説明

ニードルパンチ加工装置

【課題】安定的にニードルパンチ加工を施せるニードルパンチ加工装置を提供すること。
【解決手段】ニードルパンチ加工機2と、繊維質マットを搬送する搬入コンベア1と、搬入コンベア3にて搬送された繊維質マットをニードルパンチ加工機2に導入する、一対の供給ローラー22a、22bと、繊維質マットをニードルパンチ加工機2から導出する、一対の排出ローラー23a、23bと、一対の排出ローラー23a、23bから排出された繊維質マットを搬出する搬出コンベア3と、を備え、一対の供給ローラー22a、22bの入口近傍に、前記搬入コンベア1にて搬送される繊維質マットの末端部を押さえるための抵抗を付与する押当手段10bを設けたニードルパンチ加工装100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維質マットにニードルパンチ加工を施すニードルパンチ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グラスウール(ガラス短繊維)は断熱性が高く、吸音性にも優れ、軽く、施工しやすい特徴から、自動車のエンジン周りなどに装着されて使用される吸音断熱インシュレーター、住宅用の断熱材、ビルや建築等における配管用の保温材として使用されている。
【0003】
グラスウールマットの主な製造工程としては、図3の工程概略図に示されるように、順に、ガラス繊維の原料を調合する工程(原料調合工程)、溶融した原料を繊維化装置により繊維化する工程(繊維化工程)、繊維化後のガラス繊維に接着剤を塗布する工程(接着剤塗布工程)、接着剤塗布後の未硬化の繊維を平面状の堆積面上に順次落下させ層状に堆積せしめ未硬化の無機繊維質集合体とする工程(集綿化工程)を経て製造され、グラスウールマットの幅や長さなどの形状を整える(裁断工程)、巻き取り工程、搬送梱包工程を経て出荷される。
【0004】
上記説明のグラスウールマットの製造方法において、グラスウールマットの成形性を保つために、繊維化工程後、接着剤を塗布する接着剤塗布工程や、接着剤を使用せずに、集綿化工程後に、グラスウールマットにニードルパンチ加工を施すことが知られている。
【0005】
特許文献1には、グラスウールマット(グラスウール成形体)にニードルを高速で上下方向に往復運動させることによって、グラスウールマットにニードルを挿入し、これによってグラスウールマットを構成するガラス短繊維を互いに絡み合わせ、接着剤等のバインダーを使用することなく、グラスウールマットの保形性を保つニードルパンチ加工工程が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2006/059752号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のニードルパンチ加工工程では、グラスウールマットの厚さを薄くするために、ニードルパンチ加工機に導入する前に設けられた供給ローラー(上流側)の回転速度より、ニードルパンチ加工機に導入して、グラスウールマットをニードルパンチ加工しながら搬送する搬送速度及びニードルパンチ加工後のグラスウールマットを搬送する排出ローラー(下流側)の回転速度を速く設定している。
【0008】
そのため、供給ローラーに導入するグラスウールマットの末端部が導入される際、グラスウールマットの末端部を押さえる抵抗力がないため、グラスウールマットの末端部がニードル加工機に急速に吸い込まれ、グラスウールマットが嵩張り、ニードルパンチ加工を行う際に不具合が生じるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ニードルパンチ加工を行う際、ニードル加工機にグラスウールマットの末端部を導入する際、トラブルが少なく安定的にニードルパンチ加工を施すことができるニードルパンチ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、ニードルパンチ加工装置において、ニードルパンチ加工機の上流側に設けられた、供給ローラーに導入されるグラスウールマットの末端部を抑えるための抵抗を付与するための押当手段を、供給ローラーの入口近傍に設けることによって、グラスウールマットの末端部が急速にニードルパンチ加工機に吸い込まれることなく、ニードルパンチ加工を安定的に行うことができることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、繊維質マットをコンベア装置にて搬送しながら、前記繊維質マットに保形性を付与するニードルパンチ加工装置であって、前記繊維質マットにニードルパンチ加工を施すニードルパンチ加工機と、前記ニードルパンチ加工機の上流側に位置し、前記繊維質マットを搬送する搬入コンベアと、前記搬入コンベアにて搬送された前記繊維質マットを前記ニードルパンチ加工機に導入する、一対の供給ローラーと、前記ニードルパンチ加工機の下流側に位置し、前記繊維質マットを前記ニードルパンチ加工機から導出する、一対の排出ローラーと、前記一対の排出ローラーから排出された繊維質マットを搬出する搬出コンベアと、を備え、前記一対の排出ローラーの回転速度が、前記一対の供給ローラーの回転速度より相対的に大きい、ニードルパンチ加工装置であり、前記一対の供給ローラーの入口近傍に、前記搬入コンベアにて搬送される繊維質マットの末端部を押さえるための抵抗を付与する押当手段を設けたことを特徴とするニードルパンチ加工装置である。
【0012】
なお、本発明においてコンベア装置とは、ベルトコンベア装置、ロール式コンベア装置、エアーテーブル型コンベア装置(下からエアーを吹き付けて、搬送対象を浮上させ、この状態で回転体に接触させて搬送する装置)等、繊維質マットを搬送する装置全般を意味する。繊維質の進行方向から糸や紐で繊維を引っ張り、繊維質を搬送する装置も、本発明のコンベア装置に含まれる。中でもベルトコンベア装置は繊維質の移動が円滑であり、搬送中の繊維質の落下や形の乱れが防止できるため、特に好ましい。
【0013】
また、ここで言う、押当手段とは、グラスウールマットの末端部を抑えて接触抵抗を付与できるものであれば、特に限定されない。前記コンベア装置がベルトコンベア装置である場合、押当手段は、グラスウールマットの末端部に効率よく接触抵抗を付与する観点から、前記グラスウールマットをベルト側に押さえつける押当ロールを用いることが特に好ましい。それ以外のコンベア装置の場合、例えば、ロール式コンベア装置である場合、エアーテーブルの場合、或いは、前方から糸や紐で引っ張るコンベア装置である場合は、上下に一対の押当ロールを設け、当該ロールで繊維質を挟み込み、荷重をかけることが好ましい形態の1つである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成によれば、グラスウールマットの末端部がニードルパンチ加工機に急速に吸い込まれることなく安定的にニードルパンチ加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るニードルパンチ加工装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る押当手段の動作を説明する概略図である。
【図3】グラスウールマットの製造工程図を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明するが、下記の実施の形態に限定されずに、その技術思想の範囲内において種々の変更が可能であることは明白である。
【0017】
例えば、本発明の実施の形態では繊維質マットとして、グラスウール(ガラス短繊維)マットを用いたが、その他、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨンなどの合成繊維・化学繊維など他の繊維質マットにも適用可能である。
【0018】
繊維質マットとして、中でも、グラスウールマットは、特許文献1にもある通り、ニードル加工を行なう際、厚さを薄くし成形性を高めるために、ニードル加工の前後における導入速度及び導出速度を変化させる必要性が高く、末端部が急速に吸い込まれる現象が起こりやすいことから、本発明を適用する対象としてはガラスウール類が特に効果が顕著であり、好ましい。
【0019】
以下、本発明のニードルパンチ加工装置100について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の原料(ニードルパンチを施す前のグラスウールマット)は、例えば、図3に示すグラスウール製造機によって、好ましく製造することができる。
【0020】
また、以下、ニードルパンチを施す前のグラスウールマットを「6a」、ニードルパンチを施した後のグラスウールマットを「6b」として「a」、「b」の符号を付して区別し説明する。
【0021】
本発明のニードルパンチ加工装置100は、グラスウールマットをコンベア装置にて搬送しながら、グラスウールマットに保形性を付与するニードルパンチ加工装置であって、グラスウールマットにニードルパンチ加工を施すニードルパンチ加工機2と、グラスウールマットを搬送するコンベア装置と、ニードルパンチ加工機2の入口近傍に、グラスウールマットの末端部に抵抗を付与するための押当手段10bと、を備える。グラスウールマットを搬送するコンベア装置は、搬入コンベア1と搬出コンベア3を有しており、搬入コンベア1と搬出コンベア3は、それぞれ、ニードルパンチ加工機2の上流側及び下流側に連結される。
【0022】
さらに、ニードルパンチ加工機2の上流側には、搬入コンベア3によって搬送されるグラスウールマットをニードルパンチ加工機2に導入するための一対の供給ローラー22a、22bが、搬入コンベア1との間に設けられる。また、同様にニードルパンチ加工機2の下流側には、ニードルパンチ加工を施したグラスウールマットを導出するための一対の排出ローラー23a、23bが設けられる。また、一対の排出ローラー23a、23bの下流には搬出コンベア3が配置され、搬出コンベア3にて搬送されるグラスウールマット6bをロール状に巻き取るための2つのV字状に配置された成形コンベア装置4が設けられる。
【0023】
次に、本発明において、特に好適なベルトコンベアを例とし、搬入コンベア1について説明する。図2に示すように、搬送コンベア1は、エンドレスベルト13と2つの回転体12a、12bとを備え、2つの回転体を12a、12bを回転させることによって、エンドレスベルト12を回転させ、ロール状のグラスウールマット6aを回転させ、ベルト上に供給する。
【0024】
搬送コンベア1の上流側には、ベルト上に供給されるグラスウール6aの厚さを所定厚さに調整するための圧縮ローラー10aが設けられている。さらに、ニードルパンチ加工機2の入口近傍(搬入コンベア1の下流側)には、グラスウールマット6aの末端部7を押さえつけ、一対の供給ローラー22a、22bに対する引き込まれ、を防止する抵抗を付与する押当ロール10b(押当手段)が設けられている。
【0025】
圧縮ローラー10aはグラスウールマット6aを押さえつけ厚さを調整し、搬入コンベア1のベルト上にて搬送供給することができれば特に限定されず、例えば、金属やプラスチック製のローラーを使用することができる。
【0026】
押当ロール10bには、押当ロール10bが少なくとも上下方向に自在に変位可能なように支持する支持部材11bを備えている。支持部材11bは、支持点11aを支点にして、押当ロール10bが、ベルト上を搬送されるグラスウールマット6aを押さえつけるように、図2に示すように、支持部材11bを円弧状に移動する。押当ロール10bを上下方向に変位させ、グラスウールマット6aを押さえつける駆動機構は、押当ロールを少なくとも上下方向に変位可能にする機構であれば特に限定されないが、例えば、手動で行う、または、エアーシリンダー等の機構(図示せず)備え、行うようにするとよい。また、押当ロール10bと実質的に同一な構成、構造のものを圧縮ローラー10aに用いるようにしてもよい。
【0027】
押当ロール10bを設ける位置は、一対の供給ローラー22a、22bの入口近傍に設けられ、搬入コンベア1のベルトの上方にあり、押当ロール10bをベルト側に移動させ、グラスウールマット6aの末端部7に抵抗を付与させる位置であればよい。図2に示すように、押当ロール10bと搬入コンベア1を構成するニードルパンチ加工機2側に位置する回転体12bとによって、エンドレスベルト13を介し、グラスウールマット6aの末端部7を押さえつけるようにすると、より効率的に抵抗を付与することができるため、特に好ましい。
【0028】
搬出コンベア3は、ニードルパンチ加工を施したグラスウールマット6bを搬送させることができるものであれば特に限定されず、搬入コンベア1と同等のものを使用することができる。また、搬入コンベア1、搬出コンベア3のコンベア速度は、製造品種や装置の状況によって適宜設定されることが好ましく、一般的なグラスウールマットを用いる場合、例えば、2m/min〜20m/m/minの範囲で設定するとよい。さらに、2m/min〜7m/m/minの範囲にすることが好ましい。
【0029】
本発明に用いるニードルパンチ加工機2は、グラスウールマット等のニードルパンチ加工に用いられる公知のものを用いることができる。ニードルパンチ加工機2は、パンチング装置20と複数のニードル21を備えている。各ニードルには、針先部が三角錐状で各一辺の頂点に刺状の切込突起が下向きに複数配列されているものなどを用いることができ、突起形状部の数、ニードルの間隔、太さ等は製造する品種等により適宜設定することが好ましい。
【0030】
ニードル21は、駆動装置(図示せず)によって高速で上下方向に往復運動し、グラスウールマットの厚さ方向に、ニードル21を挿入し、引き抜く動作を繰り返す。この動作によって、ニードル21の挿入部において、グラスウールマットを構成するガラス短繊維が互いに絡み合うことによって、保形性を向上させたグラスウールマットを成形することが可能となる。
【0031】
ニードルパンチ加工後のグラスウールマット6bを巻き取るための2つのV字状に配置された成形コンベア装置4は、2つのコンベアのそれぞれの回転速度を同期させるように設定する。2つのコンベアをV字状に配置することによって、ロール状のグラスウールマット6bの巻き戻りや型崩れを防止し成形することができる。
【0032】
また、2つのV字状に配置された成形コンベア装置4は、それぞれのコンベアのエンドレスベルトを回転させる回転体を軸にして、他方の回転体を円弧状に移動させることによって、V字状に配置された2つのコンベアをそれぞれ開き、ロール状に巻き取ったグラスウールマット6bを保持するリフターなどの保持搬送具(図示せず)に落下させ、ロール状のグラスウールマット6bを保持搬送するようにしてもよい。
【0033】
本発明に適用されるグラスウールマットは、ニードルパンチ加工を施すことによって、ガラス繊維同士を絡ませ、グラスウールマットの形状を保持するものであり、ガラス繊維同士を接着させるための接着剤は必要ないが、製造する製品の品種によって、ガラス繊維同士を接着させるための接着剤や、グラスウール用ワックス剤など他の接着助剤を使用してもよい。
【0034】
次に、本発明におけるニードルパンチ加工方法及びニードルパンチを施したグラスウールマットの製造方法について、図1及び図2を参照して説明する。
【0035】
予めロール状に巻かれたグラスウールマット6aを回転させることによって、グラスウールマット6aを搬入コンベア1のベルト上に供給する。ベルト上に供給されたグラスウールマット6aは、搬入コンベア1に設けられた圧縮ローラー10aによってベルト側に押し付けられる。圧縮ローラー10aをグラスウールマット6aをベルト側に押し付け、グラスウールマットの厚さを調整する。
【0036】
次いで、圧縮ローラー10aを通過し、厚さを調整されたグラスウールマット6aは、そのままベルトコンベア上で搬送され、ニードルパンチ加工機2に導入される。この際、一対の供給ローラー22a、22bの入口近傍に設けられた押当ロール10bは、グラスウールマット6aと必ずしも接触させる必要はない。
【0037】
その理由は、押当ロール10bは、グラスウールマット6aの末端部7に抵抗を付与するものであるため、図2に示すように、グラスウール6aの末端部7がベルトコンベア上にて搬送される際に、押当ロール10bを支持部材11bの移動によって、ベルトコンベア側下方向に移動させ、グラスウールマットをベルト側に押し付けるようにすると良い。
【0038】
押当ロール10bは、グラスウール末端部7がニードルパンチ加工機に急速に吸い込まれないようにするために、一対の供給ローラー22a、22bの入口近傍に設けることが好ましく、押当ロール10bと搬入コンベアを構成する回転体12bによって、ベルト上にて押さえつけるようにするすると、効率的に引き込まれに対する抵抗を付与できるため、特に好ましい。押当ロール10bを上記位置に設定すれば、圧縮ローラー10aを設けずに、押当ロール10bを用いて、グラスウールマットの厚さ調整と抵抗付与を同時に行うようにしてもよい。
【0039】
すなわち、グラスウールマット6aの末端部7がニードルパンチ加工機2の入口に近づくと、押当ロール10bがベルト側下方向に移動して、グラスウールマット6aをベルト側に押し付け、接触抵抗を付与し、グラスウールマット6aの末端部7が急速にニードルパンチ加工機2に導入されることを防ぐことができる。
【0040】
押当ロール10bをベルト側下方向に移動させ、グラスウールマット6aを押さえつけるタイミング管理は、グラスウールマット6aの末端部7が搬入コンベア1の所定位置に到達したことを感知する自動制御装置(図示せず)を設けて管理することによって制御し、押当ロール10bを押さえ付けるようにする、搬入コンベア1に搬送される前のロール状のグラスウールマット6aの重量を基準にして、所定の重量が減少した時点で押当ロール10bを移動させるようにする。又、人為的な操作によって、タイミングを見計らい、押当ロール10bをベルト側下方向に移動させるようにしてもよい。
【0041】
厚さの薄いグラスウールマット6bを製造するために、ニードルパンチ加工を施した後のグラスウールマット6bを搬出し、ニードルパンチ加工機の出口に設けられた排出ローラー(下流側)の回転速度は、ニードルパンチ加工を施す前のグラスウールマット6aを搬入し、ニードルパンチ加工機に導入する前に設けられた供給ローラー(上流側)の回転速度より、速く設定される。
【0042】
なお、供給ローラーと排出ローラーの回転速度は、製造するグラスウールマットの製造品種によって適宜調整されるものであるが、例えば、排出ローラーの回転速度は、供給ローラーの回転速度に対して、1.1倍〜1.5倍の範囲にて設定するとよい。
【0043】
搬出コンベア1のベルト上にて搬送されたグラスウールマット6aは、ニードルパンチ加工機2に導入され、ニードルパンチ加工が施される。尚、ニードリング回数は、使用するグラスウールマットの密度、製造する製品使用、コンベア装置の速度によって適宜設定させることが好ましい。
【0044】
ニードルパンチ加工機2に導入されニードルパンチ加工されたグラスウールマット6bは搬出コンベア3のベルト上にて搬送され、さらに、搬出コンベア3の下流に設けられた2つのV字状に配置された成形コンベア装置4に運ばれ、搬送されたグラスウールマット6bの先端部にロール芯を置き、2つのV字状に配置された成形コンベア装置4によって巻き取られ、コンベア上にて回収され、製品として梱包される。
【0045】
また、V字状に配置された2つの成形コンベア装置4をそれぞれ開閉可能なように設計し、ロール状に巻かれたグラスウールマット5を落下させ、下方に設けられたリフターなどの搬送保持具に収容し搬送するようにしてもよい。
【0046】
以上のような方法、手順によって、グラスウールマットをニードルパンチ加工機に導入する際、グラスウールマットの末端部がニードルパンチ加工機に急速に吸い込まれることなく安定的にニードルパンチ加工を行うことができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
図1に示す本発明のニードルパンチ加工装置100を用いて、目付け量(面重量)400g/m〜600g/m、幅1.9mのグラスウールマット6aをベルト式の搬入コンベア1で搬送しながら、ニードルパンチ加工を行いながら、ニードルパンチ加工グラスウールマットの製造を行った。なお、製造条件としては、搬入コンベア1は搬送速度2m/min、搬出コンベア3は搬送速度2m/min、一対の供給ローラーは共に回転速度2m/min、一対の排出ローラーは共に回転速度3m/minとした。
【0049】
押当ロール10b(押当手段)は、ベルト式の搬入コンベア1に取り付け、押当ロール10bをベルト側に押し付けた際、ベルト上にて押当ロール10bとベルト式の搬入コンベア1の回転体12bでグラスウールマットの末端部7を押さえつけることができる位置に設置し、押当ロール10b(押当手段)と回転体12b」によって、グラスウールマットの末端部を挟持し抵抗を付与しながら、ニードルパンチ加工を行った。
【0050】
その結果、実施例1においては、グラスウールマットの末端部が押当ロール10b(押当手段)にて抵抗が付与され固定されているため、急速に引き込まれることなく、グラスウールマットを50mトラブルなく安定してニードルパンチ加工を行うことができた。
【0051】
[比較例1]
押当手段を設けずにグラスウールマットの末端部7に抵抗を付与しない以外は、実施例1と同様な実験条件にして、グラスウールマットを搬送しながらニードルパンチ加工を行ったところ、グラスウールマットの末端が一対の供給ローラーに急速に引き込まれ、ニードルパンチ加工機の中でグラスウールマットが嵩張ってしまい、グラスウールマットがスムーズに搬送されず生産ラインが停止するトラブルが発生した。
【符号の説明】
【0052】
100 ニードルパンチ加工装置
1 搬入コンベア
2 ニードルパンチ加工機
3 搬出コンベア
4 成形コンベア装置
6a グラスウールマット(ニードルパンチ加工前)
6b グラスウールマット(ニードルパンチ加工後)
7 グラスウールマット末端部
10a 圧縮ローラー
10b 押当ロール
11b 支持部材
11a 支持点
12a、12b 回転体
20 パンチング装置
21 ニードル
22a、22b 供給ローラー
23a、23b 排出ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質マットをコンベア装置にて搬送しながら、前記繊維質マットに保形性を付与するニードルパンチ加工装置であって、
前記繊維質マットにニードルパンチ加工を施すニードルパンチ加工機と、
前記ニードルパンチ加工機の上流側に位置し、前記繊維質マットを搬送する搬入コンベアと、
前記搬入コンベアにて搬送された前記繊維質マットを前記ニードルパンチ加工機に導入する、一対の供給ローラーと、
前記ニードルパンチ加工機の下流側に位置し、前記繊維質マットを前記ニードルパンチ加工機から導出する、一対の排出ローラーと、
前記一対の排出ローラーから排出された繊維質マットを搬出する搬出コンベアと、を備え、
前記一対の排出ローラーの回転速度が、前記一対の供給ローラーの回転速度より相対的に大きい、ニードルパンチ加工装置であり、
前記一対の供給ローラーの入口近傍に、前記搬入コンベアにて搬送される繊維質マットの末端部を押さえるための抵抗を付与する押当手段を設けたことを特徴とするニードルパンチ加工装置。
【請求項2】
前記押当手段が、前記繊維質マットを前記搬入コンベア側に押さえつける押当ロールからなることを特徴とする請求項1に記載のニードルパンチ加工装置。
【請求項3】
前記搬入コンベアが、前記繊維質マットをベルトに載せ搬送するコンベアと、前記ベルトを回転させる回転体と、を有し、前記押当ロールが、前記押当ロールと前記回転体によって、前記繊維質マットを挟持するように配置されたことを特徴とする請求項2に記載のニードルパンチ加工装置。
【請求項4】
繊維質マットをコンベア装置にて搬送しながら、前記繊維質マットにニードルパンチ加工を施す繊維質マットの製造方法であって、前記コンベア装置に押当手段を設け、前記コンベア装置によって搬送される前記繊維質マットの末端部を押さえるための抵抗を付与しながら、ニードルパンチ加工を施すことを特徴とする繊維質マットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−12756(P2012−12756A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100615(P2011−100615)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】