説明

ニワトリ胚消化のための酵素組成物

本発明は、ウイルス生産のための細胞の調製を意図した、ニワトリ胚消化のための酵素組成物に関する。本発明はまた、本発明の酵素組成物を用いてニワトリ胚から細胞を調製する工程を含んでなる野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを生産する方法にも関する。本発明は、得られた野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスに関し、癌、感染症および/または自己免疫疾患の処置および/または予防のための前記ウイルスを含んでなる医薬組成物、好ましくは、ワクチン、並びにその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス産生の分野に属する。特に、本発明は、ウイルス産生のために用いられる細胞の調製を意図したニワトリ胚消化のための酵素組成物に関する。
【発明の背景】
【0002】
弱毒化ウイルスまたは組換えウイルスなどの多くのウイルスワクチンが、例えば、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)、ニワトリ胚腎臓細胞(CEKC)またはニワトリ胚肝細胞(CELC)などの初代または二次ニワトリ細胞から製造される。初代CEFは、日本脳炎ウイルスワクチン(例えば、Pasteur Marieux社により製造される)、黄熱ウイルスワクチン(例えば、Arilvax社により製造される)、インフルエンザウイルスワクチン(例えば、Medeva Pharmaceuticals社により製造される)、麻疹および風疹ウイルスワクチン(例えば、メルク社により製造される)並びに改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)ワクチンの生産のために特に用いられている。
【0003】
初代組織からの細胞調製物を産生する様々な方法が開発されてきた。これらの方法としては、機械的な分離、酵素的な分離または両方の組み合わせの使用が挙げられる。機械的な分離は、例えば、胚にメスを擦り付けること、胚を細かく刻むこと、または胚を物理的に切り離すことからなる。過剰な機械的分離はしばしば、大量の細胞死および細胞損傷の結果を伴う。さらに、ある機械的な分離のプロトコル(例えば、手動による粉砕)の手動の性質のために、分離効率が個体間で変動し、異なる供給源からの測定値(細胞生存率など)を比較することが困難である。実際、この手順の手動の性質は、2つの異なった同一サンプル間での物理的特性(例えば、細胞濃度、細胞生存率、細胞サイズ分布)の差異に寄与し得る。機械的な分離の負の結果を防ぐ試みとして、ウシ膵臓のトリプシンが用いられた。不運なことに、ウシ膵臓のトリプシンは、ウイルスなどの病原体を含み得る。従って、これらの病原体がワクチンを用いて処置し、予防接種を受けた動物またはヒトに移る潜在的リスクが存在した。通常用いられるウシ膵臓のトリプシンに付随する多くの主要な潜在的問題の一つは、細胞培養物から製造した製品と接触させた動物またはヒトに、ウシ海綿状脳症(BSE)を引き起こす病原体を移す可能性である。結果として、組換えトリプシンが初代または二次細胞からのワクチンの生産のために開発されてきた。
【0004】
WO2004/022729号公報には、初代CEFにおけるポックスウイルスの増幅方法が記載されており、前記CEFは、血清フリーの培地存在下で事前に温めた(37℃)トリプシン−EDTA溶液を用いて室温で15分間処理したニワトリ胚から得られる。
【0005】
WO2006/116803号公報には、哺乳類胚から幹細胞を製造する方法であって、胚が、事前に温めたトリプシン溶液中に、胚のサイズにより5〜60分間浸し得る方法が記載されている。
【0006】
初代ニワトリ細胞からのワクチン生産の一つの主要な問題は、十分な量の胚の提供である。必要な胚の数を減らすために、胚当り最大数の細胞が得られることにその本質がある細胞調製物の取得をもたらす酵素組成物が必要である。本発明は、そのような組成物を提供する。本発明は、より具体的には、胚当り500 10を超える細胞が得られることにその本質がある細胞調製物の取得をもたらすニワトリ胚消化のための酵素組成物を提供する。本発明の酵素組成物は、さらに、切開されていないニワトリ胚を消化することができる。
【発明の詳細な説明】
【0007】
本明細書全体を通して用いられる「a」および「an」はと特段の明示の無い限り、参照される成分または工程の「少なくとも一つ」、「少なくとも最初の」、「1以上の」または「複数」を意味することを意図して用いられる。
【0008】
本明細書全体を通して用いられる「および/または」は、本明細書のどこで用いられたとしても、「および」、「または」および「前記用語により連結される要素のすべてのまたはあらゆる他の組み合わせ」を含む。
【0009】
本明細書全体を通して用いられる「含んでなること」および「含んでなる」は、製品、組成物および方法が、他を排除することなく、参照される成分または工程を含むことを意味することを意図している。「から本質的になる」は、製品、組成物および方法を定義するために用いられるときは、いかなる本質的な重要を持つ他の成分または工程が除外されることを意味する。従って、説明される成分から本質的になる組成物は、微量の夾雑物や医薬上許容される担体を排除しないであろう。「からなる」は、他の成分や工程の微量を超える要素を排除することを意味する。
【0010】
本明細書全体を通して用いられるように、本明細書で用いられる「約」または「およそ」は、特定された値または範囲の20%以内、好ましくは、10%以内、より好ましくは、5%以内であることを意味する。
【0011】
本発明は、細胞の調製を意図したニワトリ胚消化のための酵素組成物に関する。一つの特定の態様によれば、前記細胞は、ウイルスの生産のために用いられ得る。
【0012】
本発明は、より具体的には、ニワトリ細胞調製物の取得をもたらすニワトリ胚消化のための、酵素組成物の使用に関する。
【0013】
本発明の酵素組成物は、驚くべきことに、1胚当りから500 10を超えて得られる細胞からなるニワトリ細胞調製物の取得をもたらす。この観点で、本発明は、より具体的には、1胚当りから500 10を超えて得られる細胞からなるニワトリ細胞調製物の取得をもたらすニワトリ胚消化のための酵素組成物に関する。
【0014】
本発明の酵素組成物は、少なくとも2つの酵素を含んでなる。本発明の組成物に含まれる酵素は、トリプシン、キモトリプシン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ディスパーゼ、コラゲナーゼ、アキュターゼ、サーモリシン、プロナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ、パパイン、ノイラミニダーゼおよびパンクレアチンからなる群から選択される。本発明の組成物に含まれる酵素は、好ましくは、トリプシン、ディスパーゼ、コラゲナーゼおよびアキュターゼからなる群から選択される。この観点で、本発明は、より具体的には、ニワトリ胚消化のための酵素組成物であって、前記酵素組成物は、トリプシン、ディスパーゼ、コラゲナーゼおよびアキュターゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素を含んでなる酵素組成物に関する。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の酵素組成物は、
−トリプシン、ディスパーゼおよびコラゲナーゼ;
−トリプシン、ディスパーゼおよびアキュターゼ;
−トリプシン、ディスパーゼ、コラゲナーゼおよびアキュターゼ;
−トリプシンおよびディスパーゼ;並びに
−ディスパーゼおよびアキュターゼ
からなる群から選択される。
【0016】
本発明の一つの特定の態様によれば、本発明の酵素組成物は、
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、および10mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、および10mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の15mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼと等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の15mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、10mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼと等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼと等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、および5mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、10mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼと等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼと等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の15mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、および5mL/胚のディスパーゼ10mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、および10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、および10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL;
−10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、10mL/胚のアキュターゼ;並びに
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の5mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、および15mL/胚のディスパーゼ10mg/mL
からなる群から選択される。
【0017】
本発明の一つのより特定の態様によれば、本発明の酵素組成物は、
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、インビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびギブコインビトロジェン社のカタログ番号17102の10mL/胚のコラゲナーゼIII20mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、インビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびギブコインビトロジェン社のカタログ番号17102の10mL/胚のコラゲナーゼIII20mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の15mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、インビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼ(商標)と等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の15mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、インビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、ギブコインビトロジェン社のカタログ番号17102の10mL/胚のコラゲナーゼIII20mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼ(商標)と等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、インビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼ(商標)と等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、インビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびギブコインビトロジェン社のカタログ番号17102の5mL/胚のコラゲナーゼIII20mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、インビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、ギブコインビトロジェン社のカタログ番号17102の10mL/胚のコラゲナーゼIII20mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼ(商標)と等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、インビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼ(商標)と等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の15mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、およびインビトロジェン社のカタログ番号17105−041の5mL/胚のディスパーゼ10mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、およびインビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、およびインビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号17105−041の10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびアキュターゼ10mL/胚;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の5mL/胚のTrypLE (商標)Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、およびインビトロジェン社のカタログ番号17105−041の15mL/胚のディスパーゼ10mg/mL
からなる群から選択される。
【0018】
本発明によれば、酵素組成物は、動物産物フリーである。本明細書全体で用いられる「動物産物」とは、生物の動物細胞中で産生される、若しくは生物の動物細胞により産生されるあらゆる化合物または化合物の集まりを意味する。この観点では、本発明の組成物に含まれる酵素は、組換え酵素である。
【0019】
トリプシンは、多くの脊椎動物の膵臓中で産生されるセリンプロテアーゼである。トリプシンは、塩基性アミノ酸アルギニンおよびリジンのカルボキシル基で、ペプチドの加水分解性の開裂を触媒する。例えば、ピキア・パストリス(Pishia pastoris)からの組換えトリプシン(Roche Applied Science社、2003年9月)などの多くの組換えトリプシンが記載され、例えばTrypLE(商標)Select(インビトロジェン社製、カタログ番号12563−011;12563−029)またはTrypZean(シグマ社製、例えば、カタログ番号T−3449)など、そのうちのいくつかは、商業的に入手可能である。本発明により用いられる好ましい組換えトリプシンは、実施例に記載されるTrypLE(商標)Select(インビトロジェン社製、カタログ番号12563−029)である。
【0020】
ディスパーゼは、バチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)細菌から産生される中性プロテアーゼである(Dispase, a neutral protease from Bacillus polymyxa, is a powerful fibronectinase and type IV collagenase, STENN K.S., LINK R., MOELLMANN G., MADRI J., KUKLINSKA E., J. Invest Dermatol. 1989 Aug;93(2):287-90)。例えば、組換えディスパーゼI、組換えディスパーゼII(Roche Applied Science社、2004年8月)またはBDディスパーゼ(BDサイエンシズ社製)などの多くの組換えディスパーゼが既に記載されており、例えば、ディスパーゼ(インビトロジェン社製、例えば、カタログ番号17105−041)、ディスパーゼI(シグマ社製、例えばカタログ番号D4818)またはディスパーゼ(StemCell Technologies社製、例えば、カタログ番号07913;07923)など、そのうちのいくつかは、商業的に入手可能である。本発明により用いられる好ましい組換えディスパーゼは、実施例で記載されるディスパーゼ(インビトロジェン社製、カタログ番号17105−041)である。
【0021】
コラゲナーゼは、コラーゲン内のペプチド結合を切断するクロストリジウム・ヒストリチカム(Clostridium histolyticum)細菌から産生されるプロテアーゼである(Isolation and characterization of proteinase and collagenase from Cl. Histolyticum, MANDL I., MACLENNAN J. D., HOWES E.L, J Clin Invest. 1953 Dec;32(12): 1323-9)。例えば、組換えコラゲナーゼIII(Collagenase III: A superior enzyme for complete disaggregation and improved viability of normal and malignant human breast tissue, SPEIRS V., WHITE M.C. and GREEN A.R., In vitro Cell. Dev. Biol. - Animal, 32:72-74, February 1996)などの多くのコラゲナーゼが既に記載されており、コラゲナーゼI型(シグマ社製、例えば、カタログ番号C0130;C1639)、コラゲナーゼII型(シグマ社製、例えば、C0130;C1764;C6885)、コラゲナーゼIII型(例えば、ギブコインビトロジェン社のカタログ番号17102;シグマ社製、例えば、カタログ番号C0255)、コラゲナーゼIV型(シグマ社製、例えば、カタログ番号C1889)、コラゲナーゼV型(シグマ社製、例えば、カタログ番号C2014;C9263)、コラゲナーゼVII型(シグマ社製、例えば、カタログ番号C0773;C2399)またはコラゲナーゼXI型(シグマ社製、例えばC4785;C7657)など、いくつかの組換えコラゲナーゼが商業的に入手可能である。本発明により用いられる好ましい組換えコラゲナーゼは、実施例に記載されたコラゲナーゼIII型(ギブコインビトロジェン社のカタログ番号17102)である。
【0022】
アキュターゼは、甲殻類起源のプロテアーゼである。例えば、アキュターゼ(PAA社製、例えば、カタログ番号L11−007)、アキュターゼ(Thermo社製、例えば、21−201−0100V)、アキュターゼ(InterChim社製、例えば、カタログ番号UPN68081)、アキュターゼ(シグマ社製、例えば、カタログ番号A6964)、アキュターゼ(eBioscience社製、例えば、カタログ番号00−4555)またはアキュターゼ(ミリポア社製、例えば、カタログ番号SCR005)などの組換えアキュターゼが商業的に入手可能である。本発明により用いられる好ましい組換えアキュターゼは、実施例に記載されたアキュターゼ(シグマ社製、カタログ番号A6964)である。
【0023】
本発明の酵素組成物を用いたニワトリ胚の消化により調製される「細胞」としては、特に限定されないが、線維芽細胞、腎臓細胞、肝細胞、心細胞、筋細胞、上皮細胞、血球および内皮細胞を挙げることができる。
【0024】
本発明の一つの特定の態様によれば、本発明の酵素組成物は、単離されたニワトリ細胞からなるニワトリ細胞調製物の取得をもたらすニワトリ胚の消化に用いられる。本発明によれば、前記単離されたニワトリ細胞は、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)、ニワトリ胚腎臓細胞(CEKC)、またはニワトリ胚肝細胞(CELC)であり、好ましくはニワトリ胚線維芽細胞(CEF)である。
【0025】
本発明の他の特定の態様によれば、本発明の酵素組成物は、ニワトリ細胞の混合物からなるニワトリ細胞調製物の取得をもたらすニワトリ胚の消化に用いられる。本発明によれば、前記ニワトリ細胞の混合物は、CEF、CEKC、CELC、心細胞、筋細胞、上皮細胞、血球および/または内皮細胞である。
【0026】
細胞は、好ましくは、特定病原体未感染(SPF)卵から得られる。SPF卵は、例えば、Charles River Laboratories社(ウィルミントン、MA、米国)から商業的に入手可能である。前記卵は、好ましくは、9日齢を超えたものであり、より好ましくは、10〜14日齢のものであり、さらに好ましくは、12日齢のものである。胚から採取する前に、卵は、好ましくは、殺菌される。卵の殺菌のための多くの方法および製品が、先行技術から入手可能である。ホルマリン溶液中でのインキュベーション(例えば、2%ホルマリン中で、例えば、1分間)し、その後、エタノール中での洗浄(例えば、70%エタノール)することが特に好ましい。その後、卵は開かれ、胚が取り出され、頭と足が切断される。
【0027】
従って、切開されていない胚が、本発明の酵素組成物により直接消化される。本発明によれば、細胞の解離は、以下の条件下で得られる:
○ インキュベーションの温度が、35℃〜39℃であり、好ましくは、36℃〜37℃であり、より好ましくは、36℃、36.5℃または37℃であり、さらにより好ましくは、37℃であり;かつ
○ インキュベーションの継続時間が、1〜3時間、好ましくは2時間である。
【0028】
本発明の酵素組成物は、驚くべきことに、切開されていないニワトリ胚を消化することができる。
【0029】
本発明の特定の態様によれば、酵素組成物の酵素は、異なる時間に胚に添加されてもよい。例えば、トリプシン、ディスパーゼおよびコラゲナーゼを含んでなる酵素組成物では、胚はまず、ディスパーゼとコラゲナーゼの存在下で消化して、その後、時間間隔を空けてトリプシンの存在下で消化してもよい。他の例としては、トリプシン、ディスパーゼおよびアキュターゼを含んでなる酵素組成物では、胚はまず、トリプシン存在下で消化して、その後、時間間隔を空けてディスパーゼの存在下で消化し、最後に時間間隔を空けて(前の時間間隔と同じでもよく、異なっていてもよい)アキュターゼの存在下で消化してもよい。本発明によれば、前記時間間隔は15分〜90分であり、好ましくは、20〜80分であり、より好ましくは、30〜60分であり、より好ましくは、30分、35分、40分、45分、50分、55分、または60分であり、さらにより好ましくは60分である。
【0030】
得られる混合物は、その後濾過して(例えば、Fischer Bioblock社のカタログ番号A37532から商業的に入手可能なinox製seaveを用いて)未消化の組織を除去する。細胞(例えば、CEF;CEKC;CELC)は、その後、遠心分離(例えば、2300rpm、15分間)により回収する。前記遠心分離は、酵素(すなわち、酵素は上清中にあるであろう)を除去することを可能にもする。実施例1に記載の方法および条件が、好ましく用いられる。
【0031】
本発明によれば、得られる初代細胞は、直接用いることもでき、1回のさらなる継代の後に二次細胞として用いることもできる。
【0032】
細胞(すなわち、初代または二次)は、その後、適切な細胞培地中で培養する。本発明により用いられる細胞培地は、好ましくは、動物産物フリーである。動物産物フリーの多くの培地が既に記載されており、例えば、293 SFM II;293−F Cell、SFM−適用;293−H Cell、SFM−適用;293fectin(商標)トランスフェクション試薬;CD293AGT(商標);CD293培地;FreeStyle(商標)293発現システム;FreeStyle(商標)293培地;FreeStyle(商標)293−F Cell、SFM−適用;VP−SFM;VP−SFM AGT(商標);PER.C6(商標)細胞用アデノウイルス発現培地(AEM)成長培地;CD293AGT(商標);CD293培地;COS−7L細胞、SFM−適用;EPISERF(商標)培地;OptiPro(商標)SFM(すべてインビトロジェン社から入手可能)などのそのうちのいくつかは商業的に入手可能である。細胞は、好ましくは、感染前1〜5日間、より好ましくは、感染前1〜2日間、さらにより好ましくは、感染前2日間培養する。細胞は、好ましくは、30〜37℃の温度で培養する。
【0033】
本発明は、野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを生産する方法であって、前記の酵素組成物を用いてニワトリ胚から細胞を調製する工程を含んでなる方法にも関する。
【0034】
野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを生産する方法であって、本発明の酵素組成物を用いてニワトリ胚から細胞を調製する工程を含んでなる方法は、前記細胞にウイルスを感染させる工程を含んでいてもよい。細胞にウイルスを感染させる工程は、当業者に周知である。本明細書全体を通して用いられる「感染」は、細胞へのウイルスの核酸の移動に関し、細胞内でウイルスの核酸は複製され、ウイルスタンパク質が合成され、または新しいウイルス粒子が組み立てられる。当業者は、特定のウイルスの産生に最も適した細胞を選ぶことができる。例えば、産生されるウイルスがポックスウイルスである特定の態様では、用いる細胞は、好ましくは、CEFである。細胞にウイルスを感染させる工程は、前記細胞の調製に用いられる細胞培地と同じであっても、異なっていてもよい、適切な細胞培地中で行われる。本発明による用いられる細胞培地は、好ましくは、動物産物フリーである。動物産物フリーの多くの培地が既に記載され、そのいくつかは前記の通り商業的に入手可能である。感染の工程に用いられる好ましい細胞培地は、イーグル基礎培地細胞培地(インビトロジェン社製)である。細胞培地は、好ましくは、0.5〜1.5胚/L、より好ましくは1.1〜1.3胚/L、さらにより好ましくは、約1.2胚/Lの細胞培地でまかれる。産生されるウイルスがMVAである特定の態様では、MVAは、好ましくは、0.001〜0.1、より好ましくは、0.03〜0.07、さらにより好ましくは約0.05のMOIで細胞培養容器に播種される。
【0035】
野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを生産する方法であって、本発明の酵素組成物を用いてニワトリ胚から細胞を調製する工程を含んでなる方法は、感染細胞の培養の工程を含んでいてもよい。ウイルスの子孫が産生されるまでの感染細胞の培養の工程は、当業者に周知である。前記工程は、表面に接着しての増殖、(微小)担体の存在下若しくは非存在下の懸濁液中での増殖、またはそれらの組み合わせを含んでなることができる。培養は、例えば、培養皿中で、ローラーボトル中で、または、バッチ、フェドバッチ、連続系および中空糸などを用いたバイオリアクター中で行うことができる。細胞培養によりウイルスの大量生産を達成するために、(微小)担体の存在下または非存在下の懸濁液中で増殖することができる細胞を有することが技術上好ましく、動物産物フリーの培地内で培養することができる細胞を有することが好ましい。本発明により用いられる細胞培地は、好ましくは、動物産物フリーである。動物産物フリーの多くの培地が既に記載されており、そのうちのいくつかは、前記の通り商業的に入手可能である。感染細胞の培養の工程は、前記細胞の調製に用いる細胞培地およびウイルスによる前記細胞の感染に用いる細胞培地と同じでも異なっていてもよい。感染細胞の培養に用いられる好適な細胞培地は、イーグル基礎培地(インビトロジェン社製)である。感染細胞は、好ましくは1〜6日間培養され、より好ましくは2〜4日間培養され、さらにより好ましくは、3日間培養される。感染細胞は、好ましくは、30℃〜37℃の範囲の温度で培養される。
【0036】
野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを生産する方法であって、本発明の酵素組成物を用いてニワトリ胚から細胞を調製する工程を含んでなる方法は、上清および/または細胞から産生されたウイルスを回収する工程を含んでいてもよい。ウイルスが細胞から回収されるとき(すなわち、細胞のみから、あるいは、細胞からおよび上清から)、産生されたウイルスを回収する工程の前に、細胞膜の破壊する工程を行うことができる。この工程は、細胞からのウイルスの遊離をもたらす。細胞膜の破壊は、当業者に周知の様々な技術により誘発させることができる。このような技術としては、特に限定されないが、凍結/融解、低張溶解、超音波処理(超音波処理機を用いることにより)および顕微溶液化(顕微溶液化装置を用いることにより)が挙げられる。超音波処理機は、例えば、Heraeus PSP社、Biologics社、Misonix社またはGlenMills社から商業的に入手可能である。本発明により用いられる好ましい超音波処理機は、SONITUBE 20kHzタイプSM20−120−3およびSONITUBE 35kHzタイプSM35−400−3(Heraeus PSP社製)である。顕微溶液化装置は、Microfluidics社から商業的に入手可能である。パッケージング細胞の膜は、SLM Amincoフレンチプレスを用いて破壊することもできる。パッケージング細胞の膜は、高速ホモジェナイザーを用いて破壊することもできる。高速ホモジェナイザーは、例えば、Silverson Machines社またはIka−Labotechnik社から商業的に入手可能である。本発明により用いられる好ましい高速ホモジェナイザーは、SILVERSON L4R(Silverson Machines社製)である。
【0037】
野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを生産する方法であって、本発明の酵素組成物を用いてニワトリ胚から細胞を調製する工程を含んでなる方法は、回収されたウイルスを精製する1以上の工程を含んでいてもよい。精製工程は、特に限定されないが、例えば、以下の通りである。
【0038】
○ 好適な条件下での、細胞残屑の除去を可能とする清澄化。前記清澄化は、例えば、深層濾過により行うことができる。深層濾過としては、特に限定されないが、ザルトリウス社製のSartopure(商標)フィルター(例えば、Sartopure(商標)PP2)、CUNO社製APシリーズデプスフィルター(例えば、AP01)、CUNO社製CPシリーズデプスフィルター(例えば、CP10、CP30、CP50、CP60、CP70、CP90)、CUNO社製HPシリーズデプスフィルター(例えば、HP10、HP30、HP50、HP60、HP70、HP90)、CUNO社製Califシリーズデプスフィルター(例えば、CA10、CA30、CA50、CA60、CA70、CA90)、CUNO社製SPシリーズデプスフィルター(例えば、SP10、SP30、SP50、SP60、SP70、SP90)、CUNO社製Delipid and Delipid Plusフィルター、ミリポア社製CEシリーズデプスフィルター(例えばCE15、CE20、CE25、CE30、CE35、CE40、CE45、CE50、CE70、CE75)、ミリポア社製DEシリーズデプスフィルター(例えば、DE25、DE30、DE35、DE40、DE45、DE50、DE55、DE560、DE65、DE70、DE75)、ミリポア社製HCフィルター(例えば、A1HC、B1HC、COHC)、CUNO社製PolyNet(商標)フィルター(例えば、PolyNet(商標)PB P050、P100、P200、P300、P400、P500、P700)、ミリポア社製Clarigard and Polygardフィルター、CUNO社製Life Assureフィルター、ManCel社製デプスフィルター(例えば、PR12UP、PR12、PR5UP);およびPALL社製またはSeitzSchenk社製フィルターなどの1以上の商業的に入手可能な製品の使用が挙げられる。入手可能な深層濾過ユニットの清澄化能力を改善するために、徐々にポアサイズが減少する2以上のユニットを連結させることが有用であり得る。この態様では、清澄化する混合物は、最大の夾雑物が保持される第一の深層濾過ユニットを通過し、その後、第二の深層濾過ユニットを通過する。この観点では、本発明の好ましい態様によれば、清澄化は、深層濾過により、好ましくは、5μmのポアサイズを有するフィルターに連結した8μmのポアサイズを有するフィルターを通して行われる。本発明により用いられる8μmおよび5μmのポアサイズを有する好ましいフィルターは、ザルトリウス社から商業的に入手することができるSartopure(商標)フィルター(Sartopure(商標)PP2)である。本発明によれば、深層濾過は、好ましくは、1L/分の流速で行われる。
【0039】
○ 例えば、精密濾過または限外濾過により行うことができる濃縮。精密濾過は、巨大分子を濃縮し、かつ、精製する圧力駆動の膜工程である。より具体的には、溶液は、濃縮水にウイルスを跳ね返し、かつ、フィルターを介して透過液中に低分子(例えば、タンパク質)を通過させることができるように選ばれたポアサイズを有するフィルターを通過させる。精密濾過は、抽出溶液の体積を減らす。従って、この観点では、精密濾過は、0.2μm未満のポアサイズ、好ましくは、0.01〜0.15μmのポアサイズ、より好ましくは、0.09〜0.15μm、さらにより好ましくは、0.1μmのポアサイズを有するフィルターを用いることにより行うことができる。本発明により用いられるフィルターは、好ましくは、例えば、Prostak精密濾過モジュール(ミリポア社製)などのオートクレーブ可能で商業的に入手可能なフィルターが好ましく、Prostak精密濾過モジュールPSVVAG021、PSVVAG041およびSK2P12E1が好ましい。
【0040】
○ 精密濾過(前記の通り)の改良型であり、ウイルスを含んでなる前記フラクションを前記画分の不純物濃度に減少をもたらす溶液で希釈することを含む、透析濾過。ウイルスを含んでなるフラクションの希釈は、前記フラクションからより多くの不純物を洗い出すことを可能とする。透析濾過は、バッチ様式、半連続様式または連続様式で行うことができると理解される。透析濾過は、ウイルスが含まれる緩衝液の交換に有利に用いることができる。例えば、それは、精製工程に用いられる緩衝液を薬学上許容可能な緩衝液に交換するために有用である。本発明によれば、精密濾過は、0.2μm未満のポアサイズ、好ましくは0.01〜0.15μmのポアサイズ、より好ましくは、0.09〜0.15μm、さらにより好ましくは、0.1μmのポアサイズを有するフィルターを用いて行われる。本発明により用いられるフィルターは、例えば、Prostak精密濾過モジュール(ミリポア社製)などのオートクレーブ可能で商業的に入手可能なフィルターが好ましく、Prostak精密濾過モジュールPSVVAG021、PSVVAG041およびSK2P12E1が好ましい。
【0041】
○ 陽イオンまたは陰イオン交換吸着剤、好ましくは、陰イオン交換吸着剤を用いたクロマトグラフィー。本発明によれば、陰イオン交換吸着剤の官能基は、例えば、ジメチルアミノエチル(DMAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、トリメチルアミノエチル(TMAE)、トリエチルアミノエチル(TEAE)、基 −R−CH(OH)−CH−N+−(CH(Q基とも名付けられている;Streamline(商標)レジン、ファルマシア社製を参照)などの第1級、第2級、第3級、第4級アミノ基、または、例えば、既に正規の正電荷を有しているか、7.0〜9.0のpH内で正規の正電荷を有するポリエチレンイミン(PEI)などの他の基であってもよい。陰イオン交換吸着剤の好ましい官能基は、ジメチルアミノエチル(DEAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、トリメチルアミノエチル(TMAE)およびトリエチルアミノエチル(TEAE)からなる群から選択され、トリメチルアミノエチル(TMAE)がより好ましい。陰イオン交換吸着剤は、特に限定されないが、例えば、ビーズ形成マトリックスまたは膜から構成される。
− 本発明の好ましい態様によれば、陰イオン交換吸着剤はビーズ形成マトリックスから構成される。マトリックスは、例えば、アガロース、親水性ポリマー、セルロース、デキストランまたはシリカとすることができる。鎖(例えば、デキストラン鎖)がマトリックスと結合していてもよい。前記の官能基は、化学的に安定な結合(例えば、エーテル結合)により鎖と結合している。ビーズ形成マトリックスの好ましい官能基は、トリメチルアミノエチル(TMAE)である。本発明により用いられるビーズ形成マトリックスから構成される陰イオン交換吸着剤は、例えば、UNOsphere(商標)Q(バイオラッド社製)、UNOsphere(商標)S(バイオラッド社製)、STREAMLINE(商標)Q Sepharose(商標)XL(アマーシャムバイオサイエンシズ社製)、STREAMLINE(商標)SP Sepharose(商標)XL(アマーシャムバイオサイエンシズ社製)またはBioSepra(商標)Q hyperZ(Pall社製)など、オートクレーブ可能であることが好ましい。本発明によるビーズ形成マトリックスから構成されるオートクレーブ可能な好ましい陰イオン交換吸着剤は、UNOsphere(商標)Q(バイオラッド社製)である。UNOsphere(商標)Q(バイオラッド社製)は、120μmの直径を有し、かつトリメチルアミノエチル(TMAE)官能基を有する、親水性で球状の重合体ビーズから構成される。
− 本発明の他の好ましい態様によれば、陰イオン交換吸着剤は、膜から構成される。膜の官能基は、前記の通りであり得る。膜の好ましい官能基は、トリメチルアミノエチル(TMAE)である。本発明の好ましい態様によれば、用いられる膜は、ウイルスのサイズよりも小さいポアサイズを有する。この観点では、ウイルスがポックスウイルス(200nmのサイズを有する)である場合には、膜は、1〜5μmのポアサイズ、より好ましくは、3μmのポアサイズを有する。本発明により用いられる膜から構成される陰イオン交換吸着剤は、例えば、Sartobind(商標)75Q(ザルトリウス社製)など、オートクレーブ可能なものであることが好ましい。
【0042】
○ ゲル濾過:本発明によれば、ウイルスを含むサンプルは、3〜160μm、有利には80〜160μm、好ましくは、40〜105μm、より好ましくは、25〜75μm、より好ましくは、20〜80μm、さらにより好ましくは、20〜60μmの直径を有するビーズを含んでなる固体支持体上で処理される。本発明によれば、前記支持体は、後者がビーズを通り抜けないように、ウイルスの直径(例えば、ポックスウイルスでは200〜300nm)に近い多孔度を有する。他方で、より小さいサイズの分子は、ビーズを通り抜け、その移動は遅くなる。ゲル濾過に用いられる支持体は、例えば、アガロース、デキストラン、アクリルアミド、シリカ、エチレングリコール/メタクリレート共重合体、または、例えば、アガロースとデキストランとの混合物などのこれらの組み合わせに基づき得る。本発明によれば、支持体は、官能基なしでも好ましく用いられる。ゲル濾過クロマトグラフィー支持体は、例えば、
− エチレングリコール/メタクリレート共重合体ゲル濾過クロマトグラフィー支持体(例えば、20〜60μmのビーズ直径を有する、Toyopearl(商標)HW55、Toyopearl(商標)HW65およびToyopearl(商標)HW75、Tosohaas社製);
− アリルデキストラン/メチレンビスアクリルアミドゲル濾過クロマトグラフィー支持体(例えば、25〜75μmのビーズ直径を有するSephacryl(商標)S300HR;25〜75μmのビーズ直径を有するSephacryl(商標)S400HR;25〜75μmのビーズ直径を有するSephacryl(商標)S500HR;40〜105μmのビーズ直径を有するSephacryl(商標)S1000SF、すべてファルマシア社製);
− N−アクリルアミノヒドロキシプロパンジオールゲル濾過クロマトグラフィー支持体(例えば、80〜160μmのビーズ直径を有するTrisacryl、Biosepra社製);
− アガロースゲル濾過クロマトグラフィー支持体(例えば、20〜80μmのビーズ直径を有するMacro−Prep SE、バイオラッド社製)などの、商業的に入手可能なものである。エチレングリコール/メタクリレートゲル濾過クロマトグラフィー支持体(例えば、20〜60μmのビーズ直径を有する、Toyopearl(商標)HW55、Toyopearl(商標)HW65およびToyopearl(商標)HW75、Tosohaas社製)が好ましい。
【0043】
野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを生産する方法であって、本発明の酵素組成物を用いてニワトリ胚から細胞を調製する工程を含んでなる方法はまた、1以上のヌクレアーゼの存在下でインキュベートする工程を含んでいてもよい。1以上のヌクレアーゼ(すなわち、エンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼ)の存在下でインキュベートする工程は、溶液中に存在する核酸(例えば、DNA;RNA)を分解するために行われる。本発明により好ましく用いられるヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼである。エンドヌクレアーゼは、その基質に基づいて、以下のように分類することができる:DNAを分解するデオキシリボヌクレアーゼ(DNase);RNAを分解するリボヌクレアーゼ(RNase);並びにDNAおよびRNAを分解するエンドヌクレアーゼ。エンドヌクレアーゼDNaseとしては、特に限定されないが、DNase I、DNase II、およびエンドデオキシリボヌクレアーゼIVが挙げられる。エンドヌクレアーゼRNaseとしては、特に限定されないが、RNase I、RNase III、RNase E、RNase FおよびRNase Pが挙げられる。DNAおよびRNAを分解するエンドヌクレアーゼとしては、特に限定されないが、Benzonase(商標)が挙げられる。本発明の好ましい態様では、産生されるウイルスをインキュベートする工程は、Benzonase(商標)の存在下で行われる。Benzonase(商標)は、特定塩基間に内在するリン酸ジエステル結合を加水分解することにより核酸(例えば、DNA:RNA)を分解する。完全に消化すると、溶液中に存在するすべての遊離核酸(例えば、DNA;RNA)は、3〜8塩基長の、5’−モノリン酸で終端するオリゴヌクレオチドに変わる。Benzonase(商標)はタンパク質分解活性を有さない。本発明により用いられるBenzonase(商標)は、好ましくは、薬学上許容可能である。薬学上許容可能なBenzonase(商標)は、商業的に入手可能である(例えば、参照番号ME−0280−10の下でEurogentec社製、例えば、参照番号1.01653.0001の下でメルク社製)。本発明によれば、用いられるヌクレアーゼの濃度は、5〜100U/mLの範囲、好ましくは、5〜50U/mLの範囲、より好ましくは、10U/mLである。
【0044】
本発明による野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを生産する方法は、無菌の工業規模の製造工程に適しており、ワクチンの滅菌性に関する法的規制の完全な遵守を確かにする。
【0045】
本出願全体を通して用いられる「ウイルス」としては、特に限定されないが、ポックスウイルス、アデノウイルス、アデノウイルス関連ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アルファウイルス、フォーミーウイルス、インフルエンザウイルス(例えば、インフルエンザウイルスなど)、フラビウイルス(例えば、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、または西ナイルウイルスなど)、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、アルファウイルス(例えば、ロスリバーウイルス、チクングニヤウイルス)、肝炎ウイルス、リノウイルス(例えば、コロラドダニ熱)またはフォーミーウイルスが挙げられる。
【0046】
本発明の好ましい態様では、ウイルスはポックスウイルスである。ポックスウイルスは、主に、その特異な形態学、その巨大なDNAゲノムおよびその細胞内の複製部位により識別できる200〜300nmの直径を有する複雑なエンベロープウイルスである。本発明によれば、ポックスウイルスは、偏り無く、未成熟ウイルス(IV)、細胞内成熟ウイルス(IMV)、細胞内エンベロープウイルス(IEV)、細胞関連エンベロープウイルス(CEV)または細胞外エンベロープウイルス(EEV)(SMITH et al. (2002), J. Gen. Virol., 83, 2915-2931)とすることができる。本発明で用いられるポックスウイルスは、好ましくは、チョルドポックスウイルス亜科(脊椎動物ポックスウイルス)(Fields Virology/eds. : FIELDS, B. N., KNIPE, D. M., HOWLEY, P. M.; 3rd ed/ISBN 0-7817-0253-4; Chapter 83)のポックスウイルスを意味する。チョルドポックスウイルスとしては、特に限定されないが、オルトポックスウイルス属、パラポックスウイルス属、アビポックスウイルス属、カプリポックスウイルス属、レポリポックスウイルス属、スイポックスウイルス属、モルシポックスウイルス属、またはヤタポックスウイルス属のポックスウイルスが挙げられる。本発明による好ましいチョルドポックスウイルスは、オルトポックスウイルスである。オルトポックスウイルスとしては、特に限定されないが、天然痘ウイルス、例えば、ワクシニアウイルスElstree株、Western Reserve株、Wyeth株、NYVAC株、NYCBOH株、パリ株、コペンハーゲン株(GOEBLE et al. (1990); Genbank accession number M35027.1)などのワクシニアウイルス(VV)、または、例えば、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)、特にMVA575(ECACC V00120707)およびMVA−BN(ECACC V0083008)などのそれらの誘導体が挙げられる。コペンハーゲンワクシニアウイルス(VV)株(GOEBEL et al., 1990, Virol. 179, 247-266および 517-563; JOHNSON et al., 1993, Virol. 196, 381-401)および改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)株(ANTOINE et al., 1998, Virol. 244, 365-396)を含むポックスウイルスのいくつかのメンバーのゲノムは、マッピングされ、シークエンスされている。VVは、約200のタンパク質(そのうちの約100はウイルスの組み立てに関与する)をコードする約192kbの二本鎖DNAゲノムを有する。MVAは、ニワトリ胚線維芽細胞上でワクシニアウイルスのアンカラ株を500回以上逐次的に継代して生み出された、高度に弱毒化されたワクシニアウイルス株である(MAYR et al., 1975, Infection 3, 6-16)。MVAウイルスは、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託番号N602 I−721として寄託された。MVAゲノムの完全な配列が決定され、コペンハーゲンVVゲノムと比較することにより、ウイルスゲノムに生じた変異の正確な同定および7つの欠失(I〜IIV)並びにORF(オープンリーディングフレーム)の断片化を引き起こす多くの変異の定義が可能となった(ANTOINE et al., 1998, Virology 244, 365-396)。
【0047】
本発明の好ましい態様では、ウイルスはポックスウイルス、好ましくは、オルトポックスウイルスである。
【0048】
本発明の好ましい態様では、オルトポックスウイルスは、ワクシニアウイルス(VV)である。本発明による好ましいVVは、例えば、それぞれ、機能不全のI4Lおよび/またはF4L遺伝子を含んでなるVV並びに機能不全のF2L遺伝子を含んでなるVVを開示する、PCT出願PCT/EP2008/009720号またはPCT出願PCT/EP2008/009721号に記載されるVVである。
【0049】
本発明の他の好ましい態様では、オルトポックスウイルスは、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)である。本発明による好ましいMVAは、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託番号N602 I−721として寄託されたMVA、MVA575(ECACC V00120707)およびMVA−BN(ECACC V0083008)である。
【0050】
好ましい態様では、本発明は、野生型ポックスウイルス、弱毒化ポックスウイルスおよび/または組換えポックスウイルスを生産する方法であって、前記の酵素組成物を用いて胚から細胞を調製する工程と、引用することにより本明細書の一部とされるWO07/147528号公報に記載されるさらなる工程とを含んでなる方法に関する。従って、この観点では、本発明は、野生型ポックスウイルス、弱毒化ポックスウイルスおよび/または組換えポックスウイルスを生産する方法であって、
a)前記酵素組成物を用いて胚から細胞を調製する工程;
b)前記細胞培養を感染させる工程(引用することにより本明細書の一部とされるWO第07/147528号公報に記載された);
c)前記感染細胞を適切な期間培養する工程(引用することにより本明細書の一部とされるWO第07/147528号公報に記載された);
d)培養上清および/またはパッケージング細胞から、産生されたポックスウイルス粒子を回収する工程(引用することにより本明細書の一部とされるWO第07/147528号公報に記載された);
e)深層濾過により、好ましくは、5μmのポアサイズを有するフィルターに連結した8μmのポアサイズを有するフィルターを通すことにより、得られた混合物を清澄化する工程(引用することにより本明細書の一部とされるWO第07/147528号公報に記載された);
f)精密濾過により、好ましくは、0.01μm〜0.15μmのポアサイズを有するフィルターを通すことにより、好ましくは、0.1μmのポアサイズを有するフィルターを通すことにより、得られた混合物を濃縮する工程(引用することにより本明細書の一部とされるWO第07/147528号公報に記載された);並びに
g)好ましくは、0.01μm〜0.15μmのポアサイズを有するフィルターを通すことにより、好ましくは、0.1μmのポアサイズを有するフィルターを通すことにより、得られた混合物を透析濾過する工程(引用することにより本明細書の一部とされるWO第07/147528号公報に記載された)
を含んでなる方法に関する。
【0051】
他の好ましい態様では、本発明は、野生型オルトポックスウイルス、弱毒化オルトポックスウイルスおよび/または組換えオルトポックスウイルスを生産する方法であって、前記酵素組成物を用いて胚から細胞を調製する工程と、引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許出願第09305422.9号の方法A(Method A)に記載されたさらなる工程とを含んでなる方法に関する。従って、この観点では、本発明は、野生型オルトポックスウイルス、弱毒化オルトポックスウイルスおよび/または組換えオルトポックスウイルスを生産する方法であって、
a)前記酵素組成物を用いて胚から細胞を調製する工程;
b)細胞にオルトポックスウイルスを感染させる工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
c)オルトポックスウイルスの子孫が産生されるまで前記感染細胞を培養する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
d)1以上のヌクレアーゼの存在下でインキュベートする工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
e)培養上清および/または細胞からオルトポックスウイルスを回収する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
f)ヌクレアーゼ活性を阻害し、かつ、工程(g)において前記オルトポックスウイルスの陰イオン交換吸着剤への吸着を防ぐために好適な条件下で、工程(e)で回収されたオルトポックスウイルスに一価の塩(例えば、NaCl;KCl)を加える工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
g)工程(f)で得られた混合物を、陰イオン交換吸着剤(例えば、ジメチルアミノエチル(DMAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、トリメチルアミノエチル(TMAE)、トリエチルアミノエチル(TEAE)、基 −R−CH(OH)−CH−N+−(CH(Q基とも名付けられている;Streamline(商標)レジン、ファルマシア社製を参照)などの第1級、第2級、第3級若しくは第4級アミノ基、または、例えば、既に正規の正電荷を有しているか、7.0〜9.0のpH内で正規の正電荷を有するポリエチレンイミン(PEI)などの他の基である官能基を有するビーズ形成マトリックスまたは膜)と、核酸を捕捉することを可能とする好適な条件下で接触させる工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
h)工程(g)で得られた混合物を、細胞残屑の除去を可能とする好適な条件下で清澄化する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
i)保持されたオルトポックスウイルスをフロースルー中に回収するために好適な条件下で一価の塩(例えば、NaCl;KCl)を含んでなる溶液で陰イオン交換吸着剤を洗浄する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
j)工程(h)で得られたフロースルーおよび工程(i)で得られたフロースルーを濃縮する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
k)工程(j)で得られたオルトポックスウイルスを含んでなるフラクションを透析濾過する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された);
l)ゲル濾過工程とその後に続く透析濾過の工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Aに記載された)
を含んでなる方法に関する。
【0052】
他の好ましい態様では、本発明は、野生型オルトポックスウイルス、弱毒化オルトポックスウイルスおよび/または組換えオルトポックスウイルスを生産する方法であって、前記酵素組成物を用いて胚から細胞を調製する工程と、引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法B(Method B)に記載されたさらなる工程とを含んでなる方法に関する。従って、この観点では、本発明は、野生型オルトポックスウイルス、弱毒化オルトポックスウイルスおよび/または組換えオルトポックスウイルスを生産する方法であって、
a’)前記酵素組成物を用いて胚から細胞を調製する工程;
b’)細胞にオルトポックスウイルスを感染させる工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);
c’)オルトポックスウイルスの子孫が産生されるまで前記感染細胞を培養する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);
d’)1以上のヌクレアーゼの存在下でインキュベートする工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);
e’)培養上清および/またはパッケージング細胞からオルトポックスウイルスを回収する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);
f’)工程(e’)で回収されたオルトポックスウイルスを、
1.ヌクレアーゼ活性を阻害することができる1以上の薬剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤;例えば、NaClまたはKClなどの一価の塩);および、場合によって、
2.1以上の安定化剤(例えば、スクロースまたはトレハロースなどの糖類;アミノ酸;Tweenなどの界面活性剤;例えば、NaClまたはKClなどの塩)
の存在下でインキュベートする工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);
g’)工程(f’)で得られた混合物を、陰イオン交換吸着剤(例えば、ジメチルアミノエチル(DMAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、トリメチルアミノエチル(TMAE)、トリエチルアミノエチル(TEAE)、基 −R−CH(OH)−CH−N+−(CH(Q基とも名付けられている;Streamline(商標)レジン、ファルマシア社製を参照)などの第1級、第2級、第3級若しくは第4級アミノ基、または、例えば、既に正規の正電荷を有しているか、7.0〜9.0のpH内で正規の正電荷を有するポリエチレンイミン(PEI)などの他の基である官能基を有するビーズ形成マトリックスまたは膜)と、前記オルトポックスウイルスおよび核酸を捕捉することを可能とする好適な条件下で接触させる工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);
h’)工程(g’)で得られた混合物を、細胞残屑を除去することのできる好適な条件下で清澄化する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);
i’)オルトポックスウイルスを一価の塩を含んでなる溶液で溶出する工程;
j’)工程(i’)で得られた混合物を濃縮する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);
k’)工程(j’)で得られたオルトポックスウイルスを含んでなるフラクションを透析濾過する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);および場合によって
l’)ゲル濾過の工程およびそれに続く透析濾過の工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された)
を含んでなる方法に関する。
【0053】
他の好ましい態様では、本発明は、野生型オルトポックスウイルス、弱毒化オルトポックスウイルスおよび/または組換えオルトポックスウイルスを生産する方法であって、前記酵素組成物を用いて胚から細胞を調製する工程と、引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法C(Method C)に記載されたさらなる工程とを含んでなる方法に関する。従って、この観点では、本発明は、野生型オルトポックスウイルス、弱毒化オルトポックスウイルスおよび/または組換えオルトポックスウイルスを生産する方法であって、
a’’)前記酵素組成物を用いて胚から細胞を調製する工程;
b’’)パッケージング細胞培養物にオルトポックスウイルスを感染させる工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
c’’)オルトポックスウイルスの子孫が産生されるまで前記感染パッケージング細胞を培養する工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
d’’)1以上のヌクレアーゼの存在下でインキュベートする工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
e’’)培養上清および/またはパッケージング細胞からオルトポックスウイルスを回収する工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
f’’)工程(e’’)で回収されたオルトポックスウイルスを、
1.ヌクレアーゼ活性を阻害することができる1以上の薬剤;および、場合によって、
2.1以上の安定化剤
の存在下でインキュベートする工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
g’’)工程(f’’)で得られた混合物を、陰イオン交換吸着剤(例えば、ジメチルアミノエチル(DMAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、トリメチルアミノエチル(TMAE)、トリエチルアミノエチル(TEAE)、基 −R−CH(OH)−CH−N+−(CH(Q基とも名付けられている;Streamline(商標)レジン、ファルマシア社製を参照)などの第1級、第2級、第3級若しくは第4級アミノ基、または、例えば、既に正規の正電荷を有しているか、7.0〜9.0のpH内で正規の正電荷を有するポリエチレンイミン(PEI)などの他の基である官能基を有するビーズ形成マトリックスまたは膜)と、前記オルトポックスウイルスおよび核酸を捕捉することを可能とする好適な条件下で接触させる工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
h’’)工程(g’’)で得られた混合物を、細胞残屑を除去することのできる好適な条件下で清澄化する工程(引用することにより本明細書の一部とされる欧州特許第09305422.9号公報の方法Bに記載された);
i’’)オルトポックスウイルスを一価の塩を含んでなる溶液で溶出する工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
j’’)工程(k’’)において前記オルトポックスウイルスの陰イオン交換吸着剤への吸着を防ぐために、工程(i’’)で溶出させたオルトポックスウイルスに一価の塩を加える工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
k’’)工程(j’’)で得られた混合物を、陰イオン交換吸着剤(例えば、ジメチルアミノエチル(DMAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、トリメチルアミノエチル(TMAE)、トリエチルアミノエチル(TEAE)、基 −R−CH(OH)−CH−N+−(CH(Q基とも名付けられている;Streamline(商標)レジン、ファルマシア社製を参照)などの第1級、第2級、第3級若しくは第4級アミノ基、または、例えば、既に正規の正電荷を有しているか、7.0〜9.0のpH内で正規の正電荷を有するポリエチレンイミン(PEI)などの他の基である官能基を有するビーズ形成マトリックスまたは膜)と、核酸を捕捉することを可能とする好適な条件下で接触させる工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
l’’)保持されたオルトポックスウイルスをフロースルー中に回収するために好適な条件下で一価の塩を含んでなる溶液で陰イオン交換吸着剤を洗浄する工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
m’’)工程(l’’)で得られたフロースルーを濃縮する工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);
n’’)工程(m’’)で得られたオルトポックスウイルスを含んでなるフラクションを透析濾過する工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された);および場合によって
o’’)ゲル濾過の工程およびそれに続く透析濾過の工程(引用することにより本明細書の一部とされるPCT特許出願PCT/EP2010/056491号の方法Cに記載された)
を含んでなる方法に関する。
【0054】
本明細書全体を通して用いられる「弱毒化ウイルス」とは、意図する対象内でのその病原性が実質的に低減するように改変されたあらゆるウイルスを意味する。好ましくは、ウイルスは、臨床学的見地から非病原性である、すなわち、ウイルスに暴露された対象が対照の対象と比較して統計的に有意に増大したレベルの病原性を示さない程度に弱毒化される。
【0055】
本明細書全体を通して用いられる「組換えウイルス」とは、そのゲノムに挿入した外来性配列を含んでなるウイルスを意味する。本明細書で用いられる外来性配列とは、親ウイルスには天然には存在しない核酸を意味する。
【0056】
一つの態様では、外来性配列は、直接的または間接的な細胞毒性機能を有する分子をコードする。「直接的または間接的な」細胞毒性とは、外来性配列によりコードされる分子それ自体が毒性(例えば、リシン、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン−2(IL2)、インターフェロンガンマ(INFγ)、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、シュードモナスエキソトキシンA)であり得るか、または代謝されて毒性産物を形成し得るか、または他のものに作用して毒性産物を形成し得ることを意味する。リシンcDNAの配列はLambら(Eur. J. Biochem., 1985, 148, 265-270)により開示されている。
【0057】
本発明の好ましい態様では、外来性配列は、自殺遺伝子である。自殺遺伝子は、比較的非毒性のプロドラッグを毒性の薬物に変換することができるタンパク質をコードする。例えば、酵素シトシンデアミナーゼは、5−フルオロシトシン(5−FC)を5−フルオロウラシル(5−FU)に変換し(Mullen et al (1922) PNAS 89, 33);単純ヘルペスの酵素チミジンキナーゼは、抗ウイルス剤ガンシクロビル(GCV)またはアシクロビルによる処理に対して細胞を敏感にする(Moolten (1986) Cancer Res. 46, 5276; Ezzedine et al (1991) New Biol 3, 608)。あらゆる生物、例えば、E. coliまたはSaccharomyces cerevisiaeのシトシンデアミナーゼを用いることができる。従って、本発明の好ましい態様では、自殺遺伝子は、シトシンデアミナーゼ活性を有するタンパク質、より好ましくは、引用することにより本明細書の一部とされるWO第99/54481号公報、WO第05/07857号公報、PCT特許出願PCT/EP2008/009720号およびPCT特許出願PCT/EP2008/009721号によりカバーされるFCU1タンパク質またはFCU1−8タンパク質をコードする。
【0058】
この観点では、本発明の方法により生産される好ましい組換えウイルスは、
○ TG4023とも呼ばれるMVA−FCU1(WO第99/54481号公報を参照);
○ MVA−FCU1−8(WO第05/07857号公報を参照);
○ VV−FCU1(ここで、前記VVは、より好ましくは、機能不全のI4Lおよび/またはF4L遺伝子並びにJ2R遺伝子を含んでなる(PCT特許出願PCT/EP2008/009720号およびPCT特許出願PCT/EP2008/009721号を参照))
である。
【0059】
プロドラッグ/酵素組成物の他の例としては、Bagshaweら(WO第88/07378号公報)により開示されたもの、すなわち、様々なアルキル化剤およびシュードモナスsppのCPG2酵素、並びに、EpentosおよびRowlinson−Busza(WO第91/11201号公報)により開示されたもの、すなわち、シアン発生プロドラッグ(例えば、アミグダリン)および植物由来のβ−グリコシダーゼが挙げられる。本発明のこの態様に有用な酵素としては、特に限定されないが、リン酸エステル含有プロドラッグをフリーの薬剤に変換するために有用なアルカリフォスファターゼ;硫酸エステル含有プロドラッグをフリーの薬剤に変換するために有用なアリールスルファターゼ;ペプチド含有プロドラッグをフリーの薬剤に変換するために有用な、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(カテプシンBおよびL)などのプロテアーゼ;D−アミノ酸置換基を有するプロドラッグを変換するために有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化されたプロドラッグをフリーの薬剤に変換するために有用なβ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼなどの炭化水素切断酵素;β−ラクタムで誘導化された薬剤をフリーの薬剤に変換するために有用なβ−ラクタマーゼ;それぞれフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基でそのアミノ窒素を誘導化された薬剤をフリーの薬剤に変換するために有用なペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが挙げられる。代わりに、アブザイムとして当技術分野で知られる酵素活性を有する抗体を、本発明のプロドラッグをフリーの薬剤に変換するために用いることができる(Massey R. et al., Nature, 1987, 328, 457-458)。同様に、プロドラッグは、特に限定されないが、上でリストしたプロドラッグ、例えば、リン酸エステル含有プロドラッグ、チオリン酸エステル含有プロドラッグ、硫酸エステル含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸改変プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、置換されていてもよいフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ若しくは置換されていてもよいフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび変換可能な他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられる。本発明で用いるためのプロドラッグ形態に誘導化され得る細胞毒性薬剤の例としては、特に限定されないが、エトポシド、テニポシド、アドリアマイシン、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、シスプラチンおよびシスプラチン類似体、ブレオマイシン、エスペラマイシン(例えば、米国特許第4,675,187号公報を参照)、5−フルオロウラシル、メルファラン並びに他の関連ナイトロジェンマスタードが挙げられる。
【0060】
さらなる態様では、外来性遺伝子は、標的RNAまたはDNAを分解することができるリボザイムをコードする。分解される標的RNAまたはDNAは、細胞機能に必須のRNAまたはDNAであり得、それらの分解は、細胞死を引き起こすか、または、分解されるRNA若しくはDNAは、望まれないタンパク質、例えば、癌遺伝子産物をコードするRNA若しくはDNAであり得、このRNA若しくはDNAの分解は、細胞が癌化することを防ぎ得る。
【0061】
なおいっそうさらなる態様では、外来性遺伝子は、アンチセンスRNAをコードする。「アンチセンスRNA」とは、タンパク質をコードするmRNA分子にハイブリダイズしてその発現を妨げるか、プレmRNA若しくはtRNA若しくはrRNAなどの細胞内の他のRNA分子とハイブリダイズするか、またはハイブリダイズして遺伝子からの発現を妨げるRNA分子を意味する。
【0062】
本発明の他の態様では、外来性遺伝子は、標的細胞内で、機能不全の遺伝子に置き換わってもよい。欠陥遺伝子により引き起こされる、ヒトを含む哺乳類の、幾千もの遺伝性疾患がある。そのような遺伝性疾患の例としては、嚢胞性線維症(CFTR遺伝子に変異があることが知られている);デュシェンヌ型筋ジストロフィー(ジストロフィン遺伝子に変異があることが知られている);鎌状赤血球症(HbA遺伝子に変異があることが知られている)が挙げられる。多くのタイプの癌は、欠陥遺伝子、特に、変異した原癌遺伝子および癌抑制遺伝子により引き起こされる。原癌遺伝子の例は、ras、src、bclなどであり;癌抑制遺伝子の例は、p53およびRbである。
【0063】
本発明のさらなる態様では、外来性配列は、腫瘍関連抗原(TAA)をコードする。TAAは、同一組織型の非腫瘍細胞よりも腫瘍細胞においてより高い頻度および密度で検出される分子に関係する。TAAの例としては、特に限定されないが、CEA、MART1、MAGE1、MAGE3、GP−100、MUC1(引用することにより本明細書の一部とされる、WO第92/07000号公報、WO第95/09241号公報およびRochlitz et al. J Gene Med. 2003 Aug;5(8):690-9)、MUC2、点変異型ras癌遺伝子、正常型または点変異型p53、過剰発現型p53、CA−125、PSA、C−erb/B2、BRCA I、BRCA II、PSMA、チロシナーゼ、TRP1、TRP2、NY−ESO−1、TAG72、KSA、HER−2/neu、bcr−abl、pax3−fkhr、ews−fli−1、survivingおよびLRPが挙げられる。より好ましい態様によれば、TAAはMUC1である。
【0064】
本発明の他の態様では、外来性遺伝子は、抗原をコードする。本明細書で用いられる「抗原」とは、抗体と結合することができるリガンドであり、それ自体が免疫原性である必要はない。抗原は、好ましくは、例えば、HIV−1、(gp120またはgp160など)、いずれかのネコ免疫不全ウイルス、gD若しくはその誘導体またはHSV1若しくはHSV2からのICP27などの前初期タンパク質などのヒトまたは動物ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(gBまたはその誘導体など)、水疱帯状疱疹ウイルス(gpI、IIまたはIIIなど)などのウイルスに由来し、またはB型肝炎ウイルス(HBV)、例えば、B型肝炎表面抗原またはその誘導体、A型肝炎ウイルス(HAV)、C型肝炎ウイルス(HCV;WO第04/111082号公報を参照;好ましくは、遺伝子型1b系統ja由来の非構造HCVタンパク質)、E型肝炎ウイルス(HEV)などの肝炎ウイルスに由来し、または、呼吸器多核体ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV;WO第90/10459号公報、WO第95/09241号公報、WO第98/04705号公報、WO第99/03885号公報、WO第07/121894号公報、WO第07/121894号公報を参照;HPV16系統由来のE6およびE7タンパク質が好ましい;Liu et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Oct 5;101 Suppl 2:14567-71を参照)、若しくはインフルエンザウイルスなどのその他のウイルス性病原体に由来し、または、サルモネラ、ナイセリア、ボレリア(例えば、OspA若しくはOspBまたはそれらの誘導体)、若しくは、クラミジア、若しくは、ボルデテラ、例えば、P.69、PTおよびFHA、などの細菌性病原体に由来し、または、マラリア原虫若しくはトキソプラズマなどの寄生体に由来する。より好ましい態様によれば、抗原は、HCVまたはHPVから選択される。
【0065】
この観点で、本発明に方法により生産される好ましい組換えウイルスは、TG4040とも呼ばれるMVA−HCV(WO第04/111082号公報を参照)である。
【0066】
組換えウイルスは、1以上の外来性配列を含んでなることができ、各外来性配列は、1以上の分子をコードすることができる。例えば、同一の組換えウイルス内で、例えば、TAA(前記の通り)または抗原(前記の通り)をコードする外来性配列と、サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL2としてIL);腫瘍壊死因子(TNF);インターフェロン−(IFN);コロニー刺激因子(CSF))をコードする外来性配列を関連させることは、有用であり得る。
【0067】
この観点で、本発明の方法により生産される好ましい組換えウイルスは、
○ TG4010とも呼ばれるMVA−[MUC1−IL2](WO第92/07000号公報およびWO第95/09241号公報を参照);および
○ TG4001とも呼ばれるMVA−[HPV−IL2](WO第90/10459号公報、WO第95/09241号公報、WO第98/04705号公報、WO第99/03885号公報、WO第07/121894号公報およびWO第07/121894号公報を参照)
である。
【0068】
有利には、組換えウイルスは、外来性配列の発現に必要な要素をさらに含んでなる。発現に必要な要素は、ヌクレオチド配列のRNAへの転写およびmRNAのポリペプチドへの翻訳を可能にする要素のセットを含んでなり、特に、本発明の組換えウイルスが感染する細胞中で有効なプロモーター配列および/または調節配列、並びに、場合により、前記ペプチドの分泌もしくは細胞表面への発現を可能とするために必要な配列を含んでなる。これらの要素は、誘導性または構成性であり得る。当然、プロモーターは、選択される組換えウイルスおよび宿主細胞に適合させられる。ワクシニアウイルスプロモーターp7.5k pH5R、pK1L、p28、p11または前記プロモーターの組み合わせが例示的に挙げられる。文献は、そのようなプロモーター配列に関連する大量の情報を提供する。加えて、必要とされる要素は、宿主細胞での外来性配列の発現またはその維持を改善する、追加の要素を含むことができる。特に、イントロン配列(WO第94/29471号公報)、分泌シグナル配列、核局在化配列、IRES型の翻訳再開のための内部配列、転写の終結のためのポリA配列が挙げられ得る。
【0069】
本発明は、医薬組成物としての使用、特に、ワクチンとしての使用のための、前記方法により得られる、精製された野生型ウイルス、弱毒化ウイルス、および/または組換えウイルスにも関する。
【0070】
本明細書で用いられる「医薬組成物」とは、薬学上許容可能な担体を含んでなる組成物をいう。前記薬学上許容可能な担体は、好ましくは、等張、低張または弱高張であり、例えば、スクロース溶液など、比較的低いイオン強度を有する。さらに、そのような担体は、非発熱原性の滅菌水などの、いずれの溶媒、または水性液体若しくは部分的に水性の液体を含んでいてもよい。加えて、医薬組成物のpHは、イン・ビボでの使用の要求を満たすように調整され、バッファーされる。医薬組成物は、薬学上許容可能な希釈剤、アジュバントまたは賦形剤を、可溶化剤、安定化剤および保存剤同様に含んでもよい。注射可能な投与のためには、水性、非水性または等張溶液中の製剤が好ましい。それは、単一用量または複数回用量で、液体でまたは使用時に適切な希釈剤で再構成できる乾燥形態(粉末、凍結乾燥物など)で提供され得る。
【0071】
本発明は、癌、感染症および/または自己免疫疾患の処置および/または予防のための、上記の方法により得られる精製された野生型ウイルス、弱毒化ウイルス、および/または組換えウイルスにも関する。
【0072】
本明細書で用いられる「癌」は、特に限定されないが、肺癌(例えば、小細胞肺癌腫および非小細胞肺)、気管支癌、食道癌、咽頭癌(pharyngeal cancer)、頭頚部癌(例えば、喉頭癌、口唇癌、鼻腔癌および副鼻腔癌、ならびに咽頭癌(throat cancer))、口腔癌(例えば、舌癌)、胃癌(gastric cancer)(例えば、胃癌(stomach cancer))、腸癌、消化器癌、結腸癌、直腸癌、直腸結腸癌、肛門癌、肝臓癌、膵臓癌、尿路癌、膀胱癌、甲状腺癌、腎臓癌、癌腫、腺癌、皮膚癌(例えば、メラノーマ)、眼癌(例えば、網膜芽細胞腫)、脳癌(例えば、神経膠腫、髄芽細胞腫および脳の星状細胞腫)、中枢神経系癌、リンパ腫(例えば、皮膚B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキン症候群および非ホジキンリンパ腫)、骨癌、白血病、乳癌、生殖器管癌、子宮頚癌(例えば、子宮頚部上皮内腫瘍)、子宮癌(例えば、子宮体癌)、卵巣癌、膣癌、外陰癌、前立腺癌、精巣癌をいう。「癌」はまた、特に限定されないが、パピローマウイルス誘発性癌、ヘルペスウイルス誘発性癌、EBV誘発性B細胞リンパ腫、B型肝炎誘発性癌、HTLV−1誘発性リンパ腫およびHTLV−2誘発性リンパ腫を含む、ウイルス誘発性癌をいう。
【0073】
本明細書で用いられる「感染症」とは、感染性生物により引き起こされるあらゆる疾患をいう。感染性生物としては、特に限定されないが、ウイルス(例えば、一本鎖RNAウイルス、一本鎖DNAウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型、B型およびC型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)またはヒトパピローマウイルス(HPV))、寄生体(例えば、マラリア原虫種、リーシュマニア種、住血吸虫属種またはトリパノゾーマ種などの原生動物および後生動物の病原体)、細菌(例えば、マイコバクテリア、特に、M. tuberculosis、サルモネラ、連鎖球菌、E. coliまたはブドウ球菌)、真菌(例えば、カンジダ種またはアスペルギルス種)、Pneumocystis carinii、およびプリオンが挙げられる。
【0074】
本明細書で用いられる「自己免疫疾患」とは、2つの一般的な型:「全身性自己免疫疾患」(すなわち、多くの臓器または組織を傷害する疾患)と「局所性自己免疫疾患」(すなわち、単一の臓器または組織のみを傷害する疾患)をいう。しかし、「局所性自己免疫疾患」の効果は、間接的に体の他の臓器およびシステムに影響することにより全身性であり得る。「全身性自己免疫疾患」としては、特に限定されないが、関節並びにおそらく肺および皮膚に影響することができる関節リュウマチ;皮膚、関節、腎臓、心臓、脳、赤血球に、他の組織および臓器同様に影響することができる、全身性エリトマトーデス(SLE)を含むループス;強皮症(皮膚、腸および肺に影響することができる);シェーグレン症候群(唾液腺、涙腺および関節に影響することができる);グッドパスチャー症候群(肺および腎臓に影響することができる);ウェゲナー肉芽腫(洞、肺および腎臓に影響することができる);リュウマチ性多筋痛(大型の筋群に影響することができる)および側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎(頭頚部の動脈に影響することができる)が挙げられる。「局所性自己免疫疾患」としては、特に限定されないが、1型糖尿病(ランゲルハンス島に影響する);橋本甲状腺炎およびグレーブス病(甲状腺に影響する);セリアック病、クローン病および潰瘍性大腸炎(消化管に影響する);多発性硬化症(MS)およびギラン−バレー症候群(中枢神経に影響する);アジソン病(副腎に影響する);原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎および自己免疫性肝炎(肝臓に影響する);およびレイノー現象(指、つま先、鼻、耳に影響する)が挙げられる。
【0075】
本発明はまた、前記の方法により得られる、精製した野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを含んでなる医薬組成物、好ましくは、ワクチンに関する。本発明によれば、前記医薬組成物は、癌、感染症および/または自己免疫疾患の処置および/または予防を意図している。
【0076】
本発明はまた、癌、感染症および/または自己免疫疾患の処置および/または予防のため医薬組成物、好ましくは、ワクチンの調製のための、前記方法により得られる、精製された野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスの使用に関する。
【0077】
医薬組成物、および特にワクチンは、局所経路、非経口経路または消化経路により投与されるために従来法により製造してもよい。投与経路は、例えば、胃内、皮下、心臓内、筋肉内、静脈内、腹腔内、腫瘍内、鼻腔内、肺内または気管内経路とすることができる。後者の3つの態様では、エアゾールまたは点滴による投与が有利である。投与は、単一用量として行われてよく、または一定の時間間隔を空けて1回若しくは数回繰り返してもよい。適切な投与経路および用量は、様々なパラメータ、例えば、個々の、処置する疾患の、または導入する対象遺伝子の様々なパラメータの関数として変動する。第一の可能性によれば、医薬組成物および特にワクチンは、生体内に直接投与してもよい(例えば、治療的または予防的ワクチン接種のために、静脈内注射により、到達可能な癌内に若しくはその周囲に、または、皮下に)。これは、患者から細胞を回収すること(骨髄幹細胞、末梢血リンパ球、筋細胞など)、先行技術に従ってイン・ビトロでそれらにトランスフェクション、または、感染させること、およびそれらを患者に再投与することから構成される、エクス・ビボ(ex vivo)の方法に適用することもできる。さらに、適切な場合に、かつ本発明の範囲を外れずに、医薬組成物および特にワクチン中に含まれる様々な成分を、様々な経路で、同時に、または逐次的に投与することを想起することもできる。
【0078】
本発明を説明するために、下記実施例が提供される。実施例は、いかなる意味においても発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0079】
CEFの調製
66個のSPF卵を、2%ホルマリン溶液中で1分間インキュベートした。70%エタノールで洗浄した後に、卵を割って胚を取り出し、頭部と足を切断した。
【0080】
胚(未切開)は、その後、表1(以下参照)に記載された酵素組成物の一つにより37℃で2時間消化した。得られた混合物は、inoxで作られたseave(Fischer Bioblock社、カタログ番号A37532)を用いて濾過し、未消化の組織を取り除き、CEFは、遠心分離(2300rpm、15分)により回収した。
【0081】
得られた結果は、下記表1に記載される。
【表1】


【0082】
調製したCEFを用いたウイルスの生産
CEF(TrypLE(商標)Select(インビトロジェン社製、カタログ番号12563−029)15mL/胚、およびディスパーゼ(インビトロジェン社製、カタログ番号17105−041;PBS中10mg/mL)5mL/胚からなる酵素組成物を用いて前記のように調製した)は、その後、湿潤雰囲気中で血清フリーの細胞培地中で37℃で2日間培養した。血清フリーの細胞培地は、その後、捨てられ、CEFは、MUC1−IL−2を発現するMVAウイルス(寄託番号N602I−721の下にCollection Nationale de Cultures de Microorganismes (CNCM))を用いてMOI 0.05にて感染させた。感染させたCEFは、その後、36.5℃で3日間インキュベートした。感染力価は、BHK21細胞上でのプラークアッセイにより測定した。簡潔には、MVAサンプルの希釈液を、6ウェルプレート中で調製された単層のBHK21細胞上でインキュベートした。24時間後、ウイルスのプラークは、ワクシニアウイルスに対するウサギ抗体で免疫ペルオキシダーゼ反応を用いて染色し、計数した。力価測定は、3回の独立した系列で3回繰り返して行われた。得られたウイルス力価は、6.3 10プラーク形成単位(PFU)/mLであった。
【0083】
上記明細書で引用されたすべての文書(例えば、特許、特許出願、特許公報)は、引用することで本明細書の一部とされる。本発明の様々な改変や変更が、本発明の範囲および精神と離れることなく、当業者に明らかであろう。発明は、特定の好ましい態様と関連して記載されているが、特許請求の範囲に記載された発明は、そのような特定の態様に不当に限定されると理解されるべきではない。実際、当業者に自明な本発明を実施するための記載された様式の様々な改変が、添付された特許請求の範囲の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニワトリ細胞調製物の取得をもたらすニワトリ胚消化のための、酵素組成物の使用。
【請求項2】
前記ニワトリ細胞調製物が、1胚当たり500 10を超えて得られる細胞からなる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記ニワトリ胚が切開されない、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記組成物が少なくとも2つの酵素を含んでなる、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記酵素が、トリプシン、キモトリプシン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ディスパーゼ、コラゲナーゼ、アキュターゼ、サーモリシン、プロナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ、パパイン、ノイラミニダーゼおよびパンクレアチンからなる群から選択され、好ましくは、トリプシン、ディスパーゼ、コラゲナーゼおよびアキュターゼからなる群から選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記酵素組成物が、
−トリプシン、ディスパーゼおよびコラゲナーゼ;
−トリプシン、ディスパーゼおよびアキュターゼ;
−トリプシン、ディスパーゼ、コラゲナーゼおよびアキュターゼ;
−トリプシンおよびディスパーゼ;並びに
−ディスパーゼおよびアキュターゼ
からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記酵素組成物が、
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、および10mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、および10mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の15mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼと等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の15mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、10mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼ(商標)と等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼと等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、および5mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、10mL/胚のコラゲナーゼ20mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼと等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、およびシグマ社のカタログ番号A−6964の10mL/胚のアキュターゼと等量の濃度で添加されたアキュターゼ;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の15mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、および5mL/胚のディスパーゼ10mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の30mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、および10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL;
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の10mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、および10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL;
−10mL/胚のディスパーゼ10mg/mL、10mL/胚のアキュターゼ;並びに
−インビトロジェン社のカタログ番号12563−029の5mL/胚のTrypLE Selectと等量の濃度で添加されたトリプシン、および15mL/胚のディスパーゼ10mg/mL
からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記ニワトリ細胞調製物が、単離されたニワトリ細胞からなる、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
前記単離されたニワトリ細胞が、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)、ニワトリ胚腎臓細胞(CEKC)またはニワトリ胚肝細胞(CELC)であり、好ましくはCEFである、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記ニワトリ細胞調製物が、ニワトリ細胞の混合物からなる、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記ニワトリ細胞の混合物が、CEF、CEKC、CELC、心細胞、筋細胞、上皮細胞、血球、および/または内皮細胞を含んでなる、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記ニワトリ胚の消化が、下記の条件下で行われる、請求項1に記載の使用:
−インキュベーションの温度が、35℃〜39℃であり、好ましくは、36℃〜37℃であり、より好ましくは、36℃、36.5℃または37℃であり、さらにより好ましくは、37℃であり;かつ
−インキュベーションの継続時間が、1〜3時間であり、好ましくは、2時間である。
【請求項13】
野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび/または組換えウイルスを生産する方法であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の酵素組成物を用いてニワトリ胚から細胞を調製する工程を含んでなる、方法。
【請求項14】
前記ウイルスが、ポックスウイルス、アデノウイルス、アデノウイルス関連ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アルファウイルス、フォーミーウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、アルファウイルス、肝炎ウイルス、ライノウイルス、レオウイルスおよびフォーミーウイルスからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポックスウイルスが、オルトポックスウイルス、パラポッスクウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、モルシポックスイウルスおよびヤタポックスウイルスからなる群から選択されるチョルドポックスウイルスである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記オルトポックスウイルスが、天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス(VV)および改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組換えウイルスが、シトシンデアミナーゼ活性を有するタンパク質、好ましくは、FCU1タンパク質またはFCU1−8タンパク質をコードする自殺遺伝子である外来性配列を含んでなる、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記組換えウイルスが、腫瘍関連抗原(TAA)、好ましくは、MUC1をコードする外来性配列を含んでなる、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記組換えウイルスが、抗原、好ましくは、HCVまたはHPVをコードする外来性配列を含んでなる、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記組換えウイルスが、サイトカイン、好ましくはIL2をコードする外来性配列をさらに含んでなる、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記組換えウイルスが、外来性配列の発現に必要な要素をさらに含んでなる、請求項13〜20のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−533311(P2012−533311A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520954(P2012−520954)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004478
【国際公開番号】WO2011/009613
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(599082883)トランジェーヌ、ソシエテ、アノニム (32)
【氏名又は名称原語表記】TRANSGENE S.A.
【Fターム(参考)】