【図35】図35は、HIVウイルスを用いた、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図36】図36は、エルダーベリー多糖類についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。
【図37】図37は、エルダーベリー多糖類についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。
【図38】図38は、エルダーフラワー多糖類についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。
【図39】図39は、エルダーフラワー多糖類についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。
【図40】図40は、図示した妥当と思われる構造とともに、全エルダーベリー供給原料についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。メチル桂皮酸(163.0688)(存在量=19.47)、シンナミド(148.0826)(存在量=2.63)、2−メトキシフェノール(125.0599)(存在量=7.34)、3−メトキシ−1−チロシン(212.0985)(存在量=17.42)、ベンズアルデヒド(107.0422)(存在量=1.10)、桂皮アルデヒド(133.0568)(存在量=6.56)、酢酸シンナミル(177.0956)(存在量=8.51)、およびピロガロール(127.0344)(存在量=93.67)が検出された。未同定化合物もまた、C6H8O4+H+(145.0469で)およびC6H6O3+H+(127.0344で)として検出された。
【図41】図41は、図示した妥当と思われる構造とともに、全エルダーベリー供給原料についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。桂皮酸(147.0385)(存在量=5.57)、桂皮アルデヒド(131.04)(存在量=5.57)、ピロガロール(125.024)(存在量=3.54)、クエルセチン(301.0253)(存在量=0.73)、ウルソール酸(455.3518)(存在量=10.99)、およびシキミ酸(173.0454)(存在量=7.18)が検出された。
【図42】図42は、80%のEtOH溶液を用いた、全エルダーベリー供給原料の抽出物についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。未同定化合物は、C6H10O5+H+(163.0601)(存在量=17.19)およびC14H15NO+H+(214.1266)(存在量=24.06)として検出された。
【図43】図43は、ADS5脱着充填剤を用いた、F2カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0541)(存在量=59.28)、フェルラ酸(195.0755)(存在量=13.54)、桂皮酸(149.0572)(存在量=19.55)、シキミ酸(175.0699)(存在量=11.72)、およびフェニル乳酸(167.0793)(存在量=36.17)が検出された。未同定化合物は、C6H6O3+H+(127.0348)(存在量=100)およびC7H6O4+H+(155.0335)(存在量=59.18)として検出された。
【図44】図44は、ADS5脱着充填剤を用いた、F3カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0521)(存在量=100)、タキシフォリン(305.0693)(存在量=4.25)、フェルラ酸(195.075)(存在量=1.34)、桂皮酸(149.0552)(存在量=3.32)、シキミ酸(175.0696)(存在量=0.96)、フェニル乳酸(167.0701)(存在量=3.97)、シアニジン(287.0622)(存在量=8.36)、およびペツニジン(317.0707)(存在量=21.71)が検出された。未同定化合物は、C10H12O3+H+(181.0854)(存在量=9.71)およびC13H14N2O2+H+(231.1163)(存在量=5.85)として検出された。
【図45】図45は、ADS5脱着充填剤を用いた、F4カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0534)(存在量=100)、フェルラ酸(195.0744)(存在量=3.32)、桂皮酸(149.057)(存在量=6.36)、シアニジン(287.0608)(存在量=36.44)、ペツニジン(317.0691)(存在量=78.75)、およびバニリン酸(169.0524)(存在量=7.75)が検出された。未同定化合物は、C29H18O7+H+(479.1218)(存在量=22.62)およびC12H14O4+H+(223.0994)(存在量=21.56)として検出された。
【図46】図46は、エルダーベリーBアントシアニンのADS5脱着充填剤を用いた、F2カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=333μg/mLが生じた。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0566)(存在量=18.33)、フェルラ酸(195.0724)(存在量=10.32)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0639)(存在量=25.54)、桂皮酸(149.0573)(存在量=17.86)、シキミ酸(175.0633)(存在量=12.62)、およびバニリン酸(169.0575)(存在量=18.01)が検出された。未同定化合物は、C13H11O+H+(183.0818)(存在量=43.33)およびC14H17NO3+H+(248.1271)(存在量=60.28)として検出された。
【図47】図47は、エルダーベリーBアントシアニンのADS5脱着充填剤を用いた、F3カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=294μg/mLが生じた。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0553)(存在量=41.74)、ヘスペリン(287.0936)(存在量=10.41)、桂皮酸(149.0584)(存在量=17.85)、およびバニリン酸(169.0571)(存在量=31.09)が検出された。未同定化合物は、C8H8O+H+(121.0586)(存在量=29.36)およびC14H20N2O3+H+もしくはC15H20O4+H+(265.1469)(存在量=26.23)として検出された。
【図48】図48は、エルダーベリーBアントシアニンのADS5脱着充填剤を用いた、F4カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=195μg/mLが生じた。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0557)(存在量=20.27)、桂皮酸(149.0593)(存在量=7.94)、ペツニジン(317.071)(存在量=22.09)、およびバニリン酸(169.0538)(存在量=12.82)が検出された。未同定化合物は、C6H10O5+H+(163.076)(存在量=63.28)およびC17H18O+H+(239.1531)(存在量=26.32)として検出された。
【図49】図49は、エルダーフラワーのXAD 7HP脱着充填剤を用いた、F2カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=1,592μg/mLが生じた。シアニジン(287.0588)(存在量=10.92)、ルチンもしくはデルフィニジン(303.0531)(存在量=100)、タキシフォリン(305.0651)(存在量=4.69)、コーヒー酸/4−ヒドロキシフェニル乳酸(181.0589)(存在量=9.45)、フェルラ酸(195.0741)(存在量=3.33)、シキミ酸(175.0645)(存在量=3.11)、ペツニジン(317.0689)(存在量=29.48)、およびエリオジクチオールもしくはフスチン(288.0709)(存在量=2.36)が検出された。未同定化合物もまた、C10H13NO2+H+(180.1024)(存在量=15.98)およびC8H6N2O+H+もしくはC9H6O2+H+(147.0545)(存在量=73.50)として検出された。
【図50】図50は、エルダーフラワーのXAD 7HP脱着充填剤を用いた、F3カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=582μg/mLが生じた。シアニジン(287.0574)(存在量=17.16)、ルチンもしくはデルフィニジン(303.0518)(存在量=100)、タキシフォリン(305.0658)(存在量=5.54)、ナリンゲニン/ブテイン/フロレチン(273.0797)(存在量=16.06)、およびエリオジクチオールもしくはフスチン(289.0795)(存在量=3.14)が検出された。未同定化合物もまた、C10H16O+H+(153.1268)(存在量=30.96)およびC23H14O4+H+(355.1048)(存在量=30.03)として検出された。
【図51】図51は、#185についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。桂皮酸(149.0616)(存在量=3.82)、シキミ酸(175.0613)(存在量=14.71)、およびフェニル乳酸(167.074)(存在量=5.35)が検出された。未同定化合物もまた、C30H46O2+H+(439.3625)(存在量=16.49)およびC39H68O5+H+(617.5151)(存在量=4.09)として検出された。
【図52】図52は、#319についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0604)(存在量=3.96)、桂皮酸(149.0579)(存在量=0.48)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(225.0816)(存在量=10.59)、シキミ酸(175.0569)(存在量=5.37)、およびフェニル乳酸(167.0773)(存在量=2.71)が検出された。未同定化合物もまた、C6H8O4+H+(145.0507)(存在量=100)およびC12H12O6+H+(253.0708)(存在量=35.27)として検出された。
【図53】図53は、#322についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。デルフィニジン(304.0576)(存在量=8.75)、ルチン(303.057)(存在量=49.28)、エリオジクチオール/フスチン(289.0752)(存在量=13.50)、タキシフォリン(305.0638)(存在量=3.41)、フェルラ酸(195.0745)(存在量=7.15)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0613)(存在量=16.91)、桂皮酸(149.0695)(存在量=3.20)、シキミ酸(175.067)(存在量=8.34)、およびフェニル乳酸(167.0722)(存在量=8.84)が検出された。未同定化合物は、C6H6O3+H+(127.0413)(存在量=100)およびC11H15O5+H+(227.0876)(存在量=29.26)として検出された。
【図54】図54は、#324についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。未同定化合物は、C37H66O4+H+(575.51)(存在量=5.42)およびC59H88O5+H+(877.67)(存在量=15.46)として検出された。
【図55】図55は、#325についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。シキミ酸(175.0658)(存在量=6.05)が検出された。未同定化合物もまた、C16H14O4+H+(271.0941)(存在量=22.24)およびC16H16O5+H+(289.0983)(存在量=15.76)として検出された。
【図56】図56は、#326についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。桂皮酸(149.0681)(存在量=2.67)が検出された。未同定化合物は、C22H42O4+H+(371.3196)(存在量=46.60)およびC18H30O2+H+(279.2346)(存在量=20.28)として検出された。
【図57】図57は、#327についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。未同定化合物は、C8H8O+H+(121.0663)(存在量=66.34)およびC8H8O2+H+(137.065)(存在量=20.16)として検出された。
【図58】図58は、#328についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。フェルラ酸(195.0737)(存在量=4.04)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0604)(存在量=3.67)、桂皮酸(149.0691)(存在量=3.49)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(225.0817)(存在量=5.18)、シキミ酸(175.0616)(存在量=4.88)、およびフェニル乳酸(167.0786)(存在量=2.63)が検出された。未同定化合物は、C6H10O5+H+(163.0602)(存在量=10.84)およびC12H14O7+H+(271.0829)(存在量=21.7)として検出された。
【図59】図59は、#329についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。桂皮酸(149.0621)(存在量=1.43)およびシキミ酸(175.0633)(存在量=3.23)が検出された。未同定化合物もまた、C21H36O3+H+(337.2763)(存在量=13.38)およびC39H66O4+H+(599.507)(存在量=5.53)として検出された。
【図60】図60は、#330についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。フェルラ酸(195.0747)(存在量=2.76)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0608)(存在量=2.42)、桂皮酸(149.0616)(存在量=0.79)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(225.0824)(存在量=2.98)、シキミ酸(175.0604)(存在量=2.55)、およびフェニル乳酸(167.078)(存在量=1.95)が検出された。未同定化合物もまた、C14H14O4+H+(247.0895)(存在量=4.28)およびC30H46O2+H+(439.3619)(存在量=5.98)として検出された。
【図61】図61は、#185についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。ヘスペリジン(285.0841)(存在量=0.44)およびフロリジン(255.0711)(存在量=0.71)が検出された。未同定化合物もまた、C4H6O5−H+(133.0134)(存在量=100)およびC10H8O4−H+(191.0325)(存在量=25.34)として検出された。
【図62】図62は、#319についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。桂皮酸(147.0358)(存在量=0.67)が検出された。未同定化合物もまた、C4H6O5−H+(133.0135)(存在量=86.11)およびC10H8O4−H+(191.0195)(存在量=100)として検出された。
【図63】図63は、#322についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。シアニジン(286.0502)(存在量=5.30)、デルフィニジン(302.0388)(存在量=18.51)、ペラルゴニジン(270.0512)(存在量=0.34)、ミリセチン(317.0315)(存在量=13.27)、ルチン(301.0324)(存在量=100)、シリビン/ゲニステイン(269.0399)(存在量=0.42)、3−OHフラボン(237.0587)(存在量=0.89)、エリオジクチオール/フスチン(287.0592)(存在量=7.09)、カテキン/エピカテキン(289.0784)(存在量=5.29)、タキシフォリン(303.0468)(存在量=5.31)、フロリジン(255.0614)(存在量=0.81)、バニリン酸(167.0416)(存在量=4.07)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(163.0307)(存在量=12.95)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(223.054)(存在量=0.80)、没食子酸(169.0166)(存在量=1.73)、およびシキミ酸(173.0475)(存在量=1.11)が検出された。未同定化合物もまた、C10H8O4−H+(191.0532)(存在量=31.51)およびC22H22O13−H+(493.0955)(存在量=4.42)として検出された。
【図64】図64は、#324についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。エリオジクチオール/フスチン(287.0655)(存在量=0.99)、カテキン/エピカテキン(289.0726)(存在量=0.92)、ウルソール酸(455.3465)(存在量=0.87)、バニリン酸(167.0388)(存在量=1.89)、フェルラ酸(193.0478)(存在量=7.35)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(163.0404)(存在量=5.66)、桂皮酸(147.0373)(存在量=5.97)、およびシキミ酸(173.0373)(存在量=10.00)が検出された。未同定化合物もまた、C16H14O4−H+(269.0878)(存在量=21.98)およびC23H18O3−H+(341.1193)(存在量=12.27)として検出された。
【図65】図65は、#325についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。未同定化合物が、C4H6O5−H+(133.0118)(存在量=100)およびC10H8O4−H+(191.0183)(存在量=81.19)として検出された。
【図66】図66は、#326についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。ルチン(301.0441)(存在量=31.62)、3−OHフラボン(237.062)(存在量=0.74)、カテキン/エピカテキン(289.079)(存在量=2.70)、フロリジン(255.0687)(存在量=2.24)、ウルソール酸(455.3556)(存在量=7.43)、コーヒー酸/4−ヒドロキシフェニル乳酸(179.0398)(存在量=12.26)、フェルラ酸(193.051)(存在量=7.63)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(163.0405)(存在量=8.75)、桂皮酸(147.0414)(存在量=3.24)、およびシキミ酸(173.0452)(存在量=23.59)が検出された。未同定化合物もまた、C5H6O4−H+(129.0178)(存在量=100)およびC16H16O8−H+(335.0807)(存在量=25.82)として検出された。
【図67】図67は、#327についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。3−OHフラボン(237.0524)(存在量=0.26)、ヘスペリジン(285.0822)(存在量=0.63)、カテキン/エピカテキン(289.0732)(存在量=0.11)、フロリジン(255.0706)(存在量=0.82)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(223.0543)(存在量=0.09)、およびコリスミン酸(225.0489)(存在量=0.10)が検出された。未同定化合物もまた、C4H6O5−H+(133.0117)(存在量=100)およびC20H20O7−H+(371.1175)(存在量=2.39)として検出された。
【図68】図68は、#328についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。ルチン(301.0446)(存在量=0.62)、フロリジン(255.0744)(存在量=0.05)、およびp−クマル酸/フェニルピルビン酸(163.0386)(存在量=0.36)が検出された。未同定化合物もまた、C5H8O5−H+(147.0293)(存在量=7.50)およびC6H6O6−H+(173.0099)(存在量=7.84)として検出された。
【図69】図69は、#329についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。未同定化合物は、C6H10O5−H+(161.04)(存在量=2.97)およびC8H12O7−H+(219.05)(存在量=3.64)として検出された。
【図70】図70は、#330についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。未同定化合物が、C5H4O3−H+(111.01)(存在量=12.32)およびC6H12O6−H+(179.05)(存在量=1.20)として検出された。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第60/783,453号(2006年3月17日出願)、米国仮特許出願第60/846,412号(2006年9月22日出願)、および米国仮特許出願第60/873,473号(2006年12月7日出願)(これらは、それらの全体が本明細書に参考として援用される)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、比類なく上昇した精油化学成分、フェノール酸化学成分、アントシアニジンもしくはプロアントシアニジン化学成分、もしくはレクチン−多糖類化学成分を有するニワトコのサンブカ(Sambuca)種に由来する抽出物および抽出方法、そのような方法によって抽出された抽出物ならびにそのような抽出物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ヨーロッパ、北アフリカおよび西アジアを原産とするニワトコ、Sambuca nigra L.は、野生灌木である。ニワトコは、詳細には20種を超えるサンブカ種から構成されるが、それらの多くは類似の化学成分を有する。Sambuca nigra L.は、科学的研究のほとんどが実施されている種である。Sambuca nigra L.は、クリーム色の花を咲かせ、濃い藍色の果実(エルダーベリー)がなる、高さ10mまで成長する落葉樹である。花、葉、および果実はすべてが、精油化合物、詳細にはフラボノイドおよびアントシアニジンであるフェノール酸、レクチンタンパク質化合物、および多糖類化合物を含む、医学的に重要な化学成分を含有している。
【0004】
薬剤としてのサンブカ種の使用は、Hippocrates、Dioscorides、およびPlinyの書物にも含まれおり、紀元前5世紀までさかのぼる。ニワトコには、アメリカ先住民およびヨーロッパの植物学者の間で伝統的に使用されてきたという長い歴史がある。伝統的な医学的使用および現代の研究活動の焦点は、花の抽出物に当てられてきた。
【0005】
花は春に収穫され、芳香の消失を最小限に抑えるために40℃未満で日光を避けて乾燥させられる。果実は、十分に熟してから秋に収穫される。商業的目的での花および果実のほとんどは、ロシア連邦、ポーランド、ハンガリー、ブルガリア、およびポルトガルから輸入されている。果実は、ワイン、ウィンターコーディアル(winter cordial)、保存料、食品、および香辛料のために、風味および色を加えるためにも使用される。花および果実はどちらも、薬剤としての長い歴史を有している。
【0006】
Sambuca nigra L.の花および果実の化学成分には、生物活性フェノール酸(フラボノイドおよびアントシアニジン)、タンパク質、多糖類、およびビタミン類(C、P、B1、B2、およびB6)が含まれる。サンブカ種の花および果実の化学成分に関する情報は不完全であるが、知られている化学成分は表1に列挙した。商業的および生物学的観点から、フラボノイドおよびアントシアニジンは、他の成分より重要性が高いと以前から考えられている。
【0007】
(表1.Sambuca nigra L.(Sambucus nigra L.)の花部および果実の化学成分)
【0008】
【表1】
ニワトコ種の薬効特性は、薬理学的に活性なその化学成分の存在下で生じる。化学的含有物についての一般的法則として、強度に有色の果実は、顔料としての高レベルのアントシアニジン、ならびにフラボノールグリコシドおよびアグリコンを含有している(非特許文献1;非特許文献2)。
【0009】
アントシアニジンは、2−フェニルベンゾピリリウム塩のグリコシル化−ポリヒドロキシ誘導体およびグリコシル化−ポリメトキシ誘導体である(非特許文献3)。エルダーベリーは、これらの顔料が最も豊富な起源の1つであり、0.2〜1%の含有量を有するが、これはブドウ類で見いだされる含有量よりはるかに高い(非特許文献4)。エルダーベリーは、数種の相違するアントシアニンを含有しており、その中ではシアニジン−3−サンブビオシド(sambubioside)(化合物1)およびシアニジン−3−グルコシド(化合物2)は、量的に最も重要であり、アントシアニジン含量の85%以上を占めているが、他方シアニジン−3−サンブビオシド−5−グルコシド(化合物3)およびシアニジン−3,5−ジグルコシド(化合物4)は、ほんの微量しか存在しない(非特許文献5;非特許文献6)。アントシアニジンは、一連の生物学的活性を示す。最もよく知られている特性の1つは、詳細にはシアニジン誘導体の抗酸化活性である(非特許文献6;非特許文献7)。
【0010】
【化1】
様々なクラスのビルベリー由来フェノール酸化合物がインビトロで大腸癌細胞増殖を阻害する能力について試験すると、アントシアニジンは、強力なフェノール系誘導体であることが見いだされた(非特許文献8)。シアニジンは、詳細には強力な抗発癌性ゲニステインのために必要とされる濃度の1/10に過ぎない2μg/mLという低濃度で細胞増殖を阻害することに極めて有効であった。抗癌活性は、ブルーベリー由来のアントシアニンについても言及されている(非特許文献9)。
【0011】
ルチンおよびイソクエルシトリンは、ニワトコ種植物材料中で主要なフラボノールグリコシドである(非特許文献10)。これらの化合物は、強力なラジカルスカベンジャーとして作用する(非特許文献11;非特許文献12)、様々な酵素を阻害する(非特許文献13)能力を有しており、さらに血管を収縮させることによる抗出血活性(非特許文献14)を有している。Sambuca nigra L.の花、果実および葉の加速溶媒抽出法を用いた試験では、ルチンは主要フラボノイドであることが見いだされた。花は、各々2〜3%および0.1%の濃度で最高量のルチンおよびイソクエルシトリンを有していた。エルダーベリーおよび葉は、約0.2%の濃度で類似量のルチンを有している。結果は、表2に示した。
【0012】
【化2】
(表2.80%メタノールによる、Sambuca nigra L.の様々な部分由来のルチンおよびイソクエルシトリンの抽出収率)
【0013】
【表2】
ニワトコ種植物材料は、その揮発性成分に起因して心地よい強い芳香を有している。ニワトコの葉内では、数種のアルカンが同定されており、ヘプタコサン、ノナコサンおよびヘントリアコンタンが量的に最も重要なアルカンである。ニワトコの花由来の精油中では、脂肪酸(66%)およびn−アルカン(7.2%)が高濃度である。ニワトコの花由来の精油の蒸気蒸留からは79種の化合物が同定されている(非特許文献15)。精油の主要成分は、トランス−3,7−ジメチル−1,3,7−オクタトリエン−3−オール(13%)、パルミチン酸(11.3%)、リナロール(3.7%)、シス−ヘキセノール(2.5%)ならびにシス−およびトランス−ローズ酸化物(各々、3.4%および1.7%)であった。
【0014】
市販の主要なエルダーベリー抽出物は、0.5%の濃度のアントシアニジンを含有している(非特許文献16)。優勢なアントシアニジンは、シアニジン−3−モノグリコシド(97%)およびシアニジン−3,5−ジグリコシド(3%)であった。濃縮物は、コーヒー酸誘導体(0.011%)およびルチン(0.055)の存在によっても特徴付けられた。
【0015】
トリテルペンおよびフラボノイドは、サンブカ種の生物活性の原因となる主要化学成分であると長年考えられてきた(非特許文献17)。しかし、4種の主要アントシアニジンは、サンブカ種の抗インフルエンザ活性において重要な役割を果たすと思われる。これらのアントシアニジンは、サンブカ抽出物への4時間にわたる曝露後には内皮細胞の血漿膜および細胞質ゾル中に組み込まれる(非特許文献18)。サンブカ種のアントシアニジンが豊富なヒトおよび動物内皮細胞は、酸化ストレッサーに対する保護作用を付与すると思われる。さらに、サンブカ種の果実の抽出物は、酸素ラジカル吸収能力を有することが証明されている(非特許文献19)。サンブカ種のレクチンおよびリボソーム不活性化タンパク質は、さらに抗ウイルス活性を示す(非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22)。Sambuca nigra L.の果実の標準化抽出物(Sambucol(登録商標)、Razei Bar社、エルサレム)(成人用量:4g)は、Echinacea angustifolica(根茎)抽出物、Echinacea purpura(幹、葉、および花)抽出物、ビタミンC(100mg)および亜鉛(10mg)と結合されたアントシアニジンとともに38%のブラックエルダーベリー抽出物を含有しており、以下の特性を示す:ヒトにおけるインフルエンザウイルスによって生成される赤血球凝集の阻害(非特許文献23);ヒトおよびインビトロにおけるウイルス複製の阻害(非特許文献23);ヒトにおける炎症性および抗炎症性サイトカインの産生増加(非特許文献24);赤血球凝集の減少ならびにA型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルスのインビトロでの複製の阻害(非特許文献23);インビトロでのHIVの感染性の減少(非特許文献25);インビトロでのHSV−I菌株複製の阻害(非特許文献25);ラットモデルにおける結腸炎の減少(非特許文献26);チンパンジーにおけるインフルエンザの症状の減少(非特許文献27);そして、あるランダム化臨床試験はヒトにおけるA型インフルエンザおよびB型の症状の減少を証明した(非特許文献25)。Sambuca nigra L.に由来する他の抽出組成物を用いた追加の所見には:リソソーム酵素の増強、リポキシゲナーゼ添加生成物の生成の減少、およびインビトロでのミエロペルオキシダーゼ活性の減少(非特許文献25);インビトロでの酸化ストレスに対する保護(非特許文献28);インビトロでの酸素ラジカル吸収能力の増加(非特許文献29)ならびにインビボでのインスリン様作用およびインスリン遊離作用(非特許文献30)が含まれる。
【0016】
Sambuca nigra L.の化学成分の治療的価値を手短に要約すると、科学的研究および臨床試験は、抗ウイルス、抗感冒、抗インフルエンザ、抗HIV、抗HSV(トリテルペン、アントシアニジン、レクチンタンパク質、多糖類、粗抽出物);酸化防止剤および酸素フリーラジカル捕捉(フラボノイド、アントシアニジン、粗抽出物);抗炎症活性(粗抽出物);抗糖尿病活性(多糖類、水溶性抽出物);腸活性の調節および下痢の緩和(抽出物);ならびに興奮および情動不安の減少(抽出物)を含む、サンブカ種の様々な化合物、化学基、もしくは抽出組成物の治療作用を実証している。さらに、Sambuca nigra L.の花もしくは果実(エルダーフラワーもしくはエルダーベリー)の抽出組成物には、一般に知られている禁忌はなく、安全であると考えられている。
【非特許文献1】Espin JCら、J Agric Food Chem,2000年,第48号,p.1588−1592
【非特許文献2】Kahkonen MPら、J Agric Food Chem,2001年,第49号,p.4076−4082
【非特許文献3】Brouillard KaHSH.Chemical Structure of Anthocyanins.Academic Press,New York,1982年
【非特許文献4】Bronnum−Hansen Kら、J Food Technology,1985年,第20号,p.703−711
【非特許文献5】Bronnum−Hansen Kら、J Chromatography,1983年,第262号,p.393−396
【非特許文献6】Drdak MおよびDaucik P.Acta Aliment,年,第19号,p.3−7
【非特許文献7】Tsuda Tら、J Agric Food Chem,199442年,p.2407−2410
【非特許文献8】Kamei Hら、Cancer Invest,1995年,第13号,p.590−594
【非特許文献9】Smith MALら、J Food Sci,2000年,第65号,p.352−356
【非特許文献10】Pietta PおよびBruno A.J Chromatography,1992年,第593号,p.165−170
【非特許文献11】Shahidi FおよびWannasundra PK.Crit Rev Food Sci Nutr,1992年,第32号,p.67−103
【非特許文献12】Rice−Evans CAら、Free Radical Biol & Med,1996年,第20号,p.933−956
【非特許文献13】Formica JVおよびRegelson W.Food and Chem Toxic,1995年,第33号,p.1061−1080
【非特許文献14】Dawidowicz AJら、J Liquid ChromotogおよびRelated Technologies,2003年,第26号,p.2381−2397
【非特許文献15】Toulemonde Bら、J Agric Food Chem,1983年,第31号,p.365−370
【非特許文献16】Espin JCら、J Agric Food Chem,2000年,第48号,p.1588−1592
【非特許文献17】Blumenthal Mら、Herbal Medicine:Expanded Commission E Monographs,Integrative Medicine Communications,Newton,MA,2000年,pp.103−105
【非特許文献18】Youdin KAら、Free Radic Biol Med,2000年,第29号,p.51−60
【非特許文献19】Roy Sら、Free Radical Res,2002年,第36号,p.1023−1031
【非特許文献20】Vanderbussche Fら、Eur J Biochem,2004年,第27号,p.1508−1515
【非特許文献21】de Benito FMら、FEBS Lett,1998年,第428号,p.75−79
【非特許文献22】Fujimura Yら、Virchows Arch,2003年,第444号,p.36−42
【非特許文献23】Zakay−Rones Zら、J Alternative & Complementary Medicine,1995年,第1号,p.361−369
【非特許文献24】Barak Vら、Isr Med Assoc J ,2002,第4号(補遺11),p.919−922
【非特許文献25】Zakay−Rones Zら、J International Med Res,2004年,第32号,p.132−140
【非特許文献26】Bobek Pら、Biologia Bratislavia,2002年,第56号,p.643−648
【非特許文献27】Gray AMら、J Nutr,2000年,第30号,p.15−20
【非特許文献28】Brouillard KaHSH.Chemical Structure of Anthocyanins.Academic Press,New York,1982年
【非特許文献29】Bronnum−Hansen Kら、J Chromatography,1983年,第262号,p.393−396
【非特許文献30】Gray AMら、J Nutr,2000年,第30号,p.15−20
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
1つの態様では、本発明は、図36〜70のいずれかのリアルタイム直接分析(Direct Analysis in Real Time)(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む、ニワトコ種抽出物に関する。また別の実施形態では、前記画分は、図46〜50のいずれかのDART質量分析クロマトグラムを有する。また別の実施形態では、前記画分は、図48のDART質量分析クロマトグラムを有する。
【0018】
1つの態様では、本発明は、H1N1インフルエンザウイルス中で測定した場合に150μg/mL〜1500μg/mLのIC50を有する画分を含む、ニワトコ種抽出物に関する。また別の実施形態では、前記画分は、150μg/mL〜750μg/mLのIC50を有する。また別の実施形態では、前記画分は、150μg/mL〜300μg/mLのIC50を有する。また別の実施形態では、前記画分は、少なくとも195μg/mLのIC50を有する。
【0019】
また別の実施形態では、本発明は、本発明のニワトコ種抽出物に関するが、前記画分は、アントシアニン;フラボノイド;C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステル;および/または多糖類を含んでいる。また別の実施形態では、アントシアニンは、シアニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−サンブビオシドからなる群から選択される。また別の実施形態では、アントシアニンの量は、10、20、30、40もしくは50重量%より多い。また別の実施形態では、フラボノイドは、ルチンである。また別の実施形態では、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルは、ヘキサデカノール、ヘキサデカン酸、ヘキサデカン酸メチルエステル、ヘキサデカン酸エチルエステル、ヘキサデカン酸ブチルエステル、オクタデカン酸、オクタデカン酸エチルエステル、オクタデカン酸ブチルエステル、9−オクタデセン−1−オール、9,12−オクタデカン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。また別の実施形態では、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルの量は、2、4、6、8、もしくは10重量%である。また別の実施形態では、多糖類は、デキストラン、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、ウロン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。また別の実施形態では、多糖類の量は、10、15、20、25、30、35、もしくは40重量%である。
【0020】
また別の実施形態では、本発明は、本発明のニワトコ抽出物に関するが、前記画分は、アントシアニン;C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステル;および多糖類を含んでいる。また別の実施形態では、アントシアニンは、シアニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−サンブビオシドからなる群から選択される。また別の実施形態では、アントシアニンの量は、10、20、30、40もしくは50重量%より多い。また別の実施形態では、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルは、ヘキサデカノール、ヘキサデカン酸、ヘキサデカン酸メチルエステル、ヘキサデカン酸エチルエステル、ヘキサデカン酸ブチルエステル、オクタデカン酸、オクタデカン酸エチルエステル、オクタデカン酸ブチルエステル、9−オクタデセン−1−オール、9,12−オクタデカン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。また別の実施形態では、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルの量は、2、4、6、8、もしくは10重量%である。また別の実施形態では、多糖類は、デキストラン、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、ウロン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。また別の実施形態では、多糖類の量は、10、15、20、25、30、35、もしくは40重量%である。
【0021】
また別の態様では、本発明は、本発明のニワトコ種抽出物を含む食品もしくは医薬に関する。
【0022】
また別の態様では、本発明は、ウイルス感染症に対して被験体を処置するための方法であって、それを必要とする前記被験体に有効量の本発明のニワトコ種抽出物を投与する工程を含む方法に関する。また別の実施形態では、ウイルス感染は、エンベロープウイルスによって惹起される。また別の実施形態では、エンベロープウイルスは、フラビウイルスである。また別の実施形態では、ウイルス感染は、非エンベロープウイルスによって惹起される。また別の実施形態では、ウイルス感染は、は、インフルエンザウイルス、A型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、H1N1、H5N1、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、SARS、単純ヘルペスウイルス(HSV)、フラビウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、および脳炎ウイルスによって惹起される。また別の実施形態では、ウイルス感染は、ノーウォーク(Norwalk)ウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、アンドウイルス(andovirus)もしくはライノウイルスによって惹起される。また別の実施形態では、被験体は、霊長類、ウシ、鳥類、ヒツジ、ウマ、ブタ、齧歯類、ネコ、もしくはイヌである。また別の実施形態では、被験体は、ヒトである。
【0023】
また別の実施形態では、本発明は、細胞のウイルス感染を阻害する方法であって、細胞を本発明のニワトコ種抽出物と接触させる工程を含む方法に関する。また別の実施形態では、ウイルス感染は、エンベロープウイルス感染である。また別の実施形態では、エンベロープウイルス感染は、フラビウイルス感染である。また別の実施形態では、ウイルス感染は、非エンベロープウイルス感染である。また別の実施形態では、ウイルス感染は、インフルエンザウイルス、A型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、H1N1、H5N1、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、SARS、単純ヘルペスウイルス(HSV)、フラビウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、および脳炎ウイルス感染である。また別の実施形態では、ウイルス感染は、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、アンドウイルスもしくはライノウイルスである。
【0024】
また別の態様では、本発明は、少なくとも1つの規定特性を有するニワトコ種抽出物を調製する方法であって:a)超臨界二酸化炭素抽出によってニワトコ種植物材料を抽出して精油画分および第1残留物を生成する工程;とb)約40℃〜約70℃の水または含水アルコール抽出によってニワトコ種植物材料または工程a)からの第1残留物を抽出してポリフェノール画分および第2残留物を生成する工程;とc)約70℃〜約90℃の水抽出によって工程b)からの第2残留物を抽出して多糖類画分を生成する工程によって、精油画分、ポリフェノール画分および多糖類画分を生成するためにニワトコ種植物材料を連続的に抽出する工程を含む方法に関する。また別の実施形態では、抽出プロセスは、例えば、クロフサスグリの果実、アカフサスグリの果実、グーズベリー、ビルベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、チェリー、クランベリー、サンザシの果実、ローガンベリー、ラズベリー、チョークベリー、リンゴ、ザクロ、マルメロ、およびプラムなどの、アントシアニジンおよび/またはプロアントシアニジンが豊富な任意の種を用いて実施できる。
【0025】
また別の実施形態では、精油画分を入手する工程は:1)抽出容器内に微粉化したニワトコ種植物材料を装填する工程;と2)超臨界条件下で二酸化炭素を加える工程;と3)ニワトコ種植物材料および二酸化炭素をある時間接触させる工程;と4)収集容器内に精油画分を収集する工程とを含んでいる。
【0026】
また別の実施形態では、本発明の方法は、超臨界二酸化炭素分別分離システムを用いて精油抽出物を分留することによって、精油化学成分の複合比を変化させる工程をさらに含んでいる。
【0027】
また別の実施形態では、ポリフェノール画分は、1)微粉化したニワトコ種植物材料または工程a)からの残留物と約40℃〜約70℃の水または含水アルコール溶液とを、ポリフェノール酸化学成分を抽出するために十分な時間にわたり接触させる工程;と2)工程a)からの抽出したポリフェノール酸化学成分の含水アルコール溶液を親和性吸着剤樹脂カラムに通過させる工程であって、アントシアニジンを含む前記ポリフェノール酸が吸着される工程;と3)親和性吸着剤樹脂から精製したポリフェノール酸化学成分画分を溶出させる工程とによって入手される。
【0028】
また別の実施形態では、多糖類画分を入手する方法は:1)工程b)からの第2残留物と約70℃〜約90℃の水とを、多糖類を抽出するために十分な時間にわたり接触させる工程;と2)エタノール沈降法により水溶液から多糖類を沈降させる工程とを含んでいる。
【0029】
また別の態様では、本発明は、本発明の方法のいずれかによって調製されたニワトコ種抽出物に関する。
【0030】
また別の態様では、本発明は、ピロガロール、ピロガロールの15重量%〜25重量%のメチル桂皮酸、ピロガロールの1重量%〜4重量%のシンナミド、ピロガロールの5重量%〜10重量%の2−メトキシフェノール、ピロガロールの1重量%〜2重量%のベンズアルデヒド、ピロガロールの5重量%〜10重量%の桂皮アルデヒド、およびピロガロールの5重量%〜15重量%の酢酸シンナミルを含むニワトコ種抽出物に関する。
【0031】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの20重量%〜30重量%のフェルラ酸、ルチンの25重量%〜35重量%の桂皮酸、ルチンの15重量%〜25重量%のシキミ酸、およびルチンの55重量%〜65重量%のフェニル乳酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0032】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリン、ルチンの1重量%〜5重量%のフェルラ酸、ルチンの1重量%〜5重量%の桂皮酸、ルチンの0.5重量%〜5重量%のシキミ酸、ルチンの1重量%〜5重量%のフェニル乳酸、ルチンの5重量%〜15重量%のシアニジン、およびルチンの15重量%〜25重量%のペツニジンを含むニワトコ種抽出物に関する。
【0033】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの30重量%〜40重量%のシアニジン、ルチンの75重量%〜85重量%のペツニジン、ルチンの5重量%〜10重量%のバニリン酸、ルチンの1重量%〜5重量%のフェルラ酸、およびルチンの1重量%〜10重量%の桂皮酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0034】
また別の態様では、本発明は、p−クマル酸/フェニルピルビン酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%のルチン、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%のバニリン酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の35重量%〜45重量%のフェルラ酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%の桂皮酸、およびp−クマル酸/フェニルピルビン酸の45重量%〜55重量%のシキミ酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0035】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの20重量%〜30重量%のヘスペリジン、ルチンの70重量%〜80重量%のバニリン酸、およびルチンの40重量%〜50重量%の桂皮酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0036】
また別の態様では、本発明は、ペツニジン、ペツニジンの85重量%〜95重量%のルチン、ペツニジンの55重量%〜65重量%のバニリン酸、およびペツニジンの30重量%〜40重量%の桂皮酸を含むニワトコ種抽出物に関する。
【0037】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの5重量%〜15重量%のシアニジン、ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリン、ルチンの5重量%〜15重量%のコーヒー酸、ルチンの1重量%〜10重量%のフェルラ酸、ルチンの1重量%〜10重量%のシキミ酸、ルチンの25重量%〜35重量%のペツニジン、およびルチンの1重量%〜5重量%のエリオジクチオールもしくはフスチンを含むニワトコ種抽出物に関する。
【0038】
また別の態様では、本発明は、ルチン、ルチンの10重量%〜20重量%のシアニジン、ルチンの1重量%〜5重量%のエリオジクチオールもしくはフスチン、ルチンの10重量%〜20重量%のナリンゲニン、およびルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリンを含むニワトコ種抽出物に関する。
【0039】
本発明のこれらの実施形態、その他の実施形態、ならびにそれらの機能および特徴は、以下に記載する本明細書、図面および特許請求項から明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書で使用する冠詞「1つの」は、前記冠詞の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の文法的対象を意味する。例えば、「1つの要素」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0041】
用語「アントシアニジン」は、当技術分野において認識されており、フラビリウムのカチオン誘導体を含む化合物を意味する。
【0042】
用語「アントシアニン」は、当技術分野において認識されており、糖基を備えるアントシアニジンを意味する。アントシアニンは、主として、アントシアニジンの3−グルコシドである。アントシアニンは、無糖アントシアニジンアグリコンおよびアントシアニングリコシドに細分される。
【0043】
用語「カプシド」は、当技術分野において認識されており、ウイルスの核酸(DNAまたはRNA)を取り囲んで保護するタンパク膜を意味する。
【0044】
用語「含む」および「含んでいる」は、追加の要素を含むことのできる包括的な、開放的感覚の意味で使用される。
【0045】
用語「〜からなる」は、通常はそれに結び付いている不純物を別にして、要素を規定された要素に限定するために使用される。
【0046】
用語「本質的に〜からなる」は、要素を本明細書に規定した要素および材料もしくは工程の基本的かつ新規の特性へ物質的に影響を及ぼさない要素に限定するために使用される。
【0047】
用語「シアニジン」もしくは「フラボン−3−オール」は、当技術分野において認識されており、フラボノイドおよびアントシアニンとして分類される天然有機化合物を意味する。これはビルベリー、ブラックベル−、ブルーベリー、チェリー、クランベリー、エルダーベリー、サンザシ、ローガンベリー、アサイベリーおよびラズベリーを含むがそれらに限定されない、多数のレッドベリー類において見いだされる色素である。リンゴおよびプラムなどの他の果物においてもまた見いだすことができる。
【0048】
本明細書で使用する用語「有効量」は、所望の生物学的応答を引き出すために必要とされる量を意味する。当業者には理解されるように、複合剤もしくは生物活性剤の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達対象の生物活性剤、封入基質の組成、標的組織などの要素に依存して変動する可能性がある。
【0049】
本明細書で使用する用語「ニワトコ」は、サンブカ種植物に由来するサンブカ植物材料を意味する。用語「ニワトコ」はさらに、ニワトコ種、サンブカ種、およびエルダーベリーと互換的に使用され、これらの植物、クローン、変異株、および変種などを意味する。
【0050】
本明細書で使用する用語「ニワトコ成分」は、ニワトコ種において見いだされる化合物を意味しており、上記に同定されたそのような化合物ならびに精油化学成分、ポリフェノール酸、および多糖類を含むがそれらに限定されないニワトコ種において見いだされる他の化合物を含むものである。
【0051】
本明細書で使用する用語「エンベロープウイルス」は、宿主細胞膜に由来するウイルス糖タンパク質を含有する脂質二重層を含むウイルスを意味する。エンベロープウイルスでは、宿主細胞内への結合および侵入を媒介するウイルスタンパク質は、エンベロープ内で見いだされる。エンベロープウイルスの例には、ヒトおよびトリ両方のインフルエンザ、HIV、SARS、HPV、単純ヘルペスウイルス(HSV)、デング熱ウイルス、ならびに黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、および脳炎ウイルスなどのフラビウイルスが含まれる。
【0052】
本明細書で使用する用語「精油画分」は、リノエライジン酸と分類される化合物を含むがそれには限定されないニワトコおよび関連種から入手される、またはそれらに由来する脂溶性、水不溶性化合物を含んでいる。
【0053】
本明細書で使用する用語「精油サブ画分」は、ニワトコ種の精油中で見いだされる特定化合物の濃度を増強もしくは低下させた、リノエライジン酸として分類される化合物を含むがそれには限定されない、ニワトコおよび関連種から入手される、またはそれらに由来する脂溶性、水不溶性化合物を含んでいる。
【0054】
本明細書で使用する用語「供給原料」は、一般に、全植物体を単独で、または葉、例えば主根、尾根、および繊維根を含む根、幹、樹皮、葉、果実、種子、ならびに花を含むがそれらに限定されない植物の1つ以上の構成部分と組み合わせて含む植物原料を意味するが、植物もしくは構成部分は、生である、乾燥、蒸し加熱、加熱さもなければ加工処理を促進するための物理的加工処理を受けさせられ、これはさらに無傷、刻み、ダイスカット、製粉、微粉化、さもなければ植物材料のサイズおよび物理的完全性に影響を及ぼすように加工処理される材料をさらに含むことができる。時には、用語「供給原料」は、追加の抽出プロセスのための供給源として使用すべき抽出生成物を特徴付けるために使用される場合がある。
【0055】
「フラビウイルス」は、エンベロープウイルスのサブセットである。それらは、一般には脂質二重層エンベロープを獲得することによってヒトを感染させる動物において見出されるウイルスである。フラビウイルスの例には、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、および脳炎ウイルスが含まれる。
【0056】
本明細書で使用する用語「画分」は、所定の物理的特性、化学的特性または物理的もしくは化学的特性によって特性付けられた化合物の特定群を含む抽出組成物を意味する。
【0057】
用語「〜を含む」は、「〜を含むがそれらに限定されない」ことを意味するために本明細書で使用される。「〜を含む」および「〜を含むがそれらに限定されない」は、互換的に使用される。
【0058】
本明細書で使用する用語「非エンベロープウイルス」は、脂質二重層が欠如するウイルスを意味する。非エンベロープウイルスでは、カプシドは宿主細胞内への結合および侵入を媒介する。非エンベロープウイルスの例には、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、およびライノウイルスが含まれる。
【0059】
本明細書で使用する用語「1つ以上の化合物」は、例えばリノエライジン酸(ニワトコ種の脂溶性精油化学成分)、もしくはシアニジン−3−グルコシド(ニワトコ種の水溶性ポリフェノール酸化学成分)またはニワトコ種の多糖類分子などであるがそれらに限定されない少なくとも1つの化合物が企図されている、または2つ以上の化合物、例えば、リノエライジン酸およびシアニジン−3−グルコシドが企図されることを意味している。当技術分野において知られているように、用語「化合物」は、単一分子ではなく、多数もしくは複数モルの1つ以上の化合物を意味している。当技術分野において知られているように、用語「複合物」は、明確な化学的および物理的特性を有する特定化学成分を意味するが、他方「化合物」は、1つ以上の化学成分を意味する。
【0060】
本方法によって処置すべき「患者」、「被験体」もしくは「宿主」は、霊長類(例、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、齧歯類、ネコ、もしくはイヌであってよい。
【0061】
用語「医薬上許容される塩」は、当技術分野において認識されており、例えば、本発明の組成物中に含有されているものを含む、化合物の相当に非毒性の無機および有機酸付加塩を意味する。
【0062】
本明細書で使用する用語「ポリフェノール画分」は、ルチン、およびシアニジン−3−グルコシドなどであるがそれらに限定されない化合物をさらに含む、ニワトコおよび関連種から入手される、またはそれらに由来する水溶性およびエタノール可溶性ポリフェノール酸化合物を含んでいる。
【0063】
本明細書で使用する用語「多糖類画分」は、ニワトコおよび関連種から入手される、またはそれらに由来する水溶性−エタノール不溶性レクチンタンパク質および多糖類化合物を含んでいる。
【0064】
ニワトコの他の化学成分もまたこれらの抽出物画分中に存在することもある。
【0065】
本明細書で使用する用語「プロアントシアニン」は、アントシアニンの二量体、三量体、およびquadiferを意味する。
【0066】
本明細書で使用する用語「プロフィール」は、抽出物画分もしくはサブ画分内の化合物の質量(重量)%による比率、または最終ニワトコ抽出組成物中の3種のニワトコ画分化学成分各々の質量(重量)%による比率を意味する。
【0067】
本明細書で使用する用語「精製」画分もしくは抽出物は、画分または抽出物の化学成分の質量(重量)%で10%超へ濃縮されている所定の物理化学的特性または物理的もしくは化学的特性によって特性付けられた化合物の特定群を含む画分もしくは抽出物を意味する。言い換えると、精製画分もしくは抽出物は、画分もしくは抽出物を規定する、所定の所望の物理化学的特性または物理的もしくは化学的特性によって特性付けられていない80%以下の化学成分化合物を含んでいる。
【0068】
用語「相乗的」は、当技術分野において認識されており、全効果が化合物の作用の合計より大きくなるように、2つ以上の成分が一緒に作用することを意味する。
【0069】
用語「処置する」は、当技術分野において認識されており、任意の状態もしくは障害を治癒させる、ならびにそれらの少なくとも1つの症状を緩和することを意味する。
【0070】
用語「ウイルス」は、当技術分野において認識されており、それらの固有の代謝機構は欠如するが、宿主細胞の代謝機構を使用することによって繁殖する非細胞性生物学的実体を意味する。ウイルスは、核酸の分子(DNAまたはRNA)を含んでおり、エンベロープウイルスまたは非エンベロープウイルスであってよい。
【0071】
(組成物)
本発明は、1つ以上のニワトコ種由来の精油(もしくは精油サブ画分)、ポリフェノール酸、および多糖類の単離かつ精製された画分の組成物を含んでいる。これらの個々の画分組成物を特定比率(プロフィール)で結合すると有益な組み合わせ組成物を提供することができ、そして現在知られている抽出生成物中では見いだされない、信頼できる、または再現性の抽出生成物を提供できる。例えば、1つの種由来の精油画分もしくはサブ画分は、同一もしくは相違する種由来の精油画分もしくはサブ画分と、または同一もしくは相違する種由来のポリフェノール酸画分と組み合わせることができ、その組み合わせは、ニワトコの同一もしくは相違する種由来の多糖類画分と組み合わせてもよい、または組み合わせなくともよい。
【0072】
抽出されたニワトコ種組成物は、所定の生成物のために所望である有益な生物学的作用に依存して、任意の1つ、2つ、もしくは全3つの濃縮抽出物画分を含んでいる可能性がある。典型的には、全3つのニワトコ種抽出物画分を含有する組成物は、そのような新規な組成物が、天然植物材料中で見いだされる全3つの主要な生物学的に有益な化学成分を含有する第1の高度に精製されたニワトコ種抽出生成物を示すので一般に望ましい。本発明の実施形態は、所定の特性が、別個の抽出物画分中に規定の選択的に増加した濃度のニワトコ種の精油化学成分、ポリフェノール性アントシアニジン、および多糖類を含む方法を含んでいる。
【0073】
詳細には、本発明の組成物は、自然に見いだされるものを含む、知られている組成物に比較して増加した量のアントシアニンを有する。アントシアニンは、心疾患および癌に対する保護を含む、様々な健康上の利益とますます関連してきた高度に活性の化学物質である強力な酸化防止剤である。それらの酸化防止特性に加えて、アントシアニンは50%までインスリン産生を増加させるため、糖尿病を処置する目的にも使用できることが報告されている。本発明の組成物は、唯一の有効成分として増加した量のアントシアニンを含むことがある、または本組成物は、ニワトコと関連する他の活性成分を含有することがある。他の有効成分の例には、精油画分中で見いだされるC16もしくはC18の脂肪酸、アルコール、もしくはエステル、または多糖類画分で見いだされる多糖類が含まれる。
【0074】
アントシアニンおよびフラボノイドは、濃縮し、ポリマー吸着剤(PA)技術によってプロファイリングすることができる。このような用途において、例えばAmberlite XAD4、XAD 7HP(Rohm−Hass社)、Dialon HP20、HP21、SP825(Mitsubishi社)、ADS5、ADS17(Naikai大学)などの広範囲のポリマー吸着剤を使用できる。PA加工処理の作用原理は、「同類は引き付け合う」(吸着質が吸着剤に付着したままになるか、または相対強度に依存して溶離剤中に溶解するかどうか)に基づいている。XAD 7HPおよびADS5を用いる実施例は、本明細書に提示されている。結果は、以下の表に示した。
【0075】
(表3.抽出後のアントシアニン成分の重量%)
【0076】
【表3】
(表4.アントシアニンのプロフィール)
【0077】
【表4】
(表5.ルチン対全アントシアニンの比率)
【0078】
【表5】
(表6.プロフィール(%))
【0079】
【表6】
化合物の重量%は、加工処理中にどのくらいの量の化合物が精製(濃縮)されたのかを示す:シアニジン−3,5−グルコシドは、供給原料(F2、XAD 7HPポリマー吸着剤)中の56.2倍まで精製されている;シアニジン−3−サンブビオシドは、供給原料(F3、XAD 7HPポリマー吸着剤)中の74倍まで精製されている;シアニジン−3−グルコシドは、供給原料(F4、XAD 7HPポリマー吸着剤)中の50倍まで精製されている;全アントシアニンは、供給原料(F2およびF3、XAD 7HPポリマー吸着剤)中の46〜47倍まで精製されている;ルチンは、供給原料(F3、ADS5ポリマー吸着剤)中の107倍まで精製されている、そして全フェノール酸は、供給原料中の13〜17倍まで精製されている。
【0080】
アントシアニンのプロフィールデータは、アントシアニンのプロフィールを加工処理中に調整できることを証明している:シアニジン−3−グルコシドは、42%〜100%の間でプロファイリングできる;シアニジン−3−サンブビオシドは、9%〜17%の間でプロファイリングできる;およびシアニジン−3,5−グルコシドは、4.8%〜43%の間でプロファイリングできる。
【0081】
ルチンおよびアントシアニンは、ニワトコ種中での重要な医薬化合物である。ルチン対全アントシアニンの比率は、加工処理中に0.10〜3,267の間でプロファイリングできる。
【0082】
全フェノール酸中のアントシアニンおよびルチンの濃度もまた加工処理中にプロファイリングすることができる:シアニジン−3−グルコシドは、0.02〜5.4%の間でプロファイリングできる;シアニジン−3−サンブビオシドは、0〜1.5%の間でプロファイリングできる;シアニジン−3,5−グルコシドは、0〜3.8%の間でプロファイリングできる;全アントシアニンは、0.02〜9.6%の間でプロファイリングできる;およびルチンは、0.8〜84.9%の間でプロファイリングできる。
【0083】
1つの実施形態では、本発明の組成物は、増加した量のアントシアニンおよび以下で考察する医薬担体を含有している。また別の実施形態では、本発明の組成物は、精油画分由来の、例えばC16およびC18の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸、アルコールおよびエステルなどの別のニワトコ種を含んでいる。
【0084】
乾燥エルダーフラワーの揮発性成分についての文献データ(Toulemonde 1983)と最近の研究との比較を以下の表に示した:
(表7.文献データと実験データの比較)
【0085】
【表7】
本発明の組成物は、増加した量のアントシアニンおよび多糖類を含む可能性がある。水粗抽出物中では、タンパク質収率は、ニワトコの花中では0.09%およびエルダーベリー中では0.59%であった。粗抽出物中のタンパク質の95%は、80%エタノールによって沈降させることができる。このため、80%の沈降物は、多糖類−タンパク質複合体である。これらの複合体の平均分子量は、約2,000kDaであった。1つの実施形態では、本組成物は、比色分析法に基づくと100〜170mg/g(デキストラン当量)の純度を有するレクチン−多糖類画分組成物および本発明によって教示されるようなBradfordタンパク質アッセイに基づいて4〜50%を超える質量(重量)%の純度のレクチンタンパク質を含んでいる。
【0086】
本発明の組成物は、増加した量のアントシアニン、C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、および多糖類を含む可能性がある。
天然ニワトコ種に比較した抽出
本発明の組成物は、天然ニワトコ種において見出されるものに比較して濃度に関して規定することもできる。例えば、精油の濃度は、天然ニワトコ種の濃度の0.001〜10,000倍である、および/または所望のポリフェノール酸の濃度が天然ニワトコ種の濃度の0.001〜40倍である組成物、および/または水溶性−エタノール不溶性多糖類の濃度が天然ニワトコ種の濃度の0.001〜40倍である組成物、および/またはレクチンタンパク質の濃度が天然ニワトコ種植物材料の濃度の0.001〜100倍である組成物。本発明の組成物は、精油の濃度が、天然ニワトコ種の濃度の0.01〜10,000倍である組成物、および/または所望のポリフェノール酸の濃度が天然ニワトコ種の濃度の0.01〜40倍である組成物、および/または多糖類の濃度が天然ニワトコ種の濃度の0.01〜40倍である組成物、および/またはレクチンタンパク質の濃度が天然ニワトコ種植物材料の濃度の0.01〜100倍である組成物を含んでいる。さらに、本発明の組成物は、天然ニワトコ種植物材料精油化学成分中で見いだされる量より多い、または少ない量である天然植物材料精油中に存在する少なくとも1つ以上の化合物を有する精油化学成分のサブ画分を含んでいる。例えば、化合物であるリノエライジン酸は、天然ニワトコ種植物材料中の全精油化学成分の質量(重量)%でその2%の濃度からサブ画分の質量(重量)%で22%へ増加した精油サブ画分中の濃度を有していることがあり、これは濃度の10倍の増加である。これとは対照的に、リノエライジン酸は、天然植物材料中の全精油化学成分の質量(重量)%で約2%の濃度から、サブ画分の質量(重量)%で0.01%未満へ減少した精油サブ画分中の濃度を有していることがあり、これは濃度の100分の1への減少である。本発明の組成物は、そのような新規の精油サブ画分中の特定化合物の濃度が、天然ニワトコ種精油化学成分中で見いだされる濃度の約1.1〜約10倍へ増加する、または約0.1〜約100分の1へ減少する、のいずれかである組成物を含んでいる。
【0087】
(抽出物の純度)
以前に記載された抽出方法を実行した際に、ニワトコ種のオリジナルの乾燥させた果実(エルダーベリー)もしくは花(エルダーフラワー)供給原料中で95%を超える純度を有する精油化学成分の質量(重量)%で80%を超える収率を精油画分中でSCCO2(超臨界二酸化炭素)抽出によって抽出できることが見いだされた(工程1A)。工程1Aおよび1Bにおいて教示される方法を用いると、精油の収率は、新規化学成分プロフィールを有する高度に精製された精油サブ画分への精油化学成分の細分別に起因して減少することがある。さらに、本発明によって教示されるようなSCCO2抽出および分別プロセスは、固有の精油サブ画分プロフィールを特定の医薬上の目的のために作製できるように精油化学成分画分を含む個別化学成分の比率(プロフィール)を変化させることを許容する。例えば、アルコール精油化学成分の濃度は、脂肪酸化合物の濃度を減少させながら同時に増加させることができるが、その逆もまた可能である。
【0088】
本発明の工程2において教示される方法を使用すると、含水アルコール浸出画分は、天然エルダーベリー供給原料中で見いだされるフェノール酸化学成分の約60質量(重量)%の収率である、オリジナルのニワトコ種供給原料から全フェノール酸の4.3%の濃度を有する35.6質量(重量)%の収率で達成される。さらに、この含水アルコール溶媒抽出物もまた、貴重なアントシアニジン化学成分を含有する。
【0089】
本発明の工程3において教示される方法(親和性吸着剤抽出プロセスもしくはプロセスクロマトグラフィ−)を用いると、2.5質量(重量)%を超えるアントシアニジンを含む抽出物画分の乾燥質量%で40%を超える純度を備えるポリフェノール酸画分を入手できる。含水アルコール浸出抽出物供給原料から約60%のポリフェノール酸を抽出することが可能である。これは、天然ニワトコ種植物材料中で見いだされるポリフェノール酸化学成分の収率40%に一致する。相当に高濃度のアントシアニジン(>2.9質量(重量)%)または低濃度のアントシアニジン(<0.05質量(重量)%)のいずれかを備える高濃度のフェノール酸(>30質量(重量)%)を含有する精製フェノール酸サブ画分を生成することもまた可能である。
【0090】
本発明の工程4において教示される方法(水浸出法およびエタノール沈降法)を用いると、オリジナルの乾燥ニワトコ種供給原料から90質量(重量)%を超える収率の水溶性−エタノール不溶性レクチンタンパク質および多糖類化学成分をレクチン−多糖類画分中で抽出かつ精製できると思われる。80%エタノールを用いてレクチンおよび多糖類を沈降させると、水浸出抽出物から精製レクチン−多糖類画分を収集することができる。レクチン−多糖類画分の収率は、天然ニワトコ種植物材料供給原料に基づくと約3.45質量(重量)%である。参照標準物質としてデキストランを使用する比色分析方法に基づくと、100〜170mg/g(デキストラン当量)の純度の多糖類を入手できる。Bradfordタンパク質アッセイに基づくと、画分の16質量(重量)%の純度のレクチンを入手できる。現在入手できる証拠は、画分中に残留している化合物が多糖類(約83質量(重量)%)であることを示すであろう。レクチンタンパク質の純度は、60%エタノール沈降法を用いると約5%へ減少させることができる、または60%エタノール沈降法および多糖類の抽出後に残留物溶液の段階的80%エタノール沈降法を用いると、サブ画分の約50質量(重量)%へさらに増加させることができる。
【0091】
最後に、本発明によって教示される方法は、ニワトコ種精油化学成分画分、新規なポリフェノール画分もしくはサブ画分、および新規なレクチン−多糖類画分の、精油画分中で所望の化学成分の99質量(重量)%という高さ、フェノール画分中でフェノール酸の41質量(重量)%という高さ、ポリフェノール画分中でアントシアニジンの3%という高さ、レクチン−多糖類画分中でレクチンの50質量(重量)%という高さ、およびレクチン−多糖類画分中で多糖類の90質量(重量)%という高さへの精製(濃縮)を許容する。特定の抽出環境、抽出率、溶媒、および使用される抽出技術は、起源材料の出発化学成分プロフィールおよび最終抽出生成物中での所望の精製レベルに依存する。本発明によって教示されるような特定の方法は、特定の属性を有するアウトプット材料へ加工処理される出発材料の属性におけるサンプル変化を説明するためにプロセスを調整するために典型的なルーチンの実験だけを使用すれば、当業者であれば容易に決定できる。例えば、特定ロットのニワトコ種植物材料では、精油化学成分、ポリフェノール酸、アントシアニジン、レクチン、および多糖類の初期濃度は、本発明によって教示されるような当業者に知られている方法を用いて決定される。当業者であれば、最終ニワトコ種組成物製品中の所望の濃度および/または化学的プロフィールに達するために、本明細書に開示した抽出方法を用いて、精油化学成分の初期濃度から、最終抽出生成物についての、例えば、規定量もしくは分布(プロフィール)の精油化学成分への変化量を決定できる。
【0092】
(サブ画分)
本発明のまた別の実施形態は、精油化学成分の新規なサブ画分を含む組成物であって、例えば、アルコール、アルデヒド、エステルもしくは脂肪酸などであるがそれらに限定されない特定化学基の濃度が新規な抽出組成物中で増加もしくは減少した各濃度を有する組成物である。
【0093】
本発明のまた別の実施形態は、精製ポリフェノール酸化学成分の新規なサブ画分を含む組成物であって、例えば、アントシアニジンなどであるがそれには限定されない特定化学基の濃度が新規な抽出組成物中で増加もしくは減少した各濃度を有する組成物である。
【0094】
本発明の追加の実施形態は、精製レクチン−多糖類化学成分の新規なサブ画分を含む組成物であって、例えば、レクチンなどであるがそれには限定されない特定化学基の濃度が新規な抽出組成物中で増加もしくは減少した各濃度を有する組成物である。
【0095】
(抽出方法)
本発明の方法は、ヒトの障害を処置および予防するための新規なニワトコ種組成物を提供する。例えば、インフルエンザを処置するための新規なニワトコ種組成物は、天然ニワトコ種植物材料または従来型の知られている抽出生成物中で見いだされる濃度に比較して、重量%で、増加したポリフェノール画分組成物濃度、増加した多糖類組成物濃度、および減少した精油画分組成物濃度を有する可能性がある。抗酸化、抗血管傷害、虚血性脳血管疾患のための新規なニワトコ種組成物は、天然ニワトコ種植物材料中もしくは従来型の知られている抽出生成物中で見いだされる濃度より、重量%で、増加した精油およびポリフェノール酸画分組成物および減少した多糖類画分組成物を有している可能性がある。糖尿病性障害を処置するための新規なニワトコ種組成物のまた別の例は、天然ニワトコ種植物材料もしくは知られている従来型抽出生成物中で見いだされる濃度よりも増加したポリフェノール画分組成物濃度、減少した多糖類組成物、および減少した精油画分組成物を有する組成物を含んでいる。
【0096】
追加の実施形態は、天然植物材料もしくは現在入手できるニワトコ種抽出生成物中で見いだされるものに比較して、変化したプロフィール(分布比)のニワトコ種の化学成分を含む組成物を含んでいる。例えば、精油画分は、ポリフェノール酸濃度および/または多糖類濃度に比較して増加もしくは減少してよい。同様に、ポリフェノール酸もしくは多糖類は、特定の生物学的作用のために新規な構成の化学プロフィール組成物を許容するために他の抽出成分画分と比較して増加もしくは減少してよい。1つ以上の精油、ポリフェノール類および/または多糖類の単離かつ精製した画分を結合することによって、新規な組成物を作製できる。
【0097】
以下に教示する方法は、個別に、または本明細書に開示した方法もしくは当業者に知られている方法と組み合わせて使用できる。
【0098】
抽出するための出発材料は、1つ以上のニワトコ種からの植物材料である。植物材料は、植物の任意の部分であってよいが、果実および花が最も好ましい出発材料である。
【0099】
ニワトコ種植物材料は、材料を任意の特定形態に、そして本発明によって企図されている抽出のために有用な任意の形態にさせる前抽出工程を受けさせることができる。そのような前抽出工程には、材料を刻む、ミンチ切りする、細かく刻む、すりつぶす、粉末化する、切断する、もしくは裂く工程が含まれるがそれらに限定されない。出発材料は、前抽出工程の前には、乾燥した、もしくは新鮮な植物材料である。好ましい前抽出工程は、ニワトコ種植物材料を微細粉末にすりつぶす、および/または粉末化する工程を含んでいる。出発材料または前抽出工程後の材料は、乾燥させることができる、またはそれに加えられた水分を有していてよい。ニワトコ種植物材料が抽出のための形状になると、抽出方法は、本発明によって企図されている。
【0100】
(ニワトコの超臨界流体抽出)
本発明の抽出方法は、本明細書に開示したプロセスを含んでいる。一般に、本発明の方法は、一部には、ニワトコ種植物材料が溶媒として二酸化炭素(SCCO2)を用いる超臨界流体抽出法(SFE)を使用し、その後に例えば水、含水アルコール、および親和性ポリマー吸着剤抽出プロセスなどであるがそれらに限定されない1つ以上の溶媒抽出工程を使用して抽出される方法を含んでいる。本発明のために企図されている他の追加の方法は、他の有機溶媒、冷却用薬品、圧縮性ガス、超音波処理、加圧液体抽出、高速逆流クロマトグラフィー、分子捺印ポリマー、およびその他の知られている抽出法を用いたニワトコ種植物材料の抽出を含んでいる。そのような技術は、当業者には知られている。1つの態様では、本発明の組成物は、図1〜4に略図で示した工程を含む方法によって調製できる。
【0101】
本発明は、SCCO2技術を使用してニワトコ植物材料から精油およびその他の脂溶性化合物を濃縮(精製)およびプロファイリングするためのプロセスを含んでいる。本発明は、ニワトコの脂溶性化学成分を、例えば、高純度の精油画分(高精油化学成分濃度)に分別する工程を含んでいる。さらに、本発明は、抽出物画分内の個別化学成分がそれらの化学成分比もしくはプロフィールを変化させる可能性があるSCCO2プロセスを含んでいる。例えば、精油画分内の化学成分のSCCO2による分別分離は、他の化合物より所定の化合物の濃度が高い精油抽出物のサブ画分を精製できるように、他の精油化合物に比較して所定の精油化合物の優先的抽出を許容する。本発明によって教示されるようなSCCO2を用いたニワトコ種の精油化学成分の抽出は、毒性有機溶媒の使用を排除し、抽出物の同時分別を提供する。二酸化炭素は、天然の安全な生物学的生成物であり、多くの食品および飲料に含まれる成分である。
【0102】
ニワトコの生物活性化学成分の抽出方法の略図は、図1〜4に示した。抽出プロセスは、典型的には5工程であるが、それには限定されない。本抽出プロセスで使用した分析方法は、実験のセクションに提示されている。
【0103】
(工程1:ニワトコ精油の超臨界流体(二酸化炭素)抽出)
この抽出プロセスには、精油の疎水性の性質に起因して、SCCO2、ヘキサン、石油エーテル、および酢酸エチルを含むがそれらに限定されない非極性溶媒を使用できる。精油の成分の一部は揮発性であるため、抽出プロセスとして蒸気蒸留法もまた使用できる。
【0104】
SCCO2を用いるニワトコ種の根茎からの精油化学成分の抽出についての一般的説明は、図1に図示されている。供給原料10は、乾燥させて微粉化(約140メッシュ)したエルダーベリーもしくはエルダーフラワーである。抽出溶媒210は、純粋二酸化炭素である。補助溶媒としてエタノールを使用できる。供給原料は、SFE抽出容器20内に装填される。パージおよび漏れ試験の後、本プロセスは、貯蔵容器から冷却器を経由してCO2ポンプまで液化CO2を流動させる工程を含んでいる。CO2は所望の圧力まで圧縮され、圧力および温度が所望のレベルで維持されている抽出容器内の供給原料を通過するように流される。抽出のための圧力は約60bar〜800barの範囲内であり、温度は約35℃〜約90℃の範囲内である。本明細書で教示されるSCCO2抽出は、好ましくは少なくとも100barの圧力および少なくとも35℃の温度、ならびにより好ましくは約60bar〜500barの圧力および約40℃〜約80℃の温度で実施される。単一工程抽出を行うための抽出時間は、約30分間〜約2.5時間、〜約1時間である。溶媒対供給原料比は、典型的には各SCCO2抽出に対して約60:1である。CO2は、再利用される。抽出され、精製され、そしてプロファイリングされた精油化学成分30は、次にコレクターもしくはセパレーターに収集され、遮光性ガラス瓶に貯蔵され、照明を落とした4℃の冷蔵庫内に保管される。ニワトコ供給原料10は、結果として生じた抽出および精製されたニワトコ精油画分30が1つのコレクターSFEもしくはSCCO2システム20内に収集される1工程プロセス(図1)、または抽出されて精製およびプロファイリングされたニワトコ精油サブ画分50、60、70、80が個別および連続的に1つのコレクターSFEシステム20内に収集される多段階(図1、工程1B)で抽出できる。または、分別SFEシステムにおけるように、SCCO2抽出されたニワトコ供給原料は、各コレクター内にはその各々に精製精油サブ画分が収集されている相違する相対比率の精油化学成分組成(プロフィール)が存在するように、コレクター容器(セパレーター)内に分離することができる。残留物(残余)40が収集され、保存され、ニワトコ種フェノール酸および多糖類の精製画分を入手するためのさらなる加工処理のために使用される。本発明の1つの実施形態は、60bar〜500barの圧力および35℃〜90度の温度で多段階式SCCO2抽出法を用いてニワトコ種供給原料を抽出する工程と、各段階の後に抽出したニワトコ材料を収集する工程とを含んでいる。本発明の第2実施形態は、60bar〜500barの圧力および35℃〜90℃の温度で分別SCCO2抽出法を使用してニワトコ種供給原料を抽出する工程と、既定条件(圧力、温度、および密度)ならびに規定間隔(時間)で相違するコレクター容器内に抽出したニワトコ種材料を収集する工程とを含んでいる。多段階抽出機の各々、または相違するコレクター容器(分別システム)内の生じた抽出されたエルダーの精製精油サブ画分組成物は、回収して個別に使用できる、または天然植物材料中もしくは従来型のニワトコ抽出生成物中において見出される濃度より高い、もしくは低い規定の精油化学成分濃度を含む1つ以上のニワトコ種精油組成物を形成するために結合できる。典型的には、単一工程最高SCCO2抽出法を用いたエルダー種ベリーからの精油画分の全収率は、抽出物の95質量(重量)%を超える純度の精油化学成分を有して、約9重量%(精油化学成分の>95%)である。これとは対照的に、単一工程最高SCCO2抽出法を用いたエルダーフラワーからの精油画分の全収率は、抽出物の95質量(重量)%を超える純度の精油化学成分を有して、約1.5質量(重量)%(精油化学成分の>95%)である。これらのデータは、エルダーベリーがエルダーフラワーに比較して約6倍の濃度の精油化合物を含有することを証明している。本発明の実施例のためには、天然ニワトコ種供給原料としてエルダーベリーを使用した。この抽出プロセスの例は、実施例1に見いだすことができる。
【0105】
供給原料としてエルダーベリーを使用するこの実験実施例では、抽出条件は温度範囲が40〜80℃であり、圧力範囲が80〜500barであるように設定した。CO2流量は、10g/分であった。結果は、表8および9に示した。
【0106】
(表8.供給原料としてエルダーベリーを使用した場合の、温度、圧力、および時間がSCCO2による精油抽出収率に及ぼす作用)
【0107】
【表8】
(表9.GC−MSによる、様々なSFE条件で抽出したエルダーベリーのSCCO2による精油抽出物画分の化学組成(温度:Tおよび圧力:bar))
【0108】
【表9−1】
【0109】
【表9−2】
【0110】
【表9−3】
【0111】
【表9−4】
(表10.GC−MSによって同定されたエルダーベリーの精油化合物)
【0112】
【表10−1】
【0113】
【表10−2】
【0114】
【表10−3】
【0115】
【表10−4】
これらの結果は、圧力が抽出の動態に及ぼす作用を示している。
【0116】
抽出圧力が高いほど、少量のCO2消費量を伴ってより短時間で平衡に達するシステムを生じさせる。全抽出収率は、圧力上昇に関連する密度増加に起因して、抽出圧力の上昇に伴って増加する。興味深いことに、100〜300barなどの低圧、低温度、高収率は同様に高密度に関連していた。300〜500barなどの高圧力では、温度は抽出収率にはるかに小さな作用しか及ぼさない。高収率および高抽出効率は300barより大きな圧力を用いると達成できるが、精油化学成分の95%純度は、300bar未満の圧力および約40〜60℃の温度を用いて達成できる。
【0117】
調査した実験範囲では、温度と密度との間に競合作用が存在することを明確に述べることができる。温度が一定の場合には圧力の増加は超臨界および近臨界流体の溶解能力における増強に起因して収率の増加を導くというこの態様は、明確に規定されており、文献において立証されている。温度の上昇は、抽出に好ましい化合物の蒸気圧の強化を促進する。さらに、拡散係数の増加および溶媒粘度の減少もまた、温度がより高い数値に増加するにつれて草本性多孔質基質からの化合物の抽出に役立つ。他方では、システム圧が一定の場合の温度の上昇は、溶媒密度の減少をもたらす。
【0118】
GC−MS分析を用いると、各化合物の質量スペクトルによってエルダーベリー精油中で67種の化合物が分離されて同定された(表9および10)。化合物は、7〜50分間の保持時間を有し、主要アルデヒドは不飽和C7およびC10アルデヒドである9種のアルデヒド(C7〜C15)(表5に記載の化合物番号1、2、6、および8);11種のアルコール(C13〜C20);12種のエステル(C13〜C22);7種の脂肪酸(C14〜C22);および他の芳香族および脂肪族化合物を含む7炭素化合物(C7)〜23炭素化合物(C23)まで様々であった。知られている生物活性に基づくと、最も重要な化合物はC16およびC18の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸、アルコール、およびそのエステルであると思われる。例えば、ヘキサデカノール(#30)、ヘキサデカン酸(#34)、ヘキサデカン酸メチルエステル(#32)、ヘキサデカン酸エチルエステル(#35)、およびヘキサデカン酸ブチルエステル(#52)は、全部がC16化合物に属する。飽和オクタデカジエン酸ならびにそのエステルであるオクタデカン酸エチルエステル(#53)およびオクタデカン酸ブチルエステル、一価不飽和脂肪酸である9−オクタデセン−1−オール異性体(#38、39)、多価不飽和脂肪酸である9,12−オクタデカン酸異性体(#46、48)は、C18化合物に属する。C16およびC18脂肪酸の一般名は、パルミチン酸およびステアリン酸と呼ばれている。
【0119】
表9では、強調表示した化合物は、精油画分内で見いだされる高濃度の化合物である。化合物の比率は、様々なSCCO2抽出条件に伴って変動することに留意されたい。例えば、100barなどの低圧では、C16およびC18脂肪酸は低い全抽出収率を伴ってより高濃度で得られる。これとは対照的に、C16およびC18脂肪酸エステルは、高抽出温度で高濃度で見いだされる。
【0120】
興味深いことに、スクアレンは40℃および300barにおいて約23%の高濃度で抽出され、精油画分は40℃および500barの画分内で約8%の低濃度で抽出される。スクアレンは、一部のヒト癌のための補助療法として調査されてきた。動物モデルでは、肺癌を阻害することに有効であることが証明されている。さらにまた、動物モデルにおける結腸癌に対する化学的予防作用を有することもまた証明されている。動物モデルにおけるスクアレンの補給は、免疫機能を増強し、コレステロールレベルを減少させることが証明されている。
【0121】
結論として、所定のニワトコ種精油化学成分の濃度は、様々なSFE条件を用いて変化させることができる。そのような示差的SFE抽出特性を使用すると、図1の工程1Bに例示した連続的多段階式SCCO2分別システム、または複数コレクター分別システムを用いることによって、精製精油サブ画分中の所定化合物の濃度をさらに強化もしくは減少させることができる。
【0122】
(工程2:粗フェノール酸画分を抽出するための含水アルコール浸出プロセス)
1つの態様では、本発明は、分離抽出および精製のために残留物中にレクチンおよび多糖類を維持しながら、生物活性フェノール酸化学成分の抽出および濃縮を含んでいる(工程4)。この工程の一般的説明は、図2に図示されている。この工程2の抽出プロセスは、溶媒浸出プロセスである。この抽出のための供給原料は、ニワトコ種の微粉化した乾燥植物材料10もしくは工程1での精油化学成分のSCCO2による抽出からの残留物40のいずれかである。抽出溶媒220は、水性エタノールである。抽出溶媒は、10〜95%水性アルコールであってよいが、80%水性エタノールが好ましい。本方法では、ニワトコ供給原料および抽出溶媒が、加熱および攪拌される抽出容器100、150中に装填される。これは100℃、約90℃、約80℃、約70℃、または約60〜90℃へ加熱することができる。抽出は、約1〜10時間、約1〜5時間、約2時間にわたり実施される。生じた流体−抽出物は、濾過され(110)、遠心される(120)。濾液(上清)310、320、330は、生成物として収集され、容積および固体含量、溶媒を蒸発させた後の乾燥質量が測定される。抽出残留物材料160は、保持されて、その後の加工処理のために貯蔵される(工程4を参照)。抽出は、必要もしくは所望に応じて、複数回繰り返すことができる。これは、1回以上、2回以上、3回以上など繰り返すことができる。例えば、図2は、第2段階および第3段階が同一方法および条件を使用する、3段階式プロセスを示している。この抽出工程の例は、実施例2に見出される。結果は、表11に示した。
【0123】
(表11.エルダーベリーの浸出抽出による粗フェノール酸の収率および純度)
【0124】
【表11】
全粗フェノール酸抽出収率は、オリジナルの天然エルダーベリー供給原料の約35質量(重量)%であり、全フェノール酸抽出収率は1.6%およびフェノール酸の純度は画分の4.3質量(重量)%であった。粗フェノール酸画分中のアントシアニジン抽出収率は、オリジナルのエルダーベリー供給原料の0.06質量(重量)%であり、純度(濃度)は画分の0.18質量(重量)%であった。主要フェノール酸はルチンであり、主要アントシアニジンはシアニジン−3−グルコシドであった。これらのデータは、すべてが文献と一致している。この粗フェノール酸組成物は、最終生成物として、または所望のフェノール酸化学成分を精製するためのさらなる加工処理(工程3)のための供給原料としてのいずれかで使用できる。
【0125】
(工程3:親和性吸着剤抽出プロセス)
本明細書で教示するように、ニワトコおよび関連種由来の精製フェノール酸画分抽出物は、親和性吸着剤上に含水アルコール抽出物中に含有される活性フェノール酸を吸着できるように、ニワトコ供給原料の含水アルコール抽出物を固体親和性ポリマー吸着剤樹脂と接触させる工程によって入手できる。結合した化学成分は、引き続いて本明細書に教示した方法によって溶出される。フェノール酸画分化学成分を溶出する前に、その上に吸着させられた所望の化学成分を備える親和性吸着剤は、好ましくは、吸着剤と接触させる工程である任意の便宜的方法によって抽出物の残余から分離でき、分離は水性抽出物に抽出カラムもしくは吸着剤材料床を通過させる工程によって実行される。
【0126】
「Amberlite XAD−2」(Rohm & Hass社)、「Duolite S−30」(Diamond Alkai社)、「SP207」(Mitsubishi Chemical社)、ADS−5(Nankai大学、中国天津)、ADS−17(Nankai大学、中国天津)、Dialon HP20(Mitsubishi社、日本国)およびAmberlite XAD 7HP(Rohm & Hass社)などであるがそれらに限定されない様々な親和性吸着剤を利用すると、ニワトコ種のフェノール酸化学成分を精製することができる。Amaberlite XAD7 HPは、好ましくは、ニワトコおよび関連種のフェノール酸化学成分に対する高親和性に起因して使用される。
【0127】
吸着剤からフェノール酸化学成分を回収するためには様々な溶離剤を使用するとことができるが、本発明の1つの態様では、溶離剤は、メタノール、エタノール、もしくはプロパノールを含むがそれらに限定されない低分子量アルコールを含んでいる。第2の態様では、溶離剤は、水との混合液中の低分子量アルコールを含んでいる。また別の態様では、溶離剤は、低分子量アルコール、第2有機溶媒、および水を含んでいる。
【0128】
好ましくは、ニワトコ種供給原料は、抽出物を含有する水性フェノール酸化学成分を親和性吸着剤材料と接触させる工程の前に、工程1および2に記載したプロセスなどであるがそれらに限定されない1つ以上の予備精製プロセスを受けている。
【0129】
本発明によって教示されるように親和性吸着剤を使用すると、顕著にも、通常は天然植物材料中に、または入手可能な市販の抽出生成物中に存在する他の化学成分を含んでいない、ニワトコ種の高度に精製されたフェノール酸化学成分を生じさせる。例えば、本発明において教示されるプロセスは、乾燥質量(重量)%で40%過剰の全フェノール酸化学成分および2%過剰の全アントシアニジンを含有する、精製フェノール酸抽出物を生じさせることができる。
【0130】
ポリマー親和性吸着剤樹脂ビーズを用いるニワトコ種の葉からのフェノール酸の抽出および精製についての一般的説明は、図3に図示されている。この抽出プロセスのための供給原料は、工程2の水浸出抽出310+/−320+/−330からのフェノール酸を含有するエタノール水溶液であってよい。吸着剤樹脂ビーズの適切な重量(吸着剤樹脂1g当たり5mgのフェノール酸)は4〜5BV(床容積)エタノール230および4〜5BV蒸留水240を用いて、カラム410、420内へ装填する前後に洗浄した。水溶液310+320を含有するフェノール酸は、次に3〜5BV/時の流量でカラム430へ装填される。カラムが完全に装填されると、カラムは2〜3BV/時の流量で蒸留水250を用いて洗浄され(450)、吸着されたフェノール酸からすべての不純物が除去される。排出残留物440および洗浄残留物460が収集され、質量含量でフェノール酸含量について測定され、そして廃棄される。吸着されたフェノール酸470の溶出は、溶離液260としての3〜4BV/時の流量で40もしくは80%のエタノール/水を用いる均一濃度法で遂行され、溶離抽出物(抽出物)480についての溶出曲線が記録された。溶出容積480は、約25分毎に収集することができ、これらのサンプルはHPLCを用いて分析し、固体含量および純度について試験される。この抽出プロセスの例は、実施例3に見出される。結果は、表12および13に示した。
【0131】
(表12.XAD 7HPカラムから溶出させた様々な画分についての質量平衡およびHPLC分析の結果)
【0132】
【表12】
(表13.ADS5カラムから溶出させた様々な画分についての質量平衡およびHPLC分析の結果)
【0133】
【表13】
本明細書で教示するように、親和性吸着剤であるXAD7HPおよびADS5は、ニワトコ種植物材料のフラボノイドおよびアントシアニジンフェノール酸をさらに精製(濃縮)することができる。各溶出液サブ画分の質量(重量)%で40%を超える全フェノール酸、2.8%を超える全アントシアニジン、および29%を超えるルチンの純度。これらは、天然ニワトコ種植物材料中または知られている材料中で見いだされる濃度に比して10倍を超える、そして入手できるニワトコ種抽出生成物中において見出される濃度に比して5倍を超える増加を表している。装填溶液のフェノール酸化学成分の60質量(重量)%を超える収率が溶離剤中で回収される。オリジナルのニワトコ種供給原料に基づくと、全フェノール酸収率は、オリジナルの供給原料の約4.2質量(重量)%である。実際に、排出液もしくは洗浄液中では、ルチンもしくはアントシアニジンはほとんど全く検出できなかった。興味深いことに、ADS5は、様々な濃度のエタノール溶液を使用することによって様々なサブ画分中のルチンからアントシアニジンを分離することが可能であるという点で相当に固有の長所を有している。例えば、ADS5の40%エタノール溶出画分(F2)は、アントシアニジンを10倍を超えて濃縮させるが、他方結合サブ画分(F3+F4)は、ほとんどもしくは全くアントシアニジンの濃縮を伴わずにルチンを25倍を超えて濃縮させる。このため、工程3の親和性吸着剤プロセスは、新規な化学成分プロフィールを備える新規な精製フェノール酸サブ画分を産生できる。
【0134】
(工程4:レクチン−多糖類画分抽出プロセス)
ニワトコ種の化学成分のレクチン−多糖類画分抽出物画分は、科学文献において「水溶性、エタノール不溶性抽出物画分」として規定されている。水溶媒浸出およびエタノール沈降プロセスを用いてニワトコ種の抽出物から多糖類画分を抽出する方法についての一般的説明は、図4に図示されている。供給原料160は、工程2の含水アルコール浸出抽出プロセスからの固体残留物である。この供給原料は、2段階で浸出抽出される。溶媒は、蒸留水270である。本方法では、ニワトコ種残留物160および抽出溶媒270は、抽出容器500、520中に装填され、加熱および攪拌される。これは、100℃、約80℃、または約70〜90℃へ加熱されてよい。この抽出は、約1〜5時間、約2〜4時間、または約2時間にわたり実施される。2段階抽出溶液600+610は結合され、スラリーは濾過され(540)、遠心分離され(550)、そして蒸発させられて(560)、溶液620中の化学物質の濃度が約8倍に増加するまで水が除去される。次に無水エタノール280を使用して、60〜80%の最終エタノール濃度を作製するためにオリジナルの溶液の容積が復元される。大きな沈降物570が観察される。この溶液は遠心分離され(580)、デカンテーションされ(590)、上清残留物730が廃棄される。沈降生成物640は、多糖類については参照標準物質として5,000〜410,000の分子量のデキストランを用いる比色法を用いて、そしてタンパク質についてはBradfordタンパク質分析法を用いて分析できる精製レクチン−多糖類画分である。抽出した多糖類画分の純度は、オリジナルの天然ニワトコ種植物材料供給原料の2.4〜3.5質量(重量)%の全収率を生じる約100〜170mg/gのデキストラン標準等価物である。抽出したレクチンタンパク質の純度は、オリジナルの天然ニワトコ種植物材料の0.56質量(重量)%の全収率を生じるレクチン−多糖類画分の約16質量(重量)%である。この抽出プロセスの例は、実施例4に見出される。結果は、表14および15に示した。さらに、AccuTOF−DART質量分析法(実験のセクションを参照)を使用して、精製した多糖類画分を含む化合物の分子量をさらにプロファイリングした。
【0135】
(表14.エルダーベリーのレクチン−多糖類画分の多糖類分析)
【0136】
【表14】
(表15.エルダーベリーのレクチン−多糖類画分のタンパク質分析)
【0137】
【表15】
全ニワトコのレクチン−多糖類収率は、オリジナルの天然エルダーベリー供給原料に基づく質量(重量)%で、60%エタノール沈降法を用いると2.43%であり、80%エタノール沈降法を用いると3.45%であった。ニワトコ種植物材料および他の植物を用いた複数回の実験ならびに科学文献に基づくと、レクチン−多糖類画分の3.5%の収率は、生ニワトコ種植物材料中に存在する水溶性−エタノール不溶性多糖類およびレクチンタンパク質の濃度に極めて近い。
【0138】
多糖類の純度は、100〜170mg/g(デキストラン当量)であった。多糖類画分のデキストラン当量は他の植物由来の精製多糖類画分を用いて見いだされたものよりいくらか低いと思われるが、ニワトコ種植物材料中の多糖類の分子量は知られていない。そこで、多糖類化学成分の純度は、デキストラン当量を用いた比色アッセイを用いて推定されるものよりニワトコ種精製多糖類画分中における方がはるかに高い可能性がある。
【0139】
ニワトコのレクチン−多糖類画分中のレクチンタンパク質の純度は、その画分の質量(重量)%で、60%エタノール沈降法を用いた場合は4.8%、そして80%エタノール沈降法を用いた場合は16.2%であった。80%エタノール沈降法を用いた場合の全レクチンタンパク質収率は、オリジナルの天然ニワトコ種供給原料に基づくと0.56質量(重量)%であり、粗水浸出抽出物に基づくと約95質量(重量)%であった。60%エタノール沈降法を用いた場合の全レクチン収率は、粗水浸出抽出物に基づくと約20質量(重量)%に過ぎない。60%エタノール沈降法は、高純度の多糖類化学成分および低純度のレクチンタンパク質を生じさせる。このため、2段階式エタノール沈降法を用いると、60%エタノール沈降法を用いて高多糖類濃度の低レクチンタンパク質濃度プロフィール(約0/1)のサブ画分を有し、その後に80%エタノールを用いる第2段階沈降法によって低多糖類/高レクチンタンパク質濃度プロフィール(約2/1)サブ画分を生成することが可能である。
【0140】
当技術分野においては、溶液からアルコールを除去するための多数の方法が知られている。再利用するためにアルコールを維持することが望ましい場合は、アルコールは、標準もしくは低い大気圧下での蒸留によって、抽出後に溶液から除去することができる。そのアルコールは、再使用できる。さらに、当技術分野においては、さらに水溶液もしくはそれからアルコールが除去された溶液のいずれかである溶液から水を除去するために知られている多数の方法がある。そのような方法には、水溶液を例えば炭酸マグネシウムもしくはマルトデキストリンなどであるがそれらに限定されない適切な担体上へ噴霧して乾燥させる工程が含まれる、または、液体は凍結乾燥法もしくはリフラクティブ・ウインドウ(refractive window)乾燥法によって乾燥させることができる。
【0141】
(食品および医薬)
本発明の食品の形態として、例えば、顆粒状態、粒状状態、ペースト状態、ゲル状態、固体状態、または液体状態などのあらゆる任意の形態に調製することができる。これらの形態では、例えば、結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、風味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存料、乳化剤、等張剤、安定剤もしくはpH調節剤などの食品に加えることが許可されている、当業者に従来より知られている様々な種類の物質を任意で含有することができる。食品に加えられるエルダーベリー抽出物の量は、特別には限定されないが、それは、例えば、体重が約60kgの成人が摂取する量として1日当たり約10mg〜5g、好ましくは50mg〜2gであってよい。
【0142】
詳細には、それが健康を維持するための食品、機能性食品などとして利用される場合は、本発明の規定の作用が十分に証明されているような量で本発明の有効成分を含有することが好ましい。
【0143】
本発明の医薬は、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固体作用物質、または注射剤などの液体作用物質として、従来より知られている方法によって任意に調製できる。これらの医薬には、例えば結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、風味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存料、乳化剤、等張剤、安定剤もしくはpH調節剤などの一般に使用される任意の材料を用いて調製できる。
【0144】
医薬中の有効成分(エルダーベリー抽出物)の投与量は、種類、剤形、患者の年齢、体重もしくは症状などに依存して変動する可能性があり、そしてそれが経口投与される場合は、体重が約60kgの成人に対しては1日当たり1もしくは数回にわたり投与され、さらに1日当たり約10mg〜5g、好ましくは約50mg〜2gの量で投与される。有効成分は、ニワトコ抽出物の1つまたは数種の成分であってよい。
【0145】
(送達系)
本発明の組成物を被験体に送達するために有用な投与様式には、例えば、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤および吸入剤などの当業者には一般に知られている投与様式が含まれる。
【0146】
1つの実施形態では、投与様式は、例えば、リポソーム製剤などの徐放性もしくは制御放出性吸入製剤を含んでいてよい吸入剤である。そのような送達系は、SARS、鳥インフルエンザなどについて被験体を処置するために有用であろう。本実施形態では、本発明の製剤は、鼻腔内投与のために適する任意の定量投与器具で使用できる。本器具は、一見して最適な計量精度および鼻腔投与製剤との例えば容器、弁およびアクチュエーターなどの構成要素の適合性を保証するように構成されなければならず、そして例えば定量ネブライザー、ドライパウダー吸入器、ソフトミスト吸入器、またはネブライザーのポンプシステムのような機械的ポンプシステムを基礎とすることができよう。大量の投与される用量に起因して、好ましい器具には、ジェットネブライザー(例えば、PARI LC Star、AKITA)、ソフトミスト吸入器(例えば、PARI e−Flow)、およびカプセル使用型ドライパウダー吸入器(例えば、PH&T Turbospin)が含まれる。適切な推進剤は、フッ化炭素、炭化水素、窒素および酸化二窒素またはそれらの混合気などの気体から選択できる。
【0147】
吸入送達器具は、ネブライザーもしくは計量吸入器(MDI)、または当業者には知られている任意の他の適切な吸入送達器具であってよい。器具は、単回用量の製剤を含有しており、それを送達するために使用できる、または器具は複数回用量の本発明の組成物を含有しており、それを送達するために使用できる。
【0148】
ネブライザータイプの吸入送達器具は、通常は水性である液剤、または懸濁剤として本発明の組成物を含有することができる。吸入のために本組成物の噴霧スプレーを生成する際に、ネブライザータイプの送達器具は、超音波により、圧縮空気により、他の気体により、電気的もしくは機械的に駆動させることができる。超音波ネブライザー器具は、通常は電気化学的振動面を介して製剤の液体膜へ高速振動波形を付与することによって作動する。所定の振幅では、波形は不安定になり、それにより液体膜を分解し、製剤の小滴を作り出す。空気もしくは他の気体によって駆動されるネブライザー器具は、高圧ガス流が局所的圧力低下を作り出し、それが毛細管作用によって液体製剤をガス流内に引き込むことに基づいて作用する。この微細な液体流は、次に剪断力によって分解される。ネブライザーは、設計においてポータブル型およびハンドヘルド型であってよく、内蔵電気ユニットを装備することができる。ネブライザー器具は、それを通して液体製剤を加速できる規定アパーチャサイズの、2本の同じ場所にある出口チャネルを有するノズルを含んでいてよい。これは、2つの流れの衝突および製剤の噴霧化を生じさせる。ネブライザーは、吸入用の製剤のエアロゾルを生成するために、規定アパーチャサイズの複数孔ノズルを通して液体製剤を推し進めるために機械的アクチュエーターを使用できる。単回用量ネブライザーの設計においては、単回用量の製剤を含有するブリスターパックを使用できる。
【0149】
本発明においては、ネブライザーは、例えば、肺膜内に粒子を配置するために粒子のサイズ設定が最適であることを保証するために使用できる。
【0150】
定量吸入器(MDI)は、本発明の組成物のための吸入送達器具として使用できる。本器具は加圧式(pMDI)で、その基本構造は、計量弁、アクチュエーターおよび容器を含んでいる。器具から製剤を放出するためには推進剤が使用される。本組成物は、加圧推進剤液体中に懸濁させた規定サイズの粒子から構成されてよい、または本組成物は加圧液体推進剤の溶液もしくは懸濁液中にあってよい。使用される推進剤は、例えば134aおよび227などの主として大気に優しいヒドロフルオロカーボン(HFC)である。CFC−11、12および114のような伝統的クロロフルオロカーボンは、不可欠である場合にのみ使用される。吸入システムの器具は、例えばブリスターパックによって単回用量を送達できる、またはそれは複数回投与の設計であってもよい。吸入システムの加圧計量吸入器は、正確な用量の脂質含有製剤を送達するために呼吸作動させることができる。投与の精度を保証するために、製剤の送達は、吸入サイクルの所定の時点で発生させるためにマイクロプロセッサーによってプログラミングすることができる。MDIは、ポータブル型およびハンドヘルド型であってよい。
【0151】
また別の実施形態では、送達系は、例えば、ヒドロゲル、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、もしくはパッチ剤などの経皮送達系であってよい。パッチは、詳細には、数週間もしくは数カ月間の時限投与が所望の場合に使用できる。
【0152】
また別の実施形態では、非経口の投与経路を使用できる。非経口経路は、身体の様々な区画内への注射を含んでいる。非経口経路には、静脈内(iv)、すなわち、静脈を通して血管系への直接的投与;動脈内(ia)、すなわち、動脈を通して血管系への直接的投与;腹腔内(ip)、すなわち、腹腔内への投与;皮下(sc)、すなわち、皮膚下への投与;筋肉内(im)、すなわち、筋肉内への投与;および皮内(id)、すなわち、皮膚層間への投与が含まれる。非経口経路は、投与される製剤の一部が消化管内で部分的もしくは完全に分解するであろう場合には、時には経口経路よりも好ましい。同様に、救急症例において迅速な反応が必要な場合には、非経口投与は、通常は経口よりも好ましい。
【0153】
(インフルエンザの処置方法)
A型インフルエンザウイルスH1N1に対するエルダーベリー画分の阻害活性を定量した。画分の連続希釈液を知られている量のウイルスとともにインキュベートし、細胞培養単層へ送達した(図5を参照)。用量反応曲線をプロットし、A型ヒトインフルエンザHIN1ウイルスに対する50%阻害濃度(IC50)を各画分について決定した。IC50値については、図6〜11および以下の表16を参照されたい。さらに、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2がデング熱ウイルスならびにA型ヒトインフルエンザウイルスH1N1を阻害することも決定されている(図12を参照)。実験プロトコルについては、実施例9を参照されたい。
【0154】
(表16.A型ヒトインフルエンザH1N1ウイルスを用いた阻害分析の結果の要約)
【0155】
【表16】
(HIVの処置方法)
HIV−1ウイルスに対するエルダーベリー画分の阻害活性を定量した。知られている希釈率の抽出物を知られている量のキメラHIV−1 SG3(ゲノム)Cサブタイプ(エンベロープ)ウイルスとともにインキュベートした。図9を参照されたい。用量反応曲線をプロットし、外挿した50%阻害濃度(IC50)を決定した。図32〜34および以下の表17を参照されたい。実験プロトコルについては、実施例10を参照されたい。
【0156】
(表17.HIV−1ウイルスを用いた阻害分析の結果の要約)
【0157】
【表17】
(適例)
(材料)
植物:野生のSambucus nigra L.(Sambuca nigra L.)の果実(エルダーベリー)(製品番号:724、ロット番号:L10379w、ハンガリー)およびSambucus nigra L.(Sambuca nigra L.)の花(エルダーフラワー)(製品番号:725、ロット番号:L01258W、ポーランド)は、Blessed Herbs社(シンシナティ)から購入した。
【0158】
有機溶媒:アセトン(67−64−1)、≧99.5%、ACS試薬(179124);HPLC用のアセトニトリル(75−05−8)、勾配グレード≧99.9%(GC)(000687);ヘキサン(110−54−3)、95+%、分光法グレード(248878);酢酸エチル(141−78−6)、99.5+%、ACSグレード(319902);4.8%イソプロパノールを用いて変性させたエタノール(02853);無水エタノール(64−17−5)(02883);メタノール(67−56−1)、99.93%、ACS HPLCグレード(4391993);および水(7732−18−5)、HPLCグレード(95304)。全部をSigma−Aldrich社から購入した。
【0159】
酸および塩基:ギ酸(64−18−6)、50%溶液(09676);酢酸(64−19−7)、99.7+%、ACS試薬(320099);塩酸(7647−01−0)、容積標準1.0N水溶液(318949);Folin−Ciocalteuフェノール試薬(2N)(47641);フェノール(108−95−2)(P3653);硫酸(7664−93−9)、ACS試薬、95〜97%(44719);および炭酸ナトリウム(S263−1、ロット番号:037406)は、Fisher社から購入した。
【0160】
化学参照標準物質:血清アルブミン(9048−46−8)、試験したウシアルブミン画分V粉末細胞培養(A9418);ルチン(CAS番号:153−18−4);およびシアニジン3−グルコシド塩化物(CAS番号:7084−24−4)は、Chromadex社から購入した。DINにしたがって認定されたデキストラン標準物質[5000(00269)、50,000(00891)および410,000(00895)]は、Fluka社から購入した。HPLC化学参照標準物質の構造は、以下に示した。
【0161】
【化3】
ポリマー親和性吸着剤:560〜710nmの粒径および380m2/gの表面積を備える白色透明ビーズとして使用した、マクロ網状脂肪族アクリル架橋結合ポリマーであるAmberlite XAD 7HP(Rohm & Haas社、フランス国)。300〜1200nmの粒径および500〜600m2/gの表面積を備える、エステル基改質ポリスチレンであるADS−5(Nankai大学、中国)。
【0162】
(方法)
(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法)
クロマトグラフィーシステム:SPD−M 10AVP光ダイオードアレイ検出器を備える、LC10ADVPポンプを装備した、Shimadzu社製高速液体クロマトグラフィーLC10AVPシステム。
【0163】
本発明のエタノール抽出生成物は、逆相Jupiter C18カラム(内径250×4.6mm、5μ、300Å)(Phenomenex社、部品番号:00G−4053−E0、製造番号:2217520−3、バッチ番号:5243−17)上で測定した。注入量は10μLであり、移動相の流量は1mL/分であった。カラム温度は、25℃であった。移動相は、A(5%ギ酸/酢酸、v/v)およびB(メタノール)から構成された。勾配は次のようにプログラミングした:最初の2分間は、Bを5%で2〜10分間維持し、溶媒Bを10〜15分間かけて5%〜24%へ線形で増加させ、Bを15〜30分間にわたり24%で維持し、Bを30〜35分間にわたり24%〜35%へ線形で増加させ、Bを35〜50分間にわたり35%で維持し、Bを35%〜45%へ線形で増加させ、この組成で5分間、さらに55〜65分間にわたり保持し、65〜68分間にわたり45%〜5%へ線形で減少させ、Bを5%で維持した。検出波長は、フラボノイドについては350nmであり、アントシアニジンについては520nmであった。
【0164】
2つの参照標準物質のメタノールストック溶液は、計量した量の標準化合物を5mg/mLでエタノール中に溶解させる工程によって調製した。混合参照標準物質溶液は、次に一連の溶液を各々1.0、0.5、0.25、0.1、および0.05mg/mLの最終濃度で生成するために段階的に希釈した。ストック溶液および作用溶液は全部を7日間以内に使用し、+4℃で保管し、使用前に室温にさせた。これらの溶液を使用して、エルダーベリーおよびエルダーフラワー両方において化合物を同定および定量した。520nmでのシアニジン−3−グルコシド(CY3glu)および350nmでのルチンの保持時間は、各々約13.27および20.20分間であった。0.01〜20μgの範囲内の線形フィットが見出された。回帰方程式および相関係数は、次のとおりであった:アントシアニジン−3−グルコシド:面積/100=20888*×C(μg)+502.21、R2=0.9994(N=5);およびルチン:面積/100=11573×C(μg)+584.57、R2=0.9996(N=5)。HPLCの結果は、表18に示した。各サンプル中の参照標準物質の含量は、ピーク面積に基づいて対応する検量線からの内挿によって計算した。
【0165】
(表18.メタノール中の0.1mg/mLの濃度でのニワトコ参照標準物質についてのHPLC分析の結果)
【0166】
【表18】
*理論段数は:N=16×(tR/w)2によって計算した。tRは保持時間であり、wはピークの幅である、https://www.mn−net.com/web%5CMN−WEB HPLCKatalog.nsf/WebE/GRUNDLAGEN
(ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)法)
GC−MS分析は、Shimadzu GCMS−QP2010システムを使用して実施した。このシステムは、高性能ガスクロマトグラフ、直接結合GC/MSインターフェース、独立温度制御装置を備える電気衝撃(EI)イオン源、および四重極マスフィルターを含んでいる。このシステムは、データ収集およびラン後分析のためのGCMS溶液Ver.2ソフトウエアを用いて制御される。分離は、下記の温度プログラムを用いて、Agilent J&W DB−5溶融石英キャピラリーカラム(内径30m×0.25mm、厚さ0.25μmのフィルム(5%フェニル、95%ジメチルシロキサン)(カタログ番号:1225032、製造番号:US5285774H)上で実施した。初期温度は60℃で、2分間にわたり維持し、次に4℃/分の速度で120℃へ上昇させ、15分間維持し、次に4℃/分の速度で200℃へ上昇させ、15分間にわたり維持し、次に4℃/分の速度で240℃へ上昇させ、さらに15分間にわたり維持した。全ラン時間は、およそ92分間であった。サンプル注入温度は、250℃であった。1μLのサンプルは、オートインジェクターによってスプリットレスモードで1分間に注入した。キャリヤーガスはヘリウムであり、流量は60kPaの圧力によって制御した。そのような圧力下で、流量は1.03mL/分であり、線形速度は37.1cm/分および総流量は35mL/分であった。MSイオン源温度は230℃であり、GC/MSインターフェース温度は250℃であった。MS検出器は、70eVのイオン化電圧を用いて1,000AMU/秒のスキャン速度で50〜500のm/z間でスキャンした。溶媒カットオフ温度は、3.5分間であった。
【0167】
Folin−Ciocalteu法(Markar,H.P.S.,BluemmelM.,Borowy,N.K.and Becker,K.,1993,J.Sci.Food Agric.61:161−165)による全フェノール酸濃度
機器:Shimadzu UV−Vis分光光度計(UVプローブを備えるUV1700:S/N:A1102421982LP)。
【0168】
参照標準物質:1mg/mLの濃度で没食子酸/水のストック水溶液を作製した。適切な量の没食子酸溶液を試験管中に装填し、蒸留水を用いて容量を0.5mLにし、0.25mLのFolin Ciocalteu試薬を加え、そして次に1.25mLの20重量%炭酸ナトリウム溶液を加えた。試験管を40分間にわたり超音波浴中でしっかりと振とうし、725nmで吸光度を記録した。参照標準物質のデータは、表19に示した。
【0169】
(表19.Folin−Ciocalteu法で没食子酸参照標準物質を使用するための検量線データ)
【0170】
【表19】
*:没食子酸溶液の量は、吸着情報に左右される。
【0171】
未知のサンプル:適切なアリコートのタンニン含有抽出物を試験管中に入れ、蒸留水を用いて容量を0.5mLにし、0.25mLのFolin Ciocalteu試薬を加え、そして次に1.25mLの炭酸ナトリウム溶液を加えた。試験管をボルテックスミキサーにかけ、40分後に725nmで吸光度を記録した。上記の検量線から没食子酸等価物として全フェノールの量を計算した。
【0172】
(Bradford試薬法によるタンパク質含量の決定)
機器:Shimadzu UV−Vis分光光度計(UVプローブを備えるUV1700:S/N:A1102421982LP)。
【0173】
標準検量線:未知サンプルとして同一バッファー中で適切な濃度のタンパク質標準物質を調製した。本発明では、脱イオン水をバッファーと置換することができる。2mg/mLのBSAのタンパク質標準物質溶液を連続希釈することによって0.1〜1.4mg/mLの範囲内のBSA標準物質を作製した。次に、0.1mLのBSA標準物質を3mLのBradford試薬と混合した。混合液をボルテックスミキサーにかけ、サンプルを5〜45分間にわたり室温でインキュベートした。吸光度を595nmで記録した。サンプルの吸光度は、60分間の制限時間前および相互に10分間以内に記録しなければならない。結果は、表20に示した。
【0174】
(表20.Bradfordタンパク質アッセイについての標準検量データ)
【0175】
【表20】
未知サンプルの分析:試験管中にタンパク質含有試験サンプルの適切なアリコートを入れた;蒸留水を用いて容量を0.1mLにした。次に3mLのBradford試薬を加えた。試験管を振とうし、5〜45分間以内に595nmで吸光度を記録した。上記の検量線からBSA標準物質等価物としてタンパク質の量を計算した。
比色法(Dubois,M.,Gilles,K.A.,Hamilton,J.K.,Rebers,P.A.and Smith,F.,1956,Analytical Chemistry 28(3):350−356)を用いた多糖類分析。
【0176】
分光光度計システム:本試験では、Shimadzu UV−1700紫外・可視分光光度計(190〜1100nm、分解能1mm)を使用した。
【0177】
多糖類分析のためには比色法が使用されてきた。デキストランの0.1mg/mLのストック溶液(分子量=5,000、50,000および410,000)を作製した。0.08、0.16、0.24、0.32、0.40mLのストック溶液を取り出し、蒸留水を用いて容量を0.4mLにした。次に0.2mLの5%フェノール溶液および1mLの濃硫酸中に加えた。この混合液を10分間放置し、その後にUVスキャニングを実施した。最高吸光度は、488nmで見いだされた。次に波長を488nmに設定し、各サンプルについて吸光度を測定した。結果は、表21に示した。標準検量線は、以下のようにデキストラン溶液各々について入手した:デキストラン5,000、吸光度=0.01919+0.027782C(μg)、R2=0.97(N=5);デキストラン50,000、吸光度=0.0075714+0.032196C(μg)、R2=0.96(N=5);およびデキストラン410,000、吸光度=0.03481+0.036293C(μg)、R2=0.98(N=5)。
【0178】
(表21.デキストラン参照標準物質の比色分析)
【0179】
【表21】
(多糖類分析のためのリアルタイム直接分析(DART)質量分析)
全DARTクロマトグラム、および詳細にはXAD 7HP充填剤からの画分F1〜F6およびADS5充填剤からの画分F1〜F4についてのDARTクロマトグラムは、以下に記載した機器および方法を用いてランした。
【0180】
機器:JOEL AccuTOF−DART LC飛行時間質量分析計(Joel USA社、米国マサチューセッツ州ピーボディ)。この飛行時間(TOF)質量分析計の技術は、サンプル調製を必要とせず、0.00001質量単位までの精度の質量を生成する。
【0181】
方法:多糖類画分を捕捉および分析するために利用したこの機器の設定は、次のとおりであった:カチオンモードについては、DART針電圧は3,000V、250℃での加熱要素、電極1は100V、電極2は250V、およびヘリウムガス流量は7.45リットル/分(L/分)であった。質量分析計については、オリフィス1は10V、リングレンズは5V、およびオリフィス2は3Vであった。ピーク電圧は、およそ60m/zから出発する解像力を得るために600Vに設定したが、それでもより大きな質量範囲で十分な分解能を許容した。マイクロチャネルプレート検出器(MCP)電圧は、2,450Vに設定した。検量は、0.5Mカフェイン溶液標準物質(Sigma−Aldrich社、米国セントルイス)を用いてサンプル導入前に毎朝実施した。検量公差は、≦5mμに維持した。
【0182】
サンプルは、サンプルの最大表面積をヘリウムプラズマビームに曝露させることを保証するように、無菌鉗子を用いてDARTヘリウムプラズマ内に導入した。サンプルをビーム内に導入するためには、掃引運動を使用した。この運動はサンプルを約0.5秒/スワイプについて前後ストロークで繰り返し曝露させ、サンプルの熱分解を防止することを許容した。この運動は、感知できる全イオン電流(TIC)シグナルが検出器で観察されるまで繰り返し、次にベースライン/バックグラウンド標準化を許容するために、サンプルを除去した。
【0183】
アニオンモードのためには、DARTおよびAccuTOF MSを陰イオンモードへ切り替えた。針電圧は3,000V、加熱要素は250℃、電極1は100V、電極2は250V、およびヘリウムガス流量は7.45L/分であった。質量分析計については、オリフィス1は−20V、リングレンズは−13V、およびオリフィス2は−5Vであった。ピーク電圧は、200Vであった。MCP電圧は2,450Vに設定した。サンプルは、カチオンモードと正確に同一方法で導入した。全データ分析は、機器と一緒に供給されるMassCenterMain Suiteソフトウエアを用いて実施した。
【実施例】
【0184】
(実施例1)
(工程1Aの実施例:エルダーベリーの単一工程SFE最高抽出および精製)
全SFE抽出は、各々690barおよび200℃までの圧力および温度に対して設計されたSFT 250(Supercritical Fluid Technologies社、米国デラウエア州ニューアーク)上で実施した。この装置は、動的もしくは静的モードいずれかで作動するための柔軟性を備えて、超臨界条件での単純かつ効率的抽出を許容する。この装置は、主として3つのモジュールであるオーブン、ポンプおよび制御装置、ならびに収集モジュールから構成される。オーブンは、1つの予熱カラムおよび1つの100mL抽出容器を有している。ポンプモジュールには、300mL/分の定流量能力を備える圧縮空気駆動式ポンプが装備されている。収集モジュールは、抽出生成物を回収するためのキャップおよび隔膜で密封された40mLのガラスバイアルである。この装置には、マイクロメーター弁および流量計が用意されている。抽出容器の圧力および温度は、監視され、±3bar以内および±1℃以内で制御される。
【0185】
典型的な実験実施例では、スクリーン(140メッシュ)を用いて測定した105μmを超えるサイズへふるいにかけた、5gの微粉化したSambucus Nigra L.の果実(エルダーベリー)または花(エルダーフラワー)の粉末を各実験のために100mLの抽出容器に装填した。固体材料が持ち越される可能性を回避するために、カラムの両端にガラスウールを配置した。オーブンは、充填容器に装填する前に、所望温度へ予熱した。容器をオーブンに接続した後に、CO2(約850psig)を用いてシステムを加圧することによって抽出システムを漏出について試験し、パージした。システムを密閉し、空気駆動式液体ポンプを用いて所望の抽出圧へ加圧した。次に、システムを平衡させるために約3分間にわたり放置した。サンプリングバイアル(40mL)を計量し、サンプリングポートへ接続した。抽出は、計量弁によって制御される約5SLPM(10g/分)の速度でCO2を流動させることによって開始した。収率は、全抽出物対原料の供給量の重量比であると規定した。収率は、抽出器内の原料の初期装填量に比較した、抽出された油の重量%とであると規定した。温度を40〜80℃および圧力を100〜500barの間で変動させる全要因抽出設計を採用した。各条件で入手された抽出物は、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)分析のために、400ppmの濃度でジクロロメタン中に溶解させた。
【0186】
(実施例2)
(工程2の実施例:含水アルコール浸出抽出)
ニワトコ種のフェノール酸化学成分についての2段階式溶媒抽出の典型的な実施例は、次のとおりである:供給原料は、精油の工程1のSCCO2抽出(60℃、300bar、90分)からの17.6gの微粉化したエルダーベリーSFE残留物であった。溶媒は、300mLの25%エタノール水溶液であった。この方法では、供給原料および80%エタノール水溶液を500mLの抽出容器内へ個別に装填し、4時間にわたり60℃で加熱水浴中で混合した。抽出溶液は、4〜8μmの粒子保持サイズを有するFisherbrand P4濾紙を使用して濾過し、20分間にわたり2,000rpmで遠心分離し、粒子状残留物をその後の抽出のために使用した。濾液(上清)を収集し、収率計算、HPLC分析、ならびにF1〜F4およびF1〜F6画分の生成のために結合した(下記の実施例3を参照されたい)。上記の方法を用いて、第1段階の残留物を2時間にわたり抽出した(第2段階)。
【0187】
(実施例3)
(工程3の実施例:フェノール酸画分の親和性吸着剤抽出(F1〜F4およびF1〜F6画分の調製))
典型的な実験では、作用溶液は、工程2におけるニワトコ種のエタノール水溶液浸出抽出物の透明含水アルコール溶液であった。親和性吸着剤ポリマー樹脂は、XAD7HPまたはADS5であった。15gのADS5親和性吸着剤または20gのXAD7HP親和性吸着剤は、内径25mmおよび長さ500mmを備えるカラム内に充填する前後に、95%エタノール(4〜5BV)および蒸留水(4〜5BV)を用いて予備洗浄した。装填溶液は粗80%エタノール浸出フェノール酸溶液であったが、化学成分は回転真空蒸留およびエタノールの再循環によって濃縮させた。最終装填溶液の濃度は、XAD7HP装填のためには29.03mg/mLおよびADS5装填のためには34.90mg/mLであった。0.3BV/時の流量で、50mLの装填溶液はXAD7HPカラム上に装填し、60mLの装填溶液はADS5カラム上に装填した。装填時間は、約50〜60分間であった。装填されたカラムは、13分間の洗浄時間を用いて0.2BV/時の流量で2BVの蒸留水により洗浄した。40mLの40%および80%水性エタノールを使用して、XAD7HPについては2mL/分およびADS5については1.5mL/分の流量で装填したカラムを連続的に溶出させた。溶出中、6つの溶離剤画分(F1〜F6:F1 約20mL、F2 約20mL、F3 約18mL、F4 約10mL、F5 約17mL、およびF6 約27mL)をXAD7HPカラムから収集し、4つの溶離剤画分(F1〜F4:F1 約20mL、F2 約20mL、F3 約17mL、およびF4 約17mL)をADS5カラムから各々収集した。XAD7HPカラムについては、F1〜F3は、40%エタノールを用いて溶出し、そしてF4〜F6は80%エタノールを用いて収集した。ADS5カラムについては、F1〜F2は、40%エタノールを用いて溶出し、そしてF3〜F4は80%エタノールを用いて溶出させた。次に、4〜5BVの95%エタノールを使用して、3.6BV/時の流量でカラム上に残留している化学薬品を一掃し、その後に3.8BV/時で4〜5BVの蒸留水を用いて洗浄した。全プロセス所要時間は、2時間未満であった。全プロセス中の流量は、FPU 252 Omegaflex(登録商標)速度可変式(3〜50mL/分)蠕動ポンプを用いて制御した。各溶出画分を収集し、DART質量平衡およびHPLCによって分析した。
【0188】
(実施例4)
(工程5の実施例:多糖類画分の抽出)
ニワトコ種の水溶性−エタノール不溶性精製レクチン−多糖類画分化学成分の溶媒抽出および沈降の典型的な実験的実施例は、次のとおりである:2段階式含水アルコール浸出抽出(工程2)からの15gの固体残留物は、80℃で2時間にわたり300mLの蒸留水を用いて2段階で抽出した。2つの抽出溶液を結合し、スラリーはFisherbrand P4濾紙(孔径:4〜8μm)を用いて濾過し、20分間にわたり2,000rpmで遠心した。溶液中の化合物の濃度は、3.8mg/mLであった。300mLのこの溶液、および次に456mLもしくは1,200mLの無水エタノールを加えて60%もしくは80%の最終エタノール濃度を作製した。溶液を1時間にわたり放置すると、その間に沈降が発生した。抽出溶液を20分間にわたり3,000rpmで遠心し、上清をデカンテーションし、廃棄した。沈降物を収集し、50℃のオーブンで12時間にわたり乾燥させた。乾燥させた多糖類画分を計量し、参照標準物質としてデキストランを用いる比色法による多糖類純度の分析およびBradfordタンパク質アッセイ法を用いるレクチンタンパク質純度の分析のために水中に溶解させた。AccuTOF−DART質量分析法を使用して、精製した多糖類画分を含む化合物の分子量をさらにプロファイリングした。エルダーベリーの結果は、図36および37ならびに表22に示した。エルダーフラワーの結果は、図38および39ならびに表22に示した。
【0189】
(表20.エルダーベリーおよびエルダーフラワー由来の多糖類についてのDART分析)
【0190】
【表20−A】
【0191】
【表20−B】
【0192】
【表20−C】
(実施例5)
以下の成分を調製物のために混合した:
【0193】
【化4】
ニワトコ種の新規抽出物は、精油画分、フェノール酸−精油画分、および多糖類画分を天然根茎材料中もしくは従来型抽出生成物中で見いだされるより多い質量(重量)%で含んでいる。本調製物は、経口製剤に作製して、1日1回または所望の生理学的および心理学的作用(興奮および情動不安の減少)および医学的作用(一般的な風邪、インフルエンザ、単純ヘルペス、帯状疱疹、およびHIVなどのウイルス疾患、糖尿病、心血管および脳血管疾患の予防および処置、抗アテローム硬化症、酸化防止剤およびフリーラジカル捕捉剤、抗炎症薬、抗関節炎薬、抗リウマチ薬、および消化管障害)のための必要に応じて1日15回まで投与できる。
【0194】
(実施例6)
以下の成分を以下の調製物のために混合した:
【0195】
【化5】
ニワトコ種のセンキュウ(chuangxiong)の新規抽出組成物は、天然植物材料中もしくは従来型抽出生成物中で見いだされるより多い質量(重量)%の精油、フェノール酸−精油、および多糖類化学成分画分を含んでいる。本調製物は、任意の経口製剤形に作製し、所望の生理学的、心理学的および医学的作用のための必要に応じて1日15回まで安全に投与することができる(上記の実施例5を参照されたい)。
【0196】
(実施例7)
(使用すべき細胞数を決定するためのMTTアッセイ)
目的:これは、MTT/細胞毒性アッセイにおいて将来使用するための細胞量を決定するためのコントロール実験である。これは、使用される1細胞系につき1回のみ実施しなければならない。
【0197】
(抗ウイルス活性についての生物活性剤のJD評価)
(第1日)
1つのコンフルエントな細胞のT−75フラスコから(このプロトコルはMDCK(マディンダービーイヌ腎)細胞を用いて書かれている):
1.培地を吸引して取り除き、2mLのトリプシンをフラスコに加える。37℃で5分間にわたりインキュベートする。
2.フラスコの側面を強く叩き、側面のトリプシンを50cc円錐管内へ落とす。この試験管へ0.5mLの増殖培地(DMEM+P/S+Glutamax+FBS)をさらに加える。
3.別の2mLトリプシンをフラスコへ加える。37℃で3〜5分間にわたりインキュベートする。
4.フラスコの側面を強く叩き、側面のトリプシンを工程2からの50cc円錐管へ落とす。10mLの増殖培地をフラスコへ加え、フラスコの底部を2回すすぎ洗う。この10mL培地を同一の50ccの円錐管へ入れる。顕微鏡を用いて細胞が除去されているかどうかについてフラスコをチェックする。
5.5分間かけて、4℃、1,000rpmで遠沈させる。上清を吸引により取り除く。
6.ペレットを取り除き、このペレットを5mL増殖培地中に再懸濁させる。
7.5分間かけて、4℃、1,000rpmで遠沈させる。上清を吸引により取り除く。
8.ペレットを取り除き、細胞を1mL増殖培地中に再懸濁させる。
9.500μLの細胞を微量遠心管中の500μL増殖培地へ加えることによって細胞を1:2に希釈する。極度に細胞密度が高いプレートを用いて開始した場合は、細胞を増殖培地中で1:4に希釈してもよい。
10.血球計上で10μLの希釈細胞についてチェックする。3つの大きなグリッドについて細胞数を記録し、これらの3つの数の平均値を出す。これによって細胞数:平均値×104細胞(個)/mLが得られる。約5×106細胞(個)/mLを用いて開始してもよい。過剰に多数の細胞を有する場合は、もう一度希釈した後に細胞を再計数する。
11.2倍希釈液を調製するためには、計11本の微量遠心管を使用する。これは1つの実施例である:
【0198】
【化6】
12.本アッセイは、3組ずつ実施する。各遠心管から100μLを96ウエルプレート内のウエルA〜C内に加えるが、プレート内の各カラム番号はそれらのサンプルを現在含有する遠心管に対応する。
13.プレートを37℃で一晩、または細胞を回収して再付着させるために要する時間(通常は12〜18時間))にわたりCO2と一緒にインキュベートする。
【0199】
(第2日)
1.午前9時頃に、細胞が付着性であること、それらが少なくともカラム1内ではコンフルエントであること、そしてプレートを越えて移動するにつれて1ウエル当たりの細胞数が少なくなることを確認するためにプレート内の細胞を顕微鏡下でチェックする。最初の2〜3本のカラム内の媒質はオレンジ色のはずである;その他はピンク色のはずである。
2.1ウエル当たり10μLのMTT試薬(4℃で保管)を加えるが、各ウエル間でチップを交換し、MTT試薬のストック溶液が汚染しないように注意を払う。プレートを37℃で2時間インキュベートする。
3.顕微鏡下で紫色の点状の細胞内沈降物の出現についてプレートをチェックする。これが見えない場合は、24時間までインキュベーションを続ける。
4.沈降物が見えたら、1ウエル当たり100μLの界面活性剤試薬(室温で保管)を加える。これ以降は絶対にプレートを揺り動かしては行けない。プレートをアルミホイルで被覆し、プレートを室温で一晩放置する。
【0200】
(第3日)
1.Tecanプレートリーダーを用いて、620nmの参照波長を用いて560nmでウエルの吸光度を測定する。XFluor4における「MTT」と呼ばれるプログラムのいずれかを使用すると、これを行える。フィルタースライドCがTecan内にあることを確認する必要がある。
2.3回の読み取りから平均値を決定し、媒質単独のブランクについての平均値からの平均値を減じる(カラム11)。y軸上に吸光度、x軸上に1mL当たりの細胞数をプロットする。
【0201】
今後のアッセイに使用するための、0.75〜1.25の吸光度を産生する細胞数を選択する。選択した細胞数は、曲線の線形部分内に含まれるはずである。
【0202】
(実施例8)
(MTTアッセイ)
目的:抽出物が細胞に細胞毒性作用を及ぼすかどうかを決定すること。
抗ウイルス活性についての生物活性剤のJD評価
(第1日)
1.WH265内のウィンドウによる超高感度はかりを用いて、0.01gの抽出物を測定し、100μLの無菌PBS中に溶解させる。これを注意深くに精密に行うと、極めて精密な数値が入手されるので、抽出管のラベルの詳細と一緒に、ノートに質量を記録する。これは「未希釈抽出物」であり、約0.1g/mLの濃度にある。抽出物が完全に可溶性ではない場合は、微量遠心機内で30秒間にわたり13,000rpmで沈降物を遠沈させ、当日中に作業するためには上清を無菌微量遠心管へ取り出し、翌日以降に使用するためにはペレットを−20℃で保管する。
1つのコンフルエントな細胞のT−75フラスコから(このプロトコルはMDCK細胞を用いて書かれている):
1.培地を吸引して取り除き、2mLのトリプシンをフラスコに加える。37℃で5分間にわたりインキュベートする。
2.フラスコの側面を強く叩き、側面のトリプシンを50cc円錐管内へ落とす。この試験管へさらに0.5mLの増殖培地(DMEM+P/S+Glutamax+FBS)を加える。
3.別の2mLトリプシンをフラスコへ加える。37℃で3〜5分間にわたりインキュベートする。
4.フラスコの側面を強く叩き、側面のトリプシンを工程2からの50cc円錐管へ落とす。10mLの増殖培地をフラスコへ加え、フラスコの底部を2回すすぎ洗う。この10mL培地を同一の50ccの円錐管へ入れる。顕微鏡を用いて細胞が除去されているかどうかについてフラスコをチェックする。
5.5分間かけて、4℃、1,000rpmで遠沈させる。上清を吸引により取り除く。
6.ペレットを取り除き、このペレットを5mL増殖培地中に再懸濁させる。
7.5分間かけて、4℃、1,000rpmで遠沈させる。上清を吸引により取り除く。
8.ペレットを取り除き、細胞を1mL増殖培地中に再懸濁させる。
9.500μLの細胞を微量遠心管中の500μL増殖培地へ加えることによって細胞を1:2に希釈する。極度に細胞密度が高いプレートを用いて開始した場合は、細胞を増殖培地中で1:4に希釈してもよい。
10.血球計上で10μLの希釈細胞についてチェックする。3つの大きなグリッドについて細胞数を記録し、これらの3つの数の平均値を出す。これによって細胞数:平均値×104細胞(個)/mLが得られる。開始するためには、約1〜1.6×105細胞(個)/mLのMDCK細胞もしくは1.3〜2.1〜105細胞(個)/mLの293T細胞がなければならない;これは、以下によって達成できる:
MDCK細胞について:
a.1:4に希釈する。
【0203】
b.細胞を計数する。通常は、大きなグリッド1つ当たり約360個の細胞が得られる。
【0204】
c.1:4 1:3に希釈する。次に、それを1:10(3.6mLの媒質中に400μLの細胞)に希釈する。
【0205】
d.細胞を計数する。大きなグリッド1つ当たり10〜16個の細胞を必要とする。
293T細胞について:
a.1:8に希釈する。
【0206】
b.細胞を計数する。通常は、大きなグリッド1つ当たり約300個の細胞が得られる。
【0207】
c.1:8 1:2に希釈する。次に、それを1:10(3.6mLの媒質中に400μLの細胞)に希釈する。
【0208】
d.細胞を計数する。大きなグリッド1つ当たり13〜21個の細胞を必要とする。
11.抽出物の2倍希釈液を調製するためには、以下のとおりに計9本の微量遠心管を使用する。
【0209】
【化7】
96ウエルプレート、カラム
11=PBS/溶媒単独コントロール(細胞は有するが抽出物は含有しない)
12=媒質単独コントロール(ブランク−細胞なし、抽出物なし)
12.本アッセイは3組ずつ実施する。そこで新しくボルテックスミキサーにかけ、適正に希釈した100μLの細胞を無菌96ウエルプレート内のカラム1〜11の列A〜C内に加え、3本のカラムを充填した後に遠心管中の細胞をボルテックスミキサーにかける。
13.100μLの媒質をカラム12の列A〜Cに加える。
14.次に6μLの抽出物希釈液をプレート内のカラム1〜10の列A〜Cに加える。(備考:プレート内の各カラム番号は、上記からの微量遠心管番号に対応しているはずである)
15.6μLの溶媒をカラム11の列A〜Cに加える。
16.プレートを見て、抽出物がウエルの側壁上ではなく各ウエル内の液体中に確実に存在するように穏やかに軽く叩く。
17.プレートを37℃で一晩、CO2と一緒に24時間インキュベートする。
18.細胞のオリジナルの微量遠心管から500μL(新しくボルテックスミキサーにかける)を1:2に分割させるためにT−75フラスコ内の10mLの増殖培地中へ入れ、再び分割する準備が整うまで37℃で放置する。
19.この時間を利用して、どの位を量り分けたか、そしてどの位の量を各カラムに加えたかに基づいて、各カラム内の抽出物の正確なμg/mLを計算する。
【0210】
(第2日)
1.各ウエル内の液体を吸引して取り除く。多チャネルピペッターを使用して、200μLの無菌PBSを用いて各ウエルを1回洗浄する。100μLの無菌媒質を各ウエルに加える。
2.顕微鏡下で細胞について、まだそこに存在すること、そしてそれらが内在抽出物から紫色ではないことを確認するためにチェックする。
3.ガラス瓶から微量遠心管内へ400μLのMTT試薬(BSL3ルーム内で4℃のドア内に保管されている)を取り出す。レギュラーピペッターを用いて1ウエル当たり10μLのMTT試薬を加えるが、各ウエル間でチップを交換し、MTT試薬のストック溶液が汚染しないように注意を払う。プレートを37℃で2時間インキュベートする。
4.多チャネルピペッターを使用して、1ウエル当たり100μLの界面活性剤試薬(室温で保管)を加える。これ以降は絶対にプレートを揺り動かしてはいけない。プレートをアルミホイルで被覆し、プレートを午後3時まで37℃で放置するが、その時点にはTecan上でプレートを読み取れるはずである。
プレートを読み取る:
1.Tecanプレートリーダーを使用して、ウエルの吸光度を560nmで測定する。XFluor4内の「MTT」と呼ばれるプログラムを使用する。フィルタースライドCがTecan内にあることを確認する。
【0211】
3回の読み取りから平均値を決定し、媒質単独のブランクについての平均値からのこれらの平均値を減じる(カラム12)。y軸上に吸光度、x軸上にμg/mL(抽出物)をプロットする。
【0212】
(実施例9)
(エルダーベリーの抽出によるA型インフルエンザ感染の阻害についてのアッセイ)
(第1日)
1.WH265内のウィンドウにより高感度はかり上で抽出物を量り分ける。少なくとも40mg/mLを用いて開始する。これは125μLの無菌PBSにつき5mg(もしくは0.005g)であろう。
2.溶解させるためにボルテックスミキサーにかける。溶液中に入らない場合は、同量のPBSを加える。必要であれば繰り返す。この3回の試行後にそれが完全に溶液中に入らない場合は、微量遠心管内へ30秒間にわたり10〜13,000rpmで遠沈させる。上清を取り除き、代りに使用する。しかし、不溶性画分を表示して−20℃で保存する。
3.工程1および2を繰り返し、測定した可溶化抽出物を結合し、250μLの抽出物溶液を調製する。
4.2本の無菌微量遠心管に「Ab 1:1000」および「Ab 1:500」と表示する。999μLの無菌PBSおよび1μLの抗インフルエンザ一次A抗体を「Ab 1:1000」微量遠心管へ加える。ボルテックスミキサーにかける。998μLのPBSおよび2μLの抗インフルエンザ一次A抗体を「Ab 1:500」遠心管へ加える。ボルテックスミキサーにかける。
5.ウイルスを希釈する:
a.4本の遠心管に「UV」、「−1」、「−2」、および「−3」と表示する。990μLのPBSを「UV」遠心管へ、そして900μLのPBSを他の遠心管へ加える。
【0213】
b.氷上の10μLのウイルスを「UV」遠心管へ加える。ボルテックスミキサーにかける。チップを交換する。100μLのウイルスを取り出し、「−1」遠心管へ加える。ボルテックスミキサーにかける。続けて、各遠心管から次の微量遠心管へ100μLを加え、ボルテックスミキサーにかけ、各希釈間にはチップを交換する。
6.抽出物を希釈する:
a.5本の微量遠心管を「1:2」、「1:4」、「1:8」、「1:16」、および「1:32」と表示する。各々に125μLのPBSを加える。
【0214】
b.抽出物溶液をボルテックスミキサーにかける。125μLの抽出物溶液を「1:2」遠心管に加える。ボルテックスミキサーにかけ、チップを交換する。125μLの「1:2」を「1:4」へ加える。ボルテックスミキサーにかけ、チップを交換する。125μLの「1:4」を「1:8」へ加える。残りの遠心管についても繰り返し、ボルテックスミキサーにかけ、希釈間でチップを交換する。
7.アッセイを実施する:
a.7本の微量遠心管を「未希釈」、「1:2」、「1:4」、「1:8」、「1:16」、「1:32」、および「PBS」と表示する。
【0215】
b.600μLのPBSを、1,000μLのPBSを含有する「PBS」微量遠心管以外の全部の微量遠心管へ加える。
【0216】
c.100μLの「−3」ウイルス希釈液(新しくボルテックスミキサーにかけた!)を全6本の遠心管に加えるが、「PBS」遠心管には加えない。
【0217】
d.「1:2」抽出物溶液をボルテックスミキサーにかける。100μLの「1:2」抽出物溶液を新規の「1:2」遠心管に加える。ボルテックスミキサーにかける。
【0218】
e.工程dを「1:4」から「1:10」の遠心管について繰り返し、抽出物溶液を、PBSおよびウイルスを含有する各々表示された新規な遠心管に加える。
【0219】
f.100μLの未希釈抽出物溶液(新しくボルテックスミキサーにかけた!)は、PBSおよびウイルスを含有する「未希釈」遠心管に加える。ボルテックスミキサーにかける。
【0220】
g.100μLの−3ウイルスおよび700μLのPBSを含むまた別の微量遠心管を準備し、それに「−4ウイルス」と表示する。ボルテックスミキサーにかける。
【0221】
h.直ちに「Ab 1:1000」および「Ab 1:500」微量遠心管から300μLを廃棄し、100μLの「−3」ウイルス希釈液(新しくボルテックスミキサーにかけた!)を「AB 1:1000」および「Ab 1:500」遠心管に加える。ボルテックスミキサーにかける。
【0222】
i.タイマーを1時間に設定する。
【0223】
j.このプレインキュベーション段階中にはフード内の照明のスイッチを切る。
【0224】
k.プレートには抗体コントロールについての「未希釈抽出物」、「1:2」、「1:4」、「1:8」、「1:16」、「1:32」、「1:1000」および「1:500」と表示した各3ずつのカラム、「−4ウイルス+PBS単独」および「PBS単独」と表示する。
【0225】
l.約50分間にわたりプレインキュベーションし、細胞をPBS中で3回洗浄し、次の工程のためにウエルを空にする。
【0226】
m.プレインキュベーションの時間が終了した後、各遠心管をボルテックスミキサーにかけ、その直後にそれから200μLを各々表示したウエルへ加える。
【0227】
n.室温のBelly Dancer上で30分間インキュベートし、15分後に90°で回転させ、この時点でさらに寒天オーバーレイを作製する。
8.感染において約15分間残っている場合は、寒天オーバーレイを構成する:
a.DMEM瓶を加温するために水浴に加える。
【0228】
b.1.5〜2分間にわたり5%のSeaPlaqueストック溶液を電子レンジにかける。
【0229】
c.少なくとも100mLを保持する無菌ガラス瓶中で以下を混合する:
【0230】
【化8】
d.接種菌を取り除き、1ウエル当たり2mLの寒天オーバーレイと取り替える。プレートは表を上にして約20分間にわたり4℃で放置する。
【0231】
e.冷蔵庫からプレートを取り出し、表を上にして感染後(工程mにおいて細胞にウイルスを加えた後)27時間にわたり37℃のインキュベーターで放置する。
【0232】
(第2日)
感染後27時間にわたり、0.5〜1mLのFormafreshを各ウエルに加える。プレートは4℃で一晩放置する。
【0233】
(第3日)
1.Formafreshを吸引により取り除く。
2.スパチュラを用いて寒天プラグを取り除く。
3.0.5mLの70%のEtOHを加え、少なくとも20分間にわたり室温でインキュベートする。その間に、上段で50cc円錐管中のBlotto内において1:1000で一次抗体を作製し、以下の成分を混合するためにボルテックスミキサーにかける:
15.5mLのPBS
0.775gの粉乳
15.5μLのTween 20
15.5μLの抗A型インフルエンザ抗体(4℃で保管)
4.EtOHを吸引により取り除く。PBSを用いて1回すすぎ洗う。
5.Blotto中の新しくボルテックスミキサーにかけた500μLの一次抗体を各ウエルに加える。Belly Dancer上で4℃で上段を一晩揺動させる。
第4日
1.上段で、Blotto中の二次抗体1:500を混合する。(そこで、上述のようにBlottoを作製し、一次抗体の代りに62μLの二次抗体(グリセロール中で冷凍され、分取され、−20℃で保管された)だけを加える)
2.プレートを下段に置き、一次抗体を吸引して取り除く。
3.PBS中で1回洗浄する。
4.1ウエル当たり500μLのBlotto中の二次抗体を加え、室温のBelly Dancer上で5時間にわたりインキュベートする。
5.二次抗体を吸引して取り除く。PBSを用いて1回すすぎ洗う。
6.1ウエル当たり6滴のDakko基質(P3内の4℃の庫内の下段に保管する)を加える。
7.直ちにBelly Dancer上に置き、室温で10〜15分間にわたり、または細胞増殖巣が見えるまでインキュベートする。
8.基質を吸引して取り除き、PBSを用いて1回洗浄する。PBS中に保管する。
9.ライトボックス内で写真を撮影し、細胞増殖巣を計数する。
【0234】
(実施例10)
(エルダーベリー抽出物の活性をアッセイするためのHIV阻害試験プロトコル
偽型HIV−1産生)
偽型HIV−1ビリオンは、T75細胞培養フラスコ内の293T細胞を6μgのpSG3Eenv、HIV−1菌株SG3のゲノムのエンベロープ欠損コピーを含有するプラスミド、およびザンビアからのCサブタイプのHIV−1菌株のエンベロープをコードする2μgのエンベロープクローンZM53M.PB12と一緒に共形質移入することによって生成した。細胞を形質移入するためにはEffectene形質移入試薬(Qiagen社、カリフォルニア州バレンシア)を使用した。18時間後に、培養および培地をEffectene形質移入試薬と交換した。上清を形質移入48時間後に収集し、低速遠心分離によって浄化し、分取し、そして−18℃で冷凍した。バイアルストック液の力価は、96ウエルプレート上に37℃で2時間にわたり段階的に10倍の希釈率で播種したGHOST細胞を感染させることによって決定した。2時間のインキュベーション後、ウイルスを含む培地は、10%ウシ胎児血清を含有する新鮮Dulbecco修飾Eagle培地と交換し、37℃で48時間にわたりインキュベートした。プレートは、ImageQuantソフトウエアを備えるTyphoonホスホイメージャー(Amersham Bioscience社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を用いてスキャンして細胞増殖巣を計数した。
【0235】
(エルダーベリー抽出物の調製(F4画分)および感染阻害アッセイ)
エルダーベリー抽出物(F4)は、1mLのPBS(pH7.2)中に40mgの凍結乾燥エルダーベリー抽出物を再懸濁させ、40μLのNaOH(0.625M)を用いてそのpHを7.0へ調整することによって完全に溶液中に入れた。HIV−1に対するF4抗ウイルス活性をアッセイするために、5×104個のGHOST細胞を96ウエル組織培養プレートの各ウエル内でプレーティングした。翌日、約1,000pfuの偽型ウイルスを6.55、3.28、1.64、0.82、0.41、および0.20μgのF4/mLの存在下もしくは不在下で各ウエルに加えた。37℃で2時間のインキュベーション後、ウイルスを含有する培地を取り除き、1ウエル当たり10%ウシ胎児血清を含有する200μLのDulbecco修飾Eagle培地を加え、37℃で48時間にわたりインキュベーションを継続した。引き続いて、プレートは、ImageQuantソフトウエアを備えるTyphoonホスホイメージャー(Amersham Bioscience社)を用いてスキャンして細胞増殖巣を計数した。
【0236】
(HIV−1 Cサブタイプの阻害アッセイ)
キメラHIV−1 SG3(ゲノム)のCサブタイプ(エンベロープ)に対する阻害アッセイ。この特異的エンベロープタンパク質は、E.HunterおよびC.Derdeyn両博士によって提供された、女性から男性への伝達様式を備える、ザンビアを起源とするエンベロープクローンZM135M.PB12(GeneBankアクセッション番号AY423984)に由来する。明るい白色斑点(図9を参照されたい)は、わずかに乳白色のバックグラウンド上の細胞増殖巣である。バックグラウンドは、宿主細胞のわずかな蛍光によって惹起され、それ以上減少することはあり得ない。+、陽性感染コントロールで;F4、エルダーベリーの抽出物画分F4;T、アッセイにおいて使用されるウイルスの滴定値。
【0237】
(参考文献の組み込み
本明細書で言及したすべての米国特許および米国特許出願公報は、これにより参照して本明細書に組み込まれる。
【0238】
(等価物)
当業者であれば、本明細書に記載した発明の特定実施形態にとっての多数の等価物を認識するであろう、または日常的実験を用いて確認することができよう。そのような等価物は、以下の特許請求項に含まれることが企図されている。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】図1は、本発明によるニワトコ種抽出プロセスの代表的な略図である。
【図2】図2は、本発明によるニワトコ種抽出プロセスの代表的な略図である。
【図3】図3は、本発明によるニワトコ種抽出プロセスの代表的な略図である。
【図4】図4は、本発明によるニワトコ種抽出プロセスの代表的な略図である。
【図5】図5は、A型ヒトインフルエンザウイルスHIN1を使用したウイルス侵入アッセイ系を示した図である。MDCK細胞は、ウイルス単独(左上;10〜4 A型インフルエンザウイルス)、ウイルス非含有(左下;PBS)、1:1,000の濃度(右上;1:1000の抗体)および1:500の濃度(右下;1:500の抗体)で抗インフルエンザウイルス抗体と混合したウイルス、とともにインキュベートした。各実験は、3組ずつ実施した。茶褐色の各スポットは、1つのウイルス感染事象を示している。抗体コントロール中では、ウイルス阻害もしくは有色スポット数の減少が検出される。
【図6】図6は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4およびA型ヒトインフルエンザH1N1ウイルスを用いた阻害アッセイの例を示した図である。エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分の連続希釈液(未希釈〜1:32の希釈率)は、MDCK細胞とインキュベートする前にウイルスとプレインキュベートした。各実験は、3組ずつ実施した。スポットは、1つのウイルス感染事象に対応する。ウイルス阻害は、スポット数の減少によって示される。
【図7】図7は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4およびA型ヒトインフルエンザH1N1ウイルスを用いた阻害アッセイを示した図である。エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分の連続希釈液(未希釈〜1:32の希釈率)は、MDCK細胞とインキュベートする前にウイルスとプレインキュベートした。各実験は、3組ずつ実施した。茶褐色のスポットは、1つのウイルス感染事象に対応する。ウイルス阻害は、有色スポット数の減少によって示される。
【図8】図8は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4およびA型ヒトインフルエンザH5N1ウイルスを用いた阻害アッセイを示した図である。エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分の連続希釈液(未希釈〜1:32の希釈率)は、MDCK細胞とインキュベートする前にウイルスとプレインキュベートした。各実験は、3組ずつ実施した。茶褐色のスポットは、1つのウイルス感染事象に対応する。ウイルス阻害は、有色スポット数の減少によって示される。
【図9】図9は、キメラHIV−1 SG3(ゲノム)のCサブタイプ(エンベロープ)に対する阻害アッセイを示した図である。+は、陽性感染コントロールである;F4は、エルダーベリーの抽出物画分F4である;およびTは、アッセイにおいて使用されるウイルスの滴定値である。
【図10】図10は、293T細胞におけるエルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についてのMTT生育性アッセイを示した図である。
【図11】図11は、MDCK細胞におけるエルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についてのMTT生育性アッセイを示した図である。
【図12】図12は、24時間後の、293T細胞におけるエルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についてのMTT生育性アッセイを示した図である。
【図13】図13は、44時間後の、293T細胞におけるエルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についてのMTT生育性アッセイを示した図である。
【図14】図14は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図15】図15は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F3画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図16】図16は、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図17】図17は、エルダーフラワーXAD 7HP脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図18】図18は、エルダーフラワーXAD 7HP脱着F3画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図19】図19は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F3画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図20】図20は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F3画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図21】図21は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図22】図22は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図23】図23は、H1N1ウイルスを用いた、緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図24】図24は、H1N1ウイルスを用いた、非緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図25】図25は、H5N1ウイルスを用いた、緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図26】図26は、H5N1ウイルスを用いた、緩衝化エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図27】図27は、試験した抽出物についての結合感染阻害用量反応曲線を示した図である。
【図28】図28は、H1N1ウイルスを用いた、緩衝化エルダーフラワーADS5脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図29】図29は、エルダーフラワーF2画分についてのH1N1ウイルスに対する計算IC50値を示した図である。
【図30】図30は、エルダーベリーF4画分およびエルダーフラワーF2画分についてのH1N1ウイルスに対するIC50値の比較を示した図である。
【図31】図31は、エルダーベリーF4画分およびエルダーフラワーF2画分についてのH1N1ウイルスに対するIC90値の比較を示した図である。
【図32】図32は、デング熱ウイルス2型を用いた、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F2画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図33】図33は、HIVウイルスを用いた、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線を示した図である。この曲線は、指示した濃度で100%阻害を示している。
【図34】図34は、HIVウイルスを用いた、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線を示した図である。この曲線は、指示した濃度で100%阻害を示している。
【図35】図35は、HIVウイルスを用いた、エルダーベリーBアントシアニン画分ADS5脱着F4画分についての感染阻害用量反応曲線および50%阻害濃度を示した図である。
【図36】図36は、エルダーベリー多糖類についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。
【図37】図37は、エルダーベリー多糖類についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。
【図38】図38は、エルダーフラワー多糖類についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。
【図39】図39は、エルダーフラワー多糖類についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。
【図40】図40は、図示した妥当と思われる構造とともに、全エルダーベリー供給原料についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。メチル桂皮酸(163.0688)(存在量=19.47)、シンナミド(148.0826)(存在量=2.63)、2−メトキシフェノール(125.0599)(存在量=7.34)、3−メトキシ−1−チロシン(212.0985)(存在量=17.42)、ベンズアルデヒド(107.0422)(存在量=1.10)、桂皮アルデヒド(133.0568)(存在量=6.56)、酢酸シンナミル(177.0956)(存在量=8.51)、およびピロガロール(127.0344)(存在量=93.67)が検出された。未同定化合物もまた、C6H8O4+H+(145.0469で)およびC6H6O3+H+(127.0344で)として検出された。
【図41】図41は、図示した妥当と思われる構造とともに、全エルダーベリー供給原料についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。桂皮酸(147.0385)(存在量=5.57)、桂皮アルデヒド(131.04)(存在量=5.57)、ピロガロール(125.024)(存在量=3.54)、クエルセチン(301.0253)(存在量=0.73)、ウルソール酸(455.3518)(存在量=10.99)、およびシキミ酸(173.0454)(存在量=7.18)が検出された。
【図42】図42は、80%のEtOH溶液を用いた、全エルダーベリー供給原料の抽出物についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。未同定化合物は、C6H10O5+H+(163.0601)(存在量=17.19)およびC14H15NO+H+(214.1266)(存在量=24.06)として検出された。
【図43】図43は、ADS5脱着充填剤を用いた、F2カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0541)(存在量=59.28)、フェルラ酸(195.0755)(存在量=13.54)、桂皮酸(149.0572)(存在量=19.55)、シキミ酸(175.0699)(存在量=11.72)、およびフェニル乳酸(167.0793)(存在量=36.17)が検出された。未同定化合物は、C6H6O3+H+(127.0348)(存在量=100)およびC7H6O4+H+(155.0335)(存在量=59.18)として検出された。
【図44】図44は、ADS5脱着充填剤を用いた、F3カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0521)(存在量=100)、タキシフォリン(305.0693)(存在量=4.25)、フェルラ酸(195.075)(存在量=1.34)、桂皮酸(149.0552)(存在量=3.32)、シキミ酸(175.0696)(存在量=0.96)、フェニル乳酸(167.0701)(存在量=3.97)、シアニジン(287.0622)(存在量=8.36)、およびペツニジン(317.0707)(存在量=21.71)が検出された。未同定化合物は、C10H12O3+H+(181.0854)(存在量=9.71)およびC13H14N2O2+H+(231.1163)(存在量=5.85)として検出された。
【図45】図45は、ADS5脱着充填剤を用いた、F4カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0534)(存在量=100)、フェルラ酸(195.0744)(存在量=3.32)、桂皮酸(149.057)(存在量=6.36)、シアニジン(287.0608)(存在量=36.44)、ペツニジン(317.0691)(存在量=78.75)、およびバニリン酸(169.0524)(存在量=7.75)が検出された。未同定化合物は、C29H18O7+H+(479.1218)(存在量=22.62)およびC12H14O4+H+(223.0994)(存在量=21.56)として検出された。
【図46】図46は、エルダーベリーBアントシアニンのADS5脱着充填剤を用いた、F2カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=333μg/mLが生じた。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0566)(存在量=18.33)、フェルラ酸(195.0724)(存在量=10.32)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0639)(存在量=25.54)、桂皮酸(149.0573)(存在量=17.86)、シキミ酸(175.0633)(存在量=12.62)、およびバニリン酸(169.0575)(存在量=18.01)が検出された。未同定化合物は、C13H11O+H+(183.0818)(存在量=43.33)およびC14H17NO3+H+(248.1271)(存在量=60.28)として検出された。
【図47】図47は、エルダーベリーBアントシアニンのADS5脱着充填剤を用いた、F3カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=294μg/mLが生じた。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0553)(存在量=41.74)、ヘスペリン(287.0936)(存在量=10.41)、桂皮酸(149.0584)(存在量=17.85)、およびバニリン酸(169.0571)(存在量=31.09)が検出された。未同定化合物は、C8H8O+H+(121.0586)(存在量=29.36)およびC14H20N2O3+H+もしくはC15H20O4+H+(265.1469)(存在量=26.23)として検出された。
【図48】図48は、エルダーベリーBアントシアニンのADS5脱着充填剤を用いた、F4カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=195μg/mLが生じた。ルチンもしくはデルフィニジン(303.0557)(存在量=20.27)、桂皮酸(149.0593)(存在量=7.94)、ペツニジン(317.071)(存在量=22.09)、およびバニリン酸(169.0538)(存在量=12.82)が検出された。未同定化合物は、C6H10O5+H+(163.076)(存在量=63.28)およびC17H18O+H+(239.1531)(存在量=26.32)として検出された。
【図49】図49は、エルダーフラワーのXAD 7HP脱着充填剤を用いた、F2カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=1,592μg/mLが生じた。シアニジン(287.0588)(存在量=10.92)、ルチンもしくはデルフィニジン(303.0531)(存在量=100)、タキシフォリン(305.0651)(存在量=4.69)、コーヒー酸/4−ヒドロキシフェニル乳酸(181.0589)(存在量=9.45)、フェルラ酸(195.0741)(存在量=3.33)、シキミ酸(175.0645)(存在量=3.11)、ペツニジン(317.0689)(存在量=29.48)、およびエリオジクチオールもしくはフスチン(288.0709)(存在量=2.36)が検出された。未同定化合物もまた、C10H13NO2+H+(180.1024)(存在量=15.98)およびC8H6N2O+H+もしくはC9H6O2+H+(147.0545)(存在量=73.50)として検出された。
【図50】図50は、エルダーフラワーのXAD 7HP脱着充填剤を用いた、F3カラムクロマトグラフィー画分についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。前記画分は、H1N1ウイルスを用いる抗ウイルスアッセイにおいて使用するとIC50=582μg/mLが生じた。シアニジン(287.0574)(存在量=17.16)、ルチンもしくはデルフィニジン(303.0518)(存在量=100)、タキシフォリン(305.0658)(存在量=5.54)、ナリンゲニン/ブテイン/フロレチン(273.0797)(存在量=16.06)、およびエリオジクチオールもしくはフスチン(289.0795)(存在量=3.14)が検出された。未同定化合物もまた、C10H16O+H+(153.1268)(存在量=30.96)およびC23H14O4+H+(355.1048)(存在量=30.03)として検出された。
【図51】図51は、#185についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。桂皮酸(149.0616)(存在量=3.82)、シキミ酸(175.0613)(存在量=14.71)、およびフェニル乳酸(167.074)(存在量=5.35)が検出された。未同定化合物もまた、C30H46O2+H+(439.3625)(存在量=16.49)およびC39H68O5+H+(617.5151)(存在量=4.09)として検出された。
【図52】図52は、#319についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0604)(存在量=3.96)、桂皮酸(149.0579)(存在量=0.48)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(225.0816)(存在量=10.59)、シキミ酸(175.0569)(存在量=5.37)、およびフェニル乳酸(167.0773)(存在量=2.71)が検出された。未同定化合物もまた、C6H8O4+H+(145.0507)(存在量=100)およびC12H12O6+H+(253.0708)(存在量=35.27)として検出された。
【図53】図53は、#322についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。デルフィニジン(304.0576)(存在量=8.75)、ルチン(303.057)(存在量=49.28)、エリオジクチオール/フスチン(289.0752)(存在量=13.50)、タキシフォリン(305.0638)(存在量=3.41)、フェルラ酸(195.0745)(存在量=7.15)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0613)(存在量=16.91)、桂皮酸(149.0695)(存在量=3.20)、シキミ酸(175.067)(存在量=8.34)、およびフェニル乳酸(167.0722)(存在量=8.84)が検出された。未同定化合物は、C6H6O3+H+(127.0413)(存在量=100)およびC11H15O5+H+(227.0876)(存在量=29.26)として検出された。
【図54】図54は、#324についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。未同定化合物は、C37H66O4+H+(575.51)(存在量=5.42)およびC59H88O5+H+(877.67)(存在量=15.46)として検出された。
【図55】図55は、#325についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。シキミ酸(175.0658)(存在量=6.05)が検出された。未同定化合物もまた、C16H14O4+H+(271.0941)(存在量=22.24)およびC16H16O5+H+(289.0983)(存在量=15.76)として検出された。
【図56】図56は、#326についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。桂皮酸(149.0681)(存在量=2.67)が検出された。未同定化合物は、C22H42O4+H+(371.3196)(存在量=46.60)およびC18H30O2+H+(279.2346)(存在量=20.28)として検出された。
【図57】図57は、#327についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。未同定化合物は、C8H8O+H+(121.0663)(存在量=66.34)およびC8H8O2+H+(137.065)(存在量=20.16)として検出された。
【図58】図58は、#328についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。フェルラ酸(195.0737)(存在量=4.04)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0604)(存在量=3.67)、桂皮酸(149.0691)(存在量=3.49)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(225.0817)(存在量=5.18)、シキミ酸(175.0616)(存在量=4.88)、およびフェニル乳酸(167.0786)(存在量=2.63)が検出された。未同定化合物は、C6H10O5+H+(163.0602)(存在量=10.84)およびC12H14O7+H+(271.0829)(存在量=21.7)として検出された。
【図59】図59は、#329についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。桂皮酸(149.0621)(存在量=1.43)およびシキミ酸(175.0633)(存在量=3.23)が検出された。未同定化合物もまた、C21H36O3+H+(337.2763)(存在量=13.38)およびC39H66O4+H+(599.507)(存在量=5.53)として検出された。
【図60】図60は、#330についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陽イオンモード)。フェルラ酸(195.0747)(存在量=2.76)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(165.0608)(存在量=2.42)、桂皮酸(149.0616)(存在量=0.79)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(225.0824)(存在量=2.98)、シキミ酸(175.0604)(存在量=2.55)、およびフェニル乳酸(167.078)(存在量=1.95)が検出された。未同定化合物もまた、C14H14O4+H+(247.0895)(存在量=4.28)およびC30H46O2+H+(439.3619)(存在量=5.98)として検出された。
【図61】図61は、#185についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。ヘスペリジン(285.0841)(存在量=0.44)およびフロリジン(255.0711)(存在量=0.71)が検出された。未同定化合物もまた、C4H6O5−H+(133.0134)(存在量=100)およびC10H8O4−H+(191.0325)(存在量=25.34)として検出された。
【図62】図62は、#319についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。桂皮酸(147.0358)(存在量=0.67)が検出された。未同定化合物もまた、C4H6O5−H+(133.0135)(存在量=86.11)およびC10H8O4−H+(191.0195)(存在量=100)として検出された。
【図63】図63は、#322についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。シアニジン(286.0502)(存在量=5.30)、デルフィニジン(302.0388)(存在量=18.51)、ペラルゴニジン(270.0512)(存在量=0.34)、ミリセチン(317.0315)(存在量=13.27)、ルチン(301.0324)(存在量=100)、シリビン/ゲニステイン(269.0399)(存在量=0.42)、3−OHフラボン(237.0587)(存在量=0.89)、エリオジクチオール/フスチン(287.0592)(存在量=7.09)、カテキン/エピカテキン(289.0784)(存在量=5.29)、タキシフォリン(303.0468)(存在量=5.31)、フロリジン(255.0614)(存在量=0.81)、バニリン酸(167.0416)(存在量=4.07)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(163.0307)(存在量=12.95)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(223.054)(存在量=0.80)、没食子酸(169.0166)(存在量=1.73)、およびシキミ酸(173.0475)(存在量=1.11)が検出された。未同定化合物もまた、C10H8O4−H+(191.0532)(存在量=31.51)およびC22H22O13−H+(493.0955)(存在量=4.42)として検出された。
【図64】図64は、#324についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。エリオジクチオール/フスチン(287.0655)(存在量=0.99)、カテキン/エピカテキン(289.0726)(存在量=0.92)、ウルソール酸(455.3465)(存在量=0.87)、バニリン酸(167.0388)(存在量=1.89)、フェルラ酸(193.0478)(存在量=7.35)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(163.0404)(存在量=5.66)、桂皮酸(147.0373)(存在量=5.97)、およびシキミ酸(173.0373)(存在量=10.00)が検出された。未同定化合物もまた、C16H14O4−H+(269.0878)(存在量=21.98)およびC23H18O3−H+(341.1193)(存在量=12.27)として検出された。
【図65】図65は、#325についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。未同定化合物が、C4H6O5−H+(133.0118)(存在量=100)およびC10H8O4−H+(191.0183)(存在量=81.19)として検出された。
【図66】図66は、#326についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。ルチン(301.0441)(存在量=31.62)、3−OHフラボン(237.062)(存在量=0.74)、カテキン/エピカテキン(289.079)(存在量=2.70)、フロリジン(255.0687)(存在量=2.24)、ウルソール酸(455.3556)(存在量=7.43)、コーヒー酸/4−ヒドロキシフェニル乳酸(179.0398)(存在量=12.26)、フェルラ酸(193.051)(存在量=7.63)、p−クマル酸/フェニルピルビン酸(163.0405)(存在量=8.75)、桂皮酸(147.0414)(存在量=3.24)、およびシキミ酸(173.0452)(存在量=23.59)が検出された。未同定化合物もまた、C5H6O4−H+(129.0178)(存在量=100)およびC16H16O8−H+(335.0807)(存在量=25.82)として検出された。
【図67】図67は、#327についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。3−OHフラボン(237.0524)(存在量=0.26)、ヘスペリジン(285.0822)(存在量=0.63)、カテキン/エピカテキン(289.0732)(存在量=0.11)、フロリジン(255.0706)(存在量=0.82)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(223.0543)(存在量=0.09)、およびコリスミン酸(225.0489)(存在量=0.10)が検出された。未同定化合物もまた、C4H6O5−H+(133.0117)(存在量=100)およびC20H20O7−H+(371.1175)(存在量=2.39)として検出された。
【図68】図68は、#328についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。ルチン(301.0446)(存在量=0.62)、フロリジン(255.0744)(存在量=0.05)、およびp−クマル酸/フェニルピルビン酸(163.0386)(存在量=0.36)が検出された。未同定化合物もまた、C5H8O5−H+(147.0293)(存在量=7.50)およびC6H6O6−H+(173.0099)(存在量=7.84)として検出された。
【図69】図69は、#329についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。未同定化合物は、C6H10O5−H+(161.04)(存在量=2.97)およびC8H12O7−H+(219.05)(存在量=3.64)として検出された。
【図70】図70は、#330についてのAccuTOF−DART質量スペクトルを示した図である(陰イオンモード)。未同定化合物が、C5H4O3−H+(111.01)(存在量=12.32)およびC6H12O6−H+(179.05)(存在量=1.20)として検出された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図36〜図70のいずれかのリアルタイム直接分析(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項2】
前記画分は、図46〜図50のいずれかのDART質量分析クロマトグラムを有する、請求項1に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項3】
前記画分は、図48のDART質量分析クロマトグラムを有する、請求項1に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項4】
H1N1インフルエンザ阻害アッセイにおいて測定された150μg/mL〜1500μg/mLのIC50を有する画分を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項5】
前記画分は、H1N1インフルエンザ阻害アッセイにおいて測定された150μg/mL〜750μg/mLのIC50を有する画分を有する、請求項4に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項6】
前記画分は、150μg/mL〜300μg/mLのIC50を有する、請求項4に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項7】
前記画分は、少なくとも約195μg/mLのIC50を有する、請求項4に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項8】
前記画分は、アントシアニン;フラボノイド;C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステル;および/または多糖類を含む、請求項1または4に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項9】
前記アントシアニンは、シアニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−サンブビオシドからなる群から選択される、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項10】
前記アントシアニンの量は、10重量%より多い、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項11】
前記フラボノイドは、ルチンである、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項12】
前記C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルは、ヘキサデカノール、ヘキサデカン酸、ヘキサデカン酸メチルエステル、ヘキサデカン酸エチルエステル、ヘキサデカン酸ブチルエステル、オクタデカン酸、オクタデカン酸エチルエステル、オクタデカン酸ブチルエステル、9−オクタデセン−1−オール、9,12−オクタデカン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項13】
前記C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルの量は、少なくとも約2重量%である、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項14】
前記多糖類は、デキストラン、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、ウロン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項15】
前記多糖類の量は、少なくとも約10重量%である、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項16】
アントシアニン;C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステル;および多糖類を含む、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項17】
前記アントシアニンは、シアニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−サンブビオシドからなる群から選択される、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項18】
前記アントシアニンの量は、10重量%より多い、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項19】
前記C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルは、ヘキサデカノール、ヘキサデカン酸、ヘキサデカン酸メチルエステル、ヘキサデカン酸エチルエステル、ヘキサデカン酸ブチルエステル、オクタデカン酸、オクタデカン酸エチルエステル、オクタデカン酸ブチルエステル、9−オクタデセン−1−オール、9,12−オクタデカン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項20】
前記C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルの量は、少なくとも約2重量%である、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項21】
前記多糖類は、デキストラン、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、ウロン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項22】
前記多糖類の量は、少なくとも約10重量%である、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項23】
請求項1または4に記載のニワトコ種抽出物を含む、食品もしくは医薬。
【請求項24】
ウイルスに感染した被験体を処置する方法であって、それを必要とする被験体に有効量の請求項1または4に記載のニワトコ種抽出物を投与する工程を含む、方法。
【請求項25】
前記ウイルスは、エンベロープウイルスである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記エンベロープウイルスは、フラビウイルスである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ウイルスは、非エンベロープウイルスである、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、A型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、H1N1、H5N1、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、SARS、単純ヘルペスウイルス(HSV)、フラビウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、および脳炎ウイルスからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記ウイルスは、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、アンドウイルスおよびライノウイルスからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記被験体は、霊長類、鳥類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、齧歯類、ネコ、もしくはイヌである、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記被験体は、ヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
細胞のウイルス感染を阻害する方法であって、該細胞を請求項1または4に記載のニワトコ種抽出物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項33】
前記ウイルスは、エンベロープウイルスである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記エンベロープウイルスは、フラビウイルスである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ウイルスは、非エンベロープウイルスである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、A型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、H1N1、H5N1、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、SARS、単純ヘルペスウイルス(HSV)、フラビウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、および脳炎ウイルスからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記ウイルスは、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、アンドウイルスおよびライノウイルスからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つの所定の特性を有するニワトコ種抽出物を調製する方法であって:
a)超臨界二酸化炭素抽出によってニワトコ種植物材料を抽出して精油画分および第1残留物を生成する工程;と
b)約40℃〜約70℃の水または含水アルコール抽出によってニワトコ種植物材料または工程a)からの第1残留物を抽出してポリフェノール画分および第2残留物を生成する工程;と
c)約70℃〜約90℃の水抽出によって工程b)からの第2残留物を抽出して多糖類画分を生成する工程;と
によって、精油画分、ポリフェノール画分および多糖類画分を生成するためにニワトコ種植物材料を連続的に抽出する工程を含む、方法。
【請求項39】
工程a)は:
1)抽出容器に微粉化したニワトコ種植物材料を装填する工程;と
2)超臨界条件下で二酸化炭素を加える工程;と
3)該ニワトコ種植物材料および該二酸化炭素をある時間接触させる工程;と
4)収集容器に精油画分を収集する工程;と
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
超臨界二酸化炭素分別分離システムを用いて前記精油抽出物を分留することによって該精油化学成分の複合比を変化させる工程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
工程b)は:
1)微粉化したニワトコ種植物材料または工程a)からの前記残留物と約40℃〜約70℃の水または含水アルコール溶液とを、ポリフェノール酸化学成分を抽出するために十分な時間にわたり接触させる工程;と
2)前記工程a)からの抽出したポリフェノール酸化学成分の水溶液もしくは含水アルコール溶液を親和性吸着剤樹脂カラムに通過させる工程であって、アントシアニジンを含む該ポリフェノール酸が吸着される工程;と
3)該親和性吸着剤樹脂から精製した該ポリフェノール酸化学成分画分を溶出させる工程;と
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
多糖類画分を抽出するための前記方法は:
1)工程b)からの前記第2残留物を約70℃〜約90℃の水と、多糖類を抽出するために十分な時間にわたり接触させる工程;と
2)該多糖類をエタノール沈降法によって水溶液から沈降させる工程;と
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
請求項38〜42のいずれかに記載の方法によって調製された、ニワトコ種抽出物。
【請求項44】
ピロガロール、該ピロガロールの15重量%〜25重量%のメチル桂皮酸、該ピロガロールの1重量%〜4重量%のシンナミド、該ピロガロールの5重量%〜10重量%の2−メトキシフェノール、該ピロガロールの1重量%〜2重量%のベンズアルデヒド、該ピロガロールの5重量%〜10重量%の桂皮アルデヒド、および該ピロガロールの5重量%〜15重量%の酢酸シンナミルを含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項45】
ルチン、該ルチンの20重量%〜30重量%のフェルラ酸、該ルチンの25重量%〜35重量%の桂皮酸、該ルチンの15重量%〜25重量%のシキミ酸、および該ルチンの55重量%〜65重量%のフェニル乳酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項46】
ルチン、該ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリン、該ルチンの1重量%〜5重量%のフェルラ酸、該ルチンの1重量%〜5重量%の桂皮酸、該ルチンの0.5重量%〜5重量%のシキミ酸、該ルチンの1重量%〜5重量%のフェニル乳酸、該ルチンの5重量%〜15重量%のシアニジン、および該ルチンの15重量%〜25重量%のペツニジンを含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項47】
ルチン、該ルチンの30重量%〜40重量%のシアニジン、該ルチンの75重量%〜85重量%のペツニジン、該ルチンの5重量%〜10重量%のバニリン酸、該ルチンの1重量%〜5重量%のフェルラ酸、および該ルチンの1重量%〜10重量%の桂皮酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項48】
p−クマル酸/フェニルピルビン酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%のルチン、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%のバニリン酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の35重量%〜45重量%のフェルラ酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%の桂皮酸、およびp−クマル酸/フェニルピルビン酸の45重量%〜55重量%のシキミ酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項49】
ルチン、該ルチンの20重量%〜30重量%のヘスペリジン、該ルチンの70重量%〜80重量%のバニリン酸、および該ルチンの40重量%〜50重量%の桂皮酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項50】
ペツニジン、該ペツニジンの85重量%〜95重量%のルチン、該ペツニジンの55重量%〜65重量%のバニリン酸、および該ペツニジンの30重量%〜40重量%の桂皮酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項51】
ルチン、該ルチンの5重量%〜15重量%のシアニジン、該ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリン、該ルチンの5重量%〜15重量%のコーヒー酸、該ルチンの1重量%〜10重量%のフェルラ酸、該ルチンの1重量%〜10重量%のシキミ酸、該ルチンの25重量%〜35重量%のペツニジン、および該ルチンの1重量%〜5重量%のエリオジクチオールもしくはフスチンを含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項52】
ルチン、該ルチンの10重量%〜20重量%のシアニジン、該ルチンの1重量%〜5重量%のエリオジクチオールもしくはフスチン、該ルチンの10重量%〜20重量%のナリンゲニン、および該ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリンを含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項1】
図36〜図70のいずれかのリアルタイム直接分析(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項2】
前記画分は、図46〜図50のいずれかのDART質量分析クロマトグラムを有する、請求項1に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項3】
前記画分は、図48のDART質量分析クロマトグラムを有する、請求項1に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項4】
H1N1インフルエンザ阻害アッセイにおいて測定された150μg/mL〜1500μg/mLのIC50を有する画分を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項5】
前記画分は、H1N1インフルエンザ阻害アッセイにおいて測定された150μg/mL〜750μg/mLのIC50を有する画分を有する、請求項4に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項6】
前記画分は、150μg/mL〜300μg/mLのIC50を有する、請求項4に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項7】
前記画分は、少なくとも約195μg/mLのIC50を有する、請求項4に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項8】
前記画分は、アントシアニン;フラボノイド;C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステル;および/または多糖類を含む、請求項1または4に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項9】
前記アントシアニンは、シアニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−サンブビオシドからなる群から選択される、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項10】
前記アントシアニンの量は、10重量%より多い、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項11】
前記フラボノイドは、ルチンである、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項12】
前記C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルは、ヘキサデカノール、ヘキサデカン酸、ヘキサデカン酸メチルエステル、ヘキサデカン酸エチルエステル、ヘキサデカン酸ブチルエステル、オクタデカン酸、オクタデカン酸エチルエステル、オクタデカン酸ブチルエステル、9−オクタデセン−1−オール、9,12−オクタデカン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項13】
前記C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルの量は、少なくとも約2重量%である、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項14】
前記多糖類は、デキストラン、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、ウロン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項15】
前記多糖類の量は、少なくとも約10重量%である、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項16】
アントシアニン;C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステル;および多糖類を含む、請求項8に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項17】
前記アントシアニンは、シアニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−サンブビオシドからなる群から選択される、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項18】
前記アントシアニンの量は、10重量%より多い、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項19】
前記C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルは、ヘキサデカノール、ヘキサデカン酸、ヘキサデカン酸メチルエステル、ヘキサデカン酸エチルエステル、ヘキサデカン酸ブチルエステル、オクタデカン酸、オクタデカン酸エチルエステル、オクタデカン酸ブチルエステル、9−オクタデセン−1−オール、9,12−オクタデカン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項20】
前記C16もしくはC18の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、アルコール、もしくはエステルの量は、少なくとも約2重量%である、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項21】
前記多糖類は、デキストラン、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、ウロン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項22】
前記多糖類の量は、少なくとも約10重量%である、請求項16に記載のニワトコ種抽出物。
【請求項23】
請求項1または4に記載のニワトコ種抽出物を含む、食品もしくは医薬。
【請求項24】
ウイルスに感染した被験体を処置する方法であって、それを必要とする被験体に有効量の請求項1または4に記載のニワトコ種抽出物を投与する工程を含む、方法。
【請求項25】
前記ウイルスは、エンベロープウイルスである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記エンベロープウイルスは、フラビウイルスである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ウイルスは、非エンベロープウイルスである、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、A型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、H1N1、H5N1、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、SARS、単純ヘルペスウイルス(HSV)、フラビウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、および脳炎ウイルスからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記ウイルスは、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、アンドウイルスおよびライノウイルスからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記被験体は、霊長類、鳥類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、齧歯類、ネコ、もしくはイヌである、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記被験体は、ヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
細胞のウイルス感染を阻害する方法であって、該細胞を請求項1または4に記載のニワトコ種抽出物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項33】
前記ウイルスは、エンベロープウイルスである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記エンベロープウイルスは、フラビウイルスである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ウイルスは、非エンベロープウイルスである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、A型ヒトインフルエンザウイルスおよびB型ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、H1N1、H5N1、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、SARS、単純ヘルペスウイルス(HSV)、フラビウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、および脳炎ウイルスからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記ウイルスは、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、アンドウイルスおよびライノウイルスからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つの所定の特性を有するニワトコ種抽出物を調製する方法であって:
a)超臨界二酸化炭素抽出によってニワトコ種植物材料を抽出して精油画分および第1残留物を生成する工程;と
b)約40℃〜約70℃の水または含水アルコール抽出によってニワトコ種植物材料または工程a)からの第1残留物を抽出してポリフェノール画分および第2残留物を生成する工程;と
c)約70℃〜約90℃の水抽出によって工程b)からの第2残留物を抽出して多糖類画分を生成する工程;と
によって、精油画分、ポリフェノール画分および多糖類画分を生成するためにニワトコ種植物材料を連続的に抽出する工程を含む、方法。
【請求項39】
工程a)は:
1)抽出容器に微粉化したニワトコ種植物材料を装填する工程;と
2)超臨界条件下で二酸化炭素を加える工程;と
3)該ニワトコ種植物材料および該二酸化炭素をある時間接触させる工程;と
4)収集容器に精油画分を収集する工程;と
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
超臨界二酸化炭素分別分離システムを用いて前記精油抽出物を分留することによって該精油化学成分の複合比を変化させる工程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
工程b)は:
1)微粉化したニワトコ種植物材料または工程a)からの前記残留物と約40℃〜約70℃の水または含水アルコール溶液とを、ポリフェノール酸化学成分を抽出するために十分な時間にわたり接触させる工程;と
2)前記工程a)からの抽出したポリフェノール酸化学成分の水溶液もしくは含水アルコール溶液を親和性吸着剤樹脂カラムに通過させる工程であって、アントシアニジンを含む該ポリフェノール酸が吸着される工程;と
3)該親和性吸着剤樹脂から精製した該ポリフェノール酸化学成分画分を溶出させる工程;と
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
多糖類画分を抽出するための前記方法は:
1)工程b)からの前記第2残留物を約70℃〜約90℃の水と、多糖類を抽出するために十分な時間にわたり接触させる工程;と
2)該多糖類をエタノール沈降法によって水溶液から沈降させる工程;と
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
請求項38〜42のいずれかに記載の方法によって調製された、ニワトコ種抽出物。
【請求項44】
ピロガロール、該ピロガロールの15重量%〜25重量%のメチル桂皮酸、該ピロガロールの1重量%〜4重量%のシンナミド、該ピロガロールの5重量%〜10重量%の2−メトキシフェノール、該ピロガロールの1重量%〜2重量%のベンズアルデヒド、該ピロガロールの5重量%〜10重量%の桂皮アルデヒド、および該ピロガロールの5重量%〜15重量%の酢酸シンナミルを含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項45】
ルチン、該ルチンの20重量%〜30重量%のフェルラ酸、該ルチンの25重量%〜35重量%の桂皮酸、該ルチンの15重量%〜25重量%のシキミ酸、および該ルチンの55重量%〜65重量%のフェニル乳酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項46】
ルチン、該ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリン、該ルチンの1重量%〜5重量%のフェルラ酸、該ルチンの1重量%〜5重量%の桂皮酸、該ルチンの0.5重量%〜5重量%のシキミ酸、該ルチンの1重量%〜5重量%のフェニル乳酸、該ルチンの5重量%〜15重量%のシアニジン、および該ルチンの15重量%〜25重量%のペツニジンを含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項47】
ルチン、該ルチンの30重量%〜40重量%のシアニジン、該ルチンの75重量%〜85重量%のペツニジン、該ルチンの5重量%〜10重量%のバニリン酸、該ルチンの1重量%〜5重量%のフェルラ酸、および該ルチンの1重量%〜10重量%の桂皮酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項48】
p−クマル酸/フェニルピルビン酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%のルチン、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%のバニリン酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の35重量%〜45重量%のフェルラ酸、p−クマル酸/フェニルピルビン酸の65重量%〜75重量%の桂皮酸、およびp−クマル酸/フェニルピルビン酸の45重量%〜55重量%のシキミ酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項49】
ルチン、該ルチンの20重量%〜30重量%のヘスペリジン、該ルチンの70重量%〜80重量%のバニリン酸、および該ルチンの40重量%〜50重量%の桂皮酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項50】
ペツニジン、該ペツニジンの85重量%〜95重量%のルチン、該ペツニジンの55重量%〜65重量%のバニリン酸、および該ペツニジンの30重量%〜40重量%の桂皮酸を含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項51】
ルチン、該ルチンの5重量%〜15重量%のシアニジン、該ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリン、該ルチンの5重量%〜15重量%のコーヒー酸、該ルチンの1重量%〜10重量%のフェルラ酸、該ルチンの1重量%〜10重量%のシキミ酸、該ルチンの25重量%〜35重量%のペツニジン、および該ルチンの1重量%〜5重量%のエリオジクチオールもしくはフスチンを含む、ニワトコ種抽出物。
【請求項52】
ルチン、該ルチンの10重量%〜20重量%のシアニジン、該ルチンの1重量%〜5重量%のエリオジクチオールもしくはフスチン、該ルチンの10重量%〜20重量%のナリンゲニン、および該ルチンの1重量%〜10重量%のタキシフォリンを含む、ニワトコ種抽出物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【公表番号】特表2009−531316(P2009−531316A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500635(P2009−500635)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/064286
【国際公開番号】WO2007/109600
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508083459)ハーバルサイエンス シンガポール ピーティーイー. リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】HERBALSCIENCE SINGAPORE PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1004 Collier Center Way, Suite200, Naples, FL 34110 USA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/064286
【国際公開番号】WO2007/109600
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508083459)ハーバルサイエンス シンガポール ピーティーイー. リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】HERBALSCIENCE SINGAPORE PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1004 Collier Center Way, Suite200, Naples, FL 34110 USA
【Fターム(参考)】
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