説明

ネイチャーナビゲーションシステム

【課題】自然公園の訪問者からの情報をうまく吸い上げることで、管理者側の管理負担を軽減しつつ、管理している観察ポイント情報を常に最新の内容に更新していく。
【解決手段】サーバ装置10は、任意の携帯端末装置30から撮像手段で撮影された画像情報が送信されてきた場合には、携帯端末装置30からの位置情報を合わせて受信し、受信した画像情報を管理領域W内に存在する他の全ての携帯端末装置30に名前の質問メッセージ付きで送信する一方、質問メッセージに対していずれかの携帯端末装置30から名前の回答メッセージが送信されてきた場合には、その回答メッセージを、画像を送信してきた携帯端末装置30を含む全ての携帯端末装置30に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然公園などに咲く草花の名前や生息ポイント、景色の良いポイントやそれらの画像データなどを表示可能として、草花の観察ポイントや景勝ポイントを教えてくれるネイチャーナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自然公園のようなところは、広大な敷地内に様々な草花の咲くポイントや景勝ポイント等があり、ここを訪れた訪問者は、例えば管理センターに用意されている園内地図等を見ながら、公園内の各ポイントを回って散策するのが一般的である。この場合、複数の訪問者(参加者)に対して一人のガイドが付き添い、各ポイントに誘導すると、そのポイントの説明等を行うことで、参加者は草花等に対する理解をより深めることができる。しかし、参加者が多い場合には、ガイドの声が後ろの方まで聞こえず、よく分からないまま次のポイントに移動することになり、ゆっくり落ち着いて回ることができないといった問題があった。そのため、参加者は、団体で一定のコースを一定の時間で回るのではなく、個人で自由な時間帯に自由なコースを回りたいという要望がある。
【0003】
そこで、最近では、このような要望に応えるためのシステムが種々提案されている(例えば、特許文献1,2等参照)。
【0004】
特許文献1には、管理センターが携帯電話器を用いて公園内を誘導案内するナビゲーションシステム(管理領域内の誘導・案内情報提供方法)が記載されている。より具体的には、インフォメーションプレートと携帯電話器とを用いて管理センターからクライアントに誘導・案内情報を提供する方法であって、インフォメーションプレートは、管理領域内の特定個所に設置され、それぞれのインフォメーションプレートには、特定の領域の位置情報が番号で表示されている。一方、領域内に立ち入るクライアントが管理センターに誘導・案内情報の提供を要求するに際し、所持する携帯電話器で管理センターに電話をし、インフォメーションプレートに表示された位置情報の番号を管理センターに携帯電話器の番号キーにて入力し、管理センターは、インフォメーションプレートの位置情報に対応する誘導・案内情報を携帯電話器に応答するようになっている。
【0005】
また、特許文献2には、自由なウォーキング、町歩き、自然探索等の楽しみに適した携帯歩行ナビ装置が記載されている。より具体的には、地図を記憶する地図データ記憶部と、前記地図のノード及び経路区分における各種施設及び/またはシナリオに関連した映像情報及び音声情報を前記ノード及び前記各区分に関連づけて記憶するデータベースと、前記地図のうち利用者の現在位置周辺の地図を前記地図データ記憶部から読み出して表示する表示装置と、前記音声情報を再生する再生装置と、利用者による指定に応じて経路設定を行うことが出来る設定手段と、利用者の現在位置に対応して前記設定した経路上のノード及び経路区分に関連した前記画像及び/または音声情報を前記表示装置並びに前記再生装置により表示及び/または再生させる手段とを備えた構成となっている。すなわち、観察・鑑賞の目的に合わせて現在の利用者の位置(座標)と時間、タイミングに合わせて画像情報を表示できるようになっている。
【特許文献1】特開2001−101115号公報
【特許文献2】特開2004−212131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自然公園のような広大な敷地内に点在する様々な草花の咲く時期は、草花の種類によって異なり、また咲いている期間も草花によって異なる。そのため、このような草花の的確な情報を訪問者に提供するためには、公園管理者が自然公園内を丹念に回って状況を確認し、訪問者に提供するためのベースとなる観察ポイント情報を日々更新しておく必要がある。
【0007】
すなわち、訪問者に情報を提供するたげであれば、上記特許文献1,2のようなシステムは有効であるが、特許文献1では、管理センターで管理しているインフォメーションプレートの位置情報に対応する誘導・案内情報を、管理者自身が最新の情報に日々更新する必要があり、上記特許文献2では、地図のノード及び経路区分における各種施設及び/またはシナリオに関連した映像情報及び音声情報をノード及び各区分に関連づけて記憶するデータベースを管理者自身が最新の情報に日々更新する必要がある。
【0008】
この場合、広い公園内では、管理者が自然に精通した専門家であったとしても、自然公園内にある全ての草花を把握することは不可能であり、前日には咲いていなかった草花が翌日には咲いていて見頃になっている、ということもある。さらに、新たな場所に新たな草花が自生して、新たな観察ポイントが誕生する場合もある。そして、これら全てのことを管理者側だけで管理し、把握して、訪問者に的確な最新情報を提供することは不可能に近いと言っても過言ではない。
【0009】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、自然公園の訪問者からの情報をうまく吸い上げることで、管理者側の管理負担を軽減しつつ、管理している観察ポイント情報を常に最新の内容に更新していくことのできるネイチャーナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のネイチャーナビゲーションシステムは、管理領域内の情報を管理するサーバ装置と、個人が所持して持ち歩く携帯端末装置とが双方向通信可能に接続され、前記携帯端末装置は、当該装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、撮像手段と、文字情報の入力が可能な入力手段と、前記サーバ装置からの送信情報を表示する表示手段とを備え、前記サーバ装置は、前記管理領域内の動植物等の名前及び画像を含む観察ポイントの情報を位置情報とともに格納する観察ポイント情報格納手段と、文字情報の入力が可能な入力手段とを備えており、前記携帯端末装置からの位置情報に基づいて当該位置情報が含まれる観察ポイント情報を前記観察ポイント情報格納手段から読み出して前記携帯端末装置に送信するネイチャーナビゲーションシステムにおいて、前記サーバ装置は、任意の携帯端末装置から前記撮像手段で撮影された画像情報が送信されてきた場合には、前記携帯端末装置からの位置情報を合わせて受信し、受信した画像情報を管理領域内に存在する他の全ての携帯端末装置に前記名前の質問メッセージ付きで送信することを特徴としている。また、前記サーバ装置は、前記質問メッセージに対していずれかの携帯端末装置から名前の回答メッセージが送信されてきた場合には、その回答メッセージを全ての携帯端末装置に送信するように構成してもよい。なお、観察ポイント情報には、観察ポイントの説明(例えば、草花であればその草花の説明)及び表示期間(その草花の咲いている(見頃の)期間に対応)等のデータが含まれている。
【0011】
このように、携帯端末装置を所持している例えば自然公園の(管理領域)の訪問者が、観察ポイントとして登録されていないところで発見した名前の分からない草花をカメラ等の撮像装置で撮影し、所持している携帯端末装置からその画像を管理センターのサーバ装置に送信してきた場合、サーバ装置は、その画像を、自然公園内を携帯端末装置を所持して散策中の全訪問者に名前の質問メッセージ付きで送信する。この質問メッセージを受信した訪問者の誰かがその草花の名前を入力してサーバ装置に送信すると、サーバ装置は、その回答メッセージを全ての携帯端末装置に送信する。
【0012】
このように、一人の訪問者の質問に対し、他の訪問者が全員参加してその草花の名前を調べ、互いの回答を確認することで、新たな草花の名前とその観察ポイントとを取得することができる。このようにして取得した観察ポイントの情報は、最終的には、サーバ装置の管理者が、当該サーバ装置の入力手段を使って入力する。サーバ装置は、受信した画像情報に対する名前が入力手段から正式に入力された場合には、受信した画像情報を、正式な名前と受信した位置情報とともに観察ポイント情報格納手段に追加登録する。これにより、観察ポイント情報格納手段には、新たな観察ポイント情報が追加されることになり、以後、その近く(観察ポイント)を訪問者が訪れると、サーバ装置は、新たに登録された観察ポイント情報を、その近くを歩いている訪問者が所持している携帯端末装置に送信して、携帯端末装置の表示手段に表示する。また、観察ポイント情報に説明文のような文字メッセージだけでなく音声メッセージが含まれている場合には、携帯端末装置の内蔵スピーカからその音声メッセージを音声出力することになる。
【0013】
また、本発明のネイチャーナビゲーションシステムによれば、サーバ装置は、観察ポイント情報の表示期間が経過したときに観察ポイント情報格納手段から当該観察ポイント情報を削除するように構成する。これにより、見頃を過ぎた草花の情報は、自動的に観察ポイント情報格納手段から削除されるので、見頃を過ぎた草花の近くを訪問者が通過しても、観察ポイント情報が送信されることはない。これにより、訪問者により的確な観察ポイント情報を送信することが可能となる。
【0014】
また、本発明のネイチャーナビゲーションシステムによれば、サーバ装置は、画像情報を質問メッセージ付きで送信する場合に、その画像情報を送信してきた携帯端末装置からの位置情報に基づいて、当該位置を新規観察ポイントとして他の携帯端末装置に一斉送信するようにしてもよい。これにより、その近くにいた別の訪問者は、すぐにその観察ポイントに行くことができるので、折角の観察チャンスを逃さないようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のネイチャーナビゲーションシステムによれば、自然公園のような管理領域の訪問者から観察ポイントの情報をうまく吸い上げる手法を構築したことで、管理者側の管理負担を軽減しつつ、管理している観察ポイント情報を常に最新の内容に更新していくことができる。また、知らない草花や見所を容易に知ることができるといったナビ本来の機能に加え、画面に表示されるポイントを探すことで、宝物探しゲームのような楽しさを付加することができ、特に、高山植物のような小さな草花を見つけるのに役立つシステムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るネイチャーナビゲーションシステムの全体構成を示している。また、図2はサーバ装置の機能ブロック図、図3は携帯端末装置の機能ブロック図を示している。
【0018】
本実施形態のネイチャーナビゲーションシステムは、自然公園のような一定の管理領域W内の情報を管理するサーバ装置10と、自然公園を訪れた訪問者(個人若しくは団体)が所持して持ち歩く携帯端末装置30とが無線通信ネットワークNを介して双方向通信可能に接続された構成となっている。
【0019】
サーバ装置10は、管理領域W内の図示しない管理センター等に設置されている。また、携帯端末装置30は、管理センターで貸し出すように多くの台数が用意されており、それぞれの携帯端末装置30には、サーバ装置10側で識別可能な固有のコード(ユーザID)が割り当てられている。また、無線通信ネットワークNは、図示は省略しているが、管理している自然公園内の全ての地域をカバーできるように無線基地局が所定の間隔で設置されているものとする。また、管理領域W内には、複数の観察ポイントが登録されており、サーバ装置10は、この観察ポイントごとに情報を管理するようになっている。
【0020】
<携帯端末装置の説明>
訪問者に貸与される携帯端末装置30は、図3に示すように、装置全体の動作制御を司る制御部31を中心として、レンズ等の光学系やCCD等の撮像素子からなる撮像部32、撮像部32で撮影された画像の信号を処理するDSPからなる画像処理部33、信号処理後の撮影画像を記録する記録部34、LCD等の表示パネルを備えた表示部35、各種操作ボタンが設けられた操作部36、サーバ装置10との間で情報の送受信を行う通信部37、位置情報取得部38、各種情報を記憶する記憶部39、音声合成部40、及びスピーカ41を備えている。
【0021】
なお、本実施形態では、携帯端末装置30は、撮像部32、画像処理部33及び記録部34を元々備えている構成として説明しているが、この撮像部32、画像処理部33及び記録部34はいわゆるデジタルカメラとして携帯端末装置30とは別に構成し、例えばUSBケーブル等の通信ケーブルによって携帯端末装置30に接続可能な構成としてもよい。このように構成すれば、訪問者がデジタルカメラを持参し、そのデジタルカメラで画像を撮影し、そのデジタルカメラを本携帯端末装置30にUSBケーブルで接続することで、その撮影画像を携帯端末装置30に取り込むことが可能である。なお、記録部34は、カメラのタイプにより異なるが、ハードディスク(HD)やカードメモリ(SDメモリ)等がある。
【0022】
位置情報取得部38は、GPS(Global Positioning System)衛星からの位置情報(GPS信号)を受信する機能を備えており、そのGPS信号に基づいて現在の位置情報を取得するようになっている。
【0023】
通信部37は、位置情報取得部39にて取得した位置情報をサーバ装置10に送信するとともに、サーバ装置10から送信されてきた後述する観察ポイント情報や画像が添付された質問メッセージ等を受信する。記憶部39は、管理している自然公園内の地図情報を記憶している他、サーバ装置10から送信されてきた観察ポイント情報を記憶する。
【0024】
表示部35は、記憶部39に記憶されている地図情報と位置情報取得部38によって取得された位置情報とに基づいて、自然公園内での現在の位置を地図上に示して表示する。また、観察ポイントにくると、サーバ装置10から送信されてきた観察ポイント情報(画像や説明等)を表示する。
【0025】
<サーバ装置の説明>
サーバ装置10は、図2に示すように、装置全体の動作制御を司る制御部11を中心として、自然公園(管理領域)内の各ポイントでの草花等の名前及び画像を含む観察ポイント情報を位置情報とともに格納する観察ポイント情報データベース(観察ポイント情報格納手段)12、TFTやCRT等を備えた表示部13、各種操作キーが設けられたキーボードやマウス等からなる操作部14、各携帯端末装置30との間で情報の送受信を行う通信部15、及び各種情報を記憶する記憶部16を備えている。
【0026】
制御部11は、携帯端末装置30からの位置情報を常に監視し、その位置情報に基づいて当該位置情報が含まれる観察ポイント情報を観察ポイント情報データベース12から読み出して当該携帯端末装置30に送信する機能を備えている。また、制御部11は、任意の携帯端末装置30から撮像部32によって撮影された画像情報が送信されてきた場合には、受信した画像情報を自然公園内に存在する(電源オン状態で稼動している)他の全ての携帯端末装置30に名前の質問メッセージ付きで送信する機能、及び質問メッセージに対していずれかの携帯端末装置30から名前の回答メッセージが送信されてきた場合には、その回答メッセージを全ての携帯端末装置30に送信する機能なども備えている。
【0027】
図4は、観察ポイント情報データベースに格納されている観察ポイント情報の構成例を示している。
【0028】
この観察ポイント情報は、観察ポイント番号、位置情報、観察対象である草花(あるいは動物や景勝地点等であってもよい)の名前、その画像、表示期間、説明、及び備考の各項目欄からなっている。
【0029】
位置情報欄には、GPS信号による位置情報の取得であるので、基本的には経度及び緯度による情報が格納される。名前欄には、例えば花であればその花の名前(学名や和名等)が格納される。画像欄には、その花の画像情報が格納される。ただし、実際の画像データをこのデータベースに格納しておく必要はなく、例えばデータベースには画像番号のみを格納しておき、実際の画像は例えば記憶部39の所定の領域にその画像番号とともに保存し、必要に応じて記憶部39から読み出すようにしてもよい。表示期間欄には、その観察ポイント情報の表示期間が格納されており、例えばその花の咲いている期間(鑑賞期間)を表示期間として設定している。説明欄には、その花の分類や特徴、和名の由来などの情報が格納される。備考欄は、必要がある場合にのみ記入される。
【0030】
観察ポイントは、最初は専門家が公園内を隈なく散策して草花(動物等も含めてもよい)の生息地域や生育状況等を調査し、その調査結果に基づいて観察ポイントを決定し、その決定した観察ポイントの位置情報、草花の名前、画像、表示期間(開花期間等)、説明等を入力することによって、観察ポイント情報データベース12を作成する。観察ポイントは、通常、十数箇所から数十箇所、場合によっては百箇所を超える場合も考えられる。そして、その後は、専門家が定期的に公園内を散策して草花の生息地域やその後の生育状況を確認して、必要な情報を随時更新することになる。
【0031】
図4では、一例として、観察ポイント番号(001)には、位置情報(地点a:ただし、本来は緯度、経度の情報)、名前(すずらん)、表示期間(5月25日〜6月10日)、説明(ユリ科で多年草の総称。・・・)といった情報が格納されている。
【0032】
次に、上記構成のネイチャーナビゲーションシステムによるナビゲーションの処理動作、及び観察ポイント情報の収集及び更新処理動作、その他の処理動作について、それぞれ順に説明する。
【0033】
・ ナビゲーションの基本処理動作の説明
まず、本実施形態のネイチャーナビゲーションシステムの基本的な処理動作であるナビゲーション処理動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。ただし、図5では、サーバ装置10側の処理と携帯端末装置30側の処理とを並列的に示している。また、ここでは、すでに何人かの訪問者が管理センターにて携帯端末装置30を借り受けて公園内を散策しているものとする。すなわち、訪問者の携帯している携帯端末装置30はすでに電源オン状態で稼動しているものとする。
【0034】
このとき、それぞれの携帯端末装置30は、衛星からのGPS信号を受信して(ステップS301)、常に自装置の位置を確認し、その位置を、表示部35に表示している自然公園の地図上に現在位置として表示している(ステップS302)。従って、訪問者は、自分の現在位置を地図上で常に確認することができる。
【0035】
また、携帯端末装置30は、GPS信号を受信して確認した自装置の位置を、自装置の固有コードとともにサーバ装置10に定期的(例えば、1秒ごと等)に送信し(ステップS303)、サーバ装置10から観察ポイント情報が送信されてきたか否かを常に監視する(ステップS304)。
【0036】
一方、サーバ装置10は、稼動中の各携帯端末装置30から送信されてくる位置情報の受信待ち状態となっており(ステップS101)、任意の携帯端末装置30から位置情報を受信すると(ステップS101でYesと判断されると)、その位置情報を送信してきた携帯端末装置30を固有コードに基づいて識別し(ステップS102)、次に、取得した位置情報と観察ポイント情報データベース12に格納されている各観察ポイント番号の位置情報とを比較する(ステップS103)。その結果、取得した位置情報が任意の観察ポイント番号の位置情報と一致するかまたは予め設定された距離の範囲内(例えば、観察ポイント番号の位置情報と取得した位置情報との誤差が距離にして例えば10mの範囲内)に入っている場合(ステップS103でYesと判断された場合)には、その一致した(若しくは一定距離の範囲内に入っている)観察ポイント番号の観察ポイント情報を観察ポイント情報データベース12から読み出し、これに識別した携帯端末装置30の固有コードを付加して送信する(ステップS104)。一方、位置情報が一致しない(若しくは一定距離の範囲内に入っていない)場合(ステップS103でNoと判断された場合)には、何もせずにステップS101に戻ることになる。
【0037】
一方、携帯端末装置30は、上記したように、サーバ装置10から観察ポイント情報が自装置に送信されてきたか否かを常に監視している(ステップS304)。そして、送信されてきた場合には、まず固有コードによって自装置であるか否かを判断し、自装置であると判断した場合(ステップS304でYesと判断された場合)には、送信されてきた観察ポイント情報を表示部35に表示する。
【0038】
図6は、このときの観察ポイント情報の表示例を示している。この表示例では、画面左側に現在位置を示す地図情報が表示され、画面右側に観察ポイント情報が表示されている。観察ポイント情報としては、上段に名前、中段にその画像(写真)、下段にその説明が表示され、さらにその下に、例えば備考欄として、「さあ、かわいい花が咲いているはずです、探してみましょう!」といった応援メッセージを表示する。なお、観察ポイント情報に説明文のような文字メッセージだけでなく音声メッセージが含まれている場合には、携帯端末装置30音声合成部40で音声合成し、スピーカ41からその音声メッセージを音声出力する。
【0039】
携帯端末装置30では、このようなステップS301〜S305の処理を、携帯端末装置30の電源がオフされるまで、繰り返し行うことになる。
【0040】
(2)観察ポイント情報の収集及び観察ポイント情報データベース12の更新処理動作の説明
以下、図7に示すフローチャートを参照して、観察ポイント情報の収集及び観察ポイント情報データベース12の更新処理動作について説明する。ただし、図7では、サーバ装置10側の処理と携帯端末装置30側の処理とを並列的に示している。
【0041】
訪問者が、自然公園内を散策中に、観察ポイント情報データベース12に登録されていない新たな草花を発見した場合、携帯端末装置30に装備されている撮像部32(若しくは訪問者が持参したデジタルカメラ)でその草花を撮影し、その撮影画像をサーバ装置10に送信する(ステップS311)。このとき、携帯端末装置30は位置情報も合わせて送信する。
【0042】
一方、サーバ装置10は、この画像情報を位置情報とともに受信すると(ステップS111)、受信した画像情報を、自然公園内を散策中の他の訪問者が所持している全ての携帯端末装置30に名前の質問メッセージ付きで送信し(ステップS112)、その質問に対する回答が送信されてきたか否かを監視する(ステップS113)。なお、画像情報を質問メッセージ付きで送信するとき、サーバ装置10は、画像を送信してきた携帯端末装置30からの位置情報に基づいて、当該位置を新規観察ポイントとして全ての携帯端末装置30に送信してもよい。これにより、他の訪問者は、新規の観察ポイントをいち早く知ることができる。
【0043】
図8(a)は、送信されてきた質問メッセージ付きの情報の携帯端末装置30での表示例を示している。この表示例では、画面左側に送信されてきた画像(草花の撮影写真)が表示され、画面右側に質問メッセージが表示され、その下に名前の入力欄が表示されている。従って、名前の分かる訪問者は、操作部36を操作してこの入力欄に名前を入力し、操作部36の図示しない送信ボタンを操作する等して、サーバ装置10に回答メッセージを送信することになる。
【0044】
サーバ装置10は、質問メッセージを送信後、この回答メッセージの受信待ち状態となっている(ステップS113)。そして、いずれかの携帯端末装置30から回答メッセージを受信すると(ステップS113でYesと判断されると)、その回答メッセージを、画像を送信してきた携帯端末装置30に送信(転送)する(ステップS114)。サーバ装置10は、複数の携帯端末装置30から回答メッセージを受信した場合には、これら全ての回答メッセージを、画像を送信してきた携帯端末装置30に順次送信(転送)するようにしてもよい。
【0045】
一方、画像を送信した携帯端末装置30は、画像送信後、サーバ装置10からの回答メッセージの受信待ち状態となっている(ステップS312)。そして、サーバ装置10から回答メッセージを受信すると(ステップS312でYesと判断されると)、表示部35に回答メッセージを表示する(ステップS313)。
【0046】
図8(b)は、送信されてきた回答メッセージの表示例を示している。この表示例では、画面左側に画像(草花の撮影写真)が表示され、画面右側に回答メッセージが表示されている。回答メッセージは、他の訪問者の回答内容をそのまま表示する。これにより、画像を送信した訪問者は、他の訪問者から一つの回答が送られてきたことを確認することができる。このように、一人の訪問者の質問に対し、他の訪問者が全員参加してその草花の名前を調べ、その回答を確認することで、新たな草花の名前を知ることができる。
【0047】
なお、ステップS114において画像を送信してきた携帯端末装置30に回答メッセージを送信するとき、他の全ての携帯端末装置30に対して同様の回答メッセージを送信してもよい。これにより、他の携帯端末装置30を所持している他の訪問者も、他の人が回答した草花の名前を確認することができ、自分の認識と一致しているか否かを確認することができる。
【0048】
一方、サーバ装置10では、1または複数の回答メッセージを受信した後、最終的に管理者(専門家)が正しい回答を選択し、操作部14を操作して、正しい名前を入力する(ステップS115)。サーバ装置10は、受信した画像情報に対する名前が正式に入力されると、受信した画像情報を、正式な名前と受信した位置情報とともに観察ポイント情報データベース12に追加登録する(ステップS116)。
【0049】
これにより、観察ポイント情報データベース12には、新たな観察ポイント情報が追加されることになり、以後、その近く(追加された観察ポイント)を訪問者が訪れると、サーバ装置10は、新たに登録された観察ポイント情報を、その近くを歩いている訪問者が所持している携帯端末装置30に送信して、携帯端末装置30の表示部35に表示することになる。この処理は、上記(1)で説明した処理そのものである。
【0050】
また、サーバ装置10は、観察ポイントを新規に追加した場合には、その時点で新規に追加した観察ポイント情報を全ての携帯端末装置30に送信するように構成してもよい(ステップS117)。この場合、携帯端末装置30は、追加された観察ポイント情報を受信すると(ステップS314)、その観察ポイント情報を表示部35に表示する(ステップS315)。これにより、各訪問者は、新規に追加された観察ポイント情報をその近くに居なくても取得できるので、例えばその観察ポイントをすでに通過してしまっている場合でも、その観察ポイントに戻ることによって見逃してしまった草花を観察することが可能となる。
【0051】
(3)その他の処理動作の説明
サーバ装置10の制御部11は、観察ポイント情報データベース12に格納されている各観察ポイント番号の表示期間を常に監視し、表示期間の過ぎた観察ポイント情報を観察ポイント情報データベース12から削除するようになっている。なお、表示期間を過ぎたか否かは、図示しない内部の時計機能により現在日時を管理し、この現在日時と表示期間との比較によって行っている。これにより、見頃を過ぎた草花の情報は、自動的に観察ポイント情報データベース12から削除されるので、見頃を過ぎた草花の近くを訪問者が通過しても、観察ポイント情報が送信されることはない。これにより、訪問者に有効な観察ポイント情報のみを送信することが可能となる。
【0052】
また、表示期間の管理は、基本的には公園管理者が日々観察ポイントを巡回して、そのときの草花の状況に応じて修正することになるが、例えば観察ポイントに到着した訪問者からの連絡等によっても修正することができる。例えば、観察ポイント情報では明日まで見頃と表示されたにも係わらず、実際に訪問者が行ってみるとすでに枯れていたような場合には、訪問者が携帯端末装置30を使ってその旨をサーバ装置10に送信し、サーバ装置10の管理者がその情報に基づいて、観察ポイント情報データベース12の表示期間を修正することも可能である。
【0053】
さらに、上記(1)の処理動作では、観察ポイントに到着した訪問者に対して観察ポイント情報のみを送信する構成としているが、このとき、例えば予め用意しておいたその観察ポイントに特有の問題データを合わせて送信し、その問題に対して回答してきた場合には、その訪問者(正確にはその訪問者が所持している携帯端末装置30)に対して回答ポイントを付与するように構成してもよい。この場合、問題データは、観察ポイント情報データベース12に登録されていてもよいし、これとは別に記憶部39に別途格納されていてもよい。また、回答ポイントのデータは、例えば訪問者ファイル(携帯端末装置ごとのファイル)を作成して記憶部39に格納し、このファイルによって個別に管理するようにすればよい。そして、訪問者が携帯端末装置を管理センターに返却して帰宅するときに、成績表のような形でプリントアウトしたものを渡すようにしてもよい。これにより、訪問者は、自然公園を散策するとき、ゲーム感覚で散策することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係るネイチャーナビゲーションシステムの全体構成図である。
【図2】サーバ装置の機能ブロック図である。
【図3】携帯端末装置の機能ブロック図である。
【図4】観察ポイント情報データベースに格納されている観察ポイント情報の構成例を示す説明図である。
【図5】ネイチャーナビゲーションシステムの基本的な処理動作であるナビゲーション処理動作説明するためのフローチャートである。
【図6】観察ポイント情報の表示例を示す説明図である。
【図7】観察ポイント情報の収集及び観察ポイント情報データベースの更新処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】(a)は、送信されてきた質問メッセージ付きの情報の携帯端末装置での表示例を示す説明図、(b)は、送信されてきた回答メッセージの表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
10 サーバ装置
11 制御部
12 観察ポイント情報データベース
13 表示部
14 操作部
15 通信部
16 記憶部
30 携帯端末装置
31 制御部
32 撮像部
33 画像処理部
34 記録部
35 表示部
36 操作部
37 通信部
38 位置情報取得部
39 記憶部
40 音声合成部
41 スピーカ
N 無線通信ネットワーク
W 管理領域(自然公園等)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理領域内の情報を管理するサーバ装置と、個人が所持して持ち歩く携帯端末装置とが双方向通信可能に接続され、
前記携帯端末装置は、当該装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、撮像手段と、文字情報の入力が可能な入力手段と、前記サーバ装置からの送信情報を表示する表示手段とを備え、
前記サーバ装置は、前記管理領域内の動植物等の名前及び画像を含む観察ポイントの情報を位置情報とともに格納する観察ポイント情報格納手段と、文字情報の入力が可能な入力手段とを備えており、前記携帯端末装置からの位置情報に基づいて当該位置情報が含まれる観察ポイント情報を前記観察ポイント情報格納手段から読み出して前記携帯端末装置に送信するネイチャーナビゲーションシステムにおいて、
前記サーバ装置は、任意の携帯端末装置から前記撮像手段で撮影された画像情報が送信されてきた場合には、前記携帯端末装置からの位置情報を合わせて受信し、受信した画像情報を管理領域内に存在する他の全ての携帯端末装置に前記名前の質問メッセージ付きで送信することを特徴とするネイチャーナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネイチャーナビゲーションシステムにおいて、
前記観察ポイント情報には、観察ポイントの説明及び表示期間の各データがさらに含まれていることを特徴とするネイチャーナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のネイチャーナビゲーションシステムにおいて、
前記サーバ装置は、前記質問メッセージに対していずれかの携帯端末装置から名前の回答メッセージが送信されてきた場合には、その回答メッセージを、画像を送信してきた携帯端末装置または全ての携帯端末装置に送信することを特徴とするネイチャーナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のネイチャーナビゲーションシステムにおいて、
前記サーバ装置は、受信した画像情報に対する名前が前記入力手段から正式に入力された場合には、前記画像情報を正式な名前と受信した前記位置情報とともに前記観察ポイント情報格納手段に追加登録することを特徴とするネイチャーナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のネイチャーナビゲーションシステムにおいて、
前記観察ポイント情報は、表示期間が経過したときに前記観察ポイント情報格納手段から削除されることを特徴とするネイチャーナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のネイチャーナビゲーションシステムにおいて、
前記サーバ装置は、画像情報を質問メッセージ付きで送信する場合に、前記携帯端末装置からの位置情報に基づいて、当該位置を新規観察ポイントとして送信することを特徴とするネイチャーナビゲーションシステム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−145247(P2009−145247A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324150(P2007−324150)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】