ネイルプリント装置
【課題】印刷の進捗状況や印刷終了までの時間をユーザーに知らしめるようにすることができるネイルプリント装置を提供する.
【解決手段】ネイルプリント装置1は、指の爪に印刷を施す印刷部40と、印刷画像を表示する表示部13と、印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域とを識別して表示部13に表示させる表示制御部51jと、を備える。
【解決手段】ネイルプリント装置1は、指の爪に印刷を施す印刷部40と、印刷画像を表示する表示部13と、印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域とを識別して表示部13に表示させる表示制御部51jと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイルプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪に様々な色や絵柄等のネイルデザインを印刷するネイルプリント装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。こうしたネイルプリント装置を用いれば、ネイルサロン等の店舗に行かなくても、ユーザーが自宅等で手軽にネイルプリントを楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−194838号公報
【特許文献2】特開2002−165632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネイルプリント装置を使用して、指の爪に印刷する場合には、指を載置台上に載置し、ネイルプリント装置の印刷部によって指の爪に印刷が施される。指を載置台上に載せただけの場合には、手が不安定な状態にあるため指が動いてしまい、印刷画像がずれたり、乱れたりする虞がある。そこで、ユーザーは指をしっかり静止させなければならない。
【0005】
しかし、指の爪に対する印刷が終了するまで、指を長時間静止させることはユーザーにとって苦痛である。そのため、印刷終了までの時間や印刷の進捗状況がユーザーにとって把握可能であれば、そのような苦痛も紛らせることができる。しかし、印刷の際には、印刷部が指の上に位置するから、ユーザーは印刷終了までの時間や進捗状況を把握することができない。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、印刷の進捗状況や印刷終了までの時間をユーザーに知らしめるようにすることができるネイルプリント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明に係るネイルプリント装置は、
指の爪に印刷を施す印刷部と、
印刷画像を表示する表示部と、
印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域とを識別して前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷の進捗状況や印刷終了までの時間をユーザーに知らしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るネイルプリント装置の一実施形態を概念的に示した斜視図で、蓋体を開いた状態を示している。
【図2】図1のネイルプリント装置の装置本体を概念的に示した斜視図である。
【図3】図1のネイルプリント装置の印刷指固定部を示した断面図で、印刷指としての人差し指、中指、薬指及び小指を印刷指挿入部に挿入した際の固定態様を示している。
【図4】図1のネイルプリント装置の正面側の断面図である。
【図5】図1のネイルプリント装置の側断面図である。
【図6】本実施形態に係るネイルプリント装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
【図7】表示画面の一例を示した図面である。
【図8】表示画面の一例を示した図面である。
【図9】表示画面の一例を示した図面である。
【図10】ネイルプリント装置の制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】表示画面の一例を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、本実施形態におけるネイルプリント装置の外観を示す斜視図であり、図2は、ネイルプリント装置の内部構成を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、このネイルプリント装置1は、ケース本体2及び蓋体4を備えている。このケース本体2及び蓋体4は、ケース本体2の上面後端部に設けたヒンジ3を介して、互いに連結されている。
【0013】
上記ケース本体2は平面視で長円状に形成されている。このケース本体2の前側には開閉板2cが起倒可能に設けられている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面下端部に設けたヒンジ(図示せず)を介して、ケース本体2に連結されている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面を開閉するためのものである。
また、ケース本体2の上面(天板)には後述する操作部12が設置されており、上面(天板)のほぼ中央部には表示部13が設定されている。
なお、ケース本体2及び蓋体4の形状、構成はここに例示したものに限定されない。
【0014】
また、ケース本体2にはネイルプリント装置1の装置本体10が収容されている。この装置本体10は、図2に示すように印刷指固定部20、撮影部30、印刷部40及び制御装置50(図6参照)等を備えている。これら印刷指固定部20、撮影部30、印刷部40及び制御装置50は機枠11に設けられている。
なお、機枠11は下部機枠11a及び上部機枠11bによって構成されている。そして、下部機枠11aは箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置され、上部機枠11bは下部機枠11aの上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている。
【0015】
印刷指固定部20は、機枠11の中の下部機枠11aに設けられている。この下部機枠11aに設けられた印刷指挿入部20a、非印刷指挿入部20b及び掴み部20cによって印刷指固定部20が構成されている。
ここで、印刷指挿入部20aは、印刷しようとする爪Tに対応する指(以下「印刷指」という。)U1を挿入するめための指挿入部である(図3参照)。印刷指挿入部20aの底面(印刷指載置面)は、印刷指U1を載置する指載置部として機能する。印刷指U1の撮影や印刷は、印刷指U1がこの指載置部としての印刷指挿入部20aの印刷指載置面に載置された状態で行われる。
また、非印刷指挿入部20bは、印刷指以外の指(以下「非印刷指」という。)U2を挿入するための指挿入部である(図3参照)。
また、掴み部20cは、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで挟持することが可能な部分である。本実施形態において、この掴み部20cは印刷指挿入部20aと非印刷指挿入部20bとを仕切る隔壁21によって構成されている。
【0016】
この隔壁21の上面は平坦な印刷指載置面を構成している。この隔壁21の指挿入側端部には膨出部22が形成されている。この膨出部22は、印刷指挿入部20a及び非印刷指挿入部20bに印刷指U1及び非印刷指U2を深く挿入した際に、印刷指U1及び非印刷指U2の付け根U3が当接する部分に形成されている。膨出部22は、印刷指U1の腹全体が印刷指載置面に当接した状態で、印刷指U1と非印刷指U2とで隔壁21(掴み部20c)を強く挟持することができるように、指挿入方向の断面が、隔壁21の下面から下方に向けて膨出するように円形となっている。なお、膨出部22の形状は、断面円形に限定されることなく、断面楕円形,多角形等の非円形であってもよい。
【0017】
例えば、親指以外の4本の指(人差し指、中指、薬指及び小指)が印刷指U1となる場合には、図3に示すように、ユーザーは印刷指挿入部20aに4本の印刷指U1を挿入し、非印刷指挿入部20bに非印刷指U2である親指を挿入する。この場合、ユーザーが印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することにより、印刷指U1が掴み部20cの上で固定される。
また、親指のみが印刷指U1となる場合には、親指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入し、親指以外の4本の指(非印刷指U2)を非印刷指挿入部20bに挿入する。この場合にも、ユーザーが印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することで印刷指U1が固定される。
【0018】
また、図4は、本実施形態に係るネイルプリント装置1の正面側の断面図であり、図5は、ネイルプリント装置1の側断面図である。
図4及び図5に示すように、撮影部30は、機枠11の中の上部機枠11bに設けられている。
すなわち、上部機枠11bに設置された基板31の中央部下面には、ドライバーを内蔵した200万画素程度以上の画素を有する電子カメラ32が設置されている。また、基板31には、電子カメラ32を囲むように白色LED等の照明灯33が設置されている。撮影部30は、この電子カメラ32及び照明灯33を備えて構成されている。
この撮影部30は、指載置部である印刷指挿入部20aに載置された印刷指U1を照明灯33によって照明し、電子カメラ32によってその印刷指U1を撮影して、当該印刷指U1に対応する爪Tの爪領域画像を含む指画像を取得する指爪画像取得部であり、この撮影部30は、後述する制御装置50に接続され、該制御装置50によって制御されるようになっている。
【0019】
また、印刷部40は、印刷指U1の爪T(図3等参照)に色や模様等の印刷を施すものである。本実施形態では、印刷部40は、主として上部機枠11bに設けられている。すなわち、図4及び図5に示すように、上部機枠11bの両側板には、2本のガイドロッド41が平行に架設されている。このガイドロッド41には、主キャリッジ42が摺動自在に設置されている。また、図5に示すように、主キャリッジ42の前壁42a及び後壁42bには2本のガイドロッド44が平行に架設されている。このガイドロッド44には、副キャリッジ45が摺動自在に設置されている。この副キャリッジ45の下面中央部には、印刷ヘッド46が搭載されている。
本実施形態において、この印刷ヘッド46は、インクを微滴化し、被印字媒体に対し直接に吹き付けて印刷を行うインクジェット方式の印刷ヘッドである。なお、印刷ヘッド46の記録方式はインクジェット方式に限定されない。
【0020】
主キャリッジ42は、動力伝達部(図示せず)を介してモーター43に連結されている。主キャリッジ42は、モーター43の正逆回転によって、印刷指挿入部20a及び隔壁21の上方においてガイドロッド41に沿って左右方向に移動するように構成されている。また、副キャリッジ45は動力伝達部(図示せず)を介してモーター47に連結されている。副キャリッジ45は、モーター47の正逆回転によって、印刷指挿入部20a及び隔壁21の上方においてガイドロッド44に沿って前後方向に移動するように構成されている。ガイドロッド41に沿った前後方向がX方向であり、ガイドロッド44に沿った左右方向をY方向であり、印刷ヘッド46の位置や印刷指U1の爪Tの位置はXY直交座標系で表される。
また、下部機枠11aには、印刷ヘッド46にインクを供給するためのインクカートリッジ48が設けられている。インクカートリッジ48は、図示しないインク供給管を介して印刷ヘッド46と接続されており、適宜印刷ヘッド46にインクを供給するようになっている。なお、印刷ヘッド46自体にインクカートリッジを搭載する構成としてもよい。
【0021】
印刷部40は、これらガイドロッド41、主キャリッジ42、モーター43、ガイドロッド44、副キャリッジ45、印刷ヘッド46、モーター47及びインクカートリッジ48等を備えて構成されている。
【0022】
操作部12は、ユーザーが各種入力を行うための入力装置である。操作部12は、ユーザーにより操作されると、その操作に伴う操作信号を出力する。本実施形態では、操作部12には、例えば、図1に示すように、ネイルプリント装置1の電源をONする電源ボタン120、ネイルデザイン画像を指定する設定ボタン121、各種の指定・選択を確定させるための確定ボタン122、印刷を開始させるスイッチである印刷ボタン123等が設けられている。
【0023】
表示部13は、例えば液晶パネル(液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display))等で構成された表示部である。
なお、表示部13の表面に、タッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、図示しないスタイラスペンや指先等によるタッチ操作により、表示部13の表面をタッチすることによっても各種の入力を行うことができるように構成される。
【0024】
表示部13には、例えば、印刷指U1を撮影した指画像やその中の爪Tを表す爪領域画像、印刷指U1の爪Tに印刷すべきネイルデザイン、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示画面等が表示されるようになっている。印刷中における表示部13の表示内容については後に詳述する。
【0025】
制御装置50は、例えば上部機枠11bに配置された基板31等に設置されている。図6は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
図6に示すように、制御装置50は、中央制御部51、プログラムメモリ52、メモリ57、印刷ドライバー60、照明回路64、ディスプレイドライバー65及びバスライン66等を備える。印刷ドライバー60は、モータードライバー61、モータードライバー62及びヘッドドライバー63等を備える。
【0026】
中央制御部51、プログラムメモリ52、メモリ57、モータードライバー61、モータードライバー62、ヘッドドライバー58、照明回路64、電子カメラ32、ディスプレイドライバー65及び操作部12はバスライン66に接続されている。バスライン66は、中央制御部51、プログラムメモリ52、メモリ57、モータードライバー61、モータードライバー62、ヘッドドライバー58、照明回路64、電子カメラ32、ディスプレイドライバー65及び操作部12の間でデータや信号を転送するものである。
【0027】
モータードライバー61は、中央制御部51の指令に従ってモーター43を駆動する。モータードライバー62は、中央制御部51の指令に従ってモーター47を駆動する。ヘッドドライバー58は、中央制御部51の指令に従って印刷ヘッド46を駆動する。照明回路64は、中央制御部51の指令に従って照明灯33の点灯、消灯及び調光を行う。ディスプレイドライバー65は、中央制御部51の指令に従って表示部13を駆動する。
【0028】
プログラムメモリ52には、複数の印刷用ネイルデザイン画像54が格納されている。印刷用ネイルデザイン画像54は、印刷指U1の爪Tに印刷される画像である。
プログラムメモリ52には、複数の表示用ネイルデザイン画像55が格納されている。表示用ネイルデザイン画像55は、印刷中に表示部13に表示される画像であって、表示部13に表示されるのに適した解像度・画素数のものである。これら印刷用ネイルデザイン画像54と表示用ネイルデザイン画像55は一対一で対応付けられている。印刷用ネイルデザイン画像54とそれに対応付けられた表示用ネイルデザイン画像55は、解像度及び画素数が異なる同じ画像である。
なお、印刷用ネイルデザイン画像54や表示用ネイルデザイン画像55が外部記憶媒体(例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブ)に格納されていてもよい。その場合、リーダー・ライターがバスライン66に接続され、外部記憶媒体がリーダー・ライターに装着されると、外部記憶媒体に格納された印刷用ネイルデザイン画像54及び表示用ネイルデザイン画像55がリーダー・ライターによって読み取り可能となる。
【0029】
プログラムメモリ52には、ネイルプリント装置1の機能に係るプログラム53及びデータ等が格納されている。このプログラム53は、中央制御部51にとって読み取り可能なプログラムである。
【0030】
メモリ57は、中央制御部51のワーキングメモリ等として使用される。
【0031】
中央制御部51は、ネイルプリント装置1の各部を制御するCPU等を具備する。プログラム53が中央制御部51に各種の機能を持たせ、中央制御部51がプログラム53に従って各種処理を行う。具体的には、プログラム53は、中央制御部51を印刷画像選択部51a、表示画像選択部51b、撮像制御部51c、爪領域検出部51d、印刷画像データ生成部51e、表示画像データ生成部51f、印刷制御部51g、進捗状況検出部51h、残存時間計算部51i及び表示制御部51jとして機能させる。
【0032】
印刷画像選択部51aは、操作部12から出力された操作信号に従って、プログラムメモリ52に格納された複数の印刷用ネイルデザイン画像54の中から、印刷する画像を選択する。
表示画像選択部51bは、プログラムメモリ52に格納された複数の表示用ネイルデザイン画像55の中から、印刷画像選択部51aによって選択された印刷用ネイルデザイン画像54に対応付けられた表示用ネイルデザイン画像55を選択する。
【0033】
撮像制御部51cは、電子カメラ32に撮像を行わせて、電子カメラ32によって撮像された画像を取得する。
【0034】
爪領域検出部51dは、撮像制御部51cによって取得された撮像画像から、印刷指挿入部20a内に挿入された印刷指U1の爪Tの位置、大きさ及び範囲を検出する。具体的には、爪領域検出部51dは、撮像制御部51cによって取得された撮像画像に対してエッジ検出処理等の画像処理を行うことによって、撮像画像に含まれる爪領域及びそのエッジを認識し、その爪領域のエッジ上の各点の位置を検出する。そして、爪領域検出部51dは、撮像画像の座標系で表されたエッジの各点の位置(座標)を、XY直交座標系で表された爪Tの輪郭線上の各点の位置(座標)に換算する。
【0035】
印刷画像データ生成部51eは、印刷画像選択部51aによって選択された印刷用ネイルデザイン画像54から印刷画像データを生成する。つまり、印刷画像データ生成部51eは、印刷画像選択部51aによって選択された印刷用ネイルデザイン画像54の座標変換を行うことによって、印刷用ネイルデザイン画像54の各画素の座標をXY直交座標系の座標に変換する。座標変換後の印刷用ネイルデザイン画像54を印刷画像データという。
【0036】
表示画像データ生成部51fは、表示画像選択部51bによって選択された表示用ネイルデザイン画像55から表示画像データを生成する。つまり、表示画像データ生成部51fは、表示画像選択部51bによって選択された表示用ネイルデザイン画像55の座標変換を行うことによって、表示用ネイルデザイン画像55の各画素の座標を撮像画像の座標系の座標に変換する。座標変換後の表示用ネイルデザイン画像55を表示画像データという。
【0037】
印刷制御部51gは、印刷ドライバー60(モータードライバー61、モータードライバー62及びヘッドドライバー63)を介して印刷部40(モーター43,モーター47及び印刷ヘッド46)を制御し、印刷指U1の爪Tに対する印刷画像データの印刷を印刷部40に行わせる。
【0038】
進捗状況検出部51hは、印刷制御部51gの制御によって進行されている印刷の進捗状況を検出する。具体的には、進捗状況検出部51hは、印刷画像データのうち、既に印刷された領域(以下、既印刷領域という。)と未だ印刷さていない領域(以下、未印刷領域という。)とを判別する。また、進捗状況検出部51hは、表示画像データのうち、既印刷領域に相当する領域(以下、既印刷領域相当領域という。)と、未印刷領域に相当する領域(未印刷領域相当領域という。)とを判別する。
【0039】
残存時間計算部51iは、印刷制御部51gの制御によって進行されている印刷が終了するまでの残存時間を計算する。
【0040】
表示制御部51jは、ディスプレイドライバー65を介して表示部13を制御することによって、各種の画像を表示部13に表示させる。具体的には、表示制御部51jは、表示画像データのうち、進捗状況検出部51hによって判別された既印刷領域に相当する既印刷領域相当領域を表示部13に表示させ、進捗状況検出部51hによって判別された未印刷領域に相当する未印刷領域相当領域を表示させない。既印刷領域の表示に際しては、表示制御部51jは、撮像制御部51cによって取得された撮像画像中の爪領域のエッジの内側に既印刷領域相当領域を配置するようにして既印刷領域相当領域を撮像画像に合成して、既印刷領域相当領域を撮像画像とともに表示部13に表示させる。また、表示制御部51jは、残存時間計算部51iによって計算された残存時間も併せて表示部13に表示させる。表示制御部51jによって制御された表示部13に表示される画面の例を図7に示す。
【0041】
図7に示すように、表示部13には、撮像制御部51cによって取得された撮像画像(指画像)131が表示される。表示された撮像画像131には、爪領域(爪画像)132が含まれている。表示画像データのうち、進捗状況検出部51hによって判別された既印刷領域に相当する既印刷領域相当領域133が、爪領域132の内側に配置されるように表示される。また、表示画面の隅部には残存時間表示領域135が配置され、残存時間計算部51iによって計算された残存時間が数値で残存時間表示領域135の内側に表示される。また、残存時間表示領域135の近傍には、印刷ステータス表示領域136が配置され、印刷中である旨が印刷ステータス表示領域136内に表示される。
【0042】
表示制御部51jは、未印刷領域相当領域の表示を行わないのではなく、未印刷領域相当領域と既印刷領域相当領域とを識別して、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を表示部13に表示させてもよい。未印刷領域相当領域と既印刷領域相当領域の識別表示に際しては、表示制御部51jは、撮像制御部51cによって取得された撮像画像中の爪領域のエッジの内側に未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を配置するようにして未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像に合成して、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像とともに表示部13に表示させる。また、表示制御部51jは、残存時間計算部51iによって計算された残存時間も未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域とともに表示部13に表示させる。表示制御部51jによって制御された表示部13に表示される画面の例を図8、図9に示す。
【0043】
図8、図9に示すように、表示部13には、撮像制御部51cによって取得された撮像画像131が表示される。表示された撮像画像131には、爪領域132が含まれている。既印刷領域相当領域133及び未印刷領域相当領域134は、爪領域132の内側に配置されるように表示される。既印刷領域相当領域133と未印刷領域相当領域134が識別できるように、既印刷領域相当領域133と未印刷領域相当領域134が表示される。
例えば、図8に示すように、未印刷領域相当領域134は中抜きされて、その未印刷領域相当領域134のエッジが表示部13に表示され、既印刷領域相当領域133は中抜きされずに表示部13に表示される。
また、図9に示すように、未印刷領域相当領域134が表示部13に半透明表示され、既印刷領域相当領域133が表示部13に不透明表示される。半透明表示とは、未印刷領域相当領域134の各画素値が、不透明表示における未印刷領域相当領域134の各画素値と背景の画素値との平均値となるような表示をいう。
また、図示を省略するが、未印刷領域相当領域134が点滅表示され、既印刷領域相当領域133が常時表示されてもよい。
中抜き表示(図8)、半透明表示(図9)、点滅表示の何れの場合でも、残存時間計算部51iによって計算された残存時間が数値で残存時間表示領域135の内側に表示されるとともに、印刷中である旨が印刷ステータス表示領域136内に表示される。
【0044】
続いて、図10を参照しつつ、プログラム53に従った中央制御部51の処理の流れを説明するとともに、中央制御部51の処理に基づくネイルプリント装置1の動作について説明する。
【0045】
このネイルプリント装置1により印刷を行う場合、ユーザーはまず、電源スイッチを入れて制御装置50を起動させ、印刷指U1の爪Tに印刷したいネイルデザインを設定ボタン121及び確定ボタン122によって選択する(ステップS1)。ネイルデザインの選択は、印刷指U1毎に行う。
【0046】
具体的には、プログラム53が中央制御部51を印刷画像選択部51a及び表示画像選択部51bとして機能させる。そうすると、中央制御部51はプログラムメモリ52に格納された複数の印刷用ネイルデザイン画像54をサムネイル画像として表示部13に表示させる。そして、ユーザーが設定ボタン121を操作することによって表示部13に表示された複数のサムネイル画像の中から選択して、確定ボタン122を押下する。中央制御部51は、ユーザーによる設定ボタン121及び確定ボタン122の操作に従って、プログラムメモリ52に格納された複数の印刷用ネイルデザイン画像54の中から印刷用ネイルデザイン画像54を選択するとともに、それに対応付けられた表示用ネイルデザイン画像55を選択する。
【0047】
そして、ユーザーが印刷指U1を印刷指挿入部20a内に挿入し、印刷指U1の爪Tを上に向けて印刷指U1を印刷指載置面(隔壁21の上面)に置く。
【0048】
次に、ユーザーが印刷ボタン123を押下すると、その旨の操作信号が印刷ボタン123から中央制御部51に出力される。そうすると、プログラム53が中央制御部51を撮像制御部51cとして機能させる。撮像制御部51cとして機能した中央制御部51は、照明灯33を点灯させ、電子カメラ32に撮像動作を行わせる(ステップS2)。電子カメラ32が撮像動作を行うと、指や爪の像を含む撮像画像が電子カメラ32によって出力され、中央制御部51がその撮像画像を取得する。
【0049】
次に、中央制御部51が、電子カメラ32によって撮像された撮像画像を表示部13に表示させる(ステップS3)。
【0050】
次に、プログラム53が中央制御部51を爪領域検出部51dとして機能させ、中央制御部51は、撮像画像に基づいて、印刷指U1の爪Tの位置、大きさ及び範囲を検出する(ステップS4)。つまり、中央制御部51は、撮像画像に含まれる爪領域のエッジ上の各点の位置を検出するとともに、エッジ上の各点の位置(座標)を爪Tの輪郭線上の各点の位置(座標)に換算する。
【0051】
次に、プログラム53が中央制御部51を表示画像データ生成部51fとして機能させる。そうすると、中央制御部51は、選択された表示用ネイルデザイン画像55の各画素の座標を撮像画像の座標系の座標に変換して、表示画像データを生成する(ステップS5)。つまり、中央制御部51は、選択された表示用ネイルデザイン画像55のサイズ等を変更するとともに、その表示用ネイルデザイン画像55を撮像画像中の爪領域のエッジの内側に配置するように表示用ネイルデザイン画像55の座標を撮像画像の座標系の座標に変換する。
【0052】
次に、プログラム53が中央制御部51を印刷画像データ生成部51eとして機能させる。そうすると、中央制御部51は、選択された印刷用ネイルデザイン画像54の各画素の座標をXY直交座標系の座標に変換して、印刷画像データを生成する(ステップS6)。つまり、中央制御部51は、選択された印刷用ネイルデザイン画像54のサイズ等を変更するとともに、その印刷用ネイルデザイン画像54を爪Tの輪郭線(爪Tの輪郭線上の各点の位置はXY直交座標系で表されている。)の内側に配置するように印刷用ネイルデザイン画像55の座標をXY直交座標系の座標に座標変換する。
【0053】
次に、中央制御部51は、印刷画像データから印刷時間を計算する(ステップS7)。印刷時間とは、印刷部40によって印刷指U1の印刷が開始された時からその印刷が終了する時までの時間である。
【0054】
次に、中央制御部51は、ステップS7で算出した印刷時間を、ステップS3で表示した撮像画像とともに表示部13に表示させる(ステップS8)。
【0055】
次に、プログラム53が中央制御部51を印刷制御部51gとして機能させ、中央制御部51が印刷ドライバー60を介して印刷部40を制御することによって、印刷部40に印刷動作を進行させる(ステップS9)。そのため、印刷指U1の爪Tに対する印刷画像データの印刷が印刷部40によって施される。
【0056】
具体的には、中央制御部51がモータードライバー61,62を介してモーター43,47を制御することによって、印刷ヘッド46が爪Tの上においてX方向及びY方向に間欠的に移動する。つまり、中央制御部51がモーター47を所定刻みで動作させることによって、印刷ヘッド46がY方向に所定間隔ずつ間欠的に移動し、モーター47の動作が停止している時に、中央制御部51がモーター43を動作させることによって印刷ヘッド46がX方向に往復移動する。そして、印刷ヘッド46がX方向に往復移動している時に、中央制御部51は、ステップS6で生成した印刷画像データに基づいてヘッドドライバー63を介して印刷ヘッド46を制御する。これにより、印刷ヘッド46が、爪Tに向けてインクを繰り返し吐出する。そのため、爪Tには、印刷画像データに従った画像が形成されていく。
【0057】
印刷の進行中、プログラム53が中央制御部51を進捗状況検出部51hとして機能させ、中央制御部51が印刷画像データのうち既印刷領域と未印刷領域とを判別する(ステップS10)。また、中央制御部51は、表示画像データのうち既印刷領域相当領域と未印刷領域相当領域とを判別する。
【0058】
印刷の進行中、プログラム53が中央制御部51を残存時間計算部51iとして機能させ、中央制御部51が印刷開始時からの経過時間を計算するとともに、ステップS7で算出した印刷時間から経過時間を減じることで得られた差を算出する(ステップS11)。その差は、印刷残存時間である。
【0059】
そして、プログラム53が中央制御部51を表示制御部51jとして機能させ、図8、図9に示すように、中央制御部51が未印刷領域相当領域と既印刷領域相当領域とを識別して、これらの領域を表示部13に表示させる(ステップS12)。この際、中央制御部51は、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像中の爪領域のエッジの内側に配置するようにして、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像に合成して、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像とともに表示部13に表示させる。また、中央制御部51は、ステップS11で算出した印刷残存時間も併せて表示部13に表示させる。印刷残存時間は数値で表示される。なお、中央制御部51が未印刷領域相当領域を表示部13に表示させずに、既印刷相当領域を表示部13に表示させてもよい(図7参照)。
【0060】
中央制御部51は、以上のようなステップS9〜ステップS12の処理を繰り返し行う(ステップS13:NO)。従って、印刷部40によって印刷が継続され(ステップS9)、未印刷領域相当領域と既印刷領域相当領域の識別表示が行われるとともに(ステップS12)、印刷残存時間の表示も行われる(ステップS12)。ステップS9〜ステップS12の処理が繰り返される度に、中央制御部51が進捗状況の検出(ステップS10)と印刷残存時間の計算(ステップS12)を行うので、表示部13に表示されている印刷残存時間が減っていくとともに、未印刷領域相当領域の面積も減っていき、既印刷領域相当領域の面積が増えていく。
【0061】
そして、印刷画像データの全ての領域の印刷が終了したら(ステップS13:YES)、図11に示すように、表示画像データの全ての領域が既印刷領域相当領域133となって、表示画像データの全体が表示部13に表示される。その後、中央制御部51は図10に示す処理を終了する。
【0062】
その後、次の印刷指U1の爪Tに印刷を施す場合には、中央制御部51が図10に示す処理を再度行う。
【0063】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置1によれば、印刷の進捗状況が表示部13に表示されるから、ユーザーは印刷中の爪Tの印刷指U1を動かしていけない時間を直感的に理解することができる。そのため、ユーザーが快適にネイルデザイン加工を楽しむことができる。
また、ユーザーは次の印刷指U1の爪Tの印刷開始までの時間を直感的に理解することができる。そのため、印刷指U1の印刷中に、ユーザーが次の印刷指U1に違和感を得た場合には、次の印刷指U1を動かして良いことが分かる。
【0064】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
指の爪に印刷を施す印刷部と、
印刷画像を表示する表示部と、
印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域とを識別して前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とするネイルプリント装置。
<請求項2>
前記印刷部を制御して、前記印刷部による印刷画像の印刷を進行させる印刷制御部と、
前記印刷制御部によって進行されている印刷の進捗状況を検出して、前記印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域を判別する進捗状況検出部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
<請求項3>
前記表示制御部は、前記進捗状況検出部によって判別された未印刷領域に相当する未印刷領域相当領域を表示させないことを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。
<請求項4>
前記表示制御部は、前記既印刷領域相当領域を前記表示部に常時表示させるとともに、前記未印刷領域相当領域を前記表示部に点滅表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項5>
前記表示制御部は、前記未印刷領域相当領域を前記表示部に半透明表示させるとともに、前記既印刷領域相当領域を前記表示部に不透明表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項6>
前記表示制御部は、前記未印刷領域相当領域を中抜きして前記未印刷領域相当領域のエッジを前記表示部に表示させるとともに、前記既印刷領域相当領域を中抜きせずに前記既印刷領域相当領域を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項7>
前記印刷制御部によって進行されている印刷が終了するまでの残存時間を計算する残存時間計算部を更に備え、
前記表示制御部は、前記残存時間計算部によって計算された残存時間とともに、前記既印刷領域相当領域と前記未印刷領域相当領域を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。
【符号の説明】
【0065】
1 ネイルプリント装置
13 表示部
40 印刷部
51 中央制御部
51g 印刷制御部
51h 進捗状況検出部
51i 残存時間計算部
51j 表示制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイルプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪に様々な色や絵柄等のネイルデザインを印刷するネイルプリント装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。こうしたネイルプリント装置を用いれば、ネイルサロン等の店舗に行かなくても、ユーザーが自宅等で手軽にネイルプリントを楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−194838号公報
【特許文献2】特開2002−165632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネイルプリント装置を使用して、指の爪に印刷する場合には、指を載置台上に載置し、ネイルプリント装置の印刷部によって指の爪に印刷が施される。指を載置台上に載せただけの場合には、手が不安定な状態にあるため指が動いてしまい、印刷画像がずれたり、乱れたりする虞がある。そこで、ユーザーは指をしっかり静止させなければならない。
【0005】
しかし、指の爪に対する印刷が終了するまで、指を長時間静止させることはユーザーにとって苦痛である。そのため、印刷終了までの時間や印刷の進捗状況がユーザーにとって把握可能であれば、そのような苦痛も紛らせることができる。しかし、印刷の際には、印刷部が指の上に位置するから、ユーザーは印刷終了までの時間や進捗状況を把握することができない。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、印刷の進捗状況や印刷終了までの時間をユーザーに知らしめるようにすることができるネイルプリント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明に係るネイルプリント装置は、
指の爪に印刷を施す印刷部と、
印刷画像を表示する表示部と、
印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域とを識別して前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷の進捗状況や印刷終了までの時間をユーザーに知らしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るネイルプリント装置の一実施形態を概念的に示した斜視図で、蓋体を開いた状態を示している。
【図2】図1のネイルプリント装置の装置本体を概念的に示した斜視図である。
【図3】図1のネイルプリント装置の印刷指固定部を示した断面図で、印刷指としての人差し指、中指、薬指及び小指を印刷指挿入部に挿入した際の固定態様を示している。
【図4】図1のネイルプリント装置の正面側の断面図である。
【図5】図1のネイルプリント装置の側断面図である。
【図6】本実施形態に係るネイルプリント装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
【図7】表示画面の一例を示した図面である。
【図8】表示画面の一例を示した図面である。
【図9】表示画面の一例を示した図面である。
【図10】ネイルプリント装置の制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】表示画面の一例を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、本実施形態におけるネイルプリント装置の外観を示す斜視図であり、図2は、ネイルプリント装置の内部構成を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、このネイルプリント装置1は、ケース本体2及び蓋体4を備えている。このケース本体2及び蓋体4は、ケース本体2の上面後端部に設けたヒンジ3を介して、互いに連結されている。
【0013】
上記ケース本体2は平面視で長円状に形成されている。このケース本体2の前側には開閉板2cが起倒可能に設けられている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面下端部に設けたヒンジ(図示せず)を介して、ケース本体2に連結されている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面を開閉するためのものである。
また、ケース本体2の上面(天板)には後述する操作部12が設置されており、上面(天板)のほぼ中央部には表示部13が設定されている。
なお、ケース本体2及び蓋体4の形状、構成はここに例示したものに限定されない。
【0014】
また、ケース本体2にはネイルプリント装置1の装置本体10が収容されている。この装置本体10は、図2に示すように印刷指固定部20、撮影部30、印刷部40及び制御装置50(図6参照)等を備えている。これら印刷指固定部20、撮影部30、印刷部40及び制御装置50は機枠11に設けられている。
なお、機枠11は下部機枠11a及び上部機枠11bによって構成されている。そして、下部機枠11aは箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置され、上部機枠11bは下部機枠11aの上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている。
【0015】
印刷指固定部20は、機枠11の中の下部機枠11aに設けられている。この下部機枠11aに設けられた印刷指挿入部20a、非印刷指挿入部20b及び掴み部20cによって印刷指固定部20が構成されている。
ここで、印刷指挿入部20aは、印刷しようとする爪Tに対応する指(以下「印刷指」という。)U1を挿入するめための指挿入部である(図3参照)。印刷指挿入部20aの底面(印刷指載置面)は、印刷指U1を載置する指載置部として機能する。印刷指U1の撮影や印刷は、印刷指U1がこの指載置部としての印刷指挿入部20aの印刷指載置面に載置された状態で行われる。
また、非印刷指挿入部20bは、印刷指以外の指(以下「非印刷指」という。)U2を挿入するための指挿入部である(図3参照)。
また、掴み部20cは、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで挟持することが可能な部分である。本実施形態において、この掴み部20cは印刷指挿入部20aと非印刷指挿入部20bとを仕切る隔壁21によって構成されている。
【0016】
この隔壁21の上面は平坦な印刷指載置面を構成している。この隔壁21の指挿入側端部には膨出部22が形成されている。この膨出部22は、印刷指挿入部20a及び非印刷指挿入部20bに印刷指U1及び非印刷指U2を深く挿入した際に、印刷指U1及び非印刷指U2の付け根U3が当接する部分に形成されている。膨出部22は、印刷指U1の腹全体が印刷指載置面に当接した状態で、印刷指U1と非印刷指U2とで隔壁21(掴み部20c)を強く挟持することができるように、指挿入方向の断面が、隔壁21の下面から下方に向けて膨出するように円形となっている。なお、膨出部22の形状は、断面円形に限定されることなく、断面楕円形,多角形等の非円形であってもよい。
【0017】
例えば、親指以外の4本の指(人差し指、中指、薬指及び小指)が印刷指U1となる場合には、図3に示すように、ユーザーは印刷指挿入部20aに4本の印刷指U1を挿入し、非印刷指挿入部20bに非印刷指U2である親指を挿入する。この場合、ユーザーが印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することにより、印刷指U1が掴み部20cの上で固定される。
また、親指のみが印刷指U1となる場合には、親指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入し、親指以外の4本の指(非印刷指U2)を非印刷指挿入部20bに挿入する。この場合にも、ユーザーが印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することで印刷指U1が固定される。
【0018】
また、図4は、本実施形態に係るネイルプリント装置1の正面側の断面図であり、図5は、ネイルプリント装置1の側断面図である。
図4及び図5に示すように、撮影部30は、機枠11の中の上部機枠11bに設けられている。
すなわち、上部機枠11bに設置された基板31の中央部下面には、ドライバーを内蔵した200万画素程度以上の画素を有する電子カメラ32が設置されている。また、基板31には、電子カメラ32を囲むように白色LED等の照明灯33が設置されている。撮影部30は、この電子カメラ32及び照明灯33を備えて構成されている。
この撮影部30は、指載置部である印刷指挿入部20aに載置された印刷指U1を照明灯33によって照明し、電子カメラ32によってその印刷指U1を撮影して、当該印刷指U1に対応する爪Tの爪領域画像を含む指画像を取得する指爪画像取得部であり、この撮影部30は、後述する制御装置50に接続され、該制御装置50によって制御されるようになっている。
【0019】
また、印刷部40は、印刷指U1の爪T(図3等参照)に色や模様等の印刷を施すものである。本実施形態では、印刷部40は、主として上部機枠11bに設けられている。すなわち、図4及び図5に示すように、上部機枠11bの両側板には、2本のガイドロッド41が平行に架設されている。このガイドロッド41には、主キャリッジ42が摺動自在に設置されている。また、図5に示すように、主キャリッジ42の前壁42a及び後壁42bには2本のガイドロッド44が平行に架設されている。このガイドロッド44には、副キャリッジ45が摺動自在に設置されている。この副キャリッジ45の下面中央部には、印刷ヘッド46が搭載されている。
本実施形態において、この印刷ヘッド46は、インクを微滴化し、被印字媒体に対し直接に吹き付けて印刷を行うインクジェット方式の印刷ヘッドである。なお、印刷ヘッド46の記録方式はインクジェット方式に限定されない。
【0020】
主キャリッジ42は、動力伝達部(図示せず)を介してモーター43に連結されている。主キャリッジ42は、モーター43の正逆回転によって、印刷指挿入部20a及び隔壁21の上方においてガイドロッド41に沿って左右方向に移動するように構成されている。また、副キャリッジ45は動力伝達部(図示せず)を介してモーター47に連結されている。副キャリッジ45は、モーター47の正逆回転によって、印刷指挿入部20a及び隔壁21の上方においてガイドロッド44に沿って前後方向に移動するように構成されている。ガイドロッド41に沿った前後方向がX方向であり、ガイドロッド44に沿った左右方向をY方向であり、印刷ヘッド46の位置や印刷指U1の爪Tの位置はXY直交座標系で表される。
また、下部機枠11aには、印刷ヘッド46にインクを供給するためのインクカートリッジ48が設けられている。インクカートリッジ48は、図示しないインク供給管を介して印刷ヘッド46と接続されており、適宜印刷ヘッド46にインクを供給するようになっている。なお、印刷ヘッド46自体にインクカートリッジを搭載する構成としてもよい。
【0021】
印刷部40は、これらガイドロッド41、主キャリッジ42、モーター43、ガイドロッド44、副キャリッジ45、印刷ヘッド46、モーター47及びインクカートリッジ48等を備えて構成されている。
【0022】
操作部12は、ユーザーが各種入力を行うための入力装置である。操作部12は、ユーザーにより操作されると、その操作に伴う操作信号を出力する。本実施形態では、操作部12には、例えば、図1に示すように、ネイルプリント装置1の電源をONする電源ボタン120、ネイルデザイン画像を指定する設定ボタン121、各種の指定・選択を確定させるための確定ボタン122、印刷を開始させるスイッチである印刷ボタン123等が設けられている。
【0023】
表示部13は、例えば液晶パネル(液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display))等で構成された表示部である。
なお、表示部13の表面に、タッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、図示しないスタイラスペンや指先等によるタッチ操作により、表示部13の表面をタッチすることによっても各種の入力を行うことができるように構成される。
【0024】
表示部13には、例えば、印刷指U1を撮影した指画像やその中の爪Tを表す爪領域画像、印刷指U1の爪Tに印刷すべきネイルデザイン、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示画面等が表示されるようになっている。印刷中における表示部13の表示内容については後に詳述する。
【0025】
制御装置50は、例えば上部機枠11bに配置された基板31等に設置されている。図6は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
図6に示すように、制御装置50は、中央制御部51、プログラムメモリ52、メモリ57、印刷ドライバー60、照明回路64、ディスプレイドライバー65及びバスライン66等を備える。印刷ドライバー60は、モータードライバー61、モータードライバー62及びヘッドドライバー63等を備える。
【0026】
中央制御部51、プログラムメモリ52、メモリ57、モータードライバー61、モータードライバー62、ヘッドドライバー58、照明回路64、電子カメラ32、ディスプレイドライバー65及び操作部12はバスライン66に接続されている。バスライン66は、中央制御部51、プログラムメモリ52、メモリ57、モータードライバー61、モータードライバー62、ヘッドドライバー58、照明回路64、電子カメラ32、ディスプレイドライバー65及び操作部12の間でデータや信号を転送するものである。
【0027】
モータードライバー61は、中央制御部51の指令に従ってモーター43を駆動する。モータードライバー62は、中央制御部51の指令に従ってモーター47を駆動する。ヘッドドライバー58は、中央制御部51の指令に従って印刷ヘッド46を駆動する。照明回路64は、中央制御部51の指令に従って照明灯33の点灯、消灯及び調光を行う。ディスプレイドライバー65は、中央制御部51の指令に従って表示部13を駆動する。
【0028】
プログラムメモリ52には、複数の印刷用ネイルデザイン画像54が格納されている。印刷用ネイルデザイン画像54は、印刷指U1の爪Tに印刷される画像である。
プログラムメモリ52には、複数の表示用ネイルデザイン画像55が格納されている。表示用ネイルデザイン画像55は、印刷中に表示部13に表示される画像であって、表示部13に表示されるのに適した解像度・画素数のものである。これら印刷用ネイルデザイン画像54と表示用ネイルデザイン画像55は一対一で対応付けられている。印刷用ネイルデザイン画像54とそれに対応付けられた表示用ネイルデザイン画像55は、解像度及び画素数が異なる同じ画像である。
なお、印刷用ネイルデザイン画像54や表示用ネイルデザイン画像55が外部記憶媒体(例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブ)に格納されていてもよい。その場合、リーダー・ライターがバスライン66に接続され、外部記憶媒体がリーダー・ライターに装着されると、外部記憶媒体に格納された印刷用ネイルデザイン画像54及び表示用ネイルデザイン画像55がリーダー・ライターによって読み取り可能となる。
【0029】
プログラムメモリ52には、ネイルプリント装置1の機能に係るプログラム53及びデータ等が格納されている。このプログラム53は、中央制御部51にとって読み取り可能なプログラムである。
【0030】
メモリ57は、中央制御部51のワーキングメモリ等として使用される。
【0031】
中央制御部51は、ネイルプリント装置1の各部を制御するCPU等を具備する。プログラム53が中央制御部51に各種の機能を持たせ、中央制御部51がプログラム53に従って各種処理を行う。具体的には、プログラム53は、中央制御部51を印刷画像選択部51a、表示画像選択部51b、撮像制御部51c、爪領域検出部51d、印刷画像データ生成部51e、表示画像データ生成部51f、印刷制御部51g、進捗状況検出部51h、残存時間計算部51i及び表示制御部51jとして機能させる。
【0032】
印刷画像選択部51aは、操作部12から出力された操作信号に従って、プログラムメモリ52に格納された複数の印刷用ネイルデザイン画像54の中から、印刷する画像を選択する。
表示画像選択部51bは、プログラムメモリ52に格納された複数の表示用ネイルデザイン画像55の中から、印刷画像選択部51aによって選択された印刷用ネイルデザイン画像54に対応付けられた表示用ネイルデザイン画像55を選択する。
【0033】
撮像制御部51cは、電子カメラ32に撮像を行わせて、電子カメラ32によって撮像された画像を取得する。
【0034】
爪領域検出部51dは、撮像制御部51cによって取得された撮像画像から、印刷指挿入部20a内に挿入された印刷指U1の爪Tの位置、大きさ及び範囲を検出する。具体的には、爪領域検出部51dは、撮像制御部51cによって取得された撮像画像に対してエッジ検出処理等の画像処理を行うことによって、撮像画像に含まれる爪領域及びそのエッジを認識し、その爪領域のエッジ上の各点の位置を検出する。そして、爪領域検出部51dは、撮像画像の座標系で表されたエッジの各点の位置(座標)を、XY直交座標系で表された爪Tの輪郭線上の各点の位置(座標)に換算する。
【0035】
印刷画像データ生成部51eは、印刷画像選択部51aによって選択された印刷用ネイルデザイン画像54から印刷画像データを生成する。つまり、印刷画像データ生成部51eは、印刷画像選択部51aによって選択された印刷用ネイルデザイン画像54の座標変換を行うことによって、印刷用ネイルデザイン画像54の各画素の座標をXY直交座標系の座標に変換する。座標変換後の印刷用ネイルデザイン画像54を印刷画像データという。
【0036】
表示画像データ生成部51fは、表示画像選択部51bによって選択された表示用ネイルデザイン画像55から表示画像データを生成する。つまり、表示画像データ生成部51fは、表示画像選択部51bによって選択された表示用ネイルデザイン画像55の座標変換を行うことによって、表示用ネイルデザイン画像55の各画素の座標を撮像画像の座標系の座標に変換する。座標変換後の表示用ネイルデザイン画像55を表示画像データという。
【0037】
印刷制御部51gは、印刷ドライバー60(モータードライバー61、モータードライバー62及びヘッドドライバー63)を介して印刷部40(モーター43,モーター47及び印刷ヘッド46)を制御し、印刷指U1の爪Tに対する印刷画像データの印刷を印刷部40に行わせる。
【0038】
進捗状況検出部51hは、印刷制御部51gの制御によって進行されている印刷の進捗状況を検出する。具体的には、進捗状況検出部51hは、印刷画像データのうち、既に印刷された領域(以下、既印刷領域という。)と未だ印刷さていない領域(以下、未印刷領域という。)とを判別する。また、進捗状況検出部51hは、表示画像データのうち、既印刷領域に相当する領域(以下、既印刷領域相当領域という。)と、未印刷領域に相当する領域(未印刷領域相当領域という。)とを判別する。
【0039】
残存時間計算部51iは、印刷制御部51gの制御によって進行されている印刷が終了するまでの残存時間を計算する。
【0040】
表示制御部51jは、ディスプレイドライバー65を介して表示部13を制御することによって、各種の画像を表示部13に表示させる。具体的には、表示制御部51jは、表示画像データのうち、進捗状況検出部51hによって判別された既印刷領域に相当する既印刷領域相当領域を表示部13に表示させ、進捗状況検出部51hによって判別された未印刷領域に相当する未印刷領域相当領域を表示させない。既印刷領域の表示に際しては、表示制御部51jは、撮像制御部51cによって取得された撮像画像中の爪領域のエッジの内側に既印刷領域相当領域を配置するようにして既印刷領域相当領域を撮像画像に合成して、既印刷領域相当領域を撮像画像とともに表示部13に表示させる。また、表示制御部51jは、残存時間計算部51iによって計算された残存時間も併せて表示部13に表示させる。表示制御部51jによって制御された表示部13に表示される画面の例を図7に示す。
【0041】
図7に示すように、表示部13には、撮像制御部51cによって取得された撮像画像(指画像)131が表示される。表示された撮像画像131には、爪領域(爪画像)132が含まれている。表示画像データのうち、進捗状況検出部51hによって判別された既印刷領域に相当する既印刷領域相当領域133が、爪領域132の内側に配置されるように表示される。また、表示画面の隅部には残存時間表示領域135が配置され、残存時間計算部51iによって計算された残存時間が数値で残存時間表示領域135の内側に表示される。また、残存時間表示領域135の近傍には、印刷ステータス表示領域136が配置され、印刷中である旨が印刷ステータス表示領域136内に表示される。
【0042】
表示制御部51jは、未印刷領域相当領域の表示を行わないのではなく、未印刷領域相当領域と既印刷領域相当領域とを識別して、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を表示部13に表示させてもよい。未印刷領域相当領域と既印刷領域相当領域の識別表示に際しては、表示制御部51jは、撮像制御部51cによって取得された撮像画像中の爪領域のエッジの内側に未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を配置するようにして未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像に合成して、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像とともに表示部13に表示させる。また、表示制御部51jは、残存時間計算部51iによって計算された残存時間も未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域とともに表示部13に表示させる。表示制御部51jによって制御された表示部13に表示される画面の例を図8、図9に示す。
【0043】
図8、図9に示すように、表示部13には、撮像制御部51cによって取得された撮像画像131が表示される。表示された撮像画像131には、爪領域132が含まれている。既印刷領域相当領域133及び未印刷領域相当領域134は、爪領域132の内側に配置されるように表示される。既印刷領域相当領域133と未印刷領域相当領域134が識別できるように、既印刷領域相当領域133と未印刷領域相当領域134が表示される。
例えば、図8に示すように、未印刷領域相当領域134は中抜きされて、その未印刷領域相当領域134のエッジが表示部13に表示され、既印刷領域相当領域133は中抜きされずに表示部13に表示される。
また、図9に示すように、未印刷領域相当領域134が表示部13に半透明表示され、既印刷領域相当領域133が表示部13に不透明表示される。半透明表示とは、未印刷領域相当領域134の各画素値が、不透明表示における未印刷領域相当領域134の各画素値と背景の画素値との平均値となるような表示をいう。
また、図示を省略するが、未印刷領域相当領域134が点滅表示され、既印刷領域相当領域133が常時表示されてもよい。
中抜き表示(図8)、半透明表示(図9)、点滅表示の何れの場合でも、残存時間計算部51iによって計算された残存時間が数値で残存時間表示領域135の内側に表示されるとともに、印刷中である旨が印刷ステータス表示領域136内に表示される。
【0044】
続いて、図10を参照しつつ、プログラム53に従った中央制御部51の処理の流れを説明するとともに、中央制御部51の処理に基づくネイルプリント装置1の動作について説明する。
【0045】
このネイルプリント装置1により印刷を行う場合、ユーザーはまず、電源スイッチを入れて制御装置50を起動させ、印刷指U1の爪Tに印刷したいネイルデザインを設定ボタン121及び確定ボタン122によって選択する(ステップS1)。ネイルデザインの選択は、印刷指U1毎に行う。
【0046】
具体的には、プログラム53が中央制御部51を印刷画像選択部51a及び表示画像選択部51bとして機能させる。そうすると、中央制御部51はプログラムメモリ52に格納された複数の印刷用ネイルデザイン画像54をサムネイル画像として表示部13に表示させる。そして、ユーザーが設定ボタン121を操作することによって表示部13に表示された複数のサムネイル画像の中から選択して、確定ボタン122を押下する。中央制御部51は、ユーザーによる設定ボタン121及び確定ボタン122の操作に従って、プログラムメモリ52に格納された複数の印刷用ネイルデザイン画像54の中から印刷用ネイルデザイン画像54を選択するとともに、それに対応付けられた表示用ネイルデザイン画像55を選択する。
【0047】
そして、ユーザーが印刷指U1を印刷指挿入部20a内に挿入し、印刷指U1の爪Tを上に向けて印刷指U1を印刷指載置面(隔壁21の上面)に置く。
【0048】
次に、ユーザーが印刷ボタン123を押下すると、その旨の操作信号が印刷ボタン123から中央制御部51に出力される。そうすると、プログラム53が中央制御部51を撮像制御部51cとして機能させる。撮像制御部51cとして機能した中央制御部51は、照明灯33を点灯させ、電子カメラ32に撮像動作を行わせる(ステップS2)。電子カメラ32が撮像動作を行うと、指や爪の像を含む撮像画像が電子カメラ32によって出力され、中央制御部51がその撮像画像を取得する。
【0049】
次に、中央制御部51が、電子カメラ32によって撮像された撮像画像を表示部13に表示させる(ステップS3)。
【0050】
次に、プログラム53が中央制御部51を爪領域検出部51dとして機能させ、中央制御部51は、撮像画像に基づいて、印刷指U1の爪Tの位置、大きさ及び範囲を検出する(ステップS4)。つまり、中央制御部51は、撮像画像に含まれる爪領域のエッジ上の各点の位置を検出するとともに、エッジ上の各点の位置(座標)を爪Tの輪郭線上の各点の位置(座標)に換算する。
【0051】
次に、プログラム53が中央制御部51を表示画像データ生成部51fとして機能させる。そうすると、中央制御部51は、選択された表示用ネイルデザイン画像55の各画素の座標を撮像画像の座標系の座標に変換して、表示画像データを生成する(ステップS5)。つまり、中央制御部51は、選択された表示用ネイルデザイン画像55のサイズ等を変更するとともに、その表示用ネイルデザイン画像55を撮像画像中の爪領域のエッジの内側に配置するように表示用ネイルデザイン画像55の座標を撮像画像の座標系の座標に変換する。
【0052】
次に、プログラム53が中央制御部51を印刷画像データ生成部51eとして機能させる。そうすると、中央制御部51は、選択された印刷用ネイルデザイン画像54の各画素の座標をXY直交座標系の座標に変換して、印刷画像データを生成する(ステップS6)。つまり、中央制御部51は、選択された印刷用ネイルデザイン画像54のサイズ等を変更するとともに、その印刷用ネイルデザイン画像54を爪Tの輪郭線(爪Tの輪郭線上の各点の位置はXY直交座標系で表されている。)の内側に配置するように印刷用ネイルデザイン画像55の座標をXY直交座標系の座標に座標変換する。
【0053】
次に、中央制御部51は、印刷画像データから印刷時間を計算する(ステップS7)。印刷時間とは、印刷部40によって印刷指U1の印刷が開始された時からその印刷が終了する時までの時間である。
【0054】
次に、中央制御部51は、ステップS7で算出した印刷時間を、ステップS3で表示した撮像画像とともに表示部13に表示させる(ステップS8)。
【0055】
次に、プログラム53が中央制御部51を印刷制御部51gとして機能させ、中央制御部51が印刷ドライバー60を介して印刷部40を制御することによって、印刷部40に印刷動作を進行させる(ステップS9)。そのため、印刷指U1の爪Tに対する印刷画像データの印刷が印刷部40によって施される。
【0056】
具体的には、中央制御部51がモータードライバー61,62を介してモーター43,47を制御することによって、印刷ヘッド46が爪Tの上においてX方向及びY方向に間欠的に移動する。つまり、中央制御部51がモーター47を所定刻みで動作させることによって、印刷ヘッド46がY方向に所定間隔ずつ間欠的に移動し、モーター47の動作が停止している時に、中央制御部51がモーター43を動作させることによって印刷ヘッド46がX方向に往復移動する。そして、印刷ヘッド46がX方向に往復移動している時に、中央制御部51は、ステップS6で生成した印刷画像データに基づいてヘッドドライバー63を介して印刷ヘッド46を制御する。これにより、印刷ヘッド46が、爪Tに向けてインクを繰り返し吐出する。そのため、爪Tには、印刷画像データに従った画像が形成されていく。
【0057】
印刷の進行中、プログラム53が中央制御部51を進捗状況検出部51hとして機能させ、中央制御部51が印刷画像データのうち既印刷領域と未印刷領域とを判別する(ステップS10)。また、中央制御部51は、表示画像データのうち既印刷領域相当領域と未印刷領域相当領域とを判別する。
【0058】
印刷の進行中、プログラム53が中央制御部51を残存時間計算部51iとして機能させ、中央制御部51が印刷開始時からの経過時間を計算するとともに、ステップS7で算出した印刷時間から経過時間を減じることで得られた差を算出する(ステップS11)。その差は、印刷残存時間である。
【0059】
そして、プログラム53が中央制御部51を表示制御部51jとして機能させ、図8、図9に示すように、中央制御部51が未印刷領域相当領域と既印刷領域相当領域とを識別して、これらの領域を表示部13に表示させる(ステップS12)。この際、中央制御部51は、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像中の爪領域のエッジの内側に配置するようにして、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像に合成して、未印刷領域相当領域及び既印刷領域相当領域を撮像画像とともに表示部13に表示させる。また、中央制御部51は、ステップS11で算出した印刷残存時間も併せて表示部13に表示させる。印刷残存時間は数値で表示される。なお、中央制御部51が未印刷領域相当領域を表示部13に表示させずに、既印刷相当領域を表示部13に表示させてもよい(図7参照)。
【0060】
中央制御部51は、以上のようなステップS9〜ステップS12の処理を繰り返し行う(ステップS13:NO)。従って、印刷部40によって印刷が継続され(ステップS9)、未印刷領域相当領域と既印刷領域相当領域の識別表示が行われるとともに(ステップS12)、印刷残存時間の表示も行われる(ステップS12)。ステップS9〜ステップS12の処理が繰り返される度に、中央制御部51が進捗状況の検出(ステップS10)と印刷残存時間の計算(ステップS12)を行うので、表示部13に表示されている印刷残存時間が減っていくとともに、未印刷領域相当領域の面積も減っていき、既印刷領域相当領域の面積が増えていく。
【0061】
そして、印刷画像データの全ての領域の印刷が終了したら(ステップS13:YES)、図11に示すように、表示画像データの全ての領域が既印刷領域相当領域133となって、表示画像データの全体が表示部13に表示される。その後、中央制御部51は図10に示す処理を終了する。
【0062】
その後、次の印刷指U1の爪Tに印刷を施す場合には、中央制御部51が図10に示す処理を再度行う。
【0063】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置1によれば、印刷の進捗状況が表示部13に表示されるから、ユーザーは印刷中の爪Tの印刷指U1を動かしていけない時間を直感的に理解することができる。そのため、ユーザーが快適にネイルデザイン加工を楽しむことができる。
また、ユーザーは次の印刷指U1の爪Tの印刷開始までの時間を直感的に理解することができる。そのため、印刷指U1の印刷中に、ユーザーが次の印刷指U1に違和感を得た場合には、次の印刷指U1を動かして良いことが分かる。
【0064】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
指の爪に印刷を施す印刷部と、
印刷画像を表示する表示部と、
印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域とを識別して前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とするネイルプリント装置。
<請求項2>
前記印刷部を制御して、前記印刷部による印刷画像の印刷を進行させる印刷制御部と、
前記印刷制御部によって進行されている印刷の進捗状況を検出して、前記印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域を判別する進捗状況検出部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
<請求項3>
前記表示制御部は、前記進捗状況検出部によって判別された未印刷領域に相当する未印刷領域相当領域を表示させないことを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。
<請求項4>
前記表示制御部は、前記既印刷領域相当領域を前記表示部に常時表示させるとともに、前記未印刷領域相当領域を前記表示部に点滅表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項5>
前記表示制御部は、前記未印刷領域相当領域を前記表示部に半透明表示させるとともに、前記既印刷領域相当領域を前記表示部に不透明表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項6>
前記表示制御部は、前記未印刷領域相当領域を中抜きして前記未印刷領域相当領域のエッジを前記表示部に表示させるとともに、前記既印刷領域相当領域を中抜きせずに前記既印刷領域相当領域を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項7>
前記印刷制御部によって進行されている印刷が終了するまでの残存時間を計算する残存時間計算部を更に備え、
前記表示制御部は、前記残存時間計算部によって計算された残存時間とともに、前記既印刷領域相当領域と前記未印刷領域相当領域を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。
【符号の説明】
【0065】
1 ネイルプリント装置
13 表示部
40 印刷部
51 中央制御部
51g 印刷制御部
51h 進捗状況検出部
51i 残存時間計算部
51j 表示制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指の爪に印刷を施す印刷部と、
印刷画像を表示する表示部と、
印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域とを識別して前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とするネイルプリント装置。
【請求項2】
前記印刷部を制御して、前記印刷部による印刷画像の印刷を進行させる印刷制御部と、
前記印刷制御部によって進行されている印刷の進捗状況を検出して、前記印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域を判別する進捗状況検出部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記進捗状況検出部によって判別された未印刷領域に相当する未印刷領域相当領域を表示させないことを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記既印刷領域相当領域を前記表示部に常時表示させるとともに、前記未印刷領域相当領域を前記表示部に点滅表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記未印刷領域相当領域を前記表示部に半透明表示させるとともに、前記既印刷領域相当領域を前記表示部に不透明表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記未印刷領域相当領域を中抜きして前記未印刷領域相当領域のエッジを前記表示部に表示させるとともに、前記既印刷領域相当領域を中抜きせずに前記既印刷領域相当領域を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項7】
前記印刷制御部によって進行されている印刷が終了するまでの残存時間を計算する残存時間計算部を更に備え、
前記表示制御部は、前記残存時間計算部によって計算された残存時間とともに、前記既印刷領域相当領域と前記未印刷領域相当領域を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。
【請求項1】
指の爪に印刷を施す印刷部と、
印刷画像を表示する表示部と、
印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域とを識別して前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とするネイルプリント装置。
【請求項2】
前記印刷部を制御して、前記印刷部による印刷画像の印刷を進行させる印刷制御部と、
前記印刷制御部によって進行されている印刷の進捗状況を検出して、前記印刷画像のうち既印刷領域と未印刷領域を判別する進捗状況検出部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記進捗状況検出部によって判別された未印刷領域に相当する未印刷領域相当領域を表示させないことを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記既印刷領域相当領域を前記表示部に常時表示させるとともに、前記未印刷領域相当領域を前記表示部に点滅表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記未印刷領域相当領域を前記表示部に半透明表示させるとともに、前記既印刷領域相当領域を前記表示部に不透明表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記未印刷領域相当領域を中抜きして前記未印刷領域相当領域のエッジを前記表示部に表示させるとともに、前記既印刷領域相当領域を中抜きせずに前記既印刷領域相当領域を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項7】
前記印刷制御部によって進行されている印刷が終了するまでの残存時間を計算する残存時間計算部を更に備え、
前記表示制御部は、前記残存時間計算部によって計算された残存時間とともに、前記既印刷領域相当領域と前記未印刷領域相当領域を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−94184(P2013−94184A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236657(P2011−236657)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
[ Back to top ]