説明

ネジ脱落防止用部品

【課題】振動や繰り返し衝撃等によりネジが緩んだ場合でも、緩んだネジが脱落しないようにすることができ、前記ネジに対向する位置に設置可能なネジ脱落防止用部品を提供する。
【解決手段】ネジ7の脱落を防止するために用いられるネジ脱落防止用部品11Aであって、ネジ脱落防止用部品11Aは、高さが調整可能であり、ネジ7の頭部に対向する位置の部材9面に着脱可能に設置される。この際、ネジ脱落防止用部品11Aは、ネジ7の頭部に対向する位置の部材9面に、ネジ7の頭部との間に距離を置いて設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジの脱落を防止するために用いられるネジ脱落防止用部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品を装置内部にネジ止めした装置では、装置の振動や繰り返し衝撃によりネジが緩み、装置内部でネジが脱落する。ネジが脱落すると、脱落したネジによって装置内部でショートが発生する可能性がある。
【0003】
ネジの緩みを防止するネジ緩み防止策として、ネジ先端に接着剤が付いたネジを使用することやスプリングワッシャやナット等を使用することが一般的である。
【0004】
しかし、上述のように接着剤やスプリングワッシャやナット等を使用する場合でも、装置に加わる全ての負荷(振動及び衝撃)を予想し評価することは困難であり、想定外の振動や繰り返し衝撃等に対してはネジが緩み、脱落し、脱落したネジによって装置内部でショートが発生するといった可能性が残ってしまう。
【0005】
特許文献1(特開2005−329867号公報)は、段落[0040]及び[0041]及び図6に、突起31は前面カバー30に形成されていて、前面カバー30をハウジング2bに取り付けることで、突起31がネジ48の脱落を防止することを開示している。
【0006】
特許文献2(特開2006−339603号公報)は、段落[0029]及び[0034]及び図1に、下部カバー33のリブ81が上部カバー固定ねじ35のねじ頭部71に近接している。これにより、仮に上部カバー固定ねじ35が緩んだとしても、ねじ頭部71がリブ81に当たり、緩みの進行を阻止することができ、ストラップの抜けを防止できることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−329867号公報
【特許文献2】特開2006−339603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、振動や繰り返し衝撃等によりネジが緩んだ場合でも、緩んだネジが脱落しないようにすることができ、前記ネジに対向する位置に設置可能なネジ脱落防止用部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
ネジの脱落を防止するために用いられるネジ脱落防止用部品であって、高さが調整可能であり、前記ネジの頭部に対向する位置の部材面に着脱可能に設置されることを特徴とするネジ脱落防止用部品が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、振動や繰り返し衝撃等によりネジが緩んだ場合でも、緩んだネジが脱落しないようにすることができ、前記ネジに対向する位置に設置可能なネジ脱落防止用部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の基となったネジ脱落防止構造を有する装置の断面図である。
【図2】図1に示された装置を、ネジが緩んだ状態にて示した断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるネジ脱落防止用部品を2個用いた装置の断面図である。
【図4】図3に示された装置を、ネジが緩んだ状態にて示した断面図である。
【図5】(A)及び(B)は、図3に示された装置において用いられた2個のネジ脱落防止用部品を説明するための図である。
【図6】図3に示された装置において用いられたネジ脱落防止用部品の高さが調節可能な様子を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態によるネジ脱落防止用部品を、部品に取り付けた状態にて示した図である。
【図8】図7において用いられたネジ脱落防止用部品を種々の方向から見た図である。
【図9】(A)、(B)、及び(C)は、図7において用いられたネジ脱落防止用部品を部品に取り付ける方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1を参照すると、本発明の基となったネジ脱落防止構造を有する装置が示されている。図1においては、カバー1に部品2をネジ3で固定しており、ネジ3の頭部に対向して配置されるカバー4にはネジ3の緩み長さを規制するリブ4Aが設けられている。カバー4には、リブ4Aがカバー4と一体に設けられている。
【0014】
図2を参照すると、図1に示された装置が、ネジ3が緩んだ状態にて示されている。ネジ3が緩んでも、ネジ3がリブ4Aに当たり、カバー4に設けられたリブ4Aによって、ネジ3の脱落は防止される。
【0015】
しかしながら、図1で示したようなリブ4Aをカバー4に一体に設けることが出来ない場合もある。
【0016】
本発明は、カバー4にリブ4Aを一体に設けることが出来ない場合に対処できるようにしたものであり、以下に本発明について図面を参照して説明する。
【0017】
図3を参照すると、本発明の第1の実施形態によるネジ脱落防止用部品を2個用いた装置が示されている。図3に示された装置は、カバー5に部品(又は部材)6がネジ7により固定され、カバー8に部品(又は部材)9がネジ10により固定された構造を有する。この装置において2個のネジ脱落防止用部品は、部品11A及び部品11Bとして示されている。
【0018】
部品11Aは、ネジ7の脱落を防止するために用いられるネジ脱落防止用部品であって、高さが調整可能であり、ネジ7の頭部に対向する位置の部材9面に着脱可能に設置されている。部品11Bは、ネジ10の脱落を防止するために用いられるネジ脱落防止用部品であって、高さが調整可能であり、ネジ10の頭部に対向する位置の部材6面に着脱可能に設置されている。
【0019】
詳細には、図3に示すように、ネジ7の頭部に対向して配置される部品(又は部材)9には、ネジ7の緩み長さを規制する部品(ネジ脱落防止用部品)11Aが、ネジ10の頭部との間に距離を置いて、両面テープ(後述する)によって貼付け設置されている。ネジ10の頭部に対向して配置される部品6には、ネジ10の緩み長さを規制する部品(ネジ脱落防止用部品)11Bが、ネジ10の頭部との間に距離を置いて、両面テープ(後述する)によって貼付け設置されている。
【0020】
このように、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aは、ネジ7の頭部に対向する位置の部材9面に、ネジ7の頭部との間に距離を置いて設置され、部品(ネジ脱落防止用部品)11Bは、ネジ10の頭部に対向する位置の部材6面に、ネジ10の頭部との間に距離を置いて設置される。
【0021】
図4を参照すると、図3に示された装置が、ネジ7及び10が緩んだ状態にて示されている。ネジ7が緩んでも、ネジ7が、部品9に貼付け設置された部品(ネジ脱落防止用部品)11Aに当たり、この部品9に貼付け設置された部品(ネジ脱落防止用部品)11Aによってネジ7の脱落は防止される。同様に、ネジ10が緩んでも、ネジ10が、部品6に貼付け設置された部品(ネジ脱落防止用部品)11Bに当たり、この部品6に貼付け設置された部品(ネジ脱落防止用部品)11Bによってネジ10の脱落は防止される。
【0022】
図5(A)には、図3に示された装置において用いられた部品(ネジ脱落防止用部品)11Aの詳細構成が示されており、図5(B)には、図3に示された装置において用いられた部品(ネジ脱落防止用部品)11Bの詳細構成が示されている。
【0023】
図5(A)及び(B)に示すように、部品(ネジ脱落防止用部品)11A及び11Bは、上穴を有するベース12と、該上穴に嵌合する溝を有し、ベース12に高さ調整可能に差し込まれた(嵌め込まれた)シャフト13とを有する。
【0024】
詳細には、部品(ネジ脱落防止用部品)11A及び11Bは、下端が開口され、上端に上穴を有する上板を有する筒状のベース12と、該上穴に嵌合する溝を有し、ベース12に高さ調整可能に差し込まれた(嵌め込まれた)シャフト13を有する。
【0025】
部品(ネジ脱落防止用部品)11A及び11Bは、ベース12の底部に一面を貼付けられた両面テープ14を有する。部品(ネジ脱落防止用部品)11Aは、両面テープ14の他面を、ネジ7の頭部に対向する位置の部材9面に貼付けることにより設置される(図3参照)。同様に、部品(ネジ脱落防止用部品)11Bは、両面テープ14の他面を、ネジ10の頭部に対向する位置の部材6面に貼付けることにより設置される(図3参照)。
【0026】
部品(ネジ脱落防止用部品)11A及び11Bは、図5に示すように、ベース12にシャフト13が高さ調節可能に差し込まれた(嵌め込まれた)構造であり、シャフト13はベース12に対して移動及び固定させることが出来る。部品(ネジ脱落防止用部品)11A及び11Bは、同一の部品(ベース12、シャフト13)によって構成されており、シャフト13を固定した場所が違う状態である。部品(ネジ脱落防止用部品)11A及び11Bにおいて、ベース12及びシャフト13は、弾性(バネ性)のある材質からなる。弾性のある材質とは、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック(合成樹脂)である。
【0027】
図6を参照すると、図3に示された装置において用いられた部品(ネジ脱落防止用部品)11Aの高さが調節可能な様子が示されている。上述したように、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aは、下端が開口され、上端に上穴を有する上板を有する筒状のベース12と、該上穴に嵌合する溝を有し、ベース12に高さ調整可能に差し込まれた(嵌め込まれた)シャフト13を有する。図5(B)の部品(ネジ脱落防止用部品)11Bも、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aと同様な構造を有することは上述したとおりである。
【0028】
以下に、図6を参照して、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aの高さを調節するために部品(ネジ脱落防止用部品)11Aのシャフト13を移動させる動作を説明するが、部品(ネジ脱落防止用部品)11Bの高さを調節するために部品(ネジ脱落防止用部品)11Bのシャフト13の移動も同様に行えることはいうまでもない。
【0029】
図6において、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aのシャフト13の底面13’を押すと、部品(ネジ脱落防止用部品)11Cのように、ベース12及びシャフト13は前述のとおり、弾性(バネ性)のある部品であるので、ベース12の上穴からシャフト13の溝の嵌合が外れ、矢印方向に変形しつつシャフト13が移動する。なお、べース12の底部の両面テープには、シャフト13の底面13’を押せるように孔が形成されている。
【0030】
シャフト13の底面13’をさらに押し続けると、部品(ネジ脱落防止用部品)11Dのように、シャフト13が移動し、ベース12及びシャフト13は前述のとおり、弾性(バネ性)のある部品であるので、矢印方向へ元の状態(ベース12の上穴にシャフト13の溝が嵌合した状態)にもどる。
【0031】
このようにして、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aのシャフト13を移動させることにより、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aの高さを調節することができる。
【0032】
図7を参照すると、本発明の第2の実施形態によるネジ脱落防止用部品が部品11A’として示されている。この部品(ネジ脱落防止用部品)11A’は、図3に示された装置において、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aの代りに、部品(又は部材)9に設置されるものである。
【0033】
この部品(ネジ脱落防止用部品)11A’も、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aと同様に、ネジ7の脱落を防止するために用いられ、高さが調整可能であり、ネジ7の頭部に対向する位置の部材9面に、ネジ10の頭部との間に距離を置いて、着脱可能に設置される。
【0034】
ここで、部品(ネジ脱落防止用部品)11A’は、ベース12の底部に設けた突起21を有する。部品(ネジ脱落防止用部品)11A’は、ネジ7に対向する位置の部材9面に形成された孔20に、ベース12の底部に設けた突起21を押し込むことにより設置される。部品(ネジ脱落防止用部品)11A’も、部品(ネジ脱落防止用部品)11Aと同様に、弾性(バネ性)のある材質、例えば、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック(合成樹脂)からなる。
【0035】
図8には、図7において用いられた部品(ネジ脱落防止用部品)11A’を種々の方向から見た図が示されている。
【0036】
図9(A)、(B)、及び(C)は、図7において用いられた部品(ネジ脱落防止用部品)11A’を部材9面に取り付ける方法を説明するための図である。
【0037】
図7、図8、及び図9から明らかなように、部品(ネジ脱落防止用部品)11A’は、両面テープではなく、ネジ7(図3)に対向する位置の部材9面に形成された孔20に、ベース12の底部に設けた突起21を押し込んで設置する。
【0038】
以上、実施形態を参照して本願発明を詳細に説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解できる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 カバー
2 部品
3 ネジ
4 カバー
4A リブ
5 カバー
6 部品(部材)
7 ネジ
8 カバー
9 部品(部材)
10 ネジ
11A 部品(ネジ脱落防止用部品)
11B 部品(ネジ脱落防止用部品)
11A’ 部品(ネジ脱落防止用部品)
12 ベース
13 シャフト
13’ 底面
14 両面テープ
20 孔
21 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジの脱落を防止するために用いられるネジ脱落防止用部品であって、高さが調整可能であり、前記ネジの頭部に対向する位置の部材面に着脱可能に設置されることを特徴とするネジ脱落防止用部品。
【請求項2】
請求項1に記載のネジ脱落防止用部品において、
前記ネジ脱落防止用部品は、上穴を有するベースと、該上穴に嵌合する溝を有し、前記ベースに高さ調整可能に差し込まれたシャフトとを有することを特徴とするネジ脱落防止用部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のネジ脱落防止用部品において、
前記ネジ脱落防止用部品は、前記ネジの頭部に対向する位置の部材面に、前記ネジの頭部との間に距離を置いて設置されることを特徴とするネジ脱落防止用部品。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のネジ脱落防止用部品において、
前記ネジ脱落防止用部品は、前記ベースの底部に一面を貼付けられた両面テープを有し、前記ネジ脱落防止用部品は、前記両面テープの他面を、前記ネジの頭部に対向する位置の前記部材面に貼付けることにより設置されることを特徴とするネジ脱落防止用部品。
【請求項5】
請求項2又は3に記載のネジ脱落防止用部品において、
前記ネジ脱落防止用部品は、前記ベースの底部に設けた突起を有し、前記ネジ脱落防止用部品は、前記ネジに対向する位置の前記部材面に形成された孔に、前記ベースの底部に設けた前記突起を押し込むことにより設置されることを特徴とするネジ脱落防止用部品。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載のネジ脱落防止用部品において、
前記ベース及び前記シャフトは、弾性のある材質からなることを特徴とするネジ脱落防止用部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−237379(P2012−237379A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106864(P2011−106864)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】