説明

ネットコンベア

【課題】 無端ネットの弛緩と緊張の切り替えをハンドルによる一操作で容易にしかも調整不要に行うことができ、無端ネットの脱着を熟練を要することなく簡単に行うことができるネットコンベアを提供する。
【解決手段】 従動側スプロケットホイール14の軸受16を、コンベアチェーン13の張架方向に前後移動可能にコンベアフレーム12に装着するとともに、ハンドル25を回動させることによりクランク機構27にて連接ロッド23が前後摺動する緊張弛緩切替具20をコンベアフレーム12に取り付けて、その連接ロッド23を軸受16に連結し、ハンドル25を回動させて連接ロッド23と共に軸受16を前後に移動させることにより、無端ネット11の緊張と弛緩を切り替えることができるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ネットをコンベアチェーン又はコンベアベルトにて駆動側回転体と従動側回転体との間に張架し、コンベアチェーン又はコンベアベルトと共に循環させるネットコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平10−250816号公報)には、このようなネットコンベアであって、コンベアチェーンを駆動させる駆動用スプロケット及びこれを回転させる駆動モータを、ネジによる推進により一体的に昇降させることで、無端ネットの張力(テンション)を調整できるようにした構造が開示されている。
【0003】
ところで、本出願人は、例えば特許文献2(特許第2949662号公報)に記載されているように、ネットコンベアを用いた除水機を提供し、製造・販売している。
【0004】
図1〜図6に、本出願人の提供による除水機の一例を示す。この除水機は、本体ハウジングA内の上部に、下部エアー噴射ユニットBとネットコンベアCとを設置するとともに、このネットコンベアCの上側において上部ユニットカバーDを本体ハウジングA上に上下に開閉自在に装着し、さらに上部ユニットカバーDを上側から覆う防音カバーEを、本体ハウジングA上に上下に開閉自在に装着している。
【0005】
下部エアー噴射ユニットBは、偏平矩形の下部エアーボックス1の上面に、多数のスピンノズル2を上向きにして個々に旋回自在に装着したもので、ネットコンベアCの上部Caと下部Cbとの間において本体ハウジングA内の上部に抜き差し自在に設置されている。
【0006】
上部ユニットカバーDは、ネットコンベアCに対向する下面が開口した箱形で、蝶番4により本体ハウジングAの上面後部に開閉自在に蝶着されている。図6に示すように、この上部ユニットカバーD内において、その天井部に垂設した複数本のガイドロッド3により昇降板5が昇降可能に装架されている。この昇降板5は、上部ユニットカバーDの天井外部に設けた高さ調整ハンドル5aにて高さ調整可能になっている。この昇降板5の下側には、偏平矩形の上部エアーボックス6の下面に多数のスピンノズル7を下向きにして個々に旋回自在に装着した上部エアー噴射ユニットFが着脱自在に装着され、さらにこの上部エアー噴射ユニットFに側部エアー噴射ユニットGが垂設されている。側部エアー噴射ユニットGは、スピンノズル8を横向きにして旋回自在に装着した複数の有底筒体9を、コンベアCの搬送方向に互いに離し、しかも上部エアーボックス6と内部を連通させてその下面に垂設したものである。
【0007】
下部エアーボックス1及び上部エアーボックス6には、図3に示すように、本体ハウジングA内に設置されたそれぞれに対応する2台のブロア10からエアーが供給され、下部エアー噴射ユニットBの多数のスピンノズル2は、コンベアC上を搬送されて上部ユニットカバーD内に入った除水対象物50に旋回しながら下方から上向きにエアーを噴射し、上部エアー噴射ユニットFの多数のスピンノズル7は、コンベアC上を搬送される除水対象物50に旋回しながら上方から下向きにエアーを噴射し、側部エアー噴射ユニットGの複数のスピンノズル8は、コンベアC上を搬送される除水対象物50に旋回しながら横からエアーを噴射する。
【0008】
このような除水機では、除水対象物から水と共に除去された付着物が、ネットコンベアCの無端ネット11の網目に付着すると、衛生上好ましくないため、特に高品位の衛生管理を要求される除水対象物(食品など)の場合には、無端ネットを取り外して洗浄液中や殺菌液中に浸漬して洗浄や除菌することが行われ、その作業を一日に数回行う場合もある。
【0009】
ところが、従来の除水機では、ネットコンベアCの従動側回転体(コンベアチェーンを用いた場合には従動側スプロケットホイール、コンベアベルトを用いた場合には従動側プーリ)の軸受を固定している取付ボルトを外すか緩め、又はテンション付与のためのテンション用スプロケットホイール又はテンション用プーリを別に設けている場合にはその軸止めを緩め、無端ネットを弛緩させてこれを取り外さなければなければならず、また洗浄後は無端ネットを再び張架し、調整して元の緊張状態に戻さなければならないので、その作業が非常に面倒で熟練を要し、限られた作業者しか行うことができなかった。
【0010】
上記の特許文献1に記載のものでは、ネジによりテンションを調整できるが、駆動用スプロケットとこれを回転させる駆動モータとを一体的に移動させるため、構造が複雑で、しかも無端ネットの脱着が難しいという問題がある。
【特許文献1】特開平10−250816号公報
【特許文献2】特許第2949662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、無端ネットの弛緩と緊張の切り替えをハンドルによる一操作で容易にしかも調整不要に行うことができ、無端ネットの脱着を熟練を要することなく簡単に行うことができるネットコンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、無端ネットをコンベアチェーン又はコンベアベルトにて駆動側回転体と従動側回転体との間に張架し、コンベアチェーン又はコンベアベルトと共に循環させるネットコンベアにおいて、従動側回転体の軸受を、コンベアチェーン又はコンベアベルトの張架方向に前後移動可能にコンベアフレームに装着するとともに、ハンドルを回動させることによりクランク機構にて連接ロッドが前後摺動する緊張弛緩切替具をコンベアフレームに取り付けて、その連接ロッドを軸受に連結し、ハンドルを回動させて連接ロッドと共に軸受を前後に移動させることにより、無端ネットの緊張と弛緩を切り替えることができるようにしたことを特徴とする。
【0013】
緊張弛緩切替具は、基板上に固定された案内筒に連接ロッドを摺動自在に貫通させるとともに、ハンドルを基板上に回動自在に枢支し、このハンドルと連接ロッドとをクランクリンクにより連結したものでよい。
【0014】
このネットコンベアは、上記のような除水機用のネットコンベアに用いるのに好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のネットコンベアによれば、従動側回転体の軸受を移動可能にしておいて、この軸受と緊張弛緩切替具のハンドルとを連接ロッドを介して連結し、ハンドルを回動させてその連接ロッドと共に軸受を前後に移動させることにより、無端ネットの緊張と弛緩を切り替えることができるので、無端ネットの緊張と弛緩の切り替えをハンドルによる一操作で容易にしかも調整不要に行うことができ、無端ネットの脱着を熟練を要することなく簡単に行うことができる。
【0016】
請求項2で特定したような緊張弛緩切替具を用いれば、その基板をコンベアフレームに取り付けて、連接ロッドを軸受と連結するだけで、上記のような作用・効果を奏するネットコンベアに構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図7及び図8に、除水機に用いる本実施例のネットコンベアの要部、図9〜図11にこのネットコンベアで用いる緊張弛緩切替具を示す。
【0019】
図7及び図8において、ネットコンベアCの全体は、図1〜図6に示したような除水機におけるコンベアフレーム12に装着され、無端ネット11の両側縁のコンベアチェーン13は、従動側スプロケットホイール14と図示しない駆動側スプロケットホイールとの間に掛け回して張架され、駆動側スプロケットホイールが図示しないモータにより回転されることにより、無端ネット11がコンベアチェーン13と共に循環されるようになっている。
【0020】
従動側スプロケットホイール14の軸15を軸受けしている軸受16は、その軸受基板17によりコンベアフレーム12の側面に次のように前後移動可能に装着されている。
すなわち、軸受基板17は矩形で、その対角位置の2箇所にやや横長の案内孔18が設けられ、これら案内孔18を通じて案内ボルト19がコンベアフレーム12にねじ込み固定されている。これにより、軸受16は、軸受基板17と共にコンベアフレーム12の側面に沿って案内孔18の長さ範囲内で、コンベアチェーン13の張架方向に前後移動可能となっている。
【0021】
その前後移動をハンドル操作で行うため、コンベアフレーム12の側面に次のような緊張弛緩切替具20が取り付けられている。
【0022】
緊張弛緩切替具20は、図9〜図11に示すように、基板21上の一方側に短い案内筒22を固着してこれに連接ロッド23を前後摺動自在に貫通させ、また基板21上の他方側に突出形成した軸受突部24に、ハンドル25の二股部25aを軸ピン26にて回動自在に枢支し、これら連接ロッド23とハンドル25の二股部25aとをクランクリンク27にて連結して、図9から図11に示すようなハンドル24の回動を、連接ロッド23の前後の直線往復摺動に変換できるようにしたものである。連接ロッド23の先端面にはねじ穴23aが設けられている。
【0023】
このような緊張弛緩切替具20の連接ロッド23と軸受基板17とは、後者の一端のブラケット17aから突設した連結ボルト28を、前者のねじ穴23aにねじ込んでナット29で緊締することにより連結されている。
【0024】
従って、緊張弛緩切替具20のハンドル25を、図7において実線で示すように後側(同図において右側)へ回動させたときは(図9に示すように後側へ倒したとき)、連接ロッド23により軸受基板17が軸受16と共に後側(図7において右側)へ押動されるため、無端ネット11がコンベアチェーン13と共に緊張する。
【0025】
一方、図7において破線で示すように前側(同図において左側)へ回動させたときは(図11に示すように前側へ倒したとき)、連接ロッド23により軸受基板17が軸受16と共に前側(図7において左側)へ引き寄せられるため、無端ネット11がコンベアチェーン13と共に弛緩する。
【0026】
このようにハンドル25の倒す方向を切り替えることにより、無端ネット11及びコンベアチェーン13の緊張と弛緩を容易に切り替えることができる。
【0027】
なお、上記の実施例では、無端ネット11をコンベアチェーン13を用いて従動側スプロケットホイール14と駆動側スプロケットホイールとの間に張架したが、コンベアベルトを用いて従動側プーリと駆動側プーリとの間に張架した場合にも、上記と同様の機構で対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】除水機の一例の全体斜視図で、防音カバーを開いた状態である。
【図2】防音カバーを開いた状態の同上の斜視図である。
【図3】同除水機の正面図である。
【図4】同除水機の平面図である。
【図5】同除水機の側面図である。
【図6】同除水機の一部の断面図である。
【図7】本発明によるネットコンベアの要部の平面図である。
【図8】その側面図である。
【図9】同ネットコンベアで使用されている緊張弛緩切替具の斜視図で、ハンドルを後側に倒した状態である。
【図10】同じくハンドルを図9の状態から途中まで前側へ倒した状態の斜視図である。
【図11】同じくハンドルを最大限に前側へ倒した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
C ネットコンベア
11 無端ネット
12 コンベアフレーム
13 コンベアチェーン
14 従動側スプロケットホイール
15 軸
16 軸受
17 軸受基板
17a ブラケット
18 案内孔
19 案内ボルト
20 緊張弛緩切替具
21 基板
22 案内筒
23 連接ロッド
23a ねじ穴
24 軸受突部
25 ハンドル
25a 二股部
26 軸ピン
27 クランクリンク
28 連結ボルト
29 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端ネットをコンベアチェーン又はコンベアベルトにて駆動側回転体と従動側回転体との間に張架し、コンベアチェーン又はコンベアベルトと共に循環させるネットコンベアにおいて、前記従動側回転体の軸受を、前記コンベアチェーン又はコンベアベルトの張架方向に前後移動可能にコンベアフレームに装着するとともに、ハンドルを回動させることによりクランク機構にて連接ロッドが前後摺動する緊張弛緩切替具を前記コンベアフレームに取り付けて、その連接ロッドを前記軸受に連結し、ハンドルを回動させて連接ロッドと共に前記軸受を前後に移動させることにより、前記無端ネットの緊張と弛緩を切り替えることができるようにしたことを特徴とするネットコンベア。
【請求項2】
緊張弛緩切替具は、基板上に固定された案内筒に連接ロッドを摺動自在に貫通させるとともに、ハンドルを基板上に回動自在に枢支し、このハンドルと連接ロッドとをクランクリンクにより連結したものであることを特徴とする請求項1に記載のネットコンベア。
【請求項3】
無端ネット上を搬送される除水対象物にエアーノズルからエアー噴射して除水する除水機に用いられる除水機用ネットコンベアであることを特徴とする請求項1又は2に記載のネットコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−151663(P2006−151663A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348199(P2004−348199)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000183738)春日電機株式会社 (54)
【Fターム(参考)】