説明

ヌートカトンの酵素的合成

配列番号1に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸の10%までが挿入、欠失若しくは置換によって改変されているその変異体を有する、ポリペプチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テルペン炭化水素の酸化のための方法、及びそれに採用することができるポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
テルペン炭化水素は、望ましくない過剰成分として精油から取り除かれることが多い一方で、合成オキシ官能化誘導体は風味剤及び芳香剤として幅広い応用が見出されている。この不均衡は、経済的に関心のあるテルペノイドが植物供給源では微量にしか存在しないという事実と共に、微生物によるテルペン生体変換のこれまでの50年の歴史の理由である(シュラダー(Schrader)及びバーガー(Berger) 2001)。(+)−ヌートカトンは、柑橘類やグレープフルーツを思い起こす臭い、やや苦い味、及び1リットルの水当たり約1マイクログラムの極めて低い感覚閾値を有する(オーロフ(Ohloff) 1994)。特性のこの組み合わせによってヌートカトンは世界中の需要が高いバイオ製品となっている。
【0003】
文献で言及されるバレンセンの最初の生体変換は、1973年まで経ち帰る(ダブリカー(Dhavlikar)及びアルブロシェイト(Albroscheit)1973)。2つの単離されたエンテロバクター(Enterobacter)種によって最大収率12%(w/w)にてバレンセンは(+)−ヌートカトンに変換された。グレープフルーツ(シトラス・パラディシ(Citrus paradisi))の細胞培養物によるバレンセンの生体変換は、6時間のインキュベートの後、約1mg/Lのヌートカトンの含量を生じた(ドラワートら(Drawert et al.), 1984)。デル・リオ(Del Rio)らはヌートカトンの生合成に異なったシトラス(Citrus)種を用い、シトラス・パラディシ(Citrus paradisi)からの9ヵ月齢のカルス培養によって最高のヌートカトンの収率を達成した(湿潤バイオマスのg当たり1.6μg)。1994年、ロドコッカス(Rhodococcus)株(KSM−5706)によるヌートカトンの生合成が記載された(オクダら(Okuda et al.) 1994)が、収率はやはり低かった。
【0004】
近年の新規のアプローチの中で、組換え微生物及び植物細胞培養物又は植物調製物を用いた実験が言及されるべきである。チコリ(チコリウム・インティバス・エル.(Cichorium intybus L.))の根からのミクロソーム調製物は副産物の無視できる形成を特徴とする(ボウミースターら(Bouwmeester et al.) 2007;デ・クラカーら(de Kraker et al.) 2003)が、予測できる将来において十分な量のこの生体触媒を得る実用的方法がない。シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)からの組換えP450cam酵素による最大収率9%(w/w)の(+)−バレンセンのオキシ官能化は2005年に公表された(ソウデンら(Sowden et al.) 2005)。組換えP450BM-3酵素による変換も記載されたが、(+)−ヌートカトンに加えて多数のそのほかの生成物を生じた。
【0005】
子嚢菌、ケトミウム・グロボーサム(Chaetomium globosum)の液内培養も(+)−バレンセンからの(+)−ヌートカトンの調製に採用された(カスペラら(Kaspera et al.) 2005)。変換の3日後、8mg/Lの(+)−ヌートカトンが達成されたが、再び多数の揮発性及び非揮発性の副産物を伴った。さらに、ギノステマ・ペンタフィラム(Gynostemma pentaphyllum)、カラガナ・チャムラグ(Caragana chamlagu)及びハイビスカス・カナビナス(Hibiscus cannabinus)の植物細胞培養物は、(+)−バレンセンからヌートカトンを合成することが可能である(サカマキら(Sakamaki et al.) 2005)。(+)−ヌートカトンの最大収率はギノステマ・ペンタフィラム(Gynostemma pentaphyllum)(ウリ科(Cucurbitaceae))で達成されたが、変換の20日後にすぎなかった(600mg/L)。長いインキュベート時間はムコル・エスピー(Mucor sp.)及びクロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)の液内培養でも必要だった(ハシモトら(Hashimoto et al.) 2003b, ハシモトら(Hashimoto et al.) 2003a; フルサワら(Furusawa et al.) 2005)。
【0006】
無傷細胞の使用に伴う問題を回避するために、単離した酵素の使用が提案されている。スイスの風味剤製造者は、バレンセンへのリポキシゲナーゼと不飽和脂肪酸の添加を記載している(ミュラーら(Muller et al.) 1998)。ラッカーゼは合成補基質(ヒッチマンら(Hitchman et al.) 2005)又は第2の反応工程(加熱/重金属触媒)(フアングら(Huang et al.) 2001)を必要とする。良好な空時収率は、具体的な工程例を記載する関連の特許出願なしで、担子菌からの凍結乾燥物を用いて達成された(ミュラーら(Muller et al.) 2005)。
【0007】
従って、高い効率でテルペン炭化水素を変換できる方法に対するニーズが未だに存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのような方法を提供することが本発明の目的である。
【0009】
この目的は、テルペン炭化水素の酸化に好適なポリペプチドを提供し、組換えにより酵素を調製するために必要な情報を提供することによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は先ず、配列番号1に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸の10%までが挿入、欠失若しくは置換によって改変されているその変異体を有する、ポリペプチドに関する。
【0011】
挿入は1つのアミノ酸の挿入を意味し、欠失は1つのアミノ酸の排除を意味する。置換では、1つのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換られる。
【0012】
20の天然に存在するアミノ酸に加えて、アミノ酸には、ヒドロキシプロリンなどのアミノ酸誘導体、カルボン酸のエステル化又はアミド形成などによって得ることができる誘導体が含まれる。天然のL−アミノ酸に加えて、D−アミノ酸も採用されてもよい。
【0013】
好ましくは、アミノ酸の10%未満、特に最大8%、最大5%、最大3%、さらに好ましくは最大1%が挿入、欠失又は置換によって改変されているペプチドが採用される。
【0014】
実施形態の1つでは、ペプチドはC末端及び/又はN末端の欠失を有する。
【0015】
タンパク質の好ましい実施形態は、配列番号2又はストリンジェントな条件下でそれにハイブリダイズする核酸によってコードされるタンパク質である。
【0016】
本発明に係るペプチドは酵素、すなわち、オキシゲナーゼの特性を示す。
【0017】
酵素は、生化学的に、又は分子生物学的方法によって特徴付けられ、真菌又はそのほかの微生物に由来する以前から既知のオキシゲナーゼとは低い配列相同性を示す。
【0018】
本発明はさらに、本発明に係るポリペプチドをコードする核酸に関するものであり、特に好ましいその実施形態は、配列番号2に記載の配列、又はストリンジェントな条件下でそれとハイブリダイズする配列である。
【0019】
本発明はさらに、本発明に係る核酸を含有するベクター、及び本発明に係るベクターを含有する形質転換された生物に関する。
【0020】
本発明はさらに、以下の工程を含む、テルペン炭化水素の酸化のための方法:
−請求項1に記載のポリペプチド又は請求項1に記載のポリペプチドを含有する酵素調製物にテルペン炭化水素を接触させること、に関する。
【0021】
従って、利用される物質は、天然起源又は組換え製造からの精製された酵素であってもよいし、或いは酵素調製物であってもよい。後者は、物理的、化学的又は酵素的消化によって担子菌の菌糸体から得ることができる。
【0022】
好ましくは、そのような消化は、分散、ボールミル処理又は高圧均質化によって達成される。
【0023】
フリーズドライ又は凍結乾燥は、消化ではない。従って凍結乾燥だけでは所望の結果が得られない。従って、さらなる均質化の工程を伴わない凍結乾燥のみは除外される。
【0024】
特に、ヒラタケ(Pleurotaceae)科に由来する担子菌、特に、プレウロタス・サピダス(Pleurotus sapidus)は担子菌として好適である。
【0025】
さらに好ましくは、本発明に係る方法は、バレンセンからヌートカトンを得るのに採用され得る。しかしながら、ほかのテルペン炭化水素も採用されてもよい。
【0026】
本発明はさらに以下の実施例によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】消化した湿潤バイオマスによる(+)−バレンセンの変換後;1.5mLの50mMのトリス−HCl、pH7.5での湿潤バイオマス(消化された)による(+)−バレンセン2μLの16時間の変換後の生成物収率を示す。
【図2】50時間、100mLの50mMのトリス−HCl、pH7.5での消化した湿潤バイオマスによる(+)−バレンセンの流加培養変換後の生成物収率を示す。
【図3】スーパーデックス200カラム;ランニングバッファー:200mMトリスHCl、pH7.5、流速:0.5mL/分、試料容量:200μL、分画サイズ:1.0mLにて分離した上清の3段階精製の第3段階でのFPLCクロマトグラムの一部を示す。
【図4】第3精製段階のFPLC分画による変換後の生成物収率を示す;1.5mLの容量における1μLの(+)−バレンセンの20時間の変換;バッファー:20mMのトリスHCl、pH7.5。
【図5】その後の銀染色を伴った、FPLCによる3段階のタンパク質精製の後でのSDS−PAGEのゲル(12%)を示す;MW=分子量、Std=標準(1μL)。
【図6】図6Aは、ヘム酵素/メタロ酵素(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)についての特異染色を伴った、FPLCによる3段階のタンパク質精製の後でのSDS−PAGEのゲル(12%)を示す;MW=標準の分子量、Std=標準(4μL)、MPO=西洋ワサビペルオキシダーゼ(15μL、345mU)、Ueber=分離した上清(15μL)、GF=第3精製段階からの合わせた活性分画(ゲル濾過、15μL)、XXX(図中、XXXは取り消し腺で表記されている)=SDS−PAGEの前に95℃にて5分間加熱した対応する試料。図6Bは、ヘム酵素/メタロ酵素についてのその後の染色を伴った、SDS−PAGEのゲル(12%)を示す;SLOX=大豆からのリポキシゲナーゼ(20μL、85mU)。
【図7】クラスタル・ダブリュ(ClustalW)(トンプソンら(Thompson et al.) 1994)による、エー・フミガタス(A. Fumigatus)(XP_746844.1)に由来するリポキシゲナーゼの配列とのピー・サピダス(P. sapidus)に由来するペプチド配列66−1及び66−3のアラインメントを示す。
【図8】ピー・サピダス(P. sapidus)に由来する、本発明に係るポリペプチドのcDNA及びアミノ酸配列を示すが、開始コドン及び終止コドンは肉太活字体で印を付けている。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0028】
実施例1:微生物及び培養
プレウロタス・サピダス(Pleurotus sapidus)(DSMZ 8266)は、ドイツ、ブラウンシュヴァイク(Braunschweig)の微生物細胞培養コレクション(Deutsche Sammlung fur Mikroorganismen und Zellkulturen)(DSMZ)から入手した。
【0029】
a)栄養溶液
個々の成分(表1)を蒸留水に溶解し、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整した。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
b)ストック培養
プレウロタス・サピダス(Pleurotus sapidus)の、SNL−H寒天培地による寒天プレートでストック培養を開始した。菌糸体で過剰増殖した約1cm2の大きさの寒天片で寒天プレート1枚ごとに植菌し、パラフィルム(登録商標)で封止し、24℃にてインキュベータで培養した(タウバートら(Taubert et al.), 2000)。プレートにて菌糸体で半分過剰増殖した後、培養物を4℃に保存した。これらのストック培養物は、同じ方法で少なくとも6ヵ月毎に継代した。
【0033】
c)予備培養
200mLのSNL−H培地を伴った三角フラスコ(エルレンマイヤーフラスコ)(500mL)に、ストック培養物からの菌糸体で過剰増殖させた寒天片(約1cm2)を無菌スパーテルで移し、均質化し(ドイツ、シュタウヘン(Staufen)、IKAのウルトラ・ツラックス(Ultra−Turrax)ホモジナイザー、TP18/10、低回転速度で約20秒間)、24℃にて150rpmで4日間、インキュベートした。
【0034】
d)バイオマスの培養
撹拌されたタンク反応器にて、2.3LのNLMA培地に、均質化した予備培養物230mLを植菌した。4日後、撹拌されたタンク反応器の内容物を回収した。この目的のため、綿布にてそれを濾過した。得られたキノコの菌糸体を各400mLの蒸留水(m/v)で2回洗浄し、さらなる実験に用いた。クリーンベンチで培養を行い、用いた器具及び溶液は予め121℃にて20分間オートクレーブにかけた。
【0035】
実施例2:細胞の溶解
a)湿潤バイオマスの均質化
3gの湿潤バイオマスを50mMのトリスHCl(pH7.5)7mLと混合し、その後、ウルトラ・ツラックス(Ultra−Turrax)ホモジナイザー(TP18/10、IKA)を用いて氷上にて5分間、15,600rpmで処理した。その後、消化したキノコ菌糸体を同じバッファーで16.7%(v/v)に希釈し、(+)−バレンセンの変換に用いた。
【0036】
b)湿潤バイオマスの均質化−アップスケーリング
50gの湿潤バイオマスを50mMのトリスHCl(pH7.5)50mLと混合し、その後、ウルトラ・ツラックス(Ultra−Turrax)ホモジナイザー(TP18/10、IKA)を用いて氷上にて15分間、20,000rpmで処理した。その後、消化したキノコ菌糸体を同じバッファーで25%(v/v)に希釈し、(+)−バレンセンの変換に用いた。
【0037】
c)高圧下での湿潤バイオマスの均質化
完全に脱塩した水におけるキノコ菌糸体の懸濁液を高圧均質化(LAB 60/60 TBS、ガウリン・エーピーブイ(Gaulin APV)、スイス)によって消化した。冷却した菌糸体を1〜3回(150/30バール及び300/60バール)で消化し、生体変換反応に直接用いた。或いは、バレンセンを導入し、細胞溶解の間そのまま均質化した。
【0038】
d)凍結乾燥物の製造
100gまでの湿潤バイオマスをガラス製のシャーレに秤量し、アルミホイルで覆って、−20℃に急速冷凍した。3〜7日間凍結乾燥を行った(VaCo2、ドイツ、バートグルント(Bad Grund)のジルバス・テクノロジー(Zirbus Technology)。トレイの温度は−20℃であり、冷却コイルの温度は−45℃だった。得られた凍結乾燥物を秤量し、ガラス棒で細かく砕き、無菌のファルコン(Falcon)(商標)チューブに移し、使用まで−70℃で保存した。
【0039】
実施例3:バレンセンの生体変換
a)消化したバイオマスによる変換
300rpm及び24℃にて水平位置でネジ蓋のバイアル(4mL)中にて変換を行った。プレウロタス・サピダス(Pleurotus sapidus)(1.5mL)の湿潤バイオマスをウルトラ‐ツラックス(Ultra−Turrax)ホモジナイザーで処理し、2μLの(+)−バレンセン(デーラー(Dohler)、70%)の変換に用いた。変換の完了後、抽出を行った。(+)−ヌートカトンの測定された含量は221mg/Lだった(図1)。
【0040】
b)バレンセンの流加培養変換
900rpmかつ室温で磁気撹拌器(バリオマグ・ポリ(Variomag Poly)15,米国、マサチューセッツ州、ウォルサム(Waltham)のテルモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))上にてガラス瓶中において変換を行った。100mLの細胞懸濁液(均質化した)に333μLの(+)−バレンセン(デーラー(Dohler)、≧70%)を添加することによって変換を開始した。6、12、18、24、30、36及び42時間後、それぞれ156μL用量の(+)−バレンセンを加えた。6、23、46及び50時間後、それぞれ2×1.5mLの試料を取り出し、抽出した。変換の50時間後、(+)−ヌートカトンの含量は603mg/Lだった(図2)。合計で、893mg/Lのα−、β−ヌートカトール及び(+)−ヌートカトンが形成された。
【0041】
c)精製した酵素溶液による変換
0.5mLの精製したタンパク質分画(分画08、09及び12〜22)を20mMのトリスHCl(pH7.5)1.0mLと混合した。その後、1μLの(+)−バレンセン(フルカ、≧90%)を添加することによって変換を開始した。150rpmかつ24℃にて水平位置でネジ蓋のバイアル(4mL)中にて変換を行った。変換の完了後、抽出を行った。分画15及び16との反応の後、有意な含量の変換生成物、α−、β−ヌートカトール及び(+)−ヌートカトンが検出された(図4)。
【0042】
d)キャピラリーガスクロマトグラフィ(GC)−変換後の微量抽出
変換に使用したネジ蓋バイアルで直接微量抽出を行った。混合物を内部標準(67mg/L及び200mg/Lのチモール)及び2mLのペンタンと混合し、10秒間ボルテックスし、150rpmにて10分間水平位置にて振盪した。遠心分離(10分間、3313×g、4℃)の後、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ガスクロマトグラフィで調べた。
【0043】
e)キャピラリーガスクロマトグラフィ(HRGC)
冷却注入系及び極性カラムによって、FIDによるα−、β−ヌートカトール及び(+)−ヌートカトンの定量を達成した。
【0044】
【表3】

【0045】
実施例4:酵素精製
高速タンパク質液体クロマトグラフィ(FPLC)
不純物を分離するために、試料を遠心し(10分間、13,000rpm、16,060×g、4℃)、上清をFPLCに注入した(表4)。必要に応じて、試料をさらに膜濾過(0.45μmの孔サイズ、25mm、PET、カールロス(Carl Roth)社)に供した。
【0046】
a)FPLCによる3段階精製
プレウロタス・サピダス(Pleurotus sapidus)から分離した上清5mLを4回、それぞれFPLCに注入し、弱アニオン交換体DEAE FFによって分離した(表5を参照)。4回のFPLCの分画05〜24を合わせて(精製段階1、DEAEプール)、20mMのクエン酸ナトリウム、pH3.0(セントリコン・プラス(Centricon Plus)−70、排除サイズ10kDa)で再緩衝化し、2.5mLに濃縮した。沈殿したタンパク質を遠心によって取り除いた。2mLの再緩衝化したDEAEプールをFPLCに再び注入し、強カチオン交換体SPセファロースFFによって分離した(表6を参照)。分画07〜11を合わせ(精製段階2、SP FFプール)、200mMのトリスHCl、pH7.5(アミコン・ウルトラ(Amicon Ultra)−15、排除サイズ10kDa)で再緩衝化し、300μLに濃縮した。200μLの再緩衝化したSP FFプールをFPLCに注入し、スーパーデックス(Superdex)200カラムでのゲル濾過によって分離した(表7)(精製段階3)。採用したカラムの較正の後、最大ピーク(30分、図3)は54kDaの分子量に相当した。
【0047】
SDS分析については、分画12〜19をイー・ピュア(E−Pure)水で再緩衝化し、80μLに濃縮した(図5)。変性SDS−PAGEとその後の銀染色、非変性SDS−PAGEとその後のヘム酵素/メタロ酵素に特異的な染色(図6)、及び変性SDS−PAGEとその後のクマシー染色後の選択したタンパク質バンドの配列決定にこれらの濃縮物を用いた。
【0048】
【表4】

【0049】
イオン交換クロマトグラフィ(IEX)
【表5】

【0050】
【表6】

【0051】
【表7】

【0052】
製造元の指示書に従って2つのゲル濾過較正キット(アマシャムファルマシアバイオテックの高分子量及び低分子量)の標準タンパク質を用いてゲル濾過カラムの較正を行った。
【0053】
b)変性条件下でのSDS−PAGE
12%分離ゲルでタンパク質を分離し(ラエムリ(Laemmli), 1970に従って改変された)、クマシー染色又は銀染色によって視覚化した(ブラムら(Blum et al.), 1987)。双方の方法は当業者に知られている。
【0054】
c)非変性条件下でのSDS−PAGE
4bの項目と同様に非変性条件下でのSDS−PAGEを実施したが、ローディング・バッファーの組成(表8)は改変した。
【0055】
【表8】

【0056】
d)ヘム酵素及びメタロ酵素に対する染色(ヘム染色)
非変性条件下でのSDS−PAGE後のみでヘム染色(トーマスら(Thomas et al.) 1976及びヘンら(Henne et al.) 2001に従って改変した)を行った。ヘム染色については、以下の溶液を用いた(表9)。
【0057】
【表9】

【0058】
溶液IとIIIはそれぞれ使用直前に調製した。
【0059】
暗所にて45分間〜1時間、溶液IIIにてSDSゲルをインキュベートし、その後、最終濃度30mMのH22(30%)を加えて1分間インキュベートした。イー・ピュア(E−Pure)水で各20秒間、ゲルを3回洗浄した。プレウロタス・サピダス(Pleurotus sapidus)から分離された凍結乾燥物を、3つのクロマトグラフ段階にわたって精製された酵素試料と比較した(実施例3、3つのクロマトグラフ段階(IEX、IEX、GF)にわたっての精製を参照)。ヘムを含有する酵素、西洋ワサビペルオキシダーゼと大豆由来のリポキシゲナーゼを陽性対照として用いた(図6B)。特異的染色のために、2つのタンパク質はメタロ酵素として特定され、それは、3段階にわたるクロマトグラフ精製の後、検出することもできた。適用前の試料の加熱は結果的に酵素活性の喪失を生じた。
【0060】
実施例5:ペプチドの配列
実施例4aと同様にして、プレウロタス・サピダス(Pleurotus sapidus)から分離された上清の3段階クロマトグラフ精製を行った。タンパク質の精製の後、ガスクロマトグラフィによる(+)−バレンセンのインキュベーションにより精製した分画が活性を有するかどうかチェックした。変性条件下でのSDSゲルにて最終的なゲル濾過の活性分画15と16を分離し、クマシー(登録商標)Rで染色した(図5における銀染色による類似のSDS−PAGEを参照)。66kDaの算出分子量を持つ、意図された変換活性に関与するバンドをゲルから切り出し、トリプシン消化の後、「エレクトロスプレータンデム質量分析」(ESI−MS−MS)による新規配列決定(de novoシーケンシング)に供した(表10)。
【0061】
【表10】

【0062】
blastpを用いたNCBIのBlastによるデータベース検索によって相同性の比較を行い(シュアッファーら(Schaffer et al.) 2001)、子嚢菌由来の種々のリポキシゲナーゼでヒットが見つかった。ペプチド配列66−1及び66−3とアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)(XP_746844.1;図7)由来のリポキシゲナーゼの配列との比較から、ディジェネレートプライマーを導き、PCRスクリーニング(実施例6、分子キャラクタリゼーション、cDNA合成及びPCRスクリーニング)に用いた。
【0063】
実施例6:分子キャラクタリゼーション
a)cDNA合成及びPCRスクリーニング
オキシゲナーゼをコードするcDNA配列をクローニングするために、ピー・サピダス(P.sapidus)のcDNAを合成し、ポリメラーゼ鎖反応によってスクリーニングした。4日目の培養物からピー・サピダス(P.sapidus)の菌糸体を回収した。トータルRNAを単離するために、製造元の指示書に従ってRNeasy植物ミニキット(RNeasy Plant Mini Kit)(ドイツ、ヒルデンのキアゲン)を用いた。変性ホルムアルデヒド−アガロースゲル電気泳動と臭化エチジウムによる染色によって単離されたRNAの質を調べた。cDNAの合成のために、製造元の指示書に従って、SMART(商標)PCR cDNA合成キット(フランス、サン・ジェルマン・アン・レーのクロンテック・タカラバイオヨーロッパ)を用いた。スーパースクリプト(SuperScript)(商標)IIRNaseH-(ドイツ、カールスルーエ(Karlsruhe)のインビトロジェン)によって第1鎖を合成した。ユーロフィンズMWGオペロン(EurofinsMWGOperon)(ドイツ、エバースベルグ)によってPCRプライマーを製造した。PCRについては、1xCoralLoad Puffer(キアゲン)、0.2mMのdNTPs、0.4μMのプライマー及び1.25UのHotStarTaq DNAポリメラーゼ(キアゲン)と共に、約20ngのcDNAを鋳型として50μL容量にて用いた。PCRマスター・サイクラー・パーソナル(PCR Master cycler personal)(ドイツ、ハンブルグのエッペンドルフ)によって増幅を行った。cDNAの全配列のために以下のプライマーを用いた:フォワード(5’>AAA CCT GAT GAG GAG CTG TTT<3’);リバース(5’>ACA GGA TAC GGT GAT GAA TG<3’)。
【0064】
b)PCR産物のクローニング及び配列決定
TAクローニングキット(インビトロゲン)によってPCR産物をベクターpCR(登録商標)2.1にクローニングした。配列決定は、M13リバース及びフォワードのプライマーで行い、かつMWGオペロン(MWG Operon)によって実施した。互いに対するディジェネレート・プライマーを用いた場合のPCRスクリーニングにおける予測された断片サイズは約429bp(143アミノ酸に相当する)だった。相当するバンドをアガロースゲルから単離し、一時的にベクターpCR2.1−TOPOにクローニングし、その後、配列決定した。得られた配列を再び、相同性比較に供し、オキシゲナーゼの断片として同定した。
【0065】
プライマーウォーキングによって、1191bp又は396アミノ酸の長さを有するcDNAのコーディング配列を検出した(図8)。翻訳されたタンパク質配列は、担子菌であるラッカリア・ビカラー(Laccaria bicolor)に由来するオキシゲナーゼ(blastpにより検出された、シュアッファーら(Schaffer et al.) 2001)と約50%の相同性を示した。
【0066】
(参照文献)
ブラム・エイチ;ベイアー・エイチ;グロス・エイチ・ジェー(Blum, H.; Beier, H.; Gross, H. J.) (1987)、ポリアクリルアミド・ゲルにおける植物タンパク質、RNA及びDNAの向上した銀染色(Improved silver staining of plant proteins, RNA and DNA in polyacrylamide gels)、エレクトロフォレシス(Electrophoresis)8, 93-99.
【0067】
ボウミースター・エイチ・ジェー;クラカー・ジェー・ダブリュ;シュリンク・エム;ビノ・アール・ジェー;グルート・エー・デ;フランセン・エム・シー・アール(Bouwmeester, H. J.; Kraker, J.-W. de; Schurink, M.; Bino, R. J.; Groot, A. de; Franssen, M. C. R.) (2007)、生物変換のための植物酵素(Plant Enzymes for Bioconversion), 特許(Patent) US 7,214,507 B2.
【0068】
ダビリカー・アール・エス;アルブロシェイト・ジー(Dhavlikar, R. S.; Albroscheit, G.) (1973) テルペン:バレンセンの微生物学的実現(Mikrobiologische Umsetzung von Terpenen: Valencen),ドラゴコ・レポート(Dragoco Rep) 12,251-258.
【0069】
ドラワート・エフ;バーガー・アール・ジー;ゴデルマン・アール(Drawert, F.; Berger, R. G.; Godelmann, R.) (1984)、シトラス種の細胞懸濁培養物におけるバレンセンの位置選択的な生体変換(Regioselective biotransformation of valencene in cell suspension cultures of Citrus sp.), プラント・セル・リポート(Plant Cell Rep) 3, 37-40.
【0070】
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【0072】
ハシモト・ティー;アサカワ・ワイ;ノマ・ワイ;ムラカミ・シー;タナカ・エム;カニサワ・ティー;エムラ・エム(Hashimoto, T.; Asakawa, Y.; Noma, Y.; Murakimi, C.; Tanaka, M.; Kanisawa, T.; Emura, M.) (2003b)、特許 JP 2002-51668 20020227.
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸の10%までが挿入、欠失若しくは置換によって改変されているその変異体を有する、ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリペプチドをコードする、特に配列番号2に記載の配列を有する、核酸。
【請求項3】
ストリンジェントな条件下で請求項2に記載の核酸とハイブリダイズする、核酸。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の核酸を含有する、ベクター。
【請求項5】
請求項4に記載のベクターを含有する、形質転換生物。
【請求項6】
以下の工程を含む、テルペン炭化水素の酸化のための方法:
-請求項1に記載のポリペプチド又は請求項1に記載のポリペプチドを含有する酵素調製物にテルペン炭化水素を接触させること。
【請求項7】
前記酵素調製物が物理的、化学的又は酵素的消化によって担子菌の菌糸体から得られたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
消化が分散、ボールミル処理又は高圧均質化によって達成される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記担子菌がヒラタケ(Pleurotaceae)科に由来する、特に、プレウロタス・サピダス(Pleurotus sapidus)である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記テルペン炭化水素がバレンセンであり、かつ風味活性テルペンがヌートカトンである、請求項7から9の少なくとも1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−509660(P2012−509660A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536896(P2011−536896)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065716
【国際公開番号】WO2010/060898
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(510141707)エヌザイム バイオック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【Fターム(参考)】