説明

ニンニク卵黄を含有する脳機能及び/又は血液流動性改善用組成物

【課題】 脳機能及び/又は血液流動性の改善又は向上に有用な組成物
【解決手段】 ニンニク卵黄を含有することを特徴とする、脳機能及び/又は血液流動性改善用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳機能及び/又は血液流動性を改善するために使用される組成物、並びにこの組成物の食品及び医薬としての用途に関する。
【背景技術】
【0002】
我国は急激な高齢化社会を迎えており、そのため脳血管障害又は痴呆症の増加が予想されている。これらの脳疾患の予防又は治療のために脳循環・代謝改善薬又は抗痴呆薬などの脳機能改善性を有する医薬の研究・開発が進められている。
【0003】
また、近年の食生活の欧米化、運動不足等の生活習慣、及び過度なストレスなどの生活環境の変化によって、動脈硬化症又は脳梗塞などの血液又は循環器系に関連した疾患、並びに高脂血症及び糖尿病などの血液循環に対し悪影響を与える疾患が増加してきている。これらの疾患は、微小血管や毛細血管の血流の低下を起し、それにより生体に様々な悪影響を与える危険性がある。また、血流が、皮膚のかゆみ、疲労、高血圧などと関係があることも指摘されている。
【0004】
近年、血液流動性や学習能力、記憶力等の脳の機能を高めたりする物質の探索が多方面にわたって研究されている。特に、血液流動性の改善は、脳の血液循環の改善に繋がり、その結果脳機能を改善することが期待できる。
また、予防の観点から、日々の食生活などを通じて摂取できる血液流動性や脳機能を改善する物質も必要である。
【0005】
特許文献1にはエゾハリタケ科のキノコの子実体又はその処理物を有効成分とする脳機能改善剤が、特許文献2には乳酸菌発酵乳又は乳酸菌と酵母との共生発酵乳を有効成分として含有する脳機能改善、学習能力増強及び記憶力増強作用を有する機能性食品が、特許文献3にはテアニンを有効成分とする脳機能改善剤が、それぞれ記載されている。
また、特許文献4にはカシス濃縮物など含んでなる血流改善剤、血管拡張剤、肩凝り改善剤、冷え性改善剤が、特許文献5にはプロアントシアニジン及び抗酸化剤を有効成分とする血流改善組成物が、特許文献6にはテアニンを含有してなる血流改善用組成物が、特許文献7にはサフランエキスを含有する末梢血流改善剤及び機能性食品が、それぞれ記載されている。
【特許文献1】特開2002−80390号公報
【特許文献2】特開平9−23848号公報
【特許文献3】特開平8−73350号公報
【特許文献4】特開2004−262878号公報
【特許文献5】特開2004−123707号公報
【特許文献6】特開2001−316256号公報
【特許文献7】特開平10−287576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、脳機能及び/又は血液流動性の改善又は向上に有用な組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、ニンニク卵黄が脳機能及び血液流動性を改善又は向上させることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ニンニク卵黄を含有することを特徴とする、脳機能及び/又は血液流動性改善用組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物には、脳機能及び血液流動性を改善又は向上する効果がある。その効果は、ニンニクと卵黄との相乗効果である。さらに、ニンニク卵黄は、化学物質と異なり、天然由来であるので、本発明によれば、安全で、長期に服用しても副作用などの心配の少ない組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明においてニンニク卵黄とは、ニンニクと卵黄とを混合したものをいう。ニンニク卵黄は慣用の方法で製造することができ、例えば、特開平4−158759号公報、特開平2−49560号公報、特開昭61−28361号公報、及び特開昭61−199757号公報などにその製法が記載されているが、これらに限定されない。
一例として、ニンニクをミキサーなどで破砕し、そこに卵黄を添加して、低温で混合し、次いで乾燥することにより、粉状物として、又はこれを造粒して顆粒物としてニンニク卵黄を得ることができる。
本発明において、生ニンニクの破砕物と生卵黄とを、低温で、例えば約50〜110℃で、特に約60〜約100℃、とりわけ約80℃で、約8〜16時間、特に約10〜14時間、とりわけ約12時間混合して得たニンニク卵黄は、良好に脳機能及び血液流動性を改善又は向上させる上で好ましい。
【0010】
本発明において使用されるニンニクは、ネギ属ユリ科に属する植物(Allium sativum L.)の鱗茎部である。
ニンニクにはアリイン、γ−グルタミル−S−アリルシステイン、アリチアミン、スコルジニンA、シトラール、ゲラニオール、リナロール、α−及びβ−フェランドレン、プロピオンアルデヒド、イヌリン、アルギニン、並びにクエン酸などが含有される。
また、アリインは、ニンニクに含まれる酵素のアリイナーゼの作用により刺激性成分のアリシンに変化する。その他に、生ニンニクの加工処理により、ジアリル−ジスルフィドなどのアリルスルフィド類、ビニルジチイン、アホエン、S−アリルシステイン、又はS−アリルメルカプトシステインなどが生じてくる。
【0011】
本発明ではニンニクとして、生のニンニクをそのままか、又は皮をむいたものを使用してもよく、あるいは生ニンニクを加工処理したものなどを使用してもよく、特に制限されない。ニンニクの加工処理方法としては、例えば、乾燥後、粉末化したり、加熱したり、蒸したり、茹でたり、干したり、マイクロ波に照射させたり、酒若しくはアルコールに漬けたり、熟成させたりする方法が挙げられるが、これら方法を組み合わせて使用してもよい。あるいは、水蒸気蒸留などで得られた抽出物などを使用してもよい。また、これらのニンニクを2種以上併用してもよい。本発明では、熱を加えず自然に乾燥させたもの、例えば、収穫時よりも水分が30%程度減少したニンニクを使用してもよい。
【0012】
本発明で使用される卵黄は、例えば、鳥類、特に家禽の卵黄、例えば、ニワトリ、ウズラ、アヒル、カモ、シチメンチョウ、キジ、又はダチョウなどの卵黄、好ましくはニワトリなどの卵黄があるが、これらに制限されない。また、これらを2種以上併用してもよい。
本発明では、有精卵の卵黄も無精卵の卵黄も何れも使用できるが、良好に脳機能及び血液流動性を改善又は向上させる点から、有精卵の卵黄が好ましい。
卵黄に含まれる成分としてレシチンなどが挙げられる。
本発明で卵黄は、生卵黄、卵黄粉末、加糖卵黄及び加塩卵黄などのいずれの形態であってもよく、特に制限されない。また、これらを2種以上併用してもよい。良好に脳機能及び血液流動性を改善又は向上させる点から、生卵黄が好ましい。
【0013】
本発明の組成物中のニンニクと卵黄との配合比は、特に制限されないが、ニンニク100重量部に対して卵黄を5〜100重量部、特に5〜30重量部、とりわけ10〜30重量部含有するのが、良好に脳機能及び血液流動性を改善又は向上させる上で好ましい。
【0014】
本発明の組成物は、ニンニク卵黄以外に、他の成分、例えば、脳機能を改善又は向上させる物質、並びに/あるいは血液流動性を改善又は向上させる物質などを含んでいてもよい。
脳機能又は血液流動性を改善又は向上させる物質として、例えば、イチョウ葉エキス、ロイヤルゼリー、霊芝、高麗人参、クロレラ、玄米黒酢、ブルーベリー、プロポリス、セサミン、及びウコンがあり、特にイチョウ葉エキス、ブルーベリー、及び玄米黒酢が好ましい。
【0015】
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない限り、添加剤、例えば、賦形剤、甘味料、酸味料、増粘剤、香料、色素、又は乳化剤などを含有してもよい。
【0016】
本発明の組成物は、脳機能障害の予防及び/又は治療に有用である。このような脳機能障害として、例えば、脳血管性痴呆、アルツハイマー型痴呆及び両者の混合型などの痴呆症;健忘症又は物忘れなどの記憶力低下;認知力低下;学習能力低下;メニエール病;並びにくも膜下出血、脳出血、脳血栓、脳梗塞、及び脳浮腫などの脳血管障害の後遺症、例えば、このような後遺症として意識障害、運動障害及び言語障害(出血や梗塞を起こした脳の反対側の手足に麻痺がおこる)、構音障害(顔面神経麻痺を伴う事もある)、失語症、感情障害、思考障害、感覚障害、記憶障害、並びに姿勢異常などが挙げられる。特に本発明の組成物はアルツハイマー型痴呆;メニエール病;並びにくも膜下出血、脳出血、及び脳梗塞の後遺症の予防及び/又は治療に有用である。
また、本発明の組成物は、脳機能障害の予防や治療という目的に使用するばかりではなく、健常人の学習能力、記憶力、又は反射反応能力などの脳機能をより一層向上させることを目的に使用することもできる。
【0017】
また、本発明の組成物は、血液流動障害の予防及び/又は治療に有用である。このような血液流動障害として、例えば、視力改善、肩凝り、冷え性、血栓症、脳梗塞などの脳血管障害の後遺症、バージャー病(ビュルガー病)、レイノー症候群、エコノミークラス症候群、皮膚のかゆみ、高血圧、充血、貧血、皮膚・粘膜・爪・口唇・目の周囲などの暗赤色化(いわゆる隈といわれるもの)、凍傷、凍瘡、ヒビ、アカギレ、出血傾向、筋肉痛、及び不眠などの血行不良、血行障害又は血流障害などが挙げられる。特に、本発明の組成物は視力改善及び脳梗塞後遺症の予防及び/又は治療に有用である。
【0018】
本発明に係る組成物は、食品として、特に健康食品、機能性食品、健康補助食品、特定保健用食品として使用することができる。これら食品は、例えばお茶、ジュースといった飲料水;ゼリー、あめ、チョコレート、チューインガムなどの形態であってもよい。また、本発明に係る食品は、栄養補助食品(サプリメント)として、液剤、粉剤、粒剤、カプセル剤、錠剤の形で製造されてもよい。
【0019】
また、本発明に係る組成物は、医薬としても使用することができる。これら医薬は、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬若しくは軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の形態で経口投与することができるが、例えば坐剤の形態で直腸内に;あるいは、例えば軟膏、クリーム剤、ゲル剤又は液剤の形態で局部又は経皮的に投与するなど、非経口的に投与することもできる。
【0020】
本発明に係る組成物の摂取量は、特に制限されないが、ニンニクと卵黄との混合比、投与経路、疾病の種類、剤型、摂取者の年齢、体重及び症状に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の組成物を経口摂取する場合には、体重60kgの成人1日当たり有効成分量としてニンニク卵黄を100〜1000mg、好ましくは300〜800mg、より好ましくは300〜400mg摂取することが、良好に脳機能及び血液流動性を改善又は向上させる上で望ましい。また、摂取期間は、摂取者の年齢、症状に応じて任意に定めることができる。
【0021】
以下、本発明を、実施例によってさらに詳細に説明する。本発明は、実施例によって限定されるものではない。また、実施例では%は特に規定されていない限り重量%を意味する。
【実施例】
【0022】
本発明の組成物の血液流動及び脳機能に対する作用を試験した。試験は二重盲検平行群間比較試験で行った。
【0023】
(1)試験食の調製
ニンニク卵黄は株式会社健康家族製(ニンニク100重量部に卵黄を25重量部含む)を使用した。試験食1としてニンニク卵黄を1カプセル当たり94mg含む軟ゼラチンカプセル剤を、試験食2としてニンニク卵黄を1カプセル当たり188mg含む軟ゼラチンカプセル剤を、それぞれ調製した。またプラセボ食としてニンニク卵黄の代わりにデキストリンを1カプセル当たり188mg含む軟ゼラチンカプセル剤を調製した。
【0024】
(2)被験者
試験実施前に生活習慣アンケート調査を行った50〜70歳の男女で、以下の除外基準に該当しない者を被験者とした。
除外基準:
ア)既にニンニク卵黄を常用している者
イ)ニンニク又は卵黄を主成分とする医薬品又は健康補助食品を常用している者
ウ)脳機能又は血液流動に影響する医薬品又は健康補助食品を摂取している者
エ)糖尿病、又は脳機能、血液流動、消化器、膵臓、肝臓若しくは腎臓等に重篤な疾患を有している者
オ)血栓溶解に関する医薬品(ワーファリン等)又は血液凝固に関する医薬品(ビタミンK等)を常用している者
カ)本試験開始時に他の臨床試験に参加中の者
キ)食物アレルギー(特に卵又はニンニク)のある者
ク)生活習慣アンケート調査の結果から、被験者として不適格と判断された者(例えば、試験食組成中の成分でアレルギーを起したことがある者、極端な飲酒傾向がある者など)。
ケ)色弱又は色盲の者
コ)その他、試験担当医師が不適当と判断した者
【0025】
(3)検査項目
本試験では、問診、身体計測、血液流動検査、及び脳機能検査を行った。各検査方法は以下のとおりであった。また、各検査で得られた値は、各群ごとに平均値±標準誤差で表した。
ア)問診
自他覚症状の有無を問診した。
イ)身体計測
身長、体重、血圧、及び脈拍数を計測した。
ウ)脳機能検査
脳機能検査として、以下のとおりの脳機能検査1及び2を行った。検査は空腹状態で行った。また、喫煙者に対しては検査を終えるまでは禁煙させた。
脳機能検査1:改定長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)で検査した。
脳機能検査2:単語の記憶試験、単語の想起試験、及びストロープテスト(Stroop test)で検査した。各試験は以下のとおり行った。
(i)単語の記憶試験
被験者に7つの単語を1つずつ読み聞かせた後に復唱させ、7つめの単語の復唱が終わってから、即時にこれらの単語を想起させ、想起できた単語数を記録した(以下、このような想起を「即時想起」といい、これで想起できた単語数を「即時想起数」という)。
即時想起ができなかった単語については、被験者にその単語の語頭音又はカテゴリーのヒントを与えて想起できた単語数を記録した(以下、このような想起を「キュー想起」といい、これで想起できた単語数を「キュー想起数」という)。
即時想起及びキュー想起により想起できた単語を干渉課題(後述の「単語の想起試験」のことである)施行中に覚えておくよう被験者に指示した。そして、その試験の施行終了5分後に被験者が即時想起できた単語数(以下、この数を「5分後自発再生数」という)及びキュー想起できた単語数(以下、この数を「5分後キュー再生数」という)をそれぞれ記録した。
(ii)単語の想起試験
「あなたの知っている動物の名前をできるだけたくさん言ってください」と被験者に教示し、1つ目の動物の名前が挙げられてから60秒以内に列挙できた動物の名前を記録した。重複したものは除いた列挙された動物の名前の数を記録し、想起数とした。
1つ目の動物がなかなか想起できないときは、「例えば、犬が動物の名前ですね、他にはどんなものがありますか」と被験者を誘導した。この誘導の後も想起できず、30秒経過したら、検査を中止し、想起数を0とした。
動物は哺乳類に限らず爬虫類、鳥類、魚類などの名称も想起数に加えた。
同様に野菜及び「あ」で始まる言葉についてもそれぞれ列挙させ、これらの想起数も記録した。
また、これら動物、野菜、及び「あ」で始まる言葉のそれぞれの想起数を総計し、これを総想起数とした。
(iii)ストロープテスト
「赤」「青」「黒」の3種類の色の70文字がランダムに書いてある文字を読み上げる試験(ステップ1)、「赤」「青」「黒」の3種類の色70個を読み上げる試験(ステップ2)、並びに「赤」「青」「黒」と書かれた70文字を「赤」「青」「黒」の3種類にランダムに色分けし、その色を読み上げる試験(ステップ3)及び文字を読み上げる試験(ステップ4)の計4種類の試験を行い、それぞれの誤り語数および読み上げるのに必要とした秒数を記録した。
エ)血液流動検査
上記脳機能試験終了後、レーザードップラー血流映像化装置(PeriScan PIM II)を使用して、右手の甲、左手の甲、両手の中指、両足の甲の順番でそれらの個所の血流量をそれぞれ測定し、相対値(V)で表した。検査は空腹状態で行った。また、喫煙者に対して検査を終えるまでは禁煙させた。
オ)日誌
プラセボ食又は試験食1若しくは2の摂取状況、自覚症状、及び他の医薬品の服薬状況を被験者に記載させた。
【0026】
(4)試験スケジュール
先ず、前述の被験者を試験期間の初日(試験第1日目)に来院させて、問診、身体計測、脳機能検査1及び2、並びに血液流動検査を行った。
そして、これら被験者を、プラセボ群、試験食1群及び試験食2群の3群に、それぞれ13名、14名、及び13名無作為に割り付けた。
続いて2週間後(試験第14日目)に、プラセボ群の被験者にはプラセボ食を、試験食1群の被験者には試験食1を、試験食2群の被験者には試験食2を、それぞれ毎日1回、4カプセル、6週間摂取させた。このようにして摂取されたプラセボ食、試験食1及び試験食2の組成を表1に示した。また、摂食中は被験者に日誌も付けさせた。
摂食を開始させてから2週間後(試験第28日目)及び6週間後(試験第56日目)に問診、身体計測、血液流動検査、及び脳機能検査2をそれぞれ行った。
【0027】
【表1】

【0028】
(5)試験結果
ア)被験者の背景
プラセボ群、試験食1群、及び試験食2群で、それぞれ13名、14名、及び13名の被験者(計40名)が試験に参加したが、脱落・中止した者はいなかった。試験に参加した被験者の背景を表2に示した。年齢、性別、身長、及びHDS-Rによる点数において群間に不均衡はみられなかった(P>0.05)。なお、統計解析は分散分析(ANOVA)で行った。
【0029】
【表2】

【0030】
イ)有効性
試験第1日目、第28日目、及び第56日目における、被験者の脳機能検査2及び血液流動検査の測定値から試験食1及び2の脳機能及び血液流動性に対する有効性を評価した。
統計解析は、同一群内で試験第1日目と、試験第28日目又は第56日目とを比較する場合は群内の対応のあるt検定により、プラセボ群と、試験食1群又は2群とを比較する場合は2標本t検定により、それぞれ検定した。有意水準は両側5%とした。
【0031】
脳機能検査:
(i)単語の記憶試験
試験食1及び2は、想起数や再生数を増加することが認められ、またその増加率もプラセボ群に比べて大きかった(表3)。
(ii)単語の想起試験
試験食1及び2は、動物、野菜及び「あ」で始まる言葉の想起数並びに総想起数を増加させ、その増加率も、一部を除いてプラセボ群に比べて大きかった(表4)。
(iii)ストロープテスト
試験食1及び2は、ステップ1〜4の各ステップにおける読み上げるのに必要とした秒数を減少させ、その減少率も一部を除いてプラセボ群に比べて大きかった(表5)。また、表には特に示さなかったが、試験食1及び2は、ステップ1〜4の誤り語数を低下させる傾向も示した。
【0032】
以上のとおり、単語の記憶試験、単語の想起試験、ストロープテストで改善が認められ、試験食1及び2の脳機能改善効果が確認できた。
【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
血液流動検査:
試験食1及び2群において、一部を除いて、右手の甲、左手の甲、両手の中指、又は両足の甲の血流量が試験第1日目と比較して増加し、その増加率はプラセボ群よりも大きかった(表6)。これらのことから、試験食1及び2による血流増加効果が確認できた。
【0037】
【表6】

【0038】
ウ)安全性
体重や脈拍は異常を示さなかった。日誌にも特に異常を示す所見は認められなかった。また、本試験期間中に試験食品と関連のある有害事象は見られなかった。
以上から、試験食1及び2は安全性であることが認められた。
【0039】
上記の方法と同様にして、試験食1群と、ニンニク及び卵黄をそれぞれ単独で摂取させた群とを比較した。その結果、試験食1は、ニンニク単独の効果と卵黄単独の効果とを合わせたものよりも優れた脳機能改善効果を示し、相乗効果を発揮させることが確認できた。また、試験食1はニンニク単独の効果と卵黄単独の効果とを合わせたものよりも優れた血流増加効果を示し、相乗効果を発揮することも確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、血液流動及び/又は脳機能の改善用の組成物を得ることができる。これら組成物は、医薬品、あるいは健康食品、健康補助食品、特定保健用食品又は栄養補助食品などの食品として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンニク卵黄を含有することを特徴とする、脳機能改善用組成物。
【請求項2】
ニンニク卵黄が、ニンニク100重量部に対して卵黄を5〜100重量部含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ニンニク卵黄の経口摂取量が、体重60kgの成人1日当たり100〜1000mgである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
ニンニク卵黄を含有することを特徴とする、血液流動性改善用組成物。
【請求項5】
ニンニク卵黄が、ニンニク100重量部に対して卵黄を5〜100重量部含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
ニンニク卵黄の経口摂取量が、体重60kgの成人1日当たり100〜1000mgである、請求項4又は5記載の組成物。
【請求項7】
食品である、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
医薬である、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。

【公開番号】特開2006−176421(P2006−176421A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369194(P2004−369194)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(398013554)株式会社健康家族 (9)
【Fターム(参考)】