説明

ニードルシールドを備えたカテーテル及びイントロデューサニードルアッセンブリ

【課題】ニードルシールドの改良。
【解決手段】ニードルのためのニードルシールドアッセンブリが提供される。ニードルシールドアッセンブリは、側壁、近位端及び遠位端を有するシールド本体と、シールド本体内に配置され、非作動状態と作動状態との間を移動可能であるクリップ部材と、シールド本体内に配置され、整列状態と非整列状態との間を移動可能である傾動部材とを備える。傾動部材がクリップに作動可能に係合され、これにより、クリップが作動状態に動かされたとき、傾動板が非整列状態へと動かされる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、35USC119(e)に基づき、2002年6月20日提出の米国仮特許出願第60/390,499号の利益を主張する。
【0002】
本願は、次の先願に関連されており、各先願は参照により組み込まれる。本願は、2002年12月17日提出の米国特許出願第10/320,960号の一部継続出願であり、これは2000年2月4日提出の米国特許出願第09/499,331号の継続出願であり、これは1999年5月14日提出の米国特許出願第09/312,335号(米国特許第6,379,333号)の一部継続出願であり、これは1998年4月8日提出の米国特許出願第09/057,718号(米国特許第6,004,294号)の一部継続出願である。
【0003】
また、本願は、2000年11月21日提出の米国特許出願第09/717,148号の一部継続出願であり、これは放棄された米国特許出願第09/590,600号の一部継続出願であり、これは1999年5月14日提出の米国特許出願第09/312,335号(米国特許第6,379,333号)の一部継続出願であり、これは1998年4月8日提出の米国特許出願第09/057,718号(米国特許第6,004,294号)の一部継続出願である。
【技術分野】
【0004】
本発明は、ニードルのシャープな遠位端を安全にシールドすると共に、先端がシールドされた後、ニードル先端の遠位方向の移動を、傾く又は「傾動する(canting)」板によって、制限するように構成されたニードルシールドアッセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0005】
ノーマルセーライン溶液(normal saline solution)、種々の薬剤、及びトータルな非経口栄養(total parenteral nutrition)等の流体を患者に導入し、又は患者から血液を抜き取るため、静脈(IV)カテーテルが用いられる。周辺IVカテーテル(peripheral IV catheter)は、比較的短くなる傾向にあり、長さにおいて約1及び1.5インチ(25.4及び38.1ミリメートル)のオーダーである。共通タイプのIVカテーテルは、オーバー・ザ・ニードル(over the needle)周辺IVカテーテルである。その名が示す通り、オーバー・ザ・ニードルカテーテルは、シャープな遠位端を有するイントロデューサニードルに被さって取り付けられる(mounted over an introducer needle)。カテーテルとイントロデューサニードルとは、イントロデューサニードルの遠位端がカテーテルの遠位端を越えて延在し、ニードルの斜面が患者の皮膚から離れて上向くように、組み立てられる。
【0006】
カテーテル及びイントロデューサニードルアッセンブリは、浅い角度で患者の皮膚を通過し、周辺血管(即ち、心臓に直接接続されていないが、心臓に直接接続された中心血管の枝官の一つである小血管)に挿入される。静脈におけるアッセンブリの適切な配置を確かめるため、医者は、ニードル内に、及びニードルの近位端に位置されたフラッシュバックチャンバ内に、血液のフラッシュバック(逆流;flashback)があることを確認する。典型的に、フラッシュバックチャンバはニードルハブの一部として形成される。適切な配置が確認されると、医者は、イントロデューサニードルの遠位端及びカテーテル付近の患者の皮膚に押し下げることにより、血液容器に圧力を加える。この指圧はイントロデューサニードルを通ずるさらなる血流を妨げる。医者はイントロデューサニードルを引き抜き、カテーテルを定位置に残し、流体処理装置をカテーテルハブに取り付ける。イントロデューサニードルがカテーテルから引き抜かれれば、それは「血液汚染された鋭利物(blood contaminated sharp)」と考えられ、適切に取り扱われなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,379,333号明細書
【特許文献2】米国特許第6,004,294号明細書
【特許文献3】米国特許第5,558,651号明細書
【特許文献4】米国特許第5,215、528号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、患者の血液による医者の汚染と、「血液汚染された鋭利物」が即座に廃棄されなければならないという認識とに関する多くの関心がある。この関心は、感染者から他人への体液の交換によって移され得る病気を広めることに関するリスクを、いくぶん、減少するために高まっている。結局、感染者の体液との接触は避けるのが望ましい。様々なニードルシールドが開発されている。概して、この種のニードルシールドはそれらの予定された目的のために作動するが、改良されることができる。例えば、幾つかのニードルシールドはがさばり、使用が困難であったり、適切に作動されるための特別の要素又は技術を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態によれば、オーバー・ザ・ニードルカテーテルアッセンブリは、カテーテルアダプタとニードルとを含む。ニードルは直径と遠位端とを有し、カテーテルアダプタ内にスライド可能に配置される。ニードルシールドアッセンブリはニードルにスライド可能に取り付けられる。ニードルシールドアッセンブリは開放遠位端と開放近位端とを有し、これらをニードルが通過する。「傾動板(canting plate)」と称される剛体板が、ニードルシールドアッセンブリ内に配置されると共に、非作動第1位置と作動第2位置とを有する。第2位置において、傾動板はニードルの動きを制限する。傾動板を保持するための手段が設けられる。傾動板保持手段は傾動板に接続し、ニードルの近位方向の移動に反応する。これにより、ニードル先端がニードルシールドアッセンブリ内に収容されたとき、傾動板保持手段は作動され、ニードルの遠位方向の動きを生じさせ、傾動板を非作動第1位置から作動第2位置へと付勢する。
【0010】
本発明のこの形態のある実施例によれば、傾動板保持手段はスプリング、保持アーム及び保持ワッシャを備える。スプリングは、コイルスプリング、波ワッシャ及びリーフスプリング等からなるグループから選択されてもよい。ニードルシールドアッセンブリは、傾動板保持手段に反応する複数の傾動板を有していても良い。傾動板保持手段は、傾動板保持アームと、傾動板に取り付けられビルトインスプリングを有する保持ワッシャとを含んでもよい。保持ワッシャはシールド内に全体的に収容されてもよい。傾動板保持手段は弾性ワッシャと整列アームとを含んでもよい。弾性ワッシャは切頭状の(truncated)遠位端を有してもよい。カテーテルアダプタとシールドとはインターロック(interlock)により共に保持されてもよい。静止要素(static feature)がニードルに設けられてもよく、これにおいて、インターロックは、ニードルの静止要素がシールド近位端に接触する前又はそれと実質的に同時に、解放される。ニードル先端と静止要素との間の距離は、静止要素がシールド近位端に接触したときニードル先端がシールド内に収容されるような距離である。傾動板は、ニードルの通過のための穴を含んでもよく、またシールドの近位端の遠位側に位置されてもよい。傾動板は、ニードルが遠位方向に付勢されないときに非作動位置に戻されてもよい。
【0011】
本発明の他の形態によれば、前述のオーバー・ザ・ニードルカテーテルが次の方法に従って使用されてもよい。即ち、この方法は、静止要素がニードルシールドの近位端に接触するまでニードルを近位方向に引くことと、ニードル先端がシールド内にあることを確認することと、ニードルを遠位方向に付勢して傾動板をロックさせ、さらなる遠位方向の移動を規制することとを含む。
【0012】
本発明の一形態によれば、ニードルをシールドするための装置が設けられ、装置はハウジングを含む。ニードルシールドアッセンブリは、ハウジング内のアンロック位置及びハウジング外のロック位置から移動可能である。ニードルシールドアッセンブリはシールド本体を含み、シールド本体は側壁、近位端及び遠位端を有する。傾動部材は、整列状態から非整列状態への移動のためにシールド本体内に配置される。スプリングがシールド本体及び傾動部材に作動可能に係合され、傾動部材を非整列状態に付勢する。保持アームが、シールド本体に係合されると共に、係合位置から非係合位置に変位可能である。ニードルシールドアッセンブリがハウジング内にあるとき、ハウジングは保持アームを係合位置に変位させ、このとき保持アームは傾動部材に係合し、傾動部材を整列状態に維持する。ニードルシールドがハウジング外にあるとき、保持アームは非係合位置に移動し、このとき保持アームは傾動部材から離脱し、傾動部材はスプリングによって非整列状態に変位される。
【0013】
本発明の形態のある実施例では、傾動部材が傾動板である。スプリングは、傾動部材に一体的に形成されたリーフスプリングであってもよい。シールド本体、傾動板及びスプリングは一体的に形成されてもよい。シールド本体は、その近位端に配置された保持ワッシャを含んでもよく、保持ワッシャは、ニードルが通過する開口を区画する。
【0014】
前述の装置は、ニードルの本体より大きい直径を有する要素を含むニードルと共に用いられてもよい。保持ワッシャの開口は、ニードル本体の通過を許容するがその要素の通過を阻止するサイズとされる。シールド本体は保持アームを含んでもよい。保持アームは、ニードルシールドアッセンブリがハウジング内にあるとき、半径方向内側に付勢されて傾動部材に係合し、ニードルシールドアッセンブリがハウジング外にあるとき、半径方向外側に移動して傾動部材から離脱する。シールド本体はレッジ(ledge)を含んでもよく、レッジは保持アームの反対側に配置され、傾動部材に隣接する。レッジは側壁に一体的に形成されてもよい。
【0015】
本発明の他の形態によれば、ニードルシールドアッセンブリがシールド本体を含み、シールド本体は側壁、近位端及び遠位端を有する。弾性ワッシャ等の部材が、ハウジング内に配置されると共に、中心空所を有する。空所は、ニードルと摩擦的に係合するサイズとされる。傾動部材が、シールド本体内に配置されると共に、整列状態と非整列状態との間を移動可能である。この部材は、ニードルがシールド本体に対し近位方向に移動されたとき、ニードルが部材を変形させ、これが傾動部材を非整列状態に変位させるように、傾動部材に選択的に係合される。
【0016】
本発明のこの形態のある実施例では、部材が弾性部材であって傾動部材が傾動板である。傾動部材を整列状態に保持するための手段が設けられてもよい。整列アームが、シールド本体に取り付けられると共に、傾動部材に隣接する。部材は、傾動部材と、シールド本体の近位端とに隣接する弾性ワッシャである。部材は傾動部材に恒久的かつ直接的に取り付けられる。レッジがシールド本体に固定して取り付けられてもよく、傾動部材の遠位側に配置されて傾動部材に隣接しても良い。インターロックフランジが、シールド本体の遠位端に設けられてもよく、アダプタリリースがシールド本体内にスライド可能に配置されてもよい。アダプタリリースはリリースピンを含み、リリースピンは、傾動板が整列状態にあるときインターロックフランジに係合し、インターロックフランジをカテーテルアダプタと係合するよう付勢する。
【0017】
本発明の他の形態によれば、カテーテルアッセンブリが、カテーテルアダプタと、先端を有するニードルとを含んで設けられる。要素が、先端から選択された距離の位置にニードルに設けられる。ニードルシールドアッセンブリはニードルの周りにスライド可能に配置される。ニードルシールドアッセンブリは側壁、近位端及び遠位端を有する。インターロックフランジが、シールド本体の遠位端の位置に設けられると共に、半径方向外側に付勢される。アダプタリリースが、遠位位置から近位位置への移動のため、シールド本体内にスライド可能に配置される。アダプタリリースはリリースピンを含み、リリースピンは、アダプタリリースが遠位位置にあるとき、インターロックフランジに係合する。傾動板が、ハウジング内に保持されると共に、エッジによって区画される開口を含む。ニードルが開口内にスライド可能に配置される。傾動板は、ニードルがエッジからの干渉無く通過する整列位置から、エッジがニードルに巻き付く非整列位置へと、移動可能である。摩擦部材が、ハウジング内に移動可能に配置されると共に、ニードルに摩擦係合される。アダプタリリースが遠位位置にあるとき、それはインターロックフランジをカテーテルアダプタと係合するよう付勢する。逆に、アダプタリリースが近位位置にあるとき、インターロックフランジはカテーテルアダプタとの係合から解放される。ニードルがニードルシールドアッセンブリに対し近位方向に変位されたとき、摩擦部材が変位され、傾動板を非整列位置に動かす。
【0018】
本発明の他の形態によれば、先端及びニードル軸を有するニードルのためのニードルシールドアッセンブリが設けられる。特に、ハウジングは近位端と遠位端とを有する。摩擦部材が、ハウジング内に配置されると共に、ニードルに摩擦係合される。傾動部材が、ハウジング内に配置されると共に、部材開口を区画するエッジを含む。傾動部材は、部材開口がニードル軸に整列される第1位置から、エッジがニードルにロックして係合する第2位置へと移動可能である。摩擦部材が傾動部材に作動可能に係合され、摩擦部材の移動は傾動部材を第2位置に変位させる。
【0019】
本発明のこの形態のある実施例では、保持ワッシャがハウジングの近位端の位置に位置され、選択された穴サイズを有する穴が保持ワッシャに配置される。
【0020】
本発明の他の形態によれば、ニードルをシールドするための方法が提供される。傾動部材がニードルと作動可能に係合される。傾動部材は、傾動部材がニードルに係合しない第1位置から、傾動部材がニードルに巻き付く第2位置へと、ニードルに対して変位可能である。作動部材がニードルと摩擦係合される。ニードルは、作動部材が変位されるよう、傾動部材に対して変位される。傾動部材は、作動部材が変位されたとき、作動部材によって第2位置に移動される。本発明のこの形態のある実施例では、作動部材とニードルとの間の摩擦が作動部材をニードルと共に変位させ、或いは、作動部材が傾動部材に直接作用する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、改良された好適なニードルシールドアッセンブリ及びこれを備えたカテーテル及びイントロデューサニードルアッセンブリを提供することができるという、優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
好適実施形態が図面に示され、これにおいて同様の符号は同様の要素を意味する。
【図1】本発明の一形態に従う使用のためのオーバー・ザ・ニードルカテーテルアッセンブリの斜視図である。
【図2A】本発明の一実施形態の断面図であり、ニードルが部分的にカテーテルから引き抜かれているが、イントロデューサニードルのシャープな遠位端がまだニードルシールド内に引き抜かれなければならない非作動状態が示される。
【図2B】図2Aのニードルシールドの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれている作動状態が示される。
【図3A】図2Aに描かれたニードルシールドの部分断面斜視図である。
【図3B】図2Bに描かれたニードルシールドの部分断面斜視図である。
【図4A】本発明の他の実施形態の断面図であり、シールドに一体の傾動板とスプリングとが備えられる。ニードルが部分的にカテーテルから引き抜かれているが、イントロデューサニードルのシャープな遠位端がまだニードルシールド内に引き抜かれなければならない非作動状態が示される。
【図4B】図4Aのニードルシールドの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれている作動状態が示される。
【図5A】図4Aのニードルシールドの断面斜視図である。
【図5B】図4Bに描かれたニードルシールドの断面斜視図である。
【図6A】本発明の他の実施形態の断面図であり、傾動板と、保持ワッシャと、スプリングとが一体に形成される。ニードルが部分的にカテーテルから引き抜かれているが、イントロデューサニードルのシャープな遠位端がまだニードルシールド内に引き抜かれなければならない非作動状態が示される。
【図6B】図6Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれている作動状態が示される。
【図7A】図6Aのニードルシールドの断面斜視図である。
【図7B】図6Bに描かれたニードルシールドアッセンブリの部分断面斜視図である。
【図8A】本発明の他の実施形態の断面図であり、傾動板がニードル上の摩擦により作動される。ニードルが部分的にカテーテルから引き抜かれているが、イントロデューサニードルのシャープな遠位端がまだニードルシールド内に引き抜かれなければならない非作動状態が示される。
【図8B】図8Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれている。
【図8C】図8Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が遠位方向に付勢されており、傾斜版が作動状態に傾斜されている。
【図9A】8Aに描かれたニードルシールドアッセンブリの部分断面斜視図である。
【図9B】図8Bに描かれたニードルシールドアッセンブリの部分断面斜視図である。
【図9C】図8Cに描かれたニードルシールドアッセンブリの部分断面斜視図である。
【図10A】本発明の他の実施形態の断面図であり、傾動板がニードル上の摩擦により作動され、インターロックが含まれる。ニードルが部分的にカテーテルから引き抜かれているが、イントロデューサニードルのシャープな遠位端がまだニードルシールド内に引き抜かれなければならない非作動状態が示される。
【図10B】図10Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれており、カテーテルアダプタが部分的に取り外されている。
【図10C】図10Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれており、カテーテルアダプタが完全に取り外されている。
【図11A】本発明の他の実施形態の断面図であり、傾動板がニードル上の摩擦により作動される。ニードルが部分的にカテーテルから引き抜かれているが、イントロデューサニードルのシャープな遠位端がまだニードルシールド内に引き抜かれなければならない非作動状態が示される。
【図11B】図11Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールド内へと引き抜かれている。
【図11C】図11Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が遠位方向に付勢されており、傾動板が作動状態に傾斜されている。
【図12A】図11Aに描かれたニードルシールドアッセンブリの部分断面斜視図である。
【図12B】図11Bに描かれたニードルシールドアッセンブリの部分断面斜視図である。
【図12C】図11Cに描かれたニードルシールドアッセンブリの部分断面斜視図である。
【図13A】本発明の他の実施形態の断面図であり、傾動板がニードル上の摩擦により作動される。ニードルが部分的にカテーテルから引き抜かれているが、イントロデューサニードルのシャープな遠位端がまだニードルシールド内に引き抜かれなければならない非作動状態が示される。
【図13B】図13Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれている。
【図13C】図13Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が遠位方向に付勢されており、傾動板が作動状態に傾斜されている。
【図14A】本発明の他の実施形態の断面図であり、傾動板がニードル上の摩擦により作動される。ニードルが部分的にカテーテルから引き抜かれているが、イントロデューサニードルのシャープな遠位端がまだシールド内に引き抜かれなければならない非作動状態が示される。
【図14B】図14Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれている。
【図14C】図14Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が遠位方向に付勢されており、傾動板が作動状態に傾斜されている。
【図15A】本発明の他の実施形態の断面図であり、傾動板がニードル上の摩擦により作動され、ニードルハブをニードルシールドアッセンブリに接続するためのつなぎひもが含まれる。ニードルが部分的にカテーテルから引き抜かれているが、イントロデューサニードルのシャープな遠位端がまだシールドシールド内に完全に引き抜かれなければならない非作動状態が示される。
【図15B】図15Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれている。
【図15C】図15Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が遠位方向に付勢されており、傾動板が作動状態に傾斜されている。
【図16A】本発明の他の実施形態の斜視図であり、傾動板がニードル上の摩擦により作動される。非作動状態が示される。
【図16B】図17Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれている。
【図16C】図17Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が近位方向にニードルシールドアッセンブリ内へと引き抜かれており、傾動板が付勢されてニードルに係合し、さらなる近位方向の移動を防止している。
【図16D】図17Aの実施形態の断面図であり、イントロデューサニードルのシャープな遠位端が遠位方向に付勢されており、傾動板が作動状態に傾斜されている。
【図17A】本発明の他の実施形態の部分断面斜視図であり、傾動板がクリップ上の傾斜ガイドにより作動される。非作動位置にある状態が示される。
【図17B】図17Aに描かれた実施形態の後方斜視図である。
【図17C】図17Aの実施形態の正面断面図であり、作動状態が示される。
【図17D】図17Aに描かれた実施形態の後方斜視図であり、作動状態が示される。
【図18A】本発明の他の実施形態の正面斜視図であり、傾動板が一体スプリング部材により作動される。非作動状態が示される。
【図18B】図18Aに示された実施形態の側面断面図であり、非作動状態が示される。
【図18C】図18Aに示された実施形態の正面斜視図であり、作動状態が示される。
【図18D】図18Aに示された実施形態の破断側面図であり、作動状態が示される。
【図19A】本発明の他の実施形態の正面斜視図であり、ニードル先端がニードルシールドアッセンブリ内に引き抜かれるまでニードルシールドアッセンブリがカテーテルハブに係合される。非作動状態が示される。
【図19B】図19Aに示された実施形態の正面斜視図であり、作動状態が示される。
【図20A】本発明の他の実施形態の部分破断正面斜視図であり、傾動板が、保持ワッシャ及び先端トリガと一体に形成される。非作動状態が示される。
【図20B】図20Aに示された実施形態の正面斜視図であり、作動状態が示される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで使用されるように、用語「近位(proximal)」とは、本発明のカテーテル及びニードルシールドアッセンブリにおける位置であって、通常使用時に、装置を使用する医者に最も近く、装置が使用される患者から最も遠い位置のことをいう。逆に、用語「遠位(distal)」とは、本発明のカテーテル及びニードルシールドアッセンブリにおける位置であって、通常使用時に、装置を使用する医者から最も遠く、装置が使用される患者に最も近い位置のことをいう。
【0024】
カテーテルアッセンブリ100はカテーテルアダプタ8を含むことができる。カテーテルアダプタ8は、その遠位端に取り付けられたカテーテル108を有する。ウイング130がアダプタ8に設けられても良い。使用前及び挿入中(図1に描かれる如く)、ニードル30はカテーテル内に配置され、先端又は遠位点32が、カテーテルの遠位端から突出する。ニードルの近位端はニードルハブ110に取り付けられる。フィンガーグリップ120がニードルハブ110に含まれても良い。参照により本願に組み込まれる米国特許出願第09/865,915号明細書(2001年5月25日提出)に述べられているように、この種の構造は、ウイング130と関連して、介護者がカテーテル挿入のための様々なテクニックを用いるのを許容する。
【0025】
図1に示されるように、ニードルシールドアッセンブリ5は、ニードルの周りに、ニードルハブ110とカテーテルアダプタ8との間に配置されている。或いは、とりわけ図2A及び図2Bに示されるように、ニードルシールドアッセンブリ5は、カテーテルアダプタの中に完全に配置されてもよく、これも本発明の実施形態である。本発明の実施形態が、カテーテルアダプタの中にあるニードルシールドアッセンブリ、ニードルハブとカテーテルアダプタとの間に配置されているニードルシールドアッセンブリ、又はニードルに沿った他の位置にあるニードルシールドアッセンブリと共に実施され得ることが認識されるであろう。また、本発明の実施形態は、注射器や血液採集器等の他の装置に使用されるニードル及び鋭利物と共に用いられても良い。
【0026】
後により完全に説明されるように、ニードルシールドアッセンブリ5の実施形態は、オーバー・ザ・ニードルカテーテル108の患者への挿入後、ニードル30が引き抜かれるとき、ニードルの先端32がニードルシールドアッセンブリに進入するように設計されている。この点において、ニードルシールドアッセンブリはニードル先端上にロックし、ニードルに沿ったシールドアッセンブリのさらなる移動を防止する。このように、ニードルシールドアッセンブリは、ニードルの先端から容易にすべり外したり取り外したりすることができない。加えて、ニードルシールドアッセンブリがニードル先端上にロックしているとき、それはニードルシールドアッセンブリの遠位端からの先端の再出現を防止する。
【0027】
このニードルシールドアッセンブリ5とニードル30との間のロックを達成するため、ニードルシールドアッセンブリは、傾動部材又は傾動板40を含む。この傾動部材又は傾動板40の動作は、ニードルシールドアッセンブリに対して妨げられる。好ましくは、傾動部材は、ニードルシールドアッセンブリ内に収容される剛体板である。傾動板の穴42がエッジ43によって区画される。ニードルは、傾動板の穴42を挿通する。アンロック状態(例えば図2Aに見られる)において、傾動板は、保持装置又は傾動板保持手段によって、ニードルと整列された位置に保持され、これによってニードルは、実質的な干渉無く傾動板を通過する。後により完全に説明されるように、傾動板保持手段は、固定構造と可動要素との組合せ、スプリング及び・又は摩擦部材を含んでもよく、これらは協働して傾動板の位置をコントロールする。ニードルの先端32がニードルシールドアッセンブリ内に引かれると、傾動板保持手段はトリガー作動され(triggered)、傾動板を「非整列」又は「作動」状態とする。傾動板は、それがニードルの外面に巻き付き、傾動板に対するニードルの相対移動を防止するように、傾動される。傾動板がニードルシールドアッセンブリに対しても拘束されるので、ニードルとその先端とは、ニードルシールドアッセンブリに対しても拘束され、これによりニードル先端をニードルシールドアッセンブリ内でロックする。ニードルシールドアッセンブリがニードル先端からすべり外れるのを一層防止するため、要素35がニードルに設けられても良い。ニードルシールドアッセンブリがニードル先端からすべり外れるのを防止するため、つなぎひも(テザー;tether)400が設けられることもできる。後述されるように、要素及びつなぎひもは、ニードルハブ110が近位方向に動かされるとき、ニードルシールドアッセンブリをカテーテルアダプタ8から引き抜く役割を果たすこともできる。いったん定位置にロックされれば、シールドされたニードルは廃棄されることができる。
【0028】
一体スプリングを備えた保持ワッシャ
ここで図2A〜図3Bを参照すると本発明の一実施形態が示されている。図2A及び図3Aは、ニードル30がニードルシールドアッセンブリ5内に部分的に引き抜かれているが、ニードルシールドアッセンブリが作動され又はニードル上にロックされる前を描いている。図2B及び図3Bは、作動され、ニードル上にロックされた後のニードルシールドアッセンブリを描いている。アンロック又は非作動状態において(図2A及び図3A)、ニードルシールドアッセンブリ5はカテーテルアダプタ(又は単に「アダプタ」)8内に位置される。明瞭化のためカテーテル108は省略されている。図1に見られるように、使用前にカテーテルがカテーテルアダプタの遠位端に固定され、ニードルがカテーテルを同軸に挿通することが認識されるであろう。アダプタ8は内部チャンバを含み、内部チャンバはシールドハウジング6を形成し、シールドハウジング6の中にニードルシールドアッセンブリ5が着座する。シールドハウジングはアダプタから独立した構造物であっても良い。ニードルシールドアッセンブリはシールド本体10を有し、シールド本体10は側壁9及び遠位端11及び近位端12を含む。典型的に、側壁は、シールドハウジング内にぴったりと嵌まる円筒状である。側壁は、カテーテルアダプタ内への嵌合を達成する他の形状を有しても良い。シールド端11,12は、遠位端における遠位開口13と、近位端における近位開口14とを含む。
【0029】
ニードル30は、遠位のニードル点又は先端32と軸99とを有すると共に、アダプタ8内に配置されて、使用前にシールドアッセンブリ5を挿通する。特に、ニードルはシールド開口13,14を挿通し、アダプタ8の遠位端7から突出し、オーバー・ザ・ニードルカテーテル108を通じて伸びる(明瞭化のため図2A〜図3Bには示されていない)。ニードル直径は、シールド本体10の遠位開口13及び近位開口14を干渉無く挿通するサイズとされる。
【0030】
本発明のある実施形態に関し、静止要素(static feature)35もまた、先端32から選択された距離だけ離れた位置のニードル30に設けられる。例えば参照によりともに本願に組み込まれる特許文献3及び4に開示されているように、静止要素35は、それがシールド本体10の近位開口14を挿通できぬように設計されている。静止要素は、ニードル30の拡径部(即ち、かしめ(crimp)、カラー、拡径スリーブ又はフェルール等により形成された拡大寸法)であることができ、又はニードルシールドアッセンブリ5の近位端12にロックする粗い表面であることができる。シールドの近位端からのニードル先端の脱出を制限するために他の構造が採用されることができ(例えば後述するつなぎひも)、このような構造も本発明の実施形態である。
【0031】
ニードルシールドアッセンブリ5は、シールド本体10内でのニードル30の軸方向移動を防止する傾動板40を含むシールド機構を収容する。傾動板は、エッジ43によって区画される穴42を含み、これをニードルが挿通する。ニードルシールドアッセンブリの近位端12は保持ワッシャ15を形成する。保持ワッシャは一端(図2Aに見られるように頂部)において側壁9に取り付けられる。スプリング45が、保持ワッシャの他端に取り付けられる。図2B及び図3Bに示されるように、スプリングは傾動板に係合し、それを非整列位置(即ち、作動又はロック位置)に付勢する。示されるように、保持ワッシャとスプリングとは一体に形成されている。これらの部品が別個に形成され、溶接等によって取り付けられ得ることが認識されるであろう。
【0032】
ニードルシールドアッセンブリ5は保持アーム16をも含む。好ましくは、保持アームは、側壁9に一体に形成され近位端にリップ127を含むリーフスプリングである。勿論、他の構造が採用可能であり、このような構造も本発明の実施形態であり得る。図2Bに見られるように、保持アームはニードルシールドアッセンブリから半径方向外側に付勢される。ニードルシールドアッセンブリがシールドハウジング6内に位置されているとき、シールドハウジングは保持アームを図2Aに見られるように半径方向内側に押す。後述されるように、保持アームは、ニードルシールドアッセンブリがシールドハウジング内にある間に傾動板40をニードルに整列された位置(即ち、非作動又はアンロック位置)に維持するのを助ける。
【0033】
ニードルシールドアッセンブリ5は、保持アーム16から離れて側壁9に形成されたレッジ(棚部;ledge)27を含む。示されるように、レッジは、側壁の一部を半径方向内側に突出するように変形させることにより形成される。レッジが他の方法(例えば、別個のレッジ構造を側壁の内側に固着させることにより、或いは側壁に出っ張りを作るかしめ等により)で形成され得ることが認識されるであろう。重要なのは、傾動板の一部がニードルシールドアッセンブリに対し動くのを防止するストッパをレッジがなすことである。
【0034】
図2A〜図3Bのニードルシールドアッセンブリ5の作動がここで説明される。図2Aを参照して、整列又はアンロック状態において、傾動板40は保持装置、特にスプリング45、保持アーム16のリップ127及びレッジ27の協働によって定位置に保持される。スプリングは傾動板の頂部を遠位方向(図2Aにおける右側)に付勢する。ニードルシールドアッセンブリがカテーテルアダプタ8のシールドハウジング6内に位置されているとき、傾動板の頂部に係合する保持アームのリップと、傾動板の底部に係合するレッジとによって、傾動板の回転及び移動が防止される。こうして傾動板は整列状態に維持され、ニードルは、エッジ43に実質的に係合すること無く、傾動板の穴42を自由に通過できる。
【0035】
患者の静脈への挿入後、ニードル30はカテーテル108及びカテーテルアダプタ8を通じて引き抜かれる。ニードルの要素35はニードルシールドアッセンブリ5の近位端12に係合する。図2B及び図3Bに示されるように、ニードルの要素35は、保持ワッシャの穴14に嵌まらない。結果として、介護者がニードルをカテーテルアダプタ8を通して引き抜くと、ニードルシールドアッセンブリ5の全体がシールドハウジング6から引き出される。ニードルシールドアッセンブリの取り外し時、保持アーム16はその自然のバイアス(傾き;bias)へと倒れ、半径方向外側に移動し、これによってリップ127は傾動板40の頂部から離脱する。いったん離脱されると、傾動板はスプリング45の付勢下で回転可能となる。傾動板が回転すると、穴42のエッジ43がニードル30の外面に巻き付く。傾動板は、ニードル、レッジ127及びスプリング45の協働により、このロック状態に保持される。ニードル先端をニードルシールドアッセンブリから再出現させようとしてニードルが遠位方向に押された場合、ニードル上の摩擦(傾動板を遠位方向に付勢する)とレッジ(傾動板の底部の移動を規制する)とは、傾動板をニードルに対しよりきつく傾けさせ、傾動板とニードルとの間の拘束力を増加させ、これによりそのような動きに抵抗する。これも認識されるであろうが、要素35は、傾動板が非整列(off alignment)であるときに傾動板の穴に嵌まらぬようなサイズとされても良い。これはニードル先端の再出現に対するさらなる抵抗を提供するであろう。
【0036】
図3Aに見られたように、傾動板40は、その中心部を通過する穴42を有する剛体ディスクであっても良い。示されるように、傾動板40は実質的に円形であるが、正方形、長方形、三角形、楕円形、対称形状、非対称形状等の様々な他の形状であることができる。傾動板40の中心の穴42は、好ましくはこれを通ずるニードル30と実質的に同じ形状である。しかしながら、長方形、三角形又は楕円形又は他の様々な形状等の他の穴形状が採用されることができ、このような形状も本発明の実施形態である。さらに、傾動板は平らである必要はない。それは与えられた用途のため、湾曲、段付き形状等とされることができる。
【0037】
傾動板40の穴42は、ニードルのジオメトリ及び傾動板のジオメトリを考慮してニードル30への適切な締付力を得るようなサイズとされる。特に、穴は、要素35の最大直径より少なくとも大きくあるべきであり(要素がニードルの拡径部である場合)、ある実施においては、ニードル30の静止要素35の直径より約100%大きくなるよう増大してもよい。他のある用途において、穴は、ニードル30の静止要素35の最大直径より僅かに大きいサイズから、ニードル30の静止要素35の最大直径より約10〜30%大きいサイズまでの間のサイズであるのが好ましい。さらに他の用途において、穴は、ニードルシールドアッセンブリのジオメトリを考慮して、傾動板が軸99に垂直な方向から0°〜45°傾いたときそれがニードルに係合するようなサイズとされるのが望ましい。認識されるであろうが、傾動角は、傾動板、ニードルシールドアッセンブリ及びニードルのジオメトリ及び材料と、望まれる締付力とに基づいて選択されることができる。
【0038】
ニードルシールドアッセンブリ5がアンロック状態にあるとき(またそれ故傾動板がニードルに整列されているとき)、傾動板40の穴42は、傾動板40の本体の周縁円形状46に同軸に整列される。板40は、偏心中心穴又は、傾動板40の任意の位置にある穴を有して所望の締付力を得るように設計されることもできる。さらに、穴42は、傾動板の外面縁又は外縁46を欠くように傾動板の外縁46に位置されてもよい。このような構造は、本発明のある実施に応じた「溝付き」型の傾動板40を創るであろう。このような構造は、ニードルの板への側方荷重を許容するのに、或いはガイドワイヤとの使用のために、特に望ましいかもしれない。
【0039】
板40は、これが傾動され又は非整列とされたときニードル表面31に巻き付くエッジ43を提供する使用に適した厚さを有する。この厚さ43は、しかしながら、他のパラメータ、例えば使用される材料、ニードルシールドアッセンブリの他の部品の特定のジオメトリ、及び望まれる締付力等に応じて、変化し得る。
【0040】
傾動板40は、シールド本体10内に完全に格納されることができ、或いは、シールド本体10内に部分的に格納されシールド本体10外に部分的に露出されることができる。一枚の傾動板40又は複数の傾動板が使用され得る。複数の傾動板が使用される場合、これらは、お互い間近に隣接して配置されることができるし、それらの間の隙間によって隔てられて配置されることができるし、両者の組み合わせで配置されることもできる。
【0041】
シールドと一体の傾動板及びスプリング
図4A〜図5Bに示される本発明の実施形態に移ると、構造の作動は、図2A〜図3Bに描かれた本発明の実施形態と類似である。この実施形態では、しかしながら、傾動板又は傾動部材40と保持ワッシャ15とが、ニードルシールドアッセンブリ5のシールド本体10と同一片の材料から一体に形成される。傾動板は好ましくはステンレス鋼等から作られる。傾動板40を保持ワッシャ15に接続する材料はスプリング45として機能し、このスプリング45は傾動板を非整列状態に付勢する。再び、作動中及び作動後、ニードルシールドアッセンブリ5に対するニードル30の近位方向の動きは、ニードル30の静止要素35と保持ワッシャ15との間の干渉により停止される。作動後、ニードルシールドアッセンブリ5に対するニードル30の遠位方向の動きは、前述されたように、傾動板40のニードルへの係合により停止される。認識されるであろうが、レッジ27は必要とされない。なぜならスプリング45と、これの保持ワッシャ15への接続とが、傾動板の底部をニードルシールドアッセンブリに対し動かないよう拘束するからである。さらに、ニードルハブとカテーテルアダプタとの相対移動を制限するため、つなぎひもが要素35の代わりに用いられても良い。
【0042】
相互に一体の傾動板、スプリング及び保持ワッシャ
図6A〜図7Bに示される本発明の実施形態に移ると、傾動板40、スプリング45及び保持ワッシャ15は互いに一体であるが、ニードルシールドアッセンブリ5の近位端12からは分離されている。保持ワッシャがシールド本体10に近位端において溶接、接着等により取り付けられている。描かれているように、保持ワッシャは、シールド本体の近位端の内面に取り付けられるが、保持ワッシャが外面に取り付けられても良いことが認識されるであろう。本実施形態の作動は前記実施形態と同様である。
【0043】
摩擦部材と傾動板
図8A〜図8C及び図9A〜図9Cを参照して、本発明のこの実施形態は部材28を使用する。部材28は、ニードル30に摩擦係合され、傾動板40を整列状態に保持すると共に、ニードルがニードルシールドアッセンブリ5に対し遠位方向に動かされたとき傾動板を非整列状態に動かす。特に、ニードルシールドアッセンブリ5は、傾動板40と、例えば弾性ワッシャである摩擦部材28とを含む。ニードル30に摩擦的に係合すると共に傾動板に接触する他の構造が採用されることもでき、このような構造も本発明の実施形態である。弾性ワッシャは好ましくはシールド本体10内にスライド可能に嵌まるように設計される。弾性ワッシャ28は、近位端36から遠位端37に伸びる中心空所29を有する。ニードル30は空所29を挿通し、ワッシャ28はニードル30に摩擦嵌合により係合される。ニードル30が弾性ワッシャ28を通って遠位方向及び近位方向に移動すると、これらの間の摩擦が弾性ワッシャ28をニードル30に連動させようとする。
【0044】
ニードルシールドアッセンブリ5のシールド本体10は、保持ワッシャ15を区画する近位部12を含む。シールド本体は遠位開口13を有し、保持ワッシャは近位開口14を有する。近位開口14は、ニードル30のシャフトの直径より僅かに大きいが、ニードル30の静止要素35の通過を許容するほどに大きくないよう設計される。保持ワッシャ15は、弾性ワッシャ28のためのストッパ(backstop)としても機能し、それを傾動板40の裏側のシールド本体内に固定する。弾性ワッシャ28がニードル30により近位方向に引き摺られると、それは最終的に保持ワッシャ15に当たり、ニードルシールドアッセンブリに対するさらなる移動を許容されない(図8B参照)。
【0045】
傾動板40は、弾性ワッシャ28の遠位側に位置され、ニードル30によって軸方向に収容される。シールド本体10から内側に突出するのは整列アーム19である。整列アーム19は、傾動板40がその位置で遠位方向に動くのを規制する積極ストッパを形成する。シールド本体10の側壁9の対向する内面は、滑らかであり、傾動板40の起こり得る遠位方向の動きを妨げない。それ故、整列アーム19は、傾動板40が回転するポイントを規定する。本発明の他の実施形態のように、傾動板が十分大きく回転されたとき、それは、前記同様の方法でニードルシャフト30を締め付け始める。この例において、整列アーム19と弾性ワッシャ28とは、それ故、傾動板保持手段又は保持装置として機能する。
【0046】
弾性ワッシャ28は、整列アーム19と協働して、傾動板40の傾動又は作動を引き起こす。弾性ワッシャ28がニードルシャフト30に摩擦嵌合されるので、ニードルシャフト30がニードルシールドアッセンブリ5に対し遠位方向に駆動されると、弾性ワッシャ28はそれに引き摺られる。図8Cに示されるように、弾性ワッシャ28は傾動板40を押圧してそれを遠位方向に付勢する。傾動板が(保持アーム19によって)一側でのみ規制されるので、それは傾いてニードル30に巻き付く。空所128が、ワッシャ128の遠位端に形成され、ワッシャからの力を傾動板の周縁に伝え、傾動を促進する。
【0047】
弾性ワッシャ28は様々な長さ及び形状を有することができ、このようなものも本発明の実施形態である。図8A〜Cから図9A〜Cに示されるように、ワッシャは漏刻形状を有する。ワッシャは単純な平板、ドーナツ型リング等であってもよい。ワッシャの特定の形状が、特定の用途に基づいて当業者により選択され得る。図8Aに描かれたワッシャは傾動板に取り付けられていないけれども、ワッシャが傾動板に取り付けられることができ、さらに機能し得ることが認識されるであろう。
【0048】
保持ワッシャ15と整列アーム19との間に形成された空所48は、弾性ワッシャ28がシールド本体10内に位置するのを許容するのに適したいかなる長さであってもよい。弾性ワッシャ28の内径(即ち、ニードルシャフト30に接触する面)は、滑らかであったり、粗くされたりすることができる。それは、ニードル30に対する摩擦を調節するため、列状フィン若しくはリブ、又は任意の要素の組み合わせを有することもできる。弾性ワッシャ28は、自然な円筒状であることができ、傾動板40の全面に接触することができる。ワッシャ28は、その遠位端37で切頭状とされ、特にその最遠位部が整列アーム19のちょうど反対側の位置で傾動板40に当たるように整列されることができる。これは、ニードル30の遠位方向の動作中に傾動板40により強い力を与えるのを容易にする。
【0049】
使用において、カテーテルアッセンブリ100のニードル先端32は、患者の静脈に挿入され、カテーテルも静脈に位置づける。その後ニードル30はカテーテル108を通じて引き抜かれる。ニードルは、弾性ワッシャ28に摩擦力を作用させ、ニードルがニードルシールドアッセンブリ5を通じて引かれる際それを近位方向に付勢する。図8A〜Cに示されるように、弾性ワッシャは、ニードルシールドアッセンブリの近位端12に隣接し、ニードルが中心空所29を通じてスライドするとき摩擦部材を停止させる。ニードルの要素35がニードルシールドアッセンブリの近位端12(例えば保持ワッシャ15)に接触したとき、要素は近位端に係合し、ニードルシールドアッセンブリに対するニードルのさらなる近位方向の移動を規制する。ニードル30がカテーテルアダプタ8からさらに引き抜かれると、図8Bに示されるように、ニードルシールドアッセンブリ5はシールドハウジング6から引き出される(「ボトミングアウト(bottoming out)」と称される)。
【0050】
ニードル30がニードルシールドアッセンブリ5に対し遠位方向に移動されると、摩擦部材28はニードル30との摩擦により遠位方向に付勢される。摩擦部材が傾動板40に係合すると、傾動板も遠位方向に付勢される。傾動板の一部に隣接する整列アーム19は、その位置を規制し、図8Cに示されるように、傾動板の非整列状態又は作動状態への傾動を生じさせる。図8C及び図9Cに描かれているように、要素35は摩擦部材に係合し、それを遠位方向に動かし、傾動板に係合させる。図11C及び図12Cに見られるように、摩擦部材はニードルによりきつく嵌合されることができる。これにより、要素が摩擦部材に係合するしないに拘らず、それがニードルと共に移動する。いずれの場合も、傾動板40が傾斜されたとき、傾動板の穴42のエッジ43はニードルの外面に巻き付き、傾動板40(ひいてはニードルシールドアッセンブリ5)に対するニードル30のさらなる移動を防止する。ニードルシールドアッセンブリのシールド本体10は、傾動板が作動されたときニードル30の先端32がニードルシールドアッセンブリの遠位端11から再出現しないのを確実にするほど十分に長い。
【0051】
ゴムワッシャ及びインターロックと傾動板
本発明の一形態のさらなる実施例が図10A〜Cに示されている。ニードル30がシールドされた位置にあるときまでカテーテルアダプタ8をシールド本体10にロックするためのインターロック50が含まれる。ニードルの静止要素35が、アダプタリリース55を作動させニードルシールドアッセンブリ5をカテーテルアダプタから離脱させるために使用される。傾動板40は、弾性ワッシャ28、レッジ27及び整列アーム227によって整列位置に維持される。レッジはニードルシールドアッセンブリ5に固定して取り付けられる。整列アームは、アダプタリリース55に取り付けられたリーフスプリングの形態であってもよい。
【0052】
図10Bに示されるように、ニードル30の静止要素35は、シールド本体又は保持ワッシャ15の近位端12にボトミングアウトする前に、リリースピン56の近位壁155に係合し、それを遠位位置57から近位位置58へと引きずる(図10Aと図10Bとを比較のこと)。ニードルシールドアッセンブリ5は複数のロッキングフランジ158を含み、ロッキングフランジ158は、ニードルシールドアッセンブリの遠位端付近に取り付けられ近位方向に伸びるリーフスプリングの形態をもつ。それらの元々の無変形状態において、フランジは比較的直線的に伸びる(即ち、ニードルシールドアッセンブリ5の軸に平行に)(図10C)。組み付けられると、ロッキングフランジ158はアダプタ8のカラー180に係合し、カラー(そしてアダプタ)がニードルシールドアッセンブリから外れるのを防止する。図10A参照。それが図10Aに示される遠位位置57にあるとき、リリースピン56はロッキングフランジ158が半径方向内側に変形するのを防止する。リリースピンが近位位置58に移動されると、それはフランジ158と非係合となり、フランジは自由に半径方向外側に曲がれるようになる。結局、カテーテルアダプタ8がニードルシールドアッセンブリに対し遠位方向に移動すると、図10Bに見られるようにカラーがロッキングフランジを半径方向外側に押し、カラーがロッキングフランジを滑って通過できるようになる。結果として、ニードルシールドアッセンブリ5はアダプタ8からすべり外せる。図面に描かれているように、ニードルシールドアッセンブリ5の遠位開口13は、ニードル先端32がシールドされた後においても開放されている。再出現をさらに防止するための横断バリアを作るため、ある長さのニードルシールドクリップ又は他のそのような機構がさらに使用されてもよいことが認識されるであろう。また、ニードルシールドアッセンブリ5がニードル30の先端32から滑り外れるのを阻止するため、静止要素35が採用されている。つなぎひも等の他の構造がそのような外れを防止するために採用されてもよいことが認識されるであろう。
【0053】
使用において、カテーテルアッセンブリ100のニードル先端32が患者の静脈に挿入され、カテーテル108を静脈に同様に位置させる。ニードル30が、カテーテル108及びカテーテルアダプタ8を通じて引き抜かれる。ニードルはワッシャ28に摩擦力を作用させる。ワッシャは、アダプタリリース55の近位壁155によって定位置に保持される。ニードルの要素35が近位壁に係合したとき、それは壁の開口内に嵌まることができず、アダプタリリースをシールド本体10に対し近位方向に引く。アダプタリリースが近位方向に移動すると、整列アーム227が傾動板40に被さるようにそれる。整列アームは、それが遠位方向に移動されたとき傾動板を非整列状態に傾けるように、斜めの形状を有している。アダプタリリースは、近位壁155がシールド本体の近位端12に接触するまでシールド本体内で移動し続ける。この位置において、ニードルシールドアッセンブリに対するニードルの遠位方向のさらなる移動が規制される(図10B参照)。
【0054】
アダプタリリース55がその遠位位置57からその近位位置58まで移動されると、リリースピン56がロッキングフランジ158との係合から引き外される。そしてカラー180がニードルシールドアッセンブリから出るにつれ、ロッキングフランジは半径方向外側に自由に変形可能となる。このように、ニードルシールドアッセンブリ5はアダプタ8から分離され得る。
【0055】
ニードル30がニードルシールドアッセンブリ5に対し遠位方向に付勢されると、ワッシャ28とニードルとの間の摩擦がワッシャを同様に遠位方向に付勢する。ワッシャは傾動板40に係合し、それを遠位方向に付勢する。傾動板はレッジ27によって一端縁の位置で拘束される。結果的に、ニードルが遠位方向に移動されるにつれ、傾動板は一層傾き、ニードルに一層しっかりと巻き付き、ニードルシールドアッセンブリ5に対するニードルのさらなる移動を防止する。
【0056】
スプリングアーム保持と傾動板
図11A〜C及び図12A〜Cを参照して、本発明のこの実施形態は作動において図8A〜C及び図9A〜Cに描かれた実施形態と同様である。しかしながら、この実施形態では、スプリングアーム427が作動前に半径方向内側に圧縮され、使用前に傾動板40を整列状態に維持するのを助ける。図11A参照。弾性ワッシャ28と保持アーム16及びレッジ27との協働により、傾動板40は作動前に整列状態に維持される。ニードルシールドアッセンブリ5が作動される前、ニードル30はアッセンブリ内で近位方向及び遠位方向に移動されることができる。使用において、ニードルは、要素35が保持ワッシャ15に接触するまで引かれる。ニードルの更なる移動は、ニードルシールドアッセンブリ5を、アダプタ8のシールドハウジング6から引き出す。図11C参照。この位置において、スプリングアーム427は、無応力状態となるまで半径方向外側に移動する。レッジ27はそれ故傾動板40の底縁に非係合となり、それの回転を許容する。ニードルがニードルシールドアッセンブリ5に対し遠位方向に付勢されると、それはワッシャ28に作用し、それを同様に遠位方向に付勢する。ワッシャは傾動板に係合し、次いで、それを遠位方向に付勢する。傾動板の頂縁は保持アーム16によって移動できぬようにされている。結果として、傾動板はニードル30へと回転し、ニードル30に巻き付き、更なる近位方向の動きを規制する。図11C参照。
【0057】
二方向シングル傾動板
図13A〜図13Cは、本発明の一形態の他の実施例を示す。これにおいては一つの傾動板40が含まれ、この傾動板40はニードル30に巻き付いて、ニードルシールドアッセンブリ5に対するニードルの近位方向及び遠位方向の両方向の移動を防止する。ニードルシールドアッセンブリは、シールド本体10に一体に形成された近位保持アーム216及び遠位保持アーム116を含む。近位レッジ227と遠位レッジ327とがスプリングアーム427に設けられる。図13Aに描かれているように、アダプタ8のシールドハウジング6は、スプリングアームを半径方向内側に圧縮し或いは曲げ、傾動板40に係合させる。弾性ワッシャ228が傾動板に取り付けられ、ニードルに摩擦的に係合される。要素35はニードルに恒久的に取り付けられている。ニードルシールドアッセンブリの遠位端の保持ワッシャ15は開口14を含み、この開口14は、ニードルの挿通を許容するが要素35の通過は阻止するようなサイズとされる。
【0058】
使用において、ユーザは、オーバー・ザ・ニードルカテーテルアッセンブリ10のニードル先端32を患者の静脈に挿入する。フラッシュバックの確認時、ユーザはニードルハブ110をつかみ、ニードルハブをカテーテルアダプタ8から引き離し、ニードル30をカテーテルアダプタ8及びニードルシールドアッセンブリ5を通じて引き抜く。図13A参照。ニードルは、要素35が保持ワッシャ15に当たるまでニードルシールドアッセンブリを通じて引き抜かれ続ける。ニードルの更なる移動は、ニードルシールドアッセンブリ5を、アダプタ8のシールドハウジング6から引き抜かせる。図13B参照。ニードルシールドアッセンブリがカテーテルアダプタのシールドハウジングから完全に引き抜かれると、スプリングアーム427がニードルシールドアッセンブリから半径方向外側に回転可能となる。結果的に、近位レッジ227及び遠位レッジ327は傾動板40に対し非係合となる。図13C参照。その結果、傾動板は回転されることができる。傾動板の上縁は保持アーム116,216によって遠位方向及び近位方向のいずれにも動けない。
【0059】
デュアル傾動板
本発明の他の実施形態が図14A〜図14Cに開示されている。ニードルシールドアッセンブリ5は、好ましくはシールド本体10に一体に形成された遠位保持アーム116及び近位保持アーム216を含む。図示されるように、保持アームは、例えば曲げ(ベンディング)により、半径方向内側に変形される。遠位傾動板140と近位傾動板240とがシールド本体内に配置されている。これら傾動板は、後述されるように、保持アーム、遠位レッジ327、近位レッジ227及び弾性ワッシャ28の協働により、整列状態に維持される。レッジ227,327はスプリングアーム527に設けられる。ニードルシールドアッセンブリがアダプタ8のシールドハウジング6内に配置されるとき、スプリングアーム527は半径方向内側に付勢され、これによりレッジ227,327が傾動板140,240に係合する。摩擦部材、例えば漏刻形状のワッシャ28が、シールド本体10内で遠位傾動板140と近位傾動板240との間に配置される。弾性ワッシャ28はニードルに摩擦係合する。本発明のこの形態のある実施例において、弾性ワッシャ28は、図14Aに描かれているように、二つの傾動板の間に配置されるとき圧縮されてもよい。この場合、ワッシャは、傾動板に連続的な付勢力を作用する。この付勢力はニードルシールドアッセンブリによって受け止められる。
【0060】
使用において、オーバー・ザ・ニードルカテーテルアッセンブリ100のニードル先端32は患者の静脈に挿入される。フラッシュバックの確認時、ニードル30はカテーテル108を通じて引き抜かれ、これによりニードルはニードルシールドアッセンブリ5を挿通する。遠位傾動板140は、弾性ワッシャ28、遠位保持アーム116及び遠位レッジ327の協働により、ニードルと整列状態に維持される。近位傾動板240は、弾性ワッシャ、近位保持アーム216及び近位レッジ227の協働により、ワッシャ28(これはニードルに倣おうとし、それ故、傾動板に逆らって移動される)の付勢に拘わらず、整列状態に維持される。傾動板がニードルに整列されるので、ニードルは傾動板の開口を自由に通過できる。ニードルがさらに引かれると、要素35は保持ワッシャ15に係合し、ニードルシールドアッセンブリ5をアダプタ8のシールドハウジング6から引き出す。図14B参照。ニードルシールドアッセンブリのカテーテルアダプタからの取り外し時、スプリングアーム527はシールド本体から半径方向外側に拡径可能となり、これにより近位レッジ227が近位傾動板240に非係合となり、遠位レッジ327が遠位傾動板140に非係合となる。この非係合は傾動板の回転を許容する。仮にワッシャが圧縮されていると、それは膨張可能となり、それゆえ傾動板の即時の傾動を生じさせる。ニードル30がニードルシールドアッセンブリ5に対し近位方向に付勢されると、ニードルはワッシャ28を遠位方向に付勢し、これは、図14Bに見られるように、近位傾動板240を回転させる。ニードルがニードルシールドアッセンブリに対し遠位方向に付勢されると、ワッシャ28は遠位方向に動き、遠位傾動板140を遠位方向に動かすよう付勢する。遠位保持アーム116は、遠位傾動板140がニードルシールド本体10内で遠位方向に動くのを妨げ、遠位傾動板の傾動とニードルへの巻き付きとをもたらす。図14C参照。
【0061】
つなぎひもとデュアル傾動板
図15A〜図15Cを参照すると、本発明の実施形態が描かれており、これは、ニードルシールドアッセンブリ5を、カテーテルアダプタ8のシールドハウジング6から引き出すためのつなぎひも(つなぎ縄、テザー;tether)400を用いている。つなぎひもは、ニードルハブ110と、ニードルシールドアッセンブリの近位端12とに取り付けられている。図15A〜図15Cに描かれているように、つなぎひもは保持ワッシャ15に取り付けられている。つなぎひもがニードルシールドアッセンブリをカテーテルアダプタから引き出すので、ニードルの要素35は必要とされない。使用において、ニードル先端32が患者の静脈に挿入され、カテーテル108の先端を同様に静脈に届ける。そして介護者は、カテーテルアダプタ8を定位置に保持しながら、ニードルハブ110を引く。図15B参照。ニードルハブが近位方向に移動されると、ニードルシールドアッセンブリ5は、カテーテルアダプタ8のシールドハウジング6から引き出される。図15B参照。この実施形態のその他の作動は、図14A〜図14Cに関連して図説された実施形態と同様である。
【0062】
シングル傾動板とつなぎひも
ここで図16A〜図16Dを参照すると、図13A〜図13Cに描かれた実施形態に類似の本発明の実施形態が描かれている。しかしながら、ニードルシールドアッセンブリ5を、カテーテルアダプタ8のシールドハウジング6から引き出すため、つなぎひも400が用いられている。結果的に、ニードルの要素35は必要とされない。一つの傾動板40が作動後にニードル30に巻き付き、ニードルシールドアッセンブリに対するニードルの近位方向及び遠位方向の両方向の移動を妨げる。ニードルシールドアッセンブリ5は、シールド本体10に一体に形成された近位保持アーム216と遠位保持アーム116とを含む。近位レッジ227及び遠位レッジ327がスプリングアーム427に設けられる。図16Aに描かれているように、アダプタ8のシールドハウジング6は、スプリングアームを半径方向内側に圧縮し或いは曲げ、傾動板40に係合させる。弾性ワッシャ228が傾動板に取り付けられ、ニードルに摩擦的に係合される。要素35はニードルに恒久的に取り付けられている。
使用において、ユーザは、オーバー・ザ・ニードルカテーテル100のニードル先端32を患者の静脈に挿入し、カテーテル108の先端を同様に静脈に位置付ける。フラッシュバックの確認時、ユーザはニードルハブ110をつかみ、ニードルハブをカテーテルアダプタ8から引き離し、ニードル30をカテーテルアダプタ8及びニードルシールドアッセンブリ5を通じて引き抜く。図16B参照。つなぎひも400がその全長まで伸ばされたとき、ニードルハブの更なる近位方向の移動が始まり、ニードルシールドアッセンブリをカテーテルアダプタから引き抜く。図16B参照。ニードルシールドアッセンブリがカテーテルアダプタのシールドハウジングから完全に引き抜かれると、スプリングアーム427がニードルシールドアッセンブリから半径方向外側に回転可能となる。結果的に、近位レッジ227及び遠位レッジ327は傾動板40に対し非係合となる。図16C参照。その結果、傾動板は回転されることができる。傾動板の上縁は保持アーム116,216によって遠位方向及び近位方向のいずれにも動けない。図13A〜Cに関連して説明されたように、ニードルの再出現は、傾動板からニードル30の外壁への巻き付き力によって防止される。図16D参照。
【0063】
傾動スロットとクリップ
図17A〜図17Dを参照すると、本発明の実施形態が描かれており、これにおいてはクリップ130が、ニードルシールドアッセンブリ5のハウジング内に配置されている。クリップは、実質的にV字状の部材であり、ハウジングに固定して設けられた第1の脚131を備えている。第2の脚132が第1の脚に曲がりヒンジ133を介して設けられている。スライドタブ134が第2の脚に形成され、作動中にニードル30と第2の脚との間の抵抗を減じると共に、ニードル30にスライド係合する。図17A及び図17Bに示されるように、作動前、クリップ130は圧縮され、クリップに整列された位置におけるニードルシールド5内のニードルの存在により、圧縮状態に維持される。トラップアーム730が、第2の脚に取り付けられ、カテーテルアダプタ(図示せず)に係合し、それのニードルシールドアッセンブリからの取り外しを妨げる。ニードルが引かれると、それは第2の脚への係合を終え、これにより曲がりヒンジ133が急速に開く。図17C及び図17D参照。そしてトラップアームがカテーテルアダプタとの係合から離脱し、これによりそれがニードルシールドアッセンブリから取り外され得るようになる。
【0064】
ガイドプレート140が、クリップ130の第2の脚132に取り付けられる。ガイドプレート140はガイドスロット141を含む。傾動ピン142が傾動板40に取り付けられる。傾動ピンは傾動板に一体に形成されても良い。傾動ピンはガイドスロット141の中に配置されている。図17Aに示されるように、非作動状態において、傾動スロット内の傾動ピンの位置は、傾動板をニードル30と整列された状態に維持する。結果として、ニードルは傾動板の開口を通じて抵抗無く引き抜かれ得る。ニードルがクリップを超えて引き抜かれると、クリップは急速に開き、ガイドプレートをそれに従って移動させる。図17C及び図17D参照。ガイドプレートの移動は、ピン142を遠位方向に移動させることになる。傾動板の底縁はその近位方向又は遠位方向の移動が妨げられる。なぜならそれは、ニードルシールドアッセンブリハウジングの溝740内に保持されているからである。ピン142が遠位方向に移動されると、傾動板が回転されてニードルに巻き付き係合する。ニードルがニードルシールドアッセンブリに対し遠位方向に付勢されると、傾動板の係合は、ニードルがニードルシールドアッセンブリから再出現するのを妨げる。保持ワッシャ15は、ニードルシールドアッセンブリの近位端からの要素35の脱出(さらにはニードル先端32の脱出)を妨げる。ニードルシールドアッセンブリがニードルの先端から滑り外れるのを防止するため、要素が取り除かれつなぎひもが設けられてもよいことが認識されるであろう。
【0065】
一体化されたワッシャとフローティングプレート
ここで図18A〜図18Dを参照すると、本発明の実施形態が描かれており、これは、アクチュエータアーム(作動アーム)150に一体的に形成された保持ワッシャ15を含む。開口14が保持ワッシャに配置される。ニードルの通過を容易にし、保持ワッシャとニードルとの間の相対的に垂直な整列を保証するため、リップが開口14の周囲に形成されてもよい。アクチュエータアームは、前壁151とスライドプレート152とを含む。穴153が、前壁に配置されているが、ある実施においては省略されることもできる。傾動板40は、一対のU字状スリーブ154により、ニードル周辺の定位置に維持される。スリーブは、傾動板40に比較的接近して嵌まるが、傾動板がスリーブ内でスライドできないほどには接近されない。図18B及び図18Dを比較のこと。U字状スリーブはそれ自身アーム150に取り付けられている。穴155が、傾動板の直上でアームに配置されている。
【0066】
図18A及び図18Bに見られるように、非作動状態において、保持プレート15とアーム150とは、保持ワッシャの開口14内におけるニードル30の存在及びニードルのプレート152との係合により、互いから離れるように曲げられ(即ち、開方向に付勢され)、この曲げられた状態に維持される。患者の静脈へのカテーテル108の挿入後、ニードルシールドアッセンブリ5はニードル先端32に向けて移動される(或いは、その代わりに、ニードル30がニードルシールドアッセンブリを通じて引き抜かれる)。ニードルがニードルシールドアッセンブリ5に対し近位方向に移動すると、ニードルの先端32はスライドプレート152を通過し、これにより、図18C及び図18Dに見られるように、アーム150と保持プレート15とがそれらの無付勢状態に復元可能となり、互いに向かって回転する。この無付勢状態又は作動状態において、U字状部材154は保持ワッシャ15に対して移動する(特に、U字状部材は保持プレートに対し回転される)。図18B及び図18Dを比較のこと。こうして、傾動板40も保持ワッシャ(よってニードル)に対し移動される。効果的に、傾動板はニードルに対し傾けられ、ニードルの外面に係合するようになる。作動状態において、傾動板の頂部はアーム150の穴155を通過して突出する。認識されるであろうが、アーム150はそのような穴155が必要とされないように設計されることができるが、これはより大きなニードルシールドアッセンブリ5に帰する。
【0067】
一体化された板と係合フック
ここで図19A及び図19Bを参照すると、本発明の実施形態が描かれており、これは、図4A,Bに描かれた実施形態にやや類似しており、ニードル先端32がニードルシールドアッセンブリ5内に引き抜かれるまでカテーテルアダプタ8に係合する機構を含む。ニードルシールドアッセンブリは、二つの係合アーム190(好ましくはシールド本体10に一体的に形成されたリーフスプリングの形態である)を含み、これらはニードルシールドアッセンブリの本体から半径方向外側に付勢される。複数のフック191が係合アーム190の遠位端に取り付けられる。非作動状態において、ニードル30はフックの間に位置され、これによりフックと係合アームとを半径方向外側に付勢する。フックはそれゆえカテーテルアダプタ8の環状溝192内に配置される。結果的に、カテーテルアダプタはニードルシールドアッセンブリから移動され得ない。ニードルがフックの間から引き抜かれると、図19Bに見られるように係合アームは半径方向内側に曲がり、それらの無応力状態となる。こうしてフック191は環状溝192から離脱する。結果的に、ニードルシールドアッセンブリ5がカテーテルアダプタ8から取り外されることができるようになる。
【0068】
ニードルシールドアッセンブリ5は保持ワッシャ15も含む。保持ワッシャ15は、傾動板40と一体に形成され、曲がりヒンジ部材193によって接続される。ヒンジ部材は、傾動板40を傾斜状態に付勢するスプリングである。組立時及び作動前(図19A参照)、傾動板は、曲がりヒンジ193によって作用される力と、カテーテルアダプタ8の近位端との干渉との協働によって、ニードルに整列された状態に維持される。結果的に、ニードルは抵抗無く傾動板を挿通可能となる。ニードルシールドアッセンブリがカテーテルアダプタから解放され、カテーテルアダプタから近位方向に移動すると、傾動板は曲がりヒンジ193の付勢に屈し得るようになり、ニードルの外面に係合する(図19B参照)。
【0069】
一体化されたワッシャ、ヒンジ、傾動板及び作動アーム
ここで図20A及び図20Bを参照すると、本発明の実施形態が描かれており、これは、曲がりヒンジ193と一体に形成された保持ワッシャ15を含む。曲がりヒンジ193は傾動板40と一体に形成され、傾動板40は作動アーム150と一体に形成される。保持ワッシャはシールド本体10の近位端に取り付けられている。非作動状態において、傾動板は、曲がりヒンジ193によって作用される力と、作動アーム150によって作用される拘束力との協働によって、ニードル30に整列された状態に維持される。特に、曲がりヒンジ193は、傾動板を傾斜又は係合状態に付勢するスプリングとして機能する。傾動板のこの動作は、それ自身ニードルに係合される作動アームによって防止される。図20A参照。ニードル先端32が引き抜かれると、作動アーム150は、ニードル先端との係合から外れ、シールド本体10内で可動になる。結果的に、傾動板40は、曲がりヒンジ193によって作用される付勢に屈する。傾動板がニードルとの整列状態から傾斜されると、それはニードルの外面に巻き付いて係合する。切欠き159が作動アームに設けられてもよく、これは、ニードル先端の通過後、作動アームがニードルから干渉されずに動くことを許容する。
【0070】
前述の如く、本発明のある実施形態は、ニードル30の要素35を採用し、これによりニードルの先端32に対するニードルシールドアッセンブリ5の動作を制限する。他の実施形態はつなぎひも400を採用し、これによりニードルシールドアッセンブリに対するニードル先端の動作を制限する。認識されるであろうが、様々な実施形態において、要素はつなぎひもに置換されることができ(又はつなぎひもは要素に置換されることができ)、このようなものも本発明の実施形態である。さらに、摩擦部材は、ある実施形態においては、弾性ワッシャと称されている。認識されるであろうが、摩擦部材は、エラストマー又は、異なる特性及び様々な形状を有する他の材料から作られることができ、このようなものも本発明の実施形態である。
【0071】
以上の説明は、本質において、限定的というよりもむしろ例示的である。本発明の範囲及び思想から必ずしも外れない、開示例に対する応用及び変形が、当業者にとって明らかになるかもしれない。例えば、本発明の実施形態は、麻酔針、注射器、血液サンプル採集器等の他のニードルと共に使用されることができる。本発明に与えられる法的保護の範囲は、特許請求の範囲を検討することによってのみ決定され得る。
【符号の説明】
【0072】
5 ニードルシールドアッセンブリ
6 シールドハウジング
8 カテーテルアダプタ
9 側壁
10 シールド本体
11 遠位端
12 近位端
13 遠位開口
14 近位開口
15 保持ワッシャ
16 保持アーム
19 整列アーム
27 レッジ
28 部材(摩擦部材、弾性ワッシャ)
29 中心空所
30 ニードル
32 先端
35 静止要素
40 傾動板
42 穴
43 エッジ
45 スプリング
50 インターロック
55 アダプタリリース
56 リリースピン
100 カテーテルアッセンブリ
108 カテーテル
110 ニードルハブ
116 遠位保持アーム
127 リップ
130 クリップ
140 ガイドプレート
140 遠位傾動板
141 ガイドスロット
150 作動アーム
158 ロッキングフランジ
159 切欠き
190 係合アーム
191 フック
216 近位保持アーム
227 近位レッジ
227 整列アーム
228 弾性ワッシャ
240 近位傾動板
327 遠位レッジ
400 つなぎひも
427 スプリングアーム
527 スプリングアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードルのためのニードルシールドアッセンブリであって、
側壁、近位端及び遠位端を有するシールド本体と、
該シールド本体内に配置され、非作動状態と作動状態との間を移動可能であるクリップ部材と、
前記シールド本体内に配置され、整列状態と非整列状態との間を移動可能である傾動部材と
を備え、
前記傾動部材が前記クリップに作動可能に係合され、これにより、前記クリップが前記作動状態に動かされたとき、前記傾動板が非整列状態へと動かされる
ニードルシールドアッセンブリ。
【請求項2】
前記クリップがニードルによって非作動状態に維持される
請求項1記載のニードルシールドアッセンブリ。
【請求項3】
前記クリップがガイドプレートを備え、前記傾動部材にピンが取り付けられ、該ピンが、前記ガイドプレートのスロット内に配置される
請求項1記載のニードルシールドアッセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図12C】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図13C】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図15C】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図16C】
image rotate

【図16D】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図17C】
image rotate

【図17D】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図18C】
image rotate

【図18D】
image rotate

【図19A】
image rotate

【図19B】
image rotate

【図20A】
image rotate

【図20B】
image rotate


【公開番号】特開2010−46522(P2010−46522A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269010(P2009−269010)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【分割の表示】特願2004−516098(P2004−516098)の分割
【原出願日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】