説明

ネットワークにおける許容帯域検出方法およびシステムならびに通信装置

【課題】通信サービスを利用するユーザ側での帯域調整を可能にする許容帯域検出方法およびシステム並びに通信装置を提供する。
【解決手段】複数の通信装置(100−1〜100−6)からなるパケット通信ネットワーク(10)において、各通信装置(100)が当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算する許容帯域計算部(107)と、その許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換する帯域情報交換部(108)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパケット通信ネットワークにおける帯域管理技術に係り、特にトラヒック転送可能な許容帯域を検出する方法およびシステムならびに通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、VPN(Virtual Private Network)を構築する際、ネットワークを利用するユーザは、平均的に利用する通信帯域より多くの帯域を確保し、バースト的に通信トラヒックが発生した場合でも通信品質の劣化なくトラヒックを転送できるように設計する。例えば、SONET/SDH(Synchronous Optical Network/Synchronous Digital Hierarchy)やOTN(Optical Transport Network)などのTDM(Time Division Multiplexing)技術を用いて、常に固定帯域(CBR:Constant Bit Rate)を確保する専用線ネットワークや、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)などのパケットネットワークにおいて帯域(CIR:Committed Information Rate)の確保を行なうネットワークなどである。このような通信帯域を確保するネットワークでは、ネットワークマネージメントシステムもしくはシグナリングプロトコル等により通信経路上の通信装置ごとに帯域を確保する必要がある。
【0003】
さらに、通信サービス事業者が提供するサービスの中には、保証帯域を越えたバースト的な通信トラヒックを許容するサービスがある。このようなサービスでは、契約帯域のトラヒックの品質を確保し、契約帯域を超えるトラヒックはネットワーク内の帯域の空き状態に依存してベストエフォートの品質で転送される。
【0004】
このように予め通信帯域を確保する通信システムでは、確保された帯域でのトラヒック転送を保証する一方で、確保帯域以上の帯域のトラヒック(バーストトラヒックと呼ぶ)の要求があった場合、専用線の場合はトラヒック転送を許可しない、もしくはベストエフォートで転送するシステムとなっている。ベストエフォートでのトラヒック転送を用いることにより、ユーザ間でバースト発生するトラヒックのための帯域を共有することができ、ネットワーク全体で帯域の有効活用が可能となるので、近年、通信サービスの主流になっている。
【0005】
上記のベストエフォートのネットワークシステムにおいて、共有帯域を有効に活用するための帯域予約方法が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、特定のユーザが帯域を占有することなく、かつ各ユーザの空き帯域を複数のユーザで共有することにより、帯域の予約の棄却率を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−296136号公報(第27−30頁、図14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したユーザ間で空き帯域を共有する方式では、帯域を事前に確保するので次のような問題が発生する。
【0008】
第1に、通信サービスを利用するトラヒック送信者が瞬時的に発生させるバーストトラヒックに対応できない。通信サービスを利用するためには、空き帯域を計算し帯域の予約を行う必要がある。この帯域予約に要する制御時間は、予測できない瞬時的に発生するバーストトラヒックの時定数と比較して非常に長いため、バースト的に発生するトラヒックに対しては帯域を確保することができない。
【0009】
第2に、限られた帯域を共有するために、あるユーザのトラヒック量が多くなると所望帯域を確保できず予約が棄却される確率が大きくなる。予約が棄却されると、通信サービス自体を開始することができない。しかも、通信サービスを利用するトラヒック送信者は、ネットワークに帯域を要求して確保の手順を実行するまで、帯域が利用できるかどうか不明である。
【0010】
第3に、ユーザがネットワークの状態を把握できないため、帯域を消費するアプリケーションの調停ができない。このため、ユーザは広帯域を必要とするアプリケーションをいつでも転送可能にするために、余分な帯域を予め確保(オーバサブスクリプション)しておく必要がある。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、通信サービスを利用するユーザ側での帯域調整を可能にする許容帯域検出方法およびシステム並びに通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による許容帯域検出システムは、複数の通信装置からなるパケット通信ネットワークにおける許容帯域検出システムであって、各通信装置が、当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算し、その許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換することにより、各トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を検出する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明による許容帯域検出方法は、複数の通信装置からなるパケット通信ネットワークにおける許容帯域検出方法であって、各通信装置が当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算し、各通信装置が前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換することにより各トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を検出する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明による通信装置は、パケット通信ネットワークにおける通信装置であって、トラヒックフローの各々を識別するフロー識別手段と、当該通信装置が受信側通信装置あるいは中継通信装置となるトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算する許容帯域計算手段と、前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換する帯域情報交換手段と、前記許容帯域計算手段が、前記他の通信装置から受信した許容帯域情報の許容帯域と前記利用可能な許容帯域とに基づいて計算した許容帯域をトラヒックフローごとに管理する帯域管理手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通信サービスを利用するユーザ側での帯域調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の一実施形態による許容帯域検出システムを適用したネットワークの構成図である。
【図2】図2は本実施形態における通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は本実施形態による通信システムにおけるフロー帯域管理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は本実施形態における通信装置間で交換される情報を示す模式図である。
【図5】図5は本実施形態による通信システムにおける帯域情報転送の一例を説明するための部分的ネットワーク図である。
【図6】図6は本実施形態における通信装置がEgressノードである場合の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は本実施形態における通信装置がTransitノードである場合の動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は本実施形態における通信装置がIngressノードである場合の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は本実施形態における通信装置あるいはフロー帯域管理装置において管理される許容帯域管理テーブルの一例を示す模式図である。
【図10】図10は本実施形態における許容帯域計算方法を説明するためのトラヒックフローおよび帯域情報転送の一例を示す部分的ネットワーク図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によれば、送信端と受信端との間でトラヒック転送可能な帯域を送信側で知ることができる。より具体的には、ある通信装置において、その通信ポートで転送されるトラヒック量を測定し、トラヒックフローごとに利用可能な許容帯域を計算し、計算した許容帯域を各フローの上流に位置する他の通信装置に転送する。このように、各通信装置がトラヒックフローの流れとは反対方向に許容帯域を通知することで、トラヒックフローごとに許容帯域を収集して当該トラヒックの送信端に開示することができ、トラヒック送信者はバースト的に発生するトラヒック要求のために利用できる帯域を予め知ることが可能となる。
【0018】
1.システム
図1に示すように、本発明の一実施形態による通信システムでは、パケット通信ネットワーク10が複数の通信装置100により構成され、通信装置間が光ファイバもしくは通信可能なメディアにより接続されているものとする。このネットワーク10により複数のユーザサイト20(ユーザのサーバでもよい)が互いに接続される。さらに、ネットワーク10には、帯域情報を保持する一つまたは複数のフロー帯域管理装置200が設けられている。ここでは、図面を煩雑にしないために、6個の通信装置100−1〜100−6、4個のフロー帯域管理装置200−1〜200−4および5つのユーザサイト20−1〜20−5が図示されている。以下、通信装置およびフロー帯域管理装置について詳述する。
【0019】
1.1)通信装置
図2において、本実施形態による通信装置100は、通信ポート部101、スイッチ部102、トラヒック計測部103および制御部104を有し、スイッチ部102が入力ポートから入ってきたトラヒックを特定の出力ポートに切り替え、トラヒック計測部103が入出力トラヒックのそれぞれを計測する。さらに、通信装置100は、フロー識別部105、帯域管理部106、許容帯域計算部107および帯域情報交換部108を有し、制御部104が通信装置100の全体的な動作を制御される。
【0020】
フロー識別部105は、入力ポートから入ってきたトラヒック内のフローを識別し、入出力ポート間のトラヒックフローのマップを管理する機能を備える。ここでトラヒックフローのマップとは、通信装置100内でトラヒックフローが転送される入出力ポート間の論理的な接続情報を指す。
【0021】
帯域管理部106は、各トラヒック計測部103で測定されたトラヒック量やポートの最大帯域を管理する機能を備える。許容帯域計算部107は、帯域管理部106が保持するトラヒック量やポートの最大帯域情報とフロー識別部106が保持するトラヒックフローのマップ情報とに基づいて、後述するいずれかの許容帯域収集方法により各フロー単位に利用許可を与える許容帯域情報を計算する。帯域情報交換部108は、隣接する通信装置との間の接続情報を管理し、利用可能な許容帯域情報の交換を行うためのメッセージを送受信する通信機能を有する。
【0022】
通信装置100が帯域情報を交換することによって収集された各トラヒックフローの許容帯域情報は、フロー帯域管理装置200に保存される。この情報は、定期的に交換される許容帯域情報で更新され、常に最新の状態に維持される。
【0023】
なお、通信装置100における制御部104、フロー識別部105、帯域管理部106、許容帯域計算部107および帯域情報交換部108の機能は、図示しないメモリに格納されたプログラムをコンピュータ上で実行することにより実現することもできる。
【0024】
1.2)フロー帯域管理装置
図3において、フロー帯域管理装置200は、通信装置が収集する帯域情報を取得するネットワーク側のインタフェースである更新情報取得部201と、ユーザからの帯域利用の問合せやその応答を送受信するクライアント側のインタフェースであるユーザ通信部202と、装置全体の動作を制御するための制御部203と、を有する。さらにのフロー帯域管理装置200は、フロー帯域管理部204および帯域情報格納部205と、フロー識別部206および認証データ格納部207と、を備える。
【0025】
更新情報取得部201により収集された許容帯域情報はフロー帯域管理部204により帯域情報格納部205に格納されフローごとに管理される。ユーザ通信部202によりユーザからクエリ(問合せ)を受信すると、認証データ格納部207は認証データ格納部207を参照して当該フローを識別する。フロー帯域管理部204は、帯域情報格納部205に蓄積された帯域情報の中から当該フローに該当する情報を取得し、ユーザ通信部202を通して当該ユーザに対して利用可能な帯域情報を応答する。
【0026】
なお、フロー帯域管理装置200における更新情報取得部201、ユーザ通信部202、制御部203、フロー帯域管理部204およびフロー識別部206の機能は、図示しないメモリに格納されたプログラムをコンピュータ上で実行することにより実現することもできる。
【0027】
1.3)交換情報
図4は隣接する通信装置との間で交換する情報を示す。ここで、隣接とは光ファイバなどで接続された物理的な隣接の場合と、WDMネットワークなどの下位レイヤのネットワークに収容され接続される論理的な隣接の場合の両方を含む。
【0028】
隣接する通信装置間で交換される情報には、本情報を交換するために必要な下位レイヤのMedia dependent information(媒体依存情報)を含む。これは、IPパケットもしくはEthernet(登録商標)フレームのヘッダ情報、もしくはSONET/SDHなどのオーバヘッドバイトなどに相当する。さらに、情報を交換するフローの発信元(Source Address)と発信先(Destination Address)を持ち、発信元/発信先でユニークにフローを識別するためのフロー識別子(Flow Identifier)、およびフローの優先度(Flow Priority)が含まれる。発信元、発信先、フロー識別子およびフロー優先度は、フロー帯域管理部204でフローを識別するために使用される。
【0029】
上記のフロー識別のための情報に加え、交換情報には、さらに、フローが伝達される経路上での最大空帯域情報(Maximum Bandwidth)と各フローに割り当て可能な帯域情報(Assignable Bandwidth)とが含まれる。次に、図5〜図8を参照しながら、本発明における帯域情報の転送方法について説明する。
【0030】
2.帯域情報転送動作
図5に示すネットワークを用いて帯域情報の転送動作の一例を説明する。図5に示すネットワークは図1に示すネットワークの部分ネットワークであり、ユーザXのSite‐1(参照番号20−1)が同じユーザXのSite−3(参照番号20−3)に対してトラヒックを通信装置A−B−C−Dの順で転送する例を示している。このネットワークを用いてユーザXのSite−1とSite−3との間で利用可能な帯域情報をどのように交換するかについて説明する。
【0031】
図5に示す例では、通信装置Aはフローの入口ノード(Ingressノード)に、通信装置BとCは中継ノード(Transitノード)に、通信装置Dは出口ノード(Egressノード)にそれぞれ対応し、上述したように、帯域情報の転送方向はフローとは反対方向(EgressノードからIngressノードへ向かう方向)になる。各通信装置ではフローのどの位置にあるかによって以下に示す許容帯域の計算および帯域情報の通知を行う。
【0032】
2.1)Egress処理手順
図6に示すEgress処理手順は、あるトラヒックフローにおいてEgressノードとなる通信装置100において実行される。Egress通信装置100のフロー識別部105は、トラヒックフローの方向に関して上流側にある通信装置に対して帯域の通知が必要なフローの検出を行う(ステップS301)。ここで、帯域の通知が必要なフローとは、当該通信装置100がEgressとなっているトラヒックフローを指す。
【0033】
次に、許容帯域計算部107は、検出されたフローに対して予め設定されたタイマ間隔で該当フローが利用する上流側の通信リンク(図5におけるリンクC→D)の最大の空き帯域を計算し(ステップS302)、続いて該当フローが利用できる帯域を計算する(ステップS303)。利用可能な帯域の計算方法については後述する。
【0034】
利用可能な計算が終了すると、帯域情報交換部108は、ステップS302で計算した当該上流リンクの最大帯域情報とステップS303で計算した各フローで利用可能な帯域情報とを上流側の通信装置(図5では通信装置C)にリンク(C←D)を用いて送信する(ステップS304)。上記の手順は、新たなトラヒックフローが検出されたときに開始され、各フローに対する最大帯域は設定されたタイマ間隔でステップS302に示す手順が繰り返される。
【0035】
2.2)Transit処理手順
図7に示すTransit処理手順は、あるトラヒックフローにおいてTransitノードとなる通信装置100において実行される。Transit通信装置100のフロー識別部105は、上記Egress処理手順と同様に、トラヒックフローの方向に関して上流側にある通信装置に対して帯域の通知が必要なフローの検出を行う(ステップS401)。
【0036】
次に、許容帯域計算部107は、検出されたフローに対して予め設定されたタイマ間隔で該当フローが利用する上流側の通信リンク(図5におけるリンクB→C、通信装置BではリンクA→B)の最大空帯域を計算する(ステップS402)。ここで、下流側装置から空き帯域の通知を受信した場合(ステップS403;YES)、許容帯域計算部107は、後述する方式のいずれかを用いて該当フローが利用可能な帯域を計算し、当該ノードで計算した利用可能な帯域と下流側から通知された利用可能な帯域とを比較し、小さい方の帯域を利用可能帯域として選択する(ステップS404)。
【0037】
帯域情報交換部108は、選択された当該フローの利用可能帯域情報を上流側の通信装置(図5においては、通信装置Bもしくは通信装置A)にリンク(B←CもしくはA←C)を使って通知する(ステップS405)。なお、下流側装置から空き帯域の通知を受信していない場合は(ステップS403;NO)、ステップS402へ戻り、設定されたタイマ間隔で最大空き帯域の計算を繰り返す。上記の手順は、新たなトラヒックフローが検出されたときに開始し、各フローに対する最大帯域は設定されたタイマ間隔でステップS402に示す手順が繰り返される。
【0038】
2.3)Ingress処理手順
図8に示すIngress処理手順は、あるトラヒックフローにおいてIngressノードとなる通信装置100において実行される。Ingress通信装置100のフロー識別部105は、新たなトラヒックフローがユーザサイトから送信されたときに、帯域を計算すべき該当フローを検出する(ステップS501)。この該当フローに対して、下流側の通信装置から空き帯域の情報を受信すると(ステップS502;YES)、許容帯域計算部107は、後述する方式のいずれかを用いて該当フローが利用可能な帯域を計算し、当該ノードで計算した利用可能な帯域と下流側から通知された利用可能な帯域とを比較し、小さい方の帯域を利用可能帯域として選択する(ステップS503)。こうして選択された利用可能帯域は該当フロー単位で帯域管理部106に登録され、もしくは既に登録されているフローであれば更新される(ステップS504)。
【0039】
2.4)帯域管理情報
上述したように、トラヒックフローのEgress通信装置、Transit通信装置およびIngress通信装置が動作をすることにより、帯域管理部106に図9に例示するような許容帯域管理テーブルが格納される。
【0040】
図9に示す許容帯域管理テーブルの情報のうち、フローの発信元(Source Address)と発信先(Destination Address)、フロー識別子(Flow Identifier)、フローの優先度(Flow Priority)、フローが伝達される経路上での最大空帯域情報(Maximum Bandwidth)と各フローに割り当て可能な帯域情報(Assignable Bandwidth)は、図4に示す通信装置間で交換される情報の項目と同じであるが、最大帯域情報(Maximum Bandwidth)および割当可能な帯域情報(Assignable Bandwidth)はIngress通信装置が最終的に計算した値がそれぞれ登録される。
【0041】
3.許容帯域の計算方法
次に、各通信装置100における上述した最大帯域および利用可能な帯域の計算方法について説明する。トラヒックフローの経路によっては、経路上の途中でフローが多重分離する場合がある。たとえば図10に示す例では、2つの上りのトラヒックフロー(T1(上り)、T2(上り))は、通信装置Cで多重され、それ以降は同一リンク上で転送される。下りの同一リンク上に転送されてきた2つのトラヒックフロー(T1(下り)、T2(下り))は通信装置Cで分離される。このような場合、最大帯域および利用可能な帯域の計算で、互いのトラヒック量を考慮し、利用可能な帯域情報を収集する必要がある。以下に、トラヒックが多重・分離される場合も含めて、利用可能な許容帯域の計算方法について説明する。
【0042】
なお、許容帯域の計算を説明するに当り、以下の記号を用いる.
Lup_bw:上流側リンクの空き帯域。
【0043】
Fx(i)_bw:上流側リンクだけを考慮したときの許容帯域。
【0044】
Fdown(i)_bw:下流側リンクから受信したトラヒックフローiの許容帯域。
【0045】
Fup(i)_bw:上流側に転送するトラヒックフローiの許容帯域。
【0046】
N:上流側リンク上を流れるトラヒックフローの数。
【0047】
W(i): トラヒックフローiの重み。ここで上流側リンクのトラヒックフローiに関して
【0048】
【数1】


となる。
【0049】
T(Time, i): 通信装置で保持するトラヒックフローiに対する時間の重み関数。
【0050】
【数2】


となる。
【0051】
α(0<α≦1):上流側リンクの空き帯域ので利用する割合を示す重み値。
【0052】
β(0<β≦1):トラヒックフローの全体に対して重複を許す割合を示す重み値。
【0053】
利用可能な許容帯域の計算方法には、次に述べるように、a)最大帯域収集、b)均等割帯域収集、c)優先度付き帯域収集、d)タイム分割帯域収集がある。以下順に説明する。
【0054】
a)最大帯域を収集する方法
最大帯域収集方法では、各トラヒックフローが通信される各リンク上で利用可能な帯域のうち、最も小さな帯域情報を収集し、端点装置に通知する。この方法では、上流側の通信装置に通知される許容帯域(Assignable Bandwidth):Fup(i)_bwは、以下のようになる。
【0055】
Fx(i)_bw=α×Lup_bw
Fup(i)_bw= Fx(i)_bw(if Fx(i)_bw < Fdown(i)_bw)
Fup(i)_bw= Fdown(i)_bw (if Fx(i)_bw ≧ Fdown(i)_bw)
図4に示す最大帯域(Max Bandwidth)と許容帯域(Assignable Bandwidth)は等しい値となる。
【0056】
b)均等割帯域を収集する方法
均等帯域収集方法では、各トラヒックフローが通信される各リンク上で利用可能な帯域を、各リンクを流れるトラヒックフローの数で均等割りしたうち、最小の帯域情報を収集し、端点装置に通知する。この方法では、上流側の通信装置に通知される許容帯域(Assignable Bandwidth):Fup(i)_bwは、以下のようになる。
【0057】
Fx(i)_bw= (1+β)×α×Lup_bw/N
Fup(i)_bw= Fx(i)_bw(if Fx(i)_bw < Fdown(i)_bw)
Fup(i)_bw= Fdown(i)_bw (if Fx(i)_bw ≧ Fdown(i)_bw)
c)優先度付き帯域を収集
優先度付き帯域収集方法は、均等帯域収集と同様にトラヒックフローごとに帯域を割り当てるが、トラヒックフロー間に優先度に応じた重みを付与して利用可能帯域を分割する。この方法では、上流側の通信装置に通知される許容帯域(Assignable Bandwidth):Fup(i)_bwは、以下のようになる。なお、フローの優先度のつけ方としては、交換される帯域情報の中に含まれるFlow Priorityを用いる方法と各トラヒックフローのトラヒック量を用いる方法の2つがある。
【0058】
Fx(i)_bw= W(i)×(1+β)×α×Lup_bw/N
Fup(i)_bw= Fx(i)_bw(if Fx(i)_bw < Fdown(i)_bw)
Fup(i)_bw= Fdown(i)_bw (if Fx(i)_bw ≧ Fdown(i)_bw)
d)タイム分割帯域収集
タイム分割帯域収集方法では、各装置で時間を保持しており、時間に応じて各トラヒックフローに割り振る利用可能な帯域の重みを変更する。この方法は、他の収集方法と組み合わせて利用される。
【0059】
Fx(i)_bw= T(Time, i) × Fx(i)_bw、ここで右辺のFx(i)_bwは上記のいずれかの方法で計算した値。
【0060】
Fup(i)_bw= Fx(i)_bw(if Fx(i)_bw < Fdown(i)_bw)
Fup(i)_bw= Fdown(i)_bw (if Fx(i)_bw ≧ Fdown(i)_bw)
以上述べた空き帯域計算方法は、通信装置ごとに異なる計算方法を適用することも可能であり、ネットワーク所有者のポリジーで各重みを変更することが出来る。このようにユーザに通知する許容帯域をネットワーク所有者のポリシーとして設定することができるため、仮にすべてのユーザが同時にトラヒックを転送したとしても、輻輳が発生しないような値を上限値として設定することが可能である。
【0061】
以上のように、トラヒックフローの流れの逆方向に帯域収集メッセージを送信し、各リンクにてポリシーに従った帯域情報を収集することにより、各トラヒックフローに送信可能な帯域情報を得ることが出来る。
【0062】
4.フロー帯域管理装置
最後に、フロー帯域管理装置200の動作について説明する。フロー帯域管理装置200は、上記の方法で収集した図9に示す許容帯域管理情報を更新情報取得部201を通して受信し、フロー帯域管理部204により帯域情報格納部205に格納して管理する。
【0063】
トラヒック送信者がたとえばバーストトラヒックを送信する場合にネットワーク側の許容帯域を知りたいとする。この場合、フロー帯域管理装置200は、送信者が送信した許容帯域要求メッセージをユーザ通信部202を通して受信する。フロー識別部203は、受信した許容帯域要求メッセージを認証データと照らし合わせながら該当するトラヒックフローを検索する。該当トラヒックフローに一致した場合、許容帯域情報をユーザ通信部202を通して送信者へ通知する。このようにして、トラヒックフローごとに収集した許容帯域をフロー帯域管理装置200に保存し、トラヒック送信者の要求に応じて許容帯域の情報を開示することができ、トラヒック送信者は瞬時にトラヒック転送の可否を判断できる。
【0064】
5.効果
上述したように、本発明の一実施形態によれば、トラヒックフローが流れる経路に沿って、トラヒックとは反対方向に帯域情報の交換を行うことにより、各トラヒックフローが許容帯域として利用できる情報を収集することができ、送信端と受信端との間でトラヒック転送可能な帯域を送信端に通知することができる。
【0065】
さらに、本発明の一実施形態によれば、許容帯域を収集するプロセスにおいて、上述したようにネットワーク所有者の運用ポリシーに基づいて各ユーザに通知する許容帯域をコントロールできるため、複数のユーザ間で帯域を公平に分配することができる。
【0066】
6.付記
上述した実施形態の一部あるいは全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
(付記1)
複数の通信装置からなるパケット通信ネットワークにおける許容帯域検出システムであって、
各通信装置が、当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算し、その許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換することにより、各トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を検出する、ことを特徴とする許容帯域検出システム。
【0068】
(付記2)
前記通信装置が各トラヒックフローに対する前記許容帯域情報を当該トラヒックフローの上流側にある他の通信装置へ順次転送することを特徴とする付記1に記載の許容帯域検出システム。
【0069】
(付記3)
前記通信装置が前記トラヒックフローの下流側にある他の通信装置から受信した受信許容帯域情報と前記利用可能な許容帯域とを比較し、小さい方の許容帯域を許容帯域情報として当該トラヒックフローの上流側にある他の通信装置へ転送することを特徴とする付記2に記載の許容帯域検出システム。
【0070】
(付記4)
各トラヒックフローの受信側通信装置が予め決められた時間間隔で前記許容帯域情報を送信し、当該トラヒックフローの中継通信装置および送信側通信装置の各々が受信許容帯域情報に従って許容帯域情報を更新することを特徴とする付記1−3のいずれか1項に記載の許容帯域検出システム。
【0071】
(付記5)
前記通信装置での利用可能な許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する各通信リンクの空き帯域の全部を使って最大使用可能帯域として算出されることを特徴とする付記4に記載の許容帯域検出システム。
【0072】
(付記6)
前記通信装置での利用可能な許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する通信リンクの空き帯域を、当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの数で均等に分割した帯域である、ことを特徴とする付記4に記載の許容帯域検出システム。
【0073】
(付記7)
前記通信装置での利用可能な許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する通信リンクの空き帯域を優先度に応じてトラヒックフローに割り当てた帯域である、ことを特徴とする付記4に記載の許容帯域検出システム。
【0074】
(付記8)
前記通信装置での利用可能な許容帯域の計算において、ネットワークの所有者により、リンクの空き帯域の割合、各トラヒックフローの優先度および/または当該通信装置が管理する時間当たりに割り当てる帯域が設定されることを特徴とする付記6または7に記載の許容帯域検出システム。
【0075】
(付記9)
各通信装置で収集された許容帯域情報を取得してトラヒックフローごとに管理する少なくとも1つのフロー帯域情報管理装置を備え、
トラヒック送信端に当該トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を開示することを特徴とする付記1−8のいずれか1項に記載の許容帯域検出システム。
【0076】
(付記10)
複数の通信装置からなるパケット通信ネットワークにおける許容帯域検出方法であって、
各通信装置が当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算し、
各通信装置が前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換することにより各トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を検出する、
ことを特徴とする許容帯域検出方法。
【0077】
(付記11)
前記通信装置が各トラヒックフローに対する前記許容帯域情報を当該トラヒックフローの上流側にある他の通信装置へ順次転送することを特徴とする付記10に記載の許容帯域検出方法。
【0078】
(付記12)
前記通信装置が前記トラヒックフローの下流側にある他の通信装置から受信した受信許容帯域情報と前記利用可能な許容帯域とを比較し、小さい方の許容帯域を許容帯域情報として当該トラヒックフローの上流側にある他の通信装置へ転送することを特徴とする付記11に記載の許容帯域検出方法。
【0079】
(付記13)
各トラヒックフローの受信側通信装置が予め決められた時間間隔で前記許容帯域情報を送信し、当該トラヒックフローの中継通信装置および送信側通信装置の各々が受信許容帯域情報に従って許容帯域情報を更新することを特徴とする付記10−12のいずれか1項に記載の許容帯域検出方法。
【0080】
(付記14)
前記通信装置での利用可能な許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する各通信リンクの空き帯域の全部を使って最大使用可能帯域として算出されることを特徴とする付記13に記載の許容帯域検出方法。
【0081】
(付記15)
前記通信装置での利用可能な許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する通信リンクの空き帯域を、当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの数で均等に分割した帯域である、ことを特徴とする付記13に記載の許容帯域検出方法。
【0082】
(付記16)
前記通信装置での利用可能な許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する通信リンクの空き帯域を優先度に応じてトラヒックフローに割り当てた帯域である、ことを特徴とする付記13に記載の許容帯域検出方法。
【0083】
(付記17)
前記通信装置での利用可能な許容帯域の計算において、ネットワークの所有者により、リンクの空き帯域の割合、各トラヒックフローの優先度および/または当該通信装置が管理する時間当たりに割り当てる帯域が設定されることを特徴とする付記15または16に記載の許容帯域検出方法。
【0084】
(付記18)
少なくとも1つのフロー帯域情報管理装置が各通信装置で収集された許容帯域情報を取得してトラヒックフローごとに管理し、トラヒック送信端からの要求に応じて当該トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を開示する、
ことを特徴とする10−17のいずれか1項に記載の許容帯域検出方法。
【0085】
(付記19)
パケット通信ネットワークにおける通信装置であって、
トラヒックフローの各々を識別するフロー識別手段と、
当該通信装置が受信側通信装置あるいは中継通信装置となるトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算する許容帯域計算手段と、
前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換する帯域情報交換手段と、
前記許容帯域計算手段が、前記他の通信装置から受信した許容帯域情報の許容帯域と前記利用可能な許容帯域とに基づいて計算した許容帯域をトラヒックフローごとに管理する帯域管理手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【0086】
(付記20)
前記帯域情報交換手段が、各トラヒックフローに対する前記許容帯域情報を当該トラヒックフローの上流側にある他の通信装置へ転送し、下流側にある他の通信装置から当該他の通信装置で計算された許容帯域情報を受信する、ことを特徴とする付記19に記載の通信装置。
【0087】
(付記21)
前記許容帯域計算手段が、前記トラヒックフローの下流側にある他の通信装置から受信した受信許容帯域情報と当該通信装置が計算した前記許容帯域情報とを比較し、小さい方の許容帯域を利用可能な許容帯域として選択する、ことを特徴とする付記20に記載の通信装置。
【0088】
(付記22)
当該通信装置が各トラヒックフローの受信側通信装置であれば、が予め決められた時間間隔で前記許容帯域情報を送信し、当該トラヒックフローの中継通信装置または送信側通信装置であれば、受信許容帯域情報に従って前記帯域管理手段が許容帯域情報を更新する、ことを特徴とする付記19−21のいずれか1項に記載の通信装置。
【0089】
(付記23)
前記通信装置での利用可能な許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する各通信リンクの空き帯域の全部を使って最大使用可能帯域として算出されることを特徴とする付記22に記載の通信装置。
【0090】
(付記24)
前記通信装置が計算した許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する通信リンクの空き帯域を、当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの数で均等に分割した帯域である、ことを特徴とする付記22に記載の通信装置。
【0091】
(付記25)
前記通信装置が計算した許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する通信リンクの空き帯域を優先度に応じてトラヒックフローに割り当てた帯域である、ことを特徴とする付記22に記載の通信装置。
【0092】
(付記26)
前記通信装置が計算した許容帯域が、ネットワークの所有者により、リンクの空き帯域の割合、各トラヒックフローの優先度および/または当該通信装置が管理する時間当たりに割り当てる帯域が設定されることを特徴とする付記24または25に記載の通信装置。
【0093】
(付記27)
前記帯域管理手段で収集された許容帯域情報を前記パケット通信ネットワークに設けられた少なくとも1つのフロー帯域情報管理装置へ送信し、トラヒック送信端に当該トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を開示可能にすることを特徴とする付記19−26のいずれか1項に記載の通信装置。
【0094】
(付記28)
複数の通信装置からなるパケット通信ネットワークにおける通信システムであって、
各通信装置が
トラヒックフローの各々を識別するフロー識別手段と、
当該通信装置が受信側通信装置あるいは中継通信装置となるトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算する許容帯域計算手段と、
前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換する帯域情報交換手段と、
前記許容帯域計算手段が、前記他の通信装置から受信した許容帯域情報の許容帯域と前記利用可能な許容帯域とに基づいて計算した許容帯域をトラヒックフローごとに管理する帯域管理手段と、
を有することを特徴とする通信システム。
【0095】
(付記29)
前記帯域情報交換手段が、各トラヒックフローに対する前記許容帯域情報を当該トラヒックフローの上流側にある他の通信装置へ転送し、下流側にある他の通信装置から当該他の通信装置で計算された許容帯域情報を受信する、ことを特徴とする付記28に記載の通信システム。
【0096】
(付記30)
前記許容帯域計算手段が、前記トラヒックフローの下流側にある他の通信装置から受信した受信許容帯域情報と当該通信装置が計算した前記許容帯域情報とを比較し、小さい方の許容帯域を利用可能な許容帯域として選択する、ことを特徴とする付記29に記載の通信システム。
【0097】
(付記31)
各トラヒックフローの送信側通信装置において、当該トラヒックフローの送信者からの要求に応じて当該トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域が前記送信者へ開示することを特徴とする付記29に記載の通信システム。
【0098】
(付記32)
各通信装置で収集された許容帯域情報を取得してトラヒックフローごとに管理する少なくとも1つのフロー帯域情報管理装置をさらに備え、
トラヒック送信端に当該トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を開示することを特徴とする付記28または29に記載の通信システム。
【0099】
(付記33)
パケット通信ネットワークにおける通信装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
トラヒックフローの各々を識別するフロー識別機能と、
当該通信装置が受信側通信装置あるいは中継通信装置となるトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算する許容帯域計算機能と、
前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換する帯域情報交換機能と、
前記許容帯域計算手段が、前記他の通信装置から受信した許容帯域情報の許容帯域と前記利用可能な許容帯域とに基づいて計算した許容帯域をトラヒックフローごとに管理する帯域管理機能と、
を前記コンピュータに実現することを特徴とするプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、MPLSなどの論理パスを設定するネットワークだけではなく、Ethernet(登録商標)やIPネットワークなどのトラヒックの経路が事前に分かっているパケットネットワークに広く適用可能である。
【0101】
さらに、本発明は、ユーザの装置間で利用可能な帯域情報をネットワークが提供し、品質管理情報として活用するといった用途に適用できる。また、クラウドコンピューティングにおけるネットワーク情報の収集方法といった用途にも適用可能である。さらに、複数のユーザ間でネットワーク資源を競売するような帯域オークションシステムの帯域検出用途にも適用可能である。
【符号の説明】
【0102】
10 パケット通信ネットワーク
20 ユーザサイト
100 通信装置
200 フロー帯域管理装置
101 通信ポート
102 スイッチ部
103 トラヒック計測部
104 制御部
105 フロー識別部
106 帯域管理部
107 許容帯域計算部
108 帯域情報交換部
201 更新情報取得部
202 ユーザ通信部
203 制御部
204 フロー帯域管理部
205 帯域情報格納部
206 フロー識別部
207 認証データ格納部
T1000 交換情報
T2000 許容帯域管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置からなるパケット通信ネットワークにおける許容帯域検出システムであって、
各通信装置が、当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算し、その許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換することにより、各トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を検出する、ことを特徴とする許容帯域検出システム。
【請求項2】
前記通信装置が各トラヒックフローに対する前記許容帯域情報を当該トラヒックフローの上流側にある他の通信装置へ順次転送することを特徴とする請求項1に記載の許容帯域検出システム。
【請求項3】
前記通信装置が前記トラヒックフローの下流側にある他の通信装置から受信した受信許容帯域情報と前記利用可能な許容帯域とを比較し、小さい方の許容帯域を許容帯域情報として当該トラヒックフローの上流側にある他の通信装置へ転送することを特徴とする請求項2に記載の許容帯域検出システム。
【請求項4】
各トラヒックフローの受信側通信装置が予め決められた時間間隔で前記許容帯域情報を送信し、当該トラヒックフローの中継通信装置および送信側通信装置の各々が受信許容帯域情報に従って許容帯域情報を更新することを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の許容帯域検出システム。
【請求項5】
前記通信装置での利用可能な許容帯域が、当該トラヒックフローが使用する各通信リンクの空き帯域の全部を使って最大使用可能帯域として算出されることを特徴とする請求項4に記載の許容帯域検出システム。
【請求項6】
各通信装置で収集された許容帯域情報を取得してトラヒックフローごとに管理する少なくとも1つのフロー帯域情報管理装置を備え、
トラヒック送信端に当該トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を開示することを特徴とする請求項1−5のいずれか1項に記載の許容帯域検出システム。
【請求項7】
複数の通信装置からなるパケット通信ネットワークにおける許容帯域検出方法であって、
各通信装置が当該通信装置を受信側通信装置あるいは中継通信装置とするトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算し、
各通信装置が前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換することにより各トラヒックフローに対する利用可能な許容帯域を検出する、
ことを特徴とする許容帯域検出方法。
【請求項8】
パケット通信ネットワークにおける通信装置であって、
トラヒックフローの各々を識別するフロー識別手段と、
当該通信装置が受信側通信装置あるいは中継通信装置となるトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算する許容帯域計算手段と、
前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換する帯域情報交換手段と、
前記許容帯域計算手段が、前記他の通信装置から受信した許容帯域情報の許容帯域と前記利用可能な許容帯域とに基づいて計算した許容帯域をトラヒックフローごとに管理する帯域管理手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項9】
複数の通信装置からなるパケット通信ネットワークにおける通信システムであって、
各通信装置が
トラヒックフローの各々を識別するフロー識別手段と、
当該通信装置が受信側通信装置あるいは中継通信装置となるトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算する許容帯域計算手段と、
前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換する帯域情報交換手段と、
前記許容帯域計算手段が、前記他の通信装置から受信した許容帯域情報の許容帯域と前記利用可能な許容帯域とに基づいて計算した許容帯域をトラヒックフローごとに管理する帯域管理手段と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項10】
パケット通信ネットワークにおける通信装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
トラヒックフローの各々を識別するフロー識別機能と、
当該通信装置が受信側通信装置あるいは中継通信装置となるトラヒックフローの各々に対する利用可能な許容帯域を計算する許容帯域計算機能と、
前記許容帯域情報を他の通信装置と互いに交換する帯域情報交換機能と、
前記許容帯域計算手段が、前記他の通信装置から受信した許容帯域情報の許容帯域と前記利用可能な許容帯域とに基づいて計算した許容帯域をトラヒックフローごとに管理する帯域管理機能と、
を前記コンピュータに実現することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70317(P2013−70317A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208777(P2011−208777)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】