説明

ネットワークを介して使用者の端末機に備えられたディスプレー装置の色を補正する方法および装置

本発明は、色覚障害を持つ使用者が健常者と同じ色情報を得ることができるようにするため、迅速かつ正確に使用者端末機に備えられたディスプレー装置の色を補正する方法および装置を提供する。本発明は、色覚障害者ばかりでなく、色感知微弱者にも補正された色を提供するためウェブを介して、色覚障害を自動的に診断した後、診断結果により色自動補正パレットを生成し、色補正パレットを使用者端末機に備えられたディスプレー装置にインストールすることによって色覚障害を持つ使用者がディスプレー装置を介して、ディスプレーされるすべての色を正常に見られるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレー装置の色を補正する方法および装置に関するものであり、より詳細には、ネットワークを介して使用者の端末機に備えられたディスプレー装置色を補正する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、コンピュータの普及の拡大、ネットワーク環境の変化、情報端末機の情報処理能力の拡大、多様なマルチメディア情報のデジタル化の結果、誰でもマルチメディアを容易に利用できるようになった。これに伴いマルチメディア産業が急速に発展し、教育用マルチメディア・コンテンツ、マルチメディア出版、ゲーム、デジタル・アルバムのようなマルチメディア・コンテンツの需要が大きく増加している。
【0003】
一方、テレビやパソコンのみならず、ノートブック、携帯情報端末(personal digital assistant)、携帯電話などの小型情報端末機でさえ高画質のマルチメディア処理が可能となり、無線インターネット環境が広がることによって使用者はますます多くのマルチメディア・コンテンツに接するようになった。今後、移動情報端末機器は利便性と移動性を考慮し、情報サービス使用者中心の製品開発へとつながっている。特に使用者の利便性を満たすため、移動性および携帯性を考慮した情報端末機は、パソコンと類似の性能を有するようになり、マルチメディア・サービスや無線インターネット検索などの機能を有効にする高度なインターフェースを提供し、小さくて軽い上に、使用者が移動中にも多様なサービスが受けられるような高度な移動情報端末機へと発展している。
【0004】
このようなマルチメディア時代において、色はコンテンツを美しくするための道具としてだけでなく、人がコンテンツの情報をより手早く、かつ効果的に認知できるようにする重要な役割を行う。しかし、デジタル時代に色を通じた情報の伝達が増加して多様化したことにより、色覚障害者達が感じる不便はむしろ増している。色が提供する情報伝達媒体としてのこのような望ましい機能は、色覚障害者にとっては望ましくない機能として作用しているのである。
【0005】
健常者がこのようなマルチメディア・コンテンツの恩恵に存分に浴しているにもかかわらず、色覚障害者はこのような恩恵から疎外されており、彼らのためのいかなる実際的な代案も不足しているのが実情である。このような問題点を解決するためにも、色覚障害者のための色補正システムの開発が要求される。
【0006】
色覚障害者の数は世界人口の約8%(男性の10%、女性の1%)を占めている。これは他のいかなる障害にも劣らない高い割合を示している。その理由は現在色覚障害を医学的に治療できる手段がなく、両親の色覚障害特性がその子供たちに遺伝するからである。
【0007】
したがって、このように常に多くの人々が色を見るのに困っている。特に、コンテンツが有する色々な視覚情報が単に色だけで識別可能な場合には非常に深刻な結果を招いたりもする。それにもかかわらず、社会全体として静止画像、動画像、ウェブページ、デジタル文書のようなマルチメディア・コンテンツを扱う場合において、色覚障害を持つ使用者へのいかなる考慮もなされずに色を施している。したがって、このようなマルチメディア・コンテンツの洪水の中から疎外されやすい社会構成員に健常者と同じ高度なコンテンツ・サービスを提供しようとする努力が必要である。
【0008】
最近の色覚障害者の色認知能力向上についての研究は、色覚障害者がディスプレー装置を介して、色を認知する方向に進んでいる。その中でも、インターネット基盤ワールド・ワイド・ウェブ・サービス関連の世界標準機構であるワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C)では、色覚障害者のためにウェブ・コンテンツを製作することに関連し、いくつかのガイドラインを提示している。しかし、このようなガイドラインは細部技術事項を提示しているだけであり、効率的なデザインと再使用できるプロセスを作る方法といった戦略的な代案は提供していない。
【0009】
マイクロソフト社でもソフトウェア製作の際に色覚障害者を考慮するのに点検しなければならないいくつかの事項を提示している。しかし、マイクロソフト社で提案する事項もコンテンツやソフトウェア製作段階で守らなければならない勧告事項に過ぎない。数多くのコンテンツとソフトウェアとがそのような勧告事項に添って製作されず、今でもこのような事項とは無関係にコンテンツが製作されているのが実情である。また、リアルタイム・ビデオのようなコンテンツ製作では技術的に限界があるため、従来の枠組みでは色覚障害者のための色補正のサービスを提供することは不可能である。
【0010】
従来、色覚障害者が日常生活で色をよりよく区分できるように補助する技術としては特定波長領域の色をフィルターリングする色眼鏡をかける方法がある。色覚障害者が色眼鏡をかけて物体を見るようにすることによって、色をよりよく区分できるようにする。
【0011】
しかし、この方法には、色覚障害者に正常に見える色が別の色に見えてしまうという問題点があり、色弱の多様な深刻さの程度を考慮するのが難しいという短所がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、ネットワークを介して容易に使用者の色覚障害特性を診断する方法および装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、色覚障害を持つ使用者が健常者と同じ色情報を得ることができるようにするため、迅速かつ正確に使用者端末機に備えられたディスプレー装置の色を補正する方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するための本発明によれば、色覚障害者のみならず、色感知微弱者にも補正された色を提供するため、ウェブを介して、色覚障害を自動的に診断した後、診断結果により色自動補正パレットを生成し、色補正パレットを使用者端末機に備えられたディスプレー装置にインストールすることによって、色覚障害を持つ使用者がディスプレー装置を介して、ディスプレーされるすべての色を正常に見られるようにする方法および装置が提供される。
【0014】
本発明は、ネットワークを介して、使用者の端末機に備えられたディスプレー装置の色を補正する方法であって、前記ネットワークを介して、前記使用者に対する色覚検査を行う段階と、前記色覚検査の結果により前記使用者の色覚障害特性を診断する段階と、前記診断された色覚障害特性および前記使用者の端末機の特性により前記使用者の端末機に対する色補正パレットを生成する段階と、前記生成された色補正パレットを前記ネットワークを介して、前記使用者の端末機へ提供する段階と、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明において、前記色覚検査はワールド・ワイド・ウェブ(WWW)基盤で具現され得る。前記色補正パレットを提供する段階は、前記生成された色補正パレットを前記使用者の端末機にインストールされるコンピュータ・プログラムの形態で提供することができる。前記色覚障害特性は、前記使用者の色覚障害の種類および程度からなる。前記色補正パレットは、特定応用プログラムによって用いられるディスプレーでの使用に限定され得る。前記色覚障害特性はMPEG標準により記述され得る。
【0016】
本発明は、前記色覚検査の結果を医学専門家の端末機へ伝送し、前記医学専門家により診断された前記使用者の色覚障害特性を前記医学専門家の端末機から受け取る段階と、前記自動診断された色覚障害特性と前記医学専門家により診断された色覚障害特性とを比較して、両者が相異する場合、前記医学専門家により診断された色覚障害特性を前記使用者の色覚障害特性として受け入れる段階と、をさらに含むことができる。また、本発明は、前記データベースを利用し、自動診断された色覚障害特性と前記医学専門家により診断された色覚障害特性とが相異する場合、前記医学専門家により診断された色覚障害特性を利用して、前記データベースを更新する段階と、をさらに含むことができる。
【0017】
前記色覚障害特性を診断する段階は、前記色覚検査の結果を医学専門家の端末機へ伝送する段階と、前記医学専門家により診断された前記使用者の色覚障害特性が前記医学専門家の端末機から受け取る段階と、を含むことができる。また、色覚検査の結果と色覚障害特性との間の関係を保存するデータベースを生成する段階と、をさらに含み、前記色覚障害特性を診断する段階は、前記色覚検査の結果と前記データベースに保存された色覚検査の結果とを比較することによって自動的に行われ得る。
【0018】
本発明は、ネットワークを介して、使用者の端末機に備えられたディスプレー装置の色を補正する装置であって、前記ネットワークを介して、前記使用者の端末機にアクセスするネットワーク・アクセス部と、前記使用者の色覚検査を行う手段と、前記色覚検査の結果により前記使用者の色覚障害特性を診断する手段と、前記診断された色覚障害特性および前記使用者の端末機の特性により前記使用者の端末機に対する色補正パレットを生成する手段と、前記生成された色補正パレットを前記ネットワークを介して、前記使用者の端末機へ提供する手段とを含むことをもう一つの特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
このような特徴を有する本発明は、次のような利点を有する。
第一に、色補正が使用者の色覚障害特性によりそれぞれ異なる程度で行われるため、使用者の色覚障害特性に最適化した色を使用者に提供することができる。有線/無線ネットワーク・インフラの発達とコンピュータ、ノートブック、デジタルTV、PDA、携帯電話、ハンドPCなどの情報端末装置がますます個人化されている現実において、同じコンテンツであってもそれぞれの使用者が好む条件に適応変換され、伝達される必要がある。このような技術が開発されれば、いつどこでも個人の情報を適応変換装置に伝達することによって、自分に合ったコンテンツが受けられる時代が到来するだろう。
【0020】
第二に、色覚障害使用者のマルチメディア端末装置において、色補正が行われるため、コンテンツ製作者やデザイナーにコンテンツ製作の創造に制約を与えない。
第三に、検査の正確度は高いが、検査時間が長くかかるという理由で、広く使われなかった精密色覚検査をコンピュータを利用して、ウェブ基盤で行うことによって迅速な色覚検査および診断が可能となる。そのような精密色覚検査の最も大きな問題点は、検査時間が長くかかるという点である。また、最も正確であるとして知らされた検査方法であるアノマロスコープのような高価の装備を具備した病院が多くない。正確な検査方法が普遍的に広く使われていないだけに、被検査者のほとんどがこのような検査方法に慣れていない。したがって、使用者の検査方法の未熟さにより、検査の正確性が劣ることがある。
【0021】
第四に、本発明によれば色覚検査情報を管理および分析するのが容易であり、色覚検査の結果を色補正システムとネットワーク上でやり取りできるため、迅速かつ正確な色補正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図面で同じ参照符号は同一または類似の構成要素または信号を示すものとして使われる。
図1は本発明による色覚障害診断および色補正の全体システム構成図である。図示されているように色覚障害診断および色補正装置100がウェブ接続を介して、使用者端末機102、医学専門家の端末機104に連結されている。色覚障害診断および色補正装置100は、メイン・ウェブ・サーバー部106、使用者認証部108、色覚検査部110、精密診断部112、色補正パレット生成部114、データベース部116で形成されている。使用者端末機102は、使用者ウェブ・アクセス端末部118、色補正部120、ディスプレー部122で形成されている。
【0023】
図2は本発明による色覚障害診断および色補正の全体フロー図である。図1および図2を参照して、本発明による色補正の全体的な動作を説明する。
まず、使用者は使用者ウェブ・アクセス端末部118により有線/無線インターネット網を経由し、色覚障害診断および色補正装置100のメイン・ウェブ・サーバー部106にアクセスする。
【0024】
使用者はメイン・ウェブ・サーバー部106を介して情報をやり取りし、メイン・ウェブ・サーバー部106は、使用者端末機102と色覚障害診断および色補正装置100の主要部分との間の情報交換を仲介する。使用者がメイン・ウェブ・サーバー部106を介して色覚障害診断および色補正装置100にアクセスすると、使用者認証部108における使用者認証段階を経て(S202)、認証された使用者の場合、色覚検査部110を利用してウェブ基盤での色覚検査を行い、使用者が色覚検査を終えると、色覚検査の結果をデータベース部116に保存して、データベース部116に保存された統計データを利用して、色覚検査結果に対する色覚障害の自動診断が行われる。精密な診断を行うために、医師(または医学専門家)の追加診断段階を精密診断部112で行うこともできる。精密診断部112は色覚検査部110およびメイン・ウェブ・サーバー部106を経由して、医学専門家の端末機104へ色覚検査および色覚障害診断の結果を提供し、医学専門家の端末機104から医師の精密診断の結果が提供される。色覚障害診断の結果は色補正パレット生成部114へ伝えられ、色補正パレット生成部114は使用者色覚障害の特性と使用者ディスプレー装置122の特性に最適化された色補正パレットを生成し、生成された色補正パレットをメイン・ウェブ・サーバー部106を経由して、使用者端末機102へ提供する(S208)。最終的に、色補正パレットは使用者端末機102の色補正部120にインストールされ、ディスプレー装置122の色を補正する動作を行う(S210)。
【0025】
図3は図2の使用者認証段階S202の詳細フロー図である。使用者認証のために先に使用者は使用者ウェブ・アクセス端末部118の入力装置(図示せず)を用いて、使用者のIDおよび暗証番号を入力し(S302)、色補正装置100は入力されたIDと暗証番号を利用し、使用者が認証された使用者であるかどうかを検査する(S304)。認証された使用者に対する情報はデータベース部116に保存されており、使用者認証のためにデータベース部116内に保存された使用者のIDおよび暗証番号を照会する。照会の結果、使用者が認証された使用者350である場合には使用者個人情報をデータベース部116から抽出し(S308)、使用者認証を完了し、抽出された使用者情報を色覚検査部110へ伝達する(S310)。使用者が認証されていない使用者である場合には、使用者に対して使用者加入情報を入力するように要求して、その使用者加入情報をデータベース部116に保存し(S306)、次いで、認証された使用者の場合と同じように使用者個人情報をデータベース部116から抽出し(S308)、使用者認証を完了し、抽出された使用者情報を色覚検査部110に伝達する(S310)。
【0026】
図4は本発明による使用者加入情報の具体的な内容を説明する図面である。使用者加入時に必要な使用者情報としては、IDおよび暗証番号402、使用者の氏名、性別、年齢、住所などの基本的な個人身上情報404、使用者の視力情報406、使用者が有する他の疾患に対する情報408、使用者が使用しているディスプレー装置の情報410などがある。すべての使用者には固有の使用者IDと暗証番号が与えられ、使用者ディスプレー装置の情報は使用者の手動入力によって得られたり、使用者の同意の下、使用者認証部108から自動的に得られたりする。
【0027】
図5は図2の色覚検査段階S204および色覚障害診断段階S206の詳細フロー図である。
最初に、多様な色覚検査の結果に対する色覚障害診断の結果を保存するデータベースを生成する(S500)。使用者はコンピュータ基盤において遂行可能な精密色覚検査をウェブを介して行い(S502)、色覚検査結果はデータベース部116に保存される(S504)。色覚検査結果を基盤に色覚障害特性を自動的に診断し(S506)、診断結果も同じようにデータベース部116に保存される(S508)。自動的に診断された色覚障害特性は、MPEG−21基盤の色覚障害特性記述方法により標準化された形態で表現され(S510)、同じようにデータベース部116に保存される(S512)。本発明の色覚障害特性の自動診断は統計的特性に基づくため、診断結果の信頼性を高めるための方法として医師(または医学専門家)による精密診断段階S514を行った後、色覚検査および色覚障害診断を完了する(S516)。
【0028】
色覚検査段階S502は、色覚障害の種類だけでなく色覚障害の深刻さの程度を測定できる検査をも含む。数1は精密色覚検査の結果を数学的に表現したものである。
【0029】
【数1】

ここで、XはK個の互いに異なる種類の色覚検査のうち、k番目の色覚検査での使用者検査結果を表すベクトルである。色覚検査は全てN個の段階に分けられ、xはn番目の段階の色覚検査結果を表す。
【0030】
使用者の色覚検査結果は、データベース部116に保存され(S504)、色覚検査結果を利用して、使用者の色覚障害特性を自動的に診断する(S506)。色覚障害特性の診断結果は、色覚障害の種類(deficiency type )および深刻さの程度(deficiency degree )であり、数2のように表現される。
【0031】
【数2】

ここで、Yは色覚障害特性の診断結果を表すベクトルであり、2種類の要素を有する。
【0032】
は、色覚障害の種類であり、yは、色覚障害の深刻さの程度である。
色覚障害の種類yは赤色盲/赤色弱の場合‘Red-deficiency’、緑色盲/緑色弱の場合‘Green-deficiency’、青色盲/青色弱の場合‘Blue-deficiency ’、完全な全色盲/部分的な全色盲の場合‘CompleteColorBlindness’と表現される。色覚障害の深刻さの程度は数値的に表現され、色覚検査結果により異なって表現される。
【0033】
K個の互いに異なる種類の色覚検査は、それぞれ互いに異なる色覚障害特性の自動診断関数を有しており、数3のように表現される。
【0034】
【数3】

ここで、F色覚障害診断関数はk色覚検査の色覚障害特性の診断関数を表す。色覚障害特性の診断関数は、使用者の色覚検査結果Xをデータベース内の統計資料と比較および分析し、色覚診断結果Yに導く統計的関数である。
【0035】
使用者の色覚障害特性に対する自動診断結果は、MPEG−21基盤の色覚障害特性記述方法により標準化された形態で表現される。
標準化されたMPEG−21基盤の色覚障害特性記述方法は表1に記載された通りである。
【0036】
【表1】

本発明の色覚検査および色覚障害特性の自動診断は統計的特性に基づくため、診断結果の信頼性を高めるための方法として医師による精密診断段階S514を含めることができる。図6は図5の医師による精密診断段階S514の詳細フロー図である。
【0037】
医師は色覚検査を、時を選ばずして、オンライン上で行うことができるため、使用者および医師の不要な時間の浪費を最小化できるという長所がある。医師による精密診断を実行するために、診断を行う医師は装置100の使用者認証部108にアクセスし、自分に検査の権限があるかどうかについての認証を受ける(S602)。認証が終わると、データベース部116から医師の精密診断が必要な使用者の色覚検査結果をローディングする(S604)。医師は使用者の色覚検査結果を精密診断し(S606)、データベース部116を利用した色覚障害自動診断の結果を検討した後、データベース部116に精密診断結果を保存する(S608)。精密診断の結果が自動診断の結果と相異する場合には精密診断結果に基づき、使用者の色覚障害特性記述の結果を変更し、変更された色覚障害特性がデータベース部116に保存される(S610)。
【0038】
色覚検査および色覚障害診断を終えた使用者は、色補正パレット生成部114にアクセスし、使用者の色覚障害特性およびディスプレー装置特性に最適化した色補正パレットを受けとり、その色補正パレットをインストールする。
【0039】
図7は図2の色補正パレットの生成および提供段階S208の詳細フロー図である。色補正パレット生成部114は、データベース部116に保存された使用者の色覚障害特性および使用者の端末機のディスプレー装置特性を受け取る(S702)。
【0040】
この2種類の特性に基づき使用者端末機に備えられたディスプレー装置の基本パレットの色を補正するための色補正パレットを生成する(S704)。パレットは一般に数4のように表現される。
【0041】
【数4】

ここで、色パレット関数Paletteにおいて、Hは使用者端末機のディスプレー装置特性を表す。
【0042】
そして、A={R,G,B}は本来の色であり、A’={R’,G’,B’}は色パレット関数Paletteにより表現された色である。本来の色Aは色パレット関数Paletteにより、ディザリングされた(dithering )色A’で表現される。色A’は与えられたディスプレー装置特性Hにおいて色Aに最も近い色である。
【0043】
色覚障害を持つ使用者の最終色認知特性は、使用者の色覚異常特性だけでなく、使用者のディスプレー装置特性と関連して作用する。使用者の色の波長に対する認知は、三種類の錐体細胞により行われるが、その色の特性は各々L,M,S空間で表現される。色をモニターのようなディスプレー装置で認知する場合は、モニターのR,G,B特性を考慮しなければならない。まず、ディスプレー装置の波長の特性に対して人のL,M,S錐体細胞で認知する量は次の数5の通りである。
【0044】
【数5】

健常者でない色覚障害者の特性が入力されると、錐体細胞の反応は健常者とは異なる。色覚障害の程度がyであれば、錐体細胞の反応は次の数6のようにp(y)とq(y)で表現される。数6は赤色覚障害の場合のL錐体細胞の異常を表したものである。一方、MとS錐体細胞は数5のように正常である。
【0045】
【数6】

ここで、p(y)はL錐体細胞の反応量における異常を表し、q(y)はL錐体細胞の波長に対する異常反応を表す。
【0046】
次に、緑色覚障害の程度がyである場合、M錐体細胞の反応は次の数7のように表現される。LとS錐体細胞は数5のように正常である。
【0047】
【数7】

ここで、p(y)はM錐体細胞の反応量における異常を表し、q(y)はM錐体細胞の波長に対する異常反応を表す。次に、青色覚障害の程度がyである場合、S錐体細胞の反応は次の数8のように表現される。LとM錐体細胞は数5のように正常である。
【0048】
【数8】

ここで、p(y)はS錐体細胞の反応量における異常を表し、q(y)はS錐体細胞の波長に対する異常反応を表す。
【0049】
数6ないし8を利用し、色覚障害に対する色補正パレットを次の通り生成する。まず、赤色覚障害の程度がyである場合、パレット色補正は次の数9のように表現される。
【0050】
【数9】

次に、緑色覚障害の程度がyである場合、パレット色補正は次の数10のように表現される。
【0051】
【数10】

次に、青色覚障害の程度がyである場合、パレット色補正は次の数11のように表現される。
【0052】
【数11】

最終パレット色補正は次の数12のように表現される。
【0053】
【数12】

ここで、パレットCVDPaletteは色覚障害者のための色補正パレットである。その色補正パレットを利用し、ディスプレーされる色は、次の数13のように表現される。
【0054】
【数13】

ここで、Aは色補正パレットを利用し、ディザリングされた色を表す。
【0055】
上述のように、使用者の色覚障害特性およびディスプレー装置特性により色補正パレットが生成されると、使用者が自分の端末機にインストールできる色補正パレット・インストール・プログラムを使用者の端末機へ伝送する。
【0056】
次に、使用者端末機102の色補正部120にインストールされた色補正パレットを利用し、使用者ディスプレー装置にディスプレーされる色を補正する。図8は図2の色補正段階の詳細フロー図である。
【0057】
使用者は伝送された色補正パレット・インストール・プログラムを使用者の端末機にインストールする(S802)。使用者の個人的な色補正の好み度を入力でき(S804)、使用者はインストールされた制御プログラムを通し、色補正の程度を微調整できる(S806)。使用者はディスプレー装置においてディスプレーされる色の中から色補正領域を設定することができる(S808)。ディスプレー装置を制御するシステムパレットの色補正を選択すれば(S810)、ディスプレー装置にディスプレーされるすべての色情報が色補正される(S812)。特定応用プログラムのパレット色補正を選択すれば(S810)、特定応用プログラム領域の色情報だけが色補正される(S814)。
【0058】
ここに説明された実施形態は、本発明を当業者が容易に理解して実施できるようにするためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。したがって、当業者は本発明の範囲内で、前記の実施形態に対して多様な変形や変更が可能であることに注目しなければならない。本発明の範囲は原則的に特許請求の範囲により定められる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
前述したように、本発明によれば、色覚障害を持つ使用者に対してウェブを介して、色覚検査を行い、検査結果を利用し、使用者の色覚障害特性を自動的に記述し、記述された色覚障害特性を利用し、色覚障害を持つ使用者ディスプレー装置の全体あるいは一部の色を補正し、色覚障害使用者が健常者と同じ色が見られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態による色覚障害診断および色補正の全体システム構成図である。
【図2】本発明による色補正の全体フロー図である。
【図3】図2の使用者認証段階の詳細フロー図である。
【図4】本発明による使用者加入情報の具体的な内容を説明する図面である。
【図5】図2の診断段階の詳細フロー図である。
【図6】図5の医師の精密診断段階の詳細フロー図である。
【図7】図2の色補正パレットの生成および提供段階の詳細フロー図である。
【図8】図2の色補正段階の詳細フロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、使用者の端末機に備えられたディスプレー装置の色を補正する方法であって、
前記ネットワークを介して、前記使用者の色覚検査を行う段階と、
前記色覚検査の結果により前記使用者の色覚障害特性を診断する段階と、
前記診断された色覚障害特性および前記使用者の端末機の特性により前記使用者の端末機に対する色補正パレットを生成する段階と、
前記生成された色補正パレットを前記ネットワークを介して、前記使用者の端末機へ提供する段階と、
を含むことを特徴とするディスプレー装置の色補正方法。
【請求項2】
前記色覚検査は、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)基盤で具現されることを特徴とする請求項1記載のディスプレー装置の色補正方法。
【請求項3】
前記色補正パレットを提供する段階は、前記生成された色補正パレットを前記使用者の端末機にインストールされるコンピュータ・プログラムの形態で提供することによって行われることを特徴とする請求項1記載のディスプレー装置の色補正方法。
【請求項4】
前記色覚障害特性は、前記使用者の色覚障害の種類および程度から成ることを特徴とする請求項1記載のディスプレー装置の色補正方法。
【請求項5】
前記色覚検査の結果と前記色覚障害特性との間の関係を保存するデータベースを生成する段階をさらに含み、
前記色覚障害特性を診断する段階は、前記色覚検査の結果と前記データベースに保存された色覚検査の結果とを比較することによって自動的に行われることを特徴とする請求項1記載のディスプレー装置の色補正方法。
【請求項6】
前記色覚検査の結果を医学専門家の端末機へ伝送し、前記医学専門家により診断された前記使用者の色覚障害特性を前記医学専門家の端末機から受け取る段階と、
前記自動診断された色覚障害特性と前記医学専門家により診断された色覚障害特性とを比較して、両者が相異する場合、前記医学専門家により診断された色覚障害特性を前記使用者の色覚障害特性として受け入れる段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項5記載のディスプレー装置の色補正方法。
【請求項7】
前記データベースを利用して自動診断された色覚障害特性と前記医学専門家により診断された色覚障害特性とが相異する場合、前記医学専門家により診断された色覚障害特性を利用して、前記データベースを更新する段階、
をさらに含むことを特徴とする請求項6記載のディスプレー装置の色補正方法。
【請求項8】
前記色覚障害特性を診断する段階は、
前記色覚検査の結果を医学専門家の端末機へ伝送する段階と、
前記医学専門家により診断された前記使用者の色覚障害特性を前記医学専門家の端末機から受け取る段階と、
を含むことを特徴とする請求項1記載のディスプレー装置の色補正方法。
【請求項9】
前記色補正パレットは、特定応用プログラムによって用いられるディスプレーでの使用に限定されることを特徴とする請求項1記載のディスプレー装置の色補正方法。
【請求項10】
前記色覚障害特性は、ムービング・ピクチャー・エキスパート・グループ(MPEG)標準により記述されることを特徴とする請求項1記載のディスプレー装置の色補正方法。
【請求項11】
ネットワークを介して、使用者の端末機に備えられたディスプレー装置の色を補正する装置であって、
前記ネットワークを介して、前記使用者の端末機にアクセスするネットワーク・アクセス部と、
前記使用者に対する色覚検査を行う手段と、
前記色覚検査の結果により前記使用者の色覚障害特性を診断する手段と、
前記診断された色覚障害特性および前記使用者の端末機の特性により前記使用者の端末機に対する色補正パレットを生成する手段と、
前記生成された色補正パレットを前記ネットワークを介して、前記使用者の端末機へ提供する手段と、
を含むことを特徴とするディスプレー装置の色補正装置。
【請求項12】
前記色覚検査はWWW基盤で具現されることを特徴とする請求項11記載のディスプレー装置の色補正装置。
【請求項13】
前記色補正パレットは、前記使用者の端末機にインストールされるコンピュータ・プログラムの形態で前記使用者の端末機へ提供されることを特徴とする請求項11記載のディスプレー装置の色補正装置。
【請求項14】
前記色覚障害特性は、前記使用者の色覚障害の種類および程度から成ることを特徴とする請求項11記載のディスプレー装置の色補正装置。
【請求項15】
色覚検査の結果と色覚障害特性との間の関係を保存するデータベースをさらに含み、
前記色覚障害特性の診断は、前記色覚検査の結果と前記データベースに保存された色覚検査の結果とを比較することによって自動的に行われることを特徴とする請求項11記載のディスプレー装置の色補正装置。
【請求項16】
前記色覚障害特性は、MPEG標準により記述されることを特徴とする請求項11記載のディスプレー装置の色補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−528022(P2007−528022A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546852(P2006−546852)
【出願日】平成17年1月3日(2005.1.3)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000002
【国際公開番号】WO2005/066869
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(506119763)クーロン インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】CURON INC.
【出願人】(505144463)リサーチ アンド インダストリアル コーポレーション グループ (10)
【氏名又は名称原語表記】RESEARCH AND INDUSTRIAL COOPERATION GROUP
【Fターム(参考)】