説明

ネットコンベア、これを備える食品加工装置、そのコンベア連結方法及び連結解除方法

【課題】 熟練作業者を必要とせず容易且つ迅速に連結及び解除することができるネットコンベアを提供する。
【解決手段】 本ネットコンベア5は、複数のネット線材20aを編み込んでなるコンベア本体20と、該コンベア本体の両端側のネット線材に設けられる一対の被連結用部材21,22と、該一対の被連結用部材を連結するための連結用部材25と、を備え、前記一対の被連結用部材は、該一対の被連結用部材を突き合わせたときに互いに重なる複数のフック部23を有し、その重ねられた該複数のフック部に該コンベア本体の側方より前記連結用部材が挿通可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットコンベア、これを備える食品加工装置、そのコンベア連結方法及び連結解除方法に関し、さらに詳しくは、熟練作業者を必要とせず容易且つ迅速に連結及び解除することができるネットコンベア、これを用いる食品加工装置、そのコンベア連結方法及びコンベア連結解除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の食品加工装置として、ネットコンベアと、このネットコンベアが水平軸回りに周回自在に設けられた槽と、を備えるフライヤ(油揚げ器)や各種ボイル機器等が一般に知られている。
また、上記ネットコンベアとしては、多数本のネット線材を無端状に編み込んでなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記食品加工装置では、槽の内壁において、液面(油面等)と接触し且つネットコンベアの側方である部位が汚れ易く、ネットコンベアの連結状態を解除して、槽からネットコンベアを取り外してその汚れた部位を清掃する必要があった。
しかし、従来の上記ネットコンベアは、多数本のネット線材を編み込んでなされているので、ネットコンベアの連結状態を解除する際には、1本のネット線材を比較的強い力で折り曲げつつ編み込みを解く必要があり、また槽内壁の清掃後にネットコンベアを再連結する際には、やはり1本のネット線材を比較的強い力で折り曲げつつ編み込んでいく必要ある。その結果、ネット線材の折り曲げ具合によっては、ネットコンベアを真直ぐに再連結できない恐れがあるため、上記ネット線材の解き作業及び編み込み作業は、熟練者によって行われていることが現状であった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−212324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上より本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、熟練作業者を必要とせず容易且つ迅速に連結及び解除することができるネットコンベアを提供することを目的とする。また、本発明は、上記ネットコンベアを好適に用いる食品加工装置、そのコンベア連結方法及びコンベア連結解除方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.複数のネット線材を編み込んでなるコンベア本体と、該コンベア本体の両端側のネット線材に設けられる一対の被連結用部材と、該一対の被連結用部材を連結するための連結用部材と、を備え、
前記一対の被連結用部材は、該一対の被連結用部材を突き合わせたときに互いに重なる複数のフック部を有し、その重ねられた該複数のフック部に該コンベア本体の側方より前記連結用部材が挿通可能とされていることを特徴とするネットコンベア。
2.前記一対の被連結用部材は、前記複数のフック部を形成する螺旋状線材を有する上記1.記載のネットコンベア。
3.前記連結用部材は線材からなる上記1.又は2.に記載のネットコンベア。
4.前記連結用部材の挿通先端と反対の基端側には、該連結用部材の挿通を規制する挿通規制部が設けられている上記1.乃至3.のいずれか一項に記載のネットコンベア。
5.前記連結用部材には、前記複数のフック部のピッチ間隔に対応して折り曲げ形成された曲折部が設けられている上記1.乃至4.のいずれか一項に記載のネットコンベア。
6.前記曲折部は、前記連結用部材の挿通先端と反対の基端側に設けられている上記5.記載のネットコンベア。
7.食品搬送用である上記1.乃至6.のいずれか一項に記載のネットコンベア。
8.上記1.乃至7.のいずれか一項に記載のネットコンベアと、該ネットコンベアが水平軸回りに周回自在に設けられている槽と、を備えることを特徴とする食品加工装置。
9.前記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持する支持テーブルを更に備え、該支持テーブルには、該ネットコンベアの両端側に係止して一対の被連結用部材の移動を規制する移動規制具を取着可能な取着部が設けられている上記8.記載の食品加工装置。
10.前記支持テーブルは、前記ネットコンベアに所定のテンションを付与するテンション付与位置と、そのテンションを緩めるテンション緩め位置との間で変位自在に支持されている上記9.記載の食品加工装置。
11.上記8.乃至10.のいずれか一項に記載の食品加工装置のコンベア連結方法であって、
ネットコンベアの両端側の一対の被連結用部材の複数のフック部を互いに重ね、その重ねられた該複数のフック部に該ネットコンベアの側方より連結用部材を挿通して該一対の被連結用部材を連結することを特徴とする食品加工装置のコンベア連結方法。
12.前記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持する支持テーブル上に、前記複数のフック部が互いに重ねられた前記ネットコンベアの両端側を支持して、その重ねられた前記複数のフック部に前記ネットコンベアの側方より前記連結用部材を挿通して該一対の被連結用部材を連結する上記11.記載の食品加工装置のコンベア連結方法。
13.前記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持する支持テーブル上に、前記複数のフック部が互いに重ねられた前記ネットコンベアの両端側を支持すると共に、該支持テーブルに、前記ネットコンベアの両端側に係止して一対の被連結用部材の移動を規制する移動規制具を取着して、その重ねられた前記複数のフック部に前記ネットコンベアの側方より前記連結用部材を挿通して該一対の被連結用部材を連結する上記11.記載の食品加工装置のコンベア連結方法。
14.上記8.乃至10.のいずれか一項に記載の食品加工装置のコンベア連結解除方法であって、
ネットコンベアの両端側の一対の被連結用部材の互いに重ねられた複数のフック部に挿通された連結用部材を、該ネットコンベアの側方より引き抜いて該一対の被連結用部材を連結解除することを特徴とする食品加工装置のコンベア連結解除方法。
15.前記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持する支持テーブル上に、前記ネットコンベアの両端側を支持して、その重ねられた前記複数のフック部に挿通された前記連結用部材を、前記ネットコンベアの側方より引き抜いて該一対の被連結用部材を連結解除する上記14.記載の食品加工装置のコンベア連結解除方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のネットコンベアによると、一対の被連結用部材の互いに重ねられた複数のフック部に連結用部材が挿通されて一対の被連結用部材が連結され、ネットコンベアが連結状態とされている。従って、複数のフック部に対して連結用部材をネットコンベアの側方より引抜いたり、挿通したりすれば、熟練作業者を必要とせずネットコンベアを容易且つ迅速に連結・解除することができる。
また、前記一対の被連結用部材が、前記複数のフック部を形成する螺旋状線材を有する場合は、各フック部をより確実且つ容易に重ねることができ、コンベアの連結・解除作業をさらに容易に行うことができる。また、被連結用部材を、より簡易且つ安価な構造とすることができる。
また、前記連結用部材が線材からなる場合は、連結用部材を、より簡易且つ安価な構造とすることができる。
また、前記連結用部材の挿通先端と反対の基端側に、該連結用部材の挿通を規制する挿通規制部が設けられている場合は、連結用部材を挿通する際に、挿通規制部によって、連結用部材の挿通方向への抜け止めを図ることができる。
また、前記連結用部材に、前記複数のフック部のピッチ間隔に対応して折り曲げ形成された曲折部が設けられている場合は、ネットコンベアの連結状態において、曲折部がフック部の内周側に係止するので、一対の被連結用部材をより確実に連結することができる。
また、前記曲折部が、前記連結用部材の挿通先端と反対の基端側に設けられている場合は、フック部に対する曲折部の係止状態を確認し易く、一対の被連結用部材をさらに確実に連結することができる。
さらに、食品搬送用である場合は、食品を好適に搬送することができる。
【0008】
本発明の食品加工装置によると、熟練作業者を必要とせずネットコンベアを容易且つ迅速に連結・解除することができる。その結果、槽内壁の清掃作業をより容易且つ迅速に行うことができる。
また、前記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持する支持テーブルを更に備え、該支持テーブルには移動規制具を取着可能な取着部が設けられている場合は、特にネットコンベアを連結する際に、支持テーブルに移動規制具を取着すれば、その移動規制具がネットコンベアの両端側に係止して一対の被連結用部材の移動が規制され、一対の被連結用部材の各フック部の重ね合わせ状態を保持できる。その結果、必要最小限(実質的に1人)の作業者によってネットコンベアを連結することができる。
さらに、前記支持テーブルが、テンション付与位置とテンション緩め位置との間で変位自在に支持されている場合は、テンション緩め位置に位置する支持テーブル上で、ネットコンベアの連結・解除をより好適に行うことができる。
【0009】
本発明の食品加工装置のコンベア連結方法によると、一対の被連結用部材の複数のフック部を互いに重ね、その重ねられた複数のフック部にネットコンベアの側方より連結用部材を挿通して一対の被連結用部材が連結される。従って、熟練作業者を必要とせずネットコンベアを容易且つ迅速に連結することができる。
また、支持テーブル上に、ネットコンベアの両端側を支持して、その重ねられた複数のフック部に連結用部材を挿通する場合は、ネットコンベアをより容易且つ迅速に連結することができる。
また、支持テーブル上に、ネットコンベアの両端側を支持すると共に移動規制具を取着して、その重ねられた複数のフック部に連結用部材を挿通する場合は、ネットコンベアをさらに容易且つ迅速に連結することができる。
【0010】
本発明の食品加工装置のコンベア連結解除方法によると、一対の被連結用部材の互いに重ねられた複数のフック部に挿通された連結用部材を、ネットコンベアの側方より引き抜いて一対の被連結用部材が連結解除される。従って、熟練作業者を必要とせずネットコンベアを容易且つ迅速に連結解除することができる。
また、支持テーブル上に、ネットコンベアの両端側を支持して、その重ねられた複数のフック部に挿通された連結用部材を引き抜く場合は、ネットコンベアをより容易且つ迅速に連結解除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
1.ネットコンベア
本実施形態に係るネットコンベアは、以下に述べるコンベア本体、一対の被連結用部材及び連結用部材を備えて構成されている。このネットコンベアの用途は特に問わないが、食品搬送用であることが好ましい。
【0012】
上記「コンベア本体」は、複数のネット線材を編み込んでなる限り、その構造、大きさ、材質等は特に問わない。
上記ネット線材は、例えば、1本の長尺状の線材を複数箇所で折り曲げて形成され、多数の凹部を有していることができる。このネット線材としては、例えば、ステンレス製等の金属製、プラスチック製等を挙げることができる。
【0013】
上記「一対の被連結用部材」は、上記コンベア本体の両端側を構成する上記ネット線材に連結され得る限り、その構造、大きさ、材質等は特に問わない。
上記一対の被連結用部材には、一対の被連結用部材を突き合わせたときに互いに重なる複数のフック部がそれぞれ設けられている。その重ね合わせ状態の各フック部によって、通常、コンベア本体の幅方向に貫通し且つコンベア本体の側方から後述の連結用部材が挿通可能な挿通空間が形成される。
【0014】
上記複数のフック部は、例えば、各被連結用部材の長尺方向に沿って所定のピッチ間隔で配設されていることができる。また、上記フック部としては、例えば、環状、鉤状等を挙げることができる。なお、上記フック部は、通常、ネットコンベアを周回駆動させるスプロケットとの噛合い部位には配設されない。
【0015】
上記一対の被連結用部材は、例えば、上記複数のフック部を構成する螺旋状線材を有することができる。上記螺旋状線材は、例えば、1本の線材を螺旋状に折り曲げて形成されることができる。
上記一対の被連結用部材は、例えば、上記コンベア本体の両端側を構成する上記ネット線材に取着される取着線材と、この取着線材に取着され且つ上記複数のフック部を構成する螺旋状線材と、を有することができる。なお、上記取着線材及び上記螺旋状線材の取着形態としては、例えば、溶接、ロウ付け、接着、カシメ固定等を挙げることができる。
なお、上記取着線材及び上記螺旋状線材は、例えば、上記ネット線材と同じ材質であることができる。
【0016】
上記「連結用部材」は、上記一対の被連結用部材を連結するためのものである限り、その構造、大きさ、材質等は特に問わない。
上記連結用部材は、例えば、線材からなることができる。この線材は、例えば、上記ネット線材と同じ材質であることができる。特に、上記連結用部材が1本の線材からなることが好ましい。
【0017】
上記連結用部材の挿通先端と反対の基端側には、例えば、この連結用部材の挿通を規制する挿通規制部が設けられていることができる。この挿通規制部は、通常、コンベア本体の両端側のネット線材の端部及び/又は上記一対の被連結用部材の端部に当接して連結用部材の挿通移動を規制するようになっている。
なお、上記連結用部材が1本の線材からなる場合には、上記挿通規制部は、例えば、その線材の一端側を環状に折り曲げて形成されることができる。
【0018】
上記連結用部材には、例えば、上記複数のフック部のピッチ間隔に対応して折り曲げ形成された曲折部が設けられていることができる。この曲折部は、通常、上記フック部の内周側に係止される。また、上記曲折部の形状としては、例えば、波線状、ジグザグ線状等を挙げることができる。
上記曲折部の配設形態としては、例えば、(1)連結用部材の挿通先端と反対の基端側に設けられている形態、(2)連結用部材の挿通先端側に設けられている形態、(3)連結用部材の長尺方向の全長に至って設けられている形態、(4)連結用部材の長尺方向の中央部に設けられている形態等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0019】
2.食品加工装置
本実施形態に係る食品加工装置は、上述のネットコンベア及び以下に述べる槽を備えて構成される。この食品加工装置は、例えば、後述する支持テーブルを更に備えることができる。
上記食品加工装置としては、例えば、フライヤ(食品油揚げ機)、各種ボイル機器等を挙げることができる。
【0020】
上記「槽」は、ネットコンベアが水平軸回りに周回自在に設けられている限り、その構造、大きさ、材質等は特に問わない。この槽は、例えば、その内部に収容される液体(油、水等)を加熱するヒータを備えていることができる。
【0021】
上記「支持テーブル」は、上記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持し得る限り、その構造、大きさ、材質等は特に問わない。この支持テーブルには、後述する移動規制具を取着可能な取着部が設けられている。この取着部としては、例えば、凹部、筒部、係止部等を挙げることができる。
【0022】
上記支持テーブルは、例えば、ネットコンベアに所定のテンションを付与するテンション付与位置Aと、そのテンションを緩めるテンション緩め位置Bとの間で変位自在に支持されていることができる(図2参照)。
なお、耐熱性といった観点から、上記支持テーブルがフッ素樹脂製であることが好ましい。
【0023】
上記「移動規制具」は、ネットコンベアの両端側に係止して一対の被連結用部材の移動を規制し得る限り、その構造、大きさ、材質等は特に問わない。
上記移動規制具は、例えば、コンベア本体を構成するネット線材及び/又は上記一対の被連結用部材に係止することができる。また、上記移動規制具は、例えば、複数の線材を組付けてなることができる。
【0024】
3.食品加工装置のコンベア連結方法
本実施形態に係る食品加工装置のコンベア連結方法は、例えば、上述の食品加工装置を用いるコンベア連結方法であって、上記一対の被連結用部材の複数のフック部を互いに重ね、その重ねられた複数のフック部にネットコンベアの側方より上記連結用部材を挿通して一対の被連結用部材を連結することを特徴とする。
【0025】
上記コンベア連結方法は、例えば、上記支持テーブル上に、複数のフック部が互いに重ねられた上記ネットコンベアの両端側を支持して、その重ねられた複数のフック部にネットコンベアの側方より上記連結用部材を挿通して一対の被連結用部材を連結することができる。この場合、上記支持テーブルが、上記テンション緩め位置に位置していることが好ましい。
【0026】
上記コンベア連結方法は、例えば、上記支持テーブル上に、複数のフック部が互いに重ねられた上記ネットコンベアの両端側を支持すると共に、この支持テーブルに、上記移動規制具を取着して、この移動規制具によりネットコンベアの両端側を係止して一対の被連結用部材の移動を規制した状態で、その重ねられた複数のフック部にネットコンベアの側方より上記連結用部材を挿通して一対の被連結用部材を連結することができる。この場合、上記支持テーブルが、上記テンション緩め位置に位置していることが好ましい。
【0027】
4.食品加工装置のコンベア連結解除方法
本実施形態に係るコンベア連結解除方法は、上述の食品加工装置を用いるコンベア連結解除方法であって、上記一対の被連結用部材の互いに重ねられた複数のフック部に挿通された上記連結用部材を、ネットコンベアの側方より引き抜いて一対の被連結用部材を連結解除することを特徴とする。
【0028】
上記コンベア連結解除方法は、例えば、上記支持テーブル上に、ネットコンベアの両端側を支持して、その重ねられた複数のフック部に挿通された連結用部材を、ネットコンベアの側方より引き抜いて一対の被連結用部材を連結解除することができる。この場合、上記支持テーブルが、上記テンション緩め位置に位置していることが好ましい。
【実施例】
【0029】
以下、図面に基づいて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「食品加工装置」としてフライヤを例示する。
【0030】
(1)フライヤの構成
本実施例に係るフライヤ1は、図1に示すように、ヒータ2を内蔵した油槽3を備えている。この油槽3内の底側には、水平軸回りに周回可能に下側ネットコンベア4が設けられている。また、油槽3内の上側には、水平軸回りに周回可能に上側ネットコンベア5(本発明に係る「ネットコンベア」として例示する。)が設けられている。
【0031】
図2及び図3に示すように、上記フライヤ1の左右の支持フレーム7にはコンベア幅方向に沿って支持軸8が固定されている。この支持軸8には、左右の揺動アーム9の基端部が軸支されている。一方の揺動アーム9の先端側には、作業者により指先操作される操作部9aが設けられている。また、各揺動アーム9の先端側には、上記支持軸8と平行な支持軸10が固定され、この支持軸10には軸方向に沿って複数の支持片11が軸支されている。これら各支持片11の上端側には、平板状の支持板12が溶着されている。この支持板12の上面には、複数の固定ネジ13を介してコンベア全幅に延びるフッ素樹脂製の支持テーブル15が装着されている。
【0032】
上記支持テーブル15によって、上側ネットコンベア5の上側周回部の下面が支持される。そして、上記揺動アーム9の操作部9aを揺動操作することによって、支持テーブル15は、上側ネットコンベア5に所定のテンションを付与するテンション付与位置Aと、そのテンションを緩めるテンション緩め位置Bとの間で変位されるようになっている。
【0033】
次に、移動規制具17について説明する。
上記移動規制具17は、図4に示すように、コ字状に折り曲げられた複数の曲折線材17aの上面に複数の直線状線材17bを溶着してなされている。そして、各曲折線材17aの下端側が、図5に示すように、上記固定ネジ13の頭部13aに形成された凹部14(本発明に係る「取着部」として例示する。)に着脱自在に取着される。この移動規制具の取着状態において、上記移動規制具17が上側ネットコンベア5の両端部に係止するようになっている。
【0034】
次に、上側ネットコンベア5について説明する。
上記上側ネットコンベア5は、図6及び図7に示すように、折り曲げ形成された多数本のネット線材20aを編み込んでなるコンベア本体20を備えている。このコンベア本体20の両端側を構成する各ネット線材20aには、一対の被連結用部材21,22が設けられている。各被連結用部材21,22は、コンベア本体20の両端側を構成するネット線材20aに溶着された複数の取着線材21a,22aと、この取着線材21a,22aに溶着された複数の螺旋状線材21b,22bと、を有している。この螺旋状線材21b,22bによって、コンベア幅方向に沿って多数の環状のフック部23が所定のピッチ間隔で形成されている。そして、図8及び図9に示すように、上記一対の被連結用部材21,22を突き合わせたときに、各被連結部材21,22のフック部23はその突合せ方向に互いに重なり合うようになっている。このとき、各フック部23によって、コンベア幅方向に貫通した挿通空間S(図7参照)が形成されることとなる。
なお、上側ネットコンベア5とスプロケット6(図1参照)とが噛合う部分には、上記フック部23が設けられていない。
【0035】
上側ネットコンベア5は、図6及び図7に示すように、上記一対の被連結用部材21,22を連結するための連結用部材25を備えている。この連結用部材25は、コンベア全幅と略同じ長さを有する1本の線材を折り曲げてなされている。この連結用部材25の一端側には、連結用部材25を上記挿通空間Sに挿通する際に、一対の被連結用部材21,22の端部に当接する環状の挿通規制部25aが設けられている。また、この連結用部材25の一端側には、上記各フック部23のピッチ間隔に対応して折り曲げ形成された波線状の曲折部25bが設けられている。
ここで、図8及び図9に示すように、上記連結用部材25を上記挿通空間Sに挿通した状態で、上側ネットコンベア5に所定のテンションがかけられると、連結用部材25の曲折部25bが各フック部23の内周側に係止されるようになっている(図10参照)。
【0036】
(2)フライヤの作用
次に、上記構成のフライヤ1の作用について説明する。
上記フライヤ1では、油槽3内の油がヒータ2で加熱されると共に、下側ネットコンベア4及び上側ネットコンベア5が所定方向に周回駆動される(図1参照)。その状態より、投入口28から油槽3内に食品(例えば、冷凍コロッケ等)が投入されると、その食品は油槽3内の底側に沈み下側ネットコンベア4により搬送される。その搬送途中で、十分に加熱された食品が油中を上昇して上側ネットコンベア5に達すると、この上側ネットコンベア5により搬送される。その後、食品は、再び下側ネットコンベア4により搬送され、最終的に排出口29から排出されることとなる。
なお、上記フライヤ1で食品を油揚げする際には、上記支持テーブル15はテンション付与位置Aに位置されている。
【0037】
次に、コンベア連結解除作用について説明する。
先ず、テンション付与位置Aに位置する支持テーブル15上に、上側ネットコンベア5の両端部(即ち、各被連結用部材21,22及び連結用部材25)を支持させる。この状態より、揺動アーム9を揺動操作することによって、支持テーブル15をテンション緩め位置Bに位置させる(図2参照)。次に、各フック部23の挿通空間Sに挿通された連結用部材25を上側ネットコンベア5の側方から引き抜くと、一対の被連結用部材21,22が連結解除される。次いで、その連結解除された上側ネットコンベア5を油槽3内から取り外し、油槽3の内壁において、油面と接触し且つ上側ネットコンベア5の側方である汚れた部位の清掃が行われる。
【0038】
次に、コンベア連結作用について説明する。
先ず、連結解除された上側ネットコンベア5を油槽3内に再び取り付け、テンション緩め位置Bに位置する支持テーブル15上に、この上側ネットコンベア5の両端部(即ち、各被連結用部材21,22及び連結用部材25)を支持させる。そして、一対の被連結用部材21,22を突き合わせて、その突合せ方向に各フック部23を重ね合わせる。次に、支持テーブル15上に移動規制具17を取着して、上側ネットコンベア5の両端部のネット線材20aに移動規制具17を係止させて、上側ネットコンベア5の両端部が拡がらないように、即ち、一対の被連結用部材21,22が離れないようにする(図5参照)。次いで、その重ね合わされた各フック部23の挿通空間Sに上側ネットコンベア5の側方より連結用部材25を挿通して一対の被連結用部材21,22が連結される。その後、支持テーブル15をテンション付与位置Aに位置させれば、上側ネットコンベア5が周回可能な状態とされる。
【0039】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の上側ネットコンベア5によると、一対の被連結用部材21,22の互いに重ね合わされた各フック部23の挿通空間Sに連結用部材25が挿通されて一対の被連結用部材21,22が連結され、ネットコンベア5が連結状態とされている。従って、各フック部23に対して連結用部材25をネットコンベア5の側方より引抜いたり、挿通したりすれば、熟練作業者を必要とせずネットコンベア5を容易且つ迅速に連結・解除することができる。
【0040】
また、本実施例では、各被連結用部材21,22を、複数本の螺旋状線材21b,22bからなるようにしたので、この螺旋状線材21b,22bにより形成される各フック部23をより容易且つ確実に重ね合わせることができる。また、被連結用部材21,22を、より簡易且つ安価な構造とすることができる。
【0041】
また、本実施例では、連結用部材25を、1本の線材からなるようにしたので、連結用部材25を、より簡易且つ安価な構造とすることができる。
また、本実施例では、連結用部材25の一端部に、この連結用部材25の挿通移動を規制する挿通規制部25aを設けたので、連結用部材25を各フック部23の挿通空間Sに挿通する際に、この挿通規制部25aによって、連結用部材25の挿通方向への抜け止めを図ることができる。
さらに、本実施例では、連結用部材25の一端部に、各フック部23のピッチ間隔に対応して折り曲げ形成された曲折部25bを設けたので、所定のテンションが付与されたネットコンベア5の連結状態において、曲折部25bが各フック部23の内周側に係止して一対の被連結用部材21,22をより確実に連結することができる。
【0042】
本実施例のフライヤ1によると、上述の上側ネットコンベア5を備えるので、熟練作業者を必要とせず、ネットコンベア5の着脱を容易且つ迅速に行え、油槽3の内壁の清掃作業を容易且つ迅速に行うことができる。
また、本実施例では、ネットコンベア5の上側周回部の下面を支持し、且つ、テンション付与位置A及びテンション緩め位置Bの間で変位可能な支持テーブル15を備えてフライヤ1を構成したので、テンション緩め位置Bに位置する支持テーブル15上に、ネットコンベア5の両端部を支持すれば、ネットコンベア5の連結・解除をより好適に行うことができる。
また、本実施例では、ネットコンベア5の連結作業をする際に、支持テーブル15に移動規制具17を装着して、ネットコンベア5の両端部の拡がりを抑制するようにしたので、必要最小限(実質的に1人)の作業者によってネットコンベア5を連結することができる。
【0043】
尚、本発明においては、前記実施例に限られず、目的、用途に基づいて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、食品加工装置としてフライヤ1を例示したが、これに限定されず、例えば、ベーグル(焼きパン)等をボイルする各種ボイル機器としてもよい。
また、上記実施例では、ネットコンベアとして上側ネットコンベア5を例示したが、これに限定されず、例えば、下側ネットコンベア4にも同じ構成を適用してもよい。
さらに、上記実施例では、ネットコンベアの連結作業を移動規制具17を用いて行うようにしたが、これに限定されず、例えば、ネットコンベアの連結解除作業を移動規制具17を用いて行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
ネットコンベアを連結・解除する技術として利用される。特に、フライヤ、ボイル機器等で使用される食品搬送用のネットコンベアを連結・解除する技術として好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施例に係るフライヤの要部断面側面図である。
【図2】図1のII部拡大図である。
【図3】図2のII矢視図である。
【図4】本実施例に係る移動規制具の斜視図である。
【図5】本実施例に係る支持テーブルの側面図である。
【図6】本実施例に係るネットコンベアの連結解除状態を示す展開図である。
【図7】図6のVII矢視要部拡大図である。
【図8】本実施例に係るネットコンベアの連結状態を示す展開図である。
【図9】図8のIX矢視要部拡大図である。
【図10】所定のテンションが付与された状態のネットコンベアの連結形態を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1;フライヤ、3;油槽、5;上側ネットコンベア、14;凹部、15;支持テーブル、17;移動規制具、20;コンベア本体、20a;ネット線材、21、22;被連結用部材、21b,22b;螺旋状線材、23;フック部、25;連結用部材、25a;挿通規制部、25b;曲折部、A;テンション付与位置、B;テンション緩め位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネット線材を編み込んでなるコンベア本体と、該コンベア本体の両端側のネット線材に設けられる一対の被連結用部材と、該一対の被連結用部材を連結するための連結用部材と、を備え、
前記一対の被連結用部材は、該一対の被連結用部材を突き合わせたときに互いに重なる複数のフック部を有し、その重ねられた該複数のフック部に該コンベア本体の側方より前記連結用部材が挿通可能とされていることを特徴とするネットコンベア。
【請求項2】
前記一対の被連結用部材は、前記複数のフック部を形成する螺旋状線材を有する請求項1記載のネットコンベア。
【請求項3】
前記連結用部材は線材からなる請求項1又は2に記載のネットコンベア。
【請求項4】
前記連結用部材の挿通先端と反対の基端側には、該連結用部材の挿通を規制する挿通規制部が設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のネットコンベア。
【請求項5】
前記連結用部材には、前記複数のフック部のピッチ間隔に対応して折り曲げ形成された曲折部が設けられている請求項1乃至4のいずれか一項に記載のネットコンベア。
【請求項6】
前記曲折部は、前記連結用部材の挿通先端と反対の基端側に設けられている請求項5記載のネットコンベア。
【請求項7】
食品搬送用である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のネットコンベア。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のネットコンベアと、該ネットコンベアが水平軸回りに周回自在に設けられている槽と、を備えることを特徴とする食品加工装置。
【請求項9】
前記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持する支持テーブルを更に備え、該支持テーブルには、該ネットコンベアの両端側に係止して一対の被連結用部材の移動を規制する移動規制具を取着可能な取着部が設けられている請求項8記載の食品加工装置。
【請求項10】
前記支持テーブルは、前記ネットコンベアに所定のテンションを付与するテンション付与位置と、そのテンションを緩めるテンション緩め位置との間で変位自在に支持されている請求項9記載の食品加工装置。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項に記載の食品加工装置のコンベア連結方法であって、
ネットコンベアの両端側の一対の被連結用部材の複数のフック部を互いに重ね、その重ねられた該複数のフック部に該ネットコンベアの側方より連結用部材を挿通して該一対の被連結用部材を連結することを特徴とする食品加工装置のコンベア連結方法。
【請求項12】
前記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持する支持テーブル上に、前記複数のフック部が互いに重ねられた前記ネットコンベアの両端側を支持して、その重ねられた前記複数のフック部に前記ネットコンベアの側方より前記連結用部材を挿通して該一対の被連結用部材を連結する請求項11記載の食品加工装置のコンベア連結方法。
【請求項13】
前記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持する支持テーブル上に、前記複数のフック部が互いに重ねられた前記ネットコンベアの両端側を支持すると共に、該支持テーブルに、前記ネットコンベアの両端側に係止して一対の被連結用部材の移動を規制する移動規制具を取着して、その重ねられた前記複数のフック部に前記ネットコンベアの側方より前記連結用部材を挿通して該一対の被連結用部材を連結する請求項11記載の食品加工装置のコンベア連結方法。
【請求項14】
請求項8乃至10のいずれか一項に記載の食品加工装置のコンベア連結解除方法であって、
ネットコンベアの両端側の一対の被連結用部材の互いに重ねられた複数のフック部に挿通された連結用部材を、該ネットコンベアの側方より引き抜いて該一対の被連結用部材を連結解除することを特徴とする食品加工装置のコンベア連結解除方法。
【請求項15】
前記ネットコンベアの上側周回部の下面を支持する支持テーブル上に、前記ネットコンベアの両端側を支持して、その重ねられた前記複数のフック部に挿通された前記連結用部材を、前記ネットコンベアの側方より引き抜いて該一対の被連結用部材を連結解除する請求項14記載の食品加工装置のコンベア連結解除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−290529(P2006−290529A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112800(P2005−112800)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(591135358)愛技産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】